JP7253802B2 - 積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、金属板、接着層、樹脂層を含有し、これらの層がこの順で積層された積層体に関する。
近年、自動車、家電製品、携帯電話など多くの製品には、金属積層体を用いた電気、電子部品が用いられている。金属積層体としては、銅やスズなどの金属を絶縁フィルムで覆ったセンサー、ポリイミドフィルムを基材とし銅箔等で回路形成がされたフレキシブルプリント基板、ポリエステル系接着剤を用いて銅線を挟み込んだフレキシブルフラットケーブル、電子機器の充電池パック等が挙げられる。
これらの金属積層体は、例えば、車載用途などの苛酷な環境下で使用されたり、あるいは、製造工程においてリフローはんだ工程などで高温に晒されることから、耐熱性が求められている。そのため、現在では、金属積層体として、例えば、ポリイミドフィルム、エポキシ系接着剤、金属の順で構成される積層体が用いられている。
このような積層体を製造するための接着シートとして、例えば、日本国特開2010-285463号公報には、耐熱性樹脂フィルムであるポリイミド系樹脂フィルムを基材フィルムとし、この上に熱硬化性接着剤を積層した耐熱性接着シートが開示されている。
しかしながら、日本国特開2010-285463号公報に開示された接着シートでは、-20~150℃のような温度領域で繰り返し温度変化を受ける、いわゆるヒートサイクル試験において、例えば、基材フィルムと金属板の接着強度が大きく低下し、実用上問題があった。
本発明は、上記の問題を解決するものであって、金属板と樹脂層との接着性に優れ、-20~150℃のような温度領域で繰り返し温度変化を受けるヒートサイクル試験においても、接着強度の低下が少ない耐熱性に優れた、金属板、接着層、樹脂層から構成される積層体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の構成の樹脂層に、特定の構成の接着層を介して、金属板を積層することにより、ヒートサイクル試験後の剥離強力が優れた積層体が得られ、上記課題が解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の要旨は、下記の通りである。
(1)少なくとも金属板、接着層、樹脂層を含有し、これらの層がこの順で積層された積層体であって、
樹脂層を構成する樹脂が、半芳香族ポリアミドまたはポリイミド系樹脂であり、
接着層が、ダイマー酸系ポリアミド樹脂と架橋剤を含有し、
ダイマー酸系ポリアミド樹脂の酸価が3~7mgKOH/gであり、
架橋剤が、イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物から選ばれる一つ以上であり、
架橋剤の含有量が、ダイマー酸系ポリアミド樹脂100質量部に対し、0.5~50質量部であり、
下記条件のヒートサイクル試験後の金属板と樹脂層との剥離強力が6N/25mm以上であることを特徴とする積層体。
ヒートサイクル試験条件:
積層体を、-20℃で30分保持し、次いで2時間かけて150℃まで昇温後、150℃で30分保持した後、再び2時間かけて-20℃まで降温するサイクルを1サイクルとし、これを100サイクル繰り返す。
(2)半芳香族ポリアミドのジアミン成分が、炭素数が9または10のジアミンを含むことを特徴とする(1)記載の積層体。
(3)上記(1)または(2)記載の積層体を用いた電気、電子部品。
本発明の積層体は、-20~150℃のような温度領域で繰り返し温度変化を受けるヒートサイクル試験においても、接着強度の低下が少ない耐熱性と、樹脂層と金属板との接着性とに優れた積層体である。このため、本発明の積層体は、例えば、センサー、フレキシブルプリント基板、電子機器の充電池パック等の用途で用いることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の積層体は、少なくとも金属板、接着層、樹脂層を含有し、この順で構成されるものである。
(接着層)
本発明の積層体を構成する接着層は、ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)および/またはエポキシ化合物(Q)を含有する。
接着層を構成するダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)は、主鎖にアミド結合を有するものであり、主にジカルボン酸成分としてのダイマー酸とジアミン成分とを用いた脱水縮合反応によって得られるものである。ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)は、ポリアミド樹脂として広く使用されているナイロン6、ナイロン66、ナイロン12などの樹脂に比べて、大きな炭化水素グループを有するために、柔軟性を有している。
本発明において、ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)は、ジカルボン酸成分としてダイマー酸をジカルボン酸成分全体の50モル%以上含有することが好ましく、60モル%以上含有することがより好ましく、70モル%以上含有することがさらに好ましい。ダイマー酸の割合が50モル%未満であると、ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)の特性や効果を奏することが難しくなる。
ここでダイマー酸とは、オレイン酸やリノレン酸などの炭素数18の不飽和脂肪酸を二量化することによって得られるものである。ダイマー酸成分の25質量%以下であれば、単量体であるモノマー酸(炭素数18)、三量体であるトリマー酸(炭素数54)、炭素数20~54の他の重合脂肪酸を含んでもよく、さらに水素添加して不飽和度を低下させたものでもよい。ダイマー酸は、ハリダイマーシリーズ(ハリマ化成社製)、プリポールシリーズ(クローダジャパン社製)、ツノダイムシリーズ(築野食品工業社製)などとして市販されており、これらを用いることができる。
ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)のジカルボン酸成分としてダイマー酸以外の成分を用いる場合は、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ピメリン酸、スベリン酸、ノナンジカルボン酸、フマル酸などを用いることが好ましく、これらを50モル%未満含有することにより、樹脂の軟化点や接着性などの制御が容易となる。
また、ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)のジアミン成分としては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、m-キシレンジアミン、フェニレンジアミン、ジエチレントリアミン、ピペラジンなどを用いることができ、中でもエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、m-キシレンジアミン、ピペラジンが好ましい。
ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)を重合する際に、上記ジカルボン酸成分とジアミン成分の仕込み比を変更することなどによって、樹脂(P)の重合度や酸価もしくはアミン価を制御することが可能となる。
本発明において、ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)のアミン価は、1.0mgKOH/g未満であることが好ましく、0.7mgKOH/g未満であることがより好ましく、0.4mgKOH/g未満であることがさらに好ましい。アミン価が1.0mgKOH/g以上のダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)を接着層に用いた場合、接着層の耐熱性が低下することがある。
また、ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)の酸価は、得られる積層体の剥離強力を高め、かつ、ヒートサイクル試験後の剥離強力の低下を抑制できることから、1~20mgKOH/gであることが好ましく、1~15mgKOH/gであることがより好ましく、3~12mgKOH/gであることがさらに好ましく、3~7mgKOH/gであることが最も好ましい。ダイマー酸系ポリアミド樹脂の酸価が1mgKOH/g未満では、接着層を形成するための接着層形成用の塗剤として、安定なものを得ることが困難になり、一方、20mgKOH/gを超えると、本来のダイマー酸系ポリアミド樹脂の良好な特性である耐薬品性が低下することがある。
なお、酸価とは、樹脂1g中に含まれる酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数で定義されるものである。一方、アミン価とは、樹脂1g中の塩基成分とモル当量となる水酸化カリウムのミリグラム数で表されるものである。いずれも、JIS K2501に記載の方法で測定される。
ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)の軟化点は、70~250℃であることが好ましく、80~240℃であることがより好ましく、80~200℃であることがさらに好ましい。軟化点が70℃未満であると、得られる接着層は、耐熱性が低くなる傾向にあり、また室温におけるタック感が高くなる傾向にある。一方、軟化点が250℃を超えると、樹脂(P)を水性媒体中に分散させて接着層形成用塗剤を調製するのが困難となる傾向にあるだけでなく、得られる接着層は、接着する際に樹脂の流動性が不十分となり、十分な接着性が得られない可能性がある。
接着層は、ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)を単独で含有してもよい。しかし、ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)に適した架橋剤と組み合わせて用いることが、接着性向上の点で好ましい。ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)を架橋剤で架橋することにより、樹脂(P)の軟化点以上に加熱しても低流動性(高温下低流動性)を示す接着層を得ることができる。
架橋剤としては、ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)同士を架橋できるものであれば、どのようなものでも使用できる。例えば、ヒドラジド化合物、イソシアネート化合物、メラミン化合物、尿素化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物が好ましく、これらの化合物を、単独でまたは混合して用いることができる。中でもオキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、イソシアネート化合物が好適である。この他、架橋剤として、自己架橋性を有するものや多価の配位座を有するものなども使用できる。
本発明では、入手が容易であるという点から市販の架橋剤を用いてもよい。具体的には、ヒドラジド化合物として、大塚化学社製APAシリーズ(APA-M950、APAM980、APA-P250、APA-P280など)などが使用できる。イソシアネート化合物として、BASF社製のバソナート(BASONAT)PLR8878、バソナートHW-100、住友バイエルウレタン社製のバイヒジュール(Bayhydur)3100、バイヒジュールVPLS2150/1などが使用できる。メラミン化合物として、三井サイテック社製サイメル325などが使用できる。尿素化合物として、DIC社製のベッカミンシリーズなどが使用できる。カルボジイミド化合物として、日清紡ケミカル社製のカルボジライトシリーズ(SV-02、V-02、V-02-L2、V-04、E-01、E-02、V-01、V-03、V-07、V-09、V-05)などが使用できる。オキサゾリン化合物として、日本触媒社製のエポクロスシリーズ(WS-500、WS-700、K-1010E、K-1020E、K-1030E、K-2010E、K-2020E、K-2030E)などが使用できる。これらは、架橋剤を含む分散体または溶液として市販されている。
本発明における接着層が、ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)および架橋剤を含有する場合、架橋剤の含有量は、ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)100質量部に対し、0.5~50質量部であることが好ましい。架橋剤の含有量が0.5質量部未満になると、接着層は、所望の高温下低流動性などの架橋効果が得難くなり、一方、50質量部を超えると、後述する接着層形成用塗剤の液安定性や加工性などが低下する結果、接着層は、基本性能が得難くなることがある。
接着層を構成するエポキシ化合物(Q)は、2つ以上のエポキシ基を有するものが好ましく、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
グリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エーテル結合を有する脂肪族エポキシ樹油、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
エポキシ化合物の市販品としては、アデカレジンEP-4000、EP-4080、EP-4100、EP-4900、ED-505、ED-506(ADEKA社製)、jER1001、1002、1003、1055、1004、1007、1009,1010、1031S、1302H60、エピコート604、630、630LSD、YX4000、YX4000H(三菱ケミカル社製)、デナコールEX-313、EX-314、EX-411、EX-421、EX-512、EX-614(ナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
接着層は、エポキシ化合物(Q)を単独で含有してもよい。しかし、エポキシ化合物(Q)に適した硬化促進剤と組み合わせて用いることが好ましい。
硬化促進剤としては、例えば、芳香族ポリアミン、2-アルキル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4-アルキルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、ジシアンジアミド、トリフェニルフォスフィン、ジアザビシクロウンデセン、ジアミノジフェニルスルホン等公知のものが例示できる。これらを2種以上用いてもよい。
接着層は、ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)とエポキシ化合物(Q)とを組合わせて構成することもできる。エポキシ化合物(Q)は、ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)に対する架橋剤としての機能を発現する。ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)と組み合わせるエポキシ化合物(Q)は、エポキシ化合物の単独でも、2種以上を組合わせたものでもよい。ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)と組み合わせるエポキシ化合物(Q)の市販品としては、デナコールEM-150、EM-101など(ナガセケムテック社製)、アデカレジンEM-0517、EM-0526、EM-051R、EM-11-50B、EP-4085、EP-4088Sなど(ADEKA社製)が挙げられる。これらエポキシ化合物(Q)の中でも、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂が好ましく、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂が特に好ましい。
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂は、常温で液状であり、ジシクロペンタジエンに由来する構造単位と、1分子中に2つ以上のエポキシ基を有する化合物であることが好ましい。ジシクロペンタジエンに由来する構造単位に加えて含有することのできる構造単位としては、例えば、シクロヘキサン等に由来する構造単位を挙げることができ、ジシクロペンタジエンジフェノール、ジシクロペンタジエンジキシレノール等が例示される。
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂のエポキシ当量は、30~1000であることが好ましく、50~500であることがより好ましく、100~300であることがさらに好ましい。また、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂は、25℃における粘度が1Pa・s以下であることが好ましく、市販品として、EP-4085、EP-4088S(ADEKA社製)、HP-7200、HP-7200H(DIC社製)、ZX-1658GS(新日鉄住金化学社製)などが挙げられる。
ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)は、柔軟性を有する。このため、接着層がダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)を含有すると、積層体は、密着性が高められながら、柔軟性を有することができる。また、接着層は、ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)に対しエポキシ化合物(Q)としてジグリシジルエーテル型エポキシ化合物を含有する場合、特に金属板との密着性が向上する。しかもこの場合の積層体は、可撓性も有するため、フレキシブルなケーブル、回路基板に対し好適なものとなる。
接着層には、接着性や耐熱性などの物性を損なわない範囲で、必要に応じて、レベリング剤、消泡剤、ワキ防止剤、顔料分布剤、紫外線吸収剤等の各種薬剤や、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック等の顔料あるいは染料を添加することができる。
積層体における接着層の厚みは、特に限定されるものではなく、金属板や樹脂層の種類に応じて任意に選択することができる。一般的には、接着層の厚みは、0.05~50μmの範囲であることが好ましく、0.1~20μmであることがより好ましく、0.5~10μmであることがさらに好ましい。接着層は、厚みが0.05μm未満では、接着性が十分に発現されないことがあり、一方、厚みが50μmを超えると、接着性が飽和し、コスト的に不利となる場合がある。
積層体を構成する接着層は、積層体の用途によって、透明であっても不透明であってもよい。例えば、積層体中の金属板は、樹脂層または接着層を透明にすることで可視化される。金属板を隠したり、意匠性を高めるために、接着層は着色されてもよい。
本発明においては、所定の特性を満足さえすれば、接着層を透明とするか不透明とするかは、任意で選択することができる。
(樹脂層)
本発明の積層体を構成する樹脂層において、樹脂層を構成する樹脂は、耐熱性の観点から、半芳香族ポリアミドまたはポリイミド系樹脂であることが必要である。
樹脂層を構成する半芳香族ポリアミドは、ジカルボン酸成分とジアミン成分から構成され、ジカルボン酸成分および/またはジアミン成分中に芳香族成分を有するものである。
半芳香族ポリアミドを構成するジカルボン酸成分は、テレフタル酸を主成分とすることが好ましく、テレフタル酸以外のジカルボン酸成分としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸や、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,3-ナフタレンジカルボン酸、1,2-ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。ジカルボン酸成分中のテレフタル酸の含有量は、60~100モル%であることが好ましい。
半芳香族ポリアミドを構成するジアミン成分は、炭素数が4~15である脂肪族ジアミンを主成分とすることが好ましく、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、4-メチル-1,8-オクタンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、1,13-トリデカンジアミン、1,14-テトラデカンジアミン、1,15-ペンタデカンジアミン等が挙げられる。なかでも、1,9-ノナンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、4-メチル-1,8-オクタンジアミンなどの炭素数が9であるジアミンや、1,10-デカンジアミンなどの炭素数が10であるジアミンが好ましい。これらは、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
半芳香族ポリアミドには、本発明の目的を損なわない範囲で、ε-カプロラクタム、ζ-エナントラクタム、η-カプリルラクタム、ω-ラウロラクタム等のラクタム類が共重合されていてもよい。
半芳香族ポリアミドを構成するモノマーの種類および共重合比率は、得られる半芳香族ポリアミドの融点(Tm)が280~350℃の範囲になるように選択されることが好ましい。半芳香族ポリアミドのTmを前記範囲とすることにより、樹脂層に加工する際の半芳香族ポリアミドの熱分解を効率よく抑制することができる。半芳香族ポリアミドのTmが280℃未満であると、得られる樹脂層は、耐熱性が不十分となる場合がある。一方、Tmが350℃を超える半芳香族ポリアミドは、樹脂層製造時に熱分解が起こる場合がある。
半芳香族ポリアミドとして、市販品を好適に使用することができる。このような市販品としては、例えば、クラレ社製の「ジェネスタ(登録商標)」、ユニチカ社製「ゼコット(登録商標)」、三菱エンジニアリングプラスチック社製「レニー(登録商標)」、三井化学社製「アーレン(登録商標)」、BASF社製「ウルトラミッド(登録商標)」などが挙げられる。
半芳香族ポリアミドは、公知の任意の方法を用いて、製造することができる。例えば、酸クロライドとジアミン成分とを原料とする溶液重合法または界面重合法が挙げられる。あるいは、ジカルボン酸成分とジアミン成分とを原料としてプレポリマーを作製し、該プレポリマーを溶融重合または固相重合により高分子量化する方法が挙げられる。
さらに、ジアミン成分、ジカルボン酸成分および重合触媒と共に、必要に応じて末端封止剤を用いてもよい。末端封止剤としては、熱分解抑制や分子量増加抑制の観点から、半芳香族ポリアミドの末端におけるアミノ基またはカルボキシル基との反応性を有する単官能性の化合物であれば、特に限定されず、例えば、モノカルボン酸、モノアミン、酸無水物、モノイソシアネート、モノハロゲン化物、モノエステル類、モノアルコール類が挙げられる。
樹脂層を構成するポリイミド系樹脂は、繰り返し単位にイミド結合を含む高分子であり、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド等が挙げられる。
ポリイミド系樹脂は、公知の任意の方法で製造され、たとえば、テトラカルボン酸成分とジアミン成分とがイミド結合した重合体では、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを反応させて得られるポリイミド系樹脂前駆体(ポリアミック酸)をイミド化することによって得られるものであることが好ましい。
テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3′,4,4′-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン二無水物、3,3′,4,4′-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、2,2-ビス[4-(2,3-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物が挙げられる。これらテトラカルボン酸二無水物は、単独で用いられてもよく、また2種以上が併用されてもよい。
ジアミン化合物としては、例えば、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、3,4′-ジアミノジフェニルエーテル、4,4′-ジアミノジフェニルエーテル、4,4′-ジアミノジフェニルスルホン、3,3′-ジアミノジフェニルスルホン、2,2-ビス(4-アミノフェノキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,4-ジアミノトルエン、2,6-ジアミノトルエン、3,3′-ジアミノジフェニルメタン、4,4′-ジアミノジフェニルメタン、4,4′-ジアミノ-2,2-ジメチルビフェニル、2,2-ビス(トリフルオロメチル)-4,4′-ジアミノビフェニルが挙げられる。これらジアミン化合物は、単独で用いられてもよく、また2種以上が併用されてもよい。
耐熱性や機械的強度、電気特性、耐薬品性に優れることから、ポリイミド系樹脂は、テトラカルボン酸二無水物がピロメリット酸二無水物であり、ジアミン化合物が4,4′-ジアミノジフェニルエーテルである構成や、テトラカルボン酸二無水物が3,3′,4,4′-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物であり、ジアミン化合物がp-フェニレンジアミンである構成が好ましい。
また、ポリイミド系樹脂は、トリカルボン酸成分とジアミン成分とが、イミド結合とアミド結合した重合体であるポリアミドイミドでもよい。
トリカルボン酸成分としては、トリメリット酸、ジフェニルエーテル-3,3′,4′-トリカルボン酸、ジフェニルスルホン-3,3′,4′-トリカルボン酸、ベンゾフェノン-3,3′,4′-トリカルボン酸などが挙げられ、ジアミン成分としては、前記ポリイミド系樹脂を構成するジアミン化合物として例示したものが挙げられる。
ポリアミドイミドは、通常、無水トリメリット酸とジイソシアネートとの反応、または無水トリメリット酸クロライドとジアミンとの反応により重合した後、イミド化することにより製造することができる。
上記した半芳香族ポリアミドやポリイミド系樹脂から、樹脂層を製造する方法は、特に限定されるものではなく、押出法あるいは溶剤流延法が挙げられ、本発明の積層体を構成する樹脂層は、いずれの方法で製造したものでもよい。
樹脂層は、上記樹脂から構成されることが必要であるが、本発明の効果を損なわなければ、公知の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、可塑剤、滑剤、酸化防止剤、顔料などを含有してもよい。
また、樹脂層には、接着層と積層する場合の密着性などを考慮して、表面に前処理としてコロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、薬品処理、溶剤処理などが施されてもよい。
樹脂層の厚みは、0.5μm~1.5mmであることが好ましく、15~200μmであることがより好ましく、25~75μmであることがさらに好ましい。樹脂層の厚みが、0.5μm未満であると、製造が困難であり、1.5mmを超えると、取扱い上困難となることがある。樹脂層は、延伸処理がなされたものでもよい。
積層体を構成する樹脂層は、積層体の用途によって、透明であっても不透明であってもよい。例えば、積層体中の金属板は、樹脂層または接着層を透明にすることで可視化される。金属板を隠したり、意匠性を高めるために、樹脂層は着色されてもよい。
通常、フィルムの透明性は、ヘイズと全光線透過率で表される。本発明において、樹脂層を透明とする場合、樹脂層は、ヘイズが15%未満であることが好ましく、10%未満であることがより好ましく、全光線透過率が60%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
本発明においては、所定の特性を満足さえすれば、樹脂層を透明とするか不透明とするかは、任意で選択することができる。
本発明は、樹脂層を構成する樹脂として、半芳香族ポリアミドまたはポリイミド系樹脂を用いるものであり、これに代えて、ポリアミド6、ポリアミド66等の脂肪族ポリアミドを用いることはない。
例えば、半芳香族ポリアミドのポリアミド9Tと、脂肪族ポリアミドのポリアミド6、ポリアミド66との特性を対比した場合、ポリアミド9Tの融点306℃に対し、ポリアミド6の融点は225℃であり、ポリアミド66の融点は265℃であり、これら脂肪族ポリアミドは、相対的に耐熱性が低い。したがって、耐熱性が低い脂肪族ポリアミドからなる樹脂層は、積層時の寸法安定性や、積層後のヒートサイクル試験時の寸法安定性が劣り、接着性の低下や浮き等を生じやすい。
さらには、吸水率(23℃、24時間、水中浸漬)については、ポリアミド9Tの吸水率0.25%に対し、ポリアミド6の吸水率は1.6%であり、ポリアミド66の吸水率は1.5%であり、これら脂肪族ポリアミドは、相対的に吸水率が高い。
したがって、このように耐熱性が低く、吸水率が高い脂肪族ポリアミドからなる樹脂層を含む積層体を、フレキシブルプリント基板等の用途で用いた場合、吸湿した樹脂層は、リフロー半田工程で例えば260℃雰囲気に数秒間さらされると、樹脂層に含まれる水分が一気に水蒸気化し、ブリスター等フクレが発生して外観が劣化するのみならず、金属板との接着性が低下することがある。
本発明の積層体を、プリント配線基板用途や、強アルカリ等を用いてエッチング等の薬剤処理を伴う用途で用いる場合、樹脂層を半芳香族ポリアミドで構成することが好ましい。ポリイミド系樹脂は、強アルカリに対する耐久性が低く、ポリイミド系樹脂で構成された樹脂層は、例えば、薬剤処理後、曲げ等のストレスが加わった場合、脆性破壊する等、ケミカルストレスクラックという問題を引き起こす懸念がある。一方、半芳香族ポリアミドは、強アルカリに対する耐久性が高く、またケミカルストレスクラックの懸念も低いため、樹脂層が半芳香族ポリアミドで構成された積層体は、幅広い電子部品用途での適用が可能である。
(金属板)
積層体の金属板を構成する金属の種類は、特に限定されず、銅、スズ、アルミニウム、ステンレス、金、ニッケルおよびこれらの混合物、化合物が挙げられる。
金属板の厚みは、特に限定されないが、1mm以下であることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましい。金属板の表面は、鏡面でも、粗面でもよく、また表面処理されていてもよい。
(積層体)
本発明の積層体は、後述する条件のヒートサイクル試験後においても、金属板と樹脂層との接着性に優れ、金属板と樹脂層との剥離強力は6N/25mm以上であり、剥離強力は7N/25mm以上であることが好ましく、8N/25mm以上であることがより好ましい。
(接着層と樹脂層との積層)
本発明の積層体は、少なくとも金属板、接着層、樹脂層を含有し、これらの層がこの順で積層されたものであり、樹脂層に接着層を積層する方法としては、樹脂層に接着層形成用塗剤を塗布する方法や、接着層を構成する樹脂と樹脂層を構成する樹脂とを共押出する方法が挙げられる。後者の方法は、樹脂層を製膜する時の溶融温度に依存するので、前者の接着層形成用塗剤を塗布する方法が好ましい。
上記の接着層形成用塗剤を塗布する方法は、二軸延伸された樹脂層に対し、塗剤を塗布する方法(ポストコート法)や、二軸延伸前の樹脂層に対し、塗剤を塗布した後、延伸および熱処理する方法(インラインコート法)等、任意の方法を選択することができる。
そして、接着層形成用塗剤が塗布された樹脂層を、乾燥、延伸および熱処理を同時に行なう方法や、乾燥後に、延伸および熱処理を行なう方法によって、樹脂層に接着層を積層することができる。
接着層形成用塗剤は、樹脂成分を水性媒体または有機溶剤に分散または溶解したものであり、これを塗布、乾燥することにより、均一な接着層を形成することができる。接着層形成用塗剤は、作業環境面を考慮して、水性媒体に分散させた水性分散体であることが好ましい。水性媒体は、水を主成分とする液体であり、後述する塩基性化合物や親水性有機溶剤を含有してもよい。
ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)を水性媒体中に安定性よく分散させるには、塩基性化合物を用いることが好ましい。塩基性化合物を使用することによって、ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)に含まれるカルボキシル基の一部または全てが中和され、カルボキシルアニオンが生成し、その電気的反発力によって、樹脂微粒子間の凝集が解れ、ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)は、水性媒体中に安定性よく分散し、アルカリ性域で安定した形態を保つことができる。水性分散体のpHとしては、7~13の範囲が好ましい。塩基性化合物としては、常圧時の沸点が185℃未満の塩基性化合物が好ましい。
常圧時の沸点が185℃未満の塩基性化合物としては、アンモニア、有機アミン化合物などのアミン類などが挙げられる。有機アミン化合物の具体例としては、トリエチルアミン、N、N-ジメチルエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3-エトキシプロピルアミン、3-ジエチルアミノプロピルアミン、sec-ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、3-メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン等を挙げることができる。常圧時の沸点が185℃未満の塩基性化合物として、中でもトリエチルアミン、N,N-ジメチルエタノールアミンが好ましい。
塩基性化合物の常圧時の沸点が185℃を超えると、水性塗剤を塗布して塗膜を形成する際に、乾燥によって塩基性化合物、特に有機アミン化合物を揮発させることが困難になり、衛生面や塗膜特性に悪影響を及ぼす場合がある。
水性分散体における塩基性化合物の含有量は、樹脂固形分100質量部に対して0.01~100質量部であることが好ましく、1~40質量部がより好ましく、1~15質量部がさらに好ましい。塩基性化合物の含有量が0.01質量部未満では、塩基性化合物を添加する効果に乏しく、分散安定性に優れた水性分散体を得ることが困難となる。一方、塩基性化合物の含有量が100質量部を超えると、水性分散体の着色やゲル化が生じやすくなる傾向や、エマルションのpHが高くなりすぎるなどの傾向がある。
接着層形成用塗剤として、水性分散体を用いる場合、常圧時の沸点が185℃以上もしくは不揮発性の水性化助剤を含有しないことが好ましい。常圧時の沸点が185℃以上もしくは不揮発性の水性化助剤とは、乳化剤成分または保護コロイド作用を有する化合物などを指す。つまり、後述する方法では、水性化助剤を使用しなくても、微小な樹脂粒子径かつ安定した水性分散体が得られる。水性化助剤の使用により水性分散体の安定性が直ちに低減するというわけではないので、水性化助剤の使用を妨げるものではない。後述する方法においては、水性分散体は、水性化助剤を必須成分とするいわゆる転相乳化法に基づく方法により得られたものとは明確に区別されるため、水性化助剤はできる限り使用しないことが好ましく、全く使用しないことが特に好ましい。ただし、水性分散体を得た後については、目的に応じて水性化助剤を積極的に使用してもよく、例えば、水性分散体を含む別の塗剤を新たに得るときなど、目的に応じて水性化助剤を添加してよいことはいうまでもない。
乳化剤成分としては、カチオン性乳化剤、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤または両性乳化剤が挙げられ、一般に乳化重合に用いられるもののほか、界面活性剤類も含まれる。例えば、アニオン性乳化剤としては、高級アルコールの硫酸エステル塩、高級アルキルスルホン酸塩、高級カルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート塩、ビニルスルホサクシネートなどが挙げられ、ノニオン性乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイドプロピレンオキサイドブロック共重合体、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、エチレンオキサイド-プロピレンオキサイド共重合体などのポリオキシエチレン構造を有する化合物やソルビタン誘導体などが挙げられる。そして、両性乳化剤としては、ラウリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイドなどが挙げられる。
保護コロイド作用を有する化合物としては、ポリビニルアルコール、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、変性デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸およびその塩、カルボキシル基含有ポリエチレンワックス、カルボキシル基含有ポリプロピレンワックス、カルボキシル基含有ポリエチレン-プロピレンワックスなどの数平均分子量が通常は5000以下の酸変性ポリオレフィンワックス類およびその塩、アクリル酸-無水マレイン酸共重合体およびその塩、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、イソブチレン-無水マレイン酸交互共重合体、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体などの不飽和カルボン酸含有量が10質量%以上のカルボキシル基含有ポリマーおよびその塩、ポリイタコン酸およびその塩、アミノ基を有する水溶性アクリル系共重合体、ゼラチン、アラビアゴム、カゼインなど、一般に微粒子の分散安定剤として用いられている化合物などが挙げられる。
次に、ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)を水性分散化する方法について説明する。上記したように、本発明の積層体における接着層は、作業環境面の観点からダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)を水性媒体に分散させた水性分散体を用いることが好ましいがこれに限定されるものではない。
ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)の水性分散体を得るにあたっては、密閉可能な容器を用いることが好ましい。つまり、密閉可能な容器に各成分を仕込み、加熱、攪拌する手段が好ましく採用される。
具体的に、まず、所定量のダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)と、塩基性化合物と、水性媒体とを容器に投入する。なお、前述したように、水性媒体中に塩基性化合物や後述する親水性有機溶剤を含有させてもよいので、例えば、塩基性化合物を含有する水性媒体を用いるのであれば、別途、塩基性化合物を投入せずとも、結果的に容器中に塩基性化合物が仕込まれることになる。
次に、容器を密閉し、好ましくは70~280℃、より好ましくは100~250℃の温度で、加熱撹拌する。加熱攪拌時の温度が70℃未満になると、ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)の分散が進み難く、樹脂の数平均粒子径を0.5μm以下とすることが難しくなる傾向にあり、一方、280℃を超えると、ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)の分子量が低下するおそれがあり、また、系の内圧が無視できない程度まで上がることがあり、いずれも好ましくない。
加熱撹拌する際は、樹脂が水性媒体中に均一に分散されるまで毎分10~1000回転で加熱撹拌することが好ましい。
さらに、親水性有機溶剤を併せて容器に投入してもよい。この場合の親水性有機溶剤としては、ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)の粒子径をより小さくし、同時にダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)の水性媒体への分散をより促進する観点から、20℃における水に対する溶解性が、好ましくは50g/L以上、より好ましく100g/L以上、さらに好ましくは600g/L以上、特に好ましくは水と任意の割合で溶解可能な親水性有機溶剤を選んで使用するとよい。また、親水性有機溶剤の沸点としては、30~250℃であることが好ましく、50~200℃であることがより好ましい。沸点が30℃未満になると、水性分散体の調製中に親水性有機溶剤が揮発しやすくなり、その結果、親水性有機溶剤を使用する意味が失われると共に、作業環境も低下しやすくなる。一方、250℃を超えると、水性分散体から親水性有機溶剤を除去することが困難となる傾向にあり、その結果、塗膜となしたとき、塗膜に有機溶剤が残留し、塗膜の耐溶剤性などを低下させることがある。
前述の塩基性化合物のときと同様、水性媒体中に親水性有機溶剤を含有させてもよいので、親水性有機溶剤を含有する水性媒体を用いるのであれば、別途、親水性有機溶剤を追加投入せずとも、結果的に容器中に親水性有機溶剤が仕込まれることになる。
親水性有機溶剤の配合量としては、水性媒体を構成する成分(水、塩基性化合物および親水性有機溶剤を含む各種有機溶剤)の全体に対し60質量%以下の割合で配合されるのが好ましく、1~50質量%がより好ましく、2~40質量%がさらに好ましく、3~30質量%が特に好ましい。親水性有機溶剤の配合量が60質量%を超えると、水性化の促進効果がそれ以上期待できないばかりか、場合によっては水性分散体をゲル化させる傾向にあり、好ましくない。
親水性有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、n-アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec-アミルアルコール、tert-アミルアルコール、1-エチル-1-プロパノール、2-メチル-1-ブタノール、n-ヘキサノール、シクロヘキサノールなどのアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどのケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;酢酸エチル、酢酸-n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチル、酢酸-sec-ブチル、酢酸-3-メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジエチル、炭酸ジメチルなどのエステル類;エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどのグリコール誘導体;さらには、3-メトキシ-3-メチルブタノール、3-メトキシブタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコール、アセト酢酸エチルなどが挙げられる。
水性化の際に配合された有機溶剤や塩基性化合物は、その一部をストリッピングと呼ばれる脱溶剤操作で、水性分散体から除くことができる。このようなストリッピングによって有機溶剤の含有量は必要に応じて0.1質量%以下まで低減することが可能である。有機溶剤の含有量が0.1質量%以下となっても、水性分散体の性能面での影響は特に確認されない。ストリッピングの方法としては、常圧または減圧下で水性分散体を攪拌しながら加熱し、有機溶剤を留去する方法を挙げることができる。この際、塩基性化合物が完全に留去されないような温度、圧力を選択することが好ましい。また、水性媒体の一部が同時に留去されることにより、水性分散体中の固形分濃度が高くなるため、固形分濃度を適宜調整することが好ましい。
脱溶剤操作が容易な親水性有機溶剤としては、例えば、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどがあり、特にエタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、テトラヒドロフランなどが好ましく用いられる。脱溶剤操作が容易な親水性有機溶剤は、一般に樹脂の水性化促進に資するところも大きいため、好ましく用いられる。
また、水性分散体を得る際、親水性有機溶剤を含有する水性媒体中に、樹脂(P)の分散を促進させる目的で、トルエンやシクロヘキサンなどの炭化水素系有機溶剤を、水性媒体を構成する成分の全体に対し、10質量%以下の範囲で配合してもよい。炭化水素系有機溶剤の配合量が10質量%を超えると、製造工程において水との分離が著しくなり、均一な水性分散体が得られない場合がある。
ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)の水性分散体は、以上の方法により得ることができるが、各成分を加熱攪拌した後は、得られた水性分散体を必要に応じて室温まで冷却してもよい。無論、水性分散体は、かかる冷却過程を経ても何ら凝集することなく、安定性は当然維持される。
そして、水性分散体を冷却した後は、直ちにこれを払い出し、次なる工程に供しても基本的に何ら問題ない。しかしながら、容器内には異物や少量の未分散樹脂が稀に残っていることがあるため、水性分散体を払い出す前に、一旦濾過工程を設けることが好ましい。濾過工程としては、特に限定されないが、例えば、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(例えば空気圧0.5MPa)する手段が採用できる。
ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)の水性分散体を得た後は、この水性分散体と、架橋剤を含む分散体または溶液とを適量混合することで、より接着性の良い塗剤を得ることができる。
他方、ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)を水性媒体中に溶解して水性塗剤となす場合については、例えば、n-プロパノールなどの親水性有機溶剤に樹脂(P)を加え、30~100℃の温度下で加熱攪拌することで樹脂(P)を一旦溶解した後、これに水ならびに前述の架橋剤を含む分散体または溶液を適量添加することで、接着層形成用水性塗剤を得ることができる。
接着層形成用塗剤は、上記のように水性塗剤であることが好ましいが、エポキシ化合物(Q)を含有する接着層を形成するための塗剤は、エポキシ化合物(Q)が有機溶剤中に分散または溶解したものでもよい。
有機溶剤としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、n-アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec-アミルアルコール、tert-アミルアルコール、1-エチル-1-プロパノール、2-メチル-1-ブタノール、n-ヘキサノール、シクロヘキサノールなどのアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどのケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;酢酸エチル、酢酸-n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチル、酢酸-sec-ブチル、酢酸-3-メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジエチル、炭酸ジメチルなどのエステル類;エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどのグリコール誘導体;さらには、3-メトキシ-3-メチルブタノール、3-メトキシブタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコール、アセト酢酸エチル、トルエン、キシレン、シクロヘキサンが挙げられ、必要に応じて、これらの有機溶剤を混合して用いてもよい。
接着層形成用塗剤における、ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)および/またはエポキシ化合物(Q)の含有量(固形分濃度)は、使用目的や保存方法などにあわせて適宜選択でき、特に限定されないが、3~40質量%であることが好ましく、中でも10~35質量%であることが好ましい。接着層形成用塗剤中の樹脂(P)や化合物(Q)の含有量が上記範囲より少ない場合は、乾燥工程によって塗膜を形成する際に時間を要することがあり、また厚い塗膜を得難くなる傾向にある。一方、接着層形成用塗剤中の樹脂(P)や化合物(Q)の含有量が上記範囲より多い場合は、塗剤は保存安定性が低下しやすくなる傾向にある。
接着層形成用塗剤の粘度は、特に限定されないが、室温でも低粘度であることが好ましい。具体的には、B型粘度計(トキメック社製 DVL-BII型デジタル粘度計)を用いて25℃下で測定した回転粘度は、20000mPa・s以下が好ましく、5000mPa・s以下がより好ましく、500mPa・s以下がさらに好ましい。接着層形成用の塗剤の粘度が20000mPa・sを超えると、樹脂層に塗剤を均一に塗布することが難しくなる傾向にある。
接着層形成用塗剤には、用途に応じて、帯電防止剤、レベリング剤、紫外線吸収剤などの添加剤が配合されていてもよく、特に添加剤として塩基性の材料を配合しても良好な分散安定性が維持される。
接着層形成用塗剤を樹脂層に塗布する方法としては、公知の方法が採用できる。例えば、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法などが採用できる。これらの方法によりを樹脂フィルムの表面に均一に塗工することができる。
接着層形成用塗剤を樹脂層に塗布した後、乾燥熱処理することにより、媒体を除去することができ、緻密な塗膜からなる接着層を樹脂層に密着させることができる。
(金属板の積層)
樹脂層に積層された接着層上に、金属板を接着する方法としては、熱プレスなどの方法が挙げられる。
本発明における接着層は、高温下低流動性を示し、金属板の接着において熱プレスの高温下におかれても、高温流動に伴う形状変化が抑えられ、樹脂層と金属板との接着性に優れる積層体を得ることができる。
また、本発明における接着層は、ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)を含む場合、熱硬化性樹脂を含む接着層に比較して、温度、圧力、時間などの熱プレス条件を、緩やかなものとすることができる。熱プレスは、温度が180℃でも接着可能であるが、剥離強度を高める観点から、180~200℃であることが好ましく、190~200℃であることがより好ましい。また熱プレスは、時間が15分でも接着可能であるが、15~120分間であることが好ましく、60~120分間であることがより好ましい。例えば、接着層がエポキシ化合物(Q)を含む場合には、200℃×2時間の条件で熱プレスを行うが、ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P)を使用することで、熱プレスの条件を180℃×15分に、低温化、短縮化が可能である。ただし、熱プレス条件は、用いる金属板、接着層、樹脂層の種類、熱プレスを行う装置の種類、能力の組合せ、あるいは得られる積層体に対し、求める特性によって、種々に変更、選択することができるため、この限りではない。
金属板、接着層、樹脂層の順で構成される積層体においては、カールという問題が生じることがある。すなわち、熱や湿度の影響を受けにくく、しかも寸法変化が極めて小さい金属板に、接着層を介して、樹脂層が積層されているため、樹脂層の寸法収縮、あるいは接着層の体積収縮にともない、積層体は、樹脂層側にカールする。したがって、寸法収縮しにくい樹脂層や、体積収縮しにくい接着層を用いることで、積層体は、カールを抑制することができる。
樹脂層は、厚みが増すことで、寸法収縮しにくくなり、積層体のカールを抑制することができる。一方、接着層の体積収縮は、硬化剤の使用、または架橋剤等との併用により、硬化の進行とともに架橋密度が高まったために引き起こされたものである。したがって、接着層は、厚みを極力薄くして体積収縮の影響を出にくくすることで、積層体のカールを抑制することができる。
以上のことを考慮し、樹脂層の種類、厚み、また接着層の種類、用いる架橋剤の種類、配合量、さらには厚みを決定し、積層体としての各界面の接着性向上とともに、カール抑制を図る必要がある。
本発明の積層体は、接着工程における時間短縮とハンドリング性とを両立させて製造することができ、ヒートサイクル試験に耐えうるものであるので、電気・電子分野での各種回路基板、ディスプレイ基板、ディスプレイ部材、センサー部材、充電池外装部材、ケーブル部材等に使用することができる。中でも、本発明の積層体は、樹脂層の耐熱性、耐屈曲性、耐薬品性を生かして、また樹脂層をフィルムとして取扱うことができるため、薄肉化して、センサー部材、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル等の基板材料、ケーブル材料充電池外装部材として好適に使用することができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明する。なお、実施例中の各種の値の測定および評価は以下のように行った。
(1)ダイマー酸系ポリアミド樹脂の特性値
〔酸価、アミン価〕
JIS K 2501に記載の方法により測定した。
〔軟化点〕
樹脂10mgをサンプルとし、顕微鏡用加熱(冷却)装置ヒートステージ(リンカム社製 Heating-Freezing ATAGE TH-600型)を備えた顕微鏡を用いて、昇温速度20℃/分の条件で測定を行い、樹脂が溶融した温度を軟化点とした。
〔ダイマー酸含有量〕
テトラクロロエタン(d)中、120℃にてH-NMR分析(バリアン社製 300MHz)を行い、求めた。
(2)水性分散体の固形分濃度
得られた水性分散体を適量秤量し、これを150℃で残存物(固形分)の質量が恒量に達するまで加熱し、固形分濃度を求めた。
(3)水性分散体のpH
pHメータ(堀場製作所社製 F-52)を用い、pHを測定した。
(4)水性分散体の粘度
B型粘度計(トキメック社製 DVL-BII型デジタル粘度計)を用い、温度25℃における回転粘度(mPa・s)を測定した。
(5)水性分散体中の樹脂の数平均粒子径
水性分散体中の樹脂の数平均粒子径は、日機装社製 マイクロトラック粒度分布計UPA150(MODEL No.9340)を用いて動的光散乱法によって測定した。
(6)剥離強力
(6.1)ヒートサイクル試験前の剥離強力
実施例、比較例で作製した積層体AとBの金属板の表面に、それぞれ、セロハンテープ(ニチバン社製 LP-24)を貼り合せ、後述する剥離試験での金属板引張時に金属板がすぐに破断しないよう補強を行った。その後、幅25mm、長さ10cmの測定サンプルを、吸湿しないようすみやかに切り出し、23℃、50%RH雰囲気下、引張り試験機(インテスコ社製 精密万能材料試験機2020型)を用い、引張り速度200mm/分の条件にてT型剥離試験を行うことにより、金属板と樹脂層との剥離強力を測定し、その値の大きさで接着性を評価した。なお、測定は、サンプル5枚についておこない、その平均値を、ヒートサイクル試験前の剥離強力とした。
(6.2)ヒートサイクル試験後の剥離強力
また、実施例、比較例で作製した積層体AとBを、-20℃で30分保持し、次いで2時間かけて150℃まで昇温後、150℃で30分保持した後、再び2時間かけて-20℃まで降温するサイクルを1サイクルとし、これを100サイクル繰り返した。ヒートサイクル試験後の積層体AとBについて、上記と同様の方法で、剥離強力を測定し、ヒートサイクル試験後の接着性の評価を行った。
実用上は、積層体Aで必要性能が得られなくても、積層体Bで必要性能が得られれば目的とする用途で使えると判断をした。
(7)耐熱試験後の外観
前記ヒートサイクル試験後の積層体AとBについて、ヒートサイクル試験後に剥離等が無かったものについて、さらに260℃×15分間保持し、その後の外観を、下記判断基準で目視にて確認した。なお、この耐熱試験は、本発明の積層体が、実際に装置部品として用いられる状態、特にリフロー半田に供される状態を想定している。実用上は、積層体Aで必要性能が得られなくても、積層体Bで必要性能が得られれば目的とする用途で使えると判断をした。
フクレとは、金属板/接着層、または、接着層/樹脂層の界面強力が低下し、金属板または樹脂層が浮いた状態を示す。剥がれとは、金属板/接着層、または、接着層/樹脂層が完全に分離した状態を示す。
◎:フクレ、剥がれが見られない。かつ積層体に外観異常が全く認められない。
○:フクレ、剥がれが見られない。ただし積層体にやや歪みが見られる。
△:フクレが見られる。
×:フクレと剥がれ両方が見られる。
(8)カール
実施例、比較例で作製した積層体Bを、作製後十分に冷却を行い、100×100mmの寸法の試験片を切り出した。試験片を、23℃、65%RH環境下、24時間静置し、その後の試験片のカールの度合いを、試験片の金属板側を下面として接地して評価した。すなわち、試験片が凹状にカールした(接着層もしくは樹脂層が収縮した)場合は、両端の持ち上り高さを測定し、凸状にカールした(樹脂層が吸湿により伸長した)場合は、中央部の持ち上り高さを測定し、下記基準にて評価した。
◎:持ち上り高さが、0.5mm未満
〇:持ち上り高さが、0.5mm以上、3mm未満
△:持ち上り高さが、3mmを超える
(9)耐薬品性(耐アルカリ性)
実施例、比較例で作製した積層体Bを、作製後十分に冷却を行い、100×100mmの寸法の試験片を切り出した。試験片に対し、張力60Nをかけ、45℃の5%水酸化ナトリウム水溶液をスプレーで吹きつけ、クラック発生の有無を目視で観察し、下記基準にて評価した。
〇:クラックが全く発生しなかった
△:一箇所以上でクラックが発生した。
接着層形成用塗剤を構成する樹脂、および塗剤として、下記のものを使用した。
〔ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P-1)〕
ジカルボン酸成分として、ダイマー酸を100モル%含有し、ジアミン成分としてエチレンジアミンを100モル%含有し、酸価が10.0mgKOH/g、アミン価が0.1mgKOH/g、軟化点が110℃、200℃における溶融粘度が1,100mPa・sであるポリアミド樹脂。
〔ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P-2)〕
ジカルボン酸成分として、ダイマー酸を85モル%、アゼライン酸を15モル%含有し、ジアミン成分としてピペラジンを50モル%、エチレンジアミンを50モル%含有し、酸価が15.0mgKOH/g、アミン価が0.3mgKOH/g、軟化点が158℃、200℃における溶融粘度が10,000mPa・sであるポリアミド樹脂。
〔ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P-3)〕
ジカルボン酸成分として、ダイマー酸を60モル%、アゼライン酸を40モル%含有し、ジアミン成分としてピペラジンを50モル%、エチレンジアミンを50モル%含有し、酸価が10.5mgKOH/g、アミン価が0.1mgKOH/g、軟化点が165℃、230℃における溶融粘度が3,800mPa・sであるポリアミド樹脂。
〔ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P-4)〕
ジカルボン酸成分として、ダイマー酸を90モル%、アゼライン酸を10モル%含有し、ジアミン成分としてピペラジンを50モル%、エチレンジアミンを50モル%含有し、酸価が33.0mgKOH/g、アミン価が0.2mgKOH/g、軟化点が130℃であるポリアミド樹脂。
〔ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P-5)〕
ジカルボン酸成分として、ダイマー酸を100モル%含有し、ジアミン成分としてエチレンジアミンを100モル%含有し、酸価が2.5mgKOH/g、アミン価が0.1mgKOH/g、軟化点が115℃であるポリアミド樹脂。
〔ダイマー酸系ポリアミド樹脂(P-6)〕
ジカルボン酸成分として、ダイマー酸を90モル%、アゼライン酸を10モル%含有し、ジアミン成分としてピペラジンを70モル%、エチレンジアミンを30モル%含有し、酸価が5.0mgKOH/g、アミン価が0.1mgKOH/g、軟化点が140℃であるポリアミド樹脂。
〔ダイマー酸系ポリアミド樹脂水性分散体(E-1)〕
撹拌機およびヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器に、75.0gのダイマー酸系ポリアミド樹脂(P-1)、37.5gのイソプロパノール(IPA)、37.5gのテトラヒドロフラン(THF)、7.2gのN,N-ジメチルエタノールアミンおよび217.8gの蒸留水を仕込んだ。回転速度を300rpmで撹拌しながら、系内を加熱し、120℃で60分間加熱攪拌を行った。その後、撹拌しながら室温付近(約30℃)まで冷却し、100gの蒸留水を追加した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)でごくわずかに加圧しながらろ過した。得られた水性分散体を1Lナスフラスコに入れ、80℃に加熱した湯浴につけながらエバポレーターを用いて減圧し、IPA、THF、水の混合媒体約100gを留去し、乳白色の均一なダイマー酸系ポリアミド樹脂水性分散体(E-1)を得た。E-1の固形分濃度は20質量%、分散体中の樹脂の数平均粒子径は0.040μm、pHは10.4、粘度は36mPa・sであった。
〔ダイマー酸系ポリアミド樹脂水性分散体(E-2)の製造〕
撹拌機およびヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器に、75.0gのダイマー酸系ポリアミド樹脂(P-2)、93.8gのIPA、6.0gのN,N-ジメチルエタノールアミンおよび200.3gの蒸留水を仕込んだ。回転速度を300rpmで撹拌しながら、系内を加熱し、120℃で60分間加熱攪拌を行った。その後、撹拌しながら室温付近(約30℃)まで冷却し、130gの蒸留水を追加した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)でごくわずかに加圧しながらろ過した。得られた水性分散体を1Lナスフラスコに入れ、80℃に加熱した湯浴につけながらエバポレーターを用いて減圧し、IPA、水の混合媒体約130gを留去し、乳白色の均一なダイマー酸系ポリアミド樹脂水性分散体(E-2)を得た。E-2の固形分濃度は20質量%、分散体中の樹脂の数平均粒子径は0.052μm、pHは10.6、粘度は30mPa・sであった。
〔ダイマー酸系ポリアミド樹脂水性分散体(E-3)の製造〕
撹拌機およびヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器に、110.0gのダイマー酸系ポリアミド樹脂(P-3)、110.0gのIPA、110.0gのTHF、9.2gのN,N-ジメチルエタノールアミン、11.0gのトルエン、および199.8gの蒸留水を仕込んだ。回転速度を300rpmで撹拌しながら、系内を加熱し、120℃で60分間加熱攪拌を行った。その後、撹拌しながら室温付近(約30℃)まで冷却し、330gの蒸留水を追加した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)でごくわずかに加圧しながらろ過した。得られた水性分散体を1Lナスフラスコに入れ、80℃に加熱した湯浴につけながらエバポレーターを用いて減圧し、IPA、THF、トルエン、水の混合媒体約330gを留去し、乳白色の均一なダイマー酸系ポリアミド樹脂水性分散体(E-3)を得た。E-3の固形分濃度は20質量%、分散体中の樹脂の数平均粒子径は0.065μm、pHは10.3、粘度は8mPa・sであった。
〔ダイマー酸系ポリアミド樹脂の水性分散体(E-4)の製造〕
撹拌機およびヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器に、110.0gのダイマー酸系ポリアミド樹脂(P-4)、110.0gのIPA、110.0gのTHF、28.9gのN,N-ジメチルエタノールアミン、11.0gのトルエン、および180.1gの蒸留水を仕込んだ。回転速度を300rpmで撹拌しながら、系内を加熱し、120℃で60分間加熱攪拌を行った。その後、撹拌しながら室温付近(約30℃)まで冷却し、330gの蒸留水を追加した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)でごくわずかに加圧しながらろ過した。得られた水性分散体を1Lナスフラスコに入れ、80℃に加熱した湯浴につけながらエバポレーターを用いて減圧し、IPA、THF、トルエン、水の混合媒体約330gを留去し、乳白黄色の均一なダイマー酸系ポリアミド樹脂水性分散体(E-4)を得た。E-4の固形分濃度は20質量%、分散体中の樹脂の数平均粒子径は0.038μm、pHは10.3、粘度は55mPa・sであった。
〔ダイマー酸系ポリアミド樹脂の水性分散体(E-5)の製造〕
撹拌機およびヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器に、75.0gのダイマー酸系ポリアミド樹脂(P-5)、37.5gのIPA、37.5gのTHF、1.4gのN,N-ジメチルエタノールアミンおよび217.8gの蒸留水を仕込んだ。回転速度を300rpmで撹拌しながら、系内を加熱し、120℃で60分間加熱攪拌を行った。その後、撹拌しながら室温付近(約30℃)まで冷却し、100gの蒸留水を追加した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)でごくわずかに加圧しながらろ過した。得られた水性分散体を1Lナスフラスコに入れ、80℃に加熱した湯浴につけながらエバポレーターを用いて減圧し、IPA、THF、水の混合媒体約100gを留去し、乳白色の均一なダイマー酸系ポリアミド樹脂水性分散体(E-5)を得た。E-5の固形分濃度は21質量%、分散体中の樹脂の数平均粒子径は0.150μm、pHは10.1、粘度は10mPa・sであった。
〔ダイマー酸系ポリアミド樹脂の水性分散体(E-6)の製造〕
撹拌機およびヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器に、75.0gのダイマー酸系ポリアミド樹脂(P-6)、75.0gのIPA、75.0gのTHF、6.0gのN,N-ジメチルエタノールアミン、7.5gのトルエンおよび136.5gの蒸留水を仕込んだ。回転速度を300rpmで撹拌しながら、系内を加熱し、130℃で60分間加熱攪拌を行った。その後、撹拌しながら室温付近(約30℃)まで冷却し、230gの蒸留水を追加した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)でごくわずかに加圧しながらろ過した。得られた水性分散体を1Lナスフラスコに入れ、80℃に加熱した湯浴につけながらエバポレーターを用いて減圧し、IPA、THF、トルエン、水の混合媒体約230gを留去し、乳白色の均一なポリアミド樹脂水性分散体(E-2)を得た。E-6の固形分濃度は20.9質量%、分散体中の樹脂の数平均粒子径は0.130μm、pHは10.9、粘度は3mPa・sであった。
〔ポリオレフィン樹脂(R-1)〕
ポリオレフィン樹脂(R-1)として、住友化学社製 ボンダインLX4110を用いた。
〔ポリオレフィン樹脂水性分散体(N-1)〕
攪拌機およびヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器に、60.0gのポリオレフィン樹脂(R-1)、28.0gのIPA、1.5gのTEAおよび210.5gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140℃に保ってさらに20分間撹拌した。その後、水浴につけて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一なポリオレフィン樹脂水性分散体(N-1)を得た。
樹脂層を構成する樹脂、および樹脂層として、下記のものを使用した。
〔半芳香族ポリアミド(PA9T)〕
1264gの1,9-ノナンジアミン(NMDA)、316gの2-メチル-1,8-オクタンジアミン(MODA)、1627gのテレフタル酸(TPA)(平均粒径:80μm)(NMDA:MODA:TPA=80:20:99、モル比)、48.2gの安息香酸(ジカルボン成分とジアミン成分の総モル数に対して4.0モル%)、3.2gの亜リン酸(ジカルボン成分とジアミン成分の合計量に対して0.1質量%)、1100gの水を反応装置に入れ、窒素置換した。さらに、80℃で0.5時間、毎分28回転で攪拌した後、230℃に昇温した。その後、230℃で3時間加熱した。その後冷却し、反応物を取り出した。該反応物を粉砕した後、乾燥機中において、窒素気流下、220℃で5時間加熱し、固相重合してポリマーを得た。そして、シリンダー温度320℃の条件下で溶融混練してストランド状に押出した。その後、冷却、切断して、ペレット状の半芳香族ポリアミド(PA9T)を調製した。
〔半芳香族ポリアミド(PA9T)フィルム〕
100質量部の半芳香族ポリアミド(PA9T)、および0.2質量部の3,9-ビス[2-{3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(住友化学社製 スミライザーGA-80、熱分解温度392℃)をシリンダー温度320℃に加熱した、スクリュー経が50mmである単軸押出機に投入して溶融して、溶融ポリマーを得た。該溶融ポリマーを金属繊維焼結フィルター(日本精線社製 NF-10、ろ過精度30μm)を用いて濾過した。その後、320℃にしたTダイよりフィルム状に押出し、フィルム状の溶融物とした。50℃に設定した冷却ロール上に、該溶融物を静電印加法により密着させて冷却し、実質的に無配向の未延伸フィルム(厚み250μm)を得た。
次に、この未延伸フィルムの両端をクリップで把持しながら、テンター方式同時二軸延伸機(入口幅:193mm、出口幅:605mm)に導いて、同時二軸延伸をおこなった。延伸条件は、予熱部の温度が120℃、延伸部の温度が130℃、MDの延伸歪み速度が2400%/分、TDの延伸歪み速度が2760%/分、MDの延伸倍率が3.0倍、TDの延伸倍率が3.3倍であった。
そして、同テンター内で、270℃で熱固定を行い、フィルムの幅方向に5%の弛緩処理を施し、厚み25μmの二軸延伸フィルムを得た。
得られた二軸延伸半芳香族ポリアミド(PA9T)フィルム(厚み25μm)を樹脂層として使用した。
また、未延伸フィルムの厚みを500μmに変更した以外は、同様の操作を行い、二軸延伸半芳香族ポリアミド(PA9T)フィルム(厚み50μm)を得て、これも樹脂層として使用した。
〔半芳香族ポリアミド(PA10T)〕
ジアミンを、1720gの1,10-デカンジアミンに変更する以外は、半芳香族ポリアミド(PA9T)と同様の操作をおこなって、半芳香族ポリアミド(PA10T)を調製した。
〔半芳香族ポリアミド(PA10T)フィルム〕
半芳香族ポリアミド(PA9T)を半芳香族ポリアミド(PA10T)に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(PA9T)フィルムと同様の操作でフィルムを得た。得られた半芳香族ポリアミド(PA10T)フィルムを樹脂層として使用した。
〔半芳香族ポリアミド(PA6T)フィルム〕
半芳香族ポリアミド(PA9T)をナイロン6T(PA6T)(三井化学社製 アーレンE)に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(PA9T)フィルムと同様の操作でフィルムを得た。得られた半芳香族ポリアミド(PA6T)フィルムを樹脂層として使用した。
〔ポリイミド(PI)フィルム〕
ポリイミド(PI)フィルム(東レ・デュポン社製 カプトン100H、厚み25μm)を樹脂層として使用した。
〔ポリエーテルイミド(PEI)フィルム〕
ポリエーテルイミド(PEI)フィルム(三菱樹脂社製 スペリオUT、厚み25μm)を樹脂層として使用した。
〔ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム〕
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(ユニチカ社製 エンブレット S-25、厚み25μm)を樹脂層として使用した。
〔ナイロン6(N6)フィルム〕
ナイロン6(N6)フィルム(ユニチカ社製 エンブレムON-25、厚み25μm)を樹脂層として使用した。
〔ナイロン66(N66)フィルム〕
半芳香族ポリアミド(PA9T)をナイロン66(N66)(宇部興産社製 UBEナイロン66)に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(PA9T)フィルムと同様の操作でフィルムを得た。得られたナイロン66(N66)フィルムを樹脂層として使用した。
〔ポリプロピレン(PP)フィルム〕
ポリプロピレン(PP)フィルム(三井化学東セロ社製 OP U-1、厚み25μm)を樹脂層として使用した。
実施例1
ダイマー酸系ポリアミド樹脂水性分散体(E-1)と、オキサゾリン基含有高分子水溶液(日本触媒社製 エポクロスWS-700、固形分濃度25質量%)とを、それぞれの固形分が100質量部と10質量部になるように配合し、室温で5分間混合攪拌して接着層形成用塗剤を得た。
樹脂層として、半芳香族ポリアミド(PA9T)フィルムを使用し、これに上記塗剤を乾燥後厚み3μmで塗布し、150℃、30秒の条件で乾燥し、樹脂層上に接着層を積層した。
次いで、接着層表面に、金属板としての電解銅箔(古河電工社製 表面CTS処理、厚み18μm)を重ね合わせ、ヒートプレス機(180℃、15分間、2MPa)でプレスし、金属板、接着層、樹脂層の順から構成される積層体A(180℃×15minプレス品)を得た。
またヒートプレス機(200℃、120分間、2MPa)でプレスし、金属板、接着層、樹脂層の順から構成される積層体B(200℃×120minプレス品)を得た。
実施例2~22、比較例4~13
水性分散体の種類、架橋剤の種類と量、乾燥後厚み、また樹脂層の樹脂の種類、金属板の金属の種類が表1記載のものになるようにした以外は実施例1と同様の操作を行って、積層体を得た。
なお、実施例4においては、金属板として、アルミニウム箔(東洋アルミニウム社製、A1N30、厚み15μm)を使用し、実施例5においては、ステンレス箔(日新製鋼社製 SUS-304-H-TA、厚み20μm)を使用した。
また、実施例7においては、架橋剤として、カルボジイミド化合物(日清紡ケミカル社製 カルボジライトシリーズE-01、固形分40質量%)を用いた。
実施例8においては、エポキシ化合物(Q-1)として、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(ADEKA社製 アデカレジンEP-4088S)を、また実施例9においては、エポキシ化合物(Q-2)として、ビスフェノールA型エポキシ化合物(ADEKA社製 アデカレジンEM-051R)を、それぞれ、ダイマー酸系ポリアミド樹脂水性分散体(E-1)に加えた。
実施例23、24、比較例1、2
エポキシ化合物(Q-3)(三菱ケミカル社製 エポキシ樹脂jER1001)100質量部と、硬化促進剤としてのジアミノジフェニルスルホン(東京化成工業社製)20質量部とを、メチルエチルケトン(東京化成工業社製)に溶解分散させて、濃度40%の接着層形成用塗剤を得た。この接着層形成用塗剤をワイヤーバーで、表1記載の樹脂層に、乾燥後厚みが表1に示す値となるように塗布した以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。
実施例25
エポキシ化合物(Q-3)100質量部とジアミノジフェニルスルホン30質量部とを、メチルエチルケトンに溶解分散させて調製した、濃度40%の接着層形成用塗剤を用いた以外は、実施例24と同様にして積層体を得た。
比較例3
比較例3においては、ホットメルト樹脂(テクノアルファ社製 STAYSTIK#383)を加温後、厚み15μmとなるようにし、実施例1と同様にして積層体を得た。
実施例、比較例における積層体の構成と、特性の評価結果とを表1~4に示す。
Figure 0007253802000001
Figure 0007253802000002
Figure 0007253802000003
Figure 0007253802000004
実施例の積層体は、ヒートサイクル試験後においても、接着性に優れ、耐熱試験後にフクレや剥がれが生じないものであった。
比較例1、2において、金属板積層時のプレス温度が低く、プレス時間が短い積層体Aは、接着性が低く、また、金属板積層時のプレス温度を高め、プレス時間を長くしても、積層体Bは、ヒートサイクル試験後の接着性が低いものであった。
接着層がホットメルト樹脂である比較例3では、金属板積層時のプレス温度を低くし、プレス時間を短くして得られた積層体Aは、ヒートサイクル試験においてホットメルト樹脂の接着性が低下した。また、金属板積層時のプレス温度を高め、プレス時間を長くすると、ホットメルト樹脂が流れ出したため、積層体Bを得ることができなかった。
比較例4、5の積層体は、接着層として本発明で規定するものを用いなかったため、ヒートサイクル試験後の剥離強力は低く、耐熱試験後にフクレが見られた。
構成する樹脂がポリプロピレンである比較例6、7の樹脂層は、耐熱性に劣り、プレス時に溶融したので、積層体Aおよび積層体Bを得ることができなかった。
また、構成する樹脂がナイロン6、ナイロン66、ポリエチレンテレフタレートである比較例8~13の樹脂層は、ヒートサイクル試験においてフクレと剥がれの両方が見られたため、積層体の剥離強力を測定することができなかった。


Claims (3)

  1. 少なくとも金属板、接着層、樹脂層を含有し、これらの層がこの順で積層された積層体であって、
    樹脂層を構成する樹脂が、半芳香族ポリアミドまたはポリイミド系樹脂であり、
    接着層が、ダイマー酸系ポリアミド樹脂と架橋剤を含有し、
    ダイマー酸系ポリアミド樹脂の酸価が3~7mgKOH/gであり、
    架橋剤が、イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物から選ばれる一つ以上であり、
    架橋剤の含有量が、ダイマー酸系ポリアミド樹脂100質量部に対し、0.5~50質量部であり、
    下記条件のヒートサイクル試験後の金属板と樹脂層との剥離強力が6N/25mm以上であることを特徴とする積層体。
    ヒートサイクル試験条件:
    積層体を、-20℃で30分保持し、次いで2時間かけて150℃まで昇温後、150℃で30分保持した後、再び2時間かけて-20℃まで降温するサイクルを1サイクルとし、これを100サイクル繰り返す。
  2. 半芳香族ポリアミドのジアミン成分が、炭素数が9または10のジアミンを含むことを特徴とする請求項1記載の積層体。
  3. 請求項1または2記載の積層体を用いた電気、電子部品。
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