JP7167039B2 - ポリ硫酸ペントサン及びポリ硫酸ペントサンの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリ硫酸ペントサン及びポリ硫酸ペントサンの製造方法に関する。
従来、血栓症や骨関節症等の治療薬としてヘパリンが用いられている。しかし、ヘパリンは牛や豚などの動物性器官から分離される物質であるため、品質管理上の難しさがある。また、宗教上の倫理観などにより、治療の際にその使用が躊躇される場合がある。このため、ヘパリンに替わる動物由来成分フリーの代替治療薬の開発が求められている。
ヘパリンに替わる物質としては、例えば、ポリ硫酸ペントサンが知られている。ポリ硫酸ペントサンは植物由来のキシロオリゴ糖を硫酸化することで得られる。このようなポリ硫酸ペントサンは、動物由来成分フリーの物質であることから、ヘパリンに替わる治療薬としてその応用が期待されている(例えば、特許文献1)。
ポリ硫酸ペントサンは、広葉樹(例えば、ブナ)から得られるキシランの化学的硫酸化により生成される。また、ポリ硫酸ペントサンは、β-D-キシロピラノースが直鎖に結合した硫酸化直鎖多糖からなり、キシロピラノース約10ユニット毎に4-O-メチルグルクロン酸、すなわちウロン酸を有する(特許文献1、2)。
国際公開第2010/000013号公報 特表2009-532467号公報
本発明は医薬用途に好ましい活性を有する、または、保存安定性を有する新規ポリ硫酸ペントサンを提供することを課題とする。本発明は、また、上記硫酸ペントサンの安価で効率的な製造方法を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、従来のポリ硫酸ペントサンと比較して高い抗凝固活性を有する一方で副作用が抑制されたまたは保存安定性を有する新規ポリ硫酸ペントサンを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させた。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1]ウロン酸含量が0.0質量%~6.0質量%であるポリ硫酸ペントサンもしくはその薬学的に許容される塩又はそれらの薬学的に許容される溶媒和物。
[2]ウロン酸含量が0.0質量%~4.0質量%である[1]に記載のポリ硫酸ペントサンもしくはその薬学的に許容される塩又はそれらの薬学的に許容される溶媒和物。
[3]一般式IIで表される構造を有する[1]または[2]に記載のポリ硫酸ペントサンもしくはその薬学的に許容される塩又はそれらの薬学的に許容される溶媒和物。
Figure 0007167039000001
一般式IIにおいて、R1はそれぞれ独立に、水素原子、-COCH3、又は-SO31であり、一分子中少なくとも1つのR1は-SO31であり、X1は水素原子又は一価もしくは二価の金属であり、n1及びn2はそれぞれ独立に0以上30以下の整数を表し、n1及びn2の少なくとも一方は1以上の整数であり、R*は、水素原子、-COCH3、-SO31、又は硫酸化されていてもよいウロン酸残基である。
[4]一般式Iで表される[1]~[3]のいずれかに記載のポリ硫酸ペントサンもしくはその薬学的に許容される塩又はそれらの薬学的に許容される溶媒和物。
Figure 0007167039000002
一般式Iにおいて、Rはそれぞれ独立に、水素原子、-COCH3、又は-SO3Xであり、少なくとも1つのRは-SO3Xであり、Xは、水素原子又は一価もしくは二価の金属であり、Xは、水素原子又は一価もしくは二価の金属であり、nは1以上30以下の整数を表す。
[5]Rがそれぞれ独立に水素原子又は-SO3Xである[4]に記載のポリ硫酸ペントサンもしくはその薬学的に許容される塩又はそれらの薬学的に許容される溶媒和物。
[6]Xがナトリウムである[4]または[5]に記載のポリ硫酸ペントサンもしくはその薬学的に許容される塩又はそれらの薬学的に許容される溶媒和物。
[7][1]~[6]のいずれかに記載のポリ硫酸ペントサンもしくはその薬学的に許容される塩又はそれらの薬学的に許容される溶媒和物を含む医薬組成物。
[8][1]~[6]のいずれかに記載のポリ硫酸ペントサンもしくはその薬学的に許容される塩又はそれらの薬学的に許容される溶媒和物を含む抗凝固剤。
[9]植物由来原料から中性キシロオリゴ糖を得る第1工程と上記中性キシロオリゴ糖からポリ硫酸ペントサンを得る第2工程とを含み、
第1工程は上記植物由来原料の解重合工程を含み、
第2工程は上記中性キシロオリゴ糖の硫酸化工程を含むポリ硫酸ペントサンの製造方法。
[10]上記解重合工程が加熱処理工程である[9]に記載のポリ硫酸ペントサンの製造方法。
[11]上記加熱処理工程が非アルカリ性条件下で120℃以上に加熱する工程である[10]に記載のポリ硫酸ペントサンの製造方法。
[12]上記植物由来原料は、木材由来原料である[9]~[11]のいずれかに記載のポリ硫酸ペントサンの製造方法。
さらに別の観点からは、本発明により、
[1]~[6]のいずれかに記載のポリ硫酸ペントサンもしくはその薬学的に許容される塩又はそれらの薬学的に許容される溶媒和物の抗凝固剤としての使用;
[1]~[6]のいずれかに記載のポリ硫酸ペントサンもしくはその薬学的に許容される塩又はそれらの薬学的に許容される溶媒和物の抗凝固剤の製造のための使用;
抗凝固剤としての使用のための[1]~[6]のいずれかに記載のポリ硫酸ペントサンもしくはその薬学的に許容される塩又はそれらの薬学的に許容される溶媒和物;
血液凝固を阻害する方法であって、[1]~[6]のいずれかに記載のポリ硫酸ペントサンもしくはその薬学的に許容される塩又はそれらの薬学的に許容される溶媒和物の保湿作用有効量をヒトまたは動物に投与することを含む方法;
医療器材又は医療材料の表面処理方法であって、[1]~[6]のいずれかに記載のポリ硫酸ペントサンもしくはその薬学的に許容される塩又はそれらの薬学的に許容される溶媒和物を医療器材又は医療材料の表面に適用することを含む方法
が提供される。
本発明により医薬用途に好ましい活性を有するまたは保存安定性を有するポリ硫酸ペントサンが提供される。本発明のポリ硫酸ペントサンは抗凝固剤などの医薬組成物として有用である。また、本発明により、上記ポリ硫酸ペントサンの安価で効率的な製造方法が提供される。
図1は、ポリ硫酸ペントサンの製造方法を説明する図である。 図2は、ポリ硫酸ペントサンの製造方法を説明する図である。 ポリ硫酸ペントサンのウロン酸含量と抗IIa活性及び抗Xa活性との関係を示すグラフである。 ポリ硫酸ペントサンのウロン酸含量と抗Xa/抗IIa活性比との関係を示すグラフである。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。
(ポリ硫酸ペントサン)
ポリ硫酸ペントサンは、キシロオリゴ糖の水酸基の少なくとも1つを硫酸化することで得られる化合物である。本明細書においては、ポリ硫酸ペントサンには、ポリ硫酸ペントサンの塩ならびにポリ硫酸ペントサンの溶媒和物及びポリ硫酸ペントサンの塩の溶媒和物も含まれる。ポリ硫酸ペントサン塩は、薬学的に許容される塩であることが好ましく、例えば、ポリ硫酸ペントサンナトリウム、ポリ硫酸ペントサンカリウム、ポリ硫酸ペントサンカルシウム等を挙げることができる。溶媒和物は薬学的に許容される溶媒和物であることが好ましく、溶媒としては、例えば水を挙げることができる。
ポリ硫酸ペントサンは、一般式IIで表される構造を有するものである。なお、ポリ硫酸ペントサンは一般式IIで表される構造を1つ含むものであってもよく、一般式IIで表される構造を2つ以上含むものであってもよい。一般式IIで表される構造を2つ以上含む場合、一般式IIで表される構造は、ポリ硫酸ペントサンの繰り返し単位を表す構造となる。
Figure 0007167039000003
一般式IIにおいて、R1はそれぞれ独立に、水素原子、-COCH3、又は-SO31であり、一分子中少なくとも1つのR1は-SO31である。X1は、水素原子又は一価もしくは二価の金属であり、水素原子、ナトリウム、カリウム又はカルシウムであることが好ましく、ナトリウム、カリウム又はカルシウムであることがより好ましく、ナトリウムであることが特に好ましい。また、n1及びn2はそれぞれ独立に0以上30以下の整数を表し、n1及びn2の少なくとも一方は1以上の整数である。
一般式IIにおいて、n1+n2は1~27が好ましく、2~18がより好ましく、3~10がさらに好ましい。
一般式IIで表される構造の末端であって、一般式IIで表される構造に結合していない部分は、-OR1となっていればよい。すなわち、一般式IIの左末端(n1側)には-OR1が結合し、一般式IIの右末端(n2側)には-R1が結合していればよい。特に一般式IIの左末端(n1側)には-OR1Xが結合し、一般式IIの右末端(n2側)には-R1Xが結合していることが好ましい。ここで、R1Xは水素原子又は-SO31であり、X1は、水素原子又は一価もしくは二価の金属であり、水素原子、ナトリウム、カリウム又はカルシウムであることが好ましく、ナトリウム、カリウム又はカルシウムであることがより好ましく、ナトリウムであることが特に好ましい。
*は、水素原子、-COCH3、-SO31、又は硫酸化されていていてもよいウロン酸残基である。硫酸化されていていてもよいウロン酸残基は以下の一般式で表すことができる。
Figure 0007167039000004
2は、水素原子又は一価もしくは二価の金属であり、ナトリウム、カリウム又はカルシウムであることが好ましく、ナトリウムであることが特に好ましい。R1は上述と同様に、それぞれ独立に、水素原子、-COCH3、又は-SO31である。*は結合位置である。
本発明のポリ硫酸ペントサンは、一般式IIにおいて、R*がウロン酸残基であるものを含まないか、または含むとしても若干量であるものである。具体的には、ウロン酸含量が0.0質量%~6.0質量%であるポリ硫酸ペントサンである。本発明のポリ硫酸ペントサンのウロン酸含量は0.0質量%~4.0質量%であることが好ましく、0.0質量%~2.0質量%であることがより好ましく、0.0質量%~1.0質量%であることがさらに好ましい。本発明のポリ硫酸ペントサンは、ウロン酸含量が実質的に0.0質量%であることが特に好ましい。なお、上記の割合は一分子中で満たしている必要はなく、個々の分子の混合物全体としてのポリ硫酸ペントサンとして満たされていればよい。
すなわち、本発明のポリ硫酸ペントサンは一般式Iで表される構造を有することが好ましい。
Figure 0007167039000005
一般式Iにおいて、Rはそれぞれ独立に、水素原子、-COCH3、又は-SO3Xであり、一分子中少なくとも1つのRは-SO3Xであり、Xは、水素原子又は一価もしくは二価の金属であり、nは1以上30以下の整数を表す。
一般式Iで表される化合物は以下一般式IXで表される化合物であることが好ましい。すなわち、末端のRが-COCH3ではないことが好ましい。
Figure 0007167039000006
一般式IXにおいて、RXはそれぞれ独立に、水素原子又は-SO3Xである。
本発明のポリ硫酸ペントサンにおいては、一般式I中のRの総数の50%以上の数のRが-SO3Xであることが好ましく、70%以上の数のRが-SO3Xであることがより好ましく、90%以上の数のRが-SO3Xであることがさらに好ましい。また、一般式I中のRの総数の8%以下の数のRが-COCH3であることが好ましく、4%以下の数のRが-COCH3であることがより好ましく、1%以下の数のRが-COCH3であることがさらに好ましい。特に、いずれのRも-COCH3ではないことが好ましい。すなわち、Rはそれぞれ独立に、水素原子又は-SO3Xであることが特に好ましい。言い換えると、本発明のポリ硫酸ペントサンはアセチル基を有してないことが好ましい。
なお、上記の割合は一分子中で満たしている必要はなく、個々の分子の混合物全体としてのポリ硫酸ペントサンとして満たされていればよい。
Xは、水素原子、ナトリウム、カリウム又はカルシウムであることが好ましい。ナトリウム、カリウム又はカルシウムであることがより好ましく、ナトリウムであることがさらに好ましい。
nは3以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましく、5以上であることがさらに好ましい。また、nは30以下であることが好ましく、25以下であることがより好ましく、20以下であることがさらに好ましい。
本発明のポリ硫酸ペントサンは、nの値、置換基Rの種類や置換度が互いに異なる一般式Iで表される個々の分子からなる混合物であってもよい。
ポリ硫酸ペントサンは、キシロオリゴ糖を硫酸化した構造を有する。キシロオリゴ糖のうち、中性キシロオリゴ糖は、キシロオリゴ糖中に、ウロン酸を含まないものである。酸性キシロオリゴ糖は、キシロオリゴ糖1分子中の少なくともいずれかのキシロース単位に、少なくとも1つのウロン酸が結合したものである。すなわち、酸性キシロオリゴ糖は、キシロオリゴ糖1分子中に少なくとも1つ以上のウロン酸残基を側鎖として有するものである。キシロオリゴ糖1分子中に含まれるウロン酸残基の数は、カルバゾール硫酸法や四ホウ酸ナトリウムを使用した比色法で測定することができる。
本発明のポリ硫酸ペントサンの硫黄含量は、10.0質量%以上であることが好ましく、12.0質量%以上であることがより好ましく、15.5質量%以上であることがさらに好ましく、16.5質量%以上であることが特に好ましい。また、ポリ硫酸ペントサン中に含まれる硫黄含量は、20.0質量%以下であることが好ましい。ここで、ポリ硫酸ペントサン中に含まれる硫黄含量は、日本薬局方に収載されている酸素フラスコ燃焼法にて測定される値である。
本発明のポリ硫酸ペントサンのアセチル基含量は、0~2.0質量%であることが好ましく、0~1.0質量%であることがより好ましく、0~0.4質量%であることがさらに好ましく、0~0.3質量%であることが特に好ましく、実質的に0質量%であることが一層好ましい。上記のアセチル基含量で、より高い抗Xa活性が得ることができる。
ポリ硫酸ペントサン中のアセチル基含量は、1H-NMR測定におけるピークの積分比から算出することができる。具体的には、まず、特定量のポリ硫酸ペントサンと特定量の内標準物質とを含む1H-NMR測定溶液を用いて1H-NMR測定を行なう。得られるスペクトルにおいて内標準物質の特定の基のピークと、アセチル基のピークとの積分比を比較して、溶液中のアセチル基モル量を求める。その後、アセチル基モル量に43を乗じたものを別に得られる平均分子量で割った値から質量%を求めることができる。
本発明のポリ硫酸ペントサンの重量平均分子量(Mw)は、特に限定されるものではないが、例えば、4000以下であってもよく、3900以下であってもよく、3800以下であってもよく、3750以下であってもよい。この場合、ポリ硫酸ペントサンの重量平均分子量(Mw)の下限値は1000であることが好ましい。
また、ポリ硫酸ペントサンの重量平均分子量(Mw)は、4000より大きくてもよく、5000以上であってもよく、7000以上であってもよく、10000以上であってもよく、15000以上であってもよく、20000以上であってもよい。
ポリ硫酸ペントサンの数平均分子量(Mn)は、特に限定されるものではないが、例えば、4000以下であってもよく、3900以下であってもよく、3800以下であってもよく、3750以下であってもよい。この場合、ポリ硫酸ペントサンの数平均分子量(Mn)の下限値は300であることが好ましい。
また、ポリ硫酸ペントサンの数平均分子量(Mn)は、5000以上であってもよく、7000以上であってもよく、10000以上であってもよく、15000以上であってもよく、20000以上であってもよい。
本発明のポリ硫酸ペントサンの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)は、GPC(ゲルパ-ミエーションクロマトグラフィー)により測定することができる。GPCカラムとしては、ワイエムシィ社製のYMC-Pack Diol-300とYMC-Pack Diol-60を連結して用いることができる。また、GPCの条件としては、例えば、下記の条件を採用する。
溶離液:25mMリン酸2水素カリウム/25mMリン酸水素2カリウム/50mM塩化カリウム水溶液
流速:0.7mL/分
測定温度:40℃
検出器:示差屈折率検出器
本発明のポリ硫酸ペントサンの分散度は、1.00以上1.6以下であることが好ましく、1.00以上1.5以下であることがより好ましい。また、ポリ硫酸ペントサンの分散度は、1.00以上1.4以下であることも好ましい。ここで、ポリ硫酸ペントサンの分散度(D)は以下の式で算出される。
分散度(D)=重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)
後述の製造方法で得られるポリ硫酸ペントサンは、純度が高く、分子量分布が狭い傾向が見られる。また、後述の製造方法で得られるポリ硫酸ペントサンは、品質安定性に優れている。
(ポリ硫酸ペントサンの用途:医薬組成物、抗凝固剤)
本発明のポリ硫酸ペントサンは、医薬品、食品や化粧品等の用途に用いることができる。例えば、本発明のポリ硫酸ペントサン(ポリ硫酸ペントサンもしくはその薬学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物)を有効成分として含む医薬組成物を提供することができる。特にポリ硫酸ペントサンは抗凝固活性を有するため、上記医薬組成物は抗凝固剤として用いることができる。
一般的に、抗凝固活性は、血液凝固因子の阻害活性に基づく。すなわち、抗凝固活性が高い状態においては、血液の凝固反応が阻害される。血液凝固因子とは、出血した際などに生体が血液を凝固させるための一連の分子の作用系であり、多数の血液凝固因子が次々に活性化することでフィブリンを凝集させ出血部の止血を行う。血液凝固因子の代表的なものとしては、例えば、Xa因子やIIa因子などが挙げられ、これらの因子の活性を阻害することで血液凝固を阻害することができる。
ポリ硫酸ペントサンのXa因子の阻害活性(抗Xa活性)は、0.10IU/mg以上であることが好ましく、0.12IU/mg以上であることがより好ましい。
また、ポリ硫酸ペントサンのIIa因子の阻害活性(抗IIa活性)は、0.50IU/mg以下であることが好ましく、0.40IU/mg以下であることがより好ましく、0.30IU/mg以下であることがさらに好ましい。
ここで、Xa因子の阻害活性(抗Xa活性)は、テストチーム(登録商標)ヘパリンS(積水メディカル社製)を使用して測定することができる。
また、IIa因子の阻害活性(抗IIa活性)は、Biophen heparin anti-IIa(Hyphen Biomed社製)を使用して測定することができる。
ポリ硫酸ペントサンのXa因子の阻害活性(抗Xa活性)とIIa因子の阻害活性(抗IIa活性)との活性比は、所定の範囲内であることが好ましい。具体的には、抗Xa活性/抗IIa活性の値は、0.50以上であることが好ましく、1.00以上であることがより好ましく、1.10以上であることがさらに好ましく、1.20以上であることが一層好ましい。
本発明のポリ硫酸ペントサンは、抗Xa活性、抗IIa活性、及び抗Xa活性/抗IIa活性の値を上記範囲内に制御できる。特に、本発明のポリ硫酸ペントサンは、抗Xa活性よりも抗IIa活性を低く抑えることができる。抗Xa活性/抗IIa活性の値を上記範囲内に制御することで、抗凝固活性をより効果的に高めることができ、出血リスクが増大したり、血小板が減少する等の副作用の発生を抑制することができる。
本発明のポリ硫酸ペントサンを含む医薬組成物は、例えば、医療器材又は医療材料の表面処理剤として用いることができる。例えば、埋め込み型人工臓器、人工血管、カテーテル、ステント、血液バッグ、コンタクトレンズ、眼内レンズ、手術用補助器具の表面処理剤として用いることができる。医薬組成物を医療器材又は医療材料の表面に固定する方法としては、例えば、医療器材又は医療材料に医薬組成物を接触させておき、そこへ放射線を照射する方法等が挙げられる。
また、医薬組成物の剤型は、任意であるが、例えば、経口投与剤、注射剤、外用剤とすることができる。
(ポリ硫酸ペントサンの製造方法)
本発明のポリ硫酸ペントサンは、中性キシロオリゴ糖の硫酸化により製造することができる。本発明のポリ硫酸ペントサンは中性キシロオリゴ糖の硫酸化により製造することが好ましい。中性キシロオリゴ糖は、植物由来原料から抽出、必要に応じて解重合を行なうことにより得ることもでき、D-キシロースを重合することにより製造することもできる。
一例として、本発明のポリ硫酸ペントサンは、図1に示されているように植物由来原料から中性キシロオリゴ糖を得る第1工程と中性キシロオリゴ糖からポリ硫酸ペントサンを得る第2工程を含むポリ硫酸ペントサンの製造方法により得ることができる。ここで、第1工程は植物由来原料を解重合する工程を含む。植物由来原料の解重合工程と、硫酸化工程とがこの順であることにより、ポリ硫酸ペントサンを効率良く製造することができる。ポリ硫酸ペントサンの製造方法はさらに脱アセチル化工程を含んでいてもよい。脱アセチル化工程を含むことにより、低アセチル基含量のポリ硫酸ペントサンを製造することができる。
(植物由来原料)
中性キシロオリゴ糖は、植物由来原料を解重合することで得ることができる。植物由来原料としては、例えば、木材由来原料、種子由来原料、穀物由来原料、果実由来原料等を挙げることができる。また、植物由来原料としては、コットンリンターやコットンリント等のコットン、ケナフや麻、ラミー、稲ワラ等の草本系植物等を用いることもできる。植物由来原料としては、上述した各由来原料を組み合わせて使用してもよい。
中でも、植物由来原料としては、木材由来原料を用いることが好ましい。木材由来原料としては、例えば、針葉樹や広葉樹のような木材原料を挙げることができる。木材由来原料としては、針葉樹及び広葉樹から選択される少なくとも1種を用いることが好ましく、広葉樹を用いることがより好ましい。なお、木材由来原料として、針葉樹と広葉樹を混合したものを用いてもよい。また、木材由来原料としては、樹皮を用いてもよい。
広葉樹としては、ブナ、ユーカリ・グロブラス、ユーカリ・グランディス、ユーカリ・ユーログランディス、ユーカリ・ペリータ、ユーカリ・ブラシアーナ、アカシア・メランシ等を挙げることができる。針葉樹としては、スギ、ヒノキ、マツ、ヒバ、ツガ等が挙げられる。
木材由来原料の容積重は、450kg/m3以上700kg/m3以下であることが好ましく、500kg/m3以上650kg/m3以下であることがより好ましい。木材由来原料の容積重を上記範囲内とすることにより、中性キシロオリゴ糖の生産効率をより高めることができる。
木材由来原料は、上述した木材を破砕した木材チップであることが好ましい。植物由来原料として木材チップを用いることにより、植物由来原料の解重合を効率よく進めることができ、中性キシロオリゴ糖の生産効率を高めることができる。
(第1工程)
<解重合工程>
第1工程は植物由来原料を解重合する工程を含む。植物由来原料を解重合する工程では、植物由来原料を化学的及び/又は物理的に分解し、中性キシロオリゴ糖を生成させることができる。化学的及び/又は物理的に分解する工程としては、例えば、加熱処理工程、アルカリ処理工程、酸処理工程、酵素処理工程、イオン液体処理工程、触媒処理工程等が挙げられる。中でも、解重合する工程は、加熱処理工程又は酵素処理工程であることが好ましく、加熱処理工程であることがより好ましい。また、加熱処理工程は、加熱加圧工程であってもよい。
解重合工程は、非アルカリ性条件下(pH9以下、好ましくはpH8以下)で行なわれることが好ましい。
加熱処理工程は、植物由来原料を溶液の存在下で加熱する工程である。このような加熱処理工程では植物由来原料が加水分解されるため、加熱処理工程は加水分解処理工程や前加水分解処理工程と呼ばれることがある。加熱処理工程で用いる溶液は水であることが好ましく、植物由来原料に対する水の割合(質量比)は1:1~1:10であることが好ましい。植物由来原料に対する水の割合を上記範囲内とすることにより加水分解反応を効率よく進行させることができる。なお、加熱処理工程で用いられる水は、植物由来原料とは別に添加した水分であってもよいが、その一部は植物由来原料に元々含まれる水分であってもよい。
加熱処理工程では、植物由来原料と水の他に、他の薬品を添加してもよい。他の薬品としては、例えば、アルカリ、酸、キレート剤を挙げることができる。また、スケール防止剤や、ピッチコントロール剤、イオン液体といった多糖の解重合を直接的・間接的に補助する薬品を添加してもよい。
加熱処理工程は、植物由来原料を水の存在下で加熱する工程であるが、この際の加熱温度(液温)は、30℃以上であることが好ましく、50℃以上であることがより好ましく、75℃以上であることがさらに好ましく、90℃以上であることがよりさらに好ましく、100℃以上であることが特に好ましく、120℃以上であることが最も好ましい。また、加熱温度(液温)は、300℃以下であることが好ましく、250℃以下であることがより好ましく、200℃以下であることがさらに好ましい。
加熱処理工程における処理時間は処理温度に応じて適宜決定することができる。処理時間は、例えば、5分以上であることが好ましく、10分以上であることがより好ましく、20分以上であることがさらに好ましい。なお、下記式で表されるPファクターは加熱処理時の温度と時間の積でありPファクターを好ましい範囲内に調整することが好ましい。
Figure 0007167039000007
上記式において、PはPファクターを表し、Tは絶対温度(℃+273.5)を表し、tは加熱処理時間を表し、KH1(T)/K100℃はグリコシド結合の加水分解の相対速度を表す。
加熱処理工程では、Pファクターを200以上とすることが好ましく、250以上とすることがより好ましく、300以上とすることがさらに好ましい。なお、Pファクターは1000以下であることが好ましい。加熱処理工程ではPファクターを適宜調整することで中性キシロオリゴ糖の平均重合度ひいては分子量を所望の範囲内とすることができ、これにより、得られるポリ硫酸ペントサンの分子量を調整することができる。
加熱処理工程では、植物由来原料を含む溶液のpHは9以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましく、7以下であることがさらに好ましい。すなわち、加熱処理工程は、非アルカリ性条件下で行うことが好ましい。なお、上記のpHの値は、加熱処理を行う前の溶液のpHである。
加熱処理工程では、原料由来の酸が解離し、少なくとも一部で酸加水分解が行われてもよい。植物原料由来の酸としては、例えば、酢酸やギ酸等の有機酸を挙げることができる。この場合、酸加水分解後の植物由来原料を含む溶液のpHはさらに低下することとなる。
ポリ硫酸ペントサンの製造方法においては、最初の工程として加熱処理工程を設けることが好ましい。これにより、中性キシロオリゴ糖の生産効率を高めることができ、さらにはポリ硫酸ペントサンの製造効率を高めることができる。最初の工程として加熱処理工程を設けることにより、従来法と比較して中性キシロオリゴ糖を得るまでの工程数を大幅に削減することができる。また、最初の工程として非アルカリ性条件下で加熱処理工程を設けることにより、中性キシロオリゴ糖にヘキセンウロン酸が置換することがなく、着色が抑制された中性キシロオリゴ糖を効率よく生産することができる。
解重合工程は加熱処理工程であることが好ましいが、加熱処理工程以外の工程を採用することもできる。例えば、解重合工程が酵素処理工程である場合は、解重合工程は植物由来原料と酵素を混合する工程を含む。酵素としては、例えば、ヘミセルラーゼ等用いることができる。具体的には、商品名セルロシンHC100(エイチビィアイ社製)、商品名セルロシンTP25(エイチビィアイ社製)、商品名セルロシンHC(エイチビィアイ社製)、商品名カルタザイム(クラリアント社製)、商品名エコパルプ(ローム・エンザイム社製)、商品名スミチーム(新日本化学工業社製)、パルプザイム(ノボノルディクス社製)、マルチフェクト720(ジェネンコア社)などの市販の酵素製剤や、トリコデルマ属、テルモミセス属、オウレオバシヂウム属、ストレプトミセス属、アスペルギルス属、クロストリジウム属、バチルス属、テルモトガ属、テルモアスクス属、カルドセラム属、テルモモノスポラ属などの微生物により生産されるキシラナーゼを使用することができる。
酵素処理工程では、植物由来原料と水を混合した溶液に酵素を添加する。この際の溶液の温度は、10℃以上90℃以下であることが好ましく、30℃以上60℃以下であることがより好ましい。なお、溶液の温度は、用いる酵素の至適温度に近い温度であることが好ましい。また、溶液のpHも酵素の活性が高まるような範囲に調整することが好ましく、例えばpHを3以上10以下に調整することが好ましい。
また、解重合工程がアルカリ処理工程や酸処理工程である場合は、植物由来原料と、アルカリ溶液又は酸溶液を混合する工程を含む。アルカリ処理工程では、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムを添加することが好ましい。また、酸処理工程では、塩酸、硫酸、酢酸等を添加することが好ましい。なお、この場合も適宜加熱や加圧を行ってもよい。
解重合工程が、酵素処理工程、アルカリ処理工程及び酸処理工程から選択される少なくともいずれかである場合は、該処理工程の後に、さらに圧搾工程、抽出工程、加熱工程、濾過工程、分離工程、精製工程、濃縮工程、脱塩工程等が設けられる場合がある。また、該処理工程の後に、低分子化工程を設ける必要がある場合もある。なお、その他の工程としては、特開2003-183303号公報に記載された工程を挙げることができ、これらの内容は本明細書に取り込まれる。
<濾過工程>
第1工程は、上述した解重合工程の後にさらに濾過工程を含んでもよい。濾過工程では、植物由来原料の固形分と、固形分を除く溶液に分離される。具体的には、解重合工程の後に濾過工程を設けることにより、パルプ原料となる固形分と、濾液に分離される。なお、パルプ原料となる固形分は、後工程として蒸解工程等を経ることでセルロース原料(溶解パルプ)となる。
回収した濾液は、ガス層と液層に分けることができる。ガス層には、フルフラール類が多く含まれるため、これらを回収することでフルフラール類を単離することができる。一方、液層には、中性キシロオリゴ糖や酸性キシロオリゴ糖を含むヘミセルロースが多く含まれている。後述する工程において、この液層に含まれる中性キシロオリゴ糖を分離精製することができる。
<分離精製工程>
第1工程は、上述した解重合工程の後にさらに分離精製工程を含んでもよい。第1工程が上述した濾過工程を含む場合、分離精製工程は、濾過工程の後に設けられることが好ましい。
図2においては、解重合する工程の後に、濾過工程を設け、さらに、濾過工程の後に分離精製工程を設けたフロー図が示されている。第1工程では、解重合する工程の直後に分離精製工程を設けてもよいが、解重合する工程の後に濾過工程を設け、得られた濾液から中性キシロオリゴ糖を分離精製する工程を設けることが好ましい。なお、濾過工程は分離精製工程の一部として設けられていてもよいし、図2に示されるように、分離精製工程とは独立した1工程として設けられていてもよい。分離精製工程は、中性キシロオリゴ糖を分離精製する工程である。濾過工程で得られた濾液には、中性キシロオリゴ糖の他に酸性キシロオリゴ糖などが含まれているため、分離精製工程はこれらの他の糖類を除去する工程でもある。
分離精製工程では、例えば、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ゲル濾過、イオン交換処理、NF膜処理、UF膜処理、RO膜処理、活性炭処理等の方法を採用することが好ましい。分離精製工程では、上記方法を複数組み合わせて行うことも好ましい。中でも、分離精製工程においてイオン交換クロマトグラフィーを行うことにより、中性キシロオリゴ糖を選択的に分離精製することができる。イオン交換クロマトグラフィーでは、酸性キシロオリゴ糖を吸着することにより、透過液から中性キシロオリゴ糖を主に取り出すことができる。具体的には、糖液をまず強陽イオン交換樹脂にて処理し、糖液中の金属イオンを除去する。次いで、強陰イオン交換樹脂を用いて糖液中の硫酸イオンなどを除去する。そして、弱陰イオン交換樹脂で処理し、酸性キシロオリゴ糖を樹脂に吸着させる。
<濃縮工程>
第1工程は、さらに濃縮工程を含んでいてもよい。濃縮工程は、図2に示されているように、例えば、濾過工程の後であって、分離精製工程の前に設けられることが好ましい。このような濃縮工程を設けることにより、分離精製工程をより効率良く行うことができ、ポリ硫酸ペントサンの生産効率を高めることができる。
濃縮工程としては、例えば、NF膜、限外濾過膜、逆浸透膜等を用いた膜処理工程や、エバポレーション等を用いた濃縮工程等を挙げることができる。
濃縮工程では、中性キシロオリゴ糖の含有量が、濃縮液の全質量に対して10%以上80%以下となるように濃縮することが好ましく、20%以上60%以下となるように濃縮することが好ましい。
<脱水工程>
第1工程で得られる中性キシロオリゴ糖は、中性キシロオリゴ糖液として得てもよいが、脱水工程を経ることにより、中性キシロオリゴ糖濃縮物や中性キシロオリゴ糖粉末として得てもよい。中性キシロオリゴ糖粉末を製造する場合は、分離精製工程の後に、さらに粉末化工程を設けることが好ましい。本発明において、脱水工程を設けることにより、後述する硫酸化工程における硫酸化を効率よく進めることができる。
粉末化工程では、分離精製工程で得られた中性キシロオリゴ糖液を、例えば、スプレードライヤー、凍結乾燥機、熱風乾燥機、水溶性の有機溶媒等を用いて処理することにより、中性キシロオリゴ糖粉末を得ることができる。
(第2工程)
<硫酸化工程>
第1工程で得られた中性キシロオリゴ糖を第2工程において硫酸化することでポリ硫酸ペントサンを得ることができる。すなわち、第2工程は硫酸化工程を含む。
硫酸化に供される中性キシロオリゴ糖の平均重合度は、最終生成物として得られるポリ硫酸ペントサンの分子量によって適宜調整することが好ましい。
中性キシロオリゴ糖の平均重合度は、中性キシロオリゴ糖の全糖量を、還元糖量で除すことで算出することができる。全糖量を算出する際には、まず、キシロオリゴ糖液を50℃に保ち、15000rpmにて15分間遠心分離を行う。その後、上清液の全糖量をフェノール硫酸法(「還元糖の定量法」学会出版センター発行)にて定量する。この際、使用する検量線はD-キシロース(和光純薬工業)を用いて作成する。また、還元糖量は、ソモジーネルソン法(「還元糖の定量法」学会出版センター発行)にて定量する。この際にも、使用する検量線はD-キシロース(和光純薬工業)を用いて作成する。
硫酸化工程では、中性キシロオリゴ糖液に硫酸又は硫酸誘導体を加え、硫酸化を行う。硫酸誘導体としては、例えば、三酸化硫黄・ピリジン錯体やクロロスルホン酸等を挙げることができる。この際、中性キシロオリゴ糖液の濃度は、0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、このような濃度の中性キシロオリゴ糖液に硫酸を0.1質量%以上50質量%以下となるように添加することが好ましい。硫酸を添加した後の中性キシロオリゴ糖液のpHは7以上であることが好ましい。
<硫酸化後精製工程>
第2工程は、硫酸化の後に、硫酸化後精製工程をさらに含んでもよい。このような硫酸化後精製工程を設けることにより、純度の高いポリ硫酸ペントサンを得ることができる。
硫酸化後精製工程では、例えば、遠心分離、膜濾過、透析、水溶性有機溶媒処理、活性炭処理等の方法を採用することが好ましい。中でも、水溶性有機溶媒処理及び活性炭処理は、硫酸化されたポリ硫酸ペントサンを選択的に分離精製することができるため、好ましく用いられる。
<粉末化工程>
第2工程では、硫酸化されたポリ硫酸ペントサンは、ポリ硫酸ペントサン溶液として得てもよいが、粉末化工程を経ることにより、ポリ硫酸ペントサン粉末として得てもよい。ポリ硫酸ペントサン粉末を製造する場合は、硫酸化後精製工程の後に、さらに粉末化する工程を設けることが好ましい。
粉末化工程としては、硫酸化後精製工程で得られたポリ硫酸ペントサン溶液を、例えば、スプレードライヤー、凍結乾燥機、熱風乾燥機、水溶性の有機溶媒等を用いて処理することにより、ポリ硫酸ペントサン粉末を得ることができる。
上述したような第2工程を経ることで、ポリ硫酸ペントサンが得られる。ここで得られるポリ硫酸ペントサンの硫黄含量は、ポリ硫酸ペントサンの全質量に対して10質量%以上20質量%以下が好ましい。ポリ硫酸ペントサンの硫黄含量は、日本薬局方一般試験法の酸素フラスコ燃焼法などにより測定できる。
(脱アセチル化工程)
ポリ硫酸ペントサンの製造の際に脱アセチル化を行なってもよい。脱アセチル化工程は解重合工程の後のいずれかの段階であることが好ましい。脱アセチル化工程により、ポリ硫酸ペントサンが有するアセチル基含量を低減させることができる。具体的には、脱アセチル化工程は、中性キシロオリゴ糖等の、植物由来原料をもとに得られた物質を含む溶液(本明細書においては、「中性キシロオリゴ糖等を含む溶液」とも呼ぶ。)をpH11以上とするために塩基を添加する工程である。脱アセチル化工程においては、解重合後に得られる溶液、濾過工程で得られた濾液、分離精製工程後かつ硫酸化工程前の中性キシロオリゴ糖を含む溶液、又は硫酸化工程後の中性キシロオリゴ糖(ポリ硫酸ペントサン)を含む溶液等がpH11以上とされていればよい。これらのうち、分離精製工程後かつ硫酸化工程前の中性キシロオリゴ糖を含む溶液をpH11以上とした場合には、安定した品質でアセチル基含量が低減したポリ硫酸ペントサンを得ることができ、また、アセチル基が結合していた部位も硫酸化することができるため、硫酸化の効率、ひいてはポリ硫酸ペントサンの製造効率を向上させることが可能である。また、硫酸化工程後の中性キシロオリゴ糖(ポリ硫酸ペントサン)を含む溶液をpH11以上とした場合には、精製工程を効率化することができる。中性キシロオリゴ糖等を含む溶液は水溶液であることが好ましい。本明細書において中性キシロオリゴ糖を含む溶液を中性キシロオリゴ糖液ということもある。
脱アセチル化工程で適用されるpHは11~14であることが好ましく、12~13がより好ましい。脱アセチル化工程に付される溶液は、0.5時間以上pH11以上で維持することが好ましく、1.0時間以上pH11以上で維持することがより好ましく、2.0時間以上pH11以上で維持することがさらに好ましく、3.0時間以上pH11以上で維持することが特に好ましい。特にpHが12未満のときは1.0時間以上維持することが好ましい。特に好ましい条件としてはpH12~13で3時間以上維持する条件を挙げることができる。
上記のpHに維持する間、上記溶液は、撹拌されていることが好ましい。上記のpHに維持する間の温度条件は特に限定されないが、室温であることが好ましい。
脱アセチル化工程においては、脱アセチル化工程に付される溶液(中性キシロオリゴ糖を含む溶液等)に塩基が添加されればよい。添加される塩基は目的のpHが達成できる限り特に限定されないが、水酸化ナトリウムが好ましい。
脱アセチル化工程は、上記のpHでの維持後、塩基の添加によりpH11以上となった溶液を、pH11未満に調整するpH調整工程を含んでいてもよい。pH調整工程では、例えば、pH9以下、pH8以下、pH7以下、pH6以下、pH5以下、pH4以下等に調整されればよい。調整は酸の添加により行なわれればよい。酸としては塩酸が挙げられる。
脱アセチル化工程は、上記pH調整工程の後に脱塩工程を含むことも好ましい。脱塩は例えば透析膜やNF膜を用いて行なうことができる。
脱アセチル化工程は、さらにその後の処理のために生成物を粉末化する工程を含んでいてもよい。
(その他の工程)
<分子量調整工程>
上述した第1工程と第2工程の間に、分子量調整工程をさらに含んでもよい。ポリ硫酸ペントサンの製造方法が脱アセチル化工程を含むとき、分子量調整工程は脱アセチル化工程の前であってもよく、後であってもよい。図2には、第1工程と第2工程の間に、分子量調整工程を含むフロー図が示されている。図2に示されているように、分子量調整工程では、第1工程で得られる中性キシロオリゴ糖の分子量を調整する。例えば、分子量調整工程では、中性キシロオリゴ糖を低分子化することができる。
分子量調整工程では、例えば、酸処理やアルカリ処理、酵素処理、NF膜処理、UF膜処理、RO膜処理、ゲル濾過処理、活性炭処理、イオン交換処理、電気透析処理等を行うことにより、重量平均分子量が1000以上30000以下のポリ硫酸ペントサンを得ることができる。また、分子量調整工程では、膜処理等を行うことにより、所望の重量平均分子量であるポリ硫酸ペントサンを選択的に回収する方法を採用してもよい。
<分子量調整後分離精製工程>
ポリ硫酸ペントサンの製造方法は、分子量調整工程の後に、分子量調整後分離精製工程をさらに含んでもよい。分子量調整後分離精製工程としては、例えば、ゲルろ過、イオン交換処理、NF膜処理、UF膜処理、RO膜処理、電気透析処理、活性炭処理、水溶性有機溶媒処理、クロマトグラフィー処理等を挙げることができる。このような分子量調整後分離精製工程を設けることにより、分子量調整工程で得られた所望の分子量を有する中性キシロオリゴ糖を選択的に回収することができ、分子量分布の狭いポリ硫酸ペントサンを効率よく得ることができる。
以下に製造例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の製造例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
<中性キシロオリゴ糖の製造>
木材 チップ(広葉樹)10質量部に対して、水を40質量部添加し、160℃で3時間加熱処理を行った。その後、スクリュープレス(新菱製作所製:250×1000SPH-EN)にて固液分離を行い、濾液を回収した。濾液をミクロンレート1μmのバッグフィルター(ISPフィルターズ社製)で濾過し、活性炭(三倉化成社製:PM-SX)を5質量部添加して50℃で2時間処理した後、更にミクロンレート0.2μmのセラミックフィルター(日本ポール社製)で活性炭ごと濾過し、清澄な濾液を回収した。清澄濾液を逆浸透膜(日東電工社製:NTR-7450)で20倍に濃縮して濃縮糖液を得た後、その濃縮糖液を、SV1.5で強カチオン樹脂(三菱化学社製:PK-218)、弱アニオン樹脂(三菱化学社製:WA30)、強カチオン樹脂(三菱化学社製:PK-218)、弱アニオン樹脂(三菱化学社製:WA30)からなる4床4塔式のイオン交換樹脂に通液することにより、中性キシロオリゴ糖液を回収した。得られた中性キシロオリゴ糖液に、pH13となるように水酸化ナトリウムを添加し、室温で3時間撹拌して脱アセチル化を行った。得られた液に、pH5未満となるように塩酸を添加し透析膜(SPECTRUM社製:スペクトラ/ポア7 CE膜 MWCO100~500)で脱塩を行った後、凍結乾燥機(EYELA社製)を用いて粉末化した。
<酸性キシロオリゴ糖の製造>
木材 チップ(広葉樹)10質量部に対して、水を40質量部添加し、160℃で3時間加熱処理を行った。その後、スクリュープレス(新菱製作所製:250×1000SPH-EN)にて固液分離を行い、濾液を回収した。濾液をミクロンレート1μmのバッグフィルター(ISPフィルターズ社製)で濾過し、活性炭(三倉化成社製:PM-SX)を5質量部添加して50℃で2時間処理した後、更にミクロンレート0.2μmのセラミックフィルター(日本ポール社製)で活性炭ごと濾過し、清澄な濾液を回収した。清澄濾液を逆浸透膜(日東電工社製:NTR-7450)で20倍に濃縮して濃縮糖液を得た後、その濃縮糖液を、SV1.5で強カチオン樹脂(三菱化学社製:PK-218)、弱アニオン樹脂(三菱化学社製:WA30)、強カチオン樹脂(三菱化学社製:PK-218)、弱アニオン樹脂(三菱化学社製:WA30)からなる4床4塔式のイオン交換樹脂に通液し、2塔目および4塔目の弱アニオン樹脂に酸性キシロオリゴ糖を吸着させ、その後50mM塩化ナトリウム水溶液をSV1.5で2塔目および4塔目に通液することにより、酸性キシロオリゴ糖溶液を回収した。得られた酸性キシロオリゴ糖溶液に、pH13となるように水酸化ナトリウムを添加し、室温で3時間撹拌して脱アセチル化を行った。得られた液に、pH5未満となるように塩酸を添加し透析膜(SPECTRUM社製:スペクトラ/ポア7 CE膜 MWCO100~500)で脱塩を行った後、凍結乾燥機(EYELA社製)を用いて粉末化した。
<ポリ硫酸ペントサンナトリウムの製造>
(実施例1)
100mLセパラブルフラスコにN,N-ジメチルホルムアミド25mL、三酸化硫黄・ピリジン錯体12.4g及び前述の方法で製造した中性キシロオリゴ糖粉末1.5gを加えて40℃で3時間反応を行った。冷却後、得られた反応混合物を500mLのエタノール中に滴下し、生成した沈殿物をろ別し、水30mLを加えて溶かした。この液に水酸化ナトリウム溶液を加えてpHが10になるように調整した。この液を500mLのエタノール中に滴下して得られた析出物をろ別した。その後、析出物を50mLの水を加えて溶解し、活性炭を加えて撹拌した後ろ過した。ろ液をエバポレーターで濃縮し、凍結乾燥機(EYELA社製)を用いて粉末化することでポリ硫酸ペントサンナトリウムを得た。
(実施例2)
例1の中性キシロオリゴ糖粉末1.5gに変えて、中性キシロオリゴ糖粉末1.125gと酸性キシロオリゴ糖0.375gの混合物を用いる以外は実施例1と同様にしてポリ硫酸ペントサンナトリウムを得た。
(実施例3)
例1の中性キシロオリゴ糖粉末1.5gに変えて、中性キシロオリゴ糖粉末0.75gと酸性キシロオリゴ糖0.75gの混合物を用いる以外は実施例1と同様にしてポリ硫酸ペントサンナトリウムを得た。
(比較例1)
例1の中性キシロオリゴ糖粉末1.5gに変えて、中性キシロオリゴ糖粉末0.375gと酸性キシロオリゴ糖1.125gの混合物を用いる以外は実施例1と同様にしてポリ硫酸ペントサンナトリウムを得た。
(比較例2)
例1の中性キシロオリゴ糖粉末の変わりに酸性キシロオリゴ糖粉末を用いる以外は実施例1と同様にしてポリ硫酸ペントサンナトリウムを得た。
<ウロン酸含量>
上記で得られたポリ硫酸ペントサンナトリウム約10mgを量り取り、蒸留水に溶かして正確に25mLとした。この液1mLを試験管に取り,氷水中で冷却しながら0.025M四ほう酸ナトリウム・硫酸溶液5mLを加えて混和し、水浴で10分間加熱した。直ちに氷冷中で冷却し、カルバゾール試液0.2mLを加えて混和し、水浴で15分間加熱した後、放冷して試料溶液とした。別に、濃度が10~100μg/mLのグルクロン酸標準原液を調製し、同様の操作を行なって標準溶液とした。蒸留水1mLを用いて同様に操作したものを対照液として、波長530nmにおける吸光度を測定した。標準溶液の吸光度から検量線を作成し、上記で合成したポリ硫酸ペントサンナトリウムのグルクロン酸量(μg)を求めた。以下の式よりウロン酸含量(質量%)を求めた。定量値がマイナスとなる場合は0%とみなした。
ウロン酸含量(質量%)
=グルクロン酸量(μg)/(ポリ硫酸ペントサンナトリウムの秤取量(mg)×1/25)/10
<硫黄含量>
日本薬局方に記載の酸素フラスコ燃焼法にて硫黄含量を測定した。
<平均分子量>
ポリ硫酸ペントサンの重量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲルパ-ミエーションクロマトグラフィー)により測定した。GPCカラムとしては、ワイエムシィ社製のYMC-Pack Diol-300とYMC-Pack Diol-60を連結して用いることができる。また、GPCの条件としては、下記の条件を採用した。
溶離液:25mMリン酸2水素カリウム/25mMリン酸水素2カリウム/50mM塩化カリウム水溶液
流速:0.7mL/分
測定温度:40℃
検出器:示差屈折率検出器
Figure 0007167039000008
図3及び図4に、上記例に基づく、ポリ硫酸ペントサンナトリウムのウロン酸含量と抗IIa活性、抗Xa活性及び抗Xa/抗IIa活性比との関係をグラフで示す。
表1、図4に示す結果から分かるように、ウロン酸含量が低いほど、高い抗Xa/抗IIa活性比を示す。
Figure 0007167039000009
表2はキシロオリゴ糖粉末からポリ硫酸ペントサンナトリウム粉末を得る際の収量である。表2に示す結果から分かるように、ウロン酸含量が低くなるに従って、高い収量(収率)が得られた。
(安定性)
100mg/mLのポリ硫酸ペントサンナトリウム水溶液2mLを5mLバイアルに入れ、40℃で4週間保管したときの溶液の性状を確認した。
Figure 0007167039000010
表3から分かるように、ウロン酸含量が高いポリ硫酸ペントサンナトリウムの水溶液(比較例1および比較例2)は40℃4週間の保存で黄変が認められたのに対し、ウロン酸含量が低いポリ硫酸ペントサンナトリウムの水溶液(実施例1~3)には変化が認められず、安定であった。また、この結果から、本発明のポリ硫酸ペントサンは、(例えば粉末状などの他の形態を含め)、水分の悪影響を受けにくい、安定性の高いものであることがうかがえる。

Claims (9)

  1. β-D-キシロピラノースユニットを含み、かつ
    アセチル基含量が0~2.0質量%であり、ウロン酸含量が0.0質量%~2.0質量%であるポリ硫酸ペントサンもしくはその薬学的に許容される塩又はそれらの薬学的に許容される溶媒和物。
  2. ウロン酸含量が0.0質量%である請求項1に記載のポリ硫酸ペントサンもしくはその薬学的に許容される塩又はそれらの薬学的に許容される溶媒和物。
  3. ナトリウム塩又はその薬学的に許容される溶媒和物である請求項1又は2に記載のポリ硫酸ペントサンもしくはその薬学的に許容される塩又はそれらの薬学的に許容される溶媒和物。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載のポリ硫酸ペントサンもしくはその薬学的に許容される塩又はそれらの薬学的に許容される溶媒和物を含む医薬組成物。
  5. 請求項1~3のいずれか1項に記載のポリ硫酸ペントサンもしくはその薬学的に許容される塩又はそれらの薬学的に許容される溶媒和物を含む抗凝固剤。
  6. 植物由来原料から中性キシロオリゴ糖を得る第1工程と
    前記中性キシロオリゴ糖からポリ硫酸ペントサンを得る第2工程と
    脱アセチル化工程を含み、
    第1工程は前記植物由来原料の解重合工程を含み、
    第2工程は前記中性キシロオリゴ糖の硫酸化工程を含み、
    脱アセチル化工程は中性キシロオリゴ糖若しくはポリ硫酸ペントサンの溶液に塩基を添加してpH11以上とする工程を含む、
    請求項1又は2に記載のポリ硫酸ペントサンの製造方法。
  7. 前記解重合工程が加熱処理工程である請求項6に記載のポリ硫酸ペントサンの製造方法。
  8. 前記加熱処理工程が非アルカリ性条件下で120℃以上に加熱する工程である請求項7に記載のポリ硫酸ペントサンの製造方法。
  9. 前記植物由来原料は、木材由来原料である請求項6~8のいずれか1項に記載のポリ硫酸ペントサンの製造方法。
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