以下、本発明のコンテナターミナル及びその運用方法の実施形態について説明する。図中では、陸側から海側に向う方向をx方向、停泊しているコンテナ船15の進行方向(x方向に直交する方向)をy方向、鉛直方向をz方向で示している。
図1〜図5に例示する第一実施形態のコンテナターミナル10は、x方向に隣接するコンテナヤード11と本船荷役エリア12とを備えている。
コンテナヤード11は、外部との出入口となる複数のゲート13を有している。また、コンテナヤード11は、コンテナCが蔵置される複数の蔵置レーン14と、蔵置レーン14を跨いで蔵置レーン14の長手方向(y方向)に沿って走行する門型クレーン30とを有している。複数の蔵置レーン14は、それぞれの長手方向がy方向に向いて、隣接する蔵置レーン14とは所定の間隔を空けて配置されている。蔵置レーン14は、その長手方向がx方向に向いて配置されてもよい。
本船荷役エリア12は、コンテナ船15が接岸しているエリアであって、そのコンテナ船15に対してコンテナCの荷役を行う複数の岸壁クレーン16を有している。
コンテナターミナル10のゲート13の近傍の領域内には、管理棟17が設置されている。
外来車両20及び構内車両21は、運転者が搭乗しているコンテナトラックやコンテナトレーラである。外来車両20は、ゲート13を経由して一点鎖線で示した外来用走行路22に沿って走行する。構内車両21は、二点鎖線で示した構内用走行路23に沿って走行する。構内車両21としては、無人搬送台車(AGV)を用いてもよい。
外来用走行路22は、あるゲート13から延びる一本の外来用進入路24から複数の外来用レーン(走行レーン)25に分岐して、別のゲート13に向う一本の外来用退出路26に合流している。構内用走行路23は、一本の構内用進入路27から複数の構内用レーン28に分岐して一本の構内用退出路29に合流している。
この実施形態では、外来用走行路22と構内用走行路23との二つの走行路をそれぞれ独立して設けたが、それらを一つの走行路として、外来車両20と構内車両21とが共通の走行路を走行する構成としてもよい。
門型クレーン30は、例えば、運転者が搭乗しない無人のタイヤ式門型クレーン(RTG)であって、蔵置レーン14と外来用レーン25と構内用レーン28とをx方向に跨ぎ、蔵置レーン14に沿ってy方向に移動する。門型クレーン30としては、レール式門型クレーン(RMG)を用いることもできる。この実施形態では、二台の門型クレーン30が各蔵置レーン14で荷役しているが、門型クレーン30の台数については限定されない。
図2に例示するように、門型クレーン30は、トロリ31と、トロリ31を介して昇降する吊具32と、x方向に延設されたガーダ33と、ガーダ33の両端部のそれぞれから下方に向って延在する脚体34とを備える。この脚体34は、下端にy方向に走行する走行装置35を有する。門型クレーン30は、クレーン制御装置36を有していて、このクレーン制御装置36により自動走行が制御される。門型クレーン30は、クレーン位置取得装置39を有していて、このクレーン位置取得装置39が後述する管理装置40と通信して門型クレーン30の現在位置が取得される。クレーン位置取得装置39としては、衛星測位システムが例示できる。
図3に例示するように、管理棟17には、クレーンオペレータにより操作される遠隔操作装置37が設置されており、この遠隔操作装置37により門型クレーン30のトロリ31のx方向の移動と、吊具32のz方向の昇降が制御されている。遠隔操作装置37としては、吊具32により吊上げられているコンテナCの画像を表示するモニタや、トロリ31及び吊具32を遠隔で操作するためのコントローラを例示できる。
また、管理棟17には、管理装置(TOS)40と制御装置43とが設置されており、これらの指示により、各装置が荷役作業を行う。外来車両20は、外部とコンテナヤード11との間でコンテナCを運搬し、構内車両21は、コンテナヤード11と本船荷役エリア12との間でコンテナCを運搬する。岸壁クレーン16は、本船荷役エリア12に進入した構内車両21に対して荷役を行い、門型クレーン30は、蔵置レーン14に進入した外来車両20及び構内車両21に対して荷役を行う。
各ゲート13には、ゲート用検知装置42が設置され、管理装置40に無線又は有線で通信可能に接続されている。ゲート用検知装置42は、外来車両20が予め備えている車両固有の識別情報Nxを検知する。この実施形態では、ゲート用検知装置42は、電子料金収受システムの路側装置であり、通過する外来車両20に予め備えられている電子料金収受システムの車載機44と無線通信を行う。そして、ゲート用検知装置42は、その車載機44に記憶されている固有の車載機番号を識別情報Nxとして読み取る。
ゲート用検知装置42としては、例えば、外来車両20が予め備えているナンバープレート、あるいは外装を撮像する撮像装置を用いてもよい。撮像装置を用いた場合に、識別情報Nxは撮像されたナンバープレートに記載されている車両固有の自動車登録番号、あるいは外装の形状、色となる。また、外来車両20が予め備えているRFIDタグと通信して、そのRFIDタグに記憶されている識別情報Nxを読み取るリーダを用いてもよい。
各ゲート13には、ゲート用遮断機47とゲート用指示機48とが設置され、これらは管理装置40に無線又は有線で通信可能に接続されている。ゲート用遮断機47は、例えば、ゲート用検知装置42に連動して遮断桿が昇降する機構であって、ゲート13を遮断とその解除をする。ゲート用指示機48は、例えば、電光掲示板であって、ゲート用検知装置42に連動して外来車両20の運転者に荷役位置Qxと受付番号Rxを指示する。ゲート用指示機48としては、例えば、外来車両20の荷役位置Qx、受付番号Rxが記載された印刷物を印刷する印刷機を用いてもよい。
荷役位置Qxは、外来車両20の外来用レーン25における停車位置である。具体的に、荷役位置Qxは、レーン番号と、外来車両20の荷役対象のコンテナCの蔵置位置Pxのベイ番号(蔵置レーン14の長手方向(y方向)の位置)とを示している。例えば、コンテナCの蔵置位置P3に対応する荷役位置Q3は、レーン番号「1」、ベイ番号「2」であり、(1、2)で示される。
受付番号Rxは、同一の外来用レーン25に進入する外来車両20を区別する番号である。具体的に、受付番号Rxは、後述するヤード用表示機46で表示される番号である。例えば、ゲート13を通過したときに、レーン番号「1」の外来用レーン25への進入待ちしている外来車両20の待機数が「2」の場合に、受付番号Rxは「1−3」で示される。
本発明のコンテナターミナル10は、外来用レーン25の進入口近傍に進入誘導部52が設置されている。制御装置43は、進入誘導部52に対して、荷役位置Qxが門型クレーン30の移動距離が最短になる外来車両20(以下、符号20aはこの最短になる外来車両を示す)を最優先に外来用レーン25に誘導させる。
進入誘導部52は、この実施形態では、ヤード用表示機46、停車領域53、及び追越路54により構成されている。
図4に例示するように、ヤード用表示機46は、外来車両20の進行方向に対して、外来用レーン25の進入口25aの手前に設置されている。ヤード用表示機46は、制御装置43に無線又は有線で通信可能に接続された電光掲示板であり、表示部が停車領域53や追越路54にいる外来車両20の運転者が目視可能に設置されている。ヤード用表示機46は、外来用レーン25への進入を待機している外来車両20の運転者に対して外来車両20aを特定する表示をする。具体的に、ヤード用表示機46は最優先受付番号Raを表示する。
例えば、レーン番号「1」のヤード用表示機46では、「1−3」が最短になる外来車両20aの最優先受付番号Raを示している。つまり、最優先受付番号Raが「1−3」である外来車両20aが最優先に外来用レーン25に進入することが特定される。
ヤード用表示機46としては、路側式、片持式、門型式、添架式などの一般道路の道路標識に基づいた電光掲示板、スタンド看板のような電光掲示板などが例示できる。
停車領域53は、外来用レーン25の進入口25aの近傍で蔵置レーン14と外来用進入路24との間に設置されて、複数台の外来車両20が一台ずつ停車する領域である。この実施形態では、停車領域53が、外来用レーン25の長手方向(y方向)に複数設置されており、外来用レーン25における進行方向に向いた外来車両20がゲート13を通過した順に進入口25a側から縦列している。
追越路54は、停車領域53の側方でその停車領域53に停車している外来車両20の縦列方向に延在しており、外来用進入路24から分岐して、外来用レーン25の進入口25aに合流している。停車領域53に停車している外来車両20a、あるいは外来用進入路24を経由して到着した外来車両20aは、追越路54を経由して外来用レーン25に進入する。このとき、外来車両20aは、先立ってゲート13を通過して停車領域53に停車している外来車両20を追い越す。
外来用レーン25の入口には、外来車両20がその外来用レーン25に進入したことを検知する車両検知装置49を設置している。車両検知装置49は、ループコイル式車両検知センサである。ループコイル式車両検知センサは、コイル状に埋設された電線に電流を流すことで生じる磁界(検知範囲)を外来車両20が停車したときに変化するインダクタンスにより、外来車両20の停車を検知する。車両検知装置49としては、例えば、光電式車両検知センサ、磁気式車両検知センサ、超音波式車両検知センサを用いてもよい。
図5は、コンテナターミナル10における制御信号の流れを例示している。管理装置40及び制御装置43は、各種情報処理を行うCPU、その各種情報処理を行うために用いられるプログラムや情報処理結果を読み書き可能な内部記憶装置、及び各種インターフェースなどから構成されている。
管理装置40の内部記憶装置には、外来車両20の識別情報Nxに関連付けられた管理番号Mx、蔵置位置Px、荷役位置Qx、及び受付番号Rxが記憶されている。
識別情報Nxは、ゲート用検知装置42で検出される番号であり、この実施形態では車載機44の車載機番号である。管理番号Mxは、コンテナCの固有の番号であり、所有者コードやコンテナCのサイズや種類を表す番号を含めてもよい。蔵置位置Pxは、コンテナCのコンテナヤード11における蔵置位置であり、レーン番号(蔵置レーン14の位置)、ベイ番号、ロウ番号(蔵置レーン14の横手方向(x方向))、ティア番号(蔵置レーン14の高さ方向(z方向))からなる。
制御装置43の内部記憶装置には、管理装置40から送信された識別情報Nx、管理番号Mx、蔵置位置Px、荷役位置Qx、及び受付番号Rxの他に、同一の外来用レーン25に進入する予定の外来車両20の台数nと、門型クレーン30の停止位置CPとが記憶されている。停止位置CPは、門型クレーン30の移動が停止した状態の位置を示しており、例えば、門型クレーン30が移動中の場合はその移動先に、また、門型クレーン30が荷役中の場合はその荷役位置に設定される。停止位置CPは、蔵置レーン14の長手方向の位置であればよく、例えば、ベイ番号が例示できる。例えば、レーン番号「1」では、台数nが「3」、停止位置CPが「4」になる。
以下に、コンテナターミナル10の運用方法について、図6、図7に例示するフローチャートを参照しながら説明する。図6は管理装置40における制御の流れを示しており、図7は制御装置43における制御の流れを示している。
具体的に、管理装置40では、外来用レーン25の進入口25aの手前で停車している、あるいは停車する予定の外来車両20の情報を制御装置43に送信している。制御装置43では、最優先受付番号Raの表示を行っている。管理装置40及び制御装置43は相互にデータを送受信している。
図6に例示するように、外部から外来車両20がゲート13に到着すると、ゲート用検知装置42は、外来車両20の識別情報Nxを検知する(S100)。次いで、管理装置40は、その検知した識別情報Nx、管理番号Mx、蔵置位置Px、荷役位置Qx、及び受付番号Rxを関連付ける(S110)。次いで、管理装置40は、識別情報Nxに関連付けられた荷役位置Qx及び受付番号Rxを、ゲート用指示機48により外来車両20の運転者に指示する(S120)。次いで、管理装置40は、指示した荷役位置Qx及び受付番号Rxを制御装置43に送信する(S130)。
以上のステップは、ゲート用検知装置42が、外部から外来車両20がゲート13に到着するごとに行われる。ゲート13が複数設置されている場合は、以上のステップが、ゲート13ごとに行われる。
図7、図8に例示するように、制御装置43は、所定の周期ごとに以下の二つの制御を行う。一つは、次回にヤード用表示機46に表示させる次回表示受付番号Rbを設定する制御であり、もう一つは、既に設定されている次回表示受付番号Rbを最優先受付番号Raとしてヤード用表示機46に表示させる制御である。
図7に例示するように、上記のS130により管理装置40から新たな外来車両20に対する荷役位置Qx及び受付番号Rxを受信する(S200:YES)、又は内部記憶装置に記憶した次回にヤード用表示機46に表示される予定で、ヤード用表示機46に表示されていない次回表示受付番号Rbの表示設定が解除される(S210:YES)と、制御装置43は、現時点における次回表示受付番号Rbの設定を行う。
具体的に、制御装置43は、最短荷役位置Qaを選択する(S220)。このステップでは、現時点でヤード用表示機46に表示した最優先受付番号Raも含み、現時点で制御装置43から門型クレーン30に指示されている停止位置CPを基準にして門型クレーン30の移動距離が最短になるものを、最短荷役位置Qaとして選択する。制御装置43は、停止位置CPのベイ番号と荷役位置Qxのベイ番号との差分が最小になるものを、最短荷役位置Qaとして選択する。なお、停止位置CPは、外来車両20に対する荷役指令に関するもの以外に、構内車両21に対する荷役指令に関するものも含む。次いで、制御装置43は、最短荷役位置Qaに選択された荷役位置Qxに対応した受付番号Rxを次回表示受付番号Rbに選択する(S230)。
次いで、制御装置43は、選択された次回表示受付番号Rbを次回にヤード用表示機46に表示されるものとして表示設定を行う。(S240)。このステップでは、例えば、S230で選択された次回表示受付番号Rbに表示フラグを立てることで表示設定を行う。
図8に例示するように、最優先受付番号Raの表示により、該当の外来車両20aが外来用レーン25に進入した(S300:YES)ことを車両検知装置49により検知すると、制御装置43は、ヤード用表示機46の表示の更新を行う。また、S240のステップで、次回表示受付番号Rbの表示設定が行われて(S310:YES)、ヤード用表示機46に最優先受付番号Raを表示した時間t1が所定の経過時間taを経過する(S320:YES)と、制御装置43は、ヤード用表示機46の表示の更新を行う。
所定の経過時間taは、最優先受付番号Raの対象となる外来車両20aが停車領域53に到着していないことを判定可能な時間に設定される。つまり、ヤード用表示機46に最優先受付番号Raが表示されてから経過時間taが経過しても、外来車両20aの外来用レーン25への進入が確認できない場合に、その外来車両20aが到着していないと判定する。
具体的に、制御装置43は、現時点でヤード用表示機46に表示されている最優先受付番号Raの表示を消去する(S330)。次いで、制御装置43は、現時点で表示設定された次回表示受付番号Rbを読み込む(S340)。次いで、制御装置43は、読み込んだ次回表示受付番号Rbを最優先受付番号Raとしてヤード用表示機46に表示する(S350)。
次いで、制御装置43は、現時点でヤード用表示機46に最優先受付番号Raとして表示された次回表示受付番号Rbの表示設定を解除する(S360)。このステップでは、例えば、ヤード用表示機46に最優先受付番号Raとして表示した次回表示受付番号Rbに立てた表示フラグを下ろして、表示設定を解除する。なお、最優先受付番号Raの対象となる外来車両20aが外来用レーン25に進入した場合に、その最優先受付番号RaはS220のステップにおける選択の対象外とするとよい。
レーン番号「1」を例に、上記の運用方法を説明する。最初の時点で、門型クレーン30はレーン番号「1」、ベイ番号「2」で荷役しており、次の停止位置CPとしてベイ番号「4」が設定されて、ヤード用表示機46に最優先受付番号Raとして受付番号「1−0」が表示されている。また、レーン番号「1」の停車領域53には、受付番号「1−0」、「1−2」の外来車両20が停車している。なお、現時点で、受付番号「1−0」の外来車両20は外来用レーン25に進入していない状態である。受付番号「1−1」の外来車両20は停車領域53に到着していない状態である。
外部から外来車両20がゲート13に到着すると、管理装置40は、荷役位置Q3(レーン番号「1」、ベイ番号「2」)及び受付番号R3(「1−3」)を外来車両20の運転者に指示する(S100〜120)。次いで、管理装置40は、制御装置43に荷役位置Q3及び受付番号R3を送信する(S130)。
荷役位置Q3を受信した(S210:YES)制御装置43は、門型クレーン30の次の停止位置CP(ベイ番号「4」)と、荷役位置Q1〜Q3とを比較して、最短になる荷役位置Q3を最短荷役位置Qaとして選択し、その受付番号「1−3」を次回表示受付番号Rbとして選択する(S220、S230)。次いで、制御装置43は、選択した次回表示受付番号Rb(「1−3」)の表示設定を行う(S240)。
一方で、受付番号「1−0」がヤード用表示機46に表示されて、外来車両20aが外来用レーン25に進入する(S300:YES)と、制御装置43は、ヤード用表示機46に表示している最優先受付番号Ra(「1−0」)の表示を消去させる(S330)。次いで、制御装置43は、表示設定された次回表示受付番号Rb(「1−3」)を読み込んで、表示する(S340、S350)。次いで、制御装置43は、最優先受付番号Raとして表示した次回表示受付番号Rb(「1−3」)の表示設定を解除する(S360)。
次回表示受付番号Rb(「1−3」)の表示設定が解除されると(S210:YES)と、制御装置43は、門型クレーン30の次の停止位置CP(ベイ番号「2」)と、荷役位置Q1、Q2とを比較して、最短になる荷役位置Q1を最短荷役位置Qaに選択し、その受付番号「1−1」を次回表示受付番号Rbとして選択する(S220、S230)。次いで、制御装置43は、選択した次回表示受付番号Rb(「1−1」)の表示設定を行う(S240)。
そして、現時点で表示した最優先受付番号Ra(「1−3」)の外来車両20aが外来用レーン25に進入する(S300:YES)と、最優先受付番号Ra(「1−3」)の表示を消去して、次回表示受付番号Rb(「1−1」)を最優先受付番号Raとしてヤード用表示機46に表示する(S330〜S350)。次いで、制御装置43は、最優先受付番号Raとして表示した次回表示受付番号Rb(「1−1」)の表示設定を解除する(S360)。
その後、受付番号「1−1」の外来車両20が外来用レーン25に所定の経過時間taを過ぎても進入しない場合に、制御装置43は受付番号「1−1」の外来車両20に対する荷役をキャンセルして、次回表示受付番号Rb(「1−2」)を最優先受付番号Raとしてヤード用表示機46に表示させる。
このように、ゲート13を通過して同一の外来用レーン25に進入する予定の外来車両20が複数台存在している時は、進入誘導部52により、同一の外来用レーン25に進入する外来車両20の進入順番を、入れ替える。それ故、荷役位置Qxが門型クレーン30の移動距離が最短になる外来車両20aを最優先に外来用レーン25に誘導して、門型クレーン30の実際の移動距離を短縮することができる。これにより、門型クレーン30の無駄な移動の削減には有利になり、門型クレーン30の移動時間を短縮できる。これに伴って、コンテナターミナル10の荷役効率を向上できる。
管理装置40から制御装置43に構内車両21の荷役位置を送信して(S130)、それを受信した(S210)ときに、制御装置43が、構内車両21の荷役位置も含めて最短荷役位置Qaを選択する(S220)ことが望ましい。つまり、最短荷役位置Qaの選択は、同一の外来用レーン25に進入する予定の外来車両20が増えた時やその外来用レーン25に隣接する構内用レーン28に進入する予定の構内車両21が増えた時に、行われる。このように、構内車両21も含めて外来車両20に対する最優先受付番号Raの表示をすることで、門型クレーン30の移動距離を常に最短にすることができる。これにより、門型クレーン30が構内車両21に対する荷役を優先的に行っていても、外来車両20に対する無駄な移動の削減には有利になり、門型クレーン30の移動距離を短縮できる。
また、構内車両21に対する荷役作業の優先度を、外来車両20に対する荷役作業の優先度よりも高くするとよい。これにより、構内車両21に対する荷役が発生すると、門型クレーン30が優先的にその構内車両21に対する荷役を行うことで、構内車両21に対する荷役を優先するには有利になり、コンテナ船15の停泊時間を削減できる。
ゲート13を通過して同一の外来用レーン25に進入する予定の外来車両20が一台の時は、進入誘導部52により、その外来車両20を最優先に誘導する。このとき、外来車両20が外来用進入路24から停車領域53、あるいは追越路54に到着したときに、最優先受付番号Raを表示するようにすると、外来車両20が停車することなく、外来用レーン25に進入できる。これにより、外来車両20が荷役位置Qxに到着するまでの時間の短縮には有利になる。
一方で、外来車両20が一台の時にも、その外来車両20を停車領域53に停車させるようにしてもよい。このように、外来用レーン25に進入する前に、外来車両20が一旦停車領域53に停車することで、遅れてゲート13に到着した外来車両20を最優先に誘導させるには有利になる。この場合に、外来車両20が停車領域53に停車している時間に限度を設けて、停車時間を短縮するとよい。
この実施形態では、進入誘導部52がヤード用表示機46により構成されるので、そのヤード用表示機46に対して外来車両20aを特定できる表示をさせるだけで、最優先受付番号Raの外来車両20aを最優先に外来用レーン25に誘導させることができる。これにより、進入順番の入れ替えに要するコストの削減には有利になる。
この実施形態では、外来車両20a以外の外来車両20が停車する停車領域53の側方に追越路54を設置したことで、進入誘導部52により外来用レーン25への進入が誘導された外来車両20aが、その停車領域53に停車している外来車両20を追い越すことができる。これにより、外来車両20の進入順番の入れ替えに有利になり、門型クレーン30の移動距離に基づいた進入順番にすることができる。また、最優先受付番号Raの外来車両20aが停車領域53のどこに停車していても、追越路54を経由して、最優先に外来用レーン25に進入することができる。
基本的に、ヤード用表示機46に最優先受付番号Raが表示されると、その対象となる外来車両20aは直ぐに外来用レーン25に進入する。つまり、外来車両20がゲート13を通過後に必ずしも指定された外来用レーン25に到着しない場合を例外として処理するようにすれば、ヤード用表示機46に表示済みの最優先受付番号RaをS220のステップにおける対象外にしてもよい。また、ヤード用表示機46に表示した最優先受付番号Raは、その対象となる外来車両20aが外来用レーン25に進入するまでは更新しないようにしてもよい。また、門型クレーン30による外来車両20aに対するコンテナの荷役が完了するまでは、コンテナを荷役中の外来用レーン25に他の外来車両20を進入させないように、ヤード用表示機46に最優先受付番号Raの表示を禁止するようにしてもよい。
図9に例示するように、第二実施形態のコンテナターミナル10は、第一実施形態に対してヤード用表示機46の表示が異なる。ヤード用表示機46は、上下方向に複数段に分割されており、最上段に外来車両20aの最優先受付番号Raを表示し、最上段から下方に向って外来用レーン25に進入する順番に他の受付番号Rxを表示する。ヤード用表示機46は、同一の外来用レーン25に進入する予定の全ての外来車両20の受付番号Rxを進入する順番に表示する。
ヤード用表示機46としては、左右方向に複数段に分割されてもよい。なお、複数段に分割される場合は、最優先受付番号Raを他の受付番号Rxに比して目立つように、例えば、その背面の色、文字、点灯の有無を他の受付番号Rxと異ならせるとよい。
ヤード用表示機46に複数の受付番号Rxを表示するときに、制御装置43は、まず、上記のS220〜S240を行って次回表示受付番号Rbの表示設定を行う。次に、制御装置43は、表示設定を行った次回表示受付番号Rbを除いた中で上記のS220〜S240を行って、次々回表示受付番号を設定する。これを台数分繰り返すことで、同一の外来用レーン25に進入する予定の全ての外来車両20の受付番号Rxを進入する順番に表示することが可能になる。
このように、同一の外来用レーン25に進入する予定の全ての外来車両20の受付番号Rxを進入する順番に表示することが可能な場合に、複数の外来車両20を、一度に外来用レーン25に進入させてもよい。このように、複数の外来車両20を外来用レーン25に進入させても、門型クレーン30は、全ての外来車両20に対する荷役を行うときの総移動距離が最短にすることができる。
ヤード用表示機46に対して、同一の外来用レーン25に進入する予定の全ての外来車両20の進入順番を表示させることで、外来車両20の運転者は、その進入順番を外来用
レーン25に進入する目安として活用することができる。特に、外来車両20の運転者は、コンテナターミナル10における作業の進行状況を把握する術がないため、進入順番を把握することで、大凡の進行状況を判断することが可能になる。これにより、進入時間が不透明な状態での進入待ちによる不快感を抑制するには有利になる。
なお、同一の外来用レーン25に進入する予定の全ての外来車両20が、ヤード用表示機46の表示を確認できれば、停車領域53に停車できる外来車両20の台数に制限を設ける必要がない。
図10に例示する第三実施形態のコンテナターミナル10は、第一実施形態に対して、停車領域53と追越路54との位置関係が異なっている。また、第三実施形態のコンテナターミナル10は、制御装置43に通信可能に接続されたヤード用検知装置41、ヤード用遮断機45、及び車両検知装置49を備えている。
ヤード用検知装置41は、ゲート用検知装置42と同様に電子料金収受システムの路側装置であり、車載機44に記憶されている固有の車載機番号を識別情報Nxとして読み取る。ヤード用遮断機45は、ヤード用表示機46に連動して遮断桿が昇降する機構であって、停車領域53から外来用レーン25の進入口25aへの進入の遮断とその解除をする。
車両検知装置49は、停車領域53に設けられていて、停車領域53に停止した外来車両20の停車時間を検知している。
この実施形態では、上記の運用方法において、最優先受付番号Raを表示するステップで、ヤード用検知装置41が検知した識別情報Nxに基づいて、制御装置43により、停車領域53の先頭に停車している外来車両20の受付番号Rxを取得し、その受付番号Rxが最優先受付番号Raであるときに、ヤード用遮断機45が遮断の解除をする。
また、次回表示受付番号Rbを設定するステップで、車両検知装置49が検知した外来車両20の停車時間の長さが予め設定した時間を超えたときに、制御装置43により、その外来車両20の受付番号Rxを次回表示受付番号Rbに設定する。
このように、この実施形態では、停車時間の長さに基づいて最優先受付番号Raを表示するので、外来車両20の停車領域53での停車時間を短縮できる。また、最優先受付番号Raの外来車両20aが、ゲート13を通過後に一時的なトラブルで到着が遅れても、その外来車両20aの到着を待たずに、他の外来車両20を外来用レーン25に進入させるので、門型クレーン30の待機時間を低減できる。
図11、図12に例示する第四実施形態のコンテナターミナル10は、第一実施形態に対して、進入誘導部52が異なり、複数台の外来車両20が一台ずつx方向に横列して停車する停車領域53と、それぞれの停車領域53に設置されたヤード用遮断機45とを有している。
停車領域53は、外来用レーン25の幅方向(x方向)に複数設置されており、外来用レーン25における進行方向に向いた最短になる外来車両20aを含む全ての外来車両20がx方向に横列している。複数のヤード用遮断機45は、それぞれの停車領域53に停車した外来車両20の前方で、x方向に一列に設置されている。ヤード用遮断機45は、制御装置43の指示により、最優先に外来用レーン25に誘導させる外来車両20aが停車している停車領域53に設置されたヤード用遮断機45による外来用レーン25への進入遮断を解除する。つまり、最短になる外来車両20a以外の外来車両20の外来用レーン25への進入を遮断し、最短になる外来車両20aの外来用レーン25への進入遮断を解除する。
図12に例示するように、停車領域53の上方には、受付番号Rxが記載された指示板55が設置されている。指示板55としては、受付番号Rxを表示可能な電光掲示板を用いてもよく、ヤード用遮断機45に設置してもよい。
この実施形態の運用方法においては、上述した最優先受付番号Raを表示するステップに代えて、最優先受付番号Raのヤード用遮断機45に対して外来用レーン25への進入遮断を解除させるステップを行う。また、同一のヤード用遮断機45に対して、複数の外来車両20が縦列させないように、同一の受付番号Rxを発行する場合に、後から発行された外来車両20をコンテナヤード11に進入させないようにするとよい。
このように、この実施形態では、ヤード用遮断機45により最優先に誘導させる外来車両20aの進入遮断を解除するので、遮断が解除された最優先受付番号Raの外来車両20aのみが外来用レーン25へ進入することができる。これにより、外来車両20a以外の外来車両20の進入防止には有利になり、門型クレーン30の移動距離を確実に短縮できる。
この実施形態では、それぞれの停車領域53に外来車両20aを含む全ての外来車両20が横列するので、ヤード用遮断機45の遮断の解除により外来用レーン25への進入が誘導された外来車両20aが、その停車領域53に停車している外来車両20よりも先に外来用レーン25に進入できる。これにより、外来車両20の進入順番の入れ替えに有利になり、門型クレーン30の移動距離に基づいた進入順番にすることができる。
また、最優先受付番号Raの外来車両20aが停車領域53のどこに停車していても、その外来車両20aが停車している箇所のヤード用遮断機45の遮断を解除するだけで、最優先に外来用レーン25に進入することができる。
この実施形態では、受付番号Rxが記載された指示板55を設置するので、初めてのこのコンテナターミナル10を走行する運転者でも戸惑うこと無く、外来車両20を迷わずに所定の場所に停車することができる。これにより、最優先受付番号Ra以外の外来車両20の誤進入の防止には有利になる。
この実施形態にも、車両検知装置49を設置して、外来車両20の停車時間に基づいて、最優先受付番号Raを表示するとよい。また、ヤード用検知装置41を設置して、識別情報Nxに基づいて、外来車両20が指示された受付番号Rxに従って停車しているか判定してもよい。また、外来車両20の運転者に対して進入順番が分かるように、ヤード用表示機46を別途設置してもよい。また、この実施形態でも、第一実施形態と同様に、構内車両21の運行状況を把握すれば、複数の外来車両20を、荷役位置Qxが門型クレーン30の停止位置CPに近いものから順番に、一度に外来用レーン25に進入させてもよい。
同一の外来用レーン25に進入する予定の外来車両20が一台の時は、全てのヤード用遮断機45による進入遮断を解除してもよい。このように、複数台の時は、外来車両20の外来用レーン25への進入を遮断し、一台の時は、進入遮断を解除することで、一台の時は、停車領域53に停車することなく、円滑に外来用レーン25に進入できるので、荷役位置Qxの到着時間の短縮には有利になる。
既述した実施形態では、進入誘導部52として、ヤード用表示機46と縦列型の停車領
域53と追越路54との組み合わせや、ヤード用遮断機45と横列型の停車領域53との組み合わせを例に説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、進入誘導部52として、ヤード用表示機46と横列型の停車領域53との組み合わせを用いてもよい。また、ヤード用遮断機45と縦列型の停車領域53と追越路54との組み合わせを用いてもよい。
また、既述した実施形態では、管理装置40と制御装置43とで制御を別々にすることで、一つあたりの情報処理負荷を低減しているが、一つの装置で制御してもよい。