JP2002194113A - アモルファスポリエステルシートの製造方法 - Google Patents

アモルファスポリエステルシートの製造方法

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JP2002194113A
JP2002194113A JP2000391746A JP2000391746A JP2002194113A JP 2002194113 A JP2002194113 A JP 2002194113A JP 2000391746 A JP2000391746 A JP 2000391746A JP 2000391746 A JP2000391746 A JP 2000391746A JP 2002194113 A JP2002194113 A JP 2002194113A
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sheet
roll
amorphous polyester
cooling roll
polyester sheet
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JP2000391746A
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Hiroshi Kayama
博 香山
Satoru Noda
悟 野田
Kenji Maruno
賢治 丸野
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 アモルファスポリエステルシートを製造する
に際し、ネックインの発生を防止し、シートの耳部のロ
ールへの密着の悪さによる幅変動を防止し、表面状態の
ムラをなくし、長期にわたる生産を可能にし、かつシー
トの厚み方向のカールの発生を防止するとともにそのス
リップ性を向上させる。 【解決手段】 Tダイ4から押出された溶融状態のポリ
エステルシート2を鏡面仕上げされた冷却ロール1に密
着させた直後に、シート2の表面温度がガラス転移点以
上の状態で、梨地加工された冷却ロール3で押さえてシ
ート2の表面に凹凸をつける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアモルファスポリエ
ステルシートの製造方法に関し、特に、表面特性である
スリップ性の向上を図ったアモルファスポリエステルシ
ートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】シートあるいはフィルムのスリップ性を
向上させるには、表面に微細な凹凸をつけること、脂肪
酸エステル、 脂肪酸アマイドおよびビスアマイド系の
ような滑剤を練りこみ、表面にブリードアウトさせるこ
と、そして更にはそれらを併用することがよく知られて
いる。一般的にフィルムのような薄いもの、特に2軸延
伸フィルムでは、延伸工程でもブリードしやすいので、
SiO2のような微小のフィラーと滑剤とを練り込み添
加することが行われているのが現状である。
【0003】しかしアモルファス−ポリエチレンテレフ
タレート(以下、「A−PET」と称する)シートの押
出し成型では、一般に同シートが厚く、フィラーがブリ
ードアウトしにくいので、スリップ性の向上のためのこ
のような手法を必ずしも当てはめることはできない。
【0004】フィルムのスリップ性を向上させるため
に、冷却ロールを梨地にしてフィルム表面に凹凸をつけ
るようにすることも、押出しラミネーターなどではよく
知られている。この押出しラミネーターは、ゴムロール
による押し付けが行われるものであるが、積層接着させ
るために、プライマー処理が施された基材フィルムと冷
却ロールとの間に溶融ポリエチレンを押出す。このよう
にすることにより凹凸の付与が可能である。ところが、
基材フィルムを用いないA−PETにこの手法を適用す
ることはできない。
【0005】Tダイから押出された溶融状態のA−PE
Tシートを冷却する際には、Tダイから押出された溶融
状態のシートを冷却ロールと押さえロールの間に挟んで
冷却する方法(以下、「押さえロール法」と称する)
か、溶融状態のシートを静電ピニング方式で冷却ロール
に押し付けて冷却する方法(以下、「ピニング法」と称
する)が、一般に行われている。シートの延伸は行われ
ない。これらの方法に使用される冷却ロールは、鏡面仕
上げされたものである。したがって、これらの冷却ロー
ルによってA−PETシートに凹凸をつけることはでき
ない。そこで、A−PETシートに凹凸を付けるため
に、周知のように、延伸されたポリエチレンテレフタレ
ート(以下、「PET」と称する)製のフィルムの場合
と同様にフィラーをマスターペレット化して練りこんで
いる。しかし、上述のように冷却ロールの表面は鏡面仕
上げされており、かつシートの厚みが厚いため、このフ
ィラーをブリードアウトさせるためには、かなり大きな
粒子のフィラー(平均粒径10μm程度)を用いる必要
がある。
【0006】またA−PETシートにおいては、鏡面状
のシートにシート冷却後シリコーンコートを施すこと
で、その後の成型工程であるシートフォーミング時の金
型からの離型性や、成型したシートどうしの重ね合わせ
状態からの離脱性などを改良しており、これがシートの
スリップ性にも寄与しているのが現状である。
【0007】さらに、どうしてももっとシート状態での
スリップ性を必要とする場合には、前述のかなり大きな
粒子のフィラー(平均10μm程度)の添加と、シリコ
ーンコートの形成との併用が行われている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このフィラーの添加の
際には、当然コンパウンドによるマスターペレットを作
成して添加を行わなければならない。しかし、その場合
はベースペレットも粉末化してコンパウンドを行うなど
の工夫が必要となり、当然コストアップになる。
【0009】また、所期の効果を発揮させるために粒子
径の大きなフィラーが用いられるため、押出機における
フィルター詰まりが生じたり、一部極大粒子の表面突き
出しによるシート表面の擦り傷の発生等の問題点を残し
ている。
【0010】上述のように冷却ロールを梨地にすること
でシートに凹凸をつけてスリップ性を向上させること
は、アイデアとしては周知ではあるが、実際には使用さ
れていない。なぜなら、凹凸の付与のために押さえロー
ル法を適用すると、その凹凸部に入り込む空気の作用に
よってこのシートが梨地ロール上で滑り、このためシー
ト幅が小さくなるネックインの現象が激しく、また、上
記の滑りによってシートの耳部のロールへの密着が悪
く、幅変動を起こして安定した生産ができないからであ
る。
【0011】また、凹凸の付与のためにピニング法を適
用すると、押さえロール法のような問題はなく、短期的
にはシートを安定に製造可能である。しかし、長時間に
わたって製造を続行すると、シートからの揮発成分が梨
地内を埋めてゆき、この揮発成分がシートに転写され
て、微妙な温度の違いによりシートの表面にムラがで
き、このためシート表面の均一性を損ねることとなる。
したがって、この手法でも実質的には製造できないこと
となる。
【0012】また、A−PETシートの押出し成型で
は、原料PETの水分による分子量(通常Intrinsic V
iscosityすなわちIVを分子量の指標とする)の低下
(加水分解)を防止するために、ベント部を設けた押出
し機が用いられる。しかし、ベント部は水分ばかりでな
く当然揮発性の低分子量物も除去することになり、滑剤
の添加に適さない。したがって、脂肪酸エステル、脂肪
酸アマイド、ビスアマイド系のような滑剤を練りこみ、
表面にブリードアウトさせることは、できないことでは
ないが、かなりの量がベント部から揮発し、定量管理が
困難なうえ、ベント管詰まりの原因となる。したがっ
て、これもあまり好ましくなく、表面滑剤としてはシリ
コーンコートに頼らざるを得ない。
【0013】しかし、シリコーン樹脂はもともとシリコ
ーンオイルであり、完全に乾燥したところでぬめり感は
残っており、従来の鏡面状のシートでは若干の密着パタ
ーンが表面に残る欠点があった。しかも、スリップ性に
寄与する凹凸を有しない鏡面状のシートへ適用すると、
コート量がやや多めになり、これが汚れパターンを助長
することとなる。詳細には、従来、通常は、たとえばグ
ラビアコート法でシートに水エマルジョンを約4g/m
2コートし、水エマルジョンの濃度を調節し、乾燥後の
コーティング量が0.12〜0.03(約0.07±
0.04)g/m2となるようにコーティングしている。
しかし、特に離型性を要求される場合は、コーティング
量が多く、このためぬめり感が激しく、密着パターンも
激しく、汚れ感のひどいものであった。
【0014】本発明は、以上のような技術的課題を解決
するための方法を提供することを目的とするものであ
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な課題を解決するために鋭意検討の結果、表面凹凸の付
加方法として、ピニング法と押さえロール法とを併用
し、かつ、押さえロールに梨地加工を施すことが適切で
あることを見出し、本発明に到達した。
【0016】すなわち、第一の本発明は、Tダイから押
出された溶融状態のポリエステルシートを鏡面仕上げさ
れた冷却ロールに密着させた直後に、シート表面温度が
ガラス転移点以上の状態で、梨地加工された冷却ロール
で押さえてシート表面に凹凸をつけることを特徴とする
ものである。
【0017】このようにすると、鏡面仕上げされた冷却
ロールに密着しかつガラス転移点以上の状態となってい
るシートが、梨地加工された冷却ロールの表面の凹凸に
なじむため、このシートが梨地ロール上で滑ることを防
止でき、このためネックインの発生を防止できるととも
に、シートの耳部のロールへの密着の悪さによる幅変動
を解決できる。また、冷却ロールを梨地にしてピニング
法を適用した場合のような表面状態のムラをなくすこと
ができ、梨地加工された冷却ロールの表面パターンをそ
のままシート表面に転写して、アモルファスポリエステ
ルシートのスリップ性の向上のための凹凸をつけること
ができる。このため、長期にわたって生産を可能にする
ことができる。さらに、鏡面仕上げされた冷却ロールに
密着されたシートを梨地加工された冷却ロールで押さえ
るため、シートが両面から冷却され、したがって厚物の
シートを片面だけ冷却した場合に起こりがちな、シート
の厚み方向のカールの発生を、確実に防止することがで
きる。
【0018】第二の本発明は、第一の本発明において、
シートの表層あるいは全層に、平均粒子経1.5〜3μ
mのフィラーを0.01〜0.1質量%添加するもので
ある。
【0019】このようにすると、梨地加工された冷却ロ
ールを用いることで、1.5〜3μmと通常よりも粒子
径の小さいフィラーを用いても、そのフィラーの粒子に
よる凹凸を発現させることができる。このため、コンパ
ウンド法による大径粒子を含んだマスターペレットを使
用しなくても、シートのスリップ性を向上させることが
できる。
【0020】第三の本発明は、第一または第二の本発明
において、凹凸が形成されたシートの表面に、シリコー
ン樹脂を固形分で0.04±0.02g/m2コーティ
ングするものである。
【0021】このようにすると、表面凹凸のおかげで、
シリコーンコートでの課題であるぬめり感と密着パター
ンによる汚れ感をも解決することが可能になる。すなわ
ち、手触り的にもよくないぬめりをなくし、滑剤作用を
施すことができる。これは、シートの表面の凹凸との相
乗効果によってシリコーンコート量を減少できるためで
ある。フィラーを含んだものであると、それとの相乗効
果をも期待できる。たとえば、シートの後加工であるシ
ートフォーミングを行った後には、押さえロールの梨地
転写による凹凸は部分的に消え、金型との離型性、成型
品どうしの重ね合わせ離脱性は従来の鏡面状態へのシリ
コーンコート品と同程度にはなるが、微小粒子の添加を
行うことによって、スリップ性が改良されて、シリコー
ンコート量の減少をカバーできることになる。
【0022】
【発明の実施の形態】押さえロール法で梨地ロールを使
用すると、ネックインと耳すべりによる幅変動を引き起
こすことは既に述べた。これは、メインの冷却ロールで
も、押さえロールでも、梨地加工したロールを使用すれ
ば発生する問題点である。これらのネックインと耳すべ
りによる幅変動は、同じ原因により生じている。すなわ
ち、梨地の微小な凹凸により、溶融シートがロールに接
するときに凹部の空気が抜けきれず、溶融シートと冷却
ロール或いは押さえロールとの間での密着が緩んで、滑
りを生ずることが原因している。
【0023】この滑りの現象は、押さえロール法に代え
てピニング法を採用することによって、解決可能であ
る。しかし、このピニング法であっても、冷却ロールに
梨地加工を施すと、前述のように長期の運転には適用で
きない。
【0024】これに対し本発明では、鏡面仕上げしたメ
インの冷却ロールを使用し、Tダイから押出された溶融
状態のポリエステルシートをピニング法やエアナイフ法
でロール表面に密着させて冷却することによって、ネッ
クインやシート幅の変動を防ぎ、かつシート表面におけ
るムラの発生を防ぐ。
【0025】ただし、これだけでは通常のピニング法な
どに他ならないが、本発明では、図1に示すように、ピ
ニングの位置すなわち鏡面仕上げされた冷却ロール1に
溶融シート2を密着させる位置を押さえロール3のロー
ル接点に近づけ、しかも溶融シート2をダイリップ4か
らできるだけ曲げずに出して、ダイラインと呼ばれるス
ジ発生を防ぎつつ、ピニング位置と、メイン冷却ロール
1と押さえロール3の接点との距離を短くすることによ
り、シート2の表面温度がポリエステルのガラス転移点
Tg(PETなら70℃)まで下がらないうちに、押さ
えロール3すなわち梨地加工した冷却ロールで押さえ、
シート2の片面に梨地のパターンを刻印して、表面に凹
凸を付ける。
【0026】このようにすると、冷却をシート2の両面
から行うことになり、特にシートが厚さ0.6mm以上
のいわゆる厚物である場合には、片面だけ冷却した場合
に発生しがちなカールの発生防止にもなる。
【0027】Tダイから押出される溶融シートには、練
り込みなどによってフィラーを添加することができる。
このフィラーの練り込みと前述の凹凸付与とを組み合わ
せることによって、シートのスリップ性をいっそう向上
させることができる。しかも、コンパウンド法による大
粒子のマスターペレットを使用せずとも、フィルム製造
で大量に使用している微小粒子の重合時のマスターペレ
ットを使用しても、下記のようにスリップ性を発現させ
ることができる。この微小粒子は、例えばサイリシア、
ミズカシルといった平均粒子径1.5〜3μmのSiO
2に代表されるが、SiO2にこだわるものではなく、タ
ルクなどを使用することもできる。
【0028】すなわち、従来のピニング法、押さえロー
ル法のいずれも、鏡面ロールを使用した場合には、上記
のような平均粒子径1.5〜3μm程度の微小粒子の重
合時のマスターペレットでは、粒子による凹凸はほとん
ど見られなかったが、本発明によれば、不思議なこと
に、梨地ロールの使用により、このような微小粒子によ
る凹凸も見られる。
【0029】この事実は、顕微鏡観察の結果明らかにな
っている。図2(a)は、微小粒子として平均粒子径
1.5〜3μm程度のSiO2を1質量%含んだマスタ
ーペレットをPETのシートに2質量%添加したものに
ついての、鏡面ロールによる仕上げ面の顕微鏡観察結果
を示す。ここで黒色の点の部分がSiO2粒子による凹
凸を表す。図2(b)は、同マスターペレットを同量添
加したPETのシートの、梨地ロールによる仕上げ面の
顕微鏡観察結果を示す。これら図2(a)(b)から明
らかなように、鏡面ロールを使用した場合は(同図
(a))、SiO2粒子による凹凸はほとんど見られな
いが、本発明にもとづき梨地ロールを使用した場合は
(同図(b))、SiO2粒子による凹凸が多数観察さ
れる。
【0030】マスターペレットとして、微小粒子を1質
量%含むものが考えられるが、この1%マスターペレッ
トの添加量が1質量%(すなわち樹脂全体に対する微小
粒子の添加量が0.01質量%)以下では、あまり効果
が見られない。しかし、同マスターペレットの添加量を
2質量%(すなわち樹脂全体に対する微小粒子の添加量
を0.02質量%)とすると、充分に効果を発揮する。
これは、梨地ロールによる凹凸の形成との相乗効果とい
える。よしんば、この効果は少ないにしても、できあが
ったシートをサーモフォーミングした場合には、延伸フ
ィルムの場合と同様に、サーモフォーミング時の延伸作
用にもとづくブリードで効果を発揮する。したがって微
小粒子はあまり多く添加する必要はなく、樹脂全体に対
し0.05質量%までで十分である。もちろん、必要と
あれば、もっと多量に添加することを特に規制するもの
ではない。
【0031】本発明にもとづきシートの表面への凹凸を
付与すると、溶融シートと冷却ロールあるいは押さえロ
ールとの間の密着が緩んで滑りを生ずるのと同様に、押
出し成型されたシートを積み重ねたときにもスリップ性
を改良させ、ブロッキング防止には効果を発揮する。し
かし、シート取扱い上でのスリップ性に関しては、これ
だけでは不十分な場合もある。このような場合には、前
述のフィルムの場合と同様に、滑剤を併用すると改良を
行うことができる。
【0032】すなわち本発明では、滑剤として、練りこ
み法ではなくシリコーンのコーティング法を採用する。
シリコーン樹脂はもともとシリコーンオイルであり、完
全に乾燥したところでぬめり感は残っており、従来の鏡
面状のシートでは若干の密着パターンが表面に残り、汚
れ状に見える欠点があるが、本発明では、表面の凹凸の
効果によって、滑剤の使用量を少なくしても所期の効果
を発揮でき、したがってぬめり感を少なくでき、しかも
密着パターンにより外観が汚れ状になることを解決でき
る。
【0033】さらにシート面が鏡面ではなく凹凸面であ
るため、それとの相乗効果で、シリコーン樹脂のコーテ
ィング量を少なくすることができる。すなわち本発明に
よれば、シート状態では、梨地の転写パターンである凹
凸を主体とし、添加されたフィラーを補助として、スリ
ップ性の向上を図ることができる。またシートフォーミ
ング後の状態では、押さえロールの梨地の転写による凹
凸は部分的に消滅するが、添加されたフィラーを主体と
して、スリップ性の向上を図ることができる。このため
本発明によれば、シリコーン樹脂のコーティング量を、
従来の半分の0.04±0.02g/m2にするだけで
よい。詳細には、0.02g/m2以上のコート量があ
れば、従来のコート量をあまり必要としていなかった分
野は十分にカバーでき、また従来多くのコート量を必要
としていた分野でも、0.06g/m2を超えて多くの
量を塗る必要がないことがわかった。もちろん、多量に
塗る必要がないというだけであって、多量に塗っても差
し支えはない。
【0034】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
する。まず、評価方法としてのスリップ性測定方法を下
記に示す。簡便的な方法ではあるが、通常の市販の測定
器での評価に比べ、摩擦係数は同じ値となる。
【0035】すなわち、水平方向の平面の作業台に一方
のシートを貼り付け、次いで、面積294cm2(14
cm×21cm)、質量2kgの鉄板(スレッド)に同
じシートの他方を貼り付け、これを作業台上のシートに
被せて両シートの表面どうしを接触させ、被せた方の鉄
板をばねばかりで引っ張ったときの指示から、摩擦係数
を算出した。
【0036】ユーザー評価との対応は、次のようにして
行った。すなわち、最も厳しい評価であるカット板の断
裁状況、つまり裁断機でシートをカットしたときの切り
口の状況によって評価した。詳細には、裁断機でシート
をカットするときには、カット時にシートが裁断刃から
ある程度逃げることで良好な作業を行うことができるも
のであるが、その逃げの程度はシートの摩擦係数と相関
があり、摩擦係数が高くなると裁断刃からの逃げが不十
分になって、裁断状況が不良になることにもとづき、下
記のように評価を行った。
【0037】(1)摩擦係数0.6以下:カット板断裁
機での作業性はまったく問題なし (2)同0.6〜0.9 :同作業は何とか可能 (3)同0.9以上 :うまくカットできない (4)同測定不能に大 :カット不可能 シート製造機の概略 日本製鋼所製2種3層シート製造機を使用して、各種の
テストを行った。このシート製造機は、TEX120
(120mm押出し機)をコアー層に配するとともに、
TEX65(65mm押出し機)をスキン層に配した、
2種3層の状態で樹脂を押出すものである。そして、押
出されたシートの冷却のために、直径600mmの鏡面
仕上げされたメインロールと、直径350mmの梨地加
工された押さえロールとを備え、ピニング法、押さえロ
ール法も実施可能となっている。これらの方法は、本来
はそれぞれ単独で行うものになっていたが、併用も可能
であり、本発明の実施に供したものである。 実施例1〜5 押さえロールには細かい梨地加工を施した。装置構成は
図1に示したものと同様になったが、Tダイの位置は変
更せず、鏡面仕上げされたメインロールの位置を変更す
ることによって、ピニング位置を変更させた。そして、
押さえロール法を併用してシートを形成し、表面の凹凸
ならびにシートのヘイズを観察した。このとき、Tダイ
の幅は960mmであり、これから厚み0.5mmのA
−PETシートを押出し成型した。かつ、鏡面仕上げし
たメイン冷却ロールと梨地加工した押さえロールとの接
点(水平位置)を起点にして、ピニング位置を下記の角
度(°)となるように変化させた。すなわち、この角度
が仮に90度であれば、上記接点から2πr/4=471
mmだけ手前で静電ピニング冷却を施すことになった。
そのときの結果を表1に示す。
【0038】
【表1】 なお、ピニング位置は、機械的に15°程度が限度であ
った。 実施例3、比較例4 上記の装置によって形成されたシートは、0.05/
0.40/0.05mmという3層構造になっており、
その表面層に、フィラーとしてのSiO2を1質量%添
加したマスターペレットを2質量%添加して、樹脂全体
としてSiO2を0.02質量%含有するように調整し
た。そのうえで、上記と同様にして、厚み0.5mmの
A−PETシートを押出し成型した。
【0039】このマスターペレットに使用されているS
iO2は、コールターカウンター法で測定された平均粒
子径が1.8μmであった。そのときの結果を表2に示
す。
【0040】
【表2】 実施例4、比較例5 実施例3、比較例4で作成したA−PETシートの片面
にグラビアロール法でシリコーン樹脂をコーティングし
た。使用したシリコーン樹脂は、信越化学工業社製のK
M787であった。原液は不揮発分30%であるが、こ
れを20倍に希釈してコーティングした。その後に乾燥
を行ったところ、乾燥炉出口でシート温度が60℃まで
上がり、ほぼ十分の状況であった。乾燥後のシートは巻
き取った。そのときの結果を表3に示す。
【0041】
【表3】 評価結果 比較例1 上記評価(4)の状態 比較例2 上記評価(4)の状態 実施例1 上記評価(3)の状態 実施例2 上記評価(2)の状態 比較例3 評価できず 比較例4 上記評価(4)の状態 実施例3 上記評価(2)の状態 比較例5 上記評価(2)の状態 実施例4 上記評価(1)の状態
【0042】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、シートの
取扱いについての基本的物性である表面特性すなわち特
にスリップ性が改良されるため、シートの巻き取りやす
さ、繰り出しやすさ、走行性などが良好になり、メーカ
ーでの巻き取りはもちろん、次工程であるユーザーでの
取扱い、たとえば印刷、コーティング、シートフォーミ
ングすなわち真空成型や圧空成型、といった作業での取
扱い作業性を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態のアモルファスポリエステ
ルシートの製造方法を説明するための図である。
【図2】従来の鏡面ロールを使用した場合の粒子による
凹凸と、本発明にもとづき梨地ロールを使用した場合の
粒子による凹凸とを示す図である。
【符号の説明】
1 メイン冷却ロール 2 シート 3 押さえロール 4 ダイリップ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29C 59/04 B29C 59/04 C 4J002 C08J 7/04 CFD C08J 7/04 CFDZ C08K 3/34 C08K 3/34 C08L 67/00 C08L 67/00 // B29K 67:00 B29K 67:00 83:00 83:00 105:16 105:16 B29L 7:00 B29L 7:00 9:00 9:00 Fターム(参考) 4D075 BB06X BB92Z CA07 CA09 DA04 DB48 EB43 4F006 AA35 AA55 AB39 BA09 DA04 4F071 AA43 AA46 AB26 AB30 AD02 AD06 AE11 BA01 BB06 BC01 BC08 4F207 AA24 AA33 AD16 AF01 AG01 AG03 AG05 AR06 AR12 KA01 KA17 KF02 KK65 KK81 KL63 KL84 KW42 KW50 4F209 AA24 AA33 AD16 AF01 AG01 AG03 AG05 AR06 AR12 PA04 PB02 PG12 PH03 PJ09 PN06 PQ02 4J002 CF001 CF061 DJ016 DJ046 FD016 FD176

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Tダイから押出された溶融状態のポリエ
    ステルシートを鏡面仕上げされた冷却ロールに密着させ
    た直後に、シート表面温度がガラス転移点以上の状態
    で、梨地加工された冷却ロールで押さえてシート表面に
    凹凸をつけることを特徴とするアモルファスポリエステ
    ルシートの製造方法。
  2. 【請求項2】 シートの表層あるいは全層に、平均粒子
    経1.5〜3μmのフィラーを0.01〜0.1質量%
    添加することを特徴とする請求項1記載のアモルファス
    ポリエステルシートの製造方法。
  3. 【請求項3】 凹凸が形成されたシートの表面に、シリ
    コーン樹脂を固形分で0.04±0.02g/m2コー
    ティングすることを特徴とする請求項1または2記載の
    アモルファスポリエステルシートの製造方法。
JP2000391746A 2000-12-25 2000-12-25 アモルファスポリエステルシートの製造方法 Pending JP2002194113A (ja)

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