JP7233264B2 - 複合フィラーおよび樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、熱伝導性充填材として好適に用いられる複合充填材およびこれを含む樹脂組成物に関する。
窒化アルミニウムは、高い熱伝導性と優れた電気絶縁性とを有することから、放熱部材に充填される絶縁放熱用フィラーなどとして利用されている。
ところで、放熱部材の熱伝導率を向上させるためには、上記放熱部材中で高熱伝導性を有するフィラーが相互に接触し、熱伝導パスを形成することが重要である。良好な熱伝導パスを形成させる方法として、大粒径のフィラーにより熱伝導パスの距離を稼ぎその間にサブフィラーとして小粒径粒子のフィラーを埋める手段が採用されている。
たとえば、本出願人は、高熱伝導性の充填材として、窒化アルミニウム粉末より低い硬度を有し、且つ、粒径が十分大きい無機粉末を無機粉末(A)として使用し窒化アルミニウム粉末に配合することにより、樹脂への充填を行った後に得られる樹脂組成物において、該無機粉末(A)の粒子の周囲に窒化アルミニウム粉末の粒子が密着性良く安定して存在させて充填効率を高めた充填材を提案している(特許文献1)。
特開2017-088696号公報
しかしながら、窒化アルミニウム粉末は、球状粒子が一般的であり、樹脂充填時にフィラー同士の接点が点接触となるため、熱伝導効率が十分ではないという点が課題であった。
従って、本発明の目的は、窒化アルミニウム粉末の高い熱伝導性を活かしながら、伝導効率を高く樹脂充填が可能な複合フィラーを提供することにある。
本発明者らは上記問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、少なくとも2面の平坦面を有する面構造を備えた多面体粒子である窒化アルミニウム粉末を採用し、併用する充填材として、比較的熱伝導性が低いものでも、特定の物性を有するものと組み合わせることにより、これを樹脂に充填して得られる樹脂組成物の熱伝導率を十分高く維持することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、全構成粉末の体積の合計を100体積%として、
少なくとも2面の平坦面を有する面構造を備えた多面体粒子であり、粒度分布曲線における累積50%値(D50)が20μm~200μmの窒化アルミニウム粉末(A)を60体積%~90体積%と、
熱伝導率が45W/m・K~60W/m・K、モース硬度が7以下、粒度分布曲線における累積50%値(D50)が2μm~20μmの無機粉末(B)を10体積%~40体積%とを含有することを特徴とする複合フィラーが提供される。
無機粉末(B)が、MgO、ZnO から選ばれる少なくとも1種が本発明の効果を発揮するために好ましい。
樹脂組成物中の複合フィラーの含有量が50体積%~80体積%であることが熱伝導性向上の観点で好ましい。樹脂成分としては、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂から選ばれる少なくとも1種を本発明の複合フィラーと組み合わせると効果が高いので好ましい。
本発明の窒化アルミニウム粒子は、面構造を備えた多面体粒子である窒化アルミニウム粒子と、特定の熱伝導率を有するモース硬度の低い粒子と組み合わせることで、より接触面積が増加し、従来の球状粒子に比較して、得られる樹脂組成物において高い熱伝導率を実現することができる。
本発明の窒化アルミニウム粉末(A)の粒子構造を示す一態様のSEM写真を示す。 本発明の窒化アルミニウム粉末(A)の粒子構造を示す一態様のSEM写真を示す。
以下、本発明の実施形態を説明するが、本発明はこれらの記載に何ら限定されない。
本発明の複合フィラーは、窒化アルミニウム粉末(A)を60体積%~90体積%、好ましくは65体積%~85体積%と、無機粉末(B)を10体積%~40体積%、好ましくは15体積%~35体積%とを含有する。
<窒化アルミニウム粉末(A)>
窒化アルミニウム粉末(A)は、少なくとも2面の平坦面を有する面構造を備えた多面体粒子であり、粒度分布曲線における累積50%値(D50)が20μm~200μm、好ましくは30μm~100μmの範囲にある。
2面以上の平坦面があれば、粉末自体の形状は特に制限されず、たとえば、板状、円筒状、直方体状のように2面が平行で存在していてもよく、また四面体以上の多面体であってもよい。
本発明で使用される窒化アルミニウム粉末(A)は、SEM写真による観察において、その特徴を確認することができる。例えば、図1は、本発明で使用される代表的な窒化アルミニウム粒子のSEM写真であり、上記図1において確認されるように、多面体形状を有し、複数の平面がランダムに存在する。さらに、国際公開2017/131239号にある、図2に示されるように、胴部の一部に六角柱形状を示すものも例示される。図2の粒子は、端部に椀状の凸部とを有する形状を成した窒化アルミニウム粒子である。完全な六角柱も本発明の態様に含まれ、六角柱の少なくとも一部の平面が維持される範囲で、角部が曲面もしくは平面に面取りされた形状、また、胴部の一部にくびれや出っ張りを有する形状であってもよい。
窒化アルミニウム粉末(A)は、該長径(L)に対する短径(D)との比(L/D)が0.8~1.2であり、上記平面の少なくとも一面は、その面積(S)が、S/L≧1.0を満たすことが好ましい。
上記窒化アルミニウム粒子の表面を形成する平面は、窒化アルミニウムの結晶面に由来するものと考えられる。前記平面は、同方位の結晶面により構成される。上記平面は状態でランダムに存在する。
また、上記結晶面は、少なくとも1つの面、好ましくは、前記SEM写真で観察される粒子の面積に対して、50%以上、特に、80%以上の面積比で存在し、その結晶面の面積(S)が、S/L≧1.0を満たす平面であると、上記窒化アルミニウム粉末(A)には大面積を有する平面がランダムに存在するため、後述する無機粉末(B)との間の接触面積が増加し、熱伝導率が向上した複合フィラーを得ることができる。
尚、上記面積比は、前記SEM写真で観察される状態を画像解析により算出した値である。
<無機粉末(B)>
本発明の複合フィラーは、上記窒化アルミニウム粉末(A)に加えて、特定の熱伝導性を有し、窒化アルミニウム粉末より低い硬度を有し、且つ、窒化アルミニウム粉末より粒径が小さい無機粉末(B)をも含む。以下、無機粉末(B)が有する熱伝導性、硬度および粒径についての数値等について、詳述する。
本発明において、無機粉末(B)は、熱伝導率が45~60W/m・K、好ましくは、50~60W/m・Kである。ここで、本発明において、高い熱伝導性を得る観点からは、上記窒化アルミニウム粉末と同様、無機粉末(B)の熱伝導率も高いほど好ましいが、前記下限値、特に60W/m・Kを超える無機粉末は、高価であり、複合充填材の工業的な実施において不利となる傾向にある。一方、熱伝導率が前記上限値、特に45W/m・Kより低い場合は、複合充填材を充填した樹脂組成物において、窒化アルミニウム粉末の粒子間による熱伝導性付与効果と共に働く、無機粉末(B)による熱伝導性の付与効果が低減し、高い熱伝導性を付与することが困難となる傾向にある。そこで、高い熱伝導性と経済性とのバランスを考慮し、無機粉末(B)の熱伝導率を上記のように定めた。
また、硬度の面から見ると、前記無機粉末(B)は、上記窒化アルミニウム粉末よりも若干柔らかく、具体的には、7以下、好ましくは、5以上6以下のモース硬度を有する。無機粉末(B)のモース硬度が7より高い場合、上記窒化アルミニウム粉末(A)の粒子との密着性が低下し、上記窒化アルミニウム粉末と組み合わせて得られる複合フィラーを樹脂に充填してなる樹脂組成物において、窒化アルミニウム粉末(A)の周囲に無機粉末(B)の粒子を安定して存在させることが困難となり、十分な熱伝導性を付与することが困難となる場合がある。一方、モース硬度が5より低い無機粉末、特にモース硬度が4より低い無機粉末において、無機粉末(B)に該当するための要件を全て満たす無機粉末、特に、次述する粒子径を満足し、且つ上述した熱伝導率を有する無機粉末を選択することは困難である傾向にある。
ここで、前記熱伝導率およびモース硬度を有する無機粉末(B)となり得る無機材料としては、例えば、MgO、ZnOなどが挙げられる。これら無機材料の中でも、特にMgOが好ましい。
さらに、粒径の面から見ると、上記窒化アルミニウム粉末(A)と組み合わされたときに充分な熱伝導性が充分に確保できるよう、無機粉末(B)のD50は、2~20μm、好ましくは、3~18μmである。本発明において、無機粉末(B)のD50が前記上限値より大きい場合、窒化アルミニウム粉末(A)の粒子の周囲に無機粉末(B)を配することが困難となる傾向にある。一方、該D50が前記下限値より小さい場合、粒子間同士の接触面積が少なくなる傾向にある。そのため、いずれの場合にも、樹脂に複合充填材を充填してなる樹脂組成物において、十分高い熱伝導率を発揮することが困難となる傾向にある。
前記したように、無機粉末(B)のD50(以下、「D50(B)」と呼ばれる場合がある。)は、前記範囲内であれば特に制限されないが、前記窒化アルミニウム粉末(A)のD50(以下、「D50AlN」と呼ばれる場合がある。)との関係で、D50AlN/D50(B)の比が、3~40、好ましくは、4~20となるように決定することがより好ましい。
また、前記無機粉末(B)の形状は、表面における窒化アルミニウム粉末(A)の粒子の密度を高くするため、比表面積が最も小さくし得る球状が好ましい。
本発明の複合フィラーは、フィラーを構成する全構成粉末の体積の合計を100体積%として、窒化アルミニウム粉末(A)を60体積%~90体積%と、無機粉末(B)を10体積%~40体積%とを含有する。
このように、本発明の複合充填材は、上記窒化アルミニウム粉末(A)と前記無機粉末(B)とを特定の割合で含む構成を有しており、このような複合充填材を用いることによって、高い熱伝導性を有する樹脂組成物を経済的に有利に製造することが可能となる。
本発明のこのような構成により、このような効果が発揮される作用機構は明らかではないが、本発明者らは、
(a) 窒化アルミニウム粉末より低い硬度を有し、且つ、粒径が十分に小さい無機粉末を無機粉末(B)として使用し窒化アルミニウム粉末(A)に配合することにより、樹脂への充填を行った後に得られる樹脂組成物において、窒化アルミニウム粉末(A)の粒子周囲に該無機粉末(B)の粒子の周囲に密着性良く安定して存在する;
(b) そして、窒化アルミニウム粉末(A)と無機粉末(B)とがこのような態様で共存することにより、密度の高い窒化アルミニウム粉末の間隙に無機粉末(B)が存在することになり、窒化アルミニウムの高熱伝導性が十分発揮されると共に、(ii) 無機粉末(B)自体もある程度の熱伝導性を有することで、総じて、より一層高い熱伝導性を発揮するものと推定している。
<その他の無機粉末>
本発明の複合充填材は、上述したとおり、上記窒化アルミニウム粉末(A)と無機粉末(B)とを特定の割合で含む。ここで、本発明の複合フィラーは、上記窒化アルミニウム粉末(A)と無機粉末(B)とのみからなるものであってもよく、そのような複合充填材は、本発明の好適な実施態様の1つである。なお、この実施態様では、上記窒化アルミニウム粉末(A)の全体積と上記無機粉末(B)の全体積との合計が100体積%ということになる。
さらに、本発明の複合フィラーは、このような態様のものに限られず、上記窒化アルミニウム粉末(A)および無機粉末(B)に加えて、本発明を損なわない範囲で上記窒化アルミニウム粉末(A)および無機粉末(B)のいずれにも該当しない無機粉末(以下、「その他の無機粉末」)をさらに含むものであってもよい。上記量は10体積%以下であることが好ましい。
このような「その他の無機粉末」としては、適度な熱伝導性を有し、モース硬度が低く、且つ、粒径が比較的小さい無機粉末が挙げられる。このような無機粉末を少量配合することにより、上記窒化アルミニウム粉末(A)と上記無機粉末(B)との粒子間をより親密に接触させることができるため好ましい。
〔樹脂組成物〕
本発明に係る樹脂組成物は、上述した本発明の複合充フィラーと樹脂とを含む樹脂組成物である。
本発明の樹脂組成物に含有される樹脂に特に限定はないが、
例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリアセタール、フッ素樹脂(ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6ナフタレート、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、スチレン-アクリロニトリル共重合体、ABS樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、変性PPE樹脂、脂肪族ポリアミド類、芳香族ポリアミド類、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリメタクリル酸類(ポリメタクリル酸メチル等のポリメタクリル酸エステル)、ポリアクリル酸類、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリケトン、液晶ポリマー、アイオノマーなどの熱可塑性樹脂;並びに、
例えば、エポキシ樹脂、硬化性アクリル樹脂、硬化性ウレタン樹脂、硬化性シリコーン樹脂、フェノール樹脂、硬化性ポリイミド樹脂、硬化型変性PPE、および硬化型PPEなどの硬化性樹脂等が挙げられる。これら樹脂の中でも、板状成形体や薄膜状成形体などの成形体を作製する上では、硬化性樹脂が好ましく、液状の硬化性樹脂が特に好ましい。
本発明の樹脂組成物は、上記複合充填材を50体積%~80体積%、好ましくは60体積%~80体積%の割合で含有する。このように上記複合充填材を上記の割合で含むと、得られる成形体における熱伝導率を充分に確保しつつ一定の作業性も確保することが可能となり好ましい。上記複合充填材の含量が上記の範囲より少ないと、得られる成形体の熱伝導率が低くなり、例えば放熱シートとして用いた場合十分な特性を得ることができない場合がある。一方、上記複合充填材の含量が上記の範囲より多い場合には、複合充填材と樹脂を混合した時に、得られる樹脂組成物の粘度が著しく上昇し、作業性が極めて悪くなり、さらには、混合不良が発生し、熱伝導性低下を招く等の問題が起こる場合がある。
また、本発明の樹脂組成物には、必要に応じて硬化剤、カップリング剤などの添加剤を含んでもよい。
本発明の樹脂組成物は、上記複合充填材、上記樹脂、その他、上記添加剤など必要に応じて含まれる成分を混合することにより製造できる。この場合、これら各成分の混合は、熱可塑性樹脂の場合、例えば、押出機にて溶融混合することによって得ることができ、また、熱硬化性樹脂の場合、例えば、未硬化或いは半硬化の樹脂と公知の手段により混合後、硬化させることにより得ることができる。
そして、以上のような本発明の樹脂組成物を公知の手段により適当な形状に成形することにより、高い熱伝導性を持った成形体を得ることができる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
尚、本発明において、各種試験方法は、以下の通り行った。
(1)D50
試料をホモジナイザーにて5%ピロリン酸ソーダ水溶液中に分散させ、レーザー回折粒度分布装置(日機装株式会社製MICROTRAC HRA)にて粒径を測定し、D50を求めた。
(2)樹脂組成物の熱伝導率
複合充填材を樹脂に充填した樹脂組成物を、試験片に成形し、熱拡散率、密度および比熱から、下記式に基づき求めた。
熱伝導率(W/m・K)=熱拡散率×密度×比熱
尚、熱拡散率は、レーザーフラッシュ法にて、密度は、アルキメデス法にて、また、比熱は、DSC法にて、それぞれ測定した。
製造例1
実施例で使用した窒化アルミニウム多面体粒子は以下のようにして調製した。
・アルミナ粉末
α-アルミナ:D50 3.518μm
・カーボン粉末
カーボン粉末B:平均粒径 20nm、DBP吸収量 115cm3/100g、含有
硫黄量 3000ppm
・硫黄成分
硫黄粉末:純度 98%以上
以上の原材料を使用して、アルミナ粉末100重量部及びカーボン粉末50重量部からなる混合物に、該混合物内の硫黄成分量が上記アルミナ粉末100重量部に対し5重量部となるように硫黄粉末を添加し、これらが均一に混合されるまで振動式攪拌機により混合し、原料混合物を得た。
上記原料混合物を、カーボン製のセッターに、20mm厚となるように収納し、窒素を流通可能な反応容器内にセットし、窒素ガスを流通させながら、加熱温度1775℃で還元窒化を行った。
その際、反応容器に供給する一酸化炭素ガスの割合が53容量%となるように、調整し、還元窒化反応を行い、還元窒化反応終了後、前記加熱温度を維持したまま、5時間保持して、反応容器より反応生成物を取り出した。
その後、上記反応生成物を、大気雰囲気において700℃で、5時間加熱して未反応のカーボン粉末を燃焼除去し、窒化アルミニウム粉末を得た。上記方法により得られた窒化アルミニウム粒子は、図1と同様に多面体粒子で、D50 30μmであった。窒化アルミニウム粒子を任意に10粒選択して、前記測定方法に従い、長径(L)、短径粒(D)を測定したところ、L/Dは1.02であった。また、SEM写真をもとに解析図を粒子毎に作成し、該粒子表面に存在する平面の面積(S)がS/L≧1.0を満たす面について、窒化アルミニウム粒子全表面に対する割合は30%であった。
製造例2
窒化アルミニウム粉末に焼結助剤として酸化イットリウム、有機結合剤及び溶媒を添加混合しスラリーを作製後、スプレードライヤーで得られた約30μm球状造粒粉を得た。球状造粒粉を100℃で乾燥後、500℃の酸素雰囲気下で有機結合剤を燃焼除去したのち、1750℃で焼結し、焼結顆粒よりなる窒化アルミニウム粉末を製造した。
実施例1~3
製造例1で調製した多面体粒子を窒化アルミニウム粉末(A)とし、無機粉末(B)として、D50が5μmの酸化マグネシウム粉末、D50が5μmの酸亜鉛粉末と表1の粉体割合となるように混合した。
得られた混合粉末を複合フィラーとし、樹脂としてエポキシ樹脂を用いて、厚さ700μmの成形体を作製し、熱伝導率を評価した。
なお、樹脂としてエポキシ樹脂(三菱化学株式会社jER828)100重量部と硬化剤(イミダゾール系硬化剤、四国化成工業株式会社製キュアゾール2E4MZ)5重量部との混合物を、基材樹脂として準備した。複合フィラーを混合して樹脂組成物を作製した。その時、粉末の充填率は70vol%であった。
得られた樹脂組成物の一部を金型体に注型し、熱プレスを使用し、温度:100℃、圧力:20MPa、保持時間:2時間の条件で硬化させ、直径10mm、厚さ700μmの試験片を作製し、レーザーフラッシュ法熱物性測定装置(京都電子製LFA-502)を用いてレーザーフラッシュ法による熱伝導率を測定した。結果を表1にあわせて示す。
比較例1
無機粉末(B)を使用せず、粉末100質量%を窒化アルミニウム粉末(A)で構成して、実施例と同様に熱伝導率を評価した。
比較例2
窒化アルミニウム粉末(A)を使用せず、粉末100質量%を無機粉末(B)で構成して、実施例と同様に熱伝導率を評価した。
比較例3
実施例1において、製造例1で調製した多面体粒子の代わりに、製造例2で調製した真球状粒子を用いて複合フィラーを構成し、この複合フィラーを使用して実施例と同様にして、熱伝導率を評価した。
その結果、本発明によれば、高い熱伝導性の複合フィラーが得られることが判明した。なお、粉末(A)および(B)を単独使用しても、また球状粒子で構成される窒化アルミニウムフィラーを使用しても、熱伝導性の高い組成物は得られなかった。
Figure 0007233264000001

Claims (4)

  1. 全構成粉末の体積の合計を100体積%として、
    少なくとも2面の平坦面を有する面構造を備えた多面体粒子であり、粒度分布曲線における累積50%値(D50)が20μm~200μmの窒化アルミニウム粉末(A)を60体積%~90体積%と、
    熱伝導率が45W/m・K~60W/m・K、モース硬度が7以下、粒度分布曲線における累積50%値(D50)が2μm~20μmの無機粉末(B)を10体積%~40体積%とを含有することを特徴とする複合フィラー。
  2. 無機粉末(B)が、MgO、ZnOから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の複合フィラー。
  3. 請求項1または2に記載の複合フィラーと樹脂成分とを含み、該複合フィラーの含有量が50体積%~80体積%である樹脂組成物。
  4. 樹脂成分が、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項3に記載の樹脂組成物。
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