JP2022117777A - 積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】基材フィルム上に接着層を形成してなる積層体であって、積層体の接着層は、低温で被着体と接着可能であり、様々な被着体との接着性に優れ、被着体が接着された物品が、高温耐熱性、耐屈曲性に優れる積層体を提供する。【解決手段】基材フィルムの少なくとも片面に接着層が設けられた積層体であり、基材フィルムを構成する樹脂が、半芳香族ポリアミドおよび/またはポリイミド系樹脂を含み、接着層がポリエーテルエステルアミドを含むことを特徴とする積層体。【選択図】なし

Description

本発明は、基材フィルムの少なくとも片面にポリエーテルエステルアミドを含む接着層が設けられた積層体に関する。
近年、エレクトロニクス分野の発展が目覚ましく、特にパソコン、携帯電話、デジタルカメラ、ゲーム機、ハードディスクドライブ等の通信用・民生用の電子機器においては、小型化、薄型化、軽量化、回路の高密度化が進み、これらの性能に対する要求が益々高度なものとなっている。
このような要求に対して、フレキシブルプリント配線板(FPC)は、可撓性を有し、繰り返し屈曲に耐えるため、狭い空間に立体的に高密度の実装が可能であり、電子機器への配線、ケーブル、コネクター機能等を付与した複合部品として、用途が拡大しつつある。
上述の電子機器の小型化、薄型化、軽量化、回路の高密度化等に伴い、FPCは、接着シートを介して、多様な構成に多層化されることが多くなっている。したがって、接着シートには、FPCを構成する様々な材料との高接着性が求められ、また、FPCの製造における260℃程度のリフロー温度に対する、はんだ耐熱性が要求されることがある。
特許文献1には、半芳香族ポリアミドおよび/またはポリイミド系樹脂フィルムに、ダイマー酸ポリアミド樹脂を含む接着層が設けられた積層体が開示されている。
国際公開第2018/052104号
しかしながら、特許文献1に開示された積層体は、接着層に被着体を接着する際に、180℃の高温での圧着が必要であり、製造コスト低減のために、より低温で接着性を有することが求められていた。また、特許文献1に開示された積層体は、被着体と接着した後の耐屈曲性が十分でないことがあった。
本発明は、基材フィルム上に接着層を形成してなる積層体であって、積層体の接着層は、低温で被着体と接着可能であり、様々な被着体との接着性に優れ、被着体が接着された物品が、高温耐熱性、耐屈曲性に優れる積層体を提供することを技術的な課題とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の樹脂から構成される基材フィルムの少なくとも片面に、ポリエーテルエステルアミドを含む接着層が積層された積層体は、基材フィルムと接着層との密着性に優れ、被着体とも低温で接着でき、被着体との接着性が優れ、また積層体に被着体が接着された物品は、高温耐熱性、耐屈曲性に優れることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
(1)基材フィルムの少なくとも片面に接着層が設けられた積層体であり、
基材フィルムを構成する樹脂が、半芳香族ポリアミドおよび/またはポリイミド系樹脂を含み、
接着層が、ポリエーテルエステルアミドを含むことを特徴とする積層体。
(2)接着層が架橋剤を含むことを特徴とする(1)に記載の積層体。
(3)接着層の厚みが0.1~20μmであることを特徴とする(1)または(2)に記載の積層体。
(4)架橋剤の含有量が、ポリエーテルエステルアミド100質量部に対し、0.5~50質量部であることを特徴とする(2)または(3)に記載の積層体。
(5)架橋剤が、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、またはオキサゾリン化合物のいずれかを1つ以上含むことを特徴とする(2)~(4)のいずれかに記載の積層体。
(6)架橋剤がエポキシ化合物であることを特徴とする(2)~(4)のいずれかに記載の積層体。
(7)基材フィルムと接着層の間に易接着層が設けられたことを特徴とする(1)~(6)のいずれかに記載の積層体。
(8)上記(1)~(7)のいずれかに記載の積層体に被着体が接着されてなる物品。
本発明の積層体は、ポリエーテルエステルアミドを含有する接着層と、特定の樹脂からなる基材フィルムとから構成されており、接着層は、低温下での熱圧着で被着体と接着することができ、透明ポリイミドなどのフィルム、金属板、カバーガラスなど、様々な被着体との接着性に優れている。また、本発明の積層体に被着体を接着した物品は、耐屈曲性、はんだ耐熱性に優れるものである。
本発明の積層体は、基材フィルムの片面に接着層を設けた片面接着シート、または、基材フィルムの両面に接着層を設けた両面接着シートのいずれの態様でも使用することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の積層体は、基材フィルムの少なくとも片面に接着層が設けられたものであり、基材フィルムを構成する樹脂は、半芳香族ポリアミドおよび/またはポリイミド系樹脂であり、接着層がポリエーテルエステルアミドを含むことが必要である。
<基材フィルム>
(半芳香族ポリアミド)
本発明において、基材フィルムを構成する半芳香族ポリアミドは、ジカルボン酸成分とジアミン成分から構成されており、ジカルボン酸成分またはジアミン成分中に芳香族成分を有するものである。
半芳香族ポリアミドを構成するジカルボン酸成分は、テレフタル酸を主成分とすることが好ましく、テレフタル酸以外のジカルボン酸成分としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸や、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,3-ナフタレンジカルボン酸、1,2-ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。ジカルボン酸成分中のテレフタル酸の割合は、60~100モル%であることが好ましい。
半芳香族ポリアミドを構成するジアミン成分は、炭素数が4~15である脂肪族ジアミンを主成分とすることが好ましく、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、4-メチル-1,8-オクタンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、1,13-トリデカンジアミン、1,14-テトラデカンジアミン、1,15-ペンタデカンジアミン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
前記モノマーの組み合わせで得られる半芳香族ポリアミドの中でも、耐熱性とフィルムの成形加工性との観点から、テレフタル酸のみからなる(テレフタル酸100モル%である) ジカルボン酸成分と、1,9-ノナンジアミンと2-メチル-1,8-オクタンジアミンとを合計でジアミン成分中に60~100モル%含有するジアミン成分や、1,10-デカンジアミンを含有するジアミン成分からなる半芳香族ポリアミドが好ましい。
半芳香族ポリアミドには、本発明の目的を損なわない範囲で、ε-カプロラクタム、ζ-エナントラクタム、η-カプリルラクタム、ω-ラウロラクタム等のラクタム類が共重合されていてもよい。
半芳香族ポリアミドを構成するモノマーの種類および共重合比率は、得られる半芳香族ポリアミドのTm(融点)が280~350℃の範囲になるように選択されることが好ましい。半芳香族ポリアミドのTmを前記範囲とすることにより、基材フィルムに加工する際の半芳香族ポリアミドの熱分解を効率よく抑制することができる。Tmが280℃未満であると、得られる基材フィルムの耐熱性が不十分となる場合がある。一方、Tmが350℃を超えると、基材フィルム製造時に熱分解が起きる場合がある。
半芳香族ポリアミドとして、市販品を好適に使用することができる。このような市販品としては、例えば、クラレ社製の「ジェネスタ(登録商標)」、ユニチカ社製「ゼコット(登録商標)」、三菱エンジニアリングプラスチック社製「レニー(登録商標)」、三井化学社製「アーレン(登録商標)」、BASF社製「ウルトラミッド(登録商標)」などが挙げられる。
半芳香族ポリアミドは、公知の任意の方法を用いて、製造することができる。例えば、酸クロライドとジアミン成分とを原料とする溶液重合法または界面重合法が挙げられる。あるいは、ジカルボン酸成分とジアミン成分とを原料としてプレポリマーを作製し、該プレポリマーを溶融重合または固相重合により高分子量化する方法が挙げられる。
さらに、ジアミン成分、ジカルボン酸成分および重合触媒と共に、必要に応じて末端封止剤を用いてもよい。末端封止剤としては、熱分解抑制や分子量増加抑制の観点から、半芳香族ポリアミドの末端におけるアミノ基またはカルボキシル基との反応性を有する単官能性の化合物であれば、特に限定されず、例えば、モノカルボン酸、モノアミン、酸無水物、モノイソシアネート、モノハロゲン化物、モノエステル類、モノアルコール類が挙げられる。
(ポリイミド系樹脂)
基材フィルムを構成するポリイミド系樹脂は、繰り返し単位にイミド結合を含む高分子であり、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド等が挙げられる。
ポリイミド系樹脂は、公知の任意の方法で製造され、たとえば、テトラカルボン酸成分とジアミン成分とがイミド結合した重合体では、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを反応させて得られるポリイミド系樹脂前駆体(ポリアミック酸)をイミド化することによって得られるものであることが好ましい。
テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3′,4,4′-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン二無水物、3,3′,4,4′-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、2,2-ビス[4-(2,3-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物が挙げられる。これらテトラカルボン酸二無水物は、単独で用いられてもよく、また2種以上が併用されてもよい。
ジアミン化合物としては、例えば、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、3,4′-ジアミノジフェニルエーテル、4,4′-ジアミノジフェニルエーテル、4,4′-ジアミノジフェニルスルホン、3,3′-ジアミノジフェニルスルホン、2,2-ビス(4-アミノフェノキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,4-ジアミノトルエン、2,6-ジアミノトルエン、3,3′-ジアミノジフェニルメタン、4,4′-ジアミノジフェニルメタン、4,4′-ジアミノ-2,2-ジメチルビフェニル、2,2-ビス(トリフルオロメチル)-4,4′-ジアミノビフェニルが挙げられる。これらジアミン化合物は、単独で用いられてもよく、また2種以上が併用されてもよい。
耐熱性や機械的強度、電気特性、耐薬品性に優れることから、ポリイミド系樹脂は、テトラカルボン酸二無水物がピロメリット酸二無水物であり、ジアミン化合物が4,4′-ジアミノジフェニルエーテルである構成や、テトラカルボン酸二無水物が3,3′,4,4′-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物であり、ジアミン化合物がp-フェニレンジアミンである構成が好ましい。
また、ポリイミド系樹脂は、トリカルボン酸成分とジアミン成分とが、イミド結合とアミド結合した重合体であるポリアミドイミドでもよい。
トリカルボン酸成分としては、トリメリット酸、ジフェニルエーテル-3,3′,4′-トリカルボン酸、ジフェニルスルホン-3,3′,4′-トリカルボン酸、ベンゾフェノン-3,3′,4′-トリカルボン酸などが挙げられ、ジアミン成分としては、前記ポリイミド系樹脂を構成するジアミン化合物として例示したものが挙げられる。
ポリアミドイミドは、通常、無水トリメリット酸とジイソシアネートとの反応、または無水トリメリット酸クロライドとジアミンとの反応により重合した後、イミド化することにより製造することができる。
上記した半芳香族ポリアミドやポリイミド系樹脂から、基材フィルムを製造する方法は、特に限定されるものではなく、押出法あるいは溶剤流延法が挙げられ、本発明の積層体を構成する基材フィルムは、いずれの方法で製造したものでもよい。
(基材フィルムの構成、特性)
基材フィルムは、上記樹脂から構成されることが必要であるが、本発明の効果を損なわなければ、公知の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、可塑剤、滑剤、酸化防止剤などが含まれていてもよい。
また、基材フィルムには、接着層と積層する場合の密着性などを考慮して、表面に前処理としてコロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、薬品処理、溶剤処理などが施されていてもよい。
基材フィルムの厚みは、0.5μm~1.5mmであることが好ましく、15~200μmであることがより好ましく、25~100μmであることがさらに好ましい。基材フィルムは、厚みが0.5μm未満であると、製造が困難であり、1.5mmを超えると、取扱い上困難であるため好ましくない。基材フィルムは、未延伸フィルムでも延伸フィルムでもよい。
積層体を構成する基材フィルムは、積層体の用途によって、透明性に優れることが求められる。通常、フィルムの透明性は、ヘイズと全光線透過率で表される。本発明の積層体を構成する基材フィルムは、ヘイズが15%未満であることが好ましく、10%未満であることがより好ましく、全光線透過率が、60%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
<易接着層>
本発明における基材フィルムは、接着層との密着性向上、滑り性向上、ブロッキング防止の観点から、接着層が設けられる面には、予め易接着層が設けられていてもよい。易接着層を構成する樹脂は、特に限定はされず、各種樹脂を用いることができる。樹脂としては、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられる。
ポリアミド樹脂は、特に限定されないが、ダイマー酸系ポリアミドであることが好ましい。ダイマー酸系ポリアミドは、主鎖にアミド結合を有するものであり、主にジカルボン酸成分としてのダイマー酸とジアミン成分とを用いた脱水縮合反応によって得られるものである。
ダイマー酸は、ハリダイマーシリーズ(ハリマ化成社製)、プリポールシリーズ(クローダジャパン社製)、ツノダイムシリーズ(築野食品工業社製)などとして市販されており、これらを用いることができる。
ジアミン成分としては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、m-キシレンジアミン、フェニレンジアミン、ジエチレントリアミン、ピペラジンなどを用いることができ、中でもエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、m-キシレンジアミン、ピペラジンが好ましい。
ポリエステル樹脂としては、特に限定はされないが、多塩基酸成分と多価アルコール成分とから構成され、公知の重合方法にて製造されるものが挙げられ、1種類のみを使用しても2種類以上を併用してもよい。ポリエステル樹脂の市販品の例として、「エリーテルKA-5034」、「KZA-0134」、「KZA-3556」(いずれもユニチカ社製)、「プラスコートZ-730」、「RZ-142」(いずれも互応化学工業社製)などを挙げることができる。
ポリウレタン系樹脂としては、特に限定されず、ポリエステル系ウレタン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹脂、ポリカーボネート系ウレタン樹脂等の各種ポリウレタン樹脂を挙げることができる。ポリウレタン系樹脂は、さらに、半芳香族ポリアミド基材フィルムや接着層との接着性を向上させる観点から、スルホ基を有する化合物やカルボキシル基を有する化合物を共重合してもよい。ポリウレタン系樹脂は、特に限定はされないが、易接着層に残留する溶剤の問題や、環境への汚染性が少ないという点で、水性ウレタン樹脂であることが好ましい。ポリウレタン系樹脂として市販のポリウレタン樹脂を用いてもよく、ポリウレタン樹脂の水分散体としては、例えば、DIC社製ハイドランシリーズ、第一工業製薬社製スーパーフレックスシリーズ、三井化学社製タケラックシリーズ、アデカ社製アデカボンタイターシリーズ、三洋化成工業社製ユーコートなどが挙げられる。
アクリル樹脂は、特に限定はされないが、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート等を主成分とし、スチレン、メチルメタアクリレート、アクリロニトリル等のビニル化合物、および官能基モノマーとして、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、アクリルアミド、メチロールアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレート等を共重合したものである。易接着層の形成には、これらアクリル樹脂を水性媒体に分散化した水性分散体を用いることが好ましい。
易接着層には、接着性や耐熱性、耐屈曲性などの物性を損なわない範囲で、必要に応じて、架橋剤、レベリング剤、消泡剤、ワキ防止剤、顔料分布剤、紫外線吸収剤等の各種薬剤や、酸化チタン、酸価亜鉛、カーボンブラック等の顔料あるいは染料を添加することができる。
また、易接着層は、微粒子を含有してもよい。微粒子として、無機系微粒子、有機系微粒子のいずれも使用することができる。
無機系微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化ネオジム、酸化ランタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム等の無機系化合物の微粒子を挙げることができる。
また、有機系微粒子としては、例えば、アクリル粒子、メラミン粒子、シリコーン粒子、ポリイミド粒子、架橋ポリエステル粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリエチレン粒子、架橋ポリプロピレン粒子、シリコーン粒子、ナイロン粒子、ポリアクリロニトリル粒子、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド樹脂粒子、スチレンジビニルベンゼン共重合体粒子、アクリルジビニルベンゼン共重合体などを挙げることができる。
中でも取扱いが良好な点で、シリカ、アクリル系樹脂粒子が好ましい。これらの無機系および有機系微粒子は、単独もしくは複数をブレンドして用いることができ、分散性や密着性を高めるために、表面処理を施してもよい。
微粒子の平均粒子径は、0.010~4.0μmであることが好ましく、0.030~3.0μmであることがより好ましく、0.050~2.0μmであることがさらに好ましい。なお、微粒子の平均粒子径は、摩擦特性、光学特性、耐ブロッキング性、その他のフィルムに対する要求特性に応じて任意に選択することができる。
易接着層の厚みは、30~500nmであることが好ましく、40~400nmであることが好ましく、50~300nmであることがより好ましく、60~200nmであることがさらに好ましい。易接着層は、厚みが30nm未満であると、均一な層の形成が難しくなるばかりでなく、形成した層が有する機能が十分に発揮されず、一方、500nmを超えると、ロール状に巻くとブロッキングすることがあり、生産性に劣ることがある。
<接着層>
(ポリエーテルエステルアミド)
本発明の積層体は、基材フィルムの少なくとも片面に接着層が設けられたものであり、接着層はポリエーテルエステルアミドを含む。
ポリエーテルエステルアミドは、ポリアミド成分と、ポリオキシアルキレングリコールおよびジカルボン酸からなるポリエーテルエステル成分との反応で得られ、分子鎖中にアミド結合とエーテル結合とエステル結合とを有するブロック共重合体である。
ポリエーテルエステルアミドを構成するポリアミド成分としては、具体的に、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、フェニレンジアミンおよびキシリレンジアミン類等の脂肪族、脂環族、または芳香族の炭素数が4以上のジアミンと、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸および重合脂肪酸等の脂肪族、脂環族、または芳香族の炭素数が6以上のジカルボン酸と、から製造されるポリアミドが挙げられる。
また、ω-アミノカプロン酸、ω-アミノエナン酸、ω-アミノカプリル酸、11-アミノウンデカン酸および12-アミノドデカン酸等の炭素数が6以上のアミノカルボン酸から製造されるポリアミドや、カプロラクタム、エナントラクタム、カプリルラクタムおよびラウロラクタム等の炭素数が6以上のラクタムから製造されるポリアミドが挙げられる。また、これらの共重合ポリアミド、またはこれらの混合ポリアミド等が挙げられる。
特に、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸から製造されるポリアミドや、ヘキサメチレンジアミンと、重合脂肪酸と、アゼライン酸またはセバシン酸とから製造されるポリアミドや、12-アミノドデカン酸、カプロラクタムから製造されるポリアミドが好ましい。
上記重合脂肪酸としては、不飽和脂肪酸、例えば炭素数が10~24の二重結合または三重結合を一個以上有する一塩基性脂肪酸を重合して得た重合脂肪酸が用いられる。具体例としては、オレイン酸、リノール酸およびエルカ酸等の二量体が挙げられる。
市販されている重合脂肪酸は、通常二量体化脂肪酸を主成分とし、他に原料の脂肪酸や三量体化脂肪酸を含有するが、二量体化脂肪酸含有量が70重量%以上であることが好ましく、95重量%以上であることがより好ましい。二量体化脂肪酸含有量が70重量%未満であると、得られるポリアミドの分子量分布が広くなり、ポリアミドの特性を調整しにくくなる傾向にある。さらに、上記重合脂肪酸は、水素添加して不飽和度を下げたものが好ましい。不飽和度が低いほど、得られるポリアミドが酸化されにくく変質しにくい傾向がある。重合脂肪酸の市販品としては、特に、プリポール1009、プリポール1004、プリポール1010(以上クローダジャパン社製)やエンポール1010(ヘンケル社製)等が好ましく、これらの混合物を用いてもよい。
ポリエーテルエステルアミドのポリエーテルエステル成分を構成するポリオキシアルキレングリコールとしては、具体的には、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのブロックまたはランダム共重合体、エチレンオキサイドとテトラヒドロフランとのブロックまたはランダム共重合体、および2価フェノール化合物と上記ポリオキシアルキレングリコールとの共重合体等が挙げられる。
ポリエーテルエステルアミドのポリエーテルエステル成分を構成するジカルボン酸としては、炭素数が6~20のジカルボン酸が好ましく、具体的には、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸およびドデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸およびイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸等が挙げられる。特に、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、およびイソフタル酸が、重合性およびポリエーテルエステルアミドの物性の点から好ましく用いられる。
ポリエーテルエステルアミドにおける質量比(ポリアミドブロック/ポリエーテルエステルブロック)は、95/5~20/80であることが好ましい。
ポリエーテルエステルアミドは、重量平均分子量が5000~200000であることが好ましい。ポリエーテルエステルアミドは、重量平均分子量が5000未満であると、基材フィルム面に、接着層をフィルム状に形成しがたくなる傾向にあり、重量平均分子量が200000を超えると、溶剤への溶解性および相溶性が低下して、後述する、接着層を形成するための塗剤を調製することが困難となる傾向にある。
ポリエーテルエステルアミドは、末端がアミノ基またはヒドロキシル基によって変性されていてもよい。ポリエーテルエステルアミドは、末端の極性基によって接着性が向上する。
ポリエーテルエステルアミドの製造方法としては、均一で高分子量の重合体が得られる方法であればどのような方法でも採用できる。例えば、ポリアミドオリゴマーをまず合成し、これにポリオキシアルキレングリコールとジカルボン酸を加え、減圧下で加熱して高重合度化させる方法が挙げられる。
ポリエーテルエステルアミドとしては、市販品を好適に使用することができる。このような市販品としては、T&K TOKA社製のPA-200、PA-201、TPAE-12、TPAE-31、TPAE-32、三洋化成工業社製のべレクトロン、日本ルブリゾール社製のスタットライト等が挙げられる。
(架橋剤)
本発明における接着層は、架橋剤を含有していてもよい。架橋剤としては、例えば、オキサゾリン化合物、イソシアネート化合物、ヒドラジド化合物、カルボジイミド化合物、メラミン化合物、尿素化合物、エポキシ化合物や、自己架橋性を有するものや多価の配位座を有するものが挙げられ、これらは単独でも複数を組み合わせて使用してもよい。中でも、基材フィルムとの密着性や、被着体との接着性の観点で、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、イソシアネート化合物が好ましく、特に、エポキシ化合物が好ましい。
エポキシ化合物としては、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、イソソルビドジグリシジルエーテル、イソマンニドジグリシジルエーテル、イソイディットジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、クレゾールノボラックポリグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
エポキシ化合物が1分子中に有するエポキシ基の数は、2~15個であることが好ましく、2~10個であることがより好ましく、2~6個であることがさらに好ましい。
また、エポキシ化合物のエポキシ当量は、特に限定されないが、100~1000が好ましく、120~700がより好ましい。
本発明では、入手が容易であるという点から、エポキシ化合物として、市販の架橋剤を用いてもよい。具体的には、ナガセケムテック社製のデナコールシリーズ(EX-211、EX-212、EX-313、EX-314、EX-411、EX-421、EX-512、EX-521、EX-611、EX-612、EX-614、EX-614B、EX-622、EX-810、EX-811、EX-850、EX-851、EX-821、EX-830、EX-832、EX-841、EX-861、EX-911、EX-941、EX-920)が挙げられる。
また、架橋剤として用いられるオキサゾリン化合物の市販品として、日本触媒社製のエポクロスシリーズ(WS-500、WS-700、K-1010E、K-1020E、K-1030E、K-2010E、K-2020E、K-2030E)が挙げられ、イソシアネート化合物の市販品として、Baxenden社製のブロックイソシアネート(7951、7960、7961、7982、7991、7992)が挙げられる。
接着層における架橋剤の含有量は、ポリエーテルエステルアミド100質量部に対し、0.5~50質量部であることが好ましく、1~30質量部であることがより好ましく、2~20質量部であることがさらに好ましい。接着層は、架橋剤の含有量が0.5質量部未満であると、十分な耐熱性が得難くなり、一方、架橋剤の50質量部を超えると、基材フィルムとの密着性や、金属被着体との接着性が低下することがあり、また、後述する接着層形成用塗剤は、ポリエーテルエステルアミド100質量部に対して架橋剤の50質量部を超えると、液の安定性が低下することがある。
(厚み)
積層体における接着層の厚みは、接着性、耐熱性、耐屈曲性の観点から、0.1~20μmであることが好ましく、0.5~15μmであることがより好ましく、1~10μmであることがさらに好ましい。接着層は、厚みが0.1μm未満であると、十分な接着性が得られないことがあり、一方、20μmを超えると、後述する接着層形成時の加工性や生産性が低下することがある。
<積層体の製造>
本発明の積層体は、基材フィルムの少なくとも片面に接着層が設けられたものであり、例えば、ポリエーテルエステルアミドを含有する接着層形成用塗剤を、基材フィルムに塗布、乾燥して接着層を形成することにより製造することができる。
(接着剤形成用塗剤)
接着層形成用塗剤は、ポリエーテルエステルアミドを有機溶剤に分散または溶解したものである。有機溶剤としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、n-アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec-アミルアルコール、tert-アミルアルコール、1-エチル-1-プロパノール、2-メチル-1-ブタノール、n-ヘキサノール、シクロヘキサノールなどのアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどのケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;酢酸エチル、酢酸-n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチル、酢酸-sec-ブチル、酢酸-3-メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジエチル、炭酸ジメチルなどのエステル類;エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどのグリコール誘導体;さらには、3-メトキシ-3-メチルブタノール、3-メトキシブタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコール、アセト酢酸エチル、トルエン、キシレン、シクロヘキサンが挙げられ、必要に応じて、これらの有機溶剤を混合して用いてもよい。
接着層形成用塗剤におけるポリエーテルエステルアミドの含有量(固形分濃度)は、使用目的や保存方法などにあわせて適宜選択でき、特に限定されないが、3~40質量%であることが好ましく、中でも10~35質量%であることが好ましい。接着層形成用塗剤中のポリエーテルエステルアミドの含有量が上記範囲より少ない場合は、乾燥工程によって塗膜を形成する際に時間を要することがあり、また厚い塗膜を得難くなる傾向にある。一方、接着層形成用塗剤中のポリエーテルエステルアミドの含有量が上記範囲より多い場合は、塗剤は保存安定性が低下しやすくなる傾向にある。
接着層形成用塗剤の粘度は、特に限定されないが、室温でも低粘度であることが好ましい。具体的には、B型粘度計(トキメック社製、DVL-BII型デジタル粘度計)を用いて20℃で測定した回転粘度は、20000mPa・s以下が好ましく、5000mPa・s以下がより好ましく、1000mPa・s以下がさらに好ましい。接着層形成用塗剤は、粘度が20000mPa・sを超えると、基材フィルムに塗剤を均一に塗布することが難しくなる傾向にある。
接着層形成用塗剤は、用途に応じて、帯電防止剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、消泡剤、増粘剤、ワックス、皮張り防止剤、艶消し剤、無機または有機粒子の易滑剤などの添加剤が配合されてもよい。
特に、無機または有機粒子を含有する接着層形成用塗剤は、基材フィルムの表面に塗布、乾燥して形成される接着層が、積層体を一旦巻き取る場合などに、易滑性や耐ブロッキング性が向上するので好ましい。
添加する無機粒子としては、シリカ、コリダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化ネオジム、酸化ランタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム等が挙げられ、有機粒子としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン、シリコーン、ナイロン、アクリル、ポリアクリロニトリル、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物、スチレンジビニルベンゼン、アクリルジビニルベンゼン等が挙げられる。
(接着層の形成)
基材フィルムに接着層を設ける方法として、二軸延伸された基材フィルムに対し、接着層形成用塗剤を塗布する方法(オフライン法)、二軸延伸前の基材フィルムに対し、接着層形成用塗剤を塗布した後、延伸および熱処理する方法(インライン法)が挙げられ、いずれの方法も採用できる。また、被着体となる基材に接着層を設けたものを基材フィルムと貼り合せることにより、基材フィルムに接着層を設ける方法や、離型フィルムなどに接着層を形成したものを基材フィルムと貼り合せたのち、離型フィルムを剥離することで、接着層を基材フィルムに転写させるなどの方法を採用することもできる。
上記インライン法のように、基材フィルムの製造工程中に接着層形成用塗剤を塗布する方法は、配向結晶化の程度が小さい状態の基材フィルム表面に、接着層形成用塗剤を塗布するため、基材フィルムと接着層との密着性が向上する。また、基材フィルムが緊張した状態で、接着層に、より高温の熱処理ができることで、基材フィルムの品位を低下させることなく、基材フィルムと接着層の密着性を向上させることができる。
インライン法の延伸において同時二軸延伸法を採用する場合には、接着層形成用塗剤を塗布、乾燥した未延伸フィルムは、基材フィルムを構成する樹脂のTg~Tgより50℃高い温度の範囲で、長手および巾方向にそれぞれ2~4倍程度の延伸倍率となるように二軸延伸する。同時二軸延伸機に導く前に、1~1.2倍程度の予備縦延伸を施しておいてもよい。
また、逐次二軸延伸法を採用する場合には、一軸方向に延伸された基材フィルムに、接着層形成用塗剤を塗布し、その後、基材フィルムを前記方向と直交する方向にさらに延伸することが、簡便さや操業上の理由から好ましい。
接着層形成用塗剤を基材フィルムに塗布する方法としては、公知の方法を採用することができ、例えば、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法などの方法を採用することができる。これらの方法により、基材フィルムの表面に、接着層形成用塗剤を均一に塗布することができる。
接着層形成用塗剤を基材フィルムに塗布した後、乾燥熱処理して溶媒を除去することにより、緻密な塗膜からなる接着層が基材フィルムに密着した積層体を得ることができる。
<積層体の使用>
本発明の積層体は、ポリエーテルエステルアミドを含有する接着層と、特定の基材フィルムとから構成されるため、基材フィルムと接着層との密着性に優れ、また、接着層は、低温かつ短時間の製造工程においても、被着体との接着性に優れる。したがって、本発明の積層体は、片面接着シートとして被着体との接着や、両面接着シートとして被着体どうしの接着に使用することができ、積層体と被着体とが接着されてなる物品を製造することができる。
本発明の積層体と被着体とを接着する方法としては、特に限定されないが、具体的には、積層体と被着体とを熱プレスによって貼り合わる方法、積層体の上に、被着体を構成する樹脂を溶融押出す方法や、被着体の成分を含有する塗剤を塗布する方法や、蒸着により被着体の膜を形成する方法などが挙げられる。
積層体と被着体とを熱プレスによって貼り合わせる場合、本発明における接着層は、ポリエーテルエステルアミドを含むため、熱硬化性樹脂を含む接着層に比較して、温度、圧力、時間などの熱プレス条件を、緩やかなものとすることができる。本発明においては、熱プレス温度は、120℃以上であることが好ましく、140~200℃であることがより好ましい。熱プレスの時間は、1~120分程度が好ましく、3~60分がより好ましく、5~30分であることがさらに好ましい。接着層が、熱硬化性樹脂のエポキシ樹脂を含む場合には、200℃×2時間の条件が必要であり、ダイマー酸ポリアミド樹脂を含有する場合には、180℃×15分の条件が必要であるが、接着層が、ポリエーテルエステルアミドを含有することで、140℃×10分に、熱プレスの低温化、短縮化が可能となる。ただし、熱プレス条件は、用いる金属板、接着層、樹脂層の種類、熱プレスを行う装置の種類、能力の組合せ、あるいは得られる物品に対して求める特性によって、種々、変更、選択することができ、この限りではない。
熱プレスによって貼り合わされる被着体を構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、金属、樹脂、またはセラミックなどが挙げられる。
金属としては、銅、スズ、アルミニウム、鉛、真鍮、亜鉛、銀、クロム、チタン、白金、ガリウム、インジウム、アンチモン、モリブデン、コバルト、パラジウム、タングステン、ゲルマニウム、アンチモンおよびこれらの混合物、化合物、合金などが挙げられる。
金属の形状は、特に限定されず、板状、棒状、ワイヤ状、チューブ状、フォイル状、ブロック状など、いずれの形状でもよい。金属板の厚みも、特に限定されない。
また、金属は、成形加工されたものでも被着体として使用することができ、成形加工の方法としては、特に限定されず、鋳造、塑性加工、板金成形、切削加工、冷間圧造、プレス加工、絞り加工、押出成形、ねじ切り加工など様々な方法が挙げられる。また、機械加工、施盤加工、ねじ切り加工、研削加工、ヤスリがけ加工などの表面処理が施されることにより、表面が、鏡面、粗面になっているものも使用することができる。また、表面に、メッキ、溶射、酸化、防錆、焼入れ、塗装、コーティングなどの処理が施されていてもよい。
熱プレスによって貼り合わる被着体を構成する樹脂や、溶融押出しして貼り合わせる樹脂としては、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリウレタン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリ塩化ビニル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、ポリテトラフロロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなど挙げられる。
また、被着体を構成するセラミックとしては、特に限定されないが、具体的には、チタン酸バリウム、窒化ホウ素、チタン酸ジルコン酸鉛、フェライト、アルミナ、フォルステライト、ジルコン、ムライト、ステアタイト、コーディエライト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、ジルコニア、サイアロン、イットリウム系超伝導体、ビスマス系超伝導体などが挙げられる。
本発明の積層体の接着層をプライマー層として使用し、積層体上に塗布や蒸着により形成する被着体の具体例としては、印刷層、粘着剤層、離型層、帯電防止層、導電層、バリア層、親水層、撥水層、撥油層、紫外線吸収層、赤外線吸収層、反射防止層などの各種機能層が挙げられる。
印刷層は、着色した顔料および/または染料とバインダ(ビヒクルともいう)を有する層であり、安定剤、光安定剤、硬化剤、架橋剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、充填材、その他等の添加剤が必要に応じて適宜添加されていてもよい。バインダとしては、ロジン、ロジンエステル、ロジン変性樹脂、シェラック、アルキッド樹脂、フェノール系樹脂、ポリ酢酸系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリルまたはメタクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミノアルキッド系樹脂、硝化綿、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ゴム、環化ゴム、あまに油、きり油、大豆油、炭化水素油などが挙げられる。
粘着剤層を構成する粘着剤としては、通常、粘着テープに用いられる粘着剤であればよく、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤などが挙げられる。特に、接着性や耐熱性に優れたアクリル系粘着剤やシリコーン系粘着剤が好ましい。上記の粘着剤に対して、タッキファイヤー、酸化防止剤、その他の添加剤を配合してもよい。
離型層を構成する離型剤としては、通常、離型フィルムに用いられる離型剤であればよく、例えば、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、長鎖アルキルポリマー、ワックス、オレフィン樹脂などが挙げられる。離型層は、剥離力調整剤やオイル等の添加剤を含んでいてもよい。
帯電防止層、導電層を構成する材料としては、通常、帯電防止フィルムや導電フィルムとして使用される材料であればよく、例えば、インジウムドープ酸化物、アンチモンドープ酸化スズ、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛などの導電性金属酸化物、ポリアニリン系、ポリピロール系、ポリチオフェン系などの導電性高分子、カーボンブラックやケッチェンブラックなどの導電性カーボン、銀、銅、アルミ等の金属、界面活性剤が挙げられる。また、上記以外にもバインダーとして樹脂成分などを含んでいてもよい。
バリア層を構成する材料としては、通常、バリアフィルムとして使用される材料であればよく、アルミニウム箔などの軟質金属箔や、アルミ蒸着、シリカ蒸着、アルミナ蒸着、シリカアルミナ二元蒸着などの蒸着層が挙げられる、また、塩化ビニリデン系樹脂、変性ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、MXDナイロンなどからなる有機バリア層を例示することできる。
親水層を構成する材料としては、通常、親水性フィルムとして使用される材料であればよく、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールおよびアクリルなどに親水性官能基を付与したポリマーなどの親水性ポリマーを使用したものや、界面活性剤、シリカなどの無機系材料などが挙げられる。
撥水層、撥油層を構成する材料としては、通常、撥水・撥油フィルムとして使用される材料であればよく、フッ素系樹脂、ワックス、シリコーンなどが挙げられる。
紫外線吸収層を構成する材料としては、通常、紫外線吸収剤として使用される材料であればよく、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、シアノアクリレート系、オキザリニド系、サリシレート系、ホルムアミジン系などの有機系紫外線吸収剤などが挙げられる。また、これ以外にも、酸化チタンや酸化亜鉛などの紫外線反射剤や、ヒンダードアミン系などのラジカル捕捉剤などが添加されていてもよい。
赤外線吸収層を構成する材料としては、通常、赤外線吸収剤として使用される材料であればよく、六ホウ化ランタン、セシウム酸化タングステン、シアニン色素、フタロシアニン色素、ナフタロシアニン化合物、ニッケルジチオレン錯体、スクアリウム色素、キノン系化合物、ジインモニウム化合物、アゾ化合物などが挙げられる。
反射防止層を構成する材料としては、通常、反射防止フィルムとして使用される材料であればよく、シリカなどの無機粒子や、スチレン、アクリル等の有機粒子が挙げられる。またこれら以外にもバインダ等の成分を含んでいてもよい。
本発明の積層体は、各種被着体との接着性に優れることから、様々な用途に展開することが出来る。
例えば、本発明の積層体に金属が接着された物品は、フレキシブルブリント基板、センサー部品などに適用可能である。また、ハードコート層が接着された物品は、基材フィルムと接着層との密着性に優れるともに、接着層とハードコート層との密着性は、湿熱環境下においても優れ、透明性、耐屈曲性に優れ、また、傷つきを防止するハードコート層を有しているため、次世代ディスプレイパネルの有機ELを使用したフレキシブルディスプレイ用途などに使用することができる。
その他にも、本発明の積層体に各種被着体や機能層を接着することで、医薬品包装材料、レトルト食品などの食品包装材料、半導体パッケージ用などの電子部品包装材料、モーター、トランス、ケーブルなどのための電気絶縁材料、コンデンサ用途などの誘導体材料、カセットテープ、デジタルデータストレージ向けデータ保存用磁気テープ、ビデオテープなどの磁気テープ用材料、太陽電池基板、液晶板、導電性フィルム、有機LED、センサーに実装するフィルム、表示機器などの保護板、LED実装基板、フレキシブルプリント配線板、フレキシブルフラットケーブルなどの電子基板材料、フレキシブルプリント配線用カバーレイフィルム、耐熱マスキング用テープ、工業用テープなどの耐熱粘着テープ、耐熱バーコードラベル、耐熱リフレクター、各種離型フィルム、耐熱粘着ベースフィルム、写真フィルム、成形用材料、農業用材料、医療用材料、土木、建築用材料、ろ過膜など、家庭用、産業資材用のフィルムなどとして好適に使用することが可能である。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明する。なお、実施例中の各種の値の測定および評価は、以下のように行った。
1.評価方法
1-1 接着性
下記(a)~(d)の方法で、積層体と被着体が接着された物品を作製し、物品から、幅15mm、長さ10cmの測定サンプルを切り出し、引張試験機(インテスコ社製精密万能材料試験機2020型)を用い、T型剥離により剥離強度を測定した。測定は20℃、65%RHの雰囲気中、引張速度200mm/分で行った。測定は、サンプル数5で行い、平均値を剥離強度として、接着性を評価した。実用上の強度として、5N/15mm以上であることが好ましい。
(a)被着体としてガラスを接着した物品
実施例で作製した積層体の接着層表面に、ガラス(日本電気硝子社製、0A-10G、厚み30μm)を重ね合わせ、ヒートプレス機(シール圧0.2MPa、140℃または180℃、10分)でプレスし、積層体にガラスを接着した物品を得た。
(b)被着体として透明ポリイミドフィルムを接着した物品
実施例で作製した積層体の接着層表面に、透明ポリイミドフィルム(三菱ガス社製、ネオプリムL-3450、厚み30μm、以下、CPIと記す)を重ね合わせ、ヒートプレス機(シール圧0.2MPa、180℃、10分)でプレスし、積層体に透明ポリイミドフィルムを接着した物品を得た。
(c)被着体としてステンレス箔を接着した物品
実施例で作製した積層体の接着層表面に、ステンレス箔(日新製鋼社製、SUS-304-H-TA、厚み20μm、以下、SUSと記す)を重ね合わせ、ヒートプレス機(シール圧0.2MPa、180℃、10分)でプレスし、積層体にステンレス箔を接着した物品を得た。
(d)被着体として銅箔を接着した物品
実施例で作製した積層体の接着層表面に、電解銅箔(古河電工社製、表面CTS処理、厚み18μm、以下、Cuと記す)を重ね合わせ、ヒートプレス機(シール圧0.2MPa、180℃、10分)でプレスし、積層体に銅箔を接着した物品を得た。
1-2 はんだ耐熱性
上記1-1(d)で作製した銅箔を接着した物品を40mm角に切り出し、試験片として用いた。260℃に加熱溶融させたハンダ浴(ハンダ:白光社製FS400-01、すず/鉛=60/40)に、銅箔が接触するように試験片を30秒間浮かせて取り出した。これを合計3回繰り返し、試験後に目視にて、膨れの発生などの異常がないかを確認した。
◎:異常なし
○:一部膨れあり
△:全体的に膨れが発生
×:膨れが発生し、被着体がデラミ
1-3 耐屈曲性
上記1-1(c)で作製したステンレス箔を接着した物品を、30×100mmの長方形に切り出し、試験片として用いた。耐久試験機(ユアサシステム機器社製DLDMLH-FS)に、曲げ内径が5mmとなるように試験片の短辺側をそれぞれ固定し、試験片のステンレス箔面が内側となるように、180度折り畳む屈曲試験を10万回行い、屈曲部に、割れ、折れ痕、白化、破断、剥がれ等が生じていないか目視で確認し、耐屈曲性を下記基準で評価した。
◎:屈曲部に割れ、破断、剥がれはなく、かつ、折れ痕、白化が生じなかった。
○:屈曲部に割れ、破断、剥がれはなく、折れ痕は残るが、白化は生じなかった。
△:屈曲部に割れ、破断、剥がれはなく、折れ痕は残り、白化も生じた。
×:屈曲部に割れまたは破断または剥がれが生じた。
2.材料
2-1 基材フィルム
基材フィルムを構成する樹脂、および基材フィルムとして、下記のものを使用した。
・半芳香族ポリアミド樹脂T-1
1343gの1,9-ノナンジアミン(NMDA)、237gの2-メチル-1,8-オクタンジアミン(MODA)、1627gのテレフタル酸(TPA)(平均粒径:80μm)(NMDA:MODA:TPA=85:15:99、モル比)、48.2gの安息香酸(BA)(ジカルボン成分とジアミン成分の総モル数に対して4.0モル%)、3.2gの亜リン酸(PA)(ジカルボン成分とジアミン成分の合計量に対して0.1質量%)、1100gの水を反応装置に入れ、窒素置換した。さらに、80℃で0.5時間、毎分28回転で攪拌した後、230℃に昇温した。その後、230℃で3時間加熱した。その後冷却し、反応物を取り出した。該反応物を粉砕した後、乾燥機中において、窒素気流下、220℃で5時間加熱し、固相重合してポリマーを得た。そして、シリンダー温度320℃の条件下で溶融混練してストランド状に押し出した。その後、冷却、切断して、ペレット状の半芳香族ポリアミド樹脂T-1を調製した。
〔半芳香族ポリアミド樹脂フィルムF-1A〕
100質量部の半芳香族ポリアミド樹脂T-1、および0.2質量部の3,9-ビス[2-{3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(GA)(住友化学社製、「スミライザーGA-80」、熱分解温度392℃)をシリンダー温度320℃に加熱した、スクリュー経が50mmである単軸押出機に投入して溶融して、溶融ポリマーを得た。該溶融ポリマーを金属繊維焼結フィルター(日本精線社製、「NF-10」、絶対粒径:30μm)を用いて濾過した。その後、320℃にしたTダイよりフィルム状に押出し、フィルム状の溶融物とした。50℃に設定した冷却ロール上に、該溶融物を静電印加法により密着させて冷却し、実質的に無配向の未延伸フィルム(厚さ:500μm)を得た。
次に、この未延伸フィルムの両端をクリップで把持しながら、テンター方式同時二軸延伸機(入口幅:193mm、出口幅:605mm)に導いて、同時二軸延伸をおこなった。延伸条件は、予熱部の温度が120℃、延伸部の温度が130℃、MDの延伸歪み速度が2400%/分、TDの延伸歪み速度が2760%/分、MDの延伸倍率が3.0倍、TDの延伸倍率が3.3倍であった。
そして、同テンター内で、270℃で熱固定を行い、フィルムの幅方向に5%の弛緩処理を施し、厚さ50μmの二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸半芳香族ポリアミド樹脂フィルムを基材フィルムF-1Aとして使用した。
〔半芳香族ポリアミド樹脂フィルムF-1B〕
未延伸フィルムとして、厚みが250μmのものを使用した以外は、F-1Aの製造方法と同様の操作を行って、厚さ25μmの二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸半芳香族ポリアミド樹脂フィルムを基材フィルムF-1Bとして使用した。
〔易接着層付き半芳香族ポリアミド樹脂フィルムF-1C〕
F-1Aの製造方法と同様にして、厚み500μmの未延伸フィルム得た。未延伸フィルムを、130℃で縦方向に3.0倍延伸させた後、易接着層形成用液状物(アクリル樹脂水性分散体、アイカ工業社製、ウルトラゾール B-800、固形分濃度55質量%)を、グラビアコート機を用いて、乾燥、延伸後の易接着層の厚みが、0.2μmになるように、縦延伸フィルムに塗布し、次に130℃で2秒間予熱した後、テンター方式延伸機に導いて、縦延伸フィルムの両端をクリップで把持しながら、横延伸をおこなって、延伸フィルムを得た。延伸は、予熱部の温度が120℃、延伸部の温度が130℃、横延伸歪み速度が2760%/分、横延伸倍率が3.3倍の条件で行った。
そして、同テンター内で、270℃で熱固定を行い、フィルムの幅方向に5%の弛緩処理を施し、厚さ50μmの二軸延伸された易接着層付きフィルムを得た。得られた二軸延伸半芳香族ポリアミド樹脂フィルムを基材フィルムF-1Cとして使用した。
〔半芳香族ポリアミド樹脂フィルムF-2〕
半芳香族ポリアミド樹脂T-1を芳香族ナイロン樹脂(ユニチカ社製ゼコットXN500)に変更し、半芳香族ポリアミド樹脂フィルムF-1Aと同様の操作でフィルムを得た。得られた芳香族ナイロンフィルムを基材フィルムF-2として使用した。
〔半芳香族ポリアミド樹脂フィルムF-3〕
半芳香族ポリアミド樹脂T-1を半芳香族ポリアミド樹脂(三井化学社製アーレンE)に変更し、半芳香族ポリアミド樹脂フィルムF-1Aと同様の操作でフィルムを得た。得られた芳香族ナイロンフィルムを基材フィルムF-3として使用した。
〔ポリイミド樹脂フィルムF-4〕
基材フィルムF-4として、ポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製カプトン100H、厚み25μm)を使用した。
〔ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムF-5〕
基材フィルムF-5として、ポリエチレンテレフタレートフィルム(ユニチカ社製エンブレットS-50、厚み50μm)を使用した。
〔ポリエチレンナフタレート樹脂フィルムF-6〕
基材フィルムF-6として、ポリエチレンナフタレートフィルム(帝人フィルムソリューション社製テオネックス、厚み50μm)を使用した。
〔ナイロン6樹脂フィルムF-7〕
基材フィルムF-7として、ナイロン6フィルム(ユニチカ社製エンブレムON-25、厚み25μm)を使用した。
2-2 接着層
接着層を形成するための接着剤形成用塗剤は、下記の方法で調製した。
〔ポリエーテルエステルアミド溶液P-1〕
ポリエーテルエステルアミドとして、T&K TOKA社製「TPAE-12」を用いて、固形分濃度が15質量%となるように、トルエン/メタノール=1/1の混合溶媒に溶解し、ポリエーテルエステルアミド溶液P-1を得た。
〔ポリエーテルエステルアミド溶液P-2〕
ポリエーテルエステルアミドとして、T&K TOKA社製「TPAE-31」を用いて、P-1と同様の方法でポリエーテルエステルアミド溶液P-2を得た。
〔ポリエーテルエステルアミド溶液P-3〕
ポリエーテルエステルアミドとして、T&K TOKA社製「TPAE-32」を用いて、P-1と同様の方法でポリエーテルエステルアミド溶液P-3を得た。
〔ポリエーテルエステルアミド溶液P-4〕
ポリエーテルエステルアミドとして、T&K TOKA社製「PA-201」を用いて、P-1と同様の方法でポリエーテルエステルアミド溶液P-4を得た。
〔ポリエーテルエステルアミド溶液P-5〕
ポリエーテルエステルアミドとして、T&K TOKA社製「PA-200」を用いて、P-1と同様の方法でポリエーテルエステルアミド溶液P-5を得た。
〔ダイマー酸系ポリアミド樹脂水性分散体P-6〕
ダイマー酸系ポリアミド樹脂として、ジカルボン酸成分がダイマー酸を100モル%含有し、ジアミン成分がエチレンジアミンを100モル%含有し、酸価が10.0mgKOH/g、アミン価が0.1mgKOH/g、軟化点が158℃であるポリアミド樹脂を使用した。
撹拌機およびヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器に、75.0gのダイマー酸系ポリアミド樹脂、37.5gのイソプロパノール(IPA)、37.5gのテトラヒドロフラン(THF)、7.2gのN,N-ジメチルエタノールアミンおよび217.8gの蒸留水を仕込んだ。回転速度を300rpmで撹拌しながら、系内を加熱し、120℃で60分間加熱攪拌を行った。その後、撹拌しながら室温付近(約30℃)まで冷却し、100gの蒸留水を追加した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)でごくわずかに加圧しながらろ過した。得られた水性分散体を1Lナスフラスコに入れ、80℃に加熱した湯浴につけながらエバポレーターを用いて減圧し、IPA、THF、水の混合媒体約100gを留去し、乳白色の均一なダイマー酸系ポリアミド樹脂水性分散体P-6を得た。P-6の固形分濃度は20質量%、分散体中の樹脂の数平均粒子径は0.040μm、pHは10.4、粘度は36mPa・sであった。
〔ウレタン樹脂水性分散体P-7〕
テレフタル酸/イソフタル酸/ナフタレンジカルボン酸/セバシン酸/ビスフェノールAエチレンオキサイド/エチレングリコール/ネオペンチルグリコール/トリレンジイソシアネート(5/10/10/10/30/5/15/15(mol%))から形成されるポリエステル系ウレタン樹脂の水性分散体(固形分濃度20質量%)を使用した。
〔ポリオレフィン樹脂水性分散体P-8〕
ポリオレフィン樹脂として、アルケマ社製「ボンダインLX4110」を用いた。
攪拌機およびヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器に、60.0gのポリオレフィン樹脂、28.0gのIPA、1.5gのトリエチルアミンおよび210.5gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140℃に保ってさらに20分間撹拌した。その後、水浴につけて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一なポリオレフィン樹脂水性分散体P-8を得た。P-8の固形分濃度は20質量%、粘度は70mPa・sであった。
実施例1
ポリエーテルエステルアミド溶液P-1と、エポキシ化合物(ナガセケムテック社製、デナコールEX-512、固形分濃度100質量%)とを、それぞれの固形分が100質量部/20質量部の割合になるように配合し、室温で5分間撹拌混合して接着剤形成用塗剤を得た。
得られた塗剤を半芳香族ポリアミド樹脂フィルムF-1Aに乾燥後の厚みが10μmになるように塗布し、150℃、30秒の条件で乾燥し、積層体を得た。
上記1-1(a)~(d)の方法で、各被着体と接着した物品を得た。
実施例2~6、比較例7~9
基材フィルムをF-1B、F-1C、F-2~F-7に変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層体と物品を得た。
実施例7~10
エポキシ化合物の添加量を表1記載のものになるように変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層体と物品を得た。
実施例11~13
接着層の厚みを表1記載のものになるように変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層体と物品を得た。
実施例14
半芳香族ポリアミド樹脂T-1を、シリンダー温度を295℃(前段)、320℃(中段)および320℃(後段)に設定した65mm単軸押出機に投入して溶融し、320℃に設定したTダイよりフィルム状に押し出し、循環オイル温度を50℃に設定した冷却ロール上に、静電印加法により押し付けて密着させて冷却し、厚さ500μmの実質的に無配向の未延伸フィルムAを得た。なお、冷却ロールは、表面にセラミック(Al)を0.15mm厚に被覆したものを用いた。また、ロール表面とフィルムとが接触する点よりも上流側にカーボンブラシを2つ並べて冷却ロールに接触させ、カーボンブラシのホルダーを接地することにより、セラミック被覆層の表面を除電した。電極には、直径0.2mmのタングステン線を用い、300W(15kV×20mA)の直流高圧発生装置で6.5kVの電圧を印加した。
次に、実施例1記載の方法で調製した接着層形成用塗剤を、グラビアロールで乾燥後の厚みが5.0g/mとなるように、未延伸フィルムAの片面に塗布した後、未延伸フィルムAの両端をクリップで把持しながら、テンター方式同時二軸延伸機(日立製作所社製)に導いて、予熱部温度125℃、延伸部温度130℃、縦延伸歪み速度2400%/min、横延伸歪み速度2760%/min、縦方向延伸倍率3.0倍、横方向延伸倍率3.3倍で同時二軸延伸した。そして、同テンター内で285℃の熱固定を行い、フィルムの幅方向に5%の弛緩処理を施した後、均一に徐冷し、フィルム両端をクリップから解放し、耳部をトリミングして、幅0.5mで長さ500mを巻取り、厚さ50μmの二軸延伸された半芳香族ポリアミドフィルムF-1D上に、厚さ0.5μmの接着層が設けられた積層体を得た。
上記1-1(a)~(d)の方法で、各被着体と接着した物品を得た。
実施例15
実施例14と同様にして、未延伸フィルムAを得た。この未延伸フィルムAをロール式縦延伸機で105℃の条件下、3.0倍に延伸して縦延伸フィルムBを得た。
次いで、実施例1記載の方法で調製した接着層形成用塗剤を、縦延伸フィルムBの表面にグラビアロールで乾燥後の厚みが1.7g/mとなるように塗布したのち、その後連続的にフィルムの端部をフラット式延伸機のクリップに把持させ、140℃の条件下、横3.3倍に延伸を施し、その後、横方向の弛緩率を5%として、285℃で熱固定を行い、厚さ50μmの二軸延伸された半芳香族ポリアミドフィルムF-1E上に、厚さ0.5μmの接着層が設けられた積層体を得た。
上記1-1(a)~(d)の方法で、各被着体と接着した物品を得た。
実施例16~22、比較例2~4
接着層形成用塗剤の主剤の種類と架橋剤の種類、配合比を表2記載のものになるように変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層体と物品を得た。
比較例1
積層体として易接着層付き半芳香族ポリアミド樹脂フィルムF-1Cを使用した。
上記1-1(a)~(d)の方法で、各被着体と接着した物品を得た。
比較例5
エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製jER1001)100質量部と、硬化剤としてのジアミノジフェニルスルホン(東京化成工業社製)20部を、メチルエチルケトン(東京化成工業社製)に溶解させて、固形分濃度40質量%の接着剤形成用塗剤を得た。
得られた塗剤を、半芳香族ポリアミド樹脂フィルムF-1Aに、乾燥後の厚みが10μmになるように塗布し、150℃、30秒の条件で乾燥し、積層体を得た。
上記1-1(a)~(d)の方法で、各被着体と接着した物品を得た。
比較例6
光学用粘着層(リンテック社製、MO-3014、厚み50μm、構成:剥離フィルム/粘着層/剥離フィルム)の一方の剥離フィルムを剥がし、光学用粘着層の粘着層と半芳香族ポリアミド樹脂フィルムF-1Aとを貼り合わせて、積層体を得た。
光学用粘着層のもう片方の剥離フィルムを剥がし、粘着層と各被着体を貼り合わせて物品を得た。
実施例、比較例の積層体における接着層の構成、基材フィルムの種類、得られた積層体の各被着体との接着性、はんだ耐熱性、耐屈曲性を表1~2に示す。
Figure 2022117777000001
Figure 2022117777000002
表1~2に示すように、実施例の積層体は、半芳香族ポリアミドやポリイミド系樹脂からなる基材フィルムの少なくとも片面に、本発明で規定するポリエーテルエステルアミドを含む接着層が設けられたものであり、積層体と被着体を接着した物品は、良好な接着性、はんだ耐熱性、耐屈曲性を示した。中でも、接着層に架橋剤としてエポキシ化合物を用いた場合に、最も接着性、耐熱性が良好であった。
一方、接着層にポリエーテルエステルアミドを含まない積層体(比較例1~6)は、一部の被着体とは接着性が良好であったが、接着性が劣る被着体もあり、また、耐熱性、耐屈曲性が劣っていた。
基材フィルムを構成する樹脂が、半芳香族ポリアミドやポリイミド系樹脂以外の樹脂である積層体(比較例7~9)は、各被着体とは接着性が良好であったが、耐熱性、耐屈曲性が劣っていた。

Claims (8)

  1. 基材フィルムの少なくとも片面に接着層が設けられた積層体であり、
    基材フィルムを構成する樹脂が、半芳香族ポリアミドおよび/またはポリイミド系樹脂を含み、
    接着層がポリエーテルエステルアミドを含むことを特徴とする積層体。
  2. 接着層が架橋剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の積層体。
  3. 接着層の厚みが0.1~20μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の積層体。
  4. 架橋剤の含有量が、ポリエーテルエステルアミド100質量部に対し、0.5~50質量部であることを特徴とする請求項2または3に記載の積層体。
  5. 架橋剤が、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、またはオキサゾリン化合物のいずれかを1つ以上含むことを特徴とする請求項2~4のいずれかに記載の積層体。
  6. 架橋剤がエポキシ化合物であることを特徴とする請求項2~4のいずれかに記載の積層体。
  7. 基材フィルムと接着層の間に易接着層が設けられたことを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の積層体。
  8. 請求項1~7のいずれかに記載の積層体の接着層に被着体が接着されてなる物品。

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