JP6745521B2 - 酸化マグネシウム粒子及びその製造方法、並びに放熱材料 - Google Patents

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Description

本発明は、酸化マグネシウム粒子及びその製造方法、並びに放熱材料に関する。
近年、半導体デバイスの作動を確実し、且つ半導体デバイスの寿命を保つために、半導体デバイスの作動中に発生した熱を素早く放熱させる方法が講じられている。
放熱材料としては、各金属元素の酸化物、炭化物、窒化物等が用いられている。これらの中でも、大気条件下で安定である金属元素の酸化物が、樹脂バインダーによって成型物として形成され、半導体デバイスの放熱部材に用いられている。半導体デバイス封止用の樹脂組成物に用いる放熱フィラーとしては、金属元素の酸化物である、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム(アルミナ)、二酸化ケイ素(シリカ)等が知られている。
これらの放熱フィラーを樹脂バインダーにて、成型して、半導体デバイスの放熱部品とする。放熱部材として用いる際には、熱伝導性を高めるため、樹脂バインダー中の充填率を高くすることが必要であるが、放熱フィラーの粒型、粒子の比表面積、粒子の比重等が充填率に影響を与えることが知られている。
酸化マグネシウムは、最も熱伝導率が大きく、絶縁性も良好で、比較的低硬度であることから、放熱フィラーへの適用材料として期待されている。例えば、酸化マグネシウムはボールミルで粉砕して、粉末化したものが放熱フィラーして用いられるが、酸化マグネシウムの破砕体は、比表面積が高く、充填性が低く、成型も容易でなく、熱伝導度も低い。
また、比表面積が高いために、当該破砕体は大気中の水分と反応して、水酸化物となり易く、絶縁性能等に悪影響を与える。
さらに、アルミナ(α−Al)は、硬度が高く、放熱フィラーとして、樹脂バインダーと混練(エクストルーダー混練)して加圧、加熱成型(インジェクション成型)する場合に、金型の摩耗、損傷を招くことが知られている。加えて、アルミナの熱伝導率は、酸化マグネシウムの熱伝導率と比較すると、3分の1程度であることが知られている。
例えば、特許文献1には、水酸化マグネシウムを焼成して得られる、比表面積が10m/g以上の棒状の酸化マグネシウムが記載されている。
特開2014−152094号公報
しかしながら、特許文献1に記載の酸化マグネシウム粒子は、比表面積が10m/g以上と高く、且つ棒状の粒子であり、球状の酸化マグネシウム粒子はこれまで報告されていない。
また、酸化マグネシウムは、融点が2800℃と非常に高く、溶融によって球状の酸化マグネシウム粒子を作製することは困難である。
本発明の目的は、比表面積が低く、放熱フィラーとしての充填性を向上させ、成型物の熱伝導率が高い球状の酸化マグネシウム粒子及びその簡便な製造方法、並びに放熱材料を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、酸化マグネシウム原料を特定の溶媒に分散させて分散液を得て、次いで分散液に、非集光レーザーを照射することにより、比表面積が低く、且つ、球状である酸化マグネシウム粒子が得られることを見出した。本発明は、このような知見に基づき、さらに研究を重ね、完成させたものである。
即ち、本発明は、以下の項を包含する。
項1. 球状であり、且つ、比表面積が1m/g以下である、酸化マグネシウム粒子。
項2. 平均粒子径が0.5μm〜10μmである、項1に記載の酸化マグネシウム粒子。
項3. 熱伝導率が80W/m・K以上である、項1又は2に記載の酸化マグネシウム粒子。
項4. モース硬度が4.0〜6.0である、項1〜3のいずれかに記載の酸化マグネシウム粒子。
項5. 項1〜4のいずれかに記載の酸化マグネシウム粒子を含む放熱材料。
項6. 項1〜4のいずれかに記載の酸化マグネシウム粒子の製造方法であって、
酸化マグネシウム原料を溶媒に分散させて分散液を得る工程、及び
前記分散液に、非集光レーザーを照射する工程
を備える、製造方法。
項7. 酸化マグネシウム原料が、溶融マグネシア又は仮焼マグネシアである、項6に記載の酸化マグネシウム粒子の製造方法。
項8. 前記溶媒が、アルコールを含む溶媒である、項6又は7に記載の酸化マグネシウム粒子の製造方法。
本発明によれば、比表面積が低く、放熱フィラーとしての充填性を向上させ、成型物の熱伝導率に優れた球状の酸化マグネシウム粒子及びその製造方法、並びに放熱材料を提供することができる。
実施例1で得られた酸化マグネシウム粒子をSEMで撮像することにより得られたSEM写真である。 実施例2で得られた酸化マグネシウム粒子をSEMで撮像することにより得られたSEM写真である。 実施例3で得られた酸化マグネシウム粒子をSEMで撮像することにより得られたSEM写真である。 比較例1で得られた海水マグネシア粉末をSEMで撮像することにより得られたSEM写真である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
本発明は、酸化マグネシウム粒子及びその製造方法、並びに放熱材料を包含する。
1.酸化マグネシウム粒子
本発明の酸化マグネシウム粒子は、球状であり、且つ、比表面積が1m/g以下である。
酸化マグネシウム粒子とは、酸化マグネシウムの一次粒子が凝集して形成された凝集体(二次粒子)を意味する。酸化マグネシウム粒子は、例えば、粉体状である。
酸化マグネシウムの一次粒子は、非晶質であり、平均粒子径が1.0μm〜10μmである。
上記平均粒子径の測定方法としては、特に限定されないが、例えば、レーザー回折散乱法による粒度測定法が挙げられる。
粉体状の酸化マグネシウム粒子が球状に形成されるために、比表面積が小さくなり、放熱性が優れる。また、比表面積が小さいと水和が起こりにくく、絶縁性能の低下が起こりにくい。
本発明に係る球状の酸化マグネシウム粒子は、真比重が高い。真比重とは、空隙を含まない実単位体積あたりの重量を意味し、例えば、セイシン企業製オートトゥルーデンサーMAT−7000(自動湿式真比重測定装置)によって測定できる。
酸化マグネシウム粒子は、放熱性及び樹脂バインダー中の充填性を高める観点から、比表面積が1m/g以下であり、好ましくは0.1〜1m/g、さらに好ましくは0.3〜1m/gである。
比表面積とは、単位重量当りの表面積で、その表面積の測定をBET法で行なったものである。
酸化マグネシウム粒子の平均粒子径は、放熱性及び製造安定性の観点から、0.5μm〜10μmであることが好ましく、0.5μm〜5μmであることがさらに好ましく、0.5μm〜1μmであることが特に好ましい。
酸化マグネシウム粒子の熱伝導率は、放熱性を高める観点から、80W/m・K以上であることが好ましく、100W/m・K以上であることがさらに好ましい。
上記熱伝導率の測定方法としては、特に限定されないが、例えば、ホットワイヤ法熱伝導率測定方法が挙げられる。
酸化マグネシウム粒子のモース硬度は、半導体デバイスの放熱部材の成型時の金型の摩擦を防止する観点から、4.0〜6.0であることが好ましく、5.0〜6.0であることがさらに好ましい。
上記モース硬度の測定方法としては、特に限定されないが、例えば、モース硬度計によって測定できる。
本発明の酸化マグネシウム粒子の用途は限定的ではないが、放熱材料、例えば、電気機器材料、回路素子材料、半導体材料、能動素子材料、非線形素子材料、交換素子材料、オプトエレクトロニクス材料等の部品として熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂をバインダーとして成型加工に供される熱伝導性フィラーとして有用である。
また、本発明の酸化マグネシウム粒子は、比表面積が1m/g以下と低いため、樹脂バインダー中へフィラーを充填する際の充填率を高くすることができ、充填率を80%以上とすることができる。
充填率は、フィラーと樹脂バインダーとを混練した際の、フィラーと樹脂バインダーとの重量配合比から計算することができる。
本発明において使用できる熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂は、エンジニアリグ樹脂であり、具体的には以下の通りである。
例えば、熱硬化性樹脂としては、フェーノール樹脂(ノボラック型)、エポキシ樹脂(脂肪族系、芳香族系、硬化剤としてアミン系常温硬化加熱硬化の酸無水物系)熱硬化性ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、熱可塑性ポリイミド、ナイロン各種のタイプ、PEEK樹脂、ポリカーボネート樹脂、PPS、PPE等が挙げられる。
フィラー及びバインダーとしては、高熱伝導性複合成型物のエポキシ樹脂が主に使用できる。
2.酸化マグネシウム粒子の製造方法
本発明の酸化マグネシウム粒子の製造方法は、(1)酸化マグネシウム原料を溶媒に分散させて分散液を得る工程1、及び(2)当該分散液に、非集光レーザーを照射する工程2を備える、製造方法である。以下、各工程について説明する。
(工程1)
工程1は、酸化マグネシウム原料を溶媒に分散させて分散液を得る工程である。
分散液は、通常、酸化マグネシウム原料を溶媒に添加した後の溶液を、マグネットスターラー等の攪拌装置を使用し、10分程度撹拌することで得ることができる。
分散液中の酸化マグネシウム粒子は、非集光レーザー照射し易さの観点から、均一に上下に分散していることが好ましい。
酸化マグネシウム原料としては、製造安定性の観点から、溶融マグネシア又は仮焼マグネシアが好ましい。
溶融マグネシアは、例えば、炭酸マグネシウムを溶融することにより得られる。
溶融マグネシアは、例えば、複数個のペリクレース結晶子が凝集した粉体を含んでいる。
溶融マグネシアを溶媒に分散させる際には、分散性向上の観点から、溶融マグネシアをボールミルで粉砕して、平均粒子径を5.0〜15.0μmの範囲内にすることが好ましい。
仮焼マグネシアは、例えば、水酸化マグネシウムを600〜1000℃に加熱することにより得られる。
水酸化マグネシウムとしては、例えば、天然に存在するブルーサイト石を用いてもよく、海水を原料として合成される海水マグネシアを用いてもよい。
海水マグネシアは、例えば、海水に石灰乳を添加し、水酸化マグネシウムを沈降させて得ることができる。
溶媒としては、アルコールを含む溶媒であることが好ましい。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール等の炭素数1〜4の一価アルコール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール等が挙げられる。これらの中でも、所望の酸化マグネシウム粒子を製造しやすい観点から、エタノールが好ましい。
溶媒には、水和反応を防止する観点から、フェノール樹脂を含んでいてもよい。
溶媒に溶解したフェノール樹脂は、非集光レーザーの照射により、空気を遮断した還元雰囲気であるために、酸化マグネシウム粒子の表面で炭素化すると考えられる。そして、酸化マグネシウム粒子の表面に形成された炭素層により、粒子がコーティングされることで、酸化マグネシウムの水和反応が防ぐことが推測される。
フェノール樹脂としては、例えば、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、キシレン樹脂変性レゾール型樹脂、ロジン変性フェノール樹脂が挙げられる。これらの中でも、水和反応を防止する観点から、ノボラック型フェノール樹脂が好ましい。
(工程2)
工程2は、工程1で得られた分散液に、非集光レーザーを照射する工程(以下、非集光レーザー照射工程ともいう)である。
非集光レーザー照射工程を行うことで、分散液中の酸化マグネシウムの表面に強固な酸化被膜を有する球状の酸化マグネシウム粒子が形成される。
非集光レーザーを照射した後に、例えば、濾過等の処理を行うことにより、溶媒を除去し、酸化マグネシウム粒子を分離することができる。分離した酸化マグネシウム粒子を乾燥させることにより、粉体状の酸化マグネシウム粒子が得られる。
上記球状の酸化マグネシウム粒子は、その表面に強固な酸化被膜が形成されているため、酸化マグネシウム粒子の水和反応による水酸化マグネシウム粒子の形成を防ぐことができる。
上記非集光レーザーとしては、微小な粒子でも球状に形成できることから、出力(ワット数)が高いこと好ましく、パルス幅が短いことが好ましい。例えば、出力は3W程度、パルス幅は13ns程度が好ましい。
非集光レーザーの波長は、酸化マグネシウム原料に非集光レーザーのエネルギーを吸収させる観点から、193nm〜355nmが好ましい。
非集光レーザーには、YAGレーザー、エキシマレーザーなど公知のものを使用することができるが、紫外領域に発振波長を有するレーザーを用いることが好ましい。このようなものとして、ArCl、ArF、KrCl、KrF、XeF等のエキシマレーザーを使用することができる。
非集光レーザーの照射時間は、球状の酸化マグネシウム粒子の形成し易さの点から、30分〜120分が好ましく、60分〜120分がより好ましい。
以下、実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらのみに限定されるものではない。
(分析方法)
(1)真比重測定法
自動湿式真比重測定装置(商品名:オートトゥルーデンサーMAT−7000、製造販売元:セイシン社)を使用して、真比重を測定した。
(2)BET比表面積測定法
比表面積測定装置(商品名:マルチソープ16、製造販売元:ユアサアイオニクス社)を使用して比表面積を測定した。
(3)平均粒子径測定法
レーザー式粒度測定器(商品名:Cilas−920、製造販売元:CILAS社)を使用して、平均粒子径を測定した。
(4)熱伝導率測定法
迅速熱伝導率計(商品名:QTM−500、製造販売元:京都電子工業社)を使用して、熱伝導率を測定した。
(5)モース硬度測定法
モース硬度計(商品名:モース硬度計、製造販売元:東京サイエンス社)を使用して、モース硬度を測定した。
(6)オスカー硬度測定法
デュロメータ(商品名:アスカーゴム硬度計C型、製造販売元:高分子計器株式会社)を使用して、オスカー硬度を測定した。
[実施例1]
ペリクレース結晶の電融マグネシア(酸化マグネシウム含有率99.4質量%)(商品名:DENMAG、製造販売元:タテホ化学工業株式会社)をボールミルで粉砕することにより、0.6gの溶融マグネシア粉末を得た。
得られた0.6gの溶融マグネシア粉末は、ペリクレース結晶子であり、平均粒子径が10μmであった。
得られた0.6gの溶融マグネシア粉末を60gのエタノールに分散させ、マグネットスターラーで10分撹拌することにより、80mlの分散液を得た。
得られた分散液を多波長レーザー装置で波長194nmの非集光レーザー(出力3W、パルス幅13ns)にて60分間照射することにより、0.6gの酸化マグネシウム粒子を得た。
その後、孔径0.45μmのメンブレンフィルターで濾過して、平均粒子径が0.5μm以上の酸化マグネシウム粒子とエタノールとを分離した。
分離した酸化マグネシウム粒子を秤量ビン中に入れ、蓋を開放して恒温乾燥機によって105℃で1時間加熱した後に走査型電子顕微鏡で撮像し、図1のSEM画像を得た。図1のSEM画像より、酸化マグネシウム粒子は球状の粉体であることが分かった。
[実施例2]
非集光レーザーにて120分間照射した以外は実施例1と同様の方法で0.6gの酸化マグネシウム粒子を得た。酸化マグネシウム粒子をSEMで撮像し、図2のSEM画像を得た。図2のSEM画像より、酸化マグネシウム粒子は、大部分が球状の粉体となり、一部の粒子では水和物が残っていることが分かった。
[実施例3]
0.6gの海水マグネシア粉末を60gのエタノールと0.1gのノボラック型フェノール樹脂との混合溶液に分散させた以外は実施例1と同様の方法で0.6gの酸化マグネシウム粒子を得た。酸化マグネシウム粒子をSEMで撮像し、図3のSEM画像を得た。図3のSEM画像より、酸化マグネシウム粒子は、球状の粉体となり、その表面にかすかに炭化物質の薄膜が観察された。
[実施例4]
非集光レーザーにて120分間照射した以外は実施例3と同様の方法で0.6gの酸化マグネシウム粒子を得た。
[実施例5]
仮焼マグネシアをボールミルで粉砕することで、0.6gの仮焼マグネシア粉末を得た。得られた仮焼マグネシア粉末は、粒子径が1〜5μmの範囲内であった。得られた0.6gの仮焼マグネシア粉末を60gのエタノールに分散させ、マグネットスターラーで10分撹拌することにより80mlの分散液を得た。
得られた分散液を多波長レーザー装置で波長194nmの非集光レーザーにて60分間照射することで、0.6gの酸化マグネシウム粒子を得た。その後、孔径0.45μmのメンブレンフィルターで濾過して、平均粒子径が0.5μm以上の酸化マグネシウム粒子とエタノールとを分離した。分離した酸化マグネシウム粒子を秤量ビン中に入れ、蓋を開放して恒温乾燥機によって105℃で1時間加熱した後に走査型電子顕微鏡で観察した。
[実施例6]
非集光レーザーにて120分間照射した以外は実施例5と同様の方法で0.6gの酸化マグネシウム粒子を得た。
[実施例7]
0.6gの仮焼マグネシア粉末を60gのエタノールと0.1gのノボラック型フェノール樹脂との混合溶液に分散させた以外は実施例5と同様の方法で0.6gの酸化マグネシウム粒子を得た。
[実施例8]
非集光レーザーにて120分間照射した以外は実施例7と同様の方法で0.6gの酸化マグネシウム粒子を得た。
[比較例1]
0.6gの海水マグネシア粉末に非集光レーザーを照射せず、SEMで撮像し、図4のSEM画像を得た。図4のSEM画像より、海水マグネシア粉末は粉体を形成しているが、いずれも球状の粒子を形成していないことが分かった。
表1に実施例1で得られた酸化マグネシウム粒子の物性を示す。また、表1には、実施例1で得られた酸化マグネシウム粒子の物性の比較として、ムライト、アルミナ及びシリカ(非晶質)の物性も示す。
表1に示すように、実施例1で得られた酸化マグネシウム粒子のモース硬度は、ムライト、アルミナ、シリカ(非晶質)のモース硬度と比較すると、5.5と低いことがわかる。そのため、半導体デバイスの放熱部品の成型時に金型、摩耗のトラブルは発生しにくい。
実施例1で得られた酸化マグネシウム粒子の熱伝導性は、ムライト、アルミナ、シリカ(非晶質)の熱伝導率と比較すると、80w/mkと高いことがわかる。そのため、実施例1で得られた酸化マグネシウム粒子は熱伝導性フィラーとして有効に使用できる。また、他の熱伝導性物質である窒化アルミ等と比較しても、コスト面の観点から経済的である。
[製造例1]
実施例1で得られた酸化マグネシウム粒子のフィラーを、熱硬化性樹脂をバインダーとして使用して、成型シートを作製し、熱伝導度を測定した。
本製造例に使用した成型シートについて以下に説明する。
成型シートは、厚さが0.5〜3.0mmであり、半導体の部品間の空間間隙を無くして熱伝導を促進させる。成型シートの成分は、主剤として、脂肪族系エポキシ樹脂(脂肪酸変性エポキシ樹脂(エポキシ当量290、粘度70cps))、硬化剤として酸無水硬化剤4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(中和価675〜695、粘度(at 25℃)50〜70cps)、及び硬化促進剤(ジメチルアミノメチルフェノール)を以下のように配合した。
樹脂液 100phr
硬化剤 62phr
硬化促進剤 2phr
以上の配合物は、粘度60cpsの常温では24hrs経っても僅かの粘度上昇があるのみであった。また、ゲル化は120℃、2hrs以内で起こり、完全硬化は150℃、6〜8hrsで起こった。酸化マグネシウム粒子を含まない成型シートのオスカー硬度は20であった。
上記配合物に実施例1で得られた酸化マグネシウム粒子のフィラーを添加して、成型シートを得た。
[比較製造例1]
球状の酸化マグネシウム粒子の代わりに、α−Al球状微粒子粉末を熱硬化性樹脂に混練して成型シートを作製した以外は製造例1と同様の方法で成型シートを作製した。
製造例1及び比較製造例1で作製した成型シートについて、充填率、オスカー硬度、熱伝導性を測定した。結果を以下の表2に示す。
表2に示すように、球状の酸化マグネシウム粒子をフィラーとして用いた成型シート(製造例1)では、α−Al球状微粒子をフィラーとして用いた成型シート(比較製造例1)と比較して、熱伝導率が大きく増加した。両者は、充填率がほぼ同一でもオスカー硬度は同じであり、空間間隙の充填だけでなく、プリント基板の表裏への貼り付けにも凹凸面に完全密着可能であることが分かった。
[製造例2]
熱硬化性エポキシ樹脂の注型については、実施例1で得られた酸化マグネシウム粒子の粉末と、芳香族エポキシ樹脂として、エピビスエポキシFタイプ樹脂、硬化剤として、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、及び硬化促進剤を以下に示すように配合し、得られた樹脂液に実施例1で得られた酸化マグネシウム粒子の粉末を混練して注型成型方法により成型シートを作製した。
エピビスエポキシFタイプ樹脂(粘度 10ポイズ エポキシ当量 198)、酸無水硬化剤4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、及び硬化促進剤(ジメチルアミノメチルフェノール)を以下のように配合した。
エピビスエポキシFタイプ樹脂 100phr
酸無水物硬化剤(4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸) 80phr
硬化促進剤 2phr
以上の配合物は、液状であり粘度は約200cpsであった。本樹脂液に、実施例1で得られた酸化マグネシウム粒子を混練分散し、次の硬化条件で成型シートを作製した。ゲル化は120℃、2hrsで起こり、完全硬化は150℃、5hrsで起こり、成型シートのオスカー硬度は5であった。
上記配合物に実施例1で得られた酸化マグネシウム粒子のフィラーを添加して、成型シートを得た。
[比較製造例2]
球状の酸化マグネシウム粒子の代わりに、α−Al球状微粒子粉末を熱硬化性樹脂に混練して成型シートを作製した以外は製造例2と同様の方法で成型シートを作製した。
製造例2及び比較製造例2で作製した成型シートについて、充填率、オスカー硬度、熱伝導性を測定した。結果を以下の表3に示す。
[製造例3]
製造例2と同じ条件で、Fタイプに代えて、フェノールノボラック型エポキシ樹脂についても成型シートを作製した。
[比較製造例3]
比較製造例2と同じ条件で、Fタイプに代えて、フェノールノボラック型エポキシ樹脂についても成型シートを作製した。
製造例3及び比較製造例3で作製した成型シートについて、充填率及び熱伝導性を測定した。結果を以下の表4に示す。
熱硬化エポキシ樹脂に代えて、ポリイミド樹脂又はPEEK樹脂を用いて成型シートを作製する場合にも、製造例1及び2と同様の性質を有することが推認される。
また、熱硬化エポキシ樹脂に代えて、熱可塑性型樹脂であるナイロン6、ナイロン66、ナイロン11又はナイロン12のいずれかを用いて成型シートを作製する場合にも、製造例1及び2と同様の性質を有することが推認される。
実施例1で得られた酸化マグネシウム粒子の粉体を用いたものの耐摩耗性は、α-Al2O3球型微粒子粉体を使用した時の様に、射出成型、エクストルーダー混練時の摩耗度は認められなかった。また、熱伝導度も高く、成型時の金型、ノズル等の摩耗もなかった。
また、実施例1で得られた酸化マグネシウム粒子のフィラーを、電子機器の放熱材料として使用されるエンジニアリグ樹脂、プラスチック樹脂をバインダーとして使用し、成型シートを製造する場合も上述した特徴を有する。
ポリアセタール、ポリカーボネート、変性PPE、PBT、強化PET、PPS,ふっ素樹脂、ポリアリレート、PSF、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、全芳香属ポリエステル、液晶ポリマー(LCP)、等のエンプラ樹脂に、本発明の酸化マグネシウム粒子のフィラーを使用すれば、熱伝導率並びに金型の摩耗損傷改善につながると考えられる。

Claims (3)

  1. 化マグネシウム原料を溶媒に分散させて分散液を得る工程、及び
    前記分散液に、非集光レーザーを照射する工程
    を備える、酸化マグネシウム粒子の製造方法。
  2. 前記酸化マグネシウム原料が、溶融マグネシア又は仮焼マグネシアである、請求項に記載の酸化マグネシウム粒子の製造方法。
  3. 前記溶媒が、アルコールを含む溶媒である、請求項又はに記載の酸化マグネシウム粒子の製造方法。
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