JP7253802B2 - 積層体 - Google Patents
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Description
これらの金属積層体は、例えば、車載用途などの苛酷な環境下で使用されたり、あるいは、製造工程においてリフローはんだ工程などで高温に晒されることから、耐熱性が求められている。そのため、現在では、金属積層体として、例えば、ポリイミドフィルム、エポキシ系接着剤、金属の順で構成される積層体が用いられている。
(1)少なくとも金属板、接着層、樹脂層を含有し、これらの層がこの順で積層された積層体であって、
樹脂層を構成する樹脂が、半芳香族ポリアミドまたはポリイミド系樹脂であり、
接着層が、ダイマー酸系ポリアミド樹脂と架橋剤を含有し、
ダイマー酸系ポリアミド樹脂の酸価が3~7mgKOH/gであり、
架橋剤が、イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物から選ばれる一つ以上であり、
架橋剤の含有量が、ダイマー酸系ポリアミド樹脂100質量部に対し、0.5~50質量部であり、
下記条件のヒートサイクル試験後の金属板と樹脂層との剥離強力が6N/25mm以上であることを特徴とする積層体。
ヒートサイクル試験条件:
積層体を、-20℃で30分保持し、次いで2時間かけて150℃まで昇温後、150℃で30分保持した後、再び2時間かけて-20℃まで降温するサイクルを1サイクルとし、これを100サイクル繰り返す。
(2)半芳香族ポリアミドのジアミン成分が、炭素数が9または10のジアミンを含むことを特徴とする(1)記載の積層体。
(3)上記(1)または(2)記載の積層体を用いた電気、電子部品。
本発明の積層体は、少なくとも金属板、接着層、樹脂層を含有し、この順で構成されるものである。
本発明の積層体を構成する接着層は、ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)および/またはエポキシ化合物(Q)を含有する。
本発明において、ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)は、ジカルボン酸成分としてダイマー酸をジカルボン酸成分全体の50モル%以上含有することが好ましく、60モル%以上含有することがより好ましく、70モル%以上含有することがさらに好ましい。ダイマー酸の割合が50モル%未満であると、ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)の特性や効果を奏することが難しくなる。
また、ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)のジアミン成分としては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、m-キシレンジアミン、フェニレンジアミン、ジエチレントリアミン、ピペラジンなどを用いることができ、中でもエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、m-キシレンジアミン、ピペラジンが好ましい。
ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)を重合する際に、上記ジカルボン酸成分とジアミン成分の仕込み比を変更することなどによって、樹脂(P)の重合度や酸価もしくはアミン価を制御することが可能となる。
また、ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)の酸価は、得られる積層体の剥離強力を高め、かつ、ヒートサイクル試験後の剥離強力の低下を抑制できることから、1~20mgKOH/gであることが好ましく、1~15mgKOH/gであることがより好ましく、3~12mgKOH/gであることがさらに好ましく、3~7mgKOH/gであることが最も好ましい。ダイマー酸系ポリアミド樹脂の酸価が1mgKOH/g未満では、接着層を形成するための接着層形成用の塗剤として、安定なものを得ることが困難になり、一方、20mgKOH/gを超えると、本来のダイマー酸系ポリアミド樹脂の良好な特性である耐薬品性が低下することがある。
なお、酸価とは、樹脂1g中に含まれる酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数で定義されるものである。一方、アミン価とは、樹脂1g中の塩基成分とモル当量となる水酸化カリウムのミリグラム数で表されるものである。いずれも、JIS K2501に記載の方法で測定される。
グリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エーテル結合を有する脂肪族エポキシ樹油、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
エポキシ化合物の市販品としては、アデカレジンEP-4000、EP-4080、EP-4100、EP-4900、ED-505、ED-506(ADEKA社製)、jER1001、1002、1003、1055、1004、1007、1009,1010、1031S、1302H60、エピコート604、630、630LSD、YX4000、YX4000H(三菱ケミカル社製)、デナコールEX-313、EX-314、EX-411、EX-421、EX-512、EX-614(ナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
硬化促進剤としては、例えば、芳香族ポリアミン、2-アルキル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4-アルキルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、ジシアンジアミド、トリフェニルフォスフィン、ジアザビシクロウンデセン、ジアミノジフェニルスルホン等公知のものが例示できる。これらを2種以上用いてもよい。
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂のエポキシ当量は、30~1000であることが好ましく、50~500であることがより好ましく、100~300であることがさらに好ましい。また、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂は、25℃における粘度が1Pa・s以下であることが好ましく、市販品として、EP-4085、EP-4088S(ADEKA社製)、HP-7200、HP-7200H(DIC社製)、ZX-1658GS(新日鉄住金化学社製)などが挙げられる。
本発明においては、所定の特性を満足さえすれば、接着層を透明とするか不透明とするかは、任意で選択することができる。
本発明の積層体を構成する樹脂層において、樹脂層を構成する樹脂は、耐熱性の観点から、半芳香族ポリアミドまたはポリイミド系樹脂であることが必要である。
半芳香族ポリアミドを構成するジカルボン酸成分は、テレフタル酸を主成分とすることが好ましく、テレフタル酸以外のジカルボン酸成分としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸や、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,3-ナフタレンジカルボン酸、1,2-ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。ジカルボン酸成分中のテレフタル酸の含有量は、60~100モル%であることが好ましい。
ジアミン化合物としては、例えば、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、3,4′-ジアミノジフェニルエーテル、4,4′-ジアミノジフェニルエーテル、4,4′-ジアミノジフェニルスルホン、3,3′-ジアミノジフェニルスルホン、2,2-ビス(4-アミノフェノキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,4-ジアミノトルエン、2,6-ジアミノトルエン、3,3′-ジアミノジフェニルメタン、4,4′-ジアミノジフェニルメタン、4,4′-ジアミノ-2,2-ジメチルビフェニル、2,2-ビス(トリフルオロメチル)-4,4′-ジアミノビフェニルが挙げられる。これらジアミン化合物は、単独で用いられてもよく、また2種以上が併用されてもよい。
耐熱性や機械的強度、電気特性、耐薬品性に優れることから、ポリイミド系樹脂は、テトラカルボン酸二無水物がピロメリット酸二無水物であり、ジアミン化合物が4,4′-ジアミノジフェニルエーテルである構成や、テトラカルボン酸二無水物が3,3′,4,4′-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物であり、ジアミン化合物がp-フェニレンジアミンである構成が好ましい。
トリカルボン酸成分としては、トリメリット酸、ジフェニルエーテル-3,3′,4′-トリカルボン酸、ジフェニルスルホン-3,3′,4′-トリカルボン酸、ベンゾフェノン-3,3′,4′-トリカルボン酸などが挙げられ、ジアミン成分としては、前記ポリイミド系樹脂を構成するジアミン化合物として例示したものが挙げられる。
ポリアミドイミドは、通常、無水トリメリット酸とジイソシアネートとの反応、または無水トリメリット酸クロライドとジアミンとの反応により重合した後、イミド化することにより製造することができる。
また、樹脂層には、接着層と積層する場合の密着性などを考慮して、表面に前処理としてコロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、薬品処理、溶剤処理などが施されてもよい。
樹脂層の厚みは、0.5μm~1.5mmであることが好ましく、15~200μmであることがより好ましく、25~75μmであることがさらに好ましい。樹脂層の厚みが、0.5μm未満であると、製造が困難であり、1.5mmを超えると、取扱い上困難となることがある。樹脂層は、延伸処理がなされたものでもよい。
通常、フィルムの透明性は、ヘイズと全光線透過率で表される。本発明において、樹脂層を透明とする場合、樹脂層は、ヘイズが15%未満であることが好ましく、10%未満であることがより好ましく、全光線透過率が60%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
本発明においては、所定の特性を満足さえすれば、樹脂層を透明とするか不透明とするかは、任意で選択することができる。
例えば、半芳香族ポリアミドのポリアミド9Tと、脂肪族ポリアミドのポリアミド6、ポリアミド66との特性を対比した場合、ポリアミド9Tの融点306℃に対し、ポリアミド6の融点は225℃であり、ポリアミド66の融点は265℃であり、これら脂肪族ポリアミドは、相対的に耐熱性が低い。したがって、耐熱性が低い脂肪族ポリアミドからなる樹脂層は、積層時の寸法安定性や、積層後のヒートサイクル試験時の寸法安定性が劣り、接着性の低下や浮き等を生じやすい。
さらには、吸水率(23℃、24時間、水中浸漬)については、ポリアミド9Tの吸水率0.25%に対し、ポリアミド6の吸水率は1.6%であり、ポリアミド66の吸水率は1.5%であり、これら脂肪族ポリアミドは、相対的に吸水率が高い。
したがって、このように耐熱性が低く、吸水率が高い脂肪族ポリアミドからなる樹脂層を含む積層体を、フレキシブルプリント基板等の用途で用いた場合、吸湿した樹脂層は、リフロー半田工程で例えば260℃雰囲気に数秒間さらされると、樹脂層に含まれる水分が一気に水蒸気化し、ブリスター等フクレが発生して外観が劣化するのみならず、金属板との接着性が低下することがある。
積層体の金属板を構成する金属の種類は、特に限定されず、銅、スズ、アルミニウム、ステンレス、金、ニッケルおよびこれらの混合物、化合物が挙げられる。
金属板の厚みは、特に限定されないが、1mm以下であることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましい。金属板の表面は、鏡面でも、粗面でもよく、また表面処理されていてもよい。
本発明の積層体は、後述する条件のヒートサイクル試験後においても、金属板と樹脂層との接着性に優れ、金属板と樹脂層との剥離強力は6N/25mm以上であり、剥離強力は7N/25mm以上であることが好ましく、8N/25mm以上であることがより好ましい。
本発明の積層体は、少なくとも金属板、接着層、樹脂層を含有し、これらの層がこの順で積層されたものであり、樹脂層に接着層を積層する方法としては、樹脂層に接着層形成用塗剤を塗布する方法や、接着層を構成する樹脂と樹脂層を構成する樹脂とを共押出する方法が挙げられる。後者の方法は、樹脂層を製膜する時の溶融温度に依存するので、前者の接着層形成用塗剤を塗布する方法が好ましい。
そして、接着層形成用塗剤が塗布された樹脂層を、乾燥、延伸および熱処理を同時に行なう方法や、乾燥後に、延伸および熱処理を行なう方法によって、樹脂層に接着層を積層することができる。
塩基性化合物の常圧時の沸点が185℃を超えると、水性塗剤を塗布して塗膜を形成する際に、乾燥によって塩基性化合物、特に有機アミン化合物を揮発させることが困難になり、衛生面や塗膜特性に悪影響を及ぼす場合がある。
保護コロイド作用を有する化合物としては、ポリビニルアルコール、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、変性デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸およびその塩、カルボキシル基含有ポリエチレンワックス、カルボキシル基含有ポリプロピレンワックス、カルボキシル基含有ポリエチレン-プロピレンワックスなどの数平均分子量が通常は5000以下の酸変性ポリオレフィンワックス類およびその塩、アクリル酸-無水マレイン酸共重合体およびその塩、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、イソブチレン-無水マレイン酸交互共重合体、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体などの不飽和カルボン酸含有量が10質量%以上のカルボキシル基含有ポリマーおよびその塩、ポリイタコン酸およびその塩、アミノ基を有する水溶性アクリル系共重合体、ゼラチン、アラビアゴム、カゼインなど、一般に微粒子の分散安定剤として用いられている化合物などが挙げられる。
ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)の水性分散体を得るにあたっては、密閉可能な容器を用いることが好ましい。つまり、密閉可能な容器に各成分を仕込み、加熱、攪拌する手段が好ましく採用される。
具体的に、まず、所定量のダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)と、塩基性化合物と、水性媒体とを容器に投入する。なお、前述したように、水性媒体中に塩基性化合物や後述する親水性有機溶剤を含有させてもよいので、例えば、塩基性化合物を含有する水性媒体を用いるのであれば、別途、塩基性化合物を投入せずとも、結果的に容器中に塩基性化合物が仕込まれることになる。
次に、容器を密閉し、好ましくは70~280℃、より好ましくは100~250℃の温度で、加熱撹拌する。加熱攪拌時の温度が70℃未満になると、ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)の分散が進み難く、樹脂の数平均粒子径を0.5μm以下とすることが難しくなる傾向にあり、一方、280℃を超えると、ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)の分子量が低下するおそれがあり、また、系の内圧が無視できない程度まで上がることがあり、いずれも好ましくない。
加熱撹拌する際は、樹脂が水性媒体中に均一に分散されるまで毎分10~1000回転で加熱撹拌することが好ましい。
前述の塩基性化合物のときと同様、水性媒体中に親水性有機溶剤を含有させてもよいので、親水性有機溶剤を含有する水性媒体を用いるのであれば、別途、親水性有機溶剤を追加投入せずとも、結果的に容器中に親水性有機溶剤が仕込まれることになる。
そして、水性分散体を冷却した後は、直ちにこれを払い出し、次なる工程に供しても基本的に何ら問題ない。しかしながら、容器内には異物や少量の未分散樹脂が稀に残っていることがあるため、水性分散体を払い出す前に、一旦濾過工程を設けることが好ましい。濾過工程としては、特に限定されないが、例えば、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(例えば空気圧0.5MPa)する手段が採用できる。
ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)の水性分散体を得た後は、この水性分散体と、架橋剤を含む分散体または溶液とを適量混合することで、より接着性の良い塗剤を得ることができる。
有機溶剤としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、n-アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec-アミルアルコール、tert-アミルアルコール、1-エチル-1-プロパノール、2-メチル-1-ブタノール、n-ヘキサノール、シクロヘキサノールなどのアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどのケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;酢酸エチル、酢酸-n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチル、酢酸-sec-ブチル、酢酸-3-メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジエチル、炭酸ジメチルなどのエステル類;エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどのグリコール誘導体;さらには、3-メトキシ-3-メチルブタノール、3-メトキシブタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコール、アセト酢酸エチル、トルエン、キシレン、シクロヘキサンが挙げられ、必要に応じて、これらの有機溶剤を混合して用いてもよい。
樹脂層に積層された接着層上に、金属板を接着する方法としては、熱プレスなどの方法が挙げられる。
本発明における接着層は、高温下低流動性を示し、金属板の接着において熱プレスの高温下におかれても、高温流動に伴う形状変化が抑えられ、樹脂層と金属板との接着性に優れる積層体を得ることができる。
また、本発明における接着層は、ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)を含む場合、熱硬化性樹脂を含む接着層に比較して、温度、圧力、時間などの熱プレス条件を、緩やかなものとすることができる。熱プレスは、温度が180℃でも接着可能であるが、剥離強度を高める観点から、180~200℃であることが好ましく、190~200℃であることがより好ましい。また熱プレスは、時間が15分でも接着可能であるが、15~120分間であることが好ましく、60~120分間であることがより好ましい。例えば、接着層がエポキシ化合物(Q)を含む場合には、200℃×2時間の条件で熱プレスを行うが、ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)を使用することで、熱プレスの条件を180℃×15分に、低温化、短縮化が可能である。ただし、熱プレス条件は、用いる金属板、接着層、樹脂層の種類、熱プレスを行う装置の種類、能力の組合せ、あるいは得られる積層体に対し、求める特性によって、種々に変更、選択することができるため、この限りではない。
樹脂層は、厚みが増すことで、寸法収縮しにくくなり、積層体のカールを抑制することができる。一方、接着層の体積収縮は、硬化剤の使用、または架橋剤等との併用により、硬化の進行とともに架橋密度が高まったために引き起こされたものである。したがって、接着層は、厚みを極力薄くして体積収縮の影響を出にくくすることで、積層体のカールを抑制することができる。
以上のことを考慮し、樹脂層の種類、厚み、また接着層の種類、用いる架橋剤の種類、配合量、さらには厚みを決定し、積層体としての各界面の接着性向上とともに、カール抑制を図る必要がある。
(1)ダイマー酸系ポリアミド樹脂の特性値
〔酸価、アミン価〕
JIS K 2501に記載の方法により測定した。
〔軟化点〕
樹脂10mgをサンプルとし、顕微鏡用加熱(冷却)装置ヒートステージ(リンカム社製 Heating-Freezing ATAGE TH-600型)を備えた顕微鏡を用いて、昇温速度20℃/分の条件で測定を行い、樹脂が溶融した温度を軟化点とした。
〔ダイマー酸含有量〕
テトラクロロエタン(d2)中、120℃にて1H-NMR分析(バリアン社製 300MHz)を行い、求めた。
得られた水性分散体を適量秤量し、これを150℃で残存物(固形分)の質量が恒量に達するまで加熱し、固形分濃度を求めた。
pHメータ(堀場製作所社製 F-52)を用い、pHを測定した。
B型粘度計(トキメック社製 DVL-BII型デジタル粘度計)を用い、温度25℃における回転粘度(mPa・s)を測定した。
水性分散体中の樹脂の数平均粒子径は、日機装社製 マイクロトラック粒度分布計UPA150(MODEL No.9340)を用いて動的光散乱法によって測定した。
(6.1)ヒートサイクル試験前の剥離強力
実施例、比較例で作製した積層体AとBの金属板の表面に、それぞれ、セロハンテープ(ニチバン社製 LP-24)を貼り合せ、後述する剥離試験での金属板引張時に金属板がすぐに破断しないよう補強を行った。その後、幅25mm、長さ10cmの測定サンプルを、吸湿しないようすみやかに切り出し、23℃、50%RH雰囲気下、引張り試験機(インテスコ社製 精密万能材料試験機2020型)を用い、引張り速度200mm/分の条件にてT型剥離試験を行うことにより、金属板と樹脂層との剥離強力を測定し、その値の大きさで接着性を評価した。なお、測定は、サンプル5枚についておこない、その平均値を、ヒートサイクル試験前の剥離強力とした。
(6.2)ヒートサイクル試験後の剥離強力
また、実施例、比較例で作製した積層体AとBを、-20℃で30分保持し、次いで2時間かけて150℃まで昇温後、150℃で30分保持した後、再び2時間かけて-20℃まで降温するサイクルを1サイクルとし、これを100サイクル繰り返した。ヒートサイクル試験後の積層体AとBについて、上記と同様の方法で、剥離強力を測定し、ヒートサイクル試験後の接着性の評価を行った。
実用上は、積層体Aで必要性能が得られなくても、積層体Bで必要性能が得られれば目的とする用途で使えると判断をした。
前記ヒートサイクル試験後の積層体AとBについて、ヒートサイクル試験後に剥離等が無かったものについて、さらに260℃×15分間保持し、その後の外観を、下記判断基準で目視にて確認した。なお、この耐熱試験は、本発明の積層体が、実際に装置部品として用いられる状態、特にリフロー半田に供される状態を想定している。実用上は、積層体Aで必要性能が得られなくても、積層体Bで必要性能が得られれば目的とする用途で使えると判断をした。
フクレとは、金属板/接着層、または、接着層/樹脂層の界面強力が低下し、金属板または樹脂層が浮いた状態を示す。剥がれとは、金属板/接着層、または、接着層/樹脂層が完全に分離した状態を示す。
◎:フクレ、剥がれが見られない。かつ積層体に外観異常が全く認められない。
○:フクレ、剥がれが見られない。ただし積層体にやや歪みが見られる。
△:フクレが見られる。
×:フクレと剥がれ両方が見られる。
実施例、比較例で作製した積層体Bを、作製後十分に冷却を行い、100×100mmの寸法の試験片を切り出した。試験片を、23℃、65%RH環境下、24時間静置し、その後の試験片のカールの度合いを、試験片の金属板側を下面として接地して評価した。すなわち、試験片が凹状にカールした(接着層もしくは樹脂層が収縮した)場合は、両端の持ち上り高さを測定し、凸状にカールした(樹脂層が吸湿により伸長した)場合は、中央部の持ち上り高さを測定し、下記基準にて評価した。
◎:持ち上り高さが、0.5mm未満
〇:持ち上り高さが、0.5mm以上、3mm未満
△:持ち上り高さが、3mmを超える
実施例、比較例で作製した積層体Bを、作製後十分に冷却を行い、100×100mmの寸法の試験片を切り出した。試験片に対し、張力60Nをかけ、45℃の5%水酸化ナトリウム水溶液をスプレーで吹きつけ、クラック発生の有無を目視で観察し、下記基準にて評価した。
〇:クラックが全く発生しなかった
△:一箇所以上でクラックが発生した。
〔ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P-1)〕
ジカルボン酸成分として、ダイマー酸を100モル%含有し、ジアミン成分としてエチレンジアミンを100モル%含有し、酸価が10.0mgKOH/g、アミン価が0.1mgKOH/g、軟化点が110℃、200℃における溶融粘度が1,100mPa・sであるポリアミド樹脂。
ジカルボン酸成分として、ダイマー酸を85モル%、アゼライン酸を15モル%含有し、ジアミン成分としてピペラジンを50モル%、エチレンジアミンを50モル%含有し、酸価が15.0mgKOH/g、アミン価が0.3mgKOH/g、軟化点が158℃、200℃における溶融粘度が10,000mPa・sであるポリアミド樹脂。
ジカルボン酸成分として、ダイマー酸を60モル%、アゼライン酸を40モル%含有し、ジアミン成分としてピペラジンを50モル%、エチレンジアミンを50モル%含有し、酸価が10.5mgKOH/g、アミン価が0.1mgKOH/g、軟化点が165℃、230℃における溶融粘度が3,800mPa・sであるポリアミド樹脂。
ジカルボン酸成分として、ダイマー酸を90モル%、アゼライン酸を10モル%含有し、ジアミン成分としてピペラジンを50モル%、エチレンジアミンを50モル%含有し、酸価が33.0mgKOH/g、アミン価が0.2mgKOH/g、軟化点が130℃であるポリアミド樹脂。
ジカルボン酸成分として、ダイマー酸を100モル%含有し、ジアミン成分としてエチレンジアミンを100モル%含有し、酸価が2.5mgKOH/g、アミン価が0.1mgKOH/g、軟化点が115℃であるポリアミド樹脂。
ジカルボン酸成分として、ダイマー酸を90モル%、アゼライン酸を10モル%含有し、ジアミン成分としてピペラジンを70モル%、エチレンジアミンを30モル%含有し、酸価が5.0mgKOH/g、アミン価が0.1mgKOH/g、軟化点が140℃であるポリアミド樹脂。
撹拌機およびヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器に、75.0gのダイマー酸系ポリアミド樹脂(P-1)、37.5gのイソプロパノール(IPA)、37.5gのテトラヒドロフラン(THF)、7.2gのN,N-ジメチルエタノールアミンおよび217.8gの蒸留水を仕込んだ。回転速度を300rpmで撹拌しながら、系内を加熱し、120℃で60分間加熱攪拌を行った。その後、撹拌しながら室温付近(約30℃)まで冷却し、100gの蒸留水を追加した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)でごくわずかに加圧しながらろ過した。得られた水性分散体を1Lナスフラスコに入れ、80℃に加熱した湯浴につけながらエバポレーターを用いて減圧し、IPA、THF、水の混合媒体約100gを留去し、乳白色の均一なダイマー酸系ポリアミド樹脂水性分散体(E-1)を得た。E-1の固形分濃度は20質量%、分散体中の樹脂の数平均粒子径は0.040μm、pHは10.4、粘度は36mPa・sであった。
撹拌機およびヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器に、75.0gのダイマー酸系ポリアミド樹脂(P-2)、93.8gのIPA、6.0gのN,N-ジメチルエタノールアミンおよび200.3gの蒸留水を仕込んだ。回転速度を300rpmで撹拌しながら、系内を加熱し、120℃で60分間加熱攪拌を行った。その後、撹拌しながら室温付近(約30℃)まで冷却し、130gの蒸留水を追加した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)でごくわずかに加圧しながらろ過した。得られた水性分散体を1Lナスフラスコに入れ、80℃に加熱した湯浴につけながらエバポレーターを用いて減圧し、IPA、水の混合媒体約130gを留去し、乳白色の均一なダイマー酸系ポリアミド樹脂水性分散体(E-2)を得た。E-2の固形分濃度は20質量%、分散体中の樹脂の数平均粒子径は0.052μm、pHは10.6、粘度は30mPa・sであった。
撹拌機およびヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器に、110.0gのダイマー酸系ポリアミド樹脂(P-3)、110.0gのIPA、110.0gのTHF、9.2gのN,N-ジメチルエタノールアミン、11.0gのトルエン、および199.8gの蒸留水を仕込んだ。回転速度を300rpmで撹拌しながら、系内を加熱し、120℃で60分間加熱攪拌を行った。その後、撹拌しながら室温付近(約30℃)まで冷却し、330gの蒸留水を追加した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)でごくわずかに加圧しながらろ過した。得られた水性分散体を1Lナスフラスコに入れ、80℃に加熱した湯浴につけながらエバポレーターを用いて減圧し、IPA、THF、トルエン、水の混合媒体約330gを留去し、乳白色の均一なダイマー酸系ポリアミド樹脂水性分散体(E-3)を得た。E-3の固形分濃度は20質量%、分散体中の樹脂の数平均粒子径は0.065μm、pHは10.3、粘度は8mPa・sであった。
撹拌機およびヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器に、110.0gのダイマー酸系ポリアミド樹脂(P-4)、110.0gのIPA、110.0gのTHF、28.9gのN,N-ジメチルエタノールアミン、11.0gのトルエン、および180.1gの蒸留水を仕込んだ。回転速度を300rpmで撹拌しながら、系内を加熱し、120℃で60分間加熱攪拌を行った。その後、撹拌しながら室温付近(約30℃)まで冷却し、330gの蒸留水を追加した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)でごくわずかに加圧しながらろ過した。得られた水性分散体を1Lナスフラスコに入れ、80℃に加熱した湯浴につけながらエバポレーターを用いて減圧し、IPA、THF、トルエン、水の混合媒体約330gを留去し、乳白黄色の均一なダイマー酸系ポリアミド樹脂水性分散体(E-4)を得た。E-4の固形分濃度は20質量%、分散体中の樹脂の数平均粒子径は0.038μm、pHは10.3、粘度は55mPa・sであった。
撹拌機およびヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器に、75.0gのダイマー酸系ポリアミド樹脂(P-5)、37.5gのIPA、37.5gのTHF、1.4gのN,N-ジメチルエタノールアミンおよび217.8gの蒸留水を仕込んだ。回転速度を300rpmで撹拌しながら、系内を加熱し、120℃で60分間加熱攪拌を行った。その後、撹拌しながら室温付近(約30℃)まで冷却し、100gの蒸留水を追加した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)でごくわずかに加圧しながらろ過した。得られた水性分散体を1Lナスフラスコに入れ、80℃に加熱した湯浴につけながらエバポレーターを用いて減圧し、IPA、THF、水の混合媒体約100gを留去し、乳白色の均一なダイマー酸系ポリアミド樹脂水性分散体(E-5)を得た。E-5の固形分濃度は21質量%、分散体中の樹脂の数平均粒子径は0.150μm、pHは10.1、粘度は10mPa・sであった。
撹拌機およびヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器に、75.0gのダイマー酸系ポリアミド樹脂(P-6)、75.0gのIPA、75.0gのTHF、6.0gのN,N-ジメチルエタノールアミン、7.5gのトルエンおよび136.5gの蒸留水を仕込んだ。回転速度を300rpmで撹拌しながら、系内を加熱し、130℃で60分間加熱攪拌を行った。その後、撹拌しながら室温付近(約30℃)まで冷却し、230gの蒸留水を追加した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)でごくわずかに加圧しながらろ過した。得られた水性分散体を1Lナスフラスコに入れ、80℃に加熱した湯浴につけながらエバポレーターを用いて減圧し、IPA、THF、トルエン、水の混合媒体約230gを留去し、乳白色の均一なポリアミド樹脂水性分散体(E-2)を得た。E-6の固形分濃度は20.9質量%、分散体中の樹脂の数平均粒子径は0.130μm、pHは10.9、粘度は3mPa・sであった。
ポリオレフィン樹脂(R-1)として、住友化学社製 ボンダインLX4110を用いた。
攪拌機およびヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器に、60.0gのポリオレフィン樹脂(R-1)、28.0gのIPA、1.5gのTEAおよび210.5gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140℃に保ってさらに20分間撹拌した。その後、水浴につけて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一なポリオレフィン樹脂水性分散体(N-1)を得た。
〔半芳香族ポリアミド(PA9T)〕
1264gの1,9-ノナンジアミン(NMDA)、316gの2-メチル-1,8-オクタンジアミン(MODA)、1627gのテレフタル酸(TPA)(平均粒径:80μm)(NMDA:MODA:TPA=80:20:99、モル比)、48.2gの安息香酸(ジカルボン成分とジアミン成分の総モル数に対して4.0モル%)、3.2gの亜リン酸(ジカルボン成分とジアミン成分の合計量に対して0.1質量%)、1100gの水を反応装置に入れ、窒素置換した。さらに、80℃で0.5時間、毎分28回転で攪拌した後、230℃に昇温した。その後、230℃で3時間加熱した。その後冷却し、反応物を取り出した。該反応物を粉砕した後、乾燥機中において、窒素気流下、220℃で5時間加熱し、固相重合してポリマーを得た。そして、シリンダー温度320℃の条件下で溶融混練してストランド状に押出した。その後、冷却、切断して、ペレット状の半芳香族ポリアミド(PA9T)を調製した。
100質量部の半芳香族ポリアミド(PA9T)、および0.2質量部の3,9-ビス[2-{3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(住友化学社製 スミライザーGA-80、熱分解温度392℃)をシリンダー温度320℃に加熱した、スクリュー経が50mmである単軸押出機に投入して溶融して、溶融ポリマーを得た。該溶融ポリマーを金属繊維焼結フィルター(日本精線社製 NF-10、ろ過精度30μm)を用いて濾過した。その後、320℃にしたTダイよりフィルム状に押出し、フィルム状の溶融物とした。50℃に設定した冷却ロール上に、該溶融物を静電印加法により密着させて冷却し、実質的に無配向の未延伸フィルム(厚み250μm)を得た。
次に、この未延伸フィルムの両端をクリップで把持しながら、テンター方式同時二軸延伸機(入口幅:193mm、出口幅:605mm)に導いて、同時二軸延伸をおこなった。延伸条件は、予熱部の温度が120℃、延伸部の温度が130℃、MDの延伸歪み速度が2400%/分、TDの延伸歪み速度が2760%/分、MDの延伸倍率が3.0倍、TDの延伸倍率が3.3倍であった。
そして、同テンター内で、270℃で熱固定を行い、フィルムの幅方向に5%の弛緩処理を施し、厚み25μmの二軸延伸フィルムを得た。
得られた二軸延伸半芳香族ポリアミド(PA9T)フィルム(厚み25μm)を樹脂層として使用した。
また、未延伸フィルムの厚みを500μmに変更した以外は、同様の操作を行い、二軸延伸半芳香族ポリアミド(PA9T)フィルム(厚み50μm)を得て、これも樹脂層として使用した。
ジアミンを、1720gの1,10-デカンジアミンに変更する以外は、半芳香族ポリアミド(PA9T)と同様の操作をおこなって、半芳香族ポリアミド(PA10T)を調製した。
半芳香族ポリアミド(PA9T)を半芳香族ポリアミド(PA10T)に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(PA9T)フィルムと同様の操作でフィルムを得た。得られた半芳香族ポリアミド(PA10T)フィルムを樹脂層として使用した。
半芳香族ポリアミド(PA9T)をナイロン6T(PA6T)(三井化学社製 アーレンE)に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(PA9T)フィルムと同様の操作でフィルムを得た。得られた半芳香族ポリアミド(PA6T)フィルムを樹脂層として使用した。
ポリイミド(PI)フィルム(東レ・デュポン社製 カプトン100H、厚み25μm)を樹脂層として使用した。
ポリエーテルイミド(PEI)フィルム(三菱樹脂社製 スペリオUT、厚み25μm)を樹脂層として使用した。
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(ユニチカ社製 エンブレット S-25、厚み25μm)を樹脂層として使用した。
ナイロン6(N6)フィルム(ユニチカ社製 エンブレムON-25、厚み25μm)を樹脂層として使用した。
半芳香族ポリアミド(PA9T)をナイロン66(N66)(宇部興産社製 UBEナイロン66)に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(PA9T)フィルムと同様の操作でフィルムを得た。得られたナイロン66(N66)フィルムを樹脂層として使用した。
ポリプロピレン(PP)フィルム(三井化学東セロ社製 OP U-1、厚み25μm)を樹脂層として使用した。
ダイマー酸系ポリアミド樹脂水性分散体(E-1)と、オキサゾリン基含有高分子水溶液(日本触媒社製 エポクロスWS-700、固形分濃度25質量%)とを、それぞれの固形分が100質量部と10質量部になるように配合し、室温で5分間混合攪拌して接着層形成用塗剤を得た。
樹脂層として、半芳香族ポリアミド(PA9T)フィルムを使用し、これに上記塗剤を乾燥後厚み3μmで塗布し、150℃、30秒の条件で乾燥し、樹脂層上に接着層を積層した。
次いで、接着層表面に、金属板としての電解銅箔(古河電工社製 表面CTS処理、厚み18μm)を重ね合わせ、ヒートプレス機(180℃、15分間、2MPa)でプレスし、金属板、接着層、樹脂層の順から構成される積層体A(180℃×15minプレス品)を得た。
またヒートプレス機(200℃、120分間、2MPa)でプレスし、金属板、接着層、樹脂層の順から構成される積層体B(200℃×120minプレス品)を得た。
水性分散体の種類、架橋剤の種類と量、乾燥後厚み、また樹脂層の樹脂の種類、金属板の金属の種類が表1記載のものになるようにした以外は実施例1と同様の操作を行って、積層体を得た。
なお、実施例4においては、金属板として、アルミニウム箔(東洋アルミニウム社製、A1N30、厚み15μm)を使用し、実施例5においては、ステンレス箔(日新製鋼社製 SUS-304-H-TA、厚み20μm)を使用した。
また、実施例7においては、架橋剤として、カルボジイミド化合物(日清紡ケミカル社製 カルボジライトシリーズE-01、固形分40質量%)を用いた。
実施例8においては、エポキシ化合物(Q-1)として、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(ADEKA社製 アデカレジンEP-4088S)を、また実施例9においては、エポキシ化合物(Q-2)として、ビスフェノールA型エポキシ化合物(ADEKA社製 アデカレジンEM-051R)を、それぞれ、ダイマー酸系ポリアミド樹脂水性分散体(E-1)に加えた。
エポキシ化合物(Q-3)(三菱ケミカル社製 エポキシ樹脂jER1001)100質量部と、硬化促進剤としてのジアミノジフェニルスルホン(東京化成工業社製)20質量部とを、メチルエチルケトン(東京化成工業社製)に溶解分散させて、濃度40%の接着層形成用塗剤を得た。この接着層形成用塗剤をワイヤーバーで、表1記載の樹脂層に、乾燥後厚みが表1に示す値となるように塗布した以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。
エポキシ化合物(Q-3)100質量部とジアミノジフェニルスルホン30質量部とを、メチルエチルケトンに溶解分散させて調製した、濃度40%の接着層形成用塗剤を用いた以外は、実施例24と同様にして積層体を得た。
比較例3においては、ホットメルト樹脂(テクノアルファ社製 STAYSTIK#383)を加温後、厚み15μmとなるようにし、実施例1と同様にして積層体を得た。
比較例1、2において、金属板積層時のプレス温度が低く、プレス時間が短い積層体Aは、接着性が低く、また、金属板積層時のプレス温度を高め、プレス時間を長くしても、積層体Bは、ヒートサイクル試験後の接着性が低いものであった。
接着層がホットメルト樹脂である比較例3では、金属板積層時のプレス温度を低くし、プレス時間を短くして得られた積層体Aは、ヒートサイクル試験においてホットメルト樹脂の接着性が低下した。また、金属板積層時のプレス温度を高め、プレス時間を長くすると、ホットメルト樹脂が流れ出したため、積層体Bを得ることができなかった。
比較例4、5の積層体は、接着層として本発明で規定するものを用いなかったため、ヒートサイクル試験後の剥離強力は低く、耐熱試験後にフクレが見られた。
構成する樹脂がポリプロピレンである比較例6、7の樹脂層は、耐熱性に劣り、プレス時に溶融したので、積層体Aおよび積層体Bを得ることができなかった。
また、構成する樹脂がナイロン6、ナイロン66、ポリエチレンテレフタレートである比較例8~13の樹脂層は、ヒートサイクル試験においてフクレと剥がれの両方が見られたため、積層体の剥離強力を測定することができなかった。
Claims (3)
- 少なくとも金属板、接着層、樹脂層を含有し、これらの層がこの順で積層された積層体であって、
樹脂層を構成する樹脂が、半芳香族ポリアミドまたはポリイミド系樹脂であり、
接着層が、ダイマー酸系ポリアミド樹脂と架橋剤を含有し、
ダイマー酸系ポリアミド樹脂の酸価が3~7mgKOH/gであり、
架橋剤が、イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物から選ばれる一つ以上であり、
架橋剤の含有量が、ダイマー酸系ポリアミド樹脂100質量部に対し、0.5~50質量部であり、
下記条件のヒートサイクル試験後の金属板と樹脂層との剥離強力が6N/25mm以上であることを特徴とする積層体。
ヒートサイクル試験条件:
積層体を、-20℃で30分保持し、次いで2時間かけて150℃まで昇温後、150℃で30分保持した後、再び2時間かけて-20℃まで降温するサイクルを1サイクルとし、これを100サイクル繰り返す。 - 半芳香族ポリアミドのジアミン成分が、炭素数が9または10のジアミンを含むことを特徴とする請求項1記載の積層体。
- 請求項1または2記載の積層体を用いた電気、電子部品。
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