JP2008239765A - 低熱伝導性耐熱性発泡体及びその製造方法 - Google Patents

低熱伝導性耐熱性発泡体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 微細なセル構造からなり、低い相対密度を有し、さらに低熱伝導性であって耐熱性があり、さらにまた体積抵抗率の小さい発泡体を提供する。
【解決手段】 本発明の低熱伝導性耐熱性発泡体は、フッ素系樹脂及び導電性充填剤を含む樹脂組成物からなり、熱伝導率が1W/(m・K)以下であり、且つ体積抵抗率が10Ω・m以下であることを特徴とする。また、フッ素系樹脂に高圧ガスを高圧下で含浸させた後、減圧して発泡させることを特徴とする前記低熱伝導性耐熱性発泡体の製造方法を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、1W/(m・K)以下の熱伝導率、10Ω・m以下の体積抵抗率、及び耐熱性を有する発泡体及びその製造方法に関する。より詳細には、本発明は、フッ素樹脂に高圧ガスを高圧下で含浸させた後、減圧して発泡させることにより作製することを特徴とし、均一で微細な気泡構造を有し、且つ耐熱性の優れており、例えば電子機器等の電池などの内部電極、導電性断熱体、電磁場シールド材料として極めて有用に利用できる発泡体及びその製造方法に関する。
従来、一般的に発泡体を得る方法としては、通常物理的方法によるものと化学的方法によるものとがある。一般的な物理的な方法としては、クロロフルオロカーボン類または炭化水素類などの低沸点液体(発泡剤)をポリマーに分散させ、次に加熱し発泡剤を揮発させることにより気泡を形成させるものである。また、化学的方法としては、ポリマーベースに添加された化合物(発泡剤)の熱分解により生じたガスによりセルを形成し、発泡体を得るものである。
例えば塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエタンなどを発泡剤として用いて、発泡ポリエーテルイミドを成形すること(特許文献1参照)等の物理的手法による発泡技術は、発泡剤として用いる物質の有害性やオゾン層の破壊などの環境への問題が存在し、また、一般的に数十μm以上のセル径を有する発泡体を得るのに好適に用いられ、物理的手法による発泡技術を微細で尚且つ均一なセル径を有する発泡体を得るのに用いることは困難であった。また、化学的手法による発泡技術は、発泡後、ガスを発生させた発泡剤の残さが発泡体中に残り、特に電子部品用途などにおいては、低汚染性の要求が高く、腐食性ガスや不純物による汚染が問題となっていた。
近年、セル径が小さく、セル密度の高い発泡体として、窒素や二酸化炭素等の気体を高圧にてポリマー中に溶解させた後、圧力を解放し、ポリマーのガラス転移温度や軟化点付近まで加熱することにより気泡を形成させる方法が提案されている(特許文献2参照)。このような、窒素や二酸化炭素等の気体を高圧にてポリマー中に溶解させた後、圧力を解放し、場合によってはガラス転移温度まで加熱することにより気泡を成長させる方法は今までにない微孔質発泡体を得る優れた方法である。当該方法における発泡は、熱力学的不安定な状態から核を形成し、核が膨張成長することで気泡が形成されることである。
さらに、これらの手法を熱可塑性ポリマーであるポリエーテルイミドに適用し耐熱性を有する発泡体を製造する方法が提案されているが(特許文献3参照)、この手法は高圧ガスを圧力容器中で含浸させる際、圧力容器をポリマーのビカー軟化点またはその近傍まで加熱することにより、減圧する際ポリマーが溶融状態にあり、高圧ガスが膨張しやすいため、得られた発泡体の気泡の寸法が10μm〜300μm程度の範囲のものであった。従って、この方法により得られた発泡体は気泡の径が10μm以上であったため、該発泡体を最近の電子部品用途での薄葉品として使用するには不都合を生じる場合があった。
同様にして、これらの手法をシンジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂に適用し、気泡径(気泡サイズ)0.1〜20μmの独立気泡を有する発泡成形体を作製して電気回路部材とする提案がされているが(特許文献4参照)、一般的にシンジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂のガラス転移点が100℃付近であるため、それ以上の温度での使用に際しては変形やたわみの問題の発生が考えられる。
一方、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)は、その化学的安定性と物性面から、さまざまな用途へ使用されている。特に化学的安定性が高い特徴を利用して、腐食性の高い分野やフィルタ用途などに広く使用されている。
このような特性に、さらに充填剤を添加することでさまざまな付加機能を付与することも検討されている。特に、近年、体積抵抗率が低く(電気伝導度が高い)、且つ熱伝導性が低い(断熱性が高い)高耐久材料が望まれている。中でも特に、プラスチック並の熱伝導度を有しつつ、金属並みの導電性(体積抵抗)を有する材料が、例えば電池用の内部構成材料や電子材料用の熱拡散シート、発熱量の多い装置の電磁波シールドなどへの利用が検討されている。
しかしながら、一般に電気伝導度の高い材料は熱伝導率も高くなるため、電気伝導度が高く、且つ熱伝導性が低いという特性を両立できるシートは、単一材料系ではほとんど存在しておらず、さらに、耐久性が要求される分野では、そのような材料はみられていない。
米国特許第4532263号 特開2001−55464号公報 特開平6−322168号公報 特開平10−45936号公報
従って、本発明の目的は、耐熱性があり、且つ熱伝導率が低く、小さい体積抵抗率を有する発泡体を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、さらに耐熱性があり、且つ熱伝導率が低く、小さい体積抵抗率を有する発泡体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、フッ素系樹脂及び導電性充填剤を含む樹脂組成物を原料として、発泡剤として高圧ガスを用いてフッ素系樹脂を発泡させれば、耐熱性があり、且つ熱伝導率が低く、小さい体積抵抗率を有する発泡体を得ることができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、フッ素系樹脂及び導電性充填剤を含む樹脂組成物からなり、熱伝導率が1W/(m・K)以下であり、且つ体積抵抗率が10Ω・m以下であることを特徴とする低熱伝導性耐熱性発泡体を提供する。
本発明は、また、フッ素系樹脂に高圧ガスを高圧下で含浸させた後、減圧して発泡させることを特徴とする前記低熱伝導性耐熱性発泡体の製造方法を提供する。
本発明は、さらに、フッ素系樹脂及び導電性充填剤を含む樹脂組成物を押出成形及び/又は圧延成形することによって該樹脂組成物中に繊維化したフッ素系樹脂の直交編み目構造を形成させてから、該繊維化したフッ素系樹脂の直交編み目構造を有する樹脂組成物を成形することにより作製されたシート状未発泡樹脂成形体に、高圧ガスを高圧下で含浸させた後、減圧して発泡させることを特徴とする前記低熱伝導性耐熱性発泡体の製造方法を提供する。
高圧ガスは、二酸化炭素であることが好ましく、また、二酸化炭素は超臨界状態であることが好ましい。
本発明の低熱伝導性耐熱性発泡体は、前記構成を有しているので、耐熱性があり、且つ熱伝導率が低く、さらに小さい体積抵抗率を有する。
低熱伝導性耐熱性発泡体は、フッ素系樹脂及び導電性充填剤(導電性フィラー)を含む樹脂組成物を発泡成形することにより形成される。このような低熱伝導性耐熱性発泡体に用いられる樹脂組成物は、フッ素系樹脂及び導電性充填剤を少なくとも含む混合物であり、通常フッ素系樹脂に、導電性充填剤、必要に応じて添加される添加剤(例えば成形助剤など)を混合することにより調製される。
樹脂組成物に含まれており、発泡体の素材として用いられるフッ素系樹脂(フッ素系ポリマー)としては、耐熱性を有するものであれば非晶性、結晶性のいずれのフッ素系樹脂でも使用でき、特に限定されないが、例えば、ポリビリニデンフルオライド(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロジオキソールコポリマー(TFE/PDD)、エチレン・テトラフルオロエチレンポリマー(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−クロロトリフロオロエチレンコポリマー(ECTFE)、ポリビニルフルオライド(PVF)などが挙げられる。中でも、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を好適に使用することができる。
フッ素系樹脂としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を用いる場合、ポリテトラフルオロエチレンとしは、剪断力を与えることにより繊維状に転化するポリテトラフルオロエチレンが好ましく、具体的な形態としては、例えばテトラフルオロエチレンの乳化重合ににより得られるポリマー粒子を安定化させた乳白色の水性ディスパージョン、該水性ディスパージョンを凝析して乾燥させた粉末体(ファインパウダー)などが挙げられる。
樹脂組成物には、添加剤として導電性充填剤(導電性フィラー)が含まれている。導電性充填剤を添加することにより、低熱伝導性耐熱性発泡体において、導電性の付与等の導電性の調整をすることができる。導電性充填剤としては、例えば金属系フィラー、カーボン系フィラーなどが挙げられる。
金属系フィラーとしては、例えば銅、銀、金、鉄、白金、ニッケル、アルミニウムなど純金属系フィラー;ステンレス、真鍮などの合金系フィラー;酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化銀、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物系フィラーなどが挙げられる。
カーボン系フィラーとしては、例えば炭素繊維、カーボンブラック、黒鉛(グラファイト)、カーボンナノチューブ、フラーレン、活性炭などが挙げられる。
また、上記以外の導電性充填剤(導電性フィラー)としては、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩、硫酸バリウムなどの硫酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの水酸化物、ケイ酸およびその塩類、クレー、タルク、雲母(マイカ)、ベントナイト、シリカ、アルミニウムシリケート、バサルト繊維などが挙げられる。
導電性充填剤の中でも、導電性の調整しやすさや特性安定性の観点から、カーボン系フィラーが好ましく、特にカーボン系フィラーの中でも、カーボンブラックが好適である。なお、フィラーの形状は特に制限されず、例えば粉末状であってもよいし、短繊維状であってもよい。また、フィラーの大きさは、通常0.1〜100μm程度(好ましくは0.1〜10μm程度)である。
樹脂組成物に導電性充填剤を添加する際の使用量としては、所望する体積抵抗率や導電性充填剤の種類にもよるが、体積抵抗率を低熱伝導性耐熱性発泡体表面の電荷分布が均一になる100Ω・m以下に、特に10Ω・m以下とする場合、樹脂組成物に含まれるフッ素系樹脂に対しての体積比率で40〜95体積%(好ましくは70〜90体積%)である。なお、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)単体の体積抵抗率は1016Ω・mより大きいが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に導電性充填剤としてカーボン系フィラーを80体積%添加すると、体積抵抗率は1Ω・m以下となる。また、導電性充填剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
なお、必要に応じて、添加剤として、導電性充填剤(導電性フィラー)以外の充填剤(フィラー)が用いられていてもよい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレン等の高分子系フィラーなどである。
添加剤としての成形助剤としては、例えば灯油、ケロシン、流動パラフィン、ソルベントナフサ、石油エーテル、ホワイトオイル、エチレングリコール、グリセリン、水、アルコールなどが挙げられ、好ましくは灯油、ケロシン、流動パラフィンなどである。
成形助剤の使用量としては、所望の特性を有する低熱伝導性耐熱性発泡体を得ることができる範囲である限り特に制限されないが、例えば、樹脂組成物の全重量に対して、20〜90重量%(好ましくは40〜80重量%)である。なお、成形助剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
また、添加剤として、必要に応じて、発泡体の作製の際に使用される各種添加剤を用いることができる。このような各種添加剤としては、例えば、気泡核剤、結晶核剤、可塑剤、滑剤、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、補強剤、難燃剤、帯電防止剤等が挙げられる。また、このような各種添加剤の使用量としては、特に限定されず、通常の公知の発泡体の作製の際の使用量が望ましい。
フッ素系樹脂の発泡方法については、特に制限されないが、フッ素系樹脂に高圧の高圧ガスを含浸させた後、減圧する(圧力を解放する)発泡方法が好ましい。物理的発泡方法(物理的方法による発泡方法)では、発泡剤として用いられる物質の可燃性や毒性、及びオゾン層破壊などの環境への影響が懸念されるが、高圧ガスを用いた発泡方法は、このような発泡剤を使用しない点で、環境に配慮した方法である。また、化学的発泡方法(化学的方法による発泡方法)では、発泡ガスの残渣が発泡体中に残存するため、特に低汚染性の要求が高い電子機器用途においては、腐食性ガスやガス中の不純物による汚染が問題となる場合があるが、高圧ガスを用いた発泡方法では、このような不純物等のないクリーンな発泡体を得ることができる。さらに、物理的発泡方法及び化学的発泡方法では、いずれにおいても微細な気泡構造を形成することは難しく、特に300μm以下の微細気泡を形成することは極めて困難であるといわれている。
また、低熱伝導性耐熱性発泡体を形成する際に用いられる高圧ガスとしては、フッ素系樹脂に対して不活性で且つ含浸可能なものであれば特に制限されず、例えば、空気、不活性ガス[例えば、二酸化炭素(炭酸ガス)、窒素、ヘリウム等]などが挙げられる。これらのガスは混合して用いてもよい。これらのうち、発泡体の素材として用いるフッ素系樹脂への含浸量が多く、含浸速度の速い点から、不活性ガス(特に、二酸化炭素)を好適に用いることができる。
さらに、フッ素系樹脂への含浸速度を速めるという観点から、前記不活性ガス(特に、二酸化炭素)は、超臨界状態であることが好ましい。超臨界状態では、フッ素系樹脂へのガスの溶解度が増大し、高濃度の混入が可能である。また、含浸後の急激な圧力降下時には、前記のように高濃度で含浸することが可能であるため、気泡核の発生が多くなり、その気泡核が成長してできる気泡の密度が気孔率が同じであっても大きくなるため、微細な気泡を得ることができる。なお、二酸化炭素の臨界温度は31℃、臨界圧力は7.4MPaである。
フッ素系樹脂に、高圧ガスを含浸させることにより、発泡体を製造する際には、フッ素系樹脂及び導電性充填剤を含む樹脂組成物を、例えば、シート状などの適宜な形状に成形して未発泡樹脂成形体(未発泡成形物)とした後、この未発泡樹脂成形体に、高圧ガスを含浸させ、圧力を解放することにより発泡させるバッチ方式で行ってもよく、フッ素系樹脂及び導電性充填剤を含む樹脂組成物を加圧下、高圧ガスと共に混練し、成形すると同時に圧力を解放し、成形と発泡を同時に行う連続方式で行ってもよい。このように、予め成形した未発泡樹脂成形体を高圧ガスに含浸させてもよく、また、溶融したフッ素系樹脂に不活性ガスを加圧状態下で含浸させた後、減圧の際に成形に付してもよい。
所望の形状や厚さの未発泡樹脂成形体は、例えば前記のフッ素樹脂を含む樹脂組成物を、公知の成形方法(例えば、単軸押出機、二軸押出機等の押出機を用いて成形する方法;ローラ、カム、ニーダ、バンバリ型等の羽根を設けた混錬機を使用して均一に混錬しておき、熱板のプレスなどを用いて所定の厚みにプレス成形する方法;射出成形機を用いて成形する方法など)を用いて作製することができる。
未発泡樹脂成形体としては、繊維化したフッ素系樹脂の直交編み目構造を有する未発泡樹脂成形体(多孔質体)を好適に用いることができる。このような未発泡樹脂成形体は、強度の点で優れており、大量の導電性充填剤(導電性フィラー)を含有することができる。
繊維化したフッ素系樹脂の直交編み目構造を有する未発泡樹脂成形体は、フッ素系樹脂及び導電性充填剤を含む樹脂組成物を成形(押出成形及び/又は圧延成形)することによって該樹脂組成物中に繊維化したフッ素系樹脂の直交編み目構造を形成させてから、該繊維化したフッ素系樹脂の直交編み目構造を有する樹脂組成物を成形(押出成形及び/又は圧延成形)することにより作製することができる。
繊維化したフッ素系樹脂の直交編み目構造を有する未発泡樹脂成形体を作製する方法としては、例えば、特開2006−82279号公報で記載されている、フッ素系樹脂を含む樹脂組成物を2回以上押出成形することによって該樹脂組成物中に繊維化したフッ素系樹脂の直交編み目構造を形成させた後、該繊維化したフッ素系樹脂の直交編み目構造を有する樹脂組成物を圧延成形する方法が挙げられる。
具体的には、繊維化したフッ素系樹脂の直交編み目構造を有する樹脂組成物は、例えば以下のA工程及びB工程を少なくとも1回ずつ行うことによって得ることができる。
A工程は、フッ素系樹脂及び導電性充填剤を含む樹脂組成物を、押出成形機に充填して押出成形する工程である。該A工程により、第1の方向(第1の押出方向)(「MD方向」と称する場合がある)に沿ってフッ素系樹脂が繊維化された押出成形物(「押出成形物(A)」と称する場合がある)を得ることができる。
B工程は、前記押出成形物(A)を押出成形機に充填して押出成形する工程である。該B工程では、押出成形物(A)は、MD方向と直交する第2の方向(第2の押出方向)(「TD方向」と称する場合がある)に押し出されるように押出成形機に充填される。従って、B工程により、第2の方向(TD方向)に沿ってフッ素系樹脂が繊維化され、繊維化したフッ素系樹脂が直交する2方向(MD方向及びTD方向)の編み目構造を有する樹脂組成物(「押出成形物(B)」と称する場合がある)を得ることができる。
押出成形物(A)や押出成成形物(B)は、通常、紐状、角柱状、円柱状、シート状などの形状を有する。また、B工程において、押出成形物(A)を押出成形機に充填する方法としては、例えば、押出成形物(A)を渦巻状に巻いて所定の厚みを持った円板状成形体に成形し、該円板状成形体を、厚み方向に押し出されるように押出成形機に充填する方法;前記円板状成形体を必要に応じて複数枚積層して所定の高さを有する円柱状成形体とし、これを高さ方向で押し出されるように押出成形機に充填する方法;押出成形物(A)を棒体の側面に周方向に螺旋状に巻き付けたり、あるいは巻回して、円柱状成形体とし、これを高さ方向で押し出されるように押出成形機に充填する方法;複数の押出成形物(A)を、それぞれの押出成形物(A)のMD方向が平行する形態で並べて、ブロック状集合成形体とし、該ブロック状集合成形体を、MD方向と直交する方向(TD方向)で押し出されるように押出成形機に充填する方法などが挙げられる。
押出成成形物(B)は、MD方向及びTD方向の双方向の強度に優れた多孔質体である。なお、押出成形物(B)に、さらに前記A工程及び前記B工程を交互に、複数回繰り返し行ってもよい。A工程及びB工程を交互に繰り返し行えば、繊維化したフッ素系樹脂の直交編み目構造の編み目の大きさをより小さくすることができ、より強度を向上させることができる。
繊維化したフッ素系樹脂の直交編み目構造を有する樹脂組成物の圧延成形は、ロールプレス処理、ダブルベルトプレス処理などの圧延処理を用いて行われる。また、圧延処理は連続的に行ってもよく、間欠的に行ってもよい。なお、圧延処理により、フッ素系樹脂粒子間の結着と繊維化とがより促進され、圧延方向(延伸方向)の強度がより一層向上することから等から、少しずつ多段の圧延処理を行って目的の厚みを有する未発泡樹脂成形体とすることが好ましい。また、圧延処理において、多段の圧延処理を行う場合、圧延方向をMD方向及びTD方向の交互に行ってもよい。
さらに、繊維化したフッ素系樹脂の直交編み目構造を有する未発泡樹脂成形体の形成方法としては、フッ素系樹脂及び導電性充填剤を含む樹脂組成物を所定の形状(例えば丸棒状、板状、角柱状等)に予備成形して予備成形体とした後、該予備成形体に圧延機にてMD方向及びTD方向の圧延処理(圧延成形)を繰り返すことにより作製する方法も挙げられる。
なお、繊維化したフッ素系樹脂の直交編み目構造を有する未発泡樹脂成形体の形成に用いる樹脂組成物に含まれるフッ素系樹脂としては、剪断力を与えることにより繊維状に転化するフッ素系樹脂が好ましい。
また、繊維化したフッ素系樹脂の直交編み目構造を有する未発泡樹脂成形体の形成に用いる樹脂組成物の成形(押出成形、圧延成形)は、樹脂組成物に成形助剤が含まれている状態で行われることが好ましい。なお、成形助剤は、加熱処理等により除去することができる。該加熱処理は、適宜な時期(例えば、未発泡樹脂成形体形成後、圧延処理中など)に行うことができる。
繊維化したフッ素系樹脂の直交編み目構造を有する未発泡樹脂成形体は、通常、厚さが10μm〜10mm(好ましくは100μm〜5mm)のシート状の未発泡樹脂成形体である。
このようにして得られた未発泡樹脂成形体(フッ素系樹脂及び導電性充填剤を含む樹脂組成物による成形体)を耐圧容器(高圧容器)中に入れて、高圧ガス(二酸化炭素など)を注入(導入)し、未発泡樹脂成形体中に高圧ガスを含浸させるガス含浸工程、十分に高圧ガスを含浸させた時点で圧力を解放し(通常、大気圧まで)、フッ素系樹脂に気泡核を発生させる減圧工程、場合によっては(必要に応じて)、加熱することによって気泡核を成長させる加熱工程を経て、フッ素系樹脂中に気泡を形成させる。なお、加熱工程を設けずに、室温で気泡核を成長させてもよい。このようにして気泡を成長させた後、必要により冷水などにより急激に冷却し、形状を固定化することにより、低熱伝導性耐熱性発泡体を得ることができる。なお、未発泡樹脂成形体の形状は特に限定されず、例えばシート状、ロール状、板状等の何れであってもよい。また、高圧ガスの導入は連続的に行ってもよく不連続的に行ってもよい。さらに、気泡核を成長させる際の加熱の方法としては、ウォーターバス、オイルバス、熱ロール、熱風オーブン、遠赤外線、近赤外線、マイクロ波などの公知乃至慣用の方法を採用できる。
一方、連続方式で低熱伝導性耐熱性発泡体を製造する場合は、例えば、フッ素系樹脂及び導電性充填剤を含む樹脂組成物を、単軸押出機、二軸押出機等の押出機を使用して混錬しながら、高圧ガス(二酸化炭素など)を注入(導入)し、十分に高圧ガスをフッ素系樹脂中に含浸させる混練含浸工程、押出機の先端に設けられたダイスなどを通してフッ素系樹脂及び導電性充填剤を含む樹脂組成物を押し出すことにより圧力を解放し(通常、大気圧まで)、成形と発泡を同時に行う成形減圧工程により製造することができる。また、場合によっては(必要に応じて)、加熱することによって気泡を成長させる加熱工程を設けてもよい。このようにして気泡を成長させた後、必要により冷水などにより急激に冷却し、形状を固定化することにより、低熱伝導性耐熱性発泡体を得ることができる。なお、上記混練含浸工程及び成形減圧工程では、押出機のほか、射出成形機などを用いて行うこともできる。また、シート状、角柱状、その他の任意の形状の低熱伝導性耐熱性発泡体を得られる方法を適宜選択すればよい。
バッチ方式や連続方式で低熱伝導性耐熱性発泡体を製造する際に必要に応じて設ける加熱工程において、気泡をより成長させるためには、温度を、フッ素系樹脂の軟化温度以上に設定することが好ましい。ただし、場合によっては(例えば、フッ素系樹脂の種類や、未発泡樹脂成形体の形状や構造等)、気泡が成長する過程において、変形の問題を生じるおそれがあるので、必要により冷水などにより急激に冷却し、気泡の成長を防止したり、形状を固定化することが必要である。
高圧ガスの混合量は特に制限されないが、通常フッ素系樹脂全量に対して、2〜10重量%程度である。所望の密度や発泡倍率が得られるように、適宜調節して混合すればよい。
バッチ方式におけるガス含浸工程や連続方式における混錬含浸工程において、未発泡樹脂発泡体に高圧ガスを含浸させる際、又は樹脂組成物を高圧ガスと共に混錬する際の圧力は通常7.3MPa以上(例えば7.3〜30MPa程度)である。圧力が7.3MPaより低い圧力領域では、含浸圧力を少し変化させるだけで気泡径、気泡密度が大きく変わるため、気泡径、気泡密度の制御が困難になりやすい。
未発泡成形体に高圧ガスを含浸させる際、又は樹脂組成物を高圧ガスと共に混練する際の温度は特に制限されず、高圧ガスの種類や樹脂組成物の組成などに応じて広い範囲で選択することができる。操作性等を考慮した場合、例えば10〜350℃程度である。なお、高圧ガスとして二酸化炭素を用いる場合には、超臨界状態を維持するため、含浸時の温度は32℃以上特に40℃以上であるのが好ましい。
圧力を解放して発泡を行う際の減圧速度は特に制限されないが、均一な微細気泡を得るため、通常5〜300MPa/秒程度である。また、圧力解放後気泡の成長を促すために加熱する際の温度は特に制限されないが、通常40〜250℃程度である。
このようにして得られる低熱伝導性耐熱性発泡体は、均一で微細な気泡を有し、さらに独立気泡性が高く、高発泡である。従って、熱伝導が低く、柔軟性、クッション性に優れ、且つ表面外観も良好である。
なお、低熱伝導性耐熱性発泡体における気泡構造としては、独立気泡構造、半連続半独立気泡構造(独立気泡構造と連続気泡構造とが混在している気泡構造であり、その割合は特に制限されない)が好ましく、特に、低熱伝導性耐熱性発泡体中に独立気泡構造部が80%以上(なかでも90%以上)となっている気泡構造が好適である。
本発明の低熱伝導性耐熱性発泡体の密度(見掛け密度)は、0.05〜0.6g/cm3(好ましくは0.05〜0.4g/cm3)であることが好ましい。密度がこの範囲内にあるとき、本発明の低熱伝導性耐熱性発泡体は適度な強度と柔軟性を持ち、クッション性に優れ、良好な歪回復性を発現する。密度が0.05g/cm3未満であると低熱伝導性耐熱性発泡体が柔らかくなりすぎる場合があり、一方0.6g/cm3より大きいと低熱伝導性耐熱性発泡体が硬くなりすぎる場合がある。
本発明の低熱伝導性耐熱性発泡体の密度(見掛け密度)は、以下のように算出する。低熱伝導性耐熱性発泡体を100mm×100mmサイズに打ち抜き、試験片とし、試験片の寸法をノギスで測定する。次に試験片の質量を電子天秤にて測定する。そして、次式により算出する。
密度(g/cm3)=試験片の質量/試験片の体積
本発明の低熱伝導性耐熱性発泡体の平均セル径(平均気泡径)は、0.01〜1000μmが好ましく、より好ましくは0.05〜500μmである。平均セル径が0.01μm未満であると気泡成長が不十分となり空孔率が低くなる場合があり、一方、平均セル径が1000μmより大きいとボイドの発生や不均一な発泡の原因となる場合がある。
本発明の低熱伝導性耐熱性発泡体の形状や大きさは、特に制限されず、用途などに応じて適宜選択することができる。例えば、シート状、角柱状、異形状などである。中でも、加工性の観点からシート状が好ましい。
本発明の低熱伝導性耐熱性発泡体がシート状である場合、その厚さとしては、例えば0.1〜5mm(好ましくは0.1〜3mm)である。
なお、このような厚みを有する低熱伝導性耐熱性発泡体を得るためには、低熱伝導性耐熱性発泡体の相対密度(発泡後の密度/未発泡状態での密度)が0.05〜0.6(好ましくは0.05〜0.4)のような低い相対密度であること望ましい。相対密度が0.6を超えると硬くなりすぎる場合があり、また0.05未満では、発泡体の強度が著しく低下する場合や低い熱伝導率を得られない場合があり好ましくない。
低熱伝導性耐熱性発泡体の空孔率は、特に制限されないが、例えば80%以上(なかでも90%以上)であることが好ましい。80%未満であると、用いるフッ素系樹脂の種類にもよるが、低熱伝導性耐熱性発泡体の熱伝導率を1W/(m・K)以下にすることが困難となる場合があるためである。
低熱伝導性耐熱性発泡体の空孔率は、低熱伝導性耐熱性発泡体の単位面積Sあたりの重さW、厚みt、密度dから下式より算出することができる。
低熱伝導性耐熱性発泡体の空孔率(%)=[1−(104×W/S/t/d)]×100
低熱伝導性耐熱性発泡体の熱伝導率は、1W/(m・K)以下[例えば0.1〜1W/(m・K)]、好ましくは0.9W/(m・K)以下[例えば0.1〜0.9W/(m・K)]である。一般的に、カーボン系フィラーや金属系フィラーなどの導電性充填剤(導電性フィラー)を含んでいると樹脂成形物(ポリマー成形物)の熱伝導率は大幅に上昇するが、本発明の低熱伝導性耐熱性発泡体は、導電性充填剤を含んでいても、熱伝導率はあまり変化することなく、上記範囲内である。これは、低熱伝導性耐熱性発泡体が単位体積あたりに非常に多くの気泡を含むためである。なお、通常の樹脂の熱伝導率は0.2〜1W/(m・K)程度であり[例えば、フッ素系樹脂(商品名「フルオンPTFE」旭硝子社製)の熱伝導率は、25.11W/(cm・℃)である。]、また空気の熱伝導率は0.025W/(m・K)程度である。
低熱伝導性耐熱性発泡体の熱伝導率は、レーザーフラッシュ法により測定する。その測定原理は、レーザー発振器からレーザー光を発射し試料の表面に直接当てる。そして、試料の裏面から出てくる熱量とその時間を測定し、比熱(Cp)と熱拡散率(α)を導き出し、次式によって熱伝導率(λ)を算出するものである。なお、ρは、試料の密度を意味する。
熱伝導率(λ)=α・Cp・ρ
低熱伝導性耐熱性発泡体の体積抵抗率は、10Ω・m以下(例えば0.1〜10Ω・m)、好ましくは5Ω・m以下(例えば0.1〜5Ω・m)である。これは、低熱伝導性耐熱性発泡体が多くの導電性充填剤を含むためである。なお、体積抵抗率は、10Ω・m以下であるため、低熱伝導性耐熱性発泡体では、発泡体表面および内部における電子の移動が可能である。また、低熱伝導性耐熱性発泡体の表面抵抗率も小さい。
低熱伝導性耐熱性発泡体の体積抵抗率ρは、発泡体の長さをL、発泡体の断面積をAとする場合、抵抗Rを式[R=ρ×L/A]で求めることができるため、下記式により求めることができる。
体積抵抗率(ρ)=R×A/L
低熱伝導性耐熱性発泡体の厚み、密度、相対密度、気泡の気泡径(セル径)、空孔率、熱伝導率などは、高圧ガス、フッ素系樹脂、添加剤(例えば導電性充填剤等)などの種類に応じて、例えば、ガス含浸工程における温度、圧力、時間などの操作条件、減圧工程における減圧速度、温度、圧力などの操作条件、減圧後の加熱温度などを適宜選択、設定することにより調整することができる。
低熱伝導性耐熱性発泡体は、フッ素系樹脂から構成されているため、フッ素系樹脂が元来有する耐熱性、機械的特性、耐摩耗性、高反発弾性等の優れた特性を有しており、さらに均一で微細な発泡構造(気泡構造)を有するため、熱伝導率が1W/(m・K)以下である特性を有し、さらにまた導電性充填剤を含有するため体積抵抗率が10Ω・m以下である特性を有している。
よって、低熱伝導性耐熱性発泡体は、低熱伝導性、導電性、耐熱性等が要求される用途に用いることができる。このような用途としては、例えば、電子機器等の電池などの内部電極、導電性断熱体などの断熱材、電磁場シールド材料、電子材料用の熱拡散シート、電子機器等の内部緩衝材、導電性隔膜などである。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
(予備成形体の作製例)
フッ素系樹脂(商品名「フルオンPTFEファインパウダーCD123」旭硝子社製)、カーボンブラック(商品名「トーカブラック♯4500」東海カーボン社製)とパラフィン助剤(灯油)とを混合することにより樹脂組成物を調製した。なお、カーボンブラックは樹脂組成物中に80体積%となるように混合し、またパラフィン助剤はフッ素系樹脂とカーボンブラックとの固形分に対して76.5体積%となるように混合した。その後、調製した樹脂組成物を、ラム押出機を用いて、丸棒に予備成形して、予備成形体とした。
(実施例1)
前記予備成形体を、ロール圧延機にてMD方向及びTD方向での圧延処理(圧延成形)を交互に繰り返し、厚さ1mmのシート状の樹脂成形体に成形した。そして、シート状の樹脂成形体に熱処理(およそ120〜130℃)を行い、パラフィン助剤を乾燥・除去した。
該パラフィン助剤を乾燥・除去したシート状の樹脂成形体(「シート状未発泡樹脂成形体」と称する場合がある)(密度:0.2g/cm3)を、直径80mmの円上に切断し、該シートを500ccの耐圧容器に入れ、40℃の雰囲気中、25MPa/cm2の加圧下で、1時間保持することにより、二酸化炭素を含浸させた。含浸後、圧力を急激に大気圧下に戻し、該シートを発泡させ、発泡した樹脂構造体(発泡樹脂構造体)(厚み:10mm、密度0.2g/cm3)を得た。
(比較例1)
前記予備成形体を、ロール圧延機にてMD方向及びTD方向での圧延を交互に繰り返し、厚さ1mmのシート状の樹脂成形体に成形した。そして、シート状の樹脂成形体に熱処理(およそ120〜130℃)を行い、パラフィン助剤を乾燥・除去した。
このシート状の樹脂成形体を、直径80mmの円上に切断し、樹脂構造体を得た。なお、密度は、2.0g/cm3であった。
(評価)
実施例1及び比較例1について、下記の(熱伝導率の測定方法)、(体積抵抗率の測定方法)、(空孔率の測定方法)により、熱伝導率、体積抵抗率、空孔率を測定した。また、下記の(耐熱性の評価方法)により、耐熱性を評価した。これらの結果は、表1に示した。
また、実施例1について、走査型電子顕微鏡(SEM)(S−4800型;株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、樹脂構造体の断面を、倍率1万倍及び倍率50倍で観察した。なお、樹脂構造体の断面は、液体窒素を用いて凍結したものを割断することにより生じる断面である。それぞれの樹脂構造体の断面の走査型電子顕微鏡写真(表面SEM像)を、図1〜2に示した。なお、図1は、倍率1万倍の電子顕微鏡写真であり、図2は倍率50倍の電子顕微鏡写真である。
(熱伝導率の測定方法)
測定装置として熱伝導率計(商品名「QTM−500」京都電子工業株式会社製)、プローブとして絶縁・防湿プローブ(商品名「PD−13」京都電子工業株式会社製)を使用し、レーザーフラッシュ法にて測定した。
(体積抵抗率の測定方法)
図3のように、試料としての樹脂構造体を測定面積Aが1cm2となるように銅箔(銅板)で挟み、荷重を0.6MPaかけて、厚み方向に定電流発生装置(商品名「TR−6143」アドバンテスト社製)で100mAの電流を流し、そのときの電圧を電圧計(商品名「R−6450」アドバンテスト社製)で測定することにより、抵抗Rを求めた。そして、下記式より、体積抵抗率を求めた。
体積抵抗率(ρ)=R×A/L
なお、上記の式において、Lは樹脂構造体の厚みを意味する。また、実施例1では、厚みLを10mmとしており、比較例1では、厚みLを1mmとした。
(空孔率の測定方法)
空孔率は、単位面積Sあたりの重さW、厚みt、密度dから下式より算出した値とした。
空孔率(%)=[1−(104×W/S/t/d)]×100
(耐熱性の評価方法)
樹脂構造体を、120℃の雰囲気下で10分間放置し、外観状の変化(例えば、クラック、変形、変色など)を観察することにより評価した。樹脂構造体に外観状の変化を生じない場合を「○」と評価し、外観上の変化を生じる場合を「×」と評価した。
実施例1において、発泡樹脂構造体の密度は、0.2g/cm3であり、また、シート状未発泡樹脂成形体の密度は、2g/cm3であった。従って、実施例1の発泡樹脂構造体の相対密度は、0.1であった。
図1の走査型電子顕微鏡写真から、セル径は0.1〜5μmであることが確認でき、また微細な孔(空洞)の存在も確認できた。
図2の走査型電子顕微鏡写真から、大きなボイド(例えば、1mm以下のボイドなど)の存在が確認できた。
実施例1の樹脂構造体の断面における走査型電子顕微鏡写真である。 実施例1の樹脂構造体の断面における走査型電子顕微鏡写真である。 体積抵抗率の測定方法の説明図である。
符号の説明
31 試料(樹脂構造体)
32 銅箔(銅板)

Claims (5)

  1. フッ素系樹脂及び導電性充填剤を含む樹脂組成物からなり、熱伝導率が1W/(m・K)以下であり、且つ体積抵抗率が10Ω・m以下であることを特徴とする低熱伝導性耐熱性発泡体。
  2. フッ素系樹脂に高圧ガスを高圧下で含浸させた後、減圧して発泡させることを特徴とする請求項1記載の低熱伝導性耐熱性発泡体の製造方法。
  3. フッ素系樹脂及び導電性充填剤を含む樹脂組成物を押出成形及び/又は圧延成形することによって該樹脂組成物中に繊維化したフッ素系樹脂の直交編み目構造を形成させてから、該繊維化したフッ素系樹脂の直交編み目構造を有する樹脂組成物を成形することにより作製されたシート状未発泡樹脂成形体に、高圧ガスを高圧下で含浸させた後、減圧して発泡させることを特徴とする請求項1記載の低熱伝導性耐熱性発泡体の製造方法。
  4. 高圧ガスが二酸化炭素である請求項2又は3記載の低熱伝導性耐熱性発泡体の製造方法。
  5. 二酸化炭素が超臨界状態である請求項4記載の低熱伝導性耐熱性発泡体の製造方法。
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