JP7167039B2 - ポリ硫酸ペントサン及びポリ硫酸ペントサンの製造方法 - Google Patents
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Description
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[2]ウロン酸含量が0.0質量%~4.0質量%である[1]に記載のポリ硫酸ペントサンもしくはその薬学的に許容される塩又はそれらの薬学的に許容される溶媒和物。
[3]一般式IIで表される構造を有する[1]または[2]に記載のポリ硫酸ペントサンもしくはその薬学的に許容される塩又はそれらの薬学的に許容される溶媒和物。
[4]一般式Iで表される[1]~[3]のいずれかに記載のポリ硫酸ペントサンもしくはその薬学的に許容される塩又はそれらの薬学的に許容される溶媒和物。
[5]Rがそれぞれ独立に水素原子又は-SO3Xである[4]に記載のポリ硫酸ペントサンもしくはその薬学的に許容される塩又はそれらの薬学的に許容される溶媒和物。
[6]Xがナトリウムである[4]または[5]に記載のポリ硫酸ペントサンもしくはその薬学的に許容される塩又はそれらの薬学的に許容される溶媒和物。
[7][1]~[6]のいずれかに記載のポリ硫酸ペントサンもしくはその薬学的に許容される塩又はそれらの薬学的に許容される溶媒和物を含む医薬組成物。
[8][1]~[6]のいずれかに記載のポリ硫酸ペントサンもしくはその薬学的に許容される塩又はそれらの薬学的に許容される溶媒和物を含む抗凝固剤。
[9]植物由来原料から中性キシロオリゴ糖を得る第1工程と上記中性キシロオリゴ糖からポリ硫酸ペントサンを得る第2工程とを含み、
第1工程は上記植物由来原料の解重合工程を含み、
第2工程は上記中性キシロオリゴ糖の硫酸化工程を含むポリ硫酸ペントサンの製造方法。
[10]上記解重合工程が加熱処理工程である[9]に記載のポリ硫酸ペントサンの製造方法。
[11]上記加熱処理工程が非アルカリ性条件下で120℃以上に加熱する工程である[10]に記載のポリ硫酸ペントサンの製造方法。
[12]上記植物由来原料は、木材由来原料である[9]~[11]のいずれかに記載のポリ硫酸ペントサンの製造方法。
[1]~[6]のいずれかに記載のポリ硫酸ペントサンもしくはその薬学的に許容される塩又はそれらの薬学的に許容される溶媒和物の抗凝固剤としての使用;
[1]~[6]のいずれかに記載のポリ硫酸ペントサンもしくはその薬学的に許容される塩又はそれらの薬学的に許容される溶媒和物の抗凝固剤の製造のための使用;
抗凝固剤としての使用のための[1]~[6]のいずれかに記載のポリ硫酸ペントサンもしくはその薬学的に許容される塩又はそれらの薬学的に許容される溶媒和物;
血液凝固を阻害する方法であって、[1]~[6]のいずれかに記載のポリ硫酸ペントサンもしくはその薬学的に許容される塩又はそれらの薬学的に許容される溶媒和物の保湿作用有効量をヒトまたは動物に投与することを含む方法;
医療器材又は医療材料の表面処理方法であって、[1]~[6]のいずれかに記載のポリ硫酸ペントサンもしくはその薬学的に許容される塩又はそれらの薬学的に許容される溶媒和物を医療器材又は医療材料の表面に適用することを含む方法
が提供される。
ポリ硫酸ペントサンは、キシロオリゴ糖の水酸基の少なくとも1つを硫酸化することで得られる化合物である。本明細書においては、ポリ硫酸ペントサンには、ポリ硫酸ペントサンの塩ならびにポリ硫酸ペントサンの溶媒和物及びポリ硫酸ペントサンの塩の溶媒和物も含まれる。ポリ硫酸ペントサン塩は、薬学的に許容される塩であることが好ましく、例えば、ポリ硫酸ペントサンナトリウム、ポリ硫酸ペントサンカリウム、ポリ硫酸ペントサンカルシウム等を挙げることができる。溶媒和物は薬学的に許容される溶媒和物であることが好ましく、溶媒としては、例えば水を挙げることができる。
一般式Iで表される化合物は以下一般式IXで表される化合物であることが好ましい。すなわち、末端のRが-COCH3ではないことが好ましい。
なお、上記の割合は一分子中で満たしている必要はなく、個々の分子の混合物全体としてのポリ硫酸ペントサンとして満たされていればよい。
本発明のポリ硫酸ペントサンは、nの値、置換基Rの種類や置換度が互いに異なる一般式Iで表される個々の分子からなる混合物であってもよい。
また、ポリ硫酸ペントサンの重量平均分子量(Mw)は、4000より大きくてもよく、5000以上であってもよく、7000以上であってもよく、10000以上であってもよく、15000以上であってもよく、20000以上であってもよい。
また、ポリ硫酸ペントサンの数平均分子量(Mn)は、5000以上であってもよく、7000以上であってもよく、10000以上であってもよく、15000以上であってもよく、20000以上であってもよい。
溶離液:25mMリン酸2水素カリウム/25mMリン酸水素2カリウム/50mM塩化カリウム水溶液
流速:0.7mL/分
測定温度:40℃
検出器:示差屈折率検出器
分散度(D)=重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)
本発明のポリ硫酸ペントサンは、医薬品、食品や化粧品等の用途に用いることができる。例えば、本発明のポリ硫酸ペントサン(ポリ硫酸ペントサンもしくはその薬学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物)を有効成分として含む医薬組成物を提供することができる。特にポリ硫酸ペントサンは抗凝固活性を有するため、上記医薬組成物は抗凝固剤として用いることができる。
また、ポリ硫酸ペントサンのIIa因子の阻害活性(抗IIa活性)は、0.50IU/mg以下であることが好ましく、0.40IU/mg以下であることがより好ましく、0.30IU/mg以下であることがさらに好ましい。
また、IIa因子の阻害活性(抗IIa活性)は、Biophen heparin anti-IIa(Hyphen Biomed社製)を使用して測定することができる。
また、医薬組成物の剤型は、任意であるが、例えば、経口投与剤、注射剤、外用剤とすることができる。
本発明のポリ硫酸ペントサンは、中性キシロオリゴ糖の硫酸化により製造することができる。本発明のポリ硫酸ペントサンは中性キシロオリゴ糖の硫酸化により製造することが好ましい。中性キシロオリゴ糖は、植物由来原料から抽出、必要に応じて解重合を行なうことにより得ることもでき、D-キシロースを重合することにより製造することもできる。
中性キシロオリゴ糖は、植物由来原料を解重合することで得ることができる。植物由来原料としては、例えば、木材由来原料、種子由来原料、穀物由来原料、果実由来原料等を挙げることができる。また、植物由来原料としては、コットンリンターやコットンリント等のコットン、ケナフや麻、ラミー、稲ワラ等の草本系植物等を用いることもできる。植物由来原料としては、上述した各由来原料を組み合わせて使用してもよい。
<解重合工程>
第1工程は植物由来原料を解重合する工程を含む。植物由来原料を解重合する工程では、植物由来原料を化学的及び/又は物理的に分解し、中性キシロオリゴ糖を生成させることができる。化学的及び/又は物理的に分解する工程としては、例えば、加熱処理工程、アルカリ処理工程、酸処理工程、酵素処理工程、イオン液体処理工程、触媒処理工程等が挙げられる。中でも、解重合する工程は、加熱処理工程又は酵素処理工程であることが好ましく、加熱処理工程であることがより好ましい。また、加熱処理工程は、加熱加圧工程であってもよい。
解重合工程は、非アルカリ性条件下(pH9以下、好ましくはpH8以下)で行なわれることが好ましい。
第1工程は、上述した解重合工程の後にさらに濾過工程を含んでもよい。濾過工程では、植物由来原料の固形分と、固形分を除く溶液に分離される。具体的には、解重合工程の後に濾過工程を設けることにより、パルプ原料となる固形分と、濾液に分離される。なお、パルプ原料となる固形分は、後工程として蒸解工程等を経ることでセルロース原料(溶解パルプ)となる。
第1工程は、上述した解重合工程の後にさらに分離精製工程を含んでもよい。第1工程が上述した濾過工程を含む場合、分離精製工程は、濾過工程の後に設けられることが好ましい。
図2においては、解重合する工程の後に、濾過工程を設け、さらに、濾過工程の後に分離精製工程を設けたフロー図が示されている。第1工程では、解重合する工程の直後に分離精製工程を設けてもよいが、解重合する工程の後に濾過工程を設け、得られた濾液から中性キシロオリゴ糖を分離精製する工程を設けることが好ましい。なお、濾過工程は分離精製工程の一部として設けられていてもよいし、図2に示されるように、分離精製工程とは独立した1工程として設けられていてもよい。分離精製工程は、中性キシロオリゴ糖を分離精製する工程である。濾過工程で得られた濾液には、中性キシロオリゴ糖の他に酸性キシロオリゴ糖などが含まれているため、分離精製工程はこれらの他の糖類を除去する工程でもある。
第1工程は、さらに濃縮工程を含んでいてもよい。濃縮工程は、図2に示されているように、例えば、濾過工程の後であって、分離精製工程の前に設けられることが好ましい。このような濃縮工程を設けることにより、分離精製工程をより効率良く行うことができ、ポリ硫酸ペントサンの生産効率を高めることができる。
第1工程で得られる中性キシロオリゴ糖は、中性キシロオリゴ糖液として得てもよいが、脱水工程を経ることにより、中性キシロオリゴ糖濃縮物や中性キシロオリゴ糖粉末として得てもよい。中性キシロオリゴ糖粉末を製造する場合は、分離精製工程の後に、さらに粉末化工程を設けることが好ましい。本発明において、脱水工程を設けることにより、後述する硫酸化工程における硫酸化を効率よく進めることができる。
<硫酸化工程>
第1工程で得られた中性キシロオリゴ糖を第2工程において硫酸化することでポリ硫酸ペントサンを得ることができる。すなわち、第2工程は硫酸化工程を含む。
硫酸化に供される中性キシロオリゴ糖の平均重合度は、最終生成物として得られるポリ硫酸ペントサンの分子量によって適宜調整することが好ましい。
第2工程は、硫酸化の後に、硫酸化後精製工程をさらに含んでもよい。このような硫酸化後精製工程を設けることにより、純度の高いポリ硫酸ペントサンを得ることができる。
第2工程では、硫酸化されたポリ硫酸ペントサンは、ポリ硫酸ペントサン溶液として得てもよいが、粉末化工程を経ることにより、ポリ硫酸ペントサン粉末として得てもよい。ポリ硫酸ペントサン粉末を製造する場合は、硫酸化後精製工程の後に、さらに粉末化する工程を設けることが好ましい。
ポリ硫酸ペントサンの製造の際に脱アセチル化を行なってもよい。脱アセチル化工程は解重合工程の後のいずれかの段階であることが好ましい。脱アセチル化工程により、ポリ硫酸ペントサンが有するアセチル基含量を低減させることができる。具体的には、脱アセチル化工程は、中性キシロオリゴ糖等の、植物由来原料をもとに得られた物質を含む溶液(本明細書においては、「中性キシロオリゴ糖等を含む溶液」とも呼ぶ。)をpH11以上とするために塩基を添加する工程である。脱アセチル化工程においては、解重合後に得られる溶液、濾過工程で得られた濾液、分離精製工程後かつ硫酸化工程前の中性キシロオリゴ糖を含む溶液、又は硫酸化工程後の中性キシロオリゴ糖(ポリ硫酸ペントサン)を含む溶液等がpH11以上とされていればよい。これらのうち、分離精製工程後かつ硫酸化工程前の中性キシロオリゴ糖を含む溶液をpH11以上とした場合には、安定した品質でアセチル基含量が低減したポリ硫酸ペントサンを得ることができ、また、アセチル基が結合していた部位も硫酸化することができるため、硫酸化の効率、ひいてはポリ硫酸ペントサンの製造効率を向上させることが可能である。また、硫酸化工程後の中性キシロオリゴ糖(ポリ硫酸ペントサン)を含む溶液をpH11以上とした場合には、精製工程を効率化することができる。中性キシロオリゴ糖等を含む溶液は水溶液であることが好ましい。本明細書において中性キシロオリゴ糖を含む溶液を中性キシロオリゴ糖液ということもある。
<分子量調整工程>
上述した第1工程と第2工程の間に、分子量調整工程をさらに含んでもよい。ポリ硫酸ペントサンの製造方法が脱アセチル化工程を含むとき、分子量調整工程は脱アセチル化工程の前であってもよく、後であってもよい。図2には、第1工程と第2工程の間に、分子量調整工程を含むフロー図が示されている。図2に示されているように、分子量調整工程では、第1工程で得られる中性キシロオリゴ糖の分子量を調整する。例えば、分子量調整工程では、中性キシロオリゴ糖を低分子化することができる。
ポリ硫酸ペントサンの製造方法は、分子量調整工程の後に、分子量調整後分離精製工程をさらに含んでもよい。分子量調整後分離精製工程としては、例えば、ゲルろ過、イオン交換処理、NF膜処理、UF膜処理、RO膜処理、電気透析処理、活性炭処理、水溶性有機溶媒処理、クロマトグラフィー処理等を挙げることができる。このような分子量調整後分離精製工程を設けることにより、分子量調整工程で得られた所望の分子量を有する中性キシロオリゴ糖を選択的に回収することができ、分子量分布の狭いポリ硫酸ペントサンを効率よく得ることができる。
木材 チップ(広葉樹)10質量部に対して、水を40質量部添加し、160℃で3時間加熱処理を行った。その後、スクリュープレス(新菱製作所製:250×1000SPH-EN)にて固液分離を行い、濾液を回収した。濾液をミクロンレート1μmのバッグフィルター(ISPフィルターズ社製)で濾過し、活性炭(三倉化成社製:PM-SX)を5質量部添加して50℃で2時間処理した後、更にミクロンレート0.2μmのセラミックフィルター(日本ポール社製)で活性炭ごと濾過し、清澄な濾液を回収した。清澄濾液を逆浸透膜(日東電工社製:NTR-7450)で20倍に濃縮して濃縮糖液を得た後、その濃縮糖液を、SV1.5で強カチオン樹脂(三菱化学社製:PK-218)、弱アニオン樹脂(三菱化学社製:WA30)、強カチオン樹脂(三菱化学社製:PK-218)、弱アニオン樹脂(三菱化学社製:WA30)からなる4床4塔式のイオン交換樹脂に通液することにより、中性キシロオリゴ糖液を回収した。得られた中性キシロオリゴ糖液に、pH13となるように水酸化ナトリウムを添加し、室温で3時間撹拌して脱アセチル化を行った。得られた液に、pH5未満となるように塩酸を添加し透析膜(SPECTRUM社製:スペクトラ/ポア7 CE膜 MWCO100~500)で脱塩を行った後、凍結乾燥機(EYELA社製)を用いて粉末化した。
木材 チップ(広葉樹)10質量部に対して、水を40質量部添加し、160℃で3時間加熱処理を行った。その後、スクリュープレス(新菱製作所製:250×1000SPH-EN)にて固液分離を行い、濾液を回収した。濾液をミクロンレート1μmのバッグフィルター(ISPフィルターズ社製)で濾過し、活性炭(三倉化成社製:PM-SX)を5質量部添加して50℃で2時間処理した後、更にミクロンレート0.2μmのセラミックフィルター(日本ポール社製)で活性炭ごと濾過し、清澄な濾液を回収した。清澄濾液を逆浸透膜(日東電工社製:NTR-7450)で20倍に濃縮して濃縮糖液を得た後、その濃縮糖液を、SV1.5で強カチオン樹脂(三菱化学社製:PK-218)、弱アニオン樹脂(三菱化学社製:WA30)、強カチオン樹脂(三菱化学社製:PK-218)、弱アニオン樹脂(三菱化学社製:WA30)からなる4床4塔式のイオン交換樹脂に通液し、2塔目および4塔目の弱アニオン樹脂に酸性キシロオリゴ糖を吸着させ、その後50mM塩化ナトリウム水溶液をSV1.5で2塔目および4塔目に通液することにより、酸性キシロオリゴ糖溶液を回収した。得られた酸性キシロオリゴ糖溶液に、pH13となるように水酸化ナトリウムを添加し、室温で3時間撹拌して脱アセチル化を行った。得られた液に、pH5未満となるように塩酸を添加し透析膜(SPECTRUM社製:スペクトラ/ポア7 CE膜 MWCO100~500)で脱塩を行った後、凍結乾燥機(EYELA社製)を用いて粉末化した。
(実施例1)
100mLセパラブルフラスコにN,N-ジメチルホルムアミド25mL、三酸化硫黄・ピリジン錯体12.4g及び前述の方法で製造した中性キシロオリゴ糖粉末1.5gを加えて40℃で3時間反応を行った。冷却後、得られた反応混合物を500mLのエタノール中に滴下し、生成した沈殿物をろ別し、水30mLを加えて溶かした。この液に水酸化ナトリウム溶液を加えてpHが10になるように調整した。この液を500mLのエタノール中に滴下して得られた析出物をろ別した。その後、析出物を50mLの水を加えて溶解し、活性炭を加えて撹拌した後ろ過した。ろ液をエバポレーターで濃縮し、凍結乾燥機(EYELA社製)を用いて粉末化することでポリ硫酸ペントサンナトリウムを得た。
例1の中性キシロオリゴ糖粉末1.5gに変えて、中性キシロオリゴ糖粉末1.125gと酸性キシロオリゴ糖0.375gの混合物を用いる以外は実施例1と同様にしてポリ硫酸ペントサンナトリウムを得た。
例1の中性キシロオリゴ糖粉末1.5gに変えて、中性キシロオリゴ糖粉末0.75gと酸性キシロオリゴ糖0.75gの混合物を用いる以外は実施例1と同様にしてポリ硫酸ペントサンナトリウムを得た。
例1の中性キシロオリゴ糖粉末1.5gに変えて、中性キシロオリゴ糖粉末0.375gと酸性キシロオリゴ糖1.125gの混合物を用いる以外は実施例1と同様にしてポリ硫酸ペントサンナトリウムを得た。
例1の中性キシロオリゴ糖粉末の変わりに酸性キシロオリゴ糖粉末を用いる以外は実施例1と同様にしてポリ硫酸ペントサンナトリウムを得た。
上記で得られたポリ硫酸ペントサンナトリウム約10mgを量り取り、蒸留水に溶かして正確に25mLとした。この液1mLを試験管に取り,氷水中で冷却しながら0.025M四ほう酸ナトリウム・硫酸溶液5mLを加えて混和し、水浴で10分間加熱した。直ちに氷冷中で冷却し、カルバゾール試液0.2mLを加えて混和し、水浴で15分間加熱した後、放冷して試料溶液とした。別に、濃度が10~100μg/mLのグルクロン酸標準原液を調製し、同様の操作を行なって標準溶液とした。蒸留水1mLを用いて同様に操作したものを対照液として、波長530nmにおける吸光度を測定した。標準溶液の吸光度から検量線を作成し、上記で合成したポリ硫酸ペントサンナトリウムのグルクロン酸量(μg)を求めた。以下の式よりウロン酸含量(質量%)を求めた。定量値がマイナスとなる場合は0%とみなした。
ウロン酸含量(質量%)
=グルクロン酸量(μg)/(ポリ硫酸ペントサンナトリウムの秤取量(mg)×1/25)/10
日本薬局方に記載の酸素フラスコ燃焼法にて硫黄含量を測定した。
<平均分子量>
ポリ硫酸ペントサンの重量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲルパ-ミエーションクロマトグラフィー)により測定した。GPCカラムとしては、ワイエムシィ社製のYMC-Pack Diol-300とYMC-Pack Diol-60を連結して用いることができる。また、GPCの条件としては、下記の条件を採用した。
溶離液:25mMリン酸2水素カリウム/25mMリン酸水素2カリウム/50mM塩化カリウム水溶液
流速:0.7mL/分
測定温度:40℃
検出器:示差屈折率検出器
表1、図4に示す結果から分かるように、ウロン酸含量が低いほど、高い抗Xa/抗IIa活性比を示す。
100mg/mLのポリ硫酸ペントサンナトリウム水溶液2mLを5mLバイアルに入れ、40℃で4週間保管したときの溶液の性状を確認した。
Claims (9)
- β-D-キシロピラノースユニットを含み、かつ
アセチル基含量が0~2.0質量%であり、ウロン酸含量が0.0質量%~2.0質量%であるポリ硫酸ペントサンもしくはその薬学的に許容される塩又はそれらの薬学的に許容される溶媒和物。 - ウロン酸含量が0.0質量%である請求項1に記載のポリ硫酸ペントサンもしくはその薬学的に許容される塩又はそれらの薬学的に許容される溶媒和物。
- ナトリウム塩又はその薬学的に許容される溶媒和物である請求項1又は2に記載のポリ硫酸ペントサンもしくはその薬学的に許容される塩又はそれらの薬学的に許容される溶媒和物。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載のポリ硫酸ペントサンもしくはその薬学的に許容される塩又はそれらの薬学的に許容される溶媒和物を含む医薬組成物。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載のポリ硫酸ペントサンもしくはその薬学的に許容される塩又はそれらの薬学的に許容される溶媒和物を含む抗凝固剤。
- 植物由来原料から中性キシロオリゴ糖を得る第1工程と
前記中性キシロオリゴ糖からポリ硫酸ペントサンを得る第2工程と
脱アセチル化工程を含み、
第1工程は前記植物由来原料の解重合工程を含み、
第2工程は前記中性キシロオリゴ糖の硫酸化工程を含み、
脱アセチル化工程は中性キシロオリゴ糖若しくはポリ硫酸ペントサンの溶液に塩基を添加してpH11以上とする工程を含む、
請求項1又は2に記載のポリ硫酸ペントサンの製造方法。 - 前記解重合工程が加熱処理工程である請求項6に記載のポリ硫酸ペントサンの製造方法。
- 前記加熱処理工程が非アルカリ性条件下で120℃以上に加熱する工程である請求項7に記載のポリ硫酸ペントサンの製造方法。
- 前記植物由来原料は、木材由来原料である請求項6~8のいずれか1項に記載のポリ硫酸ペントサンの製造方法。
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