JP7262460B2 - シーラントシート - Google Patents

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Description

本発明は、シート形状のシーラント、すなわちシーラントシートに関する。本出願は、2018年6月26日に出願された日本国特許出願2018-120612号に基づく優先権を主張しており、その出願の全内容は本明細書中に参照として組み入れられている。
液状ポリサルファイドポリマーは、分子内に-S-S-結合を含むことから、これを硬化させることにより、ジェット燃料や作動油などの油に対する耐性(耐油性)に優れたゴム状の硬化物を形成し得る。このため、液状ポリサルファイドポリマーは、例えば航空機などに用いられるシーラントの原料として利用されている。液状ポリサルファイドポリマーに関する技術文献として特許文献1~3が挙げられる。なお、特許文献4、5は、航空シーラントや航空宇宙シーラントに関するが、ポリサルファイドベースのシーラントに関するものではない。特許文献6はポリサルファイド系の粘着テープに関する技術文献である。
日本国特許第4227787号公報 日本国特許第3442860号公報 日本国特許出願公開2013-119519号公報 日本国特許出願公表2006-526693号公報 日本国特許出願公表2008-530270号公報 日本国特許出願公開2017-145276号公報
液状ポリサルファイドポリマーを用いたシーラントの施工は、一般に、液状ポリサルファイドポリマーを含むA液と該ポリサルファイドポリマーの硬化剤を含むB液とを施工の直前に混ぜ合わせて液状のシーラントを調製し、その液状シーラントを対象物に塗布した後、該対象物上で液状シーラントを硬化させることにより行われる。上記硬化剤としては、室温において硬化反応を容易に進行させ得ることから、重クロム酸などの強酸化剤が用いられることが多い。
しかし、このような液状シーラントは、液状であるがゆえに、対象物の所望の範囲に所望の厚さで精度よく塗布することが難しい。このため、熟練作業者といえども液状シーラントの塗布作業に要する時間の短縮には限界がある。また、作業者の育成や確保の困難性に起因する製造コストの上昇、生産性の低下、シーリング品質の低下なども懸念される。
かかる事情に鑑みて、本発明は、ポリサルファイド系シーラントの施工性を改善することを目的とする。
上記目的を達成するために、この明細書によると、シート形状に成形されたシーラントシートが提供される。上記シーラントシートは、一分子中に2以上のエポキシ基を有するエポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)と、一分子中に2以上のチオール基を有するチオール化合物(C)と、を含む。上記シーラントシートは、該シーラントシートに含まれる有機成分における硫黄原子の重量分率(以下、「硫黄含有率」ともいう。)が32.0%以上36.0%以下であることが好ましい。
上記シーラントシートは、あらかじめシート形状に成形されているので取扱い性がよく、所望の箇所に容易に配置することができる。また、上記シーラントシートは、所望の箇所に配置された状態で、エポキシ基とチオール基との反応により硬化させてその強度(例えば破断強度)を向上させることができる。こうして形成されたシーラント硬化物は、ポリサルファイド構造の寄与による優れた耐油性を発揮するものとなり得る。また、使用するシーラントシートの厚さによって硬化物の厚さを制御することができるので、液状シーラントの塗布時のように施工時に塗布厚を調節する必要はない。したがって、上記シーラントシートによると、ポリサルファイド系シーラントを簡単に精度よく施工することができる。また、ここに開示されるシーラントシートは、硫黄含有率が上記範囲にあることにより、優れた耐油性と高い強度とを兼ね備えた硬化物を形成し得る。
上記エポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)は、ジサルファイド構造とチオール基とを一分子中に有するチオール基含有ポリサルファイド(a)と、一分子中に2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物(b)との反応物であり得る。ここに開示されるシーラントシートは、かかるエポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)を用いて好ましく実現することができる。
上記チオール基含有ポリサルファイド(a)の重量平均分子量(Mw)は、2500より大きく7000未満であることが好ましい。上記Mwを有するチオール基含有ポリサルファイド(a)によると、高性能な硬化物を与えるシーラントシートが得られやすい。
いくつかの態様において、上記エポキシ化合物(b)は、一分子中に2つのエポキシ基を有する2官能エポキシ化合物と、一分子中に3以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物とを含み得る。2官能エポキシ化合物と多官能エポキシ化合物とを組み合わせて使用することにより、ここに開示されるシーラントシートを好適に実現し得る。
上記2官能エポキシ化合物としては、分子量が600以下のものを好ましく採用し得る。このような2官能エポキシ化合物によると、エポキシ化合物(b)の使用による硫黄含有率の低下を抑えつつ、シーラント硬化物の強度を高めることができる。
いくつかの態様に係るシーラントシートは、上記チオール化合物(C)として、一分子に2つのチオール基を有する2官能チオール化合物を含み得る。チオール化合物(C)として2官能チオール化合物を含むシーラントシートによると、強度と伸びとをバランスよく両立する硬化物が形成される傾向にある。
いくつかの態様に係るシーラントシートは、さらに光塩基発生剤(D)を含む。かかる態様のシーラントシートは、光照射により上記光塩基発生剤(D)から塩基を発生させることにより、エポキシ基とチオール基とのアニオン付加反応を促進することができる。
ここに開示されるシーラントシートには、フィラーを含有させることができる。フィラーの使用により、シーラント硬化物の強度および伸びの一方または両方を改善し得る。上記フィラーの含有量は、例えば、上記シーラントシート全体の10重量%以上40重量%未満程度とすることができる。
上記シーラントシートは、25℃における貯蔵弾性率が0.005MPa以上0.8MPa以下であることが好ましい。貯蔵弾性率がこの範囲にあるシーラントシートは、対象物に対する密着性とシート形状の維持性とを好適にバランスさせやすい。
使用前(すなわち、所望の箇所への配置前)のシーラントシートは、該シーラントシートと、その少なくとも一方の表面に当接する剥離面を有する剥離ライナーと、を含む、剥離ライナー付きシーラントシートの形態であり得る。かかる形態のシーラントシートは、該シーラントシートの保存、運搬、加工、所望の箇所への配置等の際における取扱い性などの観点から好ましい。
なお、上述した各要素を適宜組み合わせたものも、本件特許出願によって特許による保護を求める発明の範囲に含まれ得る。
図1は、シーラントシートの一構成例を模式的に示す断面図である。 図2は、シーラントシートの他の一構成例を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、本明細書に記載された発明の実施についての教示と出願時の技術常識とに基づいて当業者に理解され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明することがあり、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、図面に記載の実施形態は、本発明を明瞭に説明するために模式化されており、実際に提供される製品のサイズや縮尺を必ずしも正確に表したものではない。
<シーラントシート>
ここに開示されるシーラントシートは、あらかじめシート形状に成形されており、かかるシート形状の形態でシール対象箇所に配置することができる。この点で、上記シーラントシートは、液状の形態でシール対象箇所に塗布される液状シーラント(例えば、液状ポリサルファイドポリマーと含むA液と該ポリサルファイドポリマーの硬化剤を含むB液とを施工の直前に混ぜ合わせて調製される液状のシーラント)とは明確に区別される。また、ここに開示されるシーラントシートは、エポキシ基とチオール基との付加反応を利用して硬化させることができる。かかる硬化性を有する点において、ここに開示されるシーラントシートは、硬化後のシーラント(シーラント硬化物)とは明確に区別される。ここに開示されるシーラントシートは、シール対象箇所への配置後にさらに硬化させることが可能な、半硬化状態のシーラントシートとして把握され得る。
ここに開示されるシーラントシートの構成例を図1,2に示す。
図1に示すシーラントシート21は、その一方の表面(第一面)21Aおよび他方の表面(第二面)21Bの各々が、少なくともシーラントシート21側が剥離面となっている剥離ライナー31,32によってそれぞれ保護されている。このような形態のシーラントシート21は、シーラントシート21と剥離ライナー31,32とを含む剥離ライナー付きシーラントシート100の構成要素として把握され得る。
図2に示すシーラントシート21は、その一方の表面21Aが、両面が剥離面となっている剥離ライナー31によって保護された構成を有し、これを巻回すると、シーラントシート21の他方の表面21Bが剥離ライナー31の背面に当接することにより、表面21Bもまた剥離ライナー31で保護された構成とできるようになっている。このような形態のシーラントシート21は、シーラントシート21と剥離ライナー31とを含む剥離ライナー付きシーラントシート200の構成要素として把握され得る。
(硫黄含有率)
ここに開示されるシーラントシートは、該シーラントシートに含まれる有機成分における硫黄原子の重量分率(すなわち、硫黄含有率)が32.0%以上であることが好ましい。ここで、上記硫黄含有率には、シーラントシートの有機成分に占めるポリサルファイド構造の重量割合が反映される。より具体的には、耐油性に寄与するポリサルファイド構造の重量割合が高くなると、上記硫黄含有率は上昇する。ここに開示されるシーラントシートは、ポリサルファイドポリマー(AB)とチオール化合物(C)とを含み、かつ上記硫黄含有率が32.0%以上であることにより、優れた耐油性を示す硬化物を形成し得る。より高い耐油性を発揮しやすくする観点から、いくつかの態様において、上記硫黄含有率は、例えば32.5%以上であってよく、33.0%以上でもよく、33.5%超でもよく、34.0%超でもよく、34.5%超でもよい。上記硫黄含有率の上限は特に制限されないが、耐油性と強度とをバランスよく両立する観点から、36.0%以下であることが好ましい。ここに開示されるシーラントシートは、上記硫黄含有率が35.5%以下または35.0%以下である態様でも実施され得る。
なお、上記硫黄含有率は、燃焼イオンクロマトグラフィー法を用いて、具体的には後述の実施例に記載の方法で測定される。また、シーラントシートの硫黄含有率は、通常、該シーラントシートの硬化物の硫黄含有率と実質的に同一である。したがって、硬化物の硫黄含有率からシーラントシートの硫黄含有率を見積もることができる。
(貯蔵弾性率)
ここに開示されるシーラントシートは、室温(例えば25℃程度)でシート形状を安定して維持し得る程度の保形性を有することが好ましい。上記保形性は、流動などの塑性変形に対する抵抗性としても把握され得る。上記シーラントシートの25℃における貯蔵弾性率(以下、単に「貯蔵弾性率」ともいう。)は、例えば0.005MPa超であってよく、0.01MPa超であることが好ましい。シーラントシートの貯蔵弾性率が高くなると、該シーラントシートの取扱い性や加工性(例えば、切断性、ブロッキング防止性、リワーク性など)が向上する傾向にある。いくつかの態様において、シーラントシートの貯蔵弾性率は、例えば0.05MPa以上であってよく、0.1MPa以上でもよく、0.2MPa以上でもよい。貯蔵弾性率の上限は特に制限されない。いくつかの態様において、シーラントシートの貯蔵弾性率は、例えば2MPa以下であってよく、1MPa以下でもよく、0.8MPa以下でもよく、0.6MPa以下でもよく、0.5MPa以下でもよく、0.4MPa以下でもよく、0.3MPa以下でもよい。シーラントシートの貯蔵弾性率が低くなると、シール対象箇所の表面形状への追従性が向上する傾向にある。
なお、上記貯蔵弾性率は、周波数1Hz、歪み0.5%の条件で、粘弾性試験機を用いて測定される。粘弾性試験機としては、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製の機種名「ARES G2」またはその同等品を用いることができる。貯蔵弾性率は、より詳しくは、後述する実施例に記載の方法で測定される。
また、この明細書において、シーラントシートの貯蔵弾性率とは、特記しない場合、硬化前のシーラントシートの貯蔵弾性率を意味し、硬化後のシーラントシート(シーラント硬化物)の貯蔵弾性率とは区別される。本明細書において、シーラントシートの貯蔵弾性率とは、典型的には、該シーラントシートの使用前、すなわち貼付け等によってシール対象箇所に配置される前における貯蔵弾性率を意味する。
(厚さ)
シーラントシートの厚さは特に限定されず、目的とするシーラント硬化物の厚さに応じて選択され得る。シールの信頼性等の観点から、いくつかの態様において、シーラントシートの厚さは、例えば0.01mm以上であってよく、0.03mm以上でもよく、0.05mm以上でもよく、0.1mm以上でもよく、0.15mm以上でもよい。ここに開示されるシーラントシートは、厚さが例えば0.3mm超、0.5mm超、1mm超または1.5mm超である態様でも好適に実施され得る。また、いくつかの態様において、シーラントシートの厚さは、例えば10mm以下であってよく、5mm以下でもよく、3mm以下でもよく、2mm以下でもよく、1mm以下でもよく、0.5mm以下でもよく、0.3mm以下でもよい。シーラントシートの厚さが小さくなると、光硬化性は向上する傾向にある。シーラントシートの厚さを小さくすることは、シール対象箇所の表面形状への追従性や軽量化などの観点から有利となり得る。
<エポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)>
ここに開示されるシーラントシートは、ポリサルファイドポリマー(A)を含む。ポリサルファイドポリマー(A)は、-S-S-で表されるジサルファイド構造を含む繰返し単位を有するポリマーであって、該シーラントシートから形成される硬化物の耐油性向上に寄与する。ここに開示されるシーラントシートは、上記ポリサルファイドポリマー(A)として、一分子中に2以上のエポキシ基を有するエポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)(以下、単に「ポリサルファイドポリマー(AB)」と表記することがある。)を含む。
一分子のポリサルファイドポリマー(AB)に含まれるジサルファイド構造の数は、1個でもよく、2個以上でもよい。硬化物の耐油性の観点から、一分子当たり平均3個以上のジサルファイド構造を含むポリサルファイドポリマー(AB)を好ましく採用し得る。ポリサルファイドポリマー(AB)の一分子当たりのジサルファイド構造の数の平均値(以下、平均ジサルファイド基数ともいう。)は、例えば5以上であってよく、10以上でもよく、15以上でもよく、20以上でもよい。平均ジサルファイド基数の上限は特に制限されないが、シーラントシートの製造容易性(例えば、シート形状への成形容易性)等の観点から、例えば100以下であってよく、70以下でもよく、50以下でもよい。
ジサルファイド構造は、ポリサルファイドポリマー(AB)の主鎖中に含まれていることが好ましい。主鎖中にジサルファイド構造を含むことにより、伸びのよい硬化物が形成される傾向にある。
いくつかの態様において、ポリサルファイドポリマー(AB)は、以下の一般式(1)で表される繰返し単位を含むことが好ましい。
-R-O-R-O-R-S-S- (1)
ここで、一般式(1)中、R、R、Rは、それぞれ独立に、炭素原子数1~4のアルキレン基であり、好ましくは炭素原子数1~3のアルキレン基であり、より好ましくは炭素原子数1~2のアルキレン基である。上記繰返し単位(1)は、エーテル構造とジスルフィド構造とが連なった構成を有する。このような繰返し単位(1)を有するポリサルファイドポリマー(AB)によると、耐油性および柔軟性に優れた硬化物が形成される傾向にある。一分子のポリサルファイドポリマー(AB)に含まれる上記繰返し単位(1)の数の平均値は、例えば5以上であってよく、10以上でもよく、15以上でもよく、20以上でもよい。また、上記平均値は、例えば100以下であってよく、70以下でもよく、50以下でもよい。上記ポリサルファイドポリマー(AB)は、一分子中に、上記繰返し単位(1)が連続する領域を、1つのみ有していてもよく、2つ以上有していてもよい。
ポリサルファイドポリマー(AB)の一分子当たりのエポキシ基の数の平均値(以下、平均エポキシ基数ともいう。)は、例えば2以上20以下程度であり得る。硬化物の柔軟性の観点から、上記平均エポキシ基数は、例えば15以下であってよく、10以下でもよく、7以下でもよく、5以下でもよい。いくつかの態様において、上記平均エポキシ基数は、4以下でもよく、3以下でもよい。また、上記平均エポキシ基数は、典型的には2以上であり、硬化性や硬化物の強度の観点から2超でもよく、2.5以上でもよい。いくつかの態様において、上記平均エポキシ基数は、例えば3以上であってよく、4以上でもよい。
ポリサルファイドポリマー(AB)に含まれるエポキシ基は、該ポリサルファイドポリマー(AB)の末端に配置されていることが好ましい。このようなポリサルファイドポリマー(AB)によると、伸びのよい硬化物が形成される傾向にある。ここに開示されるシーラントシートは、主鎖の片末端に2以上のエポキシ基を有するエポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)を含んでいてもよく、主鎖の両末端にそれぞれ1または2以上のエポキシ基を有するポリサルファイドポリマー(AB)を含んでいてもよく、これらの両方を含んでいてもよい。主鎖の片末端にエポキシ基を有するポリサルファイドポリマー(AB)は、エポキシ基を有する末端とは異なる末端に、エポキシ基以外の官能基を有していてもよい。上記エポキシ基以外の官能基は、例えば、チオール基、アミノ基、水酸基等であり得る。ここに開示されるシーラントシートは、少なくとも、主鎖の両末端にエポキシ基を有するポリサルファイドポリマー(AB)を含むことが好ましい。かかる構造のポリサルファイドポリマー(AB)を含むことにより、強度と伸びとをバランスよく両立する硬化物が形成される傾向にある。例えば、主鎖の両末端にそれぞれ1つのエポキシ基を有するポリサルファイドポリマー(AB)を好ましく採用し得る。
いくつかの態様において、ポリサルファイドポリマー(AB)は、以下の一般式(2a)で表される構造および一般式(2b)で表される構造の少なくとも一方を含み得る。
-CH-S-CHCHOH-R’ (2a)
-CH-S-CH(CHOH)-R’ (2b)
ここで、一般式(2a),(2b)中のR’は、少なくとも1個(例えば1個~5個程度)のエポキシ基を有する有機基である。一般式(2a)および(2b)の構造は、例えば、-CH-SHで表される構造部分を有するチオールと、エポキシ環上に置換基R’を有するエポキシ化合物と、のアニオン付加反応により形成され得る。一般式(2a)または(2b)で表される構造の数(一般式(2a)で表される構造と一般式(2b)で表される構造との両方を含む場合は、それらの合計数)は、ポリサルファイドポリマー(AB)の一分子当たりの平均値として、例えば1.1以上であってよく、1.3以上でもよく、1.5以上でもよく、1.8以上でもよく、2.0以上でもよく、2.0超でもよい。また、上記平均値は、例えば15以下であってよく、10以下でもよく、7.0以下でもよく、5.0以下でもよい。
ここに開示されるシーラントシートのいくつかの態様において、エポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)は、ジサルファイド構造とチオール基とを一分子中に有するチオール基含有ポリサルファイド(a)と、一分子中に2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物(b)との反応物またはその変性物であり得る。例えば、上記チオール基含有ポリサルファイド(a)と上記エポキシ化合物(b)とを、エポキシ基の量が過剰となるように反応させることによって、エポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)を得ることができる。
(チオール基含有ポリサルファイド(a))
ポリサルファイドポリマー(AB)の前駆体としてのチオール基含有ポリサルファイド(a)の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されず、例えば500以上であってよく、800以上でもよく、1000以上でもよく、1000超でもよく、2000超でもよい。よりMwの高いチオール基含有ポリサルファイド(a)によると、エポキシ化合物(b)の使用量が比較的少なくてもシート形状を形成しやすい。エポキシ化合物(b)の使用量を減らし得ることは、硫黄含有率を高めて耐油性を向上させる観点から好ましい。かかる観点から、いくつかの態様において、チオール基含有ポリサルファイド(a)のMwは、2500超であることが好ましく、3000超でもよく、3500超でもよい。また、チオール基含有ポリサルファイド(a)のMwは、例えば30000以下であってよく、10000以下でもよい。ハンドリング性や上記エポキシ化合物(b)との反応性の観点から、いくつかの態様において、チオール基含有ポリサルファイド(a)のMwは、例えば9000未満であってよく、8000未満でもよく、7500未満でもよい。硬化物の強度向上の観点から、いくつかの態様において、チオール基含有ポリサルファイド(a)のMwは、7000未満であることが好ましく、6500未満でもよく、6000以下でもよく、5000以下でもよく、4500以下でもよい。
なお、本明細書において、エポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)やチオール基含有ポリサルファイド(a)等のポリマーのMwは、テトラヒドロフラン(THF)を移動相とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリエチレングリコール換算して求めることができる。あるいは、カタログや文献等に記載された公称値を用いてもよい。
上記チオール基含有ポリサルファイド(a)は、上記ジサルファイド構造を、主鎖中に含むことが好ましい。主鎖中にジサルファイド構造を含むチオール基含有ポリサルファイド(a)と一分子中に2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物との反応物またはその変性物であるポリサルファイドポリマー(AB)を含むシーラントシートによると、伸びのよい硬化物が形成される傾向にある。一分子のチオール基含有ポリサルファイド(a)に含まれるジサルファイド構造の数は、使用するチオール基含有ポリサルファイド(a)全体の平均値(平均ジサルファイド基数)として、例えば3以上であってよく、5以上でもよく、10以上でもよく、15以上でもよく、20以上でもよい。平均ジサルファイド基数の上限は特に制限されないが、シーラントシートの製造容易性(例えば、シート形状への成形容易性)等の観点から、例えば100以下であってよく、70以下でもよく、50以下でもよい。
ポリサルファイドポリマー(AB)の前駆体としての上記チオール基含有ポリサルファイド(a)に含まれるチオール基の数は、該チオール基含有ポリサルファイド(a)一分子当たり、1個であってもよく、2個以上であってもよい。硬化物の強度向上や硬化時間短縮に適したシーラントシートを実現しやすくする観点から、一分子中に含まれるチオール基の数の平均値が1より多いチオール基含有ポリサルファイド(a)が好ましい。使用するチオール基含有ポリサルファイド(a)一分子当たりのチオール基の数の平均値(平均チオール基数)は、例えば1.1以上であってよく、1.3以上でもよく、1.5以上でもよく、1.8以上でもよく、2以上でもよく、2超でもよい。平均チオール基数の上限は特に制限されないが、硬化物の柔軟性の観点から、例えば15以下であってよく、10以下でもよく、7以下でもよく、5以下でもよい。なお、平均チオール基数が2以上であるポリサルファイドは、一分子中に2以上のチオール基を有するチオール化合物(C)としても把握され得る。
上記チオール基は、チオール基含有ポリサルファイド(a)の末端に配置されていることが好ましい。このようなチオール基含有ポリサルファイド(a)を、一分子中に2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と反応させることにより、末端にエポキシ基を有するエポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)を好適に形成することができる。使用されるチオール基含有ポリサルファイド(a)は、主鎖の片末端にチオール基を有するものであってもよく、主鎖の両末端にチオール基を有するものであってもよく、主鎖の末端以外の箇所にさらにチオール基を有するものであってもよく、これらの任意の組合せの混合物であってもよい。主鎖の両末端にチオール基を有するチオール基含有ポリサルファイド、すなわち両末端チオールポリサルファイドの使用が特に好ましい。両末端チオールポリサルファイドを用いて合成されたポリサルファイドポリマー(AB)を含むシーラントシートによると、強度と伸びとをバランスよく両立する硬化物が形成される傾向にある。いくつかの態様において、使用されるチオール基含有ポリサルファイド全体のうち、両末端チオールポリサルファイドの割合は、重量基準で、例えば50%超であってよく、70%超でもよく、90%超でもよく、95%超でもよく、98%超でもよく、実質的に100%でもよい。
両末端チオールポリサルファイドは、好ましくは、以下の一般式(3)で表される。
HS-(R-O-R-O-R-S-S)-R-O-R-O-R-SH (3)
一般式(3)中、R、R、Rは、それぞれ独立に、炭素原子数1~4のアルキレン基であり、好ましくは炭素原子数1~3のアルキレン基であり、より好ましくは炭素原子数1~2のアルキレン基である。一般式(3)中のnは、一般式(3)の化合物の式量が、例えば500以上10000以下、または800以上9000未満、または1000以上8000未満、または1000を超えて8000未満、または2000を超えて7500未満の範囲となるように選択された整数であり得る。
いくつかの態様において、一般式(3)で表される化合物としては、例えば、RがCであり、RがCHであり、RがCであるチオール基含有ポリサルファイドを好ましく採用し得る。この態様において、一般式(3)中のnは、例えば3~70であってよく、5~60でもよく、7~50でもよく、10~50でもよい。
(エポキシ化合物(b))
ポリサルファイドポリマー(AB)の調製に用いられるエポキシ化合物(b)は、一分子中に2個のエポキシ基を有する2官能エポキシ化合物であってもよく、一分子中に3個以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物であってもよい。エポキシ化合物(b)は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。チオール基含有ポリサルファイド(a)と反応させる際の操作性等の観点から、いくつかの態様において、常温で液状のエポキシ化合物を好ましく使用し得る。
2官能エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(すなわち、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の芳香環が水素添加によりシクロアルキル環に変換された構造に相当するエポキシ化合物)、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、脂肪族型エポキシ樹脂(例えば、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂等)、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、等が挙げられるが、これらに限定されない。
多官能エポキシ化合物としては、ノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、グリセリン型エポキシ樹脂、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、等が挙げられるが、これらに限定されない。一分子の多官能エポキシ化合物に含まれるエポキシ基の数は、少なくとも3以上であり、4以上でもよく、5以上でもよい。また、一分子の多官能エポキシ化合物に含まれるエポキシ基の数は、通常、10以下が適当であり、8以下でもよく、6以下でもよい。
いくつかの態様において、エポキシ化合物(b)として2官能エポキシ化合物を好ましく用いることができる。2官能エポキシ化合物の使用は、好適な伸びを示す硬化物を与えるシーラントシートを得るために有利となり得る。2官能エポキシ化合物は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
エポキシ化合物(b)として2官能エポキシ化合物を使用する場合、該2官能エポキシ化合物の分子量は、例えば1200以下であってよく、1000以下でもよい。硫黄含有率向上の観点から、2官能エポキシ化合物の分子量は、800以下であることが好ましく、700以下であることがより好ましく、600以下であることがさらに好ましく、550以下でもよく、500以下でもよく、450以下でもよく、400以下でもよい。また、2官能エポキシ化合物の分子量は、例えば200以上であってよく、250以上でもよく、300以上でもよい。エポキシ化合物(b)の分子量は、該化合物の化学式に基づく式量(化学式量)として求められる。あるいは、カタログや文献等に記載された公称値を用いてもよい。
いくつかの態様において、上記2官能エポキシ化合物としては、分子内に5員環以上の炭素環構造を含むエポキシ化合物を好ましく採用し得る。かかる構造の2官能エポキシ化合物を用いてなるシーラントシートによると、強度が高くかつ伸びの良い硬化物が形成される傾向にある。上記5員環以上の炭素環構造は、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、シクロヘキシル環等であり得る。かかる炭素環構造を含むエポキシ化合物の例には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等が含まれる。好ましい一態様において、上記2官能エポキシ化合物としてビスフェノールF型エポキシ樹脂を用いることができる。
エポキシ化合物(b)としては、2官能エポキシ化合物と組み合わせて、または2官能エポキシ樹脂に代えて、一種または二種以上の多官能エポキシ化合物を用いることができる。多官能エポキシ化合物の使用により、硬化物の強度を向上させ得る。2官能エポキシ化合物と多官能エポキシ化合物とを組み合わせて用いることにより、強度と伸びをより高レベルで両立する硬化物を与えるシーラントシートが実現され得る。
いくつかの態様において、上記多官能エポキシ化合物としては、エポキシ基を含む繰返し単位を有する(すなわち、ポリマー型の)多官能エポキシ化合物を用いることができ、例えばノボラック型エポキシ樹脂を好ましく採用し得る。上記ノボラック型エポキシ樹脂の例には、フェノールノボラック型エポキシ樹脂と、o-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂とが含まれる。ノボラック型エポキシ樹脂を用いることは、強度が高くかつ伸びの良い硬化物を与えるシーラントシートを得るために有利となり得る。より低分子量のノボラック型エポキシ樹脂を用いることにより、硬化物の伸びが向上する傾向にある。例えば、常温で液状のフェノールノボラック型エポキシ樹脂を好ましく採用し得る。
エポキシ化合物(b)のエポキシ当量は、例えば600g/eq以下であってよく、400g/eq以下でもよく、300g/eq以下でもよく、250g/eq以下でもよく、200g/eq以下でもよい。また、エポキシ化合物(b)のエポキシ当量は、例えば50g/eq以上であってよく、75g/eq以上でもよく、100g/eq以上でもよく、120g/eq以上でもよく、150g/eq以上でもよい。エポキシ化合物(b)を二種以上使用する場合には、各エポキシ化合物(b)のエポキシ当量と重量分率との積の総和が上記範囲にあることが好ましい。なお、エポキシ当量とは、1当量のエポキシ基を含む化合物のグラム数を意味し、JIS K7236:2001に準拠して測定することができる。あるいは、カタログや文献等に記載された公称値を用いてもよい。
エポキシ化合物(b)の平均エポキシ基数は、例えば2以上8以下程度であり得る。硬化物の柔軟性の観点から、上記平均エポキシ基数は、例えば7以下であってよく、5以下でもよく、4以下でもよく、4未満でもよい。いくつかの態様において、上記平均エポキシ基数は、3以下でもよく、2.5以下でもよい。また、硬化物の強度向上の観点から、上記平均エポキシ数は、2超でもよく、2.1以上でもよく、2.2以上でもよい。
(エポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)の合成)
チオール基含有ポリサルファイド(a)とエポキシ化合物(b)との反応にあたっては、ここに開示される技術により得られる効果を大きく損なわない範囲で、任意の適切な触媒を採用してもよい。例えば、2,4,6-トリアミノメチルフェノール、トリエチルアミン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン等の公知の塩基性触媒を適宜選択して用いることができる。
塩基性触媒を用いる場合における使用量は特に限定されず、触媒機能が適切に発揮されるように設定することができる。いくつかの態様において、塩基性触媒の使用量は、チオール基含有ポリサルファイド(a)とエポキシ化合物(b)との合計量100重量部に対して、例えば1重量部以下とすることができ、通常は0.5重量部以下とすることが適当であり、0.2重量部以下としてもよく、0.1重量部以下としてもよく、0.08重量部以下としてもよい。シーラントシートの保存性向上の観点からは、塩基性触媒の使用量は多すぎないほうが有利である。かかる観点から、上記合計量100重量部に対する塩基性触媒の使用量は、例えば0.07重量部以下とすることができ、0.05重量部以下でもよく、0.03重量部以下でもよく、0.02重量部以下でもよい。上記合計量100重量部に対する塩基性触媒の使用量の下限は特に限定されず、例えば0.001重量部以上とすることができ、0.005重量部以上としてもよい。
上記反応は、チオール基含有ポリサルファイド(a)と、エポキシ化合物(b)と、必要に応じて用いられる触媒とを、適当な反応容器内で混合することにより進行させることができる。いくつかの好ましい態様では、チオール基含有ポリサルファイド(a)と、2官能エポキシ化合物と、多官能エポキシ化合物と、触媒(例えば、塩基性触媒)とを、適当な反応容器内で混合する。各材料の反応容器への供給方法や混合順は特に限定されず、適切な反応物が形成されるように選択することができる。上記反応の条件は、ここに開示される技術により得られる効果を大きく損なわない範囲で、適切に設定することができる。いくつかの態様において、上記反応は、例えば0℃~120℃、好ましくは5℃~120℃、より好ましくは10℃~120℃の反応温度で進行させることができる。反応の制御性および反応効率を考慮して、いくつかの態様において、上記反応温度は、例えば20℃~100℃であってよく、30℃~100℃でもよく、40℃~100℃でもよく、60℃~100℃でもよい。反応時間は特に限定されず、例えば10分~720時間(好ましくは1時間~240時間)の範囲から選択し得る。
いくつかの態様において、上記反応は、例えば60℃~120℃(好ましくは70℃~110℃)の温度で行われる第一加熱工程と、40℃~80℃(好ましくは50℃~70℃)の温度で行われる第二加熱工程と、をこの順に実施することにより進行させることができる。このように加熱工程を段階的に行うことにより、ポリサルファイド反応物の弾性率が高くなりすぎることを抑制でき、上記反応物とフィラー等の添加成分との混合(例えば混練り)工程を効率よく行うことができる。第二加熱工程は、第一加熱工程より低い温度で行うことが好ましい。第一加熱工程における加熱時間は、例えば10分以上とすることができ、通常は30分以上とすることが適当であり、1時間以上としてもよい。好ましい一態様において、第一加熱工程における加熱時間は、例えば10分~24時間(好ましくは30分~12時間、より好ましくは1時間~6時間)の範囲から選択し得る。第二加熱工程における加熱時間は、例えば3時間以上とすることができ、通常は6時間以上とすることが適当であり、24時間以上としてもよい。好ましい一態様において、第二加熱工程における加熱時間は、例えば3時間~720時間(好ましくは48時間~500時間、より好ましくは72時間~300時間)の範囲から選択し得る。第二加熱工程における加熱時間は、第一加熱工程における加熱時間より長くすることが好ましい。なお、加熱工程は三段階以上に分けて段階的に行ってもよい。
上記反応によるエポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)の合成において、使用するチオール基含有ポリサルファイド(a)と上記エポキシ化合物(b)との使用割合は、上記チオール基含有ポリサルファイド(a)に含まれるチオール基の総数に対する上記エポキシ化合物(b)に含まれるエポキシ基の総数の比、すなわちエポキシ基/チオール基の当量比(以下、エポキシ/チオール比ともいう。)が1より大きい値となるように設定することができる。いくつかの態様において、エポキシ/チオール比は、例えば1.05以上とすることができ、1.1以上でもよい。硬化物の強度向上等の観点から、いくつかの態様において、エポキシ/チオール比は、例えば1.2超であってよく、1.4超でもよく、1.5超でもよく、1.7超でもよい。また、エポキシ/チオール比は、例えば7.0未満とすることができ、5.0未満でもよく、4.5未満でもよく、4.0未満でもよい。いくつかの態様において、硬化物の伸び向上等の観点から、エポキシ/チオール比は、例えば3.5未満であってよく、3.2未満でもよく、3.0未満でもよく、2.5未満でもよく、2.0未満でもよく、1.8未満でもよい。
上記反応によるエポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)の合成において、エポキシ化合物(b)の使用量は、特に限定されない。エポキシ化合物(b)の使用量は、例えば、上述したいずれかのエポキシ/チオール比が実現されるように設定することができる。いくつかの態様において、エポキシ化合物(b)の使用量は、チオール基含有ポリサルファイド(a)100重量部に対して、例えば1重量部以上とすることができ、通常は3重量部以上とすることが適当であり、5重量部以上でもよく、7重量部以上でもよい。また、チオール基含有ポリサルファイド(a)100重量部に対するエポキシ化合物(b)の使用量は、例えば50重量部以下とすることができ、通常は30重量部以下とすることが適当であり、20重量部以下でもよく、15重量部以下でもよい。
なお、ここに開示されるシーラントシートは、エポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)に該当しないポリサルファイドポリマー(A)をさらに含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。
<チオール化合物(C)>
ここに開示されるシーラントシートに含まれるチオール化合物(C)としては、一分子中に2以上のチオール基を有する化合物を特に限定なく用いることができる。例えば、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート(別名:トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート))、ペンタエリストールテトラキスチオプロピオネート、エチレングリコールビスチオグリコレート、1,4-ブタンジオールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリストールテトラキスチオグリコレート、ジ(2-メルカプトエチル)エーテル、1,4-ブタンジチオール、1,5-ジメルカプト-3-チアペンタン、1,8-ジメルカプト-3,6-ジオキサオクタン、1,3,5-トリメルカプトメチルベンゼン、4,4’-チオジベンゼンチオール、1,3,5-トリメルカプトメチル-2,4,6-トリメチルベンゼン、2,4,6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-ジブチルアミノ-4,6-ジメルカプト-s-トリアジン、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオナート)、ジペンタエリスリトールヘキサ-3-メルカプトプロピオネート等が挙げられるが、これらに限定されない。
チオール化合物(C)の市販品としては、例えば、三菱ケミカル株式会社製のJERメートQX11、QX12、JERキュアQX30、QX40、QX60、QX900、カプキュアCP3-800;淀化学株式会社製のOTG、EGTG、TMTG、PETG、3-MPA、TMTP、PETP;堺化学株式会社製のTEMPIC、TMMP、PEMP、PEMP-II-20P、DPMP;昭和電工株式会社製のカレンズMT PE1、カレンズMT BD1、カレンズMT NR1、TPMB、TEMB;等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
シーラントシートに含まれるチオール化合物(C)の平均チオール基数は、例えば2以上10以下程度であり得る。硬化物の柔軟性の観点から、上記平均チオール基数は、例えば7以下であってよく、5以下でもよく、4以下でもよく、4未満でもよい。いくつかの態様において、上記平均チオール基数は、3以下でもよく、2.5以下でもよく、2.2以下でもよい。チオール化合物(C)として、一種または二種以上の2官能のチオール化合物のみを使用してもよい。かかる構成によると、好適な伸びを示す硬化物を与えるシーラントシートが得られやすい。
チオール化合物(C)としては、1級チオール基を有する化合物(以下、1級チオール化合物ともいう。)、2級チオール基を有する化合物(2級チオール化合物)、3級チオール基を有する化合物(3級チオール化合物)の、いずれも使用可能である。シーラントシートの使用時における硬化性の観点から、1級チオール化合物を好ましく採用し得る。また、使用前のシーラントシートの保存性の観点から、2級以上のチオール化合物(すなわち、2級チオール化合物および/または3級チオール化合物)を好ましく採用し得る。なお、以下において、一分子内に1級チオール基を2つ有するチオール化合物を1級2官能チオール化合物ということがあり、一分子内に2級チオール基を2つ有するチオール化合物を2級2官能チオール化合物ということがある。
いくつかの態様において、チオール化合物(C)として、1級チオール化合物と2級以上のチオール化合物(例えば、2級チオール化合物)とを組み合わせて用いることができる。かかる態様によると、使用前のシーラントシートの保存性と使用時における硬化性とを好適に両立し得る。1級チオール化合物と2級以上のチオール化合物との合計重量に占める1級チオール化合物の重量割合は、特に限定されず、例えば5重量%以上とすることができ、好ましくは15重量%以上、より好ましくは25重量%以上であり、35重量%以上であってもよく、また、例えば95重量%以下とすることができ、好ましくは75重量%以下であり、60重量%以下であってもよく、45重量%以下であってもよい。
チオール化合物(C)としては、使用前のシーラントシートの保存性と使用時における硬化性とのバランスを考慮して、チオール当量が45g/eq以上450g/eq以下の範囲にあるものを好ましく採用し得る。上記チオール当量は、例えば60g/eq以上であってよく、70g/eq以上でもよく、80g/eq以上でもよく、また、例えば350g/eq以下であってよく、250g/eq以下でもよく、200g/eq以下でもよく、150g/eq以下でもよい。チオール当量が大きくなるにつれて、使用前における保存性は向上する一方、使用時の硬化性は低下する傾向にある。チオール化合物(C)を二種以上使用する場合には、各チオール化合物(C)のチオール当量と重量分率との積の総和が上記範囲にあることが好ましい。なお、チオール当量とは、1当量のチオール基を含む化合物のグラム数を意昧し、ヨウ素滴定法にて測定することができる。あるいは、カタログや文献等に記載された公称値を用いてもよい。
ここに開示されるシーラントシートに含まれるチオール基の当量に対するエポキシ基の当量の比、すなわちシーラントシートのエポキシ/チオール比は、特に限定されない。シーラントシートのエポキシ/チオール比は、例えば凡そ0.1以上10以下であってよく、0.2以上5以下でもよく、0.3以上3以下でもよく、0.5以上2以下であってもよい。エポキシ/チオール比が上述したいずれかの下限値以上かつ上限値以下であることにより、強度と伸びとをバランスよく両立する硬化物が形成される傾向にある。いくつかの態様において、エポキシ/チオール比は、例えば0.6以上、0.7以上または0.8以上であってよく、また、1.7以下、1.5以下または1.2以下であってよい。
ここに開示されるシーラントシートに含まれるチオール化合物(C)の量は、特に限定されない。上記シーラントシートに含まれるチオール化合物(C)の量は、例えば上述したいずれかのエポキシ/チオール比が実現されるように設定することができる。いくつかの態様において、エポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)100重量部に対するチオール化合物(C)の量は、例えば0.05重量部以上とすることができ、0.1重量部以上としてもよく、0.3重量部以上としてもよく、0.5重量部以上としてもよく、また、例えば10重量部以下とすることができ、5重量部以下としてもよく、3重量部以下または1重量部以下としてもよい。
<光塩基発生剤(D)>
ここに開示されるシーラントシートのいくつかの態様において、該シーラントシートは光塩基発生剤(D)を含み得る。かかる態様のシーラントシートは、光照射により上記光塩基発生剤(D)から塩基を発生させることにより、エポキシ基とチオール基とのアニオン付加反応を促進することができる。このように構成されたシーラントシートは、上記光塩基発生剤(D)からの塩基発生を抑制する環境で保存することにより良好な保存性を発揮し得るので好ましい。
光塩基発生剤(D)としては、光照射により塩基を発生するものが用いられる。光塩基発生剤の例としては、α-アミノアセトフェノン化合物;オキシムエステル化合物;アシルオキシイミノ基、N-ホルミル化芳香族アミノ基、N-アシル化芳香族アミノ基、ニトロベンジルカーバメート基、アルコオキシベンジルカーバメート基等の置換基を有する化合物;ビグアニド型のカチオンを有する化合物;等が挙げられる。α-アミノアセトフェノン化合物としては、特に、2つ以上の窒素原子を有するものが好ましい。光塩基発生剤は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
光塩基発生剤として市販品を使用してもよい。市販されている光塩基発生剤としては、和光純薬工業株式会社製の商品名WPBG-018(9-アントラメチルN,N’-ジエチルカーバメート)、WPBG-027((E)-1-[3-(2-ヒドロキシフェニル)-2-プロペノイル]ピペリジン)、WPBG-082(グアニジウム2-(3-ベンゾイルフェニル)プロピオネート)、WPBG-140(1-(アントラキノン-2-イル)エチルイミダゾールカルボキシレート)、WPBG-266(1,2-ジイソプロピル-3-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]グアニジウム2-(3-ベンゾイルフェニル)プロピオナート)、WPBG-300(1,2-ジシクロヘキシル-4,4,5,5-テトラメチルビグアニジウムn-ブチルトリフェニルボラート)、WPBG-345(1,2-ジシクロヘキシル-4,4,5,5-テトラメチルビグアニジウムテトラキス(3-フルオロフェニル)ボラート)等が挙げられる。
これらのなかでも、光照射により発生する塩基によってエポキシ基とチオール基とのアニオン付加反応を効果的に促進し得ることから、ビグアニド型のカチオンを有するイオン性光塩基発生剤が好ましい。ビグアニド型カチオンの例には、アルキルビグアニジウム、シクロアルキルビグアジニウム、シクロアルキル-アルキルビグアジニウム等が挙げられる。光塩基活性剤においてビグアニド型カチオンと対になるアニオンは、例えばボレート系アニオンであり得る。この種の光塩基発生剤の市販品として、上述したWPBG-300、WPBG-345等が挙げられる。光塩基活性剤においてビグアニド型カチオンと対になるアニオンの他の例として、カルボキシラート系アニオンが挙げられる。この種の光塩基発生剤の市販品として、例えば上述したWPBG-266を好ましく採用し得る。
光塩基発生剤の使用量は、所望の使用効果が得られるように設定することができる。いくつかの態様において、光塩基発生剤の使用量は、エポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)とチオール化合物(C)との合計量100重量部に対して、例えば0.01重量部以上とすることができ、シーラントシートの硬化性を高める観点から0.03重量部とすることが好ましく、0.07重量部以上でもよく、0.1重量部以上でもよい。また、光塩基発生剤の使用量は、原料コスト等の観点から、通常、上記合計量100重量部に対して3重量部以下とすることが好ましく、2重量部以下とすることがより好ましく、1重量部以下でもよく、0.7重量部以下でもよく、0.5重量部以下でもよく、0.3重量部以下でもよい。
<光増感剤>
ここに開示されるシーラントシートは、増感剤を含有してもよい。増感剤の使用により、照射される光の利用効率を高め、光塩基発生剤(D)の感度を向上させることができる。光増感剤は、公知の材料から適宜選択して使用することができる。光増感剤の非限定的な例には、ベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、3-ベンゾイルビフェニル、4-(4-メチルフェニルチオ)ベンゾフェノン、メチル2-ベンゾイルベンゾエート、4-フェニルベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメトキシ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2-ベンゾイル安息香酸メチルエステル、2-メチルベンゾフェノン、3-メチルベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;チオキサントン、キサントン、2-クロロチオキサントン、4-クロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサンテン-9-オン等のチオキサントン誘導体;2-ヒドロキシ-9-フルオレノン等のフルオレン系化合物;アントロン、ジベンゾスベロン、2-アミノ-9-フルオレノン等のアントロン誘導体;アントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-ヒドロキシアントラキノン、2-アミノアントラキノン等のアントラキノン誘導体;1-メチルナフタレン、2-メチルナフタレン、1-フルオロナフタレン、1-クロロナフタレン、2-クロロナフタレン、1-ブロモナフタレン、2-ブロモナフタレン、1-ヨードナフタレン、2-ヨードナフタレン、1-ナフトール、2-ナフトール、1-メトキシナフタレン、2-メトキシナフタレン、1,4-ジシアノナフタレン、メチル3-ヒドロキシ-2-ナフトエート等のナフタレン誘導体;アントラセン、1,2-ベンズアントラセン、9,10-ジクロロアントラセン、9,10-ジブロモアントラセン、9,10-ジフェニルアントラセン、9-シアノアントラセン、9,10-ジシアノアントラセン、2,6,9,10-テトラシアノアントラセン等のアントラセン誘導体;ニトロ安息香酸やニトロアニリン等のニトロ化合物;各種の色素;等が含まれるが、これらに限定されない。
光増感剤を使用する場合における使用量は、所望の増感効果が得られるように設定することができる。いくつかの態様において、光増感剤の使用量は、エポキシ化合物(B)とチオール化合物(C)との合計量100重量部に対して、例えば0.001重量部以上であってよく、0.005重量部以上でもよく、0.01重量部以上でもよく、0.05重量部以上でもよい。光増感剤の使用量の上限は、特に制限されないが、シーラントシートの保存性の観点から、通常は10重量部以下が適当であり、5重量部以下でもよく、1重量部以下でもよく、0.5重量部以下でもよく、0.3重量部以下でもよい。
<硬化剤>
ここに開示されるシーラントシートは、光塩基発生剤(D)に代えて、あるいは光塩基発生剤(D)に加えて、エポキシ基とチオール基との反応を促進し得る硬化剤を含んでいてもよい。例えば、イミダゾール系硬化剤(例えば、2-メチルイミダゾール、1-イソブチル-2メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテート等)、アミン系硬化剤(例えば、脂肪族アミン系硬化剤、芳香族アミン系硬化剤)、酸無水物系硬化剤、ジシアンアミド系硬化剤、ポリアミド系硬化剤等から選択される一種または二種以上を用いることができる。室温での反応性の観点から好ましい硬化剤として、イミダゾール系硬化剤およびアミン系硬化剤が挙げられる。イミダゾール系硬化剤が特に好ましい。イミダゾール系硬化剤によると、強度が高くかつ伸びのよい硬化物が形成される傾向にある。
<貯蔵安定剤>
ここに開示されるシーラントシートは、他の特性が大きく損なわれない限度で、チオール基とエポキシ基との付加反応の抑制に役立ち得る任意の化合物をさらに含有してもよい。かかる化合物の使用により、使用前のシーラントシートの保存性を高めることができる。貯蔵安定剤は、例えば、室温で液状または固体の有機酸、無機酸、および分子中に酸性基を含むオリゴマー、ポリマー、ホウ酸エステル類、リン酸エステル類であってよく、酸性基以外の官能基を有していても良い。例えば、硫酸、酢酸、アジピン酸、酒石酸、フマル酸、バルビツール酸、ホウ酸、ピロガロール、フェノール樹脂、カルボン酸無水物等が挙げられるが、これらに限定されない。貯蔵安定剤は、一種を単独でまたは二種以上を適宜組み合わせて用いることができる。貯蔵安定剤の使用量は特に限定されず、所望の効果が得られるように設定することができる。
貯蔵安定剤の好適例として、ホウ酸エステル類およびリン酸エステル類が挙げられる。
ホウ酸エステル類は、室温で液状または固体のホウ酸エステルである。例えばトリメチルボレート、トリエチルボレート、トリ-n-プロピルボレート、トリイソプロピルボレート、トリ-n-ブチルボレート、トリペンチルボレート、トリアリルボレート、トリヘキシルボレート、トリシクロヘキシルボレート、トリオクチルボレート、トリノニルボレート、トリデシルボレート、トリドデシルボレート、トリヘキサデシルボレート、トリオクタデシルボレート、トリス(2-エチルヘキシロキシ)ボラン、ビス(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)(1,4,7,10,13-ペンタオキサテトラデシル)(1,4,7-トリオキサウンデシル)ボラン、トリベンジルボレート、トリフェニルボレート、トリ-o-トリルボレート、トリ-m-トリルボレート、トリエタノールアミンボレート等が挙げられるが、これらに限定されない。
リン酸エステル類としては、リン酸エチル、リン酸ブチル、リン酸プロピル、リン酸-2-エチルヘキシル、リン酸ジブチル、リン酸-ジ(2-エチルヘキシル)、リン酸オレイル、リン酸エチルジエチル等が挙げられるが、これらに限定されない。
<フィラー>
ここに開示されるシーラントシートには、必要に応じてフィラーを配合することができる。これにより、硬化物の破断強度および破断時伸びの一方または両方が改善され得る。フィラーは、シーラントシートの貯蔵弾性率の調節にも役立ち得る。また、フィラーの適切な使用により、シーラントシートの保形性や加工性を高めることができる。使用するフィラーは特に制限されず、ここに開示される技術により得られる効果を大きく損なわない範囲で、任意の適切なフィラーを使用し得る。フィラーは、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
フィラーとしては、無機フィラーを好ましく採用し得る。フィラーを構成する材質の例には、タルク、シリカ、ガラス、カーボンブラック、アルミナ、クレー、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、窒化ホウ素、ホウ酸アルミニウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム等が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの態様において、タルク、シリカ、ガラスおよび炭酸カルシウムからなる群から選択される少なくとも一種のフィラーを好ましく採用し得る。好ましい一態様に係るシーラントシートは、フィラーとして少なくともタルクを含む。タルクは耐油性の向上にも貢献し得る。
フィラーの含有量は特に限定されず、好適な特性が得られるように選択し得る。フィラーの含有量は、例えば、シーラントシート全体の1重量%以上であってよく、5重量%以上でもよく、より高い使用効果を得る観点から10重量%以上でもよく、15重量%以上でもよく、20重量%以上でもよく、25重量%以上でもよい。また、フィラーの含有量は、例えば、シーラントシート全体の50重量%未満とすることができ、シート形状への成形性や硬化物の伸び向上の観点から、通常は40重量%未満とすることが適当であり、35重量%未満でもよい。いくつかの態様において、上記フィラーの含有量は、30重量%未満でもよく、25重量%未満でもよい。
フィラーの平均粒子径は、特に限定されない。上記平均粒子径は、通常、100μm以下であることが適当であり、50μm以下であることが好ましい。平均粒子径が小さくなると、硬化物の破断強度および破断時伸びの一方または両方を改善する効果が向上する傾向にある。いくつかの態様において、フィラーの平均粒子径は、例えば30μm以下であってよく、20μm以下でもよく、15μm以下でもよく、10μm以下でもよく、5μm以下でもよい。また、フィラーの平均粒子径は、例えば0.1μm以上であってよく、0.2μm以上でもよく、0.5μm以上でもよく、1μm以上でもよい。平均粒子径が小さすぎないことは、フィラーの取扱い性や分散性の観点から有利となり得る。
なお、本明細書において、フィラーの平均粒子径とは、レーザ回折・散乱法に基づく測定により得られた粒度分布において体積基準の累積粒度が50%となる粒径、すなわち50%体積平均粒子径(50%メジアン径)をいう。
いくつかの態様において、屈折率が1.56以上1.62未満の範囲にある材質からなるフィラーを好ましく用いることができる。例えば、屈折率が上記範囲にあるガラスフィラーを用いることができる。上記屈折率の範囲は、ポリサルファイドポリマー(A)の屈折率(典型的には約1.60)に等しいか、または近似する範囲である。このため、屈折率が上記範囲にあるフィラーによると、屈折率が上記範囲の外にあるフィラーに比べて、該フィラーを配合することによるシーラントシートの透過率の低下が抑制される傾向にある。シーラントシートがある程度の透過率を有することにより、該シーラントシート越しにシール対象箇所を観察しやすくなる。このことは、シーラントシートを所定の箇所に配置する際における位置決め性等の観点から有利となり得る。ここに開示されるシーラントシートの透過率は、例えば5%超であってよく、10%超でもよく、15%超でもよく、20%超でもよい。透過率の上限は特に限定されない。ここに開示されるシーラントシートの透過率は、100%であってもよく、実用上の観点から80%以下、60%以下または40%以下であってもよい。ここに開示されるシーラントシートは、透過率が30%以下、20%以下または15%以下である態様でも好ましく実施され得る。透過率は、UV-visスペクトル測定装置(例えば、島津製作所社製のUV-2550)を用いてシーラントシートのスペクトルを測定し、365nmの波長における値を当該シーラントシートの透過率として採用することができる。測定サンプルとしては、厚さ約0.2mmのシーラントシートを用いるとよい。あるいは、異なる厚さの測定サンプルを用いて得られた結果を、厚さ0.2mmにおける値に換算してもよい。
ここに開示されるシーラントシートは、屈折率が1.56以上1.62未満の範囲にあるフィラー(例えばガラスフィラー)と、屈折率が上記範囲の外にあるフィラー(例えばタルク)とを、組み合わせて使用してもよい。この場合、シーラントシートに含まれるフィラー全量のうち屈折率が上記範囲にあるフィラーの占める割合は、例えば10重量%以上とすることができ、25重量%以上でもよく、45重量%以上が好ましく、60重量%以上でもよく、85重量%以上でもよく、100%でもよい。いくつかの態様において、屈折率が1.56以上1.61以下の範囲、または1.57以上1.60以下の範囲にある材質からなるフィラーをより好ましく採用し得る。屈折率は、一般的に知られている最小偏角法、臨界角法、Vブロック法などの手法を用いて測定することができる。測定は、例えば多波長アッベ屈折計DR-M4(ATAGO社製)等を用いて行うことができる。あるいは、カタログや文献等に記載された公称値を用いてもよい。
なお、フィラーを含むシーラントシートでは、通常、該フィラーを分散させる連続相(典型的には、シーラントシートのうちフィラー以外の成分から構成される。)の耐油性が該シーラントシート全体の耐油性に大きく寄与すると考えられる。したがって、フィラーを含む態様のシーラントシートでは、上述した硫黄含有率を、フィラー以外の成分の合計重量(該シーラントシート全体の重量からフィラーの重量を除いた重量)に占める硫黄原子の重量割合と読み替えることができる。
<その他の成分>
ここに開示されるシーラントシートは、ここに開示される技術により得られる効果を大きく損なわない範囲で、他の任意成分を含んでいてもよい。そのような任意成分の例には、染料や顔料等の着色剤、分散剤、可塑剤、軟化剤、難燃剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤等が含まれるが、これらに限定されない。
ここに開示されるシーラントシートは、例えばシール対象箇所に対する密着性の向上等の目的で、上記以外のポリマーまたはオリゴマー(以下、任意ポリマーともいう。)を、さらに含んでいてもよい。硬化物の耐油性の観点から、上記任意ポリマーの含有量は、ポリサルファイドポリマー(AB)100重量部に対して、10重量部以下であることが好ましく、5重量部以下であることがより好ましく、1重量部以下であることがさらに好ましい。かかる任意ポリマーを実質的に含有しないシーラントシートであってもよい。なお、本明細書において、ある成分を実質的に含有しないとは、特記しない場合、少なくとも意図的には当該成分を含有させないことをいう。
ここに開示されるシーラントシートは、有機溶剤の含有量が、重量基準で、シーラントシートの例えば5%以下であってよく、2%以下でもよく、1%以下でもよく、0.5%以下でもよく、有機溶剤を実質的に含有しなくてもよい。有機溶剤の含有量が0%であってもよい。ここで有機溶剤とは、例えばトルエン、シクロヘキサノン、トリクロロエタン等のように、シーラントシート中の他の成分(特に、エポキシ基含有ポリサルファイドや、必要に応じて用いられ得る硬化剤)と反応することが意図されていない成分をいう。
ここに開示されるシーラントシートは、Mwが1000以下、好ましくは600以下、より好ましくは400以下のチオール化合物(C)(以下、低分子量チオール化合物ともいう。)を含み得る。上記低分子量チオール化合物の含有量は、重量基準で、例えば、チオール化合物(C)全体とエポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)との合計量の0.1重量%以上であってよく、0.3重量%以上でもよく、0.5重量%以上でもよい。上記低分子量チオール化合物は、ここに開示されるシーラントシートのタックを高める働きを示し得る。シーラントシートのタックを高めることにより、例えば、シール対象箇所に配置されたシーラントシートのシール対象箇所への仮固定性が向上し得る。上記仮固定性とは、シール対象箇所に配置されたシーラントシートが硬化するまでの間、該シーラントシートのシール対象箇所からの浮きや位置ズレを抑制する性質をいう。低分子量チオール化合物は、光照射により反応して硬化物に組み込まれる。いくつかの態様において、低分子量チオール化合物の含有量は、重量基準で、チオール化合物(C)全体とエポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)との合計量の0.1重量%未満であってもよく、0.05重量%未満であってもよく、実質的に含有しなくてもよい。ここに開示されるシーラントシートは、このような態様においても、表面にタックを有し、シール対象箇所に仮固定し得るものであり得る。
<剥離ライナー>
ここに開示されるシーラントシートの作製(例えば、シート形状への成形)や、使用前のシーラントシートの保存、流通、形状加工、シール対象箇所への配置等の際に、剥離ライナーを用いることができる。剥離ライナーとしては、特に限定されず、例えば、樹脂フィルムや紙等のライナー基材の表面に剥離処理層を有する剥離ライナーや、フッ素系ポリマー(ポリテトラフルオロエチレン等)やポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)の低接着性材料からなる剥離ライナー等を用いることができる。上記剥離処理層は、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離処理剤により上記ライナー基材を表面処理して形成されたものであり得る。
<シーラントシートの製造方法>
以下、ここに開示されるシーラントシートの製造方法のいくつかの態様について説明する。ただし、以下の説明は、例示を目的とするものであって、ここに開示されるシーラントシートの製造方法を限定するものではない。例えば、説明の便宜上、以下では主にフィラーを用いる態様について述べるが、ここに開示されるシーラントシートがフィラーを含む態様に限定されることを意味するものではない。
ここに開示されるシーラントシートは、エポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)と、チオール化合物(C)(例えば、上述した低分子量チオール化合物)とを組み合わせて含む。かかる組成のシーラントシートは、例えば、エポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)を用意すること;上記エポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)にチオール化合物(C)を添加して混合すること;および、得られた混合物をシート形状に成形すること;を含む方法によって製造することができる。
いくつかの好ましい態様に係るシーラントシートは、エポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)およびチオール化合物(C)に加えて、光塩基発生剤(D)およびフィラーをさらに含む。かかる組成のシーラントシートは、例えば、エポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)を用意すること;上記エポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)にチオール化合物(C)、光塩基発生剤(D)およびフィラーを添加して混合すること;および、得られた混合物をシート形状に成形すること;を含む方法によって製造することができる。
上記エポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)がチオール基含有ポリサルファイド(a)とエポキシ化合物(b)との反応物である場合、上記混合物を用意することは、チオール基含有ポリサルファイド(a)とエポキシ化合物(b)とを反応させて上記エポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)を調製することをさらに含み得る。
エポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)と他の成分との混合に用いることのできる装置としては、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル等の密閉式混練装置またはバッチ式混練装置;単軸押出機、二軸押出機等の連続式混練装置が挙げられるが、これらに限定されない。
上記混合物をシート状に成形する方法としては、プレス成形、カレンダー成形、溶融押出し成形等の公知のシート成形方法を、単独でまたは適宜組み合わせて用いることができる。上記プレス成形は、常圧プレスでもよく、真空プレスでもよい。シートへの気泡の噛み込みの防止や、上記混合物の熱変性を抑制する観点から、いくつかの態様において、真空プレス成形またはカレンダー成形を好ましく適用し得る。得られたシーラントシートは、例えば図1または図2に示すような剥離ライナー付きシーラントシートの形態で、保存、加工(例えば、所定幅へのスリット加工、ロール状から枚葉状への加工、所定形状への打抜き加工等)、運搬等を行うことができる。
<用途(使用方法)>
ここに開示されるシーラントシートを用いてシールされる箇所の材質は、特に限定されない。上記材質は、例えば金属、樹脂、これらの複合材料等であってよく、より具体的には、鉄、鉄合金(炭素鋼、ステンレス鋼、クロム鋼、ニッケル鋼等)、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、タングステン、銅、銅合金、チタン、チタン合金、シリコン等の金属または半金属材料;ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂(PAN)等の樹脂材料;アルミナ、シリカ、サファイア、窒化ケイ素、窒化タンタル、炭化チタン、炭化ケイ素、窒化ガリウム、石膏等のセラミック材料;アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ソーダアルミノケイ酸ガラス、石英ガラス等のガラス材料;これらの積層物や複合物;等であり得る。上記金属または半金属材料の好適例として、アルミニウムやチタン等の軽金属または該軽金属を主成分とする合金が挙げられる。アルミニウム合金の例として、ジュラルミン(例えば、ジュラルミンA2024、ジュラルミンA2017等)が挙げられる。また、上記複合物の例としては、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、ガラス繊維強化プラスチック(FRP)等が挙げられる。
ここに開示されるシーラントシートは、25℃程度の温度域において非液状(すなわち、固体状)のシートの形態を呈するので、液状のシーラントとは異なり、シール対象箇所への配置時に作業者が厚さ制御を行う必要がない。また、上記シーラントシートは、液状のシーラントとは異なり、あらかじめ所望の外形にカットしたうえでシール対象箇所に配置する(典型的には、該シーラントシートのタックを利用して貼り付ける)ことが可能である。あるいは、ロール形態のシーリングシートを巻き出しながら対象箇所に貼り付け、余ったシーリングシートを切り離すようにしてもよい。ここに開示されるシーラントシートを用いることにより、液状シーラントの塗布時における垂れ、塗りムラ、はみ出し等の問題を根本的に解決することができ、作業時間の大幅な短縮を図ることができる。シール対象箇所に配置されたシーラントシートを硬化させることにより、シーラント硬化物が形成される。
光塩基発生剤(D)を含む態様のシーラントシートでは、該シーラントシートにあらかじめ配合された光塩基発生剤(D)を利用して上記シーラントシートの硬化を促進することができる。例えば、上記シーラントシートに光照射を行って上記光塩基発生剤(D)から塩基を発生させることにより、該シーラントシートに含まれるエポキシ基とチオール基との付加反応が促進され、シートの硬化が進行する。光照射は、例えばケミカルランプ、ブラックライト(例えば、東芝ライテック社製のブラックライト)、メタルハライドランプ等の、公知の適切な光源を用いて行うことができる。いくつかの態様において、波長250nm~450nmの領域にスペクトル分布をもつ光源が好ましく用いられ得る。シーラントシートに増感剤を含有させることにより、上記光源から照射させる光の利用効率を高めることができる。例えば波長350nm~450nmの領域にスペクトル分布をもつ光源を使用する場合は、増感剤の使用が特に効果的である。
光塩基発生剤(D)としては、例えば、ビグアニド型のカチオンを有するイオン性光塩基発生剤を好ましく採用し得る。かかる構成のシーラントシートによると、ジスルフィド構造と、エポキシ基とチオール基とのアニオン付加反応に由来する構造と、光塩基発生剤に由来するビグアニド型化合物と、を含むシーラント硬化物が形成される。したがって、この明細書により、ジスルフィド構造と、エポキシ基とチオール基とのアニオン付加反応に由来する構造と、光塩基発生剤に由来するビグアニド型化合物と、を含むシーラント硬化物が提供される。
光塩基発生剤(D)を含む態様のシーラントシートは、シール対象箇所に配置された状態で光照射を行う態様で用いることができる。また、エポキシ基とチオール基とのアニオン付加反応は一般的なラジカル重合に比べて進行が遅いため、ここに開示されるシーラントシートの硬化は徐々に進行する。このことを利用して、ここに開示されるシーラントシートは、あらかじめ光照射を行った後、遅滞なくシール対象箇所に配置する態様でも好ましく用いられ得る。この態様によると、シール対象箇所への配置後に十分な光を均一に照射することが困難な使用態様で用いられるシーラントシートに(例えば不透明な部材間のシールに用いられるシーラントシート等)であっても良好に硬化させることができる。
また、エポキシ基とチオール基との反応を促進し得る硬化剤(例えば、イミダゾール系硬化剤)を含む態様のシーラントシートは、該シーラントシートにあらかじめ配合された上記硬化剤を利用して硬化を進行させることができる。硬化条件は、シーラントシート中に含まれる硬化剤に応じて適切に選択すればよい。例えば、イミダゾール系やアミン系等の硬化剤が配合されたシーラントシートは、室温で硬化を進行させることができる。また、加熱等の手段により硬化反応を促進させてもよい。特に限定するものではないが、例示的な硬化促進条件として、40℃~80℃程度の温度に6時間~14日間程度保持する条件が挙げられる。
ここに開示されるシーラントシートは、シーラントシートの施工時に該シーラントシートに硬化剤を供給する態様でも用いられ得る。例えば、シール対象箇所に硬化剤を塗布して下塗り層を形成し、その上からシーラントシートを配置する;シール対象箇所にシーラントシートを配置した後、その背面に塗布等により硬化剤を供給する;等の手法を採用し得る。施工時に供給する硬化剤としては、室温(例えば25℃程度)で液状のものを好ましく使用し得る。このように施工時に硬化剤を用いる使用態様においても、少なくともポリサルファイドを含むシーラントシートがシート状に成形されていることにより、従来の液状シーラントに比べて施工性を改善することができる。かかる態様で用いられるシーラントシートは、光塩基発生剤(D)や硬化剤を実質的に含んでいなくてもよい。このことは、シーラントシートの取扱い性や保存性の観点から有利となり得る。
ここに開示されるシーラントシートにおいて、該シーラントシートは、後述する実施例に記載の方法で測定される硬化物の膨潤率が60%以下であることが適当である。上記膨潤率がより小さいことは、上記硬化物の耐油性がより高いことに対応する。いくつかの態様において、上記膨潤率は、好ましくは50%以下であり、より好ましくは45%以下であり、40%以下でもよく、35%以下でもよく、30%以下でもよく、25%以下でもよい。耐油性の観点からは、上記膨潤率は0%に近いほど好ましい。一方、他の特性とのバランス等の実用上の観点から、いくつかの態様において、上記膨潤率は、例えば5%以上であってよく、10%以上であってもよい。
ここに開示されるシーラントシートのいくつかの態様において、後述する実施例に記載の方法で測定される硬化物の引張破断強度は、0.8MPa以上であることが適当であり、好ましくは0.9MPa以上であり、より好ましくは1.0超であり、1.1以上または1.15以上でもよい。いくつかの態様において、上記引張破断強度は、1.2MPa以上でもよく、1.3MPa以上でもよい。引張破断強度の上限は特に制限されないが、他の物性との両立を容易とする観点から、例えば3MPa以下であってよい。
ここに開示されるシーラントシートのいくつかの態様において、後述する実施例に記載の方法で測定される硬化物の破断時伸びは、100%であることが適当であり、120%以上が好ましく、150%以上でもよく、180%以上でもよく、200%以上でもよく、250%以上でもよい。破断時伸びの上限は特に制限されないが、他の物性との両立を容易とする観点から、例えば600%以下であってよく、400%以下でもよい。
この明細書により開示される事項には以下のものが含まれる。
(1) シート形状に成形されたシーラントシートであって、
一分子中に2以上のエポキシ基を有するエポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)と、
一分子中に2以上のチオール基を有するチオール化合物(C)と、
を含み、
上記シーラントシートに含まれる有機成分における硫黄原子の重量分率が32.0%以上36.0%以下である、シーラントシート。
(2) 上記エポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)は、ジサルファイド構造とチオール基とを一分子中に有するチオール基含有ポリサルファイド(a)と、一分子中に2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物(b)との反応物である、上記(1)に記載のシーラントシート。
(3) 上記チオール基含有ポリサルファイド(a)の重量平均分子量は、2500より大きく7000未満である、上記(2)に記載のシーラントシート。
(4) 上記エポキシ化合物(b)は、一分子中に2つのエポキシ基を有する2官能エポキシ化合物を含む、上記(2)または(3)に記載のシーラントシート。
(5) 上記2官能エポキシ化合物として、分子内に5員環以上の炭素環構造を含むエポキシ化合物を含む、上記(4)に記載のシーラントシート。
(6) 上記2官能エポキシ化合物の分子量は600以下である、上記(4)または(5)に記載のシーラントシート。
(7) 上記エポキシ化合物(b)は、一分子中に3以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物を含む、上記(2)~(6)のいずれかに記載のシーラントシート。
(8) 上記多官能エポキシ化合物として、ノボラック型エポキシ樹脂を含む、上記(7)に記載のシーラントシート。
(9) 上記エポキシ化合物(b)のエポキシ官能基当量は250g/eq以下である、上記(2)~(8)のいずれかに記載のシーラントシート。
(10) 上記チオール化合物(C)のチオール当量は45g/eq以上450g/eq以下である、上記(1)~(9)のいずれかに記載のシーラントシート。
(11) 上記チオール化合物(C)として、一分子に2つのチオール基を有する2官能チオール化合物を含む、上記(1)~(10)のいずれかに記載のシーラントシート。
(12) さらに光塩基発生剤(D)を含む、上記(1)~(11)のいずれかに記載nシーラントシート。
(13) 上記光塩基発生剤(D)は、ビグアニド型のカチオンを有するイオン性光塩基発生剤である、上記(12)に記載のシーラントシート。
(14) さらにフィラーを含む、上記(1)~(13)のいずれかに記載のシーラントシート。
(15) 上記フィラーの含有量は、上記シーラントシート全体の10重量%以上40重量%未満である、上記(14)に記載のシーラントシート。
(16) 上記フィラーの平均粒子径は0.1μm以上30μm以下である、上記(14)または(15)に記載のシーラントシート。
(17) 上記フィラーは、タルク、シリカ、ガラスおよび炭酸カルシウムからなる群から選択される少なくとも一種である、上記(14)~(16)のいずれかに記載のシーラントシート。
(18) 上記フィラーとして少なくともタルクを含む、上記(14)~(16)のいずれかに記載のシーラントシート。
(19) 25℃における貯蔵弾性率が0.005MPa以上0.8MPa以下である、上記(1)~(18)のいずれかに記載のシーラントシート。
(20) 厚さが0.01mm以上10mm以下である、上記(1)~(19)のいずれかに記載のシーラントシート。
(21) 上記(1)~(20)のいずれかに記載のシーラントシートと、
上記シーラントシートの少なくとも一方の表面に当接する剥離面を有する剥離ライナーと、
を含む、剥離ライナー付きシーラントシート。
(22) 一分子中に2以上のエポキシ基を有するエポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)を用意すること;
上記エポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)に、一分子中に2以上のチオール基を有するチオール化合物(C)を添加して混合すること;および、
得られた混合物をシート形状に成形すること;
を含む、シーラントシート製造方法。
(23) 上記(1)~(20)のいずれかに記載のシーラントシートを用意することと、
上記シーラントシートをシール対象物に貼り付けることと、
上記シール対象物上で上記シーラントシートを硬化させてシーラント硬化物を形成することと
を含む、シーリング施工方法。
(24) 上記シーラントシートとして光塩基発生剤(D)を含むものを使用し、
上記シーラントシートをシール対象物に貼り付ける直前および/または上記シーラントシートをシール対象物に貼り付けた後に、上記シーラントシートに光照射を行う、上記(23)に記載のシーリング施工方法。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の説明における「部」は、特に断りがない限り重量基準である。
<シーラントシートの作製>
(例1)
攪拌機を備えた反応容器を用いて、表1に示す液状ポリサルファイドポリマー(両末端チオールポリサルファイドポリマー)90部、2官能エポキシ化合物7.5部、多官能エポキシ化合物2部、および塩基性触媒0.08部を、攪拌しながら90℃で3時間加熱した。これにより、両末端エポキシポリサルファイドポリマーを合成した。
反応容器の内容物を取り出して室温まで放冷させた後、表1に示す2官能チオール化合物1部、光塩基発生剤0.5部、増感剤0.1部、貯蔵安定剤0.5部、ならびにフィラーとしてのガラスフィラー15部およびタルク15部を加え、2本ロールミルを用いて均一に練り合わせた。得られた混合物を、真空プレス機を用いてシート状に成形することにより、本例に係るシーラントシートを得た。その際、厚さ0.2mmのシートと厚さ1mmのシートとの2種類を作製した。
なお、本例に係るシーラントシートのエポキシ/チオール比は1.0である。すなわち、本例に係るシーラントシートの作製に使用した両末端エポキシポリサルファイドポリマーに含まれるエポキシ基(未反応)の数と、このポリマーに添加した2官能チオール化合物に含まれるチオール基(未反応)の数とは、ほぼ同等である。上記両末端エポキシポリサルファイドポリマーに含まれるエポキシ基の数は、該ポリマーの合成に使用した2官能エポキシ化合物および多官能エポキシ化合物の各々のエポキシ当量および使用量から算出されるエポキシ基の数Nから、使用した液状ポリサルファイドポリマーのチオール当量および使用量から算出されるチオール基Nの数を減じることにより求められる。
(例2~7)
使用する材料の種類と量を表1に示すとおりとした他は例1と同様にして、各例に係るシーラントシートを作製した。例2~7に係るシーラントシートのエポキシ/チオール比は0.7~1.9である。
(例8)
攪拌機を備えた反応容器を用いて、表2に示す液状ポリサルファイドポリマー(両末端チオールポリサルファイドポリマー)90部、2官能エポキシ化合物6.7部、多官能エポキシ化合物2部、および塩基性触媒0.01部を、攪拌しながら90℃で3時間加熱した。次いで、上記反応容器の内容物を別容器に移して50℃の環境下に168時間保持した。このようにして両末端エポキシポリサルファイドポリマーを合成した。
上記別容器の内容物を取り出して室温まで放冷させた後、表2に示す1級2官能チオール化合物0.6部、光塩基発生剤0.5部、貯蔵安定剤0.5部、およびフィラーとしてのタルク30部を加え、2本ロールミルを用いて均一に練り合わせた。得られた混合物を、真空プレス機を用いてシート状に成形することにより、本例に係るシーラントシートを得た。その際、厚さ0.2mmのシートと厚さ1mmのシートとの2種類を作製した。
(例9~14)
使用する材料の種類と量を表2に示すとおりとした他は例8と同様にして、各例に係るシーラントシートを作製した。
(例15)
使用する材料の種類と量を表2に示すとおりとした他は例1と同様にして、本例に係るシーラントシートを作製した。
なお、例8~14に係るシーラントシートのエポキシ/チオール比は、いずれも1.0である。例15に係るシーラントシートはチオール基を実質的に含有しない。
<測定および評価>
(貯蔵弾性率)
厚さ1mmのシーラントシートを直径8mmの円盤状に打ち抜き、パラレルプレートで挟み込み、粘弾性試験機(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、機種名「ARES G2」)を用いて、測定温度25℃、周波数1Hz、歪み0.5%の条件において貯蔵弾性率G’を測定した。その結果、例1~15に係るシーラントシートの貯蔵弾性率G’は、いずれも0.005MPa~0.8MPaの範囲にあった。
(硫黄含有率)
各例に係るシーラントシートの単位重量に含まれる硫黄原子の重量を、以下の燃焼イオンクロマトグラフィー法により測定した。別途、上記シーラントシートの灰分量から該シーラントシートの単位重量に含まれる有機成分の重量を求め、上記硫黄原子の重量を上記有機成分の重量で除して硫黄含有率を算出した。なお、上記灰分量は、TG-DTAを用いて、大気中、500℃でシーラントシートを加熱し、重量減少が止まった時点での量を灰分とすることで求めた。
[試料の調製]
各例に係るシーラントシートから適量(10~50mg程度)のサンプルをセラミックボートに採取して秤量し、助燃剤を添加した。上記助燃剤としては、上記サンプル1mg当たり15mg程度の三酸化タングステンを使用した。これを自動試料燃焼装置(三菱化学アナリテック社製 AQF-2100H、Inlet 1000℃、Outlet 1100℃)を用いて燃焼させ、該燃焼により発生したガスを吸収液(純水に過酸化水素水を10~500ppm添加してなる吸収液)に捕集した。燃焼後、その吸収液について、下記条件のイオンクロマトグラフィー法により、富士フイルム和光純薬製の硫黄標準液(S 1000)を用いて定量分析を行った。
[イオンクロマトグラフィー条件]
アニオン分析
分析装置:Thermo Fisher Scientific製 DX-320、
分離カラム:Dionex IonPac AS15(4mm×250mm)、
ガードカラム:Dionex IonPac AG15(4mm×50mm)、
除去システム:Dionex AERS-500(エクスターナルモード)、
検出器:電気伝導度検出器、
溶離液:KOH水溶液(溶離液ジェネレーターカートリッジ使用)、
溶離液流量:1.2mL/min、
試料注入量:250μL。
(破断強度および破断時伸び)
厚さ0.2mmのシーラントシートの片面に、東芝ライテック社製のブラックライトを用いて2000mJ/cmの光照射を行った。照射後のシーラントシートを25℃の環境下に14日間保持した後、得られた硬化物(シーラント硬化物)を幅10mm、長さ50mmの長方形状にカットしてサンプル片を作製した。ただし、例7のシーラントシートについては、上記光照射を行う工程を実施することなく25℃の環境下に14日間保持して得られた硬化物を同様にカットしてサンプル片を作製した。
このようにして作製したサンプル片を、チャック間20mmとなるようにして引張試験機のチャックに挟み、JIS K6767に準じて50mm/分の速度で引っ張り、サンプル片が破断するまでに観測された最大強度を破断強度とした。また、サンプルが破断したときのチャック間距離L1および引張り開始時のチャック間距離L0から、以下の式:
破断時伸び(%)=((L1-L0)/L0)×100;
により破断時伸びを算出した。結果を表1、2に示した。
なお、例15に係るシーラントシートは、上記の条件では硬化しなかったため、破断強度および破断時伸びの測定ならびに以下の耐油性評価、被覆性試験は行わなかった(表2ではn.m.と表示)。
(耐油性評価)
厚さ0.2mmのシーラントシートの片面に、東芝ライテック社製のブラックライトを用いて2000mJ/cmの光照射を行った。照射後のシーラントシートを25℃の環境下に14日間保持した後、得られた硬化物(シーラント硬化物)を幅10mm、長さ50mmの長方形状にカットしてサンプル片を作製した。ただし、例7のシーラントシートについては、上記光照射を行う工程を実施することなく25℃の環境下に14日間保持して得られた硬化物を同様にカットしてサンプル片を作製した。
このようにして作製したサンプル片を、作動油(Solutia社製のリン酸エステル系作動油、製品名「スカイドロール」)に浸漬して25℃で14日間放置した後、該作動油からサンプル片を取り出し、浸漬前後の寸法変化率を「膨潤率(%)」として求めた。より詳しくは、作動油に浸漬する前のサンプル片の長さS0と、作動油に浸漬した後のサンプル片の長さS1とから、以下の式:
膨潤率(%)=((S1-S0)/S0)×100;
により膨潤率を算出した。結果を表1、2に示した。
(被覆性試験)
厚さ0.2mmのシーラントシートを幅10mm、長さ50mmの長方形状にカットして、被覆性評価用のシーラントシート片を作製した。このシーラントシート片を、幅約50mm、長さ約150mmの長方形状のステンレス鋼板(SUS304BA板)のほぼ中央に載せ、ハンドローラーを一往復させて圧着した。このようにしてステンレス鋼板に貼り合わせたシーラントシート片の背面(ステンレス鋼板側とは反対側の面)に、上記ブラックライトを用いて2000mJ/cmの光照射を行い、25℃の環境下に14日間保持した後(ただし、例7については上記光照射を行う工程を実施することなく25℃の環境下に14日間保持した後)、得られた硬化物を、上記ステンレス鋼板ごと作動油(Solutia社製のリン酸エステル系作動油、製品名「スカイドロール」)およびジェット燃料(EMGマーケティング合同会社製、製品名「JET A-1」)にそれぞれ浸漬し、室温で2週間放置した。その結果、いずれもステンレス鋼板からの剥離や該ステンレス鋼板との界面への作動油またはジェット燃料の顕著な浸入は認められなかった。
Figure 0007262460000001
Figure 0007262460000002
なお、表1、2において使用した略語の意味は、以下のとおりである。
LP-55:東レファインケミカル、両末端チオールポリサルファイド、製品名チオコールLP-55、重量平均分子量4000。
LP-31:東レファインケミカル、両末端チオールポリサルファイド、製品名チオコールLP-31、重量平均分子量7500。
LP-3:東レファインケミカル、両末端チオールポリサルファイド、製品名チオコールLP-3、重量平均分子量1000。
jER806:三菱ケミカル、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ当量177g/eq)の製品名。
jER1001:三菱ケミカル、2官能エポキシ樹脂(エポキシ当量400~500g/eq)の製品名。
多官能エポキシ化合物:三菱ケミカル、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、製品名jER152、エポキシ当量176~178g/eq。
塩基性触媒:東京化成、2,4,6-トリアミノメチルフェノール。
1級2官能チオール化合物:東京化成、3,6-ジオキサ-1,8-オクタンジチオール、チオール当量91g/eq。
2級2官能チオール化合物:昭和電工、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、製品名カレンズMT BD1、チオール当量147.2g/eq。
4官能チオール化合物:昭和電工、ペンタエリスリトール テトラキス(3-メルカプトブチレート)、製品名カレンズMT PE1、チオール当量136g/eq。
WPBG-300:富士フィルム和光純薬、ビグアニド系光塩基発生剤の製品名。
WPBG-266:富士フィルム和光純薬、ビグアニド系光塩基発生剤の製品名。
イミダゾール系硬化剤:三菱ケミカル、1-イソブチル-2-メチルイミダゾールイミダゾール、製品名IBMI12。
増感剤:東京化成、2-エチルアントラキノン。
貯蔵安定化剤:四国化成、ホウ酸エステル化合物、製品名キュアダクトL-07N。
フィラー(ガラス):日本フリット社、ガラスフィラー、製品名CF0033-05C、平均粒子径7μm、屈折率nD=1.57。
フィラー(タルク):日本タルク社、タルク粉末、製品名ミクロエースSG-95、平均粒子径2.5μm。
例1~15に係るシーラントシートは、いずれも表面にタックを有する柔軟なシート状であって、該シート形状を安定して維持し得るものであった。また、かかるシーラントシートを貼り合わせるという簡単な操作によって、SUS304BA板を厚さ0.2mmのシーラント層で的確に被覆することができた。
例1~11のシーラントシートの硬化物は膨潤率が低く、良好な耐油性を示した。また、これらの硬化物は実用的な破断強度および破断時伸びを示した。なお、増感剤を使用しない他は例1と同様にしてシーラントシートを作製し、ブラックライトに代えてモレーンコーポレーション社製のUV-C紫外線照射システムUVDI-360を用いてUV-Cを2000mJ/cm照射した他は例1と同様にして硬化物の測定および評価を行ったところ、例1と同等の性能を示すことが確認された。
一方、硫黄含有率が低すぎる例12、14のシーラントシートは耐油性が低く、硫黄含有率が高すぎる例13のシーラントシートでは破断強度が低下した。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
21 シーラントシート
21A 一方の表面
21B 他方の表面
31,32 剥離ライナー
100,200 剥離ライナー付きシーラントシート

Claims (9)

  1. シート形状に成形されたシーラントシートであって、
    一分子中に2以上のエポキシ基を有するエポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)と、
    一分子中に2以上のチオール基を有するチオール化合物(C)と、
    を含み、
    前記シーラントシートに含まれる有機成分における硫黄原子の重量分率が32.0%以上36.0%以下である、シーラントシート。
  2. 前記エポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)は、ジサルファイド構造とチオール基とを一分子中に有するチオール基含有ポリサルファイド(a)と、一分子中に2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物(b)との反応物である、請求項1に記載のシーラントシート。
  3. 前記チオール基含有ポリサルファイド(a)の重量平均分子量は、2500より大きく7000未満である、請求項2に記載のシーラントシート。
  4. 前記エポキシ化合物(b)は、一分子中に2つのエポキシ基を有する2官能エポキシ化合物と、一分子中に3以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物と、を含む、請求項2または3に記載のシーラントシート。
  5. 前記2官能エポキシ化合物の分子量は600以下である、請求項4に記載のシーラントシート。
  6. 前記チオール化合物(C)として、一分子に2つのチオール基を有する2官能チオール化合物を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のシーラントシート。
  7. さらに光塩基発生剤(D)を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のシーラントシート。
  8. さらにフィラーを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のシーラントシート。
  9. 前記フィラーの含有量は、前記シーラントシート全体の10重量%以上40重量%未満である、請求項8に記載のシーラントシート。
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