以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.第1の実施の形態]
[1-1.現金自動取引装置の構成]
図1に外観を示すように、現金自動取引装置1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、例えば金融機関等に設置され、顧客との間で入金取引や出金取引等の現金に関する取引を行う。筐体2は、その前側に顧客が対峙した状態で紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所に顧客応対部3が設けられている。
顧客応対部3は、カード入出口4、入出金口5、操作表示部6、テンキー7及びレシート発行口8が設けられており、顧客との間で現金や通帳等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行う。カード入出口4は、キャッシュカード等の各種カードが挿入又は排出される部分である。カード入出口4の奥側には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部(図示せず)が設けられている。入出金口5は、顧客が入金する紙幣が投入されると共に、顧客へ出金する紙幣が排出される部分である。入出金口5は、シャッタを駆動することにより開放又は閉塞する。操作表示部6は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額等を入力するタッチパネルとが一体化されている。テンキー7は、「0」~「9」の数字等の入力を受け付ける物理的なキーであり、暗証番号や取引金額等の入力操作時に用いられる。レシート発行口8は、取引処理の終了時に取引内容等を印字したレシートを発行する部分である。因みにレシート発行口8の奥側には、レシートに取引内容等を印字するレシート処理部(図示せず)が設けられている。
筐体2内には、現金自動取引装置1全体を統括制御する主制御部9や、紙幣に関する種々の処理を行う紙幣入出金機10等が設けられている。主制御部9は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部から所定のプログラムを読み出して実行することにより、各部を制御して入金取引や出金取引等の種々の処理を行う。
筐体2は、前面側及び後面側に、開閉可能な扉が設けられている。筐体2は、顧客との間で取引処理が行われる取引動作時の場合には扉を閉鎖することにより、現金自動取引装置1の内部を保護する。一方筐体2は、行員や金融機関の保守員等により保守作業が行われる保守作業時の場合には、必要に応じて扉を開放することにより、内部の各部に対する作業を容易に行わせ得る。以下では、現金自動取引装置1のうち顧客が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、該前側に対峙した顧客から見て左、右、上及び下をそれぞれ左側、右側、上側及び下側として説明する。
[1-2.紙幣入出金機の内部構成]
図2及び図3に示すように紙幣入出金機10は、大きく分けて、上下方向のほぼ中央よりも上側部分を占める上部ユニット10Uと、その下側部分を閉める下部ユニット10Dとにより構成されており、内部に紙幣に関する種々の処理を行う複数の部分が組み込まれている。
[1-2-1.上部ユニットの構成]
上部ユニット10Uは、フレームに各種機構が固定され、紙幣制御部12(図1)が各部(入出金部14、搬送部15、鑑別部16、一時保留部17、紙幣収納庫18、上側リジェクト庫19U及び下側リジェクト庫19D)を統括制御する。
紙幣制御部12(図1)は、図示しないCPUを中心に構成されており、ROM、RAM、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部13(図1)から所定のプログラムを読み出して実行することにより、各部を制御して入金取引や出金取引等の種々の処理を行う。記憶部13は、鑑別部16が紙幣を鑑別した鑑別結果及び紙幣の記番号の識別結果等を取引情報と合わせて記憶する。
入出金部14(図3)は、紙幣入出金機10における前方上側に配され、顧客から投入された紙幣を1枚ずつ分離し搬送部15へ繰り出す。入出金部14の入出金口5(図1)には、シャッタが設けられている。入出金部14は、入金取引時において顧客に紙幣を投入させる場合と、出金取引時において顧客に紙幣を受け渡す場合、シャッタを後方向へスライド移動させてシャッタ開放状態とすることにより入出金口5を開放させる。一方入出金部14は、入金取引時及び出金取引時以外の場合は、シャッタを前方向へスライド移動させて入出金口5を閉塞させシャッタ閉塞状態とすることにより、入出金部14からの紙幣の取り出しや外部からの入出金部14への悪戯等を防止する。
搬送部15は、図示しないローラやベルト等により、図中太線で示す搬送路に沿って長方形の紙幣を短手方向に搬送する。搬送部15は、鑑別部16を前後方向に挿通させるように紙幣を搬送し、該鑑別部16の後側と一時保留部17、上側リジェクト庫19U及び入出金部14とをそれぞれ接続している。また搬送部15は、鑑別部16の前側と入出金部14、紙幣収納庫18及び下側リジェクト庫19Dとを接続している。搬送部15の分岐点には、セレクタ(図示せず)が設けられており、紙幣制御部12(図1)の制御に基づき回動することにより、紙幣の搬送先を切り替える。
鑑別部16は、その内部で紙幣を搬送しながら、光学素子や磁気検出素子等を用いて該紙幣の金種及び真偽、並びに損傷の程度等(正損)を鑑別し、その鑑別結果を紙幣制御部12へ通知する。また鑑別部16は、撮像した紙幣の画像データから、紙幣毎に付与されその紙幣の一面に予め印刷された英数字等で構成された記番号を読み取り識別する。このとき鑑別部16は、識別した字を識別結果として紙幣制御部12へ通知する。これに応じて紙幣制御部12は、取得した鑑別結果及び識別結果に基づいて紙幣の搬送先を決定する。
一時保留部17は、入金時に顧客が入出金部14へ投入した紙幣を一時的に保留し、鑑別部16で入金可能と鑑別された入金可能紙幣を入金が確定するまで一時的に保留する。一方、入金不可と鑑別された入金リジェクト紙幣は入出金部14へ排出される。また一時保留部17は、出金時において鑑別部16で出金不可能と鑑別された出金不可紙幣を、出金可能な紙幣が出金されるまで一時的に保留し、その後該出金不可紙幣を上側リジェクト庫19Uへ排出する。
上側リジェクト庫19Uは、直方体状に形成されると共に内部に紙幣を集積して収納する空間を有している。この上側リジェクト庫19Uは、鑑別部16及び紙幣制御部12により、破損した紙幣(いわゆる損券)と鑑別された紙幣、偽造券と判別された紙幣及び5千券や2千券等の還流されない金種の紙幣等、再利用すべきで無いと判断された紙幣が搬送部15により搬送されて来ると、該紙幣を内部に収納する。
[1-2-2.下部ユニットの構成]
下部ユニット10Dには、筐体2に取り付けられた下部フレーム20が設けられている。下部フレーム20には、再利用可能な紙幣を収納する複数の紙幣収納庫18と、再利用すべきでない紙幣を収納する下側リジェクト庫19Dとが着脱可能に設けられている。
下部ユニット10D(図3)は、紙幣収納庫18及び下側リジェクト庫19Dの上面に振分搬送部21が取り付けられている。振分搬送部21は、搬送モータ、センサ及びブレード等の複数種類の搬送路形成部品により、上部ユニット10Uから搬送されたリジェクト紙幣や正常な紙幣を、搬送先を適宜切り換えて下側リジェクト庫19Dや紙幣収納庫18へ振り分けるように搬送する。
下部フレーム20内には、前側から後側へ向けて順に5個の紙幣収納庫18が設けられている。各紙幣収納庫18は、何れも同様に構成されており、上下方向に長い直方体状に形成されると共に内部に紙幣を集積して収納する空間を有している。各紙幣収納庫18は、それぞれ収納すべき紙幣の金種が予め設定されている。この紙幣収納庫18は、鑑別部16及び紙幣制御部12により損傷の程度が小さく再利用が可能であると判断された紙幣が、その金種に応じて搬送部15により搬送されてくると、該紙幣を内部に集積して収納する。また紙幣収納庫18は、紙幣制御部12から紙幣を繰り出す指示を受け付けると、集積している紙幣を1枚ずつに分離して繰り出し、搬送部15に受け渡す。
下側リジェクト庫19Dは、下部フレーム20内における紙幣収納庫18の後方に位置しており、上下方向に長い直方体状に形成されると共に内部に紙幣を集積して収納する空間を有している。この下側リジェクト庫19Dは、鑑別部16及び紙幣制御部12により、破損した紙幣(いわゆる損券)と鑑別された紙幣、偽造券と判別された紙幣及び5千券や2千券等の還流されない金種の紙幣等、再利用すべきで無いと判断された紙幣が搬送部15により搬送されて来ると、該紙幣を内部に収納する。
かかる構成において現金自動取引装置1は、鑑別部16による紙幣の鑑別結果及び識別結果等をもとに主制御部9及び紙幣制御部12が各部を制御して、紙幣の入金処理及び出金処理等を行う。
[1-3.一時保留部の構成]
図4及び図5に示すように、一時保留部17は、フレーム30により外側が覆われており、その内部に各部品が取り付けられている。なお図3は、一時保留部17の左側面図を模式的に表したものであり、説明の都合上、一部の部品を透過、若しくは省略、又は簡略化している。
フレーム30内の中央付近には、紙幣が搬送される搬送方向に直交する搬送幅方向である左右方向に延びる回転軸31Xを中心に回転する円筒状のドラム31が設けられている。ドラム31は、図示しないモータ等からの駆動力が伝達されることにより、巻取方向R1又は巻戻方向R2へ回転する。ドラム31は、詳しくは後述するが、その周側面31Sに紙幣が巻き付けられると、図4(B)に示すようにドラム31の外周に巻付層31Wが形成される。このときのドラム31は、紙幣が巻き付けられていない状態(図4(A))と比較して、ドラム31の径に巻付層31Wの厚さを足した見かけ上の径が大きくなる。以下ではこの見かけ上の径をドラム径と呼ぶ。また、ドラム31に紙幣が巻き付けられているときには、巻付層31Wの最外周を周側面31Sとする。つまり、ドラム31に紙幣が巻き付けられていくと、ドラム径が大きくなっていくと共に周側面31Sがドラム31の回転軸31Xから離れていくことになる。
フレーム30の前面には、紙幣を挿通させるための挿通孔30Hが穿設されている。この挿通孔30Hの後方には、紙幣を上下からそれぞれ案内する上側搬送ガイド32及び下側搬送ガイド33が設けられている。上側搬送ガイド32は、その下面がほぼ平坦且つほぼ水平なガイド面となっており、フレーム30に固定されている。下側搬送ガイド33は、その上面がほぼ平坦且つほぼ水平なガイド面となっており、上側搬送ガイド32の下面との間に例えば5[mm]程度の隙間を形成するようにして、フレーム30に固定されている。つまり、一時保留部17は、上側搬送ガイド32と下側搬送ガイド33の隙間に沿って紙幣を前後方向へ案内する。上側搬送ガイド32及び下側搬送ガイド33は、例えば樹脂材料で成形されている。
また、下側搬送ガイド33の後側には、ドラム31の下側に位置するように下側可動ガイド34が設けられている。下側可動ガイド34は、その前半分部分の上面が、下側搬送ガイド33の上面を延長したような平坦なガイド面となっている。また、下側可動ガイド34は、その後半分部分の上面が、ドラム31の周側面31Sに沿うように湾曲したガイド面となっている。下側可動ガイド34も、例えば樹脂材料で成形されている。
下側可動ガイド34の後半分部分においてドラム31のほぼ真下となる位置には、ドラム当接ローラ35が設けられている。ドラム当接ローラ35は、左右方向に延びる円柱状であり、下側可動ガイド34に回転可能に支持されている。このドラム当接ローラ35は、上側の一部分が下側可動ガイド34の上面より上方に突出してドラム31の周側面31Sに当接する。この下側可動ガイド34は、その前端部分が、下側搬送ガイド33の後端部分に回動可能に支持されており、トーションスプリング等によってドラム31の周側面31Sに押し付ける方向に付勢されている。これにより下側可動ガイド34は、ドラム31のドラム径の変化に追従するように可動して、常にドラム当接ローラ35をドラム31の周側面31Sに当接させる。
また、ドラム31の後方斜め下には、左右方向のほぼ中央に、左右方向に延びる回転軸41Xを中心に回転する糸巻状のリール41が設けられている。リール41は、左右方向の長さがドラム31と比較して十分短く形成されている。また、リール41は、図示しないモータ等からの駆動力が伝達されることにより、引出方向S1又は巻取方向S2へ回転する。このリール41には、1本のテープ42が巻き取られている。テープ42は、例えば比較的柔らかい樹脂材料であり、細長く薄いフィルム状に形成されている。テープ42の幅(左右方向の長さ)は、リール41の幅よりも僅かに短く、ドラム31の左右方向の長さよりも十分短くなっている。テープ42は、その一端が、リール41の周側面に固定されている。
リール41の前方には、ローラ43が配置されている。このローラ43の前方で、且つドラム当接ローラ35よりも前方となる位置には、下側可動ガイド34に回転可能に支持された第1テープローラ44が配置されている。ローラ43及び第1テープローラ44は、それぞれ左右方向に延びる円柱状であり、左右方向の長さがドラム31と比較して十分短く形成されている。さらに下側可動ガイド34には、第1テープローラ44とドラム当接ローラ35との間にフィードローラ45が設けられている。フィードローラ45は、左右方向に延びる円柱状であり、下側可動ガイド34により回転可能に支持されている。このフィードローラ45は、ドラム当接ローラ35と同様、上側の一部分が下側可動ガイド34の上面より上方に突出する。またこのフィードローラ45も、左右方向の長さがドラム31と比較して十分短く形成されている。またフィードローラ45の前方には、テープ42を通すための孔(図示せず)が穿設されている。この孔は、下側可動ガイド34を上下方向に貫通していて左右方向の長さが、テープ42の幅よりも大きくなっている。
一方上側搬送ガイド32内には、第2テープローラ46が設けられている。この第2テープローラ46は、左右方向に延びる円柱状であり、上側搬送ガイド32により回転可能に支持されている。この第2テープローラ46も、左右方向の長さがドラム31と比較して十分短く形成されている。また上側搬送ガイド32にも、テープ42を通すための孔(図示せず)が設けられている。この孔は、上側搬送ガイド32の後面から第2テープローラ46の上側へと延び、第2テープローラ46の前側の周側面を通って、上側搬送ガイド32の下面へと通じる孔であり、左右方向の長さがテープ42の幅よりも大きくなっている。ドラム当接ローラ35、ローラ43、第1テープローラ44、フィードローラ45及び第2テープローラ46は、それぞれ左右方向の長さが、テープ42の左右方向の長さ(すなわちテープ幅)よりも僅かに長くなっている。
リール41に巻き取られているテープ42は、リール41から前方へと引き出された後、ローラ43、第1テープローラ44へと順に掛け渡されて、第1テープローラ44により後方斜め上に折り返される。さらにテープ42は、フィードローラ45の上部に掛け渡されて後方へと向かい、ドラム当接ローラ35とドラム31との間に入り込んで、ドラム当接ローラ35によりドラム31の周側面31Sに押し付けられる。さらにテープ42は、ドラム31の周側面31Sに沿ってドラム31の後側を半周して上端まで進み、周側面31Sを1/8周~1/4周程度進んだ地点で周側面31Sから引き離され、ドラム31の前方斜め下に位置する第2テープローラ46へと向かう。その後、テープ42は、第2テープローラ46に掛け渡され、第2テープローラ46により後方に折り返される。さらにテープ42は、フィードローラ45の上部に掛け渡されて後方へと向かい、ドラム当接ローラ35とドラム31との間に入り込んで、ドラム31の周側面31Sに押し付けられ、最終的にドラム31に巻き取られる。なお、テープ42の先端は、ドラム31の周側面31Sの左右方向の中央に固定されている。
またテープ42は、第1テープローラ44により折り返された部分と第2テープローラ46により折り返された部分のうち、フィードローラ45からドラム31の周側面31Sまでの間で上下に重なる。さらにテープ42は、詳しくは後述するが、図5に示すように、フィードローラ45と周側面31Sとの間の重なる部分で紙幣BLを挟持して前後方向に搬送する。なお、フィードローラ45と周側面31Sとの間の重なる部分を、テープ42の紙幣搬送部分42Tとも呼ぶ。
一時保留部17は、ドラム31を巻取方向R1へ回転させることで、ドラム31によりテープ42を引っ張りながら、テープ42を上述した経路で走行させ、テープ42をドラム31の周側面31Sに巻き取っていく。また、一時保留部17は、リール41を巻取方向S2へ回転させると共にドラム31を巻戻方向R2へ回転させることで、ドラム31の周側面31Sからテープ42を引き剥がし、上述した経路を逆方向に走行させて、テープ42をリール41に巻き取っていく。よってテープ42には、経路上の全ての箇所で張力が作用する。
この一時保留部17では、紙幣BLの収納時、ドラム31を巻取方向R1へ回転させてテープ42を走行させ、挿通孔30Hから入り込んでくる紙幣BLを、上側搬送ガイド32と下側搬送ガイド33との隙間に沿って後方へと搬送し、さらにテープ42の紙幣搬送部分42Tで中央を挟持して後方へ搬送する。そして一時保留部17は、ドラム31の回転に伴って、紙幣BLを挟持しているテープ42と共に、テープ42に挟持された状態のまま紙幣BLを周側面31Sに巻き付けていく。このとき下側可動ガイド34は、ドラム径の変化に追従して可動することにより、常にドラム当接ローラ35を周側面31Sに当接させる。
一方紙幣BLの繰出時、一時保留部17は、リール41を巻取方向S2へ回転させると共にドラム31を巻戻方向R2へ回転させてテープ42を収納時とは逆方向に走行させることにより、ドラム31に巻き付けられている紙幣BLを、テープ42と共にドラム31から引き剥がしていく。ドラム31から引き剥がされた紙幣BLは、テープ42の紙幣搬送部分42Tで挟持されて前方へ搬送され、さらに上側搬送ガイド32と下側搬送ガイド33との隙間に沿って、紙幣BLの面が延びる方向である面方向が搬送方向に沿うように前方へ搬送され、挿通孔30Hから繰り出される。以下では紙幣の面方向に直交する方向を紙幣厚み方向とも呼ぶ。
上述した構成に加えて、一時保留部17には、上側搬送ガイド32の後側に、上側可動ガイド60が設けられている。この上側可動ガイド60は、図6に示すように、左右方向に延びる基部60Bと、この基部60Bの左右両端部のそれぞれから下方に延びる脚部60L及び60Rとで構成されており、後側(又は前側)から見たときに、下側が開いた略コの字型となっている。
この上側可動ガイド60の後面(すなわちドラム31と対向する面)は、ドラム31の周側面31Sに沿うように湾曲している。この上側可動ガイド60の脚部60L及び60Rには、それぞれ外側面の下端近傍に、追従ローラ61が回転可能に支持されている。この追従ローラ61は、後側の一部分が上側可動ガイド60の後面より後方に突出してドラム31の周側面31Sに当接する。
この上側可動ガイド60は、基部60Bの上端部分が上側搬送ガイド32の後端部分の上端に回転可能に支持されており、スプリング62によってドラム31の周側面31Sに押し付ける方向に付勢されている。これにより上側可動ガイド60は、ドラム31のドラム径の変化に追従するように可動して、常に追従ローラ61をドラム31の周側面31Sに当接させる。
また上側可動ガイド60は、脚部60Lと脚部60Rとの左右方向の間隔が、テープ42の幅より僅かに大きく、これら脚部60Lと脚部60Rとの間に、テープ42を走行させる。つまり上側可動ガイド60は、ドラム31から上側搬送ガイド32の第2テープローラ46へと引き出されてドラム31へと折り返されるテープ42の走行経路を避ける形状となっており、これにより、テープ42の走行を妨げることなく可動する。
さらに、上側可動ガイド60の脚部60L及び60Rの下面は、上側搬送ガイド32の下面を延長したようなガイド面となっている。このガイド面は、例えば、上側可動ガイド60の回転軸を中心とする円に沿うように湾曲している。脚部60L及び60Rの下端部には、左右方向に所定の幅を有する可動リブ60Lt及び60Rtが、左右方向に一定間隔を空けて突設している。上側可動ガイド60の可動リブ60Lt及び60Rtは、上側搬送ガイド32の搬送リブ70L及び70R(後述する)と噛み合うことにより、上側可動ガイド60が可動しても、常に上側可動ガイド60のガイド面と上側搬送ガイド32のガイド面とが連結される。
図4(A)に示したように紙幣がドラム31に巻き付けられていない状態においては、可動リブ60Lt及び60Rtの後端部は、上側搬送ガイド32の搬送リブ70L及び70R(後述する)よりもドラム31に近接するよう配置されることにより、露出した状態となる。一方図4(B)に示したように紙幣がドラム31に巻き付けられ、設計上最も多くの紙幣がドラム31に巻き付けられた状態に近付いていくと、可動リブ60Lt及び60Rtの後端部は、上側搬送ガイド32の搬送リブ70L及び70Rよりもドラム31から僅かに離隔するよう配置されることにより、上側搬送ガイド32の搬送リブ70L及び70Rの内側に退避した状態となる。このときは、上側搬送ガイド32の搬送リブ70L及び70Rの後端部が、可動リブ60Lt及び60Rtの後端部よりもドラム31に近接する状態となることにより、露出した状態となる。
一時保留部17は、このような上側可動ガイド60を有している。これにより一時保留部17は、例えば図7に示すように、ドラム31から引き剥がした直後の紙幣BLを、テープ42の紙幣搬送部分42Tで中央を挟持して、上側搬送ガイド32と下側搬送ガイド33との隙間へと搬送する際に、この紙幣BLに両端が持ち上がるような折れ癖が付いていたとしても、紙幣搬送部分42Tに挟持された紙幣BLの上方に位置する上側可動ガイド60によって、紙幣BLの折れ曲がりを抑制し、上側搬送ガイド32の後面等に引っ掛けたりすることなく、紙幣BLをドラム31の周側面31Sから上側搬送ガイド32と下側搬送ガイド33との隙間へとガイドできる。
[1-4.上側搬送ガイドの構成]
図6に示すように上側搬送ガイド32は、左右方向に延びる基部32Bと、この基部32Bにおける、テープ42の左右両側において後方に延びる左右対称の搬送リブ70L(搬送リブ70La、70Lb及び70Lc)並びに搬送リブ70R(搬送リブ70Ra、70Rb及び70Rc)とで構成されている。また上側搬送ガイド32は、左右方向のほぼ中央部に上側可動ガイド60を配置させており、搬送リブ70Lをテープ42に対し搬送幅方向の左側に、搬送リブ70Rをテープ42に対し搬送幅方向の右側に配置させている。
また上側搬送ガイド32は、搬送リブ70Lと搬送リブ70Rとの左右方向の間隔が、テープ42の幅より僅かに大きく、これら搬送リブ70Lと搬送リブ70Rとの間に、テープ42を走行させる。つまり上側搬送ガイド32は、ドラム31から上側搬送ガイド32の第2テープローラ46へと引き出されてドラム31へと折り返されるテープ42の走行経路を避ける形状となっている。
搬送リブ70(搬送リブ70L及び70R)は、上側搬送ガイド32(図4)の後端の下部分に形成されており、左右方向に所定の幅を有し、左右方向に一定間隔を空けて、後方に向かって複数個突設している。これにより搬送リブ70は、櫛歯状に形成されている。また搬送リブ70は、全体として、紙幣の搬送路における搬送幅方向の中央を対称軸として左右対称に一対ずつ、合計で6本設けられている。すなわち搬送リブ70は、搬送幅方向の最も内側(中央)に位置する搬送リブ70La及び70Raと、搬送リブ70La及び70Raそれぞれに対し搬送幅方向の外側に位置する搬送リブ70Lb及び70Rbと、搬送リブ70Lb及び70Rbそれぞれに対し搬送幅方向の外側であり搬送幅方向の最も外側に位置する搬送リブ70Lc及び70Rcとにより構成されている。またテープ42と搬送リブ70La及び70Raと搬送幅方向の間隔は、搬送リブ70La、70Lb及び70Lc同士の間隔と、搬送リブ70Ra、70Rb及び70Rc同士の間隔よりも広くなっている。以下では搬送リブ70La、70Lb及び70Lcをまとめて搬送リブ70Lとも呼び、搬送リブ70Ra、70Rb及び70Rcをまとめて搬送リブ70Rとも呼び、搬送リブ70La及び70Raをまとめて搬送リブ70aとも呼び、搬送リブ70Lb及び70Rbをまとめて搬送リブ70bとも呼び、搬送リブ70Lc及び70Rcをまとめて搬送リブ70cとも呼び、搬送リブ70L及び70Rをまとめて搬送リブ70とも呼ぶ。
図8に示すように搬送リブ70La、70Lb及び70Lcは、後端が側面視において略三角形状となっており、前方から後方に向かうに連れて上下方向の長さが短くなっている。具体的に搬送リブ70La、70Lb及び70Lcは、平面形状のガイド面70BSからそれぞれリブ屈曲部70LBa、70LBb及び70LBcにおいて、紙幣と対向する面が後方斜め上方向に屈曲し、搬送リブ70La、70Lb及び70Lcの後端であるリブ先端部70LTa、70LTb及び70LTcへ向けて側面視で直線形状であり平面形状の傾斜ガイド面70LIa、70LIb及び70LIcが形成されている。なお図8においては下側可動ガイド34等を適宜図示せず省略していると共に、上側搬送ガイド32のうち搬送リブ70のみを図示している。以下では搬送リブ70Lについて主に説明するが、搬送リブ70Rについてもテープ42の搬送幅方向の中央を軸として搬送リブ70Lと左右対称に構成されている。また搬送リブ70Rにおいて搬送リブ70Lと左右対称に構成され搬送リブ70Lと対応する部材の符号は、搬送リブ70Lにおける“L”の文字を“R”の文字に置換して示す。また以下ではリブ屈曲部70LBa、70LBb及び70LBcをまとめてリブ屈曲部70LBとも呼び、リブ屈曲部70RBa、70RBb及び70RBcをまとめてリブ屈曲部70RBとも呼び、リブ屈曲部70LB及び70RBをまとめてリブ屈曲部70Bとも呼び、リブ先端部70LTa、70LTb及び70LTcをまとめてリブ先端部70LTとも呼び、リブ先端部70RTa、70RTb及び70RTcをまとめてリブ先端部70RTとも呼び、リブ先端部70LT及び70RTをまとめてリブ先端部70Tとも呼び、傾斜ガイド面70LIa、70LIb及び70LIcをまとめて傾斜ガイド面70LIとも呼び、傾斜ガイド面70RIa、70RIb及び70RIcをまとめて傾斜ガイド面70RIとも呼び、傾斜ガイド面70LI及び70RIをまとめて傾斜ガイド面70Iとも呼ぶ。傾斜ガイド面70LIは、搬送方向と、紙幣の紙幣厚み方向のうちドラム31に収納されていた際に回転軸31Xと対向していた側の面が向く方向である収納時回転軸対向方向D1(図7)とに対向する面である。
搬送リブ70Lbのリブ先端部70LTbは、搬送リブ70Laのリブ先端部70LTaと比較して、上下方向で同じ位置であり、且つ前方へ先端退避量DTEだけ移動している。すなわち搬送リブ70Lbは搬送リブ70Laと比較して、リブ先端部70LTbがリブ先端部70LTaよりも先端退避量DTEだけドラム31から離隔するように短く形成されている。また搬送リブ70Lbと搬送リブ70Laにおける紙幣と対向する面は、側面視で互いに同じ位置のリブ屈曲部70LBa及び70LBbから後方斜め上方向に屈曲している。このため搬送リブ70Lbの傾斜ガイド面70LIbは、搬送リブ70Laの傾斜ガイド面70LIaと比較して、ガイド面70BSに対する傾斜角度が大きくなっている。
搬送リブ70Lcのリブ先端部70LTcは、搬送リブ70Lbのリブ先端部70LTbと比較して、上下方向で同じ位置であり、且つ前方へ先端退避量DTEだけ移動している。すなわち搬送リブ70Lcは搬送リブ70Lbと比較して、リブ先端部70LTcが先端退避量DTEだけドラム31から離隔するように短く形成されている。また搬送リブ70Lcと搬送リブ70Lbにおける紙幣と対向する面は、側面視で互いに同じ位置のリブ屈曲部70LBb及び70LBcから後方斜め上方向に屈曲している。このため搬送リブ70Lcの傾斜ガイド面70LIcは、搬送リブ70Lbの傾斜ガイド面70LIbと比較して、ガイド面70BSに対する傾斜角度が大きくなっている。
これにより搬送リブ70Lは、搬送幅方向の最も内側、すなわち最もテープ42に近接する側に位置する搬送リブ70Laから搬送幅方向の最も外側、すなわち最もテープ42から離隔する側に位置する搬送リブ70Lcに向かって階段状に(すなわち段階的に)に短くなっている。このため搬送リブ70は、左右それぞれの各搬送リブ70a、70b及び70cのリブ先端部70Tを結ぶ仮想線L1が、紙幣の搬送方向先端側の端面の直線形状に合わせて、搬送幅方向においてテープ42に近接する側から離隔する側へ向かうに連れて前方へ傾斜する直線状となっている。これにより搬送リブ70Lは、搬送幅方向においてテープ42に近接する搬送リブ70Laから、テープ42から離隔する搬送リブ70Lcに向かって、ドラム31とリブ先端部70Tとの間隔であるドラムリブ間隔が階段状に(すなわち段階的に)に広くなり、ドラム31から遠ざかっている。換言すれば一時保留部17は、ドラム31から繰り出される際の紙幣の搬送方向に沿って、搬送リブ70Laのリブ先端部70LTa、搬送リブ70Lbのリブ先端部70LTb、搬送リブ70Lcのリブ先端部70LTcの順番となるよう搬送リブ70Lを配置している。以上は搬送リブ70Lについて主に説明したが、搬送リブ70Rについてもテープ42の搬送幅方向の中央を軸として搬送リブ70Lと左右対称に構成されている。
[1-5.動作及び効果等]
以上の構成において、紙幣BLを繰り出す際、一時保留部17は、ドラム31を巻戻方向R2へ回転させると共にリール41を巻取方向S2へ回転させることにより、該リール41にテープ42を巻き取っていく。これにより一時保留部17は、紙幣BLをドラム31の外周から引き剥がして、紙幣搬送部分42Tを介し外部に繰り出す。
このとき、図18及び図19に示したように両端が持ち上がるような折れ癖が付いた(すなわち長手方向の両端部分がドラム31の回転に伴って浮き上がってめくれた)紙幣BLが、左側が先行するようにスキューして搬送された場合について検討する。また図4(B)に示したように、紙幣BLがドラム31に多く巻き付けられ、上側搬送ガイド32の搬送リブ70L及び70Rの後端部が、可動リブ60Lt及び60Rtの後端部よりもドラム31側に露出した状態とする。
このとき紙幣BLが上側へめくれる捲れ量は、長手方向の中央部はテープ42で挟まれているため、長手方向の両端部よりも中央部寄りの方が小さくなる。一時保留部17は、テープ42により紙幣BLの長手方向の中央部分を下方向に向かって押さえつつ、図9に示すように紙幣BLの搬送方向の先端部である搬送方向端部が搬送リブ70Laのリブ先端部70LTaよりも前側に位置するまで紙幣BLを搬送する。このとき、紙幣BLの長手方向の中央部に近く捲れ量が少ない箇所である長手方向中央部よりもやや左寄りの箇所が搬送リブ70Laの傾斜ガイド面70LIaに接触する。
これにより一時保留部17は、紙幣BLの搬送方向先端部が搬送リブ70Laとドラム31との間に入り込んでしまうことを防ぎつつ、紙幣BLの捲れを搬送リブ70Laの傾斜ガイド面70LIaにより下方向に押さえながら、図10に示すように紙幣BLの搬送方向先端部が搬送リブ70Lbのリブ先端部70LTbよりも前側に位置するまで紙幣BLを搬送する。このとき、搬送リブ70Laにより捲れが抑制された紙幣BLの長手方向の中央部と左端部との中間部付近の箇所が搬送リブ70Lbの傾斜ガイド面70LIbに接触する。
これにより一時保留部17は、紙幣BLの搬送方向先端部が搬送リブ70Lbとドラム31との間に入り込んでしまうことを防ぎつつ、紙幣BLの捲れを搬送リブ70Lbの傾斜ガイド面70LIbにより下方向に押さえながら、図11に示すように紙幣BLの搬送方向先端部が搬送リブ70Lcのリブ先端部70LTcよりも前側に位置するまで紙幣BLを搬送する。このとき、搬送リブ70La及び70Lbにより捲れが抑制された紙幣BLの右端部付近の箇所が搬送リブ70Lcの傾斜ガイド面70LIcに接触する。
これにより一時保留部17は、紙幣BLの搬送方向端部が搬送リブ70Lcとドラム31との間に入り込んでしまうことを防ぎつつ、紙幣BLの捲れを搬送リブ70Lcの傾斜ガイド面70LIcにより下方向に押さえながら、挿通孔30Hまで紙幣BLを搬送する。
このように一時保留部17は、紙幣BLの長手方向のうち、テープ42で押さえられている中央部に近く捲れ量が少ないところから端部に向かって、徐々に搬送リブ70に当接させ、少しずつ紙幣BLの捲れを押さえつつ搬送するようにした。このため一時保留部17は、紙幣BLの一部がめくれたとしても、搬送リブ70とドラム31との間に入り込ませることなく紙幣BLを繰り出すことができる。これにより一時保留部17は、上側搬送ガイド32の後面等に引っ掛けたりすることなく、ドラム31から引き剥がした紙幣BLを、上側搬送ガイド32と下側搬送ガイド33との隙間へとガイドできる。かくして一時保留部17は、接触すべきでない部分に紙幣BLが接触して搬送不良を引き起こしてしまうことを防ぐことができる。
以上の構成によれば現金自動取引装置1は、取引すべき紙葉状の媒体である紙幣を外部から取り込む入出金部14と、紙幣を搬送する搬送部15と、回転可能に支持され、紙幣を周側面31Sに巻き付けるドラム31と、ドラム31の回転に伴い該周側面31Sとの間に紙幣を挟んで巻き付けるテープ42と、ドラム31の周側面31Sから離れた位置に配され、搬送方向に沿って搬送される紙幣における搬送方向に直交する搬送幅方向においてテープ42が紙幣に当接する箇所以外の部分において紙幣に対向し紙幣の搬送をガイドする上側搬送ガイド32とを設け、上側搬送ガイド32においてドラム31と対向するリブ先端部70LT及び70RTは、搬送幅方向においてテープ42から離隔する側とドラム31の周側面31Sとの間隔が、搬送幅方向においてテープ42に近接する側とドラム31の周側面31Sとの間隔以上であるようにした。これにより現金自動取引装置1は、紙幣の長手方向のうちテープ42に押さえられており捲れ量が少ない中央部から端部に向かって、徐々に搬送リブ70に紙幣を当接させ、少しずつ紙幣の捲れを押さえつつ搬送できる。
[2.第2の実施の形態]
[2-1.現金自動取引装置及び紙幣入出金機の内部構成]
第2の実施の形態による現金自動取引装置101(図1及び図2)は、第1の実施の形態による現金自動取引装置1と比較して、紙幣入出金機10に代わる紙幣入出金機110を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。紙幣入出金機110は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と比較して、一時保留部17に代わる一時保留部117を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
[2-2.一時保留部の構成]
図8(A)と対応する部材に同一符号を付した図12に示すように、一時保留部117は、第1の実施の形態による一時保留部17と比較して、搬送リブ70(搬送リブ70L及び70R)に代わる搬送リブ170(搬送リブ170L及び170R)を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
[2-3.搬送リブの構成]
搬送リブ170La、170Lb及び170Lcは、平面形状のガイド面170BSからそれぞれリブ屈曲部170LBa、170LBb及び170LBcにおいて、紙幣と対向する面が後方斜め上方向に屈曲し、搬送リブ170La、170Lb及び170Lcの後端であるリブ先端部170LTa、170LTb及び170LTcへ向けて、平面形状の傾斜ガイド面170LIa、170LIb及び170LIcが形成されている。以下では搬送リブ170Lについて主に説明するが、搬送リブ170Rについてもテープ42の搬送幅方向の中央を軸として搬送リブ70Lと左右対称に構成されている。また搬送リブ70Rにおいて搬送リブ70Lと左右対称に構成され搬送リブ70Lと対応する部材の符号は、搬送リブ70Lにおける“L”の文字を“R”の文字に置換して示す。また以下では搬送リブ170La、170Lb及び170Lcをまとめて搬送リブ170Lとも呼び、搬送リブ170Ra、170Rb及び170Rc(図示せず)をまとめて搬送リブ170Rとも呼び、搬送リブ170La及び170Raをまとめて搬送リブ170aとも呼び、搬送リブ170Lb及び170Rbをまとめて搬送リブ170bとも呼び、搬送リブ170Lc及び170Rcをまとめて搬送リブ170cとも呼び、搬送リブ170L及び170Rをまとめて搬送リブ170とも呼び、リブ屈曲部170LBa、170LBb及び170LBcをまとめてリブ屈曲部170LBとも呼び、リブ先端部170LTa、170LTb及び170LTcをまとめてリブ先端部170LTとも呼び、傾斜ガイド面170LIa、170LIb及び170LIcをまとめて傾斜ガイド面170LIとも呼ぶ。
搬送リブ170Lbのリブ先端部170LTbは、搬送リブ170Laのリブ先端部170LTaと比較して、上下方向で同じ位置であり、且つ前方へ先端退避量DTEだけ移動している。すなわち搬送リブ170Lbは搬送リブ170Laと比較して、リブ先端部170LTbがリブ先端部170LTaよりも先端退避量DTEだけドラム31から離隔するように短く形成されている。また搬送リブ170Lbのリブ屈曲部170LBbは、搬送リブ170Laのリブ屈曲部170LBaと比較して、前方へ先端退避量DTEだけ移動している。すなわち搬送リブ170Lbは搬送リブ170Laと比較して、リブ屈曲部170LBbがリブ屈曲部170LBaよりも先端退避量DTEだけドラム31から離隔するように短く形成されている。このため搬送リブ170Lbの傾斜ガイド面170LIbは、搬送リブ170Laの傾斜ガイド面170LIaと比較して、ガイド面170BSに対する傾斜角度が同等になっている。
搬送リブ170Lcのリブ先端部170LTcは、搬送リブ170Lbのリブ先端部170LTbと比較して、上下方向で同じ位置であり、且つ前方へ先端退避量DTEだけ移動している。すなわち搬送リブ170Lcは搬送リブ170Laと比較して、リブ先端部170LTcがリブ先端部170LTbよりも先端退避量DTEだけドラム31から離隔するように短く形成されている。また搬送リブ170Lcのリブ屈曲部170LBcは、搬送リブ170Lbのリブ屈曲部170LBbと比較して、前方へ先端退避量DTEだけ移動している。すなわち搬送リブ170Lcは搬送リブ170Lbと比較して、リブ屈曲部170LBcがリブ屈曲部170LBbよりも先端退避量DTEだけドラム31から離隔するように短く形成されている。このため搬送リブ170Lcの傾斜ガイド面170LIcは、搬送リブ170Lbの傾斜ガイド面170LIbと比較して、ガイド面170BSに対する傾斜角度が同等になっている。
このように搬送リブ170は、搬送リブ170Laから搬送リブ170Lcに向かって、ドラム31とリブ先端部170T及びリブ屈曲部170Bとの間隔が階段状に(すなわち段階的に)に広くなり、ドラム31から遠ざかっている。以上は搬送リブ170Lについて主に説明したが、搬送リブ170Rについてもテープ42の搬送幅方向の中央を軸として搬送リブ170Lと左右対称に構成されている。
かかる構成において紙幣を繰り出す際、一時保留部117は、搬送リブ170a、170b及び170cにより紙幣の捲れを徐々に矯正しつつ挿通孔30Hまで紙幣を搬送する。
その他の点においても、第2の実施の形態による一時保留部117は、第1の実施の形態による一時保留部17と同様の作用効果を奏し得る。
[3.第3の実施の形態]
[3-1.現金自動取引装置及び紙幣入出金機の内部構成]
第2の実施の形態による現金自動取引装置201(図1及び図2)は、第1の実施の形態による現金自動取引装置1と比較して、紙幣入出金機10に代わる紙幣入出金機210を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。紙幣入出金機210は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と比較して、一時保留部17に代わる一時保留部217を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
[3-2.一時保留部の構成]
図8(B)と対応する部材に同一符号を付した図13に示すように、一時保留部217は、第1の実施の形態による一時保留部17と比較して、搬送リブ70(搬送リブ70L及び70R)に代わる搬送リブ270(搬送リブ270L及び270R)を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
[3-3.搬送リブの構成]
搬送リブ270Laと搬送リブ270Lbとは、リブ先端部270LTaとリブ先端部70LTbとが前後方向の同じ箇所に位置している。搬送リブ270Lcのリブ先端部270LTcは、搬送リブ270Lbのリブ先端部270LTbと比較して、上下方向で同じ位置であり、且つ前方へ移動している。すなわち搬送リブ270Lcは搬送リブ270Lbと比較して、リブ先端部270LTcがドラム31から離隔するように短く形成されている。
以下では搬送リブ270La、270Lb及び270Lcをまとめて搬送リブ270Lとも呼び、搬送リブ270Ra、270Rb及び270Rcをまとめて搬送リブ270Rとも呼び、搬送リブ270La及び270Raをまとめて搬送リブ270aとも呼び、搬送リブ270Lb及び270Rbをまとめて搬送リブ270bとも呼び、搬送リブ270Lc及び270Rcをまとめて搬送リブ270cとも呼び、搬送リブ270L及び270Rをまとめて搬送リブ270とも呼び、リブ先端部270LTa、270LTb及び270LTcをまとめてリブ先端部270LTとも呼び、搬送リブ270Raのリブ先端部270RTa、搬送リブ270Rbのリブ先端部270RTb及び搬送リブ270Rcのリブ先端部270RTcをまとめてリブ先端部270RTとも呼び、リブ先端部270LT及び270RTをまとめてリブ先端部270Tとも呼ぶ。
このように搬送リブ270は、搬送リブ270aと搬送リブ270bとが同じ長さであると共に、搬送リブ270cが搬送リブ270a及び270bよりも短くなっているため、搬送リブ270a及び270bよりも搬送リブ270cの方がドラムリブ間隔が広くなり、ドラム31から遠ざかっている。このため左右それぞれの各搬送リブ270a、270b及び270cのリブ先端部270Tを結ぶ仮想線は直線状となっていない。
第3の実施の形態による一時保留部217は、第1の実施の形態による一時保留部17と同様の作用効果を奏し得る。
[4.第4の実施の形態]
[4-1.現金自動取引装置及び紙幣入出金機の内部構成]
第4の実施の形態による現金自動取引装置301(図1及び図2)は、第1の実施の形態による現金自動取引装置1と比較して、紙幣入出金機10に代わる紙幣入出金機310を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。紙幣入出金機310は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と比較して、一時保留部17に代わる一時保留部317を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
[4-2.一時保留部の構成]
図8(B)と対応する部材に同一符号を付した図14に示すように、一時保留部317は、第1の実施の形態による一時保留部17と比較して、搬送リブ70(搬送リブ70L及び70R)に代わる搬送リブ370(搬送リブ370L及び370R)を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
[4-3.搬送リブの構成]
搬送リブ370Lは、搬送リブ70La、70Lb及び70Lc(図8(B))を搬送幅方向に含むように全体として板状に形成されている。また搬送リブ370Rは、搬送リブ70Ra、70Rb及び70Rc(図8(B))を搬送幅方向に含むように全体として板状に形成されている。以下では搬送リブ370L及び370Rをまとめて搬送リブ370とも呼び、リブ先端部370LT及び370RTをまとめてリブ先端部370Tとも呼ぶ。搬送リブ370は、搬送幅方向において最もテープ42に近接する側から搬送幅方向において最もテープ42から離隔する側に向かって直線状に短くなっており、ドラム31とリブ先端部370Tとの間隔が徐々に広くなり、ドラム31から遠ざかっている。この搬送リブ370は、上側可動ガイド60が可動しない場合に適用可能である。
第4の実施の形態による一時保留部317は、第1の実施の形態による一時保留部17と同様の作用効果を奏し得る。
[5.第5の実施の形態]
[5-1.現金自動取引装置及び紙幣入出金機の内部構成]
第5の実施の形態による現金自動取引装置401(図1及び図2)は、第1の実施の形態による現金自動取引装置1と比較して、紙幣入出金機10に代わる紙幣入出金機410を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。紙幣入出金機410は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と比較して、一時保留部17に代わる一時保留部417を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
[5-2.一時保留部の構成]
図8(B)と対応する部材に同一符号を付した図15に示すように、一時保留部417は、第1の実施の形態による一時保留部17と比較して、搬送リブ70(搬送リブ70L及び70R)に代わる搬送リブ470(搬送リブ470L及び470R)を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
[5-3.搬送リブの構成]
以下では搬送リブ470La、470Lb及び470Lcをまとめて搬送リブ470Lとも呼び、搬送リブ470Ra、470Rb及び470Rcをまとめて搬送リブ470Rとも呼び、搬送リブ470La及び470Raをまとめて搬送リブ470aとも呼び、搬送リブ470Lb及び470Rbをまとめて搬送リブ470bとも呼び、搬送リブ470Lc及び470Rcをまとめて搬送リブ470cとも呼び、搬送リブ470L及び470Rをまとめて搬送リブ470とも呼び、リブ先端部470LTa、470LTb、470LTc、470RTa、470RTb及び470RTcをまとめてリブ先端部470Tとも呼ぶ。
左右それぞれの各搬送リブ470a、470b及び470cのリブ先端部470Tを結ぶ仮想線L2は、搬送幅方向においてテープ42に近接する側から離隔する側へ向かうに連れて前方へ湾曲する曲線状となっている。
第5の実施の形態による一時保留部417は、第1の実施の形態による一時保留部17と同様の作用効果を奏し得る。
[6.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、1本のテープ42を有する一時保留部17に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、図16に示すように2本のテープ42を有する一時保留部517や、3本以上の任意の本数のテープを有する一時保留部に本発明を適用しても良い。2本のテープ42を有する場合、それぞれのテープ42の左右両側に、搬送リブ70L及び70Rを形成すれば良い。第2乃至第5の実施の形態についても同様である。
また、テープ42に加えて、テープ42から左右それぞれ離れた位置において1本ずつ配され紙幣をドラム31に押さえ付ける補助テープを有する、3本のテープを用いる一時保留部に本発明を適用しても良い。1本のテープ42で紙幣をドラムに押さえ付けるタイプであっても、3本のテープで紙幣をドラム31に押さえ付けるタイプであっても、ドラム31の周側面31Sから引き剥がされた直後の紙幣BLは、中央をテープ42のみで挟持された状態となるため、例えば、この紙幣BLに両端が持ち上がるような折れ癖が付いていると、紙幣の両端が持ち上がってしまうため、本発明の効果を奏する。第2乃至第5の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、搬送リブ70をテープ42の左右片側3本ずつ合計で6本設ける場合について述べた。本発明はこれに限らず、搬送リブ70を左右片側2本以上ずつ合計で4本以上任意の本数設けても良い。第2乃至第5の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、傾斜ガイド面70Iを平面形状とする場合について述べた。本発明はこれに限らず、傾斜ガイド面70Iを湾曲形状等、種々の形状としても良い。第2乃至第5の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、上側搬送ガイド32に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、上側可動ガイド60、下側可動ガイド34又は下側搬送ガイド33に本発明を適用しても良い。第2乃至第5の実施の形態についても同様である。
また上述した第1の実施の形態においては、一時保留部17における、紙幣入出金機10の搬送部15との受渡部に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、ベルトに紙幣を当接させつつベルトを回転させることで紙幣を搬送する一方のベルト搬送路と他方のベルト搬送路との受渡部に本発明を適用しても良い。第2乃至第5の実施の形態についても同様である。
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
さらに上述した実施の形態においては、現金を取引する現金自動取引装置1に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば商品券や金券、入場券等のような薄い紙状の媒体を取り扱う種々の装置に本発明を適用しても良い。また、例えば紙幣を入出する紙幣入出金機や紙幣を所定枚数毎に施封する施封小束支払機等、紙幣や硬貨の取引に関する種々の処理を行う複数種類の装置の組み合わせにより構成された現金処理装置に本発明を適用してもよい。
さらに上述した第1の実施の形態においては、取込部としての入出金部14と、搬送部としての搬送部15と、ドラムとしてのドラム31と、テープとしてのテープ42と、媒体搬送ガイドとしての上側搬送ガイド32とによって、自動取引装置としての現金自動取引装置1を構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる取込部と、搬送部と、ドラムと、テープと、媒体搬送ガイドとによって、媒体取引装置を構成しても良い。