JP5009768B2 - ポリプロピレン系積層フィルム及びそれを用いた包装体 - Google Patents
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1.ポリプロピレン系樹脂を主体とし延伸されてなる基層の少なくとも片面にポリオレフィン系樹脂を主体とするシール層が形成された積層体からなり、有効製品取り幅が500mm以上であるフィルムであって、該フィルムの厚み変動率Y(%)とフィルムの製品取り幅X(mm)との関係が下記式を満足することを特徴とするポリオレフィン系積層フィルム。
Y≦0.001X+4
ここで、該基層には、防曇剤が含まれている。
2.第1に記載のポリオレフィン系積層フィルムであって、2軸延伸されてなることを特徴とするポリオレフィン系積層フィルム。
3.第1または2に記載のポリオレフィン系積層フィルムを用いてなる包装体であって、シール層には基層から移行した防曇剤を有することを特徴とする包装体。
本発明のポリプロピレン系積層フィルムは、ポリプロピレン系樹脂を主体としてなる基層の片面にポリオレフィン系樹脂を主体とするシール層が形成された積層体からなるフィルムである。
結晶性ポリプロピレンを主体とする基層形成用樹脂とポリオレフィンを主体とするシール層形成用樹脂をそれぞれ別の押出し機に供給し、加熱溶融し、ろ過フィルターを通した後、220〜320℃の温度でT型ダイス内で基層形成用樹脂とシール層形成用樹脂を積層後、スリット状のT型ダイス出口より、溶融押出し、冷却固化せしめ、未延伸フィルムを作る。このとき、ドラム状の引取り機(チルロール)上に樹脂を落下させ、チルロールに接触する面とは反対側の面からエアーナイフによって風を当てることにより、未延伸シートとチルロールとの密着性が増し、良好な未延伸シートが得られるので好ましい。この際のエアーナイフの風圧は、700〜2200mmH2Oの範囲とする。風圧が低いと未延伸シートとチルロールとの密着が不均一になり、風圧が高いと未延伸シートがばたつきチルロールとの密着が不均一になるので好ましくない。また、エアーナイフと未延伸シートの距離は1mm〜5mmの範囲が好ましく、風距離が短いと未延伸シートがばたつきやすく、エアーナイフの先端部と接することがあり、距離が長いと未延伸シートとチルロールの密着が十分でなくなることがある。ここでいうエアーナイフと未延伸シートの距離はエアーナイフの先端部と未延伸シートの垂直距離を意味する。また、エアーナイフからの風を未延伸シートとチルロールの接地点に当てることが重要である。そのためには、エアーナイフと未延伸シートの角度は調整することが手段としてあるが、角度が小さいと溶融樹脂がチルロールに接触する前に風が当たるためチルロールの接地点が変動し、また角度が大きいと溶融樹脂のチルロールへの接地点より進行方向側へ風があたることになるので密着が不十分となり、厚み変動の要因となる。ここでいうエアーナイフと未延伸シートの角度はチルロールの中心点から溶融樹脂の設置点に向かって引いた線に対して風か吹き付けられる角度を意味する。また、樹脂温度は樹脂劣化が発生しない範囲で230〜290℃程度の高温であることが好ましく、さらには270〜280℃程度の高温が好ましい。
Y≦0.001X+4
好ましくは、Y≦0.001X+3.8、特に好ましくはY≦0.001X+3.5の関係を満足するものである。上記関係式を満足しない場合は、フィルムの平面性が悪く、光の反射の関係上光沢感のないフィルムとなる上、製袋時にフィルムが蛇行し製袋不良等が発生する為好ましくない。また、変動率Yが1%であれば実用上十分優れたものである。ここでYは製品取り幅Xに対応する部分に関しての幅方向厚み変動率のことをいう。
また、ここでの、厚み変動率Yは以下のように測定する。
厚み変動率(%):アンリツ株式会社製フィルム厚み連続測定器(製品名:K−313A広範囲高感度電子マイクロメーター及びフイルム送り装置としてミクロン計測器(株)製フイルム送り装置:製番A90172を使用)を用い、フィルムの巻き取り方向と直交する製品取り幅全幅にわたって連続してフィルム厚みを計測し、下式から厚み変動率を算出した。
厚み変動率(%)=[(厚みの最大値−厚みの最低値)/厚みの平均値]×100
また、変動率Yが1%であれば実用上十分優れたものである。
また、ここでの、厚み変動率Zは以下のように測定する。
アンリツ株式会社製フィルム厚み連続測定器(製品名:K−313A広範囲高感度電子マイクロメーター及びフイルム送り装置としてミクロン計測器(株)製フイルム送り装置:製番A90172を使用)を用い、20000mmを連続してフィルム厚みを計測し、下式から厚み変動率を算出した。
厚み変動率(%)=[(厚みの最大値−厚みの最低値)/厚みの平均値]×100
サンプリングの方法を説明する。1本のロールに巻かれていたフィルムについて、上記定常領域から任意に流れ方向20000mm、幅方向40mmの試験片を切り出す。
本願発明の積層フィルムは特に15μm〜60μmの厚みのフィルムにおいて有用である。
(1)スウェル比
ダイスウェルの大きさのメジャーで、この値が大きいほど押出し出口での膨張が大きいことを示す。
JIS K6758に示されるポリプロピレン試験方法(230℃、21.18N)に準拠したメルトフローレートを測定する際の溶融樹脂吐出部を写真撮影し、ダイ内径とダイより押出される溶融樹脂ストランド径の比を測定した。
スウェル比=溶融樹脂ストランド径/ダイ内径図1にその概念図を示す。
アンリツ株式会社製フィルム厚み連続測定器(製品名:K−313A広範囲高感度電子マイクロメーター及びフイルム送り装置としてミクロン計測器(株)製フイルム送り装置:製番A90172を使用)
を用い、フィルムの巻き取り方向と直交する製品取り幅全幅にわたって(フィルムの巻き取り方向長さ40mm)連続してフィルム厚みを計測し、下式から厚み変動率を算出した。
厚み変動率(%)=[(厚みの最大値−厚みの最低値)/厚みの平均値]×100
ASTM D2457に準拠して測定した。数値が高い程、良好な光沢感示す。
(溶断シール)
溶断シール機(共栄印刷機械材料(株)製:PP500型)を用いて、フィルムの溶断シール袋を作成した。
条件:溶断刃;刃先角度60度
シール温度;370℃
ショット数;120袋/分
出来上がった溶断シール袋の出来栄えを下記の判定基準によりランク分けした。
◎:非常に良好(三角版での二つ折り性が良好でできあがった袋の袋口の端面がきれ
いに揃っており、シール部分もきれいに仕上がっている)
○:良好(製袋条件の微調整が必要であるが全体的に良好)
×:やや不良(かなりの製袋条件の調整が必要)
××:不良(調整では対応が困難、袋口端面の不揃いが多数発生し、シール部の仕上が
りも悪い)
製品取り幅×長さ方向500mmのサンプルをサンプリングして、これを幅方向に3等分し、それぞれの中央部より、幅方向50mm×長さ方向250mmの大きさのサンプルをサンプリングし、このサンプルをシール面が合わさる様に二つ折りにして、ヒートシール温度130℃、圧力1kg/cm2、ヒートシール時間1秒の条件で、熱板シールを行い、15mm幅の試験片を作製した。この試験片の180度剥離強度を測定し、ヒートシール強度(N/15mm)とした。
製品取り幅×長さ方向500mmのサンプルをサンプリングして、これを幅方向に3等分し、それぞれの中央部より、幅方向300mm×長さ方向20mmの大きさのサンプルをサンプリングし、これの中央部に図2に示す様な200mm間隔の標線をつけ、この間隔Aを測定した。続いて、無荷重で、120℃の雰囲気のオーブンに5分間入れた後、室温にて30分放置し、標線の間隔Bを求め、以下の式により熱収縮率を求めた。
熱収縮率(%)=[(A−B)/A]×100
実施例、比較例で得られたフィルムロールにおいて、定常領域から試料を切り出し、厚み変動率Z(上記(7))を測定した。なお測定においては、フィルムの長さ方向にフィルム物性が安定している定常領域から流れ方向20000mm、幅方向40mmの試験片を切り出し流れ方向20000mmにわたって連続してフイルム厚みを測定した。
アンリツ株式会社製フィルム厚み連続測定器(製品名:K−313A広範囲高感度電子マイクロメーター及びフイルム送り装置としてミクロン計測器(株)製フイルム送り装置:製番A90172を使用)を用い、20000mmわたって連続してフィルム厚みを計測し、下式から厚み変動率を算出した。
厚み変動率(%)=[(厚みの最大値−厚みの最低値)/厚みの平均値]×100
(イ)シール層形成用樹脂
(a)プロピレン・エチレン・ブテン共重合体(エチレン含有量2.5モル%、ブテン含有量7モル%、融点133.2℃)80質量部とプロピレン・ブテン共重合体(ブテン含有量25モル%、融点128.0℃)20質量部よりなるFSX66M3(住友化学工業(株)製、スウェル比1.24、メルトフローレート2.9g/10分、融点132.8℃)100質量部を用いてシール層形成用樹脂とした。
(b)アイソタクチックポリプロピレン重合体FS2011DG3(住友化学工業(株)製、スウェル比1.31、メルトフローレート2.5g/10分、融点158.5℃)100質量部に防曇剤(高級脂肪酸エステルモノグリセライト)1.0質量部を混合して基層形成用樹脂とした。
(a)の樹脂と(b)の樹脂を1:9(質量比)の割合で、(a)の樹脂温度を270℃、(b)の樹脂温度を278℃になるようにして溶融し、基層の両面にシール層を積層した3層状態でリップ幅900mm、リップギャップ2.5mmのTダイから共押出しして、温度20℃のドラム状の引取り機(チルロール)に、Tダイ出口より200mm下方の位置で、未延伸フィルムとの距離3.5mm、未延伸フィルムとの角度14°に設定したリップギャップ0.9mmのエアーナイフより風圧1060mmH2Oの風を未延伸シートとチルロールの接地点に吹き付け冷却固化した。こうして得られた未延伸フィルムを120℃の温度に予熱した後、130℃の温度で周速度の異なるロール間で縦方向に3.8倍延伸後、120℃まで冷却し、次に該延伸フィルムをテンターに導き、172℃のオーブン内で予熱後155℃のオーブン内で横方向に10倍延伸した。さらに、165℃のオーブン内で横方向に8%の緩和を行い延伸フィルムを得た。
フィルムの製造中、製造・延伸工程は安定していた。したがって、フィルムロールはフィルムの全長にわたって定常領域に該当していることが確認された。
実施例1において、(a)、(b)の樹脂温度を260℃とし、チルロール温度を25℃とした以外は、実施例1と同様にして実施例2の積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの諸特性を表1に示す。
実施例1において、シール層と基層に用いる樹脂のスウェル比を表1に示すように変えて比較例1のフィルムを得た。得られた積層フィルムの諸特性を表1に示す。
実施例1において、エアーナイフの風圧を2500mmH2Oとした以外は、実施例1と同様にして比較例2の積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの諸特性を表1に示す。
(イ)シール層形成用樹脂
(a)プロピレン・エチレン・ブテン共重合体(エチレン含有量2.5モル%、ブテン含有量7モル%、融点133.2℃)80質量部とプロピレン・ブテン共重合体(ブテン含有量25モル%、融点128.0℃)20質量部よりなるFSX66M3(住友化学工業(株)製、スウェル比1.24、メルトフローレート2.9g/10分、融点132.8℃)100質量部を用いてシール層形成用樹脂とした。
(b)アイソタクチックポリプロピレン重合体FS2011DG3(住友化学工業(株)製、スウェル比1.31、メルトフローレート2.5g/10分、融点158.5℃)100質量部に防曇剤(高級脂肪酸エステルモノグリセライト)1.0質量部を混合して基層形成用樹脂とした。
(a)の樹脂と(b)の樹脂を1:9(質量比)の割合で、(a)の樹脂温度を270℃、(b)の樹脂温度を278℃になるようにして溶融し、基層の両面にシール層を積層した3層状態でリップ幅900mm、リップギャップ2.5mmのTダイから共押出しして、温度20℃のドラム状の引取り機(チルロール)に、Tダイ出口より200mmの位置でリップギャップ0.9mmのエアーナイフより風圧1060mmH2Oの風を吹き付け冷却固化した。こうして得られた未延伸フィルムを120℃の温度に予熱した後、130℃の温度で周速度の異なるロール間で縦方向に3.8倍延伸後、120℃まで冷却し、次に該延伸フィルムをテンターに導き、172℃のオーブン内で予熱後155℃のオーブン内で横方向に10倍延伸した。さらに、165℃のオーブン内で横方向に8%の緩和を行い延伸フィルムを得た。
実施例3において、(a)、(b)の樹脂温度を260℃とし、チルロール温度を25℃とした以外は、実施例3と同様にして実施例2の積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの諸特性を表2に示す。
実施例3において、シール層と基層に用いる樹脂のスウェル比を表2に示すように変えて比較例3のフィルムを得た。得られた積層フィルムの諸特性を表2に示す。
実施例3において、エアーナイフの風圧を2500mmH2Oとした以外は、実施例3と同様にして比較例4の積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの諸特性を表2に示す。
Claims (9)
- ポリプロピレン系樹脂を主体とし延伸されてなり、かつ防曇剤を含有してなる基層の少なくとも片面にポリオレフィン系樹脂を主体とするシール層が形成された積層体からなり、製品取り幅が500mm以上であるフィルムであって、前記フィルムの幅方向厚み変動率Y(%)とフィルムの製品取り幅X(mm)との関係が下記式を満足する生鮮食品包装用ポリオレフィン系積層二軸延伸フィルム。
Y≦0.001X+4
(ここで、Yは、10%以下であり、製品取り幅のXに対応する幅方向厚み変動率を表わす。) - 製品取り幅500mm以上、長さ2000m以上である請求項1記載の生鮮食品包装用ポリオレフィン系積層二軸延伸フィルム。
- 製品取り幅5500mm以上、長さ2000m以上である請求項2記載の生鮮食品包装用ポリオレフィン系積層二軸延伸フィルム。
- フィルムの長さ方向に最大収縮方向と直交する方向の熱収縮率が均一化している領域におけるフィルムから流れ方向20000mm、幅方向40mmの試験片を切り出し流れ方向20000mmにわたって連続してフィルム厚みを測定したとき、前記フィルムの厚み変動率Zの変動(%)が3%以上、15%以下である、請求項2または3記載の生鮮食品包装用ポリオレフィン系積層二軸延伸フィルム。
- 前記幅方向厚み変動率Y(%)が、7%以下である、請求項1から4までのいずれか1項記載の生鮮食品包装用ポリオレフィン系積層二軸延伸フィルム。
- 前記シール層が、プロピレン・エチレン・ブテン共重合体とプロピレン・ブテン共重合体からなり、前記基層が、アイソタクチックポリプロピレン重合体および防曇剤からなる、請求項1から5までのいずれか1項記載の生鮮食品包装用ポリオレフィン系積層二軸延伸フィルム。
- 前記シール層における、プロピレン・エチレン・ブテン共重合体とプロピレン・ブテン共重合体との比が、80質量部:20質量部であり、前記基層におけるアイソタクチックポリプロピレン重合体と防曇剤との比が、100質量部:1質量部である、請求項6記載の生鮮食品包装用ポリオレフィン系積層二軸延伸フィルム。
- 前記フィルムの全層の厚みが15μm〜60μmであり、前記シール層の厚みが、全層の厚みの1/50〜1/3である、請求項1から7までのいずれか1項記載の生鮮食品包装用ポリオレフィン系積層二軸延伸フィルム。
- 請求項1から8までのいずれか1項記載のポリオレフィン系積層二軸延伸フィルムを用いてなる包装体であって、前記シール層が、防曇剤として基層から移行した防曇剤のみを有する、生鮮食品用包装体。
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