JP2017119741A - 樹脂およびフィルム - Google Patents

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義明 樋口
雄矢 堀口
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雄矢 堀口
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Abstract

【課題】テトラフルオロエチレン/ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)を含むフィルムを良好な外観で、良好な生産性で製造できる樹脂および前記樹脂を用いたフィルムを提供する。【解決手段】第一のPFAと第二のPFAとの2種の共重合体からなる樹脂であって、前記第一のPFAと前記第二のPFAとの質量比が2/98〜98/2であり、前記第一のPFAと前記第二のPFAの溶融流れ速度比が3〜60であることを特徴とする樹脂。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂およびフィルムに関する。
テトラフルオロエチレン/ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(以下、「PFA」とも記す。)は、分子量が高いほど顕著にその機械的強度が高くなる。そのため、PFAを含むフィルムを製造する場合、成形可能な範囲で極力高分子量のPFAを使用することが多い。
PFAを含むフィルムの製造方法の一つに、PFAを含む材料を押出ダイからフィルム状に押し出す方法がある。この際の押出条件(押出ダイの温度、押出速度等)は、一般的に、PFAが溶融し、かつ熱分解しない温度において、得られるフィルムにさざ波状の表面荒れや発泡が生じないように設定される。
上述の表面荒れや発泡は、押出ダイの吐出部(以下、「ダイリップ」とも記す。)でのせん断応力が一定の値を超えると発生する。たとえば、せん断応力が一定の値を超えると、ダイリップの材料と接する面でスティックスリップが発生し、材料の滑りと滞留が繰り返され、ダイリップから吐出される材料の厚みにムラが生じてさざ波状の表面荒れが生じる。一定の温度において上述の表面荒れや発泡が発生するせん断応力は材料の臨界せん断応力と呼ばれる。一般的なPFAの臨界せん断応力は100〜130kPa程度である。
ダイリップでのせん断応力は、たとえばダイリップが矩形の場合、下式(1)〜(2)により算出される。
せん断応力=材料粘度×せん断速度 ・・・(1)
せん断速度=6×Q/(W×t) ・・・(2)
ここで、Qはダイリップ内を流れる材料の流量(cm/秒)、Wはダイリップ幅(cm)、tはダイリップ間隔(cm)を示す。
前記式(1)〜(2)からわかるように、材料粘度が高くなるほど、または流量が大きいほど、せん断応力が高くなる。そのため、分子量の高い(=材料粘度の高い)PFAほど、小さな流量で流す必要がある。しかし、流量を小さくすることは、フィルムの生産性の観点から好ましくない。
前記式(2)からわかるように、ダイリップの間隔を大きくすることで、せん断速度を効果的に遅くすることができる。せん断速度が遅くなれば、せん断応力が小さくなり、臨界せん断応力に達しにくくなる。しかし、せん断速度が遅くなると、押出ダイの幅方向への材料の分配性が悪化し、フィルムの膜厚の均一性や物性の均一性が悪くなる。
したがって、材料自体の臨界せん断応力を高めることが望ましい。
特許文献1には、PFAの混合物において、少なくとも30g/10分のメルトフローインデックス(MFI)を有する少なくとも1種の成分A)と、15g/10分までのメルトフローインデックス(MFI)を有する少なくとも1種の成分B)とを特定の割合で含み、MFIに対するMFIの比率が80〜2,500の範囲である混合物が提案されている。
特許第4252210号公報
しかし、本発明者によれば、特許文献1の混合物をフィルム化した場合、フィルムにフィッシュアイが発生しやすく、フィルムの外観が良くない問題がある。
本発明の目的は、PFAを含むフィルムを良好な外観で、良好な生産性で製造できる樹脂および前記樹脂を用いたフィルムを提供することにある。
本発明は、以下の[1]〜[4]の構成を有する、樹脂およびフィルムを提供する。
[1]第一のPFAと第二のPFAとの2種の共重合体からなる樹脂であって、
前記第一のPFAと前記第二のPFAとの質量比が2/98〜98/2であり、
下式(R)で表される前記第一のPFAと前記第二のPFAの溶融流れ速度比が3〜60であることを特徴とする樹脂。
溶融流れ速度比=〔第一のPFAの372℃および荷重49Nにおける溶融流れ速度(g/10分)〕/〔第二のPFAの372℃および荷重49Nにおける溶融流れ速度(g/10分)〕 ・・・(R)
[2]前記第一のPFAの372℃および荷重49Nにおける溶融流れ速度が1〜20g/10分である、[1]の樹脂。
[3]前記第二のPFAの372℃および荷重49Nにおける溶融流れ速度が3〜60g/10分である、[1]または[2]の樹脂。
[4]前記[1]〜[3]のいずれかの樹脂を含むフィルム。
本発明の樹脂によれば、PFAを含むフィルムを良好な外観で、良好な生産性で製造できる。
本発明のフィルムは、表面粗さの小さな良好な外観を有する。
フィルムの製造に用いられる製造装置の一例を示す概略構成図である。 例1〜3における溶融流れ速度(MFR)比と臨界せん断応力との関係を示すグラフである。
本明細書における下記の用語の意味は以下の通りである。
「フッ素樹脂」とは、分子中にフッ素原子を有する樹脂を意味する。
「非フッ素樹脂」とは、分子中にフッ素原子を有しない樹脂を意味する。
「PFA」とは、テトラフルオロエチレン(以下、「TFE」とも記す。)に由来する単位と、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)(以下、「PAVE」とも記す。)に由来する単位とを有する共重合体であって、共重合体を構成する全単位の合計(100モル%)に対するPAVEに由来する単位の割合が1〜5モル%である共重合体を意味する。
「溶融流れ速度」とは、JIS K7210:1999(ISO 1133:1997)に規定されるメルトマスフローレート(以下、「MFR」とも記す。)を意味する。
「融点」とは、示差走査熱量測定(DSC)法で測定した融解ピークの最大値に対応する温度を意味する。
「単位」とは、単量体が重合することによって形成された該単量体に由来する部分を意味する。単位は、重合反応によって直接形成された単位であってもよく、重合体を処理することによって該単位の一部が別の構造に変換された単位であってもよい。
「単量体」とは、重合性炭素−炭素二重結合を有する化合物を意味する。
以下、個々の単量体に由来する単位を、その単量体名に「単位」を付した名称で呼ぶ場合がある。
「カルボニル基含有基」とは、構造中にカルボニル基(−C(=O)−)を有する基を意味する。
「酸無水物基」とは、−C(=O)−O−C(=O)−で表される基を意味する。
「溶融成形可能」であるとは、溶融流動性を示すことを意味する。
「溶融流動性を示す」とは、荷重49Nの条件下、樹脂の融点以上の温度において、MFRが0.1〜1,000g/10分の範囲内にある温度が存在することを意味する。
〔樹脂〕
本発明の樹脂(以下、「本樹脂」とも記す。)は、第一のPFAと第二のPFAとの2種の共重合体からなる。
本樹脂における第一のPFAと第二のPFAとの質量比(第一のPFA/第二のPFA)は、2/98〜98/2であり、5/95〜95/5が好ましく、10/90〜90/10が特に好ましい。第一のPFAの含有割合が前記範囲内であれば、臨界せん断応力の上昇による高速成形性に優れる。
なお、本樹脂の全質量は、第一のPFAと第二のPFAとの合計質量である。
本樹脂において、第一のPFAと第二のPFAとは、372℃および荷重49NにおけるMFRが異なり、第二のPFAの方が第一のPFAよりもMFRが小さい。
本樹脂において、下式(R)で表される第一のPFAと第二のPFAのMFR比は、3〜60であり、4〜50が好ましく、5〜40が特に好ましい。
MFR比=〔第一のPFAの372℃および荷重49NにおけるMFR(g/10分)〕/〔第二のPFAの372℃および荷重49NにおけるMFR(g/10分)〕 ・・・(R)
MFR比が前記範囲の下限値以上であれば、本樹脂の臨界せん断応力が、MFRが同程度である単一のPFAの臨界せん断応力に比べて高くなる。臨界せん断応力が高くなることで、本樹脂を含む材料を押出ダイからフィルム状に押し出してフィルムを製造する際に、ダイリップ内を流れる材料の流量をある程度多くしても、さざ波状の表面荒れや発泡が生じにくい。そのため、良好な生産性で、表面荒れや発泡がなく外観の良好なフィルムを製造できる。
MFR比が前記範囲の上限値以下であれば、本樹脂を含むフィルムを製造する際にフィッシュアイが発生しにくく、フィルムの外観が良好となる。
本樹脂の372℃および荷重49NにおけるMFRは、2〜50g/10分が好ましく、3〜40g/10分が特に好ましい。本樹脂のMFRが前記範囲の下限値以上であれば、本樹脂を溶融させたときの延伸性が充分となり、フィルムに耳切れ等の欠陥が発生しにくく、また、フィルムの膜厚のムラが抑えられる。本樹脂のMFRが前記範囲の上限値以下であれば、フィルムの延伸による薄肉化が容易であり、かつ、充分な溶融張力を有するため、フィルムの膜厚偏差を小さくできる。
本樹脂は、接着性官能基を有していてもよい。本樹脂が接着性官能基を有すると、本樹脂を含むフィルムに他の層(ポリイミドフィルム、ガラスクロス、金属箔等)を積層して積層体とした際に、本樹脂を含むフィルムと他の層との接着性が優れる。
接着性官能基としては、カルボニル基含有基(カルボキシ基、酸無水物基、ハロホルミル基、ケト基、カーボネート基、アミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、エステル結合)、ヒドロキシ基、エポキシ基、イソシアナート基、アミノ基、チオール基およびエーテル結合からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。積層体とした際にPFAを含むフィルムに他の層との接着性に特に優れる点から、カルボニル基含有基、ヒドロキシ基、エポキシ基およびイソシアナート基からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、カルボニル基含有基が特に好ましい。カルボニル基含有基としては、カルボキシ基、酸無水物基、フルオロホルミル基およびカーボネート基からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
本樹脂が接着性官能基を有する場合、この接着性官能基は、第一のPFAに由来するものでもよく、第二のPFAに由来するものでもよく、第一のPFAおよび第二のPFAの両方に由来するものでもよい。
(第一のPFA)
第一のPFAは、TFE単位と、PAVE単位とを有する。第一のPFAは、PFAとしての特性を損なわない範囲で、TFEおよびPAVE以外の他の単量体単位をさらに有していていもよい。
PAVEとしては、たとえばCF=CFOR(ただし、Rは、炭素数1〜10のペルフルオロアルキル基、または炭素数2〜10のペルフルオロアルキル基の炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する基である。)が挙げられる。
CF=CFORとしては、CF=CFOCF、CF=CFOCFCF、CF=CFOCFCFCF(以下、「PPVE」とも記す。)、CF=CFOCFCFCFCF、CF=CFO(CFF、CF=CFOCFCF(CF)O(CFCF、CF=CFO(CFO(CFCF、CF=CFO(CFCF(CF)O)(CFCF、CF=CFOCFCF(CF)O(CFCF等が挙げられ、PPVEが好ましい。
PAVEは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
他の単量体としては、含フッ素単量体(ただし、TFEおよびPAVEを除く。)と、フッ素原子を有しない非フッ素単量体とが挙げられる。
他の単量体としての含フッ素単量体としては、たとえば下記のものが挙げられる。
フルオロオレフィン(ただし、TFEを除く。):ビニルフルオリド、ビニリデンフルオリド(以下、「VDF」とも記す。)、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン(以下、「CTFE」とも記す。)、ヘキサフルオロプロピレン(以下、「HFP」とも記す。)等、
CF=CFORf2SO(ただし、Rf2は、炭素数1〜10のペルフルオロアルキレン基、または炭素数2〜10のペルフルオロアルキレン基の炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する基であり、Xは、ハロゲン原子またはヒドロキシ基である。)、
CF=CFORf3CO(ただし、Rf3は、炭素数1〜10のペルフルオロアルキレン基、または炭素数2〜10のペルフルオロアルキレン基の炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する基であり、Xは、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基である。)、
CF=CF(CFOCF=CF(ただし、pは、1または2である。)、
CH=CX(CF(ただし、Xは、水素原子またはフッ素原子であり、qは、2〜10の整数であり、Xは、水素原子またはフッ素原子である。)、
ペルフルオロ(2−メチレン−4−メチル−1、3−ジオキソラン)等。
他の単量体としての含フッ素単量体としては、PFAの溶融成形性、機械的特性等が優れる点から、VDF、CTFE、HFPおよびCH=CX(CFからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、HFPが特に好ましい。
CH=CX(CFとしては、CH=CH(CFF、CH=CH(CFF、CH=CH(CFF、CH=CH(CFF、CH=CF(CFH、CH=CF(CFH等が挙げられ、CH=CH(CFFまたはCH=CH(CFFが好ましい。
含フッ素単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
非含フッ素単量体としては、たとえば下記のものが挙げられる。
環状酸無水物基を有する単量体:無水イタコン酸(以下、「IAH」とも記す。)、無水シトラコン酸(以下、「CAH」とも記す。)、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物(以下、「NAH」とも記す。)、無水マレイン酸等、
炭素数3以下のオレフィン:エチレン、プロピレン等、
ビニルエステル:酢酸ビニル等等。
非フッ素単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
第一のPFAは、接着性官能基を有するPFA(以下、「接着性PFA」とも記す。)であってもよい。
接着性官能基としては、前記と同様のものが挙げられ、好ましい態様も同様である。
接着性PFAは、接着性官能基を有する単量体に由来する単位を有する重合体であってもよく、重合開始剤または連鎖移動剤に由来する接着性官能基を主鎖末端等に有する重合体であってもよく、PFAに接着性官能基を有する単量体をグラフト重合させたグラフト重合体であってもよい。
接着性官能基を有する単量体としては、積層体とした際にPFAを含むフィルムと他の層との接着性に特に優れる点から、環状酸無水物基を有する単量体が好ましい。
環状酸無水物基を有する単量体のなかでも、この単量体に由来するPFAを容易に製造できる点から、IAH、CAHおよびNAHからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、積層体とした際にPFAを含むフィルムと他の層との接着性に特に優れる点から、NAHが特に好ましい。
接着性官能基を有する単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
第一のPFA中の全単位の合計に対するPAVE単位の割合は、1〜5モル%が好ましく、1〜4モル%がより好ましく、1〜3モル%がさらに好ましく、1.2〜2.5モル%が特に好ましい。
第一のPFA中の全単位の合計に対するTFE単位の割合は、95〜99モル%が好ましく、96〜99モル%がより好ましく、97〜99モル%がさらに好ましく、97.5〜98.8モル%が特に好ましい。
第一のPFA中の全単位の合計に対する他の単量体単位の割合は、0〜2モル%が好ましく、0〜1モル%が特に好ましい。他の単量体単位は含まないことが最も好ましい。
第一のPFAが、他の単量体単位として接着性官能基を有する単量体単位を有する場合、第一のPFA中の全単位の合計に対する接着性官能基を有する単量体単位の割合は、0.02〜0.5モル%が好ましく、0.04〜0.3モル%が特に好ましい。
各単位の割合が前記範囲内であれば、第一のPFAの溶融成形性、耐薬品性、機械的特性(高温での弾性率、耐屈曲性等)、耐熱性、低誘電率、低誘電損失等が優れる。
各単位の割合は、第一のPFAの溶融NMR分析、フッ素含有量分析、赤外吸収スペクトル分析等によって算出できる。
第一のPFAの融点の下限値は、260℃が好ましく、280℃がより好ましく、290℃が特に好ましい。上限値は、320℃が好ましく、310℃が特に好ましい。
第一のPFAの372℃および荷重49NにおけるMFR(以下、「MFR」とも記す。)は、1.0〜20g/10分が好ましく、1.4〜15g/10分がより好ましく、1.8〜10g/10分が特に好ましい。MFRは、第一のPFAの分子量の指標である。MFRが前記範囲の下限値以上であれば、フィッシュアイの少ない均質性の高い樹脂が得られる。MFRが前記範囲の上限値以下であれば、本樹脂のMFRを一定値以下に抑えられ、臨界せん断応力の高い本樹脂であってかつ高強度なフィルムが得られる。
(第二のPFA)
第二のPFAは、TFE単位と、PAVE単位とを有する。第二のPFAは、PFAとしての特性を損なわない範囲で、TFEおよびPAVE以外の他の単量体単位をさらに有していていもよい。
PAVEおよび他の単量体はそれぞれ前記と同様のものが挙げられ、好ましい態様も同様である。
第二のPFAは、接着性PFAであってもよい。接着性PFAとしては前記と同様のものが挙げられ、好ましい態様も同様である。
第二のPFA中の全単位の合計に対するPAVE単位、TFE単位、他の単量体単位それぞれの好ましい割合は、第一のPFAと同様である。
第二のPFAが、他の単量体単位として接着性官能基を有する単量体に由来する単位を有する場合の、第二のPFA中の全単位の合計に対する接着性官能基を有する単量体単位の好ましい割合も、第一のPFAと同様である。
第二のPFAにおけるPAVE単位、TFE単位、他の単量体単位それぞれの種類や割合は、第一のPFAと同じであってもよく異なってもよい。
第二のPFAの融点の下限値は、260℃が好ましく、280℃がより好ましく、290℃が特に好ましい。上限値は、320℃が好ましく、310℃が特に好ましい。
第二のPFAの372℃および荷重49NにおけるMFR(以下、「MFR」とも記す。)は、3.0〜60g/10分が好ましく、4.5〜55g/10分がより好ましく、6.0〜50g/10分が特に好ましい。MFRは、第二のPFAの分子量の指標である。MFRが前記範囲内であれば、本樹脂から得られるフィルムにフィッシュアイが生じにくく、また、本樹脂から得られるフィルムの機械的強度等がより優れる。
(本樹脂の製造方法)
本樹脂は、第一のPFAと第二のPFAとを前記の質量比でブレンドすることにより製造できる。第一のPFAと第二のPFAとのブレンドは、公知の方法によって実施できる。ブレンド方法としては溶融混練が好ましく、たとえば、二軸押出機、加圧ニーダー等の混練機を用いて第一のPFAと第二のPFAとを溶融混練することが好ましい。
第一のPFAおよび第二のPFAはそれぞれ、市販のものや公知の方法によって製造したものを用いてもよい。たとえば接着性PFAは、国際公開第2015/080260号に記載された方法によって製造できる。重合方法、重合条件等としては、国際公開第2015/080260号に記載された方法または条件が挙げられ、好ましい形態も同様である。単量体の重合に用いられるラジカル重合開始剤、連鎖移動剤、有機溶媒等としては、国際公開第2015/080260号に記載されたものが挙げられ、好ましい形態も同様である。
本樹脂は、通常、ペレットにされ、フィルム製造に用いられる。
ペレットは、たとえば、先端に押出ダイが取り付けられた2軸押出機を用いて第一のPFAと第二のPFAとを溶融混練し、その混練物を、押出ダイを通してストランド状に押し出し、冷却し、ペレタイザで切断することによって得られる。
(作用効果)
本樹脂にあっては、第一のPFAと第二のPFAとの2種の共重合体からなり、第一のPFAと第二のPFAとの質量比が2/98〜98/2で、第一のPFAと第二のPFAのMFR比(MFR/MFR)が3〜60であるため、従来のPFAに比べて、臨界せん断応力が高い。そのため、本樹脂を含む材料を押出ダイからフィルム状に押し出してフィルムを成形する場合、従来のPFAを用いる場合よりも、押出ダイのダイリップでのせん断応力を高くしても、さざ波状の表面荒れや発泡が生じにくい。また、フィッシュアイも発生しにくい。そのため、本樹脂を用いることで、良好な生産性で、外観の良好なフィルムを製造できる。さらに、得られるフィルムは、表面粗度が小さく外観にも優れる傾向がある。
〔フィルム〕
本発明のフィルム(以下、「本フィルム」とも記す。)は前述の本樹脂を含む。
本フィルムは、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲内において、本樹脂以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。
他の成分としては、たとえばPFA以外の溶融成形可能なフッ素樹脂、溶融成形可能な非フッ素樹脂、添加剤等が挙げられる。
PFA以外の溶融成形可能なフッ素樹脂としては、公知のものが挙げられ、たとえばテトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン系共重合体(FEP)、エチレン/テトラフルオロエチレン系共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン/クロロトリフルオロエチレン系共重合体(ECTFE)等が挙げられる。
本フィルムがPFA以外の溶融成形可能なフッ素樹脂を含む場合、PFA以外の溶融成形可能なフッ素樹脂の含有量は、本フィルムの全質量(100質量%)に対し、5〜49質量%が好ましく、10〜40質量%が特に好ましい。
溶融成形可能な非フッ素樹脂としては、芳香族ポリエステル、ポリアミドイミド、熱可塑性ポリイミド等が挙げられる。
本フィルムが溶融成形可能な非フッ素樹脂を含む場合、溶融成形可能な非フッ素樹脂の含有量は、本フィルムの全質量(100質量%)に対し、0.01〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%が特に好ましい。
添加剤としては、誘電率や誘電正接が低い無機フィラーが好ましい。無機フィラーとしては、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、珪藻土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルーン、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、グラファイト、炭素繊維、ガラスバルーン、炭素バーン、木粉、ホウ酸亜鉛等が挙げられる。無機フィラーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本フィルムが無機フィラーを含む場合、無機フィラーの含有量は、樹脂成分100質量部に対して、0.1〜100質量部が好ましく、0.1〜60質量部が特に好ましい。
ここで、樹脂成分とは、本樹脂、PFA以外の溶融成形可能なフッ素樹脂および溶融成形可能な非フッ素樹脂の合計である。
本フィルムの厚さは、典型的には、6〜200μmの範囲内で使用目的に応じて選定される。本フィルムの厚さが前記範囲の下限値以上であれば、単独での取り扱い性がより優れる。本フィルムの厚さが前記範囲の上限値以下であれば、変形を伴う用途での強度と経済性に優れる。
フィルムの厚さは、後述する実施例に示す測定方法により測定される。
本フィルムは表面平滑性に優れる。たとえば本フィルムの厚さが50μmの場合、その表面の粗さ曲線の最大断面高さRtは、0.6μm以下が好ましい。最大断面高さRtはフィルムの表面粗さの指標である。最大断面高さRtが前記上限値以下であれば、表面平滑性がより優れる。
最大断面高さRtは、後述する実施例に示す測定方法により測定される。
(本フィルムの製造方法)
本フィルムは、PFAフィルムの製造方法として公知の方法を利用して製造できる。たとえば、第一のPFAと第二のPFAと必要に応じて他の成分を溶融混練して本樹脂を含む成形材料を得て、公知の成形法にてフィルム状に成形することも好ましい。本樹脂と他の成分を溶融混練して成形材料を得て、公知の成形法にてフィルム状に成形することも好ましい。
成形材料を得る際の混練の後、得られた溶融混練物をペレット化し、得られたペレット状の成形材料をフィルム状に成形してもよく、得られた溶融混練物をペレット化せずに直接フィルム状に成形してもよい。
図1に、本フィルムの製造に用いられる製造装置の一例を示す。
この例の製造装置100は、スクリュー(図示なし)を収容したシリンダ11およびホッパー12(材料投入口)を持つインラインスクリュー式の単軸押出機10と、その先端に取り付けられたフィルム成形用の押出ダイ20と、押出ダイ20の出口付近に配置されたタッチロール31と、製品ロール32と、タッチロール31と製品ロール32との間に配置された複数のロール33とを備える。
フィルム成形用の押出ダイ20としては、公知のものを用いてよく、たとえばTダイ、コートハンガー型ダイ、マニホールド型インフレーションダイ等が挙げられる。
製造装置100において本フィルムの製造は、たとえば、本樹脂を含む成形材料のペレットをホッパー12から単軸押出機10に投入して溶融させ、スクリューにより混練して単軸押出機10から押し出し、押し出された溶融混練物を押出ダイ20に供給し、押出ダイ20から溶融混練物をフィルム状に吐出し、フィルム状溶融混練物をタッチロール31に接触させ、冷却してフィルムとすることによって行われる。得られたフィルムは、必要に応じて、複数のロール33によって製品ロール32に移送され、製品ロール32に巻き取られる。
なお、押出機は、インラインスクリュー式の単軸押出機に限定されず、インラインスクリュー式以外の単軸押出機、二軸押出機等の公知の押出機を用いることができる。
タッチロール31の代わりに一対のロールを配置し、フィルム状溶融混練物をそれらのロールの間に通すようにしてもよい。
本フィルムの製造時の押出ダイの温度は、320〜440℃が好ましく、330〜430℃がより好ましく、340〜420℃が特に好ましい。押出ダイの温度が前記範囲の下限値以上であれば、本樹脂を含む成形材料を安定して溶融吐出でき、成形材料の成形および本フィルムの製造が可能である。押出ダイの温度が前記範囲の上限値以下であれば、本樹脂の劣化やそれに伴う欠陥(ゲル化に伴うフィッシュアイ等)が発生しにくい。
本フィルムの製造時、押出ダイのダイリップでのせん断応力は、通常、押出ダイの温度における臨界せん断応力未満とされる。臨界せん断応力およびダイリップでのせん断応力はそれぞれ、後述する実施例に示す方法により求められる。
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の記載によっては限定されない。
後述する例1〜9のうち例2〜3および7〜8は実施例であり、例1、4〜6および9は比較例である。
各例で使用した評価方法を以下に示す。
〔評価方法〕
(MFR)
メルトインデクサー(テクノセブン社製)を用い、所定の温度および荷重49Nの条件下で直径2mm、長さ8mmのノズルから、10分間に流出するPFA(単一のPFAまたは本樹脂)の質量(g)を測定した。
(臨界せん断応力)
<毛細管レオメータ法>
毛細管レオメータ(東洋精機製作所製キャピログラフ、型式C1)を用い、長さ10mmで口径1.0mmまたは長さ20mmで口径2.0mmの流路を持つ外径9.45mmの円筒形のキャピラリを、外部加熱ヒータを有する内径9.55mmのシリンダの最下部に設置し、その上のシリンダ内にPFAを約20g投入した。このPFAを、372℃で10分間加熱した後、シリンダ上部から挿入された外径9.50mmのピストンを降下させることで前記キャピラリの流路を通って押し出した。このキャピラリのピストン側の流入角度は90度にした。ピストンの降下速度を「遅」から「速」に段階的に変化させて、其々の速度で押し出されたストランドの表面外観を光学顕微鏡(倍率50倍)で観察し、平滑か、または梨地状もしくはさざ波状に荒れているかを判定した。
其々の測定条件において、下式(A)からせん断応力(Pa=N/m)を算出した。
せん断応力=P×R/(2×L) ・・・(A)
ここで、Pは、ピストンを押す力(N)をシリンダの内径から計算した面積(cm)で除した数字を1mに換算した圧力(N/m)、Rはキャピラリの樹脂流路部の半径(cm)、Lはキャピラリの長さ(cm)を示す。
ピストンの降下速度、つまり押出速度が小さいうちは表面は平滑である。押出速度が高速になると、あるところから表面の荒れが観察される。算出された其々のせん断応力のうち、ストランドの表面が平滑であった上限の値を臨界せん断応力とした。
尚、下記Tダイ法でのせん断応力算出のために、この試験において材料粘度を確定させた。材料粘度(N/m・秒)は下式(C)により算出した。
材料粘度=せん断応力/せん断速度 ・・・(C)
ここで、せん断応力は、前記式(A)により求めたせん断応力(N/m)であり、せん断速度は、下式(B)により求めた値(1/秒)である。
せん断速度=4×Q’/(π×R) ・・・(B)
ここで、Q’はキャピラリからの材料の吐出量(cm/秒)、πは円周率、Rはキャピラリの樹脂流路部の半径(cm)を示す。
<Tダイ法>
各例でフィルムの製造に用いた製造装置において、単軸押出機のスクリュー回転数を「低速」から「高速」に段階的に変化させてフィルムを成形した。押出機および押出ダイの設定温度は360℃とした。成形したフィルムの表面外観について、平滑であるかどうか、発泡があるかどうか、および表面にさざ波状の荒れがあるかどうかを目視観察および光学ルーペ(倍率10倍)で観察した。
其々の測定条件において、押出機の先端に取り付けた押出ダイのダイリップの平行スリット形状から下式(D)によりせん断速度(1/秒)を算出した。
せん断速度=6×Q/(W×t) ・・・(D)
ここで、Qはダイリップ内を流れる材料の流量(cm/秒)、Wはダイリップ幅(cm)、tはダイリップ間隔(cm)を示す。
次いで、下式(E)からせん断応力(N/m)を算出した。
せん断応力=材料粘度×せん断速度 ・・・(E)
ここで、せん断速度は前記式(D)で求めた値(1/秒)であり、材料粘度は以下の方法で求めた値(N/m・秒)である。
前記毛細管レオメータ法において得られた各データを、横軸にせん断速度、縦軸にせん断応力をとってプロットし、その内、臨界せん断応力以下の値の部分のみを対数近似した。次いでこの対数近似式に前記式(D)で求めたせん断速度を代入し、このせん断速度に対応するせん断応力を求め、前記式(C)から材料粘度を算出した。
押出速度が小さいうちは表面は平滑で発泡もない。押出速度が高速になると、あるところから、多くの場合発泡が観察され、一部表面の荒れが観察される。算出された其々のせん断応力のうち、フィルムの表面が平滑で発泡のなかった上限の値を臨界せん断応力とした。
(押出量)
押出量は、以下の方法で測定した。
フィルムを巻き取った製品ロールの質量(kg)を計測した後、この質量から、紙管等のフィルム以外の質量(kg)を差し引いた質量Wr(kg)を算出した。次いで下式(F)から押出量を算出した。
押出量(kg/時間)=Wr×60/(製品ロール巻き取った時間(分)) ・・・(F)
(フィルムの厚さ)
フィルムの厚さは、高精度デジマチックマイクロメータ MDH−25M(ミツトヨ社製)を用いて測定した。
(フィルムの発泡の有無)
フィルムを目視で観察し、疑わしいときは10倍のルーペを用い、100μm以上の外径の泡の有無で評価した。
(フィルムの表面の平滑性)
フィルムの表面の平滑性の評価のため、フィルムの表面の粗さ曲線の最大断面高さRtを測定した。最大断面高さRtは、粗さ計(サーフコーダSE−30H、小坂研究所製)を用いて、JIS B0633:2001(製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−表面性状評価の方式及び手順)に準じて測定した。測定条件は、評価長さ4mm、基準長さ0.8mmとした。
(フィルムのフィッシュアイ)
フィルムのフィッシュアイは、フィルムを目視、疑わしいときは10倍のルーペを用い、250cmの面積を透過光下で観察して、0.3mm以上の大きさを持つフィッシュアイの数を以下のレベル分けで評価した。
レベルA:フィッシュアイの数が1個以下。
レベルB:フィッシュアイの数が2〜5個。
レベルC:フィッシュアイの数が6〜15個。
レベルD:フィッシュアイの数が16〜50個。
レベルE:フィッシュアイの数が51個以上。
〔合成例1:PFA1の製造〕
1.2Lの撹拌機付き圧力容器に、脱塩水の570g、メタノールの65.1g、CHFClCFCFClの325g、PPVEの39.2gを仕込み、50℃の内温で、TFEを圧力が1.35MPaになるまで仕込んだ。次いで、開始剤溶液である(FCFCFCFCOO)の0.09質量%溶液(溶媒:CHFClCFCFCl)の3.8mLを仕込み、重合を開始させた。重合中に開始剤溶液は断続的に仕込み、合計22mLを仕込んだ。重合の進行にともない、圧力が低下するので、圧力が一定になるようにTFEを連続的に後仕込みした。後仕込みのTFE量が161gになったところで内温を室温まで冷却し、未反応TFEを空放し、圧力容器を開放した。圧力容器の内容物をガラスフィルタで濾過してPFAをスラリー状態で得た。この重合を5回行い、得られたスラリーを均一に混合した後、150℃で15時間乾燥して、白色のPFA1の924gを得た。このポリマーはTFE/PPVE=98.5/1.5(モル比)、MFRが14.4g/10分の共重合体であった。
〔合成例2:PFA2の製造〕
初期の脱塩水の仕込み量を541g、メタノールの仕込み量を88.2gとし、開始剤溶液の合計の仕込み量を30mLとし、重合を行う回数を16回とした以外は合成例1と同様にして、白色のPFA2の2,902gを得た。このポリマーはTFE/PPVE=98.5/1.5(モル比)、MFRが35.4g/10分の共重合体であった。
〔合成例3:PFA3の製造〕
初期の脱塩水の仕込み量を602g、メタノールの仕込み量を39.7gとし、開始剤溶液の合計の仕込み量を16mLとした以外は合成例1と同様にして、白色のPFA3の910gを得た。このポリマーはTFE/PPVE=98.5/1.5(モル比)、MFRが4.5g/10分の共重合体であった。
〔合成例4:PFA4の製造〕
初期の脱塩水の仕込み量を611g、メタノールの仕込み量を33.0gとし、開始剤溶液の合計の仕込み量を16mLとした以外は合成例1と同様にして、白色のPFA4の902gを得た。このポリマーはTFE/PPVE=98.5/1.5(モル比)、MFRが2.0g/10分の共重合体であった。
〔合成例5:PFA5の製造〕
初期の脱塩水の仕込み量を630g、メタノールの仕込み量を17.6gとし、開始剤溶液の合計の仕込み量を15mLとし、重合を行う回数を2回とした以外は合成例1と同様にして、白色のPFA5の378gを得た。このポリマーはTFE/PPVE=98.5/1.5(モル比)、MFRが0.40g/10分の共重合体であった。
〔例1〕
PFA1を樹脂1とした。
〔例2〕
PFA2とPFA3とを、PFA2:PFA3=69:31の質量比でポリ袋に秤量したのち手で5分以上振ることで混合した後、25mmの口径で長さ620mmの長さを持つ単軸スクリュー押出機に投入して以下の手順でブレンドし、樹脂2を得た。
PFA2とPFA3との混合物を、スクリュー回転数20rpmで、押出量1.1〜1.3kg/時間で混練した。混練後、押出機先端に取り付けた直径5.0mm×1穴の押出ダイを通して連続ストランドを押出し、空冷した後、ペレタイザで切断し、外径2.7〜3.3mmで長さ3.0〜4.0mmの粒状の樹脂2のペレットを得た。スクリューには長さ50mmの混練部分(ユニメルト)を設けた。押出機の外部加熱による温度設定は340℃とした。
〔例3〕
PFA3の代わりにPFA4を用い、混合比率(質量比)をPFA2:PFA4=74:26とした以外は例2と同様にして、樹脂3のペレットを得た。
〔例4〕
PFA3の代わりにPFA5を用い、混合比率(質量比)をPFA2:PFA5=77:23とした以外は例2と同様にして、樹脂4のペレットを得た。
各例の樹脂1〜4のMFR、Tダイ法による臨界せん断応力(kPa)を表1に示す。また、樹脂2〜4に用いた2種のPFAのMFRおよび含有割合(質量%)、ならびにそれらのPFAのMFR比を表1に示す。なお、単一のPFAを用いた樹脂1については、同一の2種のPFAからなるものとみなしてMFR比を1とした。
また、図2に、樹脂1〜3のMFR比と臨界せん断応力との関係を示すグラフ(横軸:MFR比、縦軸:臨界せん断応力)を示す。
Figure 2017119741
例2〜3で得た樹脂2〜3は、単一のPFAであってMFRが同程度の樹脂1に比べて、臨界せん断応力が高かった。
〔例5〕
図1に示す構成の製造装置100を用いて、下記の手順でフィルムを成形した。単軸押出機10としてはスクリューの口径が25mmのものを使用した。押出ダイ20としては、平行なダイリップ間隔を有し、ダイリップ幅が15cm、ダイリップ間隔はモデル的に高いせん断応力を得る目的で0.30mmのTダイを使用した。タッチロール31としては、金属製で、表面硬質クロムメッキで表面粗度0.21仕上されたものを使用した。
樹脂1をホッパー12から単軸押出機10に投入し、360℃で溶融させ、スクリューにより混練して単軸押出機10から押し出し、押し出された溶融混練物を、押出ダイ20を通してフィルム状に吐出し、吐出されたフィルム状溶融混練物をタッチロール31に接触させ、冷却して厚さ50μmのフィルムを得た。得られたフィルムは、複数のロール33によって製品ロール32に移送し、製品ロール32に巻き取った。この際、単軸押出機10および押出ダイ20の設定温度は360℃とした。タッチロールの温度は210℃とした。スクリューの回転数は、押出量が1.5kg/時間になる量に設定した。この押出量は、ダイリップ内を流れる溶融混練物の流量に換算して0.194cm/秒に相当する。
〔例6〕
スクリューの回転数を変更し、押出量を3kg/時間(流量換算で0.388cm/秒)にした以外は例5と同様にして厚さ50μmのフィルムを成形した。
〔例7〜9〕
樹脂を表2の通りに変更した以外は例6と同様にして厚さ50μmのフィルムを成形した。
例5〜9でフィルム成形に用いた樹脂の種類、押出量(kg/時間)を表2に示す。
また、押出量から換算した流量、ダイリップ幅、ダイリップ間隔からTダイ法によりダイリップでのせん断応力(kPa)を求めた。また、得られたフィルムについて、発泡の有無、フィルムの表面の粗さ曲線の最大断面高さRtを評価した。結果を表2に示す。
Figure 2017119741
樹脂1を用い、臨界せん断応力よりも低いせん断応力で成形を行った例5では、発泡のないフィルムが得られたが、押出量が少なく、生産性が悪かった。また、表面の平滑性が不充分であった。
例5よりも押出量を多くした例6では、せん断応力が臨界せん断応力よりも高くなり、フィルムに発泡が生じた。
2種のPFAのMFR比が60超の樹脂4を用いた例9で得られたフィルムは、フィッシュアイが多かった。
樹脂2または3を用いた例7〜8では、例6と同じ押出量で成形を行っていながら、発泡のないフィルムが得られた。また、このフィルムは、例5のフィルムに比べて、表面の平滑性が高かった。また、例9のフィルムに比べて、フィッシュアイが少なかった。
本樹脂および本フィルムの用途は、特に限定されない。たとえば、以下の用途が挙げられる。
半導体離型フィルム、基板離型フィルム、発光ダイオード(LED)等の光学素子封止工程用離型フィルム、防食ライニング、離型ライニング、防食コーティング、離型コーティング、電線被覆、炭素またはガラス繊維コンポジット成形用離型フィルム、コピーロール、コピーベルト等の事務機器用防汚フィルム、防炎膜材、グリーンシートや燃料電池用電極、膜製造用キャリアーフィルム、高熱プレス用クッションフィルム(ダイアタッチ用クッションフィルム等)、太陽電池表面保護フィルム、太陽電池バックシート構成材、各種のシート部材用キャリアフィルム(グリーンシート、シリコン膜等)、ゴム栓用ラミネートフィルム、消防服用ラミネートフィルム、ディスプレイ表面保護シート材等。なお、グリーンシートとは、セラミックコンデンサ用の未焼結セラミックシートを示す。
10 単軸押出機、11 スクリューを収容したシリンダ、12 ホッパー、20 押出ダイ、31 タッチロール、32 製品ロール、33 ロール

Claims (4)

  1. 第一のテトラフルオロエチレン/ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体と第二のテトラフルオロエチレン/ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体との2種の共重合体からなる樹脂であって、
    前記第一のテトラフルオロエチレン/ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体と前記第二のテトラフルオロエチレン/ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体との質量比が2/98〜98/2であり、
    下式(R)で表される前記第一のテトラフルオロエチレン/ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体と前記第二のテトラフルオロエチレン/ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体の溶融流れ速度比が3〜60であることを特徴とする樹脂。
    溶融流れ速度比=〔第一のテトラフルオロエチレン/ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体の372℃および荷重49Nにおける溶融流れ速度(g/10分)〕/〔第二のテトラフルオロエチレン/ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体の372℃および荷重49Nにおける溶融流れ速度(g/10分)〕 ・・・(R)
  2. 前記第一のテトラフルオロエチレン/ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体の372℃および荷重49Nにおける溶融流れ速度が1〜20g/10分である、請求項1に記載の樹脂。
  3. 前記第二のテトラフルオロエチレン/ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体の372℃および荷重49Nにおける溶融流れ速度が3〜60g/10分である、請求項1または2に記載の樹脂。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂を含むフィルム。
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