JP2018089913A - 離型シート - Google Patents

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徳俊 赤澤
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将 門脇
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直博 小保内
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Abstract

【課題】離型性に優れ、且つ金型への追従性にも優れる離型シートを提供する。
【解決手段】本発明の離型シートは、モールド成形装置を用いたモールド樹脂の成形加工において、金型と前記モールド樹脂との間に用いられる離型シートであって、融点120℃以上のポリオレフィン樹脂のマトリックス中に、フッ素樹脂のドメインを有し、長さ20mm×幅10mmの試験片について、インストロン型引張試験機を用い、140℃の加熱下、引張速度50mm/minで測定した長手方向の伸び量が200%以上になるときの引張荷重が3N/10mm以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、離型シートに関するものであり、詳しくはモールド成形装置に用いられる離型シートに関するものである。
モールド成形装置を用いた樹脂の成形加工において、離型シートは、金型とモールド樹脂の間に挟み込まれ、モールド成形されたモールド樹脂と金型とを離型するために使用されている。例えば、このような離型シートとして、熱可塑性のテトラフルオロエチレン系共重合体や、ポリスチレン系樹脂を含有する離型シートが開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
国際公開第2013/094752号 国際公開第2015/190386号
離型シートは、一般に真空吸引によって金型の表面に密着した状態とされる。しかしながら、これまでの離型シートは、一定の離型性は有しているものの、金型の形状への追従性(伸び性)の点では、必ずしも十分なものではなかった。例えば、これまでの離型シートでは、金型の角の部分で大きく引き伸ばされると、破れてしまうことがあった。離型シートが破れると、その部分から樹脂が漏れ出して金型を汚染してしまう。特に、エネルギー分野や自動車分野で使用される、所謂パワー半導体モジュールの製造では、モールド樹脂の厚みが厚くなり、金型の深さも深くなる傾向にあり、角部における離型シートにかかる応力も大きくなるが、これまでの離型シートでは、十分に対応しきれていなかった。
本発明は、離型性に優れ、且つ金型への追従性にも優れる離型シートを提供することを目的とする。
本発明者らが前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ポリオレフィン樹脂のマトリックス中にフッ素樹脂のドメインを形成することにより、離型性に優れ、且つ金型への追従性にも優れる、離型シートが得られることを見出した。より具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
(1)本発明は、モールド成形装置を用いたモールド樹脂の成形加工において、金型と前記モールド樹脂との間に用いられる離型シートであって、融点120℃以上のポリオレフィン樹脂のマトリックス中に、フッ素樹脂のドメインを有し、長さ20mm×幅10mmの試験片について、インストロン型引張試験機を用い、140℃の加熱下、引張速度50mm/minで測定した長手方向の伸び量が200%以上になるときの引張荷重が3N/10mm以下である、離型シートである。
(2)また、本発明は、厚みが25μm以上200μm以下である、(1)の離型シートである。
(3)本発明は、前記金型温度を、前記ポリオレフィン樹脂の融点−100℃以上、融点以下として、前記金型と前記モールド樹脂との間に、(1)又は(2)に記載の離型シートを介在させた状態で、前記モールド樹脂の成形を行うモールド樹脂成形品の製造方法である。
(4)また、本発明は、前記モールド樹脂の最大厚みが0.5mm以上である、(3)に記載のモールド樹脂の成形品の製造方法である。
本発明は、離型性に優れ、且つ金型への追従性にも優れる離型シートを提供することができる。
(a)は実施例1の離型シートの表面を走査電子顕微鏡(SEM)により倍率500倍で観察したときの観察像を示すSEM画像であり、(b)は同離型シートの断面を走査電子顕微鏡(SEM)により倍率500倍で観察したときの観察像を示すSEM画像である。 (a)は比較例1の離型シートの表面を走査電子顕微鏡(SEM)により倍率500倍で観察したときの観察像を示すSEM画像であり、(b)は同離型シートの断面を走査電子顕微鏡(SEM)により倍率500倍で観察したときの観察像を示すSEM画像である。 引張試験機により測定した実施例及び比較例の離型シートの伸び挙動を示すグラフである。 熱機械分析装置(TMA)により測定した実施例及び比較例の離型シートの伸び挙動を示すグラフである。 示差走査熱量測定装置(DSC)により測定した実施例及び比較例の離型シートの挙動を示すグラフである。 示差熱熱重量同時測定装置(TG−DTA)により測定した実施例及び比較例の離型シートの挙動を示すグラフである。 赤外分光分析装置(IR)によりにより測定した実施例及び比較例の離型シートの挙動を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではない。本発明は、その目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
<離型シート>
本実施形態に係る離型シートは、モールド成形装置を用いたモールド樹脂の成形加工において、金型とモールド樹脂との間に用いられる離型シートである。この離型シートは、ポリオレフィン樹脂のマトリックス中に、フッ素樹脂のドメインを有する。例えば、図1に示すように、離型シートにおいては、マトリックス(海)中に、特定の領域を占めるドメイン(島)が分散している(以下、この構造をマトリックス・ドメイン構造という。)。ここで、マトリックス中、粒径0.5μm以上10μm以下のドメインが占める割合は、0.001%以上20%以下である。ここで、粒径とは、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したドメインの長軸と短軸の平均値により算出した値とする。
本実施形態に係る離型シートは、ポリオレフィン樹脂とフッ素樹脂とがマトリックス・ドメイン構造を有することにより、離型性に優れ、且つ金型への追従性に優れる。フッ素樹脂のドメインは、ポリオレフィン樹脂のマトリックスが有する追従性(伸び性)を阻害することなく、離型性を付与することができる。
離型シートを構成する樹脂にフッ素を含有させる場合、例えばエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)のような共重合体中に含有させることもできる。しかし、そのような場合、離型性を付与できるものの、フッ素の含有量が多くなるに従い伸び性が低下し、離型性と金型への追従性との両立を図ることは困難であった。これに対し、離型シートを構成する樹脂に、フッ素樹脂をドメインとして含有させることにより、驚くべきことにフッ素の含有量が多くなっても、伸び性が低下せず、離型性と金型への追従性との両立を図ることが明らかになった。
なお、本願のマトリックス・ドメイン構造は、ポリオレフィン樹脂とフッ素樹脂とを所定の配合比にて混合(ブレンド)し、ポリオレフィン樹脂の融点以上、フッ素樹脂の融点未満の温度にて製膜することにより得られる。この場合、ETFEのような共重合体との区別は、後述する実施例、比較例に記載されるように、SEM像観察、熱分析(DSC、TG、DMA)、赤外分光分析(IR)等により確認でき、両者を明確に区別することができる。例えば、DSCにおいて、本願のマトリックス・ドメイン構造は、ポリオレフィン樹脂の融点(例えばポリプロピレン樹脂であれば130℃以上165℃以下、ホモポリプロピレン樹脂であれば165℃)と、フッ素樹脂(フッ素量によるが、例えば250℃以上350℃以下)の2つのピークが配合量比に応じて明確に観察される(実施例参照)。一方、ETFEのような共重合体の場合、2つのピークは明瞭には観察されず、両者は容易に区別することができる。
本実施形態に係る離型シートは、長さ20mm×幅10mmの試験片について、インストロン型引張試験機を用い、140℃の加熱下、引張速度50mm/minで測定した長手方向の伸び量が200%以上になるときの引張荷重が3N/10mm以下となる、追従性(伸び性)を実現することができる。
また、本実施形態に係る離型シートは、ポリオレフィン樹脂を(A)、フッ素樹脂を(B)とし、その配合比を質量比で(A)/(B)と表した場合、1.0超20以下であることが好ましく、4以上10以下であることがより好ましい。ポリオレフィン樹脂とフッ素樹脂の配合比が上記範囲であることにより、離型性と金型への追従性との両立を図りやすい。上記配合比が過小となると、金型への追従性が低下する傾向にある。上記配合比が過大になると、離型性が低下する傾向にある。
特にフッ素樹脂のドメインは、繊維化された状態であることが好ましい。ここで、フッ素樹脂の繊維化とは、繊維状となったフッ素樹脂同士が絡み合ってドメインを構成する、又は繊維状となったフッ素樹脂のドメイン表面にポリプロピレン樹脂が絡んでいる形態をいうものとする。繊維化されたフッ素樹脂のドメインは、ポリオレフィン樹脂のマトリックスが有する追従性(伸び性)を補完しながら、離型性を付与することができると考えられる。
以下、各構成成分について説明する。
[フッ素樹脂]
フッ素樹脂は、フッ素を含有する樹脂であれば特に限定されないが、離型性及び耐熱性の点から、フルオロオレフィン系重合体が好ましく、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が特に好ましい。ここで、フルオロオレフィン系重合体は、フルオロオレフィンに基づく単位を有する重合体である。
フルオロオレフィンとしては、テトラフルオロエチレン(TFE)、フッ化ビニル(VDF)、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)等が挙げられる。フルオロオレフィンは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上併用してもよい。
フルオロオレフィン系重合体としては、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオリド共重合体(THV)等が挙げられる。フルオロオレフィン系重合体は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上併用してもよい。
また、フルオロオレフィン系重合体は、フルオロオレフィンに基づく単位以外の単位をさらに有してもよい。例えば、フルオロオレフィンに基づく単位以外の単位としては、フッ素を有さないエチレン性モノマー単位であってもよい。例えば、エチレン性モノマーは、炭素数5以下のエチレン性モノマーであってもよく、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等が挙げられる。
また、フッ素樹脂は、未焼成であることが好ましい。「未焼成のフッ素樹脂」とは、融点以上に焼成した履歴がないフッ素樹脂のことをいう。未焼成のフッ素樹脂は、焼成されたフッ素樹脂に比べ、樹脂自体に柔軟性があり、混練等によりせん断力がかかった場合に繊維化が発現されやすい。なお、未焼成のフッ素樹脂としては、懸濁重合により得られるものや、乳化重合によって得られるものがあり、乳化重合によって得られるものが特に好ましい。
[ポリオレフィン樹脂]
ポリオレフィン樹脂は、融点が120℃以上であるポリオレフィン樹脂、又は融点が120℃以上になるように調整されたポリオレフィン樹脂である。このようなポリオレフィン樹脂としては、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂等が挙げられる。
ポリプロピレン樹脂としては、ホモポリプロピレン樹脂、ランダムポリプロピレン樹脂、ブロックポリプロピレン樹脂、あるいはポリプロピレン結晶部を有し、且つプロピレン以外の炭素数2〜20のα−オレフィン共重合体等が好ましく挙げられる。その他、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等を15モル%以上含むプロピレン−α−オレフィン共重合体、例えばエチレン/プロピレン共重合体、エチレン/プロピレン/ブテン共重合体等も挙げられる。ポリプロピレン樹脂としては、成形温度に合わせて融点を調整してもよいが、耐熱性の点から、融点が165℃となるホモポリプロピレン樹脂であることが好ましい。ホモポリプロピレン樹脂は、ランダムポリプロピレン樹脂に比べ融点が高く、耐熱性に優れる。
[離型シートの厚み]
離型シートの厚みは、25μm以上200μm以下が好ましく、50μm以上150μm以下がより好ましい。離型シートの厚みが上記範囲であることにより、離型シートが容易に変形可能で、金型への追従性に優れる。離型シートの厚みが過小であると、金型の角部で破れやすくなる傾向にある。離型シートの厚みが過大であると、離型シートが変形しにくく、樹脂成形品にシワが発生しやすくなる。なお、離型シートの厚みは、JIS K7130(プラスチック−フィルム及びシート−厚さ測定方法)により測定した値である。
[他の態様]
また、本実施形態に係る離型シートは、離型性及び金型への追従性を損なわない範囲で、他の層をさらに備えていてもよい。他の層としては、例えば、帯電防止層が挙げられる。帯電防止層を有すると、離型シートが帯電することにより、塵埃が吸着することを抑制することができ、また半導体モジュール等のモールド樹脂成形品を製造する際には、半導体素子の一部が離型シートに直接接触するような場合でも、離型シートの帯電−放電による半導体素子の破壊を抑制できる。帯電防止層の表面抵抗値は、帯電防止の点から、1010Ω/□以下が好ましく、10Ω/□以下がより好ましい。
帯電防止層としては、帯電防止剤を含有する層が挙げられる。帯電防止剤としては、高分子系帯電防止剤が好ましい。高分子系帯電防止剤としては、例えば、側基に4級アンモニウム塩基を有するカチオン系共重合体、ポリスチレンスルホン酸を含むアニオン系高分子、ポリエーテルエステルアミド、エチレンオキサイド−エピクロルヒドリン、ポリエーテルエステル等を含む、非イオン系高分子、π共役系導電性高分子等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
なお、本実施形態に係る離型シートは、要求特性に応じて、上述したポリオレフィン樹脂やフッ素樹脂以外に、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、無機フィラー、着色剤、結晶核剤、難燃剤等の添加剤を含有していてもよい。
<離型シートの製造方法>
本実施形態に係る離型シートの製造方法は、ポリオレフィン樹脂とフッ素樹脂とを溶融混錬して混合する混合工程と、ポリオレフィン樹脂のマトリックス中に、フッ素樹脂のドメインを有する状態でシート状に成形する成形工程とを含む。
混合工程に付与されるフッ素樹脂は、平均粒子径が0.5μm以上10μm以下であることが好ましく、1.5μm以上5μ以下であることがより好ましい。平均粒子径が上記範囲であることにより、離型シートの離型性と追従性との両立が容易である。平均粒子径が過大であると、表面凹凸が大きくなる傾向がある。平均粒子径が過小であると、凝集等により混合しにくくなる傾向がある。なお、平均粒子径は、体積平均粒子径であるものとする。体積平均粒子径は、レーザー回折式、又はレーザー散乱式粒子径分布測定により測定することができる。
また、混合工程に供されるフッ素樹脂としては、嵩密度が800g/L以下であることが好ましく、200g/L以上500g/Lg/L以下であることがより好ましい。嵩密度が上記範囲であれば、離型シートの離型性と金型への追従性との両立を図ることが容易である。嵩密度が過大であると、硬くなり追従性が悪くなる傾向がある。嵩密度が過小であると、混合工程でのハンドリングが悪くなる傾向がある。なお、本明細書において、嵩密度は、ASTM D4894に準拠して測定した値である。
混合工程で行われる溶融混練の方法としては、特に制限されず、一般に市販されている押出し機等の溶融混練装置を用いて行うことができる。例えば、混練を行う部分のシリンダ温度は、ポリオレフィン樹脂の融点以上、フッ素樹脂の融点未満の温度である。例えば、ポリプロピレン樹脂とフッ素樹脂とを混合する場合、通常200℃〜250℃、好ましくは210℃〜230℃である。また、混練時間は、通常30秒〜10分、好ましくは通常1分〜5分である。温度が低すぎたり、混練時間が短すぎたりすると、溶融不足により混練が不十分となり、温度が高すぎたり、混練時間が短すぎたりすると、ポリオレフィン樹脂の熱分解が起こる場合があり好ましくない。
成形工程で行われる成形方法としては、特に制限されず、溶融押出し法等の公知の製造方法を採用することができる。溶融押出し法には、T型ダイから押し出してシート状に成形するTダイ法や、リング状の円形ダイを用いて押し出すと同時に空気を吹き込みチューブ状のフィルムを成形するインフレーション法等があるが、シート厚みの精度が高い点で、Tダイ法が好ましい。
<モールド樹脂の成形品の製造方法>
モールド樹脂の成形品の製造方法は、金型温度を、ポリオレフィン樹脂の融点−100℃以上、融点以下として、金型とモールド樹脂との間に、上述した離型シートを介在させた状態で、モールド樹脂の成形を行う。成形後のモールド樹脂の最大厚みは、0.5mm以上であってよい。
モールド樹脂の成形品の製造方法は、上述した離型シートを用いる以外は、公知の製造方法を採用することができる。例えば、上金型内に半導体モジュールを配置し、所定の温度に加熱された下金型内に熱硬化性樹脂からなるモールド樹脂を載置した離型シートを配置し、下金型のキャビティ面側に真空吸引する。そして、上金型を下降させることにより、型締めし、上金型と下金型との間に形成されたキャビティをモールド樹脂で満たして硬化させる。その後、上金型を上昇させ、モールド樹脂で封止された半導体モジュールを取り出し、離型シートを剥離する。
上述したように、本実施形態に係る離型シートは、離型性に優れることから、モールド樹脂を構成する硬化性樹脂に離型剤を添加したり、特殊な構造の金型を用いたりしなくても、モールド樹脂の金型からの良好な離型を実現できる。また、本実施形態に係る離型シートは、金型への追従性に優れることから、金型の深さが深く、例えば、モールド樹脂の厚みが5mm以上と深い場合であっても、また複雑な形状の金型であっても、破れることなく追従することできる。そのため、離型シートが破れ、金型をモールド樹脂で汚染してしまうという問題も生じにくい。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1〜3]
ホモポリプロピレン樹脂(商品名:プライムポリプロF135、プライムポリマー社製、融点:165℃)と、フッ素樹脂(商品名:ラインプラスPF150−PH、マフロン社製、平均粒子径:2.6μm、嵩密度:320g/L、融点:335℃)とを、表1に示す配合比で混合し、リップ開度を調整したTダイを設置した押出機により、230℃で溶融押出をし、元型ロール、成膜速度、ニップ圧力を調整して、厚さ90〜110μmの離型シート(PP+フッ素)を得た。
[比較例1]
ホモポリプロピレン樹脂(商品名:プライムポリプロF135、プライムポリマー社製)を、実施例と同様の条件で溶融押出をし、厚さ90〜110μmの離型シート(PP)を得た。
[比較例2]
フッ素樹脂(商品名:ラインプラスPF150−PH、マフロン社製)の融点は、335℃であるため、フッ素樹脂のみからでは、溶融押出しを行うことができなかった。
[比較例3]
ポリアミド合成樹脂(ナイロン66)(商品名:5033、宇部興産社製、融点:196℃)と、フッ素樹脂(商品名:ラインプラスPF150−PH、マフロン社製)とを、表1に示す配合比で混合し、リップ開度を調整したTダイを設置した押出機により、230℃で溶融押出をし、元型ロール、成膜速度、ニップ圧力を調整して、厚さ90〜110μmの離型シートを得た。
[比較例4]
アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合合成樹脂(ABS樹脂)(商品名:AE850、旭化成社製、融点:115℃)と、フッ素樹脂(商品名:ラインプラスPF150−PH、マフロン社製)とを、表1に示す配合比で混合し、リップ開度を調整したTダイを設置した押出機により、230℃で溶融押出をし、元型ロール、成膜速度、ニップ圧力を調整して、厚さ90〜110μmの離型シートを得た。
[比較例5]
エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体からなるシート(商品名:アフレックス 100N1250T、旭硝子社製)(表1中、ETFEシートとして表記する。)を離型シートとして用いた。
[比較例6]
ポリスチレンからなるシート(商品名:オイディスCA−F10、クラボウ社製)(表1中、PSシートとして表記する。)を離型シートとして用いた。
[測定・評価]
実施例1〜3、比較例1〜6の離型シートについて、シート化、追従性、及びモールド樹脂と金型とに対する離型性を評価した。その結果を表1に示す。また、実施例1及び比較例1の離型シートの表面及び断面を、走査電子顕微鏡(SEM)により倍率500倍で観察したときの観察像を示すSEM画像を、図1及び図2に示す。
(シート化)
溶融押出しによるシート化が可能かを検証した。シート化が可能なものを〇、シート化が難しいものを×とした。
(追従性)
実施例及び比較例で得られた離型シートから、長さ20mm×幅10mmの試験片を作製し、引張試験機(5565型、インストロン・ジャパン社製)を用い、140℃(実測値)の加熱下、引張速度50mm/minで測定した長手方向の変位率が200%以上になるときの引張荷重を測定した。そして、以下の基準で、追従性(伸び性)を評価した。
〇:引張荷重が3N/10mm以下である
△:引張荷重が3N/10mm超である
×:変位率が200%になる前に破断
なお、実施例1及び比較例5、6の離型シートの試験片を、インストロン型引張試験機により上記条件(一定温度、一定速度)で引っ張った時の伸び挙動を、図3に示す。ここで、変位率は、「測定時の長さ−初期長さ(20mm)/初期長さ(20mm)」で算出される。
また、実施例1及び比較例5、6の離型シートの試験片を、JISK7197及びASTMD696に準拠して、熱機械分析装置(TMA)により一定荷重(1.4N)で温度を可変しながら引っ張った時の伸び挙動を、図4に示す。ここで、変位率(TMA)は、「測定時の長さ−初期長さ(20mm)/初期長さ(20mm)」で算出される。
(モールド樹脂との離型性)
実施例及び比較例で得られた離型シートから、長さ60mm×幅12mm×厚み100μmの試験片を作製した。そして、180℃に設定されたホットプレート上に、厚み3.2mmのガラス板、試験片、エポキシ樹脂4gの順に載置し、上から重り1kgを載せ、5分間加熱した。これにより、試験片上に2mm厚のエポキシ樹脂板を成形した。そして、エポキシ樹脂板が冷却された後、試験片とエポキシ樹脂板との剥離性を、以下の基準で評価した。
◎:力をかけずに試験片が剥がれる
〇:少しの力で試験片が剥がれる
×:力を入れても剥がれない、又は、試験片が破壊される
(金型との離型性)
実施例及び比較例で得られた離型シートから、長さ60mm×幅12mm×厚み100μmの試験片を作製した。そして、180℃に設定されたホットプレート上に、厚み3.2mmのステンレス鋼板(SUS304)、試験片、エポキシ樹脂4gの順に載置し、上から重り1kgを載せ、5分間加熱した。これにより、試験片上に2mm厚のエポキシ樹脂板を成形した。そして、エポキシ樹脂板が冷却された後、試験片とステンレス鋼板との剥離性を、以下の基準で評価した。
◎:力をかけずに試験片が剥がれる
〇:少しの力で試験片が剥がれる
×:力を入れても剥がれない、又は、試験片が破壊される
なお、実施例1、比較例1、5の離型シートについて、示差走査熱量測定装置(DSC)、示差熱熱重量同時測定装置(TG−DTA)、赤外分光分析装置(IR)により測定した結果を図5〜図7に示す。
図1及び図2の比較から、ポリプロピレン樹脂とフッ素樹脂とを溶融混練した実施例1の離型シートでは、ポリプロピレン樹脂がマトリックスとなり、フッ素樹脂がドメインとなってシート状に成形されていることがわかる。
また、表1の結果から、ポリプロピレン樹脂のマトリックス中にフッ素樹脂のドメインを有する離型シートを用いた実施例1〜3では、モールド樹脂及び金型への離型性に優れ、且つ追従性(伸び性)に優れることが確認された。特に、フッ素樹脂の配合比が10質量%以上である離型シートを用いた実施例1、2では、離型性に優れることが確認された。
これに対し、ポリプロピレン樹脂100質量%からなる離型シートを用いた比較例1では、追従性には優れるものの、離型性が不十分であった。フッ素樹脂100質量%からなる離型シートを用いた比較例2では、フッ素樹脂の融点が高いため、溶融押出しによるシート化が困難であった。また、ナイロン66やABS樹脂のマトリックス中にフッ素樹脂のドメインを有する離型シートを用いた比較例3、4では、表面張力がポリプロピレン樹脂に比べ小さく、モールド樹脂との離型性が悪かった。
ETFEシートからなる離型シートを用いた比較例5では、離型性に優れるものの、マトリックス・ドメイン構造を有さず、追従性(伸び性)が不十分であった。また、表1及び図3の結果から、PSシートからなる離型シートを用いた比較例6では、離型性に優れるものの、変位率が150%となる前に、破断してしまい、追従性(伸び性)が悪かった。
また、図4の結果から、ポリプロピレン樹脂のマトリックス中にフッ素樹脂のドメインを有する離型シートを用いた実施例1では、ETFEシートやPSシートからなる離型シートを用いた比較例5、6に比べ、100℃超という比較的低温から小さい荷重で追従性(伸び性)を示すことが確認された。
なお、図5に示す示差走査熱量測定(DSC)の結果から、ポリプロピレン樹脂のマトリックス中にフッ素樹脂のドメインを有する離型シートを用いた実施例1では、ポリプロピレン樹脂が持つピークとフッ素樹脂が持つ二つのピークが明瞭に観察された。これに対し、PPシートからなる離型シートを用いた比較例1では、一つのピークが観察されるのみであり、ETFEシートからなる離型シートを用いた比較例5では、なだらかなピークが一つ観察されるのみであり、実施例1とは異なる挙動を示すことが確認された。
また、図6に示す熱重量同時測定装置(TG−DTA)から、ポリプロピレン樹脂のマトリックス中にフッ素樹脂のドメインを有する離型シートを用いた実施例1では、ポリプロピレン樹脂とフッ素樹脂とによるものと思われる重量変化が2段階観察された。これに対し、PPシート、PTFEシートからなる離型シートを用いた比較例1、3では、それぞれ異なる温度で重量変化が1段階観察され、実施例1とは異なる挙動を示すことが確認された。
また、赤外分光分析装置(IR)の結果からも、ポリプロピレン樹脂のマトリックス中にフッ素樹脂のドメインを有する離型シートを用いた実施例1、PPシートからなる離型シートを用いた比較例1、及びPTFEシートからなる離型シートを用いた比較例5とで、それぞれ特有のピークを有し、互いに明確に区別できることが確認された。

Claims (4)

  1. モールド成形装置を用いたモールド樹脂の成形加工において、金型と前記モールド樹脂との間に用いられる離型シートであって、
    融点120℃以上のポリオレフィン樹脂のマトリックス中に、フッ素樹脂のドメインを有し、
    長さ20mm×幅10mmの試験片について、インストロン型引張試験機を用い、140℃の加熱下、引張速度50mm/minで測定した長手方向の伸び量が200%以上になるときの引張荷重が3N/10mm以下である、離型シート。
  2. 厚みが25μm以上200μm以下である、請求項1の離型シート。
  3. 前記金型温度を、前記ポリオレフィン樹脂の融点−100℃以上、融点以下として、前記金型と前記モールド樹脂との間に、請求項1又は2に記載の離型シートを介在させた状態で、前記モールド樹脂の成形を行うモールド樹脂成形品の製造方法。
  4. 前記モールド樹脂の最大厚みが0.5mm以上である、請求項3に記載のモールド樹脂の成形品の製造方法。
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