JP6580949B2 - 複合充填材およびこれを含む樹脂組成物 - Google Patents
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Description
しかしながら、窒化アルミニウム粉末は、他の充填材と比して高価であり、高充填の樹脂組成物を作製する際のコストの面において不利となる点が指摘されている。
D50が0.5μm〜10μmの窒化アルミニウム粉末を20体積%〜50体積%と、
熱伝導率が45W/m・K〜60W/m・K、モース硬度が5以上7以下、D50が20μm〜80μmの無機粉末(A)を50体積%〜80体積%と
を含有することを特徴とする。
なお、本発明においてD50とは、粉末の粒度分布曲線における累積50%値のことであり、レーザー回折散乱法の測定から求めることができる。
熱伝導率が40W/m・K〜100W/m・K、モース硬度が2以上5未満、およびD50が0.5〜5μmである無機粉末(B)を1体積%〜10体積%含むことが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、上記複合充填材と樹脂とを含む樹脂組成物であり、該複合充填材の含有量が50体積%〜80体積%である。
本発明の複合充填材は、窒化アルミニウム粉末と無機粉末(A)とを含む。
ここで、本発明において「D50」とは、粉末の粒度分布曲線における累積50%値、すなわち、粒度分布曲線において、粒径の小さい側から見たときの相対粒子量の累積が全粒子量の50%となったときの粒子径のことである。このD50は、例えばレーザー回折散乱法の測定から求めることができる。
なお、本明細書において、数値範囲について「X〜Y」(ただし、X<Y)というときは、別途の記載がない限り、「X以上Y以下」を意味する。
本発明の複合充填材を構成する窒化アルミニウム粉末は、還元窒化法や直接窒化法等種々の方法によって得られる公知のものであってもよく、特に制限は無い。ただ、通常の場合、窒化アルミニウム粉末として、特に、熱伝導率が120W/m・K以上、好ましくは、150〜250W/m・Kを有するものが好適に使用される。
尚、前記窒化アルミニウム粉末の粒子のモース硬度は、8程度である。
本発明において、前記窒化アルミニウム粉末は、還元窒化法や直接窒化法を用いて得ることができる。
本発明の複合充填材は、上記窒化アルミニウム粉末に加えて、適度に高い熱伝導性を有し、窒化アルミニウム粉末より低い硬度を有し、且つ、窒化アルミニウム粉末より粒径が大きい無機粉末(A)をも含む。以下、無機粉末(A)が有する熱伝導性、硬度および粒径についての数値等について、詳述する。
本発明の複合充填材における前記無機粉末(A)の含有量は、本発明の複合充填材を構成する全構成粉末の体積の合計を100体積%として、50体積%〜80体積%である。
(a) 窒化アルミニウム粉末より低い硬度を有し、且つ、粒径が十分大きい無機粉末を無機粉末(A)として使用し窒化アルミニウム粉末に配合することにより、樹脂への充填を行った後に得られる樹脂組成物において、図1に示すように、該無機粉末(A)の粒子の周囲に窒化アルミニウム粉末の粒子が密着性良く安定して存在する;
(b) そして、窒化アルミニウム粉末と無機粉末(A)とがこのような態様で共存することにより、(i) 窒化アルミニウム粉末の量が少ない場合でも、密度の高い窒化アルミニウム粉末の粒子の連鎖が樹脂組成物内で形成され易くなり窒化アルミニウムの高熱伝導性が十分発揮されると共に、(ii) 無機粉末(A)自体もある程度の熱伝導性を有することで、総じて、より一層高い熱伝導性を発揮する
ものと推定している。
本発明の複合充填材は、上述したとおり、上記窒化アルミニウム粉末と無機粉末(A)とを特定の割合で含む。ここで、本発明の複合充填材は、上記窒化アルミニウム粉末と無機粉末(A)とのみからなるものであってもよく、そのような複合充填材は、本発明の好適な実施態様の1つである。なお、この実施態様では、上記窒化アルミニウム粉末の全体積と上記無機粉末(A)の全体積との合計が100体積%ということになる。しかし、本発明の複合充填材は、このような態様のものに限られず、上記窒化アルミニウム粉末および無機粉末(A)に加えて、上記窒化アルミニウム粉末および無機粉末(A)のいずれにも該当しない無機粉末(以下、「その他の無機粉末」)をさらに含むものであってもよい。
上記本発明の複合充填材は、上述した成分の他に、本発明の効果を奏する範囲で、「その他の無機粉末」として、前記無機粉末(B)以外の無機粉末を更に含有してもよい。
本発明に係る樹脂組成物は、上述した本発明の複合充填材と樹脂とを含む樹脂組成物である。
本発明の樹脂組成物に含有される樹脂に特に限定はないが、
例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリアセタール、フッ素樹脂(ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6ナフタレート、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ABS樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、変性PPE樹脂、脂肪族ポリアミド類、芳香族ポリアミド類、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリメタクリル酸類(ポリメタクリル酸メチル等のポリメタクリル酸エステル)、ポリアクリル酸類、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリケトン、液晶ポリマー、アイオノマーなどの熱可塑性樹脂;並びに、
例えば、エポキシ樹脂、硬化性アクリル樹脂、硬化性ウレタン樹脂、硬化性シリコーン樹脂、フェノール樹脂、硬化性ポリイミド樹脂、硬化型変性PPE、および硬化型PPEなどの硬化性樹脂
等が挙げられる。これら樹脂の中でも、板状成形体や薄膜状成形体などの成形体を作製する上では、硬化性樹脂が好ましく、液状の硬化性樹脂が特に好ましい。
また、本発明の樹脂組成物には、必要に応じて硬化剤、カップリング剤などの添加剤を含んでもよい。
そして、以上のような本発明の樹脂組成物を公知の手段により適当な形状に成形することにより、高い熱伝導性を持った成形体を得ることができる。
尚、本発明において、各種試験方法は、以下の通り行った。
樹脂組成物の粘度は、レオメーター(AR2000ex:TA Instruments社製)を用い、せん断速度5/s、80℃にて測定した。
試料をホモジナイザーにて5%ピロリン酸ソーダ水溶液中に分散させ、レーザー回折粒度分布装置(日機装株式会社製MICROTRAC HRA)にて粒径を測定し、D50を求めた。
複合充填材を樹脂に充填した樹脂組成物を、試験片に成形し、熱拡散率、密度および比熱から、下記式に基づき求めた。
熱伝導率(W/m・K)=熱拡散率×密度×比熱
尚、熱拡散率は、レーザーフラッシュ法にて、密度は、アルキメデス法にて、また、比熱は、DSC法にて、それぞれ測定した。
試験片破壊に至る一定昇圧速度(2kV/sec)で破壊電圧(BDV)を求めるとの短時間法で測定する。
本例は、基材樹脂としてエポキシ樹脂を用いて樹脂組成物の作製する例である。
具体的にはエポキシ樹脂(三菱化学株式会社製jER828)100重量部と硬化剤(イミダゾール系硬化剤、四国化成工業株式会社製キュアゾール2E4MZ)5重量部との混合物を、基材樹脂として準備した。
基材樹脂に対するMgO粉末、AlN粉末の量を表1に示す量とした以外は実施例1と同様にして、第1の樹脂組成物及試験片を作製した。得られた試験片の熱伝導率、絶縁耐性を測定した結果及び粘度の結果を表1に示した。
本実施例では、MgO粉末およびAlN粉末に加えて、無機粉末(B)として窒化ホウ素(以下「BN」)粉末を併用した。ここで、基材樹脂に対するMgO粉末、AlN粉末、及びBN粉末の量を表1に示す量とした以外は実施例1と同様にして、第1の樹脂組成物及び試験片を作製した。得られた試験片の熱伝導率、絶縁耐性を測定した結果及び粘度の結果を表1に示した。
MgO粉末に代えてZnO粉末を採用するとともに、基材樹脂に対するZnO粉末及びAlN粉末の量を表1に示す量とした以外は実施例1と同様にして、第1の樹脂組成物及び試験片を作製した。得られた試験片の熱伝導率、絶縁耐性を測定した結果及び粘度の結果を表1に示した。
基材樹脂に対するAlN粉末の量を表2に示す量とし、MgO粉末は配合しなかった以外は実施例1と同様にして、第1の樹脂組成物及び試験片を作製した。得られた試験片の熱伝導率、絶縁耐性を測定した結果及び粘度の結果を表2に示した。
基材樹脂に対するMgO粉末の量を表2に示す量とし、AlN粉末は配合しなかった以外は実施例1と同様にして、第1の樹脂組成物及び試験片を作製した。得られた試験片の熱伝導率、絶縁耐性を測定した結果及び粘度の結果を表2に示した。
基材樹脂に対するMgO粉末、AlN粉末の量を表2に示す量とした以外は実施例1と同様にして、第1の樹脂組成物及び試験片を作製した。得られた試験片の熱伝導率、絶縁耐性を測定した結果及び粘度の結果を表2に示した。
MgO粉末に代えてAl2O3粉末を採用するとともに、基材樹脂に対するAl2O3粉末、AlN粉末の量を表2に示す量とした以外は実施例1と同様にして、第1の樹脂組成物及び試験片を作製した。得られた試験片の熱伝導率、絶縁耐性を測定した結果及び粘度の結果を表2に示した。
12 ・・・無機粉末(A)の粒子
Claims (2)
- 全構成粉末の体積の合計を100体積%として、
D50が0.5μm〜10μmの窒化アルミニウム粉末を20体積%〜50体積%と、
熱伝導率が45W/m・K〜60W/m・K、モース硬度が5以上7以下、D50が25μm〜80μmの無機粉末(A)を50体積%〜80体積%と
を含有することを特徴とする複合充填材。 - 請求項1に記載の複合充填材と樹脂とを含み、該複合充填材の含有量が50体積%〜80体積%である樹脂組成物。
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