JP2005187779A - ポリエステルフィルムロール及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
本発明の課題は、表面状態が平滑なポリエステルフィルムロールを引き出す時の帯電が少なく、隆起状の欠点も少ないポリエステルフィルムロール、特に薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムベースとして用いるのに適したポリエステルフィルムロールを提供することにある。
【解決手段】
本発明のポリエステルフィルムロールは、ポリエステルフィルムの一方の表面(A)の三次元平均表面粗さが10nm以下、もう一方の表面(B)の表面固有抵抗値ΩのlogΩ値が12以上のポリエステルフィルムロールにおいて、該ポリエステルフィルムロールからフィルムを引き出す時の帯電量が、0m/分以上120m/分以下の引き出し速度の領域において、±1.5kVの範囲であり、かつ隆起状の欠点が5個/0.5万m2以下であることが重要である。
【選択図】
図1
本発明の課題は、表面状態が平滑なポリエステルフィルムロールを引き出す時の帯電が少なく、隆起状の欠点も少ないポリエステルフィルムロール、特に薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムベースとして用いるのに適したポリエステルフィルムロールを提供することにある。
【解決手段】
本発明のポリエステルフィルムロールは、ポリエステルフィルムの一方の表面(A)の三次元平均表面粗さが10nm以下、もう一方の表面(B)の表面固有抵抗値ΩのlogΩ値が12以上のポリエステルフィルムロールにおいて、該ポリエステルフィルムロールからフィルムを引き出す時の帯電量が、0m/分以上120m/分以下の引き出し速度の領域において、±1.5kVの範囲であり、かつ隆起状の欠点が5個/0.5万m2以下であることが重要である。
【選択図】
図1
Description
本発明は、ポリエステルフィルムロールに関するものであり、特に巻き取り工程において、特定の処理を行うことにより、引き出し時の帯電量が少なく、かつ隆起状の欠点が少ない巻き姿の良好なポリエステルフィルムロール、特に薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムベースとして用いるのに適したポリエステルフィルムロール及びその製造方法に関するものである。
近年、セラミックグリーンシートの薄層化の進歩はめざましく、厚みが2μm以下のセラミックグリーンシートの実用化が進んでいる。それにともない、セラミックグリーンシート製造用離型フィルムのベースであるポリエステルフィルムの表面状態の平滑性が求められている。
また、離型フィルムをロール状に巻き取った際に、非離型層の表面状態が離型層の表面状態に大きな影響を及ぼすことはよく知られており、特に、薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムの場合には、非離型層の表面状態が離型層に転写し、巻き取ったフィルムロールを巻き出しセラミックグリーンシート層を積層する際に、セラミックグリーンシートにピンホール等の欠陥が生じるため、非離型層の表面も平滑性が求められてきている。
一方、フィルムの表面状態が平滑化するにつれて、フィルムロールからフィルムを引き出す時の帯電が大きくなるという問題が発生する。そこで、帯電を低減する方法として、フィルムを巻き取る際に、フィルムロールに接するコンタクトロールの接圧を制御する方法等が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、前記のコンタクトロールの接圧を制御する方法では、フィルムの表面状態が平滑化するにつれて、フィルムロールにした際に隆起状の欠点が発生しやすくなる。特に、幅が1000mm以上の広幅のフィルムロールにおいては、隆起状の欠点が顕著に発生しやすくなるという問題があった。
特開2000−16644号公報
本発明の課題は、上記のような欠点を解消せしめ、表面状態が平滑なポリエステルフィルムロールを引き出す時の帯電が少なく、隆起状の欠点も少ないポリエステルフィルムロール、特に薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムベースとして用いるのに適したポリエステルフィルムロールを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のポリエステルフィルムロールは、ポリエステルフィルムの一方の表面(A)の三次元平均表面粗さが10nm以下、もう一方の表面(B)の表面固有抵抗値ΩのlogΩ値が12以上のポリエステルフィルムロールにおいて、該ポリエステルフィルムロールからフィルムを引き出す時の帯電量が、0m/分以上120m/分以下の引き出し速度の領域において、±1.5kVの範囲であり、かつ隆起状の欠点が5個/0.5万m2以下であることが重要である。
又、上記課題を解決するために、本発明のポリエステルフィルムロールは、薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムベースとして使用されることが望ましい。
又、上記課題を解決するために、本発明のポリエステルフィルムロールの製造方法において、ポリエステルフィルムとの動摩擦係数が0.5以下のコンタクトロールを用い、ポリエステルフィルムとコンタクトロールの接点に対して風速2m/秒以上の速度でイオン化した空気の吹き付けを行い、空気吹き付け角度を、コンタクトロールとの接点での接線方向に対して60度以下として巻き取ることが重要である。
本発明のポリエステルフィルムは、フィルムとコンタクトロールの動摩擦係数、空気の吹き付け速度、角度を特定の範囲に規定したため、引き出し時の帯電および隆起状の欠点が著しく少ないという利点がある。
本発明のポリエステルフィルムとは、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどを50質量%以上含む重合体、共重合体、あるいはこれらを主成分とする混合体からなるフィルムであるが、特にポリエチレンテレフタレートからなるフィルムが望ましい。なお、フィルムには重合時の触媒、安定化剤などが含まれていてもよい。又、フィルムを積層構造とする場合、後述するように表面(A)層側には滑剤等の表面突起形成能を有する粒子を含有していないことが好ましいが、表面(B)層側にはシリカ、炭酸カルシウムその他公知の滑剤や着色剤などが含まれていてもよい。
本発明で用いられるポリエステルフィルムの製造方法は特に限定されず、一般に使用される方法を用いることができる。例えば、ポリエステルフィルムの製造方法において、構成材料であるポリエステル系樹脂を押出し機により溶融フィルム上に押出し、回転冷却ドラムにより冷却して未延伸フィルムを得、該未延伸フィルムを必要に応じて一軸方向あるいは二軸方向に延伸する方法が用いられる。
本発明のポリエステルフィルムは、積層構造をとっていてもよい。積層構造としては、共押出しによる積層構造、塗布による積層構造などが挙げられる。共押出しによる積層として、チップ状の樹脂を複数の押出し機で溶融押し出し、共押出しTダイから吐出して、シート状に成型する方法が、好ましく行われる。塗布による積層として、フィルムを横延伸する前に塗剤をフィルムに塗布して、テンター内で溶媒の乾燥、横延伸、熱処理を行う方法が、好ましく行われる。
本発明のポリエステルフィルムは、常法により、逐次二軸延伸または同時二軸延伸された二軸配向フィルムである。二軸配向後の厚みは、12〜188μmが好ましく、より好ましくは16〜38μmである。
本発明のポリエステルフィルムの一方の表面(A)の三次元平均表面粗さは、10nm以下の平滑面であることが好ましい。より好ましくは5nm以下である。さらに好ましくは3nm以下であり、実質的に滑剤等の表面突起形成能を有する粒子を含有していないことが好ましい。これより粗い表面では、離型層を塗布した後、3μm以下の薄層セラミックグリーンシートを製造する際に、ピンホール等の欠陥が生じやすくなり好ましくない。
本発明のポリエステルフィルムのもう一方の表面(B)の三次元平均表面粗さは、10〜30nmである。より好ましくは、15〜25nmである。この範囲より小さいと、離型層を塗布する前のフィルムロールの保管中にブロッキングを起こしやすく、大きいと離型層を塗布した後、離型層へ転写が起こり、離型層の欠点になりやすい。
本発明のポリエステルフィルムのもう一方の表面(B)の表面固有抵抗値ΩのlogΩ値は12以上である。この範囲より小さい場合、ポリマー中に帯電を抑えるための帯電防止剤が混入されていたり、ポリマー表面にコーティングにより帯電防止機能のある樹脂が塗布してあることが多く、それらのブリードアウトにより、離型層の欠点が発生してしまうため好ましくない。
本発明では、ポリエステルフィルムを巻き取る工程において、フィルムは、巻き取りコアに、コンタクトロールによって接圧を付与しつつ巻き取られ、ポリエステルフィルムとコンタクトロールの接点に対して、風速2m/秒以上の空気を吹き付けることが重要である。2m/秒より小さい風速では、引き出し時の帯電が大きくなりやすい。
空気を吹き付ける方法は特に限定はないが、ノズルを用いる方法が簡便である。吹き付ける空気は高電圧をかけてイオン化し、ポリエステルフィルムとコンタクトロールの接点に対して、吹き付けることにより、発生する帯電を電気的に中和する。イオン化した空気を利用するため、フィルムに傷などの発生がなく、隆起状の欠点の一因となる埃などの異物が、フィルムロールに巻き込むことを防止する点からも、この方法が好ましい。
空気が吹き出すノズルから、ポリエステルフィルムとコンタクトロールの接点までの距離は、2m/秒以上の風速が保持できる範囲に制御することが好ましい。
本発明において、空気の吹き付け角度は、図1を参照して、ポリエステルフィルムロール2とコンタクトロール3の接点と空気の吹き出し口(図示せず)を結ぶ線(L1)と、ポリエステルフィルムロール2とコンタクトロール4の接線(L2)とが交わる角度θ(但し、90度未満)で表してθ=60度以下であることが重要である。より好ましくはθ=30度以下である。吹き付け角度が60度より大きいと引き出し時の帯電が大きくなりやすい。ポリエステルフィルムとコンタクトロールが剥離する側(図1のL1側)より空気を吹き付ける方法が有効である。
また、空気の吹き付け角度は、ポリエステルフィルムのロール径の大小、増減にかかわり無く、一定の角度を保持するように制御することが好ましい。
さらに、本発明において、吹き付ける空気は、濾過した空気を使用することが重要である。特に、粗いフィルターで濾過後、高精度濾過する等の方法を採用することが、隆起状の欠点を減少させる上で有効である。また、巻き取り工程において、クラス100〜5000のクリーンな環境下でフィルムをロール状に巻き取ることが重要である。
本発明において、ポリエステルフィルムのもう一方の表面(B)とコンタクトロールの動摩擦係数が0.5以下であることが好ましい。より好ましくは0.3以下である。動摩擦係数が0.5より大きいと引き出し時の帯電電位が高くなりやすい。
本発明において、コンタクトロールの表面部材としては、フィルムに対して上記動摩擦係数を有するものが選択され、その例としては、天然ゴム又は合成ゴムが挙げられる。より具体的には、ウレタンゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどが挙げられる。より好ましくは、コンタクトロールの表面部材として、非ジエン系ゴムが挙げられる。例えば、ウレタンゴム、シリコーンゴムなどが好適に使用される。この理由は定かではないが、二重結合の有無により帯電状態に違いが生じるためと推定される。
本発明において、コンタクトロールの表面は、40度以上70度以下の硬度を有するゴムで被覆されていることが好ましい。この範囲より小さいと、フィルムロールに皺が発生しやすく、この範囲より大きいと、隆起状の欠点が発生しやすい。但し、上記ゴムの硬度は、JIS K 6301の方法により測定した値である。
本発明のポリエステルフィルムロールの幅は、特に制限はないが、好ましくは200mm以上5000mm以下である。
本発明のポリエステルフィルムロールの巻き硬度は、アスカー硬度計で95〜99.9度である。この範囲より小さいと隆起状の欠点が発生しやすく、大きいと引き出し時の帯電が大きくなりやすい。
本発明のポリエステルフィルムロールは、0m/分以上120m/分以下の引き出し速度の領域において、帯電電位は±1.5kV以下の範囲であることが重要である。より好ましくは、±1kV以下の範囲である。この範囲を超えるような帯電状態であると、離型層の塗布不良による離型フィルムとしての品質の低下、放電による災害を発生させる懸念があるため好ましくない。なお、0m/分以上120m/分以下の引き出し速度の領域とは、一定速度で引き出している場合だけでなく、加速時における場合をも含む。加速時において、一時的に帯電電位が高くなる場合があるため、加速時における帯電電位をも低く抑制することがフィルムロールの取り扱い上重要である。
本発明のポリエステルフィルムロールは、隆起状の欠点が5個/0.5万m2以下であることが重要である。これより多いと、離型層を塗布する際、離型層の欠点になりやすい。
本発明のポリエステルフィルムロールは、3μm以下の薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムベースとして好適に用いられる。離型フィルムは、ポリエステルフィルムの表面(A)に公知の離型剤を塗布して製造することができる。
次に、実施例及び比較例を用いて、本発明を具体的に説明する。なお、本発明においてフィルム特性の評価に用いた評価方法は下記の通りである。
(1)三次元平均表面粗さ(SRa)
ポリエステルフィルムの表面を触針式三次元表面粗さ計(株式会社小坂研究所社製、SE−3AK)を用いて、触針の半径2μm、荷重30mg、触針のスピード0.1mm/秒の条件下で、フィルムの長手方向にカットオフ値0.25mmで、測定長1mmにわたって測定し、2μm間隔で500点に分割し、各点の高さを三次元粗さ解析装置(株式会社小坂研究所社製、TDA−21)に取り込ませた。これと同様の操作をフィルムの幅方向について2μm間隔で連続的に150回、即ちフィルムの幅方向0.3mmにわたって行い、解析装置にデータを取り込ませた。次に、解析装置を用いて、三次元平均表面粗さSRaを求めた。
ポリエステルフィルムの表面を触針式三次元表面粗さ計(株式会社小坂研究所社製、SE−3AK)を用いて、触針の半径2μm、荷重30mg、触針のスピード0.1mm/秒の条件下で、フィルムの長手方向にカットオフ値0.25mmで、測定長1mmにわたって測定し、2μm間隔で500点に分割し、各点の高さを三次元粗さ解析装置(株式会社小坂研究所社製、TDA−21)に取り込ませた。これと同様の操作をフィルムの幅方向について2μm間隔で連続的に150回、即ちフィルムの幅方向0.3mmにわたって行い、解析装置にデータを取り込ませた。次に、解析装置を用いて、三次元平均表面粗さSRaを求めた。
(2)表面固有抵抗値
表面固有抵抗測定器(タケダ理研(株)社製)を用い、印加電圧500V、23℃、40%RHで測定した。
表面固有抵抗測定器(タケダ理研(株)社製)を用い、印加電圧500V、23℃、40%RHで測定した。
(3)コンタクトロールとフィルムの動摩擦係数
23℃、40RH%の雰囲気下で、200cm2のポリエステルフィルムの表面(B)上に、1.4kgf/35cm2の加重をかけたコンタクトロールの同じ材質の厚み5mmのゴム板を乗せ、200m/分の速度でゴム板を引張り、検出器で引張り力を検出した。
動摩擦係数(μd)は、引張った時の動き出した後に引張り力(単位:kgf)を荷重1.4kgで割った無次元の単位である。
23℃、40RH%の雰囲気下で、200cm2のポリエステルフィルムの表面(B)上に、1.4kgf/35cm2の加重をかけたコンタクトロールの同じ材質の厚み5mmのゴム板を乗せ、200m/分の速度でゴム板を引張り、検出器で引張り力を検出した。
動摩擦係数(μd)は、引張った時の動き出した後に引張り力(単位:kgf)を荷重1.4kgで割った無次元の単位である。
(4)風速の測定
環境計測器(カノマックス(株)社製、MODEL6425)を用い、空気がフィルムに当たる位置で風速を測定した。フィルムロール幅方向に10点測定した平均値で示す。
環境計測器(カノマックス(株)社製、MODEL6425)を用い、空気がフィルムに当たる位置で風速を測定した。フィルムロール幅方向に10点測定した平均値で示す。
(5)引き出し時の帯電電位
ポリエステルフィルムロールを23℃、40%RHの雰囲気下で24時間静置後、0m/分から加速度150m/(分・分)で、120m/分の速度まで引き出し、そのまま5分間引き出した。この際、ポリエステルフィルムA面上で、ポリエステルフィルムロールからフィルムが剥離する点から5cm離れた位置において、春日電機(株)社製の測定器KSD−0102にて帯電電位を測定した際の最大値の絶対値をもって引き出し時の帯電電位とする。フィルムロール幅方向に5点測定した平均値で示す。
ポリエステルフィルムロールを23℃、40%RHの雰囲気下で24時間静置後、0m/分から加速度150m/(分・分)で、120m/分の速度まで引き出し、そのまま5分間引き出した。この際、ポリエステルフィルムA面上で、ポリエステルフィルムロールからフィルムが剥離する点から5cm離れた位置において、春日電機(株)社製の測定器KSD−0102にて帯電電位を測定した際の最大値の絶対値をもって引き出し時の帯電電位とする。フィルムロール幅方向に5点測定した平均値で示す。
(6)隆起状欠点の個数
フィルムの長手方向の巻き長と幅を乗じた値が0.5万m2に到達した際におけるフィルムロールの表層を目視により観察し、隆起している箇所をマーキングする。マーキングした箇所の直径が3mm以上のものの個数をカウントした。
フィルムの長手方向の巻き長と幅を乗じた値が0.5万m2に到達した際におけるフィルムロールの表層を目視により観察し、隆起している箇所をマーキングする。マーキングした箇所の直径が3mm以上のものの個数をカウントした。
(7)アスカー硬度
高分子計器(株)社製のASKERゴム硬度計の形式Cを用いて、フィルムロール幅方向に10点測定した平均値で示す。
高分子計器(株)社製のASKERゴム硬度計の形式Cを用いて、フィルムロール幅方向に10点測定した平均値で示す。
[実施例1]
エステル化反応缶を昇温し、200℃に到達した時点でテレフタル酸を86.4質量部、およびエチレングリコールを64.6質量部仕込み、撹拌しながら触媒として三酸化アンチモンを0.017質量部、酢酸マグネシウム4水和物を0.064質量部、トリエチルアミンを0.16質量部仕込んだ。ついで、加圧昇温を行いゲージ圧0.34MPa、240℃の条件で加圧エステル化反応を行った後、エステル化反応缶を常圧に戻し、リン酸トリメチル0.014質量部を添加した。さらに、15分かけて260℃に昇温し、リン酸トリメチル0.012質量部を添加した。次いで15分後に、高圧分散機で分散処理を行い、さらにトリポリ燐酸ナトリウム水溶液を炭酸カルシウム粒子に対しナトリウム原子として0.2質量部含有させ、遠心分離処理により粗粒部を35%カットし、且つ、目開き5μmの金属フィルターでろ過処理を行った平均粒子径0.60μmのカルサイト型合成炭酸カルシウム粒子のエチレングリコールスラリーを粒子含有量として0.5質量%添加した。15分後、得られたエステル化反応生成物を重縮合反応缶に移送し、280℃で減圧下重縮合反応を行い、固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート(II)を得た。なお、不活性粒子の平均粒径はコールターカウンター法で測定したものである。
エステル化反応缶を昇温し、200℃に到達した時点でテレフタル酸を86.4質量部、およびエチレングリコールを64.6質量部仕込み、撹拌しながら触媒として三酸化アンチモンを0.017質量部、酢酸マグネシウム4水和物を0.064質量部、トリエチルアミンを0.16質量部仕込んだ。ついで、加圧昇温を行いゲージ圧0.34MPa、240℃の条件で加圧エステル化反応を行った後、エステル化反応缶を常圧に戻し、リン酸トリメチル0.014質量部を添加した。さらに、15分かけて260℃に昇温し、リン酸トリメチル0.012質量部を添加した。次いで15分後に、高圧分散機で分散処理を行い、さらにトリポリ燐酸ナトリウム水溶液を炭酸カルシウム粒子に対しナトリウム原子として0.2質量部含有させ、遠心分離処理により粗粒部を35%カットし、且つ、目開き5μmの金属フィルターでろ過処理を行った平均粒子径0.60μmのカルサイト型合成炭酸カルシウム粒子のエチレングリコールスラリーを粒子含有量として0.5質量%添加した。15分後、得られたエステル化反応生成物を重縮合反応缶に移送し、280℃で減圧下重縮合反応を行い、固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート(II)を得た。なお、不活性粒子の平均粒径はコールターカウンター法で測定したものである。
上記方法において、不活性粒子を含有させない以外は同様の方法で実質的に不活性粒子を含有しないポリエチレンテレフタレート(I)を得た。
これらのポリエチレンテレフタレートをそれぞれ180℃で5時間真空乾燥後、それぞれ2台の押出し機に供給して、280℃で溶融し、4μm粒子を95%除去できるフィルターを用いて濾過し、2層の共押出しダイから押し出し、静電印加により表面温度が30℃のキャスティングドラムに密着させ、未延伸フィルムを得た。
前記未延伸フィルムを90℃になるようにセラミックロールで加熱し、長手方向に3.5倍延伸し、30〜50℃のロール群で冷却した。更に、テンターへ導き、該フィルムの両端をクリップで把持しながら、90℃に加熱された熱風雰囲気中で予熱し、150℃の熱風雰囲気中で横方向に4.2倍に横延伸した。こうして二軸延伸されたフィルムをそのまま、テンター内で引き続き、215℃の熱固定処理を行い、熱処理後徐冷しながら、テンターのレール幅を縮めて幅方向に6%リラックス処理し、テンターから取り出し、フィルムの両端部のエッジ部分をトリミングして巻き取り、厚み31μmの2種2層構成の共押出法による積層二軸延伸フィルムを得た。
得られたポリエチレンテレフタレート(I)からなる層の表面(A)の平均表面粗さ(SRa)は5nm、ポリエチレンテレフタレート(II)からなる層の表面(B)の平均表面粗さ(SRa)は25nm、表面固有抵抗ΩのlogΩ値は12であった。
得られたポリエステルフィルムを、硬度58度のウレタンゴム製のコンタクトロールを用いて、接圧85kgf/m、温度23℃、湿度40%RHの雰囲気下、表1に記載した条件で、ポリエステルフィルム表面にイオン化された空気を吹き付けながら、クラス1,000の環境下において、幅1000mmで長さ8000mを巻き取り、ポリエステルフィルムロールを得た。なお、上記イオン化された空気としては、95%カット径が1μmのヘパフィルターで濾過し、さらに99.9%カット径が0.3μmのヘパフィルターで高精度濾過したものを使用した。フィルムロールの巻き硬度は、99.5であった。また、得られたフィルムロールの引き出し時の帯電電位、隆起状の欠点を表1に示す。
[実施例2]
実施例1のポリエチレンテレフタレート(II)と同様の方法で、平均粒径(コールターカウンター法)が2.5μmのシリカ粒子を0.03質量%含有するポリエチレンテレフタレート(III)を得た。
実施例1のポリエチレンテレフタレート(II)と同様の方法で、平均粒径(コールターカウンター法)が2.5μmのシリカ粒子を0.03質量%含有するポリエチレンテレフタレート(III)を得た。
ポリエチレンテレフタレート(I)とポリエチレンテレフタレート(III)を用いて、実施例1と同様の方法で、2種2層構成の共押出法による積層二軸延伸フィルムを得た。
得られたポリエチレンテレフタレート(I)からなる層の表面(A)の平均表面粗さ(SRa)は5nm、ポリエチレンテレフタレート(III)からなる層の表面(B)の平均表面粗さ(SRa)は30nm、表面固有抵抗ΩのlogΩ値は12であった。
得られたポリエステルフィルムを、硬度58度のウレタンゴム製のコンタクトロールを用いて、接圧80kgf/m、温度23℃、湿度40%RHの雰囲気下、表1に記載した条件で、幅1300mm、長さ8000m巻き取った。フィルムロールの巻き硬度は、99.3であった。また、得られたフィルムロールの引き出し時の帯電電位、隆起状の欠点を表1に示す。
[比較例1]
表1に記載した条件で巻き取った以外は、実施例1と同様にして巻き取った。得られたフィルムロールの引き出し時の帯電電位、隆起状の欠点を表1に示す。
表1に記載した条件で巻き取った以外は、実施例1と同様にして巻き取った。得られたフィルムロールの引き出し時の帯電電位、隆起状の欠点を表1に示す。
[比較例2]
実施例1のポリエチレンテレフタレート(II)と同様の方法で、平均粒径が0.6μmのシリカ粒子を0.07質量%含有するポリエチレンテレフタレート(IV)を得た。ポリエチレンテレフタレート(I)とポリエチレンテレフタレート(IV)を用いて、実施例1と同様の方法で、2種2層構成の共押出法による積層二軸延伸フィルムを得た。
実施例1のポリエチレンテレフタレート(II)と同様の方法で、平均粒径が0.6μmのシリカ粒子を0.07質量%含有するポリエチレンテレフタレート(IV)を得た。ポリエチレンテレフタレート(I)とポリエチレンテレフタレート(IV)を用いて、実施例1と同様の方法で、2種2層構成の共押出法による積層二軸延伸フィルムを得た。
得られたポリエチレンテレフタレート(I)からなる層の表面(A)の平均表面粗さ(SRa)は5nm、ポリエチレンテレフタレート(I)からなる層の表面(B)の平均表面粗さ(SRa)は9nm、表面固有抵抗ΩのlogΩ値は12であった。
得られたポリエステルフィルムを、硬度50度のアクリロニトリルブタジエンゴム製のコンタクトロールを用いて、接圧80kgf/m、温度23℃、湿度40%RHの雰囲気下、表1に記載した条件で、幅1000mm、長さ8000mのサイズでロール状に巻き取った。フィルムロールの巻き硬度は、99であった。得られたフィルムロールの引き出し時の帯電、隆起状の欠点を表1に示す。
[比較例3]
表1に記載した条件で巻き取った以外は、実施例1と同様にして巻き取った。得られたフィルムロールの引き出し時の帯電、隆起状の欠点を表1に示す。
表1に記載した条件で巻き取った以外は、実施例1と同様にして巻き取った。得られたフィルムロールの引き出し時の帯電、隆起状の欠点を表1に示す。
[比較例4]
表1に記載した条件で巻き取った以外は、比較例2と同様にして巻き取った。得られたフィルムロールの引き出し時の帯電、隆起状の欠点を表1に示す。
表1に記載した条件で巻き取った以外は、比較例2と同様にして巻き取った。得られたフィルムロールの引き出し時の帯電、隆起状の欠点を表1に示す。
表1から判るように、実施例1、2では引き出し帯電電位が低く、隆起状欠点の数も少ないという良好な結果が得られた。これに対し、吹き付け角度が大きい比較例1では引き出し帯電電位が高く、隆起状欠点の数も増加した。比較例2は、コンタクトロールの動摩擦係数が大きいため、引き出し時の帯電電位が高くなった。又、比較例3では吹き付ける空気の風速が不足していたため、引き出し帯電電位が高く、隆起状欠点の数も増加する結果となった。更に、コンタクトロールの動摩擦係数が大きく、吹き付ける空気の風速が不足し、吹き付け角度が大きい比較例4では引き出し帯電電位が最も高く、隆起状欠点の数も増加するという結果となった。
本発明のポリエステルフィルムロールは、引き出し時の帯電量及び隆起状の欠点が少なく、巻き姿が良好なため、特に薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムベースとして好適である。
1:ポリエステルフィルム
2:ポリエステルフィルムロール
3:コンタクトロール
4:巻き取りコア
L1:ポリエステルフィルムロールとコンタクトロールの接点と空気の吹き出し 口(図示せず)を結ぶ線
L2:ポリエステルフィルムロールとコンタクトロールの接線
θ:吹き付け角度
2:ポリエステルフィルムロール
3:コンタクトロール
4:巻き取りコア
L1:ポリエステルフィルムロールとコンタクトロールの接点と空気の吹き出し 口(図示せず)を結ぶ線
L2:ポリエステルフィルムロールとコンタクトロールの接線
θ:吹き付け角度
Claims (3)
- ポリエステルフィルムの一方の表面(A)の三次元平均表面粗さが10nm以下、もう一方の表面(B)の表面固有抵抗値ΩのlogΩ値が12以上のポリエステルフィルムロールにおいて、該ポリエステルフィルムロールからフィルムを引き出す時の帯電量が、0m/分以上120m/分以下の引き出し速度の領域において、±1.5kVの範囲であり、かつ隆起状の欠点が5個/0.5万m2以下であることを特徴とするポリエステルフィルムロール。
- ポリエステルフィルムロールが、薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムベースとして使用されることを特徴とする請求項1記載のポリエステルフィルムロール。
- ポリエステルフィルムロールの製造方法において、ポリエステルフィルムとの動摩擦係数が0.5以下のコンタクトロールを用い、ポリエステルフィルムとコンタクトロールの接点に対して風速2m/秒以上の速度でイオン化した空気の吹き付けを行い、空気吹き付け角度を、コンタクトロールとの接点での接線方向に対して60度以下として巻き取ることを特徴とするポリエステルフィルムロールの製造方法。
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-
2003
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