JP7240546B1 - ココアペースト、食品用生地及び食品 - Google Patents

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Abstract

【課題】本技術は食品に含有させたときにチョコレートらしい濃い色調の実現とパサつきなどの食感の悪化の軽減とを両立するココアペーストを提供することを目的とする。【解決手段】本技術は、ココアペースト中に特定の液体油脂を含ませ、ココアペースト中の固体油脂の割合を調整することが、チョコレートらしい濃い色調の食品の実現とパサつきなどの食感の悪化の軽減との両立に有用であることを見出した。本技術に従うココアペーストは、例えば食品用生地に使用されてもよく、穀粉含有食品に使用されてもよい。本技術のココアペーストを用いて、食品用生地や穀粉含有食品を製造することでチョコレートらしい濃い色調の実現とパサつきなどの食感の悪化の軽減とを両立し得る。【選択図】なし

Description

本技術は、ココアペースト、ココアペーストを含有する食品用生地及び食品に関する。
食品市場において、チョコやココア風味の食品が広く流通している。チョコやココア風味の食品においてチョコレートらしい色を再現することは商品価値の上で重要である。しかし、食品の生地にカカオマスや主にカカオマスから作られるチョコレートが練りこまれると、練りこんだ元のカカオマスやチョコレートと比べて、チョコレートらしい色が大幅に薄くなる。このため、チョコやココア風味の食品においてチョコレートらしい色合を再現するというのは実は難しい課題である。この課題を解決するためにココアパウダーやココアパウダーを含むココアペーストが使用されている。
ココアパウダーは製造過程でアルカリ処理を行うことで色調が強く暗色が濃くなっていく。このため、カカオマスや主にカカオマスから作られるチョコレートよりも食品の生地に練りこんだ際にチョコレートらしい色が出やすい。また、アルカリ処理の度合いによって黒っぽい色調から茶色い色調まで調整できる。このため、ココアパウダーの選定や色調の異なるココアパウダーを組み合わせることで、食品の色調を調整できる。
ココアパウダーは食品生地の色調を出すのに好ましい反面、添加によって焼成後の生地にパサつきなどの食感の悪化が起こることも言われている。
ココアパウダーを用いた食品用生地練り込み用の油脂組成物の技術に関して、例えば、下記特許文献1には、「ココアパウダー40質量%以上と油脂とを含む油脂組成物」が開示されているが、少なくとも食品の食感の改善を目的とするものではない。
特開2013-143926号公報
そこで、本技術は食品に含有させたときにチョコレートらしい濃い色調の実現とパサつきなどの食感の悪化の軽減とを両立するココアペーストを提供することを主目的とする。
本発明者らは鋭意研究した結果、ココアペースト中に特定の液体油脂を含ませ、ココアペースト中の固体油脂の割合を調整することが、ココアペーストを食品に含有させたときのチョコレートらしい濃い色調の再現とパサつきなどの食感の悪化の軽減との両立に有用であることを見出した。
すなわち、本技術は以下を提供する。
[1]ココアパウダーを40~80質量%と、
ヨウ素価80以上を満たす液体油脂を20~60質量%を含み、
融点30℃以上である25℃で固体の固体油脂の割合が15質量%以下であるココアペースト。
[2]前記ココアパウダー中に含まれる前記固体油脂の割合が20質量%以下である、[1]に記載のココアペースト。
[3]前記ココアペースト中の総油分量は30質量%以上65質量%以下である、[1]又は[2]に記載のココアペースト。
[4]前記総油分量に対する前記ヨウ素価80以上を満たす液体油脂の割合が35~100質量%である、[3]に記載のココアペースト。
[5]前記ココアペーストのpHが6.2~7.9である、[1]から[4]のいずれか1つに記載のココアペースト。
[6]前記ココアペースト中に含まれる脂肪酸中の炭素数12以下の脂肪酸の割合が3質量%以下である、[1]から[5]のいずれか1つに記載のココアペースト。
[7]前記炭素数12以下の脂肪酸がラウリン酸である、[6]に記載のココアペースト。
[8][1]から[7]のいずれか1つに記載のココアペーストと穀粉とを少なくとも含有する食品用生地。
[9][8]に記載の食品用生地を加熱処理した食品。
[10][1]から[7]のいずれか1つに記載のココアペーストを含む穀粉含有食品。
本技術に従うココアペーストは、チョコレートらしい濃い色調の穀粉含有食品の実現とパサつきなどの食感の悪化の軽減との両立に有用である。
本技術に従うココアペーストは、例えば穀粉を含有する食品用生地の原料として使用されてもよい。当該食品用生地を用いて穀粉含有食品を製造する場合、チョコレートらしい濃い色調の実現とパサつきなどの食感の悪化の軽減とを両立した穀粉含有食品を提供できる。
本技術に従うココアペーストは、例えば穀粉含有食品の原料として使用されてもよい。当該穀粉含有食品はチョコレートらしい濃い色調の実現とパサつきなどの食感の悪化の軽減とを両立し得る。
なお、本技術の効果は、ここに記載された効果に限定されず、本明細書内に記載されたいずれかの効果であってもよい。
以下に本技術の好ましい実施形態について説明する。ただし、本技術は以下の好ましい実施形態のみに限定されず、本技術の範囲内で自由に変更することができる。
本技術のココアペーストは、ココアパウダーを40~80質量%含有するとともに、ヨウ素価80以上を満たす液体油脂を20~60質量%含む。本技術のココアペーストとは、油脂を連続相としてココアパウダー等の固形分が分散している状態をいう。また、当該ココアペースト中の融点30℃以上である25℃で固体の固体油脂の割合は15質量%以下である。ここで、当該固体油脂はココアパウダー中に含まれる固体油脂と前記ココアパウダーとは独立してココアペースト中に存在する固体油脂の両方を含む。また、ココアペースト中の水分は4%以下であることが好ましく、3%以下であることがさらに好ましい。
本技術はココアペーストとすることで、穀粉含有食品の製造時にココアパウダー等の粉が舞うことで同一空間で製造している他製品に混入してしまうリスクを低減できる。
ここで、本明細書において「液体」とは一定の体積を有するが、一定の形状を持たず流動的に変形しうる状態をいい、「液体油脂」とは、当該状態の油脂をいう。また、本明細書において「固体」とは一定の形状と体積を持ち、外から力を加えても容易に該形状と体積が変形しない状態をいい、「固体油脂」とは、当該状態の油脂をいう。さらに、本明細書において「融点」はJAS1424で定める方法に基づき測定した融点をいう。
本技術のココアペーストは、ココアパウダーを40質量%以上含有するため、本技術のココアペーストを穀粉含有食品に含有させた場合にチョコレートらしい濃い色調を実現し得る。また、ヨウ素価80以上を満たす液体油脂を20~60質量%含むとともに、該ココアペースト中の融点30℃以上である25℃で固体の固体油脂の割合は15質量%以下とすることで、ココアペースト中の液体油脂と固体油脂のバランスを調整し、穀粉含有食品に本技術のココアペーストを含有させたときの該穀粉含有食品のパサつきや食べたときに感じる硬さなどの食感の悪化を低減できる。
本技術のココアペースト中の総油分量は30質量%以上、好ましくは35質量%以上とすることで食品用生地への混合しやすくなる。また、ココアペースト中の総油分量の上限は65質量%以下、好ましくは60質量%以下とすることでココアパウダーに含まれる無脂カカオ分を十分に含有させることができる。ここで、総油分量における「総油分」とはココアペースト中に含まれる油脂を合計したものであり、油脂として配合される油脂分の他、ココアパウダーなどに含有される油脂分も含む。
前述のココアペースト中の総油分量を100質量%とした場合、当該総油分量に対しヨウ素価80以上を満たす液体油脂を35~100質量%、より好ましく38~100質量%、さらに好ましく40~100質量%含み、かつ融点30℃以上である25℃で固体の固体油脂が33質量%以下、より好ましく30質量%以下である。
以下で、本技術についてより詳細に説明する。
(1)穀粉含有食品
本技術のココアペーストは、穀粉含有食品を製造するために用いられる。本技術のココアペーストが用いられる穀粉含有食品は特に限定されないが、例えば、パン(食パン、テーブルロール、菓子パン、調理パン、フランスパン、ライブレッドなど)、イースト菓子(シュトーレン、パネトーネ、クグロフ、ブリオッシュ、ドーナツなど)、ペストリー(デニッシュ、クロワッサン、パイなど)、ケーキ(バターケーキ、スポンジ、ビスケット、クッキー、ドーナツ、ブッセ、ホットケーキ、ワッフルなど)等のベーカリー製品、和菓子(饅頭、乳菓、蒸しパン、かすてら饅頭、どら焼き、など)、麺類(うどん、そば、中華めん、パスタなど)、点心生地(餃子、焼売、饅頭、ワンタン、春巻きなど)等が挙げられる。本技術のココアペーストをこれらの食品の原料として用いることで、チョコレートらしい濃い色調を実現させた場合においても、該穀粉含有食品のパサつきや食べたときに感じる硬さなどの食感の悪化を低減することが期待できる。本技術のココアペーストは、上記食品の中でも特に、パンやペストリー等の製造で好適に用いることが期待できる。
本技術のココアペーストが用いられる穀粉含有食品が含有する穀粉は、特に限定されないが、例えば、小麦粉、米粉、トウモロコシ粉、ライ麦、そば、大豆粉等の穀粉類を1種又は2種以上を組み合わせて混合したものが挙げられる。
本技術のココアペーストが用いられる穀粉含有食品の製造方法としては、特に限定される訳ではないが、本技術のココアペーストと穀粉とを少なくとも含有する食品用生地を加熱調理することで好適に製造することができる。
本技術のココアペーストと穀粉とを含有する食品用生地の製造方法は、例えば、前述の穀粉類を含有する食品用生地に対し、本技術のココアペーストを練り込んで混合させてもよいし、本技術のココアペーストと前記穀粉類とを混合した後に食品用生地を製造してもよい。
本技術のココアペーストと穀粉とを含有する食品用生地は、そのまま穀粉含有食品の製造に用いてもよいが、冷蔵又は冷凍した後に穀粉含有食品の製造に用いることもできる。本技術のココアペーストと穀粉とを少なくとも含有する食品用生地を冷蔵又は冷凍した場合には、在庫としての保管が容易になると共に、該生地や該生地を用いて製造した食品を商品として市場に流通させることもできる。
本技術のココアペーストの食品用生地への配合量としては、穀粉100質量部に対し、例えば3~30質量部が好ましく、5~25質量部がさらに好ましく、5~20質量部が特に好ましい。
(2)ココアパウダー
本技術のココアペーストが含有するココアパウダーは、例えば、カカオ豆を焙煎・磨砕したカカオマスから、搾油によりココアバターの含有量を低減した後、微粉化したものを用いることができる。前記ココアパウダーは、後述する固体油脂であるココアバターとココアバター以外の成分である無脂カカオ分からなる。
ココアパウダー中のココアバターの含有量は、搾油条件によって調整できる。ココアバター含有量の多いものでは23質量%程度、少ないもので11質量%程度である。また、ココアバター含有量の異なるココアパウダーを組み合わせることでも、ココアパウダー中のココアバター含有量を調整することができる。ココアパウダー中に含まれるココアバターの含有量が20質量%以下、さらにこのましく17質量%以下であると、本技術のココアペースト中の融点30℃以上である25℃で固体の固体油脂の割合を15質量%以下に調整することが容易となる。
ココアパウダー中のココアバターの含有量の下限値は、ココアペースト中の融点30℃以上である25℃で固体の固体油脂の割合を15質量%以下に調整でき得る含有量であれば、特に限定されないが、例えば10質量%程度であっても好適に用いることができる。
本技術のココアペーストに用いるココアパウダーは、アルカリ処理を行ったものを用いてもよい。ココアパウダーにアルカリ処理を行うことでアルカリ処理によりココアパウダーの色調が強く暗色が濃くなるため、食品に含有させた場合に、カカオマスや主にカカオマスから作られるチョコレートを含有させる場合よりも、該食品がチョコレートらしい色合いになることが期待できる。また、アルカリ処理の度合いによって黒っぽい色調から茶色い色調まで調整できるため、アルカリ処理の度合いを調整したココアパウダーを選定したり、それらを組み合わせることで対象とする食品の色調を調整できる。
アルカリ処理の方法としては、通常用いられる方法を好適に使用できる。例えば、カカオ豆の加工過程でカカオニブをアルカリ水溶液と混合して行う。 使用するアルカリ剤としては例えば、水酸化カリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、水酸化アンモニウム等を別々にまたは混合して使用することができる。使用するアルカリ剤とその濃度は、目的のココアパウダーの特性と目的とする色調に合わせて適宜、調整できる。
本技術のココアペーストのpHは、実質的に用いるココアパウダー及びカカオマスに依存し、ココアパウダーのpHは前述のアルカリ処理によって調整される。例えば、pH6.2以上、好ましくは6.5以上、さらに好ましくは6.7以上と、アルカリ処理を強く調整することで、ココアペーストを含有させた食品の色調が濃くなり、チョコレートらしい色に調整しやすくなる。但し、ココアパウダーのpHが高すぎる場合には食感が硬くなるおそれがある。このため、例えば、pH7.9以下、好ましくはpH7.7以下、さらに好ましく、pH7.5以下とすることで、ココアパウダーを含有させた食品の食感が硬くなり過ぎることを抑制できる。
本技術のココアペーストのpHについては、例えば、アルカリ処理の度合い、使用するココアパウダーの選定、複数のココアパウダーのブレンドにより上記範囲に調整することができる。
本技術におけるココアペーストのpHはココアペースト、ココアパウダー又はカカオマスを水で希釈して、pHメーターなど一般的なpHを測定する方法で測定することができる。
(3)液体油脂
本技術のココアペーストは、ヨウ素価80以上を満たす液体油脂を20~60質量%含有することが好ましく、20~55質量%含有することがさらに好ましく、20~50質量%含有することが特に好ましい。ここで、ヨウ素価は油脂100gに付加することのできるヨウ素(I2)のグラム数をいう。ヨウ素価80以上を満たす液体油脂を含有し、ココアペースト中の融点30℃以上である25℃で固体の固体油脂の割合は15質量%以下とすることで、本技術のココアペーストを食品に含有させた場合にチョコレートらしい濃い色調を実現するとともに、パサつきなどの食感の悪化を軽減できる。
ヨウ素価80以上を満たす液体油脂としては、例えば、米油、菜種油、大豆油、コーン油、綿実油、サフラワー油、落花生油等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、ヨウ素価80以上を満たす液体油脂は一種類の油脂のみからなるものを用いてもよく、複数種の油脂を混合させたものを用いてもよい。
(4)固体油脂
本技術のココアペーストは、ココアペースト中に含まれる融点30℃以上である25℃で固体の固体油脂の割合が15質量%以下とすることが好ましく、13質量%以下とすることがさらに好ましく、11質量%以下とすることが特に好ましい。ココアペースト中に含まれる融点30℃以上である25℃で固体の固体油脂の割合が上記となることで、ヨウ素価80以上を満たす液体油脂により、本技術のココアペーストを含有させた食品の食感の悪化を効果的に軽減できる。
ココアペースト中に含まれる融点30℃以上である25℃で固体の固体油脂の割合が15質量%以下とする方法としては、ココアパウダーと独立してココアペースト中に存在する固体油脂の割合を調整すること、又は、ココアパウダーのココアバター含有量を考慮してココアパウダーの選定・組み合わせを行い調整することが挙げられる。
融点30℃以上である25℃で固体の固体油脂としては、前記ココアバターの他に、例えば、パーム核硬化油、パーム硬化油、パームステアリン、ココアバター代用脂等が挙げられる。本技術のココアペーストにおいては、融点30℃以上である25℃で固体の固体油脂としては、パーム核硬化油等の炭素数12以下の脂肪酸を一定割合含有する油脂を用いることもできるが、ココアペースト中に含まれる脂肪酸中の炭素数12以下の脂肪酸の割合は、3質量%以下が好ましく、2質量%以下とすることがさらに好ましい。ココアペースト中の炭素数12以下の脂肪酸を上記割合以下に調整することで、炭素数12以下の脂肪酸の加水分解による異臭の発生を低減することが期待できる。炭素数12以下の脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、カブリン酸、カブリル酸等が挙げられる。
本技術のココアペーストは、本技術の効果を損なわない限りにおいて、通常、ココアペーストに用いられる他の成分を任意に配合することができる。かかる任意成分としては例えば、カカオマス、他の油脂、乳化剤、食塩、塩化カリウム等の塩味剤、糖類、糖アルコール類、ステビア、アスパルテーム等の甘味料、β-カロテン、カラメル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物(カテキン等)、ルチン等の酸化防止剤、小麦蛋白又は大豆蛋白等の植物蛋白、卵、卵加工品、香料、乳脂、全脂粉乳、脱脂粉乳、乳清蛋白等の乳製品、調味料、食品保存料、フルーツパウダー、コーヒーパウダー、茶葉、ナッツペースト、香辛料、穀類、豆類、野菜類、等の食品素材や食品添加物等の各種有効成分等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、パン等に好適な影響を与えると言われるアンモニウム塩、カルシウム塩、酸化剤、還元剤、酵素剤などを任意に配合することもできる。
本技術のココアペーストには、パームオレイン、ヤシ油、パーム核油、乳脂等のヨウ素価80以下かつ融点30℃以下である油脂を含有させることもできる。なお、ヨウ素価80以下かつ融点30℃以下である油脂としてヤシ油、パーム核油等の炭素数12以下の脂肪酸を一定割合含有する油脂を用いることもできるが、ココアペースト中に含まれる脂肪酸中の炭素数12以下の脂肪酸の割合を本明細書で記載の範囲に調整することで炭素数12以下の脂肪酸の加水分解による異臭の発生を低減することが期待できる。
本技術のココアペーストに用いる乳化剤としては、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、グリセリン有機酸脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル等の合成乳化剤や、レシチン(大豆レシチン、卵黄レシチン等)、リゾレシチン(大豆リゾレシチン、卵黄リゾレシチン等)、サポニン、植物ステロール類等の合成乳化剤でない乳化剤が挙げられ、これらの2種以上を併用して用いることもできる。乳化剤の含有量は、0.1~2.5質量%であることが好ましく、0.2~2.0質量%であることがより好ましく、0.3~1.5質量%であることがさらに好ましい。
本技術のココアペーストの製造方法としては、例えば、チョコレート製造の常法にのっとり、原料の混合工程、原料微粒化工程、精錬工程、冷却工程を経ることで好適に製造することができる。前記原料微粒化工程は、使用するココアパウダーの粒径が例えば30μm以下等、十分に小さい場合には省略することもできる。また、粒子が大きい粉体原料のみ微粒化工程を行った後、粒子の細かいココアパウダーや油脂を精錬工程で加えることもできる。また、冷却工程の前に温調工程を取ることもできる。
以下、具体的な実施例に基づいて、本技術について詳しく説明する。なお、本技術は、以下に示す実施例の内容に、何ら限定されるものではない。
<ココアペースト原料>
(ココアパウダー)
ココアパウダーA:油脂分約11%ココアパウダー(Olam社製)
ココアパウダーB:油脂分約23%ココアパウダー(森永製菓社製)
(液体油脂)
米油:(月島食品工業) ヨウ素価100
菜種油:(月島食品工業) ヨウ素価110
大豆油:(月島食品工業) ヨウ素価130
パームオレイン:(月島食品工業)ヨウ素価58
(固体油脂)
ココアバター:(カーギル社製)融点34℃
植物油脂(ハードバター(1)):テンパリングタイプハードバター。ココアバター同等タイプ。融点34℃(不二製油社製)
植物油脂(ハードバター(2)):非ラウリン低トランス型ノンテンパリングハードバター。融点40℃(不二製油社製)
パーム核硬化油(34℃) (月島食品社製)
(乳化剤)
レシチン(ADM社製)
(その他成分)
カカオマス:油脂分約55%(Olam社製)
チョコレート香料(理研香料社製)
<ココアペーストの製造>
ココアペーストは表1~2に示す配合に従い、原料を混合し原料微粒化工程、精錬工程を経て、冷却を行い、実施例1~5及び比較例1~8にかかるココアペーストを作成した。
なお、ココアペーストのpHはココアペーストを蒸留水で10倍希釈して、pHメーター(LAQUA、HORIBA社製)を用いて測定した。測定結果を表1及び2に示した。
<パン生地の製造>
以下の製造手順に従って、実施例1~5及び比較例1~8のココアペーストを使用したパンを製造した。
製造手順
1.強力粉(100質量部)、パン酵母(3質量部)、食塩(1質量部)、上白糖(20質量部)、脱脂粉乳(3質量部)、全卵(6質量部)、水(60質量部)を配合し、ミキサー(HPS-20M、関東混合機社製)を用いて低速3分、中速5分でミキシングを行った。
2.強力粉100質量部に対し、上記のココアペースト(20質量部)とバター(10質量部)と同じタイミングで投入した後、低速3分、中速6分でミキシングを行い、パン生地を作成した。捏上温度は27℃とした。
3.2の生地を27℃、湿度75%にて60分発酵させた
4.3の生地を40g毎に分割し、20分生地を休ませた後、丸めて成形した。
5.4の生地を38℃、湿度80%にて60分発酵させた
6.5の生地を固定窯(三幸機械社製)にて上火200℃、下火190℃にて8分間焼成を行った。
<パン生地の食感評価>
パンを作成して冷ましたのち、袋詰めして2日間保管後、食感の評価を行った。
評価は5名の熟練した研究員が行い、パサつき、固さ、色調の評価を行った。パサつき、固さについては下記の評価基準を基にした5名の点数の平均点を評価点とした。なお、評価は5点満点とし、0.5単位の評価も可とした。
(食感(ぱさつき)について)
5名の熟練した研究員がパンを食べた際の口中で感じるパサつき、しっとりの度合いを下記の基準に基づいて評価した。結果を表3~4に示した。
評価基準
5. ココアペースト(もしくはココア)の練りこみがないパンと同じ
4. ココアペースト(もしくはココア)の練りこみがないパンと比べ、やや劣るが十分しっとりしている
3. ココアペースト(もしくはココア)の練りこみがないパンと比べるとパサつきを感じるが、製品として許容範囲
2. ココアペースト(もしくはココア)の練りこみがないパンと比べてパサつきを感じ、しっとり感が足りない。
1. ココアペースト(もしくはココア)の練りこみがないパンと比べ著しくパサつきが強い
(食感(硬さ)について)
5名の熟練した研究員が、パンを噛んで食べた際に感じる硬さを下記の基準に基づいて評価した。結果を表3~4に示した。
評価基準
5. ココアペースト(もしくはココア)の練りこみがないパンと同じ
4. ココアペースト(もしくはココア)の練りこみがないパンと比べ、やや劣るが十分やわらかい
3. ココアペースト(もしくはココア)の練りこみがないパンと比べると硬さを感じるが、製品として許容範囲
2. ココアペースト(もしくはココア)の練りこみがないパンと比べて硬い。
1. ココアペースト(もしくはココア)の練りこみがないパンと比べ著しく硬い。
(色調について)
5名の熟練した研究員が、パンの色調を下記基準に基づいて評価した。色調については研究員間の判断結果に相違が無かったため、表1及び2に記載の色調の評価結果を研究員全員一致の判断結果として記載した。
評価基準
○: チョコレートパン生地らしい濃い色合いをしている。
△: やや色調が薄いが、チョコレートパン生地と思える色調をしている。
×: 色調が薄く、チョコレートパン生地らしさが足りない。
(練りこみ適性)
1名の熟練した研究員がパンの製造を行った際の練り込み適性を下記基準に基づいて評価した。
評価基準
○: 問題なくパン生地を練りこむことができる。
△: 少し時間はかかるが、問題なくパン生地に練りこむことができる。
×: 均一に練りこみにくく、練りこみに時間がかかる。
比較例1、2および5はヨウ素価80以上の液体油脂がココアペースト中に20質量部以下の例である。
比較例3および4はココアペースト中の融点30℃以上である25℃で固体の固体油脂が15質量%以上となる例である。
比較例6および7は、ヨウ素価80以上の液体油脂がココアペースト中に多く含むものの、ココアパウダー分に加えて、ココアパウダーの原料であるカカオマスを多く含むものの例である。
比較例10は、ココアペースト中にヨウ素価80以上の液体油脂の代わりにヨウ素価80以下の液体油脂を20質量%含んだ例である。
実施例1~5のココアペーストを使用したパンではチョコレートらしい濃い色調を実現しつつ、パンを食べた際の十分なしっとり感と柔らかさを維持できることが確認できる。
一方で、比較例1~8のココアペーストを使用したパンではチョコレートらしい濃い色調を実現できるものの、ココアペーストの添加によりパンを食べた際のしっとり感や柔らかさが悪化した。

Figure 0007240546000001
Figure 0007240546000002
Figure 0007240546000003
Figure 0007240546000004

Claims (10)

  1. ココアパウダーを40~80質量%と、
    ヨウ素価80以上を満たす液体油脂を20~60質量%を含み、
    融点30℃以上である25℃で固体の固体油脂の割合が15質量%以下である穀粉含有食品用ココアペースト。
  2. 前記ココアパウダー中に含まれる前記固体油脂の割合が20質量%以下である、請求項1に記載の穀粉含有食品用ココアペースト。
  3. 前記ココアペースト中の総油分量は30質量%以上65質量%以下である、請求項1に記載の穀粉含有食品用ココアペースト。
  4. 前記総油分量に対する前記ヨウ素価80以上を満たす液体油脂の割合が35~100質量%である、請求項3に記載の穀粉含有食品用ココアペースト。
  5. 前記ココアペーストのpHが6.2~7.9である、請求項1に記載の穀粉含有食品用ココアペースト。
  6. 前記ココアペースト中に含まれる脂肪酸中の炭素数12以下の脂肪酸の割合が3質量%以下である、請求項1に記載の穀粉含有食品用ココアペースト。
  7. 前記炭素数12以下の脂肪酸がラウリン酸である、請求項6に記載の穀粉含有食品用ココアペースト。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の穀粉含有食品用ココアペーストと穀粉とを少なくとも含有する食品用生地。
  9. 請求項8に記載の食品用生地を加熱処理した食品。
  10. 請求項1から7のいずれか1項に記載の穀粉含有食品用ココアペーストを含む穀粉含有食品。
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