JP7097400B2 - コンテナターミナル及びコンテナターミナルの運用方法 - Google Patents
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Description
コンテナターミナルでコンテナを陸揚げする際は通常、まずコンテナ船から岸壁クレーンがコンテナを受け取り、受け取ったコンテナを構内車両に乗せ換えて蔵置領域と呼ばれる領域に搬送する。蔵置領域では門型クレーンが構内車両からコンテナを受け取り、蔵置領域に仮置きする。外来車両がコンテナターミナルに到着すると、蔵置領域に仮置きされたコンテナを門型クレーンから受け取って退出する。
この際、コンテナターミナル内では構内車両、外来車両、門型クレーンのように、車種や用途の異なる荷役車両が混在するため、安全性や荷役効率の向上という観点からは、荷役車両同士の衝突を防止する必要がある。
特許文献1には、コンテナターミナル内で有人荷役車両の走行経路と無人荷役車両の走行経路を分離し、両者の走行経路が交差する部分に信号機を設けて交通整理を行うことで、有人荷役車両と無人荷役車両の衝突を防止する構成が記載されている。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、大規模な工事や運用の変更を行わなくても荷役車両の衝突を防止できるコンテナターミナルの提供を目的とする。
そのため、荷役車両の種類や用途毎に優先順位を設定するだけで、コンテナターミナルの大規模な工事や運用の変更を行わなくてもコンテナターミナル内で荷役車両の衝突を防止できる。
まず図1を参照して本実施形態に係るコンテナターミナル1の概略構成を説明する。
ここではコンテナターミナル1として、コンテナ船48と外来車両21aとの間で、構内車両21bを介してコンテナ10の荷役を行う施設が記載されている。
以下の説明で外来車両21aとは、コンテナターミナル1内とコンテナターミナル1外でコンテナ10の陸送を行う車両を意味する。構内車両21bとは、コンテナターミナル1の構内でのみコンテナ10の荷役を行う車両を意味する。
外来車両21aと構内車両21bは、例えばコンテナ輸送用のトレーラと該トレーラを牽引するトラクター等からなるが、構内車両21bはストラドルキャリアやリーチスタッカでもよい。外来車両21aの運転方式は一般に手動運転方式である。構内車両21bの運転方式は自動運転方式、手動運転方式のいずれの方式でもよい。なお、遠隔操作方式は手動運転方式に含まれる。
岸壁クレーン5は、コンテナ船48と構内車両21bの間でコンテナ10の荷役を行うクレーンであり、岸壁に沿って配置される。
図1では蔵置領域17としてX方向に長手方向を有する平面視長方形の蔵置領域17a~17dを図示している。蔵置領域17aと蔵置領域17c、及び蔵置領域17bと蔵置領域17dは各々Y方向(海陸方向)に沿って配列されている。蔵置領域17aと蔵置領域17b、及び蔵置領域17cと蔵置領域17dは各々X方向に沿って配列されている。
蔵置領域17同士は互いに離間しており、離間した領域が外来車両21aと構内車両21bの走行経路となる。
マーシャリングとは、蔵置領域17に蔵置されたコンテナ10を受け取るコンテナ船48が接岸するまでに、コンテナ船48への荷役の順番に応じて荷役効率の向上のためコンテナ10の配置換えを行う作業を意味する。
門型クレーン19は蔵置領域17と外来車両21a又は構内車両21bとの間でコンテナ10の荷役を行うクレーンであり、構内車両21bがコンテナ10を吊り上げる機能を持たない車両の場合に設置される。構内車両21bがストラドルキャリアやリーチスタッカのように、コンテナ10を吊り上げる機能を持つ場合、門型クレーン19は必須でない。
入退場ゲート23は陸上におけるコンテナターミナル1の内外を接続するゲートであり、外来車両21aがコンテナターミナル1に入退場する際に通過する。
荷役車両21は走行の優先順位が予め決められている。ここでいう優先順位とは、複数の荷役車両21の進路が重なった場合に、順位の低い方が進路を変更して高い方に進路を譲る順位であり、安全性や荷役効率の確保の観点から設定された順位である。
本船荷役中の荷役車両21がマーシャリング中の蔵置領域17に誤進入したり、マーシャリング中の荷役車両21が本船荷役中の蔵置領域17に誤進入したりすると、荷役が中断して荷役効率を損ね、衝突事故に至ると安全性も損ねる。
従来はこのような誤進入を防止するために、マーシャリング中の蔵置領域17である蔵置領域17a、17cと本船荷役中の蔵置領域17である蔵置領域17b、17dの間の通路Lをフェンスで分断する等して、作業内容で走行経路を分けていた。しかしながらこのような方式ではコンテナターミナルの大規模な工事や運用の変更が必要になる。また、同じ蔵置領域17内で運転方式と作業内容が異なる車両が混在する場合は走行経路を分けるのが困難な場合がある。例えばマーシャリングを自動運転車両が行い、マーシャリング中の蔵置領域17へのマーシャリング対象のコンテナ10の搬送を手動運転車両が行う場合、運転方式と作業内容で各々走行経路を分離するのは困難である。
例えば優先順位としては車両の運転方式が挙げられる。
具体的には、運転方式が手動運転の荷役車両21を、運転方式が自動運転の荷役車両21よりも優先する。
これは運転方式が自動運転の荷役車両21の方が、手動運転の荷役車両21よりも進路を譲る操作を正確に行えるので、進路を譲る操作を確実に安全に行えるためである。
また、手動運転の荷役車両21はコンテナターミナル1の地理に不案内な外来車両21aが多いため、無理に進路を譲らせると、急ブレーキ等のような危険な操作で進路を譲ろうとして逆に荷役の安全性を損ねる場合があるためである。
さらに、自動運転の荷役車両21は基本的にはコンテナターミナル1内での荷役のみを行うため、マーシャリングのような本船荷役より優先順位の低い荷役を行う場合が多く、進路を譲る操作を行っても荷役効率が悪化し難いためである。
具体的にはコンテナターミナル1の外部と荷役を行う荷役車両21を、コンテナターミナル1の構内でコンテナ10の配置換えをする荷役車両21より優先する。
ここでいうコンテナターミナル1の外部と荷役を行う荷役車両21とは、コンテナ船48又は外来車両21aとの荷役に係わる荷役車両21を意味する。具体的には岸壁クレーン5と門型クレーン19の間でコンテナ10の荷役を行う構内車両21b、及びコンテナ10を運んできた外来車両21aを意味する。
マーシャリングはコンテナ船48が未達で本船荷役が行えない期間に実施する荷役作業であり、本船荷役と比べて優先する荷役作業ではない。一方で本船荷役のようにコンテナターミナル1の外部との間の荷役が遅れるとコンテナ船48の港湾使用料の増加や、コンテナ10の配送遅れの原因となる。
そのため、本船荷役をマーシャリングのような構内荷役よりも優先させることで、荷役効率の向上に益々有利になる。
具体的には、運転方式が異なる場合、手動運転の荷役車両21を自動運転の荷役車両21よりも優先する。運転方式が同じ場合、コンテナターミナル1の外部との間でコンテナ10の荷役作業を行う荷役車両21を、コンテナターミナル1の構内でコンテナ10の配置換えをする荷役車両21よりも優先する。
このように、運転方式を荷役作業の内容よりも優先することで、安全性を優先しつつ、荷役効率も向上させられる。
なお荷役効率を安全性よりも優先したい場合は、荷役作業を運転方式よりも優先してもよい。
最優先にする荷役車両21としては門型クレーン19が挙げられる。
これは外来車両21aや構内車両21bよりも門型クレーン19は重心が高く、大重量で、かつスプレッダをワイヤで吊るため、他の荷役車両21に進路を譲るために速度を変更するとスプレッダに振れが発生し、荷役効率を損ねるためである。
このように、特定の車両を他の優先順位によらず、最優先にしてもよい。
この構成では、荷役効率や安全性に重要な役割を果たす荷役車両21を最優先で走行させられるので、安全性や荷役効率向上の観点から益々有利になる。
制御部7は、検知手段11に電気的に接続されて走行状況が入力される構成となっている。制御部7はまた、荷役車両21と通信可能な構成となっている。ここでいう通信可能とは、その運転を指示できることを意味する。具体的には自動運転車両に対しては、進路を変更する制御信号を送信可能であることを意味する。手動運転車両に対しては、荷役車両21の運転室に設けた表示部やスピーカ等を用いて、運転手に対して進路の変更を指示できることを意味する。
制御部7は検知手段11が検知した走行状況に基づき荷役車両21の走行を制御できる構造であれば、汎用のコンピュータでもよいし、組み込み等の専用コンピュータでもよい。
進路を妨害すると判断する基準としては、複数の荷役車両21の進路が重なっており、かつ所定の時間内に荷役車両21が接触する可能性がある場合が挙げられる。
例えば複数の荷役車両21の進路が対向する等して、互いに近づく向きに走行している場合は進路が重なっている場合に該当する。
また、所定の時間とは、一方が進路を譲る動作をすれば衝突を回避できる最短時間以上の時間であるが、時間ではなく距離を基準にしてもよい。
この場合、制御部7は、優先順位の高い荷役車両21の規制領域R1に優先順位の低い荷役車両21が進入した場合に、優先順位の高い荷役車両21の進路を妨害すると判断する。
この場合、図2(b)に示すように外来車両21aの規制領域R1に構内車両21bが進入した場合に外来車両21aの進路を妨害すると制御部7は判断する。
図2(c)に示すように構内車両21bが進路を譲って規制領域R1からの離脱が完了した後は、制御部7は構内車両21bに対して、A4の向きに移動して元の進路に復帰する指示を出す。
このように規制領域R1に優先順位が低い他の車両が進入した場合に進路を妨害すると判断する構成にすると、安全性と荷役効率のいずれを優先するかを規制領域R1の広さで設定できる。
外来車両21aの場合は、入退場ゲート23でナンバープレートを読み取る等して個々の外来車両21aを識別すればよい。外来車両21aの場合、運転方式は手動であり、荷役作業はコンテナターミナル1の外部との間でのコンテナ10の荷役作業であるため、外来車両21aであることを制御部7が識別できれば、優先順位が決まる場合が多い。
優先順位の基準、優先順位同士の優先順位、及び規制領域R1の広さと形状は、制御部7が設定を変更できるようにしてもよい。
例えば優先順位が荷役作業の内容である場合、マーシャリング中の蔵置領域17a、17cの周囲の領域はマーシャリングを行う荷役車両21を優先し、本船荷役中の蔵置領域17b、17dの周囲の領域は本船荷役を行う荷役車両21を優先してもよい。
以上がコンテナターミナル1の概略構成の説明である。
なお、荷役車両21の走行を制御する際には、互いの進路を妨害する荷役車両21のうち、優先順位の低い方に対して進路を変更させて優先順位が高い方に進路を譲る制御と、進路を譲った後で本来の進路に復帰させる制御が必要になる。
まず前提として制御部7が起動しており、検知手段11も荷役車両21の走行状況を取得できる状態にあるとする。
この場合、まず制御部7は検知手段11を用いてコンテナターミナル1内の荷役車両21の走行状況を取得する(図3のS110、検知工程)。
取得のタイミングは、荷役の安全性の観点からは常時であるのが好ましい。ただし所定のサンプリング周期で検知手段11が走行状況を検知する場合、制御部7による走行状況の取得も所定のサンプリング周期でよい。
互いの進路を妨害する走行を行っている荷役車両21があると判断した場合、制御部7は、該当する荷役車両21の種類や荷役作業の内容をTOS等に照会して優先順位の上下を判断して、優先して走行させる荷役車両21を決定する(図3のS130)。
なお、優先順位が全く同じ場合や、検知手段11の不調等の理由で優先順位の上下を決められない場合は、進路を譲る操作をし難い方を優先して走行させる荷役車両21とするか、任意に選択した方を優先して走行させる荷役車両21とすればよい。
進路を変更する指令を出した後で、制御部7はフラグを立てる(図3のS150)。このフラグは、優先順位の低い荷役車両21が進路を譲る走行を行った後、本来の進路に復帰していないことを意味するフラグである。
以上が進路を譲る制御の説明である。
まず制御部7は、フラグが立っている状態か否かを判断する(図4のS210)。フラグが立っている場合はS220に進み、立っていない場合はリターンしてS210に戻る。
フラグが立っている場合、制御部7は検知手段11から進路を譲る走行を行った荷役車両21の走行状況を取得する(図3のS220)。
制御部7は取得した走行状況から進路を譲る走行を行った荷役車両21が、優先して走行させる荷役車両21の進路を未だ妨害しているか否かを判断する(図3のS230)。未だ妨害していると判断した場合はリターンしてS210に戻る。妨害していないと判断した場合はS240に進む。
妨害していないと判断した場合、制御部7は進路を譲る走行を行った荷役車両21に対し、本来の進路に戻る指令を出す(図4のS240)。
本来の進路に戻る指令を出した後で、制御部7はフラグをOFFにする(図4のS250)。
以上が進路を譲った後で本来の進路に復帰させる制御の説明である。
そのため荷役車両21の優先順位を設定するだけで、コンテナターミナル1の大規模な工事や運用の変更を行わなくてもコンテナターミナル1内で種類の異なる荷役車両21の衝突を防止できる。
5 :岸壁クレーン
7 :制御部
10 :コンテナ
11 :検知手段
11a :GPS受信機
11b :レーダ
17、17a、17b、17c、17d :蔵置領域
19 :門型クレーン
21 :荷役車両
21a :外来車両
21b :構内車両
23 :入退場ゲート
25 :管理棟
48 :コンテナ船
Claims (7)
- コンテナを搬送する複数の荷役車両と、複数の前記荷役車両の走行状況を検知する検知手段と、前記検知手段に接続されて前記走行状況が入力され、前記荷役車両の走行を前記走行状況に基づき制御する制御部を備えたコンテナターミナルであって、
前記コンテナターミナルに設置されるとともに前記制御部に電気的に接続されるレーダを前記検知手段が含んでいて、
複数の前記荷役車両は予め走行の優先順位が定められ、
前記制御部は、
複数の前記荷役車両が互いの進路を妨害すると前記走行状況から判断した場合に、前記優先順位の低い前記荷役車両に対し、進路を変更して前記優先順位の高い前記荷役車両に進路を譲る指令を出すように構成したことを特徴とするコンテナターミナル。 - 前記荷役車両の周囲には、他の前記荷役車両の進入を規制する規制領域が予め設定され、
前記制御部は、
前記優先順位の高い前記荷役車両の前記規制領域に前記優先順位の低い前記荷役車両が進入した場合に、前記優先順位の高い前記荷役車両の進路を妨害すると判断し、前記優先順位の低い前記荷役車両に対し、進路を変更して前記優先順位の高い前記荷役車両に進路を譲る指令を出す、請求項1に記載のコンテナターミナル。 - 前記優先順位は、
運転方式が手動運転の前記荷役車両を、運転方式が自動運転の前記荷役車両よりも優先する請求項1又は2に記載のコンテナターミナル。 - 前記優先順位は、
前記コンテナターミナルの外部と荷役を行う前記荷役車両である外来車両を、前記コンテナターミナルの構内で前記コンテナの配置換えをする前記荷役車両である構内車両よりも優先する請求項1又は2に記載のコンテナターミナル。 - コンテナを搬送する複数の荷役車両と、複数の前記荷役車両の走行状況を検知する検知手段と、前記検知手段に接続されて前記走行状況が入力され、前記荷役車両の走行を前記走行状況に基づき制御する制御部を備えたコンテナターミナルであって、
複数の前記荷役車両は予め走行の優先順位が定められ、
前記制御部は、
複数の前記荷役車両が互いの進路を妨害すると前記走行状況から判断した場合に、前記優先順位の低い前記荷役車両に対し、進路を変更して前記優先順位の高い前記荷役車両に進路を譲る指令を出すように構成されていて、
前記優先順位は、
運転方式が異なる場合、手動運転の前記荷役車両を自動運転の前記荷役車両よりも優先し 、
運転方式が同じ場合、前記コンテナターミナルの外部との間で前記コンテナの荷役作業を行う前記荷役車両を、前記コンテナターミナルの構内で前記コンテナの配置換えをする前記荷役車両よりも優先することを特徴とするコンテナターミナル。 - コンテナを搬送する複数の荷役車両の走行を、前記荷役車両の走行状況に基づき制御するコンテナターミナルの運用方法であって、
前記コンテナターミナルに設置されるレーダを含む検知手段により前記走行状況を検知する検知工程と、
予め定められた走行の優先順位が異なる前記荷役車両が互いの進路を妨害すると前記走行状況から判断した場合に、前記優先順位の低い前記荷役車両に対し、進路を変更して前記優先順位の高い前記荷役車両に進路を譲る指令を出す走行指令工程と、を実施することを特徴とするコンテナターミナルの運用方法。 - コンテナを搬送する複数の荷役車両の走行を、前記荷役車両の走行状況に基づき制御するコンテナターミナルの運用方法であって、
前記走行状況を検知する検知工程と、
予め定められた走行の優先順位が異なる前記荷役車両が互いの進路を妨害すると前記走行状況から判断した場合に、前記優先順位の低い前記荷役車両に対し、進路を変更して前記優先順位の高い前記荷役車両に進路を譲る指令を出す走行指令工程と、を実施して、
前記優先順位は、
運転方式が異なる場合、手動運転の前記荷役車両を自動運転の前記荷役車両よりも優先し 、
運転方式が同じ場合、前記コンテナターミナルの外部との間で前記コンテナの荷役作業を行う前記荷役車両を、前記コンテナターミナルの構内で前記コンテナの配置換えをする前記荷役車両よりも優先することを特徴とするコンテナターミナルの運用方法。
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