JP7224090B2 - クッキー生地用油脂組成物およびこれを用いた穀粉組成物 - Google Patents
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Description
メロンパンのクッキー生地については、サクサクとした食感維持のために種々の改良が図られてきた。例えば、生地原料に増粘剤を配合する方法(特許文献1)、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する油脂組成物を生地に練り込む方法(特許文献2)等の方法である。
しかしながら、素晴らしい食感を有するメロンパンにも特有の課題があった。メロンパンは、コッペパンやロールパンのようなパンと比較すると、ボリュームを出すことが困難であった。この課題に対して、これまでに、特定粒子径の増粘多糖類を含有する品質改良材をパン生地に用いる技術(特許文献3)や、特定のSFC範囲によって規定される油脂の水中油型乳化物をパン生地に用いる技術(特許文献4)である。しかし、これらの技術を適用しても、メロンパンにおいては不十分であり、作業性を損なわずにメロンパンのボリュームを向上することは困難であった。
すなわち、本発明は下記の〔1〕~〔3〕である。
(A)構成脂肪酸の炭素数が14~22であるモノグリセリンモノ脂肪酸エステルを1~10質量部、
(B)構成脂肪酸の炭素数が14~18であるジグリセリンモノ脂肪酸エステルを1~10質量部、および
(C)縮合度が3~10であるポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを0.1~5質量部、
を含有するクッキー生地用油脂組成物。
〔2〕さらに、水分を5~20質量部含有する、前記の〔1〕に記載のクッキー生地用油脂組成物。
〔3〕前記の〔1〕または〔2〕に記載のクッキー生地用油脂組成物、および穀粉を含有する穀粉組成物。
〔4〕メロン皮に前記の〔3〕に記載の穀粉組成物を含有するメロンパン。
メロンパンのボリュームを向上させるためには、周りを覆うクッキー生地をやわらかくする方法が有効であると考えられる。しかし、クッキー生地の油脂量や水分量を多くすることで生地をやわらかくすると、ボリュームは向上するが、クッキー生地がやわらかくなることで、パン生地にかぶせて成形する際に変形しやすく、全体に均一にかぶせることが難しくなる。また、やわらかい生地はべたついて作業台に付着しやすく、作業性が悪くなってしまう。
本発明の油脂組成物を用いたクッキー生地はべたつきが無く、作業性に優れており、クッキー生地の発酵中や焼成中の伸びが良い特長が有り、これによりボリューム向上が可能である。
本発明のクッキー生地用油脂組成物は、次の(A)~(C)成分を含有する。
(A)構成脂肪酸の炭素数が14~22であるモノグリセリンモノ脂肪酸エステル
(B)構成脂肪酸の炭素数が14~18であるジグリセリンモノ脂肪酸エステル
(C)縮合度が3~10であるポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル
本発明の使用するA成分であるモノグリセリンモノ脂肪酸エステルは、構成脂肪酸の炭素数が14~22であり、好ましくは16~20である。具体的には、例えば、モノグリセリンモノステアリン酸エステル、モノグリセリンモノパルミチン酸エステル、モノグリセリンモノオレイン酸エステル、モノグリセリンモノミリスチン酸エステル等が挙げられる。好ましくは、モノグリセリンモノステアリン酸エステル、モノグリセリンモノパルミチン酸エステル、モノグリセリンミリスチン酸エステルであり、より好ましくは、モノグリセリンモノステアリン酸エステル、モノグリセリンモノパルミチン酸エステルである。
B成分のジグリセリンモノ脂肪酸エステルは、構成脂肪酸の炭素数が14~18であり、好ましくは飽和脂肪酸である。具体的には、例えば、ジグリセリンモノステアリン酸エステル、ジグリセリンモノパルミチン酸エステル、ジグリセリンモノオレイン酸エステル、ジグリセリンモノミリスチン酸エステル等が挙げられる。好ましくは、ジグリセリンモノステアリン酸エステル、ジグリセリンモノパルミチン酸エステル、ジグリセリンミリスチン酸エステルであり、より好ましくは、ジグリセリンモノステアリン酸エステル、ジグリセリンモノパルミチン酸エステルである。
C成分のポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルは、リシノレイン酸の縮合度が3~10であり、好ましくは4~8である。
ポリグリセリンの重合度は、特に限定されないが、好ましくは2~12であり、より好ましくは3~8である。
エステル化度は、特に限定されないが、好ましくは10~50%である。なお、このエステル化度とは、ポリグリセリンへの縮合リシノレイン酸の結合している割合を意味する。
また、本発明における油脂組成物には、そのほかの成分として保存料、色素、香料等を適宜使用することができる。
まず、油脂および乳化剤を所定の温度で加熱し、均一溶解、混合攪拌する。その後、ショートニングの場合は窒素を混合しながら試作機にて急速冷却、可塑化することで油脂組成物を得る。乳化物の場合は、同じく所定の温度で加熱、溶解混合した油脂と乳化剤に、所定の温度に加熱した水を加え、試作機にて急速冷却、可塑化することにより得ることが出来る。
本発明のメロンパンの製造方法は、特に制限されず、一般的なメロンパンの製造方法を用いることができる。例えば、本発明の穀粉組成物を含有するメロン皮の生地を、パン生地にかぶせて焼成することによりメロンパンを製造することができる。
まず、クッキー生地、およびこれを焼成したメロンパンについての評価方法を次に示す。
<作業性の評価>
クッキー生地を作成した際の生地のべたつきを、作業性として評価した。生地のまとまりが悪くべたつくと、生地を延ばす際に作業台に付着してしまい、作業性の低下に繋がる。評価基準は以下の通りである。◎:べたつきが無い、○:べたつきが少ない、△:ややべたつく、×べたつく
焼成したメロンパンは、室温25℃の部屋で1日保管した後、アステックス社の超高速レーザー体積計測器を用いて比容積(m3/kg)を測定した。比容積の値が大きいほど、優れたボリュームのメロンパンであると言える。
比容積が4.8以上のメロンパンを◎、4.5~4.7を○、4.2~4.4を△、4.1以下を×とした。
表1の配合組成で以下の方法によりクッキー生地用油脂組成物を製造した。パーム油、エステル交換パーム油、菜種油を配合した油相部に、ジグリセリン脂肪酸エステル、モノグリセリン脂肪酸エステル及び、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを配合し、70℃に加熱し溶解した。油相部に別途70℃に加熱した水相部を加え、攪拌して予備乳化物とした。マーガリン試作機を用いて予備乳化物を急冷して油脂組成物を試作した。
表1、表2に示した配合で、実施例1に準じてクッキー用油脂組成物を試作した。
実施例1~7の評価結果を表1に、比較例1~6の評価結果を表2に、配合組成とともに示す。
Claims (4)
- 油脂100質量部に対して、
(A)構成脂肪酸の炭素数が14~22であるモノグリセリンモノ脂肪酸エステルを1~6質量部、
(B)構成脂肪酸の炭素数が14~18であるジグリセリンモノ脂肪酸エステルを1~5質量部、および
(C)縮合度が3~10であるポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを0.1~2質量部、
を含有するメロンパンのクッキー生地用油脂組成物。 - さらに、水分を1~20質量部含有する請求項1に記載のメロンパンのクッキー生地用油脂組成物。
- 請求項1または2に記載のメロンパンのクッキー生地用油脂組成物、および穀粉を含有する穀粉組成物。
- メロン皮に請求項3に記載の穀粉組成物を含有するメロンパン。
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