JP3432411B2 - 縦裂き性ポリオレフィン系積層フィルム - Google Patents

縦裂き性ポリオレフィン系積層フィルム

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JP3432411B2
JP3432411B2 JP6519498A JP6519498A JP3432411B2 JP 3432411 B2 JP3432411 B2 JP 3432411B2 JP 6519498 A JP6519498 A JP 6519498A JP 6519498 A JP6519498 A JP 6519498A JP 3432411 B2 JP3432411 B2 JP 3432411B2
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一昭 田畑
修司 田中
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリオレフィン系
樹脂よりなる縦裂き性フィルムに関するものである。詳
しくは、フィルム製造時の樹脂の押し出し方向(フィル
ムの縦方向)への引裂き方向が直線性であり且つ引裂強
度が低いという優れた引裂特性を有し、しかも、透明
性、外観が良好であり、フィルムからの臭気の発生が極
めて少ない縦裂き性ポリオレフィン系積層フィルムであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来から熱可塑性樹脂よりなるフィルム
を用い、様々な包装袋が提案されている。これら包装袋
は、食品をはじめ、衣料、工業部品等の包装に使用さ
れ、内容物を保存、及び塵、ほこり等から保護するため
に広い分野で用いられている。
【0003】その一方、包装された商品は使用する際に
は必ず開封する必要があり、一般には手で裂くことが大
半である。この場合、大きな力をかけずに引き裂くこと
が可能で、裂ける方向が直線状であれば、内容物の形等
を崩さず、包装袋を引裂くことができ、容易に開封する
ことできる。
【0004】そのために、開封用の切り口(ノッチ)を
設けることが一般的であるが、さらに、切り口と同じ方
向にフィルムが引裂かれることが必要であり、フィルム
の引裂き方向性及びその際の引裂き強度が小さいフィル
ムが要求される。
【0005】従来の引裂方向性を有するポリオレフィン
系樹脂フィルムとして、縦方向に高倍率の延伸を施し、
縦方向の分子配向を利用した一軸延伸フィルムが提案さ
れている。
【0006】また、無延伸または低倍率の一軸延伸にて
引裂方向性を改良する目的で、ポリプロピレン系樹脂と
ソルビトール誘導体からなる組成物を製膜しフィルムに
することが提案されている(特開平1−299831号
公報)。
【0007】さらには、プロピレン重合体とスチレン重
合体の樹脂混合物を成形してなる易引裂き性の熱封緘性
フィルムがある(特開昭64−56740号公報)。
【0008】しかしながら、上記の一軸延伸フィルムで
十分な引裂方向性を持たせるには、高倍率延伸を行わね
ばならず、高倍率延伸では製造時にフィルムの厚みム
ラ、延伸ムラが発生し易く、また、透明性が低下すると
いう問題点がある。
【0009】また、ポリプロピレン系樹脂とソルビトー
ル誘導体からなる組成物を製膜しフィルムにした場合、
引裂方向性は改良されるが、製膜したフィルムから臭気
が発生し、食品用途には使用が制限される。また、フィ
ルム製膜後経時的にソルビトール誘導体のフィルム表面
へのブリードが、透明性を悪化させたり、スリット、印
刷などの2次加工時のロール汚れの原因となる。
【0010】さらに、プロピレン重合体とスチレン重合
体の樹脂混合物を成形してなるフィルムの場合、プロピ
レン重合体とスチレン重合体は不相溶であるために、透
明性の低下、及びスチレン重合体が脆いために耐衝撃性
が低下する。
【0011】上記のような問題点があり、これまで、縦
裂方向性が良好でかつ引裂き強度が小さい、優れた引裂
特性を有し、しかも、臭気がなく、透明性及び外観の良
好であるフィルムを得ることは困難であった。
【0012】また、フィルムを包装用途に使用する場
合、水分等を多く含む内容物の場合にフィルムが曇りや
すいため防曇性を有するフィルムが要求されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前述の問題
を解決すべくなされたものであり、優れた引裂特性を有
し、透明性、外観が良好であり、臭気の発生が極めて少
なく、さらに防曇性に優れた縦裂き性ポリオレフィン系
樹脂フィルムを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を重ねた結果、結晶性ポリプロピレン系樹脂と結晶性ポ
リエチレン系樹脂とが特定の割合である樹脂組成物層
と、ポリオレフィン系樹脂層とを積層し、特定の結晶化
度およびc軸配向係数になるように製造条件等を調整す
ることにより上記課題を解決することを見出した。
【0015】すなわち、本発明は結晶性ポリプロピレン
系樹脂99.99〜90重量%と結晶性ポリエチレン樹
脂0.01〜10重量%とからなる樹脂組成物層と、ポ
リオレフィン系樹脂層との積層フィルムであり、該積層
フィルムの結晶化度が40〜65%、縦方向のc軸配向
係数が0.1〜0.6であることを特徴とする縦裂き性
ポリオレフィン系積層フィルムである。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明において使用する結晶性ポ
リプロピレン系樹脂は、プロピレン単独重合体、プロピ
レンと他のα−オレフィンとの共重合体、またはそれら
の混合物をあげることができる。他のα−オレフィンと
しては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘ
キセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1
−デセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−
ペンテン等を挙げることができる。これらとプロピレン
との共重合体としては、ランダム共重合体及びブロック
共重合体のいずれも用いることができる。このα−オレ
フィン含有量は、20重量%以下が適当であり、好まし
くは、10重量%以下である。該α−オレフィン含有量
が20重量%を越える場合、結晶化度が低下し、引裂き
方向性が低下する傾向がある。
【0017】本発明で使用される結晶性ポリプロピレン
系樹脂を具体的に例示すれば、プロピレン単独重合体、
プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−
1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−
1−ブテンランダム共重合体を挙げることができる。本
発明で使用される結晶性ポリプロピレン系樹脂のメルト
フローレイト(MFR)は特に制限されるものではない
が、フィルムへの成形性を考慮すると、0.5〜50g
/10分(ASTM D1238 温度230℃、荷重
2.16kg)の範囲のものであることが好ましい。
【0018】本発明で用いる結晶性ポリエチレン系樹脂
は、エチレンを主体とする結晶性重合体であれば特に制
限されないが、その中でも、結晶性エチレン単独重合
体、またはエチレン−プロピレン共重合体、エチレン−
ブテン−1共重合体等の結晶性エチレン−α−オレフィ
ン多元重合体、及びそれらの混合物が好適に使用され
る。
【0019】また、結晶性ポリエチレン系樹脂の密度
は、0.935〜0.975g/cm3、結晶性ポリエ
チレン系樹脂のメルトフローレイト(MFR)(AST
M D1238 温度190℃、荷重2.16kg)
0.1〜50g/10分が好適である。
【0020】特に、結晶性、加工性、外観(フィッシュ
アイ)等から、密度0.950〜0.970g/c
3、メルトフローレイト0.5〜30.0g/10分
の高密度ポリエチレンが適している。
【0021】本発明において、結晶性ポリプロピレン系
樹脂と結晶性ポリエチレン系樹脂との樹脂組成物中のそ
れぞれの添加量は、結晶性ポリプロピレン系樹脂99.
99〜90重量%、結晶性ポリエチレン系樹脂0.01
〜10重量%であり、好ましくは結晶性ポリプロピレン
系樹脂99.5〜95重量%、結晶性ポリエチレン系樹
脂0.5〜5重量%である。結晶性ポリエチレンの添加
量が0.01重量%未満であれば、本発明の縦裂き方向
性が不十分となり、逆に、10重量%を越えると透明性
(ヘイズ値)が低下したり、フィッシュアイの発生が多
くなるという問題が発生する。
【0022】本発明において、結晶性ポリプロピレン系
樹脂と結晶性ポリエチレン系樹脂との樹脂組成物の製造
方法は、特に制限されず、たとえば、溶融混練法、ドラ
イブレンド法等の公知の方法を採用すればよい。
【0023】本発明に用いるポリオレフィン系樹脂に
は、公知のものが特に制限なく使用され、例えば、上記
したポリプロピレン系樹脂、結晶性ポリエチレン系樹
脂、さらには、他のα−オレフィン系樹脂、及びその混
合物等が使用でき、その目的に応じて適宜選択すればよ
い。たとえば、透明性、引裂特性等を勘案すれば、結晶
性プロピレン系樹脂が好適である。
【0024】本発明の縦裂き性ポリオレフィン系積層フ
ィルムは、上記した結晶性ポリプロピレン系樹脂と結晶
性ポリエチレン系樹脂との樹脂組成物層(以下、A層と
もいう)と、上記ポリオレフィン系樹脂層(以下、B層
ともいう)との積層フィルムであることが必要である。
【0025】また、積層の層構成は、A層とB層が積層
されていれば特に制限されず、目的に応じて、A/Bの
二層フィルム、B/A/Bの三層フィルム等の層構成を
適宜選択すればよい。たとえば、透明性、引裂特性等を
勘案すれば、B/A/Bの三層フィルムが好適である。
【0026】本発明の縦裂き性ポリオレフィン系積層フ
ィルムの厚みは特に制限されないが、通常10〜100
μmの範囲であることが実用的に好ましい。
【0027】また、本発明において、A層の厚みは、縦
裂き性等を勘案すると、全層厚みの50%以上、更には
60%以上であることが好ましい。A層の厚みが全層厚
みの50%未満の場合、得られるフィルムの縦裂き性が
劣る傾向にある。
【0028】本発明の縦裂き性ポリオレフィン系積層フ
ィルムは、上記の組成及び層構成よりなり、かつ、X線
回折により測定される結晶化度が40〜65%、好まし
くは45〜65%、より好ましくは50〜62%であ
る。かかる結晶化度が40%未満である場合、得られる
フィルムの引き裂き方向性が低下し、また、結晶化度が
65%を越えるとフィルムの剛性が大きくなり、一般包
装用フィルムとしては扱いにくく、またフィルムの衝撃
強度が極端に低下する。
【0029】また、本発明の縦裂き性ポリオレフィン系
積層フィルムは、更に、X線回折により測定されるc軸
配向係数が、0.1〜0.6、好ましくは、0.15〜
0.6、より好ましくは0.20〜0.55であること
が重要である。即ち、フィルムのc軸配向係数が0.1
未満である場合、縦裂き方向性が低下し、一方、0.6
を越えると透明性の低下、及び縦に裂け易くなりすぎ
て、包装用として扱うには不向きである。
【0030】また、本発明の縦裂き性ポリオレフィン系
積層フィルムには、防曇剤を配合することが防曇性を必
要とする用途において好ましい。上記防曇剤は、一般に
防曇剤、帯電防止剤、界面活性剤と呼ばれる公知のもの
が使用され、例えば、グリセリン、ポリエチレングリコ
ール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ポリプロ
ピレングリコール等の多価アルコールとラウリン酸、ス
テアリン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸とのエステル、
高級脂肪族アミンのエチレンオキサイド付加物、高級脂
肪族アルカノールアミド、高級アルコールリン酸エステ
ル塩、及びその混合物等が代表的なものとして挙げられ
る。
【0031】防曇剤は、縦裂き性ポリオレフィン系積層
フィルムの構成層の少なくとも一層に配合すればよく、
全ての層に配合してもよい。
【0032】防曇剤の添加量は、防曇剤を添加する層1
00重量部に対し、0.1〜4.0重量部が適当であ
り、好ましくは、0.2〜2.0重量部である。上記防
曇剤の添加量が0.1重量部未満の場合、防曇性の発現
効果が小さく、一方、4.0重量部を越えると、防曇剤
が表面にブリードしフィルムの防曇層同士のブロッキン
グが生じたり、透明性が低下する傾向にある。
【0033】上記防曇剤の配合方法は、特に制限されず
従来公知の方法を採用すればよく、たとえば、フィルム
製膜前に予め必要とされる層の原料に防曇剤を配合する
方法、別途防曇剤のマスターバッチを作成しておき、フ
ィルム製膜時に必要量配合する方法等が挙げられる。
【0034】また、印刷処理等の用途に応じて、物性を
損なわない程度にコロナ処理を施すことが好ましい。上
記コロナ処理は、空気中で処理されても、窒素等の不活
性ガス雰囲気下で処理されても差し支えなく、コロナ放
電処理後、40℃、24時間エージングした後のフィル
ム表面濡れ指数が35〜45mN/mであることが好ま
しい。
【0035】本発明の縦裂き性ポリオレフィン系積層フ
ィルムの製造方法は、公知の方法を何ら制限なく用いる
ことができる。例えば、樹脂組成物及びポリオレフィン
系樹脂を、複数の押出機を用いてマルチマニホールド法
やフィードブロック法等のTダイより共押出しし、温度
調節可能なロールにより冷却して連続的に巻き取る方
法、あるいは、樹脂組成物及びポリオレフィン系樹脂を
複数の押出機を用いてサーキュラーダイより共押出し、
インフレーション法により温度調節可能なエアチャンバ
ーを用いて空冷、または温度調節可能な水槽を用いて水
冷する方法、あるいは、単層フィルムとして押し出した
樹脂組成物層にインラインラミネート法によりポリオレ
フィン系樹脂層を積層する方法等がある。
【0036】上記方法において、得られる縦裂き性ポリ
オレフィン系積層フィルムの結晶化度を調節するために
は、ダイスからでた溶融樹脂が溶融状態から冷却固化す
る際の冷却条件を調整する方法が一般的である。例え
ば、Tダイ法の場合、製膜速度によって調節範囲が異な
るが、ダイス温度、エアナイフやエアチャンバー等の空
気圧及び温度(必要に応じては温調する)、ロール(必
要に応じては数本の温調ロール)もしくは水槽の温度、
冷却ロールもしくは水槽とダイス間距離(エアギャッ
プ)等を調節することなどが挙げられる。
【0037】また、得られる縦裂き性ポリオレフィン系
積層フィルムのc軸配向係数を調整するためには、ドラ
フト比(ダイス間隔と最終厚みの比)を大きくする、ま
たは透明性等が低下しない程度に弱延伸を施す、ダイス
温度を下げる等の製造条件を調整する。例えば、延伸を
施す場合、透明性を損なわない程度に延伸することが好
ましい。詳細には、延伸倍率が、1〜3倍の範囲であ
り、好ましくは、1.1〜1.5倍であることが好まし
い。3倍を越えると延伸ムラ、厚みムラの発生、透明性
の悪化が起こるため実用的ではない。なお、延伸倍率
は、無延伸フィルムの場合を1倍とする。
【0038】また、フィルムの延伸方法は公知の方法を
何ら制限なく用いることができる。例えば、Tダイ法の
場合、製膜速度によって温度範囲が異なるが、200〜
250℃の温度範囲で樹脂を溶融押出しし、20〜12
0℃の範囲に調節したロールにより冷却固化させ、引き
続き60〜160℃の範囲に調節した2本以上のロール
間の周速差を利用して樹脂の押し出し方向に延伸した
後、巻き取る方法が挙げられる。あるいは、Tダイ法に
より得た無延伸フィルム、又はインフレーション法によ
り得たフィルムをフィルム延伸装置を用いてフィルムを
繰り出し方向に延伸を行う方法が挙げられる。
【0039】縦裂き性ポリオレフィン系積層フィルムを
共押出法により得る場合、樹脂組成物層とポリオレフィ
ン系樹脂層を共に延伸し、積層フィルムの結晶化度、c
軸配向係数を本発明で規定した範囲になるように調節す
れば良い。
【0040】縦裂き性ポリオレフィン系樹脂フィルムを
インラインラミネート法により得る場合は、樹脂組成物
からなる無延伸フィルムにポリオレフィン系樹脂層をイ
ンラインで積層した後に延伸する方法と、樹脂組成物層
からなる延伸フィルムに、ポリオレフィン系樹脂層をイ
ンラインで積層する方法等が挙げられる。いずれの場合
も、得られた積層フィルムの結晶化度、c軸配向係数を
請求項記載の範囲になる様に調節すれば良い。
【0041】本発明の縦裂き性ポリオレフィン系積層フ
ィルムには、必要に応じて、酸化防止剤、塩素捕捉剤、
耐熱安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、ブロッキング防止
剤、顔料、他の樹脂やフィラー等の添加剤を効果が阻害
されない限り配合されてもよい。
【0042】
【発明の効果】本発明により、結晶性ポリプロピレン系
樹脂と結晶性ポリエチレン系樹脂とを特定の割合で配合
した樹脂組成物層と、ポリオレフィン系樹脂層とからな
る積層フィルムを、特定の結晶化度およびc軸配向係数
になるように製造条件等を調整することにより、縦方向
に直線的に引裂くことが可能で、且つ適度な引裂き強度
を有し、しかも、透明性、外観の良好であり、臭気の発
生の極めて少ない縦裂き性ポリオレフィン系積層フィル
ムを得ることができる。
【0043】該縦裂き性ポリオレフィン系積層フィルム
に防曇性を付与させるために、本発明の構成層である樹
脂組成物層およびポリオレフィン系樹脂層の少なくとも
1層以上の樹脂層に防曇剤を含有させることで防曇性を
有する縦裂き性ポリオレフィン系積層フィルムを得るこ
とができる。
【0044】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いて説明するが、
本発明はこれらに限定されるものではない。尚、以下の
実施例及び比較例で得られた縦裂き性ポリオレフィン系
樹脂フィルムの分析及び評価は次の方法にて行った。
【0045】1.分析 (1)結晶化度及びc軸配向係数の測定 ここで、結晶化度、c軸配向係数は次のような測定方法
によって求めた値である。
【0046】・結晶化度:X線回折法によって求められ
るフィルム試料中の結晶の割合を表す詳しくは、X線に
よる回折強度を測定し、回折強度曲線のピーク分離を行
い、回折角2θが14.2°、17.1°、18.6
°、21.9°、25.7°、28.6°付近に観測さ
れる結晶質のピーク面積をSC、16.3°付近に 観
測されるブロードな非晶質のピーク面積をSAとしたと
き、下記式 SC/(SC+SA)×100(%) で算出した。
【0047】・c軸配向係数:X線回折法によって求め
られるポリプロピレン結晶c軸(分子鎖軸)のフィルム
の縦方向(MD)への軸配向の程度を定量的に示す値で
ある詳しくは、ポリプロピレン結晶の(110)及び
(040)面の配向分布曲線から、Z.W.Wilchinsky ["A
dvances in X-Ray Analysis" Vol.6 Plenum Press, New
York(1963),P.231]の方法により求められ
る。
【0048】ここで、X線回折は、日本電子社製のX線
回折装置JDX−3500を用いて、次の条件で行っ
た。
【0049】・ターゲット :銅(Cu−Kα線) ・管電圧-管電流:40kV−400mA ・X線入射法 :垂直ビーム透過法 ・単色化 :グラファイトモノクロメーター ・検出器 :シンチレーションカウンター 結晶化度の場合、発散スリットは0.2mm、受光スリ
ットは0.4mm、c軸配向係数の場合、1mmφのユ
リメーター、受光スリットは2mmφピンホールで測定
した。
【0050】2.フィルムの物性評価 (1)引裂方向性 引裂直線切れ性 フィルムから縦方向300mm×横方向210mmの試
験片を切り出す。試験片の短片(横方向)の中央部に長
さ15mmの2本の切り込みを間隔が10mmになるよ
うに入れる。中央部(切り込み間)を手で持って、約1
50mm/秒の速度で、フィルム面に対し45°の角度
で縦方向に引っ張りフィルムを引き裂く。切り込み位置
から150mmの点での、引き裂いた短冊の幅を測定し
た。幅が10mmの時、引裂直線切れ性は最良である。
【0051】引裂強度 フィルムから縦方向140mm×横方向30mmの試験
片を切り出す。試験片の短片(横方向)の中央部に、長
さ15mmの2本の切り込みを間隔が10mmになるよ
うに入れる。引張試験機を用いて、中央部(切り込み
間)と両端部を各々180°反対方向に引っ張り、その
ときの最大荷重を測定した。
【0052】(2)透明性 JIS K 6714に準じて測定した。
【0053】(3)フィルム外観 フィルム1m2 当たりに存在する長径0.25mm以上
のフィッシュアイの数を目視で測定した。
【0054】 (4)臭気 製膜したフィルムの試験片(300mm×210mm)
10枚を蓋付きの瓶(容量300ml)にいれ、瓶の中
の臭気を10人で官能試験を行い、臭気の有無を判定し
た。
【0055】 (5)耐衝撃性試験 120mm×120mmにフィルムを切り出し、23℃
下で東洋精機製フィルムインパクトテスターにて測定を
行った。
【0056】(6)防曇性評価 100mm×100mmにフィルムを切り出し、100
mlのビーカーに水道水を50ml入れ、防曇面が内面
になるようにビーカーにかぶせ、5℃の冷蔵庫に放置
し、30分後と24時間後のフィルム内面の水滴の付着
状況を目視にて観察し、以下のように評価した。
【0057】 ○:全く曇らない △:わずかに曇る ×:曇る(中身が見えない) 3.原料調整(造粒及びマスターバッチ作成) (1)ポリプロピレン系樹脂原料A 結晶性プロピレン単独重合体(MFR8.0g/10
分)100重量部に対して、酸化防止剤として2、6−
ブチルヒドロキシトルエンを0.1重量部、塩素補足剤
としてステアリン酸カルシウムを0.13重量部を加え
た樹脂組成物をヘンシルミキサーにて5分間混合攪拌し
た後、60mmφ押出造粒機を用いて230℃にて造粒
し、原料ペレットAとした。
【0058】(2)ポリプロピレン系樹脂原料B プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体1
(P−E−B共重合体1、エチレン含有量3.1重量
%、1−ブテン含有量1.4重量%、MFR=6.5g
/10分)100重量部に対して、酸化防止剤として
2、6−ブチルヒドロキシトルエンを0.1重量部、塩
素補足剤としてステアリン酸カルシウムを0.13重量
部を加えた樹脂組成物をヘンシルミキサーにて5分間混
合攪拌した後、60mmφ押出造粒機を用いて230℃
にて造粒し、原料ペレットBとした。
【0059】(3)防曇剤マスターバッチMB1 プロピレン−エチレンランダム共重合体(P−E共重合
体、エチレン含有量3.6重量%、MFR=6.5g/
10分)100重量部に対して、酸化防止剤として2、
6−ブチルヒドロキシトルエンを0.1重量部、塩素補
足剤としてステアリン酸カルシウムを0.15重量部、
防曇剤としてグリセリン脂肪酸エステル6.0重量部、
アルキルジエタノールアミン2.0重量部、高級アルコ
ール3.0重量部を加えた樹脂組成物をヘンシルミキサ
ーにて5分間混合攪拌した後、45mmφ2軸押出造粒
機を用いて230℃にて造粒し、防曇剤添加量が10重
量%の防曇剤マスターバッチMB1とした。
【0060】(4)結晶核剤マスターバッチMB2 プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体2
(P−E−B共重合体2、エチレン含有量2.3重量
%、1−ブテン含有量4.0重量%、MFR=7.0g
/10分)100重量部に対して、ソルビトール誘導体
の1つであるジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトー
ル(Me−DBS)5.3重量部、酸化防止剤として
2、6−ブチルヒドロキシトルエンを0.1重量部、塩
素補足剤としてステアリン酸カルシウムを0.13重量
部を加えた樹脂組成物をヘンシルミキサーにて5分間混
合攪拌した後、60mmφ押出造粒機を用いて230℃
にて造粒し、5重量%マスターバッチMB2とした。
【0061】(5)結晶性ポリエチレン及びその他の樹
脂 以下に示す高密度ポリエチレン及びポリスチレンを使用
した。
【0062】a:高密度ポリエチレン 出光製120J 密度=0.956g/cm3 MFR=19g/10分 b:高密度ポリエチレン 出光製230J 密度=0.962g/cm3 MFR=5.5g/10
分 c:ポリスチレン 新日鉄化学製 エスチレンG−2
0 比重=1.05 MRF=10g/10分(JIS K6870 200
℃ 5000g) 実施例1 表1に示すように、原料A(結晶性ポリプロピレン系樹
脂)と原料a(結晶性ポリエチレン系樹脂)からなる層
を中間層(第1層)とし、原料Bからなる層を表面層
(第2層および第3層)として、3種3層のフィルム構
成にて、以下の共押出法で積層フィルムを成形した。各
層の原料ペレットをスクリュー径75mmφ(第1
層)、50mmφ(第2層)、50mmφ(第3層)の
3機の押出機で溶融混練し、フィードブロック法により
共押出した。なお、層構成比は、第2層/第1層/第3
層=1/4/1となるように、押出量を調整した。第1
ロールを80℃に、引き続き第2ロールを80℃に、第
3ロールを100℃に調節した。第2ロールと第3ロー
ル間でロールの周速差を利用して1.1倍延伸し、厚さ
30μmのフィルムを得た。その後、40℃で24時間
エージングした後に物性評価した。表2にフィルム物性
を示す。
【0063】実施例2 表1に示すように、原料Bと原料aの混合原料からなる
層(第1層)と原料AとMB1との混合原料から成る層
(第2層)の2種2層のフィルム構成にて、以下の共押
出法で積層フィルムを成形した。各層の原料ペレットを
スクリュー径75mmφ(第1層)、50mmφ(第2
層)の2機の押出機で溶融混練し、フィードブロック法
により共押出した。なお、層構成比は、第1層/第2層
=5/1となるように、押出量を調整した。第1ロール
を80℃に、引き続き第2ロールを80℃に、第3ロー
ルを110℃に調節して、厚さ30μmのフィルムを得
た。その後、40℃で24時間エージングした後に物性
評価した。表2にフィルム物性を示す。
【0064】実施例3 第1層、第2層、第3層用原料として表1に示した原料
を用い、層構成比を、第2層/第1層/第3層=1/3
/1となるように調整し、製造条件を表1に示した様に
した以外は実施例1と同様に行った。表2にフィルム物
性を示す。
【0065】実施例4 第1層、第2層、第3層用原料として表1に示した原料
を用い、層構成比を、第2層/第1層/第3層=1/8
/1となるように調整し、製造条件を表1に示した様に
した以外は実施例1と同様に行った。表2にフィルム物
性を示す。
【0066】比較例1 第1層、第2層、第3層用原料として表1に示した原料
を用い、層構成比を、第2層/第1層/第3層=1/4
/1となるように調整し、製造条件を表1に示した様に
した以外は実施例1と同様に行った。表2にフィルム物
性を示す。
【0067】比較例2 第1層、第2層、第3層用原料として表1に示した原料
を用い、層構成比を、第2層/第1層/第3層=1/6
/1となるように調整し、製造条件を表1に示した様に
した以外は実施例1と同様に行った。表2にフィルム物
性を示す。
【0068】比較例3 原料a(結晶性ポリエチレン系樹脂)の代わりに原料c
(ポリスチレン)を用いた以外は、実施例1と同様に行
った。表2にフィルム物性を示す。
【0069】比較例4 第1層、第2層、第3層用原料として表1に示した原料
を用い、層構成比を、第2層/第1層/第3層=1/4
/1となるように調整し、製造条件を表1に示した様に
した以外は実施例1と同様に行った。表2にフィルム物
性を示す。
【0070】比較例5 第1層、第2層、第3層用原料として表1に示した原料
を用い、層構成比を、第2層/第1層/第3層=1/3
/1となるように調整し、製造条件を表1に示した様に
した以外は実施例1と同様に行った。表2にフィルム物
性を示す。
【0071】比較例6 第1層、第2層、第3層用原料として表1に示した原料
を用い、層構成比を、第2層/第1層/第3層=1/4
/1となるように調整し、製造条件を表1に示した様に
した以外は実施例1と同様に行った。表2にフィルム物
性を示す。
【0072】表2に示したフィルム物性より実施例のフ
ィルムが押し出し方向への引裂方向性に優れ、かつ透明
性、外観に優れた、臭気の発生が極めて少ない縦裂き性
ポリオレフィン系積層フィルムであることがわかる。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // B29K 23:00 B29K 23:00 B29L 9:00 B29L 9:00 (56)参考文献 特開 平10−316772(JP,A) 特開 平7−138423(JP,A) 特開 平1−299831(JP,A) 特開 平4−229251(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 27/32 B29C 55/12 B32B 27/18 B65D 65/40 C08L 23/10 B29K 23:00 B29L 9:00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】結晶性ポリプロピレン系樹脂99.99〜
    90重量%と結晶性ポリエチレン系樹脂0.01〜10
    重量%とからなる樹脂組成物層と、ポリオレフィン系樹
    脂層との積層フィルムであり、該積層フィルムの結晶化
    度が40〜65%、縦方向のc軸配向係数が0.1〜
    0.6であることを特徴とする縦裂き性ポリオレフィン
    系積層フィルム。
  2. 【請求項2】樹脂組成物層もしくはポリオレフィン系樹
    脂層の少なくとも一方に、防曇剤を含有する請求項1記
    載の縦裂き性ポリオレフィン系積層フィルム。
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