JP6174541B2 - 非晶性熱可塑性樹脂フィルムの製造方法 - Google Patents

非晶性熱可塑性樹脂フィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、スピーカ用振動板、電線の絶縁被覆用フィルム、各種テープの基材フィルム等として利用される非晶性熱可塑性樹脂フィルムの製造方法に関し、より詳しくは、非晶性熱可塑性樹脂フィルムの滑り性の改良方法に関するものである。
PEI(ポリエーテルイミド)樹脂、PES(ポリエーテルスルホン)樹脂、あるいはPPSU(ポリフェニレンスルホン)樹脂等の200℃以上のガラス転移点(Tg)を有する非晶性熱可塑性樹脂は、機械的性質、耐熱性、難燃性、寸法安定性、電気的特性等に優れた性質を有している。この点に鑑み、これらの樹脂より得られる非晶性熱可塑性樹脂フィルムは、スピーカ用振動板、電線の絶縁被覆用フィルム、各種テープの基材フィルム等として使用されている。
しかしながら、非晶性可塑性樹脂フィルムは、通常、滑り性に劣るため、例えば厚さ10μm以下のフィルムの製造時にフィルムの巻取りに支障を来したり、スリット形成等の作業が困難化したり、フィルムに皺が発生することがある。また、フィルムが裂けたり、フィルムが破断したり、あるいはロールに不適切に巻き付いたりするという問題が生じることもある。したがって、非晶性熱可塑性樹脂フィルムの滑り性(摺動性)については、改良する必要がある。
一般に樹脂フィルムの滑り性を改善する方法としては、(1)樹脂フィルムの表面に微細な凹凸を形成して表面の摩擦係数を低下させる方法、(2)シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン等の無機化合物を添加し、樹脂フィルムの表面に微小な突起を形成することにより、樹脂フィルム表面の摩擦係数を低下させる方法、(3)グリセリンモノベヘネート、あるいはグリセリンモノステアレート等のグリセリン及び炭素数が20以上である脂肪酸モノステアレートを添加する方法(特許文献1)、(4)熱可塑性樹脂にオレフィン系ワックス、シリコーンオイル(特許文献2)、あるいはフッ素樹脂(特許文献3、特許文献4)等の摩擦係数の小さい化合物を添加し、樹脂フィルムを溶融押出成形してその表面摩擦係数を低下させる方法があげられる。
特開2008‐308606号公報 特許第3432434号 特開平09‐302209号公報 特開平06‐136255号公報
しかしながら、(1)の方法を採用する場合には、樹脂フィルムの表面の滑り性が不十分であり、しかも、厚さ10μm以下の樹脂フィルムを製造するとき、機械的性質が低下し、樹脂フィルムの巻取り中に破断してしまうという問題が生じる。また、(2)の方法を採用する場合には、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン等の無機化合物を添加するため、厚さ10μm以下の樹脂フィルムを成形しようとすると、ドローレゾナンスが発生したり、樹脂フィルムの機械的性質が低下するため、厚さ10μm以下の薄い樹脂フィルムの成形が困難になる。
(3)の方法は、ポリカーボネート樹脂のような溶融成形温度が300℃以下の樹脂には採用可能であるが、PEI樹脂、PES樹脂、あるいはPPSU樹脂等のガラス転移点が200℃を越えるような非晶性熱可塑性樹脂のとき、成形温度が300℃を越えるため、溶融成形中にグリセリン、及び炭素数が20以上である脂肪酸モノステアレートが分解、あるいは揮発するおそれがある。
(4)の方法の場合には、樹脂フィルムの品質や製造に困難が生じるおそれがある。この問題について詳しく説明すると、溶融成形温度が300℃を越える非晶性熱可塑性樹脂を使用した場合、溶融押出成形中にオレフィン系ワックスが熱分解するおそれがあり、熱分解物により樹脂フィルムに孔が開いたり、孔が開いた部分より樹脂フィルムが切れて巻き取れないという問題が新たに生じる。また、樹脂フィルムを巻き取った後、熱分解物が凸状になるので、外観不良を招くこととなる。また、低分子生成物が液状のときには、溶融押出成形後の樹脂フィルムから滲み出しや移行の問題が生じる。
シリコーンオイルを添加する方法の場合、溶融押出成形温度が300℃を越えるPEI樹脂、PES樹脂、あるいはPPSU樹脂等の非晶性熱可塑性樹脂にシリコーンオイルを添加し、溶融押出成形するとき、シリコーンオイルの一部が押出成形機の内部に残留し、この残留物が酸素の存在する高温の雰囲気下で酸素と架橋反応して変質するので、ゲルの生成やシリコーンオイルの分子鎖の切断による低分子組成物の生成を招くこととなる。ゲルが生じると、ゲル部分から樹脂フィルムに孔が開いたり、孔が開いた部分から樹脂フィルムが切れて巻き取れないという問題が新たに生じることとなる。
また、例え樹脂フィルムを巻き取ることができたとしても、樹脂フィルム中に異物が残存する関係上、10μm以下の薄い樹脂フィルムを製造する際、巻取工程のトラブル、品質の不具合、ロングラン成形性の低下を招いたり、ゲル状部分が凸状となり、外観不良を招くおそれがある。低分子生成物が、液状のときには、溶融押出成形後の樹脂フィルムから滲み出しや移行の問題が生じる。
また、(4)の特許文献3には、フッ素樹脂としてポリテトラフルオロエチレンを添加し、成形品に摺動性を付与する方法が記載されている。ポリテトラフルオロエチレンは、溶融粘度が非常に高いため、溶融流動性がほとんど認められない。ポリテトラフルオロエチレンを摺動剤として熱可塑性樹脂に添加する場合、ポリテトラフルオロエチレンは、一般的に微粉体の形状で使用される。このポリテトラフルオロエチレンを熱可塑性樹脂に添加して成形材料を調製し、この成形材料を用いた溶融押出成形により、厚さ10μm以下の樹脂フィルムを製造するとき、ポリテトラフルオロエチレンは均一分散性が悪いため、摺動性を付与するためには、多量に添加しなければならない。
ポリテトラフルオロエチレンを熱可塑性樹脂に多量に添加した成形材料は、溶融時の伸びが大きく低下するため、厚さが10μm以下の樹脂フィルムの製造がきわめて困難となる。また、ポリテトラフルオロエチレンは熱可塑性樹脂中での分散性が悪いため、樹脂フィルム中でダマ状となり、樹脂フィルムの外観不良を招く。したがって、この組成物より得られる10μm以下の樹脂フィルムは、機械的強度の低下や孔開き等の問題が生じる。
また、(4)の特許文献4の方法は、溶融流動性が小さいため、フッ素樹脂を使用した場合、フッ素樹脂が十分に分散せず、分散不良物(ゲル状物)となり、厚さ10μm以下の薄い樹脂フィルムでは、係る分散不良物から樹脂フィルムに孔開きが生じるという問題が生じる。さらに、フッ素樹脂の分散不良により、樹脂フィルムの機械的性質が低下し、樹脂フィルムの製造中に破断しやくなるため、薄い樹脂フィルムの製造が困難になるという問題も生じる。
本発明は上記に鑑みなされたもので、厚さ10μm以下の薄い非晶性熱可塑性樹脂フィルムの滑り性や機械的性質を向上させることができ、非晶性熱可塑性樹脂フィルムを損傷させることなく容易に製造することのできる非晶性熱可塑性樹脂フィルムの製造方法を提供することを目的としている。
本発明者等は、上記課題を解決するため、鋭意研究した結果、成形材料中、摩擦係数が最小であるフッ素樹脂とダイとにより溶融押出しされた帯状の非晶性熱可塑性樹脂フィルムの冷却温度に着目し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明においては上記課題を解決するため、所定の樹脂含有の成形材料を用いた成形法により、200℃以上のガラス転移点を有する非晶性熱可塑性樹脂フィルムを10μm以下の厚さに製造する製造方法であって、
200℃以上のガラス転移点を有する非晶性熱可塑性樹脂100質量部に対し、温度360℃で少なくとも溶融粘度が120,000ポイズ以下のフッ素樹脂1.0〜10質量部を添加して成形材料を調製し、この成形材料の含水率を5,000ppm以下とし、
成形材料を押出成形機にセットしてそのダイから厚さ1.0〜10μmの非晶性熱可塑性樹脂フィルムを連続的に溶融押出成形するとともに、この際の押出成形機とダイの温度を、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点あるいはフッ素樹脂の融点のどちらか低い方の温度〜400℃とし、連続的に溶融押出成形した非晶性熱可塑性樹脂フィルムを圧着ロール、金属ロール、及びこれらの下流に位置する巻取管に巻きかけ、
押出成形機のダイと金属ロール間の空気の雰囲気温度を、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点−40℃〜非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点+40℃の範囲とするとともに、金属ロールの温度を、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点−100℃〜非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点−10℃の範囲とすることにより、非晶性熱可塑性樹脂フィルムに微小突起を3個/(30×30)μm〜30個/(30×30)μm形成し、これら複数の微小突起の高さを50〜300nmとすることを特徴としている。
なお、非晶性熱可塑性樹脂にフッ素樹脂を添加して攪拌混合し、これらを溶融混練するとともに、この溶融混練時の温度を、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点あるいはフッ素樹脂の融点のどちらか低い方の温度〜400℃とすることにより、成形材料を調製することができる。
また、溶融した非晶性熱可塑性樹脂にフッ素樹脂を添加してこれらを溶融混練するとともに、この溶融混練時の温度を、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点あるいはフッ素樹脂の融点のどちらか低い方の温度〜400℃とすることにより、成形材料を調製することもできる。
また、圧着ロールと巻取管との間に、フィルム切断用のスリット刃を配置し、巻取管とスリット刃との間に、非晶性熱可塑性樹脂フィルムにテンションを作用させるテンションロールを備えることができる。
ここで、特許請求の範囲における成形材料は、非晶性熱可塑性樹脂とフッ素樹脂とを室温下で攪拌混合して溶融混練することにより、調製することができる。フッ素樹脂は、通常、融点未満の温度の場合に固体状であることが好ましい。
本発明によれば、厚さ10μm以下の薄い非晶性熱可塑性樹脂フィルムの滑り性や機械的性質を向上させることができるという効果がある。また、非晶性熱可塑性樹脂フィルムを損傷させることなく容易に製造することができる。また、ガラス転移点が200℃以上の非晶性熱可塑性樹脂に対して連続最高使用温度が200℃以上のフッ素樹脂を添加して成形材料を調製するので、耐熱性(例えば、200℃以上)を維持することができる。
また、本発明によれば、押出成形機のダイと金属ロール間の空気の雰囲気温度を、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点−40℃〜非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点+40℃の範囲とするとともに、金属ロールの温度を、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点−100℃〜非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点−10℃の範囲に制御することにより、非晶性熱可塑性樹脂フィルムの表面にフッ素樹脂製の微小突起を形成し、非晶性熱可塑性樹脂フィルムの滑り性を改良する。したがって、フッ素樹脂の添加量を低減することができ、厚さ10μm以下の薄い非晶性熱可塑性樹脂フィルムの成形が可能となる。
請求項2記載の発明によれば、非晶性熱可塑性樹脂にフッ素樹脂を添加して攪拌混合するので、非晶性熱可塑性樹脂に対する相溶性の低いフッ素樹脂の分散性や添加作業の作業性を向上させることが可能になる。また、成形材料を調製する場合の溶融混練の温度を、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点、あるいはフッ素樹脂の融点のどちらか低い方の温度〜400℃とするので、非晶性熱可塑性樹脂とフッ素樹脂とを確実に溶融混練分散することができ、フッ素樹脂が激しく分解するおそれを排除することが可能となる。
請求項3記載の発明によれば、非晶性熱可塑性樹脂にフッ素樹脂を添加した後にこれらを攪拌混合する作業を省略するので、作業工程や作業時間を短縮することができる。また、成形材料を調製する場合の溶融混練の温度を、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点、あるいはフッ素樹脂の融点のどちらか低い方の温度〜400℃とするので、非晶性熱可塑性樹脂とフッ素樹脂とを確実に溶融混練分散でき、フッ素樹脂が激しく分解するおそれを排除することが可能となる。
本発明に係る非晶性熱可塑性樹脂フィルムの製造方法の実施形態を模式的に示す全体説明図である。 本発明に係る非晶性熱可塑性樹脂フィルムの製造方法の実施例におけるT‐ダイの先端部と金属ロール間の温度測定箇所を示す説明図である。 本発明に係る非晶性熱可塑性樹脂フィルムの製造方法の実施例1における非晶性熱可塑性樹脂フィルムの表面を示す画像である。 本発明に係る非晶性熱可塑性樹脂フィルムの製造方法の比較例1におけるフィルムの表面を示す画像である。 本発明に係る非晶性熱可塑性樹脂フィルムの製造方法の比較例3におけるフィルムの表面を示す画像である。 本発明に係る非晶性熱可塑性樹脂フィルムの製造方法の比較例4におけるフィルムの表面を示す画像である。
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態を説明すると、本実施形態における非晶性熱可塑性樹脂フィルムの製造方法は、図1に示すように、少なくとも非晶性熱可塑性樹脂にフッ素樹脂を添加して成形材料1を調製し、この成形材料1により非晶性熱可塑性樹脂フィルム5を溶融押出成形し、この非晶性熱可塑性樹脂フィルム5を一対の圧着ロール6、金属ロール7、及び巻取管8に順次巻架するとともに、非晶性熱可塑性樹脂フィルム5を圧着ロール6と金属ロール7とに挟持させ、非晶性熱可塑性樹脂フィルム5を製造してその表面に複数の微小突起を形成することにより、滑り性を向上させるようにしている。
成形材料1は、ガラス転移点(Tg)が200℃以上の非晶性熱可塑性樹脂100質量部に対し、少なくとも溶融粘度が120,000ポイズ以下のフッ素樹脂1.0〜10質量部、好ましくは2.5〜9.0質量部、より好ましくは2.5〜8.0質量部が添加されることにより混練調製される。
非晶性熱可塑性樹脂としては、ガラス転移点が200℃以上を有する非晶性熱可塑性樹脂であれば、特に限定されるものではないが、例えばPEI樹脂、PES樹脂、PPSU樹脂があげられる。これら非晶性熱可塑性樹脂は、単独あるいはブレンドして使用することができる。
PEI樹脂の具体例としては、Ultem 1000−1000〔SABIC イノベーティブプラスチックス社製 製品名〕、Ultem 1010−1000の〔SABIC イノベーティブプラスチックス社製 製品名〕、Ultem CRS5001−1000の〔SABIC イノベーティブプラスチックス社製 製品名〕等があげられる。このPEI樹脂の製造方法としては、例えば特公昭57−9372号公報や特表昭59−80067号公報等に記載の方法等があげられる。
PEI樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で他の共重合可能な単量体とのブロック共重合体、ランダム共重合体、変性体も使用可能である。例えば、ポリエーテルイミドサルフォン共重合体であるUltem XH6050−1000〔SABIC イノベーティブプラスチックス社製 製品名〕を使用することができる。また、PEI樹脂は、1種類を単独又は2種類以上をアロイ化あるいはブレンドして使用しても良い。
PES樹脂の具体例としては、スミカエクセル PES〔住友化学社製 製品名〕、ベラデル ポリエーテルサルホン〔ソルベイスペシャルティポリマーズ社製、製品名〕、あるいはウルトラゾーン E〔BASF社製、製品名〕等があげられる。このPSE樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で他の共重合可能な単量体とのブロック共重合体、ランダム共重合体、変性体も使用可能である。
PPSU樹脂の具体例としては、レーデル R ポリフェニルサルホン〔ソルベイスペシャルティポリマーズ社製 製品名〕、又はウルトラゾーン P〔BASF社製 製品名〕等があげられる。このPPSU樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で他の共重合可能な単量体とのブロック共重合体、ランダム共重合体、変性体も使用可能である。
フッ素樹脂は、温度360℃、荷重50kgfの条件下、直径1.0mm、長さ10mmのダイスを用い、フローテスターで測定した360℃における溶融粘度が120,000ポイズ以下、好ましくは110,000ポイズ以下、より好ましくは102,000〜11,100ポイズの分子構造の主鎖にフッ素原子を持つ化合物である。このフッ素樹脂の溶融粘度が120,000ポイズ以下なのは、溶融粘度が120,000ポイズを越えると、フッ素樹脂の流動性が著しく低下してゲルとなり、このゲル部分から非晶性熱可塑性樹脂フィルム5に孔が開いたり、フッ素樹脂の分散不良により非晶性熱可塑性樹脂フィルム5の機械的性質が低下し、製造時に非晶性熱可塑性樹脂フィルム5が破断しやすくなるので、薄く製造することが困難になるからである。
フッ素樹脂は、融点未満の温度の場合に固体状であることが好ましい。これは、液状のフッ素樹脂の場合には、成形後の非晶性熱可塑性樹脂フィルム5から滲み出し、非晶性熱可塑性樹脂フィルム5の表面を汚染してしまうからである。
具体的なフッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(四フッ化エチレン樹脂、融点:325〜330℃、以下、PTFE樹脂と略す)、テラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(四フッ化エチレン-パーフルオロアルコキシエチレン共重合体樹脂、融点:300〜315℃、連続使用温度:260℃、以下、PFA樹脂と略す)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピル共重合体樹脂(四フッ化エチレン-六フッ化プロピル共重合体樹脂、融点270℃、連続使用温度:200℃、以下、FEP樹脂と略す)、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体樹脂(四フッ化エチレン-エチレン共重合体樹脂、融点:260〜270℃、連続使用温度:150℃、ETFE樹脂と略す)、ポリビニリデンフルオライド樹脂(フッ化ビニリデン樹脂、融点:173〜175℃、連続使用温度:150℃、PVDF樹脂)、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂(三フッ化塩化エチレン樹脂、融点:210〜212℃、連続使用温度:120℃、PCTFE樹脂)等が該当する。
係るフッ素樹脂の中では、連続使用温度が200℃以上と耐熱性に優れ、入手し易さ、取扱性、コストの観点から、PFA樹脂とFEP樹脂とが好ましい。このPFA樹脂とFEP樹脂とは、単独あるいはブレンドして使用することができる。PFA樹脂とFEP樹脂の優れた点についてさらに説明すると、熱可塑性樹脂成形物あるいは熱硬化性樹脂成形物に滑り性を付与する場合には、一般的に固体材料中で最小の摩擦係数を有するPTFE樹脂を添加する方法が効果的である。
しかしながら、PTFE樹脂は、連続使用温度が260℃で耐熱性に優れるものの、溶融粘度が非常に高いため、溶融流動性がほとんど認められない。このPTFE樹脂を摺動剤として熱可塑性樹脂に添加した場合、PTFE樹脂は一般的に微粉体の形状で使用される。PTFE樹脂を熱可塑性樹脂に添加し、熱可塑性樹脂との組成物を作製し、この組成物を用いた溶融押出成形により厚さ10μm以下のフィルムを製造した場合、PTFE樹脂は均一分散性が悪いため、滑り性を付与するためには多量に添加しなければならない。
PTFE樹脂を熱可塑性樹脂に多量に添加した成形材料は、溶融時の伸びが大きく低下するため、厚さ10μm以下のフィルムの製造が著しく困難となる。さらに、分散不良に伴い、フィルムの機械的性質が低下し、フィルムの製造中に破断しやすくなるため、フィルムの薄膜製造化が困難となる。したがって、フッ素樹脂としては、PFA樹脂やFEP樹脂の選択が最適である。
フッ素樹脂は、非晶性熱可塑性樹脂100質量部に対して1.0〜10.0質量部、好ましくは2.5〜9.0質量部、より好ましくは3.0〜8.0質量部が添加される。これは、フッ素樹脂が1.0質量部未満の場合には、非晶性熱可塑性樹脂フィルム5の滑り性を十分に付与することができないからである。逆に、10.0質量部を越える場合には、滑り性の過剰品質となるばかりか、厚さ10μm以下の非晶性熱可塑性樹脂フィルム5を成形しようとすると、ドローレゾナンスが発生して均一な厚さのフィルムが得られないからである。加えて、溶融時の伸びが大きく低下するため、厚さ10μm以下の非晶性熱可塑性樹脂フィルム5の製造が著しく困難になるからである。
上記成形材料1には、本発明の特性を損なわない範囲において、ポリイミド樹脂あるいはポリアミドイミド樹脂等のポリイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂あるいはポリエーテルケトン樹脂等のポリアリーレンエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリフェニレンサルファイドサルホン樹脂あるいはポリフェニレンサルファイドスルホン等のポリアリ−レンサルファイド等、ポリアリレート樹脂、液晶ポリマー等を添加することができる。また、成形材料1には、本発明の特性を損なわない範囲において、上記樹脂の他、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤、耐熱向上剤、充填剤等を選択的に添加することもできる。
上記において、滑り性の向上した非晶性熱可塑性樹脂フィルム5を製造する場合には、非晶性熱可塑性樹脂とフッ素樹脂とを溶融混練機で所定時間溶融混練して成形材料1を調製し、図1に示すように、この成形材料1により薄膜の非晶性熱可塑性樹脂フィルム5を連続的に薄く溶融押出成形する。
押出成形機2は、例えば二軸押出成形機、三軸押出成形機、四軸押出成形機等の多軸押出機あるいは単軸押出機からなり、後部上方の材料投入口3に成形材料1が投入されるが、この成形材料1の投入の際には、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス、窒素ガス等の不活性ガスが必要に応じて供給される。押出成形機2の先端部の連結管には、T‐ダイや丸ダイ等からなるダイ4が連結され、このダイ4の下方には、一対の圧着ロール6と、この一対の圧着ロール6間に介在して温度制御する冷却用の金属ロール7とが回転可能に配設されており、これら一対の圧着ロール6と金属ロール7の下流には、非晶性熱可塑性樹脂フィルム5を巻き取る巻取管8が回転可能に軸支される。
非晶性熱可塑性樹脂とフッ素樹脂との調製方法は、(1)非晶性熱可塑性樹脂とフッ素樹脂とを室温下で攪拌混合して溶融押出混練し、成形材料1を調製する方法、(2)非晶性熱可塑性樹脂とフッ素樹脂とを攪拌混合することなく、溶融した非晶性熱可塑性樹脂中にフッ素樹脂を添加し、これらを溶融混練して成形材料1を調製する方法が挙げられる。これらの方法は、いずれをも採用することができるが、分散性や作業性の観点から、(1)の方法が好ましい。
(1)の方法について説明すると、非晶性熱可塑性樹脂とフッ素樹脂との攪拌混合には、混合機、タンブラーミキサー、ヘンシルミキサー、V型混合機、ナウターミキサー、リボンブレンダー、あるいは万能攪拌ミキサー等が使用される。非晶性熱可塑性樹脂とフッ素樹脂とは、攪拌混合された後、ミキシングロール、加圧ニーダー、あるいは二軸押出成形機、三軸押出成形機、四軸押出成形機の多軸押出成形機等により、溶融混練分散することにより、調製される。
非晶性熱可塑性樹脂とフッ素樹脂からなる成形材料1を調製する場合の溶融混練の温度は、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点、あるいはフッ素樹脂の融点のどちらか低い方の温度〜400℃、好ましくは260℃〜350℃、より好ましくは300〜350℃である。これは、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点、あるいはフッ素樹脂の融点どちらか低い方の温度未満では、非晶性熱可塑性樹脂とフッ素樹脂とを溶融混練分散できないからである。また、溶融混練の温度が400℃を越えると、フッ素樹脂が激しく分解するため、好ましくないからである。
なお、所定量以上の非晶性熱可塑性樹脂中にフッ素樹脂を分散させ、マスターバッチ化することもできる。
次に、(2)の方法について説明すると、この方法の場合には、非晶性熱可塑性樹脂をミキシングロール、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、あるいは二軸押出成形機、三軸押出成形機、四軸押出成形機の多軸押出成形機等の溶融混練機で溶融させた後、この非晶性熱可塑性樹脂にフッ素樹脂を添加して溶融混練分散させることにより、非晶性熱可塑性樹脂とフッ素樹脂とからなる成形材料1を調製する。
溶融混練の溶融温度は、フッ素樹脂の激しい分解を防止する観点から、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点、又はフッ素樹脂の融点のどちらか低い方の温度〜400℃、好ましくは260℃〜400℃、より好ましくは260℃〜350℃、さらに好ましくは300〜350℃である。
非晶性熱可塑性樹脂とフッ素樹脂との成形材料1は、ストランド状、シート状に押出された後、粉砕機あるいは裁断機で粉状、顆粒状、フレーク状、あるいはペレット状等の成形加工に適した形態で使用される。この成形材料1からなる滑り性の向上した非晶性熱可塑性樹脂フィルム5は、溶融押出成形法により製造することができる。
溶融押出成形法は、単軸押出成形機あるいは二軸押出成形機等の押出成形機2を使用し、非晶性熱可塑性樹脂とフッ素樹脂との成形材料1を溶融混練し、押出成形機2の先端部に連結されたダイ4より非晶性熱可塑性樹脂フィルム5を連続的に押出し、非晶性熱可塑性樹脂フィルム5を製造する方法である。非晶性熱可塑性樹脂フィルム5の製造方法としては、溶融押出成形法、カレンダー成形法、又はキャスティング成形法等があるが、ハンドリング性や設備の簡略化の観点からすると、溶融押出成形法が最適である。
押出成形機2とそのダイ4の温度は、フッ素樹脂の激しい分解を防止する観点から、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点あるいはフッ素樹脂の融点のどちらか低い方の温度〜400℃が良い。また、非晶性熱可塑性樹脂フィルム5を製造する際の成形材料1の含水率は、溶融押出成形前に5,000ppm以下、好ましくは2,000ppm以下に熱風乾燥機等で調整すると良い。これは、含水率が5,000ppmを越える場合には、非晶性熱可塑性樹脂フィルム5の発泡を招くおそれがあるからである。
非晶性熱可塑性樹脂フィルム5を溶融押出成形したら、この非晶性熱可塑性樹脂フィルム5を一対の圧着ロール6、金属ロール7、及びこれらの下流に位置する巻取管8に順次巻架し、非晶性熱可塑性樹脂フィルム5を圧着ロール6と金属ロール7とに挟持させ、その後、所定の幅にスリットし、巻取管8に非晶性熱可塑性樹脂フィルム5を順次巻回すれば、表面に複数の微小突起を備えた滑り性が良好の非晶性熱可塑性樹脂フィルム5を製造することができる(図1参照)。
圧着ロール6と巻取管8との間には同図に示すように、非晶性熱可塑性樹脂フィルム5を切断するスリット刃9が少なくとも昇降可能に配置され、巻取管8とスリット刃9との間には、非晶性熱可塑性樹脂フィルム5にテンションを作用させるテンションロール10が回転可能に配置される。
圧着ロール6の周面には、非晶性熱可塑性樹脂フィルム5と金属ロール7との密着性を向上させる観点から、少なくとも天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ノルボルネンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等のゴム層が必要に応じて被覆形成され、このゴム層には、シリカやアルミナ等の無機化合物が選択的に添加される。これらの中では、耐熱性に優れるシリコーンゴムやフッ素ゴムの選択が好ましい。また、これらゴム層をさらにPFA樹脂フィルムで被覆したPFAスリーブロールが使用される場合は、表面が平滑性に優れる非晶性熱可塑性樹脂フィルム5の成形が可能となる。
圧着ロール6としては、表面が金属の金属弾性ロールが必要に応じて使用され、この金属弾性ロールが使用される場合には、表面が平滑性に優れる非晶性熱可塑性樹脂フィルム5の成形が可能となる。この金属弾性ロールの具体例としては、金属スリーブロール、エアーロール〔ディムコ社製 製品名〕、UFロール〔日立造船社製 製品名〕が該当する。
金属ロール7は、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点−100℃〜非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点−10℃、好ましくは非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点−80℃〜非晶性熱可塑性樹脂−30℃以下の温度に加熱して使用され、非晶性熱可塑性樹脂フィルム5の表面にフッ素樹脂の微小突起を複数形成するよう機能する。
これは、金属ロール7の温度が非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点−100℃未満の場合には、溶融伸びが小さいため、厚さ10μm以下の非晶性熱可塑性樹脂フィルム5の成形に問題が生じるからである。逆に、金属ロール7の温度が非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点−100℃未満の場合、あるいは非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点−10℃を越える場合には、非晶性熱可塑性樹脂フィルム5の表面にフッ素樹脂の微小突起を形成できないため、非晶性熱可塑性樹脂フィルム5に十分な滑り性を付与することができないからである。さらに、金属ロール7の温度が非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点−10℃を越える場合、非晶性熱可塑性樹脂フィルム5が金属ロール7に融着して破断してしまうおそれもあるからである。金属ロール7は、具体的には125℃〜205℃、好ましくは130℃〜200℃の温度範囲で使用される。
ダイ4の先端部と金属ロール7間の温度は、非晶性樹脂のガラス転移点−40℃〜非晶性樹脂のガラス転移点+40℃である。この温度範囲外では、非晶性熱可塑性樹脂フィルム5の表面にフッ素樹脂の微小突起を形成できないため、非晶性熱可塑性樹脂フィルム5に十分な滑り性を付与することができないからである。ダイ4の先端部と金属ロール7間の温度は、具体的には190℃〜250℃、好ましくは197℃〜247℃の範囲とされる。
非晶性熱可塑性樹脂フィルム5の厚さは1.0〜10.0μm、好ましくは2.0〜8.5μm、より好ましくは3.1〜8.4μmが良い。これは、非晶性熱可塑性樹脂フィルム5の厚さが1.0μm未満の場合には、非晶性熱可塑性樹脂フィルム5の引張強度が著しく低下するので、非晶性熱可塑性樹脂フィルム5の製造が困難になるからである。逆に、非晶性熱可塑性樹脂フィルム5の厚さが10.0μmを越える場合には、コスト高を招くからである。
非晶性熱可塑性樹脂フィルム5は、そのフィルム表面に高さ50〜300nmの微小突起が3個/(30×30)μm〜30個/(30×30)μm、好ましくは5個/(30×30)μm〜30個/(30×30)μm形成される。これは、各微小突起の高さが50nm未満の場合は、非晶性熱可塑性樹脂フィルム5の滑り性を改良することができないからである。逆に、各微小突起の高さが300nmを越える場合には、機械的性質が低下するおそれがあるからである。また、微小突起の個数が3個/未満の場合は、非晶性熱可塑性樹脂フィルム5の滑り性を改良することができない。微小突起の個数が30個/(30×30)μmを越える場合には、過剰品質となるので注意する必要がある。
上記によれば、ダイ4の先端部と金属ロール7間の温度を、非晶性樹脂のガラス転移点−40℃〜非晶性樹脂のガラス転移点+40℃とし、しかも、金属ロール7の温度を、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点−100℃〜非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点−10℃の温度に制御するので、非晶性熱可塑性樹脂フィルム5の表面にフッ素樹脂を浮き出させ、フッ素樹脂製の微小突起を3個/(30×30)μm〜30個/(30×30)μm形成することができる。
したがって、非晶性熱可塑性樹脂フィルム5の表面の滑り性を向上させ、しかも、厚さ10μm以下の非晶性熱可塑性樹脂フィルム5を製造する際、機械的性質が低下し、非晶性熱可塑性樹脂フィルム5の巻取り中に破断してしまうおそれを有効に排除することができる。また、厚さ10μm以下の非晶性熱可塑性樹脂フィルム5を製造する際、ドローレゾナンスが発生するのを抑制することができる。また、熱分解物により非晶性熱可塑性樹脂フィルム5に孔が開いたり、孔が開いた部分より非晶性熱可塑性樹脂フィルム5が切れて巻き取れないという事態を防止することが可能となる。
以下、図2を参照して本発明に係る非晶性熱可塑性樹脂フィルムの製造方法の実施例を比較例と共に説明する。
〔実施例1〕
先ず、混合機に、25kgのPEI樹脂〔SABIC イノベーティブプラスチックス社製:製品名 ウルテム1010−1000〕100質量部と、フッ素樹脂である2.0kgのPFA樹脂〔旭硝子社製:製品名フレオンPFA P−62XP〕とを投入し、27℃で1時間攪拌混合した。
ウルテム1010−1000のガラス転移点(Tg)は212℃であった。このガラス転移点は、示差走査熱量計〔エスアイアイ・ナノテクノロジーズ社製 製品名:EXSTAR7000シリーズ X−DSC7000〕を用い、1分間に10℃/分の昇温速度で測定した。ガラス転移点の測定方法は、以下の実施例や比較例についても同様とした。また、PFA樹脂は、PEI樹脂100質量部に対し、8.0質量部添加した。このPFA樹脂の360℃における溶融粘度を測定したところ、11,100ポイズであった。
フッ素樹脂であるPFA樹脂の溶融粘度は、フローテスター〔島津製作所:製品名 島津フローテスターCFT−500D〕により測定した。具体的には、樹脂1.5cmをダイ(直径:1mm、長さ10mm)装着したシリンダー(温度360℃)内に充填し、このシリンダーの上部に、面積が1cmのプランジャーを取り付け、シリンダーの温度が360℃に達したら、5分間予備加熱するとともに、予備加熱後、直ちに50kgfの荷重を加え、PFA樹脂を溶融流出させてその溶融粘度を測定した。フッ素樹脂の溶融粘度の測定方法については、以下の実施例や比較例についても同様とした。
PEI樹脂とPFA樹脂とを攪拌混合して攪拌混合物を調製したら、この攪拌混合物を真空ポンプ付きの高速二軸押出機に供給して減圧下で溶融混練し、高速二軸押出成形機の先端部のダイスから棒形に押出して水冷後にカットし、長さ4〜6mm、直径2〜4mmのペレット形の中間体である成形体を調製した。攪拌混合物は、高速二軸押出機のシリンダー温度320〜350℃、アダプター温度360℃、ダイス温度360℃の条件下で溶融混練した。また、高速二軸押出成形機の材料投入口に攪拌混合物を供給する際、窒素ガスを0.8MPaの圧力で供給した。
なお、含水率は、微量水分測定装置〔三菱化学社製:商品名 CA‐100〕を用い、カールフィッシャー滴定法により測定した。この含水率の測定方法については、以下の実施例や比較例についても同様とした。
次いで、成形材料となる成形体を160℃に加熱した排気口付きの熱風オーブン中に24時間静置して乾燥させ、この成形体を幅900mmのT‐ダイ付きのφ40mmの単軸押出成形機にセットして溶融混練し、この溶融混練した成形材料を単軸押出成形機のT‐ダイから連続的に押出して薄い非晶性熱可塑性樹脂フィルムを帯形に成形した。
成形体の乾燥の際の含水率は264ppmだった。また、単軸押出成形機は、L/D=32、圧縮比:2.5、スクリュー:フルフライトスクリューとした。この単軸押出成形機のシリンダー温度は340〜355℃、T‐ダイの温度は360℃、単軸押出成形機とT‐ダイとを連結する連結管の温度は360℃に調整した。また、単軸押出成形機に成形体をセットする際、窒素ガス520L/分を供給した。
こうして非晶性熱可塑性樹脂フィルムを成形したら、連続した非晶性熱可塑性樹脂フィルムの両側部をスリット刃で裁断して巻取管に順次巻き取ることにより、長さ3000m、幅600mmの非晶性熱可塑性樹脂フィルムを製造した。非晶性熱可塑性樹脂フィルムは、シリコーンゴム製の一対の圧着ロール、金属ロール、及びこれらの下流に位置する6インチの巻取管に順次巻架し、圧着ロールと金属ロールとに挟持させた。金属ロールは、150℃に調整した。また、T‐ダイと金属ロール間の温度は、223℃であった。
非晶性熱可塑性樹脂フィルムを製造したら、フィルム厚さ、フィルム厚公差、フィルムの表面観察と滑り性をそれぞれ測定して表1にまとめた。
・フィルム厚
非晶性熱可塑性樹脂フィルムの厚さについては、接触式厚さ計〔Marh社製 製品名:ミリマール 1240 コンパクトアンプにミリマール インダクティブ プローブ 1301 Marh−LVDTを取り付けた装置〕を使用して測定した。測定に際しては、非晶性熱可塑性樹脂フィルムの押出方向と幅方向(押出方向の直角方向)とが交わる所定の厚みを100箇所測定し、その平均値をフィルム厚とした。押出方向の測定箇所は、非晶性熱可塑性樹脂フィルムの先端部から100mm間隔で100mm、200mm、300mm、400mm、500mmの位置とした。
これに対し、幅方向の測定箇所は、非晶性熱可塑性樹脂フィルムの左端部から25mm、次いで30mm間隔で55mm、85mm、115mm、145mm、175mm、205mm、235mm、265mm、295mm、325mm、355mm、385mm、415mm、445mm、475mm、505mm、535mm、565mm、595mmの箇所とした。
・フィルム厚公差
非晶性熱可塑性樹脂フィルムのフィルム厚公差は、以下の式より求めた。
フィルム厚公差[%]={(MAXまたはMIN)−(AVE)}/(AVE)×100
ここで、MAX:フィルム厚の最大値
MIN:フィルム厚の最小値
AVE:フィルム厚の平均値
求めたフィルム厚公差が±5〜10%以内の場合には○、フィルム厚公差が±5%以内の場合には◎、フィルム厚公差が±10%を越える場合には×とした。
・T‐ダイと金属ロール間の温度(図2のd間の温度)
図2に示すT‐ダイと金属ロール間の温度は、T‐ダイの中央部における先端より金属ロール側に1cmの距離(図2のa)、T‐ダイのリップ部より1cmの距離(図2のb)の箇所に温度計を取り付けることにより、測定した。温度計は、微小表面用温度センサ〔理化工業社製:形式 ST‐56K‐CA0800N‐G〕を用いて測定した。
・フィルムの表面観察
非晶性熱可塑性樹脂フィルムの表面観察は、走査型プローブ顕微鏡〔島津製作所社製 製品名M:SPM−9700〕を用いて以下の条件で実施し、表面の微小突起の有無を観察した。具体的には、観察モード:位相モード、スキャナー:30μmスキャナー、カンチレバー:NCHR、観察視野:30μm×30μmで観察した。
フィルムの表面状態は、フィルム表面の状態の画像を撮影し、その画像解析により行った。微小突起は、フィルム表面の高さ50nm〜300nmの凸状体である。この微小突起の高さは、非晶性熱可塑性樹脂フィルム表面の画像を撮影し、その画像解析により計測した。
A:高さ50〜300nmの突起が、5個/(30×30)μm以上の場合
B:高さ50〜300nmの突起が、5個/(30×30)μm未満の場合
・フィルムの滑り性
非晶性熱可塑性樹脂フィルムの滑り性については、静摩擦係数と動摩擦係数により評価した。静摩擦係数と動摩擦係数は、表面性試験器〔新東科学社製 製品名:HEIDONN−14〕を用い、JIS K7125に準拠して測定した。
静摩擦係数と動摩擦係数は、非晶性熱可塑性樹脂フィルムの金属ロール面側をガラス板に固定し、その反対側の非晶性熱可塑性樹脂フィルム面が擦り合わさるように平面圧子に貼り付け、表面性試験器を用いて試験荷重:200gの負荷を作用させ、試験速度:100mm/min.の条件で滑らせて測定した。
〔実施例2〕
先ず、PEI樹脂〔SABIC イノベーティブプラスチックス社製:製品名 ウルテム CRS5001−1000〕を衝撃式粉砕機で粉砕し、この粉砕したPEI樹脂のうち、粒子径が150μmを越える粒子を取り除き、平均粒子径を測定した。この平均粒径については、レーザ回折散乱法、又はマイクロトラック法により測定した。測定したところ、平均粒子径は、47.5μmであった。また、ウルテムCRS5001−1000のガラス転移点を測定したところ、222℃であった。このガラス転移点の測定は、実施例1と同様の方法とした。
PEI樹脂を粉砕したら、樹脂製の容器に、PEI樹脂25kgと、フッ素樹脂である1.25kgのPFA樹脂〔ダイキン工業社:製品名 ネオフロンPFA粉体塗料 ACX−31 平均粒子径:22.0〜28.0(カタログ値)〕とをφ10mmのジルコニアボール1kgと共に投入して蓋を取り付けた。こうして蓋を取り付けたら、容器をタンブラーミキサーに装着して25℃、1時間の条件で回転させ、これらPEI樹脂、PFA樹脂、ジルコニアボールを攪拌混合させた後、ジルコニアボールを取り出して攪拌混合物を調製した。
PFA樹脂は、PEI樹脂100質量部に対し、5.0質量部添加した。このPFA樹脂の360℃における溶融粘度は、12,500ポイズであった。
PEI樹脂とPFA樹脂とを攪拌混合し、攪拌混合物を調製したら、実施例1と同様の方法により、ペレット形の中間体である成形体を調製した。但し、攪拌混合物は、高速二軸押出機のシリンダー温度340〜365℃、アダプター温度365℃、ダイス温度365℃の条件で溶融混練した。
次いで、成形体を160℃に加熱した排気口付きの熱風オーブン中に24時間静置して乾燥させ、この成形体を幅900mmのT‐ダイ付きのφ40mmの単軸押出成形機にセットして溶融混練し、溶融混練した成形材料を単軸押出成形機のT‐ダイから連続的に押出して薄い非晶性熱可塑性樹脂フィルムを帯形に成形した。
成形体の乾燥の際の含水率は、241ppmだった。また、単軸押出成形機は実施例1と同様のタイプとし、シリンダー温度は340〜360℃、T‐ダイの温度は365℃、単軸押出成形機とT‐ダイとを連結する連結管の温度は365℃に調整した。この単軸押出成形機に成形体をセットする際には、窒素ガス520L/分を供給した。
こうして非晶性熱可塑性樹脂フィルムを成形したら、実施例1と同様に、連続したフィルムの両側部をスリット刃で裁断して巻取管に順次巻き取ることにより、長さ3000m、幅620mmの非晶性熱可塑性樹脂フィルムを製造した。この際、金属ロールは、180℃に調整した。また、T−ダイと金属ロール間の温度は、237℃であった。
非晶性熱可塑性樹脂フィルムを製造したら、フィルム厚さ、フィルム厚公差、フィルムの表面観察と滑り性をそれぞれ測定して表1にまとめた。
〔実施例3〕
先ず、混合機に、実施例1と同様の25kgのPEI樹脂100質量部と、フッ素樹脂である1.25KgのFEP樹脂〔ダイキン工業社製:製品名 ネオフロンFEP NP−102〕とを投入し、室温下で1時間攪拌混合した。FEP樹脂は、PEI樹脂100質量部に対して5質量部添加した。このFEP樹脂の360℃における溶融粘度は11,700ポイズであった。
PEI樹脂とFEP樹脂とを攪拌混合し、攪拌混合物を調製したら、実施例1と同様の方法により、ペレット形の中間体である成形体を調製し、この成形体により非晶性熱可塑性樹脂フィルムを帯形に成形した。成形体の乾燥の際の含水率は251ppmだった。また、単軸押出成形機は実施例1と同様のタイプとし、シリンダー温度は340〜355℃、T‐ダイの温度は360℃、単軸押出成形機とT‐ダイとを連結する連結管の温度は360℃に調整した。単軸押出成形機に成形体をセットする際、窒素ガス520L/分を供給した。
こうして非晶性熱可塑性樹脂フィルムを成形したら、連続したフィルムの両側部をスリット刃で裁断して巻取管に順次巻き取ることにより、長さ3000m、幅620mmの非晶性熱可塑性樹脂フィルムを製造した。金属ロールは130℃に調整し、T‐ダイと金属ロール間の温度は197℃であった。
非晶性熱可塑性樹脂フィルムを製造したら、フィルム厚さ、フィルム厚公差、フィルムの表面観察、摩擦係数をそれぞれ測定して表1にまとめた。
〔実施例4〕
先ず、混合機に、25kgのPES樹脂〔BASF社製:製品名 ウルトラゾーンE2010〕100質量部と、フッ素樹脂である0.625kgのPFA樹脂〔旭硝子社製:製品名フレオンPFA P−65P〕とを投入し、26℃で1時間攪拌混合した。ウルトラゾーンE2010のガラス転移点は、実施例1と同様に測定したところ、223℃であった。
PFA樹脂は、PES樹脂100質量部に対し、2.5質量部添加した。このPFA樹脂の360℃における溶融粘度は、102,000ポイズであった。
PES樹脂とPFA樹脂とを攪拌混合し、攪拌混合物を調製したら、実施例1と同様の方法により、ペレット形の中間体である成形体を調製した。攪拌混合物は、高速二軸押出機のシリンダー温度340〜365℃、アダプター温度365℃、ダイス温度365℃の条件下で溶融混練した。
次いで、成形体を実施例1と同様の方法により、非晶性熱可塑性樹脂フィルムを帯形に成形した。成形体の乾燥の際の含水率は283ppmであった。また、単軸押出成形機のシリンダー温度は340〜360℃、T‐ダイの温度は365℃、単軸押出成形機とT‐ダイとを連結する連結管の温度は365℃に調整した。
非晶性熱可塑性樹脂フィルムを成形したら、実施例1と同様に、連続した非晶性熱可塑性樹脂フィルムの両側部をスリット刃で裁断して巻取管に順次巻き取ることにより、長さ3000m、幅620mmの非晶性熱可塑性樹脂フィルムを製造した。金属ロールは200℃に調整した。また、T‐ダイと金属ロール間の温度は、測定したところ、248℃であった。
非晶性熱可塑性樹脂フィルムを製造したら、フィルム厚さ、フィルム厚公差、フィルムの表面観察と滑り性をそれぞれ測定して表1にまとめた。
〔実施例5〕
先ず、混合機に、25kgのPPSU樹脂〔ソルベイスペシャルティポリマーズ社製:製品名 レーデルR−5000〕100質量部と、フッ素樹脂である1.5kgのFEP樹脂〔ダイキン工業社製:製品名ネオフロン FEP NP−20〕とを投入し、27℃で1時間攪拌混合した。レーデル R−5000のガラス転移点は、実施例1と同様に測定したところ、218℃であった。また、FEP樹脂は、PPSU樹脂100質量部に対し、6.0質量部添加した。このFEP樹脂の360℃における溶融粘度は、46,000ポイズであった。
PPSU樹脂とFEP樹脂とを攪拌混合し、攪拌混合物を調製したら、実施例1と同様の方法により、ペレット形の中間体である成形体を調製した。攪拌混合物は、高速二軸押出機のシリンダー温度320〜350℃、アダプター温度355℃、ダイス温度355℃の条件下で溶融混練した。
次いで、成形体を実施例1と同様の方法により、非晶性熱可塑性樹脂フィルムを帯形に成形した。成形体の乾燥の際の含水率は293ppmであった。また、単軸押出成形機のシリンダー温度は320〜355℃、T‐ダイの温度は350〜355℃、単軸押出成形機とT‐ダイとを連結する連結管の温度は355℃に調整した。
非晶性熱可塑性樹脂フィルムを成形したら、連続した非晶性熱可塑性樹脂フィルムの両側部をスリット刃で裁断して巻取管に順次巻き取ることにより、長さ3000m、幅620mmの非晶性熱可塑性樹脂フィルムを製造した。金属ロールは160℃に調整した。また、T‐ダイと金属ロール間の温度は、226℃であった。
非晶性熱可塑性樹脂フィルムを製造したら、フィルム厚さ、フィルム厚公差、フィルムの表面観察と滑り性をそれぞれ測定して表1にまとめた。
〔比較例1〕
先ず、実施例1と同様のPEI樹脂を実施例と同様の方法により、単軸押出機のT‐ダイから連続的に押出し、PEI樹脂フィルムを帯形に成形した。乾燥の際のペレット形の中間体の含水率は261ppmであった。
PEI樹脂フィルムを成形したら、連続したPEI樹脂フィルムの両側部をスリット刃で裁断して巻取管に順次巻き取ることにより、長さ3000m、幅620mmのPEI樹脂フィルムを製造した。金属ロールは150℃に調整した。また、T‐ダイと金属ロール間の温度は、測定したところ、219℃であった。
PEI樹脂フィルムを製造したら、フィルム厚さ、フィルム厚公差、フィルムの表面観察と滑り性をそれぞれ測定して表2にまとめた。
〔比較例2〕
先ず、実施例2で使用したのと同様のPEI樹脂25kg、PFA樹脂3.25kgとφ10mmのジルコニアボールを1kgとをそれぞれ樹脂製の容器に投入し、蓋を取り付けた。こうして蓋を取り付けたら、容器をタンブラーミキサーに装着して25℃、1時間の条件で回転させ、これらPEI樹脂、PFA樹脂、ジルコニアボールを攪拌混合させた後、ジルコニアボールを取り出して攪拌混合物を調製した。攪拌混合して攪拌混合物を調製したら、この攪拌混合物を実施例1と同様の方法により、ペレット形の中間体である成形体に調製した。
次いで、ペレット形の中間体である成形体を実施例2と同様の方法により溶融混練し、この溶融混練した混合物を単軸押出機のT‐ダイから連続的に押出して薄い非晶性熱可塑性樹脂フィルムを帯形に成形した。乾燥の際のペレット形の中間体の含水率は、測定したところ、247ppmであった。非晶性熱可塑性樹脂フィルムを成形したら、連続した非晶性熱可塑性樹脂フィルムの両側部をスリット刃で裁断して巻取管に順次巻き取ることにより、長さ3000m、幅620mmの非晶性熱可塑性樹脂フィルムを製造した。金属ロールは170℃に調整した。また、T‐ダイと金属ロール間の温度は、233℃であった。
非晶性熱可塑性樹脂フィルムを製造した後、フィルム厚さ、フィルム厚公差、フィルムの表面観察と滑り性をそれぞれ測定して表2にまとめた。
〔比較例3〕
実施例1で調製したペレット形の中間体である成形体を実施例1と同様の方法で溶融混練し、この溶融混練した混合物を単軸押出機のT‐ダイから連続的に押出して薄い非晶性熱可塑性樹脂フィルムを帯形に成形した。こうして非晶性熱可塑性樹脂フィルムを成形したら、連続した非晶性熱可塑性樹脂フィルムの両側部をスリット刃で裁断して巻取管に順次巻き取ることにより、長さ3000m、幅620mmの非晶性熱可塑性樹脂フィルムを製造した。金属ロールは100℃に調整した。また、T‐ダイと金属ロール間の温度は、測定したところ、161℃であった。
非晶性熱可塑性樹脂フィルムを製造した後、フィルム厚さ、フィルム厚公差、フィルムの表面観察と滑り性をそれぞれ測定して表2にまとめた。
〔比較例4〕
実施例1で調製したペレット形の中間体である成形体を実施例1と同様の方法により、溶融混練し、この溶融混練した混合物を単軸押出機のT‐ダイから連続的に押出し、非晶性熱可塑性樹脂フィルムを帯形に成形した。こうして非晶性熱可塑性樹脂フィルムを成形したら、実施例1と同様の方法により、連続した非晶性熱可塑性樹脂フィルムの両側部をスリット刃で裁断して巻取管に順次巻き取り、長さ3000m、幅620mmの非晶性熱可塑性樹脂フィルムを製造した。金属ロールは210℃に調整した。また、T‐ダイと金属ロール間の温度は、259℃であった。
非晶性熱可塑性樹脂フィルムを製造した後、フィルム厚さ、フィルム厚公差、フィルムの表面観察と滑り性をそれぞれ測定して表2にまとめた。
〔比較例5〕
先ず、混合機に実施例2で使用したのと同様のPEI樹脂25kgと、フッ素樹脂であるPFA樹脂0.75kg〔旭硝子社製:製品名 フレオンPFA P66PT〕と、φ10mmのジルコニアボールを1kgとを樹脂製の容器にそれぞれ投入して蓋を取り付けた。PFA樹脂は、PEI樹脂100質量部に対し、3.0質量部添加した。このPFA樹脂の溶融粘度は、150,000ポイズであった。
蓋を取り付けたら、容器をタンブラーミキサーに装着して28℃で1時間の条件で回転させ、これらPEI樹脂、PFA樹脂、ジルコニアボールを分散混合させた後、ジルコニアボールを取り出して攪拌混合物を調製した。PEI樹脂とPFA樹脂とを攪拌混合し、攪拌混合物を調製したら、実施例2と同様の方法により、ペレット形の中間体である成形体を調製した。
次いで、この成形体を160℃に加熱した排気口付きの熱風オーブン中に24時間静置して乾燥させ、この成形体を幅900mmのT‐ダイ付きのφ40mmの単軸押出成形機にセットして溶融混練し、この溶融混練した成形材料を単軸押出成形機のT‐ダイから連続的に押出して薄い非晶性熱可塑性樹脂フィルムを帯形に成形した。成形体の乾燥の際の含水率は257ppmだった。また、単軸押出成形機に成形体をセットする際、窒素ガス520L/分を供給した。
こうして非晶性熱可塑性樹脂フィルムを成形したら、連続した非晶性熱可塑性樹脂フィルムの両側部をスリット刃で裁断して巻取管に順次巻き取ることにより、長さ3000m、幅620mmの非晶性熱可塑性樹脂フィルムを製造した。金属ロールは、160℃に調整した。また、T‐ダイと金属ロール間の温度は、232℃であった。
非晶性熱可塑性樹脂フィルムを製造した後、フィルム厚さ、フィルム厚公差、フィルムの表面観察と滑り性をそれぞれ測定して表2にまとめた。
〔結 果〕
各実施例の方法より得られた非晶性熱可塑性樹脂フィルムは、フィルムの表面にフッ素樹脂製の微小突起が5個/(30×30)μm以上現れており、フィルムの滑り性も静摩擦係数:0.6以下、動摩擦係数:0.4以下であり、十分に満足できるものであった(図3参照)。また、フィルム厚公差も10%以内であり、フィルム厚の均一な非晶性熱可塑性樹脂フィルムを得ることができた。
これに対し、フッ素樹脂を添加せずにPEI樹脂フィルムを製造した比較例1の場合には、フィルム厚公差が小さく、フィルム厚の均一なPEI樹脂フィルムが得られたものの、PEI樹脂フィルムの滑り性は全く認められなかった(図4参照)。また、10質量部を越えるフッ素樹脂を添加し、非晶性熱可塑性樹脂フィルムを製造した比較例2の場合には、優れたフィルムの滑り性は得られたものの、ドローレゾナンスが発生してフィルム厚公差が10%を超え、フィルム厚の均一な非晶性熱可塑性樹脂フィルムを得ることができなかった。
金属ロールの温度が、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点−100℃〜非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点−10℃の範囲外で非晶性熱可塑性樹脂フィルムを製造した比較例3、4の場合には、図5や図6に示すように、非晶性熱可塑性樹脂フィルムのフッ素樹脂製の微小突起の形成が不十分なため、静摩擦係数が0.7以上、動摩擦係数が0.5以上で滑り性の改良効果が不十分であった。また、溶融粘度が120,000ポイズを越える溶融粘度のフッ素樹脂を添加し、非晶性熱可塑性樹脂フィルムを製造した比較例5の場合には、ゲル状物が現れ、このゲル状物付近からフィルムに孔が開き、非晶性熱可塑性樹脂フィルムを得ることができなかった。
本発明に係る非晶性熱可塑性樹脂フィルムの製造方法は、電気電子機器、音響機器、情報通信機器等の製造分野で使用される。
1 成形材料
2 押出成形機
4 ダイ
5 非晶性熱可塑性樹脂フィルム
6 圧着ロール
7 金属ロール
8 巻取管

Claims (3)

  1. 所定の樹脂含有の成形材料を用いた成形法により、200℃以上のガラス転移点を有する非晶性熱可塑性樹脂フィルムを10μm以下の厚さに製造する製造方法であって、
    200℃以上のガラス転移点を有する非晶性熱可塑性樹脂100質量部に対し、温度360℃で少なくとも溶融粘度が120,000ポイズ以下のフッ素樹脂1.0〜10質量部を添加して成形材料を調製し、この成形材料の含水率を5,000ppm以下とし、
    成形材料を押出成形機にセットしてそのダイから厚さ1.0〜10μmの非晶性熱可塑性樹脂フィルムを連続的に溶融押出成形するとともに、この際の押出成形機とダイの温度を、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点あるいはフッ素樹脂の融点のどちらか低い方の温度〜400℃とし、連続的に溶融押出成形した非晶性熱可塑性樹脂フィルムを圧着ロール、金属ロール、及びこれらの下流に位置する巻取管に巻きかけ、
    押出成形機のダイと金属ロール間の空気の雰囲気温度を、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点−40℃〜非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点+40℃の範囲とするとともに、金属ロールの温度を、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点−100℃〜非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点−10℃の範囲とすることにより、非晶性熱可塑性樹脂フィルムに微小突起を3個/(30×30)μm〜30個/(30×30)μm形成し、これら複数の微小突起の高さを50〜300nmとすることを特徴とする非晶性熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  2. 非晶性熱可塑性樹脂にフッ素樹脂を添加して攪拌混合し、これらを溶融混練するとともに、この溶融混練時の温度を、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点あるいはフッ素樹脂の融点のどちらか低い方の温度〜400℃とすることにより、成形材料を調製する請求項1記載の非晶性熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  3. 溶融した非晶性熱可塑性樹脂にフッ素樹脂を添加してこれらを溶融混練するとともに、この溶融混練時の温度を、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移点あるいはフッ素樹脂の融点のどちらか低い方の温度〜400℃とすることにより、成形材料を調製する請求項1記載の非晶性熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
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