JP7216361B2 - 作業車両停止システム - Google Patents
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Description
特許文献1に記載されている技術では、作業車両の近傍で作業に従事している作業者が、重機等の作業車両から出力されたトリガー信号に応答してID番号を出力するIDタグを携帯する。これに加え、作業車両が、ID番号の受信部と、受信部がID番号を受信すると作業車両の作動を停止させる停止手段とを備える。
以下、本発明の第一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
(作業車両停止システムの構成)
図1から図3を用いて、作業車両停止システム1の構成について説明する。
作業車両停止システム1は、作動中の作業車両WVを停止させるシステムである。
また、作業車両停止システム1は、図1に表すように、発信機2と、受信機4と、磁界発生部6と、近接判定部8と、第一報知部10と、第二報知部12と、第三報知部14と、計時部16と、強制停止部18を備える。
バックホウBHは、走行装置20と、旋回部30を備えた掘削機である。
走行装置20は、一対の無限軌道22を備えている。
旋回部30は、走行装置20に載せられており、作業車両WVの上下方向に伸びる軸を回転軸として旋回可能である。
バックホウBHの作動時には、バケット32を走行装置20へ向けて下方へ引っ張るように移動させることで、例えば、地表面よりも低い場所を掘削する。
発信機2は、作業車両WVの操縦者とは異なる人員である作業者WPが、例えば、衣服のポケット等に収納して携帯する。
受信機4は、例えば、ダイポールアンテナ等を用いて形成されており、作業車両WVに設置されている。
また、受信機4は、発信機2から発信された信号を受信する。
また、磁界発生部6は、作業車両WVを基準として予め設定した球形の領域の磁界を発生させて、判定領域JEを形成する。すなわち、磁界発生部6は、判定領域JEの内部に球形の磁界を発生させる。
第一実施形態では、磁界発生部6を設置する位置、すなわち、判定領域JEの基準となる位置を、作業車両WVであるバックホウBHのうち、旋回部30の回転軸となる位置に設定した場合について説明する。
したがって、発信機2は、磁界発生部6が発生させた磁界により生じた電流によって信号を発信する。
なお、「平面視」とは、作業車両WVを上方から見た視点である。
また、判定領域JEは、作動中に想定される作業車両WVの重心が高いほど広く設定する。
近接判定部8は、例えば、CPU等の演算部やRAM等の記憶部を備えて形成されており、作業車両WVに設置されている。
第一実施形態では、一例として、近接判定部8が、受信機4が発信機2から発信された信号を受信すると、発信機2の位置が判定領域JEの内部であると判定する場合について説明する。
第一報知部10を取り付ける位置は、例えば、操縦席36からバケット32を視認することが可能な視界に収まる位置等、作業車両WVの操縦者が第一報知部10を視認することが可能である位置に設定する。
すなわち、近接判定部8が、位置が判定領域JEの内部であるか否かを判定する判定対象には、作業者WPを含む。
第一情報は、判定対象(作業者WP)の位置が判定領域JEの内部であることを示す情報である。
第二報知部12を取り付ける位置は、例えば、操縦席36からバケット32を視認することが可能な視界に収まる位置等、作業車両WVの操縦者が第二報知部12を視認することが可能である位置に設定する。
磁界MFaは、操縦者が乗車している作業車両WVaの磁界発生部6が発生させた磁界MFである。磁界MFbは、他の作業車両WVbに設置された磁界発生部が発生させた磁界MFである。
すなわち、第二報知部12が、磁界MFaの一部に重なったか否かを判定する判定対象には、磁界発生部が設置された他の作業車両WVb(他の作業車両WVbに設置された磁界発生部が発生させた磁界MFb)を含む。
第三報知部14は、第一報知部10と同様、例えば、LEDランプを用いて形成されており、作業者WPが、例えば、装着しているヘルメット等に取り付けて携帯する。
また、第三報知部14は、近接判定部8が、発信機2の位置が判定領域JEの内部であると判定すると、作業者WPへ第三情報を報知する。
第一実施形態では、一例として、第三報知部14の構成を、近接判定部8が、発信機2の位置が判定領域JEの内部であると判定すると、作業者WPへ、第三情報として赤色の光を点滅させて報知する場合について説明する。この場合、第三報知部14は、近接判定部8が、発信機2の位置が判定領域JEの内部ではないと判定している状態では、例えば、作業者WPへ、緑色の光を点滅させて報知する。
強制停止部18は、例えば、CPU等の演算部やRAM等の記憶部を備えて形成されており、作業車両WVに設置されている。
また、強制停止部18は、計時部16が計時した時間が、予め設定した時間である判定時間に達すると、作動中の作業車両WVを、操縦者の操作に関わらず強制的に停止させる。なお、以降の説明では、計時部16が計時した時間を、「経過時間」と記載する場合がある。
第一実施形態では、一例として、判定時間を、2[sec]に設定した場合について説明する。
また、判定時間は、作動中に想定される作業車両WVの重心が高いほど長く設定されている。
作動中の作業車両WVを、操縦者の操作に関わらず強制的に停止させる際には、例えば、旋回部30の駆動力源である油圧シリンダを停止させる処理を行う。
図1から図3を参照しつつ、図4を用いて、作業車両停止システム1が行う処理の一例を説明する。なお、以降の説明では、作業車両停止システム1が行う処理を、「作動停止処理」と記載する場合がある。
図4中に表すように、作動停止処理を開始(START)すると、まず、ステップS100の処理を行う。なお、以下の説明は、作動停止処理の処理を、磁界発生部6が磁界を発生させた状態で開始する場合について記載する。
ステップS102では、発信機2の位置が判定領域JEの内部であるか否かを判定するために、近接判定部8により、磁界MFaの中で発信機2から発信された信号を受信しているか否かを判定する処理(図に表す「磁界中で受信」)を行う。
ステップS108では、作動中の作業車両WVを操縦者の操作に関わらず強制的に停止させるために、強制停止部18が、作業車両WVの油圧シリンダを停止させる処理(図に表す「強制的に停止」)を行う。ステップS108の処理を行うと、作動停止処理は、ステップS100の処理へ復帰(RETURN)する。
図1から図4を参照しつつ、図5及び図6を用いて、第一実施形態の作業車両停止システム1を用いて行なう動作・作用の一例を説明する。
地面の掘削作業や土砂の搬送等、作業車両WVの作動時には、磁界発生部6が磁界を発生させた状態で、作業車両WVの走行や、アーム34の旋回、バケット32の移動等を実施する。
第一情報を報知された作業車両WVの操縦者は、旋回部30の旋回状態、アーム34の作動状態(角度や長さ等)、バケット32の位置や角度等、作業車両WVの姿勢に応じて、作業車両WVのバランスを安定させて転倒を防止するように、作業車両WVを操縦する。すなわち、第一情報を報知された作業車両WVの操縦者は、作業車両WVの姿勢を安全な姿勢とするために、作業車両WVを操縦する。
第一報知部10が作業車両WVの操縦者へ第一情報を報知し、第三報知部14が作業者WPへ第三情報を報知し、経過時間が判定時間(2[sec])に達すると、強制停止部18が、作動中の作業車両WVを、操縦者の操作に関わらず強制的に停止させる。
すなわち、第一実施形態の作業車両停止システム1では、第一情報が報知されると、操縦者が作業車両WVを操縦して、バケット32やアーム34等の可動部に慣性力が発生する状況を回避し、作業車両WVがバランスを崩すことを抑制する。
また、作業車両WVaの作動時に、磁界MFaの一部に磁界MFbの一部が重なったと判定すると、第二報知部12が青色の光を点滅させ、作業車両WVaの操縦者へ第二情報を報知する。同様に、作業車両WVbの操縦者にも、第二情報が報知される。
なお、上述した第一実施形態は、本発明の一例であり、本発明は、上述した第一実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
第一実施形態の作業車両停止システム1であれば、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
(1)第一報知部10が、判定対象(作業者WP)の位置が判定領域JEの内部であると判定すると、作業車両WVの操縦者へ、判定対象の位置が判定領域JEの内部であることを示す情報である第一情報を報知する。そして、計時部16が、第一報知部10が第一情報を報知した時点から計時を開始し、強制停止部18が、経過時間が判定時間に達すると、作動中の作業車両WVを、作業車両WVの操縦者の操作に関わらず、強制的に停止させる。
その結果、第一情報が報知された後に、操縦者が作業車両WVを操縦して、バケット32やアーム34等の可動部に慣性力が発生する状況を回避し、作業車両WVがバランスを崩すことを抑制するための時間を確保することが可能となる。
また、作業者WPと作業車両WVとの接触を回避することが可能となるため、作業車両WV及び作業者WPによって行う作業(工事)の作業効率を向上させることが可能となり、作業期間の短縮が可能となる。
これは、従来のように、作動中の作業車両を急停止させる構成では、作動を急停止させた作業車両が備える可動部に慣性力が発生して、作業車両がバランスを崩すことを防止するための方策として、例えば、可動部を低速で動作させる方策があった。これに対し、第一実施形態の作業車両停止システム1であれば、第一情報が報知された後に操縦者が作業車両WVを操縦して、可動部に慣性力が発生する状況を回避することが可能であるため、可動部の動作速度を高速化することが可能となる。
その結果、発信機2の位置が判定領域JEの内部であるか否かを判定することで、第一報知部10が第一情報を報知するか否かを判定することが可能となる。
その結果、発信機2の位置が判定領域JEの内部であるか否かの判定精度を向上させることが可能となる。
その結果、作業車両WVaと作業車両WVbが近接した場合であっても、作業車両WVaと作業車両WVbとの接触を回避することが可能となり、安全性を向上させることが可能となる。
これに加え、作業者WPに対し、作業車両WVの行動範囲(移動範囲、旋回範囲)への進入に注意を喚起することが可能となり、安全性に対する意識を向上させることが可能となる。
このため、作業者WPが判定領域JEに存在する位置が、作業車両WVが移動する方向に近いほど、作業車両WVの操縦者に対し、作業車両WVの姿勢を安全な姿勢とするために、作業車両WVを操縦するための時間を長く与えることが可能となる。
その結果、作業者WPが判定領域JEに存在する位置が、作業車両WVが移動する方向に近いほど、第一情報が報知された後に、作業車両WVがバランスを崩すことを抑制するための時間を長く確保することが可能となる。
このため、作動中の作業車両WVがバランスを崩す可能性が高いほど、作業車両WVの操縦者に対し、作業車両WVの姿勢を安全な姿勢とするために、作業車両WVを操縦するための時間を長く与えることが可能となる。
その結果、作動中の作業車両WVがバランスを崩す可能性が高いほど、第一情報が報知された後に、作業車両WVがバランスを崩すことを抑制するための時間を長く確保することが可能となる。
このため、作動中の作業車両WVがバランスを崩す可能性が高いほど、作業車両WVの操縦者に対し、作業車両WVの姿勢を安全な姿勢とするために、作業車両WVを操縦するための時間を長く与えることが可能となる。
その結果、作動中の作業車両WVがバランスを崩す可能性が高いほど、第一情報が報知された後に、作業車両WVがバランスを崩すことを抑制するための時間を長く確保することが可能となる。
(1)第一実施形態では、磁界発生部6が磁界を発生させて判定領域JEを形成したが、これに限定するものではなく、例えば、レーザレーダ、ソナー、カメラ等を用いて、判定領域JEを形成してもよい。
(2)第一実施形態では、第一報知部10の構成を、光を点滅させて第一情報を報知する構成としたが、これに限定するものではない。すなわち、第一報知部10を、例えば、LEDランプとスピーカを用いて形成することで、発光に加えて音声を出力して、第一情報を報知する構成としてもよい。また、第一報知部10を、例えば、スピーカを用いて形成することで、音声を出力して、第一情報を報知する構成としてもよい。これは、第二報知部12及び第三報知部14の構成に関しても、同様である。
また、作業車両WVは、バケット32と異なり、解体用のアタッチメント(圧砕機や油圧カッター等)が固定されたアーム34を備えたバックホウ(解体用バックホウ)としてもよい。さらに、作業車両WVは、例えば、フォークリフト、ローダ、ドーザ等、上下方向に移動可能な部品を備えた車両としてもよい。
(実施例)
実施例の作業車両停止システム1は、上述した第一実施形態と同様の構成を有する。
(比較例1)
比較例1の作業車両停止システムは、二本のアンテナがICタグから送信する信号を受信可能な範囲で判定領域を形成した点を除き、実施例の作業車両停止システム1と同様の構成を有する。
比較例2の作業車両停止システムは、四本のアンテナがICタグから送信する信号を受信可能な範囲で判定領域を形成した点を除き、実施例の作業車両停止システム1と同様の構成を有する。
(性能評価)
実施例の作業車両停止システム1と、比較例1及び比較例2の作業車両停止システムに対し、それぞれ、性能評価(検知範囲、検知速度、検知感度)を行った。その結果、実施例の作業車両停止システム1は、比較例1及び比較例2の作業車両停止システムと比較して、検知速度が速く、検知範囲及び検知感度の安定性が高いことが確認された。
Claims (5)
- 作動中の作業車両を停止させる作業車両停止システムであって、
判定対象の位置が前記作業車両を基準として予め設定した領域である判定領域の内部であると判定すると、前記判定対象の位置が前記判定領域の内部であることを示す情報である第一情報を前記作業車両の操縦者へ報知する第一報知部と、
前記第一報知部が前記第一情報を報知した時点から計時を開始する計時部と、
前記計時部が計時した時間が予め設定した時間である判定時間に達すると、作動中の前記作業車両を前記操縦者の操作に関わらず停止させる強制停止部と、を備え、
前記判定時間は、2sec以上5sec以下の長さの範囲内であることを特徴とする作業車両停止システム。 - 前記判定対象は、前記操縦者とは異なる人員である作業者を含み、
前記作業者が携帯し、且つ信号を発信する発信機と、
前記作業車両に設置され、且つ前記発信機から発信された信号を受信する受信機と、
前記受信機が受信した信号を発信した前記発信機の位置が前記判定領域の内部であるか否かを判定する近接判定部と、をさらに備え、
前記近接判定部は、前記受信機が前記発信機から発信された信号を受信すると、前記発信機の位置が前記判定領域の内部であると判定し、
前記第一報知部は、前記近接判定部が前記発信機の位置が前記判定領域の内部であると判定すると、前記第一情報を前記操縦者へ報知することを特徴とする請求項1に記載した作業車両停止システム。 - 前記作業車両に設置され、且つ前記判定領域の内部に球形の磁界を発生させる磁界発生部をさらに備え、
前記発信機は、前記磁界発生部が発生させた磁界により生じた電流によって前記信号を発信し、
前記近接判定部は、前記受信機が前記発信機から発信された信号を受信すると、前記発信機の位置が前記判定領域の内部であると判定することを特徴とする請求項2に記載した作業車両停止システム。 - 前記判定対象は、前記操縦者とは異なる人員である作業者であり、
前記作業者の位置が前記判定領域の内部であると判定すると、前記作業者へ自己の位置が前記判定領域の内部であることを示す情報である第三情報を報知する第三報知部をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載した作業車両停止システム。 - 前記判定領域は、平面視で、前記作業車両の前進方向及び後退方向に沿った長辺と、前記作業車両の車幅方向に沿った短辺と、を有する楕円形を形成していることを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載した作業車両停止システム。
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