JP6737819B2 - 窒化アルミニウム粒子 - Google Patents

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Description

本発明は、新規な形状の窒化アルミニウム粒子及びそれを含む窒化アルミニウム粉末、並びにその製造方法に関する。
窒化アルミニウムは、高い熱伝導性と優れた電気絶縁性とを有することから、放熱部材に充填される絶縁放熱用フィラーなどとして利用されている。
ところで、放熱部材の熱伝導率を向上させるためには、上記放熱部材中で高熱伝導性を有するフィラーが相互に接触し、熱伝導パスを形成することが重要である。良好な熱伝導パスを形成させる方法として、一般に、大粒径と小粒径の球状フィラーを併用し、上記フィラーを放熱部材中に高充填させることによって、上記フィラー同士の接触の機会を増やす方法が採用されている。一般に、上記大粒径フィラーとして要求される窒化アルミニウムの粒径は、10μm以上の粒径である。
窒化アルミニウムの粒径を大きくする方法としては、例えば、アルミナ粉末、カーボン粉末、及び共融解剤の混合物を、窒素と一酸化炭素の混合ガス雰囲気下において焼成して、上記アルミナ粉末を還元窒化する方法が知られている(WO2013/146894号公報)。共融解剤としては、例えば酸化イットリウム、酸化リチウム、酸化セリウム、酸化カルシウム等が用いられる。しかしながら、WO2013/146894号公報の方法では10μm以上の粒径を有する窒化アルミニウムを得ることは難しく、粒径の点において改良の余地があった。
また、10μm以上の粒径を有する窒化アルミニウムを得る方法としては、例えば、窒化アルミニウム粉末に焼結助剤、有機結合剤及び溶媒を添加混合した後、乾燥造粒して得られる球状造粒粉を焼成する方法が知られている(特開平3−295863号公報)。この方法により得られる窒化アルミニウムは、球状であり、粒径が80μm程度の大きさを有する。しかしながら、この方法により得られる窒化アルミニウムは、上記球状造粒粉の内部と外部との乾燥速度差に起因して、その内部に大きな空隙を有することがあり、また、焼成により窒化アルミニウム粒子同士が結合した多結晶構造となるため、焼成後の窒化アルミニウム粒子の表面には細かな凹凸が多数存在するようになる。それゆえ、得られた窒化アルミニウム粒子を用いて樹脂との成形体を得ようとして上記窒化アルミニウム粒子を樹脂に充填した際、上記空隙の存在に加え、上記窒化アルミニウム粒子と樹脂との界面に気泡が残存し易く、上記窒化アルミニウム粒子と樹脂とを含む樹脂組成物を成形して得られた成形体は絶縁耐性の低下を招くという問題を有していた。
従って、本発明の目的は、10μm以上の粒径を有する窒化アルミニウム粒子であって、樹脂に充填した際に該樹脂に安定して高い熱伝導性と優れた電気絶縁性を付与することができる窒化アルミニウム粒子を提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は以下の説明から明らかになろう。
本発明者等は、上記目的を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、アルミナ粉末、カーボン粉末、及び特定量の硫黄成分を含む原料混合物を、少なくとも還元窒化反応の前半において、反応雰囲気を特定のガス組成に制御することにより、還元窒化において得られる窒化アルミニウムをその内部に空隙を生じることなく大きく成長させることができ、しかも、六角柱状の胴部とその両端部に凸部とを有する従来に無い特徴的な形状の窒化アルミニウム粒子が得られることおよびかかる窒化アルミニウム粒子は、樹脂に充填した際、従来の球状粒子に比して優れた熱伝導性を発揮することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、六角柱状の胴部と、その柱状両端部のそれぞれの上の椀状の凸部とからなる形状の窒化アルミニウム粒子であって、上記胴部における長径(D)が10〜250μm、上記胴部の長径(D)に対する上記2つの凸部の頂点間の距離(L)の比(L/D)が0.7〜1.3、上記2つの凸部の頂点間の距離(L)に占める上記胴部の長さまたは厚み(L)の割合が10〜60%であることを特徴とする窒化アルミニウム粒子を提供するものである。
前記窒化アルミニウム粒子は、前記2つの凸部が、その一方又は両方の1部が平面となっていることが好ましく、また、該平面は、多角形状であることが更に好ましい。
また、前記窒化アルミニウム粒子は、粒子内に存在する、直径2μm以上の大きさの空隙が粒子1個について5個以下であることが好ましい。
本発明の窒化アルミニウム粒子は、後述する製造方法により、不定形、球状などの他の形状を有する窒化アルミニウム粒子を40容量%以上の割合で含む窒化アルミニウム粉末として得られる。かかる窒化アルミニウム粉末の態様においても、前記本発明の窒化アルミニウム粒子による効果を十分発揮することが可能である。
更に、本発明によれば、前記窒化アルミニウム粒子と樹脂とを含む樹脂組成物、該樹脂組成物よりなる成形体が提供される。
また、本発明は、上記窒化アルミニウム粉末の好適な製造方法をも提供するものである。即ち、本発明によれば、アルミナ粉末、カーボン粉末、及び硫黄成分を含む原料混合物を、窒素ガス雰囲気下で加熱してアルミナ粉末を還元窒化して窒化アルミニウム粉末を製造する方法において、少なくとも窒化率が3〜50%の範囲において、上記窒素ガス雰囲気を窒素ガス85〜55容量%と希釈ガス15〜45容量%との混合ガスとして上記還元窒化を行いそして還元窒化が終了後、生成した窒化アルミニウム粉末が酸化されない雰囲気下に、窒化還元の上記加熱温度の±30℃の範囲の温度を維持したまま、10時間以上保持することを特徴とする。
上記方法において、前記硫黄成分の使用量は、アルミナ粉末100重量部に対して、1.0〜20重量部であることが適当である。
図1は、本発明の窒化アルミニウム粒子の代表的な態様を示す概略図である。
図2は、実施例2において得られた窒化アルミニウム粒子の代表的な態様を示すSEM(Scanning Electron Microscope:走査型電子顕微鏡)写真である。
図3は、本発明の窒化アルミニウム粒子の他の態様の概略図である。
図4は、本発明の窒化アルミニウム粒子の他の態様の概略図である。
図5は、本発明の窒化アルミニウム粒子の他の態様の概略図である。
図6は、本発明の窒化アルミニウム粒子の他の態様の概略図である。
以下、本発明の窒化アルミニウム粒子及び該窒化アルミニウム粒子を含む窒化アルミニウム粉末、並びに窒化アルミニウム粉末の製造方法について詳細に説明する。
<窒化アルミニウム粒子>
窒化アルミニウム粒子の代表的な態様を示す概略斜視図である図1に示すように、本発明の窒化アルミニウム粒子1は、六角柱状の胴部2と、その柱状両端部にそれぞれ椀状の凸部3、3’とを有する形状を成した窒化アルミニウム粒子であることを特徴とする。
六角柱状とは、六角柱の形状を有することを意味する。ここで、六角柱は、六角形面が正六角形をなすか、あるいは正六角形の六つの角度が120°±20°の範囲にある六角形をなすものが好ましい。また、六角柱の2つの六角柱面は、同一または異なる六角形であることができる。さらに2つの六角柱面の六角形は大きさすなわち面積が同一であっても異なっていてもよい。異なるときには、最大10%の面積差の範囲にあるのが望ましい。
六角柱状の胴部とは、2つの六角柱面と共に六角柱を定義する6つの方形から形成されている。6つの方形は好ましくは互に隣接する方形と短辺で接続する長方形からなる。長方形は上記2つの六角柱面の六角形に依存して各辺の長さが変化する。長方形の短辺の長さに相当する胴部の厚み(L)は、約0.7〜195μmであり、1〜100μmが好ましく、3〜50μmがより好ましい。1つの粒子について長方形の短辺の長さが異なるときには、上記Lの値は平均値であると理解される。
本発明の窒化アルミニウム粒子において、上記胴部の形状は、上記のとおり、六角柱状であれば、特に限定されない。具体的には、完全な六角柱であることが最も好ましいが、六角柱の少なくとも一部の平面が維持される範囲で、角部が曲面もしくは平面に面取りされた形状、また、胴部の一部にくびれや出っ張りを有する形状であってもよい。これらの中でも、樹脂中において上記窒化アルミニウム粒子同士の接触面を大きくとることができることから、胴部がほぼ完全な六角柱状を成しているものが好ましい。
図3を参照すると、図3は、本発明の窒化アルミニウム粒子の他の態様の概略図である。この態様では、正面図(a)から、柱状の胴面は、ほぼ平面を形成しており、また平面図(b)から、柱状は、胴面を形成する6つのほぼ平面からなる方形で規定される六角形状を示していることがわかる。
図4を参照すると、図4は、本発明の窒化アルミニウム粒子の他の態様の概略図である。この態様では、正面図(a)から、柱状の胴面は、平面ではなく、柱状方向の中央部近辺では、平面からくぼんだ面を形成しており、また平面図(b)から、柱状は、胴部と接する凸部底面を規定する6つの方形で規定される六角形状を示していることがわかる。
図5を参照すると、図5は、本発明の窒化アルミニウム粒子の他の態様の概略図である。この態様では、正面図(a)から、柱状の胴面は、ほぼ平面を形成しており、また平面図(b)から、柱状は、胴面を形成する方形で規定される六角形状を示しており、凸部は、その中央部に平面部を有していることがわかる。なお、平面図(b)に現れていない他の凸部も中央部に平面部を有していることは、正面図(a)からわかる。
図6を参照すると、図6は、本発明の窒化アルミニウム粒子の他の態様の概略図である。この態様では、正面図(a)から、柱状の胴面は、ほぼ平面を形成しており、また平面図(b)から、柱状は、胴面を形成する方形で規定される六角形状を示しており、凸部は、その中央部に平面を有しており、その平面部分に向かって胴部の六角形状に沿って立ち上がって形成されていることがわかる。また、凸部の大きさは、胴部の長径よりも小さいこともわかる。
また、本発明の窒化アルミニウム粒子において、上記凸部の形状は、錐体形状、ドーム形状、錐台形状など特に限定されないが、好ましくは上記凸部の1部が平面であるものが好ましく、これにより、上記窒化アルミニウム粒子同士の接触面を増加することができるため好ましい。
本発明の窒化アルミニウム粒子は、更に、具体的に、以下のように特定される。即ち、上記胴部における長径(D)は10〜250μm、好ましくは10〜100μm、特に好ましくは20〜80μmである。さらに、上記胴部の長径(D)に対する、上記2つの凸部3,3’の頂点間の距離(L)の比(L/D)が0.7〜1.3、好ましくは0.8〜1.1であり、且つ、上記2つの凸部の頂点間の距離(L)に占める上記胴部の長さまたは厚み(L)の割合が10〜60%、好ましくは20〜60%、特に好ましくは25〜45%である。
胴部の長径(D)とは、六角柱面の対向する2つの角の角間の距離でありその3つの距離のうちの最大のものをいう。2つの角が2つの直線(上記長方形の長辺に相当する)の交差により明確に形成されていない場合には、2つの直線を伸ばして形成される角を上記角と見なして求められる距離をいうものとする。
上記窒化アルミニウム粒子は、L/Dの0.7〜1.3という値を有していることからわかるように、球状に近い長径と短径を有しているので、樹脂に充填した場合の配向性が低く、安定した熱伝導率を発揮することができるという効果も発揮する。
また、上記凸部の大きさは、上記胴部の長径よりも大きくても小さくても良い。上記窒化アルミニウム粒子が好ましい球状に近い形状を成すためには、上記胴部の長径に対する上記凸部の長径の比が0.8〜1.2であるのが好ましく、とりわけ0.9〜1.1であることが特に好ましい。
上記特徴的な形状を成す窒化アルミニウム粒子は、本発明において初めて提供されたもので、樹脂中において、その形状により従来の球状窒化アルミニウム粒子では達成できない優れた熱伝導性を発揮する。
また、本発明の窒化アルミニウム粒子は、その製造方法に起因し、粒成長により得られるため、その内部に空隙が少ないことも特徴の一つである。具体的には、上記窒化アルミニウム粒子が有する直径2μm以上の大きさの空隙は、上記窒化アルミニウム粒子1個あたり5個以下、特に、3個以下であることが好ましい。
なお、上記窒化アルミニウム粒子における六角柱状の胴部とその両端部に凸部とを有する構成は、後述の実施例に示すように、SEMによって確認することが出来る。
<窒化アルミニウム粉末>
本発明の窒化アルミニウム粒子は、後述の製造方法によって得ることができるが、その場合上記窒化アルミニウム粒子以外の窒化アルミニウムも一部生成するため、通常、該窒化アルミニウム粒子を含む窒化アルミニウム粉末として得られる。本発明の窒化アルミニウム粉末は、上記窒化アルミニウム粒子の前記特性を十分発揮するため、上記窒化アルミニウム粒子を40容量%以上、好ましくは、60容量%以上含有することが好ましい。勿論、公知の分級手段、例えば、篩を使用した分級方法等により、上記窒化アルミニウム粉末から上記窒化アルミニウム粒子以外の窒化アルミニウムを除去して分離し、占有率を上げることも可能である。
<窒化アルミニウム粒子の用途>
本発明の窒化アルミニウム粒子の用途は、特に限定されず、公知の用途に特に制限無く適用可能である。好適に使用される用途を例示するならば、電気絶縁性向上や熱伝導性付与等の目的で樹脂に充填剤として使用する用途が挙げられる。上記窒化アルミニウム粒子の用途において、該窒化アルミニウム粒子と樹脂とを含む樹脂組成物、該樹脂組成物を成形して得られる成形体は、高い電気絶縁性や熱伝導性を有する。
<樹脂>
本発明で使用される樹脂としては、例えばポリオレフィン、塩化ビニル樹脂、メタクリル酸メチル樹脂、ナイロン樹脂、フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ケイ素樹脂等の熱硬化性樹脂、および合成ゴムなどが挙げられる。
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、前記窒化アルミニウム粉末を、前記樹脂の種類に応じて、公知の混合装置により均一に混合し、前記樹脂中に前記窒化アルミニウム粒子を分散して存在せしめることによって得られる。上記混合装置としては、例えば、ロール、ニーダ、バンバリーミキサー、自転・公転ミキサー等の通常の混練機が好ましく使用される。
窒化アルミニウム粒子の割合は、窒化アルミニウム粒子の分散性、得られる成形体の熱伝導性や成形加工性などを勘案し決定される。例えば樹脂100重量部に対して好ましくは300〜1000重量部、更に好ましくは400〜800重量部であることができる。また、本発明の樹脂組成物には、本発明の優れた効果を著しく損ねない範囲で、前記窒化アルミニウム粒子及び樹脂以外の成分が含まれていてもよい。本発明の樹脂組成物に含まれていてもよい成分としては、例えば、前記窒化アルミニウム粒子以外の窒化アルミニウム、アルミナ、窒化ホウ素、酸化亜鉛、窒化ケイ素、炭化ケイ素、グラファイトなどのフィラーを一種、あるいは数種類充填してもよい。また、用途等に応じて、本発明の窒化アルミニウム粒子とそれ以外のフィラーの形状、平均粒径を選択することができる。
<成形体>
本発明の成形体は、樹脂として上述の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂を使用する場合に得ることができる。
本発明の成形体を成形する成形方法は、特に制限は無く、前記樹脂の種類に応じて、射出成形、トランスファ成形、押出成形、バルクモールディングコンパウンド成形、圧縮成形、溶剤等を用いたキャスティングによる成形法などの従来公知の成形方法が適宜採用される。
本発明の成形体の形状は、本発明の効果を著しく損なわない限り制限はない。具体的には、シート状、フィルム状、円盤状、矩形状等が挙げられる。
<窒化アルミニウム粉末の製造方法>
前記本発明の窒化アルミニウム粒子を含む窒化アルミニウム粉末の代表的な製造方法として、アルミナ粉末、カーボン粉末、及び硫黄成分を含む原料混合物を、窒素ガス雰囲気下で加熱して、アルミナ粉末を還元窒化する方法において、少なくとも窒化率が3〜50%の範囲において、窒素ガス85〜55容量%と希釈ガス15〜45容量%との混合ガスとして存在せしめて窒化を行い、還元窒化が終了後、生成した窒化アルミニウム粉末が酸化されない雰囲気下に、上記窒化還元の加熱温度の±30℃の範囲の温度を維持したまま、10時間以上保持することを特徴とする方法が挙げられる。
以下、上記方法を詳細に説明する。
≪出発原料≫
(アルミナ粉末)
前記原料の一成分であるアルミナ粉末としては、例えばα−アルミナ、γ−アルミナ等の公知のものが使用できる。このうち、α−アルミナが特に好適に使用される。その純度は99.0重量%以上が好ましく、99.5重量%以上がより好ましい。また、平均粒径は、0.5〜50μmが好ましく、1μm〜30μmのものがさらに好適である。
(カーボン粉末)
本発明の窒化アルミニウム粉末の製造方法において、還元剤として作用されるカーボン粉末としては、例えばファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック等の公知のものが使用できる。その平均粒径は、100nm以下が好適であり、50nm以下のものがより好適である。さらに、カーボン粉末のDBP吸油量は、50〜150cm/100gが好ましく、70〜130cm/100gのものがより好適である。
また、本発明の窒化アルミニウム粉末の製造方法において、本発明の効果を損なわない範囲で、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の合成樹脂縮合物や、ピッチ、タール等の炭化水素化合物や、セルロース、ショ糖、でんぷん、ポリ塩化ビニリデン、ポリフェニレン等の有機化合物などをカーボン源として用いることができる。
(硫黄成分)
本発明の窒化アルミニウム粉末の製造方法において、硫黄成分は、後に詳述する還元窒化反応における雰囲気を調整する操作時に作用して本発明の窒化アルミニウム粒子を生成するために必要な成分である。硫黄成分は原料のアルミナ粉末と共融解可能なものであれば、その化合物種は特に限定されない。例えば、硫黄単体や、硫化アルミニウム、硫化窒素、チオ尿酸等の硫黄化合物を挙げることができる。また、上記硫黄成分は、単独で或いは複数のものを混合して使用してもよい。また、硫黄成分は、元々カーボン粉末に含まれる場合があり、かかる硫黄成分も、本発明の硫黄成分の一部として作用する。
≪原料混合工程≫
本発明の窒化アルミニウム粉末の製造方法において、カーボン粉末は、過剰量で用いると、アルミナ粒子同士の接触を抑制して粒成長を妨げるので、得られる窒化アルミニウム粒子の粒径が微小化する傾向となる。そのため、カーボン粉末の量は、アルミナ粉末100重量部に対して、好ましくは36〜200重量部、より好ましくは40〜100重量部の範囲で用いられる。
また、本発明の窒化アルミニウム粉末の製造方法において、アルミナ粉末及びカーボン粉末を含む原料混合物中に存在する硫黄成分の量は、前記アルミナ粉末100重量部に対して、硫黄元素として1.0〜20重量部が好ましい。揮散した硫黄が還元窒化反応炉の内壁を腐食する原因となる虞があることから上記硫黄成分の量は少ない方が好ましく、2.5〜10重量部であることがより好ましい。前記硫黄成分の使用量は、前記カーボン粉末に含まれる硫黄の量、及び原料混合物中に添加する硫黄粉末及び/又は硫黄化合物の量を勘案してそれらの量を適宜調整することにより硫黄成分の上記範囲を満足させることができる。前記カーボン粉末に含まれる硫黄の量を勘案して上記範囲を満足させる場合、上記範囲内になるようにカーボン粉末の使用量を調整してもよいし、硫黄含有量の多いカーボン粉末と硫黄含有量の少ないカーボン粉末とを使用し、上記範囲内になるように混合割合を調整してもよい。
上記原料混合物の混合する方法としては、これらを均一に混合することが可能な方法であれば特に限定されない。混合するために、例えば振動ミル、ビーズミル、ボールミル、ヘンシェルミキサー、ドラムミキサー、振動攪拌機、V字混合機等の混合機が使用可能である。
≪還元窒化工程≫
本発明の窒化アルミニウム粉末の製造方法は、前記アルミナ粉末、カーボン粉末、及び硫黄成分を含む原料混合物を、窒素ガス雰囲気下で加熱してアルミナ粉末を還元窒化する方法であり、少なくとも窒化率が3〜50%の範囲において、上記窒素ガス雰囲気を、窒化ガス85〜55容量%と希釈ガス15〜45容量%との混合ガスとして還元窒化を行い、そして還元窒化が終了後、生成した窒化アルミニウム粉末が酸化されない雰囲気下に、上記還元窒化の加熱温度±30℃の範囲の温度を維持したまま、10時間以上保持することを特徴とする。
本発明の窒化アルミニウム粉末の製造方法において、前記加熱温度としては還元窒化反応が進行する温度が採用され、例えば、1500〜2000℃の温度範囲が好ましい。
本発明の窒化アルミニウム粉末の製造方法において、前記希釈ガスは、窒素ガス雰囲気における窒素ガスの存在割合を調製する目的でその雰囲気に存在せしめるガスであり、前記希釈ガスには、原料混合物から発生する一酸化炭素ガスが含まれる。前記希釈ガスの種類としては、例えば、一酸化炭素単独や、一酸化炭素とアルゴンなどの不活性ガスとの混合ガスを好ましいものとして挙げることができる。
上記方法において、還元窒化反応は、原料混合物を収納する反応容器中に窒素ガスを流通させて行うことが好ましい。この場合、該原料混合物が存在する窒素ガス雰囲気の希釈ガスの存在割合は、反応器より排出される排ガスのガス組成を測定することにより確認することができる。また、原料のアルミナ粉末の窒化率は、反応容器内の反応物をサンプリングして確認することができる。なお、反応容器内は高温であり、サンプリングが困難な場合は、同じ条件での還元窒化反応を所定時間で止め、反応物を取り出して窒化率を測定することにより、該反応における窒化率を確認することができる。
前記アルミナ粉末の窒化率が50%に満たない時点で、前記希釈ガスの割合が15容量%未満となると、還元窒化反応が速くなりすぎて、十分な粒成長ができず、大粒径化はもとより、本発明の前記特徴的形状の窒化アルミニウム粒子を得ることが困難となる。また、前記希釈ガスの割合が、45容量%より多い場合には、還元窒化反応が過度に抑制されて還元窒化反応に長時間かかり工業的で無いばかりでなく、凸部を持たない六角柱状の窒化アルミニウムが得られたり、未反応のアルミナ粉末が残存したりすることが多くなる。
本発明において、反応容器内の窒素ガス雰囲気中の希釈ガスの割合の調製方法としては、(1)窒素ガスに別途調製した希釈ガスを所定量混合して混合ガスを調製し、これを、原料混合物が、例えば、上面が開口したカーボン容器、所謂、セッターに収納して配置された反応容器に供給する方法、(2)反応容器内に流通させる窒素ガスの流れに対して、原料混合物より上流側に、アルミナ粉末とカーボン粉末との混合物を置き、該混合物の還元窒化によって生成する一酸化炭素によって原料混合物に供給される窒素ガス中の一酸化炭素ガスの濃度を調製する方法、(3)前記セッターに、比較的厚い層を形成するように原料混合物を収納して、前記セッター内に窒素ガスを供給し、上記層の内部への窒素ガスの拡散量を制御することによって、窒素ガス雰囲気における一酸化炭素希釈ガスの割合を調製した雰囲気を形成する方法、などが挙げられる。
いずれの方法においても、前記反応容器内における窒素ガス雰囲気における希釈ガスの割合は、原料混合物から発生する一酸化炭素ガスの量を勘案して調製される。
そのうち、(2)の方法において、原料混合物より上流側に置くアルミナ粉末とカーボン粉末との混合物の使用量は、予め生成する一酸化炭素ガスの変化量を確認して、前記濃度を満足する使用量に決定される。一般に、上記使用量は、原料混合物のアルミナ粉末とカーボン粉末の割合の範囲内で調製された、アルミナ粉末とカーボン粉末との混合物について、アルミナ粉末を基準として、原料混合物の0.7〜1.3倍の比率となる量である。
また、この(2)の方法においては、還元窒化反応の初期段階で、一酸化炭素ガスの供給量が不足し、一酸化炭素ガスの割合が15容量%未満となる状態が一時的に生じる場合があるが、本発明においては窒化率が3%まで、好ましくは、5%までは、かかる状態が許容されることを確認している。
従って、窒素ガスに15〜45容量%の一酸化炭素ガスを存在せしめる窒化率の範囲の下限は、3%とすることができる。勿論、還元窒化反応の開始時から上記一酸化炭素ガスの割合を維持することが最も好ましい。
また、(3)の方法において、セッター内の原料混合物の厚みは、50mm以上、特に70mm以上とすることが、セッター内部の空間部に窒素ガスが浸入して還元窒化が進行した場合における希釈ガスの存在割合を前記範囲に調製するために好ましい。また、前記原料混合物の厚みがあまり厚い場合は、窒素ガスが供給され難くなるため、該厚みの上限は、200mm以下、特に、150mm以下とすることが好ましい。
本発明の製造方法において、前記アルミナ粉末の窒化率が50%を超えた後は、希釈ガスの供給を止めるか、少なくすることにより、前記希釈ガスの割合は15容量%未満とすることもできるし、そのままの条件で窒化を終了してもよい。
本発明の製造方法において、上記還元窒化が終了後、生成した窒化アルミニウム粉末が酸化されない雰囲気下に、好ましくは、還元窒化反応終了時の雰囲気下に、前記還元窒化の加熱温度±30℃の範囲の温度で、少なくとも10時間以上、好ましくは、15時間以上保持することが、前記特徴的形状を有する窒化アルミニウム粒子を得るために必要である。また、上記保持時間は、あまり長過ぎると工業的に不利となるばかりでなく、前記特徴的形状が失われる虞があるため、50時間以内、特に、30時間以内とすることが好ましい。
本発明の還元窒化工程は、反応雰囲気制御の可能な公知の装置を使用して行うことができる。装置としては、例えば、高周波誘導加熱やヒーター加熱により加熱処理を行う雰囲気制御型高温炉が挙げられる。その他バッチ炉、プッシャー式トンネル炉、竪型炉等の連続窒化反応炉などを使用することができる。
≪酸化工程≫
本発明の窒化アルミニウム粉末の製造方法において、還元窒化反応後の窒化アルミニウム粉末は余剰のカーボン粉末を含んでいるため、必要に応じて、酸化処理により余剰カーボン粉末を除去するのが好ましい。酸化処理を行う際の酸化性ガスとしては、空気、酸素、二酸化炭素など、炭素を除去できるガスならば制限なく採用できる。また、処理温度は一般的に500℃〜900℃が好ましい。
以下、本発明を更に詳細に説明するため実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例で使用した各種原料の物性を以下に示す。
・アルミナ粉末
α−アルミナ:平均粒径 1.183μm
・カーボン粉末
カーボン粉末A:平均粒径 19nm、DBP吸収量 116cm/100g、含有硫黄量 210ppm
カーボン粉末B:平均粒径 20nm、DBP吸収量 115cm/100g、含有硫黄量 3000ppm
・硫黄成分
硫黄粉末:純度 98%以上
また、実施例及び比較例における各種物性は、下記の方法により測定した。
(1)窒化アルミニウム粒子の粒径
倍率2000倍または100倍のSEM(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、TM3030)観察像から本発明の窒化アルミニウム粒子を選び、該窒化アルミニウム粒子の胴部における直径(D)、凸部の頂点間の距離(L)、及び胴部の長さ(L)を測定した。また、上記胴部の直径(D)に対する上記凸部の頂点間の距離(L)の比(L/D)及び上記凸部の頂点間の距離(L)に占める上記胴部の長さ(L)の割合を算出した。
(2)窒化アルミニウム粉末中に含まれる本発明の窒化アルミニウム粒子の割合
倍率2000倍または100倍のSEM観察像から上記窒化アルミニウム粒子とそれ以外とを選別して、上記窒化アルミニウム粒子とそれ以外とをすべて球状と近似し、観察視野内の上記窒化アルミニウム粒子について胴部における直径(D)の測定値より体積を求め、観察視野内の上記窒化アルミニウム粒子とそれ以外とからなる窒化アルミニウム粉末の体積に対する上記窒化アルミニウム粒子含有容量%を求めた。
(3)窒化アルミニウム粒子中に存在する空隙
前記窒化アルミニウム粒子を含む窒化アルミニウム粉末をエポキシ樹脂に充填し、該樹脂を金型体に注型し、熱プレスにより硬化させ、厚さ100μmのシートを作製した。
前記シートを断面加工装置により上記シート厚方向の断面観察試料を作成し、倍率2000倍または100倍のSEM観察像から前記窒化アルミニウム粒子を無作為に5個選び、直径2μm以上の大きさの空隙の数をカウントした。粒子1個当りの空隙数の平均値で表した。
(4)熱伝導率
樹脂組成物を、試験片に成形し、熱拡散率、密度、及び比熱から、下記式に基づき求めた。
熱伝導率=熱拡散率×密度×比熱
なお、熱拡散率は、レーザーフラッシュ法にて、密度は、アルキメデス法にて、また、比熱は、DSC法にてそれぞれ測定を行った。
(5)絶縁耐性
試験片破壊に至る一定昇圧速度(2kV/sec)で破壊電圧(BDV)を求める短時間法により測定を行った。
(6)窒化アルミニウム窒化率
X線回折(CuKα)にて、窒化アルミニウム(AlN)のピーク(32.2°)とアルミナ成分(α−アルミナ)のピーク(43.5°)のピークの比より検量線法を用いて下記式(1)により求めた。その他の成分が含まれる場合は、その成分の主要ピークを選択し、式(1)の分母に加えた。
窒化アルミニウム窒化率(%)=窒化アルミニウムピーク強度/(窒化アルミニウムピーク強度+アルミナピーク強度)×100 (1)
実施例1
アルミナ粉末100重量部及びカーボン粉末50重量部からなる混合物に、該混合物内の硫黄成分量が上記アルミナ粉末100重量部に対し2.5重量部となるように硫黄粉末を添加し、これらが均一に混合されるまで振動式攪拌機により混合し、原料混合物を得た。
上記原料混合物を、カーボン製のセッターに、50mm厚となるように収納し、窒素を流通可能な反応容器内にセットし、窒素ガスを流通させながら、加熱温度1750℃で還元窒化を行った。
その際、上記反応装置に流通させる窒素ガスには、反応容器からの排ガスの一酸化炭素ガスの割合が、23容量%となるように、一酸化炭素ガスを混合した。
上記条件下で、5時間、7時間経過後にそれぞれ反応生成物の窒化率を測定したところ、5時間で90%、7時間で約100%に達していた。
その後、一酸化炭素の供給を止め、加熱温度を維持したまま、13時間保持して、反応容器より反応生成物を取り出した。
次いで、上記反応生成物を、大気雰囲気において700℃で、5時間加熱して未反応のカーボン粉末を燃焼除去し、窒化アルミニウム粉末を得た。
得られた窒化アルミニウム粉末について、該窒化アルミニウム粉末中に含まれる本発明の特徴的な形状を有する窒化アルミニウム粒子の割合は90容量%であった。窒化アルミニウム粒子の粒径に係る前記測定方法により上記窒化アルミニウム粒子の粒径を測定し、上記窒化アルミニウム粒子全体の平均粒径を算出した。また、該窒化アルミニウム粒子において代表的な大きさ及び形状を有する窒化アルミニウム粒子(粒子A、B、C)を選択し、それらの粒径を測定した。結果を表2に示す。
また、前述の方法にて、上記窒化アルミニウム粉末中に含まれる窒化アルミニウム粒子の粒径及び割合、並びに窒化アルミニウム粒子中に存在する空隙を測定した。結果を表2に示す。
実施例2
実施例1における原料組成を表1に記載の割合とした以外は、実施例1と同様にして窒化アルミニウム粉末を得た。得られた窒化アルミニウム粉末を前述の方法にて、上記窒化アルミニウム粉末中に含まれる窒化アルミニウム粒子の粒径及び割合、並びに窒化アルミニウム粒子中に存在する空隙を測定した。結果を表2に示す。なお、本実施例で得た窒化アルミニウム粒子のSEM写真を図2に示す。
実施例3
実施例1における原料組成を表1に記載の割合とした以外は、実施例1と同様にして窒化アルミニウム粉末を得た。得られた窒化アルミニウム粉末を前述の方法にて、上記窒化アルミニウム粉末中に含まれる窒化アルミニウム粒子の粒径及び割合、並びに窒化アルミニウム粒子中に存在する空隙を測定した。結果を表2に示す。
実施例4
実施例1における原料組成を表1に記載の割合とした以外は、実施例1と同様にして窒化アルミニウム粉末を得た。得られた窒化アルミニウム粉末を前述の方法にて、上記窒化アルミニウム粉末中に含まれる窒化アルミニウム粒子の粒径及び割合、並びに窒化アルミニウム粒子中に存在する空隙を測定した。結果を表2に示す。
実施例5
実施例1における原料組成を表1に記載の割合とした以外は、実施例1と同様にして窒化アルミニウム粉末を得た。得られた窒化アルミニウム粉末を前述の方法にて、上記窒化アルミニウム粉末中に含まれる窒化アルミニウム粒子の粒径及び割合、並びに窒化アルミニウム粒子中に存在する空隙を測定した。結果を表2に示す。
実施例6
前記窒化アルミニウム粒子を含む窒化アルミニウム粉末をフィラーとし、樹脂としてエポキシ樹脂を用いて、成形体を作成した。
具体的には樹脂としてエポキシ樹脂(三菱化学株式会社jER828)100重量部と硬化剤(イミダゾール系硬化剤、四国化成工業株式会社製キュアゾール2E4MZ)5重量部との混合物を準備した。次に、本発明の製造方法により得られた平均粒径22μmの窒化アルミニウム粒子を70容量%含む窒化アルミニウム粉末633重量部を上記混合物中に添加し、乳鉢にて混合して樹脂組成物を作製した。
得られた樹脂組成物の一部を金型体に注型し、熱プレスを使用し、温度:100℃、圧力:20MPa、保持時間:2時間の条件で硬化させ、直径10mm、厚さ1mmの試験片を作製し、レーザーフラッシュ法熱物性測定装置(京都電子製LFA−502)を用いてレーザーフラッシュ法による熱伝導率を測定した。
また、得られた樹脂組成物の一部に、2―メトキシエタノールを添加し、乳鉢にて混合後、スラリーを得た。得られたスラリーを真空脱泡した後、バーコーターによりPETフィルムの上に塗布し、80℃の条件にて乾燥した後、2MPa、120℃、30分間の条件で熱プレスにより硬化した。硬化後、PETフィルムを剥がし、厚み約100μmのシート状成形体を得た。得られたシート状成形体の絶縁耐圧を絶縁耐電圧測定器(多摩電測株式会社製THK−5031AMP)を用いて測定した。結果を表3に示す。
比較例1
実施例1における原料組成を表1に記載の割合とした以外は、実施例1と同様にして窒化アルミニウム粉末を得た。
得られた窒化アルミニウム粉末をSEMにより観察した結果、上記粉末の大部分が板状の窒化アルミニウムであり、本発明の窒化アルミニウム粒子は含まれなかった。
比較例2
実施例1における原料組成を表1に記載の割合とした以外は、実施例1と同様にして窒化アルミニウム粉末を得た。
得られた窒化アルミニウム粉末をSEMにより観察した結果、上記粉末の大部分が粒成長していない小粒径の窒化アルミニウムであり、本発明の窒化アルミニウム粒子は含まれなかった。
比較例3
実施例6の樹脂100重量部に対して、平均粒径22μmの球状窒化アルミニウム(株式会社トクヤマ製)を70容量%含む窒化アルミニウム粉末633重量部をフィラーとして使用した以外は、実施例6と同様にし、得られた成形体の熱伝導率と絶縁耐圧を測定した。結果を表3に示す。
Figure 0006737819
Figure 0006737819
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発明の効果
本発明の窒化アルミニウム粒子は、前記したように、大粒径であり、且つ、六角柱状の胴部と、その両端部に椀状の凸部とを有する特徴的な形状を有するものである。この粒子はフィラーとして樹脂に充填した際、上記六角柱状の平面により、窒化アルミニウム粒子間の接触が面接触となる機会が増加し、従来の球状の粒子に比して、前記成形体における熱伝導性を向上せしめることができる。また、上記窒化アルミニウム粒子は球状に近い長径と短径との比を有しているため、流動性が良好であり、樹脂に対して良好な混練性を発揮する。
特に、好ましい態様として挙げた、凸部に少なくとも1つの平面を有する粒子は、かかる熱伝導性をより向上させることが可能である。
また、本発明の窒化アルミニウム粒子は、その製造方法に起因して、粒子内部に空隙が出来難く、好ましい態様として具体的に示す粒子内に存在する、直径2μm以上の大きさの空隙が5個以下の窒化アルミニウム粒子は、これを充填して得られる樹脂に、高絶縁耐力を付与することができる。

Claims (9)

  1. 六角柱状の胴部と、その柱状両端部のそれぞれ上の椀状の凸部とからなる形状の窒化アルミニウム粒子であって、上記胴部における長径(D)が10〜250μm、上記胴部の長径(D)に対する上記2つの凸部の頂点間の距離(L)の比(L/D)が0.7〜1.3、上記2つの凸部の頂点間の距離(L)に占める上記胴部の長さまたは厚み(L)の割合が10〜60%であることを特徴とする窒化アルミニウム粒子。
  2. 前記凸部の1部が平面である請求項1に記載の窒化アルミニウム粒子。
  3. 前記窒化アルミニウム粒子内に存在する、直径2μm以上の大きさの空隙が粒子1個について5個以下である請求項1又は2に記載の窒化アルミニウム粒子。
  4. 請求項1から3の何れか一項に記載の窒化アルミニウム粒子を40容量%以上含む窒化アルミニウム粉末。
  5. 請求項1から3の何れか一項に記載の窒化アルミニウム粒子と樹脂とを含む樹脂組成物であって、該樹脂組成物中の窒化アルミニウム粒子の割合が、上記樹脂100重量部に対して、300〜1000重量部である樹脂組成物。
  6. 前記樹脂が熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂である請求項5に記載の樹脂組成物。
  7. 請求項5または6に記載の樹脂組成物よりなる成形体。
  8. アルミナ粉末、カーボン粉末、及び硫黄成分を含む原料混合物を、窒素ガス雰囲気下で加熱してアルミナ粉末を還元窒化して窒化アルミニウム粉末を製造する方法において、少なくとも窒化率が3〜50%の範囲において、上記窒素ガス雰囲気を、窒素ガス85〜55容量%と希釈ガス15〜45容量%との混合ガスとして上記還元窒化を行い、そして還元窒化が終了後、生成した窒化アルミニウム粉末が酸化されない雰囲気下に、上記還元窒化の加熱温度±30℃の範囲の温度を維持したまま、10時間以上保持することを特徴とする窒化アルミニウム粉末の製造方法。
  9. 前記硫黄成分の使用量が、アルミナ粉末100重量部に対して、1.0〜20重量部である請求項8に記載の窒化アルミニウム粉末の製造方法。
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