JP7227951B2 - 制御性t細胞の増殖のためのインターロイキン-2ムテイン - Google Patents

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2013年3月14日に出願された米国仮特許出願第61/784,669号の利益を主張するものである。上記出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
配列表の参照
本出願は、EFS-Webを介して電子形式で配列表とともに出願される。配列表は、2014年2月25日に作成されたA-1826-WO-PCT_ST25.txtという標題の40,849バイトサイズのテキストファイルとして提供される。電子形式の配列表に含まれる情報は、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。
IL-2は、3つの膜貫通受容体サブユニットに結合する:IL-2が結合すると細胞内シグナル伝達事象を一緒に活性化するIL-2Rβ及びIL-2Rγ、ならびにIL-2とIL-2Rβγとの間の相互作用を安定化する役割を果たすCD25(IL-2Rα)。IL-2Rβγによって送達されるシグナルは、PI3-キナーゼ、Ras-MAP-キナーゼ、及びSTAT5経路のシグナルを含む。
T細胞は、典型的には組織内に存在する低濃度のIL-2に応答するためにCD25の発現を必要とする。CD25を発現するT細胞は、自己免疫性炎症を抑制するために必要不可欠なFOXP3+抑制性T細胞(Treg細胞)と、CD25を発現するように活性化されたFOXP3-T細胞の両方を含む。FOXP3-CD25+Tエフェクター細胞(Teff)は、CD4+細胞またはCD8+細胞のいずれかであってもよく、これらは両方とも炎症、自己免疫、器官移植片拒絶、または移植片対宿主病の原因となり得る。IL-2によって刺激されるSTAT5シグナル伝達は、正常なT-reg細胞の成長及び生存、ならびに高いFOXP3発現のために非常に重要である。
共同出願されたWO2010/085495において、我々は、Treg細胞を選択的に増殖させるかまたは刺激するためのIL-2ムテインの使用について記載している。対象に投与した場合、Treg細胞に対する効果は、炎症性疾患及び自己免疫性疾患を治療するのに有用である。本明細書に記載のIL-2ムテインは、in vivoでTeff細胞よりも多くTreg細胞を増殖させるのに有用であるが、ヒトの治療に最適な属性を有するIL-2ムテインを作製することが望ましかった。
国際公開第2010/085495号
本明細書に記載されるのは、高収量での製造性に適応し、最適な薬理作用を有するIL-2ムテインである。例示的なIL-2ムテインに基づくヒト治療薬を生成する取り組みにおいて、数多くの予想外かつ予測不能な観察が認められた。本明細書に記載のIL-2ムテインは、その取り組みの結果である。
本明細書に記載のIL-2ムテインは、IL-2に対する最小限の変更を有し、それによってIL-2ムテイン及び/または内因性IL-2に対する免疫応答を引き起こす可能性を低下させながら、なおもTregの選択的な増殖及び活性化を維持する。さらに、特定の実施形態において、IL-2ムテインは、分子、例えば、対象に投与されると血清半減期を増加させる抗体Fcに融合される。IL-2ムテインは、短い血清半減期(皮下注射の場合3~5時間)を有する。本明細書に記載の例示的なIL-2ムテインFc融合体は、ヒトにおいて、少なくとも1日、少なくとも3日、少なくとも5日、少なくとも10日、少なくとも15日、少なくとも20日、または少なくとも25日の半減期を有する。IL-2ムテインの薬物動態に対するこの効果は、少ないまたはより頻度の低いIL-2ムテイン治療薬の投薬を可能にする。
さらに、薬学的な大分子を作製する場合、分子の凝集を最小限に抑え、かつ分子の安定性を最大化しながら、大量の大分子を生成する能力を考慮しなければならない。IL-2ムテインFc融合分子は、そのような属性を示す。
さらに、特定の実施形態において、IL-2ムテインFc融合タンパク質は、IgG1 Fc領域を含有する。IgG1のエフェクター機能(例えば、ADCC活性)を無効にすることが望ましい場合、297位のアスパラギンのグリシンへの変異(N297G;EUナンバリングスキーム)が、非グリコシル化IgG1 Fcをもたらす他の変異と比べて大幅に改善された精製効率及び物理的特性を提供することが分かった。好ましい実施形態において、システインをFcに導入してジスルフィド結合を可能にし、そうすることで非グリコシル化Fc含有分子の安定性を増加させた。非グリコシル化Fcの有用性は、IL-2ムテインFc融合体の枠を超えたものである。したがって、N297G置換と、任意選択的にシステインに対する1つ以上のさらなる残基の置換とを含む、Fc含有分子、Fc融合体、及び抗体が本明細書に提供される。
本発明の別の態様は、グリコシル化したペプチドリンカーを含む。N-グリコシル化が可能な好ましいリンカーペプチドは、GGNGT(配列番号6)またはYGNGT(配列番号7)を含む。
別の態様において、本発明は、V91K置換と、配列番号1に記載のアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列とを含み、該IL-2ムテインは、制御性T細胞を選択的に刺激する、ヒトインターロイキン-2(IL-2)ムテインを提供する。一実施形態において、ヒトIL-2ムテインは、配列番号1に記載のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。別の実施形態において、該ムテインは、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む。別の実施形態において、125位はアラニンである。別の実施形態において、125位はシステインである。
別の態様において、本発明は、Fc及びヒトIL-2ムテインを含むFc融合タンパク質を提供する。一実施形態において、Fcは、ヒトIgG1 Fcである。別の実施形態において、ヒトIgG1 Fcは、該Fcのエフェクター機能を変化させる1つ以上の変異を含む。別の実施形態において、ヒトIgG1は、N297に置換を含む。別の実施形態において、N297の置換はN297Gである。別の実施形態において、Fc融合タンパク質は、該ヒトIgG FcのC末端リジンの置換または欠失を含む。別の実施形態において、該ヒトIgG FcのC末端リジンが欠失される。別の実施形態において、リンカーが、該タンパク質のFcとヒトIL-2ムテイン部分とを接続する。別の実施形態において、リンカーは、GGGGS、GGNGT、またはYGNGTである。別の実施形態において、リンカーはGGGGSである。別の実施形態において、IL-2ムテインは、哺乳動物細胞内で発現させた時に該Fc融合タンパク質のグリコシル化を変化させるアミノ酸の付加、置換、または欠失をさらに含む。別の実施形態において、IL-2ムテインは、T3置換を含む。別の実施形態において、IL-2ムテインは、T3NまたはT3A置換を含む。別の実施形態において、IL-2ムテインは、T3N置換を含む。別の実施形態において、IL-2ムテインは、S5変異をさらに含む。別の実施形態において、IL-2ムテインは、S5T変異をさらに含む。別の実施形態において、Fc融合タンパク質は、Fc二量体を含む。別の実施形態において、該Fc融合タンパク質は、2つのIL-2ムテインを含む。別の実施形態において、該Fc融合タンパク質は、単一のIL-2ムテインを含む。
別の態様において、本発明は、ヒトIL-2ムテインまたは抗体のFc部分及びヒトIL-2ムテインをコードする単離された核酸を提供する。一実施形態において、該抗体のFc部分及びヒトIL-2ムテインは、単一のオープンリーディングフレーム内でコードされる。別の実施形態において、Fcは、ヒトIgG1 Fcである。別の実施形態において、ヒトIgG1 Fcは、該Fcのエフェクター機能を変化させる1つ以上の変異を含む。別の実施形態において、ヒトIgG1は、N297に置換を含む。別の実施形態において、N297の置換はN297Gである。別の実施形態において、ヒトIgG1 Fcは、C末端リジンの置換または欠失を含む。別の実施形態において、該ヒトIgG FcのC末端リジンが欠失される。別の実施形態において、核酸は、抗体のFc部分とヒトIL-2ムテインとを接続するリンカーをさらにコードする。別の実施形態において、リンカーは、GGGGS、GGNGT、またはYGNGTである。別の実施形態において、リンカーはGGGGSである。別の実施形態において、IL-2ムテインは、哺乳動物細胞内で発現させた時に該IL-2ムテインを含む部分のグリコシル化を変化させるアミノ酸の付加、置換、または欠失をさらに含む。別の実施形態において、IL-2ムテインは、T3置換を含む。別の実施形態において、IL-2ムテインは、T3NまたはT3A置換を含む。別の実施形態において、IL-2ムテインは、T3N置換を含む。別の実施形態において、IL-2ムテインは、S5変異をさらに含む。別の実施形態において、IL-2ムテインは、S5T変異をさらに含む。
別の態様において、本発明は、プロモーターに作動可能に連結された前述の単離された核酸を含む発現ベクターを提供する。
別の態様において、本発明は、前述の単離された核酸を含む宿主細胞を提供する。一実施形態において、単離された核酸は、プロモーターに作動可能に連結される。別の実施形態において、該宿主細胞は原核細胞である。別の実施形態において、宿主細胞は大腸菌である。別の実施形態において、該宿主細胞は真核細胞である。別の実施形態において、宿主細胞は哺乳動物細胞である。別の実施形態において、宿主細胞はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株である。
別の態様において、本発明は、該プロモーターが発現される条件下で前述の宿主細胞を培養することと、該培養物からヒトIL-2ムテインを回収することとを含む、ヒトIL-2ムテインを作製する方法を提供する。一実施形態において、方法は、該プロモーターが発現される条件下で前述の宿主細胞を培養することと、該培養物からFc融合タンパク質を回収することとを含む。
別の態様において、本発明は、T細胞の集団を有効量の前述のヒトIL-2ムテインと接触させることを含む、T細胞の集団内の非制御性T細胞に対する制御性T細胞(Treg)の比率を増加させる方法を提供する。一実施形態において、CD3+FoxP3-に対するCD3+FoxP3+細胞の比率が増加する。別の実施形態において、CD3+FoxP3-に対するCD3+FoxP3+細胞の比率は、少なくとも50%増加する。
別の態様において、本発明は、T細胞の集団を有効量の前述のFc融合タンパク質と接触させることを含む、T細胞の集団内の非制御性T細胞に対する制御性T細胞(Treg)の比率を増加させる方法を提供する。一実施形態において、CD3+FoxP3-に対するCD3+FoxP3+細胞の比率が増加する。別の実施形態において、CD3+FoxP3-に対するCD3+FoxP3+細胞の比率は、少なくとも50%増加する。
別の態様において、本発明は、有効量の前述のヒトIL-2ムテインを投与することを含む、対象の末梢血中の非制御性T細胞に対する制御性T細胞(Treg)の比率を増加させる方法を提供する。一実施形態において、CD3+FoxP3-に対するCD3+FoxP3+細胞の比率が増加する。別の実施形態において、CD3+FoxP3-に対するCD3+FoxP3+細胞の比率は、少なくとも50%増加する。
別の態様において、本発明は、有効量の前述のFc融合タンパク質を投与することを含む、対象の末梢血中の非制御性T細胞に対する制御性T細胞(Treg)の比率を増加させる方法を提供する。一実施形態において、CD3+FoxP3-に対するCD3+FoxP3+細胞の比率が増加する。別の実施形態において、CD3+FoxP3-に対するCD3+FoxP3+細胞の比率は、少なくとも50%増加する。
別の態様において、本発明は、有効量の前述のヒトIL-2ムテインを投与することを含む、対象の末梢血中のナチュラルキラー(NK)細胞に対する制御性T細胞(Treg)の比率を増加させる方法を提供する。一実施形態において、CD56及び/またはCD16を発現するCD3-CD19-リンパ球に対するCD3+FoxP3+細胞の比率が増加する。別の実施形態において、CD56及び/またはCD16を発現するCD3-CD19-リンパ球に対するCD3+FoxP3+細胞の比率は、少なくとも50%増加する。
別の態様において、本発明は、有効量の前述のFc融合タンパク質を投与することを含む、対象の末梢血中のナチュラルキラー(NK)細胞に対する制御性T細胞(Treg)の比率を増加させる方法を提供する。一実施形態において、CD56及び/またはCD16を発現するCD3-CD19-リンパ球に対するCD3+FoxP3+細胞の比率が増加する。別の実施形態において、CD56及び/またはCD16を発現するCD3-CD19-リンパ球に対するCD3+FoxP3+細胞の比率は、少なくとも50%増加する。
別の態様において、本発明は、炎症性疾患または自己免疫性疾患に罹患する患者を治療する方法を提供し、該方法は、該対象に治療有効量の前述のIL-2ムテインを投与することを含む。
別の態様において、本発明は、炎症性疾患または自己免疫性疾患に罹患する患者を治療する方法を提供し、該方法は、該対象に治療有効量の前述のFc融合タンパク質を投与することを含む。一実施形態において、投与が、疾患の少なくとも1つの症状の軽減をもたらす。別の実施形態において、対象の末梢血中の非制御性T細胞に対する制御性T細胞(Treg)の比率は、投与後に増加する。別の実施形態において、対象の末梢血中の非制御性T細胞に対する制御性T細胞(Treg)の比率は、投与後も本質的に同じままである。別の実施形態において、炎症性疾患または自己免疫性疾患は、ループス、移植片対宿主病、C型肝炎誘発性血管炎、I型糖尿病、多発性硬化症、自然流産、アトピー性疾患、または炎症性腸疾患である。
別の態様において、本発明は、ヒトIgG1抗体のFc領域を提供し、該Fc領域はN297G変異を含み、ヒトIgG1の該Fc領域は、配列番号3に記載のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有する。一実施形態において、ヒトIgG1のFc領域は、配列番号3に記載のアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を有する。別の実施形態において、ヒトIgG1のFc領域は、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含む。別の実施形態において、ヒトIgG1のFc領域は、ポリペプチドを安定化するための1つ以上の変異をさらに含む。別の実施形態において、配列番号3に記載の1つ以上のアミノ酸がシステインで置換される。別の実施形態において、配列番号3に記載のアミノ酸配列のV259、A287、R292、V302、L306、V323、またはI332が、システインで置換される。別の実施形態において、Fc領域は、配列番号3に記載のアミノ酸配列中にA287C及びL306C置換を含む。別の実施形態において、Fc領域は、配列番号3に記載のアミノ酸配列中にV259C及びL306C置換を含む。別の実施形態において、Fc領域は、配列番号3に記載のアミノ酸配列中にR292C及びV302C置換を含む。別の実施形態において、Fc領域は、配列番号3に記載のアミノ酸配列中にV323C及びI332C置換を含む。
別の態様において、本発明は、前述のFc領域を含む抗体を提供する。
別の態様において、本発明は、前述のFc領域を含むFc融合タンパク質を提供する。
別の態様において、本発明は、リンカーを含むポリペプチドを提供し、該リンカーは、GGNGTまたはYGNGTである。一実施形態において、リンカーは、N-グリコシル化を含む。別の実施形態において、リンカーは、ポリペプチド構造内のループに挿入されるか、または該構造に取って代わる。
別の態様において、本発明は、非グリコシル化IgG1 Fc含有分子を作製する方法を提供し、該方法は、哺乳動物細胞培養物中で前述のポリペプチドをコードする核酸を発現させることと、該培養物から非グリコシル化IgG1 Fc含有分子を回収することとを含む。
別の態様において、本発明は、哺乳動物細胞において発現させると非グリコシル化されるIgG1 Fc含有分子を作製する方法を提供し、該方法は、Fc領域内のN297のコドンをグリシンコドンに変異させるステップを含む。
別の態様において、本発明は、配列番号18または配列番号20の配列からなるFc融合タンパク質を提供する。一実施形態において、本発明は、Fc融合体をコードする核酸を提供する。別の実施形態において、本発明は、核酸を含む細胞を提供する。別の実施形態において、本発明は、細胞が該Fc融合タンパク質を発現することを可能にする条件下で該細胞をインキュベートすることを含む、Fc融合タンパク質を作製する方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、有効量のFc融合タンパク質を該対象に投与することを含む、対象における炎症性または自己免疫性状態を治療する方法を提供する。別の実施形態において、炎症性または自己免疫性状態は、移植片対宿主病である。
別の態様において、本発明は、前述のヒトインターロイキン-2(IL-2)ムテインまたは前述のFc融合タンパク質を用いた治療に対する対象の反応を監視する方法であって、該対象における変化を検出することを含み、該変化は、体温の上昇、該対象の末梢血中のCRPの上昇、該対象の末梢血中の血小板の減少、該対象の末梢血中の好中球の減少、または該対象の末梢血中のアルブミンの減少であり、該変化が検出された後、該治療は、中止されるか、一時中断されるか、投与頻度が減少されるか、または投薬が減少される、方法を提供する。一実施形態において、該変化は、少なくとも0.5℃の体温の上昇、少なくとも0.2mg/mLの該対象の末梢血中のCRPの上昇、少なくとも0.8倍の該対象の末梢血中の血小板の減少、少なくとも0.8倍の該対象の末梢血中の好中球の減少、または少なくとも0.4倍の該対象の末梢血中のアルブミンの減少を含む。
短期刺激アッセイにおいて、IgG-FcのC末端への融合によるホモ二量体化は、効力が低く、かつCD25への親和性が高いIL-2ムテインの活性を変化させない。 図示される変異を有し、Fc-ヘテロ二量体の片側のC末端に融合されたIL-2ムテインを、T細胞においてSTAT5のリン酸化を刺激する能力について調べた。これらのムテインも、CD25に高い親和性を付与する3つの変異(V69A、N71R、Q74P)を含有していた。これらの活性を、Fcの融合を含まないIL-2の3つの形態(白抜きの図形)と比較した:WT IL-2、HaWT(CD25に対する高い親和性)(N29S、Y31H、K35R、T37A、K48E、V69A、N71R、Q74P)、及びHaD(CD25に対する高い親和性、及び低いシグナル伝達活性)(N29S、Y31H、K35R、T37A、K48E、V69A、N71R、Q74P、N88D)。ゲートをかけたFOXP3+CD4+及びFOXP3-CD4+T細胞のホスホ-STAT5応答を示す。 図示される変異を有し、Fc-ヘテロ二量体の片側のC末端に融合されたIL-2ムテインを、T細胞においてSTAT5のリン酸化を刺激する能力について調べた。これらのムテインも、CD25に高い親和性を付与する3つの変異(V69A、N71R、Q74P)を含有していた。これらの活性を、Fcの融合を含まないIL-2の3つの形態(白抜きの図形)と比較した:WT IL-2、HaWT(CD25に対する高い親和性)(N29S、Y31H、K35R、T37A、K48E、V69A、N71R、Q74P)、及びHaD(CD25に対する高い親和性、及び低いシグナル伝達活性)(N29S、Y31H、K35R、T37A、K48E、V69A、N71R、Q74P、N88D)。ゲートをかけたFOXP3+CD4+及びFOXP3-CD4+T細胞のホスホ-STAT5応答を示す。 Fc-ヘテロ二量体に融合されたIL-2ムテインの滴定に応じたT細胞サブセットの増殖。融合タンパク質の活性を、Fcの融合を含まないIL-2の3つの形態(白抜きの図形)と比較した:WT IL-2、HaWT(CD25に対する高い親和性)(N29S、Y31H、K35R、T37A、K48E、V69A、N71R、Q74P)、及びHaD(CD25に対する高い親和性、及び低いシグナル伝達活性)(N29S、Y31H、K35R、T37A、K48E、V69A、N71R、Q74P、N88D)。 Fc-ヘテロ二量体に融合されたIL-2ムテインの滴定に応じたNK細胞の増殖。融合タンパク質の活性を、Fcの融合を含まないIL-2の3つの形態(白抜きの図形)と比較した:WT IL-2、HaWT(CD25に対する高い親和性)(N29S、Y31H、K35R、T37A、K48E、V69A、N71R、Q74P)、及びHaD(CD25に対する高い親和性、及び低いシグナル伝達活性)(N29S、Y31H、K35R、T37A、K48E、V69A、N71R、Q74P、N88D)。 Fc-ホモ二量体N297Gに融合されたIL-2ムテインの滴定に応じたT細胞サブセットの増殖。Fcムテインの活性を、WT IL-2(白抜きの丸)及びFc.WT(黒塗りの丸)と比較した。CD25(HaMut1)に高い親和性を付与する変異は、V69A及びQ74Pであった。 Fc-ホモ二量体N297Gに融合されたIL-2ムテインの滴定に応じたNK細胞の増殖。Fc.ムテインの活性を、WT IL-2(白抜きの丸)及びFc.WT(黒塗りの丸)と比較した。 CD25に高い親和性を付与する変異を含まないFc.IL-2ムテインが、ヒト化マウスにおいてTregの増殖及びFOXP3の上方制御を促進した。 CD25に高い親和性を付与する変異を含まないFc.IL-2ムテインが、ヒト化マウスにおいてTregの増殖及びFOXP3の上方制御を促進した。 低週用量(動物1匹当たり0.5μg)のFc.IL-2ムテインが、ヒト化マウスにおいてTregの増殖及びFOXP3の上方制御を促進し、Fc.N88D及びFc.WTと比較してFc.V91Kにより良好な活性が観察された。 Fc.V91K及びFc.N88Dは、CD25との会合を介して活性化されたT細胞の表面上に残留する。 Fc.WTと比較した、Fc.V91K及びFc.N88Dを用いたIL-2Rシグナルの持続性。 カニクイザルにおけるFc.V91Kの2週及び4週投与間隔の比較、ならびにIV及びSC投与経路の比較。 カニクイザルにおけるFc.V91Kの2週及び4週投与間隔の比較、ならびにIV及びSC投与経路の比較。 PROLEUKIN(登録商標)、Fc.V91K、及びFc.N88Dの異なる投与計画を用いて処理したカニクイザルにおける細胞応答、体温、及び血清CRPの動態。 PROLEUKIN(登録商標)、Fc.V91K、及びFc.N88Dの異なる投与計画を用いて処理したカニクイザルにおける細胞応答、体温、及び血清CRPの動態。 PROLEUKIN(登録商標)、Fc.V91K、及びFc.N88Dの異なる投与計画を用いて処理したカニクイザルにおける細胞応答、体温、及び血清CRPの動態。 PROLEUKIN(登録商標)、Fc.V91K、及びFc.N88Dの異なる投与計画を用いて処理したカニクイザルにおける細胞応答、体温、及び血清CRPの動態。 PROLEUKIN(登録商標)、Fc.V91K、及びFc.N88Dの異なる投与計画を用いて処理したカニクイザルにおける細胞応答、体温、及び血清CRPの動態。 PROLEUKIN(登録商標)、Fc.V91K、及びFc.N88Dの異なる投与計画を用いて処理したカニクイザルにおける細胞応答、体温、及び血清CRPの動態。 PROLEUKIN(登録商標)、Fc.V91K、またはFc.N88Dの投与量の増加が、カニクイザルにおけるTreg細胞、NK細胞、CD4FOXP3T細胞、及びCD8FOXP3T細胞のレベルに及ぼす影響。各データポイントは、4匹の動物の平均ピーク応答を表す。 PROLEUKIN(登録商標)、Fc.V91K、またはFc.N88Dの投与量の増加が、カニクイザルにおけるTreg細胞及び好酸球のレベルに及ぼす影響。各データポイントは、4匹の動物の平均ピーク応答を表す。 PROLEUKIN(登録商標)、Fc.V91K、またはFc.N88Dの投与量の増加が、カニクイザルにおいてTreg細胞及びCRPのレベル、ならびに体温に及ぼす影響。各データポイントは、4匹の動物の平均ピーク応答を表す。 PROLEUKIN(登録商標)、Fc.V91K、またはFc.N88Dの投与量の増加が、カニクイザルにおけるTreg細胞、血小板、好中球、及びアルブミンのレベルに及ぼす影響。各データポイントは、4匹の動物の平均ピーク応答を表す。右のY軸は、投与前試料と比較して血小板、好中球、またはアルブミンにおける倍数変化を示すために反転させている。 Fc.V91Kで処理したカニクイザルにおける抗薬物抗体(ADA)の発生の動態。
本明細書において用いられる見出しは、構成上の目的のためであるに過ぎず、記載される主題を限定するものであると見なされるべきではない。本明細書の本文中に引用される全ての参考文献は、参照により、それらの全体が本明細書に明示的に組み込まれる。
標準的な技術が、組換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、組織の培養及び形質転換、タンパク質精製等に用いられてもよい。酵素反応及び精製技術は、製造者の仕様に従って、または当該技術分野において一般的に達成されるように、または本明細書に記載されるように行われてもよい。以下の手順及び技術は、当該技術分野で周知の従来方法に従って、また本明細書を通して引用される及び論じられる種々の一般的な及びより具体的な参考文献に記載されるように、一般的に行われてもよい。例えば、Sambrook et al.,2001,Molecular Cloning:A Laboratory Manuel,3rd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,cold Spring Harbor,N.Y.(任意の目的のために参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。具体的な定義が提供されない限り、本明細書に記載される分析化学、有機化学、ならびに医学及び製薬化学に関連して用いられる命名法、ならびにその実験手順及び技術は、当該技術分野において周知であり、かつ一般的に使用されるものである。標準的な技術が、化学合成、化学分析、薬剤の調製、処方、及び送達、ならびに患者の治療に用いられてもよい。
IL-2
本明細書に記載のIL-2ムテインは、野生型ヒトIL-2の変異体である。本明細書で使用される場合、「野生型ヒトIL-2」、「野生型IL-2」、または「WT IL-2」は、以下のアミノ酸配列を有するポリペプチドを意味する:
Figure 0007227951000001
Xは、C、S、V、またはAである(配列番号2)。
変異体は、野生型IL-2アミノ酸配列中に1つ以上の置換、欠失、または挿入を含有し得る。残基は、本明細書において、1文字アミノ酸コードに続くIL-2アミノ酸の位置によって表される:例えば、K35は、配列番号2の35位にあるリジン残基である。置換は、本明細書において、1文字アミノ酸コード、それに続くIL-2アミノ酸の位置、それに続く置換する1文字アミノ酸コードによって表される:例えば、K35Aは、アラニン残基を有する配列番号2の35位にあるリジン残基である。
IL-2ムテイン
制御性T(Treg)細胞を選択的に刺激するヒトIL-2ムテインが、本明細書に提供される。本明細書において使用される場合、「制御性T細胞を選択的に刺激する」とは、ムテインが、CD3+FoxP3-T細胞よりもCD3+FoxP3+T細胞の増殖、生存、活性化、及び/または機能を促進することを意味する。Tregを選択的に刺激する能力を測定する方法は、末梢血白血球のフローサイトメトリーによって測定することができ、全CD4+T細胞中のFOXP3+CD4+T細胞の割合の増加、全CD8+T細胞中のFOXP3+CD8+T細胞の割合の増加、NK細胞に対するFOXP3+T細胞の割合の増加、及び/または他のT細胞上のCD25発現の増加に対するFOXP3+T細胞の表面上のCD25の発現レベルのより大きな増加が観察される。Treg細胞の選択的な増殖は、亜硫酸水素塩で処理したゲノムDNA由来のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)産物を配列決定することによって検出されるように、全血から抽出したDNA中の脱メチル化CD3遺伝子に対する脱メチル化FOXP3プロモーターDNA(すなわち、Treg特異的脱メチル化領域、またはTSDR)の発現の増加として検出することもできる(J.Sehouli,et al.2011.Epigenetics 6:2,236-246)。
Treg細胞を選択的に刺激するIL-2ムテインは、対象または末梢血試料中のCD3+FoxP3-T細胞に対するCD3+FoxP3+T細胞の比率を、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%、少なくとも600%、少なくとも700%、少なくとも800%、少なくとも900%、または少なくとも1000%増加させる。
好ましいIL-2ムテインは、限定されないが、配列番号2に記載のアミノ酸配列中にV91KまたはN88D置換を含むIL-2ムテインを含む。例示的なIL-2ムテインは、配列番号1に記載される。特に好ましいのは、C125A置換を含む配列番号1に記載のアミノ酸配列である。野生型IL-2配列に対するさらなる変異の数を減少することが有利であり得るが、本発明は、V91KまたはN88D置換に加えて、切断もしくはさらなる挿入、または置換を有するIL-2ムテインを含むが、但し、該ムテインがTregを選択的に刺激する活性を維持するものとする。したがって、実施形態は、Treg細胞を選択的に刺激し、配列番号2に記載のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のV91KもしくはN88Dを有するアミノ酸配列を含むIL-2ムテインを含む。特に好ましい実施形態において、そのようなIL-2ムテインは、配列番号2に記載のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。
アミノ酸配列の場合、配列同一性及び/または配列類似性は、限定されないが、Smith and Waterman,1981,Adv.Appl.Math.2:482の局所的配列同一性アルゴリズム、Needleman and Wunsch,1970,J.Mol.Biol.48:443の配列同一性アラインメントアルゴリズム、Pearson and Lipman,1988,Proc.Nat.Acad.Sci.U.S.A.85:2444の類似性検索法、これらのアルゴリズムのコンピュータによる実施(Wisconsin Genetics Software Package内のGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA、Genetics Computer Group、575 Science Drive,Madison,Wis)、Devereux et al.,1984,Nucl.Acid Res.12:387-395によって記載されるBest Fit配列プログラムを含む当該技術分野で既知の標準的な技術を用いて、好ましくはデフォルト設定を用いて、または視察によって決定される。好ましくは、同一性パーセントは、以下のパラメータに基づいてFastDBによって算出される:ミスマッチペナルティ=1;ギャップペナルティ=1;ギャップサイズペナルティ=0.33;及び結合ペナルティ=30(「Current Methods in Sequence Comparison and Analysis」Macromolecule Sequencing and Synthesis,Selected Methods and Applications,pp127-149(1988),Alan R.Liss,Inc.)。
有用なアルゴリズムの一例は、PILEUPである。PILEUPは、累進ペアワイズアライメントを用いて関連配列の群から多重配列アライメントを作成する。また、これは、アライメントを作成するために使用されるクラスター化関係を示すツリーを描画することもできる。PILEUPは、Feng&Doolittle,1987,J.Mol.Evol.35:351-360の累進アライメントを単純化したものを使用する:この方法は、Higgins and Sharp,1989,CABIOS5:151-153によって記載される方法に類似する。有用なPILEUPパラメータは、デフォルトのギャップ重み付け3.00、デフォルトのギャップ長さ重み付け0.10、及び重み付けされた末端ギャップを含む。
有用なアルゴリズムの別の例は、Altschul et al.,1990,J.Mol.Biol.215:403-410;Altschul et al.,1997,Nucleic Acids Res.25:3389-3402、及びKarin et al.,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.90:5873-5787に記載されるBLASTアルゴリズムである。特に有用なBLASTプログラムは、Altschul et al.,1996,Methods in Enzymology 266:460-480から得られたWU-BLAST-2プログラムである。WU-BLAST-2は、いくつかの検索パラメータを使用し、そのほとんどはデフォルト値に設定される。調整可能なパラメータは、以下の値で設定される:重複スパン=1、重複断片=0.125、ワード閾値(T)=II。HSP S及びHSP S2パラメータは、動的な値であり、特定の配列の組成物、及びそれに対して対象となる配列が検索される特定のデータベースの組成物に応じてプログラム自体によって確立されるが、感受性を高めるように値を調整してもよい。
さらなる有用なアルゴリズムは、Altschul et al.,1993,Nucl.Acids Res.25:3389-3402によって報告されているギャップ付きBLASTである。ギャップ付きBLASTは、BLOSUM-62置換スコア;9に設定された閾値Tパラメータ;ギャップなしの伸長を開始するための2ヒット法、ギャップ長kに10+kのコストを負荷;16に設定されたX、ならびにデータベース検索段階で40に、及びアルゴリズムの出力段階で67設定されたXを用いる。ギャップ付アライメントは、約22ビットに対応するスコアによって開始される。
アミノ酸配列変異を導入する部位または領域は予め決定されていてもよいが、変異自体は予め決定しておく必要はない。例えば、所与の部位における変異の性能を最適化するために、標的コドンまたは領域でランダム変異誘発を行って、発現したIL-2ムテインを所望の活性の最適な組み合わせについてスクリーニングすることができる。例えば、M13プライマー変異誘発及びPCR変異誘発等の、既知の配列を有するDNAの所定の部位で置換変異を作製するための技術が周知である。変異体のスクリーニングは、例えば、本明細書に記載のアッセイを使用して行われてもよい。
アミノ酸置換は、典型的には単一残基の置換である:挿入は、通常、約1~約20アミノ酸残基程度であるが、それよりも相当大きな挿入が許容され得る。欠失は、約1~約20アミノ酸残基に及ぶが、場合によっては、欠質ははるかに大きくてもよい。
最終的な誘導体または変異体に到達するために、置換、欠失、挿入、またはそれらの任意の組み合わせが用いられてもよい。一般的に、これらの変更は、分子の変化、特に、抗原結合タンパク質の免疫原性及び特異性を最小限に抑えるために、数個のアミノ酸に対して行われる。しかしながら、特定の状況ではより大きな変更が許容され得る。保存的置換は、表1として示される以下のチャートに従って一般的に行われる。
Figure 0007227951000002
機能または免疫学的同一性における実質的な変更は、表1に示されるものよりも保存性が低い置換を選択することによって行われる。例えば、変化の領域内のポリペプチド骨格の構造、例えば、αへリックス構造もしくはβシート構造;標的部位の分子の電荷もしくは疎水性;または側鎖の嵩高さに、より著しい影響を及ぼす置換が行われてもよい。一般的にポリペプチドの特性に最も大きな変化をもたらすことが予測される置換は、(a)親水性残基、例えば、セリルもしくはスレオニルが、疎水性残基、例えば、ロイシル、イソロイシル、フェニルアラニル、バリル、もしくはアラニルで(または、それによって)置換される;(b)システインもしくはプロリンが、任意の他の残基で(または、それによって)置換される;(c)電気陽性側鎖を有する残基、例えば、リジル、アルギニル、もしくはヒスチジルが、電気陰性残基、例えば、グルタミルもしくはアスパルチルで(または、それによって)置換される;あるいは(d)嵩高い側鎖を有する残基、例えばフェニルアラニンが、側鎖を有しない残基、例えばグリシンで(または、それによって)置換される、置換である。
変異体は、典型的には、天然に存在する類似体と同じ定性的な生物学的活性を示し、同じ免疫応答を誘発するが、変異体は、必要に応じて、IL-2ムテインの特徴を修飾するようにも選択される。代替として、変異体は、IL-2ムテインの生物学的活性を変化させるように設計されてもよい。例えば、グリコシル化部位は、本明細書に記載されるように変化させるかまたは除去してもよい。
長期の血清半減期を有するIL-2ムテイン
本明細書に提供されるIL-2ムテインは、例えばTeffまたはNK細胞よりも、Tregを選択的に増殖させるため、患者に投与した時に安全プロファイルが野生型IL-2またはPROLEUKIN(登録商標)とは異なることが予想される(aldesleukin;Novartis,Basel,Switzerland)。野生型IL-2またはPROLEUKIN(登録商標)に関連する副作用は、風邪様症状、寒気/悪寒、関節痛、発熱、発疹、掻痒、注射部位反応、低血圧、下痢、悪心、不安、混乱、及び鬱状態を含む。本明細書において提供されるIL-2ムテインは、そのような半減期の延長が患者の副作用または有害事象の可能性または強度を高めるリスクを増大させることなく、ムテインの血清半減期を延長する分子を含むかまたはそれに融合するように変化させることができる。そのような血清半減期が延長されたムテインの皮下投与は、より低い最大全身曝露量(Cmax)で長期標的カバレッジを可能にし得る。血清半減期の延長は、より少ないかまたはより頻度の低いムテインの投与計画を実現し得る。
本明細書において提供されるIL-2ムテインの血清半減期は、本質的に当該技術分野で既知のいずれの方法によって延長されてもよい。そのような方法は、IL-2ムテインの配列を、新生児Fcγ受容体に結合するか、または長期の血清半減期を有するタンパク質、例えば、IgGまたはヒト血清アルブミンに結合するペプチドを含むように変化させることを含む。他の実施形態において、IL-2ムテインは、融合分子に長期の半減期を付与するポリペプチドに融合される。そのようなポリペプチドは、新生児Fcγ受容体に結合するIgG Fcもしくは他のポリペプチド、ヒト血清アルブミン、または長期の血清半減期を有するタンパク質に結合するポリペプチドを含む。好ましい実施形態において、IL-2ムテインは、IgG Fc分子に融合される。
IL-2ムテインは、IgG Fc領域のN末端またはC末端に融合されてもよい。実施例に示すように、IgG Fc領域のC末端への融合は、IgG FcのN末端に融合した場合よりも高い程度までIL-2ムテインの活性を維持する。
本発明の一実施形態は、IL-2ムテインを抗体のFc領域に融合することによって作製される2つのFc融合ポリペプチドを含む二量体を対象とする。二量体は、例えば、融合タンパク質をコードする遺伝子融合体を適切な発現ベクターに挿入し、組換え発現ベクターで形質転換した宿主細胞中で遺伝子融合体を発現させ、発現した融合タンパク質を抗体分子と非常に類似するように組み立てることによって作製することができ、そうするとFc部分間に鎖間結合が形成して二量体を生じる。
本明細書で使用される「Fcポリペプチド」または「Fc領域」という用語は、抗体のFc領域由来のポリペプチドの天然形態及びムテイン形態を含む。二量体化を促進するヒンジ領域を含有する、そのようなポリペプチドの切断形態も含まれる。特定の実施形態において、Fc領域は、抗体のCH2及びCH3ドメインを含む。Fc部分を含む融合タンパク質(及びそこから形成されるオリゴマー)は、血清半減期の延長とともに、プロテインAまたはプロテインGカラム上のアフィニティークロマトグラフィーによる容易な精製という利点を提供する。好ましいFc領域は、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4を含むヒトIgGに由来する。本明細書において、Fc中の特定の残基は位置によって特定される。全てのFcの位置は、EUナンバリングスキームに基づいている。
抗体のFc部分の機能の1つは、抗体がその標的に結合した時に免疫系に伝達することである。これは、「エフェクター機能」と見なされる。伝達は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞食作用(ADCP)、及び/または補体依存性細胞傷害(CDC)を引き起こす。ADCC及びADCPは、免疫系の細胞表面上のFc受容体にFcが結合することによって媒介される。CDCは、Fcと、補体系のタンパク質、例えばC1qとの結合によって媒介される。
IgGサブクラスは、エフェクター機能を媒介する能力において異なる。例えば、IgG1は、ADCC及びCDCを媒介する上でIgG2及びIgG4よりもはるかに優れている。したがって、エフェクター機能が望ましくない実施形態において、IgG2 Fcが好ましい。しかしながら、IgG2 Fc含有分子は、IgG1 Fc含有分子と比較して、製造がより困難であり、半減期がより短い等のあまり魅力的ではない生物物理学的特性を有することが知られている。
抗体のエフェクター機能は、Fcに1つ以上の変異を導入することによって増加または低下させることができる。本発明の実施形態は、エフェクター機能を増加させるように操作したFcを有するIL-2ムテインFc融合タンパク質を含む(米国特許第7,317,091号、及びStrohl,Curr.Opin.Biotech.,20:685-691,2009;両方とも、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。高いエフェクター機能を有する例示的なIgG1 Fc分子は、以下の置換を有する分子を含む:
Figure 0007227951000003
IgG Fc含有タンパク質のエフェクター機能を増加させる別の方法は、Fcのフコシル化を減少させることによるものである。Fcに付着した二分岐複合型オリゴ糖からコアフコースを除去することにより、抗原結合またはCDCのエフェクター機能を変化させることなく、ADCCのエフェクター機能を大幅に増加させた。Fc含有分子、例えば抗体のフコシル化を低下させるかまたは無効にするためのいくつかの方法が知られている。これらは、FUT8ノックアウト細胞株、変異CHO株Lec13、ラットハイブリドーマ細胞株YB2/0、FUT8遺伝子を特異的に標的とする低分子干渉RNAを含む細胞株、及びβ-1,4-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIIIとゴルジαマンノシダーゼIIを共発現する細胞株を含む、特定の哺乳動物細胞株における組換え発現を含む。代替として、Fc含有分子は、植物細胞、酵母、または原核細胞、例えば、大腸菌等の非哺乳動物細胞において発現させてもよい。
本発明の好ましい実施形態において、IL-2ムテインFc融合タンパク質は、エフェクター機能を低下させるように操作されたFcを含む。低いエフェクター機能を有する例示的なFc分子は、以下の置換を有する分子を含む:
Figure 0007227951000004
ヒトIgG1は、N297(EUナンバリングシステム)にグリコシル化部位を有すること、及びグリコシル化は、IgG1抗体のエフェクター機能に寄与することが知られている。例示的なIgG1配列を、配列番号3に提供する。グループは、非グリコシル化抗体を作製する取り組みにおいてN297を変異させた。この変異は、生理化学的性質においてアスパラギンに類似するアミノ酸、例えばグルタミン(N297Q)で、または極性基を有しないアスパラギンを模倣するアラニン(N297A)でN297を置換することに焦点をおいている。
本明細書において使用される場合、「非グリコシル化抗体」または「非グリコシル化fc」は、Fcの297位にある残基のグリコシル化状態を指す。抗体または他の分子は、1つ以上の他の場所にグリコシル化を含有し得るが、なおも非グリコシル化抗体または非グリコシル化Fc融合タンパク質であると見なすことができる。
エフェクター機能を有しないIgG1 Fcを作製する取り組みにおいて、ヒトIgG1のアミノ酸N297のグリシンへの変異、すなわちN297Gが、その残基の他のアミノ酸置換よりもはるかに優れた精製効率及び物理的特性を提供することが発見された。実施例8を参照されたい。したがって、好ましい実施形態において、IL-2ムテインFc融合タンパク質は、N297G置換を有するヒトIgG1 Fcを含む。N297G置換を含むFcは、分子がヒトIgG1 Fcを含むいずれの状況においても有用であり、IL-2ムテインFc融合体に関連する使用に限定されない。特定の実施形態において、抗体は、N297G置換を有するFcを含む。
N297G変異を有するヒトIgG1 Fcを含むFcはまた、挿入、欠失、及び置換をさらに含む。特定の実施形態において、ヒトIgG1 Fcは、N297G置換を含み、配列番号3に記載のアミノ酸配列と少なくとも90%同一、少なくとも91%同一、少なくとも92%同一、少なくとも93%同一、少なくとも94%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一である。特に好ましい実施形態において、C末端リジン残基は、置換されるかまたは欠失される。C末端リジンのN297G置換及び欠失を含むヒトIgG1のアミノ酸配列は、配列番号4に記載される。
グリコシル化IgG1 Fc含有分子は、グリコシル化IgG1 Fc含有分子よりも安定ではないことが示された。Fc領域は、非グリコシル化分子の安定性を増加させるようにさらに操作してもよい。いくつかの実施形態において、二量体状態でジスルフィド結合を形成するように、1つ以上のアミノ酸がシステインに置換される。配列番号3に記載のアミノ酸配列の残基V259、A287、R292、V302、L306、V323、またはI332は、システインで置換されてもよい。好ましい実施形態において、それらが互いにジスルフィド結合を選択的に形成し、したがってジスルフィド結合の組換えを制限または防止するように、特定の対の残基が置換される。好ましい対は、限定されないが、A287CとL306C、V259CとL306C、R292CとV302C、及びV323CとI332Cを含む。
残基V259、A287、R292、V302、L306、V323、またはI332のうちの1つ以上がシステインで置換されたFc含有分子が本明細書に提供される。好ましいFc含有分子は、A287CとL306C、V259CとL306C、R292CとV302C、またはV323CとI332C置換を含む分子を含む。
IgG1 Fcに対して行われてもよいさらなる変異は、Fc含有ポリペプチドの中でもヘテロ二量体の形成を促進する変異を含む。いくつかの実施形態において、細胞内で共発現させた時に、2つの異なるFc含有ポリペプチド鎖のヘテロ二量体の形成を促進する「ノブ」及び「ホール」を形成するように、Fc領域が操作される。米国特許第7,695,963号。他の実施形態において、細胞内で共発現させた時に、静電ステアリングを用いて2つの異なるFc含有ポリペプチドのホモ二量体の形成を妨げる一方でヘテロ二量体の形成を助長するように、Fc領域を変化させる。参照により、その全体が本明細書に組み込まれるWO09/089,004。好ましいヘテロ二量体Fcは、Fcの一方の鎖がD399K及びE356K置換を含み、Fcの他方の鎖がK409D及びK392D置換を含むものである。他の実施形態において、Fcの一方の鎖は、D399K、E356K、及びE357K置換を含み、Fcの他方の鎖は、K409D、K392D、及びK370D置換を含む。
特定の実施形態において、IL-2ムテインFc融合タンパク質が単量体であること、すなわち、単一のIL-2ムテイン分子のみを含有することが有利である場合がある。そのような実施形態において、融合タンパク質のFc領域は、ヘテロ二量体の形成を促進する1つ以上の変異を含有してもよい。融合タンパク質は、IL-2ムテインFc融合ポリペプチド中のFc領域に相互変異を有するが、IL-2ムテインを欠くFc領域と共発現される。結果として得られたタンパク質である2つのFc含有ポリペプチド形態のヘテロ二量体は、単一のIL-2ムテインのみを含有する。
単量体のIL-2ムテインFc融合タンパク質を作製する別の方法は、IL-2ムテインを、単量体Fc、すなわち二量体化しないFc領域に融合することである。安定した単量体Fcは、二量体化を妨げ、単量体形態の分子を安定化する変異を含む。好ましい単量体Fcは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるWO2011/063348に公開されている。特定の実施形態において、IL-2ムテインFc融合タンパク質は、Y349、L351、L368、V397、L398、F405、またはY407におけるスレオニン置換とともに、392位及び409位に負の電荷を帯びたアミノ酸を含むFcを含む。
特定の実施形態において、IL-2ムテインFc融合タンパク質は、FcとIL-2ムテインとの間にリンカーを含む。多くの異なるリンカーポリペプチドが、当該技術分野で既知であり、IL-2ムテインFc融合タンパク質に関連して使用され得る。好ましい実施形態において、IL-2ムテインFc融合タンパク質は、FcとIL-2ムテインとの間にGGGGS(配列番号5)、GGNGT(配列番号6)、またはYGNGT(配列番号7)からなるペプチドの1つ以上のコピーを含む。いくつかの実施形態において、Fc領域とIL-2ムテイン領域との間のポリペプチド領域は、GGGGS(配列番号5)、GGNGT(配列番号6)、またはYGNGT(配列番号7)の単一のコピーを含む。本明細書に示されるように、リンカーGGNGT(配列番号6)またはYGNGT(配列番号7)は、適切な細胞中で発現させるとグリコシル化され、そのようなグリコシル化は、溶液中で及び/またはin vivoで投与した時にタンパク質を安定化させるのに役立つ。したがって、特定の実施形態において、IL-2ムテイン融合タンパク質は、Fc領域とIL-2ムテイン領域との間にグリコシル化リンカーを含む。
グリコシル化リンカーは、ポリペプチドに関連して配置された場合に有用であり得ることが企図される。ポリペプチドのアミノ酸配列に挿入された、またはポリペプチドのアミノ酸配列中の1つ以上のアミノ酸に取って代わる、GGNGT(配列番号6)またはYGNGT(配列番号7)を含むポリペプチドが本明細書に提供される。好ましい実施形態において、GGNGT(配列番号6)またはYGNGT(配列番号7)は、ポリペプチド三次構造のループに挿入される。他の実施形態において、ループの1つ以上のアミノ酸が、GGNGT(配列番号6)またはYGNGT(配列番号7)に置き換えられる。
FcのC末端部分及び/またはIL-2ムテインのアミノ末端部分は、哺乳動物細胞中で発現させた時にIL-2ムテインFc融合タンパク質のグリコシル化プロファイルを変更する1つ以上の変異を含有してもよい。特定の実施形態において、IL-2ムテインは、T3置換、例えば、T3NまたはT3Aをさらに含む。IL-2ムテインは、S5T等のS5置換をさらに含んでもよい。
IL-2ムテイン及びIL-2ムテインFc融合タンパク質の共有結合修飾は、本発明の範囲内に含まれ、必ずではないが、一般的には翻訳後に行われる。例えば、IL-2ムテインまたはIL-2ムテインFc融合タンパク質のいくつかの種類の共有結合修飾は、IL-2ムテインまたはIL-2ムテインFc融合タンパク質の特定のアミノ酸残基を、選択された側鎖またはNもしくはC末端残基と反応させることができる有機誘導体化剤と反応させることによって分子に導入される。
システイニル残基を、最も一般的には、クロロ酢酸またはクロロアセトアミド等のαハロアセテート(及び対応するアミン)と反応させて、カルボキシメチルまたはカルボキシアミドメチル誘導体を得る。システイニル残基はまた、ブロモトリフルオロアセトン、α-ブロモ-β-(5-イミドゾイル)プロピオン酸、クロロアセチルリン酸、N-アルキルマレイミド、3-ニトロ-2-ピリジルジスルフィド、メチル2-ピリジルジスルフィド、p-クロロ安息香酸水銀、2-クロロ水銀-4-ニトロフェノール、またはクロロ-7-ニトロベンゾ-2-オキサ-1,3-ジアゾールとの反応によっても誘導体化される。
ヒスチジル残基は、pH5.5~7.0のジエチルピロカーボネートとの反応によって誘導化される:なぜなら、この薬剤はヒスチジル側鎖に比較的特異的であるからである。パラ-ブロモフェナシルブロミドも有用である:反応は、好ましくはpH6.0の0.1Mカコジル酸ナトリウム中で行われる。
リジニル及びアミノ末端残基は、コハク酸または他のカルボン酸無水物と反応させる。これらの薬剤を用いた誘導体化は、リジニル残基の電荷を反転させる効果を有する。αアミノ含有残基を誘導体化するための他の適切な試薬は、メチルピコリンイミダート等のイミドエステル;ピリドキサルリン酸;ピリドキサル;クロロボロヒドリド;トリニトロベンゼンスルホン酸;O-メチルイソ尿素;2,4-ペンダンジオン、及びグリオキシル酸とのトランスアミナーゼ触媒反応を含む。
アルギニル残基は、1つまたはいくつかの従来の試薬、中でも、フェニルグリオキサール、2,3-ブタンジオン、1,2-シクロヘキサンジオン、及びニンヒドリンとの反応によって修飾される。グアニジン官能基のpKが高いため、アルギニン残基の誘導体化は、アルカリ性条件において反応が行われることを必要とする。さらに、これらの試薬は、リジン基ならびにアルギニンεアミノ基と反応することができる。
チロシル残基の特異的修飾は、スペクトル標識をチロシル残基に導入することに特に関心を払いながら、芳香族ジアゾニウム化合物またはテトラニトロメタンとの反応によって行うことができる。最も一般的には、N-アセチルイミジゾール及びテトラニトロメタンを用いて、O-アセチルチロシル種及び3-ニトロ誘導体をそれぞれ形成する。好適な前述の放射免疫測定法であるクロラミンT法において使用するのに適した標識タンパク質を調製するために、125Iまたは131Iを用いてチロシル残基をヨウ素化する。
カルボキシル側基(アスパルチルまたはグルタミン)は、カルボジイミド(R’-N=C=N--R’)との反応によって選択的に修飾され、式中、R及びR’は、1-シクロヘキシル-3-(2-モルホリニル-4-エチル)カルボジイミドまたは1-エチル-3-(4-アゾニア-4,4-ジメチルペンチル)カルボジイミド等の任意選択的に異なるアルキル基である。さらに、アスパルチル残基及びグルタミン残基は、アンモニウムイオンとの反応によってアスパラギニル残基及びグルタミニル残基に変換される。
二官能性剤を用いた誘導体化は、抗原結合タンパク質を、様々な方法において使用される不水溶性支持マトリックスまたは表面に架橋するのに有用である。一般的に使用される架橋剤は、1,1-ビス(ジアゾアセチル)-2-フェニルエタン、グルタルアルデヒド、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、例えば、4-アジドサリチル酸とのエステル、ホモ二官能性イミドエステル(3,3’-ジチオビス(スクシンイミジルプロピオナート)等のジスクシンイミジルエステルを含む)、及びビス-N-マレイミド-1,8-オクタン等の二官能性マレイミドを含む。メチル-3-[(p-アジドフェニル)ジチオ]プロピオイミダート等の誘導体化剤は、光の存在下で架橋を形成することが可能な光活性化可能な中間体をもたらす。代替として、米国特許第3,969,287号、同第3,691,016号、同第4,195,128号、同第4,247,642号、同第4,229,537号、及び同第4,330,440号に記載される、臭化シアンで活性化された炭水化物及び反応基質等の反応性の不水溶性マトリックスが、タンパク質固定化に用いられる。
グルタミニル残基及びアスパラギニル残基は、それぞれ対応するグルタミル残基及びアスパルチル残基に頻繁に脱アミド化される。代替として、これらの残基は、弱酸性条件下で脱アミド化される。これらの残基のいずれの形状も、本発明の範囲内である。
他の修飾は、プロリン及びリジンの水酸化、セリルまたはスレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リジン、アルギニン、及びヒスチジン側鎖のαアミノ基のメチル化(T.E.Creighton,Proteins:Structure and Molecular Properties,W.H.Freeman&Co.,San Francisco,1983,pp.79-86)、N末端アミンのアセチル化、ならびに任意のC末端カルボキシル基のアミド化を含む。
本発明の範囲内に含まれるIL-2ムテインまたはIL-2ムテインFc融合タンパク質の別の種類の共有結合修飾は、タンパク質のグリコシル化パターンを変更することを含む。当該技術分野で既知のように、グリコシル化パターンは、タンパク質の配列(例えば、後述の特定のグリコシル化アミノ酸残基の有無)、またはタンパク質が産生される宿主細胞もしくは生物の両方に依存し得る。具体的な発現系は後述する。
ポリペプチドのグリコシル化は、典型的には、N結合型またはO結合型のいずれかである。N結合型は、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の結合を指す。アスパラギン-X-セリン及びアスパラギン-X-スレオニン(Xは、プロリンを除く任意のアミノ酸である)のトリペプチド配列は、アスパラギン側鎖への炭水化物部分の酵素結合のための認識配列である。よって、ポリペプチドにおけるこれらのトリペプチド配列のいずれかの存在が、潜在的なグリコシル化部位を形成する。O結合型グリコシル化は、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリンまたはスレオニンへの、糖類であるN-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、またはキシロースのうちの1つの結合を指すが、5-ヒドロキシプロリンまたは5-ヒドロキシリジンが用いられてもよい。
IL-2ムテインまたはIL-2ムテインFc融合タンパク質へのグリコシル化部位の付加は、前述の(N結合型グリコシル化部位の)トリペプチド配列のうちの1つ以上を含有するようにアミノ酸配列を変化させることによって都合よく達成することができる。この変化は、(O結合型グリコシル化部位の)開始配列への1つ以上のセリンまたはスレオニン残基の付加または置換によっても行うことができる。容易にするために、好ましくは、DNAレベルでの変化を通して、具体的には、翻訳して所望のアミノ酸になるコドンが作製されるように、予め選択された塩基で標的ポリペプチドをコードするDNAを変異させることによって、IL-2ムテインまたはIL-2ムテインFc融合タンパク質のアミノ酸配列を変化させる。
IL-2ムテインまたはIL-2ムテインFc融合タンパク質上の炭水化物部分の数を増加する別の手段は、タンパク質へのグリコシドの化学カップリングまたは酵素カップリングによるものである。これらの手順は、N及びO結合型グリコシル化のためのグリコシル化能を有する宿主細胞におけるタンパク質の産生を必要としないという点において有利である。使用されるカップリング様式に応じて、糖(複数可)は、(a)アルギニン及びヒスチジン、(b)遊離カルボキシル基、(c)システインの基等の遊離スルフヒドリル基、(d)セリン、スレオニン、もしくはヒドロキシプロリンの基等の遊離ヒドロキシル基、(e)フェニルアラニン、チロシン、もしくはトリプトファンの基等の芳香族残基、または(f)グルタミンのアミド基に結合させてもよい。これらの方法は、1987年9月11日に公開されたWO87/05330、及びAplin and Wriston,1981,CRC Crit.Rev.Biochem.,pp.259-306に記載されている。
出発IL-2ムテインまたはIL-2ムテインFc融合タンパク質上に存在する炭水化物部分の除去は、化学的にまたは酵素的に達成され得る。化学的脱グリコシル化は、トリフルオロメタンスルホン酸または同等の化合物へのタンパク質の曝露を必要とする。この処理によって、ポリペプチドが無傷のままで、結合する糖(N-アセチルグルコサミンまたはN-アセチルガラクトサミン)を除くほとんどのまたは全ての糖の切断がもたらされる。化学的脱グリコシル化は、Hakimuddin et al.,1987,Arch.Biochem.Biophys.259:52によって、及びEdge et al.,1981,Anal.Biochem.118:131によって記載されている。ポリペプチド上の炭水化物部分の酵素的切断は、Thotakura et al.,1987,Meth.Enzymol.138:350によって記載されるように、様々なエンドグルコシダーゼ及びエキソグルコシダーゼの使用によって達成することができる。潜在的なグリコシル化部位におけるグリコシル化は、Duskin et al.,1982,J.Biol.Chem.257:3105によって記載されるように、化合物ツニカマイシンの使用によって防止され得る。ツニカマイシンはタンパク質-N-グリコシド結合の形成を妨げる。
IL-2ムテインまたはIL-2ムテインFc融合タンパク質の別の種類の共有結合修飾は、米国特許第4,640,835号;同第4,496,689号;同第4,301,144号;同第4,670,417号;同第4,791,192号;または同第4,179,337号に記載される様式で、IL-2ムテインまたはIL-2ムテインFc融合タンパク質を、限定されないが、種々のポリオール、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、またはポリオキシアルキレン等を含む種々の非タンパク質性ポリマーに結合することを含む。さらに、PEG等のポリマーの付加を促進するために、IL-2ムテインまたはIL-2ムテインFc融合タンパク質中の種々の位置でアミノ酸置換が行われてもよい。したがって、本発明の実施形態は、PEG化IL-2ムテイン及びIL-2ムテインFc融合タンパク質を含む。そのようなPEG化タンパク質は、非PEG化タンパク質よりも高い半減期及び/または低い免疫原性を有し得る。
IL-2ムテイン及びIL-2ムテインFc融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド
IL-2 ムテイン及びIL-2ムテインFc融合タンパク質をコードする核酸が本明細書に包含される。本発明の態様は、本明細書に記載のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド変異体(例えば、縮重による)を含む。好ましい実施形態において、単離された核酸によってコードされるポリペプチドは、IL-2ムテインFc融合タンパク質の成分である。
核酸の単離のためのプローブもしくはプライマーとして、またはデータベース検索のためのクエリ配列として使用される、本明細書に記載のアミノ酸配列に対応するヌクレオチド配列は、アミノ酸配列からの「逆翻訳」によって得ることができる。周知のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の手順を用いて、IL-2ムテイン及びIL-2ムテインFc融合タンパク質をコードするDNA配列を単離及び増幅することができる。DNA断片の組み合わせの所望の終端を画定するオリゴヌクレオチドが、5’及び3’プライマーとして用いられる。オリゴヌクレオチドは、増幅したDNA断片の組み合わせの発現ベクターへの挿入を促進するために、制限エンドヌクレアーゼの認識部位を付加的に含有することができる。PCR技術は、Saiki et al.,Science 239:487(1988);Recombinant DNA Methodology,Wu et al.,eds.,Academic Press,Inc.,San Diego(1989),pp.189-196;及びPCR Protocols:A Guide to Methods and Applications,Innis et.al.,eds.,Academic Press,Inc.(1990)に記載されている。
本発明の核酸分子は、一本鎖形態及び二本鎖形態の両方のDNA及びRNA、ならびに対応する相補性配列を含む。「単離された核酸」は、天然に存在する源から単離された核酸の場合、その核酸が単離された生物のゲノム中に存在する隣接する遺伝子配列から分離された核酸である。鋳型から酵素的に合成されるか、または化学的に合成される核酸、例えば、そのようなPCR産物、cDNA分子、またはオリゴヌクレオチド等の場合、そのようなプロセスから得られる核酸は、単離された核酸であることを理解されたい。単離された核酸分子は、分離した断片の形態の、またはより大きな核酸構築物の構成要素としての核酸分子を指す。好ましい一実施形態において、核酸は、混入する内因性物質を実質的に含まない。核酸分子は、実質的に純粋な形態であり、かつ標準的な生化学的方法(Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY(1989)に概説されるもの等)により、その構成要素であるヌクレオチド配列の同定、操作、及び回復を可能にする量または濃度の、少なくとも1回単離されたDNAまたはRNAに由来していることが好ましい。そのような配列は、好ましくは、真核生物の遺伝子中に典型的に存在する内部非翻訳配列またはイントロンによって中断されることなく、オープンリーディングフレームの形態で提供及び/または構築される。非翻訳DNAの配列は、オープンリーディングフレームから5’または3’に存在してもよく、それらはコード領域の操作または発現に干渉しない。
本発明による変異体は、通常、カセットもしくはPCR変異誘発、または当該技術分野で周知の他の技術を用いて、IL-2ムテインまたはIL-2ムテインFc融合タンパク質をコードするDNA中のヌクレオチドの部位特異的変異誘発によって変異体をコードするDNAを産生させ、その後、本明細書に概説されるように細胞培養物中で組換えDNAを発現させることによって調製される。しかしながら、IL-2ムテイン及びIL-2ムテインFc融合体は、確立された技術を用いてin vitro合成によって調製されてもよい。変異体は、典型的には、天然に存在する類似体と同じ定性的な生物学的活性、例えば、Tregの増殖を示すが、後により詳細に概説するように、改変された特徴を有する変異体を選択することもできる。
当業者には理解されるように、遺伝子コードの縮重に起因して、極めて多数の核酸が作製され得、それらは全て、本発明のIL-2ムテイン及びIL-2ムテインFc融合タンパク質をコードする。よって、特定のアミノ酸配列を同定すると、当業者は、コードされるタンパク質のアミノ酸配列を変化させない様式で1つ以上のコドンの配列を単純に修飾することによって、任意の数の異なる核酸を作製することができる。
本発明はまた、前述の少なくとも1つのポリヌクレオチドを含むプラスミド、発現ベクター、転写または発現カセットの形態で発現系及び構築物も提供する。さらに、本発明は、そのような発現系または構築物を含む宿主細胞を提供する。
典型的には、宿主細胞のうちのいずれかにおいて用いられる発現ベクターは、プラスミド維持のため、ならびに外因性ヌクレオチド配列のクローニング及び発現のための配列を含有する。特定の実施形態において集合的に「フランキング配列」と称されるそのような配列は、典型的には、以下のヌクレオチド配列のうちの1つ以上を含む:プロモーター、1つ以上のエンハンサー配列、複製起点、転写終結配列、ドナー及びアクセプタースプライシング部位を含有する完全なイントロン配列、ポリペプチド分泌のためのリーダー配列をコードする配列、リボソーム結合部位、ポリアデニル化配列、発現されるべきポリペプチドをコードする核酸を挿入するためのポリリンカー領域、ならびに選択可能マーカー要素。これらの配列の各々については、後に記載する。
任意選択的に、ベクターは、「タグ」コード配列、すなわち、IL-2ムテインまたはIL-2ムテインFc融合タンパク質コード配列の5’または3’末端に位置するオリゴヌクレオチド分子を含有してもよく、オリゴヌクレオチド配列は、市販の抗体が存在するポリHis(ヘキサHis(配列番号21)等)、または別の「タグ」、例えば、FLAG、HA(インフルエンザウイルス血球凝集素)、もしくはmycをコードする。このタグは、典型的には、ポリペプチドが発現するとポリペプチドに融合され、宿主細胞からのIL-2ムテインの親和性精製または検出のための手段としての役割を果たすことができる。親和性精製は、例えば、タグに対する抗体を親和性マトリックスとして使用するカラムクロマトグラフィーによって達成されてもよい。任意選択的に、切断のための特定のペプチダーゼを使用する等の種々の手段によって、精製されたIL-2ムテイン及びIL-2ムテインFc融合タンパク質から後にタグを取り除くことができる。
フランキング配列は、同種(すなわち、宿主細胞と同じ種及び/または株に由来する)、異種(すなわち、宿主細胞の種または株以外の種に由来する)、ハイブリッド(すなわち、1つより多くの源からのフランキング配列の組み合わせ)、合成、または天然であってもよい。そのため、フランキング配列の源は、いずれの原核生物もしくは真核生物、いずれの脊椎生物もしくは無脊椎生物、またはいずれの植物であってもよいが、但し、フランキング配列が宿主細胞の機構において機能的であり、かつ該機構によって活性化され得るものとする。
本発明のベクターにおいて有用なフランキング配列は、当該技術分野で周知のいくつかの方法のうちのいずれかによって得られてもよい。典型的には、本明細書において有用なフランキング配列は、マッピングによって、及び/または制限エンドヌクレアーゼ消化によって以前に同定されており、したがって、適切な制限エンドヌクレアーゼを用いて適当な組織源から単離することができる。いくつかの場合において、フランキング配列の全長ヌクレオチド配列が既知であってもよい。本明細書において、フランキング配列は、核酸の合成またはクローニングについて本明細書に記載される方法を用いて合成してもよい。
フランキング配列の全てまたは一部のみが既知であるかどうかにかかわらず、フランキング配列は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて、ならびに/または、同じ種もしくは別の種に由来するオリゴヌクレオチド及び/もしくはフランキング配列断片等の適切なプローブでゲノムライブラリーをスクリーニングすることによって得ることができる。フランキング配列が未知である場合、フランキング配列を含有するDNAの断片は、例えば、コード配列またはさらには別の遺伝子(単数もしくは複数)を含有し得るより大きなDNA片から単離されてもよい。単離は、制限エンドヌクレアーゼによる消化で適当なDNA断片を生成し、その後、アガロースゲル生成、Qiagen(登録商標)カラムクロマトグラフィー(Chatsworth,CA)、または当業者に既知の他の方法を用いて単離することによって達成されてもよい。この目的を達成するのに適した酵素の選択は、当業者には容易に明らかになるであろう。
複製起点は、典型的には、市販購入した原核生物発現ベクターの一部であり、起点は、宿主細胞におけるベクターの増幅に役立つ。選択したベクターが複製起点部位を含有しない場合、既知の配列に基づいて化学合成し、ベクター内に連結してもよい。例えば、プラスミドpBR322(New England Biolabs、Beverly,MA)由来の複製起点は、ほとんどのグラム陰性細菌に適しており、種々のウイルス起点(例えば、SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、またはHPVもしくはBPV等のパピローマウイルス)が、哺乳動物細胞でベクターをクローニングするのに有用である。一般的に、複製起点成分は、哺乳動物発現ベクターには必要ない(例えば、SV40起点が用いられることが多いが、それは、単に該起点がウイルス初期プロモーターも含有するためである)。
転写終結配列は、典型的には、ポリペプチドコード領域の末端の3’側に位置し、転写を終結させる役割を果たす。通常、原核細胞の転写終結配列は、その後にポリT配列が続くG-Cリッチな断片である。この配列は、ライブラリーから容易にクローニングされるか、またはさらにはベクターの一部として市販購入されるが、本明細書に記載されるもの等の核酸合成のための方法を用いて容易に合成することもできる。
選択可能マーカー遺伝子は、選択的な培養培地中で成長させた宿主細胞の生存及び増殖に必要なタンパク質をコードする。典型的な選択マーカー遺伝子は(a)抗生物質もしくは他の毒素、例えば、原核生物宿主細胞の場合はアンピシリン、テトラサイクリン、もしくはカナマイシンに対する耐性を付与するか、(b)細胞の栄養要求不全を補完するか、または(c)複合培地または定義された培地から入手不可能な決定的に重要な栄養素を供給するタンパク質をコードする。特定の選択可能マーカーは、カナマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、及びテトラサイクリン耐性遺伝子である。有利には、ネオマイシン耐性遺伝子も、原核生物及び真核生物の両方の宿主細胞において選択に用いられ得る。
他の選択可能な遺伝子を用いて発現される遺伝子を増幅してもよい。増幅は、増殖または細胞の生存のために非常に重要なタンパク質の産生に必要とされる遺伝子が、組換えT細胞の連続世代の染色体中でタンデムに反復するプロセスである。哺乳動物細胞に適した選択可能マーカーの例として、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)及びプロモーターレスのチミジンキナーゼ遺伝子が挙げられる。哺乳動物細胞の形質転換体は、形質転換体のみがベクター中に存在する選択可能な遺伝子によって生存するように一意的に適応させた選択圧下に置かれる。培地中の選択剤の濃度が連続的に増加される条件下で形質転換細胞を培養することによって選択圧を課し、それによって、選択可能な遺伝子及び別の遺伝子、例えば、IL-2ムテインまたはIL-2ムテインFc融合タンパク質等をコードするDNAの両方の増幅を引き起こす。その結果として、増幅したDNAから、増加した量のポリペプチド、例えば、IL-2ムテインまたはIL-2ムテインFc融合タンパク質等が合成される。
リボソーム結合部位は、通常、mRNAの翻訳開始のために必要であり、シャイン・ダルガノ配列(原核生物)またはコザック配列(真核生物)によって特徴付けられる。この要素は、典型的には、プロモーターの3’側、及び発現されるべきポリペプチドのコード配列の5’側に位置する。特定の実施形態において、1つ以上のコード領域が内部リボソーム結合部位(IRES)に作動可能に連結されてもよく、単一のRNA転写物から2つのオープンリーディングフレームの翻訳を可能にする。
いくつかの場合において、例えば、真核生物宿主細胞発現系におけるグリコシル化が望ましい場合、グリコシル化または収量を改善するために、種々のプレ配列またはプロ配列を操作することができる。例えば、特定のシグナルペプチドのペプチダーゼ切断部位を変更してもよいか、またはプロ配列を付加してもよく、これは同様にグリコシル化に影響を及ぼし得る。最終タンパク質産物は、-1位(成熟タンパク質の最初のアミノ酸に対して)に発現に伴う1つ以上のさらなるアミノ酸を有してもよく、これは完全に除去されていない場合がある。例えば、最終タンパク質産物は、アミノ末端に結合した、ペプチダーゼ切断部位に見出される1つまたは2つのアミノ酸残基を有し得る。代替として、いくつかの酵素切断部位の使用により、酵素が成熟ポリペプチド内のそのような領域を切断する場合、わずかに切断された形態の所望のポリペプチドを生じ得る。
本発明の発現ベクター及びクローニングベクターは、典型的には、宿主生物によって認識され、かつIL-2ムテインまたはIL-2ムテインFc融合タンパク質をコードする分子に作動可能に連結されたプロモーターを含有する。プロモーターは、構造遺伝子の転写を制御する構造遺伝子の開始コドンの上流(すなわち、5’)(通常、約100~1000bp以内)に位置する非転写配列である。従来、プロモーターは、誘導性プロモーター及び構成性プロモーターの2つのクラスのうちの1つに分類される。誘導性プロモーターは、培養条件における何らかの変化、例えば、栄養素の有無または温度の変化等に応じて、それらの制御下にあるDNAから高いレベルの転写を開始させる。それに対して、構成性プロモーターは、それらが作動可能に連結された遺伝子を一様に転写する、すなわち、遺伝子発現をほとんどまたはまったく制御しない。様々な潜在的宿主細胞によって認識される多数のプロモーターが周知である。
酵母宿主に用いるのに適したプロモーターもまた、当該技術分野において周知である。酵母エンハンサーは、酵母プロモーターとともに有利に用いられる。哺乳動物宿主細胞に用いるのに適したプロモーターは周知であり、それらは、限定されないが、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(アデノウイルス2等)、ウシパピローマウイルス、鳥肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、そして最も好ましくはサルウイルス40(SV40)等のウイルスのゲノムから得られるプロモーターを含む。他の適切な哺乳動物プロモーターは、異種哺乳動物プロモーター、例えば、熱ショックプロモーター及びアクチンプロモーターを含む。
対象となり得るさらなるプロモーターは、限定されないが、SV40初期プロモーター(Benoist and Chambon,1981,Nature 290:304-310);CMVプロモーター(Thornsen et al.,1984,Proc.Natl.Acad.U.S.A.81:659-663);ラウス肉腫ウイルスの3’末端反復配列に含有されるプロモーター(Yamamoto et al.,1980,Cell 22:787-797);ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagner et al.,1981,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.78:1444-1445);メタロチオネイン遺伝子由来のプロモーター及び制御配列(Prinster et al.,1982,Nature 296:39-42);及びβラクタマーゼプロモーター等の原核生物プロモーター(Villa-Kamaroff et al.,1978,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.75:3727-3731);またはtacプロモーター(DeBoer et al.,1983,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.80:21-25)を含む。同じく対象となるのは、組織特異性を示し、トランスジェニック動物において利用されてきた以下の動物転写制御領域である:膵臓腺房細胞において活性なエラスターゼI遺伝子制御領域(Swift et al.,1984,Cell 38:639-646;Ornitz et al.,1986,Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.50:399-409;MacDonald,1987,Hepatology 7:425-515);膵臓β細胞において活性なインスリン遺伝子制御領域(Hanahan,1985,Nature 315:115-122);リンパ球において活性な免疫グロブリン遺伝子制御領域(Grosschedl et al.,1984,Cell 38:647-658;Adames et al.,1985,Nature 318:533-538;Alexander et al.,1987,Mol.Cell.Biol.7:1436-1444);精巣細胞、乳房細胞、リンパ球、及びマスト細胞において活性なマウス乳腺腫瘍ウイルス制御領域(Leder et al.,1986,Cell 45:485-495);肝臓において活性なアルブミン遺伝子制御領域(Pinkert et al.,1987,Genes and Devel.1:268-276);肝臓において活性なαフェトプロテイン遺伝子制御領域(Krumlauf et al.,1985,Mol.Cell.Biol.5:1639-1648;Hammer et al.,1987,Science 253:53-58);肝臓において活性なα1アンチトリプシン遺伝子制御領域(Kelsey et al.,1987,Genes and Devel.1:161-171);骨髄細胞において活性なβグロビン遺伝子制御領域(Mogram et al.,1985,Nature 315:338-340;Kollias et al.,1986,Cell 46:89-94);脳内のオリゴデンドロサイト細胞において活性なミエリン塩基性タンパク質遺伝子制御領域(Readhead et al.,1987,Cell 48:703-712);骨格筋において活性なミオシン軽鎖-2遺伝子制御領域(Sani,1985,Nature 314:283-286);及び視床下部において活性な性腺刺激ホルモン放出ホルモン遺伝子制御領域(Mason et al.,1986,Science 234:1372-1378)。
より高次の真核生物による転写を増加させるために、エンハンサー配列をベクターに挿入してもよい。エンハンサーは、プロモーターに作用して転写を増加させる、通常、約10~300bpの長さのDNAのシス作用性要素である。エンハンサーは、比較的、配向及び位置独立性であり、転写単位の5’及び3’の両方の位置に見出されている。哺乳動物遺伝子から入手可能ないくつかのエンハンサー配列が既知である(例えば、グロビン、エラスターゼ、アルブミン、αフェトプロテイン、及びインスリン)。しかしながら、典型的には、ウイルス由来のエンハンサーが用いられる。当該技術分野で既知のSV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーター・エンハンサー、ポリオーマエンハンサー、及びアデノウイルスエンハンサーは、真核生物プロモーター活性化のための例示的な促進要素である。エンハンサーは、コード配列の5’または3’のいずれかでベクター内に配置されてもよいが、典型的には、プロモーターの5’部位に位置する。IL-2ムテインまたはIL-2ムテインFc融合タンパク質の細胞外分泌を促進するために、適切な天然または異種シグナル配列(リーダー配列またはシグナルペプチド)をコードする配列を発現ベクター内に取り込むことができる。シグナルペプチドまたはリーダーの選択は、タンパク質が産生される宿主細胞の種類に依存し、異種シグナル配列が天然シグナル配列に取って代わることができる。哺乳動物宿主細胞において機能的であるシグナルペプチドの例として、以下が挙げられる:米国特許第4,965,195号に記載されるインターロイキン7(IL-7)のシグナル配列;Cosman et al.,1984,Nature 312:768に記載されるインターロイキン2受容体のシグナル配列;欧州特許第0367 566号に記載されるインターロイキン4受容体シグナルペプチド;米国特許第4,968,607号に記載されるI型インターロイキン1受容体シグナルペプチド;欧州特許第0 460 846号に記載されるII型インターロイキン1受容体シグナルペプチド。
ベクターは、ベクターが宿主細胞ゲノムに組み込まれた時に発現を促進する1つ以上の要素を含有してもよい。例として、EASE要素(Aldrich et al.2003 Biotechnol Prog.19:1433-38)及びマトリックス付着領域(MAR)が挙げられる。MARは、クロマチンの構造機構を媒介し、統合されたベクターを「位置」効果から保護し得る。よって、MARは、安定した形質転換体を作製するためにベクターが使用される場合に特に有用である。多数の天然及び合成MAR含有核酸が、当該技術分野において既知である(例えば、米国特許第6,239,328号、同第7,326,567号、同第6,177,612号、同第6,388,066号、同第6,245,974号、同第7,259,010号、同第6,037,525号、同第7,422,874号、同第7,129,062号)。
本発明の発現ベクターは、市販のベクター等の出発ベクターから構築されてもよい。そのようなベクターは、所望のフランキング配列の全てを含有してもまたは含有しなくてもよい。本明細書に記載のフランキング配列のうちの1つ以上がまだベクター内に存在しない場合、それらを個別に得てベクターに連結してもよい。各々のフランキング配列を得るために使用される方法は、当業者に周知である。
ベクターが構築されて、IL-2ムテインまたはIL-2ムテインFc融合タンパク質をコードする核酸分子がベクターの適切な部位に挿入された後、増幅及び/またはポリペプチド発現のために、完全なベクターが適切な宿主細胞に挿入されてもよい。選択された宿主細胞への発現ベクターの形質転換は、トランスフェクション、感染、リン酸カルシウム共沈殿、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、リポフェクション、DEAE-デキストラン仲介トランスフェクション、または他の既知の技術を含む周知の方法によって達成されてもよい。選択される方法は、一部、使用される宿主細胞の種類の関数であろう。これらの方法及び他の適切な方法は、当業者に周知であり、例えば、Sambrook et al.,2001(上記参照)に記載されている。
適切な条件下で培養すると、宿主細胞はIL-2ムテインまたはIL-2ムテインFc融合タンパク質を合成し、それは、後に培養培地から回収することができるか(宿主細胞が培地内でタンパク質を分泌する場合)、またはタンパク質を産生している宿主細胞から直接回収することができる(タンパク質が分泌されない場合)。適切な宿主細胞の選択は、所望の発現レベル、活性に望ましいかまたは必要なポリペプチド修飾(グリコシル化またはリン酸化等)、及び生物学的に活性な分子にフォールディングしやすいこと等の種々の要因に依存する。宿主細胞は、真核生物または原核生物であってもよい。
発現のための宿主として利用可能な哺乳動物細胞株は、当該技術分野において周知であり、限定されないが、American Type Culture Collection(ATCC)から入手可能な不死化細胞株を含み、当該技術分野で既知の発現系に使用される任意の細胞株を、本発明の組換えポリペプチドを作製するために使用することができる。一般的に、宿主細胞は、所望のIL-2ムテインまたはIL-2ムテインFc融合体をコードするDNAを含む組換え発現ベクターで形質転換される。用いられ得る宿主細胞の中には、原核細胞、酵母細胞、またはより高次の真核細胞がある。原核生物は、グラム陰性細菌またはグラム陽性細菌、例えば、大腸菌または桿菌を含む。より高次の真核細胞は、昆虫細胞及び哺乳動物起源の確立された細胞株を含む。適切な哺乳動物宿主細胞の例として、サル腎細胞のCOS-7株(ATCC CRL 1651)(Gluzman et al.,1981,Cell 23:175)、L細胞、293細胞、C127細胞、3T3細胞(ATCC CCL 163)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、またはそれらの誘導体、例えば、無血清培地で増殖させたVeggie CHO及び関連する細胞系(Rasmussen et al.,1998,Cytotechnology 28:31)、HeLa細胞、BHK(ATCC CRL 10)細胞株、及びMcMahan et al.,1991,EMBO J.10:2821に記載されるようなアフリカミドリザル腎細胞株CVIに由来するCVI/EBNA細胞株(ATCC CCL 70)、ヒト胎児腎細胞、例えば、293、293 EBNAまたはMSR 293、ヒト表皮A431細胞、ヒトColo205細胞、他の形質転換された霊長類細胞株、正常2倍体細胞、一次組織のin vitro培養に由来する細胞株、一次外植片、HL-60、U937、HaKまたはJurkat細胞が挙げられる。任意選択的に、様々なシグナル伝達アッセイまたはレポーターアッセイにおいてポリペプチドを使用することが望ましい場合、例えば、HepG2/3B、KB、NIH 3T3、またはS49等の哺乳動物細胞株をポリペプチドの発現に使用することができる。
代替として、酵母等の低次真核生物または細菌等の原核生物においてポリペプチドを産生することが可能である。適切な酵母は、サッカロミセス・セレビシエ、シゾサッカロミセス・ポンベ、クリベロミセス株、カンジダ、または異種ポリペプチドを発現することができる任意の酵母株を含む。適切な細菌株は、大腸菌、枯草菌、ネズミチフス菌、または異種ポリペプチドを発現することができる任意の細菌株を含む。ポリペプチドが酵母または細菌中で作製される場合、機能的なポリペプチドを得るために、例えば、適切な部位のリン酸化またはグリコシル化によって、その中で産生されるポリペプチドを修飾することが望ましいかもしれない。そのような共有結合的な付着は、既知の化学的または酵素的な方法を用いて達成することができる。
ポリペプチドはまた、本発明の単離された核酸を、1つ以上の昆虫発現ベクター内の適切な制御配列に作動可能に連結し、昆虫発現系を用いることによって産生させることもできる。バキュロウイルス/昆虫細胞発現系の材料及び方法は、例えば、Invitrogen、San Diego,Calif.,U.S.A.からキットの形態で市販されており(MaxBac(登録商標)キット)、そのような方法は、Summers and Smith,Texas Agricultural Experiment Station Bulletin No.1555(1987)及びLuckow and Summers,Bio/Technology 6:47(1988)によって記載されるように、当該技術分野において周知である。本明細書に開示される核酸構築物に由来するRNAを使用してポリペプチドを産生させるために、無細胞翻訳系が用いられてもよい。細菌、真菌、酵母、及び哺乳動物細胞宿主に使用するための適切なクローニングベクター及び発現ベクターは、Pouwels et al.(Cloning Vectors:A Laboratory Manual,Elsevier,New York,1985)に記載されている。好ましくは少なくとも1つの発現制御配列に作動可能に連結された、本発明の単離された核酸を含む宿主細胞は、「組換え宿主細胞」である。
特定の態様において、本発明は、制御性T細胞を選択的に刺激し、V91K置換と、配列番号1に記載のアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一のアミノ酸配列とを含むヒトIL-2ムテインをコードする単離された核酸を含む。単離された核酸は、本明細書に提供される例示的なIL-2ムテインのいずれかをコードしてもよい。
また、本明細書に記載の例示的なIL-2ムテインFc融合タンパク質のいずれかをコードする単離された核酸も含まれる。好ましい実施形態において、抗体のFc部分及びヒトIL-2ムテインは、任意選択的にFc領域とIL-2ムテインとの間でコードされるリンカーを用いて、単一のオープンリーディングフレーム内でコードされる。
別の態様において、上記IL-2ムテインまたはIL-2ムテインFc融合タンパク質をコードする、プロモーターに作動可能に連結された核酸を含む発現ベクターが、本明細書に提供される。
別の態様において、上記IL-2ムテインまたはIL-2ムテインFc融合タンパク質をコードする単離された核酸を含む宿主細胞が本明細書に提供される。宿主細胞は、大腸菌等の原核細胞であってもよいか、または哺乳動物細胞等の真核細胞であってもよい。特定の実施形態において、宿主細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株である。
別の態様において、ヒトIL-2ムテインを作製する方法が本明細書に提供される。方法は、ヒトIL-2ムテインに作動可能に連結されたプロモーターが発現される条件下で宿主細胞を培養することを含む。その後、ヒトIL-2ムテインは、該培養物から回収される。IL-2ムテインは、培養培地及び/または宿主細胞可溶化物から回収されてもよい。
別の態様において、ヒトIL-2ムテインFc融合タンパク質を作製する方法が本明細書に提供される。方法は、ヒトIL-2ムテインFc融合タンパク質に作動可能に連結されたプロモーターが発現される条件下で宿主細胞を培養することを含む。その後、ヒトIL-2ムテインFc融合タンパク質は、該培養物から回収される。ヒトIL-2ムテインFc融合タンパク質は、培養培地及び/または宿主細胞可溶化物から回収されてもよい。
薬学的組成物
いくつかの実施形態において、本発明は、薬学的に有効な希釈剤、担体、可溶化剤、乳化剤、防腐剤、及び/またはアジュバントと一緒に治療有効量のIL-2ムテインを含む薬学的組成物を提供する。特定の実施形態において、IL-2ムテインは、IL-2ムテインFc融合タンパク質の枠内に含まれる。本発明の薬学的組成物は、限定されないが、液体組成物、凍結組成物、及び凍結乾燥組成物を含む。
好ましくは、製剤材料は、用いられる投与量及び濃度ではレシピエントに無毒である。具体的な実施形態において、治療分子を含有する治療有効量のIL-2ムテイン、例えば、IL-2ムテインFc融合体を含む薬学的組成物が提供される。
特定の実施形態において、薬学的組成物は、例えば、組成物のpH、モル浸透圧濃度、粘性、透明性、色、等張性、臭い、無菌性、安定性、溶解または放出の速度、吸着または浸透を変更、維持、または保存するための製剤材料を含有してもよい。そのような実施形態において、適切な製剤材料は、限定されないが、アミノ酸(グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、プロリン、もしくはリジン等);抗菌剤;酸化防止剤(アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウムもしくは亜硫酸水素{ありゅうさんすいそ}ナトリウム等);緩衝剤(ホウ酸、炭酸水素、トリス-HCl、クエン酸塩、リン酸塩、もしくは他の有機酸等);増量剤(マンニトールもしくはグリシン等);キレート化剤(エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等);錯化剤(カフェイン、ポリビニルピロリドン、βシクロデキストリン、もしくはヒドロキシプロピル-βシクロデキストリン等);充填剤;単糖類;二糖類;及び他の炭水化物(グルコース、マンノース、もしくはデキストリン等);タンパク質(血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリン等);着色剤、香味剤、及び希釈剤;乳化剤;親水性ポリマー(ポリビニルピロリドン等);低分子量ポリペプチド;塩形成対イオン(ナトリウム等);防腐剤(塩化ベンザルコニウム、安息香酸、サリチル酸、チメロサール、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジン、ソルビン酸、もしくは過酸化水素等);溶剤(グリセリン、プロピレングリコール、もしくはポリエチレングリコール等);糖アルコール(マンニトールもしくはソルビトール等);懸濁化剤;界面活性剤もしくは湿潤剤(プルロニック、PEG、ソルビタンエステル、ポリソルベート、例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート、トリトン、トロメタミン、レシチン、コレステロール、チロキサポール等);安定性促進剤(スクロースもしくはソルビトール等);張度増強剤(アルカリ金属{きんぞく}ハロゲン化物、好ましくは、塩化ナトリウムもしくは塩化カリウム、マンニトール、ソルビトール等);送達ビヒクル;稀釈剤;賦形剤及び/または薬学的アジュバントが挙げられる。REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES,18”Edition,(A.R.Genrmo,ed.),1990,Mack Publishing Companyを参照のこと。
特定の実施形態において、最適な薬学的組成物は、例えば、意図する投与経路、送達形態、及び所望の投与量に応じて、当業者によって決定される。例えば、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES(上記参照)を参照のこと。特定の実施形態において、そのような組成物は、本発明の抗原結合タンパク質の物理的状態、安定性、in vivo放出速度、及びin vivoクリアランス速度に影響を及ぼし得る。特定の実施形態において、薬学的組成物中の主なビヒクルまたは担体は、本質的に水性または非水性のいずれであってもよい。例えば、適切なビヒクルまたは担体は、恐らくは非経口投与用の組成物中に一般的に見られる他の材料で補充された、注射用水、生理食塩水、または人工脳脊髄液であってもよい。血清アルブミンと混合した中性緩衝食塩水または食塩水は、さらなる例示的なビヒクルである。具体的な実施形態において、薬学的組成物は、約pH7.0~8.5のトリス緩衝液または約pH4.0~5.5の酢酸緩衝液を含み、さらにソルビトールまたはそれに適した代替物を含んでもよい。本発明の特定の実施形態において、Il-2ムテイン組成物は、所望の程度の純度を有する選択された組成物と、任意選択的な製剤物質(REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES、上記参照)とを混合することによって、凍結乾燥ケーキまたは水溶液の形態で保存するために調製することができる。さらに、特定の実施形態において、IL-2ムテイン生成物は、スクロース等の適切な賦形剤を用いて凍結乾燥物として製剤化されてもよい。
本発明の薬学的組成物は、非経口送達のために選択することができる。代替として、組成物は、吸入のため、または消化管を通る送達、例えば経口送達のために選択されてもよい。そのような薬学的に許容される組成物の調製は、当該技術分野の範囲内である。製剤成分は、投与の部位に許容される濃度で存在することが好ましい。特定の実施形態において、緩衝液を用いて、組成物を生理的pHまたはそれよりもやや低いpH、典型的には約5~約8のpH範囲内に維持する。
非経口投与が企図される場合、本発明に使用される治療組成物は、薬学的に許容されるビヒクル中に所望のIL-2ムテイン組成物を含む、パイロジェンフリーの非経口的に許容される水溶液の形態で提供されてもよい。非経口注射に特に適したビヒクルは滅菌蒸留水であり、その中でIL-2ムテイン組成物が無菌等張液として製剤化され、適切に保存される。特定の実施形態において、調製は、例えば、デポー注射によって送達することができる生成物の制御放出または持続放出を提供し得る注射用微粒子、生体内分解性粒子、ポリマー化合物(ポリ乳酸もしくはポリグリコール酸等)、ビーズまたはリポソーム等の物質を用いた所望の分子の製剤化を含むことができる。特定の実施形態において、循環中の持続期間を促進する効果を有するヒアルロン酸も用いられ得る。特定の実施形態において、移植可能な薬物送達デバイスを用いて所望のIL-2ムテイン組成物を導入してもよい。
持続または制御送達製剤中にIL-2ムテイン組成物を含む製剤を含む、さらなる薬学的組成物が当業者に明白である。様々な他の持続または制御送達手段、例えば、リポソーム担体、生体内分解性微小粒子または多孔性ビーズ、及びデポ-注射等を製剤化するための技術も当業者に既知である。例えば、参照によって組み込まれ、薬学的組成物の送達のための多孔性ポリマー微小粒子の制御放出について記載する国際特許出願番号PCT/US93/00829を参照のこと。持続放出調製物は、例えば、フィルムまたはマイクロカプセル等の成形物品の形態で、半透性ポリマーマトリックスを含んでもよい。持続放出性マトリックスは、ポリエステル、ヒドロゲル、ポリラクチド(各々が参照により組み込まれる米国特許第3,773,919号及び欧州特許出願公開番号EP058481に開示されるような)、Lグルタミン酸及びγエチル-L-グルタミン酸塩のコポリマー(Sidman et al.,1983,Biopolymers 2:547-556)、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)(Langer et al.,1981,J.Biomed.Mater.Res.15:167-277、及びLanger,1982,Chem.Tech.12:98-105)、エチレン酢酸ビニル(Langer et al.,1981、上記参照)、またはポリ-D(-)-3-ヒドロキシ酪酸(欧州特許出願公開番号EP133,988)を含んでもよい。持続放出組成物はまた、当該技術分野で既知の任意のいくつかの方法のうちのいずれかによって調製され得るリポソームを含んでもよい。例えば、参照により組み込まれるEppstein et al.,1985,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.82:3688-3692;欧州特許出願公開番号EP036,676;同第EP088,046及び同第EP143,949を参照のこと。
in vivo投与に使用される薬学的組成物は、典型的には滅菌調製物として提供される。滅菌は、滅菌濾過膜を通した濾過によって達成することができる。組成物を凍結乾燥する場合、この方法を用いた滅菌は、凍結乾燥及び再構成の前または後のいずれかに行なわれてもよい。非経口投与のための組成物は、凍結乾燥形態で、または溶液中に保存することができる。非経口組成物は、一般的に、無菌アクセスポートを有する容器、例えば、皮下注射針によって穿刺可能な栓を有する静脈注射輸液用のバッグまたはバイアル中に入れられる。
本発明の態様は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際特許出願第WO06138181A2(PCT/US2006/022599)号に記載されるような、薬学的組成物として使用することができる自己緩衝IL-2ムテイン製剤を含む。
上述のように、特定の実施形態は、IL-2ムテイン組成物、具体的には、IL-2ムテイン組成物に加えて、本項及び本明細書の他の箇所に例示的に記載されるもの等の1つ以上の賦形剤を含む、薬学的なIl-2ムテインFc融合タンパク質を提供する。賦形剤は、この点において、製剤の物理的、化学的、もしくは生物学的特性(粘性の調節等)及び/または本発明のプロセスを調節し、有効性を向上させ、かつ/または、例えば、製造中、出荷中、保存中、使用前調製中、投与中、及びその後に生じるストレスによる分解及び損傷に対して、そのような製剤及びプロセスを安定化すること等の、多様な目的のために本発明において使用することができる。
タンパク質の安定化、ならびにそれに関して有用な製剤材料及び方法の様々な説明、例えば、Arakawa et al.,”Solvent interactions in pharmaceutical formulations,”Pharm Res.8(3):285-91(1991)、Kendrick et al.,”Physical stabilization of proteins in aqueous solution,”in:RATIONAL DESIGN OF STABLE PROTEIN FORMULATIONS:THEORY AND PRACTICE,Carpenter and Manning,eds.Pharmaceutical Biotechnology.13:61-84(2002)、及びRandolph et al.,”Surfactant-protein interactions,”Pharm Biotechnol.13:159-75(2002)が利用可能であり、具体的には、本発明による自己緩衝タンパク質製剤のための賦形剤及びそのプロセスに関する部分において、特に、獣医学的用途及び/またはヒト医学的用途のタンパク質医薬製品及びプロセスに関して、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
例えば、製剤のイオン強度及び/もしくは等張性を調節するため、かつ/または本発明による組成物のタンパク質もしくは他の成分の溶解性及び/もしくは物理的安定性を向上させるために、本発明の特定の実施形態に従って塩を使用してもよい。
周知のように、イオンは、タンパク質の表面上で荷電残基に結合することによって、ならびにタンパク質中の荷電基及び極性基を遮蔽して、それらの静電相互作用、引力、及び反発相互作用の強度を低下させることによって、タンパク質の天然状態を安定化することができる。イオンはまた、特に、タンパク質の変性ペプチド結合(--CONH)に結合することによって、タンパク質の変性状態を安定化することができる。さらに、タンパク質中の荷電基及び極性基とのイオン相互作用も分子間静電相互作用を減少させ、それによってタンパク質の凝集及び不溶性を回避または軽減することができる。
イオン種は、タンパク質に及ぼすそれらの影響において著しく異なる。本発明による薬学的組成物を製剤化する際に使用することができる、タンパク質に対するイオン及びそれらの影響のカテゴリー別順列が数多く開発されている。一例として、イオン性溶質及び極性非イオン溶質を、それらが溶液中のタンパク質の立体配座安定性に及ぼす影響ごとに順位付けするホフマイスターシリーズが挙げられる。安定化溶質は、「コスモトロピック」と称される。不安定化溶質は、「カオトロピック」と称される。コスモトロープは、溶液からタンパク質を沈殿させる(「塩析する」)ために高濃度(例えば、>1モルの硫酸アンモニウム)で一般的に用いられる。カオトロープは、タンパク質を変性させる及び/または可溶化する(「塩溶する」)ために一般的に使用される。「塩溶」及び「塩析」するためのイオンの関連有効性が、ホフマイスターシリーズにおけるそれらの位置を明確にする。
遊離アミノ酸は、増量剤、安定剤、及び酸化防止剤、ならびに他の標準的な用途として、本発明の種々の実施形態によるIL-2ムテイン製剤に使用することができる。リジン、プロリン、セリン、及びアラニンを使用して、製剤中のタンパク質を安定化することができる。グリシンは、正確なケーキの構造及び特性を確保するために、凍結乾燥において有用である。アルギニンは、液体製剤及び凍結乾燥製剤の両方において、タンパク質の凝集を阻害するために有用であり得る。メチオニンは、酸化防止剤として有用である。
ポリオールは、糖類、例えば、マンニトール、スクロース、及びソルビトール、ならびに多価アルコール、例えば、グリセロール及びプロピレングリコール等、そして本明細書における考察の目的で、ポリエチレングリコール(PEG)及び関連物質を含む。ポリオールは、コスモトロピックである。これらは、物理的及び化学的な分解プロセスからタンパク質を保護するための、液体製剤及び凍結乾燥製剤の両方において有用な安定化剤である。ポリオールはまた、製剤の張度を調節するためにも有用である。
本発明の選択実施形態において有用なポリオールはマンニトールであり、凍結乾燥製剤におけるケーキの構造的安定性を確保するために一般的に使用される。マンニトールは、ケーキの構造的安定性を確保する。マンニトールは、一般的に、凍結乾燥保護剤、例えば、スクロースとともに使用される。ソルビトール及びスクロースは、張度を調節するための好ましい薬剤であり、輸送中の凍結融解ストレス、または製造工程中のバルクの調製から保護するための安定剤である。グルコース及びラクトース等の還元糖(遊離アルデヒド基またはケトン基を含有する)は、表面のリジン残基及びアルギニン残基を糖化することができる。したがって、それらは、一般的に、本発明による使用に好ましいポリオールの中には入らない。さらに、そのような反応種を形成する糖類、例えば、酸性条件下でフルクトース及びグルコースに加水分解され、その結果として糖化を引き起こすスクロース等も、この点において本発明の好ましいポリオールの中には入らない。PEGは、タンパク質を安定化するために、及び抗凍結剤として有用であり、この点において本発明において使用することができる。
IL-2ムテイン製剤の実施形態は、界面活性剤をさらに含む。タンパク質分子は、表面上での吸着、ならびに空気-液体、固体-液体、及び液体-液体界面における変性、及び結果として生じる凝集の影響を受けやすい場合がある。これらの影響は、一般的にタンパク質濃度に反比例して増減する。これらの有害な相互作用は、一般的にタンパク質濃度に反比例して増減し、典型的には製品の出荷及び取り扱い中に起こる撹拌等の物理的撹拌によって悪化する。
界面活性剤は、表面吸着を防止する、最小限に抑える、または軽減するために日常的に使用される。この点において本発明において有用な界面活性剤は、ポリソルベート20、ポリソルベート80、ソルビタンポリエトキシレートの他の脂肪酸エステル、及びポロキサマー188を含む。
界面活性剤はまた、タンパク質の立体配座安定性を制御するためにも一般的に使用される。任意の所与の界面活性剤は、典型的には、あるタンパク質を安定化し、他のタンパク質を不安定化するため、この点において界面活性剤の使用はタンパク質に特異的である。
ポリソルベートは、酸化分解の影響を受けやすく、供給される場合、タンパク質残基側鎖、特にメチオニンの酸化を引き起こすのに十分な量の過酸化物を含有することが多い。その結果、ポリソルベートは、慎重に使用されるべきであり、使用される時は、それらの最低有効濃度で用いられるべきである。この点において、ポリソルベートは、賦形剤はそれらの最低有効濃度で使用されるべきであるという原則を例証している。
IL-2ムテイン製剤の実施形態は、1つ以上の酸化防止剤をさらに含む。周囲酸素及び温度の適切なレベルを維持することによって、また光への曝露を回避することによって、医薬製剤におけるタンパク質の有害な酸化をある程度防止することができる。タンパク質の酸化分解を防止するために、酸化防止賦形剤も使用することができる。この点に関して有用な酸化防止剤の中には、還元剤、酸素/フリーラジカル捕捉剤、及びキレート化剤がある。本発明による治療用タンパク質製剤に使用される酸化防止剤は、好ましくは水溶性であり、製品の有効期間を通してそれらの活性を維持する。この点において、EDTAが、本発明による好ましい酸化防止剤である。
酸化防止剤は、タンパク質を損傷する場合がある。例えば、還元剤、具体的にはグルタチオン等は、分子内ジスルフィド結合を破壊し得る。したがって、本発明で使用される酸化防止剤は、とりわけ、それら自体が製剤中のタンパク質を損傷する可能性を排除するかまたは十分に低下するように選択される。
本発明による製剤は、タンパク質補因子であり、かつ特定のインスリン懸濁液を形成するために必要な亜鉛等の、タンパク質配位複合体を形成するために必要な金属イオンを含んでもよい。また金属イオンは、タンパク質を分解するいくつかのプロセスを阻害することができる。しかしながら、金属イオンはまた、タンパク質を分解する物理的及び化学的プロセスも触媒する。
アスパラギン酸のイソアスパラギン酸への異性化を阻害するマグネシウムイオン(10~120mM)を使用することができる。Ca+2イオン(最大100mM)は、ヒトデオキシリボヌクレアーゼの安定性を増加させることができる。しかしながら、Mg+2、Mn+2、及びZn+2は、rhDNaseを不安定化し得る。同様に、Ca+2及びSr+2は、因子VIIIを安定化することができ、それは、Mg+2、Mn+2及びZn+2、Cu+2及びFe+2によって不安定化され得、その凝集はAl+3イオンによって増加され得る。
IL-2ムテイン製剤の実施形態は、1つ以上の防腐剤をさらに含む。防腐剤は、同じ容器から1回よりも多く取り出すことを伴う、複数回投与用の非経口製剤を開発する場合に必要である。それらの主な機能は、微生物の増殖を阻害し、薬剤製品の有効期間または使用期間を通して製品の無菌性を確保することである。一般的に使用される防腐剤は、ベンジルアルコール、フェノール、及びm-クレゾールを含む。防腐剤は、低分子非経口剤と一緒に使用されるという長い歴史を有するが、防腐剤を含むタンパク質製剤の開発は困難であり得る。防腐剤は、ほぼ必ずタンパク質に対する不安定化効果(凝集)を有し、これは、複数回投与用のタンパク質製剤におけるそれらの使用を制限する主な要因となっている。現在まで、ほとんどのタンパク質薬剤は、単回使用のみのために製剤化されてきた。しかしながら、複数回投与用の製剤が可能な場合、それらは、患者の利便性及び市場性の増加を可能にするという付加的な利点を有する。適例は、保存製剤の開発が、より利便性の高い複数回使用注射ペンの商品化の実現につながった、ヒト成長ホルモン(hGH)の例である。hGHの保存製剤を含む少なくとも4本のそのようなペンデバイスは、現在、市場で入手可能である。Norditropin(液体、Novo Nordisk)、Nutropin AQ(液体、Genentech)、及びGenotropin(凍結乾燥、二重チャンバカートリッジ、Pharmacia&Upjohn)が、フェノールを含む一方で、Somatrope(Eli Lilly)は、m-クレゾールを用いて製剤化される。
一実施形態において、IL-2ムテインまたはIL-2ムテインのFc融合体、例えば、Fc.IL-2(V91K)またはFc.IL-2(N88D)は、10mM L-グルタミン酸、3.0%(w/v)L-プロリン中10mg/mL(pH5.2)に製剤化される。別の実施形態において、IL-2ムテインまたはIL-2ムテインのFc融合体、例えば、Fc.IL-2(V91K)またはFc.IL-2(N88D)は、10mM KPi、161mM L-アルギニン(pH7.6)中で製剤化される。
保存投薬形態の製剤化及び開発中に、いくつかの態様が考慮される必要がある。薬剤製品中の有効防腐剤濃度が最適化されなければならない。これは、タンパク質の安定性を犠牲にすることなく、抗菌有効性を付与する濃度範囲の投薬形態において所与の防腐剤を検査することを必要とする。
別の態様において、本発明は、IL-2ムテインまたはIL-2ムテインのFc融合体を凍結乾燥製剤として提供する。凍結乾燥した生成物は、防腐剤なしで凍結乾燥することができ、使用する時に防腐剤を含有する希釈剤で再構成することができる。こうすることで、防腐剤がタンパク質と接触している時間を短縮し、付随する安定性リスクを極めて最小限に抑える。液体製剤では、防腐剤の有効性及び安定性が、製品の保存期間(約18~24ヶ月)全体にわたって維持されるべきである。留意するべき重要な点は、活性薬剤及び全ての賦形剤成分を含有する最終製剤において、防腐剤の有効性が証明されるべきであるということである。
IL-2ムテイン製剤は、とりわけ、バイオアベイラビリティ及び持続性の範囲を伴って、特定の投与経路及び投与方法のため、特定の投与量及び投与頻度のため、特定の疾患の特定の治療のために、一般的に設計されるであろう。したがって、製剤は、限定されないが、経口的、経耳的、経眼的、経直腸的、及び経膣的を含む任意の適切な経路によって、ならびに静脈内及び動脈内注射、筋肉注射、及び皮下注射を含む非経口経路によって送達するために、本発明に従って設計されてもよい。
薬学的組成物を製剤化すると、溶液、懸濁液、ゲル、エマルション、固体、結晶として、または脱水粉末もしくは凍結乾燥粉末として、無菌バイアル中に保存することができる。そのような製剤は、すぐに使用できる形態、または投与前に再構成される形態(例えば、凍結乾燥)のいずれかで保存され得る。本発明はまた、単回投与単位を生成するためのキットも提供する。本発明のキットは、各々、乾燥したタンパク質を有する第1の容器、及び水性製剤を有する第2の容器の両方を含んでもよい。本発明の特定の実施形態において、単一チャンバ及び多重チャンバ付きの予め充填されたシリンジ(例えば、液体シリンジ及び凍結乾燥シリンジ)を含むキットが提供される。
用いられるIL-2ムテインを含有する薬学的組成物の治療有効量は、例えば、治療の内容及び目的に依存する。当業者は、治療のための適切な投与量レベルが、送達される分子、IL-2ムテインが用いられる適応症、投与経路、ならびに患者のサイズ(体重、体表面もしくは臓器のサイズ)及び/または状態(年齢及び全般的健康)に一部依存することを理解するであろう。特定の実施形態において、臨床医は、最適な治療効果を得るように、投与量を滴定し、投与経路を変更してもよい。典型的な投与量は、前述の要因に応じて、約0.1μg/kg~最大約1mg/kgの範囲、またはそれ以上であってもよい。具体的な実施形態において、投与量は、0.5μg/kg~最大約100μg/kg、任意選択的に、2.5μg/kg~最大約50μg/kgの範囲であってもよい。
治療有効量のIL-2ムテインは、好ましくは、疾患症状の重症度の軽減、疾患の無症状期間の頻度もしくは期間の増加、または疾患の苦痛による損傷もしくは障害の予防をもたらす。
薬学的組成物は、医療デバイスを使用して投与されてもよい。薬学的組成物を投与するための医療デバイスの例は、米国特許第4,475,196号、同第4,439,196号、同第4,447,224号、同第4,447,233号、同第4,486,194号、同第4,487,603号、同第4,596,556号、同第4,790,824号、同第4,941,880号、同第5,064,413号、同第5,312,335号、同第5,312,335号、同第5,383,851号、及び同第5,399,163号に記載されており、これらは全て、参照により本明細書に組み込まれる。
自己免疫性疾患または炎症性疾患の治療方法
特定の実施形態において、本発明のIL-2ムテインは、自己免疫性疾患または炎症性疾患を治療するために使用される。好ましい実施形態において、IL-2ムテインFc融合タンパク質が使用される。
本明細書に開示されるIL-2ムテインを用いた治療に特に適した障害は、限定されないが、炎症、自己免疫性疾患、アトピー性疾患、腫瘍随伴性自己免疫疾患、軟骨炎症、関節炎、関節リウマチ、若年性関節炎、若年性関節リウマチ、少関節型若年性関節リウマチ、多関節型若年性関節リウマチ、全身型若年性関節リウマチ、若年性強直性脊椎炎、若年性腸炎性関節炎、若年性反応性関節炎、若年性ライター症候群、SEA症候群(血清陰性、腱付着部症、関節症症候群)、若年性皮膚筋炎、若年性乾癬性関節炎、若年性強皮症、若年性全身性エリテマトーデス、若年性血管炎、少関節型関節リウマチ、多関節型関節リウマチ、全身型関節リウマチ、強直性脊椎炎、腸炎性関節炎、反応性関節炎、ライター症候群、SEA症候群(血清陰性、腱付着部症、関節症症候群)、皮膚筋炎、乾癬性関節炎、強皮症、血管炎、筋炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、結節性多発動脈炎、ウェゲナー肉芽腫症、動脈炎、リウマチ性多発筋痛症、サルコイドーシス、硬化症、原発性胆汁性硬化症、硬化性胆管炎、シェーグレン症候群、乾癬、プラーク乾癬、滴状乾癬、逆性乾癬、膿胞性乾癬、乾癬性紅皮症、皮膚炎、アトピー性皮膚炎、粥状動脈硬化、狼瘡、スティル病、全身性エリテマトーデス(SLE)、重症筋無力症、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、セリアック病、多発性硬化症(MS)、喘息、COPD、副鼻腔炎、ポリープを伴う副鼻腔炎、好酸球性食道炎、好酸球性気管支炎、ギラン-バレー疾患、I型糖尿病、甲状腺炎(たとえばグレーブス病)、アジソン病、レイノー現象、自己免疫性肝炎、GVHD、移植拒絶反応、腎障害、C型肝炎誘発性血管炎、自然流産等を含む。
好ましい実施形態において、自己免疫性疾患または炎症性疾患は、ループス、移植片対宿主病、C型肝炎誘発性血管炎、I型糖尿病、多発性硬化症、自然流産、アトピー性疾患、及び炎症性腸疾患である。
別の実施形態において、自己免疫性疾患または炎症性疾患を有するかまたは発症するリスクのある患者は、IL-2ムテイン(例えば、本明細書に開示されるIL-2ムテイン、例えば、本明細書に開示されるIL-2ムテインFc融合体、または当該技術分野で既知の別のIL-2ムテインもしくは野生型IL-2(任意選択的に、本明細書に開示される種類のFc融合分子の一部として))を用いて治療され、治療に対する患者の反応が監視される。監視される患者の反応は、治療に対するいずれの検出可能もしくは測定可能な患者の反応であってもよいか、またはそのような反応のいずれの組み合わせであってもよい。例えば、反応は、体温または発熱、欲求、発汗、頭痛、悪心、疲労、空腹、口渇、精神的な鋭敏さ等の患者の生理学的状態に言おける変化であり得る。代替として、反応は、例えば患者から採取した末梢血試料中の細胞型または遺伝子産物(例えば、タンパク質、ペプチド、もしくは核酸)の量の変化であってもよい。一実施形態において、患者が検出可能もしくは測定可能な反応を有する場合、またはそのような反応が特定の閾値を超える場合、患者の治療計画が変更される。この変更は、投与頻度の減少もしくは増加、1回の投与当たりに投与されるIL-2ムテインの量の減少もしくは増加、または投与からの「休止」(すなわち、特定の期間の間、または担当医師が治療を続けるべきであると決定するまで、または監視される患者の反応が治療を再開すべきであるもしくは再開できると示すまでのいずれかの一次的な治療の中断)、または治療の終始であってもよい。一実施形態において、反応は、患者の体温またはCRPレベルの変化である。例えば、反応は、患者の体温上昇、または末梢血試料中のCRPレベルの上昇、またはその両方であってもよい。特定の一実施形態において、治療過程中に患者の体温が少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.7、1、1.5、2、または2.5℃上昇した場合、患者の治療は減少されるか、一時中断されるか、または中止される。別の特定の実施形態において、治療過程中に患者の末梢血試料中のCRPの濃度が少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.7、1、1.5、または2mg/mL上昇した場合、患者の治療は減少されるか、一時中断されるか、または中止される。治療を変更、減少、一時中断、または中止するかどうかを決定する上で監視及び使用することができる他の患者反応は、毛細管漏出症候群(低血圧及び心血管不安定)の発症もしくは悪化、好中球機能障害(例えば、感染の発症もしくは悪化がもたらされるかもしくは検出される)、血小板減少症、血栓性血管障害、注射部位反応、血管炎(C型肝炎による血管炎)、または炎症性の症状もしくは疾患を含む。治療を変更、減少、増加、一時中断、または中止するかどうかを決定する上で監視及び使用することができるさらなる患者反応は、NK細胞、Treg細胞、FOXP3CD4T細胞、FOXP3CD4T細胞、FOXP3-CD8T細胞、または好酸球の数の増加を含む。これらの細胞型の増加は、例えば、末梢血の単位当たりのそのような細胞の数の増加として(例えば、血液1ミリリットル当たりの細胞中の増加として表される)、または血液試料中の別の種類の細胞(単数もしくは複数)と比較したそのような細胞型の割合における増加として検出することができる。監視することができる別の患者反応は、患者の末梢血試料中のCD25細胞の細胞表面に結合したIL-2ムテインの量の増加である。
Treg細胞の増殖方法
IL-2ムテインまたはIL-2ムテインFc融合タンパク質は、対象または試料中のTreg細胞を増殖するために使用することができる。非制御性T細胞に対するTregの比率を増加させる方法が本明細書に提供される。この方法は、T細胞の集団を有効量のヒトIL-2ムテインまたはIL-2ムテインFc融合体と接触させることを含む。比率は、T細胞の集団内のCD3+FOXP3-に対するCD3+FOXP3+細胞の比率を決定することによって測定することができる。ヒト血液中の典型的なTreg頻度は、全CD4+CD3+T細胞の5~10%であるが、上に列挙した疾患では、この割合がより低いかまたはより低い場合がある。好ましい実施形態において、Tregの割合は、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%、少なくとも600%、少なくとも700%、少なくとも800%、少なくとも900%、または少なくとも1000%増加する。Tregの最大倍数増加は、特定の疾患ごとに異なり得る:しかしながら、IL-2ムテイン処理によって得られる可能性のある最大Treg頻度は、全CD4+CD3+T細胞の50%または60%である。特定の実施形態において、IL-2ムテインまたはIL-2ムテインFc融合タンパク質が対象に投与され、対象の末梢血中の非制御性T細胞に対する制御性T細胞(Treg)の比率が増加する。
IL-2ムテイン及びIL-2ムテインFc融合タンパク質は、他の細胞型よりも選択的にTregを増殖させるため、これらは対象の末梢血中のナチュラルキラー(NK)細胞に対する制御性T細胞(Treg)の比率を増加させるのにも有用である。比率は、CD19-及びCD3-であるCD16+及び/またはCD56+リンパ球に対するCD3+FOXP3+細胞の比率を決定することによって測定することができる。
IL-2ムテインまたはIL-2ムテインFc融合タンパク質は、患者の末梢血中の非制御性T細胞またはNK細胞に対するTregの比率を著しく増加させることなく、患者の疾患または障害に対して治療効果を有し得ることが企図される。治療効果は、炎症または自己免疫の部位におけるIL-2ムテインまたはIL-2Fc融合タンパク質の局所的活性に起因し得る。
実際的及び予測的の両方である以下の実施例は、本発明の特定の実施形態または特徴を例示する目的で提供されるのであって、その範囲を限定することを意図するものではない。
実施例1-CD25に対して高い親和性を付与する少数の変異
CD25に対する親和性が高く、IL-2Rβγによるシグナル伝達強度が低いIL-2ムテインは、Tregの増殖及び機能を選択的に促進する。潜在的な免疫原性を低下させるために、CD25に対する高い親和性を達成するために必要とされる変異の最小数を求めた。その3つの受容体と複合したIL-2の結晶構造(PDBコード-2B5I)は、CD25と相互作用するらせん構造内に位置するV69A及びQ74Pを示す。このことは、なぜV69A及びQ74Pが、CD25に対する高い結合親和性についての2つの独立したIL-2変異原生スクリーニングで頻繁に単離されたかを説明できるかもしれない(Rao et al.2005;Thanos et al.2006)。この実施例では、Rao et al.のスクリーニングで同定されたIL-2ムテイン「2-4」の他の変異のうち、どれがV69A及びQ74P単独で観察される親和性を上回って親和性を増加させるために最も重要かを探求する。活性化T細胞の表面上におけるCD25に対する結合について、以下のタンパク質をフローサイトメトリーによってスクリーニングした。全ての構築物は、精製及び検出のためにC末端FLAG及びポリ-Hisタグも含んでいた。特定の変異を丸カッコ内に提供する。
Figure 0007227951000005
HaMut7Dが最初の分離株「2-4」(約200pM)とほぼ同じ親和性でCD25に結合したことから、変異N71Rは、V69A、Q74P単独(HaMut1D、約2nM)で観察された親和性を大きく上回って親和性を増加させることができたことが示唆される。他の構築物は、HaMut1Dと同様かまたはそれよりもやや高い親和性を有していたが、例外としてHaMut8Dの親和性はWT IL-2の親和性よりもやや高いのみであった。
実施例2-半減期改善のためにIgG1-Fcドメインに融合されたIL-2ムテイン
IL-2ムテインを用いたTregの濃縮を達成するために必要な投与頻度を減少させるために、IL-2とIgG1-Fcドメインとの間の種々の融合体を評価した。Fcドメインは、IgG1によって媒介される標的細胞溶解等のエフェクター機能を無効にする点変異を含有していた。用いられたFcエフェクター機能変異は、A327Q、Ala Ala(L234A+L235A)、またはN297Gのいずれかであった。Treg選択性IL-2ムテインは、IL-2の効力を一部低下させるため、IL-2Rシグナル伝達に著しく影響を及ぼさない様式でIL-2をFcに融合することが重要であった。したがって、Fcの融合を含む及び含まないIL-2ムテインをIL-2Rの活性化について調べた。
Fcの融合によるIL-2の二量体化が、IL-2Rへの結合活性の増加に起因してIL-2Rシグナル伝達強度を増加させるかどうかを決定するために、より弱いIL-2ムテイン(haD5)(US20110274650)をGGGGS(配列番号5)リンカー配列によって分離されたFcのアミノ末端に融合した。このムテインは、IL-2Rシグナル伝達に影響を及ぼす3つの変異(E15Q、H16N、N88D)、CD25に対する高い親和性を付与する8つの変異(N29S、Y31H、K35R、T37A、K48E、V69A、N71R、Q74P)(Rao et al.2005)、ならびにシステイン不対合及び凝集を防止するためのC125Sを有していた。このような様式でのFcへの結合は、haD5の生物学的活性を完全に無効にする一方で、恐らくは二量体化による結合活性の増加のために、細胞表面CD25へのその高親和性結合が増強される。
Fc二量体の一方の鎖のみがIL-2ドメインを担持するように、Fcヘテロ二量体のNまたはC末端のいずれかにもIL-2ムテインを融合した。一方のFc鎖上に導入したリジンと他方のFc鎖上に導入したアスパラギン酸との間の静電相互作用により、2つの非対称なFc鎖間のヘテロ二量体対形成を促進した。1つの立体配置が好ましい場合、IL-2ムテインhaD6を一方のFc鎖または他方のFc鎖のN末端に融合し、haD6.FcDD及びhaD6.FcKKと称される2つのタンパク質構築物を得た。ムテインhaMut7Dも、1つまたは2つのGGGGS(配列番号5)リンカー(FcKK(G4S)haMut7D、FcKK(G4S)2haMut7D)を用いてFcヘテロ二量体のC末端に融合した。IL-2ムテインhaD6をFcヘテロ二量体のN末端に融合することにより、pSTAT5及びT細胞増殖実験の両方において遊離haD6と比較して活性の部分的損失をもたらした。対照的に、1つまたは2つのGGGGS(配列番号5)リンカーを用いたFcヘテロ二量体のC末端へのhaMut7Dの融合は、haMut7Dの効力を変化させなかった。
Fcホモ二量体のC末端へのIL-2ムテインの融合についても調査した。T75組織培養フラスコ中で、100ng/mlの抗CD3(OKT3)を用いて100ml当たり3億個の細胞で全PBMCを活性化した。培養3日目に、細胞を3回洗浄し、新しい培地中で3日間休ませた。次いで、最終体積50μlで1pM~10nMの範囲に10×用量漸増したIL-2変異体を用いて細胞を刺激した。BD Phosflow緩衝液キットを使用してSTAT5のリン酸化レベルを測定した。端的に述べると、1mlのBD溶解/固定Phosflow緩衝液を加えて刺激を停止した。細胞を37℃で20分間固定し、氷上で1×BD Phosflow透過緩衝液を用いて透過処理した後、CD4、CD25、FOXP3、及びpSTAT5について染色した。
図1を見ると分かるように、ムテインhaMut1D及びhaMut7Dの生物活性は、Fcホモ二量体のC末端への融合によって変化しなかった。したがって、IL-2のN末端とFcのC末端との間の融合は、たとえFc.IL-2ホモ二量体との関連においてもIL-2ムテインのアゴニスト活性を損なわなかった。これらの構築物には、製造性の向上のためにC125Sの代わりにC125A変異が用いられた。
実施例3-好ましいTreg増殖を達成するようにIL-2ムテインの効力を調整する
IL-2ムテインの最初のパネルは、N88Dを単独で、またはIL-2Rシグナル伝達に影響を及ぼす1つもしくは2つのさらなる変異を含有していた。ムテインの第2のパネルは、N88Dシリーズのものと同様であるかまたはそれよりもやや高い効力を有するムテインを同定することを目標として、全て単一の点変異を有するように設計した。予測されたIL-2Rβと相互作用するアミノ酸(結晶構造、PDBコード-2B5I)に基づいて24個のシグナル伝達変異のパネルを同定した。予測されたムテインとIL-2Rβとの間の結合自由エネルギーの減少に基づいて特定の置換を選択した。EGAD計算アルゴリズム(Handel’s Laboratory,University of California、San Diego,USA)を使用して結合自由エネルギーを算出した。変異体の結合自由エネルギーを△△Gmut=μ(△Gmut-△Gwt)と定義する。式中、μ(一般的に=0.1)は、実験的エネルギーと比較した場合に1の勾配を有するように予測される結合親和性の変化を正規化するために使用されるスケール因子である(Pokala and Handel 2005)。解離の自由エネルギー(△G)は、複合状態(△Gbound)と自由状態(△Gfree)との間のエネルギー差として定義した。各置換について解離エネルギー△Gmutを算出した。
以下の置換(H16E、H16Q、L19K、D20R、D20K、D20H、D20Y、M23H、D84K、D84H、S87Y、N88D、N88K、N88I、N88H、N88Y、V91N、V91K、V91H、V91R、I92H、E95K、E95R、またはE95I)を有するIL-2ムテインのパネルは、Fcヘテロ二量体へのC末端融合として発現された。また、これらの構築物は、高いCD25結合親和性のためのhaMut7変異(V69A、N71R、Q74P)及び効率的なフォールディングのためのC125Aも含有していた。
実施例2のT細胞STAT5のリン酸化アッセイにおいて、効力についてパネルをスクリーニングしたところ、H16E、D84K、V91N、V91K、及びV91Rが、野生型IL-2よりも低く、N88Dよりも高い活性を有することが分かった(図2)。
H16E、D84K、V91N、V91K、及びV91Rは、野生型IL-2よりも低く、N88Dよりも高い活性を有していた。
選択されたムテインを、T細胞増殖アッセイ及びNK増殖アッセイにおいても調べた。
T細胞アッセイの場合、100ngのOKT3を用いて全PBMCを300万/mlで活性化した。2日目に、細胞を3回洗浄し、新しい培地中で5日間休ませた。次いで、細胞をCFSEで標識し、24ウェルプレートにおいて、IL-2含有培地中50万/ウェルで7日間さらに培養した後、FACS分析を行った。T細胞サブセットの増殖をCFSE希釈として図3に示す(CFSE蛍光中央値)。
NK細胞アッセイの場合、MACSでソートしたCD16+NK細胞を、IL-2含有培地において、96ウェルプレート中10万/ウェルで3日間培養した。インキュベーションの最後の18時間の間に、各ウェルに0.5μCi H-チミジンを加えた。その結果を図4に示す。
変異体H16E、D84K、V91N、V91K、及びV91R変異体は、WT IL-2と同様のTreg増殖を刺激することが可能であったが、他のT細胞に対する効力は約10×低く(図3)、NK細胞に対する効力は約100×低かった(図4)。
一連の個々のアミノ酸の切断によってFcヘテロ二量体とムテインhaMut7(V69A、N71R、Q74P、C125A)との間の距離を縮小した、Fc.IL-2融合タンパク質の別のパネルを設計した。
Figure 0007227951000006
図2、3、及び4について記載されるように、STAT5のリン酸化、ならびにT細胞及びNK細胞増殖によって測定したところ、Trunc1-Trunc4は、全長親構築物Fc.haMut7と等しい効力を有していた。Trunc5及びTrunc6は、より弱い応答ではあるが、N88D変異(haD及びhaMut7D)によって刺激されるものよりは強く、V91Kによって刺激されるものと非常に類似した反応を刺激した。Trunc7は、N88Dムテインよりも弱く、Trunc8はごくわずかな活性を示した。しかしながら、NK細胞上で調べた時、Trunc5及びTrunc6はV91Kよりも強力なアゴニストであったことから、Tregの選択性は、近位のFcドメインによる立体障害よりも、むしろシグナル伝達変異によってより容易に達成されたことが示唆される。
実施例4-Fcホモ二量体に関連したCD25高親和性変異
高いCD25結合親和性を付与した変異は、CD25-高T細胞に対する指向性を増加させ、長期にわたるCD25::IL-2ムテイン会合を促進し、シグナル伝達を延長したため、それらは有益であると考えられた。しかしながら、ムテインの数を減少させることは、免疫原性の可能性を低下させる場合がある。haMut1高親和性変異V69A及びQ74Pを含む及び含まないN88DまたはV91Kムテインを、Fcホモ二量体のC末端に対する融合体として発現させ、生物活性について比較した。pSTAT5刺激アッセイにおいて、ホモ二量体化は、単量体ムテインと比較してシグナル強度に影響を及ぼさなかった。高親和性変異V69A及びQ74Pの復帰変異も、pSTAT5のシグナル伝達に影響を及ぼさなかった。T細胞増殖アッセイにおいて、高親和性変異は、従来のCD4 T細胞及びCD8 T細胞に対する活性を低下させたが、制御性T細胞に対する活性は低下させなかった(図5)。高親和性変異はまた、NK細胞における増殖応答も変化させなかった(図6)。
高親和性変異がin vivoでのT細胞応答に影響を及ぼしたかどうかを決定するために、ヒト化マウス(ヒトCD34+造血幹細胞で再構成したNOD.SCID.Il2rgヌルマウス)にFc.IL-2ムテイン融合タンパク質を投与し、Tregの増殖を監視した。7週齢NOD.SCID.Il2rg-ヌル(NSG)マウス(Jackson Labs,Bar Harbor,ME)を照射し(180ラド)、94,000個のヒト胎児肝CD34造血幹細胞で再構成した。21週目に、均等に分配されたキメラ化の割合(PBLのフローサイトメトリーによって決定される)に基づいてマウスを6つの群に分割し、0日目及び7日目に、図示されるFc.ムテイン融合タンパク質またはPBS1μgを皮下注射した。11日目に、フローサイトメトリーによって血中のT細胞サブセットの頻度を決定した。動物1匹当たり1μgという低用量では、高親和性変異は、N88DまたはV91K変異単独で観察された増殖を上回ってTregの増殖を向上させることはなかった(図7)。
FOXP3CD4T細胞が、ヒトB細胞及びT細胞とマウス骨髄系細胞との混合物を含む全末梢血白血球(PBL)と比較して存在量を増加しなかったという点において、Tregの増殖は選択的であった。さらに、より高い用量では、高親和性変異がCD25FOXP3T細胞の増加を促進し、したがって、Tregの選択性を低下させる。よって、Fcホモ二量体に関連して、選択的なTreg増殖を促進させるために高親和性変異が必要であるとは見なされなかった。
Figure 0007227951000007
実施例5-Fc.IL-2ムテインの細胞表面CD25との長期会合
ヒト化マウス試験からの予期せぬ結果は、それらのシグナル伝達能力が低下したにもかかわらず、ムテインが、Fc.WT IL-2と比較してより確実なTregの濃縮を誘導したことであった。1μg/マウスの用量で(図7)、またさらに低い用量である0.5μg/マウス(図8)で、Fc.WTで見られるものと比較してより高いTregの濃縮及びFOXP3の上方制御が観察された。このin vivoでの効力の増加は、T細胞による消費の減少に起因するものであり得、長期のシグナル伝達のためにより多くのFc.IL-2ムテインを利用可能にする。
しかしながら、In vitro及びin vivo PK試験では、活性化T細胞培養物からの上清中または投与マウスからの血清中で、Fc.WTと比較してFc.V91KまたはFc.N88Dの持続性が著しく増加したことを証明できなかった。Fc融合体は2つのIL-2ムテインドメインを担持するため、CD25に対する結合活性の増加に起因して、エンドソームによるリサイクリングの増加が長期の細胞表面会合をもたらし得る。実際に、融合タンパク質の短期曝露後に、Fc.V91K及びFc.N88Dが、以前に活性化したT細胞の表面上でFc.WTよりも効率的に残留したことが分かった(図9A及びB)。
一次PBMCを100ng/mlのOKT3で2日間予備刺激した。細胞を回収し、4回洗浄して培地中で一晩休ませた。次いで、400pM Fc.IL-2を用いて30分間37℃で細胞にパルスをかけた。パルス後、細胞を1回洗浄した後にT0で回収するか、または12mlの加温培地中でさらに3回洗浄し、4時間培養した。細胞と会合したFc.IL-2を検出するために、抗ヒトIgG-FITC(Jackson Immunoresearch、West Grove,PA)及び抗CD25-APCで細胞を染色した(図9A)。
同時点でのホスホ-STAT5の細胞内免疫検出によって、Fc.V91K及びFc.N88Dを用いた場合にFc.WTと比較してIL-2Rシグナルの持続性が観察された。FOXP3+CD4+T細胞のホスホ-STAT5 MFIを示す(図9B)。
実施例6-融合配列の最適化
マウスの前臨床試験において、インタクトな分子の血清濃度をヒトFc部分のみの血清濃度と比較した場合、Fc.IL-2ムテインは差次的な曝露を示したことから、ヒトFc分解産物の循環が示唆される。Fc.IL-2ムテインのin vivo安定性及び薬物動態を最適化するために、全身循環中に、及び網内系を通ってリサイクリングされる間に、融合配列の修飾がFc.IL-2ムテインのタンパク質分解に与える影響についてそれらを特徴付けた。以下の構築物をin vitro及びin vivoでのタンパク質分解について評価した。
Figure 0007227951000008
全ヒトFcの経時的な濃度をインタクトなFc.IL-2ムテインの濃度と比較する定量免疫測定によって安定性を測定した。抗IL-2及び抗ヒトFc抗体を用いたウエスタンブロット分析の後、分解産物の免疫捕獲及び質量分析による特徴付けによってFc.IL-2ムテインのタンパク質分解を確認した、in vitro及びin vivo試料由来(Ala_Ala)_G4Sの分解産物の質量分析による特徴付けにより、FcドメインのC末端Lysをタンパク質分解切断部位として同定した。FcドメインのC末端リジン欠失または変異((N297G_delK)_G4S及び(N297G_KtoA)_AAPT)は、C末端リジンを含むFc構築物((Ala_Ala)_G4S)と比較して、37℃でマウス血清における長期のin vitro安定性をもたらした。この長期のin vitro血清安定性は、Fc.IL-2ムテイン血清濃度対時間曲線下面積(AUC)によって測定されるように、マウスにおけるより高い曝露量をもたらした。C末端Fcリジンを欠くFc.IL-2ムテインのこの長期の安定性は、カニクイザル及びヒト由来の血清においてin vitroでも観察された。IL-2のThr-3からAla((N297G_KtoA)_AAPA)への変異は、マウス血清において、ならびに組換えヒトカテプシンD及びLを含む別個のインキュベーションにおいて、((N297G_KtoA)_AAPTと比較して)37℃でin vitro安定性の低下をもたらした。このin vitro血清安定性の低下は、(N297G_KtoA)_AAPTと比較して(N297G_KtoA)_AAPAへのより低いマウスのin vivo曝露量(AUC)をもたらした。質量分析によるin vitro及びin vivo試料由来(N297G_KtoA)_AAPAの分解産物の特徴付けにより、IL-2ムテインドメインのLys 8及びLys 9を、(N297G_KtoA)_AAPTの同等の試料では観察されなかったタンパク質分解の影響を受けやすい残基として同定した。37℃での(N297G_KtoA)_AAPTの安定性に対する(N297G_KtoA)_AAPAの安定性の低下は、カニクイザル及びヒト由来の血清においてin vitroでも観察された。
この領域におけるグリコシル化の重要性のために、また融合タンパク質の製造性を潜在的に向上させるために、O結合型グリコシル化ではなくN結合型グリコシル化を促進するように融合配列を以下のように変化させた。
Figure 0007227951000009
実施例7-カニクイザルPK/PDの決定
標準的なIL-2免疫刺激療法は、望ましくない副作用を回避するために投与サイクル間に休薬期間(曝露なし)を必要とする。対照的に、Treg増殖または刺激療法は、Treg刺激に十分な持続的薬物トラフレベル(血清Cmin)ではあるが、免疫活性化を引き起こす薬物レベル未満である最大曝露量(血清Cmax)での長期の曝露を必要とする場合がある。この実施例は、炎症誘発性の免疫活性化に必要であることが企図される薬物レベル未満の最大曝露量(血清Cmax)を維持しながら、長期標的カバレッジ(血清Cmin)のためのカニクイザルにおける半減期を延長したムテインの投与ストラテジーを示す。
4つの群(A~D)において、カニクイザルにFc.V91K(IgG1Fc(N297G_delK)::G4S::huIL-2(V91K、C125A)を投与した:3つの群(A~C)には皮下投与し、1つの群(D)には静脈内投与した。以下に概説する投与ストラテジーに従って、各群ごとに4匹の生物学的にナイーブなオスカニクイザルに投与を行った。半減期を延長したムテインの皮下投与は、より多くのリンパ吸収を可能にすることができ、より低い最大曝露量(血清Cmax)及び/またはより確実な薬理学的応答(Treg増殖)をもたらす。A群の投与ストラテジーは、サイクル1では0日目、2日目、及び4日目の3回連続して用量1キログラム当たり10マイクログラム、ならびに14日目の1キログラム当たり10マイクログラムからなり、より低い最大曝露量(血清Cmax)を維持しながら、1キログラム当たり50マイクログラムのより高い初期用量と類似した長期標的カバレッジを実現する。B群の投与ストラテジーは、A群と比較するために、0日目及び14日目に投与される1キログラム当たり50マイクログラムである。C群の投与ストラテジーは、0日目及び28日目に投与される1キログラム当たり50マイクログラムである。Tregの濃縮を維持するためにトラフカバレッジが必要であるかどうか、または投与サイクル間の休薬期間は有益であるかどうかの決定を可能にする。静脈内投与アームD群の投与ストラテジーは、0日目に投与される1キログラム当たり50マイクログラムであり、最大曝露量(Cmax)とTreg濃縮の差を皮下投与の場合と比較することができる。
指定された各用量群について、以下の時点で薬物動態(インタクトな分子及び全ヒトFcの定量免疫測定)、抗薬物抗体、脱落した可溶性CD25、及び血清サイトカイン(IL-1β、TNF-α、IFN-γ、IL-10、IL-5、IL-4、及びIL-13)を測定した。
A群:投与前(第1サイクル;用量1)、48(投与前第1サイクル;用量2)、96(投与前第1サイクル;用量3)、100、104、120、168、216、264、336(投与前第2サイクル)、340、344、360、408、456、504、576、672、744、840、及び1008時間。
B群:投与前(第1サイクル)、4、8、24、72、120、168、240、336(投与前第2サイクル)、340、344、360、408、456、504、576、672、744、840、及び1008時間。
C群:投与前(第1サイクル)、4、8、24、72、120、168、240、336、408、504、672(投与前第2サイクル)、676、680、696、744、792、840、912、1008、1080、及び1176時間。
D群:投与前(第1サイクル)、0.25、1、4、8、24、72、120、168、240、336、408、504、及び672時間。
指定された各用量群について、以下の時点で薬物動力学(末梢血Treg、非制御性CD4及びCD8 T細胞、ならびにNK細胞の免疫表現型検査及び計数)を測定した。
A群:投与前(第1サイクル;用量1)、96(投与前第1サイクル;用量3)、168、336(投与前第2サイクル)、456、及び576時間。
B群:投与前(第1サイクル)、120、240、336(投与前第2サイクル)、456、及び576時間。
C群:投与前(第1サイクル)、120、240、672(投与前第2サイクル)、792、及び912時間。
D群:投与前(第1サイクル)、120及び240時間。
用量群ごとに、投与前及び初回投与後24時間に、全ての動物及び用量群について血液学及び臨床化学を評価した。
血液学:
・白血球数(全微分及び絶対微分)
・赤血球数
・ヘモグロビン
・ヘマトクリット
・平均赤血球血色素量、平均赤血球容積、平均赤血球血色素濃度(計算値)
・絶対網状赤血球数
・血小板数
・血液細胞形態
・赤血球分布幅
・平均血小板容積
臨床化学:
・アルカリホスファターゼ
・総ビリルビン(総ビリルビンが1mg/dLを超える場合は直接ビリルビン)
・アスパラギン酸アミノ基転移酵素
・アラニンアミノ基転移酵素
・γグルタミル転移酵素
・尿素窒素
・クレアチニン
・総タンパク質
・アルブミン
・グロブリン及びA/G(アルブミン/グロブリン)比(計算値)
・グルコース
・総コレステロール
・トリグリセリド
・電解質(ナトリウム、カリウム、塩化物)
・カルシウム
・リン
実施例8-非グリコシル化IgG1 Fc
天然に存在するIgG抗体は、重鎖の定常ドメイン2(CH2)にグリコシル化部位を有する。例えば、ヒトIgG1抗体は、Asn297位(EUナンバリング)に位置するグリコシル化部位を有する。今までの非グリコシル化抗体を作製するためのストラテジーは、物理化学的特性においてAsnに類似するアミノ酸(例えば、Gln)で、または極性基を有しないAsn側鎖を模倣するAla残基でAsn残基を置換することを含む。この実施例は、Asnをグリシン(N297G)で置換することの利益を証明する。N297G Fcは、より良好な生物物理学的特性及び製造性(例えば、精製中の回収率)を有する非グリコシル化分子である。
Fc断片及びIgG抗体の複数の既知の結晶構造の検査により、グリコシル化ループセグメントの周囲、特にグリコシル化されたAsn297位で、考慮すべき構造的柔軟性が明らかになった。既知の結晶構造の多くにおいて、Asn297は、正の主鎖二面角に適合した。Glyは、側鎖原子が欠落しているため、正の主鎖二面角に適合する強い傾向を有する。したがって、この立体構造及び構造上の理由に基づいて、Glyは、N297QまたはN297Aよりも良好なAsnの代替品であり得る。
Asn297をGlyで変異させることにより、はるかに改善された精製プロセスにおける回収率(または効率)及び生物物理学的特性を有する非グリコシル化分子をもたらされる。例えば、プロテインAプールからの回収率(最終収量)は、N297Qの45.6%及びN297Aの39.6%と比較して、N297G変異では82.6%であった。SPHPカラム分析により、N297Q及びN297A変異体のより低い回収率は、分子量凝集物及び/またはミスフォールド種を意味するテーリングピークに起因よるものであることが明らかになった。この結果は、より大規模な2Lスケールの実験で再確認された。
生物製剤産業において、大規模生産を潜在的に必要とする、例えば、薬物として販売される潜在性を有する分子は、該分子が大規模な生産及び精製に適していないというリスクを緩和するための多くの属性について評価される。製造性評価において、N297Gは、pH変化に対するロバスト性を明らかにした。N297Gには凝集の問題はなかったが、それに対してN297Q及びN297Aは、それぞれ20%及び10%の凝集増加を示した。N297Gはより良好な製造性を有していたが、調べた全ての機能性アッセイにおいてN297Q及びN297Aに類似していた。例えば、ADCCアッセイにおいて、N297Gは、N297Q及びN297Aと同様に細胞毒性を示さなかった。
実施例9-安定化された非グリコシル化IgG1 Fc
この実施例では、操作したジスルフィド結合(複数可)を導入することによりIgG抗体骨格の安定性を向上させる方法について記載する。天然に存在するIgG抗体は、安定な分子である。しかしながら、特定の治療用途のために、変異を行うかまたは非グリコシル化分子を作製することが必要な場合がある。例えば、非グリコシル化IgG分子は、ADCC及びFcγ受容体への結合を回避する必要がある治療適応症において使用されてもよい。しかしながら、非グリコシル化IgG1は、グリコシル化IgG1よりもはるかに低い融解温度を有する(CH2ドメインの融解温度は、約10℃;70℃~60℃低下する)。観察されるもより低い融解温度は、非グリコシル化IgG1の種々の生物物理学的特性に悪影響を及ぼす。例えば、非グリコシル化IgG1は、グリコシル化IgG1と比較して低いpHで凝集のレベルを増加させた。
ジスルフィド結合を操作するために、Cα原子間の距離の計算を含む構造に基づく方法を最初に用いて、Cysへの変異のためにFc領域内の54残基対を同定した。これらの54個の部位を4残基対(V259C-L306C、R292C-V302C、A287C-L306C、及びV323C-I332C)にさらに絞り込んだ。使用した基準は、(i)CH2ドメイン内の位置、(ii)ループ、ターン、及び炭水化物からの距離、(iii)Fcγ受容体及びFcRn相互作用部位からの距離、(iv)溶媒露出度(好ましい埋没位置)等を含む。
非グリコシル化N297G Fcに関連して対合システイン置換を作製した。非還元ペプチドマッピング分析により、そのような状況で予想及び設計されるように、操作した4つの部位のうち3つがジスルフィド結合を形成したことが明らかになった。V259C-L306C変異は、ジスルフィド結合を正確に形成せず、CH2ドメイン中に既に存在する天然ジスルフィドと不対合を形成した。他の3つのデザインR292C-V302C、A287C-L306C、及びV323C-I332Cは、予測及び設計されたようにジスルフィド結合を正確に形成した。N297G変異にジスルフィド結合を付加することにより、N297G変異単独よりも優れた約15℃の熱安定性の改善をもたらした。R292C-V302C、A287C-L306C、及びV323C-I332Cジスルフィド変異体のうち、R292C-V302C及びA287C-L306Cが、ラットに投与した場合に良好な薬物動態を示した(ぞれぞれ、11日及び9日のt1/2)。これは、以前に公開された、5日間のt1/2を示したCH2ドメインジスルフィド結合(Gong et al.,J.Biol.Chem.2009 284:14203-14210)でラットにおいて観察された薬物動態プロファイルとは対照的である。
CH2ドメイン内のジスルフィド結合を操作することは、グリコシル化IgG1分子と同等に非グリコシル化分子の安定性を向上させる(示差走査熱量測定によって決定されるように、融解温度に10℃~15℃の改善)。本明細書に記載の操作部位は、ジスルフィドスクランブリングを引き起こさず、集団の約100%において予測通りににジスルフィドが形成される。さらに重要なのは、公開されているCH2ドメインのジスルフィド結合部位とは異なり、本明細書に記載のジスルフィド結合は、ラットのPKに影響を及ぼさない。
実施例10
V91K及びN88D変異がカニクイザル及びヒト由来のT細胞及びNK細胞の応答に及ぼす影響をin vitroで比較した。CD25の存在下で(全血pSTAT5応答においてCD4CD25でゲートをかけたT細胞)、V91K変異がカニクイザルIL-2Rシグナル伝達に及ぼす影響は、それがヒトIL-2Rに及ぼす活性の低下と比較してごくわずかであった。しかしながら、CD25の非存在下では(全血pSTAT5応答においてCD25でゲートをかけたT細胞及びNK細胞増殖の両方)、V91K変異がカニクイザルIL-2Rシグナル伝達をより著しく減少させた。対照的に、Fc.N88Dは、カニクイザル全血中のCD25T細胞においてシグナル伝達の減少を示すが、それは、ヒト全血中のT細胞におけるFc.V91Kのシグナル伝達の影響により類似している。表2に要約されるin vitroデータは、カニクイザルにおけるより弱いアゴニストであるFc.N88Dで観察された治療ウィンドウは、ヒト対象におけるFc.V91Kの影響の前兆であることを示唆している。
Figure 0007227951000010
実施例-11
カニクイザルにおいて2つのin vivo試験を行った。最初のカニクイザル試験は、Fc.V91Kの2週間及び4週間の投与間隔を比較して、完全なまたは部分的な薬物動態(PK)及び薬動力学(PD)トラフが第2の投与に対する応答の大きさを変化させるかどうかを決定するように設計された(図10A及びB)。強いTreg応答(50μg/kg)が得られることが予測された第1の投与と、治療ウィンドウの下限(10μg/kg)を検討するための第2の投与とを用いた。10μg/kgが少な過ぎるかどうか分からなかったため、1、3、及び5日目に投与を行って応答の可能性を高めた。この投与計画により、5日後に、単回の50μg/kg皮下(SC)投与で達成されるのと同じ曝露量を得たが、C-maxがより低かった。リンパ対血液成分におけるより高い薬物曝露量に依存するPDの潜在的な差を調査するために、50μg/kg静脈内(IV)群も含まれた。この試験の結果は、各用量レベルが、有害事象(AE)またはTeffもしくはNKの増殖なしに強いTreg増殖応答を誘導したことを証明しており、14日目または28日目のいずれかの第2の投与に対する応答は等しかった。
Figure 0007227951000011
第2のカニクイザル試験は、1、3、100、200μg/kgのFc.V91K用量(SC)で治療ウィンドウのマージンを検討し、これを3、10、100、200μg/kgの用量(SC)のより弱いアゴニストFc.N88D及び3、10、30、100μg/kgのPROLEUKIN(登録商標)(SC QDx5)と比較するように設計した。PROLEUKIN(登録商標)の用量は、公開されているヒト及び非ヒト霊長類の試験(Hartemann et al.,2013,Lancet Diabetes Endocrin 1:295-305;Saadoun et al.,2011,NEJM 365:2067-77;Aoyama et al.,2012,Am J Transplantation 12:2532-37)に基づいて選択し、HCV血管炎及びI型糖尿病(T1D)における低用量IL-2臨床試験を模倣するようにQDx5を投与した。
Figure 0007227951000012
図11A~Fに、細胞応答、体温、及び血清CRPの動態を示す。X軸の時系列は、第1回目の投与日として1日目ではなく0日目から始まっている。
2つのカニクイザル試験は、一緒になって、IL-2ムテインが、PROLEUKIN(登録商標)で達成されるよりも広い治療ウィンドウを伴ってより高いTreg濃縮を誘導したことを証明した(図12A及びB)。PROLEUKIN(登録商標)の場合、Tregの濃縮はNK及び好酸球の増殖と並行していた。いずれか特定の理論に拘束されるものではないが、好酸球の増殖は、IL-2療法に対する周知の応答であり、CD25自然リンパ球系細胞からIL-2によってIL-5が誘導された結果である可能性が高い。CD4及びCD8 Teffの増殖は、TregをCD4 T細胞の25~35%に増加させた用量で起こった。対照的に、Fc.V91K及びFc.N88Dは、NK細胞及び好酸球を上回る選択性を伴ってTregの増殖を誘導し、Teffの増殖を促進した用量は、TregをCD4 T細胞の40%超に濃縮した用量よりも多かった。
低用量IL-2臨床試験は、最初に起こったAEは、風邪様症状及び発熱であったことを文献において報告している。よって、治療ウィンドウの比較に加えて、この試験の目的は、発熱に先行するバイオマーカーを発見することであった。図12Cに示すように、より高い2つの用量のPROLEUKIN(登録商標)の場合、CRPレベルが体温と並行であったことが分かった。Fc.V91Kの場合、最も高い用量で中程度の体温上昇が検出され、次に低い用量では、CRPのわずかな増加が観察された。したがって、CRPは、本発明の分子を用いた治療に対する対象の反応を監視するため、かつ/または患者における用量漸増の上限を定義するために使用することができる。
PROLEUKIN(登録商標)で処理した動物において、Fc.V91KまたはFc.N88Dで処理した動物にはあまり顕著ではなかったかまたは存在しなかった特定の毒性も観察された(図12D)。血小板、好中球、及びアルブミンのレベルは、PROLEUKIN(登録商標)を用いた治療によって全て減少されたことが分かったが、同様のまたはそれよりも高いTregの濃縮をもたらしたFc.V91KまたはFc.N88Dのいずれかの用量は、これらのパラメータのわずかな減少を引き起こしたかまたは全く引き起こさなかった。総合すると、これらのデータは、Fc.V91KまたはFc.N88Dのいずれかを用いた患者の治療のための治療ウィンドウは、PROLEUKIN(登録商標)を用いた場合の治療ウィンドウよりも著しく大きいことが予想されることを示唆する。
実施例-12
選択された時点に、実施例11の第1のカニクイザル試験からの血清を抗薬物抗体(ADA)について検査した(図13)。Fc.V91K特異性が競合によって確認された試料のADAシグナル/ノイズデータを示す。ADAについて検査した時点をX軸の上の縦線で示す。第1群では、1匹の動物が、最後の投与から少なくとも15日後にADAを産生し、第2群ではADAに陽性を示した動物はおらず、第3群では、最初の投与から15日以上後に、3匹の動物にADAが一貫して現れた。162日目に、第1群及び第2群に50μg/kgの反復投与を行ったところ、4週間後(190日目)にADAに陽性を示したさらなる動物はいなかった。最も強いADAシグナル(210、212)を産生した第3群の2匹の動物がPD応答の低下を示し、これらの動物において2回目の投与後に観察されたC-maxの減少と一致していた。第4群(50μg/kg IV)ではADAに陽性を示した動物はいなかった。ADAは、IL-2及びFcドメインの両方に特異的であったことから、カニクイザルIL-2とヒトIL-2(V91K,C125A)との間の8つのアミノ酸の差によるものであると予想できる。ADAの中和活性については調べなかった。

Claims (1)

  1. V91K置換と、配列番号1に記載のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列とを含む、制御性T細胞を選択的に刺激する、ヒトインターロイキン-2(IL-2)ムテイン。
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