JP2021077969A - 携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 例え結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂により成形しても、滑り性の向上が期待でき、損失正接の増大により、共振の発生を抑制して良好な音質を得られる携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム及びその製造方法を提供する。【解決手段】 振動板用樹脂フィルム1は、結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂100質量部と、接着性フッ素樹脂1質量部以上100質量部以下とを含有の成形材料2により成形され、熱可塑性ポリイミド樹脂が、少なくともテトラカルボン成分と、脂肪族ジアミンが主成分のジアミン成分とにより調製されており、23℃における引張最大強度が40N/mm2以上、かつ引張破断時伸びが100%以上、23℃における引張弾性率が1000N/mm2以上3000N/mm2以下、23℃における静摩擦係数が0.50以下、かつ動摩擦係数が0.50以下、20℃における損失正接が0.014以上である。【選択図】 図1

Description

本発明は、携帯電話、携帯ゲーム機器、スマートフォン等に使用される携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム及びその製造方法に関するものである。
携帯電話やスマートフォン等からなる携帯機器には、マイクロスピーカと呼ばれる小型のスピーカが内蔵されているが、このスピーカの音波を発生させる振動板は、音質を左右する重要な部品である。この振動板は、金属箔や紙、織布等、様々な材料を使用して製造されるが、音質特性、剛性、耐湿性、耐水性、耐熱性を確保する観点から、樹脂フィルムの使用されることが少なくない。
従来における携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムは、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂等により成形されている(特許文献1、2、3、4参照)。
また、近年、高い強度や耐熱性等を確保するため、結晶性の熱可塑性ポリイミド(PI)樹脂の採用が提案されている。この場合、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムは、結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂により、帯形の薄膜に成形され、冷却して巻取機に巻き取られた後、繰り出して携帯機器のスピーカ用に二次加工される(特許文献5参照)。
特開昭60‐139098号公報 特開2019‐054534号公報 特開2018‐191069号公報 特開2018‐064150号公報 特開2018‐042043号公報
従来における携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムは、以上のように形成され、結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂により成形される場合、高強度、高耐熱性、高耐溶剤性等に優れるものの、十分な滑り性を得ることができないので、製造時に巻取機に巻き取られる際、シワの生じることがある。その結果、振動板用樹脂フィルムが製造時や二次加工時に折れたり、損傷等するという問題が生じる。
この問題を解消する手法として、結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂に四フッ化エチレン・パーフルオロエチレン共重合体樹脂を添加して滑り性を改良するという方法が提案されている。この方法の場合、結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂と四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂との混合物より得られる樹脂フィルムは、滑り性が当初の予定通り十分に向上する。
しかしながら、結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂と四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体との混合物より得られる樹脂フィルムは、結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂と四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂との相溶性が悪く、機械的強度が低下するので、外部出力を大きくし、大音量で長時間利用すると、携帯機器スピーカの振動板の変形や破損を招く等、耐久性が悪化するという大きな問題が新たに生じる。
また、振動板用樹脂フィルムは、結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂により成形される場合、弾性率が低いので、低音共振周波数(F)が低く、例えば響き渡る大迫力の重低音を容易に聴取することができ、十分な低音特性を得ることができる。しかし、結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂からなる振動板用樹脂フィルムは、損失正接(=損失弾性率/貯蔵弾性率、又はtanδとも言う)が小さいので、共振が発生し、良好な音質を得ることが困難である。さらに、結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂フィルムは、樹脂フィルム同士の滑り性に劣るので、巻取機に巻き取られる際、シワが発生して品質の低下を招くおそれがある。
本発明は上記に鑑みなされたもので、例え結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂により成形しても、滑り性の向上が期待でき、しかも、損失正接の増大により、共振の発生を抑制して良好な音質を得ることのできる携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム及びその製造方法を提供することを目的としている。
本発明者等は、上記目的を達成するため、鋭意研究した結果、結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂と接着性フッ素樹脂との組み合わせに着目し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明においては上記課題を解決するため、結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂100質量部と、接着性フッ素樹脂1質量部以上100質量部以下とを含有した成形材料により成形され、熱可塑性ポリイミド樹脂が、少なくともテトラカルボン成分と、脂肪族ジアミンが主成分のジアミン成分とにより調製されており、
23℃における引張最大強度が40N/mm以上、かつ引張破断時伸びが100%以上、23℃における引張弾性率が1000N/mm以上3000N/mm以下、23℃における静摩擦係数が0.50以下、かつ動摩擦係数が0.50以下、20℃における損失正接が0.014以上であることを特徴としている。
なお、一対の振動板用樹脂フィルムの間に、厚さ10μm以上100μm以下のエラストマー層を挟持させ、このエラストマー層のデュロメータ硬さを、JIS K 6253に準拠してデュロメータのタイプAで測定した場合に、A10以上A90以下とすることができる。
また、熱可塑性ポリイミド樹脂のジアミン成分は、炭素数4以上12以下の直鎖状脂肪族ジアミンであることが好ましい。
また、結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂のジアミン成分は、少なくとも脂環族ジアミンを含むと良い。
また、脂環族ジアミンは、1,3‐ビス(アミノメチル)シクロヘキサンであると良い。
また、350℃における接着性フッ素樹脂の見掛けの剪断粘度は、荷重50kgfの場合に1×10Pa・s以上1×10Pa・s以下であることが好ましい。
また、本発明においては上記課題を解決するため、請求項1ないし4のいずれかに記載した携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムの製造方法であって、
結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂100質量部と、接着性フッ素樹脂1質量部以上100質量部以下とにより成形材料を調製し、この成形材料の熱可塑性ポリイミド樹脂を、少なくともテトラカルボン成分と、脂肪族ジアミンが主成分のジアミン成分とし、
成形材料を溶融混練して押出成形機に投入し、成形材料を押出成形機のダイスにより携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムに押出成形するとともに、この振動板用樹脂フィルムを冷却ロールに接触させて冷却し、その後、冷却した振動板用樹脂フィルムを巻取機に巻き取ることを特徴としている。
ここで、特許請求の範囲における携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムには、樹脂フィルムの他、樹脂シートが含まれる。この携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムは、透明、不透明、半透明、無延伸フィルム、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルムを特に問うものではない。また、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムは、一枚でも良いが、複数枚でも良い。この場合、例えば一対の携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムの間に、エラストマー層を介在して接着するとともに、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムとエラストマー層との間に、接着用のプライマー層を介在することができる。
本発明によれば、成形材料を、結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂と接着性フッ素樹脂とで調製するので、損失正接が増大し、共振の発生を抑えた良好な音質特性を得ることができる。また、成形材料に結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂を含有するので、強靭性、高耐熱性、高耐溶剤性、低音特性等に優れる携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムを得ることができる。また、分散性に優れる接着性フッ素樹脂をも含有するので、優れた滑り性を得ることができ、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムの巻き取り時に、シワの生じることが少ない。
本発明によれば、例え結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂により成形しても、滑り性の向上が期待でき、しかも、損失正接の増大により、共振の発生を抑制して良好な音質を得ることができるという効果がある。
請求項2記載の発明によれば、エラストマー層のデュロメータ硬さが、JIS K 6253に準拠してデュロメータのタイプAで測定した場合に、A10以上A90以下であるので、エラストマー層の圧縮永久歪み特性が悪化したり、携帯機器スピーカの振動板の振動伝搬速度が低下して音質に問題が生じるのを抑制することができる。また、損失正接が小さくなって振動板の性能が悪化するのを防ぐことができる。
請求項3記載の発明によれば、熱可塑性ポリイミド樹脂のジアミン成分が少なくとも炭素数4以上12以下の直鎖状脂肪族ジアミンを含むので、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムの成形性や二次加工性、低吸湿性を向上させることができる。
請求項4記載の発明によれば、結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂中に接着性フッ素樹脂を均一に分散させることができ、機械的特性、滑り性、音質特性に優れた携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムを製造することが可能となる。
本発明に係る携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム及びその製造方法の実施形態を模式的に示す全体説明図である。 本発明に係る携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムの第2の実施形態を模式的に示す説明図である。
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態を説明すると、本実施形態における携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1は、図1に示すように、結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂と、接着性フッ素樹脂とを含有した成形材料2により押出成形され、熱可塑性ポリイミド樹脂が、少なくともテトラカルボン成分と、脂肪族ジアミンが主成分のジアミン成分とにより調製されており、携帯電話のマイクロスピーカの振動板等に利用される。
成形材料2は、結晶性の熱可塑性ポリイミド(PI)樹脂100質量部と、接着性フッ素樹脂1質量部以上100質量部以下とが含有して調製される。この成形材料2には、本発明の特性を損なわない範囲で結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂と接着性フッ素樹脂の他、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤、耐熱向上剤、無機化合物、有機化合物、樹脂改質剤等が選択的に添加される。
成形材料2の結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂は、テトラカルボン酸成分と、ジアミン成分との重合により得られる。熱可塑性ポリイミド樹脂のテトラカルボン酸成分としては、シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸等の脂環族テトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸、ピロメリット酸等があげられる。また、これらのアルキルエステル体も使用することが可能である。
これらの中でも、テトラカルボン酸成分のうち、50モル%を越える成分がピロメリット酸であることが好ましい。これは、テトラカルボン酸成分がピロメリット酸を主成分とすれば、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1の耐熱性、二次加工性、及び低吸水性が向上するからである。係る観点から、テトラカルボン酸成分のうち、ピロメリット酸は、60モル%以上が好ましく、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上が良い。とりわけ、テトラカルボン酸成分の全て(100モル%)がピロメリット酸であるのが最適である。
結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂を構成するジアミン成分は、脂肪族ジアミン(脂環族ジアミンをも含む)を主成分とすることが重要である。すなわち、ジアミン成分のうち50モル%を越える成分が脂肪族ジアミンであることが重要であり、60モル%以上であることが好ましく、80モル%以上であることがより好ましく、90モル%以上であることが特に好ましい。とりわけ、ジアミン成分の全て(100モル%)が脂肪族ジアミンであるのが最適である。この主成分が脂肪族ジアミンであることにより、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1に、優れた耐熱性、低吸水性、成形性、及び二次加工性を付与することができる。
ジアミン成分に含まれる脂肪族ジアミンとしては、炭化水素基の両末端にアミン基を有するジアミン成分であれば、特に限定されるものではないが、耐熱性を重視する場合には、環状炭化水素の両末端にアミン基を有する脂環族ジアミンを含むことが好ましい。脂環族ジアミンの具体例としては、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)、イソフォロンジアミン、ノルボルナンジアミン、ビス(アミノメチル)トリシクロデカン等があげられる。これらの中では、耐熱性と成形性、二次加工性を両立できるという観点から、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンが最適である。
携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1の成形性や二次加工性を重視する場合には、ジアミン成分に含まれる脂肪族ジアミンとして、直鎖状炭化水素の両末端にアミン基を有する直鎖状脂肪族ジアミンを含むことが好ましい。この直鎖状脂肪族ジアミンとしては、アルキル基の両末端にアミン基を有するジアミン成分であれば、特に限定されるものではないが、具体例として、エチレンジアミン(炭素数2)、プロピレンジアミン(炭素数3)、ブタンジアミン(炭素数4)、ペンタンジアミン(炭素数5)、ヘキサンジアミン(炭素数6)、ヘプタンジアミン(炭素数7)、オクタンジアミン(炭素数8)、ノナンジアミン(炭素数9)、デカンジアミン(炭素数10)、ウンデカンジアミン(炭素数11)、ドデカンジアミン(炭素数12)、トリデカンジアミン(炭素数13)、テトラデカンジアミン(炭素数14)、ペンタデカンジアミン(炭素数15)、ヘキサデカンジアミン(炭素数16)、ヘプタデカンジアミン(炭素数17)、オクタデカンジアミン(炭素数18)、ノナデカンジアミン(炭素数19)、エイコサン(炭素数20)、トリアコンタン(炭素数30)、テトラコンタン(炭素数40)、ペンタコンタン(炭素数50)等があげられる。
これらの中では、成形性や二次加工性、低吸湿性に優れるという観点から、炭素数4〜12の直鎖状脂肪族ジアミンが最適である。この直鎖状脂肪族ジアミンは、炭素数1〜10の枝分かれ構造を有するものでも良い。
ジアミン成分に含まれる脂肪族ジアミン以外の成分としては、他のジアミン成分を含んでいても良い。具体的には、1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、2,4−トルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)1,4’−ジイソプロピルベンゼン、α,α’-ビス(3−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,6−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン等の芳香族ジアミン成分、ポリエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ポリプロピレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル等のエーテルジアミン成分、シロキサンジアミン類等があげられる。
ジアミン成分は、脂環族ジアミンと直鎖状脂肪族ジアミンのいずれか、又は両方を含んでも良いが、耐熱性と成形性のバランスに優れることから、脂環族ジアミンと直鎖状脂肪族ジアミンの両方を含むことが望ましい。脂環族ジアミンと直鎖状脂肪族ジアミンの両方を含む場合、それぞれの含有量は、脂環族ジアミン:直鎖状脂肪族ジアミン=99:1〜1:99モル%の範囲であることが好ましく、90:10〜10:90モル%であることがより好ましく、80:20〜20:80モル%であることがさらに好ましく、70:30〜30:70モル%であることが特に好ましく、60:40〜40:60モル%が最適である。ジアミン成分に含まれる脂環族ジアミンと直鎖状脂肪族ジアミンの割合が係る範囲であれば、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1の耐熱性と成形性は、優れたバランスとなる。
結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂の融点(融解温度ともいう)は、280℃以上370℃以下であり、好ましくは300℃以上350℃以下、より好ましくは310℃以上330℃以下が良い。これは、結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂の融点が280℃未満の場合には、耐熱性を有する携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1を得ることができないからである。これに対し、結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂の融点が370℃を越える場合には、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1の製造温度が400℃を超えてしまうため、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1の製造が困難となり、しかも、使用可能な溶融押出成形機10が制限されてしまう等の問題が生じるからである。
結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂のガラス転移点は、160℃以上240℃以下、好ましくは170℃以上210℃以下、より好ましくは170℃以上190℃以下が良い。これは、結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂のガラス転移点が160℃未満の場合には、耐熱性を有する携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1を得ることができないからである。これに対し、結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂のガラス転移点が240℃を越える場合には、結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂の融点が370℃を越え、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1の製造温度が400℃以上を超えて携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1の製造に支障を来したり、使用可能な溶融押出成形機10が制限されるからである。
結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂の見掛けの剪断粘度は、温度350℃における見掛けの剪断速度1×10sec−1の場合に、1×10Pa・s以上1×10Pa・s以下の範囲内、好ましくは5×10Pa・s以上5×10Pa・s以下の範囲内、より好ましくは7×10Pa・s以上1×10Pa・s以下の範囲内が良い。これは、温度350℃、見掛けの剪断速度1×10sec−1における結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂の見掛けの剪断粘度が1×10Pa・s以上1×10Pa・s以下の範囲内であれば、結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂中への接着性フッ素樹脂の分散性が良好となり、樹脂フィルムの成形性に優れる成形材料2の調製が可能になるという理由に基づく。また、携帯機器スピーカに適した機械的特性、及び音質特性を有する振動板用樹脂フィルム1が得られるという理由に基づく。
結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で他の共重合可能な単量体とのランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、あるいは変性体も使用することができる。また、結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂の形状は、粉状、フレーク状、ペレット状、塊状等、いかなる形状でも良い。
結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂は特に限定されるものではないが、好ましくは特許第5365762号公報、特許第6024859号公報、特許第6037088号公報記載、あるいは特許第6394662号公報記載の熱可塑性を有するポリイミド樹脂、より好ましくは特許第6024859号公報、特許第6037088号公報記載、あるいは特許第6394662号公報に記載された熱可塑性のポリイミド樹脂が好適である。この熱可塑性ポリイミド樹脂の具体例としては、高強度、高耐熱性、高耐溶剤性、結晶性、フィルム成形性に優れるサープリムシリーズ〔三菱瓦斯化学社製:製品名〕があげられる。
成形材料2には結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂が使用されるが、これは非晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂を使用すると、引張弾性率が3000N/mmを超え、F値が高くなって低音特性が悪化してしまうという理由に基づく。非晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂の具体例としては、ポリエーテルイミド樹脂があげられる。このポリエーテルイミド樹脂としては、4,4’−[イソプロピリデンビス(p−フェニレンオキシ)ジフタル酸二無水物と、m−フェニレンジアミンとの重縮合物〔SABICイノベーティブプラスチック社製 製品名:ULTEM 1010〕、あるいは4,4’−[イソプロピリデンビス(p−フェニレンオキシ)ジフタル酸二無水物と、p−フェニレンジアミンとの縮重合物〔SABICイノベーティブプラスチック社製 製品名:ULTEM CRS5001〕があげられる。
接着性フッ素樹脂は、テトラフルオロエチレン(以下、TFEという)、及び/又はクロロトリフルオロエチレン(以下、CTFEという)に基づく繰り返し単位(a)、ジカルボン酸無水物基を有し、かつ環内に重合性不飽和基を有する環状炭化水素モノマーに基づく繰り返し単位(b)、及びその他のモノマー(但し、繰り返し単位(a)、(b)と重複する場合には、そのモノマーを除く)に基づく繰り返し単位(c)を含有する。
係る接着性フッ素樹脂において、繰り返し単位(a)、繰り返し単位(b)、及び繰り返し単位(c)の合計モル量に対し、繰り返し単位(a)が50〜99.89モル%、繰り返し単位(b)が0.01〜5モル%であり、繰り返し単位(c)が0.1〜49.99モル%である。好ましくは繰り返し単位(a)が50〜99.47モル%、繰り返し単位(b)が0.03〜3モル%であり、繰り返し単位(c)が0.5〜49.97モル%、より好ましくは繰り返し単位(a)が50〜98.95モル%、繰り返し単位(b)が0.05〜2モル%であり、繰り返し単位(c)が1〜49.95モル%が良い。
これは、繰り返し単位(a)、繰り返し単位(b)、及び繰り返し単位(c)のモル%が係る範囲にあると、接着性フッ素樹脂の耐熱性や耐薬品性が向上するからである。また、繰り返し単位(b)のモル%が係る範囲にあると、接着性フッ素樹脂は、結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂との接着性に優れるからである。さらに、繰り返し単位単位(c)のモル%が係る範囲にあれば、接着性フッ素樹脂は、成形性や耐ストレスクラック性等の機械物性に優れるからである。
上記「ジカルボン酸無水物基を有し、かつ環内に重合性不飽和基を有する環状炭化水素モノマー」(以下、単に環状炭化水素モノマーと略称する)は、1つ以上の5員環又は6員環からなる環状炭化水素であって、しかも、ジカルボン酸無水物基と環内重合性不飽和基を有する重合性化合物をいう。
環状炭化水素としては、1つ以上の有橋多環炭化水素を有する環状炭化水素が好ましい。すなわち、有橋多環炭化水素からなる環状炭化水素、有橋多環炭化水素の2以上が縮合した環状炭化水素、又は有橋多環炭化水素と他の環状炭化水素が縮合した環状炭化水素であることが好ましい。また、この環状炭化水素モノマーは、環内重合性不飽和基、すなわち炭化水素環を構成する炭素原子間に存在する重合性不飽和基を1つ以上有する。この環状炭化水素モノマーはさらにジカルボン酸無水物基(−CO−O−CO−)を有し、ジカルボン酸無水物基は炭化水素環を構成する2つの炭素原子に結合していても良く、環外の2つの炭素原子に結合していても良い。
好ましくは、ジカルボン酸無水物基は、上記環状炭化水素の環を構成する炭素原子であって、かつ隣接する2つの炭素原子に結合する。さらに、環状炭化水素の環を構成する炭素原子には、水素原子の代わりに、ハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、その他の置換基が結合していても良い。具体例としては、以下の式(1)〜(8)で表されるものがあげられる。ここで、式(2)、(5)〜(8)におけるRは、炭素原子数1〜6の低級アルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選択されるハロゲン原子、上記低級アルキル基中の水素原子がハロゲン原子で置換されたハロゲン化アルキル基を示す。
Figure 2021077969
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上記環状炭化水素モノマーとしては、好ましくは式(1)で表される、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物(以下、NAHという)、式(3)、(4)で表される酸無水物である環状炭化水素モノマー、式(2)、及び式(5)〜(8)において、置換基Rがメチル基である環状炭化水素モノマーがあげられる。より好ましくはNAHが良い。
その他のモノマーとしては、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン(以下、VdFという)、CTFE(但し、繰り返し単位(a)として使用される場合を除く)、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン(以下、HFPという)、CF=CFORf 1 (ここで、Rf 1 は炭素数1〜10で炭素原子間に酸素原子を含んでもよいペルフルオロアルキル基)、CF=CFORf 2 SO(Rf 2 は炭素数1〜10で炭素原子間に酸素原子を含んでもよいペルフルオロアルキレン基、Xはハロゲン原子又は水酸基)、CF=CFORf 2 CO(ここで、Rf 2 は上記と同じ、Xは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基)、CF=CF(CFOCF=CF(ここで、pは1又は2)、CH=CX(CF(ここで、X及びXは、互いに独立に水素原子、又はフッ素原子、qは2〜10の整数)、ペルフルオロ(2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン)、エチレン、プロピレン、イソブテン等の炭素数2〜4のオレフィン、酢酸ビニル等のビニルエステル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル等があげられる。その他のモノマーは、1種単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
CF=CFORf 1 の具体例としては、例えばCF=CFOCFCF、CF=CFOCFCFCF、CF=CFOCFCFCFCF、CF=CFO(CFF等があげられる。好ましくは、CF=CFOCFCFCFである。また、CH=CX(CFの具体例としては、例えばCH=CH(CFF、CH=CH(CFF、CH=CH(CFF、CH=C F(CFH、CH=CF(CFH等があげられる。好ましくは、CH=CH(CFF又はCH=CH(CFFである。
その他のモノマーとしては、好ましくはVdF、HFP、CTFE(但し、繰り返し単位(a)として使用される場合を除く)、CF=CFORf 1 、CH=CX(CF、エチレン、プロピレン及び酢酸ビニルからなる群から選ばれる1種以上であり、より好ましくは、HFP、CTFE(但し、繰り返し単位(a)として使用される場合を除く)、CF=CFORf 1 、エチレン及びCH=CX(CFからなる群から選ばれる1種以上である。最も好ましくは、HFP又はCF=CFORf 1 である。また、CF=CFORf 1 としては、Rf 1 が炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基が好ましく、炭素数2〜4のペルフルオロアルキル基がより好ましく、ペルフルオロプロピル基が最適である。
接着性フッ素樹脂の具体例としては、例えば、TFE/CF=CFOCFCFCF/NAH共重合体、TFE/HFP/NAH共重合体、TFE/CF=CFOCFCFCF/HFP/NAH共重合体、TFE/VdF/NAH共重合体、TFE/CH=CH(CFF/NAH/エチレン共重合体、TFE/CH=CH(CFF/NAH/エチレン共重合体、CTFE/CH=CH(CFF/NAH/エチレン共重合体、CTFE/CH=CH(CFF/NAH/エチレン共重合体、CTFE/CH=CH(CFF/NAH/エチレン共重合体等があげられる。
接着性フッ素樹脂の融点は、150℃以上320℃以下が好ましく、200℃以上310℃以下がより好ましい。この融点は、繰り返し単位(a)、繰り返し単位(b)、及び繰り返し単位(c)の含有割合を上記範囲内で適宜選定して調製することができる。
接着性フッ素樹脂の高分子末端基としては、エステル基、カーボネート基、水酸基、カルボキシル基、カルボニルフルオリド基、酸無水物残基等の接着性官能基を有すると、接着性フッ素樹脂以外の結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂との接着性に優れるので好ましい。また、接着性官能基を有する高分子末端基は、接着性フッ素樹脂の製造時に、ラジカル重合開始剤、連鎖移動剤等を適宜選定することにより、導入することができる。
接着性フッ素樹脂の温度350℃における見掛けの剪断粘度は、荷重50kgfが作用する場合に、1×10Pa・s以上1×10Pa・s以下、好ましくは7×10Pa・s以上5×10Pa・s以下、より好ましくは9×10Pa・s以上2×10Pa・s以下の範囲内とされる。これは、係る範囲の見掛けの剪断粘度であれば、結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂中に接着性フッ素樹脂を均一に分散させることができ、機械的特性、滑り性、音質特性に優れた携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1の製造が期待できるからである。
接着性フッ素樹脂の製造方法は、特に限定されるものではないが、ラジカル重合開始剤を用いるラジカル重合法が用いられる。この重合方法としては、塊状重合、フッ化炭化水素、塩化炭化水素、フッ化塩化炭化水素、アルコール、炭化水素等の有機溶媒を使用する溶液重合、水性媒体及び必要に応じて適当な有機溶剤を使用する懸濁重合、水性媒体及び乳化剤を使用する乳化重合があげられるが、特に溶液重合が望ましい。
接着性フッ素樹脂は特に限定されるものではないが、好ましくは特許第4424246号公報、特許第5263269号公報、特許第5365939号公報記載、あるいは特開2019−43134号公報記載の接着性フッ素樹脂があげられる。この接着性フッ素樹脂の具体例としては、LH−8000〔AGC社製:製品名〕、AH−5000〔AGC社製:製品名〕、AH−2000〔AGC社製:製品名〕EA−2000等〔AGC社製:製品名〕があげられる。これら接着性フッ素樹脂の中では、耐熱性に優れるEA−2000が好適である。
接着性フッ素樹脂の添加量は、結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂100質量部に対して1質量部以上100質量部以下、好ましく5質量部以下90質量部以下、より好ましくは10質量部以上50質量部以下である。これは、添加量が1質量部未満の場合には、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1の損失正接の向上が期待できず、逆に添加量が100質量部を越える場合には、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1が剛性に劣るため、携帯機器スピーカの加工中のハンドリング性が低下するという理由に基づく。以上から、接着性フッ素樹脂の添加量が1質量部以上100質量部以下の範囲内であれば、共振の発生を抑えた音質特性に優れ、さらにハンドリング性の低下を防止した携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1が得られる。
成形材料2には、上記樹脂の他、上記以外のポリイミド(PI)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂等のポリイミド樹脂、ポリアミド4T(PA4T)樹脂、ポリアミド6T(PA6T)樹脂、変性ポリアミド6T(PA6T)樹脂、ポリアミド9T(PA9T)樹脂、ポリアミド10T(PA10T)樹脂、ポリアミド11T(PA11T)樹脂、ポリアミド6(PA6)樹脂、ポリアミド66(PA66)樹脂、ポリアミド46(PA46)樹脂等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂等のポリエステル樹脂、ポリエーテルケトン(PEK)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリエーテルエーテルエーテルケトン(PEEEK)樹脂、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)樹脂、ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)樹脂、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)樹脂等のポリアリーレンエーテルケトン樹脂、ポリサルホン(PSU)樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂、ポリフェニルサルホン(PPSU)樹脂等のポリサルホン樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリフェニレンスルフィドケトン樹脂、ポリフェニレンスルフィドスルホン樹脂、ポリフェニレンスルフィドケトンスルホン樹脂等のポリアリーレンサルファイド樹脂、液晶ポリマー(LCP)、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリアリレート(PAR)樹脂等が必要に応じ、添加される。
上記において、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1を製造する場合には、例えば図1に示すように、先ず、結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂と接着性フッ素樹脂とを室温下で撹拌混合し、所定時間溶融混練して成形材料2を調製した後、この成形材料2により帯形の携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1を連続的に成形する。
成形材料2の調製方法は、(1)結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂と接着性フッ素樹脂とを室温下で撹拌混合させた後に溶融混練し、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1の成形材料2を調節する方法、(2)結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂と接着性フッ素樹脂とを撹拌混合することなく、溶融した結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂中に接着性フッ素樹脂を添加し、これらを溶融混練して成形材料2を調製する方法があげられる。なお、本発明において「室温」とは、0℃以上50℃以下をいう。
これらの方怯は、いずれをも採用することができるが、分散性や作業性の観点からすると、(1)の方法が好ましい。先ず、(1)の方法について説明すると、結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂と接着性フッ素樹脂とを撹拌混合する場合には、タンブラーミキサー、へンシルミキサー、V型混合機、ナウターミキサー、リボンブレンダー、あるいは万能撹拌ミキサー等が使用される。
結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂と接着性フッ素樹脂とは、上記方法による撹拌混合物をミキシングロール、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、プラネタリーミキサー、二軸押出成形機、三軸押出成形機、四軸押出成形機等の多軸押出成形機等で溶融混練分散されることにより、成形材料2に調製される。この成形材料2を調製する場合、溶融混練機の温度は、300℃以上400℃以下、好ましくは330℃以上370℃以下が良い。これは、溶融押出成形機10の温度が400℃を越える場合には、接着性フッ素樹脂が激しく分解して好ましくないという理由に基づく。
次に、(2)の方法について説明すると、この方法の場合には、結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂をミキシングロール、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、プラネタリーミキサー、二軸押出成形機、三軸押出成形機、四軸押出成形機等の多軸押出成形機等で溶融し、熱可塑性ポリイミド樹脂に接着性フッ素樹脂を添加して溶融混練分散させることにより、熱可塑性ポリイミド樹脂と接着性フッ素樹脂との成形材料2を調製する。熱可塑性ポリイミド樹脂と接着性フッ素樹脂とからなる組成物を調製する場合の溶融混練機の温度は、300℃以上400℃以下、好ましくは330℃以上370℃以下が良い。これは、溶融押出成形機10の温度が400℃を越えると、接着性フッ素樹脂が上記同様、激しく分解するからである。
成形材料2は、通常、塊状、ストランド状、シート状、棒状に押出された後、粉砕機あるいは裁断機で粉状、顆粒状、ペレット状等の成形加工に適した形態にして使用される。
係る成形材料2からなる携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1は、溶融押出成形法、力レンダー成形法、あるいはキャスティング成形法等の公知の方法により製造することができる。ここで、溶融押出成形法とは、単軸押出成形機や二軸押出成形機等からなる溶融押出成形機10を使用して結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂と接着性フッ素樹脂との成形材料2を溶融混練し、溶融押出成形機10の先端部のTダイス13より帯形の携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1を連続的に押し出して製造する方法である。携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1の製造方法は、ハンドリング性や設備の簡略化の観点からすると、溶融押出成形法が最適である。
溶融押出成形機10は、例えば単軸押出成形機や二軸押出成形機等からなり、投入された成形材料2を溶融混練するように機能する。この溶融押出成形機10の上部後方には、成形材料2用の原料投入口11が設置され、この原料投入口11には、へリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス、窒素ガス、二酸化炭素ガス等の不活性ガスを必要に応じて供給する不活性ガス供給管12が接続されており、この不活性ガス供給管12による不活性ガスの流入により、成形材料2の酸化劣化や酸素架橋が有効に防止される。
単軸押出成形機や二軸押出成形機等の溶融押出成形機10としては、ベント口を有している溶融押出成形機10の使用が好ましい。これは、ベント口を使用して減圧下で溶融混練することにより、成形材料2に中に含まれている水分や昇華した有機物を十分に脱気しやすくなるからである。また、成形材料2の溶融混練前の含水率の調整が不要となるからである。
溶融押出成形機10の溶融混練時の温度は、成形材料2を溶融可能な温度であり、成形材料2が分解しない温度であれば、特に制限されるものでないが、成形材料2の融点以上熱分解温度未満の範囲が良い。具体的には300℃以上400℃以下、好ましくは330℃以上370℃以下に調整される。これは、300℃未満の場合には、熱可塑性ポリイミド樹脂含有の成形材料2を溶融押出成形することができず、逆に400℃を越える場合には、接着性フッ素合樹脂が激しく分解するおそれがあるからである。
溶融押出成形機10で溶融混練された成形材料2は、溶融押出成形機10の先端部のTダイス13により帯形の携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1に連続して押出成形され、この連続した携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1が下方の一対の圧着ロール17と冷却ロール18との間に挟んで冷却された後、巻取機20に巻き取られることで製造される。
Tダイス13は、溶融押出成形機10の先端部に連結管14を介して装着され、帯形の携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1を連続的に下方に押し出すよう機能する。このTダイス13の押出時の温度は、成形材料2の融点以上熱分解温度未満の範囲である。具体的には、300℃以上400℃以下、好ましくは330℃以上370℃以下に調整される。これは、300℃未満の場合には、結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂含有の成形材料2を溶融押出成形することができず、逆に400℃を越える場合には、接着性フッ素樹脂が激しく分解するおそれがあるからである。
Tダイス13の上流の連結管14には、ギアポンプ15とフィルタ16とがそれぞれ装着されることが好ましい。ギアポンプ15は、溶融押出成形機10により溶融混練された成形材料2を一定の流量で、かつ高精度にTダイス13にフィルタ16を介して移送する。フィルタ16は、溶融状態の成形材料2のゲルや異物等を分離し、溶融状態の成形材料2をTダイス13に移送する。
一対の圧着ロール17は、Tダイス13の下方に回転可能に軸支され、冷却ロール18を摺接可能に狭持しており、この冷却ロール18との間に携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1を挟持して冷却する。この一対の圧着ロール17のうち、下流の圧着ロール17のさらに下流には、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1を巻き取る巻取機20の巻取管21が回転可能に設置され、圧着ロール17と巻取機20の巻取管21との間には、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1の側部にスリットを形成するスリット刃22が昇降可能に配置されており、このスリット刃22と巻取機20の巻取管21との間には、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1にテンションを作用させて円滑に巻き取るための回転可能なテンションロール19が必要数軸支される。
各圧着ロール17の周面には、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1と冷却ロール18との密着性を向上させる観点から、少なくとも天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等のゴム層が必要に応じて被膜形成され、このゴム層には、シリカやアルミナ等の無機化合物が選択的に添加される。これらの中では、耐熱性に優れるシリコーンゴムやフッ素ゴムの採用が好ましい。
圧着ロール17としては、表面が金属の金属弾性ロールが必要に応じて使用され、この金属弾性ロールが使用される場合には、表面が平滑性に優れる携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1の成形が可能となる。金属弾性ロールの具体例としては、例えば金属スリーブロール、エアーロール〔ディムコ社製:製品名〕、UFロール〔日立造船社製:製品名〕が該当する。
このような圧着ロール17は、50℃以上260℃以下、好ましくは100℃以上240℃以下、より好ましくは130℃以上220℃以上、さらに好ましくは150℃以上200℃以下の温度に調整され、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1に摺接してこれを冷却ロール18に圧接する。圧着ロール17の温度が係る範囲なのは、圧着ロール17の温度が260℃を越える場合には、製造中の携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1が圧着ロール17に貼り付き、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1が破断するか、あるいは圧着ロール17に被覆形成されたゴム層が熱分解するおそれがあるからである。
逆に、圧着ロール17の温度が50℃未満の場合には、圧着ロール17が結露するため、好ましくないという理由に基づく。圧着ロール17の温度調整や冷却方法としては、空気、水、オイル等の熱媒体による方法、あるいは電気ヒーターや誘電加熱ロール等があげられる。
冷却ロール18は、例えば圧着ロール17よりも拡径の金属ロールからなり、Tダイス13の下方に回転可能に軸支されて押し出された携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1を圧着ロール17との間に狭持し、圧着ロール17と共に携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1を冷却しながらその厚さを所定の範囲内に制御する。この冷却ロール18は、圧着ロール17と同様、50℃以上260℃以下、好ましくは100℃以上240℃以下、より好ましくは130℃以上220℃以上、さらに好ましくは150℃以上200℃以下の温度に調整され、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1に摺接する。
冷却ロール18が50℃以上260℃以下の温度に調整されるのは、冷却ロール18の温度が260℃を越える場合には、製造中の携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1が冷却ロール18に密着して携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1の破断を招いたり、あるいはゴム層が被覆形成された圧着ロール17の場合、圧着ロール17のゴム層が熱分解するおそれがあるからである。これに対し、冷却ロール18の温度が50℃未満の場合には、冷却ロール18の結露を招き、好ましくないからである。冷却ロール18の温度調整や冷却方法は、空気、水、オイル等の熱媒体による方法、あるいは電気ヒーターや誘導加熱等があげられる。
上記において、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1をより具体的、かつ実際に製造する場合には図1に示すように、先ず、溶融押出成形機10の原料投入口11に、成形材料2を同図に矢印で示す不活性ガスを供給しながら投入し、溶融押出成形機10により成形材料2の結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂と接着性フッ素樹脂とを溶融混練し、Tダイス13から携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1を連続的に帯形に押し出す。
この際、成形材料2の溶融押出前における含水率は、2000ppm以下、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは100ppm以上500ppm以下に調整される。これは、含水率が2000ppmを越える場合には、成形材料2がTダイス13から押し出された直後に発泡するおそれがあるからである。
携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1を押し出したら、一対の圧着ロール17、冷却ロール18、テンションロール19、巻取機20の巻取管21に順次巻架し、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1を冷却ロール18により冷却した後、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1の両側部をスリット刃22でそれぞれカットするとともに、巻取機20の巻取管21に順次巻き取れば、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1を製造することができる。この携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1製造の際、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1の表面には、本発明の効果を失わない範囲で微細な凹凸を形成し、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1表面の摩擦係数を低下させることができる。
携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1の厚さは、1μm以上1000μm以下であれば特に限定されるものではないが、厚さの充分な確保、ハンドリング性や薄型化の観点からすると、好ましくは3μm以上100μm以下、より好ましくは4μm以上97μm以下、さらに好ましくは6μm以上75μm以下が良い。
携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1の相対結晶化度は、80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは100%が良い。これは、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1の相対結晶化度が80%未満の場合には、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1の耐熱性に問題が生じるからである。また、相対結晶化度が80%以上であれば、携帯機器スピーカ用として使用可能な機械的強度と耐熱性の確保が期待できるからである。
携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1の結晶化度は、相対結晶化度により表すことができる。この携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1の相対結晶化度は、示差走査熱量計を用いて10℃/分の昇温速度で測定した熱分析結果に基づき、以下の式により算出される。
相対結晶化度(%)={1−(ΔHc/ΔHm)}×100
ΔHc:再結晶化ピークの熱量(J/g)
ΔHm:融解ピークの熱量(J/g)
携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1の機械的特性は、23℃における引張最大強度、引張破断時伸び、及び引張弾性率で評価することができる。引張最大強度は、JIS K 6781や7127に準拠した測定法で40N/mm以上、好ましくは50N/mm以上200N/mm以下、より好ましくは52N/mm以上68N/mm以下である。また、引張破断時伸びは、JIS K 6781や7127に準拠した測定法で100%以上、好ましくは150%以上300%以下、より好ましくは170%以上230%以下が良い。
これは、引張最大強度が40N/mm未満で破断時伸びが100%未満の場合、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1が十分な靭性を有していないので、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1の加工中に破断や割れ等のトラブルが生じてしまうおそれがあり、製造が困難になるからである。
携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1の23℃における引張弾性率は、JIS K 6781やJIS K 7127に準拠した測定法で1000N/mm以上3000N/mm以下、好ましくは1250N/mm以上2750N/mm以下、より好ましくは1400N/mm以上2250N/mm以下の範囲が最適である。
これは、引張弾性率が1000N/mm未満の場合には、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1が剛性に劣るため、携帯機器スピーカの加工中に容易に変形してしまうため、ハンドリング性が低下するという理由に基づく。加えて、低音特性の向上を図ることができないという理由に基づく。逆に、3000N/mmを越える場合には、F値が増大し、低音特性の向上を図ることができないという理由に基づく。
携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1の23℃における静摩擦係数は、JIS K 7125‐1999に準拠した測定法で測定する場合、優れた滑り性を得る観点から、0.50以下、好ましくは0.40以下、より好ましくは0.35以下が良い。この静摩擦係数の下限値は特に限定されるものではないが、実用上は0.04以上である。また、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1の23℃における動摩擦係数は、JIS K 7125‐1999に準拠した測定法で測定する場合、優れた滑り性を得る観点から0.50以下、好ましくは0.40以下、より好ましくは0.30以下が良い。この動摩擦係数の下限値も特に限定されるものではないが、実用上は0.04以上である。
携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1の20℃における損失正接は、共振を防止して良好な音質を得るため、0.014以上、好ましくは0.018以上、より好ましく0.020以上、さらに好ましく0.020以上が最適である。これは、損失正接が0.015未満の場合には、共振の発生により、良好な音質を得ることができないからである。この損失正接の上限値は、特に制約されるものではないが、0.45以下が良い。
携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1の表裏面には、微細な凹凸を形成して摩擦係数を低下させることができるが、微細な凹凸を形成する方法としては、(1)微細な凹凸を備えた圧着ロール17と微細な凹凸を備えた冷却ロール18とで携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1を挟み、微細な凹凸を形成する方法、(2)携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1に微小なジルコニア、ガラス、ステンレス等の無機化合物、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、あるいは植物の種等の有機化合物を吹き付けて微細な凹凸を形成する方法、(3)携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1を微細な凹凸を備えた金型でプレス成形し、微細な凹凸を形成する方法があげられる。これらの方法の中では、設備の簡略化、凹凸サイズの精度、凹凸形成の均一化、あるいは凹凸形成の容易さ、連続的に凹凸の形成が可能な観点から(1)の方法が最適である。
(1)の方法をさらに詳細に説明すると、(1−1)結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂と接着性フッ素樹脂とからなる成形材料2を溶融押出成形機10のTダイス13から微細な凹凸を周面に備えた冷却ロール18上に吐き出すとともに、この吐出物を冷却ロール18と微細な凹凸を周面に備えた圧着ロール17とで挟み、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1の溶融押出成形と同時に成形する方法、(1−2)成形した携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1を微細な凹凸を周面に備えた圧着ロール17と微細な凹凸を備えた冷却ロール18とで挟み、凹凸を形成する方法があげられる。これらの中では、設備の簡略化の観点から、(1−1)の方法が好ましい。
上記構成によれば、成形材料2に結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂を含有するので、高強度、高耐熱性、高耐溶剤性等に優れる携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1を得ることができる。また、成形材料2に、分散性に優れる接着性フッ素樹脂を添加し、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1の静摩擦係数を0.260以上0.350以下と低く小さくするとともに、動摩擦係数を0.160以上0.290以下と低く小さくするので、十分な滑り性を得ることができ、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1が巻取機20に巻き取られる際、シワの生じることがない。したがって、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1が製造時や二次加工時に折れたり、損傷等する問題を有効に解消することができる。
また、四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体等のフッ素樹脂ではなく、結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂と相溶性に優れる接着性フッ素樹脂を採用するので、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1を溶融押出成形法により円滑に製造することができる。また、成形材料2を、結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂と接着性フッ素樹脂とで調製するので、低音特性の他、損失正接が増大し、共振の発生を抑えた優れた音質特性を得ることができる。したがって、携帯機器のソフトウェアに依存したり、携帯機器に専用の外部スピーカを接続しなくても、重要な低音を携帯機器で強調したり、再生することが可能となる。
また、スピーカを大きく重くしなくても、低音特性の向上を図ることができるので、携帯機器の薄型化、小型化、軽量化の要請に資することが可能となる。また、耐熱性に優れる相対結晶化度80%以上の携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1をスピーカ用に用いるので、優れた耐熱性が期待できる。さらに、放熱特性に優れる結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂含有の振動板用樹脂フィルム1を用いるので、損失が減少して携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1の安定した長期使用が可能となる。
次に、図2は本発明の第2の実施形態を示すもので、この場合には、一対の携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1を用意し、この一対の携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1の間に、厚さ10μm以上100μm以下のエラストマー層3を挟持接着させた多層構造とするようにしている。
エラストマー層3のエラストマーとしては、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、炭化水素樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂等があげられる。これらのエラストマーの中では、シリコーン樹脂、特に加熱硬化型シリコーン樹脂が耐熱性、耐候性、難燃性、音質特性、圧縮特性等に優れる点で好ましい。この加熱硬化型シリコーン樹脂としては、例えば付加硬化型ミラブルシリコーン樹脂、及び付加硬化型液状シリコーン樹脂があげられる。
付加硬化型ミラブルシリコーン樹脂は、通常、オルガノポリシロキサンに、シリカ系等の充填材、及び硬化剤(公知の白金系触媒とオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを組み合わせた硬化剤、及び有機化酸化物等)やシリカ微粉末等からなる各種の添加剤を添加した組成物の状態で使用される。
これに対し、付加硬化型液状シリコーン樹脂は、一分子中にケイ素原子と結合するアルケニル基を少なくとも2個含有するオルガノポリシロキサンと、一分子中にケイ素原子と結合する水素原子を少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、平均粒径が1μm以上30μm以下で、嵩密度が0.1g/cm以上0.5g/cm以下である無機質充填材(珪藻土、パーライト、発泡パーライトの粉砕物、マイカ、炭酸カルシウム、ガラスフレーク、及び中空フィラー等)と、付加反応触媒(白金黒、塩化第二白金、塩化白金酸、塩化白金酸と一価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒等)とが添加された樹脂組成物の状態で使用される。
エラストマー層3にシリコーン樹脂を使用した場合のシリコーン樹脂のデュロメータ硬さは、JIS K 6253に準拠してデュロメータのタイプAで測定した場合、A10以上A90以下、好ましくはA20以上A70以下、より好ましくはA20以上A50以下の範囲が最適である。これは、デュロメータ硬さがA10未満の場合には、シリコーン樹脂層の圧縮永久歪み特性が悪化したり、振動板の振動伝搬速度が低下して音質に問題が生じるからである。逆に、デュロメータ硬さがA90を越える場合には、損失正接が小さくなり、振動板としての性能悪化を招くからである。
一対の携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1とエラストマー層3との間には、これらを強固に接着させる目的で、プライマー層を介在した多層構造としても良い。各プライマーは、エラストマー層3と携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1との間に介在され、これらを強固に接着するよう機能する。
プライマーは、シリコーン樹脂と携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1とを接着することができるものであれば、特に限定されるものではないが、例えばアルキド樹脂、フェノール変性・シリコーン変性等のアルキッド樹脂変性物、オイルフリーアルキッド樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、及びこれら混合物等があげられる。また、これらの樹脂を硬化、及び/又は架橋する架橋剤として、例えばイソシアネート化合物、メラミン化合物、エポキシ化合物、過酸化物、フェノール化合物、ハイドロジェンシロキサン化合物、シラン化合物等があげられる。
薄い各プライマーは、0.1μm以上5μm以下、好ましくは1μm以上3μm以下の厚さとされる。これは、プライマーの厚さが0.1μm未満の場合には、エラストマー層3と携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1との接着が不十分で、振動板への成形中、あるいは使用中に剥離してしまうおそれがあるからである。これに対し、プライマーの厚さが5μmを越える場合には、振動板への二次成形性、あるいは音響特性に悪影響を及ぼすおそれがあるからである。
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、エラストマー層3の圧縮永久歪み特性が悪化したり、携帯機器スピーカの振動板の振動伝搬速度が低下して音質に問題が生じるのを防止することができるのは明らかである。
なお、上記実施形態の携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム1の表面には、本発明の効果を失わない範囲で各種の帯電防止剤、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等の各種エラストマーを塗布したり、アルミニウム、スズ、ニッケル、銅等の各種金属を蒸着しても良い。また、フィルタ16の円板やメッシュ等は、必要に応じ、複数が選択的に積層使用される。さらに、フィルタ16の開口形状は、円形、楕円形、矩形、多角形等を特に問うものではない。
以下、本発明に係る携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム及びその製造方法の実施例を比較例と共に説明する。
〔実施例1〕
先ず、結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂と接着性フッ素樹脂とにより成形材料を調製した。結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂としては、市販されているサープリムTO−65〔三菱瓦斯化学社製:製品名、(以下、「TO−65」と略す)〕を100質量部用意し、この結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂を160℃に加熱した除湿乾燥機で12時間乾燥させた。また、接着性フッ素樹脂としては、市販されている接着性フッ素樹脂EA−2000〔AGC社製:製品名、(以下、「EA−2000」と略す。〕を5質量部用意した。結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂と接着性フッ素樹脂の見掛けのせん断粘度は、温度350℃における見掛けのせん断粘度で評価した。
これらを用意したら、2種類の樹脂を混合機に投入して攪拌混合することにより、攪拌混合物を調製し、この撹拌混合物を同方向回転二軸押出機等で溶融混練してストランド状に押し出し、この押出成形物を水冷固化した後、ペレット状にカッティングして成形材料を調製した。同方向回転二軸押出機は、φ25mm、L/D=41タイプを用いた。また、撹拌混合物は、シリンダー温度200〜350℃、ダイス温度350℃の条件下で溶融混練し、成形材料を調製した。溶融混練時の温度は、ダイスから押し出した直後の溶融状態の成形材料の温度を測定することとし、測定したところ368℃であった。
次いで、成形材料を160℃に加熱した除湿乾燥機に投入して24時間乾燥させ、乾燥した成形材料を幅150mmのTダイス付きの単軸押出成形機に投入して溶融混練し、この溶融混練した成形材料をTダイスから連続的に押し出して携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムを帯形に押出成形した。単軸押出成形機は、φ20mm、スクリュー:フルフライトスクリュー(L/D=25、圧縮比:2.5)のタイプとした。また、単軸押出成形機の温度は340〜350℃、Tダイスの温度350℃、単軸押出成形機とTダイスとを連結する連結管とギアポンプの温度はそれぞれ350℃に調整した。溶融した成形材料の温度については、Tダイス入口の樹脂温度を測定することとし、測定したところ351℃であった。
こうして携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムを押出成形したら、この携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムを、図1に示すようなシリコーンゴム製の一対の圧着ロール、150℃の冷却ロールである金属ロール、及びこれらの下流に位置する巻取機の3インチの巻取管に順次巻架するとともに、圧着ロールと金属ロールとに挟持させ、連続した携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムの両側部をスリット刃で裁断して巻取管に順次巻き取ることにより、長さ10m、幅130mmの携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムを製造した。
携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムを製造したら、この携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムのフィルム厚、機械的特性、滑り性、音響特性、巻取管に巻き取ったときの巻取シワの発生を測定して表1にまとめ、評価することとした。機械的特性は携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムの引張最大強度、引張破断時伸び、及び引張弾性率、滑り性は携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムの静摩擦係数と動摩擦係数、音響特性は損失正接とにより評価した。
・結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂の見掛けのせん断粘度
結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂の見掛けのせん断粘度は、結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂を160℃で24時間乾燥させた後、ツインキャピラリーレオメーターR6000〔IMATEK社製 製品名〕を使用して測定した。具体的には、キャピラリーダイ:φ1.0mm×16mm(ロングダイ)、φ1.0mm×0.25mm(ショートダイ)、バレル径:15mm、温度:350℃の条件下において、結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂をバレル内に40g投入し、ロングダイ側:0.9MPa、ショートダイ側:0.3MPaになるまでピストンを50mm/minの速度で押し込み、圧力が所定の値となったら、そのままの状態で6分間保持した。
その後、再びロングダイ側:0.9MPa、ショートダイ側:0.3MPaになるまでピストンを50mm/minの速度で押し込み、圧力が所定の値となったら、所定の見掛けのせん断速度(1×10、2×10、3×10、5×10、8×10、1×10、3×10、8×10sec−1)を与えて測定し、見掛けのせん断粘度を求めた。結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂の見掛けのせん断粘度は、見かけのせん断速度が1×10sec−1のときの結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂の見かけのせん断粘度を求めた。
・接着性フッ素樹脂の見掛けのせん断粘度
接着性フッ素樹脂の温度350℃における見掛けのせん断粘度は、フローテスタを使用して測定した。具体的には、樹脂1.5cmをダイ(直径:1mm、長さ10mm)に装着した350℃のシリンダー内に充填し、このシリンダーの上部に、面積が1.0cmのプランジャーを取り付け、シリンダーの温度が350℃に達したら、5分間予備加熱するとともに、この予備加熱後に直ちに50kgfの荷重を加え、接着性フッ素樹脂を溶融流出させてその見掛けのせん断粘度を測定した。測定は、3回行い、その平均値を見掛けのせん断粘度とした。
・携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムの厚さ
携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムのフィルム厚は、マイクロメータ〔ミツトヨ社製 製品名:クーラントプルーフマイクロメータ 符号MDC−25PJ〕を使用して測定した。測定に際しては、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムの幅方向(押出方向の直角方向)の中心部分を押出方向に向かいの任意の5箇所を測定し、その平均値をフィルム厚とした。
・携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムの機械的特性
携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムの機械的特性は、引張最大強度、引張破断時伸び、及び引張弾性率を測定して評価することとした。具体的には、JIS K 6251に準拠し、押出方向と幅方向について、引張速度50mm/分、温度23℃±2℃、相対湿度50%RH±5%RHの条件で測定した。試験片は、JIS K6251 2号形を使用した。測定は、5回測定してその平均値を引張最大強度、引張破断時伸び、引張弾性率とした。
・携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムの滑り性
携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムの滑り性は、静摩擦係数と動摩擦係数とを測定して評価することとした。これら静的摩擦係数と動的摩擦係数とは、JIS K7125‐1999に準拠して測定した。具体的には、表面性測定機〔新東科学社製 製品名:HEDON−14〕を使用し、23℃±2℃、50%RH±5%RHの環境下で、試験速度:100mm/min、荷重:200g、接触面積:63.5mm×63.5mmの条件下で測定した。
そして、移動テーブル側に、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムの巻外面を固定し、固定テーブル側に振動板用樹脂フィルムの巻内面を固定し、200gの荷重を作用させ、100mm/minの速度で静的摩擦係数と動的摩擦係数とをそれぞれ測定した。
・携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムの音響特性
携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムの音響特性は、20℃の損失正接を測定して評価することとした。この損失正接は、押出方向と幅方向について測定した。具体的には、樹脂フィルムを押出方向の損失正接を測定する場合には、押出方向60mm×幅方向6mm、幅方向の損失正接を測定する場合には、押出方向6mm×幅方向60mmの大きさに切り出して測定した。損失正接の測定に際しては、粘弾性スペクトロメータ(ティー・エス・インスツルメント・ジャパン社製 製品名:RSA−G2)を用いた引張モードにより、周波数1Hz、歪み0.1%、昇温速度3℃/分、測定温度範囲−60℃〜360℃、チェック間21mmの条件で測定し、20℃の損失正接を求めた。
・携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムにおける製造時の巻き取る際のシワの発生
携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムの製造時に、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムを巻き取る際のシワの発生の有無については、巻取管に100m巻き取った後、目視により観察して○×表記した。○はシワの発生無し、×はシワの発生有りとして表記した。
〔実施例2〕
実施例1において、160℃で24時間乾燥させた結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂〔サープリムTO−65〕と、実施例1の接着性フッ素樹脂〔製品名:EA−2000〕を用意し、接着性フッ素樹脂を結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂100質量部に対して10質量部となるように計量し、その後、2種類の樹脂を混合機に投入して室温で1時間攪拌混合することにより、攪拌混合物を調製した。
以下、実施例1で使用した同方向回転二軸押出機に撹拌混合物を投入し、実施例1と同様にして成形材料を調製した。結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂と接着性フッ素樹脂の溶融混練時の温度については、ダイスから押し出した直後の溶融状態の成形材料の温度を測定することとし、測定したところ363℃であった。
次いで、160℃で24時間乾燥させた成形材料を実施例1で使用した幅150mmのTダイス付きのφ20mm単軸押出成形機に投入して溶融混練し、この溶融混練した成形材料をTダイスから連続的に押し出して携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムを帯形に押出成形した。溶融した成形材料の温度については、Tダイス入口の樹脂温度を測定することとし、測定したところ350℃であった。
こうして携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムを押出成形したら、この振動板用樹脂フィルムを、実施例1と同様の方法により巻取管に順次巻き取ることにより、長さ10m、幅120mmの携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムを製造した。携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムを製造したら、この携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムのフィルム厚、機械的特性、滑り性、音響特性、巻取管に巻き取ったときの巻取シワの発生を測定して表1に記載し、評価した。
〔実施例3〕
実施例1において、160℃で24時間乾燥させた結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂〔サープリムTO−65〕と、実施例1の接着性フッ素樹脂〔製品名:EA−2000〕を用意し、接着性フッ素樹脂を結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂100質量部に対して20質量部となるように計量し、その後、2種類の樹脂を混合機に投入して室温で1時間攪拌混合することにより、攪拌混合物を調製した。
以下、実施例1で使用した同方向回転二軸押出機に撹拌混合物を投入し、実施例1と同様にして成形材料を調製した。結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂と接着性フッ素樹脂の溶融混練時の温度については、ダイスから押し出した直後の溶融状態の成形材料の温度を測定することとし、測定したところ366℃であった。
次いで、160℃で24時間乾燥させた成形材料を実施例1で使用した幅150mmのTダイス付きのφ20mm単軸押出成形機に投入して溶融混練し、この溶融混練した成形材料をTダイスから連続的に押し出して携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムを帯形に押出成形した。溶融した成形材料の温度については、Tダイス入口の樹脂温度を測定することとし、測定したところ354℃であった。
こうして携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムを押出成形したら、この振動板用樹脂フィルムを、実施例1と同様の方法により巻取管に順次巻き取ることにより、長さ10m、幅120mmの携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムを製造した。携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムを製造したら、この携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムのフィルム厚、機械的特性、滑り性、音響特性、巻取管に巻き取ったときの巻取シワの発生を測定して表1に記載し、評価した。
〔実施例4〕
実施例1において、160℃で24時間乾燥させた結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂〔サープリムTO−65〕と、実施例1の接着性フッ素樹脂〔製品名:EA−2000〕を用意し、接着性フッ素樹脂を結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂100質量部に対して50質量部となるように計量し、その後、2種類の樹脂を混合機に投入して室温で1時間攪拌混合することにより、攪拌混合物を調製した。
以下、実施例1で使用した同方向回転二軸押出機に撹拌混合物を投入し、実施例1と同様にして成形材料を調製した。結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂と接着性フッ素樹脂の溶融混練時の温度については、ダイスから押し出した直後の溶融状態の成形材料の温度を測定することとし、測定したところ365℃であった。
次いで、160℃で24時間乾燥させた成形材料を実施例1で使用した幅150mmのTダイス付きのφ20mm単軸押出成形機に投入して溶融混練し、この溶融混練した成形材料をTダイスから連続的に押し出して携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムを帯形に押出成形した。溶融した成形材料の温度については、Tダイス入口の樹脂温度を測定することとし、測定したところ353℃であった。
携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムを押出成形したら、この振動板用樹脂フィルムを、実施例1と同様の方法により巻取管に順次巻き取ることにより、長さ10m、幅120mmの携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムを製造した。携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムを製造したら、この携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムのフィルム厚、機械的特性、滑り性、音響特性、巻取管に巻き取ったときの巻取シワの発生を測定して表1に記載し、評価した。
Figure 2021077969
〔実施例5〕
実施例1において、160℃で24時間乾燥させた結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂〔サープリムTO−65〕と、実施例1の接着性フッ素樹脂〔製品名:EA−2000〕を用意し、接着性フッ素樹脂を結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂100質量部に対して90質量部となるように計量した後、2種類の樹脂を混合機に投入して室温で1時間攪拌混合することにより、攪拌混合物を調製した。
以下、実施例1で使用した同方向回転二軸押出機に撹拌混合物を投入し、実施例1と同様にして成形材料を調製した。結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂と接着性フッ素樹脂の溶融混練時の温度については、ダイスから押し出した直後の溶融状態の成形材料の温度を測定することとし、測定したところ363℃であった。
次いで、160℃で24時間乾燥させた成形材料を実施例1で使用した幅150mmのTダイス付きのφ20mm単軸押出成形機に投入して溶融混練し、この溶融混練した成形材料をTダイスから連続的に押し出して携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムを帯形に押出成形した。溶融した成形材料の温度については、Tダイス入口の樹脂温度を測定することとし、測定したところ353℃であった。
携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムを押出成形したら、この振動板用樹脂フィルムを、実施例1と同様の方法により巻取管に順次巻き取ることにより、長さ10m、幅120mmの携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムを製造した。携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムを製造したら、この携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムのフィルム厚、機械的特性、滑り性、音響特性、巻取管に巻き取ったときの巻取シワの発生を測定して表2に記載し、評価した。
Figure 2021077969
〔比較例1〕
成形材料を結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂のみに変更した。この結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂としては、実施例1で使用したTO−65を100質量部用意し、この結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂を160℃に加熱した除湿乾燥機で12時間乾燥させた。こうして結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂を用意して乾燥させたら、この結晶性の熱可塑性ポリイミドを実施例1で使用した幅150mmのTダイス付きのφ20mm単軸押出成形機に投入して溶融混練し、この溶融混練した成形材料をTダイスから連続的に押し出して携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムを帯形に押出成形した。
携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムを押出成形したら、この振動板用樹脂フィルムを、図1に示すようなシリコーンゴム製の一対の圧着ロール、150℃の冷却ロールである金属ロール、及びこれらの下流に位置する巻取機の3インチの巻取管に順次巻架するとともに、圧着ロールと金属ロールとに挟持させ、連続した携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムを巻取管に順次巻き取ることにより、長さ10m、幅120mmの携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムを製造した。
比較用の携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムを製造したら、この携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムのフィルム厚、機械的特性、滑り性、音響特性、巻取管に巻き取ったときの巻取シワの発生を測定して表3に記載し、評価した。
〔比較例2〕
先ず、実施例1の160℃で24時間乾燥させた結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂と、実施例1の接着性フッ素樹脂であるEA−2000を用意し、接着性フッ素樹脂を結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂100質量部に対して150質量部となるよう計量し、その後、2種類の樹脂を混合機に投入して室温で1時間攪拌混合することにより、攪拌混合物を調製した。
以下、実施例1で使用した同方向回転二軸押出機に撹拌混合物を投入し、実施例1と同様にして成形材料を調製した。結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂と接着性フッ素樹脂の溶融混練時の温度については、ダイスから押し出した直後の溶融状態の成形材料の温度を測定することとし、測定したところ346℃であった。
次いで、160℃で24時間乾燥させた成形材料を実施例1で使用した幅150mmのTダイス付きのφ20mm単軸押出成形機に投入して溶融混練し、この溶融混練した成形材料をTダイスから連続的に押し出して携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムを帯形に押出成形した。また、溶融した成形材料の温度については、Tダイス入口の樹脂温度を測定することとし、測定したところ353℃であった。
携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムを押出成形したら、この振動板用樹脂フィルムを、図1に示すようなシリコーンゴム製の一対の圧着ロール、150℃の冷却ロールである金属ロール、及びこれらの下流に位置する巻取機の3インチの巻取管に順次巻架するとともに、圧着ロールと金属ロールとに挟持させ、連続した携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムを巻取管に順次巻き取ることにより、長さ10m、幅120mmの携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムを製造した。
比較用の携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムを製造したら、この携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムのフィルム厚、機械的特性、滑り性、音響特性、巻取管に巻き取ったときの巻取シワの発生を測定して表3に記載し、評価した。
〔比較例3〕
先ず、実施例1の160℃で24時間乾燥させた結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂と、接着性を有しないフッ素樹脂である四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(以下、「PFA樹脂」と略す)とにより成形材料を調製した。PFA樹脂としては、市販されているネオフロンAP−210〔ダイキン工業社製:製品名、(以下、「AP−210」と略す)〕を使用した。このPFA樹脂は、結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂100質量部に対し、15質量部用意した。これらを用意したら、2種類の樹脂を混合機に投入して混合し、撹拌混合物を調製した。このAP−210の温度350℃における見掛けのせん断粘度は、実施例1の接着性フッ素樹脂の見掛けのせん断粘度の測定と同様の方法により測定した。
撹拌混合物を調製したら、この撹拌混合物を実施例1で使用した同方向回転二軸押出機に撹拌混合物を投入し、実施例1と同様の方法により成形材料を調製した。混練温度は、ダイスから押し出した直後の溶融状態の成形材料の温度を測定することとし、測定したところ346℃であった。
次いで、160℃で24時間乾燥させた成形材料を実施例1で使用した幅150mmのTダイス付きのφ20mm単軸押出成形機に投入して溶融混練し、この溶融混練した成形材料をTダイスから連続的に押し出して携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムを帯形に押出成形した。また、溶融した成形材料の温度については、Tダイス入口の樹脂温度を測定することとし、測定したところ353℃であった。
携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムを製造したら、この携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムのフィルム厚、機械的特性、滑り性、音響特性、巻取管に巻き取ったときの巻取シワの発生を測定して表3に記載し、評価することとした。
〔比較例4〕
先ず、非晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂と接着性フッ素樹脂とにより成形材料を調製した。非晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂としては、ポリエーテルイミド樹脂〔4,4’−[イソプロピリデンビス(P−フェニルオキシ)ジフタル酸二無水物とm−フェニレンジアミンとの重縮合物〕を使用した。この非晶性の熱可塑性ポリーテルイミド樹脂としては、市販されているULTEM 1010−1000−NB〔SABIC社製:製品名、(以下、「1010」と略す)〕を使用した。この1010を100質量部用意し、この1010を160℃に加熱した除湿乾燥機で12時間乾燥させた。1010の350℃における見掛けのせん断粘度は、実施例1の結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂と同様の方法で測定した。
接着性フッ素樹脂としては、実施例1で使用したEA−2000を10質量部用意した。これらを用意したら、その後、2種類の樹脂を混合機に投入して攪拌混合することにより、攪拌混合物を調製した。こうして撹拌混合物を調製したら、この撹拌混合物を実施例1で使用した同方向回転二軸押出機に撹拌混合物を投入し、実施例1と同様の方法により成形材料を調製した。混練温度は、ダイスから押し出した直後の溶融状態の成形材料の温度を測定することとし、測定したところ346℃であった。
次いで、成形材料を160℃に加熱した除湿乾燥機に投入して24時間乾燥させ、乾燥した成形材料を実施例1で使用した幅150mmのTダイス付きの単軸押出成形機に投入して溶融混練し、この溶融混練した成形材料をTダイスから連続的に押し出して幅130mm、長さ10mの携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムを帯形に押出成形した。単軸押出成形機とTダイスは、実施例1と同様の設備を使用した。また、単軸押出成形機の温度は340〜360℃、Tダイスの温度360℃、単軸押出成形機とTダイスとを連結する連結管は360℃に調整した。Tダイス入口の樹脂温度を測定することとし、測定したところ361℃あった。
携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムを製造したら、この携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムのフィルム厚、機械的特性、滑り性、音響特性、巻取管に巻き取ったときの巻取シワの発生を測定して表3に記載し、評価することとした。
Figure 2021077969
〔比較例5〕
熱可塑性ポリイミド樹脂を結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂から市販の非晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂であるポリエーテルイミド樹脂〔4,4’−[イソプロピリデンビス(P−フェニルオキシ)ジフタル酸二無水物とp−フェニレンジアミンとの重縮合物、SABIC社製、製品名:ULTEM CRS5001−1000−NB、(以下、「CRS5001」と略す)に変更した。
このCRS5001を100質量部用意し、この5001を160℃に加熱した除湿乾燥機で12時間乾燥させた。5001の350℃における見掛けのせん断粘度は、実施例1の結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂と同様の方法で測定した。また、接着性フッ素樹脂としては、実施例1で使用したEA−2000を10質量部用意した。これらを用意したら、その後、2種類の樹脂を混合機に投入して攪拌混合することにより、攪拌混合物を調製した。
攪拌混合物を調製したら、この撹拌混合物を実施例1で使用した同方向回転二軸押出機に撹拌混合物を投入し、実施例1と同様の方法により成形材料を調製した。また、撹拌混合物は、シリンダー温度200〜360℃、ダイス温度360℃の条件下で溶融混練し、成形材料を調製した。溶融混練時の温度は、ダイスから押し出した直後の溶融状態の成形材料の温度を測定することとし、測定したところ364℃であった。
次いで、成形材料を160℃に加熱した除湿乾燥機に投入して24時間乾燥させ、乾燥した成形材料を実施例1で使用した幅150mmのTダイス付きの単軸押出成形機に投入して溶融混練し、この溶融混練した成形材料をTダイスから連続的に押し出して携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムを帯形に押出成形した。単軸押出成形機は、実施例1と同じ単軸押出機を使用した。また、単軸押出成形機の温度は350〜365℃、Tダイスの温度365℃、単軸押出成形機とTダイスとを連結する連結管はそれぞれ365℃に調整した。また、溶融した成形材料の温度については、Tダイス入口の樹脂温度を測定することとし、測定したところ372℃であった。
携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムが得られたら、この携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムのフィルム厚、機械的特性、滑り性、音響特性、巻取管に巻き取ったときの巻取シワの発生を測定して表4に記載し、評価することとした。
Figure 2021077969
〔評 価〕
各実施例の場合、結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂に接着性フッ素樹脂を添加したので、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムの20℃における損失正接が0.015以上に増大し、共振の発生を抑えて良質な音質特性を得ることができた。また、結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂と接着性フッ素合樹脂とで調製したので、静摩擦係数と動摩擦係数の低下により、十分な滑り性を得ることができ、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムを巻取機に巻き取る際、シワの生じるのを防ぐことができた。
また、引張弾性率が1000N/mm以上3000N/mm以下であるため、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムのハンドリング性が良く、携帯機器スピーカの成形に問題が生じなかった。さらに、高音特性の他、優れた低音特性、共振の発生を抑えた良好な音質特性を得られるのを確認した。
これに対し、比較例1の場合、接着性フッ素樹脂を添加しなかったので、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムの静摩擦係数と動摩擦係数が高く大きくなり、20℃における損失正接も0.013以下であった。この結果、振動板用樹脂フィルムを巻取機に巻き取る際、シワが確認され、共振の発生も抑えることができず、良質な音質を得ることができなかった。
比較例2の場合、接着性フッ素樹脂を結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂100質量部に対して150質量を添加したため、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムの引張弾性率が1000N/mm未満となり、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムのハンドリング性が悪く、携帯機器スピーカの成形性に問題が生じた。
比較例3の場合、接着性を有しないフッ素樹脂であるPFA樹脂を添加した携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムは、20℃における損失正接が0.014以下であった。この結果、携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムの共振の発生を抑えることができず、良質な音質を得ることができなかった。さらに、比較例4と比較例5の場合、非晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂を使用したので、引張弾性率が3000N/mmを超え、F値も増大してしまい、低音特性の悪化を防止することできなかった。
本発明に係る携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム及びその製造方法は、携帯電話、携帯ゲーム機器、及びスマートフォン等の製造分野で使用される。
1 振動板用樹脂フィルム
2 成形材料
3 エラストマー層
10 溶融押出成形機(押出成形機)
13 Tダイス(ダイス)
17 圧着ロール
18 冷却ロール
20 巻取機

Claims (5)

  1. 結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂100質量部と、接着性フッ素樹脂1質量部以上100質量部以下とを含有した成形材料により成形され、熱可塑性ポリイミド樹脂が、少なくともテトラカルボン成分と、脂肪族ジアミンが主成分のジアミン成分とにより調製されており、
    23℃における引張最大強度が40N/mm以上、かつ引張破断時伸びが100%以上、23℃における引張弾性率が1000N/mm以上3000N/mm以下、23℃における静摩擦係数が0.50以下、かつ動摩擦係数が0.50以下、20℃における損失正接が0.014以上であることを特徴とする携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム。
  2. 一対の振動板用樹脂フィルムの間に、厚さ10μm以上100μm以下のエラストマー層が挟持され、このエラストマー層のデュロメータ硬さが、JIS K 6253に準拠してデュロメータのタイプAで測定した場合に、A10以上A90以下である請求項1記載の携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム。
  3. 熱可塑性ポリイミド樹脂のジアミン成分は、炭素数4以上12以下の直鎖状脂肪族ジアミンである請求項1又は2記載の携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム。
  4. 350℃における接着性フッ素樹脂の見掛けの剪断粘度は、荷重50kgfの場合に1×10Pa・s以上1×10Pa・s以下である請求項1、2、又は3記載の携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルム。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載した携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムの製造方法であって、
    結晶性の熱可塑性ポリイミド樹脂100質量部と、接着性フッ素樹脂1質量部以上100質量部以下とにより成形材料を調製し、この成形材料の熱可塑性ポリイミド樹脂を、少なくともテトラカルボン成分と、脂肪族ジアミンが主成分のジアミン成分とし、
    成形材料を溶融混練して押出成形機に投入し、成形材料を押出成形機のダイスにより携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムに押出成形するとともに、この振動板用樹脂フィルムを冷却ロールに接触させて冷却し、その後、冷却した振動板用樹脂フィルムを巻取機に巻き取ることを特徴とする携帯機器スピーカの振動板用樹脂フィルムの製造方法。
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