以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態を説明すると、本実施形態における高耐熱・高摺動性フィルム1の製造方法は、図1に示すように、化学式〔化1〕で表される繰り返し単位を有するポリエーテルエーテルケトン樹脂、化学式〔化2〕で表される繰り返し単位を有し、ガラス転移点が200℃以上のポリエーテルイミド樹脂、及びフッ素樹脂からなる成形材料2を溶融混練により調製し、この成形材料2を用いて溶融押出成形機10のTダイス13から高耐熱・高摺動性フィルム1を連続的に押出成形し、この押出成形した高耐熱・高摺動性フィルム1を圧着ロール16、冷却ロール17、及び巻取機18の巻取管19に順次巻架するとともに、高耐熱・高摺動性フィルム1を圧着ロール16と冷却ロール17間に挟持させて冷却することにより、高耐熱・高摺動性フィルム1を製造するようにしている。
高耐熱・高摺動性フィルム1の成形材料2は、化学式〔化1〕で表される繰り返し単位を有するポリエーテルエーテルケトン樹脂と、化学式〔化2〕で表される繰り返し単位を有し、ガラス転移点が200℃以上のポリエーテルイミド樹脂とが、組成質量比率でポリエーテルエーテルケトン樹脂5〜70質量%とポリエーテルイミド樹脂95〜30質量%とからなる樹脂組成物100質量部に対してフッ素樹脂1〜30質量部が添加されることにより調製される。
この成形材料2には、ポリイミド(PI)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂等のポリイミド樹脂、ポリアミド4T(PA4T)樹脂、ポリアミド6T(PA6T)樹脂、変性ポリアミド6T(変性PA6T)樹脂、ポリアミド9T(PA9T)樹脂、ポリアミド10T(PA10T)樹脂、ポリアミド11T(PA11T)樹脂、ポリアミド6(PA6)樹脂、ポリアミド66(PA66)樹脂、ポリアミド46(PA46)樹脂等のポリアミド樹脂、ポリエーテルケトン(PEK)樹脂、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)樹脂、ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)樹脂等のポリアリールケトン樹脂、ポリサルホン(PSU)樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂、ポリフェニレンサルホン(PPSU)樹脂等のポリサルホン樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリフェニレンスルフィドケトン樹脂、ポリフェニレンスルフィドスルホン樹脂、ポリフェニレンスルフィドケトンスルホン樹脂等のポリアリーレンサルファイド樹脂、液晶ポリマー(LCP)等を添加することができる。
化学式〔化1〕で表される繰り返し単位を有するポリエーテルエーテルケトン樹脂、化学式〔化2〕で表される繰り返し単位を有し、ガラス転移点が200℃以上を有するポリエーテルイミド樹脂、及びフッ素樹脂の溶融混練物からなる成形材料2には、本発明の特性を損なわない範囲において、上記樹脂の他、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤、耐熱向上剤、無機化合物、有機化合物等が選択的に添加される。
ポリエーテルエーテルケトン樹脂は、特に限定されるものではないが、化学式〔化1〕の繰り返し単位を有する樹脂である。
ポリエーテルエーテルケトン樹脂の融点は、通常320〜360℃であり、好ましくは335〜345℃である。ポリエーテルエーテルケトン樹脂における化学式〔化1〕のnは、機械的特性の観点から、10以上が好ましく、20以上がより好ましい。ポリエーテルエーテルケトン樹脂は、化学式〔化1〕の繰り返し単位のみからなるホモポリマーであっても良いし、化学式〔化1〕以外の繰り返し単位を有していても良い。
但し、ポリエーテルエーテルケトン樹脂中、化学式〔化1〕の化学構造の割合は、ポリエーテルエーテルケトン100モル%に対し、50モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、80モル%が最適である。ポリエーテルエーテルケトン樹脂の具体例としては、ビクトレック社製の商品名:ビクトレックス ピークシリーズ、ダイセル・エボニック社製の商品名:ベスタキープシリーズ、ソルベイスペシャルティポリマーズ社製の商品名:キータスパイアポリエーテルエーテルケトンシリーズがあげられる。
ポリエーテルエーテルケトン樹脂の製造方法としては、例えば特開昭50−27897号公報、特開昭5l−119797号公報、特開昭52−38000号公報、特開昭54−90296号公報、特公昭55−23574号公報、特公昭56−2091号公報等に記載の方法が該当する。このポリエーテルエーテルケトン樹脂が、本発明の効果を損なわない範囲で他の共重合可能な単量体とのブロック共重合体、ランダム共重合体、あるいは変性体も使用可能である。
ガラス転移点が200℃以上のポリエーテルイミド樹脂は、化学式〔化2〕の繰り返し単位を有するポリエーテルイミド樹脂が好適に使用される。
化学式〔化1〕の繰り返し単位を有するポリエーテルエーテルケトン樹脂と、化学式〔化2〕の繰り返し単位を有するポリエーテルイミド樹脂とは、相溶性が非常に良好であることが知られている(特許第4201965号公報参照)。これに対し、化学式〔化1〕の繰り返し単位を有するポリエーテルエーテルケトン樹脂と、化学式〔化3〕の繰り返し単位を有するポリエーテルイミド樹脂とは、相溶性に劣ることが知られている(特許第4201965号公報参照)。
化学式〔化1〕の繰り返し単位を有するポリエーテルエーテルケトン樹脂と、化学式〔化3〕の繰り返し単位を有するポリエーテルイミド樹脂との溶融混練物は、相溶性に劣るため、その溶融混練物の動的粘弾性測定より得られる損失正接(tanδ)のピーク温度が、140〜250℃の間に混合したポリエーテルエーテルケトン樹脂とポリエーテルイミド樹脂成分に由来し、少なくとも2つ観察されることが知られている(特許第4201965号公報参照)。損失正接が2つ観察されることは、ポリエーテルエーテルケトン樹脂とポリエーテルイミド樹脂成分に由来するガラス転移点も2つ観察されるため、ポリエーテルエーテルケトン樹脂とポリエーテルイミド樹脂とからなる溶融混練物は、化学式〔化1〕の繰り返し単位を有するポリエーテルエーテルケトン樹脂より耐熱性を高めることができない。また、相溶性に劣るため、フィルムの機械的特性が低下し、フィルムの薄肉成形性に劣る。
化学式〔化2〕の繰り返し単位を有するポリエーテルイミド樹脂の具体例としては、ULTEM 1010−1000−NB〔SABICイノベーティブプラスチック社製 品名〕、ULTEM 9011−1000−NB〔同〕等があげられる。化学式〔化2〕の繰り返し単位を有するポリエーテルイミド樹脂の製造方法としては、特に限定されるもではないが、通常、4,4’−〔イソプロピリデンビス(p−フェニレンオキシ)ジフタル酸二無水物〕とm−フェニレンジアミンとの重縮合物として公知の方法によって製造される。
化学式〔化3〕の繰り返し単位を有するポリエーテルイミド樹脂の具体例としては、ULTEM CRS5001−1000−NB〔SABICイノベーティブプラスチックス社 品名〕があげられる。化学式〔化3〕の繰り返し単位を有するポリエーテルイミド樹脂の製造方法としては、4,4’−〔イソプロピリデンビス(p−フェニレンオキシ)ジフタル酸二無水物〕とp−フェニレンジアミンとの重縮合物として公知の方法によって製造される。
化学式〔化2〕の繰り返し単位を有するポリエーテルイミド樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で化学式〔化3〕の繰り返し単位を有するポリエーテルイミド樹脂を添加することができる。さらに、アミド基、エステル基、スルホニル基、シロキサン基等の他の共重合可能な他の単量体とのブロック共重合体、ランダム共重合体、変性体を添加することもできる。例えば、ポリエーテルイミドサルホン共重合体であるガラス転移点が238℃のULTEM XH6050−1000〔SABICイノベーティブプラスチックス社製 品名〕、ポリエーテルイミド/シロキサンコポリマーであるULTEM STM1700−1000〔SABICイノベーティブプラスチックス社製 品名〕等をあげることができる。
化学式〔化1〕で表される繰り返し単位を有するポリエーテルエーテルケトン樹脂と、化学式〔化2〕で表される繰り返し単位を有し、ガラス転移点が200℃以上のポリエーテルイミド樹脂とは、組成質量比率でポリエーテルエーテルケトン樹脂5〜70質量%とポリエーテルイミド樹脂95〜30質量%とからなる。これは、ポリエーテルエーテルケトン樹脂が70質量%を越えたり、ポリエーテルイミド樹脂が30質量%未満の場合は、高耐熱・高摺動性フィルム1の耐熱性を高めることができないからである。一方、ポリエーテルエーテルケトン樹脂が5質量%未満で、ポリエーテルイミド樹脂が95質量%を越える場合には、280℃以上の温度での耐熱性に劣るため、好ましくないからである。
フッ素樹脂は、融点未満の温度の場合に固体状であることが好ましい。これは、液状のフッ素樹脂の場合には、成形後のフィルムから滲み出し、高耐熱・高摺動性フィルム1と接触している接触品を汚染するからである。具体的なフッ素樹脂としては、融点が320〜327℃のポリテトラフルオロエチレン樹脂(四フッ化エチレン樹脂、以下、PTFE樹脂という、連続最高使用温度:260℃)、融点が302〜310℃のポリテトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(四フッ化エチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂、以下、PFA樹脂という、連続最高使用温度:260℃)、融点が250〜275℃のテトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂(四フッ化エチレン-六フッ化プロピレン共重合体樹脂、以下、FEP樹脂という、連続最高使用温度:205℃)、融点が218〜270℃のテトラフルオロエチレン-エチレン共重合体樹脂(四フッ化エチレン-エチレン共重合体樹脂、ETFE樹脂、連続最高使用温度:150℃)、融点が210〜216℃のポリクロロトリフルオロエチレン樹脂(三フッ化塩化エチレン樹脂、PCTFE樹脂、連続最高使用温度:120℃)、融点が160〜180℃のポリビニデンフルオライド樹脂(フッ化ビニリデン樹脂、PVdF樹脂、連続最高使用温度:120℃)、融点が120〜250℃のフッ化ビニリデン・テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂(連続最高使用温度:80〜120℃)等をあげることができる。
係るフッ素樹脂の中では、融点が250℃以上、連続最高使用温度が200℃以上と耐熱性に優れ、入手のし易さ、取扱性、コストの観点から、PTFE樹脂、PFA樹脂、及びFEP樹脂が好ましい。PTFE樹脂、PFA樹脂、及びFEP樹脂とは、単独あるいはブレンド使用することができる。
フッ素樹脂の添加量は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂とポリエーテルイミド樹脂との合計量100質量部に対し、1〜30質量部、好ましくは5〜25質量部が良い。フッ素樹脂の添加量が、1質量部未満の場合には、高耐熱・高摺動性フィルム1に摺動性を十分に付与することができないという理由に基づく。逆に、30質量部を越える場合には、溶融混練物をストランド状やシート状等の形状に押出すことができないため、成形材料2を得ることできないからである。
ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、及びフッ素樹脂からなる成形材料2には、本発明の特性を損なわない範囲で上記樹脂の他、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤、耐熱向上剤、無機化合物、有機化合物等が選択的に添加される。
上記において、高耐熱・高摺動性フィルム1を製造する場合、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、及びフッ素樹脂からなる成形材料2の調製方法は、(1)ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、及びフッ素樹脂を常温下で攪拌混合して溶融混練し、成形材料2を調製する方法、(2)一旦、ポリエーテルエーテルケトン樹脂とポリエーテルイミド樹脂とを常温下で攪拌混合し、溶融混練分散することにより溶融混練物を作製し、再び溶融混練物とフッ素樹脂とを常温下で攪拌混合して溶融混練し、成形材料2を調製する方法、(3)ポリエーテルエーテルケトン樹脂とポリエーテルイミド樹脂とを常温下で攪拌混合させ、この攪拌混合物を溶融させて溶融状態の溶融混練物にフッ素樹脂を添加し、溶融混練して成形材料2を調製する方法、(4)一旦、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(あるいはポリエーテルイミド樹脂)とフッ素樹脂とを常温下で攪拌混合し、溶融混練することにより溶融混練物を作製し、再び溶融混練物とポリエーテルイミド樹脂(あるいはポリエーテルエーテルケトン樹脂)とを常温下で攪拌混合して溶融混練し、成形材料2を調製する方法、(5)一旦、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(あるいはポリエーテルイミド樹脂)とフッ素樹脂を攪拌混合して溶融混練させ、溶融状態の溶融混練物にポリエーテルイミド樹脂(あるいはポリエーテルエーテルケトン樹脂)を添加し、溶融混練して成形材料2を調製する方法等をあげることができる。なお、本明細書において、「常温」とは、0〜50℃程度の温度範囲を指す。
(1)の方法について説明すると、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、及びフッ素樹脂の攪拌混合には、タンブラーミキサー、ヘンシルミキサー、V型混合機、ナウターミキサー、リボンブレンダー、万能攪拌ミキサー等公知の攪拌混合機が使用される。また、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、及びフッ素樹脂からなる成形材料2は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フッ素樹脂からなる攪拌混合物をミキシングロール、加圧ニーダー、単軸押出成形機、二軸押出成形機、三軸押出成形機、四軸押出成形機、八軸押出成形機等の多軸押出成形機等からなる溶融混練機で溶融混練させることにより調製することができる。
ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、及びフッ素を溶融混練させる場合の温度は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂の融点、ポリエーテルイミド樹脂のガラス転移点、あるいはフッ素樹脂の融点〜430℃、好ましくは350〜400℃が良い。これは、溶融混練の温度がポリエーテルエーテルケトン樹脂の融点未満、ポリエーテルイミド樹脂のガラス転移点未満、あるいはフッ素樹脂の融点未満の場合には、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、及びフッ素樹脂を溶融混練により均一に分散することができないからである。また、430℃を越える場合には、フッ素樹脂が激しく分解するため、好ましくないという理由に基づく。
ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、及びフッ素樹脂からなる成形材料2は、ストランド状、シート状等の形状に押出された後、粉砕機あるいは裁断機で粉状、顆粒状、ペレット状等のフィルム成形加工に適した形態に加工されて使用される。
(2)の方法について説明すると、ポリエーテルエーテルケトン樹脂とポリエーテルイミド樹脂との攪拌混合には、タンブラーミキサー、ヘンシルミキサー、V型混合機、ナウターミキサー、リボンブレンダー、万能攪拌ミキサー等の公知の攪拌混合機が使用される。また、ポリエーテルエーテルケトン樹脂とポリエーテルイミド樹脂とからなる溶融混練物は、攪拌混合後、ミキシングロール、加圧ニーダー、単軸押出成形機、二軸押出成形機、三軸押出成形機、四軸押出成形機、八軸押出成形機等の多軸押出成形機等からなる溶融混練機で溶融混練させることにより、調製することができる。
ポリエーテルエーテルケトン樹脂とポリエーテルイミド樹脂とからなる溶融混練物を調製する場合の温度は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂の融点、あるいはポリエーテルイミド樹脂のガラス転移点の融点〜430℃、好ましくは350〜400℃が良い。この溶融混練物は、ストランド状、シート状等の形状に押出された後、粉砕機あるいは裁断機で粉状、顆粒状、ペレット状等の形態に加工されて使用される。これは、溶融混練の温度が、ポリエーテルエーテルケトン樹脂の融点未満、あるいはポリエーテルイミド樹脂のガラス転移点未満の場合には、ポリエーテルエーテルケトン樹脂とポリエーテルイミド樹脂とを溶融混練により均一に分散することができないからである。また、430℃を越える場合には、ポリエーテルエーテルケトン樹脂あるいはポリエーテルイミド樹脂が分解するため、好ましくないからである。
ポリエーテルエーテルケトン樹脂とポリエーテルイミド樹脂とからなる溶融混練物とフッ素樹脂との攪拌混合には、上記公知の攪拌混合機が使用され、攪拌混合物をミキシングロール、加圧ニーダー、単軸押出成形機、二軸押出成形機、三軸押出成形機、四軸押出成形機、八軸押出成形機等の多軸押出成形機等からなる溶融混練機で溶融混練させることができる。
ポリエーテルエーテルケトン樹脂とポリエーテルイミド樹脂とからなる溶融混練物とフッ素とを溶融混練する場合の温度は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂の融点、ポリエーテルイミド樹脂のガラス転移点、あるいはフッ素樹脂の融点〜430℃、好ましくは350〜400℃が良い。これは、溶融混練物の温度がポリエーテルエーテルケトン樹脂の融点未満、ポリエーテルイミド樹脂のガラス転移点未満、あるいはフッ素樹脂の融点未満の場合には、ポリエーテルエーテルケトン樹脂とポリエーテルイミド樹脂とを溶融混練により均一分散することができないからである。また、430℃を越える場合には、フッ素樹脂が激しく分解するため、好ましくないからである。
(3)の方法について説明すると、ポリエーテルエーテルケトン樹脂とポリエーテルイミド樹脂との攪拌混合には、タンブラーミキサー、ヘンシルミキサー、V型混合機、ナウターミキサー、リボンブレンダー、万能攪拌ミキサー等の公知の攪拌混合機が使用される。
また、ポリエーテルエーテルケトン樹脂とポリエーテルイミド樹脂とは、上記攪拌混合物をミキシングロール、加圧ニーダー、単軸押出成形機、二軸押出成形機、三軸押出成形機、四軸押出成形機、八軸押出成形機等の多軸押出成形機等からなる溶融混練機で溶融混練し、溶融状態のポリエーテルエーテルケトン樹脂とポリエーテルイミド樹脂との溶融混練物にフッ素樹脂を添加して溶融混練させることにより、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、及びフッ素樹脂からなる成形材料2を調製することができる。
ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂とフッ素樹脂からなる成形材料2を調製する場合の温度は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂の融点、ポリエーテルイミド樹脂のガラス転移点、あるいはフッ素樹脂の融点〜430℃、好ましくは350〜400℃が良い。これは、溶融混練物の温度がポリエーテルエーテルケトン樹脂の融点未満、ポリエーテルイミド樹脂のガラス転移点未満、あるいはフッ素樹脂の融点未満の場合には、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂及びフッ素樹脂を溶融混練により均一分散することができないからである。また、430℃を越える場合には、フッ素樹脂が激しく分解するからである。
(4)の方法について説明すると、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(あるいはポリエーテルイミド樹脂)とフッ素樹脂との攪拌混合には、タンブラーミキサー、ヘンシルミキサー、V型混合機、ナウターミキサー、リボンブレンダー、万能攪拌ミキサー等の公知の攪拌混合機が使用される。また、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(あるいはポリエーテルイミド樹脂)とフッ素樹脂とからなる溶融混練物は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(あるいはポリエーテルイミド樹脂)とフッ素樹脂とからなる攪拌混合物をミキシングロール、加圧ニーダー、単軸押出成形機、二軸押出成形機、三軸押出成形機、四軸押出成形機、八軸押出成形機等の多軸押出成形機等からなる溶融混練機で溶融混練させることにより調製することができる。
ポリエーテルエーテルケトン樹脂(あるいはポリエーテルイミド樹脂)とフッ素とからなる溶融混練物を調製する場合の温度は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂の融点(あるいはポリエーテルイミド樹脂のガラス転移点)、又はフッ素樹脂の融点〜430℃、好ましくは350〜400℃が良い。これは、溶融混練物の温度がポリエーテルエーテルケトン樹脂の融点未満、(あるいはポリエーテルイミド樹脂のガラス転移点未満)、又はフッ素樹脂の融点未満の場合には、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(あるいはポリエーテルイミド樹脂)とフッ素樹脂を溶融混練により均一分散することができないからである。また、430℃を越える場合には、フッ素樹脂が激しく分解するため、好ましくないという理由に基づく。
ポリエーテルエーテルケトン樹脂(あるいはポリエーテルイミド樹脂)とフッ素樹脂からなる溶融混練物は、ストランド状、シート状等の形状に押出された後、粉砕機あるいは裁断機で粉状、顆粒状、ペレット状等の形態に加工されて使用される。ポリエーテルエーテルケトン樹脂(あるいはポリエーテルイミド樹脂)とフッ素樹脂からなる溶融混練物とポリエーテルイミド樹脂(あるいはポリエーテルエーテルケトン樹脂)との攪拌混合については、タンブラーミキサー、ヘンシルミキサー、V型混合機、ナウターミキサー、リボンブレンダー、万能攪拌ミキサー等の公知の攪拌混合機が使用される。
ポリエーテルエーテルケトン樹脂(あるいはポリエーテルイミド樹脂)とフッ素樹脂からなる溶融混練物とポリエーテルイミド樹脂(あるいはポリエーテルエーテルケトン樹脂)との攪拌混合物の溶融混練物は、ミキシングロール、加圧ニーダー、単軸押出成形機、二軸押出成形機、三軸押出成形機、四軸押出成形機、八軸押出成形機等の多軸押出成形機等からなる溶融混練機で溶融混練させることにより調製することができる。
ポリエーテルエーテルケトン樹脂(あるいはポリエーテルイミド樹脂)とフッ素樹脂からなる溶融混練物とポリエーテルイミド樹脂(あるいはポリエーテルエーテルケトン樹脂)との攪拌混合物の溶融混練物を調製する場合の温度は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂の融点、ポリエーテルイミド樹脂のガラス転移点、あるいはフッ素樹脂の融点〜430℃、好ましくは350〜400℃が良い。
これは、溶融混練物の温度がポリエーテルエーテルケトン樹脂の融点未満(あるいはポリエーテルイミド樹脂のガラス転移点未満)、又はフッ素樹脂の融点未満の場合には、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(あるいはポリエーテルイミド樹脂)とフッ素樹脂を溶融混練により均一分散することができないという理由に基づく。また、430℃を越える場合には、フッ素樹脂が激しく分解するため、好ましくないという理由に基づく。
(5)の方法について説明すると、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(あるいはポリエーテルイミド樹脂)とフッ素樹脂との攪拌混合には、タンブラーミキサー、ヘンシルミキサー、V型混合機、ナウターミキサー、リボンブレンダー、万能攪拌ミキサー等が公知の攪拌混合機が使用される。また、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(あるいはポリエーテルイミド樹脂)とフッ素樹脂とは、上記攪拌混合物をミキシングロール、加圧ニーダー、単軸押出成形機、二軸押出成形機、三軸押出成形機、四軸押出成形機、八軸押出成形機等の多軸押出成形機等からなる溶融混練機で溶融混練し、溶融状態の溶融混練物にポリエーテルイミド樹脂(あるいはポリエーテルエーテルケトン樹脂)を添加して溶融混練させることにより調製することができる。
ポリエーテルエーテルケトン樹脂(あるいはポリエーテルイミド樹脂)とフッ素とを調製する場合の温度は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂の融点(あるいはポリエーテルイミド樹脂のガラス転移点)あるいはフッ素樹脂の融点〜430℃、好ましくは350〜400℃が良い。これは、溶融混練物の温度が、ポリエーテルエーテルケトン樹脂の融点未満、(あるいはポリエーテルイミド樹脂のガラス転移点未満)あるいはフッ素樹脂の融点未満の場合は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(あるいはポリエーテルイミド樹脂)とフッ素樹脂を溶融混練により均一分散することができない。430℃を越える場合には、フッ素樹脂が激しく分解するため、好ましくないという理由に基づく。
ポリエーテルエーテルケトン樹脂(あるいはポリエーテルイミド樹脂)とフッ素樹脂からなる溶融混練物と、ポリエーテルイミド樹脂(あるいはポリエーテルエーテルケトン樹脂)とを調製させる場合の温度は、ポリエーテルイミド樹脂のガラス転移点(あるいはポリエーテルエーテルケトン樹脂の融点)、又はフッ素樹脂の融点〜430℃、好ましくは350〜400℃が良い。これは、溶融混練物の温度が、ポリエーテルエーテルケトン樹脂の融点未満(あるいはポリエーテルイミド樹脂のガラス転移点未満)、又はフッ素樹脂の融点未満の場合には、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(あるいはポリエーテルイミド樹脂)とフッ素樹脂とからなる溶融混練物とポリエーテルイミド樹脂(あるいはポリエーテルエーテルケトン樹脂)とを均一分散することができないからである。また、430℃を越える場合には、フッ素樹脂が激しく分解するからである。
ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂とフッ素樹脂とからなる成形材料2は、ストランド状、シート状等の形状に押出された後、粉砕機あるいは裁断機で粉状、顆粒状、ペレット状等のフィルム成形加工に適した形態に加工されて使用される。
なお、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、あるいはフッ素樹脂のいずれかの樹脂を所定量以上に分散させ、マスターバッチ化することもできる。
ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、及びフッ素からなる成形材料2を用い、高耐熱・高摺動性フィルム1を製造する場合、成形材料2からなる高耐熱・高摺動性フィルム1は、溶融押出成形法、カレンダー成形法、又はキャスティング成形法等の公知の製造法を採用することができる。これらの製造法の中では、高耐熱・高摺動性フィルム1の厚さ精度、生産性、ハンドリング性の向上、設備の簡略化の観点から、溶融押出成形法により連続的に押出成形することが好ましい。
ここで、溶融押出成形法とは図1に示すように、溶融押出成形機10を使用して成形材料2を溶融混練し、溶融押出成形機10の先端部のTダイス13から高耐熱・高摺動性フィルム1を連続的に押し出して製造する方法である。
溶融押出成形機10は、例えば単軸押出成形機や二軸押出成形機等からなり、投入された成形材料2を溶融混練するよう機能する。この溶融押出成形機10の上部後方には、成形材料2用の原料投入口11が設置され、この原料投入口11には、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス、窒素ガス等の不活性ガス(図1の矢印参照)を必要に応じて供給する不活性ガス供給管12が接続されており、この不活性ガス供給管12による不活性ガスの流入により、成形材料2の酸化劣化や酸素架橋が有効に防止される。
溶融押出成形機10の溶融混練時の温度は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂の融点、ポリエーテルイミド樹脂のガラス転移点、あるいはフッ素樹脂の融点〜430℃、好ましくは360〜400℃に調整される。これは、ポリエーテルエーテルケトン樹脂の融点未満、ポリエーテルイミド樹脂のガラス転移点未満、あるいはフッ素樹脂の融点未満の場合には、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、及びフッ素樹脂を溶融混練により均一分散することができないからである。また、430℃を越える場合には、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、あるいはフッ素樹脂が分解するためである。
Tダイス13は、溶融押出成形機10の先端部に連結管14を介して装着され、帯形の高耐熱・高摺動性フィルム1を連続的に下方に押し出すよう機能する。このTダイス13の上流には、連結管14に装着されたギアポンプ15が位置し、このギアポンプ15が成形材料2を一定速度で、かつ高精度にTダイス13に移送する。Tダイス13の押出時の温度は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂の融点、ポリエーテルイミド樹脂のガラス転移点、あるいはフッ素樹脂の融点〜430℃、好ましくは360℃〜400℃に調整される。これは、ポリエーテルエーテルケトン樹脂の融点未満、ポリエーテルイミド樹脂のガラス転移点、あるいはフッ素樹脂の融点未満の場合には、帯形の均一分散した高耐熱・高摺動性フィルム1を連続的に押出成形することができないという理由に基づく。逆に、430℃を越える場合には、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、あるいはフッ素樹脂が分解するおそれがあるという理由に基づく。
圧着ロール16は、冷却ロール17を挟持するようTダイス13の下方に回転可能に一対が軸支される。この一対の圧着ロール16のうち、下流の圧着ロール16の下流には、高耐熱・高摺動性フィルム1を巻き取る巻取機18の巻取管19が回転可能に設置され、圧着ロール16と巻取機18の巻取管19との間には、高耐熱・高摺動性フィルム1の側部にスリットを形成するスリット刃20が昇降可能に配置されており、このスリット刃20と巻取機18の巻取管19との間には、高耐熱・高摺動性フィルム1にテンションを作用させて円滑に巻き取るための回転可能なテンションロール21が必要数軸支される。
各圧着ロール16の周面には、高耐熱・高摺動性フィルム1と冷却ロール17との密着性を向上させる観点から、少なくとも天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ノルボルネンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等のゴム層が必要に応じて被覆形成され、このゴム層には、シリカやアルミナ等の無機化合物が選択的に添加される。これらの中では、耐熱性に優れるシリコーンゴムやフッ素ゴムの採用が好ましい。
高耐熱・高摺動性フィルム1に微細な凹凸を形成する方法としては、(1)微細な凹凸を備えた冷却ロール17と微細な凹凸を備えた圧着ロール16とで高耐熱・高摺動性フィルム1を挟み、微細な凹凸を形成する方法、(2)高耐熱・高摺動性フィルム1に微小なジルコニア、ガラス、ステンレス等の無機化合物、ポリカーボネート、ナイロン、あるいは植物の種等の有機化合物を吹き付けて微細な凹凸を形成する方法、(3)高耐熱・高摺動性フィルム1を微細な凹凸を備えた金型でプレス成形し、微細な凹凸を形成する方法があげられる。これらの方法の中では、設備の簡略化、凹凸サイズの精度、凹凸形成の均一化、あるいは凹凸形成の容易さ、連続的に凹凸の形成が可能な観点から(1)の方法が好ましい。
(1)の方法をさらに詳細に説明すると、(1−1)ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、及びフッ素樹脂からなる攪拌混合物を溶融押出成形機10で溶融混練して成形材料2を調製し、この成形材料2を溶融押出成形機10のTダイス13から微細な凹凸を周面に備えた冷却ロール17上に吐出し、この吐出物を冷却ロール17と微細な凹凸を周面に備えた圧着ロール16とで挟み、高耐熱・高摺動性フィルム1の溶融押出成形と同時に成形する方法、(1−2)成形した高耐熱・高摺動性フィルム1を微細な凹凸を周面に備えた冷却ロール17と微細な凹凸を周面に備えた圧着ロール16とで挟み、凹凸を形成する方法があげられるが、設備の簡略化の観点から、(1)の方法が好ましい。
圧着ロール16は、270℃以下、好ましくは50〜230℃の温度に調整され、高耐熱・高摺動性フィルム1に摺接してこれを冷却ロール17に圧接する。圧着ロール16の温度が係る範囲なのは、圧着ロール16の温度が270℃を越える場合には、高耐熱・高摺動性フィルム1が圧着ロール16に貼り付き、高耐熱・高摺動性フィルム1が破断するおそれがあるからである。逆に、50℃未満の場合には、圧着ロール16が結露するため、好ましくないからである。圧着ロール16の温度調整や冷却方法としては、空気、水、オイル等の熱媒体による方法、あるいは電気ヒーター、誘電加熱ロール等があげられる。
冷却ロール17は、例えば圧着ロール16よりも拡径の金属ロールからなり、Tダイス13の下方に回転可能に軸支されて押し出された高耐熱・高摺動性フィルム1を圧着ロール16との間に挟持し、圧着ロール16と共に高耐熱・高摺動性フィルム1を冷却しながらその厚さを所定の範囲内に制御するよう機能する。
この冷却ロール17は、圧着ロール16と同様、270℃以下、好ましくは50℃〜230℃の温度に調整され、高耐熱・高摺動性フィルム1に摺接する。これは、冷却ロール17の温度が270℃を越える場合には、高耐熱・高摺動性フィルム1の製造中に高耐熱・高摺動性フィルム1が冷却ロール17に貼り付き、破断するおそれがあるからである。また、50℃未満の場合は、冷却ロール17が結露するため好ましくないからである。冷却ロール17の温度調整や冷却方法は、空気、水、オイル等の熱媒体による方法、あるいは電気ヒーター、誘電加熱等があげられる。
上記において、高耐熱・高摺動性フィルム1を製造する場合には図1に示すように、溶融押出成形機10の原料投入口11に成形材料2を図1に矢印で示す不活性ガスを供給しながら投入し、溶融押出成形機10により成形材料2を加熱・加圧状態で溶融混練し、Tダイス13から帯形の高耐熱・高摺動性フィルム1を連続的に押出成形する。この際、成形材料2の溶融混練前における含水率は、2000ppm以下、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下に調整される。これは、成形材料2の溶融混練前における含水率が2000ppmを越える場合には、高耐熱・高摺動性フィルム1が発泡するおそれがあるからである。
高耐熱・高摺動性フィルム1を押出成形したら、一対の圧着ロール16、冷却ロール17、テンションロール21、巻取機18の巻取管19に順次巻架するとともに、高耐熱・高摺動性フィルム1を冷却ロール17により冷却し、高耐熱・高摺動性フィルム1の両側部をスリット刃20でそれぞれカットし、巻取管19に順次巻き取れば、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、及びフッ素樹脂の溶融混練物からなる高耐熱・高摺動性フィルム1を製造することができる。
高耐熱・高摺動性フィルム1表面の微細な凹凸は、算術平均粗さ(Ra)で0.2〜5.0μm、好ましくは0.25〜4.5μmが好適である。これは、算術平均粗さ(Ra)が0.20μm未満の場合には、目的とする摺動性が得られないからである。また、算術平均粗さ(Ra)が5.0μmを越える場合には、高耐熱・高摺動性フィルム1の強度が低下し、成形中に破断を招くおそれがあるからである。
高耐熱・高摺動性フィルム1の耐熱性は、貯蔵弾性率の第一変曲点温度と280℃における貯蔵弾性率で表すことができる。この貯蔵弾性率の第一変曲点温度は170℃以上、好ましくは180℃以上である。これは、貯蔵弾性率の第一変曲点温度が170℃未満の場合には、高耐熱・高摺動性フィルム1の十分な耐熱性が得られないためである。280℃における貯蔵弾性率は1×105Pa以上であるが、これは280℃における貯蔵弾性率が1×105Pa未満の場合には、高温域で十分な耐熱性が得られないからである。
高耐熱・高摺動性フィルム1の摺動性は、各種樹脂フィルムとの静的摩擦係数、及び動的摩擦係数で表すことができ、滑り性が静的摩擦係数で1.0以下、動的摩擦係数で1.0以下が良い。これは、静的摩擦係数が1.0、及び動的摩擦係数が1.0を越える場合には、十分な滑り性が得られないためである。
高耐熱・高摺動性フィルム1の厚さは、3〜1000μm、好ましくは10〜1000μmが好適である。これは、厚さが3μm未満の場合には、フィルムの強度が著しく低下するので、高耐熱・高摺動性フィルム1が成形中に破断してしまう等により、高耐熱・高摺動性フィルム1の成形が困難になるからである。また、高耐熱・高摺動性フィルム1の厚さが1000μmを越える場合は、成形速度が著しく低下し、生産性に劣るため、好ましくないからである。
高耐熱・高摺動性フィルム1は、結晶化度を調製することにより、耐熱性を向上させることができる。この高耐熱・高摺動性フィルム1の結晶化度の調製方法としては、例えば(1)ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、及びフッ素樹脂の溶融混練物を溶融押出成形機10により溶融混練し、この溶融混練したポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、及びフッ素樹脂の溶融混練物をTダイス13から270℃以下、好ましくは50℃〜230℃の温度に調整された冷却ロール17上に吐き出して密着させ、高耐熱・高摺動性フィルム1の成形と同時に結晶化度を調整する方法、(2)高耐熱・高摺動性フィルム1を製造した後、270℃以下、好ましく50℃〜230℃の温度に調整された冷却ロール17上に密着させ、結晶化度を調整する方法、(3)高耐熱・高摺動性フィルム1を製造した後、270℃以下、好ましくは230℃以下、より好ましくは50℃〜230℃の温度に調整された赤外線加熱炉内、あるいは熱風炉内を通すことにより、結晶化度を調整する方法がある。
いずれの方法をも採用することができるが、設備の簡略化、高耐熱・高摺動性フィルム1結晶化時間の短縮化、あるいは高耐熱・高摺動性フィルム1の厚さ精度の管理の容易さの観点からすると、(1)の方法が好ましい。冷却ロール17が50℃〜270℃の温度範囲に設定されるのは、冷却ロール17の温度が270℃を越える場合には、高耐熱・高摺動性フィルム1が冷却ロール17に貼り付き、高耐熱・高摺動性フィルム1が破断するおそれがあるからである。また、50℃未満の場合には、冷却ロール17が結露するため、好ましくないからである。
上記によれば、高耐熱・高摺動性フィルム1がポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、及びフッ素樹脂の溶融混合物よりなるので、優れた耐熱性と摺動性を安価に得ることができる。
以下、本発明に係る高耐熱・高摺動性フィルムの製造方法の実施例を比較例と共に説明する。
〔実施例1〕
先ず、ポリエーテルエーテルケトン樹脂〔ソルベイスペシャルティポリマーズ社製 品名:キータスパイアポリエーテルエーテルケトン グレード:KT−851NL SP〕(以下、「KT−851NL SP」と略す)と、ポリエーテルイミド樹脂〔SABICイノベーティブプラスチック社製 品名:ULTEM 1010−1000−NB、ガラス転移点:211℃〕(以下、「1010−1000」と略す)とが組成質量比率でポリエーテルエーテルケトン樹脂:65質量%、ポリエーテルイミド樹脂:35質量%となるように計量し、さらにフッ素樹脂として、PFA樹脂〔旭硝子社製、製品名:フルオンPFA グレード:P-62XP(以下「P−62XP」と略す)をポリエーテルエーテルケトン樹脂とポリエーテルイミド樹脂の合計量100質量部に対して5質量部となるように計量し、計量後、3種類の樹脂をタンブラーミキサーに投入した。
投入後、タンブラーミキサーを23℃、1時間攪拌混合させて攪拌混合物を調製した。ポリエーテルイミド樹脂のガラス転移点は、示差走査熱量計〔エスアイアイ・ナノテクノロジー社製:製品名 高感度型示差走査熱量計 X−DSC7000〕を用い、JIS K7121に準じ、昇温速度10℃/分の条件で測定した。このガラス転移点の測定は、以下の実施例や比較例についても同様とした。
ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、及びPFA樹脂を攪拌混合して攪拌混合物を調製したら、この攪拌混合物を真空ポンプ付き二軸押出成形機に供給し、減圧下で溶融混練し、二軸押出機機の先端部のダイスから棒状に押し出して水冷後にカットし、ペレット形の成形材料を調製した。攪拌混合物はシリンダー温度360〜380℃、ダイス温度385℃、二軸押出機とダイスとを連結する連結管の温度380℃の条件下で溶融混練し、成形材料を調製した。
次いで、成形材料を150℃に加熱した除湿乾燥機に投入して12時間乾燥させ、この乾燥した成形材料を幅900mmのTダイスを備えたφ40mmの単軸押出成形機にセットして溶融混練し、この溶融混練した成形材料を単軸押出成形機のTダイスから連続的に押し出して高耐熱・高摺動性フィルムを帯形に押出成形した。
この際、成形材料の含水率を、微量水分測定装置〔三菱化学社製 製品名CA−100型〕を用い、カールフィッシャー滴定法により測定した。測定の結果、成形材料の乾燥時の含水率は、225ppmであった。この成形材料の含水率の測定は、以下の実施例や比較例についても同様とした。また、単軸押出成形機は、L/D=32、圧縮比:2.5、スクリュー:フルフライトスクリュータイプとした。この単軸押出成形機のシリンダー温度は360〜380℃、Tダイスの温度は385℃、単軸押出成形機とTダイスとを連結する連結管の温度は380℃に調製した。
溶融した成形材料の温度については、Tダイス入口の樹脂温度を測定することとし、測定したところ、376℃であった。また、単軸押出成形機に成形材料を投入する際には、窒素ガス18L/分を供給した。
こうして高耐熱・高摺動性フィルムを帯形に押出成形したら、連続した高耐熱・高摺動性フィルムの両端部をスリット刃で裁断して巻取機の巻取管に順次巻き取り、長さ100m、幅620mmの高耐熱・高摺動性フィルムを製造した。この際、高耐熱・高摺動性フィルムは、算術平均粗さ(Ra)が0.44〜0.47μmのシリコーンゴム製の一対の圧着ロール、周面に算術平均粗さ(Ra)が1.86μmの凸柄模様を備えた205℃の冷却ロールである金属ロール、及びこれらの下流に位置する6インチの巻取管に順次巻架し、圧着ロールと金属ロールとに挟持させた。
高耐熱・高摺動性フィルムが得られたら、この高耐熱・高摺動性フィルムのフィルム厚、表面粗さ、耐熱性、及び摺動性を評価して表1に記載した。高耐熱・高摺動性フィルムの表面粗さは算術平均粗さ(Ra)、耐熱性は第一変曲点温度と280℃における貯蔵弾性率(E’)、摺動性は静的摩擦係数(μs)と動的摩擦係数(μk)により評価した。
・高耐熱・高摺動性フィルムのフィルム厚
フィルム厚が2〜10μmの高耐熱・高摺動性フィルムの厚さについては、接触式の厚さ計〔Mahr社製:商品名 電子マイクロメータミロトン1240〕を使用して測定した。また、フィルム厚が10μmを超え、〜150μmの高耐熱・高摺動性フィルムの厚さについては、マイクロメータ〔ミツトヨ社製 製品名:クーラントプルーフマイクロメータ 符号MDC−25PJ〕を使用して測定した。
測定に際しては、高耐熱・高摺動性フィルムの押出方向と幅方向(押出方向の直角方向)が交わる所定位置の厚みを100箇所測定し、その平均値をフィルム厚とした。押出方向の測定箇所は、高耐熱・高摺動性フィルムの先端部から100mm間隔で100mm、200mm、300mm、400mm、500mmの位置とした。
これに対し、幅方向の測定箇所は、高耐熱・高摺動性フィルムの左端部から25mm、次いで30mm間隔で55mm、85mm、115mm、145mm、175mm、205mm、235mm、265mm、295mm、325mm、355mm、385mm、415mm、445mm、475mm、505mm、535mm、565mm、595mmの箇所とした。
・高耐熱・高摺動性フィルムの表面粗さ
高耐熱・高摺動性フィルム表面の表面粗さは、算術平均粗さ(Ra)で評価した。この算術平均粗さ(Ra)は、JIS B0601−2001に準じ、高耐熱・高摺動性フィルムの押出方向について金属ロール面側と圧着ロール面側とを測定した。
・高耐熱・高摺動性フィルムの耐熱性
高耐熱・高摺動性フィルムの耐熱性については、貯蔵弾性率(E’)の第一変曲点温度と280℃における貯蔵弾性率により評価した。この高耐熱・高摺動性フィルムの貯蔵弾性率は、高耐熱・高摺動性フィルムの押出方向と幅方向(押出方向の直角方向)について測定した。
具体的には、高耐熱・高摺動性フィルムの押出方向の貯蔵弾性率を測定する場合には押出方向60mm×幅方向6mm、幅方向の貯蔵弾性率を測定する場合には押出方向6mm×幅60mmの大きさに切り出して測定した。貯蔵弾性率の測定に際しては、粘弾性スペクトロメータ〔ティー・エス・インスツルメント・ジャパン社製 製品名:RSA−G2〕を用いた引張モードにより、周波数3Hz、歪み0.1%、昇温速度3℃/分、測定温度範囲−60〜360℃、チェック間21mmの条件で測定した。
第一変曲点温度は、図2に示すように、貯蔵弾性率の変化曲線に対する2つの直線部を延長した交点の温度とした。第一変曲点温度を求める場合には、貯蔵弾性率の最初に急激に低下する前の直線部を高温側に延長して1本目の直線aを引き、貯蔵弾性率が最初に急激に低下した後の中間線の直線部を低温側に延長して2本目の直線bを引き、これら両線a、bの交点における垂直線を横軸の温度軸に引き、その温度を第一変曲点温度として求めた。
280℃における貯蔵弾性率は、貯蔵弾性率曲線より求めた。この貯蔵弾性率は、押出方向と幅方向に関して求めた。そして、貯蔵弾性率が1.0×107Pa以上の場合は○、1.0×107Pa未満〜1.0×105Pa以上の場合は△、1.0×105Pa未満場合を×とした。
・高耐熱・高摺動性フィルム表面の摺動性(高耐熱・高摺動性フィルム同士の摺動性)
高耐熱・高摺動性フィルム表面同士の摺動性は、静的摩擦係数(μs)と動的摩擦係数(μk)とで評価した。
静的摩擦係数と動的摩擦係数は、JIS K7125−1999に準拠して測定した。具体的には、表面性測定機 HEDON−14〔新東科学社製:製品名〕を使用し、23℃、50%RHの環境下にて、試験速度:100mm/min、荷重:200g、接触面積:63.5mm×63.5mmの条件で測定した。そして、この条件下で移動テーブル側に高耐熱・高摺動性フィルムの金属ロール面側、平面圧子側に高耐熱・高摺動性フィルムの圧着ロール面側を固定し、200gの荷重を作用させ、100mm/minの速度で静的摩擦係数と動的摩擦係数とを測定した。
・高耐熱・高摺動性フィルム表面の摺動性(高耐熱・高摺動性フィルムと他の樹脂フィルムとの摺動性)
高耐熱・高摺動性フィルム表面と他樹脂フィルム表面との滑り性は、静的摩擦係数(μs)と動的摩擦係数(μk)で評価した。静的摩擦係数と動的摩擦係数は、JIS K7125−1999に準拠して測定した。具体的には、表面性測定機 HEDON−14〔新東科学社製:製品名〕を使用し、23℃、50%RHの環境下にて、試験速度:100mm/min、荷重:200g、接触面積:63.5mm×63.5mmの条件で測定した。そして、移動テーブル側に高耐熱・高摺動性フィルムの金属ロール面側、平面圧子側に市販の各種樹脂フィルムを固定し、200gの荷重を作用させ、100mm/minの速度で静的摩擦係数と動的摩擦係数を測定した。表のμsは静的摩擦係数、μkは動的摩擦係数である。
各種樹脂フィルム
・ポリアミド9T樹脂フィルム〔信越ポリマー社製、Shin−Etsu SEPLA Film PA9T−NA、以下、PA9T樹脂シートという〕
・ポリエーテルエーテルケトン樹脂フィルム〔信越ポリマー社製、Shin−Etsu SEPLA Film PEEK、PEEK樹脂フィルムと略す〕
・ポリイミド樹脂フィルム〔東レ・デュポン社製、品名:カプトン、品番:100H、以下、PI樹脂フィルムという〕
・ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム〔東レ社製、品名:ルミラー100S10、以下、PET樹脂フィルムという〕
・薄板硬質塩化ビニルシート〔又永化工社製、以下、PVC樹脂シートという〕
・6ナイロンシート〔DSMジャパンエンジニアリングプラスチック社製、以下、PA6樹脂シートという〕
・ポリカーボネートシート〔タキロン社製、PC樹脂シートという〕
・ポリプロピレンシート〔共栄樹脂社製、PP樹脂シートという〕
薄板硬質塩化ビニルシート、6ナイロンシート、ポリカーボネートシート、及びポリプロピレンシートについては、サンズコーポレーション社より購入した。
〔実施例2〕
先ず、ポリエーテルエーテルケトン樹脂〔ソルベイスペシャルティポリマーズ社製 品名:キータスパイアポリエーテルエーテルケトン グレード:KT−820NL〕(以下、「KT−820NL」と略す)と、ポリエーテルイミド樹脂〔SABICイノベーティブプラスチック社製 品名:ULTEM 9011−1000−NB ガラス転移点:210℃〕(以下、「9011−1000」と略す)とが組成質量比率でポリエーテルエーテルケトン樹脂:50質量%、ポリエーテルイミド樹脂:50質量%となるように計量し、さらにフッ素樹脂として、PTFE樹脂〔喜多村製、製品名:KTL−620(以下「KTL−620」と略す〕をポリエーテルエーテルケトン樹脂とポリエーテルイミド樹脂の合計量100質量部に対して10質量部となるように計量し、計量後、3種類の樹脂をタンブラーミキサーに投入した。
投入後、タンブラーミキサーを23℃、1時間攪拌混合させ、攪拌混合物を調製したが、ポリエーテルイミド樹脂のガラス転移点については、実施例1と同様の方法により、測定した。ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、及びPTFE樹脂を攪拌混合して攪拌混合物を調製したら、この攪拌混合物を真空ポンプ付き二軸押出成形機に供給し、減圧下で溶融混練し、二軸押出機機の先端部のダイスから棒状に押し出して水冷後にカットし、ペレット形の成形材料を調製した。攪拌混合物はシリンダー温度360〜380℃、ダイス温度380℃、二軸押出機とダイスとを連結する連結管の温度380℃の条件下で溶融混練し、成形材料を調製した。
次いで、成形材料を150℃に加熱した除湿乾燥機に投入して12時間乾燥させ、この乾燥した成形材料を幅900mmのTダイスを備えたφ40mmの単軸押出成形機にセットして溶融混練し、この溶融混練した成形材料を単軸押出成形機のTダイスから連続的に押し出して高耐熱・高摺動性フィルムを帯形に押出成形した。成形材料の乾燥時の含水率は、254ppmであった。また、単軸押出成形機とスクリューは、実施例1と同様とした。
単軸押出成形機のシリンダー温度は360〜380℃、Tダイスの温度は385℃、単軸押出成形機とTダイスとを連結する連結管の温度は380℃に調整した。溶融した成形材料の温度について、Tダイス入口の樹脂温度を測定することとし、測定したところ、375℃であった。また、単軸押出成形機に成形材料を投入する際には、窒素ガス18L/分を供給した。
こうして高耐熱・高摺動性フィルムを帯状に押出成形したら、実施例1と同様の方法により、両側部をスリット刃で裁断して巻取機の巻取管に順次巻き取り、長さ100m、幅620mmの帯形のフィルムを製造した。この際、帯形のフィルムは、シリコーンゴム製の一対の圧着ロール、周面に凹凸を備えた210℃の冷却ロールである金属ロール、及びこれらの下流に位置する6インチの巻取管に順次巻架し、圧着ロールと金属ロールとに挟持させた。シリコーンゴム製の圧着ロールと金属ロールとは、実施例1と同様とした。
高耐熱・高摺動性フィルムが得られたら、実施例1と同様の方法により、この高耐熱・高摺動性フィルムのフィルム厚、表面粗さ、耐熱性、及び摺動性を評価して表1に記載した。高耐熱・高摺動性フィルムの表面粗さは算術平均粗さ(Ra)、耐熱性は第一変曲点温度と280℃における貯蔵弾性率(E’)、摺動性は静的摩擦係数(μs)と動的摩擦係数(μk)により評価した。
〔実施例3〕
先ず、実施例1のポリエーテルエーテルケトン樹脂とポリエーテルイミド樹脂とがポリエーテルエーテルケトン樹脂:40質量%、ポリエーテルイミド樹脂:60質量%となるように計量し、さらにPFA樹脂〔ダイキン工業社製、品名:ネオフロン PFA AP−210(以下「AP−210」と略す〕をポリエーテルエーテルケトン樹脂とポリエーテルイミド樹脂の合計量100質量部に対して25質量部となるように計量し、計量後に3種類の樹脂をタンブラーミキサーに投入した。投入後、タンブラーミキサーを23℃、1時間攪拌混合させ、攪拌混合物を調製した。
ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、及びPFA樹脂を攪拌混合して攪拌混合物を調製したら、この攪拌混合物を真空ポンプ付き二軸押出成形機に供給し、減圧下で溶融混練し、二軸押出機機の先端部のダイスから棒状に押し出して水冷後にカットし、ペレット形の成形材料を調製した。攪拌混合物はシリンダー温度350〜370℃、ダイス温度370℃、二軸押出機とダイスとを連結する連結管の温度370℃の条件下で溶融混練し、成形材料を調製した。
次いで、成形材料を150℃に加熱した除湿乾燥機に投入して12時間乾燥させ、この乾燥した成形材料を幅900mmのTダイスを備えたφ40mmの単軸押出成形機にセットして溶融混練し、この溶融混練した成形材料を単軸押出成形機のTダイスから連続的に押し出して高耐熱・高摺動性フィルムを帯形に押出成形した。成形材料の乾燥時の含水率は、237ppmであった。また、単軸押出成形機とスクリューは、実施例1と同様とした。この単軸押出成形機のシリンダー温度は360〜370℃、Tダイスの温度は375℃、単軸押出成形機とTダイスとを連結する連結管の温度は370℃に調整した。
溶融した成形材料の温度について、Tダイス入口の樹脂温度を測定することとし、測定したところ、364℃であった。また、単軸押出成形機に成形材料を投入する際には、窒素ガス18L/分を供給した。
こうして高耐熱・高摺動性フィルムを帯状に押出成形したら、実施例1と同様の方法により、両側部をスリット刃で裁断して巻取機の巻取管に順次巻き取り、長さ100m、幅620mmの帯形のフィルムを製造した。この際、帯形のフィルムは、シリコーンゴム製の一対の圧着ロール、周面に凹凸を備えた210℃の冷却ロールである金属ロール、及びこれらの下流に位置する6インチの巻取管に順次巻架し、圧着ロールと金属ロールとに挟持させた。シリコーンゴム製の圧着ロールと金属ロールは、実施例1と同様とした。
高耐熱・高摺動性フィルムが得られたら、実施例1と同様の方法により、高耐熱・高摺動性フィルムのフィルム厚、表面粗さ、耐熱性、及び摺動性を評価して表1に記載した。高耐熱・高摺動性フィルムの表面粗さは算術平均粗さ(Ra)、耐熱性は第一変曲点温度と280℃における貯蔵弾性率(E’)、摺動性は静的摩擦係数(μs)と動的摩擦係数(μk)により評価した。
〔実施例4〕
先ず、ポリエーテルエーテルケトン樹脂〔ダイセル・エボニック社製 製品名:ベスタキープ グレード:3300G〕(以下、「3300G」と略す)と、実施例1で使用したポリエーテルイミド樹脂とが組成質量比率でポリエーテルエーテルケトン樹脂:30質量%、ポリエーテルイミド樹脂:70質量%となるように計量し、さらにフッ素樹脂として、FEP樹脂〔ダイキン工業社製、品名:ネオフロン FEP NP−20(以下「NP−20」と略す〕をポリエーテルエーテルケトン樹脂とポリエーテルイミド樹脂の合計量100質量部に対して20質量部となるように計量し、計量後に3種類の樹脂をタンブラーミキサーに投入した。投入後、タンブラーミキサーを23℃、1時間攪拌混合させて攪拌混合物を調製した。
ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、及びFEP樹脂を攪拌混合して攪拌混合物を調製したら、この攪拌混合物を真空ポンプ付き二軸押出成形機に供給し、減圧下で溶融混練し、二軸押出機機の先端部のダイスから棒状に押し出して水冷後カットし、ペレット形の成形材料を調製した。攪拌混合物はシリンダー温度は350〜370℃、ダイス温度370℃、二軸押出機とダイスとを連結する連結管の温度370℃の条件下で溶融混練し、成形材料を調製した。
次いで、成形材料を150℃に加熱した除湿乾燥機に投入して12時間乾燥させ、この乾燥した成形材料を幅900mmのTダイスを備えたφ40mmの単軸押出成形機にセットして溶融混練し、この溶融混練した成形材料を単軸押出成形機のTダイスから連続的に押し出して高耐熱・高摺動性フィルムを帯形に押出成形した。成形材料の乾燥時の含水率は、243ppmであった。また、単軸押出成形機とスクリューは、実施例1と同様とした。この単軸押出成形機のシリンダー温度は350〜370℃、Tダイスの温度は375℃、単軸押出成形機とTダイスとを連結する連結管の温度は370℃に調整した。
溶融した成形材料の温度について、Tダイス入口の樹脂温度を測定することとし、測定したところ、361℃であった。また、単軸押出成形機に成形材料を投入する際、窒素ガス18L/分を供給した。
高耐熱・高摺動性フィルムを帯状に押出成形したら、実施例1と同様の方法により、両側部をスリット刃で裁断して巻取機の巻取管に順次巻き取り、長さ100m、幅620mmの帯形のフィルムを製造した。この際、帯形のフィルムは、シリコーンゴム製の一対の圧着ロール、周面に算術平均粗さ(Ra)が2.90μmの凹凸を備えた150℃の冷却ロールである金属ロール、及びこれらの下流に位置する6インチの巻取管に順次巻架し、圧着ロールと金属ロールとに挟持させた。シリコーンゴム製の圧着ロールは実施例1と同様とした。
高耐熱・高摺動性フィルムが得られたら、実施例1と同様の方法により、高耐熱・高摺動性フィルムのフィルム厚、表面粗さ、耐熱性、及び摺動性を評価して表2に記載した。高耐熱・高摺動性フィルムの表面粗さは算術平均粗さ(Ra)、耐熱性は第一変曲点温度と280℃における貯蔵弾性率(E’)、摺動性は静的摩擦係数(μs)と動的摩擦係数(μk)により評価した。
〔実施例5〕
先ず、ポリエーテルエーテルケトン樹脂〔ビクトレックス社製 製品名:VictrexPEEK381G〕(以下、「381G」と略す)と、実施例2と同様のポリエーテルイミド樹脂とが組成質量比率でポリエーテルエーテルケトン樹脂:20質量%、ポリエーテルイミド樹脂:80質量%となるように計量し、さらにフッ素樹脂として、実施例3で使用したPFA樹脂をポリエーテルエーテルケトン樹脂とポリエーテルイミド樹脂の合計量100質量部に対してPFA樹脂を15質量部となるように計量し、計量後、3種類の樹脂をタンブラーミキサーに投入した。投入後、タンブラーミキサーを23℃、1時間攪拌混合させて攪拌混合物を調製した。
ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂とPFA樹脂とを攪拌混合し、攪拌混合物を調製したら、この攪拌混合物を真空ポンプ付き二軸押出成形機に供給し、減圧下で溶融混練し、二軸押出機機の先端部のダイスから棒状に押し出して水冷後カットし、ペレット形の成形材料を調製した。攪拌混合物は、シリンダー温度345〜365℃、ダイス温度365℃、二軸押出機とダイスとを連結する連結管の温度365℃の条件下で溶融混練し、成形材料を調製した。
次いで、成形材料を150℃に加熱した除湿乾燥機に投入して12時間乾燥させ、この乾燥した成形材料を幅900mmのTダイスを備えたφ40mmの単軸押出成形機にセットして溶融混練し、この溶融混練した成形材料を単軸押出成形機のTダイスから連続的に押し出して高耐熱・高摺動性フィルムを帯形に押出成形した。成形材料の乾燥時の含水率は、267ppmであった。また、単軸押出成形機とスクリューは、実施例1と同様とした。この単軸押出成形機の温度は350〜370℃、Tダイスの温度は375℃、単軸押出成形機とTダイスとを連結する連結管の温度は370℃に調整した。
溶融した成形材料の温度については、Tダイス入口の樹脂温度を測定することとし、測定したところ、362℃であった。また、単軸押出成形機に成形材料を投入する際、窒素ガス18L/分を供給した。
高耐熱・高摺動性フィルムを帯形に押出成形したら、この高耐熱・高摺動性フィルムを、シリコーンゴム製の一対の圧着ロール、周面に凹凸を備えた230℃の冷却ロールである金属ロール、及びこれらの下流に位置する6インチの巻取管に順次巻架し、圧着ロールと金属ロールとに挟持させた。圧着ロールは実施例1、金属ロールは実施例3で使用したものとした。
得られた高耐熱・高摺動性フィルムは、冷却ロールである金属ロール面側が圧着ロール面側となるようにシリコーンゴム製の一対の圧着ロール、周面に凹凸を備えた230℃の冷却ロールである金属ロール、及びこれらの下流に位置する6インチの巻取管に順次巻架し、圧着ロールと金属ロールとに狭持させた。この際、連続した高耐熱・高摺動性フィルムの両側部をスリット刃で裁断して巻取機の巻取管に順次巻き取り、長さ100m、幅620mmの高耐熱・高摺動性用フィルムを製造した。
高耐熱・高摺動性フィルムが得られたら、実施例1と同様の方法により、高耐熱・高摺動性フィルムのフィルム厚、表面粗さ、耐熱性、及び摺動性を評価して表2に記載した。高耐熱・高摺動性フィルムの表面粗さは算術平均粗さ(Ra)、耐熱性は第一変曲点温度と280℃における貯蔵弾性率(E’)、摺動性は静的摩擦係数(μs)と動的摩擦係数(μk)により評価した。
〔実施例6〕
先ず、実施例1のポリエーテルエーテルケトン樹脂と、実施例2のポリエーテルイミド樹脂とが組成質量比率でポリエーテルエーテルケトン樹脂:10質量%、ポリエーテルイミド樹脂:90質量%となるように計量し、さらにフッ素樹脂として、PFA樹脂〔ダイキン工業社製、品名:ネオフロン PFA ACX−31(以下「ACX−31」と略す)〕をポリエーテルエーテルケトン樹脂とポリエーテルイミド樹脂の合計量100質量部に対して18質量部となるように計量し、計量後、3種類の樹脂をタンブラーミキサーに投入した。投入後、タンブラーミキサーを23℃、1時間攪拌混合させ、攪拌混合物を調製した。
ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、及びPFA樹脂を攪拌混合して攪拌混合物を調製したら、この攪拌混合物を真空ポンプ付き二軸押出成形機に供給し、減圧下で溶融混練し、二軸押出機機の先端部のダイスから棒状に押し出して水冷後にカットし、ペレット形の成形材料を調製した。攪拌混合物はシリンダー温度345〜365℃、ダイス温度365℃、二軸押出機とダイスとを連結する連結管の温度365℃の条件下で溶融混練し、成形材料を調製した。
次いで、成形材料を150℃に加熱した除湿乾燥機に投入して12時間乾燥させ、この乾燥した成形材料を幅900mmのTダイスを備えたφ40mmの単軸押出成形機にセットして溶融混練し、この溶融混練した成形材料を単軸押出成形機のTダイスから連続的に押し出して高耐熱・高摺動性フィルムを帯形に押出成形した。成形材料の乾燥時の含水率は、251ppmであった。また、単軸押出成形機とスクリューは、実施例1と同様とした。この単軸押出成形機の温度は345〜365℃、Tダイスの温度は370℃、単軸押出成形機とTダイスとを連結する連結管の温度は365℃に調整した。
溶融した成形材料の温度については、Tダイス入口の樹脂温度を測定することとし、測定したところ、357℃であった。また、単軸押出成形機に成形材料を投入する際、窒素ガス18L/分を供給した。
高耐熱・高摺動性フィルムを帯形に押出成形したら、この高耐熱・高摺動性フィルムを、シリコーンゴム製の一対の圧着ロール、周面に凹凸を備えた130℃の冷却ロールである金属ロール、及びこれらの下流に位置する6インチの巻取管に順次巻架し、圧着ロールと金属ロールとに挟持させた。圧着ロールと金属ロールは実施例1と同様とした。
得られた高耐熱・高摺動性フィルムは、冷却ロールである金属ロール面側が圧着ロール面側となるようにシリコーンゴム製の一対の圧着ロール、周面に凹凸を備えた230℃の冷却ロールである金属ロール、及びこれらの下流に位置する6インチの巻取管に順次巻架し、圧着ロールと金属ロールとに狭持させた。この際、連続した高耐熱・高摺動性フィルムの両側部をスリット刃で裁断して巻取機の巻取管に順次巻き取り、長さ100m、幅620mmの高耐熱・高摺動性用フィルムを製造した。また、圧着ロールと金属ロールは、実施例1と同様とした。
高耐熱・高摺動性フィルムが得られたら、実施例1と同様の方法により、高耐熱・高摺動性フィルムのフィルム厚、表面粗さ、耐熱性、及び摺動性を評価して表2に記載した。高耐熱・高摺動性フィルムの表面粗さは算術平均粗さ(Ra)、耐熱性は第一変曲点温度と280℃における貯蔵弾性率(E’)、摺動性は静的摩擦係数(μs)と動的摩擦係数(μk)により評価した。
〔比較例1〕
実施例1のポリエーテルエーテルケトン樹脂と、実施例2のポリエーテルイミド樹脂とが、組成質量比率でポリエーテルエーテルケトン樹脂:40質量%、ポリエーテルイミド樹脂:60質量%となるように計量し、さらにフッ素樹脂として、実施例1で使用したPFA樹脂をポリエーテルエーテルケトン樹脂とポリエーテルイミド樹脂の合計量100質量部に対して5質量部となるように計量し、計量後、3種類の樹脂をタンブラーミキサーに投入した。投入後、タンブラーミキサーを23℃、1時間攪拌混合させ、攪拌混合物を調製した。
ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、及びPFA樹脂を攪拌混合して攪拌混合物を調製したら、攪拌混合物を真空ポンプ付き二軸押出成形機に供給し、減圧下で溶融混練し、二軸押出機機の先端部のダイスから棒状に押し出して水冷後にカットし、ペレット形の成形材料を調製した。攪拌混合物はシリンダー温度350〜370℃、ダイス温度370℃、二軸押出機とダイスとを連結する連結管の温度370℃の条件下で溶融混練し、成形材料を調製した。
次いで、成形材料を150℃に加熱した除湿乾燥機に投入して12時間乾燥させ、この乾燥した成形材料を幅900mmのTダイスを備えたφ40mmの単軸押出成形機にセットして溶融混練し、この溶融混練した成形材料を単軸押出成形機のTダイスから連続的に押し出して高耐熱・高摺動性フィルムを帯形に押出成形した。成形材料の乾燥時の含水率は、229ppmであった。また、単軸押出成形機とスクリューは、実施例1と同様である。この単軸押出成形機のシリンダー温度は360〜370℃、Tダイスの温度は375℃、単軸押出成形機とTダイスとを連結する連結管の温度は370℃に調整した。
溶融した成形材料の温度について、Tダイス入口の樹脂温度を測定することとし、測定したところ、367℃であった。また、単軸押出成形機に成形材料を投入する際、窒素ガス18L/分を供給した。
高耐熱・高摺動性フィルムを帯状に押出成形したら、実施例1と同様の方法により、両側部をスリット刃で裁断して巻取機の巻取管に順次巻き取り、長さ100m、幅620mmの帯形のフィルムを製造した。この際、帯形のフィルムは、シリコーンゴム製の一対の圧着ロール、周面に凹凸を備えた210℃の冷却ロールである金属ロール、及びこれらの下流に位置する6インチの巻取管に順次巻架し、圧着ロールと金属ロールとに挟持させた。圧着ロールとしてはシリコーンゴムに金属を被覆した算術平均粗さが0.04μmの鏡面ロールを使用し、金属ロールは算術平均粗さ(Ra)が0.04μmの鏡面ロールを使用した。
高耐熱・高摺動性フィルムが得られたら、実施例1と同様の方法により、高耐熱・高摺動性フィルムのフィルム厚、表面粗さ、耐熱性、及び摺動性を評価して表3に記載した。高耐熱・高摺動性フィルムの表面粗さは算術平均粗さ(Ra)、耐熱性は第一変曲点温度と280℃における貯蔵弾性率(E’)、摺動性は静的摩擦係数(μs)と動的摩擦係数(μk)により評価した。
〔比較例2〕
実施例1で使用したポリエーテルエーテルケトン樹脂と実施例2で使用したポリエーテルイミド樹脂とが組成質量比率でポリエーテルエーテルケトン樹脂:75質量%、ポリエーテルイミド樹脂:25質量%となるように計量し、さらにフッ素樹脂として、実施例3で使用した同様のPFA樹脂をポリエーテルエーテルケトン樹脂とポリエーテルイミド樹脂の合計量100質量部に対して25質量部となるように計量し、計量後、3種類の樹脂をタンブラーミキサーに投入した。投入後、このタンブラーミキサーを23℃、1時間攪拌混合させ、攪拌混合物を調製した。
ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂とPFA樹脂とを攪拌混合し、攪拌混合物を調製したら、この攪拌混合物を真空ポンプ付き二軸押出成形機に供給し、減圧下で溶融混練し、二軸押出機機の先端部のダイスから棒状に押し出して水冷後カットし、ペレット形の成形材料を調製した。攪拌混合物は、シリンダー温度350〜370℃、ダイス温度370℃、二軸押出機とダイスとを連結する連結管の温度370℃の条件下で溶融混練し、成形材料を調製した。
次いで、成形材料を150℃に加熱した除湿乾燥機に投入して12時間乾燥させ、この乾燥した成形材料を幅900mmのTダイスを備えたφ40mmの単軸押出成形機にセットして溶融混練し、この溶融混練した成形材料を単軸押出成形機のTダイスから連続的に押し出して高耐熱・高摺動性フィルムを帯形に押出成形した。成形材料の乾燥時の含水率は、232ppmであった。また、単軸押出成形機とスクリューは、実施例1と同様である。この単軸押出成形機のシリンダー温度は360〜370℃、Tダイスの温度は375℃、単軸押出成形機とTダイスとを連結する連結管の温度は370℃に調整した。
溶融した成形材料の温度について、Tダイス入口の樹脂温度を測定することとし、測定したところ、365℃であった。また、単軸押出成形機に成形材料を投入する際には、窒素ガス18L/分を供給した。
高耐熱・高摺動性フィルムを帯状に押出成形したら、実施例1と同様の方法により、両側部をスリット刃で裁断して巻取機の巻取管に順次巻き取り、長さ100m、幅620mmの帯形のフィルムを製造した。この際、帯形のフィルムは、シリコーンゴム製の一対の圧着ロール、周面に凹凸を備えた205℃の冷却ロールである金属ロール、及びこれらの下流に位置する6インチの巻取管に順次巻架し、圧着ロールと金属ロールとに挟持させた。シリコーンゴム製の圧着ロールと金属ロールは実施例1と同様である。
高耐熱・高摺動性フィルムが得られたら、実施例1と同様の方法により、高耐熱・高摺動性フィルムのフィルム厚、表面粗さ、耐熱性、及び摺動性を評価して表3に記載した。高耐熱・高摺動性フィルムの表面粗さは算術平均粗さ(Ra)、耐熱性は第一変曲点温度と280℃における貯蔵弾性率(E’)、摺動性は静的摩擦係数(μs)と動的摩擦係数(μk)により評価した。
〔比較例3〕
実施例5のポリエーテルエーテルケトン樹脂と実施例1のポリエーテルイミド樹脂とが、組成質量比率でポリエーテルエーテルケトン樹脂:1質量%、ポリエーテルイミド樹脂:99質量%となるように計量し、さらにフッ素樹脂として、実施例1で使用したPFA樹脂をポリエーテルエーテルケトン樹脂とポリエーテルイミド樹脂の合計量100質量部に対して15質量部となるように計量し、計量後、3種類の樹脂をタンブラーミキサーに投入した。投入後、タンブラーミキサーを23℃、1時間攪拌混合させて攪拌混合物を調製した。
ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、及びPFA樹脂を攪拌混合して攪拌混合物を調製したら、この攪拌混合物を真空ポンプ付き二軸押出成形機に供給し、減圧下で溶融混練し、二軸押出機機の先端部のダイスから棒状に押し出して水冷後カットし、ペレット形の中間体である成形材料を調製した。攪拌混合物はシリンダー温度340〜360℃、ダイス温度360℃、二軸押出機とダイスとを連結する連結管の温度360℃の条件下で溶融混練し、成形材料を調製した。
次いで、成形材料を150℃に加熱した除湿乾燥機に投入して12時間乾燥させ、この乾燥した成形材料を幅900mmのTダイスを備えたφ40mmの単軸押出成形機にセットして溶融混練し、この溶融混練した成形材料を単軸押出成形機のTダイスから連続的に押し出して高耐熱・高摺動性フィルムを帯形に押出成形した。成形材料の乾燥時の含水率は、230ppmであった。また、単軸押出成形機は、実施例1と同様とした。この単軸押出成形機のシリンダー温度は340〜360℃、Tダイスの温度は360℃、単軸押出成形機とTダイスとを連結する連結管の温度は365℃に調整した。
溶融した成形材料の温度について、Tダイス入口の樹脂温度を測定することとし、測定したところ、351℃であった。また、単軸押出成形機に成形材料を投入する際、窒素ガス18L/分を供給した。
高耐熱・高摺動性フィルムを帯状に押出成形したら、実施例1と同様の方法により、両側部をスリット刃で裁断して巻取機の巻取管に順次巻き取り、長さ100m、幅620mmの帯形のフィルムを製造した。この際、帯形のフィルムは、シリコーンゴム製の一対の圧着ロール、周面に凹凸を備えた210℃の冷却ロールである金属ロール、及びこれらの下流に位置する6インチの巻取管に順次巻架し、圧着ロールと金属ロールとに挟持させた。シリコーンゴム製の圧着ロールと金属ロールは実施例1と同様である。
高耐熱・高摺動性フィルムが得られたら、実施例1と同様の方法により、高耐熱・高摺動性フィルムのフィルム厚、表面粗さ、耐熱性、及び摺動性を評価して表3に記載した。高耐熱・高摺動性フィルムの表面粗さは算術平均粗さ(Ra)、耐熱性は第一変曲点温度と280℃における貯蔵弾性率(E’)、摺動性は静的摩擦係数(μs)と動的摩擦係数(μk)により評価した。
〔比較例4〕
実施例5のポリエーテルエーテルケトン樹脂と実施例1のポリエーテルイミド樹脂とが、組成質量比率でポリエーテルエーテルケトン樹脂:20質量%、ポリエーテルイミド樹脂:80質量%となるように計量し、この2種類の樹脂をタンブラーミキサーに投入した。投入後、タンブラーミキサーを23℃、1時間攪拌混合させて攪拌混合物を調製した。
攪拌混合物を調製したら、この攪拌混合物を真空ポンプ付き二軸押出成形機に供給し、減圧下で溶融混練し、二軸押出機機の先端部のダイスから棒状に押し出して水冷後カットし、ペレット形の中間体である成形材料を調製した。攪拌混合物はシリンダー温度345〜365℃、ダイス温度365℃、二軸押出機とダイスとを連結する連結管の温度365℃の条件下で溶融混練し、成形材料を調製した。
次いで、成形材料を150℃に加熱した除湿乾燥機に投入して12時間乾燥させ、この乾燥した成形材料を幅900mmのTダイスを備えたφ40mmの単軸押出成形機にセットして溶融混練し、この溶融混練した成形材料を単軸押出成形機のTダイスから連続的に押し出して高耐熱・高摺動性フィルムを帯形に押出成形した。成形材料の乾燥時の含水率は、254ppmであった。また、単軸押出成形機とスクリューは、実施例1と同様とした。この単軸押出成形機のシリンダー温度は350〜370℃、Tダイスの温度は375℃、単軸押出成形機とTダイスとを連結する連結管の温度は370℃に調整した。
溶融した成形材料の温度について、Tダイス入口の樹脂温度を測定することとし、測定したところ、365℃であった。また、単軸押出成形機に成形材料を投入する際、窒素ガス18L/分を供給した。
こうして高耐熱・高摺動性フィルムを帯状に押出成形したら、実施例1と同様の方法により、両側部をスリット刃で裁断して巻取機の巻取管に順次巻き取り、長さ100m、幅620mmの帯形のフィルムを製造した。この際、帯形のフィルムは、シリコーンゴム製の一対の圧着ロール、周面に凹凸を備えた230℃の冷却ロールである金属ロール、及びこれらの下流に位置する6インチの巻取管に順次巻架し、圧着ロールと金属ロールとに挟持させた。シリコーンゴム製の圧着ロールと金属ロールは、実施例1と同様とした。
得られた高耐熱・高摺動性フィルムは、冷却ロールである金属ロール面側が圧着ロール面側となるようにシリコーンゴム製の一対の圧着ロール、周面に凹凸を備えた230℃の冷却ロールである金属ロール、及びこれらの下流に位置する6インチの巻取管に順次巻架し、圧着ロールと金属ロールとに狭持させた。この際、連続した高耐熱・高摺動性フィルムの両側部をスリット刃で裁断して巻取機の巻取管に順次巻き取り、長さ100m、幅620mmの高耐熱・高摺動性用フィルムを製造した。また、シリコーンゴム製の圧着ロールと金属ロールは、実施例1と同様とした。
高耐熱・高摺動性フィルムが得られたら、実施例1と同様の方法により、高耐熱・高摺動性フィルムのフィルム厚、表面粗さ、耐熱性、及び摺動性を評価して表4に記載した。高耐熱・高摺動性フィルムの表面粗さは算術平均粗さ(Ra)、耐熱性は第一変曲点温度と280℃における貯蔵弾性率(E’)、摺動性は静的摩擦係数(μs)と動的摩擦係数(μk)により評価した。
〔比較例5〕
実施例1のポリエーテルエーテルケトン樹脂と実施例2のポリエーテルイミド樹脂とが、組成質量比率でポリエーテルエーテルケトン樹脂:40質量%、ポリエーテルイミド樹脂:60質量%となるように計量し、さらにフッ素樹脂として、実施例3で使用したPFA樹脂をポリエーテルエーテルケトン樹脂とポリエーテルイミド樹脂の合計量100質量部に対して35質量部となるように計量し、計量後、3種類の樹脂をタンブラーミキサーに投入した。投入後、タンブラーミキサーを23℃、1時間攪拌混合させて攪拌混合物を調製した。
ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、及びPFA樹脂を攪拌混合して攪拌混合物を調製したら、この攪拌混合物を真空ポンプ付き二軸押出成形機に供給し、減圧下で溶融混練し、二軸押出機機の先端部のダイスから棒状に押し出して水冷後にカットし、ペレット形の中間体である成形材料を調製した。攪拌混合物は、シリンダー温度350〜370℃、ダイス温度370℃、二軸押出機とダイスとを連結する連結管の温度370℃の条件下で溶融混練した。
溶融混練物は溶融張力がないため、ストランド状の押出成形物を成形することができなかったため、ペレット形の成形材料を製造することができなかった。したがって、高耐熱・高摺動性フィルムを成形しなかった。
結 果
各実施例より得られる高耐熱・高摺動性フィルムは、第一変曲点温度が170℃以上でポリエーテルエーテルケトン樹脂より高温で外力による変形を防止することができ、280℃における貯蔵弾性率が1×105Pa以上なので、優れた高温耐熱性を得ることができた。また、静的摩擦係数と動的摩擦係数が共に1.0以下であり、優れた摺動性を得ることができた。
これに対し、比較例1は、耐熱性は十分であるが、PC樹脂シートとの静的摩擦係数及び動的摩擦係数が1.0以上であり、不十分な摺動性しか得られなかった。また、比較例2は、第一変曲点温度が170℃未満なので、耐熱性に問題が生じた。比較例3は、第一変曲点温度が170℃以上の耐熱性を有していたが、280℃における貯蔵弾性率が1×105Pa未満となり、不十分な耐熱性となった。
比較例4は、比較例1と同様に耐熱性は十分であるが、PC樹脂シートとの静的摩擦係数及び動的摩擦係数が1.0以上となり、不十分な摺動性となった。さらに、比較例5は、溶融混練物の溶融張力がないため、ストランド状の押出成形物を成形することができなかった。このため、ペレット形の成形材料を製造することができず、高耐熱・高摺動性フィルムを成形できなかった。