JP2014181268A - 接着剤組成物及び積層体 - Google Patents

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JP2014181268A JP2013055819A JP2013055819A JP2014181268A JP 2014181268 A JP2014181268 A JP 2014181268A JP 2013055819 A JP2013055819 A JP 2013055819A JP 2013055819 A JP2013055819 A JP 2013055819A JP 2014181268 A JP2014181268 A JP 2014181268A
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恵理 樋口
Terumasa Yoshinaga
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Abstract

【課題】金属材料や樹脂材料との接着性、耐熱接着性に優れ、接着層に柔軟性と耐アルカリ性を付与でき、さらには積層体において優れた耐PCT性、耐ハンダ性が具現できる接着剤組成物と、その接着剤組成物を用いた積層体を提供すること。
【解決手段】ジカルボン酸成分としてダイマー酸をジカルボン酸成分全体の50モル%以上含み、酸価がアミン価より高くかつ3〜30mgKOH/gであるダイマー酸系ポリアミド樹脂(A)と、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ化合物(B)と、液状媒体(C)とを含有する接着剤組成物、並びにそれを用いてなる積層体。
【選択図】なし

Description

本発明は、特定組成のポリアミド樹脂の液状物と特定組成のエポキシ樹脂からなる接着剤組成物、並びにその接着剤組成物を用いて形成される接着層を有する積層体に関するものである。
近年、電子機器の小型化、薄型化、軽量化、多機能化などが進み、また通信分野においては高速化、高容量化により、プリント配線板やフレキシブルプリント配線板など基板材料においても、小型薄膜化、軽量化、多機能化が求められている。
プリント配線板は、通常、まずエポキシ化合物やポリイミド化合物などの樹脂フィルムに銅箔を貼り合わせたシート(銅張積層体)を用意し、次にこれをエッチングして回路を作り、その上にカバーレイ(絶縁性保護膜)を積層することにより作製される。銅張積層体において、樹脂フィルムと銅箔の貼り合わせは、一般に接着層を介して行われ、プリント配線板に求められる機能に応じて、例えば放熱性が求められる場合には、銅箔と樹脂フィルムとの間にアルミニウムなどの高熱伝導性金属が挿入される。
ただ、近年では、電子機器の多用化に伴い、高速通信用途に用いるプリント配線板には、電磁波遮蔽を目的として、銅箔に代えて、ニッケル系材料からなる金属板又はニッケル系材料からなるメッキ層を備えた金属板が用いられることもある。
さらに、使用時の雰囲気条件が高温となる半導体パッケージ基盤には、金属板として低熱膨張係数を示すインバー材などの金属材料が用いられることもあり、これにより基板全体の熱膨張が抑制され、基板特性が安定に保たれ易くなる。
このように、近年では、各種プリント配線板を作製するにあたり、従来の銅張積層体に代えて、各種機能性金属材料を樹脂フィルムに貼り合わせたシート(金属箔積層体)が多用され、それに伴い両者を貼り合わせる接着剤にも相応の接着性が求められてきている。
加えて、電子機器の多用化に伴い、これら金属箔積層体には、耐ハンダ性、耐リフロー性、耐プレッシャークッカーテスト(PCT)性なども求められ、積層体中の接着層にも同様の性能が求められてきている。
従来から、金属箔積層体の接着層には、銅張積層体と同様、エポキシ化合物などの耐熱性に優れる樹脂が適用されてきた。しかし、エポキシ化合物からなる接着層は、柔軟性、可とう性に乏しいという問題があり、また一部の金属材料、例えばアルミニウムには十分な接着性を示さないため、アルミニウム表面を粗化処理する必要があるなどの問題があった。
そこで、NBR変性エポキシ樹脂化合物を使用して接着層に柔軟性を付与する技術が、特許文献1〜3において提案され、さらに、エポキシ化合物からなる接着層にポリアミド樹脂を添加することで、金属材料との接着性を向上させかつ接着層に柔軟性を付与する技術が、特許文献4〜6において提案されている。
さらに、積層体の耐PCT性や耐ハンダ性などを向上させるために、エポキシ化合物とポリアミド樹脂とからなる接着剤に無機フィラーを添加する方法が特許文献7に、吸湿性の低いエポキシ化合物を用いる方法が特許文献8、9において、それぞれ提案されている。
特開2012−025839号公報 特開平07−235767号公報 特開2007−138149号公報 特開2009−088499公報 特開2012−224713公報 特開2012−234849公報 特開2011−42730公報 特開公報2001−81155公報 特開公報2003−64153公報
しかしながら、NBR変性エポキシ樹脂化合物を使用した接着剤は、接着層に柔軟性を付与できるものの、50μmを超える肉厚の接着層を形成しなければ金属材料に対し満足できる接着性が得られず、さらに加熱により接着性が低下するという問題もある。
また、エポキシ化合物からなる接着層にポリアミド樹脂を添加すると、各種金属材料との接着性を改善しつつ接着層に柔軟性を付与することができるが、積層体において耐PCT性などの耐湿熱性能にかかる特性が十分に得られないという問題がある。また、特許文献4、5記載の発明では、ポリアミド樹脂の耐薬品性、とりわけ耐アルカリ性が十分でなく、積層体の用途が限定されるという問題がある。
さらに、接着剤に無機フィラーを添加することは、耐PCT性や耐ハンダ性などの向上に一定の効果が認められるが、十分なレベルに達しているとは言い難いのが実情である。
そして、吸湿性の低いエポキシ化合物を使用することも、同じく積層体において耐PCT性や耐ハンダ性などの向上に一定の効果が認められる。しかしながら、かかるエポキシ化合物を使用する場合、硬化剤や架橋促進剤などを多量に添加しなければならず、その結果、接着層の柔軟性、可とう性が失われ、金属材料との接着性も少なからず低減するという問題がある。さらに、エポキシ化合物の硬化処理に長時間(30分〜2時間)を要するなど、製膜工程にも改善すべき点があるのが実情である。
本発明は、上記のような課題を解決するものであって、金属材料や樹脂材料との接着性、耐熱接着性に優れ、接着層に柔軟性と耐アルカリ性を付与でき、さらには積層体において優れた耐PCT性、耐ハンダ性が具現できる接着剤組成物と、その接着剤組成物を用いた積層体を提供することを技術的な課題とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定組成のダイマー酸系ポリアミド樹脂と特定組成のエポキシ化合物とを併用することで、金属材料や樹脂材料との接着性に優れ、かつ接着層に柔軟性、耐アルカリ性を付与でき、さらには積層体に耐湿熱性能を付与できる接着剤組成物が提供できることを見出し、また、この接着剤組成物を液状のものとすることで、接着層の厚みを薄く均一に制御し、製膜にかかる工程を簡略化することができることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
(1)ジカルボン酸成分としてダイマー酸をジカルボン酸成分全体の50モル%以上含み、酸価がアミン価より高くかつ3〜30mgKOH/gであるダイマー酸系ポリアミド樹脂(A)と、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ化合物(B)と、液状媒体(C)とを含有することを特徴とする接着剤組成物。
(2)ダイマー酸系ポリアミド樹脂(A)100質量部に対してエポキシ化合物(B)を0.5〜100質量部含有することを特徴とする(1)記載の接着剤組成物。
(3)液状媒体(C)が水性媒体であることを特徴とする(1)又は(2)記載の接着剤組成物。
(4)金属又は樹脂からなる基材の上に、(1)〜(3)いずれかに記載の接着剤組成物を塗布、乾燥してなる接着層を積層したことを特徴とする積層体。
(5)接着層の上にさらに金属又は樹脂からなる基材を積層したことを特徴とする(4)記載の積層体。
(6)接着層の厚みが0.05〜50μmであることを特徴とする(4)又は(5)記載の積層体。
(7)金属が、銅、アルミニウム、ステンレス、金、ニッケル及びこれらの混合物、化合物のいずれかであることを特徴とする(4)〜(6)いずれかに記載の積層体。
本発明によれば、各種金属材料及び各種樹脂材料との接着性、耐熱接着性に優れる接着剤組成物が提供できる。そして、そのような組成物を用いることで、接着性、耐熱接着性は無論のこと、柔軟性、可とう性、耐アルカリ性などにも優れる接着層が形成でき、さらには、耐PCT性、耐ハンダ性などに優れる積層体も得ることができる。
本発明の積層体は、各種プリント配線板を作製する際の金属箔積層体に好適であり、近年の電子機器の多用化ニーズに応えられるものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の接着剤組成物は、ジカルボン酸成分としてダイマー酸をジカルボン酸成分全体の50モル%以上含み、アミン価が酸価より高くかつ3〜30mgKOH/gであるダイマー酸系ポリアミド樹脂(A)と、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ化合物(B)と、液状媒体(C)とを含有することを特徴とする。
「ダイマー酸系ポリアミド樹脂(A)」
ダイマー酸系ポリアミド樹脂は、ポリアミド樹脂として広く使用されているナイロン6、ナイロン66、ナイロン12などの樹脂に比べて、大きな炭化水素グループを有するために柔軟性を有している。
本発明において、ダイマー酸系ポリアミド樹脂は、ジカルボン酸成分としてダイマー酸をジカルボン酸成分全体の50モル%以上含有することが必要であり、60モル%以上含有することが好ましく、70モル%以上含有することがさらに好ましい。ダイマー酸の割合が50モル%未満であると、後述する接着層において所望の柔軟性が、積層体において所望の耐ハンダ性がそれぞれ得られない。
ここでダイマー酸とは、オレイン酸やリノール酸などの炭素数18の不飽和脂肪酸を二量化することによって得られるものであり、ダイマー酸成分の25質量%以下であれば、単量体であるモノマー酸(炭素数18)、三量体であるトリマー酸(炭素数54)、炭素数20〜54の他の重合脂肪酸を含んでもよく、さらに水素添加して不飽和度を低下させたものでもよい。ダイマー酸は、ハリダイマーシリーズ(ハリマ化成社製)、プリポールシリーズ(クローダジャパン社製)、ツノダイムシリーズ(築野食品工業社製)などとして市販されており、これらを用いることができる。
ダイマー酸系ポリアミド樹脂のジカルボン酸成分としてダイマー酸以外の成分を用いる場合は、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ピメリン酸、スベリン酸、ノナンジカルボン酸、フマル酸などを用いることが好ましく、これらを50モル%未満含有することにより、樹脂の軟化点や接着性などの制御が容易となる。
また、ダイマー酸系ポリアミド樹脂のジアミン成分としては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、m−キシレンジアミン、フェニレンジアミン、ジエチレントリアミン、ピペラジンなどを用いることができ、中でもエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、m−キシレンジアミン、ピペラジンが好ましい。
ダイマー酸系ポリアミド樹脂を重合する際に、上記ジカルボン酸成分とジアミン成分の仕込み比を変更することによって、樹脂の重合度や酸価もしくはアミン価を制御することが可能となる。
本発明において、ダイマー酸系ポリアミド樹脂の酸価は、3〜30mgKOH/gであることが必要であり、3〜20mgKOH/gであることが好ましく、5〜20mgKOH/gであることが最も好ましい。樹脂の酸価が3mgKOH/g未満では、積層体において接着性及び耐ハンダ性が低くなり、また、後述する水性分散体を安定的に得ることが困難となる。一方、30mgKOH/gを超えると、本来のダイマー酸系ポリアミド樹脂の良好な特性である耐薬品性が低下し、積層体の耐PCT性も低下することがある。
また、酸価はアミン価より高いことが必要である。酸価がアミン価よりも低くなると、後述する水性分散体の安定性が大幅に低下する。
なお、酸価とは、樹脂1g中に含まれる酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数で定義されるものである。一方、アミン価とは、樹脂1g中の塩基成分とモル当量となる水酸化カリウムのミリグラム数で表されるものである。いずれも、JISK2501に記載の方法で測定される。
ダイマー酸系ポリアミド樹脂の軟化点は、70〜250℃であることが好ましく、80〜240℃であることがより好ましく、80〜200℃であることがさらに好ましい。軟化点が70℃未満であると、積層体としたとき接着層の強度が低くなる傾向にあり、また室温におけるタック感が高くなる傾向にあり、接着層形成後の基材の取り扱いが困難になる。一方で、軟化点が250℃を超えると、後述の水性媒体中への分散が困難となるほか、各基材との接着温度条件が高くなり、樹脂材料を用いる場合の耐熱性に問題が生じる場合がある。軟化点はJIS K7234に規定される環球法により測定される。
「エポキシ化合物(B)」
本発明においては、ダイマー酸系ポリアミド樹脂(A)と、ジシクロペンタジエン骨格を含むエポキシ化合物(B)を併用することで、金属材料や樹脂材料と優れた接着性、耐熱接着性を実現できるほか、接着層において柔軟性を、積層体において耐PCT性、耐ハンダ性などを実現できる。
エポキシ化合物としては、ジシクロペンタジエン骨格を含むエポキシ化合物(以下、ジシクロ型エポキシ樹脂ともいう)を用いる。このジシクロ型エポキシ樹脂を用いることで、積層体が優れた耐PCT性、耐ハンダ性を示す。
本発明におけるジシクロ型エポキシ樹脂は、常温で液状であることが好ましい。エポキシ化合物の粘度としては、10000mPa・s以下が好ましく、さらに1000mPa・s以下が好ましく、さらに500mPa・s以下が好ましい。粘度が10000mPa・sより大きくなると、ダイマー酸系ポリアミド樹脂液状物との混合性が悪くなる傾向にあり、好ましくない。
「液状媒体(C)」
液状媒体としては、水、有機溶剤が使用できる。有機溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノールなどのアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどのケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジエチル、炭酸ジメチルなどのエステル類;エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどのグリコール誘導体;さらには、3−メトキシ−3−メチルブタノール、3−メトキシブタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコール、アセト酢酸エチル、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、さらにはその混合溶媒を用いることができる。
「接着剤組成物」
本発明の接着剤組成物には、ダイマー酸系ポリアミド樹脂及びジシクロ型エポキシ化合物が含まれる。そして、この両者は接着剤組成物の有効成分に相当し、有効成分としての機能を十分に発揮させる観点から、両者は、接着剤組成物中に、ダイマー酸系ポリアミド樹脂100質量部に対しジシクロ型エポキシ化合物が0.5〜100質量部の割合で含有されることが好ましい。
ジシクロ型エポキシ化合物の含有割合が0.5質量部未満になると、積層体において所望の耐PCT性や耐ハンダ性などが得難くなる。一方、100質量部を超えると、接着剤組成物の液安定性や加工性などが低下し、また接着層の柔軟性が低下する場合があり、いずれも好ましくない。
本発明の接着剤組成物には、用途に応じて、帯電防止剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、無機フィラーなどの添加剤が配合されていてもよい。
添加剤は接着剤の特性を損なうものでなければ特に限定されず、具体例としては、金、銀、銅、鉄、ニッケル、アルミニウムなどの金属微粒子、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、カルシウム・アルミネート水和物等の金属水酸化物、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化コバルト、酸化クロム、タルク等の金属酸化物、炭化珪素、炭化チタンシリカ、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化珪素、あるいは炭酸カルシウム等の無機塩、カーボンブラック、シリカ、ガラス等が挙げられ、これらを二種以上用いてもよい。
「接着剤組成物の調製方法」
接着剤組成物の調製方法としては、特に限定されるものでないが、一般に、ダイマー酸系ポリアミド樹脂(A)、エポキシ化合物(B)及び液状媒体(C)をそれぞれ用意した後、(C)に(A)及び(B)を添加する方法、(A)(C)を用いてなる液状物を調製し、後にこの液状物に(B)を添加する方法などが挙げられる。本発明では、通常、後者による方法が好ましい。
(A)(C)を用いてなる液状物では、ダイマー酸系ポリアミド樹脂(A)が液状媒体(C)中で溶解、分散していることが好ましい。本発明では、(C)として前述の液状媒体が使用できるが、環境保全の観点から液状媒体として水性媒体を用いることが好ましい。水性媒体とは、水を主成分とする媒体であり、後述する親水性有機溶剤や塩基性化合物を含有していてもよい。
ダイマー酸系ポリアミド樹脂を有機溶媒中に溶解して液状物となす場合、液状媒体としは前述の有機溶剤が使用でき、この場合、樹脂が溶解可能な溶媒にポリアミド樹脂を加え、30〜100℃の温度下で加熱攪拌することで、目的の液状物を得ることができる。
ダイマー酸系ポリアミド樹脂(A)を有機溶媒中に溶解して液状物となす場合、液状物中のダイマー酸系ポリアミド樹脂の含有量(固形分濃度)としては、使用目的や保存方法などにあわせて適宜選択でき、特に限定されないが、10〜40質量%であることが好ましく、20〜35質量%であることがさらに好ましい。液状物中のダイマー酸系ポリアミド樹脂の含有量が10質量%より少なくなると、エポキシ化合物(B)と混合し、接着層を形成した際、接着層の厚みが薄くなり、接着層の特性が十分に発現されないことがあるため、好ましくない。一方、液状物中のダイマー酸系ポリアミド樹脂の含有量が40質量%より多くなると、経時による粘度上昇が生じるなど保存安定性が低下し、エポキシ化合物との混合性が低下する傾向にあり、好ましくない。
ダイマー酸系ポリアミド樹脂を有機溶媒中に溶解して液状物となす場合、液状物の粘度としては、50mPa・s以上1000mPa・s以下であることが好ましい。粘度は、B型粘度計(トキメック社製、DVL−BII型デジタル粘度計)を用いて20℃下で測定を行う。液状物の粘度が50mPa・sより小さくなると、エポキシ化合物との混合した後、接着剤組成物の粘度が低くなり、各種手段により接着層形成する際に液広がりが生じ、精度の高い接着層形成が困難となる。また、1000mPa・sを超えると、エポキシ化合物との混合性が悪くなり、安定した接着剤組成物を得ることができなくなる。
なお、かかる液状物には、添加剤として塩基性の材料を配合しても良好な液安定性が維持される。
一方、液状媒体として水性媒体を用いる場合には、ダイマー酸系ポリアミド樹脂(A)が水性媒体中に分散した水性分散体を調製することが好ましい。
ダイマー酸系ポリアミド樹脂を水性媒体中に安定性よく分散させるには、塩基性化合物を用いることが好ましい。塩基性化合物を使用することによって、ダイマー酸系ポリアミド樹脂に含まれるカルボキシル基の一部又は全てが中和され、カルボキシルアニオンが生成し、その電気的反発力によって、樹脂微粒子間の凝集が解れ、ダイマー酸系ポリアミド樹脂が水性媒体中に安定性よく分散する。
ダイマー酸系ポリアミド樹脂の水性分散体では、ダイマー酸系ポリアミド樹脂中のカルボキシル基が塩基性化合物で中和されており、アルカリ性域で安定した形態を保つことができる。水性分散体のpHとしては、7〜13の範囲が好ましい。塩基性化合物としては、常圧時の沸点が185℃未満の塩基性化合物が好ましい。
常圧時の沸点が185℃未満の塩基性化合物としては、アンモニア、有機アミン化合物などのアミン類などが挙げられる。有機アミン化合物の具体例としては、トリエチルアミン、N、N−ジメチルエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリンなどを挙げることができる。常圧時の沸点が185℃未満の塩基性化合物として、中でもトリエチルアミン、N、N−ジメチルエタノールアミンが好ましい。
塩基性化合物の常圧時の沸点が185℃を超えると、接着剤組成物を後述のように基材上に塗布して接着層を形成する際に、乾燥によって塩基性化合物、特に有機アミン化合物を十分に揮発させることが困難となり、衛生面や塗膜特性に悪影響を及ぼす場合がある。
かかる水性分散体において、塩基性化合物の含有量は、樹脂固形分100質量部に対して0.01〜100質量部であることが好ましく、1〜40質量部がより好ましく、1〜15質量部がさらに好ましい。塩基性化合物の含有量が0.01質量部未満では、塩基性化合物を添加する効果が乏しく、分散安定性に優れた水性分散体を得ることが困難となる。一方、塩基性化合物の含有量が100質量部を超えると、水性分散体が着色したりゲル化することがあり、また分散体のpHも高くなる傾向にあるため、好ましくない。
水性分散体に含まれるダイマー酸系ポリアミド樹脂粒子の数平均粒子径としては、0.5μm以下であることが好ましく、0.4μm以下がより好ましく、0.2μm以下がさらに好ましく、0.1μm以下が最も好ましい。数平均粒子径が0.5μmを超えると、分散安定性及び希釈安定性が低下し、さらに接着剤組成物から接着層を形成した際、接着層が緻密さに欠ける傾向にあり、好ましくない。ダイマー酸系ポリアミド樹脂粒子の数平均粒子径は、動的光散乱法により測定される。具体的には、日機装社製、マイクロトラック粒度分布計UPA150(MODEL No.9340)を用いて測定する。
ダイマー酸系ポリアミド樹脂の水性分散体では、常圧時の沸点が185℃以上もしくは不揮発性の水性化助剤を含有しないことが好ましい。常圧時の沸点が185℃以上もしくは不揮発性の水性化助剤とは、乳化剤成分又は保護コロイド作用を有する化合物などを指す。つまり、当該分散体では、水性化助剤を使用しなくても、樹脂の粒子径が微小であり、安定した水性分散体が得られるから、あえて水性化助剤を使用する必要がない。ただ、水性化助剤の使用により水性分散体の安定性が直ちに低減するというわけではないので、当該分散体の調製に際し、水性化助剤の使用を妨げるものでない。しかしながら、後述するように、当該水性分散体は、水性化助剤を必須成分とするいわゆる転相乳化法に基づく方法により得られたものとは明確に区別されるため、水性化助剤はできる限り使用しないことが好ましく、全く使用しないことが特に好ましい。ただ、本発明の接着剤組成物を得た後は、目的に応じて水性化助剤を積極的に使用してもよく、例えば、本発明の接着剤組成物を含む別の塗剤を新たに得るときなどは、目的に応じて水性化助剤を添加してよいことはいうまでもない。
ここで、乳化剤成分としては、カチオン性乳化剤、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤又は両性乳化剤が挙げられ、一般に乳化重合に用いられるもののほか、界面活性剤類も含まれる。例えば、アニオン性乳化剤としては、高級アルコールの硫酸エステル塩、高級アルキルスルホン酸塩、高級カルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート塩、ビニルスルホサクシネートなどが挙げられる。ノニオン性乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイドプロピレンオキサイドブロック共重合体、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体などのポリオキシエチレン構造を有する化合物やソルビタン誘導体などが挙げられる。そして、両性乳化剤としては、ラウリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイドなどが挙げられる。
保護コロイド作用を有する化合物としては、ポリビニルアルコール、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、変性デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸及びその塩、カルボキシル基含有ポリエチレンワックス、カルボキシル基含有ポリプロピレンワックス、カルボキシル基含有ポリエチレン−プロピレンワックスなどの数平均分子量が通常5000以下の酸変性ポリオレフィンワックス類及びその塩、アクリル酸−無水マレイン酸共重合体及びその塩、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸交互共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などの不飽和カルボン酸含有量が10質量%以上のカルボキシル基含有ポリマー及びその塩、ポリイタコン酸及びその塩、アミノ基を有する水溶性アクリル系共重合体、ゼラチン、アラビアゴム、カゼインなど、一般に微粒子の分散安定剤として用いられる化合物などが挙げられる。
ダイマー酸系ポリアミド樹脂の水性分散体を調製する方法としては、特に限定されるものでないが、一般に、密閉可能な容器を用いて調製することが好ましい。すなわち、密閉可能な容器に各成分を仕込み、加熱、攪拌する手段が好ましく採用される。
具体的に、まず、所定量のダイマー酸系ポリアミド樹脂と、水性媒体と、必要に応じて塩基性化合物とを容器に投入する。なお、前述したように、水性媒体中に塩基性化合物や後述する親水性有機溶剤を含有させてもよいので、例えば、塩基性化合物を含有する水性媒体を用いるのであれば、別途、塩基性化合物を投入せずとも、結果的に容器中に塩基性化合物が仕込まれることになる。
次に、容器を密閉し、好ましくは70〜280℃、より好ましくは100〜250℃の温度で、加熱撹拌する。加熱攪拌時の温度が70℃未満になると、ダイマー酸系ポリアミド樹脂の分散が進み難く、樹脂の数平均粒子径を0.5μm以下とすることが難しくなる傾向にある。一方、280℃を超えると、ダイマー酸系ポリアミド樹脂の分子量が低下する恐れがあり、また、系の内圧が無視できない程度まで上がることがあり、いずれも好ましくない。
加熱撹拌する際は、樹脂が水性媒体中に均一に分散されるまで毎分10〜1000回転で加熱撹拌することが好ましい。
さらに、親水性有機溶剤を併せて容器に投入してもよい。この場合の親水性有機溶剤としては、ダイマー酸系ポリアミド樹脂の粒子径をより小さくし、同時にダイマー酸系ポリアミド樹脂の水性媒体への分散をより促進する観点から、20℃における水に対する溶解性が、好ましくは50g/L以上、より好ましく100g/L以上、さらに好ましくは600g/L以上、特に好ましくは水と任意の割合で溶解可能な親水性有機溶剤を選んで使用するとよい。また、親水性有機溶剤の沸点としては、30〜250℃であることが好ましく、50〜200℃であることがより好ましい。沸点が30℃未満になると、水性分散体の調製中に親水性有機溶剤が揮発しやすくなり、結果、親水性有機溶剤を使用する意味が失われると共に、作業環境も悪化しやすくなる。一方、250℃を超えると、水性分散体から親水性有機溶剤を除去することが困難となる傾向にあり、結果、接着層となしたとき、接着層に有機溶剤が残留し、接着層の耐溶剤性などを低下させることがある。
前述の塩基性化合物の場合と同様、水性媒体には親水性有機溶剤を含有させてもよいので、親水性有機溶剤を含有する水性媒体を用いるのであれば、別途、親水性有機溶剤を追加投入せずとも、結果的に容器中に親水性有機溶剤が仕込まれることになる。
親水性有機溶剤の配合量としては、水性媒体を構成する成分(水、塩基性化合物及び親水性有機溶剤を含む各種有機溶剤)の全体に対し60質量%以下の割合で配合されるのが好ましく、1〜50質量%がより好ましく、2〜40質量%がさらに好ましく、3〜30質量%が特に好ましい。親水性有機溶剤の配合量が60質量%を超えると、水性化の促進効果がそれ以上期待できないばかりか、場合によっては水性分散体をゲル化させる傾向にあり、好ましくない。
親水性有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノールなどのアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどのケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジエチル、炭酸ジメチルなどのエステル類;エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどのグリコール誘導体;さらには、3−メトキシ−3−メチルブタノール、3−メトキシブタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコール、アセト酢酸エチルなどが挙げられる。
ダイマー酸系ポリアミド樹脂(A)を水性化する際に配合された有機溶剤や塩基性化合物は、その一部をストリッピングと呼ばれる脱溶剤操作で、水性分散体から除くことができる。このようなストリッピングによって有機溶剤の含有量は必要に応じて0.1質量%以下まで低減することが可能である。有機溶剤の含有量が0.1質量%以下となっても、水性分散体の性能面での影響は特に確認されない。ストリッピングの方法としては、常圧又は減圧下で水性分散体を攪拌しながら加熱し、有機溶剤を留去する方法を挙げることができる。この際、塩基性化合物が完全に留去されないような温度、圧力を選択することが好ましい。ただし、水性媒体の一部が同時に留去されることにより、水性分散体中の固形分濃度が高くなるため、固形分濃度を適宜調整することが好ましい。
脱溶剤操作が容易な親水性有機溶剤としては、例えば、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどがあり、かかる分散体では、特にエタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、テトラヒドロフランなどが好ましく用いられる。脱溶剤操作が容易な親水性有機溶剤は、一般に樹脂の水性化促進に資するところが大きく、本発明では好ましく用いられる。
また、水性分散体を得る際、親水性有機溶剤を含有する水性媒体中に、樹脂の分散を促進させる目的で、トルエンやシクロヘキサンなどの炭化水素系有機溶剤を配合してもよい。ただし、炭化水素系有機溶剤は一般に水に溶けにくいため、(A)(C)を用いてなる液状物として水性分散体を調製する場合、炭化水素系有機溶剤の配合量としては、水性媒体を構成する成分の全体に対し10質量%以下とすることが好ましく、配合量が10質量%を超えると、水と分離し、均一な水性分散体が得られないことがある。
密閉可能な容器に各成分を仕込み、加熱攪拌した後は、得られた水性分散体を必要に応じて室温まで冷却してもよい。無論、当該水性分散体は、冷却過程を経ても何ら凝集することなく、安定性は当然維持される。
そして、水性分散体を冷却した後は、直ちにこれを払い出し、次なる工程に供しても基本的に何ら問題ない。しかしながら、容器内には異物や少量の未分散樹脂が稀に残っていることがあるため、水性分散体を払い出す前に、一旦濾過工程を設けることが好ましい。濾過工程としては、特に限定されないが、例えば、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(例えば空気圧0.5MPa)する手段が採用できる。
水性分散体中のダイマー酸系ポリアミド樹脂の含有量(固形分濃度)としては、使用目的や保存方法などにあわせて適宜選択でき、特に限定されないが、10〜35質量%であることが好ましく、中でも15〜25質量%であることが好ましい。液状物中のダイマー酸系ポリアミド樹脂の含有量が10質量%より少ない場合は、乾燥工程によって接着層を形成する際に時間を要することがあり、また厚みが均一な接着層を得難い傾向にあり、好ましくない。一方、水性分散体中のダイマー酸系ポリアミド樹脂の含有量が35質量%より多い場合は、凝集物が発生するなど保存安定性が低下し易くなる傾向にあり、好ましくない。
ダイマー酸系ポリアミド樹脂の水性分散体の粘度としては、特に限定されないが、良好な接着層を得るため、300mPa・s以下であることが好ましい。水性分散体の粘度が300mPa・sを超えると、エポキシ化合物との混合性が悪くなるため強い撹拌力による混合が必要となるが、撹拌で生じるせん断によって発生する熱により、エポキシ化合物との反応が進み、安定した接着剤組成物が得難くなる傾向にある。
本発明では、この他にも、n−プロパノールなどの親水性有機溶剤にポリアミド樹脂を加え、30〜100℃の温度下で加熱攪拌することで樹脂を一旦溶解し、その後これに水を適量添加すれば、ダイマー酸系ポリアミド樹脂を水性媒体中に溶解してなる液状物が調製できる。
さらに、ダイマー酸系ポリアミド樹脂(A)とジシクロ型エポキシ化合物(B)を混合する際は、ジシクロ型エポキシ化合物を希釈してから添加してもよく、希釈には親水性有機溶剤、例えば、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルを用いてもよい。
接着剤組成物の粘度としては、50mPa・s以上1000mPa・s以下であることが好ましい。接着剤組成物の粘度が50mPa・sより低い場合、各種手段により接着層形成する際に液広がりが生じ、精度の高い接着層形成が困難となる。また印刷法などにより接着層を形成する場合には、例えばスクリーン印刷の場合にはスキージから液ダレが生じるなどの問題が生じる。一方、粘度が1000mPa・sを超えると、ハンドリングが難しくなり、接着層を均一に形成することが困難になるため好ましくない。
「積層体とその製造方法」
本発明の接着剤組成物は、主に積層体を得るときのコート剤として使用することができる。そこで、本発明の接着剤組成物を用いて積層体を得る方法について説明する。
積層体は、基本的に本発明の接着剤組成物を基材に塗布、乾燥することにより得ることができる。そして、接着層を形成した後は、接着層の上にさらに基材を積層してもよい。
本発明の接着剤組成物を基材に塗布する方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法などが採用できる。これらの方法により接着剤組成物を基材の表面に均一に塗布することができる。
さらに、液状媒体(C)として有機溶媒を使用し、ダイマー酸系ポリアミド樹脂(A)を有機溶剤中に溶解した接着剤組成物を用いた場合には、高粘度であるためスクリーン印刷法などの印刷法を用いることもできる。
基材の上に接着剤組成物を塗布した後は、熱風乾燥機など一般的な乾燥方法で溶媒分を除去することで接着層を形成することができる。乾燥条件としては特に限定されるものではないが、温度が50℃以上であり120℃以下であることが好ましい。50℃より低い場合には、溶媒分が残留し、積層体形成時の膨れ、ボイドの要因となることがある。一方、120℃より高い場合には、ダイマー酸系ポリアミド樹脂とエポキシ化合物が架橋反応し、積層体形成後の接着性を低下させてしまうことがある。
積層体において、基材に形成される接着層の厚みとしては、0.05〜50μmの範囲とすることが好ましく、0.1〜20μmであることがより好ましい。0.05μm未満では、接着層の特性が十分に発現されないことがあり、一方、50μmを超えると接着層の特性(効果)が飽和し、コスト的に不利となるほか、積層体の厚みが大きくなり積層体が複層化される場合には小型化薄型化の妨げとなる場合がある。
そして、接着層の上にさらに基材を積層する場合には、熱プレスなどの方法を採用すればよく、このような方法により接着性に優れる積層体を得ることができる。
積層体を構成する基材としては、金属又は樹脂からなるものが挙げられる。特に金属としては、銅、アルミニウム、ステンレス、金、ニッケル及びこれらの混合物、化合物が挙げられる。本発明で用いられる接着剤組成物は、ダイマー酸系ポリアミド樹脂液状物を主成分とすることから、表面未処理アルミニウムやステンレス鋼のインバー材などにも容易に接着層を形成することが可能である。
以下に、本発明を実施例でより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の各種の値の測定及び評価は以下のように行った。
(1)ダイマー酸系ポリアミド樹脂の特性値(酸価、アミン価)
JIS K 2501に記載の方法により測定した。
(2)固形分濃度
得られた水性分散体を適量秤量し、これを150℃で残存物(固形分)の質量が恒量に達するまで加熱し、固形分濃度を求めた。
(3)粘度
B型粘度計(トキメック社製、DVL−BII型デジタル粘度計)を用い、温度25℃における回転粘度(mPa・s)を測定した。
(4)水性分散体中の樹脂の数平均粒子径
水性分散体中の樹脂の数平均粒子径は、日機装社製、マイクロトラック粒度分布計UPA150(MODEL No.9340)を用いて動的光散乱法によって測定した。
(5)接着層の形成
基材として厚さ20μmの各種金属箔(銅、アルミニウム、インバー材、ニッケルでメッキ処理を行った金属)を用い、金属光沢面に接着剤組成物を、乾燥後の接着層の厚さが3μmになるようにワイヤーバーを用いて塗布し、120℃で1分間加熱乾燥することにより、接着層を金属箔の表面に形成した。
(6)積層体の作製
(6−1)条件1
(5)で形成した接着層の上に、被着基材となる各種金属箔(銅、アルミニウム、インバー材、ニッケルでメッキ処理を行った金属)や、ポリイミドフィルム(三井デュポン社製カプトン、厚み25μm)を重ね合わせ、ヒートプレス機(シール圧0.2MPaで30秒間)を用いて160℃でプレスすることで積層体を作製した。
(6−2)条件2
(5)で形成した接着層の上に、ガラス布基材エポキシ樹脂多層基板材料 R−1661(パナソニック社製、ガラスエポキシマルチ)を重ね合わせ、真空プレス機(シール圧0.2MPaで10分間の後、0.35MPaで110分間)を用いて、130℃で30分間プレスした後、さらに190℃で90分間プレスすることで、積層体を作製した。
(7)接着性の評価
(7−1)常態
(6)で作製した積層体から幅15mm、長さ10cmの測定サンプルを切り出し、引張り試験機(インテスコ社製精密万能材料試験機2020型)を用い、室温下、引張り速度200mm/分の条件にて180度剥離試験(被着基材を固定、塗工基材を剥離)を行うことにより剥離強度を測定し、その値の大きさで状態の接着性を評価した。なお、測定はサンプルを5枚採取し、その平均値を剥離強度とした。
(7−2)PCT処理後
(7−1)と同様に作製したサンプルを、平山製作所製プレッシャークッカーPCT305Sに投入し、121℃100%RH2atmの加熱加圧の条件で300時間処理した。処理後、(7−1)と同様に引張り試験機により剥離強度を測定し、その値の大きさでPCT処理後の接着性を評価した。
(8)柔軟性
基材として軟質塩化ビニルシートを用い、この基材の片面に、得られた接着剤組成物を乾燥後の接着層の厚さが3μmになるようにワイヤーバーを用いて塗布し、120℃で1分間加熱乾燥処理をすることにより、樹脂塗膜を軟質塩化ビニルシートの表面に形成した。これにゲルボフレックス試験機で100回処理(20℃、約15cmのストロークで1分間に40往復の処理)を行った後、積層体の接着層について、JIS K5600に記載の方法に基づき、クロスカット法によって密着性を評価した。
◎:どの格子にも剥がれが見られない。
○:格子カットの縁に沿ってわずかに剥がれが見られる。全体の5%以下。
△:全体の5〜15%程度の剥がれが見られる。
×:全体の15%以上の剥がれが見られる。
(9)耐アルカリ性
基材としてアルミニウム箔を用い、この基材の片面に、得られた接着剤組成物を乾燥後の接着層の厚さが2μmになるようにワイヤーバーを用いて塗布し、120℃で1分間加熱乾燥処理をすることにより、接着層をアルミニウム箔の表面に形成した。その後、NaOH水溶液(20℃においてpH12.0に調整)に50℃で3分間浸漬した後、接着層の溶解、あるいは剥離の有無を目視で評価した。
○:外観に変化なし。
△:塗膜の一部が溶解、あるいは剥離、白化する。
×:塗膜が溶解、あるいは剥離、白化する。
(10)耐ハンダ性
(10−1)常態
(6)で作製した積層体を50mm四方に切り出しサンプルとした。260℃のハンダ浴に、サンプルがハンダに接触するように30秒浮かべた後、積層体のフクレ、反りの有無を確認した。
○:フクレ、反りなし
×:フクレ、反りあり
(10−2)PCT処理後
(10−1)と同様に作製したサンプルを、平山製作所製プレッシャークッカーPCT305Sに投入し、121℃100%RH2atmの加熱加圧の条件で300時間処理した。PCT処理後5分以内に、260℃のハンダ浴に、積層体がハンダに接触するように30秒浮かべた後、積層体のフクレ、反りの有無を確認した。
○:フクレ、反りなし
×:フクレ、反りあり
ダイマー酸系ポリアミド樹脂としては、以下のP−1〜P−5を用いた。
なお、P−1〜P−5製造時には、ダイマー酸原料として、築野食品工業社製「ツノダイム395(商品名)」(ダイマー酸を94質量%、モノマー酸を3質量%、トリマー酸を3質量%含有)を用いた。
〔ダイマー酸系ポリアミド樹脂P−1〕
ジカルボン酸成分として、ダイマー酸を100モル%含有し、ジアミン成分としてエチレンジアミンを100モル%含有し、酸価が15.0mgKOH/g、アミン価が0.3mgKOH/g、軟化点が110℃であるポリアミド樹脂。
〔ダイマー酸系ポリアミド樹脂P−2〕
ジカルボン酸成分として、ダイマー酸を85モル%、アゼライン酸を15モル%含有し、ジアミン成分としてピペラジンを50モル%、エチレンジアミンを50モル%含有し、酸価が10.0mgKOH/g、アミン価が0.1mgKOH/g、軟化点が158℃であるポリアミド樹脂。
〔ダイマー酸系ポリアミド樹脂P−3〕
ジカルボン酸成分として、ダイマー酸を45モル%、アゼライン酸を55モル%含有し、ジアミン成分としてピペラジンを50モル%、エチレンジアミンを50モル%含有し、酸価が10.5mgKOH/g、アミン価が0.2mgKOH/g、軟化点が170℃であるポリアミド樹脂。
〔ダイマー酸系ポリアミド樹脂P−4〕
ジカルボン酸成分として、ダイマー酸を90モル%、アゼライン酸を10モル%含有し、ジアミン成分としてピペラジンを50モル%、エチレンジアミンを50モル%含有し、酸価が33.0mgKOH/g、アミン価が0.2mgKOH/g、軟化点が130℃であるポリアミド樹脂。
〔ダイマー酸系ポリアミド樹脂P−5〕
ジカルボン酸成分として、ダイマー酸を100モル%含有し、ジアミン成分としてエチレンジアミンを100モル%含有し、酸価が2.5mgKOH/g、アミン価が0.1mgKOH/g、軟化点が115℃であるポリアミド樹脂。
〔ダイマー酸系ポリアミド樹脂の水性分散体E−1の製造〕
撹拌機及びヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器に、75.0gのダイマー酸系ポリアミド樹脂P−1、37.5gのイソプロパノール(IPA、和光純薬社製)、37.5gのテトラヒドロフラン(THF、和光純薬社製)、7.2gのN,N−ジメチルエタノールアミン(和光純薬社製)及び217.8gの蒸留水を仕込んだ。回転速度を300rpmで撹拌しながら、系内を加熱し、120℃で60分間加熱攪拌を行った。その後、撹拌しながら室温付近(約30℃)まで冷却し、100gの蒸留水を追加した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)でごくわずかに加圧しながらろ過した。得られた水性分散体を1Lナスフラスコに入れ、80℃に加熱した湯浴につけながらエバポレーターを用いて減圧し、IPA、THF、水の混合媒体約100gを留去し、乳白色の均一なダイマー酸系ポリアミド樹脂水性分散体E−1を得た。E−1の固形分濃度は21質量%、分散体中の樹脂の数平均粒子径は0.040μm、pHは10.4、粘度は36mPa・sであった。
〔ダイマー酸系ポリアミド樹脂の水性分散体E−2の製造〕
撹拌機及びヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器に、75.0gのダイマー酸系ポリアミド樹脂P−2、93.8gのIPA、6.0gのN,N−ジメチルエタノールアミン及び200.3gの蒸留水を仕込んだ。回転速度を300rpmで撹拌しながら、系内を加熱し、120℃で60分間加熱攪拌を行った。その後、撹拌しながら室温付近(約30℃)まで冷却し、130gの蒸留水を追加した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)でごくわずかに加圧しながらろ過した。得られた水性分散体を1Lナスフラスコに入れ、80℃に加熱した湯浴につけながらエバポレーターを用いて減圧し、IPA、水の混合媒体約130gを留去し、乳白色の均一なダイマー酸系ポリアミド樹脂水性分散体E−2を得た。E−2の固形分濃度は20質量%、分散体中の樹脂の数平均粒子径は0.052μm、pHは10.6、粘度は30mPa・sであった。
〔ダイマー酸系ポリアミド樹脂の水性分散体E−3の製造〕
撹拌機及びヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器に、110.0gのダイマー酸系ポリアミド樹脂P−3、110.0gのIPA、110.0gのTHF、9.2gのN,N−ジメチルエタノールアミン、11.0gのトルエン、及び199.8gの蒸留水を仕込んだ。回転速度を300rpmで撹拌しながら、系内を加熱し、120℃で60分間加熱攪拌を行った。その後、撹拌しながら室温付近(約30℃)まで冷却し、330gの蒸留水を追加した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)でごくわずかに加圧しながらろ過した。得られた水性分散体を1Lナスフラスコに入れ、80℃に加熱した湯浴につけながらエバポレーターを用いて減圧し、IPA、THF、トルエン、水の混合媒体約330gを留去し、乳白色の均一なダイマー酸系ポリアミド樹脂水性分散体E−3を得た。E−3の固形分濃度は21質量%、分散体中の樹脂の数平均粒子径は0.085μm、pHは10.4、粘度は5mPa・sであった。
〔ダイマー酸系ポリアミド樹脂の水性分散体E−4の製造〕
撹拌機及びヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器に、110.0gのダイマー酸系ポリアミド樹脂P−4、110.0gのIPA、110.0gのTHF、28.9gのN,N−ジメチルエタノールアミン、11.0gのトルエン、及び180.1gの蒸留水を仕込んだ。回転速度を300rpmで撹拌しながら、系内を加熱し、120℃で60分間加熱攪拌を行った。その後、撹拌しながら室温付近(約30℃)まで冷却し、330gの蒸留水を追加した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)でごくわずかに加圧しながらろ過した。得られた水性分散体を1Lナスフラスコに入れ、80℃に加熱した湯浴につけながらエバポレーターを用いて減圧し、IPA、THF、トルエン、水の混合媒体約330gを留去し、乳白黄色の均一なダイマー酸系ポリアミド樹脂水性分散体E−4を得た。E−4の固形分濃度は20質量%、分散体中の樹脂の数平均粒子径は0.038μm、pHは10.3、粘度は55mPa・sであった。
〔ダイマー酸系ポリアミド樹脂の水性分散体E−5の製造〕
撹拌機及びヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器に、75.0gのダイマー酸系ポリアミド樹脂P−5、37.5gのイソプロパノール(IPA、和光純薬社製)、37.5gのテトラヒドロフラン(THF、和光純薬社製)、1.4gのN,N−ジメチルエタノールアミン(和光純薬社製)及び217.8gの蒸留水を仕込んだ。回転速度を300rpmで撹拌しながら、系内を加熱し、120℃で60分間加熱攪拌を行った。その後、撹拌しながら室温付近(約30℃)まで冷却し、100gの蒸留水を追加した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)でごくわずかに加圧しながらろ過した。得られた水性分散体を1Lナスフラスコに入れ、80℃に加熱した湯浴につけながらエバポレーターを用いて減圧し、IPA、THF、水の混合媒体約100gを留去し、乳白色の均一なダイマー酸系ポリアミド樹脂水性分散体E−5を得た。E−5の固形分濃度は21質量%、分散体中の樹脂の数平均粒子径は0.150μm、pHは10.1、粘度は10mPa・sであった。
〔ダイマー酸系ポリアミド樹脂の有機溶媒溶液S−1の製造〕
200gのナスフラスコに、20gのダイマー酸系ポリアミド樹脂P−1、40gのメタノール、40gのトルエンを仕込み40℃に加熱した湯浴につけながら撹拌子で撹拌し、樹脂を溶解することで黄色の均一なダイマー酸系ポリアミド樹脂溶液S−1を得た。S−1の固形分は20質量%、粘度は80mPa・sであった。
〔ダイマー酸系ポリアミド樹脂の有機溶媒溶液S−2の製造〕
200gのナスフラスコに、20gのダイマー酸系ポリアミド樹脂P−2、40gのメタノール、40gのトルエンを仕込み40℃に加熱した湯浴につけながら撹拌子で撹拌し、樹脂を溶解することで黄色の均一なダイマー酸系ポリアミド樹脂溶液S−2を得た。S−2の固形分は20質量%、粘度は100mPa・sであった。
(実施例1)
ダイマー酸系ポリアミド樹脂水性分散体E−1と、ジシクロ型エポキシ化合物(アデカレジンEP−4088S、ADEKA社製)とを表1記載の割合になるように配合し、室温で5分間混合攪拌して接着剤組成物(U−1)を調製し、柔軟性、耐アルカリ性を評価した。また、組成物を塗布する基材(塗布基材)及び接着層の上に積層する基材(被着基材)として銅を選び、接着層を介して両基材を貼り合わせた積層体を作製し、接着性、耐ハンダ性について評価した。結果を表1に示す。
(実施例2〜8、比較例1〜11)
ダイマー酸系ポリアミド樹脂の液状物と、エポキシ化合物とを表1記載の種類に変更すると共に、それらの含有割合を変更する以外は、実施例1と同様の方法で接着組成物(U−2〜U−8、N−1〜N−11)を調製し、柔軟性、耐アルカリ性を評価した。また、実施例1の場合と同様の手法で積層体を各々作製し、接着性、耐ハンダ性を評価した。なお、ビスフェノールA型のエポキシ化合物樹脂として、アデカレジンEM−051R、ADEKA社製を用いた。結果を表1に示す。
(比較例12)
ジシクロ型エポキシ化合物100gと、硬化剤としてメチルテトラヒドロ無水フタル酸(MH−700、新日本理科製)50gとを、室温で5分間混合攪拌して接着剤組成物(N−12)を調製し、柔軟性、耐アルカリ性を評価した。また、実施例1の場合と同様の手法で積層体を作製し、接着性、耐ハンダ性を評価した。結果を表1に示す。
(実施例9〜12、比較例13〜18)
接着剤組成物を表2記載の種類に変更すると共に、基材の種類を変更し、積層体を作製した。そして、得られた積層体の接着性、耐ハンダ性を評価した。結果を表2に示す。
表1、2に示すように、本発明の接着剤組成物は、特定組成のダイマー酸系ポリアミド樹脂と特定組成のエポキシ化合物とからなるものであり、エポキシ化合物の割合が多いと若干柔軟性に劣るものの、接着層は良好な耐アルカリ性を示し、積層体は、接着性、耐ハンダ性に優れるものであった。特に、積層体はPCT処理後の耐ハンダ性に優れるものであり、これはジシクロ型エポキシ樹脂の低吸水性による効果と、ダイマー酸の柔軟性付与の相乗効果によるものである。
これに対し、比較例1、3、5、7、13、15においては、ダイマー酸系ポリアミド樹脂の特性である良好な接着性を示すものの、エポキシ化合物を含有しておらず、PCT処理後の耐ハンダ性に劣るものであった。同様にビスフェノールA型をエポキシ化合物として用いている比較例2、4、6、8、14,16においても、PCT処理後の耐ハンダ性に劣るものであった。これは、接着層において、PCT処理で吸水した水分がハンダ試験時に急激に揮発したことにより、ふくれが生じたためである。
比較例12においても、耐ハンダ性に劣る結果が示された。これは、接着層がハンダ試験によって熱膨張を生じ、はがれが生じたためである。
比較例9、17はダイマー酸系ポリアミド樹脂中のダイマー酸含有量が少なく、柔軟性と、耐ハンダ性に劣る結果となった。また比較例10、18では、接着層は柔軟性に優れる一方で耐アルカリ性に劣り、積層体はPCT処理後の耐ハンダ性に劣るものであった。
比較例11は用いたポリアミド樹脂の酸価が小さく、積層体は、接着性、耐ハンダ性に劣るものであった。

Claims (7)

  1. ジカルボン酸成分としてダイマー酸をジカルボン酸成分全体の50モル%以上含み、酸価がアミン価より高くかつ3〜30mgKOH/gであるダイマー酸系ポリアミド樹脂(A)と、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ化合物(B)と、液状媒体(C)とを含有することを特徴とする接着剤組成物。
  2. ダイマー酸系ポリアミド樹脂(A)100質量部に対してエポキシ化合物(B)を0.5〜100質量部含有することを特徴とする請求項1記載の接着剤組成物。
  3. 液状媒体(C)が水性媒体であることを特徴とする請求項1又は2記載の接着剤組成物。
  4. 金属又は樹脂からなる基材の上に、請求項1〜3いずれかに記載の接着剤組成物を塗布、乾燥してなる接着層を積層したことを特徴とする積層体。
  5. 接着層の上にさらに金属又は樹脂からなる基材を積層したことを特徴とする請求項4記載の積層体。
  6. 接着層の厚みが0.05〜50μmであることを特徴とする請求項4又は5記載の積層体。
  7. 金属が、銅、アルミニウム、ステンレス、金、ニッケル及びこれらの混合物、化合物のいずれかであることを特徴とする請求項4〜6いずれかに記載の積層体。
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