JP7194392B2 - 高分子化合物、高分子化合物を含む有機半導体材料、および有機半導体材料を含む有機電子デバイス - Google Patents

高分子化合物、高分子化合物を含む有機半導体材料、および有機半導体材料を含む有機電子デバイス Download PDF

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Description

特許法第30条第2項適用 (1)平成29年12月1日に、「http://mgec.main.jp/mgec44/pdf/index.html」で公開された第44回有機典型元素化学討論会の要旨集において発表 (2)平成29年12月7日に、第44回有機典型元素化学討論会実行委員会発行の「第44回有機典型元素化学討論会の要旨集」において発表 (3)平成29年12月9日に、第44回有機典型元素化学討論会実行委員会主催の「第44回有機典型元素化学討論会」において発表 (4)平成30年3月6日に、公益社団法人日本化学会発行の「日本化学会第98春季年会(2018)予稿集」において発表
本発明は、高分子化合物、該高分子化合物を含む有機半導体材料、および該有機半導体材料を含む有機電子デバイスに関する。
有機半導体材料は、有機エレクトロニクス分野において重要な材料の1つであり、電子供与性のp型有機半導体材料や電子受容性のn型有機半導体材料に分類できる。p型有機半導体材料やn型有機半導体材料を適切に組み合わせることによって様々な半導体素子を製造でき、このような半導体素子は、例えば、電子と正孔が再結合して形成する励起子(エキシトン)の作用により発光する有機エレクトロルミネッセンスや、光を電力に変換する有機薄膜太陽電池、電流量や電圧量を制御する有機薄膜トランジスタなどの有機電子デバイスに応用されている。
有機半導体材料の中でも、アクセプター性ユニットとドナー性ユニットとを含むドナー-アクセプター型半導体高分子化合物は、ユニット間での電荷移動がπ共役鎖を介して主鎖全体に広がる結果、より長波長の光を吸収できるため、光の吸収効率を高めることが可能になることが知られている。ドナー-アクセプター型半導体高分子化合物は、アクセプター性ユニットが電子受容性、ドナー性ユニットが電子供与性を有しており、安定性の観点からHOMO準位を高く、LUMO準位を低くすることが求められている。
本発明者らは、有機半導体材料としてテトラゾロピリジン化合物を用いる技術を特許文献1に提案した。この特許文献1に開示した化合物は、テトラゾロピリジン部に、置換されていてもよい芳香族環、またはハロゲン原子が結合しており、水素原子、脂肪族炭化水素基、または脂環式炭化水素基が結合していてもよい。この化合物を用いれば、LUMO準位を低く維持したままHOMO準位を高くすることができるため、この化合物は有機半導体材料として有用である。
国際公開第2016/143823号パンフレット
上記特許文献1に提案した化合物から導かれる構造単位は、電子受容性であり、拡張π共役系でのアクセプター性ユニットとしての機能が期待できる。そのため、ドナー性ユニットと組み合わせてドナー-アクセプター型半導体高分子化合物として用いることができる。しかし、上記特許文献1においては、上記化合物から導かれる構造単位をドナー性ユニットとして用いることは検討されていなかった。
本発明の目的は、有機半導体材料として好ましく用いることができる高分子化合物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、上記高分子化合物を含む有機半導体材料を提供することにある。また、本発明の他の目的は、上記有機半導体材料を含む有機電子デバイスを提供することにある。
本発明は、以下の発明を含む。
[1] テトラゾロピリジンを含むドナー性ユニットと、下記式(Ac-1)~式(Ac-6)で表されるアクセプター性ユニットとを繰り返し単位として有する高分子化合物。
Figure 0007194392000001

[式(Ac-1)~式(Ac-6)中、R1は、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基を表す。*は、結合手を表す。]
[2] 前記ドナー性ユニットは、下記式(I)または式(II)で表わされる[1]に記載の高分子化合物。
Figure 0007194392000002

[式(I)中、R2は、脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基を表し、mは、0~2の整数を表す。
1は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族環を表し、nは、1~5の整数を表す。
式(II)中、Y1およびY2は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を1個以上含む5員または6員の複素環を表す。]
[3] 前記ドナー性ユニットと、前記アクセプター性ユニットとが交互に配置されている[1]または[2]に記載の高分子化合物。
[4] 数平均分子量が2000以上、300000以下である[1]~[3]のいずれかに記載の高分子化合物。
[5] [1]~[4]のいずれかに記載の高分子化合物を含む有機半導体材料。
[6] n型有機半導体材料である[5]に記載の有機半導体材料。
[7] [5]または[6]に記載の有機半導体材料を含む有機電子デバイス。
本発明の高分子化合物は、テトラゾロピリジンを含むドナー性ユニットと、特定の構造を有するアクセプター性ユニットとを繰り返し単位として有している。その結果、本発明の高分子化合物は、HOMO準位を低く維持したままLUMO準位を引き下げることができ、熱的安定性が良好であるため、有機半導体材料として有用である。
図1は、120℃でアニールを行った後における高分子化合物Aのトランスファー曲線の結果を示すグラフである。 図2は、120℃でアニールを行った後における高分子化合物Bのトランスファー曲線の結果を示すグラフである。 図3は、120℃でアニールを行った後における高分子化合物Cのトランスファー曲線の結果を示すグラフである。
本発明者らは、有機半導体材料として用いることができる新規の高分子化合物を提供するために、鋭意検討を重ねた。その結果、テトラゾロピリジンを含むドナー性ユニットと、特定の構造を有するアクセプター性ユニットとを繰り返し単位とする高分子化合物は、有機半導体材料として有用であることを見出し、本発明を完成した。
1.高分子化合物
本発明の高分子化合物は、テトラゾロピリジンを含むドナー性ユニットと、下記式(Ac-1)~式(Ac-6)で表されるアクセプター性ユニットとを繰り返し単位として有するところに特徴がある。なお、以下、「式(x)で表されるユニット」を、単に「ユニット(x)」という場合がある。また、「式(x)で表される化合物」を、単に「化合物(x)」という場合がある。
Figure 0007194392000003
[式(Ac-1)~式(Ac-6)中、R1は、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基を表す。*は、結合手を表す。]
[アクセプター性ユニット]
上記アクセプター性ユニットは、電子受容性の構造単位を意味しており、上記式(Ac-1)または式(Ac-2)で表されるユニットが好ましく、上記式(Ac-1)で表されるユニットがより好ましい。
1のアルキル基は、直鎖状または分岐鎖状のいずれであってもよい。
1のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、1-n-ブチルブチル基、1-n-プロピルペンチル基、1-エチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、3-エチルヘキシル基、4-エチルヘキシル基、1-メチルヘプチル基、2-メチルヘプチル基、6-メチルヘプチル基、2,4,4-トリメチルペンチル基、2,5-ジメチルヘキシル基、n-ノニル基、1-n-プロピルヘキシル基、2-n-プロピルヘキシル基、1-エチルヘプチル基、2-エチルヘプチル基、1-メチルオクチル基、2-メチルオクチル基、6-メチルオクチル基、2,3,3,4-テトラメチルペンチル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基、n-デシル基、1-n-ペンチルペンチル基、1-n-ブチルヘキシル基、2-n-ブチルヘキシル基、1-n-プロピルヘプチル基、1-エチルオクチル基、2-エチルオクチル基、1-メチルノニル基、2-メチルノニル基、3,7-ジメチルオクチル基、n-ウンデシル基、1-n-ブチルヘプチル基、2-n-ブチルヘプチル基、1-n-プロピルオクチル基、2-n-プロピルオクチル基、1-エチルノニル基、2-エチルノニル基、n-ドデシル基、1-n-ペンチルヘプチル基、2-n-ペンチルヘプチル基、1-n-ブチルオクチル基、2-n-ブチルオクチル基、1-n-プロピルノニル基、2-n-プロピルノニル基、n-トリデシル基、1-n-ペンチルオクチル基、2-n-ペンチルオクチル基、1-n-ブチルノニル基、2-n-ブチルノニル基、1-メチルデシル基、2-メチルデシル基、n-テトラデシル基、1-n-ヘプチルヘプチル基、1-n-ヘキシルオクチル基、2-n-ヘキシルオクチル基、1-n-ペンチルノニル基、2-n-ペンチルノニル基、n-ペンタデシル基、1-n-ヘプチルオクチル基、1-n-ヘキシルノニル基、2-n-ヘキシルノニル基、n-ヘキサデシル基、2-ヘキシルデシル基、1-n-オクチルオクチル基、1-n-ヘプチルノニル基、2-n-ヘプチルノニル基、n-ヘプタデシル基、1-n-オクチルノニル基、n-オクタデシル基、1-n-ノニルノニル基、n-ノナデシル基、n-エイコシル基、2-オクチルドデシル基、n-ヘンエイコシル基、n-ドコシル基、n-トリコシル基、n-テトラコシル基、2-デシルテトラデシル基等が挙げられる。
1のアルキル基の炭素数は、1~30が好ましく、より好ましくは1~24、更に好ましくは炭素数1~20である。
[ドナー性ユニット]
上記ドナー性ユニットは、電子供与性の構造単位を意味しており、テトラゾロピリジンを含む。上記テトラゾロピリジンは、下記式で表わされる。
Figure 0007194392000004
上記テトラゾロピリジンを含むことによって、HOMO準位を低く維持したままLUMO準位を引き下げることができ、安定性が良好になるとともに、熱安定性も向上し、さらには種々の官能基を付加することも容易になる。また、拡張π共役系でドナー性を示すため、このドナー性ユニットと、上記アクセプター性ユニットとを繰り返し単位として有する高分子化合物は、有機半導体材料(ドナー-アクセプター型有機半導体材料)として優れたものとなる。
上記テトラゾリピリジンを含むドナー性ユニットとしては、例えば、下記式(I)または式(II)で表わされるユニットが挙げられる。
Figure 0007194392000005
[式(I)中、R2は、脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基を表し、mは、0~2の整数を表す。A1は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族環を表し、nは、1~5の整数を表す。式(II)中、Y1およびY2は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を1個以上含む5員または6員の複素環を表す。]
[式(I)]
上記式(I)中、R2の脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基の炭素数は、1~30が好ましい。
(脂肪族炭化水素基)
2の脂肪族炭化水素基は、直鎖状または分岐鎖状のいずれであってもよい。
2の脂肪族炭化水素基は、アルキル基、或いはアルケニル基およびアルキニル基等の不飽和脂肪族炭化水素基のいずれでもよく、アルキル基が好ましい。
2のアルキル基としては、例えば、R1のアルキル基として例示したアルキル基と同様の基が挙げられる。
2の脂肪族炭化水素基の炭素数は、1~24がより好ましく、更に好ましくは炭素数1~20である。
(脂環式炭化水素基)
2の脂環式炭化水素基は、単環または多環のいずれであってもよい。
2の脂環式炭化水素基は、シクロアルキル基、或いはシクロアルケニル基、シクロアルキニル基等の不飽和脂環式炭化水素基のいずれであってもよく、シクロアルキル基が好ましい。
2の脂環式炭化水素基としては、具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基等の単環式のシクロアルキル基;ビシクロヘキシル基、ビシクロヘプチル基、ビシクロオクチル基等の多環式のシクロアルキル基;等が挙げられる。
2の脂環式炭化水素基の炭素数は、3~20がより好ましく、更に好ましくは炭素数3~14である。
上記式(I)中、mは、0または1が好ましく、0がより好ましい。
上記式(I)中、A1の芳香族環は、それぞれ独立に、芳香族炭化水素環、芳香族複素環のいずれでもよい。
(芳香族炭化水素環)
上記芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環等が挙げられ、これらの中でも、ベンゼン環が好ましい。
(芳香族複素環)
上記芳香族複素環としては、例えば、下記式で表される芳香族複素環が挙げられ、これらの中でも、チオフェン環、チアゾール環、ピリジン環、ピロール環、イミダゾール環、フラン環、オキサゾール環等が好ましい。
Figure 0007194392000006
Figure 0007194392000007
Figure 0007194392000008
Figure 0007194392000009
Figure 0007194392000010
1の芳香族環は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子で置換されていることが好ましく、これらの中でも、フッ素原子で置換されていることがより好ましい。
上記ハロゲン原子の置換数は1または2が好ましい。
1の芳香族環は、ハロゲン原子以外の置換基を有していてもよい。
上記ハロゲン原子以外の置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基等が挙げられる。
上記アルキル基としては、例えば、R1のアルキル基として例示したアルキル基と同様の基が挙げられる。該アルキル基の炭素数は1~30が好ましく、1~24がより好ましい。
上記アルコキシ基としては、例えば、上記アルキル基に-O-が結合した基が挙げられる。該アルコキシ基の炭素数は1~30が好ましく、1~24がより好ましい。
上記ハロゲン化アルキル基としては、例えば、上記アルキル基の水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)で置換された基が挙げられる。該ハロゲン化アルキル基の炭素数は1~30が好ましく、1~10がより好ましく、1~4がさらに好ましい。上記ハロゲン化アルキル基としては、具体的には、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基等のペルフルオロアルキル基等が挙げられ、トリフルオロメチル基が特に好ましい。
上記A1の芳香族環のうち、芳香族炭化水素環は、2位または5位でテトラゾロピリジンのピリジン環と結合していることが好ましく、芳香族複素環は、2位でテトラゾロピリジンのピリジン環と結合していることが好ましい。
上記式(I)中のA1は、それぞれ異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
上記式(I)中、nは、好ましくは2または3である。
上記A1の芳香族環としては、下記式(Ar1)~(Ar8)で表される芳香族環が好ましい。
Figure 0007194392000011
[式(Ar1)~(Ar8)中、R3は、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン化アルキル基を表す。R4は、水素原子またはアルキル基を表す。p1は0~2の整数、p2は0~1の整数、p3は0~4の整数、p4は0~3の整数を表す。]
上記R3のハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、これらの中でも、フッ素原子が好ましい。
上記R3のアルキル基、上記R4のアルキル基としては、上記R1のアルキル基として例示したアルキル基とそれぞれ同様である。Rとしてはアルコキシ基、ハロゲン化アルキル基が好ましい。
上記R3のアルコキシ基、ハロゲン化アルキル基としては、上記A1の芳香族環が有していてもよい置換基として例示したアルコキシ基、ハロゲン化アルキル基とそれぞれ同様である。
上記A1の芳香族環としては、上記式(Ar1)~(Ar8)で表される芳香族環のなかでも、上記式(Ar1)~(Ar4)で表される芳香族環がより好ましく、下記式(Ar1-11)~(Ar4-11)で表される単位が更に好ましい。
Figure 0007194392000012
[式(Ar1-11)~(Ar4-11)中、R3、p1、p2、p3、p4は、それぞれ上記と同義である。*は結合手を表す。]
上記式(I)で表されるドナー性ユニットとしては、例えば、下記式(IA)で表されるユニットが挙げられる。
Figure 0007194392000013
式(IA)中、A10、A11は、上記A1と同義であり、n11は、それぞれ独立に、1~5の整数である。n11は、2または3が好ましい。
n11が2~5の整数の場合、それぞれのA10およびA11は、同じであっても良いし、異なっていても良い。
上記式(IA)で表されるユニットのうち、n11が1の場合は、下記表の組み合わせが好ましい。
Figure 0007194392000014
Figure 0007194392000015
上記表中、各式番号は、それぞれ、下記式(Ar1-1-1)~(Ar4-1-2)で表される構造を意味する。
Figure 0007194392000016
上記式(Ar1-1-1)~(Ar4-1-2)中、R5は、炭素数1~4のアルキル基を表す。該アルキル基としては、R1のアルキル基として例示したアルキル基と同様の基が挙げられる。*はテトラゾロピリジンユニットとの結合手を表す。
上記表に示したユニット(IA-1)~(IA-144)のなかでも、ユニット(IA-1)~(IA-48)がより好ましく、ユニット(IA-1)、(IA-14)、(IA-27)、(IA-40)が更に好ましい。
[式(II)]
1またはY2で表される複素環としては、下記式で表される複素環が挙げられる。これらの中でも、チオフェン環、チアゾール環、ピリジン環、ピロール環、イミダゾール環、フラン環、オキサゾール環が好ましい。なお、下記式中、R6は、水素原子、またはアルキル基を表す。R6のアルキル基としては、直鎖状アルキル基または分岐鎖状アルキル基のいずれでもよく、具体的には、R1のアルキル基として例示したアルキル基と同様の基が挙げられる。
Figure 0007194392000017
1またはY2で表される複素環は、置換基を有していなくともよく、置換基を有していてもよい。
置換基を有する場合、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;脂肪族炭化水素基;アルコキシ基;およびハロゲン化アルキル基から選ばれる1種以上で置換されていることが好ましい。
置換基の置換数は、Y1またはY2で表される各複素環につき1または2が好ましく、1がより好ましい。
(ハロゲン原子)
上記ハロゲン原子としては、例えば、臭素原子、ヨウ素原子がより好ましく、臭素原子が更に好ましい。
(脂肪族炭化水素基)
上記脂肪族炭化水素基は、鎖状であってもよく、環状であってもよい。鎖状の場合は、直鎖状または分岐鎖状のいずれであってもよい。
上記鎖状脂肪族炭化水素基は、アルキル基;或いはアルケニル基、アルキニル基等の不飽和鎖状脂肪族炭化水素基のいずれでもよく、アルキル基がより好ましい。
上記アルキル基としては、直鎖状アルキル基または分岐鎖状アルキル基のいずれでもよく、具体的には、R1のアルキル基として例示したアルキル基と同様の基が挙げられる。
上記鎖状脂肪族炭化水素基の炭素数は、1~30が好ましく、より好ましくは1~24、さらに好ましくは1~20である。
上記環状脂肪族炭化水素基(脂環式炭化水素基)は、単環、多環のいずれであってもよい。
上記脂環式炭化水素基は、シクロアルキル基;或いはシクロアルケニル基、シクロアルキニル基等の不飽和脂環式炭化水素基のいずれでもよく、シクロアルキル基がより好ましい。
上記脂環式炭化水素基としては、具体的には、R2の脂環式炭化水素基として例示した脂環式炭化水素基と同様の基が挙げられる。
上記脂環式炭化水素基の炭素数は、3~20が好ましく、より好ましくは炭素数3~14である。
(アルコキシ基)
上記アルコキシ基としては、上記アルキル基に-O-が結合した基が挙げられる。
上記アルコキシ基の炭素数は、1~30が好ましく、より好ましくは1~24である。
(ハロゲン化アルキル基)
上記ハロゲン化アルキル基としては、上記アルキル基の水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子(特に好ましくはフッ素原子)で置換された基が挙げられる。
上記ハロゲン化アルキル基としては、具体的には、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基等のペルフルオロアルキル基等が挙げられ、トリフルオロメチル基がより好ましい。
上記ハロゲン化アルキル基の炭素数は、1~30が好ましく、より好ましくは1~10、さらに好ましくは1~4である。
1またはY2で表される複素環としては、具体的には、下記式で表される芳香族環が好ましい。
Figure 0007194392000018
[式(Y1)~(Y8)中、R11は、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、またはハロゲン化アルキル基を表す。R12は、水素原子、またはアルキル基を表す。p11は0~2の整数、p12は0または1、p13は0~3の整数を表す。*a、*bの一方が式(II)における*1であり、他方が*2である。]
11で表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、臭素原子またはヨウ素原子がより好ましい。
11で表される脂肪族炭化水素基としては、Y1またはY2で表される複素環を置換していてもよい脂肪族炭化水素基と同様の基が挙げられる。
11で表される脂肪族炭化水素基の炭素数は、1~30が好ましく、より好ましくは1~24、さらに好ましくは1~20である。
11で表されるアルコキシ基としては、Y1またはY2で表される複素環を置換していてもよいアルコキシ基と同様の基が挙げられる。
11で表されるアルコキシ基の炭素数は、1~30が好ましく、より好ましくは1~24、さらに好ましくは1~20である。
11で表されるハロゲン化アルキル基としては、Y1またはY2で表される複素環を置換していてもよいハロゲン化アルキル基と同様の基が挙げられる。
11で表されるハロゲン化アルキル基の炭素数は、1~30が好ましく、より好ましくは1~10、さらに好ましくは1~4である。
12で表されるアルキル基としては、例えば、R1のアルキル基として例示したアルキル基と同様の基が挙げられる。
12で表されるアルキル基の炭素数は、1~30が好ましく、1~24がより好ましい。
上記式(II)中、Y1およびY2は、下記式(Y1-1)、(Y1-2)、(Y2-1)、(Y2-2)、(Y3-1)、(Y3-2)、(Y4-1)、(Y4-2)、(Y5-1)、(Y5-2)、(Y6-1)、(Y6-2)、(Y7-1)、(Y7-2)、(Y8-1)、または(Y8-2)で表される複素環が挙げられ、下記式(Y1-1)、(Y2-1)、(Y3-1)、(Y4-1)、(Y5-1)、(Y6-1)、(Y7-1)、または(Y8-1)で表される複素環がより好ましい。
1およびY2は、同一の複素環であっても、同一の複素環でなくともよく、同一の複素環が好ましい。下記式中、R11、R12、p11、p12、p13は上記と同義であり、*1および*2は、上記式(II)中の*1または*2に対応する。
Figure 0007194392000019
上記式(II)で表わされるユニットとしては、下記表の組み合わせが好ましく、ユニット(1-1)、(1-2)、(1-3)、(1-4)、(1-11)、(1-12)、(1-13)、(1-14)、(1-21)、(1-22)、(1-23)、(1-24)、(1-31)、(1-32)、(1-33)、(1-34)がより好ましく、ユニット(1-1)、(1-3)、(1-11)、(1-13)、(1-21)、(1-23)、(1-31)、(1-33)がさらに好ましい。
Figure 0007194392000020
上記式(II)で表わされるドナー性ユニットは、下記式(IIa)で表わされるユニットであってもよい。
Figure 0007194392000021
[式(IIa)中、Y1、Y2、A1は、上記と同義である。n10は、0または1を表す。]
n10は、0が好ましい。
[ドナー性ユニットとアクセプター性ユニット]
ドナー性ユニット(I)と、アクセプター性ユニットの組合せとしては、以下の組合せが好ましい。
Figure 0007194392000022
本発明の高分子化合物は、上記ドナー性ユニットと、上記アクセプター性ユニットとが交互に配置されていることが好ましい。
本発明の高分子化合物は、数平均分子量Mnが2000以上、300000以下が好ましい。数平均分子量Mnは、より好ましくは3000以上、更に好ましくは5000以上であり、より好ましくは100000以下、更に好ましくは50000以下である。
本発明の高分子化合物は、分子量分布(Mw/Mn)が1以上、3以下が好ましい。分子量分布(Mw/Mn)は、より好ましくは2以下である。
2.有機半導体材料および有機電子デバイス
本発明には、上記高分子化合物を含む有機半導体材料も含まれる。即ち、テトラゾロピリジンを含むドナー性ユニットは、熱的安定性が高く、電子供与性に優れているため、当該ドナー性ユニットと、上記式(Ac-1)~式(Ac-6)[特に、上記式(Ac-1)または式(Ac-2)]で表わされるアクセプター性ユニットとを繰り返し単位として有する高分子化合物は、HOMO準位を低く維持したままLUMO準位を引き下げることができ、安定性の観点からも有機半導体材料として有用である。
上記有機半導体材料は、n型有機半導体材料として好ましく用いることができる。
本発明には、上記有機半導体材料を含む有機電子デバイスも含まれる。即ち、上記有機半導体材料は、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子、有機薄膜トランジスタ素子、有機光電変換素子、太陽電池モジュール等の有機電子デバイスの素材として好適に用いることができる。
3.高分子化合物の製造方法
テトラゾロピリジンを含むドナー性ユニットと、下記式(Ac-1)~式(Ac-6)で表されるアクセプター性ユニットとを繰り返し単位として有する高分子化合物は、ホウ素またはスズ化した上記ドナー性ユニットと、ハロゲン化した上記アクセプター性ユニットとを、遷移金属触媒を用いたクロスカップリング反応をさせることによって製造できる。
Figure 0007194392000023
上記ドナー性ユニットが、下記式(I)または式(II)で表わされる場合の製造方法について、以下、具体的に説明する。
Figure 0007194392000024
[式(I)中、R2は、脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基を表し、mは、0~2の整数を表す。A1は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族環を表し、nは、1~5の整数を表す。式(II)中、Y1およびY2は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を1個以上含む5員または6員の複素環を表す。]
[ドナー性ユニットが上記式(I)の場合]
本発明の高分子化合物(X)は、下記式(1)で表される化合物と、下記式(5)で表される化合物とを反応させることによって製造できる。以下、化合物(1)と化合物(5)とを反応させる工程を「カップリング工程」という場合がある。
Figure 0007194392000025
[式中、R2、m、A1、nは、それぞれ上記と同義である。X1は、ハロゲン原子を表す。M1は、ホウ素原子またはスズ原子を表す。L1は、脂肪族炭化水素基、水酸基、アルコキシ基、またはアリールオキシ基を表す。k1は、2または3を表す。nxは、2以上の整数を表す。A6は、下記式(Ac-1)~式(Ac-6)で表されるアクセプター性ユニットを表す。
Figure 0007194392000026
[式(Ac-1)~式(Ac-6)中、R1は、上記と同義である。]
1のハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、臭素原子が好ましい。
1の脂肪族炭化水素基としては、R2の脂肪族炭化水素基として例示した基と同様の基が挙げられる。
1の脂肪族炭化水素基の炭素数は、1~6が好ましく、1~4がより好ましい。
1のアルコキシ基としては、A1の芳香族環が有していてもよい置換基として例示したアルコキシ基と同様の基が挙げられる。
1のアルコキシ基の炭素数は、1~6が好ましく、1~2がより好ましい。
1のアリールオキシ基としては、具体的には、フェニルオキシ基、ベンジルオキシ基、フェニレンビス(メチレンオキシ)基等が挙げられる。
1のアリールオキシ基の炭素数は、6~20が好ましく、6~10がより好ましい。
k1は、M1の種類に応じて2または3であり、M1がホウ素原子の場合は2、M1がスズ原子の場合は3である。
1がホウ素原子の場合、*-M1(L1k1としては、下記式(Om-1)~(Om-4)で表される基等が挙げられる。
下記式(Om-1)~(Om-4)中、R16は、水素原子または炭素数1~4のアルキル基(好ましくは水素原子)を表す。下記式中、*は結合手を表す。
Figure 0007194392000027
1がスズ原子の場合、*-M1(L1k1としては、下記式(Om-5)または(Om-6)で表される基等が挙げられる。下記式中、*は結合手を表す。
Figure 0007194392000028
上記式(Om-1)~(Om-6)で表わされる基の中でも、上記式(Om-1)、(Om-2)、(Om-5)、(Om-6)で表される基が好ましい。
上記化合物(1)と上記化合物(5)のモル比は、1:99~99:1の範囲が好ましく、20:80~80:20の範囲がより好ましく、40:60~60:40の範囲が更に好ましい。
上記カップリング工程における触媒としては、例えば、金属触媒が挙げられ、好ましくはパラジウム系触媒、ニッケル系触媒、鉄系触媒、銅系触媒、ロジウム系触媒、ルテニウム系触媒等の金属触媒が挙げられる。これらの中でも、パラジウム系触媒がより好ましい。パラジウム系触媒のパラジウムは、0価でも2価でもよい。
上記パラジウム系触媒としては、例えば、塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、ヨウ化パラジウム(II)、酸化パラジウム(II)、硫化パラジウム(II)、テルル化パラジウム(II)、水酸化パラジウム(II)、セレン化パラジウム(II)、パラジウムシアニド(II)、パラジウムアセテート(II)、パラジウムトリフルオロアセテート(II)、パラジウムアセチルアセトナート(II)、ジアセテートビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)、ジクロロ[1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウム(II)、ジクロロ[1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]パラジウム(II)、ジクロロ[1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]パラジウム(II)、ジクロロ[1,1-ビス(ジフェニルホスフィノフェロセン)]パラジウム(II)、ジクロロ[1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加体、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)クロロホルム付加体、ジクロロ[1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン](3-クロロピリジル)パラジウム(II)、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム(0)、ジクロロ[2,5-ノルボルナジエン]パラジウム(II)、ジクロロビス(エチレンジアミン)パラジウム(II)、ジクロロ(1,5-シクロオクタジエン)パラジウム(II)、ジクロロビス(メチルジフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロビス(トリフェニルアルシン)パラジウム(II)が挙げられる。これらの触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)クロロホルム付加体が特に好ましい。
上記カップリング工程において、化合物(1)と触媒とのモル比[化合物(1):触媒]は、一般に、1:0.0001~1:0.5程度であり、収率や反応効率の観点から1:0.001~1:0.3が好ましく、1:0.005~1:0.2がより好ましく、1:0.01~1:0.1がさらに好ましい。
上記カップリング工程では、触媒に特定の配位子を配位させてもよい。
上記配位子としては、例えば、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリ(n-ブチル)ホスフィン、トリ(イソプロピル)ホスフィン、トリ(tert-ブチル)ホスフィン、トリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート、ビス(tert-ブチル)メチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、ジフェニル(メチル)ホスフィン、トリフェニスホスフィン、トリス(o-トリル)ホスフィン、トリス(m-トリル)ホスフィン、トリス(p-トリル)ホスフィン、トリス(2-フリル)ホスフィン、トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(3-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-メトキシフェニル)ホスフィン、2-ジシクロヘキシルホスフィノビフェニル、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’-メチルビフェニル、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシ-1,1’-ビフェニル、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’-(N,N’-ジメチルアミノ)ビフェニル、2-ジフェニルホスフィノ-2’-(N,N’-ジメチルアミノ)ビフェニル、2-(ジ-tert-ブチル)ホスフィノ-2’-(N,N’-ジメチルアミノ)ビフェニル、2-(ジ-tert-ブチル)ホスフィノビフェニル、2-(ジ-tert-ブチル)ホスフィノ-2’-メチルビフェニル、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,2-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ブタン、1,2-ビスジフェニルホスフィノエチレン、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、1,2-エチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、2,2’-ビピリジル、1,3-ジフェニルジヒドロイミダゾリリデン、1,3-ジメチルジヒドロイミダゾリリデン、ジエチルジヒドロイミダゾリリデン、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)ジヒドロイミダゾリリデン、1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)ジヒドロイミダゾリリデン、1,10-フェナントロリン、5,6-ジメチル-1,10-フェナントロリン、バトフェナントロリンが挙げられ、1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、トリフェニルホスフィン、トリス(o-トリル)ホスフィン、トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィンが好ましい。
上記触媒に配位子を配位させる場合、触媒と配位子とのモル比(触媒:配位子)は、一般に、1:0.5~1:10程度であり、収率や反応効率の観点から1:1~1:8が好ましく、1:1~1:7がより好ましく、1:1~1:5がさらに好ましい。
上記カップリング工程では、さらに塩基を共存させてもよい。特に、上記M1がホウ素原子であるときは、塩基を共存させることが好ましく、上記M1がスズ原子であるときは、塩基を共存させなくともよい。
上記塩基としては、例えば、水素化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属塩化合物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等のアルカリ土類金属塩化合物;リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、リチウムエトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、リチウムイソプロポキシド、ナトリウムイソプロポキシド、カリウムイソプロポキシド、リチウムtert-ブトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシド、リチウムtert-アミルアルコキシド、ナトリウムtert-アミルアルコキシド、カリウムtert-アミルアルコキシド等のアルコキシアルカリ金属化合物;水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の水素化金属化合物;等が挙げられる。これらの中でも、塩基としては、アルカリ金属塩化合物またはアルコキシアルカリ金属化合物が好ましく、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リチウムtert-ブトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシドがより好ましい。
上記化合物(1)と塩基とのモル比[化合物(1):塩基]は、一般に、1:1~1:10程度であり、収率や反応効率の観点から1:1.5~1:8が好ましく、1:1.8~1:6がより好ましく、1:2~1:5がさらに好ましい。
上記カップリング工程における溶媒としては、反応に影響を及ぼさない溶媒を用いることができ、例えば、エーテル系溶媒、芳香族系溶媒、エステル系溶媒、炭化水素系溶媒、ハロゲン系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒等を用いることができる。上記エーテル系溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、ジオキサンが挙げられる。上記芳香族系溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、テトラリンなどが挙げられる。上記エステル系溶媒としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチルなどが挙げられる。上記炭化水素系溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカリンなどが挙げられる。上記ハロゲン系溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロプロパンなどが挙げられる。上記ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。上記アミド系溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-(1H)-ピリミジノンなどが挙げられる。その他、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、スルホラン等のスルホン系溶媒などを用いることができる。溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、テトラヒドロフラン、トルエン、クロロベンゼン、N,N-ジメチルホルムアミドが好ましく、クロロベンゼンが特に好ましい。
上記カップリング工程において、上記溶媒の量は、化合物(1)と化合物(5)の合計1gに対して、一般に、1mL以上、150mL以下程度であり、収率や反応効率の観点から5mL以上、100mL以下が好ましく、8mL以上、90mL以下がより好ましく、10mL以上、80mL以下がさらに好ましい。
上記カップリング工程において、反応温度は、反応効率を高める観点から0℃以上、200℃以下が好ましく、30℃以上、180℃以下がより好ましく、40℃以上、150℃以下がさらに好ましい。上記反応温度は、マイクロウェーブを用いて調節してもよい。
本発明の化合物(X)を製造するために用いる上記式(1)で表される化合物は、例えば、下記スキームで表される製造方法によって製造できる。
Figure 0007194392000029
[式中、R2、m、A1、n、X1は、それぞれ上記と同義である。M2は、ホウ素原子またはスズ原子を表す。L2は、脂肪族炭化水素基、水酸基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表し、複数のL2は、M2とともに環を形成していてもよい。k2は、2または3を表す。]
即ち、上記化合物(1)は、化合物(3)を酸化して化合物(2)を得て(工程1:酸化工程)、化合物(2)に芳香族環を付加して化合物(2B)を得て(工程2:芳香族環付加工程)、塩基の存在下、アジド化合物を反応させて化合物(1B)を得た後(工程3:環化工程)、化合物(1B)をハロゲン化することによって製造できる(工程4:ハロゲン化工程)。また、上記化合物(1)は、上記化合物(2B)をハロゲン化して化合物(2C)を得た後(工程5:ハロゲン化工程)、化合物(2C)に塩基の存在下、アジド化合物を反応させることによっても製造できる(工程6:環化工程)。
以下、各工程について説明する。
[工程1:酸化工程]
酸化工程では、下記化合物(3)と、酸化剤とを反応させることによって、化合物(2)を得ることができる。
Figure 0007194392000030
[式中、R2、m、X1は、それぞれ上記と同義である。]
1のハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、臭素原子が好ましい。
上記酸化剤としては、例えば、メタクロロ過安息香酸等の過カルボン酸を用いることができる。
上記酸化剤の量は、上記化合物(3)1モルに対して、0.1モル以上、10モル以下が好ましく、より好ましくは0.5モル以上、5モル以下である。
上記酸化工程で用いる溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロプロパン等のハロゲン系溶媒が好ましい。
上記酸化工程において、反応温度は、反応効率を高める観点から0℃以上、200℃以下が好ましく、30℃以上、180℃以下がより好ましく、40℃以上、150℃以下がさらに好ましい。上記反応温度は、マイクロウェーブを用いて調節してもよい。
[工程2:芳香族環付加工程]
芳香族環付加工程では、下記化合物(2)と、下記式(4)で表される化合物とを反応させることによって、芳香族環を有する化合物(2B)を製造できる。
Figure 0007194392000031
[式(2)、(4)、(2B)中、R2、m、A1、n、X1、M2、L2、k2は、それぞれ上記と同義である。]
2、L2、k2は、それぞれ、M1、L1、k1と同様であり、*-M2(L2k2は、*-M1(L1k1と同様である。A1は、目的とする化合物に応じて、上記した範囲から適宜選択できる。
上記化合物(4)の量は、上記化合物(2)1モルに対して、1.2~10モルが好ましく、2~7モルがより好ましい。
上記化合物(2)と上記化合物(4)とを反応させる際には、触媒を共存させてもよい。
上記触媒としては、上記カップリング工程で例示した触媒と同様の触媒を用いることができ、金属触媒が挙げられる。
上記金属触媒としては、パラジウム系触媒、ニッケル系触媒、鉄系触媒、銅系触媒、ロジウム系触媒、ルテニウム系触媒などの遷移金属触媒が挙げられる。これらの中でも、パラジウム系触媒が好ましい。パラジウム系触媒のパラジウムは、0価でも2価でもよい。上記パラジウム系触媒としては、上記カップリング工程で例示したパラジウム触媒のうち1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、またはジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)が好ましい。
上記化合物(2)と触媒とのモル比[化合物(2):触媒]は、1:0.0001~1:0.5程度が好ましく、収率や反応効率の観点から1:0.001~1:0.4がより好ましく、1:0.005~1:0.3がさらに好ましく、1:0.01~1:0.2が特に好ましい。
上記触媒には、特定の配位子を配位させてもよい。
上記配位子としては、上記カップリング工程で例示した配位子のうち1種または2種以上を用いることができ、これらの配位子のいずれかが配位した触媒を反応に用いてもよい。
上記配位子を配位させる場合、触媒と配位子とのモル比(触媒:配位子)は、一般に、1:0.5~1:10程度であり、収率や反応効率の観点から1:1~1:8が好ましく、1:1~1:7がより好ましく、1:1~1:5がさらに好ましい。
上記化合物(2)と上記化合物(4)とを反応させる際、さらに塩基を共存させてもよい。特に、上記M1がホウ素原子であるときは、塩基を共存させることが好ましく、M1がスズ原子であるときは、塩基を共存させなくともよい。
上記塩基としては、カップリング工程で例示した塩基と同様の塩基が挙げられ、アルコキシアルカリ金属化合物が好ましく、リチウムtert-ブトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムがより好ましい。
上記化合物(2)と塩基とのモル比[化合物(2):塩基]は、一般に、1:1~1:10程度であり、収率や反応効率の観点から1:1.5~1:8が好ましく、1:1.8~1:6がより好ましく、1:2~1:5がさらに好ましい。
上記芳香族環付加工程における溶媒としては、反応に影響を及ぼさない溶媒を用いることができ、例えば、エーテル系溶媒、芳香族系溶媒、エステル系溶媒、炭化水素系溶媒、ハロゲン系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒等を用いることができる。上記エーテル系溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、ジオキサンなどが挙げられる。上記芳香族系溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどが挙げられる。上記エステル系溶媒としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチルなどが挙げられる。上記炭化水素系溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどが挙げられる。上記ハロゲン系溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロプロパンなどが挙げられる。上記ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。上記アミド系溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-(1H)-ピリミジンなどが挙げられる。その他、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、スルホラン等のスルホン系溶媒を用いることができる。これらの中でも、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、キシレン、N,N-ジメチルホルムアミドが好ましい。
上記芳香族環付加工程において、上記溶媒の量は、化合物(2)1gに対して、一般に、1mL以上、100mL以下程度であり、収率や反応効率の観点から5mL以上、80mL以下が好ましく、8mL以上、70mL以下がより好ましく、10mL以上、60mL以下がさらに好ましい。
上記芳香族環付加工程において、反応温度は、反応効率を高める観点から0℃以上、200℃以下が好ましく、30℃以上、180℃以下がより好ましく、40℃以上、150℃以下がさらに好ましい。上記反応温度は、マイクロウェーブを用いて調節してもよい。
[工程3、6:環化工程]
化合物(2)、(2B)、または(2C)に、塩基の存在下、アジド化合物を反応させることによって、化合物(1)を得ることができる。
上記アジド化合物としては、例えば、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)、ビス(4-ニトロフェニル)ホスホリルアジド等のジアリールホスホリルアジド;トリメチルシリルアジド(TMSA)等のトリアルキルシリルアジド;等の有機アジド化合物、およびナトリウムアジドなどの無機アジド化合物が好ましい。上記有機アジド化合物は、ポリマー担持されていてもよい。これらの中でも、トリメチルシリルアジド等のトリアルキルシリルアジド化合物が好ましい。
上記アジド化合物の量は、上記化合物(2)、(2B)、または(2C)1モルに対して、0.5モル以上、10モル以下が好ましく、1モル以上、8モル以下がより好ましく、1モル以上、5モル以下がさらに好ましい。上記アジド化合物の量がこの範囲にあると、収率や反応効率が良好である。
上記アジド化合物として、トリアルキルシリルアジド化合物を用いる場合、さらに、スルホニルハライド化合物またはリン酸ハライド化合物を共存させることが好ましい。
(スルホニルハライド化合物)
上記スルホニルハライド化合物としては、例えば、メタンスルホニルクロリド、エタンスルホニルクロリド、プロパンスルホニルクロリド、イソプロパンスルホニルクロリド、ブタンスルホニルクロリド、ペンタンスルホニルクロリド、ヘキサンスルホニルクロリド等のアルキルスルホニルクロリド化合物;ベンゼンスルホニルクロリド、2-メチルベンゼンスルホニルクロリド、3-メチルベンゼンスルホニルクロリド、4-メチルベンゼンスルホニルクロリド、2-クロロベンゼンスルホニルクロリド、3-クロロベンゼンスルホニルクロリド、4-クロロベンゼンスルホニルクロリド、2-ブロモベンゼンスルホニルクロリド、3-ブロモベンゼンスルホニルクロリド、4-ブロモベンゼンスルホニルクロリド、2-ヨードベンゼンスルホニルクロリド、3-ヨードベンゼンスルホニルクロリド、4-ヨードベンゼンスルホニルクロリド、2-フルオロベンゼンスルホニルクロリド、3-フルオロベンゼンスルホニルクロリド、4-フルオロベンゼンスルホニルクロリド、2-トリフルオロメチルベンゼンスルホニルクロリド、3-トリフルオロメチルベンゼンスルホニルクロリド、4-トリフルオロメチルベンゼンスルホニルクロリド等のアリールスルホニルクロリド化合物;塩化スルフリル等のスルホニルクロリド化合物;ノナフルオロブタンスルホン酸フルオリド、フェニルスルホン酸フルオリド等のスルホニルフルオリド化合物;等が挙げられる。これらの中でも、アリールスルホニルクロリド化合物またはスルホニルクロリド化合物が好ましく、アリールスルホニルクロリド化合物がより好ましく、4-メチルベンゼンスルホニルクロリドがさらに好ましい。
上記スルホニルハライド化合物の量は、上記化合物(2)、(2B)または(2C)1モルに対して、0.5モル以上、20モル以下が好ましく、1モル以上、15モル以下がより好ましく、1モル以上、13モル以下がさらに好ましく、1モル以上、10モル以下が特に好ましい。上記スルホニルハライド化合物の量がこの範囲にあると、収率や反応効率が良好である。
(リン酸ハライド化合物)
上記リン酸ハライド化合物としては、例えば、ジメチルホスホリルクロリド、ジエチルホスホリルクロリド、ジプロピルホスホリルクロリド、ジイソプロピルホスホリルクロリド、ジブチルホスホリルクロリド等のジアルキルホスホリルクロリド化合物;ビス(2,2,2-トリクロロエチル)ホスホリルクロリド等のジハロゲン化アルキルホスホリルクロリド化合物;2-クロロ-2-オキソ-1,3,2-ジオキサホスホラン;ジフェニルホスホリルクロリド、ビス(2-メチルフェニル)ホスホリルクロリド、ビス(3-メチルフェニル)ホスホリルクロリド、ビス(4-メチルフェニル)ホスホリルクロリド、ビス(3,5-ジメチルフェニル)ホスホリルクロリド、ビス(2-クロロフェニル)ホスホリルクロリド、ビス(3-クロロフェニル)ホスホリルクロリド、ビス(4-クロロフェニル)ホスホリルクロリド、ビス(3,5-ジクロロフェニル)ホスホリルクロリド等のジアリールホスホリルクロリド化合物;1,2-フェニレンホスホロクロリデート;等が挙げられる。これらの中でも、ジハロゲン化アルキルホスホリルクロリド化合物またはジアリールホスホリルクロリド化合物が好ましく、ビス(2,2,2-トリクロロエチル)ホスホリルクロリドまたはジフェニルホスホリルクロリドがより好ましい。
上記リン酸ハライド化合物の量は、上記化合物(2)、(2B)、または(2C)1モルに対して、0.5モル以上、20モル以下が好ましく、1モル以上、15モル以下がより好ましく、1モル以上、13モル以下がさらに好ましく、1モル以上、10モル以下が特に好ましい。上記リン酸ハライド化合物の量がこの範囲にあると、収率や反応効率が良好である。
上記アジド化合物を反応させる際に共存させる塩基としては、例えば、N-メチルイミダゾール、イミダゾール等のイミダゾール化合物;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属塩化合物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等のアルカリ土類金属塩化合物;リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、リチウムエトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、リチウムイソプロポキシド、ナトリウムイソプロポキシド、カリウムイソプロポキシド、リチウムtert-ブトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシド、リチウムtert-アミルアルコキシド、ナトリウムtert-アミルアルコキシド、カリウムtert-アミルアルコキシド等のアルコキシアルカリ金属化合物;水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の水素化金属化合物;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、トリアリルアミン、ピリジン、2-メチルピリジン、3-メチルピリジン、4-メチルピリジン、N-メチルモルホリン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N-ジメチルアニリン、N-メチルイミダゾール、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ-7-エンなどのアミン(特に、3級アミン);等が挙げられる。これらの中でも、イミダゾール化合物、アルカリ金属塩化合物、アミンが好ましく、より好ましくはN-メチルイミダゾール、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ピリジン、さらに好ましくは炭酸カリウム、トリエチルアミン、ピリジンである。
上記塩基の量は、上記化合物(2)、(2B)、または(2C)1モルに対して、0.5モル以上、10モル以下が好ましく、1モル以上、8モル以下がより好ましく、1モル以上、7モル以下がさらに好ましく、1モル以上、5モル以下が特に好ましい。
上記環化工程においては、溶媒は用いないことが好ましいが、用いてもよい。
溶媒を用いる場合、反応に影響を及ぼさないものを用いることができ、例えば、エーテル系溶媒、芳香族系溶媒、エステル系溶媒、炭化水素系溶媒、ハロゲン系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒等を用いることができる。上記エーテル系溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、ジオキサンなどが挙げられる。上記芳香族系溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどが挙げられる。上記エステル系溶媒としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチルなどが挙げられる。上記炭化水素系溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタンなどが挙げられる。上記ハロゲン系溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロプロパンなどが挙げられる。上記ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。上記アミド系溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-(1H)-ピリミジンなどが挙げられる。その他、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、スルホラン等のスルホン系溶媒などを用いることができる。
上記環化工程における反応温度は、反応効率を高める観点から0℃以上、200℃以下が好ましく、30℃以上、180℃以下がより好ましく、40℃以上、150℃以下がさらに好ましい。上記反応温度は、マイクロウェーブを用いて調節してもよい。
[工程4、5:ハロゲン化工程]
ハロゲン化は、種々の方法によって行うことができ、例えば、化合物(1B)または化合物(2B)を、酸の共存下、ハロゲン化試薬と接触させることによって行うことができる。
上記酸としては、酢酸等の有機酸が好ましく、ハロゲン化試薬としては、N-ブロモスクシンイミド、N-クロロスクシンイミド、ピリジン臭素錯体塩、臭素、塩素等が好ましい。
上記ハロゲン化工程における溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロプロパン等のハロゲン系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの芳香族系溶媒などが好ましい。
上記ハロゲン化工程における反応温度は、反応効率を高める観点から0℃以上、200℃以下が好ましく、30℃以上、180℃以下がより好ましい。上記反応温度は、マイクロウェーブを用いて調節してもよい。
[ドナー性ユニットが上記式(II)の場合]
本発明の高分子化合物(XX)は、例えば、上述した式(IIa-1)で表される化合物と、式(5)で表される化合物とを反応させることによって製造できる。以下、化合物(IIa-1)と化合物(5)とを反応させる工程を「カップリング工程」という場合がある。
Figure 0007194392000032
[式中、A1、X1、M1、L1、k1、Y1、Y2、nxは、それぞれ上記と同義である。]
n10は、0または1を表す。
6は、下記式(Ac-1)~式(Ac-6)で表されるアクセプター性ユニットを表す。
Figure 0007194392000033
[式(Ac-1)~式(Ac-6)中、R1は、上記と同義である。]
n10は、0が好ましい。
6は、上記式(Ac-1)または式(Ac-2)で表されるアクセプター性ユニットがより好ましく、上記式(Ac-1)で表されるアクセプター性ユニットが更に好ましい。
化合物(IIa-1)と、化合物(5)のモル比は、1:99~99:1の範囲が好ましく、20:80~80:20の範囲がより好ましく、40:60~60:40の範囲が更に好ましい。
上記カップリング工程における触媒としては、ドナー性ユニットが上記式(I)の場合のカップリング工程で例示した触媒と同様の触媒を同様の条件で用いることができる。
上記カップリング工程では、上記触媒に、ドナー性ユニットが上記式(I)の場合のカップリング工程で例示した特定の配位子と同様の特定の配位子を同様の条件で配位させてもよい。
上記カップリング工程では、さらに、ドナー性ユニットが上記式(I)の場合のカップリング工程で例示した塩基と同様の塩基を同様の条件で共存させてもよい。
上記カップリング工程における溶媒としては、ドナー性ユニットが上記式(I)の場合のカップリング工程で例示した溶媒と同様の溶媒を同様の条件で用いることができる。
本発明の化合物(XX)を製造するために用いる上記式(IIa-1)で表される化合物は、例えば、下記スキームで表される製造方法によって製造できる。
Figure 0007194392000034
[式中、A1、X1、Y1、Y2、n10は、それぞれ上記と同義である。X3は、ハロゲン原子を表す。M2、L2、k2、上記M1、L1、k1と同義である。]
即ち、上記化合物(IIa-1)は、化合物(I-X6)と化合物(I-X4)とを反応させて芳香族環を付加した後(工程11:芳香族環付加工程)、得られた化合物(I-X5)と酸化剤とを反応させ(工程12:酸化工程)、得られた化合物(I-X2)に、塩基の存在下、アジド化合物を反応させ(工程13:環化工程)、得られた化合物(I-1)をハロゲン化することによって製造できる(工程14:ハロゲン化工程)。
また、上記化合物(IIa-1)は、化合物(I-X3)と化合物(I-X4)とを反応させて芳香族環を付加した後(工程15:芳香族環付加工程)、得られた化合物(I-X2)に、塩基の存在下、アジド化合物を反応させ(工程13:環化工程)、得られた化合物(I-1)をハロゲン化することによって製造できる(工程14:ハロゲン化工程)。
また、上記化合物(IIa-1)は、上記で得られた化合物(I-X2)をハロゲン化して化合物(IIa-2)を得た後(工程16:ハロゲン化工程)、得られた化合物(IIa-2)に、塩基の存在下、アジド化合物を反応させることによっても製造できる(工程17:環化工程)。
また、化合物(IIa-1)は、化合物(I-X1)と化合物(I-X4)とを反応させて芳香族環を付加した後(工程18:芳香族環付加工程)、得られた化合物(I-1)をハロゲン化することによって製造できる(工程14:ハロゲン化工程)。
[工程11、15、18:芳香族環付加工程]
工程11では、化合物(I-X6)と、下記化合物(I-X4)とを反応させることによって、化合物(I-X5)を製造できる。
工程15では、化合物(I-X3)と、下記化合物(I-X4)とを反応させることによって、化合物(I-X2)を製造できる。
工程18では、化合物(I-X1)と、下記化合物(I-X4)とを反応させることによって、化合物(I-1)を製造できる。
2(L2k2(A1n10H (I-X4)
[式中、A1、n10は、それぞれ上記と同義である。M2、L2、k2は、上記M1、L1、k1と同義である。]
1は、下記式(Ar1-1)~(Ar16-1)のいずれかで表される構造が好ましく、下記式(Ar1-2)で表される構造がより好ましい。
下記式中、R3、R5、X2は、それぞれ上記と同義である。n6は、0または1、n7は、0~3の整数、n8は、0~2の整数、n9は、0~4の整数をそれぞれ表わす。なお、n6、n7、n8、n9は、いずれも0または1が好ましい。
Figure 0007194392000035
これらの中でも、下記表に示す化合物が好ましく、より好ましくは化合物(I-X4-I-45)~(I-X4-I-66)であり、さらに好ましくは化合物(I-X4-I-45)または(I-X4-I-56)である。下記表において、*-M10(L10k10は、上記式(Om-1)~(Om-6)のいずれかで表される基を表す。
Figure 0007194392000036
上記化合物(I-X4)の量は、化合物(I-X6)、(I-X3)、または(I-X1)1モルに対して、0.6~10モルが好ましく、より好ましくは0.8~6モルである。
上記化合物(I-X6)、(I-X3)、または(I-X1)と、化合物(I-X4)とを反応させる際は、上記工程2(芳香族環付加工程)で例示した触媒と同様の触媒を同様の条件で用いることができる。
上記触媒に、上記工程2(芳香族環付加工程)で例示した特定の配位子と同様の特定の配位子を同様の条件で配位させてもよい。
さらに、上記工程2(芳香族環付加工程)で例示した塩基と同様の塩基を同様の条件で共存させてもよい。
上記工程11、15、18で用いる溶媒としては、上記工程2(芳香族環付加工程)で例示した溶媒と同様の溶媒を同様の条件で用いることができる。
また、反応温度についても、上記工程2(芳香族環付加工程)で例示した温度と同様の条件を採用できる。
[工程12:酸化工程]
工程12では、化合物(I-X5)と、酸化剤とを反応させることによって、化合物(I-X2)を得ることができる。
前記酸化剤としては、上記工程1(酸化工程)で例示した酸化剤と同様の化合物を、同様の条件で用いることができる。
また、反応溶媒、反応温度についても、上記工程1(酸化工程)と同様の条件を採用できる。
[工程13、17:環化工程]
工程13では、上記化合物(I-X2)に、塩基の存在下、アジド化合物を反応させることによって、上記化合物(I-1)を得ることができる。
工程17では、上記化合物(IIa-2)に、塩基の存在下、アジド化合物を反応させることによって、上記化合物(IIa-1)を得ることができる。
上記アジド化合物としては、上記環化工程(工程3、6)で例示したアジド化合物と同様の化合物を、同様の条件で用いることができる。
さらに、アジド化合物を反応させる際に共存させる塩基も、上記環化工程(工程3、6)で例示した塩基と同様であり、同様の条件で用いることができる。
また、反応溶媒、反応温度についても、上記環化工程(工程3、6)で例示したものを、同様の条件で用いることができる。
[工程14、16:ハロゲン化工程]
工程14では、上記化合物(I-1)を、ハロゲン化することによって、上記化合物(IIa-1)を得ることができる。
工程16では、上記化合物(I-X2)を、ハロゲン化することによって、上記化合物(IIa-2)を得ることができる。
上記ハロゲン化は、上記ハロゲン化工程(工程4、5)で例示した方法と同様の方法を採用できる。
さらに、上記ハロゲン化を行うときに共存させる酸としては、上記ハロゲン化工程(工程4、5)で例示した酸と同様のものを、同様の条件で用いることができる。
また、反応溶媒、反応温度についても、上記ハロゲン化工程(工程4、5)で例示したものを、同様の条件で用いることができる。
上記スキームで示した化合物(I-X6)、(I-X3)、(I-X1)は、下記スキームに示すように、それぞれ、化合物(I-x6)、(I-x3)、(I-x1)をハロゲン化することによって製造できる(工程21、22、23:ハロゲン化工程)。
Figure 0007194392000037
[式中、Y1、Y2、X3は、それぞれ上記と同義である。]
上記ハロゲン化は、上記ハロゲン化工程(工程4、5)で例示した方法と同様の方法を採用できる。
さらに、上記ハロゲン化を行うときに共存させる酸としては、上記ハロゲン化工程(工程4、5)で例示した酸と同様のものを、同様の条件で用いることができる。
また、反応溶媒、反応温度についても、上記ハロゲン化工程(工程4、5)で例示したものを、同様の条件で用いることができる。
上記化合物(I-x1)は、上記スキームに示すように、上記(I-x6)を酸化した後(工程24:酸化工程)、得られた化合物(Ix-3)に、塩基の存在下、アジド化合物を反応させることによって製造できる(工程25:環化工程)。
上記工程24(酸化工程)は、上記工程1(酸化工程)と同様の条件で行えばよい。
上記工程25(環化工程)は、上記工程3、6(環化工程)と同様の条件で行えばよい。
上記化合物(I-x6)としては、市販品を用いてもよいし、例えば、国際公開第2017/155030号パンフレットに開示された方法によって製造したものを用いてもよい。
本願は、2018年3月22日に出願された日本国特許出願第2018-054584号に基づく優先権の利益を主張するものである。上記日本国特許出願第2018-054584号の明細書の全内容が、本願に参考のため援用される。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例によって制限を受けるものではなく、上記および後記の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下においては、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味する。
(単量体の製造)
300mLナスフラスコに、2,5-dibromopyridine(11.8g,50mmol)、mCPBA(18.5g、75mmol)、および無水ジクロロメタン(100mL)を入れ、室温で2日間撹拌した。反応終了後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、有機層をジクロロメタンで抽出し、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥させた。濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hexane/AcOEt=5:1)を用いて精製し、2,5-dibromopyridine N-oxide(白色固体)を6.74g得た(収率53%)。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ=7.23(dd,J=2.1,8.7Hz,1H)、7.52(d,J=8.7Hz,1H)、8.50(d,J=2.1Hz,1H)。
Figure 0007194392000038
次に、耐圧試験管に、得られた2,5-dibromopyridine N-oxide(500mg、2mmol)、2-(Tributylstannyl)thiophene(1.79g、4.8mmol)、Pd(PPh34(165mg、0.14mmol)、および無水トルエン(4mL)を入れ、マイクロウェーブ反応装置を用い、180℃で20分間撹拌した。反応終了後、溶媒を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3/Hexane/AcOEt=2:1:1)を用いて精製し、2,5-(dithiophen-2-yl)pyridine N-oxide(黄色固体)を450mg得た(収率88%)。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ=7.14(dd,J=4.0,5.0Hz,1H)、7.22(dd,J=4.0,5.0Hz,1H)、7.39(dd,J=1.0,4.0Hz,1H)、7.41(dd,J=1.0,5.0Hz,1H)、7.52(dd,J=1.9,8.6Hz,1H)、7.58(dd,J=1.0,5.0Hz,1H)、7.85(dd,J=1.0,4.0Hz,1H)、7.92(d,J=8.6Hz,1H)、8.61(d,J=1.9Hz,1H)。
Figure 0007194392000039
次に、ねじ口試験管に、得られた2,5-(dithiophen-2-yl)pyridine N-oxide(390mg,1.5mmol)、DPPA(1.6mL,7.5mmol)、および無水ピリジン(0.24mL,3.0mmol)を入れ、窒素雰囲気、120℃で、24時間撹拌した。反応液を、直接シリカゲルカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2/MeOH=20:1)を用いて精製し、ジチオフェニルテトラゾロピリジン(黄色固体)を198mg得た(収率46%)。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ=7.25(m,1H)、7.29(dd,J=4.0,5.0Hz,1H)、7.51(dd,J=1.0,5.0Hz,1H)、7.55(d,J=7.7Hz,1H)、7.63(dd,J=1.0,5.0Hz,1H)、7.89(d,J=7.7Hz,1H)、8.39(dd,J=1.0,4.0Hz,1H)、8.41(dd,J=1.0,4.0Hz,1H)。
Figure 0007194392000040
次に、ねじ口試験管に、ジチオフェニルテトラゾロピリジン(30mg,0.1mmol)、NBS(36mg,0.2mmol)、無水クロロホルム(2mL)、および酢酸(0.4mL)を入れ、窒素雰囲気、60℃で24時間撹拌した。反応終了後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて中和し、有機層をジクロロメタンで抽出し、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥させた。濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2/MeOH=20:1)を用いて精製し、ブロモ化体(黄色固体)を37mg得た(収率84%)。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ=7.19(d,J=4.0Hz,1H)、7.25(m,1H)、7.47(d,J=7.8Hz,1H)、7.78(d,J=7.8Hz,1H)、8.07(d,J=4.0Hz,1H)、8.13(d,J=4.0Hz,1H)。
Figure 0007194392000041
上記で得られたブロモ化体を用い、化合物(単量体)を製造した。即ち、2口フラスコに、上記ブロモ化体(132mg,0.3mmol)、および無水THF(20mL)を入れ、-78℃でブチルリチウム(1.6M,0.38mL)を加え1時間撹拌した。撹拌後、塩化トリブチルスズ(1M,0.18mL)を加え、室温でさらに一晩撹拌した。一晩撹拌後、水を加えて反応を停止させたのち、ジエチルエーテルを用いて抽出を行った。溶媒を濃縮し、アルミナカラムクロマトグラフィー(hexane/AcOEt=1:1)を用いて精製し、GPCをかけてDTTP-SnBu3を121mg得た(収率47%)。
Figure 0007194392000042
(実施例1)
得られたDTTP-SnBu3を用い、高分子化合物Aを製造した。即ち、耐圧試験管に、上記DTTP-SnBu3(86mg,0.1mmol)、NDI-OD(78mg,0.1mmol)、Pd2(dba)3(5mg,0.005mmol)、P(furyl)3(6mg,0.02mmol)、および無水トルエン(4mL)、DMF(1mL)を入れ、80℃で12時間加熱撹拌した。反応終了後、メタノールで再沈殿を行い、得られた固体はソックスレー抽出した(メタノール,アセトン,塩化メチレン,クロロホルム)。そのうちクロロホルム抽出分の溶媒を濃縮し、目的の高分子化合物A(濃青色固体)を70mg得た。得られた高分子化合物Aは溶解性が高いので、分取GPCを用いて高分子量成分を回収した。回収した高分子量成分は、M=13700、M/M=2.05であった。
Figure 0007194392000043
(実施例2)
上記実施例1において、DTTP-SnBu3を下記スキームに示されるfDTTP-SnBuに変える以外は、同じ条件で固体を得た。得られた固体はソックスレー抽出した(メタノール,アセトン,クロロホルム)。そのうちクロロホルム抽出分の溶媒を濃縮し、目的の高分子化合物B(赤色固体)を23mg得た(M=5300,M/M=1.40)。得られた高分子化合物Bは溶解性が高いので、分取GPCを用いて高分子量成分を回収した。回収した高分子量成分は、M=14800、M/M=1.20であった。
Figure 0007194392000044
(比較例)
上記実施例1において、DTTP-SnBu3を下記スキームに示されるfDTP-SnBuに変える以外は、同じ条件で固体を得た。得られた固体はソックスレー抽出した(メタノール,アセトン,クロロホルム)。そのうちクロロホルム抽出分の溶媒を濃縮し、高分子化合物C(赤色固体)を45mg得た(M=3400,M/M=2.11)。得られた高分子化合物Cは溶解性が高いので、分取GPCを用いて高分子量成分を回収した。回収した高分子量成分は、M=7500、M/M=1.50であった。
Figure 0007194392000045

(熱重量分析測定:TGA)
上記実施例1で得られた高分子化合物A、上記実施例2で得られた高分子化合物B、上記比較例で得られた高分子化合物Cについて、熱重量分析装置(島津製作所社製、「TGA-50」)を用いて熱重量分析測定を行った。測定には、アルミパンを用い、窒素雰囲気下、20℃から500℃まで測定した。その結果、重量減少開始温度は、高分子化合物Aが264℃、高分子化合物Bが260℃、高分子化合物Cが271℃であった。これらの結果から、得られた高分子化合物A、Bは、200℃以上まで安定でありデバイスの作製に用いることができると考えられる。なお、高分子化合物Cは、テトラゾール環を含んでいないため、高分子化合物AおよびBより安定であった。
(紫外可視吸収スペクトル測定:UV)
オゾン処理した石英基板上に、下記FET測定に用いた濃度と同条件の上記実施例1で得られた高分子化合物A、上記実施例2で得られた高分子化合物B、上記比較例で得られた高分子化合物Cの溶液をスピンコートしてフィルムを作製し、紫外可視分光装置(島津製作所社製、「UV-310PC」)を用いて紫外可視吸収スペクトル測定を行った。測定したλonsetを下記表6に示す。
Figure 0007194392000046
(サイクリックボルタンメトリー)
上記実施例1で得られた高分子化合物A、上記実施例2で得られた高分子化合物B、上記比較例で得られた高分子化合物Cについて、サイクリックボルタンメトリー測定装置(BAS社製、「CV-620C voltammetric analyzer」)を用い、溶媒がo-ジクロロベンゼンとアセトニトリルの5:1溶媒で、Bu4NPF6が0.1Mの溶液を用いて測定した。測定結果を上記表6に併せて示す。
上記表6から明らかなように、高分子化合物A、Bは、低いLUMO準位を有しているため、n型半導体の材料として用いることができると考えられる。一方、高分子化合物Cは、類縁体である高分子化合物Bと比較してバンドギャップは同等の値であったが、LUMO準位は高い値にとどまった。
(FET測定)
オゾン処理したシリコン基板上を、オクタデシルトリクロロシラン(ODTS)またはヘキサメチルジシラザン(HMDS)を用いて処理した。処理後の基板表面に、上記実施例1で得られた高分子化合物A、上記実施例2で得られた高分子化合物B、または比較例で得られた高分子化合物Cを、1mg/mLの濃度となるようにクロロホルムに溶解した溶液をスピンコート(1000rpm、1分間)することで、ボトムゲート-ボトムコンタクト型のFET素子を作製し、FET測定を行った。チャンネル長さは5μmとした。次に、得られた素子を80℃または120℃で1時間アニールし、同様の方法でFET特性の評価を行った。得られた結果を表7に示す。μeは、電子移動度を示している。
Figure 0007194392000047
また、120℃でアニールを行った後における高分子化合物Aの測定結果を図1に示す。また、120℃でアニールを行った後における高分子化合物Bの測定結果を図2に示す。また、120℃でアニールを行った後における高分子化合物Cの測定結果を図3に示す。図1~3に示した曲線1a、2a、3aは、ION/IOFFの結果を示し、曲線1b、2b、3bは、μeの結果を示す。
図1、2から明らかなように、高分子化合物A、Bともに、120℃でアニールを行った後でも化合物が分解することなく、良好な電子移動特性を示すことが分かった。一方、高分子化合物Cも、良好な電子移動度を示したが、ヒステリシスが高分子化合物AおよびBと比べて大きくなった。

Claims (6)

  1. テトラゾロピリジンを含む下記式(I)または式(II)で表わされるドナー性ユニットと、
    下記式(Ac-1)、式(Ac-5)、式(Ac-6)で表されるアクセプター性ユニットのうち、いずれか1つのアクセプター性ユニットとを繰り返し単位として有することを特徴とする高分子化合物。
    Figure 0007194392000048
    Figure 0007194392000049
    [式(I)中、
    2 は、脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基を表し、
    mは、0~2の整数を表す。
    1 は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族環を表し、
    nは、1~5の整数を表す。
    式(II)中、
    1 およびY 2 は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を1個以上含む5員または6員の複素環を表す。
    (Ac-1)、式(Ac-5)、式(Ac-6)中、
    1は、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基を表す。
    *は、結合手を表す。]
  2. 前記ドナー性ユニットと、前記アクセプター性ユニットとが交互に配置されている請求項に記載の高分子化合物。
  3. 数平均分子量が2000以上、300000以下である請求項1または2に記載の高分子化合物。
  4. 請求項1~3のいずれかに記載の高分子化合物を含む有機半導体材料。
  5. n型有機半導体材料である請求項に記載の有機半導体材料。
  6. 請求項4または5に記載の有機半導体材料を含む有機電子デバイス。
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