JP7320234B2 - 食品包装用フィルム及び食品包装用袋 - Google Patents
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Description
また、特許文献1の食品包装用袋は、前記第1樹脂層が袋の内側となるように、すなわち、前記第1樹脂層が袋の内表面を構成するように、前記食品包装用フィルムをシールすることにより作製されている。
このような場合、前記食品包装用袋は、十分な鮮度保持性を発揮できなくなると考えられる。
このように、脱落した水酸化カルシウム粒子が食品包装用袋の内部に収容された野菜等の生鮮食品に異物として混入することは、衛生面の観点から好ましくない。
最外層として第1樹脂と水酸化カルシウム粒子とを含む第1樹脂層を備え、
前記第1樹脂は、エチレン-プロピレン-ブテン三元共重合体を含む。
これにより、前記食品包装用袋においては、袋の内部に収容した野菜等の生鮮食品の鮮度を十分に保持することができるとともに、脱落した前記水酸化カルシウムが、袋の内部に収容した野菜等の生成食品に混入することを抑制することができる。
前記第1樹脂層の厚さは、0.01μm以上10μm以下であることが好ましい。
第2樹脂を含む第2樹脂層をさらに備え、
前記第2樹脂層は前記第1樹脂層の一方面に積層されており、
前記第2樹脂層の厚さは10μmを上回ることが好ましい。
これにより、水酸化カルシウム粒子の脱落を抑制しつつ、延伸性が良好なフィルムとすることができる。
第3樹脂を含む第3樹脂層をさらに備え、
前記第3樹脂層は、前記第1樹脂層が積層されている一方面と対向する前記第2樹脂層の他方面に積層されており、
前記第3樹脂層の厚さは0.01μm以上10μm以下であることが好ましい。
前記第1樹脂層は、前記第1樹脂を含む第1樹脂組成物に対して、0.1質量%以上12質量%以下の水酸化カルシウム粒子を含むことが好ましい。
また、前記第1樹脂層が、前記第1樹脂組成物に対して、12質量%以下の水酸化カルシウム粒子を含んでいるので、フィルムが成形し易くなる。
前記第2樹脂は、ポリオレフィン系ホモポリマーを含むことが好ましい。
前記第3樹脂は、エチレン-プロピレン-ブテン三元共重合体を含むことが好ましい。
前記食品包装用フィルムで構成された食品包装用袋であって、
袋の内表面が前記第1樹脂層で構成されている。
これにより、袋体の内部に収容した野菜等の生鮮食品の鮮度を十分に保持することができるとともに、脱落した前記水酸化カルシウムが、袋体の内部に収容した野菜等の生成食品に混入することを抑制することができる。
図1に示すように、本実施形態に係る食品包装用フィルム10は、最外層として第1樹脂と水酸化カルシウム粒子1aとを含む第1樹脂層1を備え、前記第1樹脂は、エチレン-プロピレン-ブテン三元共重合体を含む。
本実施形態に係る食品包装用フィルム10は、水酸化カルシウム粒子が脱落することを抑制することができるフィルムであり、そのため、食品の鮮度を保つ効果に優れるフィルムである。
さらに、本実施形態に係る食品包装用フィルム10は、第3樹脂を含む第3樹脂層3をさらに備え、第3樹脂層3は、第1樹脂層1が積層されている一方面と対向する第2樹脂層2の他方面に積層されている。
すなわち、本実施形態に係る食品包装用フィルム10は、第2樹脂層2を中心層とし、中心層たる第2樹脂層2の互いに対向する面に、第1樹脂層1及び第3樹脂層3をそれぞれ備えている。
なお、食品包装用フィルム10が第1樹脂層1の一層のみからなる場合には、第1樹脂層1が最外層となる。
本実施形態に係る食品包装用フィルム10は、最外層たる第1樹脂層1と、第1樹脂層1と直に接するように積層された第2樹脂層2と、第2樹脂層2と直に接するように積層された第3樹脂層3と、を少なくとも有する3層以上のフィルムであることが好ましく、最外層たる第1樹脂層1と、第1樹脂層1に直に接するように積層された第2樹脂層2と、第2樹脂層2と直に接するように積層された第3樹脂層3と、からなる3層構成のフィルムであることが好ましい。
第1樹脂は、全てがエチレン-プロピレン-ブテン三元共重合体であってもよいし、他の樹脂を含んでいてもよい。他の樹脂としては、結晶性ポリオレフィン系樹脂を挙げることができる。結晶性ポリオレフィン系樹脂としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン等を単量体とする単独共重合体または二元共重合体が挙げられ、これらを単独でまたは2種以上混合して用いることができる。
PEBとしては、融点が、125~135℃の範囲のものが好ましく、130~132℃のものがより好ましい。
PEBの融点は、入力補償型DSC装置(パーキン・エルマー社製、Diamond DSC)を用い、以下の手順により測定した値である。
(i)PEB5mgを秤量し、アルミニウム製のサンプルホルダーに詰めて、上記DSC装置にセットする。
(ii)窒素気流下、-40℃から300℃まで20℃/分の速度で昇温し、300℃にて5分間保持した後、20℃/分の速度で冷却し、-40℃にて5分間保持する。
(iii)再度、20℃/分の速度で300℃まで昇温し、その際に得られたDSC曲線から、融点を求める。融点は、JIS K 7121の9.1(1)に定める溶融ピーク(DSC曲線に複数のピークがある場合には最大の溶融ピーク)のピーク温度とする。
PEBのMFRは、メルトインデクサー(東洋精機製作所製)を用いて、JIS K 7210:1999に準じて、測定温度230℃及び荷重2.16kgの条件で測定することができる。
また、PEBの組成としては、プロピレン含有量が99質量%未満であり、かつ、エチレン含有量と1-ブテン含有量との合計が1質量%以上であることが好ましく、プロピレン含有量が97質量%未満であり、かつ、エチレン含有量と1-ブテン含有量との合計が3質量%以上であることがより好ましく、プロピレン含有量が95質量%未満であり、かつ、エチレン含有量と1-ブテン含有量との合計が5質量%以上であることがさらに好ましい。
プロピレン含有量が97質量%未満又は95質量%未満である場合、エチレン含有量及び1-ブテン含有量は、それぞれ、1質量%以上であることが好ましい。
なお、プロピレン含有量、エチレン含有量、及び、1-ブテン含有量は、仕込み時の含有量を意味する。
第1樹脂層1の厚さを上記範囲とすることにより、低コストでフィルムを作製することができる。また、ヘーズ(曇り度)を低くすることができるため、袋体としたときに、内部に収容した生鮮食品(野菜等)の視認性を向上させることができるとともに、生鮮食品の鮮度を十分に保持することができる。
第1樹脂層1の厚さは、電子顕微鏡を用いて測定することができる。具体的には、500倍の倍率で食品包装用フィルム10の断面を観察し、食品包装用フィルム10においてランダムに選んだ任意の10点の厚さを測定し、これらの測定値を算術平均することにより求めることができる。
水酸化カルシウム粒子1aの平均粒子径は、配合前に、測定装置としてレーザー回折式粒度分布測定機(株式会社島津製作所製 SALD-2300)を用いてJISZ8825に準拠して測定する。具体的な測定方法としては、水酸化カルシウム粒子を水槽内に分散させ、上記の装置を用いて、光の回折・散乱強度分布を測定および解析し、粒子径及び体積基準の粒子径分布を測定することにより、算出している。測定方式、測定範囲、及び光源は以下の通りである。
・測定方式:レーザー回折及び散乱
・測定範囲:0.017~2500μm
・光源:半導体レーザー(波長680nm、出力3mW)
第1樹脂層1がエルカ酸アミドを含有する場合、その含有量は、第1樹脂組成物に対して、0.01質量%以上1質量%以下であることが好ましく、0.02質量%以上0.2質量%以下であることがより好ましく、0.03質量%以上0.1質量%以下であることがさらに好ましく、0.03質量%以上0.07質量%以下であることが特に好ましい。
第1樹脂層1がステアリン酸カルシウムを含有する場合、その含有量は、第1樹脂組成物に対して、0.01質量%以上1質量%以下であることが好ましく、0.02質量%以上0.2質量%以下であることがより好ましく、0.02質量%以上0.1質量%以下であることがさらに好ましく、0.02質量%以上0.07質量%以下であることが特に好ましい。
第2樹脂は、全てがポリオレフィン系ホモポリマーであってもよいし、他の樹脂を含んでいてもよい。他の樹脂としては、結晶性ポリオレフィン系樹脂を挙げることができる。結晶性ポリオレフィン系樹脂としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン等を単量体とする単独共重合体または二元共重合体が挙げられ、これらを単独でまたは2種以上混合して用いることができる。
また、第2樹脂層2の厚さは、本実施形態に係るフィルム全体の厚さに対して、1/3以上であることが好ましい。
第2樹脂層2の厚さは、上記した第1樹脂層1の厚さと同様にして測定することができる。
第3樹脂は、全てがエチレン-プロピレン-ブテン三元共重合体であってもよいし、他の樹脂を含んでいてもよい。他の樹脂としては、結晶性ポリオレフィン系樹脂を挙げることができる。結晶性ポリオレフィン系樹脂としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン等を単量体とする単独共重合体または二元共重合体が挙げられ、これらを単独でまたは2種以上混合して用いることができる。
第3樹脂層3の厚さは、上記した第1樹脂層1の厚さと同様にして測定することができる。
本実施形態に係る食品包装用袋100は、食品包装用フィルム10で構成されている。本実施形態に係る食品包装用袋100においては、袋の内表面が第1樹脂層1で構成されている。
本実施形態に係る食品包装用袋100は、例えば、図2(a)、(b)に示したように、一方面11と他方面12とが互いに重なるように略中央部から折り畳んだ食品包装用フィルム10において、折り畳んだときに形成される折り畳み線13と直交する方向に延びる端縁部分14、15を封止(シール)することにより構成されている。
そのため、袋の内表面を構成する樹脂層(本実施形態に係る食品包装用袋100では、第1樹脂層1)は、比較的融点が低い樹脂を含むことが好ましく、このような樹脂としては、通常、オレフィン系樹脂の共重合体が用いられる。
上記のような樹脂フィルムは、通常、延伸成形されるため、樹脂フィルムの最外層が水酸化カルシウム粒子を含んでいる場合、樹脂フィルムの延伸成形時に、最外層を構成する樹脂と水酸化カルシウム粒子との間に空隙(ボイド)が形成され、このボイドが成形された樹脂フィルムに残存していると考えられる。
また、エチレン-プロピレン-ブテン三元共重合体を含む樹脂フィルム及びランダムコポリマーを含む樹脂フィルムを、それぞれ、同じ温度で延伸成形した場合、一般に、エチレン-プロピレン-ブテン三元重合体の融点の方がランダムコポリマーの融点よりも低い傾向があるため、水酸化カルシウム粒子との界面密着性が高くなり、延伸成形時に空隙(ボイド)が形成され難くなっていると考えられる。
このように、形成されるボイドが少ない分だけ、本実施形態に係る食品包装用袋100は、食品包装用フィルム10から食品包装用袋100を作製するときに加わる外力(例えば、食品包装用フィルム10の搬送中や食品包装用フィルム10のシール中に食品包装用フィルム10に加わる外力)による水酸化カルシウム粒子1aの脱落の影響を受け難くなっていると考えられる。
その結果、本実施形態に係る食品包装用袋100においては、第1樹脂層1から水酸化カルシウム粒子1aが脱落し難くなっていると、本発明者は推察している。
本実施形態に係る食品包装用フィルム10は、第1樹脂層1を構成する第1樹脂組成物、第2樹脂層2を構成する第2樹脂組成物、及び、第3樹脂層3を構成する第3樹脂組成物を共押出成形することにより製造することができる。
このような共押出成形としては、共押出多層Tダイ法が挙げられ、共押出多層Tダイ法としては、フィードブロック法、マルチマニホールド法が挙げられる。共押出多層Tダイ法は、各種公知の共押出多層成形装置を用いて行うことができる。
本実施形態に係る食品包装用フィルム10は、共押出成形された後、延伸成形されてもよい。延伸成形は、二軸延伸成形であることが好ましい。延伸成形を二軸延伸成形で行う場合、MD方向の延伸は、温度100~140℃、延伸倍率3~6倍で行うことが好ましく、TD方向の延伸は、温度130~160℃、延伸倍率8~12倍で行うことが好ましい。
第2樹脂としては、主成分としてホモポリプロピレンを含む樹脂をペレット状(以下、単独共重合体樹脂ペレットという)に成形した樹脂ペレットを溶融したものを用いることができる。単独共重合体樹脂ペレットとしては、プライムポリマー社製のF-300SP、プライムポリマー社製のE-200GPが挙げられる。単独共重合体樹脂ペレットは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
第3樹脂としては、主成分としてエチレン-プロピレン-ブテン三元共重合体を含む樹脂をペレット状に成形した樹脂ペレットを溶融してものを用いることができる。三元共重合体樹脂ペレットとしては、上記したものが挙げられる。三元共重合体樹脂ペレットは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
第1~第3樹脂ペレットを溶融させる温度は、200~300℃であることが好ましい。
本実施形態に係る食品包装用袋100は、一方面と他方面とが互いに重なるように略中央部から食品包装用フィルム10を折り畳み、折り畳んだときに形成される折り畳み線と直交する食品包装用フィルム10の両端縁部分(端縁部分14、15)を封止(シール)することにより製造することができる。食品包装用フィルム10の両端縁部分の封止(シール)はヒートシールにより行うことができる。
以下の表1及び2に示した原料を用いて、第1樹脂層、第2樹脂層、及び、第3樹脂層からなる、実施例1及び2に係る食品包装用フィルムを作製した。
なお、第1樹脂層及び第3樹脂層におけるエチレン-プロピレン-ブテン三元共重合体として、MFRが5.5g/10minであるバゼル社製の樹脂ペレット5C37F、及び、MFRが6.0g/10minである住友化学工業株式会社製の樹脂ペレットFL6741Gを使用した。
第2樹脂層におけるホモポリプロピレンとして、プライムポリマー社製の樹脂ペレットF-300SP、及び、プライムポリマー社製の樹脂ペレットE-200GPを使用した。
実施例1及び2において、樹脂ペレット5C37F及び樹脂ペレットFL6741Gは、質量比で5C37F:FL6741G=60:40の割合で使用した。また、樹脂ペレットF-300SP及び樹脂ペレットE-200GPは、質量比でF-300SP:E-200GP=70:30の割合で使用した。
水酸化カルシウム粒子については、プロピレン-エチレン共重合体の中に入れて、水酸化カルシウム含有マスターバッチとした。このマスターバッチを上記樹脂ペレット5C37FとFL6741Gとの混合物中に含有させた。水酸化カルシウム粒子以外の添加剤(ステアリン酸カルシウム、エルカ酸アミド、及び、その他添加剤)は、上記した樹脂ペレット5C37F、FL6741G、F-300SP、及び、E-200GPの内の少なくともいずれか1つに含まれている。
なお、水酸化カルシウム粒子の平均粒子径は2.7μmであった。水酸化カルシウム粒子としては、ホタテ貝殻を1100℃以上で焼成した後、消化して得られた水酸化カルシウム粒子(ホタテ貝殻由来の水酸化カルシウム粒子)を使用した。水酸化カルシウム粒子の平均粒子径は、上記の実施形態の項に記載の方法にて測定した。水酸化カルシウム粒子の純度は95%以上であった。
第1樹脂組成物は、樹脂ペレット5C37F(融点132℃)、樹脂ペレットFL6741G(融点130℃)、及び水酸化カルシウム含有マスターバッチを250℃で溶融させることにより得た。
また、第2樹脂組成物は、樹脂ペレットF-300SP及び樹脂ペレットE-200GPを250℃で溶融させることにより得た。
さらに、第3樹脂組成物は、樹脂ペレット5C37F、及び、樹脂ペレットFL6741Gを250℃で溶融させることにより得た。
二軸延伸成形において、MD方向の延伸は温度123℃にて4.6倍に延伸することにより行い、TD方向の延伸は温度151℃にて10倍延伸することにより行った。
実施例1に係る食品包装用フィルムにおいて、第1樹脂層の厚さは1.8μmであり、第2樹脂層の厚さは25.5μmであり、第3樹脂層の厚さは0.7μmであり、総厚さは、28μmであった。
また、実施例2に係る食品包装用フィルムにおいて、第1樹脂層の厚さは2.5μmであり、第2樹脂層の厚さは24.0μmであり、第3樹脂層の厚さは0.7μmであり、総厚さは27.2μmであった。
以下の表3に示した原料を用いて、第1樹脂層、第2樹脂層、及び、第3樹脂層からなる、比較例1に係る食品包装用フィルムを作製した。
なお、第1樹脂層及び第3樹脂層におけるプロピレン-エチレン共重合体として、日本ポリプロ社製の樹脂ペレットWFW5T(融点142℃)を使用した。
第2樹脂層におけるホモポリプロピレンとして、プライムポリマー社製の樹脂ペレットF-300SP、及び、プライムポリマー社製の樹脂ペレットE-200GPを使用した。
水酸化カルシウム粒子については、プロピレン-エチレン共重合体の中に入れて、水酸化カルシウム含有マスターバッチとした。このマスターバッチを上記樹脂ペレットWFW5T中に含有させた。水酸化カルシウム粒子以外の添加剤(ステアリン酸カルシウム、エルカ酸アミド、及び、その他添加剤)は、上記した樹脂ペレットWFW5T、F-300SP、及び、E-200GPの内の少なくともいずれか1つに含まれている。
比較例1において、樹脂ペレットF-300SP及び樹脂ペレットE-200GPは、質量比でF-300SP:E-200GP=70:30の割合で使用した。
第1樹脂組成物は、樹脂ペレットWFW5T、及び、水酸化カルシウム含有マスターバッチを250℃で溶融させることにより得た。
また、第2樹脂組成物は、樹脂ペレットF-300SP及び樹脂ペレットE-200GPを250℃で溶融させることにより得た。
さらに、第3樹脂組成物は、樹脂ペレットWFW5Tを250℃で溶融させることにより得た。
二軸延伸成形において、MD方向の延伸は温度123℃にて4.6倍に延伸することにより行い、TD方向の延伸は温度151℃にて10倍延伸することにより行った。
比較例1に係る食品包装用フィルムにおいて、第1樹脂層の厚さは1.8μmであり、第2樹脂層の厚さは25.5μmであり、第3樹脂層の厚さは0.7μmであり、総厚さは、28μmであった。
光干渉式非接触表面形状測定器(菱化システム社製、非接触表面・層断面形状測定システム、VertScan(登録商標)2.0(型式:R5500GML))を用いて、各例に係る食品包装用フィルムの第1樹脂層表面を評価した。
第1樹脂層表面の評価は、擦傷試験前後での第1樹脂層表面を画像観察すること、並びに、擦傷試験前後での第1樹脂層表面における凸部高さ及び尖り度を測定することにより行った。なお、擦傷試験前における前記「第1樹脂層表面における凸部高さ及び尖り度」の測定箇所は、擦傷試験後における前記「第1樹脂層表面における凸部高さ及び尖り度」の測定箇所を同一である。
擦傷試験は、各例に係る食品包装用フィルムの第1樹脂層の表面をペーパーウエスで(王子ネピア社製、製品名「パブリックペーパーウエス」)で60回擦傷することにより行った。
・測定モード:WAVE
・フィルタ:530white
・対物レンズ倍率:×10
・視野:470.92μm×353.16μm(640×480pixel)
・面補正:多項式近似4次
・補間:完全
・ノイズ除去処理:メディアンフィルタ(3×3画素)
擦傷試験前後における各例に係る食品包装用フィルムの第1樹脂層における任意の凸部に対して、ズーム表示及び断面観察を行い、凸部の高さ及び尖り度を評価した。
凸部の高さ及び尖り度の評価は、以下のようにして行った。
(1)各例に係る食品包装用フィルムの第1樹脂層の表面を観察し、各例に係る食品包装用フィルムについて水酸化カルシウム粒子の凸部の高さ及び尖り度を測定する。
(2)各例に係る食品包装用フィルムの第1樹脂層の表面をそれぞれ観察し、近似した形状の凸部を探す。
(3)各例に係る食品包装用フィルムの第1樹脂層の表面に擦傷試験を行い、試験前後で凸部の高さ及び尖り度を比較する。
なお、上記擦傷試験は、食品包装用フィルムを第1樹脂層が袋の内表面を構成するように食品包装用袋とした後から該食品包装用袋内に野菜等の生鮮食品を収容するまでの間に、前記食品包装用袋の内表面同士が擦れ合うことを模したものである。
擦傷試験前後での実施例1及び比較例1に係る食品包装用フィルムの第1樹脂層表面の画像を図3に示した。
また、擦傷試験後の凸部の高さ及び尖り度を測定した結果を以下の表4に示した。
これに対し、図3(c)と図3(d)とを比較すると、比較例1に係る鮮度保持フィルムの第1樹脂層からは水酸化カルシウム粒子の脱落が認められることが分かった(図の〇で囲った箇所を参照)。
この結果から、第1樹脂層にエチレン-プロピレン-ブテン三元共重合体を含ませることにより、第1樹脂層からの水酸化カルシウム粒子の脱落が抑制されていることが確認された。
これに対し、比較例1に係る食品包装用フィルムの第1樹脂層では、擦傷試験後に、凸部高さが大きく低下していることが確認された。すなわち、第1樹脂層から水酸化カルシウム粒子が脱落することにより、凸部高さが大きく低下していることが確認された。
実施例1に係る食品包装用フィルムを用いて、袋の内表面が第1樹脂層で構成されるように実施例1に係る食品包装用袋を5個作製した。具体的には、図2に示したように、一方面11と他方面12とが互いに重なるように略中央部から折り畳んだ食品包装用フィルム10において、折り畳んだときに形成される折り畳み線13と直交する方向に延びる端縁部分14、15を封止(シール)することにより、実施例1に係る食品包装用袋を5個作製した。
また、実施例2に係る食品包装用フィルムを用いて、上記と同様にして、実施例2に係る食品包装用袋を5個作製した。
さらに、比較例2に係る食品包装用袋として、OPPフィルム(2軸延伸ポリプロピレンフィルム)を用いて作製された食品包装用袋を5個準備した。なお、この食品包装用袋は、水酸化カルシウム粒子を含んでいなかった。
そして、これらの食品包装用袋について、経時的に1袋ずつ開封していき、大腸菌及びカット野菜(レタス)の外観の経時変化(D+0、D+2、D+3、D+4、及び、D+5。ここで、Dはカット野菜を収容した日である)について調査した。
大腸菌数は、「食品衛生検査指針 微生物編 2004、2005年7月1日 第2刷発行、社団法人 日本食品衛生協会」P.129~P.145に記載の方法で測定した。具体的には、(i)試料採取、(ii)試料液の調製、(iii)試料液の接種、(iv)一次増菌培養、(v)二次増菌培養、(vi)画線分離培養、(vii)鑑別同定、(viii)結果判定、を順に行った。
(i)の試料採取においては、試料25gを秤量し、滅菌ポリ袋に移し、(ii)の試料液の調製においては、9倍量に相当する225mlの滅菌希釈水を加えて30秒間均質化したものを試料原液とし、また滅菌希釈水で10倍段階希釈し、(iii)の試料液の接種においては、試料原液10ml、1mlおよびその10倍段階希釈液1mlずつを、5本ずつのブイヨン発酵管に接種し、(iv)の一次増菌培養においては、試料を接種したブイヨン発酵管を35±1℃、48時間で培養し、(v)の二次増菌培養においては、ブイヨン発酵管の培養液の1白金耳をEC培地発酵管に接種してこれを44.5±0.2℃の恒温水槽中で24時間培養し、(vi)の画線分離培養においては、EMB寒天培地平板に塗抹培養して35±1℃にて24時間培養し、(vii)の鑑別同定においては、大腸菌の存在が認められた試料接種発酵管数から算定した。希釈水は、0.1%ペプトン加生理食塩水を使用した。
・A:外観変化なし
・B:赤色への変色が少し認められるものの問題なし
・C:褐色への変色が少し認められるものの問題なし
・D:赤色~褐色への変色が目立ち、問題あり
・E:褐色への変色が目立ち、問題あり
また、実施例1及び2に係る食品包装用袋は、大腸菌の経時変化が認められなかった。これにより、実施例1及び2に係る食品包装用袋は、食品の鮮度を保つ機能に優れることが分かった。
具体的には、(i)試料採取、(ii)試料液の調製、(iii)混釈平板の調製、(iv)混釈平板の培養、(v)出現集落の計測、(vi)生菌数の算定、を順に行った。
(i)の試料採取においては、試料25gを秤量し、滅菌ポリ袋に移し、(ii)の試料液の調製においては、9倍量に相当する225mlの滅菌希釈水を加えて30秒間均質化したものを試料原液とし、また滅菌希釈水で10倍段階希釈し、(iii)の混釈平板の調製においては、それぞれの希釈試料液を1mlずつ分注し、次いで標準寒天培地約15mlを無菌的に各ペトリ皿に注ぎ、直ちに試料と培地がよく混ざるように静かに混釈し、(iv)の混釈平地の培養においては、寒天培地が完全に凝固したらペトリ皿を倒置し、35±1℃で48時間培養し、(v)の出現集落の計測においては、コロニーカウンターを用いて測定し、(vi)の生菌数の算定においては、算定対象とした平板の集落数に希釈倍数を乗じ、さらに得られた数字の上位3桁目を四捨五入して、上位2桁を有効数字として表示し、以下に0をつけ、食品1g当たりの菌数として求めた。希釈水は、0.1%ペプトン加生理食塩水を使用した。
また、実施例1及び2に係る食品包装用袋の一般生菌数は、保存日数D+2日において、それぞれ、1.2×104、1.4×104であり、保存日数D+3日において、それぞれ、1.4×105、2.3×104であり、保存日数D+4日において、それぞれ、1.5×105、7.3×104であり、保存日数D+5において、それぞれ、4.5×105、2.5×105であった。
これらの結果から、実施例1及び2に係る食品包装用袋は、一般生菌数の観点からも、食品の鮮度を保つ機能を有することが分かった。
具体的には、(i)試料採取、(ii)試料液の調製、(iii)試料液の接種、(iv)増菌培養、(v)画線分離培養、(vi)鑑別同定、(vii)結果判定、を順に行った。
(i)の試料採取においては、試料25gを秤量し、滅菌ポリ袋に移し、(ii)の試料液の調製においては、9倍量に相当する225mlの滅菌希釈水を加えて30秒間均質化したものを試料原液とし、また滅菌希釈水で10倍段階希釈し、(iii)の試料液の接種においては、試料原液10ml、1mlおよびその10倍段階希釈液1mlずつを、5本ずつのブイヨン発酵管に接種し、(iv)の増菌培養においては、試料を接種したブイヨン発酵管を35±1.0℃、48時間で培養し、(v)の画線分離培養においては、EMB寒天培地平板に塗抹培養して35±1℃にて24時間培養し、(vi)の鑑別同定においては、大腸菌群数の存在が認められた試料接種発酵管数から算定した(MPN算出法)。希釈水は、0.1%ペプトン加生理食塩水を使用した。
また、実施例1及び2に係る食品包装用袋の大腸菌群数は、保存日数D+2において、それぞれ、1.1×102、3.6×102であり、保存日数D+3において、それぞれ、5.8×101、1.2×101であり、保存日数D+4において、それぞれ、9.2×101、4.7×101であり、保存日数D+5において、それぞれ、1.4×105、2.0×104であった。
これらの結果から、実施例1及び2に係る食品包装用袋は、大腸菌群数の観点からも、食品の鮮度を保つ機能を有することが分かった。
1a:水酸化カルシウム粒子。
Claims (8)
- 第1樹脂と水酸化カルシウム粒子とを含む最外層としての第1樹脂層と、
第2樹脂を含む第2樹脂層であって、前記第1樹脂層の一方面に積層された第2樹脂層と、を備え、
前記第1樹脂は、エチレン-プロピレン-ブテン三元共重合体を含み、
前記第2樹脂は、ポリオレフィン系ホモポリマーを含み、
前記第1樹脂層はさらにステアリン酸カルシウムを含む
食品包装用フィルム。 - 前記第1樹脂層はさらにエルカ酸アミドを含む
請求項1に記載の食品包装用フィルム。 - 前記第1樹脂層の厚さは、0.01μm以上10μm以下である
請求項1または2に記載の食品包装用フィルム。 - 前記第2樹脂層の厚さは10μmを上回る
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の食品包装用フィルム。 - 第3樹脂を含む第3樹脂層をさらに備え、
前記第3樹脂層は、前記第1樹脂層が積層されている一方面と対向する前記第2樹脂層の他方面に積層されており、
前記第3樹脂層の厚さは0.01μm以上10μm以下である
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の食品包装用フィルム。 - 前記第3樹脂は、エチレン-プロピレン-ブテン三元共重合体を含む
請求項5に記載の食品包装用フィルム。 - 前記第1樹脂層は、前記第1樹脂を含む第1樹脂組成物に対して、0.1質量%以上12質量%以下の水酸化カルシウム粒子を含む
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の食品包装用フィルム。 - 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の食品包装用フィルムで構成された食品包装用袋であって、
袋の内表面が前記第1樹脂層で構成されている
食品包装用袋。
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