JP2013223451A - 製パン練り込み用油中水型乳化物、パン生地及びパン - Google Patents

製パン練り込み用油中水型乳化物、パン生地及びパン Download PDF

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Abstract

【課題】体積を損なうことなく、かつソフトな食感、しとり感にも優れるパンを提供すること。
【解決手段】以下の条件(a)(b)(c)(d)を満たすことを特徴とする製パン練り込み用油中水型乳化物を使用することで解決できる。
(a)液状油を含有する
(b)エステル交換油を含有する
(c)トリグリセリドを構成する脂肪酸のうち、炭素数16〜18の脂肪酸が90質量%以上
(d)トリグリセリドを構成する脂肪酸のうち、飽和脂肪酸が10〜30質量%
【選択図】なし

Description

本発明は製パン練り込み用の油中水型乳化物に関するものであり、詳しくはパンの体積を損なうことなく、ソフトな食感やしとり感を付与できる製パン練り込み用油中水型乳化物に関する。
澱粉類を使用したベーカリー製品の食感に対してはさまざまな要求があるが、ソフトな食感としとり感は最も多い要求である。ソフトでしとり感のあるベーカリー製品を得るためには、大きく分けて水の添加量(吸水量)を増加する方法、特定の油脂を配合したり、配合量を増やすといった油脂による方法が挙げられる。
水の添加量(吸水量)を増加する方法では、単純に吸水量を増加させた場合、未糊化の状態の澱粉類の水の保持力(吸水量)には限界があるため、その吸水量を上回った吸水量になると、ベーカリー生地が粘ついたり流動状となってしまい、扱いにくくなってしまう。
ベーカリー製品の中でも、特にパンにおいては、生地の扱いやすさや焼成品の保型性の点で好ましい吸水量の許容範囲が狭いため、大きく吸水量を増加させることは困難であり、小麦粉100質量部に対し吸水量が70質量部以上となると、得られるパン生地は保型性を失い流動状となり、各種の成形を行うことが困難となる。そのため、このような吸水量の多いパン生地(多加水パン生地)を用いて得られるパンはチャバタ等の特殊なパンに限定されてしまう。
一方、油脂による方法では、液状油を多く使用すると得られるパンにしとり感を付与できることが知られているものの、製パン時にグルテン形成が不十分になりやすく、得られるパンは体積が小さいものになってしまうという課題があった。このような液状油を添加した際の課題に対して、これまで様々な検討が行われている。例えば、特許文献1では、液状油と高融点油脂とからなり、特定のSFI(固体脂指数)とした製パン油脂組成物を利用する方法、特許文献2では、液状油とジアセチル酒石酸モノグリセリドを含有する製パン用油脂を利用する方法が開示されている。
しかし、特許文献1の方法では、実質的に部分硬化油の優れた物性に頼らざるをえず、昨今のトランス酸低減化の流れの中で、継続的な利用は難しいものであった。また、特許文献2では、乳化剤に大きく依存することでソフトな食感を達成しているものであり、製パン時の作業性が悪いうえ、得られるパンはややべとついた食感となっていた。
このように、体積を小さくすることなく、ソフトでしとり感の良好なパンを得ることには課題が多く残されていた。
特開平3−47028号公報 特開平11−56235号公報
従って、本発明の目的は、体積を損なうことなく、かつソフトな食感、しとり感にも優れるパンを得ることができる製パン練り込み用油中水型乳化物を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく種々検討した結果、製パン練り込み用途の油中水型乳化物において、液状油とエステル交換油脂を使用しながらトリグリセリドを構成する脂肪酸のうち飽和脂肪酸を低く抑え、また特定鎖長の脂肪酸の割合を極度に高めた場合、該油中水型乳化物を使用して得られるパンは、体積を損なうことなく、かつソフトな食感、しとり感にも優れることを知見した。本発明は上記知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、以下の条件(a)(b)(c)(d)を満たすことを特徴とする製パン練り込み用油中水型乳化物である。
(a)液状油を含有する
(b)エステル交換油脂を含有する
(c)トリグリセリドを構成する脂肪酸のうち、炭素数16〜18の脂肪酸が90質量%以上
(d)トリグリセリドを構成する脂肪酸のうち、飽和脂肪酸が10〜30質量%
本発明によれば、体積を損なうことなく、ソフトでしとり感の良好なパンを得ることができる。
以下、本発明の製パン練り込み用油中水型乳化物について詳述する。
まず、上記条件(a)について説明する。
本発明の製パン練り込み用油中水型乳化物では、液状油を含有し、油相基準で好ましくは50質量%以上、より好ましくは55〜90質量%、最も好ましくは57〜85質量%である。液状油を含有しない場合、最終的に得られるパンのソフトな食感、しとり感が劣ったものとなってしまう。
なお、本発明において液状油とは、5℃以上でのSFCが0である油脂をいい、コーン油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油が挙げられるが、常温で固形である油脂、たとえば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、落花生油、カポック油、胡麻油、月見草油、カカオ脂、シア脂、サル脂、牛脂、乳脂、豚脂、魚油、鯨油の分別軟部油であって、5℃以上でのSFCが0である油脂を使用してもよい。
次に、上記条件(b)について説明する。
本発明の製パン練り込み用油中水型乳化物では、エステル交換油脂を含有し、油相基準で好ましくは5質量%以上、より好ましくは8〜43質量%、最も好ましくは10〜40質量%である。エステル交換油脂をまったく含有しない場合、最終的に得られるパンのソフトな食感、しとり感が劣ったものとなってしまうだけでなく、体積の小さいパンになってしまう。
上記のエステル交換油脂としては、パーム油、パーム核油、ヤシ油、ハバス油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、ハイエルシン菜種油、魚油、鯨油等の各種動植物油脂、並びにこれらの各種動植物油脂を必要に応じて水素添加及び/又は分別した後に得られる加工油脂、脂肪酸、及び脂肪酸低級アルコールエステルから選択される1種又は2種以上を用いて製造したエステル交換油脂を使用することができる。
続いて、上記条件(c)について説明する。
本発明の製パン練り込み用油中水型乳化物では、トリグリセリドを構成する脂肪酸のうち、炭素数16〜18の脂肪酸の占める割合が90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、最も好ましくは97質量%以上である。
一般に、食用油脂のトリグリセリドを構成する脂肪酸は炭素数8〜22に広く分布しているが、本発明では特定の鎖長の構成脂肪酸を極度に高めることを特徴とする。
90質量%未満であると、本発明における課題、すなわち最終的に得られるパンがソフトでしとり感良好であることと、体積の大きいパンであることを同時に解決できなくなってしまい、特に体積の面で劣ったものとなってしまう。本発明において、なぜ炭素数16〜18の脂肪酸の占める割合が90質量%以上であることが必要なのか明らかではないが、特定鎖長の脂肪酸に集中させることで、パン生地へ錬り込む際に、グルテン骨格の形成を促進している可能性があると考えている。
上記トリグリセリドの由来としては、食用油脂として一般に使用されているものであれば特に制限されるものではなく、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、オリーブ油、キャノーラ油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油等の各種植物油脂、動物油脂、並びにこれらを水素添加、分別及びエステル交換から選択される1又は2以上の処理を施した加工油脂から選ばれた1種又は2種以上を使用することができる。
本発明においては上記食用油脂の中でもパーム系の油脂を含有することがより本発明の効果をより引き出すことができる点で好ましい。
パーム系油脂とは、パーム油、及び、パーム油に対し水素添加、分別、エステル交換等の物理的又は化学的処理の1種又は2種以上の処理を施した油脂を指す。本発明では、パーム油、パーム極度硬化油、パームステアリン、パームオレイン、パームスーパーオレイン、パーム中部油のうちの1種又は2種以上を使用したエステル交換油脂を使用することが、本発明の効果を引き出すことができ、また下記に述べるトランス脂肪酸をほとんど含有しない点で特に好ましい。また、上記エステル交換油脂としてパーム極度硬化油とパーム油のランダムエステル交換油脂を用いることがソフトな食感を維持できる点で最も好ましい。
続いて、本発明の要件(d)について説明する。
本発明の製パン練り込み用油中水型乳化物は、トリグリセリドを構成する脂肪酸のうち、飽和脂肪酸の占める割合が10〜30質量%である必要があり、好ましくは11〜28質量%、最も好ましくは12〜27質量%である。
飽和脂肪酸が10質量%に満たないと、製パン時に油中水型乳化物がパン生地へ練りこまれにくくなり、得られるパンの体積が小さいものとなってしまう。また30質量%よりも大になると、ソフトな食感、しとり感に劣ったものとなってしまう。飽和脂肪酸が10〜30質量%とするためには、飽和脂肪酸含量の低い食用油脂、例えばコーン油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、オリーブ油、キャノーラ油を適宜組み合わせて使用することで達成できる。
また、本発明の製パン練り込み用油中水型乳化物においては、トリグリセリドの構成脂肪酸のうち、飽和脂肪酸が実質的にステアリン酸(以下、Stと省略することもある)とパルミチン酸(以下、Pと省略することもある)で構成され、かつSt/Pの質量比が0.2〜0.9であることが好ましく、0.3〜0.7であることがより好ましい。St/Pが上記範囲内にあることで、本発明の効果がより安定して得られるようになる。
上記St/Pを満たす油中水型乳化物を得るためには、例えば上記パーム系の油脂を適宜組み合わせて使用する方法が挙げられる。
本発明の製パン練り込み用油中水型乳化物は、実質的にトランス脂肪酸を含まないことが好ましい。ここでいう「実質的にトランス脂肪酸を含まない」とは、油相中、トランス脂肪酸の含有量が好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、最も好ましくは2質量%以下であることを意味する。
水素添加は、油脂の融点を上昇させる典型的な方法であるが、水素添加油脂は、完全水素添加油脂を除いて、通常、トランス脂肪酸が10〜50質量%程度含まれている。一方、天然油脂中にはトランス脂肪酸が殆ど存在せず、反芻動物由来の油脂に10質量%未満含まれているにすぎない。近年、化学的な処理、特に水素添加に付されていない油中水型乳化物、即ち実質的にトランス脂肪酸を含まない油中水型乳化物であって、適切なコンシステンシーを有するものが要求されている。
本発明においては、食用油脂として、上記パーム系油脂のエステル交換油を含め、天然油脂、並びに天然油脂に分別、完全水素添加及びエステル交換から選択される1又は2以上の処理を施した加工油脂から選択される1種又は2種以上を組合せて用いることにより、実質的にトランス脂肪酸を含まない製パン練り込み用油中水型乳化物を簡単に得ることができる。
本発明の製パン練り込み用油中水型乳化物における油脂の含有量は、油中水型乳化物中に好ましくは48〜88質量%、より好ましくは50〜86質量%、更に好ましくは55〜83質量%である。該油脂の含有量が48質量%未満では、パン生地に添加した際のパン生地への練りこまれやすさ(混合性)が悪化することに加え、得られるパン生地の伸展性が悪化することがあり、その場合、得られるパンの体積が減少し、またソフトな食感、しとり感が劣ったものとなってしまうおそれがある。一方、88質量%超では、最終的に得られるパンの体積が小さくなってしまうおそれがある。尚、本発明の製パン練り込み用油中水型乳化物に、油脂を含有する副原料を使用した場合は、上記油脂の含有量には、それらの副原料に含まれる油脂分も含めるものとする。
本発明では、油中水型乳化物とは、連続した油相中に水相が分散していることをいう。なお、本発明でいう油中水型には油中水中油型を含むものとする。
本発明の製パン練り込み用油中水型乳化物における水分の含有量は、油中水型乳化物中に好ましくは10〜50質量%、より好ましくは13〜48質量%、更に好ましくは16〜44質量%である。ここで、水分含有量が、乳化物中10質量%未満であると、得られるパン生地の伸展性が悪化するおそれがあることに加え、パン生地が乾きやすいため、得られるパンの体積が減少し、またソフトな食感やしとり感が悪化してしまうおそれもある。一方、50質量%超では、得られるパン生地が、べとつきやすく、油分が分離しやすくなる。尚、本発明の製パン練り込み用油中水型乳化物に、水分を含有する副原料を使用した場合は、上記水分含有量には、それらの副原料に含まれる水分も含めるものとする。
本発明の製パン練り込み用油中水型乳化物に含有させることができるその他の成分としては、例えば、乳化剤、増粘安定剤、食塩や塩化カリウム等の塩味剤、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、糖類や糖アルコール類、ステビア、アスパルテーム等の甘味料、β−カロチン、カラメル、紅麹色素等の着色料、アスコルビン酸、臭素酸カリウム等の酸化剤、トコフェロール、茶抽出物等の酸化防止剤、小麦蛋白や大豆蛋白といった植物蛋白、卵及び各種卵加工品、着香料、乳製品、調味料、pH調整剤、食品保存料、日持ち向上剤、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、カカオマス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材や食品添加物が挙げられる。
上記乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン有機酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、レシチン、サポニン類等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
本発明においては、上記乳化剤の中でもポリグリセリン脂肪酸エステルを使用することが、最終的に得られるパンの体積を大きくし、ソフトな食感を引き出すことができる点で好ましい。なお、上記ポリグリセリン脂肪酸エステルはHLBが0〜6のものを使用することがより好ましい。
上記乳化剤の配合量は、特に制限はないが、本発明の製パン練り込み用油中水型乳化物中、好ましくは0.1〜20質量%、さらに好ましくは0.5〜15質量%、最も好ましくは0.7〜10質量%である。
上記増粘安定剤としては、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アラビアガム、アルギン酸類、ペクチン、キサンタンガム、プルラン、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、寒天、グルコマンナン、ゼラチン、澱粉、化工澱粉等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。上記増粘安定剤の配合量は、特に制限はないが、本発明の製パン練り込み用油中水型乳化物中、好ましくは0〜10重量%、さらに好ましくは0〜5重量%である。
上記その他の原料は、本発明の目的を損なわない限り、任意に使用することができるが、その他の原料については、本発明の製パン練り込み用油中水型乳化物中、好ましくは、合計で30質量%以下、より好ましくは10質量%以下となる範囲で使用する。
次に、本発明の製パン練り込み用油中水型乳化物の製造方法について述べる。
本発明の製パン練り込み用油中水型乳化物の製造方法においては、上記条件(a)及び(b)を満たす油相に、水相を混合乳化する。そして、次に殺菌処理するのが望ましい。殺菌方法は、タンクでのバッチ式でも、プレート型熱交換機や掻き取り式熱交換機を用いた連続式でも構わない。次に、冷却し、必要により可塑化する。本発明において、冷却条件は好ましくは−0.5℃/分以上、さらに好ましくは−5℃/分以上とし、この際、徐冷却より急速冷却の方が好ましい。冷却する機器としては、密閉型連続式チューブ冷却機、例えばボテーター、コンビネーター、パーフェクター等のマーガリン製造機やプレート型熱交換機等が挙げられ、また、開放型のダイアクーラーとコンプレクターの組み合わせ等が挙げられる。
また、本発明の製パン練り込み用油中水型乳化物を製造する際のいずれかの製造工程で、窒素、空気等を含気させても、させなくても構わない。
次に、本発明のパン生地について述べる。
本発明のパン生地は、本発明の製パン練り込み用油中水型乳化物を使用したパン生地である。
本発明のパン生地における製パン練り込み用油中水型乳化物の使用量は、従来の製パン練り込み用油中水型乳化物と同様であり、パンの種類によっても異なるが、パン生地に含まれる穀粉類100質量部に対し、好ましくは2〜30質量部、より好ましくは4〜20質量部である。
上記穀粉類としては、小麦粉(薄力粉、中力粉、準強力粉、強力粉)をはじめ、小麦胚芽、全粒粉、小麦ふすま、デュラム粉、大麦粉、米粉、ライ麦粉、ライ麦全粒粉、大豆粉、ハトムギ粉等を挙げることができ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。本発明では、これらの中でも、小麦粉を、穀粉類中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは100質量%使用するのが好ましい。
本発明のパン生地においては、必要に応じ、一般の製パン材料として使用することのできるその他の原料を使用することができる。該その他の原料としては、例えば、水、油脂、イースト、糖類や甘味料、増粘安定剤、着色料、酸化防止剤、デキストリン、乳や乳製品、チーズ類、蒸留酒、醸造酒、各種リキュール、乳化剤、膨張剤、無機塩類、食塩、ベーキングパウダー、イーストフード、カカオ及びカカオ製品、コーヒー及びコーヒー製品、ハーブ、豆類、蛋白質、保存料、苦味料、酸味料、pH調整剤、日持ち向上剤、果実、果汁、ジャム、フルーツソース、調味料、香辛料、香料、各種食品素材や食品添加物等を挙げることができる。
上記その他の原料は、本発明の目的を損なわない限り、任意に使用することができるが、水については、好ましくは、上記穀粉類100質量部に対して合計で30〜100質量部、より好ましくは30〜70質量部となる範囲で使用する。また、水以外のその他の原料については、好ましくは、上記穀粉類100質量部に対して合計で100質量部以下、より好ましくは50質量部以下となる範囲で使用する。
次に、本発明のパン生地の製造方法について説明する。
本発明のパン生地は、本発明の製パン練り込み用油中水型乳化物を生地に練り込むことにより、製造することができる。
本発明のパン生地は、中種法、直捏法、液種法、中麺法、湯種法等従来製パン法として使用されるあらゆる製パン法を採ることができる。尚、本発明のパン生地を中種法で製造する場合は、本発明の製パン練り込み用油中水型乳化物を中種生地及び/又は本捏生地に練り込むことにより製造することができるが、本捏生地に練り込むことが好ましい。
また、得られた本発明のパン生地は、冷蔵、冷凍保存することが可能である。
次に、本発明のパンについて述べる。
本発明のパンは、上記の本発明のパン生地を、適宜、分割、成形し、必要に応じホイロ、リタード、レストをとった後、加熱処理することにより得ることができる。
上記成形は、どのような形状に成形してもよく、型詰めを行っても構わない。これらの成形は、手作業で行っても、連続ラインを用いて全自動で行っても構わない。
上記加熱処理としては、焼成、蒸し、フライ等を挙げることができる。尚、このうちの2種以上の加熱処理を併用してもよい。
また、得られた本発明のパンを、冷蔵、冷凍保存したり、該保存後に電子レンジ加熱することも可能である。
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例等によって制限されるものではない。
<エステル交換油脂Aの製造>
パーム油60質量部及びパーム油の極度硬化油脂40質量部を70℃にて混合溶解して得た油脂配合物を、ナトリウムメチラートを触媒として、非選択的エステル交換反応を行なった後、漂白(白土3%、85℃、0.93kPa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、0.4kPa以下の減圧下)を行ない、エステル交換油脂Aを得た。
<エステル交換油脂Bの製造>
ヨウ素価55のパーム分別軟部油にナトリウムメチラートを触媒として非選択的エステル交換反応を行った後、脱色(白土3%、85℃、0.93kPa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、0.4kPa以下の減圧下)を行い、パーム分別軟部油のエステル交換油脂Bを得た。
〔実施例1〕
<油中水型乳化物Aの製造>
上記エステル交換油脂A25質量部、ナタネ油75質量部を均一に混合した混合油脂80質量部に、60%トコフェロール0.01質量部、ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB:2)1質量部、レシチン0.5質量部及び香料0.02質量部を、添加、混合、溶解した油相を60℃に保温した。続いて、水18.47質量部を油相へ添加・混合し、90℃1分蒸気を用いて殺菌処理したのち、コンビネーターを用いて急冷可塑化を行い、本発明の製パン練り込み用油中水型乳化物Aを得た。油中水型乳化物A中のトリグリセリドを構成する脂肪酸のうち、炭素数16〜18の割合は98.1質量%、飽和脂肪酸含量は23.0質量%、St/Pは0.52、トランス脂肪酸の割合は2質量%以下であった。
<プルマン型食パンの製造>
上記製パン練り込み用油中水型乳化物Aを用いて、下記に示す配合及び製法によりプルマン型食パンを製造した。
[プルマン型食パンの配合・製法]
強力粉(カメリア:日清製粉製)70質量部、生イースト2質量部、イーストフード0.1質量部及び水40質量部をミキサーボウルに投入し、フックを使用し、低速で2分、中速で2分混合し、中種生地を得た。捏ね上げ温度は24℃であった。この中種生地を生地ボックスに入れ、温度28℃、相対湿度85%の恒温室で、4時間中種醗酵を行なった。終点温度は29℃であった。この中種醗酵の終了した生地を再びミキサーボウルに投入し、更に、強力粉(イーグル:日本製粉製)30質量部、上白糖5質量部、脱脂粉乳2質量部、食塩1.5質量部及び水25質量部を添加し、低速で3分、中速で3分本捏ミキシングした。ここで、製パン練り込み用油中水型乳化物A8質量部を投入し、フックを使用し、低速で3分、中速で3分、高速で1分ミキシングを行ない、食パン生地を得た。得られた食パン生地の捏ね上げ温度は28℃であった。ここで、フロアタイムを20分とった後、230gに分割・丸目を行なった。次いで、ベンチタイムを20分とった後、 モルダー成形し、6本をU字にして3斤型プルマン型に入れ、38℃、相対湿度85%で50分ホイロをとった後、200℃に設定した固定窯に入れ40分焼成してプルマン型食パンを得た。
得られた食パンは、10人のパネラーにより下記評価基準に従って官能評価をさせ、10人のパネラーの合計点を評価点数とし、結果を下記のようにして表1に示した。
◎:39〜50点
○:26〜38点
△:13〜25点
×:0〜12点
[評価基準]
・外観(体積)
◎:体積が大きく、細い均一なホワイトラインを有し、上面の4隅の角もしっかり出たプルマンブレッドである。
○:体積が大きく、ホワイトラインを有し、上面の4隅の角もしっかり出たプルマンブレッドである。
△:体積がやや小さく、明瞭なホワイトラインがなく、上面の4隅の角も丸いプルマンブレッドであった。
×:体積が小さいため、上面が平らにならず、曲面であるプルマンブレッドである。
・食感(ソフト性)
◎:きわめて良好
○:良好
△:やや悪い
×:悪い
・食感(しとり感)
◎:きわめて良好
○:良好
△:ややぱさついた食感である
×:ぱさついた食感である
〔実施例2〕
<油中水型乳化物Bの製造>
上記エステル交換油脂A30質量部、ナタネ油70質量部を均一に混合した混合油脂80質量部に、60%トコフェロール0.01質量部、ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB:2)1質量部、レシチン0.5質量部及び香料0.02質量部を、添加、混合、溶解した油相を60℃に保温した。続いて、水18.47質量部を油相へ添加・混合し、90℃1分蒸気を用いて殺菌処理したのち、コンビネーターを用いて急冷可塑化を行い、本発明の製パン練り込み用油中水型乳化物Bを得た。油中水型乳化物B中のトリグリセリドを構成する脂肪酸のうち、炭素数16〜18の割合は98.2質量%、飽和脂肪酸含量は26.1質量%、St/Pは0.52、トランス脂肪酸の割合は2質量%以下であった。
油中水型乳化物Aに代えて、上記油中水型乳化物Bを使用した以外は実施例1の配合・製法で、プルマン型食パンを製造し、実施例1と同様に評価し、結果を表1に記載した。
〔実施例3〕
<油中水型乳化物Cの製造>
ナタネ油60質量部、ハイエルシン菜種極度硬化油5質量部、パームステアリン15質量部、上記エステル交換油脂B20質量部を均一に混合した混合油脂81質量部に、60%トコフェロール0.01質量部、レシチン0.5質量部及び香料0.02質量部を、添加、混合、溶解した油相を60℃に保温した。続いて、水18.47質量部を油相へ添加・混合し、90℃1分蒸気を用いて殺菌処理したのち、コンビネーターを用いて急冷可塑化を行い、本発明の製パン練り込み用油中水型乳化物Cを得た。油中水型乳化物C中のトリグリセリドを構成する脂肪酸のうち、炭素数16〜18の割合は95.4質量%、飽和脂肪酸含量は29.0質量%、St/Pは0.24、トランス脂肪酸の割合は2質量%以下であった。
油中水型乳化物Aに代えて、上記油中水型乳化物Cを使用した以外は実施例1の配合・製法で、プルマン型食パンを製造し、実施例1と同様に評価し、結果を表1に記載した。
〔実施例4〕
<油中水型乳化物Dの製造>
上記エステル交換油脂A30質量部、ナタネ油70質量部を均一に混合した混合油脂81質量部に、60%トコフェロール0.01質量部、レシチン0.5質量部及び香料0.02質量部を、添加、混合、溶解した油相を60℃に保温した。続いて、水18.47質量部を油相へ添加・混合し、90℃1分蒸気を用いて殺菌処理したのち、コンビネーターを用いて急冷可塑化を行い、本発明の製パン練り込み用油中水型乳化物Dを得た。油中水型乳化物D中のトリグリセリドを構成する脂肪酸のうち、炭素数16〜18の割合は98.2質量%、飽和脂肪酸含量は26.1質量%、St/Pは0.52、トランス脂肪酸の割合は2質量%以下であった。
油中水型乳化物Aに代えて、上記油中水型乳化物Dを使用した以外は実施例1の配合・製法で、プルマン型食パンを製造し、実施例1と同様に評価し、結果を表1に記載した。
〔比較例1〕
<油中水型乳化物Eの製造>
ナタネ油81質量部に、60%トコフェロール0.01質量部、レシチン0.5質量部及び香料0.02質量部を、添加、混合した油相を60℃に保温した。続いて、水18.47質量部を油相へ添加・混合し、90℃1分蒸気を用いて殺菌処理し、比較例である油中水型乳化物Eを得た。油中水型乳化物E中のトリグリセリドを構成する脂肪酸のうち、炭素数16〜18の割合は98.1質量%、飽和脂肪酸含量は7.2質量%、St/Pは0.47、トランス脂肪酸の割合は2.1質量%であった。
油中水型乳化物Aに代えて、上記油中水型乳化物Eを使用した以外は実施例1の配合・製法で、プルマン型食パンを製造し、実施例1と同様に評価し、結果を表1に記載した。
〔比較例2〕
<油中水型乳化物Fの製造>
ナタネ油55質量部、パーム核油15質量部、パームステアリン20質量部、パーム油10質量部を均一に混合した混合油脂81質量部に、60%トコフェロール0.01質量部、レシチン0.5質量部及び香料0.02質量部を、添加、混合、溶解した油相を60℃に保温した。続いて、水18.47質量部を油相へ添加・混合し、90℃1分蒸気を用いて殺菌処理したのち、コンビネーターを用いて急冷可塑化を行い、比較例である油中水型乳化物Fを得た。油中水型乳化物F中のトリグリセリドを構成する脂肪酸のうち、炭素数16〜18の割合は86.5質量%、飽和脂肪酸含量は35.1質量%、St/Pは0.13、トランス脂肪酸の割合は2質量%以下であった。
油中水型乳化物Aに代えて、上記油中水型乳化物Fを使用した以外は実施例1の配合・製法で、プルマン型食パンを製造し、実施例1と同様に評価し、結果を表1に記載した。
〔比較例3〕
<油中水型乳化物Gの製造>
ナタネ油55質量部、ハイエルシン菜種極度硬化油5質量部、パームステアリン10質量部、バターオイル30質量部を均一に混合した混合油脂81質量部に、60%トコフェロール0.01質量部、レシチン0.5質量部及び香料0.02質量部を、添加、混合、溶解した油相を60℃に保温した。続いて、水18.47質量部を油相へ添加・混合し、90℃1分蒸気を用いて殺菌処理したのち、コンビネーターを用いて急冷可塑化を行い、比較例である油中水型乳化物Gを得た。油中水型乳化物G中のトリグリセリドを構成する脂肪酸のうち、炭素数16〜18の割合は87.9質量%、飽和脂肪酸含量は36.0質量%、St/Pは0.36、トランス脂肪酸の割合は2質量%以下であった。
油中水型乳化物Aに代えて、上記油中水型乳化物Gを使用した以外は実施例1の配合・製法で、プルマン型食パンを製造し、実施例1と同様に評価し、結果を表1に記載した。
Figure 2013223451
実施例1〜4の結果からわかるとおり、本発明の製パン練り込み用油中水型乳化物を使用すると、体積が大きく、ソフトでしとり感の良好なパンが得られることがわかる。これに対して、比較例1〜3の結果からわかるとおり、上記条件(a)(b)のいずれかを満たさない油中水型乳化物を使用すると、体積、ソフトな食感、しとり感の全てを満足するものにならないことがわかる。

Claims (6)

  1. 以下の条件(a)(b)(c)(d)を満たすことを特徴とする製パン練り込み用油中水型乳化物。
    (a)液状油を含有する
    (b)エステル交換油脂を含有する
    (c)トリグリセリドを構成する脂肪酸のうち、炭素数16〜18の脂肪酸が90質量%以上
    (d)トリグリセリドを構成する脂肪酸のうち、飽和脂肪酸が10〜30質量%
  2. トリグリセリドを構成する脂肪酸のうち、ステアリン酸/パルミチン酸(St/P)が0.2〜0.9である、請求項1に記載の製パン練り込み用油中水型乳化物。
  3. ポリグリセリン脂肪酸エステルを0.1〜20質量%含有する、請求項1又は2に記載の製パン練り込み用油中水型乳化物。
  4. 水分が10〜50質量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製パン練り込み用油中水型乳化物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の製パン練り込み用油中水型乳化物を使用したパン生地。
  6. 請求項5に記載のパン生地を成形した後、焼成して得られたパン。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019004875A (ja) * 2017-06-27 2019-01-17 株式会社J−オイルミルズ 可塑性油脂組成物

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