JP2007197568A - 発泡体の製造方法及び発泡体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ガスの急激な膨張、皺の発生、気泡の合一等による発泡した成形体の変形、膨張を抑制し、良好な発泡体を得ることのできる発泡体の製造方法及び発泡体を提供する。
【解決手段】 ポリフェニレンスルフィド樹脂を押出加工によりシート3にシーティングする工程と、シーティングされたシート3に不活性ガスを加圧下で含浸し、その後、加圧圧力を開放する工程と、不活性ガスの含浸したシート3を加熱発泡して発泡シートを製造する工程と、製造された発泡シートをガラス転移点以上の温度で加熱する工程とを備え、これらの工程を通じて均一で良好な発泡体を製造する。
【選択図】 図1
【解決手段】 ポリフェニレンスルフィド樹脂を押出加工によりシート3にシーティングする工程と、シーティングされたシート3に不活性ガスを加圧下で含浸し、その後、加圧圧力を開放する工程と、不活性ガスの含浸したシート3を加熱発泡して発泡シートを製造する工程と、製造された発泡シートをガラス転移点以上の温度で加熱する工程とを備え、これらの工程を通じて均一で良好な発泡体を製造する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、自動車やコンピュータ機器の断熱材等として利用される発泡体の製造方法及び発泡体に関するものである。
従来、ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS)を用いて発泡体を製造する場合には、図示しないが、結晶化度が20%未満のポリフェニレンスルフィド樹脂からなる成形体に不活性ガスを加圧下で含浸し、圧力を開放し、成形体を150〜250℃の温度で加熱して発泡させた後、この発泡した成形体を冷却することにより発泡体を製造している(特許文献1参照)。
特開平7‐224185号公報
従来における発泡体の製造方法は、以上のようになされ、成形体を150〜250℃の温度で単に発泡させるので、ガスの急激な膨張、結晶化の進行が部位によりばらつくことに伴う皺の発生、気泡の合一等による発泡した成形体の変形、あるいは膨張を招き、良好な発泡体を得ることができないという大きな問題がある。
本発明は上記に鑑みなされたもので、ガスの急激な膨張、皺の発生、気泡の合一等による発泡した成形体の変形、膨張を抑制し、良好な発泡体を得ることのできる発泡体の製造方法及び発泡体を提供することを目的としている。
本発明においては上記課題を解決するため、ポリフェニレンスルフィド樹脂を用いて発泡体を製造する発泡体の製造方法であって、
ポリフェニレンスルフィド樹脂を押出加工によりシートにシーティングする工程と、シーティングされたシートに不活性ガスを加圧下で含浸し、その後、加圧圧力を開放する工程と、不活性ガスの含浸したシートを加熱発泡して発泡シートを製造する工程と、製造された発泡シートをガラス転移点以上の温度で加熱する工程とを含んでなることを特徴としている。
ポリフェニレンスルフィド樹脂を押出加工によりシートにシーティングする工程と、シーティングされたシートに不活性ガスを加圧下で含浸し、その後、加圧圧力を開放する工程と、不活性ガスの含浸したシートを加熱発泡して発泡シートを製造する工程と、製造された発泡シートをガラス転移点以上の温度で加熱する工程とを含んでなることを特徴としている。
なお、ポリフェニレンスルフィド樹脂の50%以上を架橋型あるいは分岐型とすることが好ましい。
また、ポリフェニレンスルフィド樹脂の融点+30℃における引っ張り伸度を200%以上とし、ポリフェニレンスルフィド樹脂の溶融粘度を50〜2000Pa・sec(剪断速度1216/sec、温度310℃)とすることが好ましい。
また、シートの加熱発泡温度をガラス転移点±20℃とすることができる。
また、ポリフェニレンスルフィド樹脂の融点+30℃における引っ張り伸度を200%以上とし、ポリフェニレンスルフィド樹脂の溶融粘度を50〜2000Pa・sec(剪断速度1216/sec、温度310℃)とすることが好ましい。
また、シートの加熱発泡温度をガラス転移点±20℃とすることができる。
また、本発明においては上記課題を解決するため、請求項1ないし3いずれかに記載の発泡体の製造方法により発泡体を製造したことを特徴としている。
また、ポリフェニレンスルフィド樹脂を押出加工によりシートにシーティングする工程と、シーティングされたシートに不活性ガスを加圧下で含浸し、その後、加圧圧力を開放する工程と、不活性ガスの含浸したシートを加熱発泡して発泡シートを製造する工程と、製造された発泡シートをガラス転移点以上260℃以下の温度で加熱する工程とを含んでなることを特徴としても良い。
本発明によれば、ガスの急激な膨張、皺の発生、気泡の合一等による発泡した成形体の変形、膨張を抑制し、均一で良好な発泡体を得ることができるという効果がある。
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態を説明すると、本実施形態における発泡体の製造方法は、図1に示すように、ポリフェニレンスルフィド樹脂を押出加工によりシート3にシーティングする工程と、シーティングされたシート3に不活性ガスを加圧下で含浸し、その後、加圧圧力を開放する工程と、不活性ガスの含浸したシート3を加熱発泡して発泡シートを製造する工程と、製造された発泡シートをガラス転移点(Tg)以上の温度で加熱する工程とを備え、これらの工程を通じて均一で良好な発泡体を製造するようにしている。
ポリフェニレンスルフィド樹脂は、繰返し単位−(Ar−S−)−(但し、Arはアリーレン基である)で構成された重合体である。アリーレン基としては、例えば、p−フェニレン基、m−フェニレン基、o−フェニレン基、置換フェニレン基、p,p'−ジフェニレンスルフォン基、p,p'−ビフェニレン基、p,p'−ジフェニレンエーテル基、p,p'−ジフェニレンカルボニル基、ナフタレン基等があげられる。この場合、上記アリーレン基から構成されるアリーレンサルファイド基の中で、同一の繰返し単位からなるホモポリマーを用いることができ、又異種繰返し単位を少量含んだコポリマーを用いることもできる。
ホモポリマーとしては、アリーレン基としてp−フェニレン基を用いたp−フェニレンサルファイド基を繰返し単位とするポリマーが好適である。また、コポリマーとしては、上記アリーレン基からなるアリーレンサルファイド基の中で、相異なる2種以上の組み合わせが使用できるが、中でもp−フェニレンサルファイド基を主とし、m−フェニレンサルファイド基を含む共重合体が好適である。これらの中では、p−フェニレンサルファイド基を70モル%以上、好ましくは80モル%以上含むものが耐熱性、成形性、機械的特性等の物性上の点から最適である。
ポリフェニレンスルフィド樹脂は、ブロック共重合体とランダム共重合体のいずれでも良い。また、2官能性ハロゲン芳香族化合物を主体とするモノマーから縮重合により得られる実質的に線状構造のポリマーが好ましいが、線状構造のポリマー以外にも縮重合させるときに、3個以上のハロゲン置換基を有するポリハロ芳香族化合物等の架橋剤を少量用い、部分的に分岐又は架橋構造を形成させたポリマーをも好ましく使用することができる。
また、比較的低分子量の線状構造ポリマーを酸素存在下、高温で加熱して架橋反応を行い、溶融粘度を上昇させ、成形加工性を改良したポリマーをも使用可能である。さらに、ポリフェニレンスルフィド樹脂は、各種の置換基等の導入された変性タイプでも良いし、成形加工性の点から上記2種類以上のタイプを併用しても構わない。
但し、ポリフェニレンスルフィド樹脂は、少なくともその50%以上が架橋型あるいは分岐型であるのが最適である。この点について説明すると、樹脂は、一般的に分子量により粘度、溶融引っ張り伸度を調整することが可能であり、押出加工時には粘度と溶融引っ張り伸度共に所定の値が必要となるため、分子量を増大させる必要がある。
分子量を増大させると、粘度と溶融引っ張り伸度が共に増加するが、単純に分子量を増大させると重合時間が長くなり、コストの増加を招くこととなる。ポリフェニレンスルフィド樹脂においては、架橋構造又は分岐構造の導入により、同様の効果を得ることができるので、架橋型又は分岐型のポリフェニレンスルフィド樹脂の選択が好ましい。
なお、ポリフェニレンスルフィド樹脂製の発泡体は、必要に応じ、層状珪酸塩等を添加したポリフェニレンスルフィド樹脂を使用して製造することができる。層状珪酸塩としては、モンモリナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト等のスメクタイト、バーミキュライト、Na型フッ素四ケイ素雲母、Na型テニオライト、Li型テニオライト等の膨潤性フッ素雲母等があげられる。
上記において、ポリフェニレンスルフィド樹脂を用いて発泡体を製造する場合には、先ず図1に示すように、単軸押出機あるいは二軸押出機等からなる押出機1によりポリフェニレンスルフィド樹脂を溶融混練し、ダイ2によりシート3に押出成形し、引き落としによりシート3の厚さを調整しながらポリフェニレンスルフィド樹脂のガラス転移点以下の温度まで強制的に冷却固化し、その後、シーティングしたシート3を巻き取る。
シート3のシーティングの際、ポリフェニレンスルフィド樹脂の融点+30℃における引っ張り伸度は200%以上、ポリフェニレンスルフィド樹脂の融点+30℃における溶融粘度は50〜2000Pa・sec(剪断速度1216/sec、温度310℃)、好ましくは200〜1500Pa・sec(剪断速度1216/sec、温度310℃)が良い。
融点+30℃の溶融粘度に注目したのは、一般にシート3の押出加工において、その加工温度はポリフェニレンスルフィド樹脂のような結晶性樹脂の場合には、融点+20〜60℃が選択されるからである。融点+30℃における引っ張り伸度が200%以上を要するのは、200%未満の場合には、シート3の押出工程における引き落とし時に切れが発生しやすく、良好なシート3を得にくいからである。
溶融粘度が50〜2000Pa・secの範囲なのは、50Pa・sec未満の場合には、押出機1やダイ2の内部で十分な圧力が得られず、気泡の発生や偏流等の不具合が発生するからである。これに対し、2000Pa・secを超える場合には、押出圧力の増加による付加が増大し、樹脂漏れや偏流等が発生しやすくなるからである。さらに、モータ、減速機等の駆動系、押出機1の本体、スクリューの強度を大きくしなければならず、設備費の増加を招くためである。
また、シート3のシーティングに際しては、必要に応じて押出機1のホッパー内を窒素や二酸化炭素等の不活性ガスで置換することができる。また、有機金属系の滑剤を添加することもできる。また、シート3の厚さは、ダイ2のリップ間隙を調整することによりおおよそ調整し、その後、引き落としにより精密に調整することで高精度、均一性を確保することができる。
シート3を強制冷却する方法としては、ポリフェニレンスルフィド樹脂のガラス転移点以下の温度に保持された複数の冷却ロール4間にシート3を挟む方法(図1参照)、ポリフェニレンスルフィド樹脂のガラス転移点温度以下の気体、あるいは液体を吹き付ける方法、ポリフェニレンスルフィド樹脂のガラス転移点温度以下に保たれた液体中に浸漬する方法等があげられる。
但し、ポリフェニレンスルフィド樹脂のガラス転移点を超える温度で固化した場合には、シート3の結晶化度が20%以上になるおそれがあるので、十分留意する必要がある。
但し、ポリフェニレンスルフィド樹脂のガラス転移点を超える温度で固化した場合には、シート3の結晶化度が20%以上になるおそれがあるので、十分留意する必要がある。
次いで、巻き取ったシート3を耐圧容器中にセットして不活性ガスを導入し、シート3に不活性ガスを含浸させ、その後、耐圧容器のガス圧力を急激に開放してポリフェニレンスルフィド樹脂製のシート3と不活性ガスとの混合物を得る。
シート3のセットの際、紙、布、通気性の不織布、合成繊維混抄紙、金属製、あるいは樹脂製の格子状網状材等の通気性の良いものとシート3とを重ねて巻けば、巻物の全周に亘り均一に不活性ガスを含浸することができる。不活性ガスとしては、アルゴン、窒素、フッ素、二酸化炭素等があげられるが、ポリフェニレンスルフィド樹脂のシート3内部への浸透や取り扱いの容易さから二酸化炭素が好ましい。
不活性ガスの含浸条件としては、5MPa以上30MPa以下の圧力が好ましい。これは、5MPa未満の場合には、十分な量が含浸せず、逆に30MPaを超える場合には、高圧ガスの取り扱いに伴う危険や設備の強化等に伴うコストの増大を招くからである。
不活性ガスの含浸温度は20〜90℃の範囲が望ましい、これは、20℃未満の低温では、上記圧力において二酸化炭素が液体状態であり、含浸の効率が悪化するという理由に基づく。逆に、90℃を超える温度(ポリフェニレンスルフィド樹脂のガラス転移点以上の温度)では、ポリフェニレンスルフィド樹脂製のシート3の結晶化が進行し、ガスの含浸が阻害されるという理由に基づく。
不活性ガスの含浸に際しては、31℃以上、7.4MPa以上の二酸化炭素の超臨界状態において含浸することが望ましい。これは、超臨界状態の二酸化炭素は含浸の効率が良いからである。
発泡においては、不活性ガスの含浸に供されるシート3の結晶化度20%未満であることが望ましいのは公知である。これは、シート3を図1に示す冷却ロール4により急冷することにより得られる。結晶化度は、低いほど発泡しやすくなる。これは、不活性ガスの含浸においては、結晶性の低い結晶化度12%のポリフェニレンスルフィド樹脂については不活性ガスを二酸化炭素とした場合、3〜5wt%の不活性ガスが含浸されるが、結晶性の高い結晶化度28%のポリフェニレンスルフィド樹脂については殆ど不活性ガスが含浸されないか、又は発泡圧力によりポリフェニレンスルフィド樹脂の貯蔵弾性率が高いため、発泡しないからである。
次いで、シート3をガラス転移点(Tg)±20℃で加熱発泡して発泡シートを製造する。Tg±20℃である理由は、貯蔵弾性率の挙動が大きく影響しているので、図2に結晶化度12%のポリフェニレンスルフィド樹脂の動的粘弾性(粘貯蔵弾性率チャート)を、図3に結晶化度28%のポリフェニレンスルフィド樹脂の動的粘弾性(粘貯蔵弾性率チャート)を示して説明する。
図2、図3から明らかなように、結晶化度12%のものはTg付近で貯蔵弾性率が大きく低下し、谷を形成するのに対し、結晶化度28%のものは大きく低下する領域を持たない。この貯蔵弾性率の谷の温度領域、すなわちTg±20℃の領域で発泡を行うことが、不活性ガス、特に二酸化炭素の膨張と樹脂の弾性によるガス膨張の制御をバランスよく得られる条件となる。この温度領域では、ポリフェニレンスルフィド樹脂の結晶化度15%以下においては貯蔵弾性率は105〜108Paである。好ましくは貯蔵弾性率が106〜107Paの温度領域、すなわちTg±20℃での発泡が最適である。
なお、貯蔵弾性率が108Paを超えるポリフェニレンスルフィド樹脂製のシート3は発泡成形することができないので注意する必要がある。また、貯蔵弾性率が105Pa未満のポリフェニレンスルフィド樹脂製のシート3は、気泡が合一したり破泡するおそれがあるので注意する必要がある。
次いで、製造した発泡シートは、結晶化度が低く、耐熱性や機械強度が十分でないため、発泡後、ガラス転移点以上260℃以下、望ましくはガラス転移点+20℃〜220℃以下の温度で加熱し、結晶化を進行させれば、耐熱性に優れた発泡体である発泡シートを得ることができる。
この際、発泡倍率をより大きくするため、不活性ガスの含浸〜加熱発泡の工程を複数回(例えば2回以上)繰り返し行う。この場合の加熱発泡温度はガラス転移点+20℃である。
この際、発泡倍率をより大きくするため、不活性ガスの含浸〜加熱発泡の工程を複数回(例えば2回以上)繰り返し行う。この場合の加熱発泡温度はガラス転移点+20℃である。
なお、加熱に際しては、ガラス転移点未満の温度では結晶化が進行しないので留意する必要がある。また、ガラス転移点以上、260℃を超える温度で熱処理を行うと、発泡体の貯蔵弾性率が105Pa未満となるため、熱処理中に気泡が合一化したり、破泡するおそれがあるので留意すべきである。
上記によれば、ポリフェニレンスルフィド樹脂を押出加工によりシート3にシーティングして不活性ガスを加圧下で含浸し、その後、加圧圧力を開放し、不活性ガスの含浸したシート3を加熱発泡して発泡シートを製造した後、この発泡シートにガラス転移点以上の熱を加えて加熱するので、ガスの急激な膨張、結晶化の進行が部位によりばらつくことに伴う皺の発生、気泡の合一等による発泡した成形体の変形、あるいは膨張を招くことがなく、きわめて良好な発泡体を得ることができる。さらに、耐熱性や機械特性に優れた変形のない均一なポリフェニレンスルフィド樹脂製の発泡シートを提供することができる。
以下、本発明に係る発泡体の製造方法及び発泡体の実施例を比較例と共に説明する。この実施例において、溶融粘度、結晶化度、貯蔵弾性率、ガラス転移点、発泡倍率、平均気泡径、気泡密度、熱伝導率、誘電率、及びハンダ耐熱性については以下の通りとした。
溶融粘度
ポリフェニレンスルフィド樹脂の溶融粘度は、キャピラリー式レオメータ(東洋精機製作所製キャピログラフ1B)を用いて温度310℃、剪断速度1216/secの条件で測定した。キャピラリーの大きさは、長さ20mm、径1.0mmとした。
ポリフェニレンスルフィド樹脂の溶融粘度は、キャピラリー式レオメータ(東洋精機製作所製キャピログラフ1B)を用いて温度310℃、剪断速度1216/secの条件で測定した。キャピラリーの大きさは、長さ20mm、径1.0mmとした。
結晶化度
ポリフェニレンスルフィド樹脂製のシートの結晶化度は、示差走査熱量計(セイコ−電子工業社製DSC220)を用いて10℃/分の昇温速度で加熱し、このときに得られる結晶融解ピークの熱量(J/g)、結晶成長時の発熱ピークの熱量(J/g)、100%結晶の融解吸熱ピークの熱量(J/g)とから下記の式を用いて算出した。
結晶化度(%)={(結晶融解ピークの熱量)−(結晶成長時の発熱ピーク)}/(100%結晶融解吸熱ピークの熱量)
なお、100%結晶の融解吸熱ピークの熱量は146.2J/gである(Maemura E.et al.,Polym.Eng.Sci.,29(2),140(1989))。
ポリフェニレンスルフィド樹脂製のシートの結晶化度は、示差走査熱量計(セイコ−電子工業社製DSC220)を用いて10℃/分の昇温速度で加熱し、このときに得られる結晶融解ピークの熱量(J/g)、結晶成長時の発熱ピークの熱量(J/g)、100%結晶の融解吸熱ピークの熱量(J/g)とから下記の式を用いて算出した。
結晶化度(%)={(結晶融解ピークの熱量)−(結晶成長時の発熱ピーク)}/(100%結晶融解吸熱ピークの熱量)
なお、100%結晶の融解吸熱ピークの熱量は146.2J/gである(Maemura E.et al.,Polym.Eng.Sci.,29(2),140(1989))。
貯蔵弾性率(E´)
ポリフェニレンスルフィド樹脂製のシートを縦34mm、横7mmに切り出し、粘弾性スペクトロメーター(レオメトリック社製RSAII)を用いて引張モードにより、振動周波数1Hz、歪み0.1%、昇温速度5℃/分、チャック間21.5mmの条件で横方向について測定した。
ポリフェニレンスルフィド樹脂製のシートを縦34mm、横7mmに切り出し、粘弾性スペクトロメーター(レオメトリック社製RSAII)を用いて引張モードにより、振動周波数1Hz、歪み0.1%、昇温速度5℃/分、チャック間21.5mmの条件で横方向について測定した。
ガラス転移点
ポリフェニレンスルフィド樹脂製のシートを縦34mm、横7mmに切り出し、粘弾性スペクトロメーター(レオメトリック社製RSAII)を用いて引張モードにより、振動周波数1Hz、歪み0.1%、昇温速度5℃/分、チャック間21.5mmの条件で横方向について損失弾性率を測定し、損失弾性率の極大値をガラス転移点とした。
ポリフェニレンスルフィド樹脂製のシートを縦34mm、横7mmに切り出し、粘弾性スペクトロメーター(レオメトリック社製RSAII)を用いて引張モードにより、振動周波数1Hz、歪み0.1%、昇温速度5℃/分、チャック間21.5mmの条件で横方向について損失弾性率を測定し、損失弾性率の極大値をガラス転移点とした。
発泡倍率
ポリフェニレンスルフィド樹脂製の発泡体の発泡倍率は、水中置換法により発泡前ポリフェニレンスルフィド樹脂シートの密度(g/cm3)とポリフェニレンスルフィド樹脂発泡体の密度(g/cm3)を測定し、下記の式を用いて算出した。
発泡倍率(倍)=(ρ)/(ρf)
ここで、ρ :発泡前におけるポリフェニレンスルフィド樹脂製シートの密度
ρf:ポリフェニレンスルフィド樹脂製の発泡体の密度
ポリフェニレンスルフィド樹脂製の発泡体の発泡倍率は、水中置換法により発泡前ポリフェニレンスルフィド樹脂シートの密度(g/cm3)とポリフェニレンスルフィド樹脂発泡体の密度(g/cm3)を測定し、下記の式を用いて算出した。
発泡倍率(倍)=(ρ)/(ρf)
ここで、ρ :発泡前におけるポリフェニレンスルフィド樹脂製シートの密度
ρf:ポリフェニレンスルフィド樹脂製の発泡体の密度
皺、膨れ等によるポリフェニレンスルフィド樹脂発泡成形体の変形については、発泡体を目視により評価した。
平均気泡径
走査型電子顕微鏡(日本電子社製5300LV)によりポリフェニレンスルフィド樹脂製の発泡体の断面を撮影し、Windows(登録商標)用の汎用画像処理パッケージ(三谷商事社製ウインルーフ)を用いて画像処理を行い、平均気泡径(直径)を求めた。平均気泡径は最大長径により求めた。
走査型電子顕微鏡(日本電子社製5300LV)によりポリフェニレンスルフィド樹脂製の発泡体の断面を撮影し、Windows(登録商標)用の汎用画像処理パッケージ(三谷商事社製ウインルーフ)を用いて画像処理を行い、平均気泡径(直径)を求めた。平均気泡径は最大長径により求めた。
気泡密度
気泡密度は下記の式より求めた。
N0=6(ρ/ρf−1)/πD3
ここで、N0:気泡密度(個/cm3)
ρ:発泡前のポリフェニレンスルフィド樹脂シートの密度(g/cm3)
ρf:ポリフェニレンスルフィド樹脂発泡体の密度(g/cm3)
π:円周率
D:気泡直径(cm)
新保 實,Daniel F.Baldwin,Nam P.Suh 成形加工,第6巻,第12号 63(1994)
気泡密度は下記の式より求めた。
N0=6(ρ/ρf−1)/πD3
ここで、N0:気泡密度(個/cm3)
ρ:発泡前のポリフェニレンスルフィド樹脂シートの密度(g/cm3)
ρf:ポリフェニレンスルフィド樹脂発泡体の密度(g/cm3)
π:円周率
D:気泡直径(cm)
新保 實,Daniel F.Baldwin,Nam P.Suh 成形加工,第6巻,第12号 63(1994)
熱伝導率
迅速熱伝導率計(京都電子工業社製QTM−500)を用い、基準物質との比較により求めた。
基準物質として、発泡ポリエチレン(熱伝導率:0.0357W/mK)、シリコーンゴム(熱伝導率:0.238W/mK)、及び石英ガラス(熱伝導率:1.409W/mK)の3種類を使用した。
迅速熱伝導率計(京都電子工業社製QTM−500)を用い、基準物質との比較により求めた。
基準物質として、発泡ポリエチレン(熱伝導率:0.0357W/mK)、シリコーンゴム(熱伝導率:0.238W/mK)、及び石英ガラス(熱伝導率:1.409W/mK)の3種類を使用した。
誘電率
RFインピーダンスマテリアルアナライザー(ヒューレットパッカード社製HP4291A)を用いて測定した。誘電率は1GHzで測定した。
RFインピーダンスマテリアルアナライザー(ヒューレットパッカード社製HP4291A)を用いて測定した。誘電率は1GHzで測定した。
ハンダ耐熱性
ポリフェニレンスルフィド樹脂製の発泡体を260℃のハンダ浴中で10秒間浸漬し、耐熱性を測定した。耐熱性については、目視によりポリフェニレンスルフィド樹脂の変形を通じて確認した。
ポリフェニレンスルフィド樹脂製の発泡体を260℃のハンダ浴中で10秒間浸漬し、耐熱性を測定した。耐熱性については、目視によりポリフェニレンスルフィド樹脂の変形を通じて確認した。
実施例1
工程1
先ず、樹脂温度310℃、剪断速度1216/secにおける溶融粘度が900Pa・secのポリフェニレンスルフィド樹脂(ポリプラスチック社製フォートロン W−540)を、幅が400mmでリップ間隔が0.7mmのT-ダイを備えたφ40mmの単軸押出機に供給し、320℃で溶融混練して320℃に加熱したT-ダイから押出し、表面温度が30℃に保持された冷却ロールで冷却固化し、長さ100m、幅300mm、厚み0.5mmのポリフェニレンスルフィド樹脂製のシートをシーティングした。
工程1
先ず、樹脂温度310℃、剪断速度1216/secにおける溶融粘度が900Pa・secのポリフェニレンスルフィド樹脂(ポリプラスチック社製フォートロン W−540)を、幅が400mmでリップ間隔が0.7mmのT-ダイを備えたφ40mmの単軸押出機に供給し、320℃で溶融混練して320℃に加熱したT-ダイから押出し、表面温度が30℃に保持された冷却ロールで冷却固化し、長さ100m、幅300mm、厚み0.5mmのポリフェニレンスルフィド樹脂製のシートをシーティングした。
こうしてシートをシーティングしたら、シートの密度、貯蔵弾性率、結晶化度、ガラス転移点をそれぞれ測定し、密度、結晶化度、ガラス転移点の測定結果を表1にまとめた。
工程2
工程1でシーティングしたシートを裁断機により10cm×10cmに切り出し、耐圧容器に封入して超臨界二酸化炭素を流入し、40℃、15MPa、24時間の条件で静置してシートに二酸化炭素を含浸させた。こうしてシートに二酸化炭素を含浸させたら、二酸化炭素が含浸したシートを110℃の金型(隙間間隔:1.0mm、サイズ:20cm×30cm)内にセットして1分間加熱し、ポリフェニレンスルフィド樹脂製の発泡シートを成形した。
得られた発泡シートを確認したところ、皺や膨れ等による発泡シートの変形は認められなかった。
工程1でシーティングしたシートを裁断機により10cm×10cmに切り出し、耐圧容器に封入して超臨界二酸化炭素を流入し、40℃、15MPa、24時間の条件で静置してシートに二酸化炭素を含浸させた。こうしてシートに二酸化炭素を含浸させたら、二酸化炭素が含浸したシートを110℃の金型(隙間間隔:1.0mm、サイズ:20cm×30cm)内にセットして1分間加熱し、ポリフェニレンスルフィド樹脂製の発泡シートを成形した。
得られた発泡シートを確認したところ、皺や膨れ等による発泡シートの変形は認められなかった。
工程3
工程2で得られた発泡シートを150℃の金型(隙間間隔:1.0mm、サイズ:20cm×30cm)内にセットして5分間加熱し、結晶化処理を施して発泡体を製造した。こうして発泡体を製造したら、この発泡体の密度を測定して発泡倍率、平均気泡、及び気泡密度を求め、結晶化度、熱伝導率、誘電率、及びハンダ耐熱性を測定した。発泡体の密度は、0.41g/cm3であった。
工程2で得られた発泡シートを150℃の金型(隙間間隔:1.0mm、サイズ:20cm×30cm)内にセットして5分間加熱し、結晶化処理を施して発泡体を製造した。こうして発泡体を製造したら、この発泡体の密度を測定して発泡倍率、平均気泡、及び気泡密度を求め、結晶化度、熱伝導率、誘電率、及びハンダ耐熱性を測定した。発泡体の密度は、0.41g/cm3であった。
実施例2
工程1
実施例1の工程1で得られたポリフェニレンスルフィド樹脂製のシートを裁断機により10cm×10cmに切り出して耐圧容器に封入し、この耐圧容器に超臨界二酸化炭素を流入させて40℃、8.0MPa、12時間の条件で静置し、シートに二酸化炭素を含浸させた。シートに二酸化炭素を含浸させたら、シートを80℃の金型(隙間間隔:1.0mm、サイズ:20cm×30cm)内にセットして1分間加熱し、ポリフェニレンスルフィド樹脂製の発泡シートを製造した。
工程1
実施例1の工程1で得られたポリフェニレンスルフィド樹脂製のシートを裁断機により10cm×10cmに切り出して耐圧容器に封入し、この耐圧容器に超臨界二酸化炭素を流入させて40℃、8.0MPa、12時間の条件で静置し、シートに二酸化炭素を含浸させた。シートに二酸化炭素を含浸させたら、シートを80℃の金型(隙間間隔:1.0mm、サイズ:20cm×30cm)内にセットして1分間加熱し、ポリフェニレンスルフィド樹脂製の発泡シートを製造した。
工程2
工程1で得られたポリフェニレンスルフィド樹脂製の発泡シートを耐圧容器内に封入して超臨界二酸化炭素を流入し、40℃、8.0MPa、12時間の条件で静置して発泡シートに二酸化炭素を含浸させた。発泡シートに二酸化炭素を含浸させたら、この発泡シートを80℃の金型(隙間間隔:1.0mm、サイズ:20cm×30cm)内にセットして1分間加熱し、ポリフェニレンスルフィド樹脂製の発泡シートを加熱発泡させた。
工程1で得られたポリフェニレンスルフィド樹脂製の発泡シートを耐圧容器内に封入して超臨界二酸化炭素を流入し、40℃、8.0MPa、12時間の条件で静置して発泡シートに二酸化炭素を含浸させた。発泡シートに二酸化炭素を含浸させたら、この発泡シートを80℃の金型(隙間間隔:1.0mm、サイズ:20cm×30cm)内にセットして1分間加熱し、ポリフェニレンスルフィド樹脂製の発泡シートを加熱発泡させた。
工程3
工程2の操作を再度繰り返して発泡シートを製造した。得られた発泡シートを確認したところ、皺や膨れ等による変形は認められなかった。
工程4
工程3で得られたポリフェニレンスルフィド樹脂製の発泡シートを140℃の金型(隙間間隔:1.0mm、サイズ:20cm×30cm)内に投入して5分間加熱し、結晶化処理を施して発泡体を製造した。発泡体を製造したら、この発泡体の密度を測定して発泡倍率、平均気泡、及び気泡密度を求め、結晶化度、熱伝導率、誘電率、及びハンダ耐熱性を測定した。発泡体の密度は、0.36g/cm3であった。
工程2の操作を再度繰り返して発泡シートを製造した。得られた発泡シートを確認したところ、皺や膨れ等による変形は認められなかった。
工程4
工程3で得られたポリフェニレンスルフィド樹脂製の発泡シートを140℃の金型(隙間間隔:1.0mm、サイズ:20cm×30cm)内に投入して5分間加熱し、結晶化処理を施して発泡体を製造した。発泡体を製造したら、この発泡体の密度を測定して発泡倍率、平均気泡、及び気泡密度を求め、結晶化度、熱伝導率、誘電率、及びハンダ耐熱性を測定した。発泡体の密度は、0.36g/cm3であった。
実施例3
工程1
先ず、樹脂温度310℃、剪断速度1216/secにおける溶融粘度が130Pa・secのポリフェニレンスルフィド樹脂(ポリプラスチック社製フォートロン W−214A)を、実施例1と同様の単軸押出機に供給して310℃で溶融混練し、310℃に加熱したT-ダイから押し出して表面温度が70℃に保持された冷却ロールで冷却固化し、幅300mm、厚み0.3mmのポリフェニレンスルフィド樹脂製のシートをシーティングした。
工程1
先ず、樹脂温度310℃、剪断速度1216/secにおける溶融粘度が130Pa・secのポリフェニレンスルフィド樹脂(ポリプラスチック社製フォートロン W−214A)を、実施例1と同様の単軸押出機に供給して310℃で溶融混練し、310℃に加熱したT-ダイから押し出して表面温度が70℃に保持された冷却ロールで冷却固化し、幅300mm、厚み0.3mmのポリフェニレンスルフィド樹脂製のシートをシーティングした。
こうしてシートをシーティングしたら、シートの密度、貯蔵弾性率、結晶化度、ガラス転移点をそれぞれ測定し、密度、結晶化度、ガラス転移点の測定結果を表1にまとめた。
工程2
工程1で作製したシートを裁断機により長さ1m、幅100mmに裁断して通気性不織布(長さ1m、幅110mm)と重ねてロール状に巻き、この巻いたシートを、耐圧容器に封入して超臨界二酸化炭素を流入し、25℃、6.0PMa、48時間の条件で静置してシートに二酸化炭素を含浸させた。
工程1で作製したシートを裁断機により長さ1m、幅100mmに裁断して通気性不織布(長さ1m、幅110mm)と重ねてロール状に巻き、この巻いたシートを、耐圧容器に封入して超臨界二酸化炭素を流入し、25℃、6.0PMa、48時間の条件で静置してシートに二酸化炭素を含浸させた。
シートに二酸化炭素を含浸したら、シートを110℃の熱風加熱炉にセットして1分間加熱し、ポリフェニレンスルフィド樹脂製の発泡シートを製造した。得られた発泡シートを確認したところ、皺及び膨れ等の変形は認められなかった。
工程3
工程2で得られたポリフェニレンスルフィド樹脂製の発泡シートを200℃の熱風乾燥炉内に投入して5分間加熱し、結晶化処理を施して発泡体を製造した。得られた発泡体の密度を測定して発泡倍率、平均気泡、及び気泡密度を求め、結晶化度、熱伝導率、誘電率、及びハンダ耐熱性を測定した。この発泡体の密度は、0.48g/cm3であった。
工程2で得られたポリフェニレンスルフィド樹脂製の発泡シートを200℃の熱風乾燥炉内に投入して5分間加熱し、結晶化処理を施して発泡体を製造した。得られた発泡体の密度を測定して発泡倍率、平均気泡、及び気泡密度を求め、結晶化度、熱伝導率、誘電率、及びハンダ耐熱性を測定した。この発泡体の密度は、0.48g/cm3であった。
比較例1
樹脂温度310℃、剪断速度1216/secにおける溶融粘度が30Pa・secのポリフェニレンスルフィド樹脂(ポリプラスチック社製フォートロン W−203)を実施例1と同様の単軸押出機に供給して320℃で溶融混練し、320℃に加熱したT-ダイから表面温度が30℃に保持された冷却ロール上に押し出したが、押し出し成形物はネックインが著しく大きいため、ポリフェニレンスルフィド樹脂シートを成形することができなかった。
樹脂温度310℃、剪断速度1216/secにおける溶融粘度が30Pa・secのポリフェニレンスルフィド樹脂(ポリプラスチック社製フォートロン W−203)を実施例1と同様の単軸押出機に供給して320℃で溶融混練し、320℃に加熱したT-ダイから表面温度が30℃に保持された冷却ロール上に押し出したが、押し出し成形物はネックインが著しく大きいため、ポリフェニレンスルフィド樹脂シートを成形することができなかった。
比較例2
樹脂温度310℃、剪断速度1216/secにおける溶融粘度が2200Pa・secのポリフェニレンスルフィド樹脂を上記単軸押出機に供給して360℃で溶融混練し、360℃に加熱したT-ダイより押し出そうと試みたが、ポリフェニレンスルフィド樹脂の溶融粘度が高いため、必要な吐出量が得られず、ポリフェニレンスルフィド樹脂シートを作製することができなかった。
樹脂温度310℃、剪断速度1216/secにおける溶融粘度が2200Pa・secのポリフェニレンスルフィド樹脂を上記単軸押出機に供給して360℃で溶融混練し、360℃に加熱したT-ダイより押し出そうと試みたが、ポリフェニレンスルフィド樹脂の溶融粘度が高いため、必要な吐出量が得られず、ポリフェニレンスルフィド樹脂シートを作製することができなかった。
比較例3
実施例1で得られたポリフェニレンスルフィド樹脂製のシートを裁断機により10cm×10cmに切り出して耐圧容器に封入し、超臨界二酸化炭素を流入して40℃、15PMa、24時間の条件で静置し、ポリフェニレンスルフィド樹脂製のシートに二酸化炭素を含浸させた。こうしてシートに二酸化炭素を含浸させたら、シートを65℃の金型(隙間間隔:1.0mm、サイズ:20cm×30cm)内にセットして1分間加熱し、ポリフェニレンスルフィド樹脂製の発泡シートを製造しようとした。
実施例1で得られたポリフェニレンスルフィド樹脂製のシートを裁断機により10cm×10cmに切り出して耐圧容器に封入し、超臨界二酸化炭素を流入して40℃、15PMa、24時間の条件で静置し、ポリフェニレンスルフィド樹脂製のシートに二酸化炭素を含浸させた。こうしてシートに二酸化炭素を含浸させたら、シートを65℃の金型(隙間間隔:1.0mm、サイズ:20cm×30cm)内にセットして1分間加熱し、ポリフェニレンスルフィド樹脂製の発泡シートを製造しようとした。
得られたポリフェニレンスルフィド樹脂の密度は1.32g/cm3、発泡倍率は1.0倍であり、発泡シートを得ることができなかった。
比較例4
実施例1の工程で得られたポリフェニレンスルフィド樹脂製のシートを裁断機により10cm×10cmに切り出して耐圧容器に封入し、超臨界二酸化炭素を流入させて40℃、15PMa、24時間の条件で静置し、シートに二酸化炭素を含浸させた。
二酸化炭素を含浸させたシートを140℃の金型(隙間間隔:1.0mm、サイズ:20cm×30cm)内に投入して1分間加熱し、ポリフェニレンスルフィド樹脂製の発泡体を製造した。得られたポリフェニレンスルフィド樹脂製の発泡体を観察したところ、無数の皺の発生が認められた。
実施例1の工程で得られたポリフェニレンスルフィド樹脂製のシートを裁断機により10cm×10cmに切り出して耐圧容器に封入し、超臨界二酸化炭素を流入させて40℃、15PMa、24時間の条件で静置し、シートに二酸化炭素を含浸させた。
二酸化炭素を含浸させたシートを140℃の金型(隙間間隔:1.0mm、サイズ:20cm×30cm)内に投入して1分間加熱し、ポリフェニレンスルフィド樹脂製の発泡体を製造した。得られたポリフェニレンスルフィド樹脂製の発泡体を観察したところ、無数の皺の発生が認められた。
比較例5
工程1
樹脂温度310℃、剪断速度1216/secにおける溶融粘度が900Pa・secのポリフェニレンスルフィド樹脂(ポリプラスチック社製フォートロン W−540)を上記単軸押出機に供給して320℃で溶融混練し、320℃に加熱したT-ダイから押し出して表面温度が150℃に保持されたロールで加熱固化し、幅が300mm、厚みが0.5mmのポリフェニレンスルフィド樹脂製のシートを作製した。
工程1
樹脂温度310℃、剪断速度1216/secにおける溶融粘度が900Pa・secのポリフェニレンスルフィド樹脂(ポリプラスチック社製フォートロン W−540)を上記単軸押出機に供給して320℃で溶融混練し、320℃に加熱したT-ダイから押し出して表面温度が150℃に保持されたロールで加熱固化し、幅が300mm、厚みが0.5mmのポリフェニレンスルフィド樹脂製のシートを作製した。
作製したシートの密度、貯蔵弾性率、結晶化度、ガラス転移点を測定して密度、結晶化度、ガラス転移点の測定結果を表2にまとめた。
工程2
工程1で作製したポリフェニレンスルフィド樹脂製のシートを裁断機により10cm×10cmに切り出して耐圧容器に封入し、超臨界二酸化炭素を流入して40℃、10PMa、24時間の条件で静置し、シートに二酸化炭素を含浸させた。シートに二酸化炭素を含浸させたら、このシートを110℃の金型(隙間間隔:1.0mm、サイズ:20cm×30cm)内にセットして1分間加熱し、発泡体を製造しようとした。
しかしながら、成形品の密度は1.34g/cm3、発泡倍率1.0倍で、発泡体を得ることができなかった。
工程1で作製したポリフェニレンスルフィド樹脂製のシートを裁断機により10cm×10cmに切り出して耐圧容器に封入し、超臨界二酸化炭素を流入して40℃、10PMa、24時間の条件で静置し、シートに二酸化炭素を含浸させた。シートに二酸化炭素を含浸させたら、このシートを110℃の金型(隙間間隔:1.0mm、サイズ:20cm×30cm)内にセットして1分間加熱し、発泡体を製造しようとした。
しかしながら、成形品の密度は1.34g/cm3、発泡倍率1.0倍で、発泡体を得ることができなかった。
結 果
実施例1、3で使用したポリフェニレンスルフィド樹脂を使用した場合には、溶融押出成形によるシートの作製が可能であった。これに対し、比較例1、2で使用したポリフェニレンスルフィド樹脂を使用した場合には、溶融押出成形によりポリフェニレンスルフィド樹脂製のシートを成形することができなかった。
また、実施例1、2、3で得られたポリフェニレンスルフィド樹脂製の発泡体は、皺や膨れよる変形が認められず、しかも、優れた耐熱性、低熱伝導率、低誘電率を確認した。
実施例1、3で使用したポリフェニレンスルフィド樹脂を使用した場合には、溶融押出成形によるシートの作製が可能であった。これに対し、比較例1、2で使用したポリフェニレンスルフィド樹脂を使用した場合には、溶融押出成形によりポリフェニレンスルフィド樹脂製のシートを成形することができなかった。
また、実施例1、2、3で得られたポリフェニレンスルフィド樹脂製の発泡体は、皺や膨れよる変形が認められず、しかも、優れた耐熱性、低熱伝導率、低誘電率を確認した。
1 押出機
2 ダイ
3 シート
4 冷却ロール
2 ダイ
3 シート
4 冷却ロール
Claims (4)
- ポリフェニレンスルフィド樹脂を用いて発泡体を製造する発泡体の製造方法であって、
ポリフェニレンスルフィド樹脂を押出加工によりシートにシーティングする工程と、シーティングされたシートに不活性ガスを加圧下で含浸し、その後、加圧圧力を開放する工程と、不活性ガスの含浸したシートを加熱発泡して発泡シートを製造する工程と、製造された発泡シートをガラス転移点以上の温度で加熱する工程とを含んでなることを特徴とする発泡体の製造方法。 - ポリフェニレンスルフィド樹脂の50%以上を架橋型あるいは分岐型とする請求項1記載の発泡体の製造方法。
- シートの加熱発泡温度をガラス転移点±20℃とする請求項1又は2記載の発泡体の製造方法。
- 請求項1ないし3いずれかに記載の発泡体の製造方法により製造されたことを特徴とする発泡体。
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