JP7485511B2 - シーリング方法 - Google Patents

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Description

本発明は、シーリング方法に関し、詳しくは光硬化性シーラントシートを用いるシーリング方法に関する。
シーラント(封止剤、シーリング剤ともいう。)は、各種用途で広く用いられている。例えば、特許文献1、2には、航空機用や航空宇宙用シーラントとして用いられる液状の硬化性組成物が開示されている。上記のような航空機用途のシーラントの原料としては、液状ポリサルファイドポリマーが知られている。液状ポリサルファイドポリマーは、分子内に-S-S-結合を含むことから、これを硬化させることにより、ジェット燃料や作動油などの油に対する耐性(耐油性)に優れたゴム状の硬化物を形成し得る。
特表2006-526693号公報 特表2008-530270号公報
しかし、上記先行技術文献に開示されるような液状シーラントは、液状であるがゆえに、対象物の所望の範囲に所望の厚さで精度よく塗布することが難しい。このため、熟練作業者といえども液状シーラントの塗布作業に要する時間の短縮には限界がある。また、作業者の育成や確保の困難性に起因する製造コストの上昇、生産性の低下、シーリング品質の低下なども懸念される。
そこで、本発明者は、上記のような液状シーラントではなく、硬化処理前の状態において、シート形状を有するシーラントシートの研究開発を進めた結果、光硬化性シーラントシートを創出し、さらにその実用的な使用態様を具体化し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、光硬化性シーラントシートを使用するシーリング方法を提供することを目的とする。
この明細書により提供されるシーリング方法は、光硬化性シーラントシートを用意する工程と、上記シーラントシートに光照射処理を施す工程と、上記シーラントシートをシール対象物に貼り付ける工程と、をこの順序で含む。上記シーリング方法に使用する光硬化性シーラントシートは、あらかじめシート形状に成形されているので取扱い性がよい。また、上記シーリング方法によると、上記光硬化性シーラントシートをシーリング対象物に貼り付ける前に該シーラントシートに光照射処理を施すので、上記シーラントシートを良好にムラなく光硬化させやすい。
ここに開示される方法に使用される光硬化性シーラントシートとしては、遅延硬化型の光硬化性シーラントシートを好ましく採用し得る。遅延硬化型の光硬化性シーラントシートを用いることにより、該シーラントシートに光照射処理を施した後、シーリング対象物に貼り付けるまでの間のプロセス設計の自由度が高くなる。このことはシーリング作業の効率化や高精度化に役立ち得る。
ここに開示される方法に使用される光硬化性シーラントシートとしては、光アニオン硬化性のシーラントシートを好ましく選択し得る。ここで光アニオン硬化性のシーラントシートとは、該シーラントシートが光照射されることで生じるアニオンによって硬化反応が進行するように構成されたシーラントシートをいう。一般にアニオン反応はラジカル反応に比べて進行が遅いので、光アニオン硬化性シーラントシートを用いることにより、該シーラントシートに光照射処理を施した後、シーリング対象物に貼り付けるまでの間のプロセス設計の自由度が高くなる。このことはシーリング作業の効率化や高精度化に役立ち得る。
光照射処理後のシーラントシートをシール対象物に貼り付ける工程は、該シーラントシートの25℃貯蔵弾性率が0.7MPaを超える前に行うことが好ましい。シーラントシートに光照射処理を施した後、25℃貯蔵弾性率が0.7MPaを超えるほど光硬化が進行する前に上記シーラントシートをシール対象物に貼り付けることにより、該シーラントシートをシール対象物に密着させやすい。
ここに開示される方法に使用される光硬化性シーラントシートとしては、該シーラントシートの露出面にブラックライトを用いて2000mJ/cmの光照射を行ってから1時間後の25℃貯蔵弾性率(以下、「光照射後1時間貯蔵弾性率」ともいう。)が0.7MPa以下である光硬化性シーラントシートを好ましく選択し得る。これにより、光照射処理後のシーラントシートがシール対象物への貼付けに適した柔軟性を保持する時間(以下、「可使時間」ともいう。)を確保しやすく、その時間を利用して所望の作業や操作を実施することができる。このことはシーリング作業の効率化や高精度化に役立ち得る。
ここに開示される方法は、引張破断強度が0.7MPa以上のシーラント硬化物を形成する光硬化性シーラントシートを用いて好ましく実施され得る。このようなシーラントシートを用いることにより、シールの信頼性を高めることができる。
ここに開示される方法に用いられる光硬化性シーラントシートは、上記光照射処理を施す前の25℃貯蔵弾性率が0.005MPa以上0.6MPa以下であることが好ましい。このような光硬化性シーラントシートを用いることにより、シート形状の維持性と、あらかじめ光照射処理を行った後にシール対象物に貼り付ける際の該シール対象物への密着性とをバランスよく両立し得る。
ここに開示される方法に用いられる光硬化性シーラントシートは、ポリサルファイド系シーラントからなることが好ましい。ポリサルファイド構造を有することにより、上記シーラントシートは、優れた耐油性を発揮するものとなり得る。
ここに開示される方法に用いられる光硬化性シーラントシートは、光塩基発生剤を含むことが好ましい。光塩基発生剤を含むシーラントシートは、光照射により光塩基発生剤から塩基を発生させることにより硬化反応を促進し得るように構成されているので、上記光塩基発生剤からの塩基発生を抑制する環境で保存することにより良好な保存性を発揮することができる。上記光塩基発生剤としては、例えば、ビグアニド型のカチオンを含む化合物(ビグアニド系イオン性光塩基発生剤)を好ましく採用し得る。かかる光塩基発生剤によると、使用前における良好な保存性と使用時の良好な硬化性(光アニオン硬化性)とをバランスよく両立するシーラントシートが好適に実現され得る。
この明細書によると、ここに開示されるいずれかの方法に用いられる光硬化性シーラントシートが提供される。上記光硬化性シーラントシートは、遅延硬化型の光硬化性シーラントシート(例えば、光アニオン硬化性シーラントシート)であることが好ましい。ここに開示される方法は、このような光硬化性シーラントシートを用いて好ましく実施することができる。
なお、上述した各要素を適宜組み合わせたものや、各要素の一部を分離したものも、本件特許出願によって特許による保護を求める発明の範囲に含まれ得る。
シーラントシートの一構成例を模式的に示す断面図である。 シーラントシートの他の一構成例を模式的に示す断面図である。 一実施態様に係るシーリング方法を示す説明図である。 一実施態様に係るシーリング方法を示す説明図である。 一実施態様に係るシーリング方法により形成されるシール構造を示す説明図である。 他の一実施態様に係るシーリング方法を示す説明図である。 他の一実施態様に係るシーリング方法を示す説明図である。 他の一実施態様に係るシーリング方法を示す説明図である。 他の一実施態様に係るシーリング方法により形成されるシール構造を示す説明図である。 他の一実施態様に係るシーリング方法を示す説明図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、本明細書に記載された発明の実施についての教示と出願時の技術常識とに基づいて当業者に理解され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明することがあり、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、図面に記載の実施形態は、本発明を明瞭に説明するために模式化されており、実際に提供される製品のサイズや縮尺を必ずしも正確に表したものではない。
<剥離ライナー付きシーラントシートの構成例>
ここに開示される方法(シーリング方法、シーラント硬化物の形成方法、シーラント硬化物によってシールされたシール対象物の製造方法等を包含する。以下同じ。)におけるシーラントシートとしては、光硬化性のシーラントシートが用いられる。いくつかの態様において、上記光硬化性シーラントシートは、該シーラントシートの少なくとも一方の表面に当接する剥離面を有する剥離ライナーを含む剥離ライナー付きシーラントシートの形態で用いられる。したがって、ここに開示されるシーリング方法において光硬化性シーラントシートを用意する工程は、該光硬化性シーラントシートを構成要素として含む剥離ライナー付きシーラントシートを用意する工程であり得る。剥離ライナー付きシーラントシートを用いるシーリング方法によると、シーラントシートを剥離ライナーに積層した状態で取り扱うことができるので該シーラントシートの取扱い性(例えば、寸法安定性、搬送性、加工性等)がよく、またシーラントシートの表面は剥離ライナーに保護されているので、外力による変形やゴミ付着等の汚染が防止される。
ここに開示される方法に用いられ得る剥離ライナー付きシーラントシートの構成例を図1,2に示す。
図1に示す剥離ライナー付きシーラントシート100は、光硬化性のシーラントシート21と、シーラントシート21の両面に配置された剥離ライナー31,32と、を備える。より具体的には、シーラントシート21は、その一方の表面(第一面)21Aおよび他方の表面(第二面)21Bの各々が、少なくともシーラントシート21側が剥離面となっている剥離ライナー31,32によってそれぞれ保護されている。2つの剥離ライナー31,32は、シーラントシート21から剥離可能な状態でシーラントシート21の各面に当接しており、適切なタイミングで軽い剥離力で剥離除去され得る。
剥離ライナー31,32の各々は、透光性であってもよく、遮光性であってもよい。すなわち、剥離ライナー31,32の両方が透光性であってもよく、両方が遮光性であってもよく、一方が透光性であり、他方が遮光性であってもよい。剥離ライナー31,32の少なくとも一方が透光性であるシーラントシート21は、その透光性剥離ライナー越しに光照射を実施することにより硬化させることができる。このように透光性剥離ライナー越しに光照射を実施することは、シーラントシート21の表面へのゴミ付着等の汚染の防止や、シーラントシート21の取扱い性向上等の観点から好ましい。また、シーラントシート21は、剥離ライナーで保護されずに露出している表面(露出面)に対して光照射することにより硬化させてもよい。シーラントシート21の露出面に対して光照射することは、光エネルギーの利用効率等の観点から有利となり得る。例えば剥離ライナー31,32の両方が遮光性であるシーラントシート21は、一方または両方の剥離ライナーを剥がしてシーラントシート21の表面を露出させ、その露出面に対して光照射を実施することにより硬化させることができる。シーラントシート21への光照射は、第一面21Aおよび第二面21Bのいずれか一方の側から行ってもよく、両側から行ってもよい。
図2に示す剥離ライナー付きシーラントシート200は、光硬化性のシーラントシート21と、シーラントシート21の一方の表面21Aに配置された剥離ライナー31と、を備える。より具体的には、シーラントシート21は、その一方の表面21Aが、両面が剥離面となっている剥離ライナー31によって保護された構成を有し、これを巻回すると、シーラントシート21の他方の表面21Bが剥離ライナー31の背面に当接することにより、表面21Bもまた剥離ライナー31で保護された構成とできるようになっている。剥離ライナー31は、シーラントシート21から剥離可能な状態でシーラントシート21の表面21Aに当接しており、適当なタイミングで軽い剥離力で剥離除去され得る。剥離ライナー31は、透光性であってもよく、遮光性であってもよい。
<シーラントシート>
ここに開示される方法に使用されるシーラントシートは、あらかじめシート形状に成形されており、かかるシート形状の形態で取り扱う(例えば、光照射の実施、シール対象箇所への配置等を行う)ことができる。この点で、上記シーラントシートは、液状の形態でシール対象箇所に塗布される液状シーラント(例えば、液状ポリサルファイドポリマーと含むA液と該ポリサルファイドポリマーの硬化剤を含むB液とを施工の直前に混ぜ合わせて調製される液状のシーラント)とは明確に区別される。また、ここに開示される方法に使用されるシーラントシートは、光照射により硬化が進行する光硬化性シーラントシートである。かかる硬化性を有する点において、ここに開示される方法に用いられる光硬化性シーラントシートは、硬化後のシーラント(シーラント硬化物)とは明確に区別される。ここで「光硬化性」とは、光照射により硬化可能な、の意味である。したがって、光硬化性シーラントシートは、完全に硬化する前の状態を指す語である。ここに開示される方法は、光硬化性シーラントシートに光照射処理を施した後、該シーラントシートが完全に硬化する前にシーリング対象物に貼り付ける態様で実施することが好ましい。光照射処理後であって完全硬化前の光硬化性シーラントシートは、シール対象箇所への配置後にさらに硬化させることが可能な、半硬化状態のシーラントシートとして把握され得る。
ここに開示される方法に使用するシーラントシートとしては、遅延硬化型の光硬化性シーラントシートを好ましく使用し得る。ここで、遅延硬化型の光硬化性シーラントシートとは、25℃の環境下において、該シーラントシートの露出面にブラックライトを用いて2000mJ/cmの光照射を行ってから上記シーラントシートの25℃貯蔵弾性率が光照射前の25℃貯蔵弾性率(すなわち、後述する初期貯蔵弾性率)の2倍に上昇するまでの時間(以下、「硬化遅延時間」ともいう。)が1時間以上であることをいう。このような光硬化性シーラントシートを用いることにより、光照射処理後のシーラントシートの可使時間をある程度の長さで確保しやすく、その時間を利用して、例えば所望の作業や操作(例えば、シーラントシートの搬送や加工、貼り付け対象箇所の清掃や前処理等)を実施したり、作業時期の調節を行ったりすることができる。上記硬化遅延時間は、2時間以上でもよく、3時間以上でもよく、6時間以上でもよく、12時間以上でもよく、24時間以上でもよい。上記硬化遅延時間は、シーリング硬化物が形成されるまでの養生スペース占有期間の短縮、シーリング硬化物の形成を待って後続する工程を行う場合における待ち時間の短縮等の観点から、通常、14日以下であることが適当であり、7日以下であることが好ましく、5日以下でもよく、72時間以下でもよい。
ここに開示される方法に使用されるシーラントシート(すなわち、光照射処理を施す前のシーラントシート)は、室温(例えば25℃程度)でシート形状を安定して維持し得る程度の保形性を有することが好ましい。上記保形性は、流動などの塑性変形に対する抵抗性としても把握され得る。ここに開示される方法に使用されるシーラントシートの25℃貯蔵弾性率(すなわち、光照射処理を施す前のシーラントシートの25℃貯蔵弾性率における貯蔵弾性率。以下、「初期貯蔵弾性率」ともいう。)は、例えば0.005MPa超であってよく、0.01MPa超であることが好ましい。シーラントシートの初期貯蔵弾性率が高くなると、該シーラントシートの取扱い性や加工性(例えば、切断性、ブロッキング防止性、リワーク性など)が向上する傾向にある。いくつかの態様において、シーラントシートの初期貯蔵弾性率は、0.02MPa以上であることが適当であり、例えば0.05MPa以上であってよく、0.1MPa以上でもよく、0.2MPa以上でもよい。初期貯蔵弾性率の上限は特に制限されず、例えば1MPa以下であり得る。光照射処理後のシーラントシートをシール対象物に貼り付けるまでの時間の選択幅を広げる観点から、いくつかの態様において、シーラントシートの初期貯蔵弾性率は、0.8MPa以下であることが適当であり、0.6MPa以下であることが好ましく、0.5MPa以下であることがより好ましく、0.4MPa以下でもよく、0.3MPa以下でもよく、0.2MPa以下でもよく、0.1MPa以下でもよい。
光照射処理後のシーラントシートは、光硬化が過度に進行する前にシール対象物に貼り付けることが好ましい。ここに開示される方法は、例えば、光照射処理後のシーラントシートを、該シーラントシートの25℃貯蔵弾性率が1MPaを超える前にシール対象物に貼り付ける態様で実施され得る。以下、シール対象物に貼り付けるときのシーラントシートの25℃貯蔵弾性率を「貼付け時貯蔵弾性率」ともいう。シール対象物への密着性等の観点から、シーラントシートの貼付け時貯蔵弾性率は、例えば0.7MPa以下であることが適当であり、0.6MPa以下であることが好ましく、0.5MPa以下であることがより好ましく、0.4MPa以下でもよく、0.3MPa以下でもよく、0.2MPa以下でもよい。また、光照射処理を施した後、シール対象物に貼り付けるまでの間におけるシーラントシートの取扱い性や加工性(例えば、切断性、ブロッキング防止性、リワーク性など)の観点から、シーラントシートの貼付け時貯蔵弾性率は、通常、0.01MPa超であることが適当であり、0.02MPa以上であることが好ましく、0.05MPa以上でもよく、0.1MPa以上でもよく、0.2MPa以上でもよい。
ここに開示される方法に使用される光硬化性シーラントシートは、光照射後1時間貯蔵弾性率が1MPa以下であることが適当であり、0.7MPa以下であることが好ましい。これにより、光照射処理後のシーラントシートの可使時間をある程度の長さで確保しやすく、その時間を利用して、例えば所望の作業や操作(例えば、シーラントシートの搬送や加工、貼り付け対象箇所の清掃や前処理等)を実施したり、作業時期の調節を行ったりすることができる。いくつかの態様において、シール対象物への密着性向上または可使時間延長の観点から、シーラントシートの光照射後1時間貯蔵弾性率は、例えば0.6MPa以下でもよく、0.5MPa以下でもよく、0.4MPa以下でもよく、0.3MPa以下でもよく、0.2MPa以下でもよい。また、光照射処理を施した後、シール対象物に貼り付けるまでの間におけるシーラントシートの取扱い性や加工性(例えば、切断性、ブロッキング防止性、リワーク性など)の観点から、光照射後1時間貯蔵弾性率は、通常、0.01MPa超であることが適当であり、0.02MPa以上であることが好ましく、0.05MPa以上でもよく、0.1MPa以上でもよく、0.2MPa以上でもよい。
ここに開示される方法に使用される光硬化性シーラントシートとしては、該シーラントシートから形成されるシーラント硬化物の25℃貯蔵弾性率が0.8MPa以上であるものを好ましく採用し得る。このようなシーラントシートを用いることにより、シールの信頼性を高めることができる。いくつかの態様において、シーラント硬化物の25℃貯蔵弾性率は、1.0MPa以上でもよく、1.2MPa以上でもよく、1.5MPa以上でもよい。シーラント硬化物の25℃貯蔵弾性率の上限は特に制限されない。シーラント硬化物の25℃貯蔵弾性率は、例えば5.0MPa以下であってよく、3.0MPa以下でもよく、2.0MPa以下でもよい。
なお、この明細書において、上述した各貯蔵弾性率は、25℃の測定環境において、周波数1Hz、歪み0.5%の条件で、粘弾性試験機を用いて測定される。粘弾性試験機としては、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製の機種名「ARES G2」またはその同等品を用いることができる。貯蔵弾性率は、より詳しくは、後述する実施例に記載の方法で測定される。
ここに開示される方法に使用するシーラントシートは、25℃の環境下において、該シーラントシートの露出面にブラックライトを用いて2000mJ/cmの光照射を行ってから該シーラントシートの25℃貯蔵弾性率が0.7MPaに到達するまでの時間(以下、「猶予時間」ともいう。)が5分以上であることが適当であり、10分以上であることが好ましく、15分以上であることがより好ましく、30分以上であることがさらに好ましい。上記猶予時間のより長いシーラントシートは、ここに開示される方法における可使時間がより長くなる傾向にある。これにより、シーラントシートに光照射処理を施す工程から該シーラントシートをシール対象物に貼り付ける工程までの時間の選択幅が広くなり、プロセス設計の融通性を高めることができる。かかる観点から、いくつかの態様において、上記猶予時間は、1時間以上でもよく、3時間以上でもよく、6時間以上でもよく、12時間以上でもよく、24時間以上でもよい。上記猶予時間の上限は特に制限されず、例えば60日以下であってよく、30日以下でもよく、20日以下でもよい。シーリング硬化物が形成されるまでの養生スペース占有期間の短縮、シーリング硬化物の形成を待って後続する工程を行う場合における待ち時間の短縮等の観点から、いくつかの態様において、上記猶予時間は、14日以下であることが適当であり、7日以下であることが好ましく、5日以下でもよく、72時間以下でもよい。
ここに開示される方法に使用される光硬化性シーラントシートの厚さは特に限定されず、目的とするシーラント硬化物の厚さに応じて選択され得る。シールの信頼性等の観点から、いくつかの態様において、シーラントシートの厚さは、例えば0.01mm以上であってよく、0.03mm以上でもよく、0.05mm以上でもよく、0.1mm以上でもよく、0.15mm以上でもよい。ここに開示される方法は、厚さが例えば0.3mm超、0.5mm超、1mm超または1.5mm超であるシーラントシートを用いる態様でも好適に実施され得る。また、いくつかの態様において、シーラントシートの厚さは、例えば10mm以下であってよく、5mm以下でもよく、3mm以下でもよく、2mm以下でもよく、1mm以下でもよく、0.5mm以下でもよく、0.3mm以下でもよい。シーラントシートの厚さが小さくなると、光硬化性は向上する傾向にある。シーラントシートの厚さを小さくすることは、シール対象箇所の表面形状への追従性や軽量化などの観点から有利となり得る。
<シーリング方法の実施態様例>
以下、図面を参照しつつ、ここに開示されるシーリング方法の具体的な実施態様およびその変形例をいくつか例示するが、ここに開示されるシーリング方法をこれらの具体例により示されるものに限定する意図ではない。
(第一実施態様)
本実施態様のシーリング方法は、以下のようにして行われる。
まず、図1に示す構成の剥離ライナー付きシーラントシート100を用意する(ステップS10、準備工程)。本実施態様において使用する剥離ライナー付きシーラントシート100は、剥離ライナー31、32がいずれも遮光性である。これにより、シーラントシート21の保存中(ここに開示されるシーリング方法において光照射処理を行う前)において該シーラントシート21を光から遮蔽し、シーラントシート21の保存性(品質安定性)を高めることができる。シーラントシート21としては、例えば初期貯蔵弾性率が0.02MPa~0.1MPaの範囲にあるものを使用する。なお、剥離ライナー付きシーラントシート100を用意することには、取扱いやすい適切なサイズにするため、またはシール対象箇所の形状やサイズに合わせるために、剥離ライナー付きシーラントシート100を所望の外形にカットする(例えば、トムソン刃による打抜き加工、テープカッターによる切断等を行う)ことが含まれ得る。
次いで、シーラントシート21から剥離ライナー31を剥がして第一面21Aを露出させ、図3に示すように、この露出した第一面21Aの側からシーラントシート21に光照射を実施する光照射処理を行う(ステップS14、光照射工程)。上記光照射処理は、例えば図示しない露光装置のステージ上に剥離ライナー付きシーラントシート100(剥離ライナー31は剥がされている)を載せ、そのステージ上において行うことができる。光源の種類や照射量は、シーラントシート21の組成や構成に応じて、シーラントシート21の光硬化が適切に進行するように決定される。
次いで、図4に示すように、光照射処理されたシーラントシート21をシール対象物10のシール対象箇所に貼り付ける(ステップS16、貼付け工程)。図4に示す例では、シール対象物10は部材12とその上に部分的に配置された部材14とを含み、シーラントシート21は、部材14の端を覆うとともに部材12との合わせ目を塞ぐように、部材14の外縁から部材12の上面に至る箇所に貼りつけられる。シーラントシート21をシール対象物10に貼り付ける工程は、シーラントシート21の光硬化が完了する前に行われ、例えばシーラントシート21の25℃貯蔵弾性率が0.2MPaを超える前に行われる。本実施態様では、シール対象物10へのシーラントシート21の貼付けは、第二面21Bに剥離ライナー32が積層された状態で行う。これによりシーラントシート21の第一面21Aをシール対象物10に、容易にかつ精度よく圧着することができる。
変形例として、第二面21Bから剥離ライナー32を除去した後に、シーラントシート21をシール対象物10に貼り付けてもよい。これによりシーラントシート21のシール対象物10の表面形状への追従性を高めることができる。剥離ライナー32を除去した後にシーラントシート21をシール対象物10に圧着する操作は、必要に応じて、離型性の表面を有する治具、フィルム、手袋等を用いて実施することができる。
上記光照射処理の後、シーラントシート21のシール対象物10への貼付けまでの時間は、該貼付けを適切に行い得る範囲で設定することができ、例えば照射直後から24時間以内、12時間以内等とすることができる。その間に、シーラントシート21は、第二面21Bに剥離ライナー32が積層された状態で、必要に応じて、露光装置からシール対象物への貼付け作業を行う場所への搬送、外形加工(例えば、トムソン刃による打抜き加工)等を行うことができ、また、シール対象物10の準備が整うまで(例えば、シール対象物への前工程の実施、搬送、シール対象箇所の清掃、前処理等が完了するまで)の時間調整や、機器の点検や作業者の交代等による作業の中断等に対処するために一時的に保存することができる。あるいは、ここに開示される方法は、光照射処理後のシーラントシート21をすぐにシール対象物10に貼り付ける態様で実施してもよい。
シーラントシート21をシール対象物10に貼り付けた後、第二面21Bから剥離ライナー32を除去し(図5参照)、シーラントシート21の硬化を進行させてシーラント硬化物を形成する(ステップS18、硬化工程)。このようにしてシール対象物10がシーラント硬化物によりシールされる。剥離ライナー32の除去は、シーラントシート21をシール対象物10に貼り付けた直後に行ってもよく、シーラント硬化物の形成後に行ってもよく、その間の任意のタイミングで行ってもよい。シーラントシート21の貼付け後、早い段階で剥離ライナー32を除去することは、シーラントシート21のシール対象物10への密着性や外形精度の観点から有利となり得る。シーラントシート21の硬化がかなり進行して以降(シーラント硬化物の形成後であり得る。)に剥離ライナー32を除去することは、第二面21Bへのゴミ付着防止の観点から有利となり得る。
なお、ここに開示されるシーリング方法において、光照射処理されたシーラントシート21は、シール対象物10に貼り付けたシーラントシート21を室温(例えば20℃~30℃、典型的には25℃程度)で放置することにより硬化してシーラント硬化物を形成することができるので、シール対象物10への貼付け後にシーラントシート21に別途の硬化処理(例えば、光照射、加熱等)を追加的に行うことは必要とされない。ただし、特に不都合を生じない限度で、シール対象物10上においてシーラントシート21に別途の硬化処理を適宜行うことは妨げられず、そのような別途の硬化処理を行う態様もここに開示されるシーリング方法の概念には包含され得る。
(第二実施態様)
本実施態様のシーリング方法は、以下のようにして行われる。
第一実施態様と同様に、図1に示す構成の剥離ライナー付きシーラントシート100を用意する(ステップS10、準備工程)。ただし、本実施態様において使用する剥離ライナー付きシーラントシート100は、剥離ライナー31が透光性である。剥離ライナー32は、透光性でもよく、遮光性でもよい。
次いで、剥離ライナー31越しにシーラントシート21に光照射を実施する光照射処理を行う(ステップS14、光照射工程)。上記光照射処理は、少なくとも第一面21A側からシーラントシート21への光照射を剥離ライナー31越しに行う点以外は、第一実施態様における光照射と同様にして実施することができる。また、剥離ライナー32が透光性である場合は、例えば図6に示すように、シーラントシート21の両側から剥離ライナー31、32越しにシーラントシート21への光照射を行ってもよい。これにより光照射処理に要する時間を短縮し得る。
光照射処理されたシーラントシート21から剥離ライナー31を剥がして第一面21Aを露出させる。その後、図4に示すように、シーラントシート21をシール対象物10のシール対象箇所に貼り付け(ステップS16、貼付け工程)、そのまま室温でシーラントシート21の硬化を進行させてシーラント硬化物を形成する(ステップS18、硬化工程)。上記貼付け工程および硬化工程は、第一実施態様における貼付け工程および硬化工程と同様にして実施することができる。
(第三実施態様)
本実施態様のシーリング方法は、以下のようにして行われる。
第二実施態様と同様に、図1に示す構成の剥離ライナー付きシーラントシート100を用意する(ステップS10、準備工程)。本実施態様において使用する剥離ライナー付きシーラントシート100は、剥離ライナー31、32がいずれも透光性である。
図6に示すように、シーラントシート21の両側から剥離ライナー31、32越しにシーラントシート21に光照射を実施する(ステップS14、光照射工程)。
光照射処理されたシーラントシート21から剥離ライナー31を剥がして露出した第一面21Aを図7に示すように部材12に貼り付け、次いでシーラントシート21から剥離ライナー32を剥がして露出した第二面21Bに(図8)、図9に示すように部材16を貼り付ける(ステップS16、貼付け工程)。このように、本実施態様におけるシール対象物10は部材12および部材16を含み、部材12と部材16との間にシーラントシート21が配置される。部材12,16の間へのシーラントシート21の配置(すなわち、シーラントシート21への部材12、16の貼付け)は、光硬化が完了する前に行われ、例えばシーラントシート21の25℃貯蔵弾性率が0.2MPaを超える前に行われる。
その後、室温で放置することによりシーラントシート21の硬化を進行させてシーラント硬化物を形成する(ステップS18、硬化工程)。このようにして、シール対象物10を構成する部材12、16の間がシーラント硬化物によりシールされる。
なお、変形例として、光照射はシーラントシート21の一方の側(例えば、第一面21Aの側)から剥離ライナー越しに行ってもよい。また、第一実施態様と同様に遮光性の剥離ライナー31、32を使用し、剥離ライナー31を剥がして露出した第一面21Aに対して光照射を実施してもよい。
(第四実施態様)
本実施態様のシーリング方法は、以下のようにして行われる。
第一実施態様と同様に、図1に示す構成の剥離ライナー付きシーラントシート100を用意する(ステップS10、準備工程)。本実施態様において使用する剥離ライナー付きシーラントシート100は、剥離ライナー31、32がいずれも遮光性である。
シーラントシート21から剥離ライナー32を剥がして第二面21Bを露出させ、露出した第二面21Bを部材16に貼り付ける(図10)。
次いで、シーラントシート21から剥離ライナー31を剥がして第一面21Aを露出させ、この露出した第一面21Aの側からシーラントシート21に光照射を実施する(ステップS14、光照射工程)。
その後、図9に示すように、光照射処理されたシーラントシート21の第一面21A側を部材12に貼り付ける(ステップS16、貼付け工程)。このように、本実施態様におけるシール対象物10は、第三実施態様と同様、部材12および部材16を含み、部材12と部材16との間にシーラントシート21が配置される。部材12,16の間へのシーラントシート21の配置(すなわち、シーラントシート21への部材12、16の貼付け)は、光硬化が完了する前に行われ、例えばシーラントシート21の25℃貯蔵弾性率が0.2MPaを超える前に行われる。
<シーラントシートの構成材料>
以下、ここに開示される方法において使用し得るシーラントシートにつき、より詳しく説明する。ここに開示されるシーラントシートの材料は、特に限定されず、各種の光硬化性材料を用いることができる。例えば、シリコーン系、変性シリコーン系、シリル化アクリレート系、アクリル系、アクリルウレタン系、ポリウレタン系、ポリサルファイド系、ポリイソブチレン系、ブチルゴム系等のシーラント材料を用いることができる。なかでも、耐油性に優れるポリサルファイド系のシーラント材料が好ましい。以下、好適例としてのポリサルファイド系シーラント材料について説明するが、ここに開示されるシーラントシートの構成材料をポリサルファイド系シーラント材料に限定するものではない。
<ポリサルファイドポリマー(A)>
いくつかの好ましい態様では、光硬化性シーラントシートとして、ポリサルファイドポリマー(A)を含む光硬化性シーラントシートを使用する。ポリサルファイドポリマー(A)は、-S-S-で表されるジサルファイド構造を含む繰返し単位を有するポリマーであって、該シーラントシートから形成される硬化物の耐油性向上に寄与する。ここに開示されるタイプ(I)のシーラントシートは、上記ポリサルファイドポリマー(A)として、上記エポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)を含む。ここに開示されるタイプ(II)のシーラントシートは、上記ポリサルファイドポリマー(A)として、上記チオール基含有ポリサルファイドポリマー(AC)を含む。
一分子のポリサルファイドポリマー(A)に含まれるジサルファイド構造の数は、1個でもよく、2個以上でもよい。硬化物の耐油性の観点から、一分子当たり平均3個以上のジサルファイド構造を含むポリサルファイドポリマー(A)を好ましく採用し得る。ポリサルファイドポリマー(A)の一分子当たりのジサルファイド構造の数の平均値(以下、平均ジサルファイド基数ともいう。)は、例えば5以上であってよく、10以上でもよく、15以上でもよく、20以上でもよい。平均ジサルファイド基数の上限は特に制限されないが、シーラントシートの製造容易性(例えば、シート形状への成形容易性)等の観点から、例えば100以下であってよく、70以下でもよく、50以下でもよい。
ジサルファイド構造は、ポリサルファイドポリマー(A)の主鎖中に含まれていることが好ましい。主鎖中にジサルファイド構造を含むことにより、伸びのよい硬化物が形成される傾向にある。
いくつかの態様において、ポリサルファイドポリマー(A)は、以下の一般式(1)で表される繰返し単位を含むことが好ましい。
-R-O-R-O-R-S-S- (1)
ここで、一般式(1)中、R、R、Rは、それぞれ独立に、炭素原子数1~4のアルキレン基であり、好ましくは炭素原子数1~3のアルキレン基であり、より好ましくは炭素原子数1~2のアルキレン基である。上記繰返し単位(1)は、エーテル構造とジスルフィド構造とが連なった構成を有する。このような繰返し単位(1)を有するポリサルファイドポリマー(A)によると、耐油性および柔軟性に優れた硬化物が形成される傾向にある。一分子のポリサルファイドポリマー(A)に含まれる上記繰返し単位(1)の数の平均値は、例えば5以上であってよく、10以上でもよく、15以上でもよく、20以上でもよい。また、上記平均値は、例えば100以下であってよく、70以下でもよく、50以下でもよい。上記ポリサルファイドポリマー(A)は、一分子中に、上記繰返し単位(1)が連続する領域を、1つのみ有していてもよく、2つ以上有していてもよい。
いくつかの態様において、ポリサルファイドポリマー(A)は、以下の一般式(2a)で表される構造および一般式(2b)で表される構造の少なくとも一方を含み得る。
-CH-S-CHCHOH-R’ (2a)
-CH-S-CH(CHOH)-R’ (2b)
ここで、一般式(2a),(2b)中のR’は、少なくとも1個(例えば1個~5個程度)のエポキシ基を有する有機基である。一般式(2a)および(2b)の構造は、例えば、-CH-SHで表される構造部分を有するチオールと、エポキシ環上に置換基R’を有するエポキシ化合物と、の付加反応により形成され得る。一般式(2a)または(2b)で表される構造の数(一般式(2a)で表される構造と一般式(2b)で表される構造との両方を含む場合は、それらの合計数)は、ポリサルファイドポリマー(A)の一分子当たりの平均値として、例えば1.1以上であってよく、1.3以上でもよく、1.5以上でもよく、1.8以上でもよく、2.0以上でもよく、2.0超でもよい。また、上記平均値は、例えば15以下であってよく、10以下でもよく、7.0以下でもよく、5.0以下でもよい。
上記一般式(2a),(2b)で表される構造は、チオール基とエポキシ基との付加反応により形成され得る。上記一般式(2a),(2b)で表される構造を含むポリサルファイドポリマー(A)は、例えば、ジサルファイド構造とチオール基とを一分子中に有するチオール基含有ポリサルファイドと、一分子中に2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、の反応物またはその変性物であり得る。
ポリサルファイドポリマー(A)の前駆体としての上記チオール基含有ポリサルファイドの重量平均分子量(Mw)は、特に限定されず、例えば500以上であってよく、800以上でもよく、1000以上でもよく、1000超でもよく、2000超でもよい。よりMwの高いチオール基含有ポリサルファイドによると、より伸びのよい硬化物を与えるシーラントシートが形成される傾向にある。いくつかの態様において、チオール基含有ポリサルファイドのMwは、例えば2500超であってよく、3000超でもよく、3500超でもよい。また、上記チオール基含有ポリサルファイドのMwは、例えば30000以下であってよく、10000以下でもよい。ハンドリング性や上記エポキシ化合物との反応性の観点から、いくつかの態様において、上記チオール基含有ポリサルファイドのMwは、例えば9000未満であってよく、8000未満でもよく、7500未満でもよく、7000未満でもよく、6500未満でもよい。
なお、本明細書において、チオール基含有ポリサルファイドや、後述するエポキシ基含有ポリサルファイド、ポリサルファイドポリマー(A)等のポリマーのMwは、テトラヒドロフラン(THF)を移動相とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリエチレングリコール換算して求めることができる。あるいは、カタログや文献等に記載された公称値を用いてもよい。
上記チオール基含有ポリサルファイドは、上記ジサルファイド構造を、主鎖中に含むことが好ましい。主鎖中にジサルファイド構造を含むチオール基含有ポリサルファイドと一分子中に2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物との反応物またはその変性物であるポリサルファイドポリマー(A)を含むシーラントシートによると、伸びのよい硬化物が形成される傾向にある。一分子のチオール基含有ポリサルファイドに含まれるジサルファイド構造の数は、使用するチオール基含有ポリサルファイド全体の平均値(平均ジサルファイド基数)として、例えば3以上であってよく、5以上でもよく、10以上でもよく、15以上でもよく、20以上でもよい。平均ジサルファイド基数の上限は特に制限されないが、シーラントシートの製造容易性(例えば、シート形状への成形容易性)等の観点から、例えば100以下であってよく、70以下でもよく、50以下でもよい。
ポリサルファイドポリマー(A)の前駆体としての上記チオール基含有ポリサルファイドに含まれるチオール基の数は、該チオール基含有ポリサルファイドの一分子当たり、1個であってもよく、2個以上であってもよい。硬化物の強度向上や硬化時間短縮に適したシーラントシートを実現しやすくする観点から、一分子中に含まれるチオール基の数の平均値が1より多いチオール基含有ポリサルファイドが好ましい。使用するチオール基含有ポリサルファイド一分子当たりのチオール基の数の平均値(平均チオール基数)は、例えば1.1以上であってよく、1.3以上でもよく、1.5以上でもよく、1.8以上でもよく、2以上でもよく、2超でもよい。平均チオール基数の上限は特に制限されないが、硬化物の柔軟性の観点から、例えば15以下であってよく、10以下でもよく、7以下でもよく、5以下でもよい。なお、平均チオール基数が2以上であるポリサルファイドは、一分子中に2以上のチオール基を有するチオール化合物(C)としても把握され得る。
上記チオール基は、該チオール基含有ポリサルファイドの末端に配置されていることが好ましい。このようなチオール基含有ポリサルファイドを、一分子中に2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と反応させることにより、末端にエポキシ基を有するエポキシ基含有ポリサルファイドポリマーを好適に形成することができる。使用されるチオール基含有ポリサルファイドは、主鎖の片末端にチオール基を有するものであってもよく、主鎖の両末端にチオール基を有するものであってもよく、主鎖の末端以外の箇所にさらにチオール基を有するものであってもよく、これらの任意の組合せの混合物であってもよい。主鎖の両末端にチオール基を有するチオール基含有ポリサルファイド、すなわち両末端チオールポリサルファイドの使用が特に好ましい。両末端チオールポリサルファイドを用いて合成されたポリサルファイドポリマー(A)を含むシーラントシートによると、強度と伸びとをバランスよく両立する硬化物が形成される傾向にある。いくつかの態様において、使用されるチオール基含有ポリサルファイド全体のうち、両末端チオールポリサルファイドの割合は、重量基準で、例えば50%超であってよく、70%超でもよく、90%超でもよく、95%超でもよく、98%超でもよく、実質的に100%でもよい。
両末端チオールポリサルファイドは、好ましくは、以下の一般式(3)で表される。
HS-(R-O-R-O-R-S-S)-R-O-R-O-R-SH (3)
一般式(3)中、R、R、Rは、それぞれ独立に、炭素原子数1~4のアルキレン基であり、好ましくは炭素原子数1~3のアルキレン基であり、より好ましくは炭素原子数1~2のアルキレン基である。一般式(3)中のnは、一般式(3)の化合物の式量が、例えば500以上10000以下、または800以上9000未満、または1000以上8000未満、または1000を超えて8000未満、または2000を超えて7500未満の範囲となるように選択された整数であり得る。
いくつかの態様において、一般式(3)で表される化合物としては、例えば、RがCであり、RがCHであり、RがCであるチオール基含有ポリサルファイドを好ましく採用し得る。この態様において、一般式(3)中のnは、例えば3~70であってよく、5~60でもよく、7~50でもよく、10~50でもよい。
(エポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB))
ここに開示されるシーラントシートのうち、上記タイプ(I)のシーラントシートは、上記ポリサルファイドポリマー(A)として、一分子中に2以上のエポキシ基を有するエポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)を含み、さらに、一分子中に2以上のチオール基を有するチオール化合物(C)を含むものであり得る。いくつかの好ましい態様において、シーラントシートは、さらに光塩基発生剤(D)を含むものであり得る。かかる態様のシーラントシートは、エポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)に該当しないポリサルファイドポリマー(A)をさらに含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。また、上記態様のシーラントシートは、エポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)に該当しないエポキシ化合物(B)をさらに含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。
エポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)の一分子当たりのエポキシ基の数の平均値(以下、平均エポキシ基数ともいう。)は、例えば2以上20以下程度であり得る。硬化物の柔軟性の観点から、上記平均エポキシ基数は、例えば15以下であってよく、10以下でもよく、7以下でもよく、5以下でもよい。いくつかの態様において、上記平均エポキシ基数は、4以下でもよく、3以下でもよい。また、上記平均エポキシ基数は、典型的には2以上であり、硬化性や硬化物の強度の観点から2超でもよく、2.5以上でもよい。いくつかの態様において、上記平均エポキシ基数は、例えば3以上であってよく、4以上でもよい。
エポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)に含まれるエポキシ基は、該エポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)の末端に配置されていることが好ましい。このようなエポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)によると、伸びのよい硬化物が形成される傾向にある。ここに開示されるシーラントシートは、主鎖の片末端に2以上のエポキシ基を有するエポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)を含んでいてもよく、主鎖の両末端にそれぞれ1または2以上のエポキシ基を有するエポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)を含んでいてもよく、これらの両方を含んでいてもよい。主鎖の片末端にエポキシ基を有するエポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)は、エポキシ基を有する末端とは異なる末端に、エポキシ基以外の官能基を有していてもよい。上記エポキシ基以外の官能基は、例えば、チオール基、アミノ基、水酸基等であり得る。ここに開示されるシーラントシートは、少なくとも、主鎖の両末端にエポキシ基を有するエポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)を含むことが好ましい。かかる構造のエポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)を含むことにより、強度と伸びとをバランスよく両立する硬化物が形成される傾向にある。例えば、主鎖の両末端にそれぞれ1つのエポキシ基を有するエポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)を好ましく採用し得る。
エポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)は、例えば、上述のようなチオール基含有ポリサルファイドと、一分子中に2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物とを、エポキシ基の量が過剰となるように反応させることによって得ることができる。上記エポキシ化合物は、一分子中に2個のエポキシ基を有する2官能エポキシ化合物であってもよく、一分子中に3個以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物であってもよい。エポキシ化合物は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。チオール基含有ポリサルファイドと反応させる際の操作性等の観点から、いくつかの態様において、常温で液状のエポキシ化合物を好ましく使用し得る。
2官能エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(すなわち、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の芳香環が水素添加によりシクロアルキル環に変換された構造に相当するエポキシ化合物)、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、脂肪族型エポキシ樹脂(例えば、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂等)、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、等が挙げられるが、これらに限定されない。
多官能エポキシ化合物としては、ノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、グリセリン型エポキシ樹脂、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、等が挙げられるが、これらに限定されない。一分子の多官能エポキシ化合物に含まれるエポキシ基の数は、少なくとも3以上であり、4以上でもよく、5以上でもよい。また、一分子の多官能エポキシ化合物に含まれるエポキシ基の数は、通常、10以下が適当であり、8以下でもよく、6以下でもよい。
いくつかの態様において、上記エポキシ化合物として2官能エポキシ化合物を好ましく用いることができる。2官能エポキシ化合物の使用は、好適な伸びを示す硬化物を与えるシーラントシートを得るために有利となり得る。2官能エポキシ化合物は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
いくつかの態様において、上記2官能エポキシ化合物としては、分子内に5員環以上の炭素環構造を含むエポキシ化合物を好ましく採用し得る。かかる構造の2官能エポキシ化合物を用いてなるシーラントシートによると、強度が高くかつ伸びの良い硬化物が形成される傾向にある。上記5員環以上の炭素環構造は、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、シクロヘキシル環等であり得る。かかる炭素環構造を含むエポキシ化合物の例には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等が含まれる。いくつかの好ましい態様において、上記2官能エポキシ化合物としてビスフェノールF型エポキシ樹脂を用いることができる。
上記エポキシ化合物としては、2官能エポキシ化合物と組み合わせて、または2官能エポキシ樹脂に代えて、一種または二種以上の多官能エポキシ化合物を用いることができる。多官能エポキシ化合物の使用により、硬化物の強度を向上させ得る。2官能エポキシ化合物と多官能エポキシ化合物とを組み合わせて用いることにより、強度と伸びをより高レベルで両立する硬化物を与えるシーラントシートが実現され得る。
いくつかの態様において、上記多官能エポキシ化合物としては、エポキシ基を含む繰返し単位を有する(すなわち、ポリマー型の)多官能エポキシ化合物を用いることができ、例えばノボラック型エポキシ樹脂を好ましく採用し得る。上記ノボラック型エポキシ樹脂の例には、フェノールノボラック型エポキシ樹脂と、o-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂とが含まれる。ノボラック型エポキシ樹脂を用いることは、強度が高くかつ伸びの良い硬化物を与えるシーラントシートを得るために有利となり得る。より低分子量のノボラック型エポキシ樹脂を用いることにより、硬化物の伸びが向上する傾向にある。例えば、常温で液状のフェノールノボラック型エポキシ樹脂を好ましく採用し得る。
チオール基含有ポリサルファイドと、一分子中に2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物との反応にあたっては、ここに開示される技術により得られる効果を大きく損なわない範囲で、任意の適切な触媒を採用してもよい。例えば、2,4,6-トリアミノメチルフェノール、トリエチルアミン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン等の公知の塩基性触媒を適宜選択して用いることができる。
塩基性触媒を用いる場合における使用量は特に限定されず、触媒機能が適切に発揮されるように設定することができる。いくつかの態様において、塩基性触媒の使用量は、チオール基含有ポリサルファイドと一分子中に2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物との合計量100重量部に対して、例えば1重量部以下とすることができ、通常は0.5重量部以下とすることが適当であり、0.2重量部以下としてもよく、0.1重量部以下としてもよく、0.08重量部以下としてもよい。シーラントシートの保存性向上の観点からは、塩基性触媒の使用量は多すぎないほうが有利である。かかる観点から、上記合計量100重量部に対する塩基性触媒の使用量は、例えば0.07重量部以下とすることができ、0.05重量部以下でもよく、0.03重量部以下でもよく、0.02重量部以下でもよい。上記合計量100重量部に対する塩基性触媒の使用量の下限は特に限定されず、例えば0.001重量部以上とすることができ、0.005重量部以上としてもよい。
上記反応は、チオール基含有ポリサルファイドと、一分子中に2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、必要に応じて用いられる触媒とを、適当な反応容器内で混合することにより進行させることができる。いくつかの好ましい態様では、チオール基含有ポリサルファイドと、2官能エポキシ化合物と、多官能エポキシ化合物と、触媒(例えば、塩基性触媒)とを、適当な反応容器内で混合する。各材料の反応容器への供給方法や混合順は特に限定されず、適切な反応物が形成されるように選択することができる。上記反応の条件は、ここに開示される技術により得られる効果を大きく損なわない範囲で、適切に設定することができる。いくつかの態様において、上記反応は、例えば0℃~120℃、好ましくは5℃~120℃、より好ましくは10℃~120℃の反応温度で進行させることができる。反応の制御性および反応効率を考慮して、いくつかの態様において、上記反応温度は、例えば20℃~100℃であってよく、30℃~100℃でもよく、40℃~100℃でもよく、60℃~100℃でもよい。反応時間は特に限定されず、例えば10分~720時間(好ましくは1時間~240時間)の範囲から選択し得る。
いくつかの態様において、上記反応は、例えば60℃~120℃(好ましくは70℃~110℃)の温度で行われる第一加熱工程と、40℃~80℃(好ましくは50℃~70℃)の温度で行われる第二加熱工程と、をこの順に実施することにより進行させることができる。このように加熱工程を段階的に行うことにより、ポリサルファイド反応物の弾性率が高くなりすぎることを抑制でき、上記反応物とフィラー等の添加成分との混合(例えば混練り)工程を効率よく行うことができる。第二加熱工程は、第一加熱工程より低い温度で行うことが好ましい。第一加熱工程における加熱時間は、例えば10分以上とすることができ、通常は30分以上とすることが適当であり、1時間以上としてもよい。いくつかの好ましい態様において、第一加熱工程における加熱時間は、例えば10分~24時間(好ましくは30分~12時間、より好ましくは1時間~6時間)の範囲から選択し得る。第二加熱工程における加熱時間は、例えば3時間以上とすることができ、通常は6時間以上とすることが適当であり、24時間以上としてもよい。いくつかの好ましい態様において、第二加熱工程における加熱時間は、例えば3時間~720時間(好ましくは48時間~500時間、より好ましくは72時間~300時間)の範囲から選択し得る。第二加熱工程における加熱時間は、第一加熱工程における加熱時間より長くすることが好ましい。なお、加熱工程は三段階以上に分けて段階的に行ってもよい。
上記反応によるエポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)の合成において、使用するチオール基含有ポリサルファイドと上記エポキシ化合物との使用割合は、上記チオール基含有ポリサルファイドに含まれるチオール基の総数に対する上記エポキシ化合物に含まれるエポキシ基の総数の比、すなわちエポキシ基/チオール基の当量比(以下、エポキシ/チオール比ともいう。)が1より大きい値となるように設定することができる。いくつかの態様において、エポキシ/チオール比は、例えば1.05以上とすることができ、1.1以上でもよい。硬化物の強度向上等の観点から、いくつかの態様において、エポキシ/チオール比は、例えば1.2超であってよく、1.4超でもよく、1.5超でもよく、1.7超でもよい。また、エポキシ/チオール比は、例えば7.0未満とすることができ、5.0未満でもよく、4.5未満でもよく、4.0未満でもよい。いくつかの態様において、硬化物の伸び向上等の観点から、エポキシ/チオール比は、例えば3.5未満であってよく、3.2未満でもよく、3.0未満でもよく、2.5未満でもよく、2.0未満でもよく、1.8未満でもよい。
上記反応によるエポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)の合成において、一分子中に2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物の使用量は、特に限定されない。上記エポキシ化合物の使用量は、例えば、上述したいずれかのエポキシ/チオール比が実現されるように設定することができる。いくつかの態様において、上記エポキシ化合物の使用量は、チオール基含有ポリサルファイド100重量部に対して、例えば1重量部以上とすることができ、通常は3重量部以上とすることが適当であり、5重量部以上でもよく、7重量部以上でもよい。また、チオール基含有ポリサルファイド100重量部に対する上記エポキシ化合物の使用量は、例えば50重量部以下とすることができ、通常は30重量部以下とすることが適当であり、20重量部以下でもよく、15重量部以下でもよい。
(チオール基含有ポリサルファイドポリマー(AC))
ここに開示されるシーラントシートのうち、上記タイプ(II)のシーラントシートは、上記ポリサルファイドポリマー(A)として、一分子中に2以上のチオール基を有するチオール基含有ポリサルファイドポリマー(AC)を含み、さらに、一分子中に2以上のチオール基を有するエポキシ化合物(B)を含むものであり得る。いくつかの好ましい態様において、シーラントシートは、さらに光塩基発生剤(D)を含むものであり得る。かかる態様のシーラントシートは、チオール基含有ポリサルファイドポリマー(AC)に該当しないポリサルファイドポリマー(A)をさらに含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。また、上記態様のシーラントシートは、チオール基含有ポリサルファイドポリマー(AC)に該当しないチオール化合物(C)をさらに含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。
チオール基含有ポリサルファイドポリマー(AC)の平均チオール基数は、典型的には2以上であり、2超でもよい。平均チオール基数の上限は特に制限されないが、硬化物の柔軟性の観点から、通常は10以下が適当であり、7以下でもよく、5以下でもよく、4以下でもよく、3以下でもよく、2.8以下または2.4以下でもよい。
チオール基含有ポリサルファイドポリマー(AC)に含まれるチオール基は、該チオール基含有ポリサルファイドポリマー(AC)の末端に配置されていることが好ましい。このようなチオール基含有ポリサルファイドポリマー(AC)によると、伸びのよい硬化物が形成される傾向にある。主鎖の両末端にそれぞれ1または2以上のチオール基を有するチオール基含有ポリサルファイドポリマー(AC)が好ましく、主鎖の両末端にそれぞれ1つのチオール基を有するチオール基含有ポリサルファイドポリマー(AC)がより好ましい。かかる構造のチオール基含有ポリサルファイドポリマー(AC)を含むことにより、強度と伸びとをバランスよく両立する硬化物が形成される傾向にある。
上記チオール基含有ポリサルファイドポリマー(AC)としては、例えば、上述したエポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)と、一分子中に2以上のチオール基を有するチオール化合物とを、チオール基の量が過剰となるように反応させることによって得られるものを用いることができる。上記チオール化合物は、一分子中に2個のチオール基を有する2官能チオール化合物であってもよく、一分子中に3個以上のチオール基を有する多官能チオール化合物であってもよい。チオール化合物は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。好適な伸びを示す硬化物を与えるシーラントシートを得る観点から、2官能チオール化合物を好ましく用いることができる。例えば、エポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)のエポキシ基と反応させるチオール化合物のうち、50重量%以上、70重量%以上または90重量%以上を2官能チオール化合物とすることができる。上記チオール化合物として2官能チオール化合物のみを使用してもよい。
エポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)と反応させるチオール化合物としては、例えば、後述するチオール化合物(C)として使用し得る材料から選択される一種または二種以上を用いることができる。エポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)と上記チオール化合物との反応は、上述したチオール基含有ポリサルファイドとエポキシ化合物との反応と同様にして進行させることができる。
上記反応によるチオール基含有ポリサルファイドポリマー(AC)の合成において、使用するエポキシ基含有ポリサルファイドと上記チオール化合物との使用割合は、上記エポキシ基含有ポリサルファイドに含まれるエポキシ基の総数に対する上記チオール化合物に含まれるチオール基の総数の比、すなわちエポキシ/チオール比が1未満となるように設定することができる。硬化物の強度向上等の観点から、いくつかの態様において、エポキシ/チオール比は、例えば0.95以下とすることができ、0.9以下でもよく、0.85以下でもよい。また、エポキシ/チオール比は、例えば0.1以上であってよく、通常は0.2以上とすることが適当である。いくつかの態様において、硬化物の伸び向上等の観点から、エポキシ/チオール比は、例えば0.3以上であってよく、0.5以上でもよく、0.6以上または0.7以上でもよい。
上記反応によるチオール基含有ポリサルファイドポリマー(AC)の合成において、一分子中に2以上のチオール基を有するチオール化合物の使用量は、特に限定されない。上記チオール化合物の使用量は、例えば、上述したいずれかのエポキシ/チオール比が実現されるように設定することができる。いくつかの態様において、上記チオール化合物の使用量は、エポキシ基含有ポリサルファイド100重量部に対して、例えば1重量部以上とすることができ、通常は3重量部以上とすることが適当であり、5重量部以上でもよく、7重量部以上でもよい。また、エポキシ基含有ポリサルファイド100重量部に対する上記チオール化合物の使用量は、例えば50重量部以下とすることができ、通常は30重量部以下とすることが適当であり、20重量部以下でもよく、15重量部以下でもよい。
また、タイプ(II)のシーラントシートにおけるチオール基含有ポリサルファイドポリマー(AC)として、例えば、ポリサルファイドポリマー(A)の前駆体として使用し得る材料として上述したチオール基含有ポリサルファイド(好ましくは、両末端チオールポリサルファイド)を用いてもよい。
<エポキシ化合物(B)>
いくつかの態様において、シーラントシートはエポキシ化合物(B)を含む。シーラントシートに含まれるエポキシ化合物(B)としては、一分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物を特に限定なく用いることができる。例えば、エポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)の調製に使用し得る材料として例示した各種の2官能エポキシ化合物および多官能エポキシ化合物からなる群から選択される一種または二種以上を用いることができる。
使用前のシーラントシートの保存性と使用時における硬化性とのバランスを考慮して、エポキシ当量が50g/eq以上600g/eq以下の範囲にあるエポキシ化合物(B)を好ましく採用し得る。上記エポキシ当量は、例えば100g/eq以上であってよく、120g/eq以上でもよく、150g/eq以上でもよく、また、例えば400g/eq以下であってよく、300g/eq以下でもよく、200g/eq以下でもよい。エポキシ当量が大きくなるにつれて、使用前における保存性は向上する一方、使用時の硬化性は低下する傾向にある。エポキシ化合物(B)を二種以上使用する場合には、各エポキシ化合物(B)のエポキシ当量と重量分率との積の総和が上記範囲にあることが好ましい。なお、エポキシ当量とは、1当量のエポキシ基を含む化合物のグラム数を意味し、JIS K7236:2001に準拠して測定することができる。あるいは、カタログや文献等に記載された公称値を用いてもよい。
エポキシ化合物(B)の平均エポキシ基数は、例えば2以上10以下程度であり得る。硬化物の柔軟性の観点から、上記平均エポキシ基数は、例えば7以下であってよく、5以下でもよく、4以下でもよく、4未満でもよい。いくつかの態様において、上記平均エポキシ基数は、3以下でもよく、2.5以下でもよく、2.2以下でもよい。エポキシ化合物(B)として、一種または二種以上の2官能のエポキシ化合物のみを使用してもよい。かかる構成によると、好適な伸びを示す硬化物を与えるシーラントシートが得られやすい。
<チオール化合物(C)>
いくつかの態様において、シーラントシートはチオール化合物(C)を含む。シーラントシートに含まれるチオール化合物(C)としては、一分子中に2以上のチオール基を有する化合物を特に限定なく用いることができる。例えば、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート(別名:トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート))、ペンタエリストールテトラキスチオプロピオネート、エチレングリコールビスチオグリコレート、1,4-ブタンジオールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリストールテトラキスチオグリコレート、ジ(2-メルカプトエチル)エーテル、1,4-ブタンジチオール、1,5-ジメルカプト-3-チアペンタン、1,8-ジメルカプト-3,6-ジオキサオクタン、1,3,5-トリメルカプトメチルベンゼン、4,4’-チオジベンゼンチオール、1,3,5-トリメルカプトメチル-2,4,6-トリメチルベンゼン、2,4,6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-ジブチルアミノ-4,6-ジメルカプト-s-トリアジン、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオナート)、ジペンタエリスリトールヘキサ-3-メルカプトプロピオネート等が挙げられるが、これらに限定されない。
チオール化合物(C)の市販品としては、例えば、三菱ケミカル株式会社製のJERメートQX11、QX12、JERキュアQX30、QX40、QX60、QX900、カプキュアCP3-800;淀化学株式会社製のOTG、EGTG、TMTG、PETG、3-MPA、TMTP、PETP;堺化学株式会社製のTEMPIC、TMMP、PEMP、PEMP-II-20P、DPMP;昭和電工株式会社製のカレンズMT PE1、カレンズMT BD1、カレンズMT NR1、TPMB、TEMB;等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
チオール化合物(C)の平均チオール基数は、例えば2以上10以下程度であり得る。硬化物の柔軟性の観点から、上記平均チオール基数は、例えば7以下であってよく、5以下でもよく、4以下でもよく、4未満でもよい。いくつかの態様において、上記平均チオール基数は、3以下でもよく、2.5以下でもよく、2.2以下でもよい。チオール化合物(C)として、一種または二種以上の2官能のチオール化合物のみを使用してもよい。かかる構成によると、好適な伸びを示す硬化物を与えるシーラントシートが得られやすい。
チオール化合物(C)としては、1級チオール基を有する化合物(以下、1級チオール化合物ともいう。)、2級チオール基を有する化合物(2級チオール化合物)、3級チオール基を有する化合物(3級チオール化合物)の、いずれも使用可能である。シーラントシートの使用時における硬化性の観点から、1級チオール化合物を好ましく採用し得る。また、使用前のシーラントシートの硬化速度の制御、保存性の観点から、2級以上のチオール化合物(すなわち、2級チオール化合物および/または3級チオール化合物)を好ましく採用し得る。なお、以下において、一分子内に1級チオール基を2つ有するチオール化合物を1級2官能チオール化合物ということがあり、一分子内に2級チオール基を2つ有するチオール化合物を2級2官能チオール化合物ということがある。
いくつかの態様において、チオール化合物(C)として、1級チオール化合物と2級以上のチオール化合物(例えば、2級チオール化合物)とを組み合わせて用いることができる。かかる態様によると、使用前のシーラントシートの保存性と使用時における硬化性とを好適に両立し得る。1級チオール化合物と2級以上のチオール化合物との合計重量に占める1級チオール化合物の重量割合は、特に限定されず、例えば5重量%以上とすることができ、好ましくは15重量%以上、より好ましくは25重量%以上であり、35重量%以上であってもよく、また、例えば95重量%以下とすることができ、好ましくは75重量%以下であり、60重量%以下であってもよく、45重量%以下であってもよい。
チオール化合物(C)としては、使用前のシーラントシートの保存性と使用時における硬化性とのバランスを考慮して、チオール当量が45g/eq以上450g/eq以下の範囲にあるものを好ましく採用し得る。上記チオール当量は、例えば60g/eq以上であってよく、70g/eq以上でもよく、80g/eq以上でもよく、また、例えば350g/eq以下であってよく、250g/eq以下でもよく、200g/eq以下でもよく、150g/eq以下でもよい。チオール当量が大きくなるにつれて、使用前における保存性は向上する一方、使用時の硬化性は低下する傾向にある。チオール化合物(C)を二種以上使用する場合には、各チオール化合物(C)のチオール当量と重量分率との積の総和が上記範囲にあることが好ましい。なお、チオール当量とは、1当量のチオール基を含む化合物のグラム数を意昧し、ヨウ素滴定法にて測定することができる。あるいは、カタログや文献等に記載された公称値を用いてもよい。
ここに開示されるタイプ(I)、タイプ(II)のシーラントシートの各々において、該シーラントシートに含まれ得るチオール基の当量に対するエポキシ基の当量の比、すなわちシーラントシートのエポキシ/チオール比は、特に限定されない。シーラントシートのエポキシ/チオール比は、例えば凡そ0.1以上10以下であってよく、0.2以上5以下でもよく、0.3以上3以下でもよく、0.5以上2以下であってもよい。エポキシ/チオール比が上述したいずれかの下限値以上かつ上限値以下であることにより、強度と伸びとをバランスよく両立する硬化物が形成される傾向にある。いくつかの態様において、エポキシ/チオール比は、例えば0.6以上、0.7以上または0.8以上であってよく、また、1.7以下、1.5以下または1.2以下であってよい。
タイプ(I)のシーラントシートにおいて、該シーラントシートに含まれ得るチオール化合物(C)の量は、特に限定されない。上記シーラントシートに含まれるチオール化合物(C)の量は、例えば上述したいずれかのエポキシ/チオール比が実現されるように設定することができる。いくつかの態様において、エポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)100重量部に対するチオール化合物(C)の量は、例えば0.05重量部以上とすることができ、0.1重量部以上としてもよく、0.3重量部以上としてもよく、0.5重量部以上としてもよく、また、例えば10重量部以下とすることができ、5重量部以下としてもよく、3重量部以下または1重量部以下としてもよい。
タイプ(II)のシーラントシートにおいて、該シーラントシートに含まれ得るエポキシ化合物(B)の量は、特に限定されない。上記シーラントシートに含まれるエポキシ化合物(B)の量は、例えば上述したいずれかのエポキシ/チオール比が実現されるように設定することができる。いくつかの態様において、チオール基含有ポリサルファイドポリマー(AC)100重量部に対するエポキシ化合物(B)の量は、例えば0.05重量部以上とすることができ、0.1重量部以上としてもよく、0.3重量部以上としてもよく、0.5重量部以上としてもよく、1重量部以上としてもよく、また、例えば15重量部以下とすることができ、10重量部以下としてもよく、5重量部以下としてもよい。
<光反応触媒>
ここに開示される光硬化性シーラントシートは、光照射による硬化反応を開始、促進し得る各種の光反応触媒の一種または二種以上を含むことが好ましい。そのような光反応触媒は、光反応開始剤あるいは光重合開始剤と称されるものであり得る。光反応触媒の好適例としては、光塩基発生剤(D)が挙げられる。
<光塩基発生剤(D)>
いくつかの好ましい態様において、シーラントシートは光塩基発生剤(D)を含む。光塩基発生剤(D)としては、光照射により塩基を発生するものが用いられる。光塩基発生剤の例としては、α-アミノアセトフェノン化合物;オキシムエステル化合物;アシルオキシイミノ基、N-ホルミル化芳香族アミノ基、N-アシル化芳香族アミノ基、ニトロベンジルカーバメート基、アルコオキシベンジルカーバメート基等の置換基を有する化合物;ビグアニド型のカチオンを有する化合物;等が挙げられる。α-アミノアセトフェノン化合物としては、特に、2つ以上の窒素原子を有するものが好ましい。光塩基発生剤は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
光塩基発生剤として市販品を使用してもよい。市販されている光塩基発生剤としては、和光純薬工業株式会社製の商品名WPBG-018(9-アントラメチルN,N’-ジエチルカーバメート)、WPBG-027((E)-1-[3-(2-ヒドロキシフェニル)-2-プロペノイル]ピペリジン)、WPBG-082(グアニジウム2-(3-ベンゾイルフェニル)プロピオネート)、WPBG-140(1-(アントラキノン-2-イル)エチルイミダゾールカルボキシレート)、WPBG-266(1,2-ジイソプロピル-3-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]グアニジウム2-(3-ベンゾイルフェニル)プロピオナート)、WPBG-300(1,2-ジシクロヘキシル-4,4,5,5-テトラメチルビグアニジウムn-ブチルトリフェニルボラート)、WPBG-345(1,2-ジシクロヘキシル-4,4,5,5-テトラメチルビグアニジウムテトラキス(3-フルオロフェニル)ボラート)等が挙げられる。
これらのなかでも、光照射により発生する塩基によってエポキシ基とチオール基とのアニオン付加反応を効果的に促進し得ることから、ビグアニド型のカチオンを有するイオン性光塩基発生剤が好ましい。ビグアニド型カチオンの例には、アルキルビグアニジウム、シクロアルキルビグアジニウム、シクロアルキル-アルキルビグアジニウム等が挙げられる。光塩基活性剤においてビグアニド型カチオンと対になるアニオンは、例えばボレート系アニオンであり得る。この種の光塩基発生剤の市販品として、上述したWPBG-300、WPBG-345等が挙げられる。光塩基活性剤においてビグアニド型カチオンと対になるアニオンの他の例として、カルボキシラート系アニオンが挙げられる。この種の光塩基発生剤の市販品として、例えば上述したWPBG-266を好ましく採用し得る。
光塩基発生剤の使用量は、所望の使用効果が得られるように設定することができる。いくつかの態様において、光塩基発生剤の使用量は、エポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)とチオール化合物(C)との合計量(タイプ(I)のシーラントシートの場合)またはチオール基含有ポリサルファイドポリマー(AC)とエポキシ化合物(B)との合計量(タイプ(II)のシーラントシートの場合)100重量部に対して、例えば0.01重量部以上とすることができ、シーラントシートの硬化性を高める観点から0.03重量部以上とすることが好ましく、0.07重量部以上でもよく、0.1重量部以上でもよい。また、光塩基発生剤の使用量は、原料コスト等の観点から、通常、上記合計量100重量部に対して3重量部以下とすることが好ましく、2重量部以下とすることがより好ましく、1重量部以下でもよく、0.7重量部以下でもよく、0.5重量部以下でもよく、0.3重量部以下でもよい。
<光増感剤>
ここに開示されるシーラントシートは、増感剤を含有してもよい。増感剤の使用により、照射される光の利用効率を高め、光反応触媒(例えば光塩基発生剤(D))の感度を向上させることができる。光増感剤は、公知の材料から適宜選択して使用することができる。光増感剤の非限定的な例には、ベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、3-ベンゾイルビフェニル、4-(4-メチルフェニルチオ)ベンゾフェノン、メチル2-ベンゾイルベンゾエート、4-フェニルベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメトキシ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2-ベンゾイル安息香酸メチルエステル、2-メチルベンゾフェノン、3-メチルベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;チオキサントン、キサントン、2-クロロチオキサントン、4-クロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサンテン-9-オン等のチオキサントン誘導体;2-ヒドロキシ-9-フルオレノン等のフルオレン系化合物;アントロン、ジベンゾスベロン、2-アミノ-9-フルオレノン等のアントロン誘導体;アントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-ヒドロキシアントラキノン、2-アミノアントラキノン等のアントラキノン誘導体;1-メチルナフタレン、2-メチルナフタレン、1-フルオロナフタレン、1-クロロナフタレン、2-クロロナフタレン、1-ブロモナフタレン、2-ブロモナフタレン、1-ヨードナフタレン、2-ヨードナフタレン、1-ナフトール、2-ナフトール、1-メトキシナフタレン、2-メトキシナフタレン、1,4-ジシアノナフタレン、メチル3-ヒドロキシ-2-ナフトエート等のナフタレン誘導体;アントラセン、1,2-ベンズアントラセン、9,10-ジクロロアントラセン、9,10-ジブロモアントラセン、9,10-ジフェニルアントラセン、9-シアノアントラセン、9,10-ジシアノアントラセン、2,6,9,10-テトラシアノアントラセン等のアントラセン誘導体;ニトロ安息香酸やニトロアニリン等のニトロ化合物;各種の色素;等が含まれるが、これらに限定されない。
光増感剤を使用する場合における使用量は、所望の増感効果が得られるように設定することができる。いくつかの態様において、光増感剤の使用量は、エポキシ化合物(B)とチオール化合物(C)との合計量100重量部に対して、例えば0.001重量部以上であってよく、0.005重量部以上でもよく、0.01重量部以上でもよく、0.05重量部以上でもよい。光増感剤の使用量の上限は、特に制限されないが、シーラントシートの硬化速度の制御、保存性の観点から、通常は10重量部以下が適当であり、5重量部以下でもよく、1重量部以下でもよく、0.5重量部以下でもよく、0.3重量部以下でもよい。
<貯蔵安定剤>
ここに開示されるシーラントシートは、他の特性が大きく損なわれない限度で、光硬化反応の抑制に役立ち得る任意の化合物をさらに含有してもよい。かかる化合物の使用により、使用前のシーラントシートの保存性を高めることができる。貯蔵安定剤は、例えば、室温で液状または固体の有機酸、無機酸、および分子中に酸性基を含むオリゴマー、ポリマー、ホウ酸エステル類、リン酸エステル類であってよく、酸性基以外の官能基を有していてもよい。例えば、硫酸、酢酸、アジピン酸、酒石酸、フマル酸、バルビツール酸、ホウ酸、ピロガロール、フェノール樹脂、カルボン酸無水物等が挙げられるが、これらに限定されない。貯蔵安定剤は、一種を単独でまたは二種以上を適宜組み合わせて用いることができる。貯蔵安定剤の使用量は特に限定されず、所望の効果が得られるように設定することができる。
貯蔵安定剤の好適例として、ホウ酸エステル類およびリン酸エステル類が挙げられる。
ホウ酸エステル類は、室温で液状または固体のホウ酸エステルである。例えばトリメチルボレート、トリエチルボレート、トリ-n-プロピルボレート、トリイソプロピルボレート、トリ-n-ブチルボレート、トリペンチルボレート、トリアリルボレート、トリヘキシルボレート、トリシクロヘキシルボレート、トリオクチルボレート、トリノニルボレート、トリデシルボレート、トリドデシルボレート、トリヘキサデシルボレート、トリオクタデシルボレート、トリス(2-エチルヘキシロキシ)ボラン、ビス(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)(1,4,7,10,13-ペンタオキサテトラデシル)(1,4,7-トリオキサウンデシル)ボラン、トリベンジルボレート、トリフェニルボレート、トリ-o-トリルボレート、トリ-m-トリルボレート、トリエタノールアミンボレート等が挙げられるが、これらに限定されない。
リン酸エステル類としては、リン酸エチル、リン酸ブチル、リン酸プロピル、リン酸-2-エチルヘキシル、リン酸ジブチル、リン酸-ジ(2-エチルヘキシル)、リン酸オレイル、リン酸エチルジエチル等が挙げられるが、これらに限定されない。
<フィラー>
ここに開示されるシーラントシートには、必要に応じてフィラーを配合することができる。これにより、硬化物の破断強度および破断時伸びの一方または両方が改善され得る。フィラーは、シーラントシートの貯蔵弾性率の調節にも役立ち得る。また、フィラーの適切な使用により、シーラントシートの保形性や加工性を高めることができる。使用するフィラーは特に制限されず、ここに開示される技術により得られる効果を大きく損なわない範囲で、任意の適切なフィラーを使用し得る。フィラーは、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
フィラーを構成する材質の例には、タルク、シリカ、ガラス、カーボンブラック、アルミナ、クレー、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、窒化ホウ素、ホウ酸アルミニウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム等が含まれるが、これらに限定されない。なかでも好ましい例として、タルク、シリカ、ガラスおよび炭酸カルシウムが挙げられる。
フィラーの含有量は特に限定されず、好適な特性が得られるように選択し得る。フィラーの含有量は、例えば、シーラントシート全体の1重量%以上であってよく、5重量%以上でもよく、より高い使用効果を得る観点から10重量%以上でもよく、15重量%以上でもよく、20重量%以上でもよく、25重量%以上でもよい。また、フィラーの含有量は、例えば、シーラントシート全体の50重量%未満とすることができ、シート形状への成形性や硬化物の伸び向上の観点から、通常は40重量%未満とすることが適当であり、35重量%未満でもよい。いくつかの態様において、上記フィラーの含有量は、30重量%未満でもよく、25重量%未満でもよい。
フィラーの平均粒子径は、特に限定されない。上記平均粒子径は、通常、100μm以下であることが適当であり、50μm以下であることが好ましい。平均粒子径が小さくなると、硬化物の破断強度および破断時伸びの一方または両方を改善する効果が向上する傾向にある。いくつかの態様において、フィラーの平均粒子径は、例えば30μm以下であってよく、20μm以下でもよく、15μm以下でもよく、10μm以下でもよく、5μm以下でもよい。また、フィラーの平均粒子径は、例えば0.1μm以上であってよく、0.2μm以上でもよく、0.5μm以上でもよく、1μm以上でもよい。平均粒子径が小さすぎないことは、フィラーの取扱い性や分散性の観点から有利となり得る。
なお、本明細書において、フィラーの平均粒子径とは、レーザ回折・散乱法に基づく測定により得られた粒度分布において体積基準の累積粒度が50%となる粒径、すなわち50%体積平均粒子径(50%メジアン径)をいう。
いくつかの態様において、屈折率が1.56以上1.62未満の範囲にある材質からなるフィラーを好ましく用いることができる。例えば、屈折率が上記範囲にあるガラスフィラーを用いることができる。上記屈折率の範囲は、ポリサルファイドポリマー(A)の屈折率(典型的には約1.60)に等しいか、または近似する範囲である。このため、屈折率が上記範囲にあるフィラーによると、屈折率が上記範囲の外にあるフィラーに比べて、該フィラーを配合することによるシーラントシートの透過率の低下が抑制される傾向にある。シーラントシートがある程度の透過率を有することにより、該シーラントシート越しにシール対象箇所を観察しやすくなる。このことは、シーラントシートを所定の箇所に配置する際における位置決め性等の観点から有利となり得る。
ここに開示されるシーラントシートは、屈折率が1.56以上1.62未満の範囲にあるフィラー(例えばガラスフィラー)と、屈折率が上記範囲の外にあるフィラー(例えばタルク)とを、組み合わせて使用してもよい。この場合、シーラントシートに含まれるフィラー全量のうち屈折率が上記範囲にあるフィラーの占める割合は、例えば10重量%以上とすることができ、25重量%以上でもよく、45重量%以上が好ましく、60重量%以上でもよく、85重量%以上でもよく、100重量%でもよい。いくつかの態様において、屈折率が1.56以上1.61以下の範囲、または1.57以上1.60以下の範囲にある材質からなるフィラーをより好ましく採用し得る。屈折率は、一般的に知られている最小偏角法、臨界角法、Vブロック法などの手法を用いて測定することができる。測定は、例えば多波長アッベ屈折計DR-M4(ATAGO社製)等を用いて行うことができる。あるいは、カタログや文献等に記載された公称値を用いてもよい。
ここに開示されるシーラントシートは、ここに開示される技術により得られる効果を大きく損なわない範囲で、他の任意成分を含んでいてもよい。そのような任意成分の例には、染料や顔料等の着色剤、分散剤、可塑剤、軟化剤、難燃剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤等が含まれるが、これらに限定されない。
ここに開示されるシーラントシートは、例えばシール対象箇所に対する密着性の向上等の目的で、上記以外のポリマーまたはオリゴマー(以下、任意ポリマーともいう。)を、さらに含んでいてもよい。硬化物の耐油性の観点から、上記任意ポリマーの含有量は、ポリサルファイドポリマー(A)100重量部に対して、10重量部以下であることが好ましく、5重量部以下であることがより好ましく、1重量部以下であることがさらに好ましい。かかる任意ポリマーを実質的に含有しないシーラントシートであってもよい。なお、本明細書において、ある成分を実質的に含有しないとは、特記しない場合、少なくとも意図的には当該成分を含有させないことをいう。
ここに開示されるシーラントシートは、有機溶剤の含有量が、重量基準で、シーラントシートの例えば5%以下であってよく、2%以下でもよく、1%以下でもよく、0.5%以下でもよく、有機溶剤を実質的に含有しなくてもよい。有機溶剤の含有量が0%であってもよい。ここで有機溶剤とは、例えばトルエン、シクロヘキサノン、トリクロロエタン等のように、シーラントシート中の他の成分(特に、エポキシ基含有ポリサルファイドや、必要に応じて用いられ得る硬化剤)と反応することが意図されていない成分をいう。
タイプ(I)のシーラントシートは、Mwが1000以下、好ましくは600以下、より好ましくは400以下のチオール化合物(C)(以下、低分子量チオール化合物ともいう。)を含み得る。上記低分子量チオール化合物の含有量は、重量基準で、例えば、チオール化合物(C)全体とエポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)との合計量の0.1重量%以上であってよく、0.3重量%以上でもよく、0.5重量%以上でもよい。上記低分子量チオール化合物は、ここに開示されるシーラントシートのタックを高める働きを示し得る。シーラントシートのタックを高めることにより、例えば、シール対象箇所に配置されたシーラントシートのシール対象箇所への仮固定性が向上し得る。上記仮固定性とは、シール対象箇所に配置されたシーラントシートが硬化するまでの間、該シーラントシートのシール対象箇所からの浮きや位置ズレを抑制する性質をいう。低分子量チオール化合物は、光照射により反応して硬化物に組み込まれる。いくつかの態様において、低分子量チオール化合物の含有量は、重量基準で、チオール化合物(C)全体とエポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)との合計量の0.1重量%未満であってもよく、0.05重量%未満であってもよく、実質的に含有しなくてもよい。ここに開示されるシーラントシートは、このような態様においても、表面にタックを有し、シール対象箇所に仮固定し得るものであり得る。
タイプ(II)のシーラントシートは、Mwが1000以下、好ましくは600以下、より好ましくは400以下のエポキシ化合物(B)(以下、低分子量エポキシ化合物ともいう。)を含み得る。上記低分子量エポキシ化合物の含有量は、重量基準で、例えば、エポキシ化合物(B)全体とチオール基含有ポリサルファイドポリマー(AC)との合計量の0.1重量%以上であってよく、0.3重量%以上でもよく、0.5重量%以上でもよい。上記低分子量エポキシ化合物は、上記低分子量チオール化合物と同様、ここに開示されるシーラントシートのタックを高める働きを示し得る。いくつかの態様において、低分子量エポキシ化合物の含有量は、重量基準で、エポキシ化合物(B)全体とチオール基含有ポリサルファイドポリマー(AC)との合計量の0.1重量%未満であってもよく、0.05重量%未満であってもよく、実質的に含有しなくてもよい。ここに開示されるシーラントシートは、このような態様においても、表面にタックを有し、シール対象箇所に仮固定し得るものであり得る。
<支持基材>
ここに開示されるシーラントシートは、支持基材を備えるものであってもよい。そのようなシーラントシートは、支持基材と、当該支持基材の少なくとも一方の面(例えば両面)に配置されたシール層と、を備えるものであり得る。シール層は、上述のシーラントシートを形成し得る材料から構成される。このような支持基材付きシーラントシートは、シール対象物への貼り付け性や加工性に優れ、取扱い性にも優れる傾向がある。
支持基材の材質の非限定的な例としては、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等からなるポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなるポリエステルフィルム、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等からなるフッ素樹脂フィルム、ポリ塩化ビニルフィルム等の各種樹脂フィルム;各種の繊維状物質(麻、綿等の天然繊維、ポリエステル、ビニロン等の合成繊維、アセテート等の半合成繊維、等であり得る。)の単独または混紡等による織布および不織布;等が挙げられる。これらを複合した構成の層状体であってもよい。支持基材としては、独立して形状維持可能な(自立型の、あるいは非依存性の)樹脂フィルムをベースフィルムとして含むものを好ましく用いることができる。なかでも、PETフィルム等のポリエステルフィルムが好ましい。なお「樹脂フィルム」とは、非多孔質の構造であって、典型的には実質的に気泡を含まない(ボイドレスの)樹脂フィルムを意味する。したがって、上記樹脂フィルムは、発泡体フィルムや不織布とは区別される概念である。上記樹脂フィルムは、単層構造であってもよく、二層以上の多層構造であってもよい。上記樹脂フィルムは、無延伸であってもよく、延伸(例えば一軸延伸または二軸延伸)されたものであってもよい。
支持基材(例えば樹脂フィルム)には、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤(染料、顔料等)、充填材、スリップ剤、アンチブロッキング剤等の公知の添加剤を、必要に応じて配合することができる。添加剤の配合量は特に限定されず、用途等に応じて適宜設定することができる。
支持基材を備える構成において、支持基材の透過率は、例えば5%超であってよく、10%超でもよく、15%超でもよく、20%超でもよい。光照射による硬化性の観点から、50%以上が適当であり、好ましくは70%以上であり、90%以上であってもよい。支持基材の透過率の上限は特に限定されず、100%であってもよく、実用上の観点から80%以下、60%以下または40%以下であってもよい。ここに開示される支持基材は、透過率が30%以下、20%以下または15%以下である態様でも実施され得る。上記透過率は、シーラントシートの透過率測定方法と同様の方法で測定される。
支持基材の厚さは、特に限定されず、使用目的や使用態様等に応じて選択され得る。支持基材の厚さは、例えば凡そ1000μm以下であってよく、凡そ300μm以下でもよく、光照射による硬化性の観点から、凡そ100μm以下が適当であり、好ましくは凡そ80μm以下であり、凡そ50μm以下であってもよく、凡そ30μm以下でもよく、15μm以下でもよい。支持基材の厚さが小さくなると、シーラントシートの柔軟性やシール対象箇所の表面形状への追従性が向上する傾向にある。また、取扱い性や加工性等の観点から、支持基材の厚さは、例えば1μm以上であってよく、2μm以上でもよく、5μm以上でもよく、10μm以上でもよい。いくつかの態様では、支持基材の厚さは、好ましくは20μm以上(例えば25μm以上)、より好ましくは30μm以上であり、50μm以上であってもよく、70μm以上でもよい。
<シーラントシートの製造方法>
以下、ここに開示されるシーラントシートの製造方法のいくつかの態様について説明する。ただし、以下の説明は、例示を目的とするものであって、ここに開示されるシーラントシートの製造方法を限定するものではない。例えば、説明の便宜上、以下では主に光塩基発生剤およびフィラーを用いる態様について述べるが、ここに開示されるシーラントシートが、これらの成分を含む態様に限定されることを意味するものではない。
タイプ(I)のシーラントシートは、エポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)と、チオール化合物(C)(例えば、上述した低分子量チオール化合物)とを組み合わせて含む。かかる組成のシーラントシートは、例えば、エポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)を用意すること;上記エポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)に、チオール化合物(C)、光塩基発生剤(D)およびフィラーを添加して混合すること;および、得られた混合物をシート形状に成形すること;を含む方法によって製造することができる。上記エポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)が、チオール基含有ポリサルファイドと、2官能エポキシ化合物と、多官能エポキシ化合物との反応物である場合、上記混合物を用意することは、チオール基含有ポリサルファイドと2官能エポキシ化合物と多官能エポキシ化合物との反応物を調製すること;および、該反応物にチオール化合物(C)、光塩基発生剤(D)およびフィラーを添加して混合すること;を、この順に含み得る。あるいは、上記反応物の調製時にフィラーを一緒に混合してもよい。
タイプ(II)のシーラントシートは、チオール基含有ポリサルファイドポリマー(AC)と、エポキシ化合物(B)(例えば、上述した低分子量エポキシ化合物)とを組み合わせて含む。かかる組成のシーラントシートは、例えば、チオール基含有ポリサルファイドポリマー(AC)を用意すること;上記チオール基含有ポリサルファイドポリマー(AC)に、エポキシ化合物(B)、光塩基発生剤(D)およびフィラーを添加して混合すること;および、得られた混合物をシート形状に成形すること;を含む方法によって製造することができる。上記チオール基含有ポリサルファイドポリマー(AC)がエポキシ基含有ポリサルファイドポリマーのチオール変性物である場合、上記混合物を用意することは、一分子中に2以上のチオール基を有する化合物のチオール基を上記エポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AC)のエポキシ基と反応させてチオール基含有ポリサルファイドポリマー(AC)を調製すること;上記チオール基含有ポリサルファイドポリマー(AC)に、エポキシ化合物(B)、光塩基発生剤(D)およびフィラーを添加して混合すること;を、この順に含み得る。あるいは、上記反応物の調製時にフィラーを一緒に混合してもよい。
上記反応物の調製については、既述の説明を適用し得るため、重複する説明は省略する。上記反応物と添加成分との混合に用いることのできる装置としては、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル等の密閉式混練装置またはバッチ式混練装置;単軸押出機、二軸押出機等の連続式混練装置が挙げられるが、これらに限定されない。
上記混合物をシート状に成形する方法としては、プレス成形、カレンダー成形、溶融押出し成形等の公知のシート成形方法を、単独でまたは適宜組み合わせて用いることができる。上記プレス成形は、常圧プレスでもよく、真空プレスでもよい。シートへの気泡の噛み込みの防止や、上記混合物の熱変性を抑制する観点から、いくつかの態様において、真空プレス成形またはカレンダー成形を好ましく適用し得る。得られたシーラントシートは、剥離ライナーに積層することによって、例えば図1または図2に示すような剥離ライナー付きシーラントシートとして構成され得る。あるいは、上記混合物を、剥離ライナーや支持基材上に、グラビアロールコーター等の慣用のコーターを用いて塗布することによりシートを形成してもよい。支持基材付きシーラントシートは、その表面に剥離ライナーを積層することにより、剥離ライナー付きシーラントシートとして構成され得る。その後、上記形態で、保存、加工(例えば、所定幅へのスリット加工、ロール状から枚葉状への加工、所定形状への打抜き加工等)、運搬等を行うことができる。
<剥離ライナー>
ここに開示される方法に使用される光硬化性シーラントシートは、その表面に剥離ライナーが積層されている剥離ライナー付きシーラントシートの形態であり得る。これにより、シーラントシートの表面は剥離ライナーに保護されているので、外力による変形やゴミ付着等の汚染が防止される。また、シーラントシートは、剥離ライナーに積層した状態で取り扱うことができ、剥離ライナーに積層した状態でシール対象物に貼り付けることができる。このような剥離ライナー付きシーラントシートは、取扱い性や品質保持性に優れ、所望の箇所に容易にかつ精度よく配置することができる。
剥離ライナーとしては、特に限定されず、例えば、剥離ライナー基材の表面に剥離処理層を有する剥離ライナー;および、フッ素系ポリマー(PTFE等)や、ポリオレフィン系樹脂(PE、PP等)等の低接着性樹脂フィルム(ポリオレフィン系樹脂フィルムやフッ素樹脂フィルム)からなる剥離ライナー;が含まれる。
ここに開示される剥離ライナーとしては、剥離ライナー基材上に剥離処理層を有するものを好ましく採用し得る。上記剥離処理層は、剥離ライナー基材を剥離処理剤により表面処理して形成されたものであり得る。剥離処理剤は、シリコーン系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、硫化モリブデン(IV)等の公知の剥離処理剤であり得る。いくつかの態様において、シリコーン系剥離処理剤による剥離処理層を有する剥離ライナーを好ましく採用し得る。剥離処理層の厚さや形成方法は特に限定されず、剥離ライナーの剥離面において適切な剥離性が発揮されるように設定することができる。
剥離ライナー基材としては、各種のプラスチックフィルムを好ましく用いることができる。この明細書においてプラスチックフィルムとは、典型的には非多孔質のシートであって、例えば不織布とは区別される(すなわち、不織布を含まない)概念である。
上記プラスチックフィルムの材料としては、例えば、PET等のポリエステル系樹脂、PE、PP等のポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂のいずれか一種または二種以上の混合物から形成された剥離ライナー基材を用いることができる。かでも好ましい剥離ライナー基材として、ポリエステル系樹脂から形成されたポリエステル系樹脂フィルム(例えばPETフィルム)が挙げられる。
上述した剥離ライナー基材として用いられるプラスチックフィルムは、無延伸フィルム、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルムのいずれであってもよい。また、上記プラスチックフィルムは、単層構造であってもよく、2層以上のサブ層を含む多層構造であってもよい。上記プラスチックフィルムには、酸化防止剤、老化防止剤、耐熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料や染料等の着色剤、滑剤、充填剤、帯電防止剤、核剤等の、剥離ライナー基材に用いられ得る公知の添加剤が配合されていてもよい。多層構造のプラスチックフィルムにおいて、各添加剤は、すべてのサブ層に配合されていてもよく、一部のサブ層にのみ配合されていてもよい。
シーラントシートの各面に第1および第2の剥離ライナーを備える態様において、第1剥離ライナーと第2剥離ライナーとは、同種の材料および構成を有するものであってもよく、異なる材料、構成を有するものであってもよい。
ここに開示される剥離ライナー付きシーラントシートは、剥離ライナーとシーラントシートとが剥離可能に積層されたものである。したがって、シーラントシートに対する剥離ライナーの剥離力は、好ましくは所定値以下に制限されている。いくつかの好ましい態様では、上記剥離ライナーの剥離力は、凡そ3N/50mm以下であり、より好ましくは1N/50mm以下であり、0.70N/50mm以下であってもよく、0.50N/50mm以下でもよい。上記剥離ライナーの剥離力の下限値は、0.01N/50mm以上が適当であり、剥離ライナーによる保護性や浮き防止の観点から、0.05N/50mm以上であり得る。剥離ライナーの剥離力は、剥離ライナー表面に対する剥離処理等によって調節することができる。シーラントシートの各面に第1および第2の剥離ライナーを備える態様においては、各剥離ライナーの剥離力は、剥離作業性の観点から異なることが好ましく、あるいは同程度に設計されていてもよい。
剥離ライナーの剥離力は、長さ150mm、幅50mmにカットした剥離ライナー付きシーラントを用意して、23℃、50%RHの雰囲気下、引張速度300mm/分、剥離角度180°の条件で測定される。
剥離ライナーの厚さは特に限定されず、例えば10μm~500μm程度であり得る。剥離ライナーの強度や取扱い性の観点から、剥離ライナーの厚さは、20μm以上(例えば25μm以上)が適当であり、好ましくは30μm以上であり、35μm以上でもよく、40μm以上でもよく、45μm以上でもよく、50μm以上でもよく、70μm以上でもよい。剥離ライナーの厚さが大きいことは、シール対象物に貼り付けたシーラントシートの変形を防止する観点からも有利である。また、剥離ライナーの取扱い性(例えば、巻回しやすさ)等の観点から、剥離ライナーの厚さは、300μm以下が適当であり、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下、さらに好ましくは100μm以下、特に好ましくは80μm以下であり、50μm以下であってもよく、30μm以下でもよい薄厚の剥離ライナーによると、剥離ライナーに積層した状態でシーラントシートをシール対象物に貼り付ける際に、シール対象箇所の表面形状への追従性に優れる傾向がある。シーラントシートの各面に第1および第2の剥離ライナーを備える態様において、第1剥離ライナーおよび第2剥離ライナーの厚さは、剥離作業性の観点から異なることが好ましく、あるいは同じであってもよい。
剥離ライナーの好ましい厚さは、シーラントシートの厚さとの関係でも特定され得る。シーラントシートの厚さTに対する剥離ライナー(具体的には、光照射側の剥離ライナー)の厚さTの比(T/T)は、シーラントシートの効率的な光硬化の観点から、例えば凡そ1以下が適当であり、好ましくは凡そ0.5以下であり、凡そ0.3以下であってもよい。上記比(T/T)を満足する構成は、剥離ライナーに積層した状態でシーラントシートをシール対象物に貼り付ける際に、シール対象箇所の表面形状への追従性に優れる傾向がある。また、上記比(T/T)の下限は、例えば凡そ0.01以上が適当であり、取扱い性等の観点から、好ましくは凡そ0.05以上であり、凡そ0.1以上であってもよく、0.15以上でもよい。
ここに開示される方法に使用される剥離ライナー付きシーラントシートを構成する剥離ライナーは、透光性であってもよく、遮光性であってもよい。ここで、本明細書において「透光性」とは、特記しない場合、350~450nmの波長域における光線透過率が20%以上、例えば50%以上であることをいう。また、本明細書において「遮光性」とは、特記しない場合、350~450nmの波長域における光線透過率が20%未満、好ましくは10%未満であることをいう。シーラントシートの各面に第1および第2の剥離ライナーを備える態様において、第1剥離ライナーの光線透過率と第2剥離ライナーの光線透過率とは、同程度であってもよく、異なっていてもよい。
なお、剥離ライナーの350~450nmの波長域における光線透過率は、後述の実施例に記載の方法で測定される。本明細書では、便宜的に、365nmの波長における値を当該剥離ライナーの光線透過率(波長365nm)としてもよい。
また、剥離ライナーの上記光線透過率は、剥離ライナー基材の材料(樹脂材料)の選択や、添加剤(例えば顔料等の着色剤)の種類や量、剥離処理剤の選択等によって調節することができる。
剥離ライナー越しにシーラントシートへの光照射を行うことが想定される場合、該剥離ライナーの350~450nmの波長域における光線透過率は、剥離ライナー越しの光照射によるシーラントシートの硬化性の観点から、好ましくは25%以上、より好ましくは30%以上、さらに好ましくは35%以上であり、50%以上であってもよく、70%以上でもよく、90%以上でもよく、95%以上でもよく、99%以上でもよい。いくつかの態様において、少なくとも光照射側に配置される剥離ライナーは、上記の光線透過率を有するものであり得る。2つの剥離ライナーをシーラントシートの各面に備える構成においては、2つの剥離ライナーが上記光線透過率を有してもよく、一方(光照射側)のみ上記光線透過率を有するものであってもよい。上記光線透過率の上限は100%であり、実用的には100%未満でもよい。
いくつかの態様において、視認性の観点から、上記光線透過率が80%以下である剥離ライナーを好ましく使用し得る。このような剥離ライナーは、シーラントシート上で、その有無を容易に確認することができ、例えばシーラントシートをシール対象物に貼り付けた後などに、剥離ライナーの剥がし忘れを防止することができる。そのような観点から、上記光線透過率は、例えば75%以下であってよく、70%以下でもよく、65%以下でもよい。
なお、本明細書において、剥離ライナーが所定以上の上記光線透過率を有するとは、シーラントシートと積層する領域全体の主要な領域(全体の50%超、例えば70%以上)が上記光線透過率を有することをいう。剥離ライナー越しにシーラントシートに光照射することが想定される場合、該剥離ライナーは、上記シーラントシートの均質かつ効率的な光硬化の観点から、剥離ライナー表面の実質的に全域で所定以上の光線透過率を有することが好ましい。ここで「剥離ライナー表面の実質的に全域」とは、剥離ライナーの表面において、シーラントシートと積層する領域全体の面積を100%としたとき、例えば印刷等の配置により上記光線透過率を有しない領域の面積割合が上記全体の5%未満であることをいう。そのような上記光線透過率を有しない領域の面積割合は3%未満であってもよく、1%未満であってもよい。他のいくつかの態様では、剥離ライナーの表面において、シーラントシートと積層する領域全体の面積に対する上記光線透過率を有しない領域の割合は、光硬化性シーラントシートの硬化を損なわない範囲(例えば30%以下程度、さらには10%以下程度の範囲)で、適宜設定することができる。
ここに開示される剥離ライナー付きシーラントシートは、遮光性の剥離ライナーをその構成要素として含んでいてもよい。このことは、シーラントシートを剥離ライナー付きシーラントシートの形態で保存する場合における保存性の向上(例えば、保存中に光が当たることによる硬化の抑制)に役立ち得る。遮光性の剥離ライナーとしては、350~450nmの波長域における光線透過率が、好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満、さらに好ましくは1%未満であるものを使用することができる。遮光性剥離ライナーの光線透過率の下限は0%であり、実用上の観点から例えば0.1%以上でもよい。
ここに開示される剥離ライナー付きシーラントシートが透光性剥離ライナーを含む場合、該剥離ライナーは、該剥離ライナー越しにシーラントシートに光照射する場合におけるシーラントシートの均質な硬化のため、当該剥離ライナーの表面のほぼ全域で均一な光線透過率を有することが好ましい。例えば、剥離ライナーの表面において、シーラントシートと積層する領域全体の上記光線透過率は±10%(例えば±5%)の範囲内であることが好ましい。これにより、剥離ライナー越しの光照射によって硬化ムラのないシーラント硬化物が好ましく得られる。
また、ここに開示される剥離ライナー付きシーラントシートが遮光性剥離ライナーを含む場合、該剥離ライナーは、光遮蔽によるシーラントシートの保存性向上効果を均質に発揮するため、当該剥離ライナーの表面のほぼ全域で均一な光線透過率を有することが好ましい。例えば、剥離ライナーの表面において、シーラントシートと積層する領域全体の上記光線透過率は±10%(例えば±5%)の範囲内であることが好ましい。
所望の光線透過率を有する剥離ライナーは、適当な着色剤を用いることによって好ましく作製することができる。着色剤としては、従来公知の顔料や染料を用いることができる。顔料としては、例えば、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、硫化亜鉛、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタン、シリカ、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、ジルコニア、酸化鉄系、水酸化鉄系、酸化クロム系、水酸化クロム系、スピネル型焼成系、クロム酸系、クロムバーミリオン系、紺青系、コバルトブルー系、アルミニウム粉末系、ブロンズ粉末系、銀粉末系、リン酸カルシウム等の無機顔料や、フタロシアニン系、アゾ系、縮合アゾ系、アゾレーキ系、アントラキノン系、ペリレン・ペリノン系、フラボン、インジゴ系、チオインジゴ系、イソインドリノン系、アゾメチン系、ジオキサジン系、キナクリドン系、アニリンブラック系、トリフェニルメタン系、カーボンブラック系等の有機顔料のなかから、所定の透過率を実現しやすいものが好ましく用いられる。染料としては、例えば、アゾ系染料、アントラキノン、キノフタロン、スチリル、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、オキサジン、トリアジン、キサンタン、メタン、アゾメチン、アクリジン、ジアジンのなかから、所定の透過率を実現しやすいものが好ましく用いられる。着色剤は、一種を単独でまたは二種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
上記光線透過率は、剥離ライナーを構成するいずれかの層(剥離ライナー基材や剥離処理層、あるいはそれらとは異なる任意の層)に、適当な着色剤を含ませることによって実現される。いくつかの好ましい態様では、剥離ライナー基材が上記着色剤を含む。
特に限定されるものではないが、ここに開示される所定範囲の光線透過率を有する剥離ライナーは、所定以上の透過率を有しつつ、例えば、黒色、灰色、白色、赤色、青色、黄色、緑色、黄緑色、橙色、紫色、金色、銀色、パール色等の一種または二種以上の色を呈したものであり得る。視認性の観点から、灰色、赤色、青色、黄色、緑色、黄緑色、橙色、紫色を呈していることが好ましく、光硬化のための透過性と視認性との両立の観点から、青色、緑色を呈していることがより好ましく、青色が特に好ましい。
なお、ここに開示される技術において、青色とは可視スペクトルの波長域が360nm以上480nm未満である色をいい、緑色とは可視スペクトルの波長域が480nm以上560nm未満である色をいう。
<用途(使用方法)>
ここに開示される技術を適用してシールされる箇所の材質は、特に限定されない。上記材質は、例えば金属、樹脂、これらの複合材料等であってよく、より具体的には、鉄、鉄合金(炭素鋼、ステンレス鋼、クロム鋼、ニッケル鋼等)、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、タングステン、銅、銅合金、チタン、チタン合金、シリコン等の金属または半金属材料;ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂(PAN)等の樹脂材料;アルミナ、シリカ、サファイア、窒化ケイ素、窒化タンタル、炭化チタン、炭化ケイ素、窒化ガリウム、石膏等のセラミック材料;アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ソーダアルミノケイ酸ガラス、石英ガラス等のガラス材料;これらの積層物や複合物;等であり得る。上記金属または半金属材料の好適例として、アルミニウムやチタン等の軽金属または該軽金属を主成分とする合金が挙げられる。アルミニウム合金の例として、ジュラルミン(例えば、ジュラルミンA2024、ジュラルミンA2017等)が挙げられる。また、上記複合物の例としては、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、ガラス繊維強化プラスチック(FRP)等が挙げられる。上記のような材料から構成されたシール箇所を有する物品または部品に対して、ここに開示される技術は、好ましく利用される。
ここに開示されるシーラントシートは、25℃程度の温度域において非液状(すなわち、固体状)のシートの形態を呈するので、液状のシーラントとは異なり、シール対象箇所への配置時に作業者が厚さ制御を行う必要がない。また、上記シーラントシートは、液状のシーラントとは異なり、あらかじめ所望の外形にカットしたうえでシール対象箇所に配置する(典型的には、該シーラントシートのタックを利用して貼り付ける)ことが可能である。シーラントシートへの光照射は、上記所望の外形にカットした後に行ってもよく、光照射後のシーラントシートを上記可使時間を利用して上記所望の外形にカットしてもよい。あるいは、ロール形態のシーラントシートを巻き出しながらシール対象箇所に貼り付け、余ったシーリングシートを切り離すようにしてもよい。例えば、ロール形態のシーラントシートの繰出し口付近に光照射用光源を設けることにより、ロール形態から巻き出されるシーラントシートをあらかじめ光照射処理したうえでシール対象箇所に貼り付けることができる。ここに開示されるシーラントシートを用いることにより、液状シーラントの塗布時における垂れ、塗りムラ、はみ出し等の問題を根本的に解決することができ、作業時間の大幅な短縮を図ることができる。
なお、シーラントシートは、使用に供されるまで、すなわち光照射工程の前においては、暗室等、光硬化に影響する光線が遮断あるいは制限された空間(暗所)で保管されることが好ましい。保管時のシーラントシートは、剥離ライナー付きシーラントシートのシート体(用途等に応じた形状を有するものであり得る。)や、剥離ライナー付きシーラントシートロール体の形態であり得る。
ここに開示されるシーラントシートは、光照射によってシートの硬化が進行する。特に限定されるものではないが、いくつかの好ましい態様を例に挙げると、光照射を行って光塩基発生剤(D)から塩基を発生させることにより、該シーラントシートに含まれるエポキシ基とチオール基とのアニオン付加反応が促進され、シートの硬化が進行する。すなわち、ここに開示される技術は、光硬化性シーラントシートと、シーラントシートの少なくとも一方の面に配置された光透過性の剥離ライナーと、を備える剥離ライナー付きシーラントシートを用意する工程と;上記光透過性の剥離ライナー越しにシーラントシートに光照射を実施する工程とを含む方法を包含する。このような方法によると、取扱い性よく、効率的にシーラントシートの硬化を進行させ得る。
光照射は、例えばケミカルランプ、ブラックライト(例えば、東芝ライテック社製のブラックライト)、メタルハライドランプ等の、公知の適切な光源を用いて行うことができる。いくつかの態様において、波長250nm~450nmの領域にスペクトル分布をもつ光源が好ましく用いられ得る。シーラントシートに増感剤を含有させることにより、上記光源から照射させる光の利用効率を高めることができる。例えば波長350nm~450nmの領域にスペクトル分布をもつ光源を使用する場合は、増感剤の使用が特に効果的である。
ここに開示される技術は、硬化処理後のシーラントシートの硬化速度の設定の自由度の高さを包含し、例えば硬化速度を意図的に遅らせることが可能である。したがって、シーラントシートの硬化処理後の硬化速度を適切に設定して、それにあわせた適当なタイミングで光照射を行い、シーラントシートの硬化を進行させることができる。このことは、上記光照射が特定のタイミングに限定されないことを意味する。例えば、エポキシ基とチオール基とのアニオン付加反応は一般的なラジカル重合に比べて進行が遅くし得るため、ここに開示されるシーラントシートの硬化を徐々に進行させ得る。ここに開示されるシーリング方法では、あらかじめ光照射を行ったシーラントシートをシール対象箇所に配置するので、シール対象箇所への配置後に十分な光を均一に照射することが困難な使用態様で用いられるシーラントシート(例えば不透明な部材間のシールに用いられるシーラントシート等)であっても良好に硬化させることができる。
ここに開示されるシーラントシートから形成される硬化物または上記シーラント硬化物は、後述する実施例に記載の方法で測定される引張破断強度が、0.7MPa以上であることが適当であり、好ましくは0.9MPa以上であり、より好ましくは1.0MPa超であり、1.1MPa以上または1.15MPa以上でもよい。いくつかの態様において、上記引張破断強度は、1.2MPa以上でもよく、1.3MPa以上でもよい。引張破断強度の上限は特に制限されないが、他の物性との両立を容易とする観点から、例えば3MPa以下であってよい。
また、ここに開示されるシーラントシートから形成される硬化物または上記シーラント硬化物は、下記の方法で測定される破断時伸びが、100%以上であることが適当であり、120%以上であることが好ましく、150%以上でもよく、200%以上でもよく、250%以上でもよい。破断時伸びの上限は特に制限されないが、他の物性との両立を容易とする観点から、例えば600%以下であってよく、400%以下でもよい。
(破断時伸びの測定)
シーラントシートの片面に、東芝ライテック社製のブラックライトを用いて2000mJ/cmの光照射を行う。照射後のシーラントシートを25℃の環境下に14日間保持した後、得られた硬化物(シーラント硬化物)を幅10mm、長さ50mmの長方形状にカットしてサンプル片を作製する。このようにして作製したサンプル片を、チャック間20mmとなるようにして引張試験機のチャックに挟み、JIS K6767に準じて50mm/分の速度で引っ張り、サンプルが破断したときのチャック間距離L1および引張り開始時のチャック間距離L0から、以下の式:
破断時伸び(%)=((L1-L0)/L0)×100;
により破断時伸びを算出する。
この明細書により開示される事項には以下のものが含まれる。
〔1〕 光硬化性シーラントシートを用意する工程と、
上記シーラントシートに光照射処理を施す工程と、
上記シーラントシートをシール対象物に貼り付ける工程と、
をこの順序で含む、シーリング方法。
〔2〕 上記シーラントシートとして、遅延硬化型の光硬化性シーラントシートを使用する、上記〔1〕に記載の方法。
〔3〕 上記シーラントシートとして、光アニオン硬化性シーラントシートを使用する、上記〔1〕または〔2〕に記載の方法。
〔4〕 上記貼り付ける工程は、上記シーラントシートの25℃貯蔵弾性率が0.7MPaを超える前に行われる、上記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の方法。
〔5〕 上記シーラントシートとして、該シーラントシートの露出面にブラックライトを用いて2000mJ/cmの光照射を行ってから1時間後の25℃貯蔵弾性率が0.7MPa以下である光硬化性シーラントシートを使用する、上記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の方法。
〔6〕 上記シーラントシートとして、引張破断強度が0.7MPa以上のシーラント硬化物を形成する光硬化性シーラントシートを使用する、上記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の方法。
〔7〕 上記シーラントシートとして、上記光照射処理を施す前の25℃貯蔵弾性率が0.005MPa以上0.6MPa以下である光硬化性シーラントシートを使用する、上記〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の方法。
〔8〕 上記シーラントシートとして、ポリサルファイド系シーラントからなる光硬化性シーラントシートを使用する、上記〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の方法。
〔9〕 上記シーラントシートとして、光塩基発生剤を含む光硬化性シーラントシートを使用する、上記〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の方法。
〔10〕 上記〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の方法を実施するために使用される、光硬化性シーラントシート。
〔11〕 上記シーラントシートは、
以下の成分:
一分子中に2以上のエポキシ基を有するエポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB);
一分子中に2以上のチオール基を有するチオール化合物(C);および
光塩基発生剤(D);
を含む、上記〔10〕に記載のシーラントシート。
〔12〕 上記エポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)は、両末端エポキシポリサルファイドポリマーである、上記〔11〕に記載のシーラントシート。
〔13〕 上記チオール化合物(C)は、チオール当量が45g/eq以上450g/eq以下である、上記〔11〕または〔12〕に記載のシーラントシート。
〔14〕 上記エポキシ基含有ポリサルファイドポリマー(AB)は、ジサルファイド構造を主鎖中に有するMw500~10000の両末端チオールポリサルファイドと、一分子中に2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物との反応物である、上記〔11〕に記載のシーラントシート。
〔15〕 上記エポキシ化合物は、2官能エポキシ化合物を含む、上記〔14〕に記載のシーラントシート。
〔16〕 上記2官能エポキシ化合物として、分子内に5員環以上の炭素環構造を含むエポキシ化合物を含む、上記〔15〕に記載のシーラントシート。
〔17〕 上記エポキシ化合物は、3官能以上の多官能エポキシ化合物を含む、上記〔14〕~〔16〕のいずれかに記載のシーラントシート。
〔18〕 上記多官能エポキシ化合物として、ノボラック型エポキシ樹脂を含む、上記〔17〕に記載のシーラントシート。
〔19〕 上記シーラントシートは、
以下の成分:
一分子中に2以上のチオール基を有するチオール基含有ポリサルファイドポリマー(AC)
一分子中に2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物(B)および
光塩基発生剤(D);
を含む、上記〔10〕に記載の剥離ライナー付きシーラントシート。
〔20〕 上記チオール基含有ポリサルファイドポリマー(AC)は、両末端チオールポリサルファイドポリマーである、上記〔19〕に記載のシーラントシート。
〔21〕 上記エポキシ化合物(B)は、エポキシ当量が50g/eq以上600g/eq以下である、上記〔19〕または〔20〕に記載のシーラントシート。
〔22〕 上記光塩基発生剤(D)は、ビグアニド型のカチオンを有するイオン性光塩基発生剤である、上記〔11〕~〔21〕のいずれかに記載のシーラントシート。
〔23〕 上記シーラントシートは、さらに増感剤を含む、上記〔11〕~〔22〕のいずれかに記載のシーラントシート。
〔24〕 上記シーラントシートは、さらにフィラーを含む、上記〔11〕~〔23〕のいずれかに記載のシーラントシート。
〔25〕 上記フィラーの含有量は、シーラントシート全体の1重量%以上40重量%未満である、上記〔24〕に記載のシーラントシート。
〔26〕 上記フィラーの平均粒子径は0.1μm以上30μm以下である、上記〔14〕または〔25〕に記載のシーラントシート。
〔27〕 厚さが0.01mm以上10mm以下である、上記〔10〕~〔26〕のいずれかに記載のシーラントシート。
〔28〕 上記〔10〕~〔27〕のいずれか一項に記載のシーラントシートと、
上記シーラントシートの少なくとも一方の表面に当接する剥離面を有する剥離ライナーと、
を含む、剥離ライナー付きシーラントシート。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の説明における「部」は、特に断りがない限り重量基準である。
<製造例1>
攪拌機を備えた反応容器を用いて、液状ポリサルファイドポリマー(両末端チオールポリサルファイドポリマー)90部、2官能エポキシ化合物6.7部、多官能エポキシ化合物2部、および塩基性触媒0.01部を、攪拌しながら90℃で3時間加熱した。次いで、上記反応容器の内容物を別容器に移して50℃の環境下に168時間保持した。このようにして両末端エポキシポリサルファイドポリマーを合成した。
上記別容器の内容物を取り出して室温まで放冷させた後、2級2官能チオール化合物1部、光塩基発生剤1部、貯蔵安定剤0.5部、およびフィラーとしてのタルク30部を加え、2本ロールミルを用いて均一に練り合わせた。得られた混合物を、真空プレス機を用いてシート状に成形することにより、本例に係るシーラントシートを得た。その際、厚さ0.2mmのシートと厚さ1mmのシートとの2種類を作製した。
なお、液状ポリサルファイドポリマーとしては製品名「チオコールLP-55」(東レファインケミカル社製、両末端チオールポリサルファイド、重量平均分子量4000)を、2官能エポキシ化合物としては製品名「jER806」(三菱ケミカル社製、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量177g/eq)を、多官能エポキシ化合物としては製品名「jER152」(三菱ケミカル社製、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量176~178g/eq)を、塩基性触媒としては2,4,6-トリアミノメチルフェノール(東京化成社製)を、2級2官能チオール化合物としては製品名「カレンズMT BD1」(昭和電工社製、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、チオール当量147.2g/eq)を、光塩基発生剤としては製品名「WPBG-266」(富士フィルム和光純薬社製、ビグアニド系光塩基発生剤)を、貯蔵安定化剤としては製品名「キュアダクトL-07N」(四国化成社製、ホウ酸エステル化合物)を、フィラー(タルク)としては製品名「ミクロエースSG-95」(日本タルク社製、タルク粉末、平均粒子径2.5μm)を使用した。
厚さ0.2mmのシーラントシートを2枚の剥離ライナーで挟み、シーラントシートの各面に剥離ライナーが配置された剥離ライナー付きシーラントシートを作製した。具体的には、後述の光照射側に配置する剥離ライナーとしては、PETフィルムの片面が剥離面となっており、波長365nmの光線透過率が64.2%であり、厚さが50μmである剥離ライナーR1(ニッパ社製)を使用した。他方の剥離ライナーとしては、三菱ケミカル社製のポリエステル製剥離ライナーを使用した。
(初期貯蔵弾性率の測定)
得られたシーラントシートについて、下記の方法で光照射処理前の貯蔵弾性率(初期貯蔵弾性率)を測定した。その結果、上記シーラントシートの初期貯蔵弾性率は0.02MPa~0.2MPaの範囲にあった。
[測定方法]
厚さ1mmのシーラントシートを直径8mmの円盤状に打ち抜き、パラレルプレートで挟み込み、粘弾性試験機(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、機種名「ARES G2」)を用いて、測定温度25℃、周波数1Hz、歪み0.5%の条件において貯蔵弾性率G’を測定した。
(光照射後1時間貯蔵弾性率の測定)
得られたシーラントシートについて、下記の方法により、光照射後1時間貯蔵弾性率を測定した。その結果、上記シーラントシートの光照射処後1時間貯蔵弾性率は、初期貯蔵弾性率より高く、かつ0.5MPa以下であった。
[測定方法]
25℃の環境下において、厚さ1mmのシーラントシートの片面側から直接、東芝ライテック社製のブラックライトを用いて2000mJ/cmの光照射を行った。光照射後のシーラントシートを25℃の環境下に1時間静置し、その後速やかに、上記初期貯蔵弾性率の測定と同様にして貯蔵弾性率G’を測定した。
(シーラント硬化物の引張破断強度)
得られた剥離ライナー付きシーラントシートから光照射側の剥離ライナーR1を剥がしてシーラントシート(厚さ0.2mm)の表面を露出させ、その露出面に東芝ライテック社製のブラックライトを用いて2000mJ/cmの光照射を行った。
照射後のシーラントシートを25℃の環境下に14日間保持した後、得られた硬化物(シーラント硬化物)を幅10mm、長さ50mmの長方形状にカットしてサンプル片を作製した。上記サンプル片を、チャック間20mmとなるようにして引張試験機のチャックに挟み、JIS K6767に準じて50mm/分の速度で引っ張り、サンプル片が破断するまでに観測された最大強度を破断強度とした。その結果、上記シーラント硬化物の引張破断強度は約1.5MPaであった。
<製造例2>
後述の光照射側に配置する光照射剥離ライナーとして、ポリエステルフィルムの片面がシリコーン系剥離処理剤による剥離面となっている剥離ライナーR2(三菱ケミカル社製、厚さ38μm、波長365nmの光線透過率91%)を使用した。その他は製造例1と同様にして、本製造例に係る剥離ライナー付きシーラントシートを作製した。
<製造例3>
後述の光照射側に配置する剥離ライナーとして、波長365nmの光線透過率が0.5%である剥離ライナーR3(ニッパ社製)を使用した。その他は製造例1と同様にして、本製造例に係る剥離ライナー付きシーラントシートを作製した。
なお、剥離ライナーの光線透過率(波長365nm)は、UV-visスペクトル測定装置(島津製作所社製、製品名「UV-2550」)を用いて剥離ライナーのスペクトルを測定し、365nmの波長における値を当該剥離ライナーの光線透過率(波長365nm)とした。
<実験例1>
製造例1により作製した剥離ライナー付きシーラントシートに、剥離ライナーR1(光照射側剥離ライナー)越しに、東芝ライテック社製のブラックライトを用いて2000mJ/cmの光照射を行った。光照射から1時間後に、剥離ライナー付きシーラントシートから光照射側剥離ライナーを剥がし、露出したシーラントシート表面をステンレス鋼板(SUS304BA板)に貼り付けた。次いで、シーラントシートから他方の剥離ライナーを剥がし、25℃の環境下に14日間保持した。これにより、表面にタックがなく、親指で押さえても跡がつかない程度の十分な硬さを有するシーラント硬化物が形成された。
<実験例2>
製造例2により作製した剥離ライナー付きシーラントシートに、剥離ライナーR2(光照射側剥離ライナー)越しに、東芝ライテック社製のブラックライトを用いて2000mJ/cmの光照射を行った。光照射から1時間後に、剥離ライナー付きシーラントシートから光照射側剥離ライナーを剥がし、露出したシーラントシート表面をステンレス鋼板(SUS304BA板)に貼り付けた。次いで、シーラントシートから他方の剥離ライナーを剥がし、25℃の環境下に14日間保持した。これにより、表面にタックがなく、親指で押さえても跡がつかない跡がつかない程度の十分な硬さを有するシーラント硬化物が形成された。
<実験例3>
製造例3により作製した剥離ライナー付きシーラントシートから光照射側剥離ライナーR3を剥がし、露出したシーラントシート表面に対し、東芝ライテック社製のブラックライトを用いて2000mJ/cmの光照射を行った。光照射から1時間後に、シーラントシートの露出面をステンレス鋼板(SUS304BA板)に貼り付けた。次いで、シーラントシートから他方の剥離ライナーを剥がし、25℃の環境下に14日間保持した。これにより、表面にタックがなく、親指で押さえても跡がつかない程度の十分な硬さを有するシーラント硬化物が形成された。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
10 シール対象物
12,14,16 部材
21 シーラントシート
21A 一方の表面
21B 他方の表面
31,32 剥離ライナー
100,200 剥離ライナー付きシーラントシート

Claims (9)

  1. 光硬化性シーラントシートを用意する工程と、
    前記シーラントシートに光照射処理を施す工程と、
    前記シーラントシートをシール対象物に貼り付ける工程と、
    をこの順序で含むシーリング方法であって
    前記シーラントシートとして、光アニオン硬化性シーラントシートを使用する、シーリング方法。
  2. 光硬化性シーラントシートを用意する工程と、
    前記シーラントシートに光照射処理を施す工程と、
    前記シーラントシートをシール対象物に貼り付ける工程と、
    をこの順序で含むシーリング方法であって、
    前記シーラントシートとして、ポリサルファイド系シーラントからなる光硬化性シーラントシートを使用する、シーリング方法。
  3. 光硬化性シーラントシートを用意する工程と、
    前記シーラントシートに光照射処理を施す工程と、
    前記シーラントシートをシール対象物に貼り付ける工程と、
    をこの順序で含むシーリング方法であって、
    前記シーラントシートとして、光塩基発生剤を含む光硬化性シーラントシートを使用する、シーリング方法。
  4. 前記シーラントシートとして、遅延硬化型の光硬化性シーラントシートを使用する、請求項2または3に記載の方法。
  5. 前記シーラントシートとして、光アニオン硬化性シーラントシートを使用する、請求項またはに記載の方法。
  6. 前記貼り付ける工程は、前記シーラントシートの25℃貯蔵弾性率が0.7MPaを超える前に行われる、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記シーラントシートとして、該シーラントシートの露出面にブラックライトを用いて2000mJ/cmの光照射を行ってから1時間後の25℃貯蔵弾性率が0.7MPa以下である光硬化性シーラントシートを使用する、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記シーラントシートとして、引張破断強度が0.7MPa以上のシーラント硬化物を形成する光硬化性シーラントシートを使用する、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記シーラントシートとして、前記光照射処理を施す前の25℃貯蔵弾性率が0.005MPa以上0.6MPa以下である光硬化性シーラントシートを使用する、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
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