JP7175092B2 - 光硬化性組成物及びパターン形成方法 - Google Patents
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Description
ナノインプリントリソグラフィでは、光(紫外線、電子線)で硬化する光硬化性樹脂を含有する光硬化性組成物が用いられている。かかる場合、所定のパターンを有するモールドを、光硬化性樹脂を含む樹脂膜に押圧し、次いで、光を照射して光硬化性樹脂を硬化させ、その後、樹脂硬化膜からモールドを剥離することにより転写パターン(構造体)が得られる。
例えば、特許文献1には、光照射により重合する重合性基を有するシロキサンポリマーを含有するナノインプリント用組成物が開示されている。この組成物によれば、モールド離型性の向上が図れる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、基板への塗布性に加えて、モールドと樹脂硬化膜との離型性、及び基板と樹脂硬化膜との密着性のいずれにも優れた光硬化性組成物、及びパターン形成方法を提供することを課題とする。
すなわち、本発明の第1の態様は、(P)成分:重合性官能基を有するリン酸エステルと、(A)成分:3つ以上の重合性官能基を有する光重合性化合物(但し、前記(P)成分を除く)と、(B)成分:1つ又は2つの重合性官能基を有する光重合性モノマー(但し、前記(P)成分を除く)と、(C)成分:光重合開始剤と、を含有し、表面張力が25~35mN/mであることを特徴とする、光硬化性組成物である。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。アルコキシ基中のアルキル基も同様である。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「ハロゲン化アルキル基」は、アルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基であり、該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「フッ素化アルキル基」又は「フッ素化アルキレン基」は、アルキル基又はアルキレン基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基をいう。
「構成単位」とは、高分子化合物(樹脂、重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方を意味する。
「置換基を有していてもよい」と記載する場合、水素原子(-H)を1価の基で置換する場合と、メチレン基(-CH2-)を2価の基で置換する場合との両方を含む。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
「アクリル酸エステル」は、アクリル酸(CH2=CH-COOH)のカルボキシ基末端の水素原子が有機基で置換された化合物である。
アクリル酸エステルは、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該α位の炭素原子に結合した水素原子を置換する置換基(Rα0)は、水素原子以外の原子又は基であり、たとえば炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のハロゲン化アルキル基等が挙げられる。また、置換基(Rα0)がエステル結合を含む置換基で置換されたイタコン酸ジエステルや、置換基(Rα0)がヒドロキシアルキル基やその水酸基を修飾した基で置換されたαヒドロキシアクリルエステルも含むものとする。なお、アクリル酸エステルのα位の炭素原子とは、特に断りがない限り、アクリル酸のカルボニル基が結合している炭素原子のことである。
以下、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されたアクリル酸エステルをα置換アクリル酸エステルということがある。また、アクリル酸エステルとα置換アクリル酸エステルとを包括して「(α置換)アクリル酸エステル」ということがある。また、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されたアクリル酸をα置換アクリル酸ということがある。また、アクリル酸とα置換アクリル酸とを包括して「(α置換)アクリル酸」ということがある。
また、α位の置換基としてのハロゲン化アルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
また、α位の置換基としてのヒドロキシアルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、水酸基で置換した基が挙げられる。該ヒドロキシアルキル基における水酸基の数は、1~5が好ましく、1が最も好ましい。
本発明の第1の態様の光硬化性組成物は、(P)成分:重合性官能基を有するリン酸エステルと、(A)成分:3つ以上の重合性官能基を有する光重合性化合物(但し、前記(P)成分を除く)と、(B)成分:1つ又は2つの重合性官能基を有する光重合性モノマー(但し、前記(P)成分を除く)と、(C)成分:光重合開始剤と、を含有し、表面張力が25~35mN/mである。
(P)成分は、重合性官能基を有するリン酸エステルである。
「重合性官能基」とは、化合物同士がラジカル重合等により重合することを可能とする基であり、例えばエチレン性二重結合などの炭素原子間の多重結合を含む基をいう。
重合性官能基としては、例えば、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、フルオロビニル基、ジフルオロビニル基、トリフルオロビニル基、ジフルオロトリフルオロメチルビニル基、トリフルオロアリル基、パーフルオロアリル基、トリフルオロメチルアクリロイル基、ノニルフルオロブチルアクリロイル基、ビニルエーテル基、含フッ素ビニルエーテル基、アリルエーテル基、含フッ素アリルエーテル基、スチリル基、ビニルナフチル基、含フッ素スチリル基、含フッ素ビニルナフチル基、ノルボルニル基、含フッ素ノルボルニル基、シリル基等が挙げられる。これらの中でも、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基が好ましく、アクリロイル基、メタクリロイル基がより好ましい。
R3における脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。また、R3における脂肪族炭化水素基は、直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が挙げられ、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましい。
R3における分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、-CH(CH3)-、-CH(CH2CH3)-、-C(CH3)2-、-C(CH3)(CH2CH3)-、-C(CH3)(CH2CH2CH3)-、-C(CH2CH3)2-等のアルキルメチレン基;-CH(CH3)CH2-、-CH(CH3)CH(CH3)-、-C(CH3)2CH2-、-CH(CH2CH3)CH2-、-C(CH2CH3)2-CH2-等のアルキルエチレン基;-CH(CH3)CH2CH2-、-CH2CH(CH3)CH2-等のアルキルトリメチレン基;-CH(CH3)CH2CH2CH2-、-CH2CH(CH3)CH2CH2-等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。
tは、1~6の整数であり、1~3の整数が好ましく、1又は2がより好ましい。
uは、1又は2である。
(P)成分の市販品としては、日本化薬株式会社製の製品名「KAYAMER PM-21」、一般式(P1)におけるs=1,t=1,u=1.5;日本化薬株式会社製の製品名「KAYAMER PM-2」、一般式(P1)におけるs=0,t=1,u=1.5;ユニケミカル株式会社製の製品名「ホスマーM」、一般式(P1)におけるs=0,t=1,u=1;ユニケミカル株式会社製の製品名「ホスマーPE」、一般式(P1)におけるs=0,t=4~5,u=1;ユニケミカル株式会社製の製品名「ホスマーPP」一般式(P1)におけるs=0,t=5~6,u=1等が挙げられる。
(P)成分の含有量は、後述の(A)成分と前記(B)成分との合計100質量部に対して、0.1~10質量部であることが好ましく、0.5~10質量部がより好ましく、1~5質量部がさらに好ましい。
(P)成分の含有量が、前記の好ましい範囲の下限値以上であると、基板と樹脂硬化膜との密着性がより高められる。一方、前記の好ましい範囲の上限値以下であると、基板への塗布性がより向上する。
(A)成分は、3つ以上の重合性官能基を有する光重合性化合物(但し、前記(P)成分を除く)である。
(A)成分における重合性官能基は、上記(P)成分の中で説明した重合性官能基と同様である。
(A)成分としては、例えば、重合開始剤の存在下で、露光によりラジカル重合が進行する重合性化合物が挙げられる。(A)成分として具体的には、光重合性シロキサン化合物、光重合性シルセスキオキサン化合物、3つ以上の重合性官能基を有する多官能モノマー等が挙げられる。
当該光重合性シロキサン化合物の市販品としては、例えば、信越化学工業株式会社製の製品名「KR-513」、「X-40-9296」、「KR-511」、「X-12-1048」、「X-12-1050」等が挙げられる。
Rは、1価の有機基を示し、1価の有機基としては、置換基を有してもよい1価の炭化水素基が挙げられる。この炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基が挙げられる。脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等の炭素数1~20のアルキル基が挙げられ、炭素数1~12のアルキル基が好ましい。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、トリル基、スチリル基等の炭素数6~20の芳香族炭化水素基が挙げられる。
1価の炭化水素基が有してもよい置換基としては、(メタ)アクリロイル基、ヒドロキシ基、スルファニル基、カルボキシ基、イソシアナト基、アミノ基、ウレイド基等が挙げられる。また、1価の炭化水素基に含まれる-CH2-は、-O-、-S-、カルボニル基等に置き換わっていてもよい。
但し、光重合性シルセスキオキサン化合物は、3つ以上の重合性官能基を有する。ここでの重合性官能基としては、ビニル基、アリル基、メタクリロイル基、アクリロイル基等が挙げられる。
当該光重合性シルセスキオキサン化合物の市販品としては、例えば、東亜合成株式会社製の製品名「MAC-SQ LP-35」、「MAC-SQ TM-100」、「MAC-SQ SI-20」、「MAC-SQ HDM」等が挙げられる。
当該多官能モノマーの市販品としては、例えば、新中村化学工業株式会社製の製品名「A-9300-1CL」、「AD-TMP」、「A-9550」、「A-DPH」等が挙げられる。
(A)成分の含有量は、用途や要求特性に応じて適宜設定され、例えば、(A)成分と後述の(B)成分との総量(100質量%)に対して、1~40質量%であることが好ましく、5~20質量%がより好ましい。
インクジェット塗布用として用いる場合、流動性の点から、(A)成分の含有量は、前記(A)成分と前記(B)成分との総量(100質量%)に対して、1~20質量%であることが好ましく、5~15質量%がより好ましい。
(B)成分は、1つ又は2つの重合性官能基を有する光重合性モノマー(但し、前記(P)成分を除く)である。
(B)成分における重合性官能基は、上記(P)成分の中で説明した重合性官能基と同様である。
(B)成分としては、1つの重合性官能基を有する光重合性モノマー(単官能モノマー)を含むことが好ましく、2種以上の単官能モノマーを組み合わせて用いることがより好ましい。この中でも、脂肪族多環構造を含む(メタ)アクリレート((B1)成分)と、芳香族環構造を含む(メタ)アクリレート((B2)成分)との組合せがさらに好ましい。
(B1)成分と(B2)成分との質量比は、5/5~9/1であることが好ましい。当該質量比が、前記の好ましい範囲内であると、基板への塗布性がより向上する。
加えて、(A)成分として光重合性シロキサン化合物又は光重合性シルセスキオキサン化合物と、(B1)成分又は(B2)成分と、を組み合わせて用いることが特に好ましい。
(C)成分は光重合開始剤である。
(C)成分には、露光により前記の(P)成分と(A)成分と(B)成分との重合を開始させ、又は重合を促進させる化合物が用いられる。
(C)成分の市販品としては、BASF社製の製品名「IRGACURE 907」、BASF社製の製品名「IRGACURE 369」、BASF社製、製品名「IRGACURE 819」等が挙げられる。
(C)成分の含有量は、後述の(A)成分と前記(B)成分との合計100質量部に対して、1~20質量部であることが好ましく、2~15質量部がより好ましく、5~15質量部がさらに好ましい。上記の範囲内とすることで、(C)成分の含有量が、前記の好ましい範囲内であると、光硬化性がより向上する。
実施形態の光硬化性組成物には、(P)成分、(A)成分、(B)成分及び(C)成分剤の他に、さらに、所望により混和性のある添加剤、例えば樹脂膜の特性を改良するための添加剤を含有してもよい。
この(S)成分としては、例えば、基板への塗布性が高められやすいことから、アルコール類が好ましい。(S)成分として具体的には、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ペンチルアルコール、s-ペンチルアルコール、t-ペンチルアルコール、イソペンチルアルコール、2-メチル-1-プロパノール、2-エチルブタノール、ネオペンチルアルコール、n-ブタノール、s-ブタノール、t-ブタノール、1-プロパノール、n-ヘキサノール、2-ヘプタノール、3-ヘプタノール、2-メチル-1-ブタノール、2-メチル-2-ブタノール、4-メチル-2-ペンタノール、1-ブトキシ-2-プロパノール、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、5-メチル-1-ヘキサノール、6-メチル-2-ヘプタノール、1-オクタノール、2-オクタノール、3-オクタノール、4-オクタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、2-(2-ブトキシエトキシ)エタノール等の鎖状構造のアルコール類;シクロペンタンメタノール、1-シクロペンチルエタノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサンメタノール、シクロヘキサンエタノール、1,2,3,6-テトラヒドロベンジルアルコール、exo-ノルボルネオール、2-メチルシクロヘキサノール、シクロヘプタノール、3,5-ジメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ターピオネール等の環状構造を有するアルコール類などが挙げられる。
これらの溶剤は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記のなかでも、(S)成分としては、鎖状構造のアルコール類が好ましい。
本発明の第2の態様のパターン形成方法は、基板上に、上述した第1の態様の光硬化性組成物を用いて樹脂膜を形成する工程(以下「工程(i)」という)と、凹凸パターンを有するモールドを、前記樹脂膜に押圧して、前記樹脂膜に前記凹凸パターンを転写する工程(以下「工程(ii)」という)と、前記モールドを前記樹脂膜に押圧しつつ、前記凹凸パターンが転写された樹脂膜を露光して、樹脂硬化膜を形成する工程(以下「工程(iii)」という)と、前記樹脂硬化膜から前記モールドを剥離する工程(以下「工程(iv)」という)と、を有する。
工程(i)では、基板上に、上述した第1の態様の光硬化性組成物を用いて樹脂膜を形成する。
図1(A)に示すように、基板1に、上述した第1の態様の光硬化性組成物を塗布し、樹脂膜2を形成する。尚、図1(A)においては、樹脂膜2の上空にモールド3が配置されている。
また、基板1の形状は、特に限定されるものではなく、板状でもよいし、ロール状でもよい。また、基板1としては、モールドとの組み合わせ等に応じて、光透過性、又は非光透過性のものを選択することができる。
樹脂膜2の膜厚は、用途によって適宜選択すればよく、例えば、0.05~30μm程度とすればよい。
工程(ii)では、凹凸パターンを有するモールドを、前記樹脂膜に押圧して、前記樹脂膜に前記凹凸パターンを転写する。
図1(B)に示すように、樹脂膜2が形成された基板1に、表面に微細な凹凸パターンを有するモールド3を、樹脂膜2に対向して押し当てる。これにより、樹脂膜2を、モールド3の凹凸構造に合わせて変形させる。
モールド3を樹脂膜2に押圧することにより、モールド3の凸部に位置する光硬化性組成物がモールド3の凹部の側に容易に押しのけられ、モールド3の凹凸構造が樹脂膜2に転写される。
モールド3は、光透過性モールドが好ましい。光透過性モールドの材料は、特に限定されないが、所定の強度、耐久性を有するものであればよい。具体的には、ガラス、石英、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート樹脂などの光透明性樹脂膜、透明金属蒸着膜、ポリジメチルシロキサンなどの柔軟膜、光硬化膜、金属膜等が例示される。
工程(iii)では、前記モールドを前記樹脂膜に押圧しつつ、前記凹凸パターンが転写された樹脂膜を露光して、樹脂硬化膜を形成する。
図1(C)に示すように、モールド3を樹脂膜2に押圧した状態で、凹凸パターンが転写された樹脂膜2に露光を行う。具体的には、紫外線(UV)などの電磁波が樹脂膜2に照射される。露光により、モールド3が押圧された状態で樹脂膜2が硬化し、モールド3の凹凸パターンが転写された樹脂硬化膜(樹脂硬化パターン)が形成される。
なお、図1(C)におけるモールド3は、電磁波に対して透過性を有する。
工程(iv)では、前記樹脂硬化膜から前記モールドを剥離する。
図1(D)に示すように、樹脂硬化膜からモールド3を剥離する。これにより、凹凸パターンが転写された樹脂硬化膜からなるパターン2’(樹脂硬化パターン)が基板1上にパターニングされる。
ここでの離型剤としては、例えば、シリコン系離型剤、フッ素系離型剤、ポリエチレン系離型剤、ポリプロピレン系離型剤、パラフィン系離型剤、モンタン系離型剤、カルナバ系離型剤等が挙げられる。これらの中でも、フッ素系離型剤が好ましい。例えば、ダイキン工業株式会社製のオプツールDSX等の市販の塗布型離型剤を好適に用いることができる。離型剤は、一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を併用してもよい。
任意工程としては、エッチング工程(工程(v))、エッチング処理後の樹脂硬化膜(樹脂硬化パターン)除去工程(工程(vi))等が挙げられる。
工程(v)では、例えば、上述の工程(i)~(iv)で得られたパターン2’をマスクとして基板1をエッチングする。
図2(E)に示すように、パターン2’が形成された基板1に対して、プラズマおよび反応性イオンの少なくとも一方を照射すること(矢印で図示)により、パターン2’側に露出した基板1部分を、所定深さまでエッチングにより除去する。
工程(v)で使用されるプラズマまたは反応性イオンのガスは、ドライエッチング分野で通常用いられているガスであれば、特に限定されるものではない。
工程(vi)では、工程(v)におけるエッチング処理後に残存する樹脂硬化膜を除去する。
図2(F)に示すように、基板1のエッチング処理後、基板1上に残存する樹脂硬化膜(パターン2’)を除去する工程である。
基板1上に残存する樹脂硬化膜(パターン2’)を除去する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、樹脂硬化膜が溶解する溶液を用いて基板1を洗浄する処理等が挙げられる。
表1~4に示す各成分を配合して、各例の光硬化性組成物をそれぞれ調製した。
なお、実施例3~15、19、20、23~34、37~44は参考例である。
(A)-1:シリコーンメトキシオリゴマー、信越化学工業株式会社製、製品名「KR-513」。
(A)-2:シルセスキオキサン誘導体、東亜合成株式会社製、製品名「MAC-SQ LP-35」。
(A)-3:ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート、新中村化学工業株式会社製、製品名「A-9300-1CL」。
(A)-4:ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、新中村化学工業株式会社製、製品名「AD-TMP」。
(A)-5:ジペンタエリスリトールポリアクリレート、新中村化学工業株式会社製、製品名「A-9550」。
(A)-6:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、新中村化学工業株式会社製、製品名「A-DPH」。
(B)-1:イソボルニルアクリレート、共栄社化学株式会社製、製品名「ライトアクリレートIB-XA」。
(B)-2:ベンジルアクリレート、日立化成株式会社製、製品名「FA-BZA」。
(B)-3:テトラヒドロフルフリルアクリレート、共栄社化学株式会社製、製品名「ライトアクリレートTHF-A」。
(B)-4:2-ヒドロキシエチルアクリレート、共栄社化学株式会社製、製品名「ライトエステルHOA(N)」。
(B)-5:片末端メタクリルシロキサンモノマー、信越化学工業株式会社製、製品名「X-22-2404」。
(P)-1:EO変性フェノキシリン酸アクリレート、日本化薬株式会社製、製品名「KAYAMER PM-21」。一般式(P1)におけるs=1,t=1,u=1.5
(P)-2:EO変性フェノキシリン酸アクリレート、日本化薬株式会社製、製品名「KAYAMER PM-2」。一般式(P1)におけるs=0,t=1,u=1.5
(P)-3:アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、ユニケミカル株式会社製、製品名「ホスマーM」。一般式(P1)におけるs=0,t=1,u=1
(P)-4:アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレート、ユニケミカル株式会社製、製品名「ホスマーPE」。一般式(P1)におけるs=0,t=4~5,u=1
(P)-5:アシッドホスホオキシポリオキシプロピレングリコールモノメタクリレート、ユニケミカル株式会社製、製品名「ホスマーPP」。一般式(P1)におけるs=0,t=5~6,u=1
(C)-1:2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、BASF社製、製品名「IRGACURE 907」。
(C)-2:2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、BASF社製、製品名「IRGACURE 369」。
(C)-3:ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、BASF社製、製品名「IRGACURE 819」。
各例の光硬化性組成物について、以下に示す各方法により、表面張力、基板への塗れ広がり性、基板と樹脂硬化膜との密着性、モールドと樹脂硬化膜との離型性をそれぞれ評価した。これらの結果を表5~8に示した。
各例の光硬化性組成物について、滴下容量法表面張力測定装置(LAUDA社製、製品名TVT1)を用い、温度25℃の条件で表面張力[mN/m]を測定した。
KM-512(コニカミノルタジャパン株式会社製)のインクジェットヘッドを備えたインクジェット塗布装置(武蔵エンジニアリング株式会社製、製品名MIB-500C)(1滴あたりの滴下量を14pLに調整)を用いて、シリコン窒化膜(シリコン基板上にシリコン窒化膜が形成されたもの)上に、光硬化性組成物を300μm間隔で塗布した。そして、塗布してから30秒後における、光硬化性組成物の基板への塗れ広がり状態を確認し、以下の基準により、基板への塗布性を評価した。
評価基準
光硬化性組成物の基板への塗れ広がりの範囲が、300μm間隔に対して、
◎:90%(270μm)以上であった。
〇:80%(240μm)以上90%(270μm)未満であった。
△:50%(150μm)以上80%(240μm)未満であった。
×:50%(150μm)未満であった。
シリコン窒化膜上に、各例の光硬化性組成物をそれぞれ、前記インクジェット塗布装置を用いて塗布し、膜厚200nmの樹脂膜を形成した。
次に、前記の膜厚200nmの樹脂膜を、i線光源から露光量1000mJ/cm2で全面露光して硬化し、樹脂硬化膜を得た。
その後、得られた樹脂硬化膜について、基板と樹脂硬化膜との密着性を、以下に示す方法により評価した。
評価基準
剥離していないマスの数/100マスが、
良好:80/100以上
不良:80/100未満
工程(i):
シリコン窒化膜上に、各例の光硬化性組成物をそれぞれ、前記インクジェット塗布装置を用いて塗布し、膜厚100nmの樹脂膜を形成した。
次に、ナノインプリンターST-200(東芝機械株式会社製)を用いて、凹凸パターンを有する樹脂モールドを、前記樹脂膜に、プレス圧力0.5MPaで30秒間押圧した。これにより、前記樹脂膜に前記凹凸パターンを転写した。
次に、前記樹脂モールドを前記樹脂膜に押圧した状態で、前記のST-200付属のi-lineLEDにより、前記凹凸パターンが転写された樹脂膜を、露光量1000mJ/cm2で露光して硬化し、樹脂硬化膜(樹脂硬化パターン)を形成した。
その後、前記樹脂硬化パターンから、当該樹脂硬化パターンを押圧する樹脂モールドを剥離した。
工程(iv)の後、樹脂モールドへの光硬化性組成物(硬化物)の付着残りの有無を確認し、以下の基準で、モールドと樹脂硬化膜との離型性を評価した。
評価基準
〇:樹脂モールドに光硬化性組成物(硬化物)の付着残りが無い
×:樹脂モールドに光硬化性組成物(硬化物)の付着残りが有り
(P)成分を含有していない比較例9~14の光硬化性組成物は、基板と樹脂硬化膜との密着性が劣っていた。
表面張力が25~35mN/mの範囲外であり、かつ、(P)成分を含有していない比較例15の光硬化性組成物は、基板への塗布性、及び基板と樹脂硬化膜との密着性がいずれも劣っていた。
Claims (4)
- (P)成分:下記一般式(P1)で表されるリン酸エステルと、
(A)成分:3つ以上の重合性官能基を有する光重合性化合物(但し、重合性官能基を有するリン酸エステルを除く)と、
(B)成分:1つ又は2つの重合性官能基を有する光重合性モノマー(但し、重合性官能基を有するリン酸エステルを除く)と、
(C)成分:光重合開始剤と、
を含有し、
前記(A)成分は、光重合性シロキサン化合物及び光重合性シルセスキオキサン化合物からなる群より選択される少なくとも一種の光重合性化合物を含み、
前記(B)成分は、(B1)成分:脂肪族多環構造を含む(メタ)アクリレートと(B2)成分:芳香族環構造を含む(メタ)アクリレートとを含み、
前記(P)成分の含有量は、前記(A)成分と前記(B)成分との合計100質量部に対して、1~5質量部であり、
前記(A)成分の含有量は、前記(A)成分と前記(B)成分との総量(100質量%)に対して、1~40質量%であり、
表面張力が25~35mN/mである、光硬化性組成物。
- 前記(B1)成分と前記(B2)成分との質量比は、(B1)成分/(B2)成分=5/5~9/1である、請求項1に記載の光硬化性組成物。
- 光インプリントリソグラフィ用である、請求項1又は2に記載の光硬化性組成物。
- 基板上に、請求項1~3のいずれか一項に記載の光硬化性組成物を用いて樹脂膜を形成する工程と、
凹凸パターンを有するモールドを、前記樹脂膜に押圧して、前記樹脂膜に前記凹凸パターンを転写する工程と、
前記モールドを前記樹脂膜に押圧しつつ、前記凹凸パターンが転写された樹脂膜を露光して、樹脂硬化膜を形成する工程と、
前記樹脂硬化膜から前記モールドを剥離する工程と、
を有する、パターン形成方法。
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