JP7138853B2 - ヒドロキシ置換芳香族化合物の製造方法 - Google Patents

ヒドロキシ置換芳香族化合物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ヒドロキシ置換芳香族化合物(例えば、ジヒドロキシナフタレン)の製造方法に関する。
ヒドロキシ置換芳香族化合物、例えば、ジヒドロキシナフタレンは、半導体用の封止材、コーティング剤、レジスト用材料、半導体下層膜形成材料として使用される化合物又は樹脂の原料として有用である(例えば、特許文献1~2参照)。また、ヒドロキシ置換芳香族化合物、例えば、ジヒドロキシナフタレンの精製方法として、特定の方法が知られている(例えば、特許文献3参照)。
国際公開第2013/024778号 国際公開第2013/024779号 中国特許出願公開第103467249号
従来、開示されているヒドロキシ置換芳香族化合物、例えば、ジヒドロキシナフタレンの精製方法では、純度の向上に限界がある、又は純度及び収率のばらつきがあるといった問題があり、ヒドロキシ置換芳香族化合物、例えば、ジヒドロキシナフタレンの精製方法の改善が求められている。
また、背景技術に記載した上記用途においては、特に金属含有量が、歩留まり向上のために重要な性能評価項目となっている。すなわち、ヒドロキシ置換芳香族化合物、例えば、ジヒドロキシナフタレンを原料として得られる化合物又は樹脂中に金属が多く含まれる場合には、半導体中に金属が残存し、半導体の電気特性を低下させることから、不純物としての金属の含有量を低減することが求められている。
金属含有量の低減を目的とする、ヒドロキシ置換芳香族化合物、例えば、ジヒドロキシナフタレンから得られる化合物又は樹脂の精製方法として、該化合物又は樹脂と有機溶媒とを含む混合物を、イオン交換樹脂と接触させる方法、フィルターで濾過する方法等が考えられる。しかしながら、金属含有量の高いヒドロキシ置換芳香族化合物、例えば、ジヒドロキシナフタレンを原料として用いると、上記方法では金属除去への負荷が大きくコストが高くなる問題がある。
したがって、金属含有量の低減された高純度のヒドロキシ置換芳香族化合物、例えば、ジヒドロキシナフタレンの工業的に有利な精製方法の確立が望まれている。
また、ヒドロキシ置換芳香族化合物、例えば、ジヒドロキシナフタレンの純度が低い場合、ヒドロキシ置換芳香族化合物、例えば、ジヒドロキシナフタレンから得られる化合物又は樹脂の収率が下がる、若しくは収率がばらつく問題がある。
さらに、従来、開示されているヒドロキシ置換芳香族化合物、例えば、ジヒドロキシナフタレンの精製方法では、金属含有量の低減に関する記載が無く、また、金属含有量低減が不十分である。
本発明の目的は、ヒドロキシ置換芳香族化合物、例えば、ジヒドロキシナフタレンの工業的に有利な製造方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ヒドロキシ置換芳香族化合物(例えば、ジヒドロキシナフタレン)を特定の条件下で精製することにより、高純度・高収率で、かつ安定的にヒドロキシ置換芳香族化合物(例えば、ジヒドロキシナフタレン)を製造できることを見出し、本発明に至った。
また、本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ヒドロキシ置換芳香族化合物(例えば、ジヒドロキシナフタレン)と特定の有機溶媒とを含む溶液を、酸性の水溶液と接触させ抽出処理することにより、ヒドロキシ置換芳香族化合物(例えば、ジヒドロキシナフタレン)中の種々の金属の含有量を低減できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明はつぎの通りである。
[1]
ヒドロキシ置換芳香族化合物を、酸素濃度が20体積%未満の雰囲気にて有機溶媒及び/又は水に接触させる工程(接触工程)を含むヒドロキシ置換芳香族化合物の製造方法。
[2]
前記ヒドロキシ置換芳香族化合物が、下記式(A)及び/又は(B)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物である、[1]に記載のヒドロキシ置換芳香族化合物の製造方法。
Figure 0007138853000001
(上記式(A)中、nは0~9の整数であり、mは0~2の整数であり、pは0~9の整数であり、Raは各々独立して、水素原子、水酸基、ハロゲン基、炭素数1~40の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~40のアリール基、又は炭素数2~40のアルケニル基及びそれらの組み合わせからなる群であり、該アルキル基、該アリール基又は該アルケニル基はエーテル結合、ケトン結合、あるいはエステル結合を含んでいてもよい。
上記式(B)中、nは0~9の整数であり、p1は0~9の整数であり、Rは各々独立して、水素原子、水酸基、ハロゲン基、炭素数1~40の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~40のアリール基、又は炭素数2~40のアルケニル基及びそれらの組み合わせからなる群であり、該アルキル基、該アリール基又は該アルケニル基はエーテル結合、ケトン結合、あるいはエステル結合を含んでいてもよい。)
[3]
前記式(A)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物が下記式(A)で表される化合物であり、前記式(B)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物が下記式(B)で表される化合物である、[2]に記載の製造方法。
Figure 0007138853000002
(上記式(A)中、nは0~9の整数であり、mは0~2の整数であり、pは0~9の整数であり、Rは各々独立して、炭素数1~30の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~15のアリール基、又は炭素数2~15のアルケニル基であり、
上記式(B)中、nは0~9の整数であり、p1は0~9の整数であり、Rは各々独立して、炭素数1~30の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~15のアリール基、又は炭素数2~15のアルケニル基である。)
[4]
前記式(A)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物が、下記式(A-1)で表される化合物、下記式(A-2)で表される化合物、下記式(A-3)で表される化合物、及び下記式(A-4)で表される化合物からなる群より選ばれる1種以上であり、
前記式(B)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物が下記式(B-1)で表される化合物である、[3]に記載の製造方法。
Figure 0007138853000003
(上記式(A-1)~(A-4)中、nは0~9の整数であり、上記式(B-1)中、nは0~9の整数である。)
[5]
前記式(A)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物が、下記式(1)で表される化合物である、[3]に記載の製造方法。
Figure 0007138853000004
[6]
前記ヒドロキシ置換芳香族化合物を有機溶媒に溶解させる工程を含む、[1]~[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7]
前記ヒドロキシ置換芳香族化合物を有機溶媒に溶解させたのち、該ヒドロキシ置換芳香族化合物の溶液に活性炭を接触させる工程を含む、[6]に記載の製造方法。
[8]
前記ヒドロキシ置換芳香族化合物を有機溶媒に溶解させたのち、該ヒドロキシ置換芳香族化合物を晶析させる工程を含む、[6]又は[7]に記載の製造方法。
[9]
前記有機溶媒が、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、N-メチルピロリドン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及び酢酸エチルからなる群より選ばれる1種以上である、[1]~[8]のいずれかに記載の製造方法。
[10]
水と任意に混和しない有機溶媒及びヒドロキシ置換芳香族化合物を含む溶液(α)と、酸性の水溶液とを接触させヒドロキシ置換芳香族化合物中の金属分を抽出する工程を含む、ヒドロキシ置換芳香族化合物の製造方法。
[11]
前記ヒドロキシ置換芳香族化合物が、下記式(A)及び/又は(B)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物である、[10]に記載の製造方法。
Figure 0007138853000005
(上記式(A)中、nは0~9の整数であり、mは0~2の整数であり、pは0~9の整数であり、Raは各々独立して、水素原子、水酸基、ハロゲン基、炭素数1~40の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~40のアリール基、又は炭素数2~40のアルケニル基及びそれらの組み合わせからなる群であり、該アルキル基、該アリール基又は該アルケニル基はエーテル結合、ケトン結合、あるいはエステル結合を含んでいてもよい。
上記式(B)中、nは0~9の整数であり、p1は0~9の整数であり、Rは各々独立して、水素原子、水酸基、ハロゲン基、炭素数1~40の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~40のアリール基、又は炭素数2~40のアルケニル基及びそれらの組み合わせからなる群であり、該アルキル基、該アリール基又は該アルケニル基はエーテル結合、ケトン結合、あるいはエステル結合を含んでいてもよい。)
[12]
前記式(A)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物が、下記式(A)で表される化合物であり、前記式(B)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物が下記式(B)で表される化合物である、[11]に記載の製造方法。
Figure 0007138853000006
(上記式(A)中、nは0~9の整数であり、mは0~2の整数であり、pは0~9の整数であり、Rは各々独立して、炭素数1~30の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~15のアリール基、又は炭素数2~15のアルケニル基であり、
上記式(B)中、nは0~9の整数であり、p1は0~9の整数であり、Rは各々独立して、炭素数1~30の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~15のアリール基、又は炭素数2~15のアルケニル基である。)
[13]
前記式(A)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物が、下記式(A-1)で表される化合物、下記式(A-2)で表される化合物、下記式(A-3)で表される化合物、及び下記式(A-4)で表される化合物からなる群より選ばれる1種以上であり、
前記式(B)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物が下記式(B-1)で表される化合物である、[12]に記載の製造方法。
Figure 0007138853000007
(上記式(A-1)~(A-4)中、nは0~9の整数であり、上記式(B-1)中、nは0~9の整数である。)
[14]
前記式(A)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物が、下記式(1)で表される化合物である、[12]に記載の製造方法。
Figure 0007138853000008
[15]
酸素濃度が20体積%未満の雰囲気で行う、[10]~[14]のいずれかに記載の製造方法。
[16]
前記抽出する工程後、さらに水によるヒドロキシ置換芳香族化合物中の金属分の抽出処理を行う工程を含む、[10]~[15]のいずれかに記載の製造方法。
[17]
水と任意に混和しない有機溶媒が、トルエン、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及び酢酸エチルからなる群より選ばれる1種以上である、[10]~[16]のいずれかに記載の製造方法。
[18]
前記酸性の水溶液が、塩酸、硫酸、硝酸及びリン酸からなる群より選ばれる1種以上の鉱酸水溶液である、又は、酢酸、プロピオン酸、蓚酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、フェノールスルホン酸、p-トルエンスルホン酸及びトリフルオロ酢酸からなる群より選ばれる1種以上の有機酸水溶液である、[10]~[17]のいずれかに記載の製造方法。
[19]
前記ヒドロキシ置換芳香族化合物が、2,6-ジヒドロキシナフタレン及び2,7-ジヒドロキシナフタレンからなる群より選ばれる1種以上である、[10]~[18]のいずれかに記載の製造方法。
本発明により、ヒドロキシ置換芳香族化合物(例えば、ジヒドロキシナフタレン)の製造方法を工業的に有利に提供でき、高純度のヒドロキシ置換芳香族化合物(例えば、ジヒドロキシナフタレン)を高収率で安定的に製造可能になる。
また、本発明により、種々の金属の含有量が低減可能な、ヒドロキシ置換芳香族化合物(例えば、ジヒドロキシナフタレン)の製造方法を工業的に有利に提供できる。
以下、本発明の実施形態(以下「本実施形態」とも記す。)について詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施形態のみに限定されない。
<ヒドロキシ置換芳香族化合物の製造方法>
本実施形態のヒドロキシ置換芳香族化合物の第一の製造方法は、該ヒドロキシ置換芳香族化合物を、酸素濃度が20体積%未満の雰囲気にて有機溶媒及び/又は水に接触させる工程(接触工程)を含む。
本実施形態の第一の製造方法において、前記ヒドロキシ置換芳香族化合物は、フェノール性ヒドロキシ基を少なくとも1個有する芳香族化合物であれば特に限定されないが、例えば、下記式(A)及び/又は(B)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物であることが好ましい。
Figure 0007138853000009
(上記式(A)中、nは0~9の整数であり、mは0~2の整数であり、pは0~9の整数であり、Raは各々独立して、水素原子、水酸基、ハロゲン基、炭素数1~40の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~40のアリール基、又は炭素数2~40のアルケニル基及びそれらの組み合わせからなる群であり、該アルキル基、該アリール基又は該アルケニル基はエーテル結合、ケトン結合、あるいはエステル結合を含んでいてもよい。
上記式(B)中、nは0~9の整数であり、p1は0~9の整数であり、Rは各々独立して、水素原子、水酸基、ハロゲン基、炭素数1~40の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~40のアリール基、又は炭素数2~40のアルケニル基及びそれらの組み合わせからなる群であり、該アルキル基、該アリール基又は該アルケニル基はエーテル結合、ケトン結合、あるいはエステル結合を含んでいてもよい。)
本実施形態の第一の製造方法において、前記式(A)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物は、下記式(A)で表される化合物であることが好ましい。
また、本実施形態の第一の製造方法において、前記式(B)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物は下記式(B)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0007138853000010
(上記式(A)中、nは0~9の整数であり、mは0~2の整数であり、pは0~9の整数であり、Rは各々独立して、炭素数1~30の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~15のアリール基、又は炭素数2~15のアルケニル基であり、
上記式(B)中、nは0~9の整数であり、p1は0~9の整数であり、Rは各々独立して、炭素数1~30の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~15のアリール基、又は炭素数2~15のアルケニル基である。)
本実施形態の第一の製造方法において、前記式(A)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物は、下記式(A-1)で表される化合物、下記式(A-2)で表される化合物、下記式(A-3)で表される化合物、及び下記式(A-4)で表される化合物からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。
また、本実施形態の第一の製造方法において、前記式(B)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物は下記式(B-1)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0007138853000011
(上記式(A-1)~(A-4)中、nは0~9の整数であり、上記式(B-1)中、nは0~9の整数である。)
本実施形態の第一の製造方法によれば、ヒドロキシ置換芳香族化合物を酸素濃度が20体積%未満の雰囲気にて有機溶媒及び/又は水に接触させ、例えば、ヒドロキシ置換芳香族化合物中の不純物を有機溶媒及び/又は水に溶解させ分離することにより、ヒドロキシ置換芳香族化合物を高収率で安定的に高純度化することができる。
また、ヒドロキシ置換芳香族化合物、例えば、ジヒドロキシナフタレンは特に二量体を生成し易いという問題があったが、酸素濃度が20体積%未満の雰囲気にて上記接触工程を行うことにより、ヒドロキシ置換芳香族化合物、例えば、ジヒドロキシナフタレンの酸化による二量体等の副生成物の生成が抑制でき、安定的に高純度・高収率でヒドロキシ置換芳香族化合物、例えば、ジヒドロキシナフタレンを製造することが可能になる。
本実施形態の第一の製造方法において、接触工程の酸素濃度は10体積%未満が好ましく、5体積%未満がより好ましく、1体積%未満がさらに好ましい。接触工程の酸素濃度が低いほど、ヒドロキシ置換芳香族化合物、例えば、ジヒドロキシナフタレンの変質抑制効果が大きい。乾燥工程の酸素濃度の下限は、特に限定されないが、例えば、0.01体積%である。
酸素濃度を低下させる方法は、公知の方法を適用でき、特に限定されないが、例えば、精製を行う釜に窒素ガスをフローして、又は減圧してその後窒素ガスを導入することで、ガス置換を行う方法を挙げることができる。若しくは減圧して真空下で行う方法も挙げることができる。精製を行う釜を減圧してその後窒素ガスを導入する方法が簡便かつ確実で好ましい。
酸素濃度の確認は、公知の方法で実施でき、特に限定されないが、例えば、精製を行う釜に窒素ガスをフローして、ベントから排出されるガスの酸素濃度を、酸素濃度計にて測定することにより行う方法を挙げることができる。精製を行う釜に酸素濃度計を設置する方法も挙げることができる。
上記接触工程において、接触温度はヒドロキシ置換芳香族化合物、例えば、ジヒドロキシナフタレンの変質を抑制できれば特に限定されないが、0~150℃の範囲が好ましく、5~100℃の範囲がより好ましく、5~60℃の範囲がさらに好ましい。接触温度が前記範囲内であると純度および収率が良好となり、温度調整も容易となる傾向にある。
上記接触工程において、接触時間はヒドロキシ置換芳香族化合物、例えば、ジヒドロキシナフタレンの変質を抑制できれば特に限定されないが、1分~120分の範囲が好ましく、1分~60分の範囲がより好ましく、1分~30分の範囲がさらに好ましい。接触時間が前記範囲内であると純度および収率が良好となり、生産性も向上するとなる傾向にある。
また、上記接触工程における圧力は減圧、常圧及び加圧のいずれでも適用し得る。
本実施形態の第一の製造方法で使用される前記式(A)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物は、下記式(1)で表される化合物であることが特に好ましい。
Figure 0007138853000012
ここで、上記式(1)で表される化合物は、特に限定されないが、原料の供給性の観点から、1,2-ジヒドロキシナフタレン、1,3-ジヒドロキシナフタレン、1,4-ジヒドロキシナフタレン、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、1,7-ジヒドロキシナフタレン、1,8-ジヒドロキシナフタレン、2,3-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン及び2,7-ジヒドロキシナフタレンからなる群より選ばれる1種以上が好ましい。
また、上記式(1)で表される化合物は、特に限定されないが、該化合物を原料として得られる化合物又は樹脂の耐熱性の観点から、2,6-ジヒドロキシナフタレン及び2,7-ジヒドロキシナフタレンからなる群より選ばれる1種以上がより好ましい。
上記式(1)で表される化合物は、特に限定されないが、該化合物を原料として得られる化合物又は樹脂のさらなる耐熱性の観点から、2,6-ジヒドロキシナフタレンがさらに好ましい。
上記式(1)で表される化合物は、製造メーカー及び試薬メーカー等公知の手段にて容易に入手できる。また、公知の手法を応用して適宜合成することができ、その合成手法は特に限定されない。
本実施形態の第一の製造方法で使用するヒドロキシ置換芳香族化合物は、単独でもよいが、2種以上混合して使用することもできる。また、ヒドロキシ置換芳香族化合物は、各種界面活性剤、各種架橋剤、各種酸発生剤、各種安定剤等を含有したものであってもよい。
本実施形態の第一の製造方法で使用する有機溶媒及び/又は水は、特に限定されないが、例えば、半導体製造プロセスに安全に適用できる有機溶媒及び/又は水が好ましい。使用する有機溶媒及び/又は水の量は、使用するヒドロキシ置換芳香族化合物に対して、通常0.1~1000質量倍程度が好ましく、経済性の観点から、より好ましくは、0.5~500質量倍、さらに好ましくは1~100質量倍である。
本実施形態の第一の製造方法において使用される有機溶媒の具体例としては、以下に限定されないが、例えば、テトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン等のエーテル類、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2‐ヘプタノン、2-ペンタノン、N-メチルピロリドン等のケトン類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸n‐ブチル、酢酸イソアミル等のエステル類、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルアセテート類、n‐ヘキサン、n‐ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類等が挙げられる。
これらの中でも、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、N-メチルピロリドン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及び酢酸エチルからなる群より選ばれる1種以上が好ましく、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、N-メチルピロリドン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノン及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートからなる群より選ばれる1種以上がより好ましい。
本実施形態の第一の製造方法において使用される水の具体例としては、以下に限定されないが、例えば、水道水、工業用水、イオン交換水、超純水等が挙げられる。また、酸性の水溶液でも構わない。酸性の水溶液としては、特に限定されず、一般に知られる有機、無機系化合物を水に溶解させた水溶液の中から適宜選択される。例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の鉱酸を水に溶解させた水溶液、又は、酢酸、プロピオン酸、蓚酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、フェノールスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸を水に溶解させた水溶液が挙げられる。酸性の水溶液のpHは特に限定されないが、ヒドロキシ置換芳香族化合物への悪影響を考慮し、水溶液の酸性度を調整することが好ましい。通常、酸性の水溶液のpH範囲は0~5程度が好ましく、より好ましくはpH0~4程度、さらに好ましくはpH0~3程度である。
これらの中でも、金属及び塩素分の汚染を抑制するために、イオン交換水、超純水等が好ましい。
これらの有機溶媒や水は、それぞれ単独で用いることもできるし、2種以上を混合して用いることもできる。
また、これらの有機溶媒及び/又は水から、予め溶存酸素を低減しておくことが好ましい。溶存酸素を低減する方法は、特に限定されず、公知の方法が適用できるが、有機溶媒及び/又は水に窒素ガス等の不活性ガスを常圧又は減圧下にて通ガスしたり、超音波を加えたりする方法が有効である。
本実施形態の第一の製造方法は、ヒドロキシ置換芳香族化合物を有機溶媒に溶解させる工程を含むことが好ましい。
本実施形態の第一の製造方法では、脱色、脱金属及び脱不純物等を目的として、ヒドロキシ置換芳香族化合物を有機溶媒に溶解させたのち、該ヒドロキシ置換芳香族化合物の溶液に活性炭を接触させる工程を含むことが好ましい。また、当該活性炭の接触工程は、酸素濃度20体積%未満の雰囲気で行うことがより好ましい。活性炭中に残存する酸素を低減する方法は、特に限定されず、公知の方法が適用できるが、精製釜に活性炭を加え、窒素ガスをフローして、又は減圧してその後窒素を導入することで行う方法を挙げることができる。
一方、活性炭の接触工程は、酸素濃度20体積%未満の雰囲気で行うと、ヒドロキシ置換芳香族化合物、例えば、ジヒドロキシナフタレンの劣化を抑制し、ヒドロキシ置換芳香族化合物の純度をより一層向上する傾向にある、又は純度及び収率のばらつきを抑制させ、工業的により有利なプロセスとなる。
本実施形態の第一の製造方法は、ヒドロキシ置換芳香族化合物を有機溶媒に溶解させたのち、該ヒドロキシ置換芳香族化合物を晶析させる工程を含むことが好ましい。
ヒドロキシ置換芳香族化合物を単離する方法は、減圧除去、再沈殿による分離、及びそれらの組み合わせ等、公知の方法を適用することができる。必要に応じて、濃縮操作、ろ過操作、遠心分離操作、乾燥操作等の公知の処理を行うことができる。
これらの操作を行う際も、酸素濃度20体積%未満の雰囲気で実施することが、純度の向上、又は純度及び収率のばらつきを抑制する為に好ましい。
本実施形態のヒドロキシ置換芳香族化合物の第二の製造方法は、水と任意に混和しない有機溶媒及びヒドロキシ置換芳香族化合物を含む溶液(α)と、酸性の水溶液とを接触させヒドロキシ置換芳香族化合物中の金属分を抽出する工程を含む。
本実施形態の第二の製造方法において、前記ヒドロキシ置換芳香族化合物は、フェノール性ヒドロキシ基を少なくとも1個有する芳香族化合物であれば特に限定されないが、例えば、下記式(A)及び/又は(B)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物であることが好ましい。
Figure 0007138853000013
(上記式(A)中、nは0~9の整数であり、mは0~2の整数であり、pは0~9の整数であり、Raは各々独立して、水素原子、水酸基、ハロゲン基、炭素数1~40の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~40のアリール基、又は炭素数2~40のアルケニル基及びそれらの組み合わせからなる群であり、該アルキル基、該アリール基又は該アルケニル基はエーテル結合、ケトン結合、あるいはエステル結合を含んでいてもよい。
上記式(B)中、nは0~9の整数であり、p1は0~9の整数であり、Rは各々独立して、水素原子、水酸基、ハロゲン基、炭素数1~40の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~40のアリール基、又は炭素数2~40のアルケニル基及びそれらの組み合わせからなる群であり、該アルキル基、該アリール基又は該アルケニル基はエーテル結合、ケトン結合、あるいはエステル結合を含んでいてもよい。)
本実施形態の第二の製造方法において、前記式(A)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物は、下記式(A)で表される化合物であることが好ましい。
また、本実施形態の第二の製造方法において、前記式(B)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物は下記式(B)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0007138853000014
(上記式(A)中、nは0~9の整数であり、mは0~2の整数であり、pは0~9の整数であり、Rは各々独立して、炭素数1~30の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~15のアリール基、又は炭素数2~15のアルケニル基であり、
上記式(B)中、nは0~9の整数であり、p1は0~9の整数であり、Rは各々独立して、炭素数1~30の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~15のアリール基、又は炭素数2~15のアルケニル基である。)
本実施形態の第二の製造方法において、前記式(A)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物は、下記式(A-1)で表される化合物、下記式(A-2)で表される化合物、下記式(A-3)で表される化合物、及び下記式(A-4)で表される化合物からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。
また、本実施形態の第二の製造方法において、前記式(B)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物は下記式(B-1)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0007138853000015
(上記式(A-1)~(A-4)中、nは0~9の整数であり、上記式(B-1)中、nは0~9の整数である。)
本実施形態の第二の製造方法によれば、ヒドロキシ置換芳香族化合物を水と任意に混和しない有機溶媒に溶解させ、その溶液を酸性水溶液と接触させ抽出処理を行うことにより、ヒドロキシ置換芳香族化合物と有機溶媒とを含む溶液(α)に含まれる金属分を水相に移行させたのち、有機相と水相とを分離して金属含有量の低減されたヒドロキシ置換芳香族化合物を得ることができる。
本実施形態の第二の製造方法において使用される前記式(A)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物は、下記式(1)で表される化合物であることが特に好ましい。
Figure 0007138853000016
ここで、上記式(1)で表される化合物は、特に限定されないが、原料の供給性の観点から、1,2-ジヒドロキシナフタレン、1,3-ジヒドロキシナフタレン、1,4-ジヒドロキシナフタレン、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、1,7-ジヒドロキシナフタレン、1,8-ジヒドロキシナフタレン、2,3-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン及び2,7-ジヒドロキシナフタレンからなる群より選ばれる1種以上が好ましい。
また、上記式(1)で表される化合物は、得られる化合物又は樹脂の耐熱性の観点から、2,6-ジヒドロキシナフタレン及び2,7-ジヒドロキシナフタレンからなる群より選ばれる1種以上がより好ましい。
上記式(1)で表される化合物は、得られる化合物又は樹脂のさらなる耐熱性の観点から、2,6-ジヒドロキシナフタレンがさらに好ましい。
上記式(1)で表される化合物は、製造メーカー及び試薬メーカー等公知の手段にて容易に入手できる。また、公知の手法を応用して適宜合成することもでき、その合成手法は特に限定されない。
本実施形態の第二の製造方法で使用するヒドロキシ置換芳香族化合物は、単独でもよいが、2種以上混合して使用することもできる。また、ヒドロキシ置換芳香族化合物は、各種界面活性剤、各種架橋剤、各種酸発生剤、各種安定剤等を含有したものであってもよい。
本実施形態の第二の製造方法で使用される、水と任意に混和しない有機溶媒としては、特に限定されないが、半導体製造プロセスに安全に適用できる有機溶媒が好ましい。
なお、水と任意に混和しない有機溶媒とは、室温下における水への溶解度が30%未満であり、より好ましくは、20%未満であり、特に好ましくは10%未満である有機溶媒をいう。
本実施形態の第二の製造方法において使用される有機溶媒の具体例としては、以下に限定されないが、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸n‐ブチル、酢酸イソアミル等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2‐ヘプタノン、2-ペンタノン等のケトン類、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルアセテート類、n‐ヘキサン、n‐ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類等が挙げられる。これらの中でも、トルエン、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及び酢酸エチルからなる群より選ばれる1種以上が好ましく、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及び酢酸エチルからなる群より選ばれる1種以上がより好ましい。
これらの有機溶媒はそれぞれ単独で用いることもできるし、2種以上を混合して用いることもできる。
使用する有機溶媒の量は、使用するヒドロキシ置換芳香族化合物に対して、通常0.1~1000質量倍程度が好ましく、経済性の観点から、より好ましくは、0.5~500質量倍、さらに好ましくは1~100質量倍である。
本実施形態の第二の製造方法においては、溶液(α)が、さらに水と任意に混和する有機溶媒を含むことが好ましい場合がある。水と任意に混和する有機溶媒を含むことで、ヒドロキシ置換芳香族化合物の仕込み量を増加させることができ、また、分液性が向上し、高い釜効率で製造を行うことができる。水と任意に混和する有機溶媒を加える方法は特に限定されない。例えば、予め有機溶媒を含む溶液に加える方法、予め水又は酸性の水溶液に加える方法、有機溶媒を含む溶液と水又は酸性の水溶液とを接触させた後に加える方法、いずれも可能であるが、予め有機溶媒を含む溶液に加える方法が操作の作業性や仕込み量の管理のし易さの点で好ましい。
本実施形態の第二の製造方法で使用される、水と任意に混和する有機溶媒としては、特に限定されないが、半導体製造プロセスに安全に適用できる有機溶媒が好ましい。なお、水と任意に混和する有機溶媒とは、室温下における水への溶解度が70%以上であり、より好ましくは、80%以上であり、特に好ましくは90%以上である有機溶媒をいう。
水と任意に混和する有機溶媒の具体例としては、以下に限定されないが、例えば、テトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン等のエーテル類、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトン、N-メチルピロリドン等のケトン類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類が挙げられる。これらの中でも、N-メチルピロリドン、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が好ましく、N-メチルピロリドン及びプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群より選ばれる1種以上がさらに好ましい。
上記有機溶媒はそれぞれ単独で用いることもできるし、2種以上を混合して用いることもできる。
また、水と任意に混和する有機溶媒の量は、溶液相と水相とが分離する範囲であれば特に限定されないが、使用するヒドロキシ置換芳香族化合物に対して、通常0.1~1000質量倍程度が好ましく、経済性の観点から、より好ましくは、0.5~500質量倍、さらに好ましくは1~100質量倍である。
本実施形態の第二の製造方法で使用される酸性の水溶液としては、以下に限定されず、一般に知られる有機、無機系化合物を水に溶解させた水溶液の中から適宜選択される。例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の鉱酸を水に溶解させた水溶液、又は、酢酸、プロピオン酸、蓚酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、フェノールスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸を水に溶解させた水溶液が挙げられる。これら酸性の水溶液は、それぞれ単独で用いることもできるし、また、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
これら酸性の水溶液の中でも、塩酸、硫酸、硝酸及びリン酸からなる群より選ばれる1種以上の鉱酸水溶液である、又は、酢酸、プロピオン酸、蓚酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、フェノールスルホン酸、p-トルエンスルホン酸及びトリフルオロ酢酸からなる群より選ばれる1種以上の有機酸水溶液であることが好ましく、硫酸、硝酸、及び酢酸、蓚酸、酒石酸、クエン酸等のカルボン酸の水溶液がより好ましく、硫酸、蓚酸、酒石酸、クエン酸の水溶液がさらに好ましく、蓚酸の水溶液が特に好ましい。蓚酸、酒石酸、クエン酸等の多価カルボン酸は金属イオンに配位し、キレート効果が生じるために、より効果的に金属を除去できる傾向にあるものと考えられる。また、ここで用いる水は、本実施形態の目的に沿って、金属含有量の少ない水、例えばイオン交換水等が好ましい。
本実施形態で使用する酸性の水溶液のpHは特に限定されないが、ヒドロキシ置換芳香族化合物への悪影響を考慮し、水溶液の酸性度を調整することが好ましい。通常、酸性の水溶液のpH範囲は0~5程度が好ましく、より好ましくはpH0~4程度、さらに好ましくは0~3程度である。
本実施形態の第二の製造方法で使用する酸性の水溶液の使用量は特に限定されないが、金属除去のための抽出回数を低減する観点及び全体の液量を考慮して操作性を確保する観点から当該使用量を調整することが好ましい。このような観点から、酸性の水溶液の使用量は、通常、水と任意に混和しない有機溶媒及びヒドロキシ置換芳香族化合物を含む溶液(α)に対して、0.01~200質量%が好ましく、より好ましくは0.05~20質量%、さらに好ましくは0.1~10質量%である。
本実施形態の第二の製造方法においては、上記のような酸性の水溶液と、ヒドロキシ置換芳香族化合物及び水と任意に混和しない有機溶媒を含む溶液(α)とを接触させることにより、ヒドロキシ置換芳香族化合物中の金属分を抽出することができる。
本実施形態の第二の製造方法において、抽出処理を行う際の温度は通常、0~90℃が好ましく、より好ましくは10~85℃の範囲、さらに好ましくは20~80℃の範囲である。抽出操作は、特に限定されないが、例えば、撹拌等により、よく混合させたあと、静置することにより行われる。これにより、ヒドロキシ置換芳香族化合物と有機溶媒とを含む溶液に含まれていた金属分が水相に移行する。また、本操作により、溶液の酸性度が低下し、ヒドロキシ置換芳香族化合物の変質を抑制することができる。
上記操作により、ヒドロキシ置換芳香族化合物及び有機溶媒を含む溶液相と水相とに分離するので、デカンテーション等によりヒドロキシ置換芳香族化合物及び有機溶媒を含む溶液を回収する。静置する時間は特に限定されないが、有機溶媒を含む溶液相と水相との分離をより良好にする観点から当該静置時間を調整することが好ましい。通常、静置する時間は1分以上が好ましく、より好ましくは10分以上であり、さらに好ましくは30分以上である。
また、抽出処理は1回だけでもよいが、混合、静置、分離という操作を複数回繰り返して行うのも有効である。
本実施形態の第二の製造方法において、溶液(α)と酸性の水溶液とを接触させる工程による抽出処理を行ったのち、さらに水によるヒドロキシ置換芳香族化合物中の金属分の抽出処理を行う工程を含むことが好ましい。すなわち、酸性の水溶液を用いて抽出処理を行った後に、回収したヒドロキシ置換芳香族化合物及び有機溶媒を含む溶液を、さらに水による抽出処理に供することが好ましい。水による抽出処理は、特に限定されないが、例えば、撹拌等により、よく混合させたあと、静置することにより行うことができる。当該静置後に得られる溶液は、ヒドロキシ置換芳香族化合物及び有機溶媒を含む溶液相と水相とに分離するのでデカンテーション等によりヒドロキシ置換芳香族化合物及び有機溶媒を含む溶液相を回収することができる。
また、ここで用いる水は、本実施形態の目的に沿って、金属含有量の少ない水、例えば、イオン交換水や超純水等であることが好ましい。水による抽出処理は1回だけでもよいが、混合、静置、分離という操作を複数回繰り返して行うのも有効である。また、水による抽出処理における両者の使用割合や、温度、時間等の条件は特に限定されないが、先の酸性の水溶液との接触処理の場合と同様で構わない。
こうして得られたヒドロキシ置換芳香族化合物及び有機溶媒を含む溶液に混入し得る水分については、減圧蒸留等の操作を施すことにより容易に除去できる。
また、必要により有機溶媒を加え、ヒドロキシ置換芳香族化合物の濃度を任意の濃度に調整することができる。
得られたヒドロキシ置換芳香族化合物及び有機溶媒を含む溶液から、ヒドロキシ置換芳香族化合物を単離する方法は、特に限定されないが、例えば、減圧除去、再沈殿による分離、及びそれらの組み合わせ等、公知の方法で行うことができる。また、必要に応じて、濃縮操作、ろ過操作、遠心分離操作、乾燥操作等の公知の処理を行うことができる。
また、本実施形態の第二の製造方法は、酸素濃度が20体積%未満の雰囲気で行うことが好ましい。酸素濃度を20体積%未満にすることにより、ヒドロキシ置換芳香族化合物の変質を抑えることができ、高純度のヒドロキシ置換芳香族化合物を得ることができる。
本実施形態の第二の製造方法において、酸素濃度は10体積%未満がより好ましく、5体積%未満がさらに好ましく、1体積%未満が特に好ましい。酸素濃度が低いほど、本実施形態の第二の製造方法の変質を抑制しうる。本実施形態の第二の製造方法における酸素濃度の下限は、特に限定されないが、例えば、0.01体積%である。
酸素濃度を低下させる方法は、公知の方法を適用でき、特に限定されないが、例えば、精製を行う釜に窒素ガスをフローして、又は減圧してその後窒素ガスを導入することによりガス置換を行う方法を挙げることができる。若しくは、減圧して真空下で行う方法も挙げることができる。精製を行う釜を減圧してその後窒素ガスを導入する方法が簡便かつ確実で好ましい。
酸素濃度の確認は、公知の方法が適用でき、特に限定されないが、例えば、精製を行う釜に窒素ガスをフローして、ベントから排出されるガスの酸素濃度を酸素濃度計にて測定することにより行う方法を挙げることができる。また、精製を行う釜に酸素濃度計を設置する方法も挙げることができる。
以下、実施例を挙げて、本実施形態をさらに具体的に説明する。但し、本実施形態は、これらの実施例に限定はされない。
(実施例1)
3000L容量のガラスライニング製精製釜に、純度90%の2,6-ジヒドロキシナフタレン(以下「2,6-DHN」とも記す)の粗体100kgをアセトン220kg及びイオン交換水280gに仕込み、続いて釜内部の空気を減圧除去して窒素ガスを導入して、攪拌しながら50℃まで加熱溶解して溶液を得た。当該工程において、精製釜内の酸素濃度は1体積%未満であった。
次いで、得られた溶液に予め脱酸素処理を行った活性炭10kgを加え、室温に冷却して1時間撹拌後、活性炭をろ別した。続いて、ろ液をアセトン/イオン交換水(1/1)100kgでリンスした。
その後、ろ液からアセトンを減圧除去して遠心分離でろ過、その後、真空乾燥を行い、純度99%の2,6-DHNを90kg(収率90%)で得た。
本プロセスは、工業的に有利に精製することができると考えられる。
(実施例2)
5000mL容量のガラスライニング製精製釜に、純度90%の2,6-ジヒドロキシナフタレン(2,6-DHN)の粗体500gをイソプロパノール変性エタノール1000gに仕込み、続いて釜内部の空気を減圧除去して窒素ガスを導入して、攪拌しながら60℃まで加熱溶解して溶液を得た。当該工程において、精製釜内の酸素濃度は1体積%未満であった。
次いで、前記精製釜に、イオン交換水1250gを仕込み、結晶を析出させ、さらにイオン交換水1250gを仕込み、10℃以下まで冷却し、2時間撹拌した。
その後、遠心分離でろ過後、イオン交換水500gでリンス、真空乾燥を行い、純度99%の2,6-DHNを450g(収率90%)で得た。
(実施例3)
3000L容量のガラスライニング製精製釜に、純度98%の4,4’-ビフェノールの粗体100kgをアセトン150kg及びイオン交換水200kgに仕込み、続いて釜内部の空気を減圧除去して窒素ガスを導入して、攪拌しながら50℃まで加熱溶解して溶液を得た。当該工程において、精製釜内の酸素濃度は1体積%未満であった。
次いで、得られた溶液に予め脱酸素処理を行った活性炭10kgを加え、室温に冷却して1時間撹拌後、活性炭をろ別した。続いて、ろ液をアセトン/イオン交換水(1/1)100kgでリンスした。
その後、ろ液からアセトンを減圧除去して遠心分離でろ過後、真空乾燥を行い、純度99%の4,4’-ビフェノールを95kg(収率95%)で得た。
(実施例4)
5000mL容量のガラスライニング製精製釜に、純度98%の4,4’-ビフェノールの粗体300gをイソプロパノール変性エタノール1000gに仕込み、続いて釜内部の空気を減圧除去して窒素ガスを導入して、攪拌しながら60℃まで加熱溶解して溶液を得た。当該工程において、精製釜内の酸素濃度は1体積%未満あった。
次いで、前記精製釜に、イオン交換水1200gを仕込み、結晶を析出させ、さらにイオン交換水1200gを仕込み、10℃以下まで冷却し、2時間撹拌した。
その後、遠心分離でろ過後、イオン交換水500gでリンスし、真空乾燥を行い、純度99%の4,4’-ビフェノールを280g(収率95%)で得た。
(実施例5)
3000L容量のガラスライニング製精製釜に、純度90%のレゾルシノール(1、3-ジヒドロキシベンゼン)の粗体100kgをアセトン150kg及びイオン交換水200kgに仕込み、続いて釜内部の空気を減圧除去して窒素ガスを導入して、攪拌しながら50℃まで加熱溶解して溶液を得た。当該工程において、精製釜内の酸素濃度は1体積%未満であった。
次いで、得られた溶液に予め脱酸素処理を行った活性炭10kgを加え、室温に冷却して1時間撹拌後、活性炭をろ別した。続いて、ろ液をアセトン/イオン交換水(1/1)100kgでリンスした。
その後、ろ液からアセトンを減圧除去して遠心分離でろ過、その後、真空乾燥を行い、純度98%のレゾルシノールを90kg(収率90%)で得た。
(実施例6)
5000mL容量のガラスライニング製精製釜に、純度90%のレゾルシノールの粗体300gをイソプロパノール変性エタノール1000gに仕込み、続いて釜内部の空気を減圧除去して窒素ガスを導入して、攪拌しながら60℃まで加熱溶解して溶液を得た。当該工程において、精製釜内の酸素濃度は1体積%未満であった。
次いで、前記精製釜に、イオン交換水1000gを仕込み、結晶を析出させ、さらにイオン交換水1500gを仕込み、10℃以下まで冷却し、2時間撹拌した。
その後、遠心分離でろ過後、イオン交換水500gでリンスし、真空乾燥を行い、純度98%のレゾルシノールを270g(収率90%)で得た。
(実施例7)
5000mL容量のガラスライニング製精製釜に、純度98%の9,10-ジヒドロキシアントラセンの粗体300gをメチルエチルケトン1000gに仕込み、続いて釜内部の空気を減圧除去して窒素ガスを導入して、攪拌しながら60℃まで加熱溶解して溶液を得た。当該工程において、精製釜内の酸素濃度は1体積%未満であった。
次いで、前記精製釜に、イオン交換水1000gを仕込み、結晶を析出させ、さらにイオン交換水1500gを仕込み、10℃以下まで冷却し、2時間撹拌した。
その後、遠心分離でろ過後、イオン交換水500gでリンスし、真空乾燥を行い、純度99%の9,10-ジヒドロキシアントラセンを255g(収率85%)で得た。
(実施例8)
5000mL容量のガラスライニング製精製釜に、純度98%の1-ヒドロキシピレンの粗体300gをイソプロパノール変性エタノール1000gに仕込み、続いて釜内部の空気を減圧除去して窒素ガスを導入して、攪拌しながら80℃まで加熱溶解して溶液を得た。当該工程において、精製釜内の酸素濃度は1体積%未満であった。
次いで、前記精製釜に、イオン交換水1000gを仕込み、結晶を析出させ、さらにイオン交換水1500gを仕込み、10℃以下まで冷却し、2時間撹拌した。
その後、遠心分離でろ過後、イオン交換水500gでリンスし、真空乾燥を行い、純度99%の1-ヒドロキシピレンを280g(収率95%)で得た。
本プロセスは、工業的に有利に製造することができると考えられる。
(比較例1)
釜内部の空気を減圧除去して窒素ガスを導入しなかった以外は、実施例1と同様に行った。当該工程において、精製釜内の酸素濃度は20.8体積%であった。その結果、純度95%の2,6-DHNを90kg(収率90%)で得た。
2,6-DHNの純度が不十分であったため、更に高純度化を狙って、再度、本比較例と同様の操作を実施したところ、純度98%の2,6-DHNを80kg(収率89%)得られた。100kgの粗体から80kgの精製品であり、トータルでの収率は80%と低かった。
本プロセスは、工業的に不利に製造されることと考えられる。
(比較例2)
釜内部の空気を減圧除去して窒素ガスを導入しなかった以外は、実施例2と同様に行った。当該工程において、精製釜内の酸素濃度は20.8体積%であった。その結果、純度95%の2,6-DHNを450g(収率90%)で得た。
2,6-DHNの純度が不十分であったため、更に高純度化を狙って、再度、本比較例と同様の操作を実施したところ、純度98%の2,6-DHNを400g(収率89%)得られた。500gの粗体から400gの精製品であり、トータルでの収率は80%と低かった。
本プロセスは、工業的に不利に製造されることと考えられる。
(実施例1-1)金属含有量の低減された式(1)で表される化合物の酢酸エチル溶液の製造
1000mL容量の四つ口フラスコ(底抜き型)に、2,6-ジヒドロキシナフタレン(以下「2,6-DHN」とも記す。)を酢酸エチルに溶解させた溶液(2.5質量%)を150g仕込み、続いてフラスコ内部の空気を減圧除去して窒素ガスを導入して、攪拌しながら25℃まで加熱して溶液を得た。当該工程において、フラスコ内の酸素濃度は1体積%未満であった。次いで、得られた溶液に、蓚酸水溶液(pH1.3)37.5gを加え、5分間攪拌後、30分静置した。これにより油相と水相とに分離したので、水相を除去した。この操作を1回繰り返した後、得られた油相に、超純水37.5gを仕込み、5分間攪拌後、30分静置し、水相を除去した。この操作を3回繰り返すことにより、金属含有量の低減された2,6-DHNの酢酸エチル溶液を得た。
(実施例2-1)
釜内部の空気を減圧除去して窒素ガスを導入したところを省略したこと以外は実施例1-1と同様に処理して2,6-DHNの酢酸エチル溶液を得た。当該工程において、フラスコ内の酸素濃度は20.8体積%であった。
(実施例3-1)
1000mL容量の四つ口フラスコ(底抜き型)に、4,4’-ビフェノールの粗体を酢酸エチルに溶解させた溶液(5.0質量%)を300g仕込み、
続いてフラスコ内部の空気を減圧除去して窒素ガスを導入して、攪拌しながら40℃まで加熱して溶液を得た。当該工程において、フラスコ内の酸素濃度は1体積%未満であった。次いで、得られた溶液に、蓚酸水溶液(pH1.3)75gを加え、5分間攪拌後、30分静置した。これにより油相と水相とに分離したので、水相を除去した。この操作を1回繰り返した後、得られた油相に、超純水75gを仕込み、5分間攪拌後、30分静置し、水相を除去した。この操作を3回繰り返すことにより、金属含有量の低減された4,4’-ビフェノールの酢酸エチル溶液を得た。
(実施例5-1)
1000mL容量の四つ口フラスコ(底抜き型)に、レゾルシノールの粗体を酢酸エチルに溶解させた溶液(5.0質量%)を300g仕込み、続いてフラスコ内部の空気を減圧除去して窒素ガスを導入して、攪拌しながら40℃まで加熱して溶液を得た。当該工程において、フラスコ内の酸素濃度は1体積%未満であった。次いで、得られた溶液に、蓚酸水溶液(pH1.3)75gを加え、5分間攪拌後、30分静置した。これにより油相と水相とに分離したので、水相を除去した。この操作を1回繰り返した後、得られた油相に、超純水75gを仕込み、5分間攪拌後、30分静置し、水相を除去した。この操作を3回繰り返すことにより、金属含有量の低減されたレゾルシノールの酢酸エチル溶液を得た。
(実施例7-1)
1000mL容量の四つ口フラスコ(底抜き型)に、9,10-ジヒドロキシアントラセンの粗体を酢酸エチルに溶解させた溶液(2.5質量%)を300g仕込み、続いてフラスコ内部の空気を減圧除去して窒素ガスを導入して、攪拌しながら40℃まで加熱して溶液を得た。当該工程において、フラスコ内の酸素濃度は1体積%未満であった。次いで、得られた溶液に、蓚酸水溶液(pH1.3)75gを加え、5分間攪拌後、30分静置した。これにより油相と水相とに分離したので、水相を除去した。この操作を1回繰り返した後、得られた油相に、超純水75gを仕込み、5分間攪拌後、30分静置し、水相を除去した。この操作を3回繰り返すことにより、金属含有量の低減された9,10-ジヒドロキシアントラセンの酢酸エチル溶液を得た。
(実施例8-1)
1000mL容量の四つ口フラスコ(底抜き型)に、1-ヒドロキシピレンの粗体を酢酸エチルに溶解させた溶液(2.0質量%)を300g仕込み、続いてフラスコ内部の空気を減圧除去して窒素ガスを導入して、攪拌しながら40℃まで加熱して溶液を得た。当該工程において、フラスコ内の酸素濃度は1体積%未満であった。次いで、得られた溶液に、蓚酸水溶液(pH1.3)75gを加え、5分間攪拌後、30分静置した。これにより油相と水相とに分離したので、水相を除去した。この操作を1回繰り返した後、得られた油相に、超純水75gを仕込み、5分間攪拌後、30分静置し、水相を除去した。この操作を3回繰り返すことにより、金属含有量の低減された1-ヒドロキシピレンの酢酸エチル溶液を得た。
実施例1~8および実施例1-1~8-1において得られた処理前後の各溶液について、各種金属含有量をICP-MSによって測定した。測定結果を表1に示す。
Figure 0007138853000017
続いて、処理前、実施例1-1及び実施例2-1において得られた2,6-DHNの各溶液について、液体クロマトグラフィー(LC)にて2,6-DHNの純度を測定した。その結果、処理前では99%の純度であったものが、実施例1-1では99%の純度を保持していた。実施例2-1では91%の純度であった。実施例2-1は釜内部の空気を減圧除去して窒素ガスを導入したところを省略したこと以外は実施例1-1と同様であり、窒素ガス雰囲気で実施することの効果が示された。
本発明によれば、ヒドロキシ置換芳香族化合物、例えば、式(1)で表される化合物を工業的に有利に製造することができる。
また、本発明によれば、金属含有量の低減されたヒドロキシ置換芳香族化合物、例えば、式(1)で表される化合物を工業的に有利に製造することができる。

Claims (5)

  1. 水と任意に混和しない有機溶媒及びヒドロキシ置換芳香族化合物を含む溶液(α)と、酸性の水溶液とを接触させヒドロキシ置換芳香族化合物中の金属分を抽出する工程を含み、
    前記ヒドロキシ置換芳香族化合物が、下記式(A-1)で表される化合物、下記式(A-2)で表される化合物、下記式(A-3)で表される化合物、及び下記式(A-4)で表される化合物からなる群より選ばれる1種以上、及び/又は、下記式(B-1)で表される化合物であり、
    酸素濃度が20体積%未満の雰囲気で行われ、
    前記酸性の水溶液のpHが0~3であり、
    前記水と任意に混和しない有機溶媒が、トルエン、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及び酢酸エチルからなる群より選ばれる1種以上である、
    ヒドロキシ置換芳香族化合物の製造方法。
    Figure 0007138853000018
    (上記式(A-1)~(A-4)中、n0は0~9の整数であり、上記式(B-1)中、n1は0~9の整数である。)
  2. 前記式(A-2)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物が、下記式(1)で表される化合物である、請求項1に記載の製造方法。
    Figure 0007138853000019
  3. 前記抽出する工程後、さらに水によるヒドロキシ置換芳香族化合物中の金属分の抽出処理を行う工程を含む、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記酸性の水溶液が、塩酸、硫酸、硝酸及びリン酸からなる群より選ばれる1種以上の鉱酸水溶液である、又は、酢酸、プロピオン酸、蓚酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、フェノールスルホン酸、p-トルエンスルホン酸及びトリフルオロ酢酸からなる群より選ばれる1種以上の有機酸水溶液である、請求項1~のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記ヒドロキシ置換芳香族化合物が、2,6-ジヒドロキシナフタレン及び2,7-ジヒドロキシナフタレンからなる群より選ばれる1種以上である、請求項1~のいずれか一項に記載の製造方法。
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