JP7196817B2 - 積層セラミックコンデンサの使用方法および積層セラミックコンデンサの実装方法 - Google Patents
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Description
これにより、図1に示す積層セラミックコンデンサは、第1の内部電極層および第2の内部電極層に印加する電位と、第3の内部電極層および第4の内部電極層に印加する電位を異ならせて用いることが可能となる。
その結果、第3の内部電極層および第4の内部電極層を第1の内部電極層および第2の内部電極層に隣接させるように配置することで、第1の内部電極層の第1の引出電極部から、異なる誘電体層上に配置される第2の内部電極層の先端部への電界の回り込みと、第2の内部電極層の第2の引出電極部から、異なる誘電体層上に配置される第1の内部電極層16aの先端部への電界の回り込みと、を抑制することが可能となる。
(第1の実施の形態)
この発明の第1の実施の形態にかかる積層セラミックコンデンサ10Aについて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る積層セラミックコンデンサの一例を示す外観斜視図である。図2は、図1の線II-IIにおける断面図である。図3は、図2の線III-IIIにおける断面図である。図4は、図2の線IV-VIにおける断面図である。
第2の内部電極層16bは後述される第2の外部電極24bに接続されている。
第3の内部電極層16cは後述される第3の外部電極24cに接続されている。
第4の内部電極層16dは後述される第4の外部電極24dに接続されている。
第2の内部電極層16bは、図2および図4に示すように、第1の内部電極層16aと対向する第2の対向電極部18bと、第2の内部電極層16bの一端側に位置し、第2の対向電極部18bから積層体12の第2の端面12fまでの第2の引出電極部20bを有する。第2の引出電極部20bは、その端部が第2の端面12fに引き出され、露出している。
第1の内部電極層16aおよび第2の内部電極層16bの総枚数は、例えば、5枚以上1000枚以下であることが好ましい。
第1の内部電極層16aの第1の引出電極部20aと第2の内部電極層16bの第2の引出電極部20bの形状は、特に限定されないが、矩形状であることが好ましい。もっとも、コーナー部が丸められていたり、コーナー部が斜めに(テーパー状)形成されていたりしてもよい。
第1の内部電極層16aの第1の対向電極部18aの幅と第1の内部電極層16aの第1の引出電極部20aの幅とは、同じ幅に形成されていてもよく、どちらか一方が狭く形成されてもよい。同様に、第2の内部電極層16bの第2の対向電極部18bの幅と第2の内部電極層16bの第2の引出電極部2bの幅とは、同じ幅に形成されていてもよく、どちらか一方が狭く形成されてもよい。
また、第4の内部電極層16dは、第2の内部電極層16bが配置されている誘電体層14と同じ誘電体層14上に位置する。これにより、第4の内部電極層16cを別層に配置する必要が無くなるため、積層枚数の低減に繋がり、コストダウンに寄与できる。
また、第4の内部電極層16dの第3の延長部32bの第2の側面12d側の辺と、第2の内部電極層16bの第2の対向電極部18bの第1の側面12c側の端部の辺との間隔は、5μm以上100μm以下であることが好ましい。これにより、第2の内部電極層16bの第2の対向電極部18bの第1の側面12c側の端部の辺に集中する電界を和らげることができる。
また、第4の内部電極層16dの第4の延長部34bの第2の端面12f側の辺と、第2の内部電極層16bの第2の対向電極部18bの第1の端面12e側の端部の辺との間隔は、5μm以上100μm以下であることが好ましい。これにより、第2の内部電極層16bの第2の対向電極部18bの第1の端面12e側の端部の辺に集中する電界を和らげることができるため、本施策を導入しない構造と比較してBDVの向上による静電容量密度×BDVの値の向上の効果を得ることができる。
さらに、積層体12は、第1の内部電極層16aの第1の引出電極部20aとは反対側の端部と第2の端面12fとの間に形成される積層体12の端部(Lギャップ)22cを含み、および第2の内部電極層16bの第2の引出電極部20bとは反対側の端部と第1の端面12eとの間に形成される積層体12の端部(Lギャップ)22dを含む。
本発明の実施の形態である積層セラミックコンデンサ10Aでは、第1の内部電極層16aおよび第2の内部電極層16bが誘電体層14を介して対向することにより容量が形成され、コンデンサの特性が発現する。
第2の外部電極24bは、積層体12の上に配置される第2の下地電極層26bと、第1の下地電極層26bの表面を覆うように配置される第2のめっき層28bとを含む。
第3の外部電極24cは、積層体12の上に配置される第3の下地電極層26cと、第3の下地電極層26cの表面を覆うように配置される第1のめっき層28cとを含む。
第4の外部電極24dは、積層体12の上に配置される第4の下地電極層26dと、第4の下地電極層26dの表面を覆うように配置される第2のめっき層28dとを含む。
焼付け層は、ガラスと金属とを含む。焼付け層の金属としては、たとえば、Cu、Ni、Ag、Pd、Ag-Pd合金、Au等から選ばれる少なくとも1つを含む。また、焼付け層のガラスとしては、B、Si、Ba、Mg、Al、Li等から選ばれる少なくとも1つを含む。焼付け層は、複数層であってもよい。焼付け層は、ガラスおよび金属を含む導電性ペーストを積層体12に塗布して焼き付けたものであり、誘電体層14および内部電極層16と同時に焼成したものでもよく、誘電体層14および内部電極層16を焼成した後に焼き付けたものでもよい。
また、第1の主面12aおよび第2の主面12b、ならびに第1の側面12cおよび第2の側面12dの表面に下地電極層を設ける場合には、第1の主面12aおよび第2の主面12b、ならびに第1の側面12cおよび第2の側面12dの表面に位置する第1の下地電極層26aおよび第2の下地電極層26bである長さ方向zの中央部におけるそれぞれの焼付け層の厚みは、たとえば、5μm以上300μm以下程度であることが好ましい。
導電性樹脂層は、焼付け層の表面に焼付け層を覆うように配置されるか、積層体12の表面に直接配置されてもよい。また、導電性樹脂層は、複数層であってもよい。
導電性樹脂層は、熱硬化性樹脂および金属を含む。導電性樹脂層は、熱硬化性樹脂を含むため、たとえば、めっき膜や導電性ペーストの焼成物からなる導電層よりも柔軟性に富んでいる。このため、積層セラミックコンデンサに物理的な衝撃や熱サイクルに起因する衝撃が加わった場合であっても、導電性樹脂層が緩衝層として機能し、積層セラミックコンデンサへのクラックを防止することができる。
導電性樹脂層に含まれる金属(導電性フィラー)の形状は、特に限定されない。導電性フィラーは、球形状、扁平状などのものを用いることができるが、球形状金属粉と扁平状金属粉とを混合して用いるのが好ましい。
導電性樹脂層に含まれる金属(導電性フィラー)の平均粒径は、特に限定されない。導電性フィラーの平均粒径は、たとえば、0.3μm以上10μm以下程度であってもよい。
導電性樹脂層に含まれる金属(導電性フィラー)は、主に導電性樹脂層の通電性を担う。具体的には、導電性フィラーどうしが接触することにより、導電性樹脂層内部に通電経路が形成される。
導電性樹脂層に含まれる樹脂は、導電性樹脂全体の体積に対して、25vol%以上65vol%以下で含まれていることが好ましい。
また、導電性樹脂層には、熱硬化性樹脂とともに、硬化剤を含むことが好ましい。ベース樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、エポキシ樹脂の硬化剤としては、フェノール樹脂、アミン系、酸無水物系、イミダゾール系など公知の種々の化合物を使用することができる。
また、第1の主面12aおよび第2の主面12b、ならびに第1の側面12cおよび第2の側面12dの表面に下地電極層を設ける場合には、第1の主面12aおよび第2の主面12b、ならびに第1の側面12cおよび第2の側面12dの表面に位置する下地電極層である長さ方向zの中央部におけるそれぞれの導電性樹脂層の厚みは、5μm以上300μm以下程度であることが好ましい。
めっき層は、複数層によって形成されてもよい。この場合、めっき層は、Niめっき層とSnめっき層の2層構造であることが好ましい。Niめっき層が、下地電極層の表面を覆うように設けられることで、積層セラミックコンデンサ10Aを実装する際に、実装に用いられる半田によって下地電極層が侵食されることを防止することができる。また、Niめっき層の表面に、Snめっき層を設けることにより、積層セラミックコンデンサ10Aを実装する際に、実装に用いられる半田の濡れ性を向上させ、容易に実装することができる。
第1の外部電極24a、第2の外部電極24b、第3の外部電極24cおよび第4の外部電極24dのそれぞれは、下地電極層が設けられず、めっき層が積層体12の表面に直接形成されていてもよい。すなわち、積層セラミックコンデンサ10Aは、内部電極層16に電気的に接続されるめっき層を含む構造であってもよい。このような場合、前処理として積層体12の表面に触媒を配設した後で、めっき層が形成されてもよい。
めっき層は、積層体12の表面に形成される下層めっき電極と、下層めっき電極の表面に形成される上層めっき電極とを含むことが好ましい。
下層めっき電極および上層めっき電極はそれぞれ、たとえば、Cu、Ni、Sn、Pb、Au、Ag、Pd、BiまたはZnなどから選ばれる少なくとも1種の金属または当該金属を含む合金を含むことが好ましい。
下層めっき電極は、はんだバリア性能を有するNiを用いて形成されることが好ましく、上層めっき電極は、はんだ濡れ性が良好なSnやAuを用いて形成されることが好ましい。また、たとえば、内部電極層16がNiを用いて形成される場合、下層めっき電極は、Niと接合性のよいCuを用いて形成されることが好ましい。なお、上層めっき電極は、必要に応じて形成されればよく、第1の外部電極24a、第2の外部電極24b、第3の外部電極24cおよび第4の外部電極24dはそれぞれ、下層めっき電極のみで構成されてもよい。
めっき層は、上層めっき電極を最外層としてもよいし、上層めっき電極の表面にさらに他のめっき電極を形成してもよい。
下地電極層を設けずに配置するめっき層の1層あたりの厚みは、1μm以上15μm以下であることが好ましい。めっき層は、ガラスを含まないことが好ましい。めっき層の単位体積あたりの金属割合は、99vol%以上であることが好ましい。
積層セラミックコンデンサ10Aの寸法は、長さ方向zのL寸法が0.2mm以上7.0mm以下、幅方向yのW寸法が0.1mm以上3.0mm以下、積層方向xのT寸法が0.1mm以上6.0mm以下であることが好ましい。
これにより、図1に示す積層セラミックコンデンサ10Aは、第1の内部電極層16aおよび第2の内部電極層16bに印加する電位と、第3の内部電極層16cおよび第4の内部電極層16dに印加する電位を異ならせて用いることが可能となる。
したがって、第3の内部電極層16cおよび第4の内部電極層16dを第1の内部電極層16aおよび第2の内部電極層16bに隣接させるように配置することで、第1の内部電極層16aの第1の引出電極部20aから、異なる誘電体層14上に配置される第2の内部電極層16bの先端部への電界の回り込みと、第2の内部電極層16bの第2の引出電極部20bから、異なる誘電体層14上に配置される第1の内部電極層16aの先端部への電界の回り込みと、を抑制することが可能となる。
一方、第3の内部電極層16cの第1の端面12cおよび第2の端面12dと対向する部分の先端部および第4の内部電極層16dの第1の端面12cおよび第2の端面12dと対向する部分の先端部においても、電界の回り込みが発生することで電界集中が生じるものの、
第1の内部電極層16aおよび第2の内部電極層16bに印加される電圧>第3の内部電極層16cおよび第4の内部電極層16dに印加される電圧、かつ、
第3の内部電極層16cおよび第4の内部電極層16dに印加される電位は、第1の内部電極層16aおよび第2の内部電極層16bに印加される電位の一方の電位よりは高く、他方の電位よりは低い、
関係であるため、
第3の内部電極層16cおよび第4の内部電極層16dを用いない第1の内部電極層16aの先端部および第2の内部電極層16bの先端部における電界強度>第3の内部電極層16cおよび第4の内部電極層16dを用いた場合の第1の内部電極層16aの先端部および第2の内部電極層16bの先端部における電界強度、
の関係となり、電界強度を抑制することができる。
このように、第3の内部電極層16cおよび第4の内部電極層16dに異なる電位を印加することで、積層体12の端面に引き出されない側の第1の内部電極層16aの先端部および第2の内部電極層16bの先端部への電界集中が緩和されることで、第1の内部電極層16aの先端部および第2の内部電極層16bの先端部における電圧破壊が起こりにくくなり、静電容量密度を変えることなく、絶縁破壊電圧(BDV)を向上させることが可能となる。
本発明の第2の実施の形態に係る積層セラミックコンデンサ10Bについて説明する。図5は、本発明の第2の実施の形態に係る積層セラミックコンデンサの一例を示す図2に対応する断面図である。図6は、図5の線VI-VIにおける断面図である。図7は、図5の線VII-VIIにおける断面図である。図8は、図5の線VIII-VIIIにおける断面図である。
第2の実施の形態に係る積層セラミックコンデンサ10Bは、積層体12の内部における内部電極層16の配置の態様が異なることを除き、図1に示した第1の実施の形態の積層セラミックコンデンサ10Aの構造と同様のものである。従って、積層セラミックコンデンサ10Aと同一の部分には同一の符号を付してその説明は省略する。
なお、第3の内部電極層16cの第2の延長部34aと第2の内部電極層16bが対向するそれぞれの面の最短距離(すなわち、第3の内部電極層16cの第2の延長部34aと第2の内部電極層16bとの間の誘電体層14の厚み)は、第3の内部電極層16cおよび第4の内部電極層16dが配置されている誘電体層14の厚みと同等もしくはそれ以上であることが好ましい。これにより、第3の内部電極層16cの第2の延長部34aの第2の端面12f側の辺への過度な電界集中を避けることができるため、本発明の効果を確実に発現させることができる。
なお、第4の内部電極層16dの第4の延長部34bと第1の内部電極層16aが対向するそれぞれの面の最短距離(すなわち、第4の内部電極層16dの第4の延長部34bと第1の内部電極層16aとの間の誘電体層14の厚み)は、第3の内部電極層16cおよび第4の内部電極層16dが配置されている誘電体層14の厚みと同等もしくはそれ以上であることが好ましい。これにより、第4の内部電極層16dの第4の延長部34bの第1の端面12e側の辺への過度な電界集中を避けることができるため、本発明の効果を確実に発現させることができる。
同様に、第3の内部電極層16cが、第2の側面12d側に第3の引出電極部30aに引き出され、第4の内部電極層16dも、第2の側面12d側に第4の引出電極部30bにより引き出されるように構成されてもよい。この場合、第3の外部電極24cおよび第4の外部電極24dは、第2の側面12d側にのみ形成されるようにしてもよい。
本発明の第3の実施の形態に係る積層セラミックコンデンサ10Cについて説明する。図9は、本発明の第3の実施の形態に係る積層セラミックコンデンサの一例を示す図2に対応する断面図である。図10は、図9の線X-Xにおける断面図である。
第3の実施の形態に係る積層セラミックコンデンサ10Cは、積層体12の内部における内部電極層16の配置の態様が異なることを除き、図1に示した第1の実施の形態の積層セラミックコンデンサ10Aの構造と同様のものである。従って、積層セラミックコンデンサ10Aと同一の部分には同一の符号を付してその説明は省略する。
同様に、第3の内部電極層16cが、第2の側面12d側に第3の引出電極部30aに引き出され、第4の内部電極層16dも、第2の側面12d側に第4の引出電極部30bにより引き出されるように構成されてもよい。この場合、第3の外部電極24cおよび第4の外部電極24dは、第2の側面12d側にのみ形成されるようにしてもよい。
次に、上記した積層セラミックコンデンサの実装構造40について、特に、たとえば図11を参照しながら、詳細に説明する。図11は、本発明の実施の形態にかかる積層セラミックコンデンサの実装構造を示す平面図である。
第1の回路パターン50、第2の回路パターン52、第3の回路パターン54および第4の回路パターン56の材料としては、CuやAg、Al、Auなどの導体材料が用いられる。
これにより、本発明の積層セラミックコンデンサ10Aは、第1の内部電極層16aおよび第2の内部電極層16bに印加する電位と、第3の内部電極層16cおよび第4の内部電極層16dに印加する電位、を異ならせて用いることが可能となるため、第3の内部電極層16cおよび第4の内部電極層16dに異なる電位を印加することで、積層体12の端面に引き出されない側の内部電極層の先端部に集中する電界を緩和することが可能となる。
また、図11に示す積層セラミックコンデンサの実装構造40では、積層セラミックコンデンサ10B,10Cも実装することができる。
次に、本発明にかかる積層セラミックコンデンサの製造方法について説明する。
第3の外部電極24cおよび第4の外部電極24dを形成するために、たとえば、積層体の表面に第1の側面から露出している第3の内部電極層の第3の引出電極部の露出部分にガラス成分と金属とを含む外部電極用の導電性ペーストが塗布されて焼き付けられ、第3の下地電極層が形成される。また、同様に、外部電極の焼付け層を形成するために、たとえば、積層体の第2の側面から露出している第4の内部電極層の第4の引出電極部の露出部分にガラス成分と金属とを含む外部電極用導電性ペーストが塗布されて焼き付けられ、第4の下地電極層が形成される。このとき、焼き付け処理の温度は、700℃以上900℃以下であることが好ましい。
ここで、焼き付け層の形成方法としては、様々な方法を用いることができる。
例えば、導電性ペーストをスリットから押し出して塗布する工法を用いることができる。この工法の場合、導電性ペーストの押し出し量を多くすることで、折返し部の長さを長くすることができる。
他には、ローラー転写法を用いることができる。ローラー転写法の場合、折返し部の長さは、ローラー転写の際の押し付け圧力を強くすることで長くすることができる。
なお、下地電極層を導電性樹脂層で形成する場合は、以下の方法で導電性樹脂層を形成することができる。なお、導電性樹脂層は、焼付け層の表面に形成されてもよく、焼付け層を形成せずに導電性樹脂層を単体で積層体上に直接形成してもよい。
導電性樹脂層の形成方法としては、熱硬化性樹脂および金属成分を含む導電性樹脂ペーストを焼き付け層上もしくは積層体上に塗布し、250以上550℃以下の温度で熱処理を行い、樹脂を熱硬化させ、導電性樹脂層を形成する。この時の熱処理時の雰囲気は、N2雰囲気であることが好ましい。また、樹脂の飛散を防ぎ、かつ、各種金属成分の酸化を防ぐため、酸素濃度は100ppm以下に抑えることが好ましい。
この時の導電性樹脂ペーストの塗布方法としては、上記で記載した導電性樹脂ペーストをスリットから押し出して塗布する工法や、ローラー転写法を用いることができる。
下地電極層を薄膜層で形成する場合は、スパッタ法または蒸着法等の薄膜形成法により下地電極層を形成することができる。薄膜層で形成された下地電極層は金属粒子が堆積された1μm以下の層とする。
積層体の第1の側面および第2の側面の第3の内部電極層および第4の内部電極層上にめっき処理を施し、内部電極層の露出部上に下地めっき膜を形成する。めっき処理を行うにあたっては、電解めっき、無電解めっきのどちらを採用してもよいが、無電解めっきはめっき析出速度を向上させるために、触媒などによる前処理が必要となり、工程が複雑化するというデメリットがある。したがって、通常は、電解めっきを採用することが好ましい。めっき工法としては、バレルめっきを用いることが好ましい。また、必要に応じて、下層めっき電極の表面に形成される上層めっき電極を同様に形成してもよい。ただし、第3の下地電極層および第4の下地電極層を第1の主面の一部、第2の主面の一部にまで形成する場合には、無電解めっきを用いる。
第1の外部電極24aおよび第2の外部電極24bの焼付け層を形成するために、たとえば、積層体の表面に第1の端面から露出している第1の内部電極層の第1の引出電極部の露出部分にガラス成分と金属とを含む外部電極用の導電性ペーストがディッピングなどの方法により塗布されて焼き付けられ、第1の下地電極層が形成される。また、同様に、外部電極の焼付け層を形成するために、たとえば、積層体の第2の端面から露出している第2の内部電極層の第2の引出電極部の露出部分にガラス成分と金属とを含む外部電極用導電性ペーストがディッピングなどの方法により外部電極用の導電性ペーストが塗布されて焼き付けられ、第2の下地電極層が形成される。このとき、焼き付け処理の温度は、700℃以上900℃以下であることが好ましい。
なお、導電性樹脂層は、焼付け層の表面に形成されてもよく、焼付け層を形成せずに、導電性樹脂層を単体で積層体の表面に直接形成してもよい。
導電性樹脂層の形成方法としては、熱硬化性樹脂および金属成分を含む導電性樹脂ペーストを焼付け層もしくは積層体の表面に塗布し、250℃以上550℃以下の温度で熱処理を行い、樹脂を熱硬化させ、導電性樹脂層が形成される。この時の熱処理時の雰囲気は、N2雰囲気であることが好ましい。また、樹脂の飛散を防ぎ、かつ、各種金属成分の酸化を防ぐため、酸素濃度は100ppm以下に抑えることが好ましい。
下地電極層が薄膜層で形成する場合は、スパッタ法または蒸着法等の薄膜形成法により下地電極層を形成することができる。薄膜層で形成された下地電極層は金属粒子が堆積された1μm以下の層とされる。
積層体の第1の端面および第2の端面にめっき処理を施し、内部電極層の露出部上に下地めっき電極を形成する。めっき処理を行うにあたっては、電解めっき、無電解めっきのどちらを採用してもよいが、無電解めっきはめっき析出速度を向上させるために、触媒などによる前処理が必要となり、工程が複雑化するデメリットがある。したがって、通常は、電解めっきを採用することが好ましい。めっき工法としては、バレルめっきを用いることが好ましい。また、必要に応じて、下層めっき電極の表面に上層めっき電極を同様に形成してもよい。
各積層セラミックコンデンサは、焼付け層の表面にめっき層として、Niめっき層およびSnめっき層が形成される。Niめっき層およびSnめっき層は、たとえばバレルめっき法により、順次形成される。
次に、上述した本発明にかかる積層セラミックコンデンサおよび積層セラミックコンデンサの実装構造の効果を確認するための実験を行った。
まず、上述した積層セラミックコンデンサの製造方法にしたがって、以下のような仕様の実施例にかかる積層セラミックコンデンサを作製した。
・積層セラミックコンデンサのサイズL×W×T(設計値を含む):5.7mm×5.0mm×1.5mm
・容量:表1を参照
・誘電体層の材料:BaTiO3
・誘電体層の厚み:表1を参照
・内部電極層の材料:Ni
・内部電極層の厚み:表1を参照
・外部電極の構造
下地電極層:導電性金属(Cu)とガラス成分を含む電極
めっき層:Niめっき層とSnめっき層の2層構造
また、実験に用いた積層セラミックコンデンサの実装構造において、実装される第1の抵抗素子の抵抗は、800Ωとし、第2の抵抗素子の抵抗は、200Ωとした。したがって、第3の回路パターンに印加される電圧と第4の回路パターンに印加される電圧の比は、4:1である。
また、実験に用いた積層セラミックコンデンサの実装構造において、実装される第1の抵抗素子の抵抗は、500Ωとし、第2の抵抗素子の抵抗は、500Ωとした。したがって、第3の回路パターンに印加される電圧と第4の回路パターンに印加される電圧の比は、1:1である。
また、実験に用いた積層セラミックコンデンサの実装構造において、実装される第1の抵抗素子の抵抗は、650Ωとし、第2の抵抗素子の抵抗は、350Ωとした。したがって、第3の回路パターンに印加される電圧と第4の回路パターンに印加される電圧の比は、13:7である。
比較例1に用いた積層セラミックコンデンサは、図12に示す積層セラミックコンデンサとし、比較例2に用いた積層セラミックコンデンサは、図13に示す積層セラミックコンデンサとした。また、それ以外の仕様は、実施例と同様の以下のような仕様とした。
・積層セラミックコンデンサのサイズL×W×T(設計値を含む):5.7mm×5.0mm×1.5mm
・容量:表1を参照
・誘電体層の材料:BaTiO3
・誘電体層の厚み:表1を参照
・内部電極層の材料:Ni
・内部電極層の厚み:表1を参照
・外部電極の構造
下地電極層:導電性金属(Cu)とガラス成分を含む電極
めっき層:Niめっき層とSnめっき層の2層構造
積層セラミックコンデンサの静電容量は、LCRメーター(自動平衡ブリッジ方式)を使用して、温度が25℃、交流電界が1.0Vr.m.s、および測定周波数が1kHzの条件で測定し、30個の平均値を静電容量とした。
試料となる積層セラミックコンデンサの容量を有効部体積で割ることで算出した。
BDVの測定方法は、以下の順序で行った。
(i)試料となる積層セラミックコンデンサを、図11に示す回路パターン上に所定の2種類の抵抗素子と共に1個実装した。なお、比較例1および比較例2での実装構造では、第1の抵抗素子および第2の抵抗素子は用いていない。
(ii)第1の回路パターンに常温/常圧かつ大気中下で0.2kV/sの一定速度で直流電圧を昇圧印加する。第2の回路パターンは、グラウンドのため0Vである。
(iii)試料となる積層セラミックコンデンサにショートが発生した電圧をBDVとする。
(iv)上記の(i)~(iii)を30回繰り返し行い、得られた平均値を平均BDVとした。
容量密度とBDVの掛け算で算出し、その値によって評価を行った。すなわち、積層セラミックコンデンサとしての性能は、容量密度およびBDVは、いずれも高い方が、性能が高くなることから、容量密度×BDVの値によって、評価を行った。
対シリーズ構造比については、得られた各構造の容量密度×BDVについて比較例2との比を算出した。
以上のことから、本発明では、シリーズ構造よりも、容量密度の向上と高い絶縁破壊電圧を有しうる積層セラミックコンデンサを提供しうることが認められた。
すなわち、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施の形態に対し、機序、形状、材質、数量、位置又は配置等に関して、様々の変更を加えることができるものであり、それらは、本発明に含まれるものである。
12 積層体
12a 第1の主面
12b 第2の主面
12c 第1の側面
12d 第2の側面
12e 第1の端面
12f 第2の端面
14 誘電体層
15a 内層部
15b,15c 外層部
16 内部電極層
16a 第1の内部電極層
16b 第2の内部電極層
16c 第3の内部電極層
16d 第4の内部電極層
18a 第1の対向電極部
18b 第2の対向電極部
20a 第1の引出電極部
20b 第2の引出電極部
22a,22b 側部(Wギャップ)
22c,22d 端部(Lギャップ)
24 外部電極
24a 第1の外部電極
24b 第2の外部電極
24c 第3の外部電極
24d 第4の外部電極
26a 第1の下地電極層
26b 第2の下地電極層
26c 第3の下地電極層
26d 第4の下地電極層
28a 第1のめっき層
28b 第2のめっき層
28c 第3のめっき層
28d 第4のめっき層
30a 第3の引出電極部
32a 第1の延長部
34a 第2の延長部
30b 第4の引出電極部
32b 第3の延長部
34b 第4の延長部
40 積層セラミックコンデンサの実装構造
42 実装基板
44 基板本体
46 実装面
50 第1の回路パターン
52 第2の回路パターン
54 第3の回路パターン
56 第4の回路パターン
60a 一方の第1の抵抗素子
60b 他方の第1の抵抗素子
62a 一方の第2の抵抗素子
62b 他方の第2の抵抗素子
x 積層方向
y 幅方向
z 長さ方向
Claims (5)
- 積層された複数の誘電体層と積層された複数の内部電極層とを含み、積層方向に互いに対向する第1の主面および第2の主面と、積層方向に直交する幅方向に互いに対向する第1の側面および第2の側面と、積層方向および幅方向に直行する長さ方向に互いに対向する第1の端面および第2の端面と、を有する積層体と、
前記積層体上に配置される外部電極を有する積層セラミックコンデンサであって、
前記外部電極は、前記第1の端面上に配置される第1の外部電極と、前記第2の端面上に配置される第2の外部電極と、少なくとも前記第1の側面または前記第2の側面のいずれかの面に配置される第3の外部電極および第4の外部電極とを有し、
前記内部電極層は、前記誘電体層上に配置され、前記第1の外部電極に接続される第1の内部電極層と、前記第2の外部電極に接続される第2の内部電極層と、前記第3の外部電極に接続される第3の内部電極層と、前記第4の外部電極に接続される第4の内部電極層とを有し、
前記第1の内部電極層は、前記第2の内部電極層と対向する第1の対向電極部と、前記第1の端面に引き出される第1の引出電極部を有し、
前記第2の内部電極層は、前記第1の内部電極層と対向する第2の対向電極部と、前記第2の端面に引き出される第2の引出電極部を有し、
前記第3の内部電極層は、前記第1の内部電極層とは離れて配置され、前記第1の内部電極層の第1の対向電極部の先端付近かつ積層方向に隣接する前記第2の内部電極層の第2の引出電極部との間に位置し、
前記第4の内部電極層は、前記第2の内部電極層とは離れて配置され、前記第2の内部電極層の第2の対向電極部の先端付近かつ積層方向に隣接する前記第1の内部電極層の第1の引出電極部との間に位置し、
前記第3の内部電極層は、前記第1の側面および前記第2の側面を結ぶ幅方向に延びる前記第1の側面に引き出される第3の引出電極部と、前記第3の引出電極部に接続され、前記第1の端面および前記第2の端面を結ぶ長さ方向に延びる第1の延長部と、前記第1の延長部に接続され、前記第1の側面および前記第2の側面を結ぶ幅方向に延びる第2の延長部とを有し、
前記第4の内部電極層は、前記第1の側面および前記第2の側面を結ぶ幅方向に延びる前記第2の側面に引き出される第4の引出電極部と、前記第4の引出電極部に接続され、前記第1の端面および前記第2の端面を結ぶ長さ方向に延びる第3の延長部と、前記第3の延長部に接続され、前記第1の側面および前記第2の側面を結ぶ幅方向に延びる第4の延長部とを有し、
前記第3の内部電極層の前記第2の延長部の前記第1の端面側の辺と、前記第1の内部電極層の前記第1の対向電極部の前記第2の端面側の端部の辺との間隔は、5μm以上100μm以下であり、
前記第4の内部電極層の前記第4の延長部の前記第2の端面側の辺と、前記第2の内部電極層の前記第2の対向電極部の前記第1の端面側の端部の辺との間隔は、5μm以上100μm以下である、
積層セラミックコンデンサを、
前記第1の内部電極層および前記第2の内部電極層に印加される電圧>前記第3の内部電極層および前記第4の内部電極層に印加される電圧、かつ、
前記第3の内部電極層および前記第4の内部電極層に印加される電位は、前記第1の内部電極層および前記第2の内部電極層に印加される電位の一方の電位よりは高く、他方の電位よりは低く、
なるように、前記第1の内部電極層および前記第2の内部電極層に印加する電位と、前記第3の内部電極層および前記第4の内部電極層に印加する電位を異ならせて用いる、
ことを特徴とする積層セラミックコンデンサの使用方法。 - 前記第3の内部電極層は、前記第1の内部電極層が配置される誘電体層と同じ誘電体層上に位置しており、前記第4の内部電極層は、前記第2の内部電極層が配置される誘電体層と同じ誘電体層上に位置している、請求項1に記載の積層セラミックコンデンサの使用方法。
- 前記第3の内部電極層は、前記第1の内部電極層が配置される誘電体層とは異なる誘電体層上に位置しており、前記第4の内部電極層は、前記第2の内部電極層が配置される誘電体層とは異なる誘電体層上に位置している、請求項1に記載の積層セラミックコンデンサの使用方法。
- 前記第3の内部電極層は、前記第1の内部電極層が配置される誘電体層とは異なる誘電体層上に位置し、前記第1の内部電極層の第1の対向電極部の先端とオーバーラップするように位置され、前記第4の内部電極層は、前記第2の内部電極層が配置される誘電体層とは異なる誘電体層上に位置し、
前記第2の内部電極層の第2の対向電極部の先端とオーバーラップするように位置される、請求項1に記載の積層セラミックコンデンサの使用方法。 - 高電位が印加される第1の回路パターンと、接地された第2の回路パターンと、前記第1の回路パターンと前記第2の回路パターンとの間に並置される第3の回路パターンおよび第4の回路パターンとを表面に設けた回路基板と、
表面実装型の2つの第1の抵抗素子および表面実装型の2つの第2の抵抗素子と、
前記回路基板に実装される積層セラミックコンデンサと、を含み、
前記積層セラミックコンデンサは、
積層された複数の誘電体層と積層された複数の内部電極層とを含み、積層方向に互いに対向する第1の主面および第2の主面と、積層方向に直交する幅方向に互いに対向する第1の側面および第2の側面と、積層方向および幅方向に直行する長さ方向に互いに対向する第1の端面および第2の端面と、を有する積層体と、
前記積層体上に配置される外部電極を有する積層セラミックコンデンサであって、
前記外部電極は、前記第1の端面上に配置される第1の外部電極と、前記第2の端面上に配置される第2の外部電極と、少なくとも前記第1の側面または前記第2の側面のいずれかの面に配置される第3の外部電極および第4の外部電極とを有し、
前記内部電極層は、前記誘電体層上に配置され、前記第1の外部電極に接続される第1の内部電極層と、前記第2の外部電極に接続される第2の内部電極層と、前記第3の外部電極に接続される第3の内部電極層と、前記第4の外部電極に接続される第4の内部電極層とを有し、
前記第1の内部電極層は、前記第2の内部電極層と対向する第1の対向電極部と、前記第1の端面に引き出される第1の引出電極部を有し、
前記第2の内部電極層は、前記第1の内部電極層と対向する第2の対向電極部と、前記第2の端面に引き出される第2の引出電極部を有し、
前記第3の内部電極層は、前記第1の内部電極層とは離れて配置され、前記第1の内部電極層の第1の対向電極部の先端付近かつ積層方向に隣接する前記第2の内部電極層の第2の引出電極部との間に位置し、
前記第4の内部電極層は、前記第2の内部電極層とは離れて配置され、前記第2の内部電極層の第2の対向電極部の先端付近かつ積層方向に隣接する前記第1の内部電極層の第1の引出電極部との間に位置し、
前記第3の内部電極層は、前記第1の側面および前記第2の側面を結ぶ幅方向に延びる前記第1の側面に引き出される第3の引出電極部と、前記第3の引出電極部に接続され、前記第1の端面および前記第2の端面を結ぶ長さ方向に延びる第1の延長部と、前記第1の延長部に接続され、前記第1の側面および前記第2の側面を結ぶ幅方向に延びる第2の延長部とを有し、
前記第4の内部電極層は、前記第1の側面および前記第2の側面を結ぶ幅方向に延びる前記第2の側面に引き出される第4の引出電極部と、前記第4の引出電極部に接続され、前記第1の端面および前記第2の端面を結ぶ長さ方向に延びる第3の延長部と、前記第3の延長部に接続され、前記第1の側面および前記第2の側面を結ぶ幅方向に延びる第4の延長部とを有し、
前記第3の内部電極層の前記第2の延長部の前記第1の端面側の辺と、前記第1の内部電極層の前記第1の対向電極部の前記第2の端面側の端部の辺との間隔は、5μm以上100μm以下であり、
前記第4の内部電極層の前記第4の延長部の前記第2の端面側の辺と、前記第2の内部電極層の前記第2の対向電極部の前記第1の端面側の端部の辺との間隔は、5μm以上100μm以下であり、
一方の前記第1の抵抗素子は、前記第1の回路パターンと前記第1の回路パターンに隣接する前記第4の回路パターンとの間に接続されると共に、他方の前記第1の抵抗素子は、前記第2の回路パターンと前記第2の回路パターンに隣接する前記第3の回路パターンとの間に接続され、
一方の前記第2の抵抗素子は、前記第2の回路パターンと前記第4の回路パターンとの間に接続されると共に、他方の前記第2の抵抗素子は、前記第1の回路パターンと前記第3の回路パターンとの間に接続され、
前記積層セラミックコンデンサは、前記第1の外部電極が前記第1の回路パターンに接続され、前記第2の外部電極が前記第2の回路パターンに接続され、前記第3の外部電極が前記第3の回路パターンに接続され、前記第4の外部電極が前記第4の回路パターンに接続され、
前記第1の回路パターンに印加された電圧が、前記第1の抵抗素子および前記第2の抵抗素子によって分圧されて、前記第3の回路パターンおよび前記第4の回路パターンに電圧が印加されるように構成されていること、を特徴とする積層セラミックコンデンサの実装方法。
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