JP7179208B2 - 積層装置 - Google Patents
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Description
[1] 凹凸を有する基材の凹凸面にフィルムを積層する装置であって、減圧下で上記基材にフィルムを密着追従させて、上記基材の凹凸面に追従する凹凸面を有する第1の仮積層体を形成する真空積層手段と、上記第1の仮積層体を押圧して上記第1の仮積層体の凹凸面を略平坦化し、略平坦化された凹凸面を有する第2の仮積層体を形成する第1の平面プレス手段と、上記第2の仮積層体を第1の平面プレス手段と異なる条件で押圧して、上記第2の仮積層体の略平坦化された凹凸面をさらに平坦化し、積層体を形成する第2の平面プレス手段とを備え、上記第1の平面プレス手段が、対向する一対のプレスブロックを有し、上記一対のプレスブロックの少なくとも一方が他方に対し進退可能に設定され、上記一対のプレスブロックの少なくとも一方が熱盤と、板状体と、これらの間に配置される緩衝材とを有しており、上記第2の平面プレス手段が、対向する一対のプレスブロックと、上記一対のプレスブロックの少なくとも一方に連結されたサーボモータとを有し、上記サーボモータの作動により上記一対のプレスブロックの少なくとも一方が他方に対し進退可能に設定され、上記一対のプレスブロックの少なくとも一方が熱盤と板状体とを有し、これらの間に、緩衝材を有していないか、上記第1の平面プレス手段の緩衝材より緩衝効果の小さい緩衝材を有し、上記一対のプレスブロックが互いに接近する速度が0.005~0.5mm/秒となるように、上記サーボモータの作動が制御されている積層装置。 [2] 上記第1の平面プレス手段の一対のプレスブロックが互いに接近する速度をV1とし、上記第2の平面プレス手段の一対のプレスブロックが互いに接近する速度をV2としたときに、V1およびV2が下記の式(1)を満たしている[1]記載の積層装置。 0.0008≦V2/V1≦0.02 ・・・(1)
[3] 上記第1の平面プレス手段の、上記一対のプレスブロックの少なくとも一方に油圧シリンダまたはエアーシリンダが連結され、上記油圧シリンダまたはエアーシリンダの作動により上記一対のプレスブロックの少なくとも一方が他方に対し進退可能になっている[1]または[2]記載の積層装置。
上記真空積層手段1は、基材104の表面が、銅パターン105の配置により凹凸面に形成され、その凹凸面にフィルム106が載置されたワーク100を、減圧下で基材104の凹凸に沿ってフィルム106を密着追従させて、上記基材104の凹凸面に追従する凹凸面を有する第1の仮積層体101を形成する。
上記第1の平面プレス手段2は、上記真空積層手段1で形成された第1の仮積層体101を押圧して上記第1の仮積層体101の凹凸面を略平坦化し、略平坦化された凹凸面を有する第2の仮積層体102を形成する。
上記第2の平面プレス手段3は、上記第2の仮積層体102に対して、上記第1の平面プレス手段2と異なる条件で押圧を行うものであり、図4に示すとおり、その押圧においてサーボモータ53を用い、かつ、上記第2の平面プレス手段3のプレスブロック47が有する金属板(板状体)51が上記第2の仮積層体102に当接する際の速度を、従来より遅い所定の速度に設定し、上記第2の仮積層体102の略平坦化された凹凸面をさらに平坦化し、積層体103を形成する。
以下、各手段1~3について詳細に説明する。
上記真空積層手段1は、搬入用コンベア7により搬入され、搬送用フィルム5,5'により搬送されてきた基材104の凹凸面にフィルム106が載置されたワーク100を、上部プレート11と下部プレート12との間に位置決めし、減圧状態の空間部26内で加熱加圧して、基材104の凹凸に沿ってフィルム106を密着追従させることにより、第1の仮積層体101を形成するものである。
この真空積層手段1は、図2に示すように、プレス台8に立設された複数本(図2では、2本しか図示せず)の支柱9と、これら各支柱9にボルト,ナット等の固定器具10で固定された上部プレート11と、上記各支柱9に上下移動可能に取り付けられた下部プレート12等を備えている。この下部プレート12は、ジョイント13を介して油圧シリンダ14に連結されており、この油圧シリンダ14の作動により(ピストンロッド14aの上昇および下降に伴って)上下移動するようになっている。なお、この実施の形態では、下部プレート12に油圧シリンダ14が連結されているが、油圧シリンダ14に代えてエアーシリンダ等の別の昇降機構を用いてもよい。しかし、油圧シリンダ14を用いると、コンパクトでありながら高圧が得られる点で好ましい。
上記第1の平面プレス手段2(図1に戻る)は、上記真空積層手段1から搬送用フィルム5,5'により搬送されてきた第1の仮積層体101を上側プレスブロック27および下側プレスブロック28(図3参照)間に位置決めし、上側プレスブロック27および下側プレスブロック28で加熱加圧して第1の仮積層体101の表面を略平坦化するものである。この実施の形態では、図3に示すように、プレス台29に立設された複数本(図3では、2本しか図示せず)の支柱30と、これら各支柱30にボルト,ナット等の固定器具31で固定される上側プレスブロック27と、上記各支柱30に上下移動可能に取り付けられる下側プレスブロック28等を備えている。この下側プレスブロック28は、ジョイント32を介して油圧シリンダ33に連結されており、この油圧シリンダ33の作動により(ピストンロッド33aの上昇および下降に伴って)上下移動されるようになっている。
すなわち、下側プレスブロック28が上側プレスブロック27に対して所定速度V1で進みながら上記第1の仮積層体101を挟んで加熱加圧し、上記第1の仮積層体101の凹凸面を略平坦化するものである。
すなわち、上記速度V1が上記範囲の上限を超えると、上記第1の仮積層体101にこれらのプレスブロックが当接する際の衝撃荷重がかかり、その凹凸面の略平坦化を充分に行うことができない傾向がみられ、上記速度V1が上記範囲の下限を下回ると、タクトタイムが長くなりすぎ、生産性が悪くなる傾向がみられる。
なお、上記V1は、上記下側プレスブロック28の下側フレキシブル金属板(板状体)43が第1の仮積層体101に当接する際における速さを示している。
上記第2の平面プレス手段3(図1に戻る)は、第1の平面プレス手段2から搬送用フィルム5,5'により搬送されてきた第2の仮積層体102を上側プレスブロック46および下側プレスブロック47(図4参照)間に位置決めし、これら上側プレスブロック46および下側プレスブロック47で加熱加圧して第2の仮積層体102の略平坦化された凹凸面をさらに平坦化するものである。この実施の形態では、図4に示すように、基本的な構成は、第1の平面プレス手段2(図3参照)と同様であり、プレス台44に立設された複数本の支柱45(図4では四隅4本のうち2本しか図示せず)と、これら各支柱45にボルト,ナット等の固定器具で固定された上側プレスブロック46と、上記各支柱45に昇降自在に取り付けられた下側プレスブロック47とを備える。
すなわち、下側プレスブロック47が上側プレスブロック46に対して所定速度V2で進みながら上記第2の仮積層体102を挟んで加熱加圧し、上記第2の仮積層体102の略平坦化された凹凸面をさらに平坦化するものである。
すなわち、PLCからの指令信号により動作するサーボモータ53の回転動作は、リニアスケール54から送られる上側プレスブロック46および下側プレスブロック47間の距離情報がフィードバックされることにより制御されている。この例では、PLCからの指令信号によりサーボモータ53を回転させて下側プレスブロック47を上昇させており、上側プレスブロック46および下側プレスブロック47の間隙(リニアスケールから送られる上側プレスブロック46,下側プレスブロック47間の距離情報)が予め設定した値になると、設定した値になったとの情報がPLCに組み込まれた指令信号にフィードバックされ、サーボモータ53の回転が遅くなる、または停止するようになっている。これにより、下側プレスブロック47の停止位置をより正確に設定することができ、上側プレスブロック46および下側プレスブロック47の間隙をより正確に設定することができる。
すなわち、上記速度V2が上記範囲の上限を超えると、フィルム106の樹脂が第2の仮積層体102の凹部の隅々までいきわたらず、わずかに凹部が残る傾向がみられる。また、フィルム106の端部から上記樹脂がはみ出し、得られる積層体103の端部の厚みが薄くなるおそれがある。一方、上記速度V2が上記範囲の下限を下回ると、加熱により溶融したフィルム106の樹脂を上側プレスブロック46および下側プレスブロック47で抑え込む圧力に達する前に上記フィルム106の樹脂が流動してしまい、得られる積層体103の厚みムラが発生するおそれがある。
なお、上記速度V2は、上記下側プレスブロック47の金属板(板状体)51が第2の仮積層体102に当接する際における速さを示している。
上記凹凸度合いWは、図5に示すとおり、第2の仮積層体102の略平坦化された凹凸面の凹凸差を示すものである。上記凹凸度合いWは、上記略平坦化された凹凸面において、下記の式(2)で算出される銅密度Tの高い箇所Q1の厚みをH1とし、銅密度Tの低い箇所Q2の厚みをH2としたときにH1-H2で示されるものであり、その値は下記の式(3)によって算出することができる。
ここで、上記銅密度Tは、図10に示すように、銅ライン108の幅をLとし、隣り合う銅ライン108のピッチをSとしたときに、下記の式(2)に基づいて算出されるものである。
銅密度T=L/(L+S)・・・(2)
凹凸度合いW=h2×(T1-T2)・・・(3)
そして、上記厚みH1およびH2は、下記の式によって算出される。
H1=(T1×h2)+h1
H2=(T2×h2)+h1
(ただし、T1は箇所Q1の銅密度であり、T2は箇所Q2の銅密度であり、h1は積層前のフィルム106の厚みであり、h2は銅ライン108の厚みである。)
そして、上記第2の仮積層体102表面の凹凸度合いWが部分的に異なる場合には、凹凸度合いWが高い(数値が大きい)ものを上記V2の凹凸度合いWに対する割合(V2/W)の算出に用いるものとする。また、第2の仮積層体102の凹凸度合いWが一方の面と他方の面とで異なる場合にも、凹凸度合いWが高い(数値が大きい)ものを上記V2の凹凸度合いWに対する割合(V2/W)の算出に用いるものとする。
すなわち、V1に対するV2の割合(V2/V1)が上記の範囲内にあると、微細な凹凸に対してもその表面を平坦化することができ、表面が鏡面化された積層体103を得ることができる。
しかし、上記上側プレスブロック46および下側プレスブロック47の熱盤48,49の内側(プレス側)には、いずれも緩衝材が配置されていない。
したがって、熱盤48,49の内側(プレス側)の平坦性をより確実に、第2の仮積層体102に伝えることができ、表面がより鏡面性のある平坦面に形成された積層体103を得ることができる。
ただし、基材104およびフィルム106等の種類によっては、熱盤48,49と金属板(板状体)50,51との間に緩衝材を設けてもよく、その場合、緩衝効果の小さい緩衝材であることが好ましい。緩衝効果の大小は、通常、緩衝材の材質および厚みによって決定されるが、本発明においては、それ以外に、追従性を緩衝効果の指標のひとつとして用いる。すなわち、追従性の高い緩衝材を、緩衝効果が大きいとすることができる。
搬送手段4、4'(図1に戻る)は、工程の始点に位置する上下の搬送用フィルム繰出し機55,55'、および、工程にワーク100を搬入するための搬入用コンベア7と、工程の終点に配置された搬送用フィルム巻取り機56,56'、ワーク100等を搬送する搬送用フィルム5,5'を工程各所で支承する複数のガイドローラー等と、を備えている。
上記第1の仮積層体101は、基材104の凹凸(銅パターン105)がそのまま表面に現れている。つぎに、上記第1の仮積層体101を第1の平面プレス手段2を経由させるため、表面の凹凸に沿った状態で第1の仮積層体101が押圧され、表面の凹凸が略平坦化された第2の仮積層体102を得ることができる。
さらに、すでに表面の凹凸がなだらかに略平坦化された上記第2の仮積層体102を、さらに緩衝材を有しておらず、サーボモータを備えた第2の平面プレス手段3によって、押圧するため、表面が平坦化された積層体103を得ることができる。
なお、図6は、工程および手段を模式的に示したものであり、説明に必要でない部分の記載を省略している。
これに対し、本発明の積層装置では、上記第2の平面プレス手段3において、その一対のプレスブロック46,47が互いに接近する速度を所定の範囲内になるよう制御して押圧するため、図7(b)に示すように、フィルム106の樹脂の流動性がよくなり、略平坦化された凹凸面に微細な凹凸が残っていたとしても、その凹部にまで充分に届けることができ、すみずみまで平坦化することができる。また、プレスによりフィルム106の端部から樹脂が染み出すことがなく、端部まで厚みが均一化された積層体103を得ることができる。
なお、一対のプレスブロック46,47が互いに接近するとは、プレスブロック46,47が相対的に接近することを意味する。
0.0008≦V2/V1≦0.02 ・・・(1)
すなわち、第2の仮積層体102の凸部の樹脂を凹部へ移動させるためには、第2の平面プレス手段3のように緩衝材を有しないものの方が力を直接伝えることができ、より確実に表面の平坦化を図ることができる。しかし、その場合、第2の仮積層体102の凹凸の程度によっては平坦化できない箇所が生じる恐れがあり、平坦化できた箇所との差が明確になる傾向がみられる。
これに対し、第2の平面プレス手段57のように緩衝材58,59を有していると、その全面に均一的な力を与えることができるため、全体としてその表面の凹凸を平坦化できる傾向がみられる。
ただし、一対のプレスブロックのいずれか一方を固定していると、プレスブロックの速度制御をより精度よく行うことができるため、得られる積層体103の平坦化のレベルをより高めることができる。
なお、図9の各ピース107に付した数字は「Piece No.」であり、後記の表2および図11の「Piece No.」に対応するものである。
また、上記銅パターン105の銅密度(%)は、上記銅密度Tを%表示にしたものであり、図10に示すように、銅ライン108の幅をLとし、隣り合う銅ライン108のピッチをSとしたときに、下記の式に基づいて算出したものである。
銅密度(%)=L/(L+S)×100
そして、準備した凹凸面を有する基材104の凹凸面に、厚み(h1)22.5μmエポキシ樹脂系のフィルム106を載置して、プレス対象であるワーク100を作製した。なお、上記銅ライン108の厚み(h2)は18μmである。
上記ワーク100に対して、図1に示す積層装置を用い、以下のとおり積層体103を作製した。
まず、真空積層手段1の上側熱盤16、下側熱盤20により空間部26を予め110℃に調整し、吸引開始30秒後の空間部26の圧力を100Pa以下とし、厚み2mmの上側弾性プレス板17,下側弾性プレス板21でワーク100を1MPaの圧力で20秒間加圧し、第1の仮積層体101を作製した。
ついで、第1の平面プレス手段2において、上側フレキシブル金属板(板状体)38,下側フレキシブル金属板(板状体)43として、ステンレス板状体(SUS630H,2mm)を用い、上側緩衝材37,下側緩衝材42として、厚み2.5mmのフッ素ビニリデン系ゴムを用いた。そして、上側熱盤36,下側熱盤41を120℃に調整し、油圧シリンダ33によって下側プレスブロック28を上昇させ、上記下側フレキシブル金属板(板状体)43が7.5mm/秒の速度で上記第1の仮積層体101に当接するように設定した。そして、上側フレキシブル金属板(板状体)38,下側フレキシブル金属板(板状体)43で第1の仮積層体101を0.8MPaの圧力で30秒間加熱プレスし、第2の仮積層体102を作製した。
そして、第2の平面プレス手段3において、熱盤48,49を100℃に調整し、厚み2mmの金属板(板状体)50と厚み2mmの金属板(板状体)51間の距離が、第2の仮積層体102の厚みより20μm少なくなるように設定した。そして、サーボモータ53によって下側プレスブロック47を上昇させ、上記金属板(板状体)51が0.01mm/秒の速度で上記第2の仮積層体102に当接するようにサーボモータ53の作動を制御し、第2の仮積層体102を60秒間プレスして、積層体103を作製した。
図1に示す積層装置において、第2の平面プレス手段3に代えて、第2の平面プレス手段57(図8を参照)を用いた積層装置を使用し、その第2の平面プレス手段57において、上記金属板(板状体)51が0.1mm/秒の速度で上記第2の仮積層体102に当接するようにサーボモータ53の作動を制御した以外は、実施例1と同様にして積層体103を作製した。
上記第2の平面プレス手段57は、第2の平面プレス手段3の金属板(板状体)50と熱盤48との間、および金属板(板状体)51と熱盤49との間に緩衝材58,59として厚み0.5mmのフッ素ビニリデン系ゴムを用いたものである。
第2の平面プレス装置3において、上記金属板(板状体)51が0.1mm/秒の速度で上記第2の仮積層体102に当接するようにサーボモータ53の作動を制御した以外は、実施例1と同様にして積層体103を作製した。
第2の平面プレス手段3において、上記金属板(板状体)51が1mm/秒の速度で上記第2の仮積層体102に当接するようにサーボモータ53の作動を制御した以外は、実施例1と同様にして積層体103を作製した。
第2の平面プレス手段3において、上記金属板(板状体)51が0.003mm/秒の速度で上記第2の仮積層体102に当接するようにサーボモータ53の作動を制御した以外は、実施例1と同様にして積層体103を作製した。
図1に示す積層装置において、第2の平面プレス手段3に代えて、第1の平面プレス手段2'(図3を参照)を用いた積層装置を使用した。この比較例3においては、上記第1の平面プレス手段2'が有する上側緩衝材37,下側緩衝材42として、厚み0.5mmのフッ素ビニリデン系ゴムを用いている。すなわち、上記第1の平面プレス手段2'は、上記第1の平面プレス手段2より緩衝効果の小さい緩衝材を有している。
そして、上記第1の平面プレス手段2'において、上側熱盤36,下側熱盤41を120℃に調整し、油圧シリンダ33によって下側プレスブロック28を上昇させ、上記下側フレキシブル金属板(板状体)43が7.5mm/秒の速度で第2の仮積層体102に当接するように設定した。そして、上側フレキシブル金属板(板状体)38,下側フレキシブル金属板(板状体)43で上記第2の仮積層体102を0.8MPaの圧力で30秒間加熱プレスした。それ以外は、実施例1と同様にして積層体103を作製した。
なお、実施例1については、測定した部位ごとの厚みについても後記の表2にそれぞれ示した。この表2から、最小厚みを示すピース107は、Piece No.17、60、61、64であり、最大厚みを示すピース107は、Piece No.35、37であることがわかる。
図12(b)の結果から、フィルム106の樹脂の染み出しがほとんど無かった実施例1では、フィルム106の樹脂厚みは端部近傍に至るまでほぼ均一であるのに対し、フィルム106の樹脂の染み出し量が多かった比較例3では端部に近づくにつれてフィルム106の樹脂厚みが減少し、フィルム106の樹脂厚みは最大で22μmも異なることがわかった。
また、第2の平面プレス手段3における金属板(板状体)51と第2の仮積層体102との当接が通常より遅い速度で行われたため、上記第2の仮積層体102内の樹脂がその端部からはみ出るという不具合が生じることを防止できた。
これに対し、第2の平面プレス手段3(または第1の平面プレス手段2')における金属板(板状体)51(またはフレキシブル金属板43)が第2の仮積層体102に当接する速度が本発明で規定する範囲から外れている比較例1~3は、厚みのばらつきがいずれも実施例1~3に劣っていた。すなわち、第2の平面プレス手段3の駆動手段として、サーボモータ53を採用しても、その当接する速度が本発明で規定する範囲の上限を超えていると、フィルム106の樹脂の流動を充分に行うことができず(比較例1)、その当接する速度が本発明で規定する範囲の下限未満であれば、フィルム106の樹脂の流動にムラが生じるため(比較例2)、いずれも得られる積層体103を充分に平坦化することができなかった。特に、比較例2では、厚みのムラの程度が大きく、目視でも厚みのムラが生じたことが判明できるほどであった。
しかも、比較例1~3では、凹凸に沿わずに偏った厚みの樹脂が外側に染み出すため、染み出した樹脂の距離も長いことからもわかるとおり、得られた積層体103の端部と中央部とでは厚みが異なっていた。
すなわち、ワーク100を理想的(フィルムが基材の凹部に抵抗なくそのまま当接するように)に押圧すると仮定した場合、前者は基材の凸部の上に22μm(40μm-18μm)の厚みのフィルム(樹脂)が載ることになる。これに対し、後者は基材の凸部の上に4.5μm(22.5μm-18μm)の厚みのフィルム(樹脂)が載ることになるため、これらは、基材の凹部に充填できる樹脂量が単純計算で4倍異なるため、その平坦化の困難性も異なるものとなる。本発明は、フィルム(樹脂)106の厚みが従来に比べて薄いもの(例えば30μm以下)であっても、積層体103に対してレベルの高い平坦化を可能にするものである。
2 第1の平面プレス手段
3 第2の平面プレス手段
101 第1の仮積層体
102 第2の仮積層体
103 積層体
104 基材
106 フィルム
Claims (3)
- 凹凸を有する基材の凹凸面にフィルムを積層する装置であって、減圧下で上記基材にフィルムを密着追従させて、上記基材の凹凸面に追従する凹凸面を有する第1の仮積層体を形成する真空積層手段と、上記第1の仮積層体を押圧して上記第1の仮積層体の凹凸面を略平坦化し、略平坦化された凹凸面を有する第2の仮積層体を形成する第1の平面プレス手段と、上記第2の仮積層体を第1の平面プレス手段と異なる条件で押圧して、上記第2の仮積層体の略平坦化された凹凸面をさらに平坦化し、積層体を形成する第2の平面プレス手段とを備え、
上記第1の平面プレス手段が、対向する一対のプレスブロックを有し、上記一対のプレスブロックの少なくとも一方が他方に対し進退可能に設定され、上記一対のプレスブロックの少なくとも一方が熱盤と、板状体と、これらの間に配置される緩衝材とを有しており、
上記第2の平面プレス手段が、対向する一対のプレスブロックと、上記一対のプレスブロックの少なくとも一方に連結されたサーボモータとを有し、上記サーボモータの作動により上記一対のプレスブロックの少なくとも一方が他方に対し進退可能に設定され、上記一対のプレスブロックの少なくとも一方が熱盤と板状体とを有し、これらの間に、緩衝材を有していないか、上記第1の平面プレス手段の緩衝材より緩衝効果の小さい緩衝材を有し、上記一対のプレスブロックが互いに接近する速度が0.005~0.5mm/秒となるように、上記サーボモータの作動が制御されていることを特徴とする積層装置。 - 上記第1の平面プレス手段の一対のプレスブロックが互いに接近する速度をV1とし、 上記第2の平面プレス手段の一対のプレスブロックが互いに接近する速度をV2としたときに、V1およびV2が下記の式(1)を満たしている請求項1記載の積層装置。
0.0008≦V2/V1≦0.02 ・・・(1) - 上記第1の平面プレス手段の、上記一対のプレスブロックの少なくとも一方に油圧シリンダまたはエアーシリンダが連結され、上記油圧シリンダまたはエアーシリンダの作動により上記一対のプレスブロックの少なくとも一方が他方に対し進退可能になっている請求項1または2記載の積層装置。
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