以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.第1の実施の形態]
[1−1.現金自動預払機及び紙幣入出金機の構成]
図1に外観を示すように、現金自動預払機1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、例えば金融機関等に設置され、利用者(すなわち金融機関の顧客)との間で入金処理や出金処理等の現金に関する取引を行うようになっている。
筐体2は、その前側に顧客が対峙した状態で紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所に顧客応対部3が設けられている。顧客応対部3は、顧客との間で例えば現金やカード等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行うようになされており、カード入出口4、入出金口5、操作表示部6、テンキー7、及びレシート発行口8が設けられている。
カード入出口4は、キャッシュカード等の各種カードが挿入または排出される部分である。カード入出口4の奥側には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部(図示せず)が設けられている。入出金口5は、顧客によって入金される紙幣が投入されると共に、顧客へ出金する紙幣が排出される。また入出金口5は、シャッタを駆動することにより開放又は閉塞するようになっている。因みに紙幣は、例えば長方形の紙により、紙葉状に形成されている。
操作表示部6は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額等を入力するタッチセンサとが一体化されたタッチパネルとなっている。テンキー7は、「0」〜「9」の数字等の入力を受け付ける物理キーであり、暗証番号や取引金額等の入力操作時に用いられる。レシート発行口8は、取引処理の終了時に取引内容等を印字したレシートを発行する部分である。因みにレシート発行口8の奥側には、レシートに取引内容等を印字するレシート処理部(図示せず)が設けられている。
以下では、現金自動預払機1のうち顧客が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、当該前側に対峙した顧客から見て左及び右をそれぞれ左側及び右側とし、さらに上側及び下側を定義して説明する。
筐体2内には、現金自動預払機1全体を統括制御する主制御部9や、紙幣に関する種々の処理を行う紙幣入出金機10等が設けられている。主制御部9は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金処理や出金処理等の種々の処理を行う。また主制御部9は、内部にRAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
紙幣入出金機10は、図2に側面図を示すように、内部に媒体としての紙幣に関する種々の処理を行う複数の部分が組み込まれている。紙幣入出金機10は、大きく分けて、上下方向のほぼ中央よりも上側部分を占める上部ユニット10Uと、その下側部分を占める下部ユニット10Lとにより構成されている。
上部ユニット10Uには、全体を統括制御する紙幣制御部11、顧客との間で紙幣を授受する入出金部12、紙幣を各部へ搬送する搬送部13、紙幣を鑑別する鑑別部14及び紙幣を一時的に収納する一時保留部15が設けられている。
紙幣制御部11は、主制御部9と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、紙幣の搬送先を決定する処理や各部の動作を制御する処理等、種々の処理を行う。また紙幣制御部11は、内部にRAM及びフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
入出金部12は、上部ユニット10U内における前上部に位置している。この入出金部12は、利用者から受け取った紙幣及び利用者へ引き渡す紙幣を収容する収容器12Aを内部に有しており、その上方をシャッタ12Bにより開閉し得るようになっている。収容器12A内には、複数の紙幣が紙面を前後方向に向けて集積された状態で収容される。この入出金部12は、収容器12A内の紙幣を1枚ずつに分離して搬送部13に引き渡し、また搬送部13から受け取った紙幣を収容器12A内へ放出して集積させる。
搬送部13は、上部ユニット10U内における下端部分に位置しており、全体的に上下方向に薄く前後方向に細長い形状となっている。この搬送部13内には、紙幣を案内する搬送ガイドや多数の回転するローラ等が適宜配置されており、紙幣の短辺を進行方向に沿わせて、主に前後方向へ搬送させるような直線状の搬送路が形成されている。
搬送部13は、図3に拡大図を示すように、大きく分けて、中央付近に配置された一時保留切替部20と、当該一時保留切替部20の前側及び後側にそれぞれ配置された前搬送部21及び後搬送部22により構成されている。一時保留切替部20は、紙幣制御部11の制御に基づき、前搬送部21、後搬送部22及び一時保留部15の間で紙幣を搬送するよう、紙幣の搬送経路を切り替える。
前搬送部21内には、前方から順に、リジェクト切替部24、鑑別部14及び切替部25が直列に配置されており、前後方向に沿った概ね直線状の前搬送路21Yが形成されている。リジェクト切替部24及び切替部25は、それぞれ紙幣制御部11の制御に基づき、紙幣の搬送経路を適宜切り替える。後搬送部22内には、後方から順に、切替部27、28及び29がほぼ直列に配置されており、前後方向に沿った概ね直線状の後搬送路22Yが形成されている。また前搬送部21及び後搬送部22は、それぞれ搬送路中に数枚程度の紙幣を貯留し得るようになっている。
鑑別部14は、前搬送部21内に組み込まれており、紙幣の搬送経路上で入出金部12と一時保留切替部20との間に位置している。この鑑別部14は、内部に厚みセンサ、イメージセンサ及び磁気センサといった複数種類のセンサが組み込まれており、搬送される紙幣の金種、真偽、正損(損傷しているか否か)等を認識し、その認識結果を紙幣制御部11へ送出する。
媒体収納装置及び媒体収納部としての一時保留部15(図2)は、いわゆるテープエスクロ方式を採用しており、円筒状のドラムの周側面に紙幣をテープと共に巻き付けることにより当該紙幣を収納し、またこの周側面から当該テープと共に紙幣を引き剥がすことにより該紙幣を繰り出す(詳しくは後述する)。
下部ユニット10Lは、その全ての周側面が頑強な金庫筐体10Sにより覆われている。この金庫筐体10Sの内部には、後側から前側へ向けて、5個の紙幣収納庫16並びにリジェクト庫17が設けられている。因みに紙幣収納庫16及びリジェクト庫17は、金庫筐体10Sに対し着脱可能に構成されている。
各紙幣収納庫16は、上下方向に長い直方体状に形成されると共に内部に紙幣を集積して収納する空間を有している。また各紙幣収納庫16は、それぞれ収納すべき紙幣の金種が予め設定されている。この紙幣収納庫16は、搬送部13から紙幣を受け取ると、これを内部に集積して収納する。また紙幣収納庫16は、紙幣制御部11から紙幣を繰り出す指示を受け付けると、集積している紙幣を1枚ずつに分離して繰り出し、搬送部13に引き渡す。
リジェクト庫17は、上下方向に長い直方体状に形成されると共に内部に紙幣を集積して収納する空間を有している。このリジェクト庫17は、鑑別部14及び紙幣制御部11により損傷の程度が大きく再利用すべきで無いと判断された紙幣(いわゆるリジェクト紙幣)が搬送部13により搬送されてくると、当該紙幣を内部に収納する。
[1−2.入金処理]
次に、現金自動預払機1により顧客との間で入金取引が行われる場合における、紙幣入出金機10内での入金処理について説明する。紙幣入出金機10は、入金処理において、紙幣制御部11の制御に基づき、まず入金された紙幣の金種等を鑑別しながら枚数を計数する入金計数処理を行い、次に紙幣を適切な収納箇所へ搬送して収納する入金収納処理を行うようになっている。
具体的に紙幣制御部11は、例えば顧客により操作表示部6(図1)を介して入金取引を開始する旨の操作入力を受け付けると、入金計数処理を開始し、顧客に入出金部12の収容器12Aへ紙幣を投入させ、これを1枚ずつに分離して取り込み、搬送部13へ順次引き渡す。搬送部13は、入出金部12から受け取った紙幣を前搬送部21により後方へ順次搬送しながら、鑑別部14により各紙幣を順次鑑別させ、一時保留切替部20へ順次引き渡す。このとき鑑別部14は、得られた鑑別結果を紙幣制御部11へ送出する。
紙幣制御部11は、取得した鑑別結果を基に、各紙幣における損傷の程度や金種、或いは真偽を判断する。次に紙幣制御部11は、各紙幣について、正常な紙幣として認識できた場合は以降の処理を継続できる入金受入紙幣であると判断し、正常な紙幣として認識できない場合は、一度顧客に返却すべき入金リジェクト紙幣であると判断する。さらに紙幣制御部11は、入金受入紙幣について、正常であり再利用可能な紙幣については金種ごとの各紙幣収納庫16を、損傷の程度が大きいリジェクト紙幣についてはリジェクト庫17を、それぞれ最終的な搬送先として決定する。
続いて紙幣制御部11は、前搬送部21から一時保留切替部20へ引き渡される紙幣の判断結果に応じて、入金受入紙幣であれば一時保留部15へ搬送して収納させ、入金リジェクト紙幣であれば後搬送部22内へ進行させて後搬送路22Y内に貯留させる。やがて紙幣制御部11は、入出金部12の収容器12Aから全ての紙幣を取り込み終えると、後搬送部22の後搬送路22Y内に入金リジェクト紙幣が貯留されていれば、これを顧客に返却する。これにより紙幣制御部11は、紙幣を前搬送部21経由で入出金部12へ搬送して顧客に返却し、紙幣の状態を確認させ、必要に応じて再投入させる。一方、紙幣制御部11は、後搬送部22の後搬送路22Y内に入金リジェクト紙幣が貯留されていなければ、入金計数処理を完了する。
このとき紙幣制御部11は、入出金部12から取り込んだ紙幣の金種及び枚数の集計結果を基に入金額を算出すると共に、所定の操作指示画面を操作表示部6に表示し、この入金額を顧客に提示すると共に入金取引を継続するか否かを選択させる。ここで紙幣制御部11は、顧客により入金取引の中止が指示された場合、一時保留部15に保留している全ての紙幣を搬送部13により入出金部12へ搬送して顧客に返却する。
一方、紙幣制御部11は、顧客により入金取引の継続が指示された場合、入金収納処理を開始する。具体的に紙幣制御部11は、まず一時保留部15において操出処理を開始し、収納している紙幣(入金受入紙幣)を順次繰り出し、一時保留切替部20へ引き渡す。このとき紙幣制御部11は、入金計数処理において決定された紙幣毎の搬送先に応じて、一時保留切替部20や各切替部における紙幣の搬送経路を適宜切り替えることにより、各紙幣をそれぞれの搬送先へ搬送して収納させる。これにより紙幣制御部11は、再利用すべき通常の紙幣を金種ごとに分類して各紙幣収納庫16に収納でき、また再利用すべきで無いリジェクト紙幣をリジェクト庫17に収納できる。
[1−3.一時保留部の構成]
次に、一時保留部15の構成について、紙幣の収納動作や繰出動作を行い得る動作状態と、保守作業者により部品交換等の保守作業が行われる保守状態とに分けて、それぞれ説明する。
[1−3−1.動作状態における各部の構成]
一時保留部15は、動作状態である場合、図4(A)に左側面図を示すように、一時保留部筐体30内にドラム31、リール32や複数のローラ等が設けられており、且つその周囲を他の部品により保護した構成となっている。因みに図4は、一時保留部15を模式的に表しており、説明の都合上、一部の部品を透過させ、若しくは断面(斜線で示す)を表し、或いは省略している。
ドラム31は、一時保留部筐体30内における上下方向の中央よりもやや上側であって、前後方向の中央よりもやや前側に配置されており、中心軸を左右方向に沿わせた円筒状に構成されている。因みにドラム31における左右方向の長さは、紙幣における長辺の長さ、すなわち左右方向の長さよりも十分に長くなっている。このドラム31は、中心部分がドラム回転軸31Xにより左右方向に貫通されており、図示しないモータから駆動力が供給されると、該ドラム回転軸31Xを回転中心として、図中の時計回りとなる矢印R1方向又はその反対の矢印R2方向へ回転する。またドラム31は、後述するように、周側面31Sに紙幣を巻き付けることにより収納し、また該周側面31Sから該紙幣が引き剥がされることにより繰り出す。このためドラム31は、巻き付けられた紙幣の枚数に応じて、見かけ上の半径を変化させることになる。
一時保留部筐体30内における後端近傍の下寄りには、該一時保留部筐体30に対し着脱可能に構成された後部ユニット40が組み込まれている。後部ユニット40は、全体として中空の直方体状に構成されており、その前面の上側約半分及び上面が開放される一方、その他の部分が側壁部41により閉塞されている。この後部ユニット40は、該後部ユニット40に対し着脱可能なリールアセンブリ42を回転可能に支持している。
リールアセンブリ42は、図5(A)に模式的な斜視図を示すように、リール軸43に対し、1個のギア44と、左右方向に沿って並ぶ3個のリールユニット45とが取り付けられている。リール軸43は、中心軸を左右方向に沿わせた細長い円柱状に構成されており、後部ユニット40に装着された状態において、該後部ユニット40により回転可能に支持されている。
ギア44は、リール軸43の右端近傍に取り付けられており、リールアセンブリ42が後部ユニット40に装着され、さらに該後部ユニット40が一時保留部筐体30に装着された場合に、該一時保留部筐体30側に設けられたリール駆動ギア34(図4(A))と噛み合うようになっている。このためギア44は、図示しないモータによりリール駆動ギア34が回転された場合、該リール駆動ギア34との噛み合いにより駆動力が伝達され、リール軸43と一体に回転する。
各リールユニット45は、リール軸43に対しそれぞれ独立して着脱可能に構成されている。各リールユニット45は、図5(B)に示すように、リール取付部46及びリール32により構成されている。リール取付部46は、円柱部46A及び円板部46Bにより構成されている。
円柱部46Aは、中心軸を左右方向に沿わせた円柱状に構成されており、その外径がリール軸43よりも十分に大きく(すなわち太く)なっている。また円柱部46Aは、その中心部分を左右方向に貫通する軸孔が形成されることにより、リール軸43に挿通されるようになっている。さらに円柱部46Aの内部には、トルクリミッタが組み込まれている。このため円柱部46Aは、外周部分に対し所定の閾値未満の力(トルク)が作用する場合にはリール軸43と一体に回転させる一方、この外周部分に対し閾値以上の力(トルク)が作用する場合には該リール軸43と一体に回転せず、空回りする。
円板部46Bは、中心軸を円柱部46Aと共有すると共に左右方向に薄い円板状に構成されており、円柱部46Aの外周部分における左端に固定されている。円板部46Bにおける最外周近傍には、切欠や孔部が適宜形成されている。
リール32は、中心軸を左右方向に向けた糸巻き状に構成されており、左右方向の長さがドラム31の1/3乃至1/4程度となっている。このリール32における中心部分には、左右方向に貫通する取付孔が形成されている。このためリール32は、この取付孔をリール取付部46の円柱部46Aに挿通させることにより、該リール取付部46に取り付けられて一体化する。
因みにリール取付部46は、樹脂材料による成型部品として構成されており、円柱部46Aに弾性変形可能な爪部(図示せず)が形成されている。このためリール取付部46は、この爪部を弾性変形することにより、リール32を容易に着脱し得ると共に、該リール32が取り付けられた状態を維持できる。またリール取付部46における円柱部46Aの外周面及びリール32の取付孔における内周面には、互いに係合する形状でなる係合部(図示せず)がそれぞれ形成されている。このためリール取付部46は、円柱部46Aの外周部分及び円板部46Bに対しリール32を空回りさせること無く、一体化された状態を維持することができる。
さらに、一時保留部筐体30(図4(A))内におけるリールアセンブリ42の上側には、3個のリール取付部46とそれぞれ対応する3箇所に、光学センサがそれぞれ取り付けられている。各光学センサは、円板部46Bの外周近傍に左右方向に沿った検知光を照射すると共に、該円板部46Bを通過した検知光の受光結果に応じた受光信号を生成する。このため一時保留部15は、各光学センサから得られる受光結果を基に、各リール取付部46及びそれぞれ取り付けられたリール32の回転数や回転速度等を検出できる。
各リール32(図5(B))には、それぞれテープ33が巻回されている。テープ33は、可撓性を有する樹脂材料により十分に薄いフィルム状に構成されており、左右方向(すなわち幅方向であり短手方向)の長さが数[cm]程度である一方、長手方向の長さが例えば数十[m]程度のように細長い形状に形成されている。このテープ33は、長手方向に関する一端(以下これをリール側端部とも呼ぶ)がリール32における円筒状部分の周側面に固定された上で、上述したように該円筒状部分の周囲に巻き付けられている。
このため各リール32は、テープ33におけるリール側端部の反対側(以下これをドラム側端部とも呼ぶ)がリール軸43から離れる方向へ引っ張られた場合、所定の回転方向(例えば図4(A)における矢印R1方向)へ回転しながら、該テープ33が順次引き出されていく。また各リール32は、リール軸43が矢印R2方向へ、すなわちテープ33が引き出された場合と反対の方向へ回転された場合、該リール軸43と共に矢印R2方向へ回転してテープ33を巻き取っていく。
なお説明の都合上、以下では、3個のリール32(図5(A))のうち左右方向の中央に配置されたものを中リール32Cとも呼び、またその左右両側にそれぞれ配置されたものをそれぞれ外リール32Uとも呼ぶ。さらに以下では、中リール32C及び各外リール32Uにそれぞれ巻き付けられたテープ33を、それぞれ中テープ33C及び外テープ33Uとも呼ぶ。
また一時保留部筐体30(図4)内には、紙幣を案内する複数の部材により、前下側とドラム31の周側面における後側部分とを結ぶようにして、紙幣を搬送すべき紙幣搬送路15Wが形成されている。紙幣搬送路15Wは、鉛直方向に対し上端をやや後側に位置させるように傾斜した、すなわち前下側及び後上側を結ぶように傾斜した直線状となっている。
紙幣搬送路15Wの前下側部分には、前下搬送ガイド35が設けられている。前下搬送ガイド35は、一時保留部筐体30に対し固定されており、後側乃至下側の湾曲された側面を案内面として紙幣を案内するようになっている。また前下搬送ガイド35には、図示しない搬送ローラが、その一部を案内面から露出させた状態で組み込まれている。この搬送ローラは、回転することにより紙幣に駆動力を伝達し、紙幣搬送路15Wに沿って紙幣を進行させる。
一方、ドラム31の下側には、オープンガイド50が位置している。オープンガイド50は、左右の両端から上方へ向けて延設された支持アーム51により支持されると共に、ドラム回転軸31Xを中心として回動し得るように構成されている。このためオープンガイド50は、図4(A)に示したようにドラム31の下側(以下、この位置を動作位置と呼ぶ)から前上側に持ち上げられた場合、該ドラム31の前側に移動することができる(詳しくは後述する)。
オープンガイド50における後側面には、媒体案内部としてのオープン搬送ガイド52が設けられている。このオープン搬送ガイド52における後側部分は、紙幣搬送路15Wの前側における中央部分に位置しており、該紙幣搬送路15Wに沿って前下側と後上側とを結ぶように傾斜した平面状となっている。これによりオープン搬送ガイド52は、後側の平坦な側面を案内面として、紙幣を紙幣搬送路15Wに沿って案内することができる。
因みにオープンガイド50における上側面には、ドラム31と対向するオープン対向ガイド53が設けられている。このオープン対向ガイド53は、ドラム31の周側面31Sに応じてやや湾曲した面として形成されている。
紙幣搬送路15Wの後側であって、該紙幣搬送路15Wを挟んで前下搬送ガイド35及びオープン搬送ガイド52と対向する箇所には、後下搬送ガイド36が設けられている。後下搬送ガイド36は、前下搬送ガイド35と同様に一時保留部筐体30に固定されており、前側乃至下側の側面を案内面として紙幣を案内するようになっている。また後下搬送ガイド36には、前下搬送ガイド35と同様に、図示しない搬送ローラが、その一部を案内面から露出させた状態で組み込まれている。
後下搬送ガイド36の上側には、可動ガイド60が配置されている。可動ガイド60は、全体として、紙幣搬送路15Wの後側における後下搬送ガイド36よりも上側の部分からドラム31の後側乃至上側の部分までの範囲に渡り、該ドラム31の周側面に応じて湾曲された板状の本体部61を中心に構成されている。この可動ガイド60は、本体部61の下端近傍に設けられた回動軸62が一時保留部筐体30によって回動可能に支持されており、該回動軸62を中心として、本体部61の上側を前方又は後方へ移動させるようにして回動することができる。
図6に斜視図を示すように、可動ガイド60における上下方向の中央よりもやや上側には、ドラム当接ローラ63が設けられている。ドラム当接ローラ63は、中心軸を左右方向に沿わせた小さな円柱状に構成されており、左右の両側面における中心部分には、左右の外方へ向けて、さらに小さな円柱状でなる軸63Xがそれぞれ設けられている。この軸63Xは、可動ガイド60により支持されている。このためドラム当接ローラ63は、軸63Xを中心として自在に回転することができる。
また可動ガイド60(図4(A))は、スプリング64により前方向に付勢されている。これにより可動ガイド60は、ドラム当接ローラ63をドラム31の周側面に巻き付けられた中テープ33Cに当接させることができる。
さらに可動ガイド60は、ドラム31が回転した場合、ドラム当接ローラ63を回転させることにより、ドラム31の周側面に巻き付けられた中テープ33Cとの間に摩擦を生じること無く、該ドラム当接ローラ63を当接させた状態を維持できる。また可動ガイド60は、ドラム31が巻き付けられた紙幣の枚数に応じて見かけ上の半径を変化させた場合にも、これに追従するように回動し、該ドラム当接ローラ63を当接させた状態を維持できる。
因みに可動ガイド60(図6)における下端近傍には、自在に回転するローラ65が組み込まれている。このローラ65は、その前端近傍を本体部61の前面よりも前側に、すなわち紙幣搬送路15W内に位置させている。ローラ65は、紙幣搬送路15W内を搬送される紙幣と当接して回転することにより、該紙幣との間に摩擦を生じること無く、紙幣搬送路15Wに沿って該紙幣を案内することができる。
一時保留部筐体30(図4(A))におけるドラム31の上側乃至前側には、該ドラム31を外部から保護する前側ガイド70が設けられている。前側ガイド70は、全体としてドラム31の周側面31Sに応じて湾曲された板状に形成されており、該周側面31Sとの間に、十分な空間を形成している。これにより前側ガイド70は、周側面31Sに紙幣が巻き付けられてドラム31の見かけ上の半径が増加した場合にも、その最外周面と当接しないようになっている。
また前側ガイド70は、その上後側の端部近傍に回動軸71が設けられると共に、その前下側の端部近傍にリンク軸72が設けられている。回動軸71は、一時保留部筐体30内に設けられた支持部37により、回動可能に支持されている。リンク軸72は、オープンガイド50における左右の側板54に形成されたリンク溝55に挿通されている。
さらに一時保留部15には、一時保留部筐体30(図4(A))の内部に、テープ33の進行方向を変化させる3個の第1転向ローラ81、3個の第2転向ローラ82、並びに1個の第3転向ローラ83が設けられている。
第1転向ローラ81は、ドラム当接ローラ63(図6)と同様、中心軸を左右方向に沿わせた小さな円柱状に形成されており、その左右の両側面における中心部分に、さらに小さな円柱状でなる軸81Xがそれぞれ立設されている。後部ユニット40は、3個のリール32それぞれの前側となる箇所において、3本のテープ33とそれぞれ対応する3個の第1転向ローラ81における軸81Xを、それぞれ支持している。
また後部ユニット40(図4(A))は、側壁部41のうち前側部分を構成する前側壁部41Fの上端を、第1転向ローラ81の下端よりも下側に位置させることにより、該前側壁部41F及び該第1転向ローラ81の間に比較的狭い隙間を形成している。この隙間は、第1転向ローラ81及び側壁部41によりその周囲が囲まれた孔と見なすこともでき、後述するようにテープ33の走行経路上に位置している。以下では、この隙間を第1経路孔48と呼ぶ。
第2転向ローラ82は、可動ガイド60における上下方向の中央よりもやや下側に設けられている。すなわち第2転向ローラ82は、第1転向ローラ81のほぼ真上に位置している。この第2転向ローラ82は、第1転向ローラ81と同様、中心軸を左右方向に沿わせた小さな円柱状に形成されており、その左右の両側面における中心部分に、さらに小さな円柱状でなる軸82Xがそれぞれ立設されている。
可動ガイド60(図6)の本体部61は、前後方向に貫通する転向ローラ保持孔67が形成されており、この転向ローラ保持孔67に各第2転向ローラ82をそれぞれ入り込ませた状態で、軸82Xを支持している。これにより各第2転向ローラ82は、その前端近傍を本体部61の前面よりも前側に位置させ、紙幣搬送路15W(図4(A))内に露出させている。
また本体部61における各第2転向ローラ82の下側には、本体部61を前後方向に貫通すると共に各転向ローラ保持孔67と連通された第2経路孔68がそれぞれ形成されている。第2経路孔68における左右方向の長さは、テープ33における左右方向の長さ(すなわちテープ幅)よりも十分に長くなっている。
第3転向ローラ83は、オープンガイド50(図4(A))における後上側の頂点近傍に設けられている。すなわち第3転向ローラ83は、ドラム31のほぼ真下に位置している。この第3転向ローラ83は、第1転向ローラ81等と同様、中心軸を左右方向に沿わせた小さな円柱状に形成されており、その左右の両側面における中心部分に、さらに小さな円柱状でなる軸83Xがそれぞれ立設されている。
またオープン搬送ガイド52の上端よりもやや下側には、転向ローラ露出孔57が形成されている。オープンガイド50は、転向ローラ露出孔57から第3転向ローラ83の後端近傍を後側へ、すなわち紙幣搬送路15W側に露出させた状態で、軸83Xを支持している。またオープン対向ガイド53における後端よりもやや前側、すなわち第3転向ローラ83の前上側となる箇所には、上下方向に貫通する対向面通過孔58が形成されている。
[1−3−2.動作状態におけるテープの走行経路]
次に、一時保留部15におけるテープ33(外テープ33U及び中テープ33C)の走行経路について、図4(A)と対応する図4(B)及び図7を参照しながらそれぞれ説明する。因みに図7は、一時保留部15を構成する部品のうちドラム31、リール32、テープ33、第1転向ローラ81、第2転向ローラ82及び第3転向ローラ83並びに紙幣BLを模式的に表した斜視図である。
外テープ33Uは、外リール32Uの外周面における上端近傍を開始点として前斜め下方へ引き出され、第1転向ローラ81の下端近傍に当接すると、該第1転向ローラ81により上方へ折り返される。具体的に外テープ33Uは、第1転向ローラ81の周側面に沿って後下側から矢印R2方向に進行し、第1経路孔48を通過した上で、前端近傍から上方へ向かう。
続いて外テープ33Uは、第2転向ローラ82の前端よりもやや下側に当接すると、該第2転向ローラ82により上斜め後方へ折り返される。具体的に外テープ33Uは、第2転向ローラ82の周側面に沿って前端のやや下側から矢印R2方向(図の反時計回り)に進行し、第2経路孔68を通過することにより可動ガイド60の後側から前側へ移った上で、前端のやや上側から上斜め後方へ向かう。これにより外テープ33Uは、ドラム31の後側において、終了点である周側面31Sに到達する。ドラム31の周側面31Sに到達した外テープ33Uは、そのドラム側端部が該周側面31Sに固定されている。
一方、中テープ33Cは、中リール32Cから引き出されると、外テープ33Uと同様の走行経路に沿って進行することにより、第1転向ローラ81及び第2転向ローラ82により順次折り返された後、ドラム31の周側面31Sに到達する。続いて中テープ33Cは、周側面31Sに沿って矢印R1方向へ約3/4周進行すると、該周側面31Sの前下側から一度引き剥がされ、第3転向ローラ83により折り返された後に再び周側面31Sの後下側に到達する。
具体的に中テープ33Cは、周側面31Sの前下側から一度引き剥がされた後、オープン対向ガイド53に形成された対向面通過孔58を通過した上で、第3転向ローラ83の前下側に当接する。続いて中テープ33Cは、第3転向ローラ83の周側面に沿って矢印R1方向へ進行し、転向ローラ露出孔57を通過してオープン搬送ガイド52の後側、すなわち紙幣搬送路15W内に入り込み、該第3転向ローラ83の後端近傍から上斜め後方向へ向かう。
これにより中テープ33Cは、ドラム31の後側において、終了点である周側面31Sに到達する。ドラム31の周側面31Sに到達した中テープ33Cは、そのドラム側端部が該周側面31Sに固定されている。すなわち中テープ33Cは、外テープ33Uと同様にドラム31の周側面31Sに一度到達した後、該ドラム31の周囲を回り第3転向ローラ83により折り返された上で再び周側面31Sに到達するように、走行経路が形成されている。
このような構成により、一時保留部15は、前下側に位置する一時保留切替部20(図3)から受け取った紙幣を収納する場合、図示しない搬送ローラを適宜回転させることによりこの紙幣を紙幣搬送路15Wに沿って上斜め後方へ搬送し、ドラム31の周側面31Sに近づけていく。これと合わせて一時保留部15は、ドラム31を矢印R1方向(図の時計回り)に回転させることにより、リール32を矢印R1方向へ回転させながら該リール32からテープ33を順次引き出し、上述した走行経路に沿って順次走行させた後、紙幣搬送路15W内を通って周側面31Sに到達させる。そのうえで一時保留部15は、図7に示したように、紙幣BLを中テープ33C及び外テープ33Uにより前後から挟持した状態とし、この紙幣を中テープ33C及び外テープ33Uと共にドラム31の周側面31Sに巻き付けて収納する。
また、一時保留部15は、収納している紙幣を繰り出す場合、リール32を矢印R2方向へ回転させると共にドラム31を矢印R2方向へ回転させる。これにより、ドラム31の周側面31Sに巻き付けられていた紙幣は、該周側面31Sの後端近傍において、中テープ33C及び外テープ33Uと共に該周側面31Sから順次引き剥がされ、紙幣搬送路15Wに沿って下斜め前方へ向かう。周側面31Sから引き剥がされた中テープ33C及び外テープ33Uは、それぞれの走行経路に沿って収納時と反対方向へ進行した後、中リール32C及び外リール32Uにそれぞれ巻き付けられる。また一時保留部15は、図示しない搬送ローラを適宜回転させることにより、この紙幣を紙幣搬送路15Wに沿って下斜め前方へ搬送し、一時保留切替部20(図3)に引き渡す。
このように一時保留部15は、動作状態である場合、リール32及びドラム31の周側面31Sの間で第1転向ローラ81、第2転向ローラ82及び第3転向ローラ83等によって適宜折り返される走行経路に沿って、テープ33を走行させている。
なお説明の都合上、以下では、テープ33(図4(B))の走行経路のうちリール32と第1転向ローラ81との間、第1転向ローラ81と第2転向ローラ82との間、並びに第2転向ローラと周側面31Sにおける後側との間に位置する各部分を、それぞれ第1走行経路Y1、第2走行経路Y2及び第3走行経路Y3と呼ぶ。また以下では、周側面31Sにおける前下側と第3転向ローラ83との間、及び該第3転向ローラ83と周側面31Sにおける後側との間に位置する各部分を、それぞれ第4走行経路Y4及び第5走行経路Y5と呼ぶ。
さらに以下では、一時保留部筐体30に対し後部ユニット40が装着された動作状態(図4)におけるリールアセンブリ42及びリール32、第1転向ローラ81、並びに第1経路孔48それぞれの位置を、動作位置と呼ぶ。
[1−4.保守状態]
次に、一時保留部15において保守作業者により部品交換等の保守作業が行われる保守状態である場合について説明する。ここでは、一時保留部15が紙幣入出金機10の上部ユニット10U(図2)から取り外され、図示しない作業机の上等に載置されているものとする。
一時保留部15は、保守状態である場合、図4(A)及び(B)と対応する図8に示すように、保守作業者により一時保留部筐体30から後部ユニット40が後方へ引き出されて取り外され、該一時保留部筐体30の後側における該一時保留部筐体30からやや離れた箇所に載置される。これを換言すれば、リールアセンブリ42及びリール32、第1転向ローラ81、並びに第1経路孔48は、何れも動作位置から変位される。
さらに一時保留部15では、後部ユニット40からリールアセンブリ42が上方へ持ち上げられることにより、該後部ユニット40から取り外される。因みに後部ユニット40の側壁部41における左右の両側部分には、リール軸43を回転可能に且つ容易に着脱し得るように支持する溝部が形成されている。
このため一時保留部15では、第1転向ローラ81の後側、すなわち第1経路孔48の後側(以下、他方側とも呼ぶ)に、例えば保守作業者がテープ33を把持した手や指先等を入れて第1経路孔48に近接させ得る程度の、十分に大きな第1作業空間SC1が形成される。また一時保留部15では、第1転向ローラ81の前側、すなわち第1経路孔48の前側(以下、一方側とも呼ぶ)に、同様に十分に大きな第2作業空間SC2が形成される。このとき一時保留部15では、第1経路孔48を介して、他方側作業空間としての第1作業空間SC1と、一方側作業空間としての第2作業空間SC2とが、仮想的な直線L1に沿って連通されている。
ところで一時保留部15では、一時保留部筐体30から後部ユニット40が引き出されたことにより、第2転向ローラ82及び第2経路孔68の後側には、十分な大きさでなる第3作業空間SC3が形成されている。また一時保留部15は、一時保留部筐体30における後側面30Rやその内側(すなわち前側)に取り付けられている部品等の下端が、第2経路孔68と同等の高さとなっている。このため保守作業者は、一時保留部筐体30の後側における下寄りから、具体的には仮想的な直線L2よりも下側からやや見上げるようにして内部を覗き込んだ場合に、第2経路孔68を直接目視できる。
さらに一時保留部15は、保守状態である場合、保守作業者からオープンガイド50に対し前上方へ持ち上げられるような力が加えられることにより、該オープンガイド50が動作位置(図4(A))からドラム回転軸31Xを中心として矢印R2方向に回動される。以下、このときのオープンガイド50の位置を保守位置と呼ぶ。因みに前側ガイド70は、リンク軸72をリンク溝55内で摺動させながら、回動軸71を中心として矢印R2方向へ回動する。このためオープンガイド50は、図8に示したように、ドラム31との距離を保ったまま、該ドラム31の前側に位置した状態となり、その下端を第2経路孔68よりも上側であり、ドラム31の下端よりも十分に上側となる高さに位置させている。
これにより一時保留部15では、第2経路孔68の前側且つドラム31の下側に、十分な大きさでなる第4作業空間SC4が形成される。またオープンガイド50は、その下端がドラム31の下端よりも上側にまで持ち上げられている。このため保守作業者は、一時保留部筐体30の前側における中程若しくは下側から、具体的には仮想的な直線L3よりも下側から内部を覗き込んだ場合に、第2経路孔68を直接目視できる。さらにこのとき一時保留部15では、第1経路孔48の場合と同様、第2経路孔68を介して第3作業空間SC3及び第4作業空間SC4が仮想的な直線L4に沿って連通されている。
また一時保留部15では、オープンガイド50が保守位置に回動されたことにより、オープン搬送ガイド52、第3転向ローラ83及び転向ローラ露出孔57を下方に向けると共に、その下側に十分な大きさの第5作業空間SC5が形成されている。
因みに一時保留部15は、これらの挿通作業がテープ33の上流側から順次行われ、各テープ33の先端(ドラム側端部)がドラム31の周側面31Sに固定された後、保守状態(図8)から運用状態(図4)に戻される。具体的に一時保留部15は、リールアセンブリ42が後部ユニット40に装着され、該後部ユニット40が一時保留部筐体30の後部に装着されると共に、オープンガイド50が保守位置から運用位置へ回動される。またこのとき一時保留部15では、リール32又はドラム31が保守作業者の手作業によって(すなわち手動で)回転されることにより、テープ33の弛みが適宜解消される。
[1−5.テープ設置作業及び効果]
以上の構成において、第1の実施の形態による現金自動預払機1の一時保留部15は、一時保留部筐体30に対し後部ユニット40を着脱可能とし、該後部ユニット40に対しリールアセンブリ42を着脱可能とし、さらにオープンガイド50を回動可能とすることにより、動作状態(図4)又は保守状態(図8)へ遷移し得るようにした。
ここでは、一時保留部15からテープ33が一度取り外された状態において、保守作業者により、リール32から引き出されたテープ33を走行経路(図4(B)及び図7)に沿ってドラム31の周側面31Sに到達させるよう設置するテープ設置作業が行われる場合について説明する。また以下では、説明の都合上、テープ33の走行経路に関して、リール32側を上流側と呼び、ドラム31側を下流側と呼ぶ。
一時保留部15では、保守作業者によりテープ設置作業が行われる場合、動作状態(図4)から保守状態(図8)に遷移される。具体的に一時保留部15では、一時保留部筐体30から後部ユニット40が後方へ引き出され、さらに該後部ユニット40からリールアセンブリ42が取り外される。さらに一時保留部15では、オープンガイド50が保守位置へ回動される。
この保守状態(図8)において、一時保留部15では、第1経路孔48の後側でありテープ33の走行経路に関する上流側に、比較的に大きい第1作業空間SC1が形成されている。このため保守作業者は、例えばリール32から十分な長さのテープ33を引き出した上で、その先端近傍を把持した指先等を、この第1作業空間SC1を介して、第1経路孔48の近傍に容易に到達させ、さらに該第1経路孔48内へ確実に挿入させることができる。
また一時保留部15では、第1経路孔48を介して第1作業空間SC1及び第2作業空間SC2を仮想的な直線L1に沿って互いに連通させている。このため保守作業者は、テープ33を第1経路孔48内で屈曲させる等の困難な作業を行うこと無く、該テープ33を自然な形状のまま、すなわち概ね直線状のまま該第1経路孔48へ挿通させるだけで、その先端部分を該第1経路孔48の反対側である前側に突出させることができる。
さらに一時保留部15では、第1経路孔48の前側でありテープ33の走行経路に関する下流側に、十分に大きい第2作業空間SC2が形成されている。このため保守作業者は、この第2作業空間SC2を介して、第1経路孔48を前側から目視しながら指先等を該第1経路孔48の近傍に到達させることができ、該第1経路孔48から僅かに突出しているテープ33の先端部分を容易に且つ確実に把持できる。
すなわち保守作業者は、リール32から十分な長さのテープ33を引き出した上で、その先端近傍を一方の手により把持し、第1作業空間SC1が形成された後側から該テープ33の先端を第1経路孔48に挿通させ、挿通された該テープ33の先端を、第2作業空間SC2が形成された前側において、もう一方の手により直ちに把持できる。
これにより一時保留部15では、保守作業者に対し、例えば第1経路孔48を目視し得ない状態や該第1経路孔48の近傍に指先等を近接させ得ない状態、或いは第1経路孔48内でテープ33を屈曲させる必要がある状態と比較して、挿通作業を極めて容易に、且つ短い時間で行わせることができる。すなわち一時保留部15では、第1経路孔48への挿通作業において、特別な治具を用いる必要無く、複雑な作業や熟練を要する作業も必要とせず、保守作業者に比較的単純な作業を行わせるだけで良いため、その作業性を格段に高めることができる。
これと同様に、一時保留部15では、保守状態において、第2経路孔68の上流側である後側に比較的に大きい第3作業空間SC3を形成する。このため保守作業者は、この第3作業空間SC3を利用することにより、第2経路孔68を後側から目視しながら、テープ33の先端近傍を把持した指先等を該第2経路孔68の近傍に容易に到達させ、さらに該第2経路孔68内へ確実に挿入させることができる。
また一時保留部15では、第1経路孔48の場合と同様に、第2経路孔68を介して第3作業空間SC3及び第4作業空間SC4を仮想的な直線L4に沿って互いに連通させている。このため保守作業者は、テープ33を第2経路孔68内で屈曲させる等の困難な作業を必要とすること無く、該テープ33を自然な形状のまま該第2経路孔68へ挿通させるだけで、その先端部分を該第2経路孔68の反対側、すなわち前側に突出させることができる。
さらに一時保留部15では、第2経路孔68の下流側である前側に十分に大きい第4作業空間SC4を形成する。このため保守作業者は、この第2経路孔68を前側から目視しながら指先等を該第2経路孔68の近傍に到達させることができ、該第2経路孔68から僅かに突出しているテープ33の先端部分を容易に且つ確実に把持できる。すなわち一時保留部15では、第2経路孔68についても、第1経路孔48の場合と同様に、挿通作業を極めて容易に、且つ短い時間で行わせることができ、その作業性を格段に高め得る。
これを他の観点から見ると、一時保留部15では、紙幣を紙幣搬送路15Wに沿って搬送した上でその両面をテープ33により挟持した状態でドラム31の周側面31Sに巻き付け、或いは該周側面31Sから紙幣及びテープ33を引き剥がした後に該紙幣を紙幣搬送路15Wに沿って搬送する、といった本来的な動作を確実に行う必要がある。その一方で一時保留部15は、一時保留部筐体30をできるだけ小型に構成することにより、紙幣入出金機10や現金自動預払機1の小型化に寄与させたい、という要求がある。
そこで一時保留部15では、テープ33の進行方向を転向ローラによって適宜折り返すような走行経路を形成することにより、他の部品同士の隙間等を利用して該テープ33を走行させることが可能となる。これに伴い一時保留部15では、テープ33の走行経路が比較的複雑なものとなる。
具体的に一時保留部15では、動作状態(図4(B))におけるテープ33の進行方向を、第1走行経路Y1では前斜め下方向とし、第1転向ローラ81により90度近く折り返された第2走行経路Y2では上斜め前方向とし、さらに第2転向ローラ82により30度程度折り返された第3走行経路Y3では上斜め後方向としている。
ここで、仮に一時保留部15において第1転向ローラ81を一時保留部筐体30側に設け、リールアセンブリ42のみを該一時保留部筐体30から後方や下方へ取り外し得るように構成した場合、第1経路孔48の後側から挿入したテープ33の先端を上方へ屈曲させて第2経路孔68へ到達させる、といった極めて困難な挿通作業が必要となってしまう。
これに対し本実施の形態による一時保留部15では、動作状態(図4)及び保守状態(図8)の間において、第1経路孔48及び第2経路孔68の相対的な位置関係を変化させ、該第1経路孔48及び該第2経路孔68を互いに遠ざけるようにした。
このため一時保留部15では、保守状態において、第1経路孔48の後側からテープ33をほぼ直進させるようにしてその先端部分を該第1経路孔48の前側へ挿通させた段階で一度保守作業者に把持させれば良く、該テープ33を直ちに上方へ屈曲させる必要が無い。すなわち一時保留部15では、保守作業者が、第1経路孔48に挿通されたテープ33を該第1経路孔48から十分に長く引き出した上で、その先端近傍を前上方へ移動させて第2経路孔68の後側近傍まで到達させれば良い。
これを換言すれば、一時保留部15では、保守作業者が、テープ33の先端近傍を把持した状態で、十分な大きさを有する第2作業空間SC2及び第3作業空間SC3を利用して、第1経路孔48の前側(下流側)から第2経路孔68の後側(上流側)へ持ち上げれば良い。
一時保留部15では、挿通作業の終了後に保守状態(図8)から動作状態(図4)へ戻される場合に、保守作業者によって後部ユニット40が一時保留部筐体30に装着されることにより、第1転向ローラ81及び第1経路孔48がそれぞれ動作位置に戻る。このとき一時保留部15では、保守作業者によってドラム31やリール32等が手動で回転されることによりテープ33の弛みが解消され、これにより第1経路孔48の下流側において該テープ33が第2走行経路Y2(図4(B))に沿って張架される。すなわち一時保留部15では、保守作業者に対しテープ33を第2走行経路Y2に沿わせるための作業を敢えて行わせる必要が無い。
また一時保留部15では、第2経路孔68についても、保守状態において、その後側からテープ33をほぼ直進させるようにしてその先端部分を該第2経路孔68の前側へ挿通させた段階で一度保守作業者に把持させれば良く、該テープ33を直ちに上斜め後方へ屈曲させる必要が無い。すなわち一時保留部15では、第2経路孔68に挿通されたテープ33の先端近傍をドラム31の周側面31Sにおける下側部分に固定した上で、該ドラム31を矢印R1方向へ回転させることにより、第2経路孔68の下流側において該テープ33を第3走行経路Y3に沿わせることができる。
これを他の観点から見れば、一時保留部15では、保守作業者に対し、テープ33を第2経路孔68に挿通させる挿通作業と、該第2経路孔68を通過したテープ33を第3走行経路Y3に沿わせる作業とを、それぞれ独立した作業として段階的に行わせることができる。これにより一時保留部15では、保守作業者に対し単純且つ容易な複数の作業を順次行わせるだけで、最終的にテープ33を比較的複雑な走行経路に沿って設置させることができる。
さらに一時保留部15は、保守状態(図8)において、オープンガイド50が保守位置に回動されたことにより、転向ローラ露出孔57の下側に十分な大きさの第5作業空間SC5が形成されている。これにより保守作業者は、転向ローラ露出孔57を下側から視認し得ると共に直近まで手を近づけることができ、中テープ33Cを対向面通過孔58及び転向ローラ露出孔57に挿通させる挿通作業を短時間で完了できる。
そのうえ一時保留部15では、リールアセンブリ42(図5)において、リール軸43に対し3個のリールユニット45をそれぞれ着脱可能に構成した。そのうえで一時保留部15では、各リールユニット45において、リール取付部46に対しリール32を着脱可能に構成した。
このため一時保留部15では、例えば1本のテープ33が損傷したものの他の2本のテープ33が使用可能である場合、保守作業者によりリールアセンブリ42ごと交換され、各テープ33の挿通作業が行われる。このとき取り外されたリールアセンブリ42は、保守作業者により保守センター等へ持ち込まれ、損傷したテープ33が巻き付けられたリールユニット45のみが取り外される。
また取り外されたリールユニット45は、損傷したテープ33が巻回されているリール32がリール取付部46から取り外され、これに代えて、正常なテープが巻回されたリール32が該リール取付部46に装着され、正常なリールユニット45として再生される。再生されたリールユニット45は、元のリールアセンブリ42に装着され、正常なリールアセンブリ42として再生される。
すなわちリールアセンブリ42では、他の部品と比較してテープ33が損傷する可能性が高いところ、各部がそれぞれ着脱され、損傷したテープ33が巻き付けられたリール32が交換されることにより、トルクリミッタが組み込まれたリール取付部46等を有効に再利用することができる。
以上の構成によれば、第1の実施の形態による現金自動預払機1の一時保留部15は、保守状態(図8)において、第1経路孔48及び第2経路孔68の上流側及び下流側にそれぞれ十分に大きい空間を形成すると共に、該第1経路孔48及び第2経路孔68を介して上流側及び下流側の空間をそれぞれ直線的に連通させた。このため保守作業者は、第1経路孔48及び第2経路孔68を前側又は後側から目視しながら指先等をその近傍に到達させ、テープ33の先端部分を容易に且つ確実に挿通させることができる。これにより一時保留部15では、保守作業者による第1経路孔48及び第2経路孔68に対するテープ33の挿通作業を極めて短い時間で完了させることができる。
[2.第2の実施の形態]
第2の実施の形態による現金自動預払機101(図1)は、第1の実施の形態による現金自動預払機1と比較して、紙幣入出金機10に代わる紙幣入出金機110を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。紙幣入出金機110(図2)は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と比較して、一時保留部15に代わる一時保留部115を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
一時保留部115は、図8と対応する図9に保守状態を示すように、後部ユニット40及びオープンガイド50に代わる後部ユニット140及びオープンガイド150を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
後部ユニット140は、側壁部41と対応する側壁部141のうち、左右両側面における前端近傍には、第1転向ローラ81を回転可能且つ着脱可能に支持する転向ローラ支持部141Aが設けられている。このため第1転向ローラ81は、リールアセンブリ42と同様に、後部ユニット140の側壁部141から上方へ持ち上げられることにより、該後部ユニット140から取り外される。この結果、後部ユニット140の第1経路孔48は、上側が開放された溝状となる。
例えば一時保留部115では、この第1経路孔48に対するテープ33の挿通作業が行われる場合、まず後部ユニット140からリールアセンブリ42及び第1転向ローラ81が取り外される。次に一時保留部115では、図中に実線で示したように、保守作業者により第1経路孔48の上側に持ち上げられたリールアセンブリ42のリール32から、テープ33が十分に長く、すなわち第1経路孔48よりも前方まで引き出される。
続いて一時保留部115では、図中に破線で示すように、リールアセンブリ42及びテープ33が下方へ降ろされ、該リールアセンブリ42が後部ユニット140に装着される。これによりテープ33は、上側が開放されて溝状になっている第1経路孔48を前後方向に横切る状態となる。
さらに一時保留部115では、保守作業者により第1転向ローラ81が転向ローラ支持部141Aに装着される。これにより一時保留部115では、第1経路孔48の上側が再び閉塞され、且つテープ33が該第1経路孔48に挿通された状態となり、挿通作業が完了する。すなわち一時保留部115では、保守作業者にテープ33の先端孔を第1経路孔48の後側から前側へ挿通させる、といった作業を行わせる必要が無い。
一方、オープンガイド150は、第1の実施の形態によるオープンガイド50と比較して、第3転向ローラ83の周辺に第3転向ローラ周辺部159が設けられている点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。第3転向ローラ周辺部159は、保守位置にあるオープンガイド150の後下側部分、すなわちオープン搬送ガイド52の後端近傍、オープン対向ガイド53の下端近傍及び第3転向ローラ83により構成されており、オープンガイド150に対し着脱可能に構成されている。
一時保留部115では、保守状態において、第3転向ローラ周辺部159が取り外された場合、転向ローラ露出孔57における後ろ側の部分及び対向面通過孔58における下側の部分が、いずれも開放された状態、すなわち第1転向ローラ81が取り外された場合の第1経路孔48と同様に、溝状となる。
例えば一時保留部115では、転向ローラ露出孔57に対するテープ33の挿通作業が行われる場合、保守作業者により、まずオープンガイド150から第3転向ローラ周辺部159が取り外される。次に一時保留部115では、保守作業者により、リール32から引き出したテープ33が第1経路孔48及び第2経路孔68に順次挿通される。
続いて一時保留部115では、保守作業者により、第2経路孔68から前側へ引き出されたテープ33(中テープ33C)が、ドラム31の周側面31Sに沿って矢印R1方向へ引き回されて前下側に到達した後、下方へ引き出される。その後一時保留部115では、テープ33の後側から第3転向ローラ周辺部159がオープンガイド150に装着される。
これにより一時保留部115では、テープ33が対向面通過孔58及び転向ローラ露出孔57を順次横切った状態、すなわち該対向面通過孔58及び該転向ローラ露出孔57に挿通された状態となり、挿通作業が完了する。すなわち一時保留部115では、保守作業者にテープ33の先端孔を対向面通過孔58及び転向ローラ露出孔57に順次通すようにして挿通させる、といった作業を行わせる必要が無い。
以上の構成によれば、第2の実施の形態による現金自動預払機101の一時保留部115は、第1の実施の形態による一時保留部15と同様の構成に加えて、後部ユニット140に対し第1転向ローラ81を着脱可能に構成すると共に、オープンガイド150に対し第3転向ローラ周辺部159を着脱可能に構成した。これにより一時保留部115は、保守作業者に対し第1経路孔48や転向ローラ露出孔57等に対しテープ33の先端を挿通させる作業を行わせること無く、極めて短い時間で挿通作業を完了させることができる。
[3.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、保守状態(図8)において、第1経路孔48の下流側に第2作業空間SC2を形成すると共に、その上流側に第1作業空間SC1を形成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば下流側には第2作業空間SC2を形成するものの、リール軸43を後部ユニット40の側壁部41から離脱し得ないように構成して上流側に第1作業空間SC1を形成しないようにしても良い。要は、テープ33を第1経路孔48に挿通させる場合に、その上流側又は下流側の少なくとも一方に、保守作業者が該テープ33を把持し得るような作業空間を形成できれば良い。これにより、第1経路孔48に挿通する直前又は直後のテープ33を保守作業者に直接把持させることができるので、挿通作業を容易化でき、作業時間を短縮できる。第2経路孔68についても同様であり、さらには第2の実施の形態についても同様である。
また上述した第1の実施の形態においては、保守状態(図8)において、第1経路孔48を介して第1作業空間SC1及び第2作業空間SC2を直線L1に沿って、すなわち直線的に連通させる場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば第1経路孔48を介して第1作業空間SC1及び第2作業空間SC2を曲線状や折れ線状に連通させることにより、テープ33を直線状としている場合には挿通し得ないようにしても良い。この場合、保守作業者は、例えばテープ33を第1経路孔48の内側面に沿って摺動させるよう進行させる等して湾曲させながら挿通させれば良い。第2経路孔68においても同様であり、また第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、テープ33を折り返す第1転向ローラ81の周側面とその周囲に配置された部材との間に第1経路孔48を形成し、保守状態において、この第1経路孔48における上流側及び下流側に第1作業空間SC1及び第2作業空間SC2を形成する場合について述べた(図8)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば動作状態において板状の部材を貫通する貫通孔を通るようにテープ33の走行経路を形成した場合に、保守状態において、この貫通孔の上流側及び下流側にそれぞれ作業空間を形成しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、一時保留部15の一時保留部筐体30に対し後部ユニット40を着脱し得るように構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば一時保留部筐体30に対し周知のスライドレールを介して後部ユニット40を取り付けるように構成し、或いは所定の軸を中心に回動するように構成する等、一時保留部筐体30に対する後部ユニット40の相対的な位置を変化させるものの、完全には分離しないように構成しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した実施の形態においては、一時保留部筐体30に対しオープンガイド50を動作位置(図4)から保守位置(図8)へ回動させることにより第4作業空間SC4及び第5作業空間SC5を形成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば一時保留部筐体30に対しオープンガイド50を着脱可能に構成し、或いはドラム31に離接する方向へ直線的に移動(スライド)させるように構成する等、種々の機構によりオープンガイド50を保守位置へ移動させて第4作業空間SC4及び第5作業空間SC5を形成するようにしても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、後部ユニット40にリールアセンブリ42、第1転向ローラ81及び第1経路孔48を設け、一時保留部筐体30から後部ユニット40を取り外すことにより、これらをまとめて第2経路孔68から同時に引き離す場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば一時保留部筐体30に対しリールアセンブリ42や第1転向ローラ81等をそれぞれ単独で着脱させるようにしても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、3個のリールユニット45を含むリールアセンブリ42(図5)を後部ユニット40に対し着脱させることにより、該後部ユニット40から3個のリールユニット45を同時に着脱させる場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば後部ユニット40に対し各リールユニット45を1個ずつ着脱させるようにしても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、一時保留部15において3本のテープ33を用いて紙幣をドラム31の周側面31Sに巻き付ける場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、2本以下又は4本以上のテープ33を用いて紙幣を周側面31Sに巻き付けるようにしても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、一時保留部15において3個のリール32を同軸上に配置し、各リールユニット45を共通のリール軸43に挿通させる場合について述べた(図4、図5)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば中リール32Cを外リール32Uと異なる軸上に配置する等、種々の配置としても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、所定のモータからの回転駆動力を伝達するリール駆動ギア34を一時保留部筐体30の右側に設け、動作状態(図4)において該リール駆動ギア34をリールアセンブリ42のギア44と噛み合わせることにより各リール32に駆動力を伝達する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば内側に歯が形成されており所定のモータからの駆動力を伝達する駆動ベルトを一時保留部筐体30の右側に設けると共に、リールアセンブリ42のギア44をこの駆動ベルト用の歯型に合わせたプーリ(図示せず)に交換し、この駆動ベルトをプーリに掛け回すことにより駆動力を伝達しても良い。この構成では、一時保留部筐体30から後部ユニット40を離脱する場合に駆動ベルトをプーリから外し、該一時保留部筐体30に該後部ユニット40を装着する場合に駆動ベルトを再びプーリに掛け回せば良い。またこの構成では、駆動ベルトの走行経路の近傍に、該駆動ベルトの移動範囲を規制する規制部材を配置することにより、該駆動ベルトがプーリから外されて張力が作用していない場合に、完全に外れてしまうことを回避できる。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、顧客との間で媒体としての紙幣に関する取引処理を行う現金自動預払機1の紙幣入出金機10において、顧客から入金された紙幣を一時的に収納する一時保留部15に本発明を適用する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば各種金券や証券等、或いは入場券や乗車券のような種々の紙葉状の媒体を取り扱う種々の装置において、テープと共に当該媒体をドラムに巻き付けて一時的に収納する種々の一時保留部に本発明を適用しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
さらに上述した第1の実施の形態においては、ドラムとしてのドラム31と、テープとしてのテープ33と、リールとしてのリール32と、転向ローラとしての第1転向ローラ81、第2転向ローラ82及び第3転向ローラ83と、経路孔としての第1経路孔48、第2経路孔68及び転向ローラ露出孔57と、変位支持部としての後部ユニット40とによって媒体収納装置としての一時保留部15を構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなるドラムと、テープと、リールと、転向ローラと、経路孔と、変位支持部とによって媒体収納装置を構成しても良い。