JP7138853B2 - ヒドロキシ置換芳香族化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
また、背景技術に記載した上記用途においては、特に金属含有量が、歩留まり向上のために重要な性能評価項目となっている。すなわち、ヒドロキシ置換芳香族化合物、例えば、ジヒドロキシナフタレンを原料として得られる化合物又は樹脂中に金属が多く含まれる場合には、半導体中に金属が残存し、半導体の電気特性を低下させることから、不純物としての金属の含有量を低減することが求められている。
金属含有量の低減を目的とする、ヒドロキシ置換芳香族化合物、例えば、ジヒドロキシナフタレンから得られる化合物又は樹脂の精製方法として、該化合物又は樹脂と有機溶媒とを含む混合物を、イオン交換樹脂と接触させる方法、フィルターで濾過する方法等が考えられる。しかしながら、金属含有量の高いヒドロキシ置換芳香族化合物、例えば、ジヒドロキシナフタレンを原料として用いると、上記方法では金属除去への負荷が大きくコストが高くなる問題がある。
したがって、金属含有量の低減された高純度のヒドロキシ置換芳香族化合物、例えば、ジヒドロキシナフタレンの工業的に有利な精製方法の確立が望まれている。
また、ヒドロキシ置換芳香族化合物、例えば、ジヒドロキシナフタレンの純度が低い場合、ヒドロキシ置換芳香族化合物、例えば、ジヒドロキシナフタレンから得られる化合物又は樹脂の収率が下がる、若しくは収率がばらつく問題がある。
さらに、従来、開示されているヒドロキシ置換芳香族化合物、例えば、ジヒドロキシナフタレンの精製方法では、金属含有量の低減に関する記載が無く、また、金属含有量低減が不十分である。
本発明の目的は、ヒドロキシ置換芳香族化合物、例えば、ジヒドロキシナフタレンの工業的に有利な製造方法を提供することにある。
また、本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ヒドロキシ置換芳香族化合物(例えば、ジヒドロキシナフタレン)と特定の有機溶媒とを含む溶液を、酸性の水溶液と接触させ抽出処理することにより、ヒドロキシ置換芳香族化合物(例えば、ジヒドロキシナフタレン)中の種々の金属の含有量を低減できることを見出し、本発明に至った。
[1]
ヒドロキシ置換芳香族化合物を、酸素濃度が20体積%未満の雰囲気にて有機溶媒及び/又は水に接触させる工程(接触工程)を含むヒドロキシ置換芳香族化合物の製造方法。
[2]
前記ヒドロキシ置換芳香族化合物が、下記式(A0)及び/又は(B0)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物である、[1]に記載のヒドロキシ置換芳香族化合物の製造方法。
上記式(B0)中、n1は0~9の整数であり、p1は0~9の整数であり、Rbは各々独立して、水素原子、水酸基、ハロゲン基、炭素数1~40の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~40のアリール基、又は炭素数2~40のアルケニル基及びそれらの組み合わせからなる群であり、該アルキル基、該アリール基又は該アルケニル基はエーテル結合、ケトン結合、あるいはエステル結合を含んでいてもよい。)
[3]
前記式(A0)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物が下記式(A)で表される化合物であり、前記式(B0)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物が下記式(B)で表される化合物である、[2]に記載の製造方法。
上記式(B)中、n1は0~9の整数であり、p1は0~9の整数であり、R1は各々独立して、炭素数1~30の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~15のアリール基、又は炭素数2~15のアルケニル基である。)
[4]
前記式(A)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物が、下記式(A-1)で表される化合物、下記式(A-2)で表される化合物、下記式(A-3)で表される化合物、及び下記式(A-4)で表される化合物からなる群より選ばれる1種以上であり、
前記式(B)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物が下記式(B-1)で表される化合物である、[3]に記載の製造方法。
[5]
前記式(A)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物が、下記式(1)で表される化合物である、[3]に記載の製造方法。
前記ヒドロキシ置換芳香族化合物を有機溶媒に溶解させる工程を含む、[1]~[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7]
前記ヒドロキシ置換芳香族化合物を有機溶媒に溶解させたのち、該ヒドロキシ置換芳香族化合物の溶液に活性炭を接触させる工程を含む、[6]に記載の製造方法。
[8]
前記ヒドロキシ置換芳香族化合物を有機溶媒に溶解させたのち、該ヒドロキシ置換芳香族化合物を晶析させる工程を含む、[6]又は[7]に記載の製造方法。
[9]
前記有機溶媒が、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、N-メチルピロリドン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及び酢酸エチルからなる群より選ばれる1種以上である、[1]~[8]のいずれかに記載の製造方法。
[10]
水と任意に混和しない有機溶媒及びヒドロキシ置換芳香族化合物を含む溶液(α)と、酸性の水溶液とを接触させヒドロキシ置換芳香族化合物中の金属分を抽出する工程を含む、ヒドロキシ置換芳香族化合物の製造方法。
[11]
前記ヒドロキシ置換芳香族化合物が、下記式(A0)及び/又は(B0)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物である、[10]に記載の製造方法。
上記式(B0)中、n1は0~9の整数であり、p1は0~9の整数であり、Rbは各々独立して、水素原子、水酸基、ハロゲン基、炭素数1~40の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~40のアリール基、又は炭素数2~40のアルケニル基及びそれらの組み合わせからなる群であり、該アルキル基、該アリール基又は該アルケニル基はエーテル結合、ケトン結合、あるいはエステル結合を含んでいてもよい。)
[12]
前記式(A0)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物が、下記式(A)で表される化合物であり、前記式(B0)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物が下記式(B)で表される化合物である、[11]に記載の製造方法。
上記式(B)中、n1は0~9の整数であり、p1は0~9の整数であり、R1は各々独立して、炭素数1~30の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~15のアリール基、又は炭素数2~15のアルケニル基である。)
[13]
前記式(A)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物が、下記式(A-1)で表される化合物、下記式(A-2)で表される化合物、下記式(A-3)で表される化合物、及び下記式(A-4)で表される化合物からなる群より選ばれる1種以上であり、
前記式(B)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物が下記式(B-1)で表される化合物である、[12]に記載の製造方法。
[14]
前記式(A)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物が、下記式(1)で表される化合物である、[12]に記載の製造方法。
酸素濃度が20体積%未満の雰囲気で行う、[10]~[14]のいずれかに記載の製造方法。
[16]
前記抽出する工程後、さらに水によるヒドロキシ置換芳香族化合物中の金属分の抽出処理を行う工程を含む、[10]~[15]のいずれかに記載の製造方法。
[17]
水と任意に混和しない有機溶媒が、トルエン、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及び酢酸エチルからなる群より選ばれる1種以上である、[10]~[16]のいずれかに記載の製造方法。
[18]
前記酸性の水溶液が、塩酸、硫酸、硝酸及びリン酸からなる群より選ばれる1種以上の鉱酸水溶液である、又は、酢酸、プロピオン酸、蓚酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、フェノールスルホン酸、p-トルエンスルホン酸及びトリフルオロ酢酸からなる群より選ばれる1種以上の有機酸水溶液である、[10]~[17]のいずれかに記載の製造方法。
[19]
前記ヒドロキシ置換芳香族化合物が、2,6-ジヒドロキシナフタレン及び2,7-ジヒドロキシナフタレンからなる群より選ばれる1種以上である、[10]~[18]のいずれかに記載の製造方法。
また、本発明により、種々の金属の含有量が低減可能な、ヒドロキシ置換芳香族化合物(例えば、ジヒドロキシナフタレン)の製造方法を工業的に有利に提供できる。
本実施形態のヒドロキシ置換芳香族化合物の第一の製造方法は、該ヒドロキシ置換芳香族化合物を、酸素濃度が20体積%未満の雰囲気にて有機溶媒及び/又は水に接触させる工程(接触工程)を含む。
上記式(B0)中、n1は0~9の整数であり、p1は0~9の整数であり、Rbは各々独立して、水素原子、水酸基、ハロゲン基、炭素数1~40の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~40のアリール基、又は炭素数2~40のアルケニル基及びそれらの組み合わせからなる群であり、該アルキル基、該アリール基又は該アルケニル基はエーテル結合、ケトン結合、あるいはエステル結合を含んでいてもよい。)
また、本実施形態の第一の製造方法において、前記式(B0)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物は下記式(B)で表される化合物であることが好ましい。
上記式(B)中、n1は0~9の整数であり、p1は0~9の整数であり、R1は各々独立して、炭素数1~30の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~15のアリール基、又は炭素数2~15のアルケニル基である。)
また、本実施形態の第一の製造方法において、前記式(B)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物は下記式(B-1)で表される化合物であることが好ましい。
また、上記接触工程における圧力は減圧、常圧及び加圧のいずれでも適用し得る。
これらの中でも、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、N-メチルピロリドン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及び酢酸エチルからなる群より選ばれる1種以上が好ましく、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、N-メチルピロリドン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノン及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートからなる群より選ばれる1種以上がより好ましい。
これらの中でも、金属及び塩素分の汚染を抑制するために、イオン交換水、超純水等が好ましい。
これらの有機溶媒や水は、それぞれ単独で用いることもできるし、2種以上を混合して用いることもできる。
また、これらの有機溶媒及び/又は水から、予め溶存酸素を低減しておくことが好ましい。溶存酸素を低減する方法は、特に限定されず、公知の方法が適用できるが、有機溶媒及び/又は水に窒素ガス等の不活性ガスを常圧又は減圧下にて通ガスしたり、超音波を加えたりする方法が有効である。
一方、活性炭の接触工程は、酸素濃度20体積%未満の雰囲気で行うと、ヒドロキシ置換芳香族化合物、例えば、ジヒドロキシナフタレンの劣化を抑制し、ヒドロキシ置換芳香族化合物の純度をより一層向上する傾向にある、又は純度及び収率のばらつきを抑制させ、工業的により有利なプロセスとなる。
これらの操作を行う際も、酸素濃度20体積%未満の雰囲気で実施することが、純度の向上、又は純度及び収率のばらつきを抑制する為に好ましい。
上記式(B0)中、n1は0~9の整数であり、p1は0~9の整数であり、Rbは各々独立して、水素原子、水酸基、ハロゲン基、炭素数1~40の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~40のアリール基、又は炭素数2~40のアルケニル基及びそれらの組み合わせからなる群であり、該アルキル基、該アリール基又は該アルケニル基はエーテル結合、ケトン結合、あるいはエステル結合を含んでいてもよい。)
また、本実施形態の第二の製造方法において、前記式(B0)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物は下記式(B)で表される化合物であることが好ましい。
上記式(B)中、n1は0~9の整数であり、p1は0~9の整数であり、R1は各々独立して、炭素数1~30の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~15のアリール基、又は炭素数2~15のアルケニル基である。)
また、本実施形態の第二の製造方法において、前記式(B)で表されるヒドロキシ置換芳香族化合物は下記式(B-1)で表される化合物であることが好ましい。
なお、水と任意に混和しない有機溶媒とは、室温下における水への溶解度が30%未満であり、より好ましくは、20%未満であり、特に好ましくは10%未満である有機溶媒をいう。
本実施形態の第二の製造方法において使用される有機溶媒の具体例としては、以下に限定されないが、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸n‐ブチル、酢酸イソアミル等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2‐ヘプタノン、2-ペンタノン等のケトン類、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルアセテート類、n‐ヘキサン、n‐ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類等が挙げられる。これらの中でも、トルエン、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及び酢酸エチルからなる群より選ばれる1種以上が好ましく、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及び酢酸エチルからなる群より選ばれる1種以上がより好ましい。
これらの有機溶媒はそれぞれ単独で用いることもできるし、2種以上を混合して用いることもできる。
上記有機溶媒はそれぞれ単独で用いることもできるし、2種以上を混合して用いることもできる。
また、抽出処理は1回だけでもよいが、混合、静置、分離という操作を複数回繰り返して行うのも有効である。
また、ここで用いる水は、本実施形態の目的に沿って、金属含有量の少ない水、例えば、イオン交換水や超純水等であることが好ましい。水による抽出処理は1回だけでもよいが、混合、静置、分離という操作を複数回繰り返して行うのも有効である。また、水による抽出処理における両者の使用割合や、温度、時間等の条件は特に限定されないが、先の酸性の水溶液との接触処理の場合と同様で構わない。
また、必要により有機溶媒を加え、ヒドロキシ置換芳香族化合物の濃度を任意の濃度に調整することができる。
3000L容量のガラスライニング製精製釜に、純度90%の2,6-ジヒドロキシナフタレン(以下「2,6-DHN」とも記す)の粗体100kgをアセトン220kg及びイオン交換水280gに仕込み、続いて釜内部の空気を減圧除去して窒素ガスを導入して、攪拌しながら50℃まで加熱溶解して溶液を得た。当該工程において、精製釜内の酸素濃度は1体積%未満であった。
次いで、得られた溶液に予め脱酸素処理を行った活性炭10kgを加え、室温に冷却して1時間撹拌後、活性炭をろ別した。続いて、ろ液をアセトン/イオン交換水(1/1)100kgでリンスした。
その後、ろ液からアセトンを減圧除去して遠心分離でろ過、その後、真空乾燥を行い、純度99%の2,6-DHNを90kg(収率90%)で得た。
本プロセスは、工業的に有利に精製することができると考えられる。
5000mL容量のガラスライニング製精製釜に、純度90%の2,6-ジヒドロキシナフタレン(2,6-DHN)の粗体500gをイソプロパノール変性エタノール1000gに仕込み、続いて釜内部の空気を減圧除去して窒素ガスを導入して、攪拌しながら60℃まで加熱溶解して溶液を得た。当該工程において、精製釜内の酸素濃度は1体積%未満であった。
次いで、前記精製釜に、イオン交換水1250gを仕込み、結晶を析出させ、さらにイオン交換水1250gを仕込み、10℃以下まで冷却し、2時間撹拌した。
その後、遠心分離でろ過後、イオン交換水500gでリンス、真空乾燥を行い、純度99%の2,6-DHNを450g(収率90%)で得た。
3000L容量のガラスライニング製精製釜に、純度98%の4,4’-ビフェノールの粗体100kgをアセトン150kg及びイオン交換水200kgに仕込み、続いて釜内部の空気を減圧除去して窒素ガスを導入して、攪拌しながら50℃まで加熱溶解して溶液を得た。当該工程において、精製釜内の酸素濃度は1体積%未満であった。
次いで、得られた溶液に予め脱酸素処理を行った活性炭10kgを加え、室温に冷却して1時間撹拌後、活性炭をろ別した。続いて、ろ液をアセトン/イオン交換水(1/1)100kgでリンスした。
その後、ろ液からアセトンを減圧除去して遠心分離でろ過後、真空乾燥を行い、純度99%の4,4’-ビフェノールを95kg(収率95%)で得た。
5000mL容量のガラスライニング製精製釜に、純度98%の4,4’-ビフェノールの粗体300gをイソプロパノール変性エタノール1000gに仕込み、続いて釜内部の空気を減圧除去して窒素ガスを導入して、攪拌しながら60℃まで加熱溶解して溶液を得た。当該工程において、精製釜内の酸素濃度は1体積%未満あった。
次いで、前記精製釜に、イオン交換水1200gを仕込み、結晶を析出させ、さらにイオン交換水1200gを仕込み、10℃以下まで冷却し、2時間撹拌した。
その後、遠心分離でろ過後、イオン交換水500gでリンスし、真空乾燥を行い、純度99%の4,4’-ビフェノールを280g(収率95%)で得た。
3000L容量のガラスライニング製精製釜に、純度90%のレゾルシノール(1、3-ジヒドロキシベンゼン)の粗体100kgをアセトン150kg及びイオン交換水200kgに仕込み、続いて釜内部の空気を減圧除去して窒素ガスを導入して、攪拌しながら50℃まで加熱溶解して溶液を得た。当該工程において、精製釜内の酸素濃度は1体積%未満であった。
次いで、得られた溶液に予め脱酸素処理を行った活性炭10kgを加え、室温に冷却して1時間撹拌後、活性炭をろ別した。続いて、ろ液をアセトン/イオン交換水(1/1)100kgでリンスした。
その後、ろ液からアセトンを減圧除去して遠心分離でろ過、その後、真空乾燥を行い、純度98%のレゾルシノールを90kg(収率90%)で得た。
5000mL容量のガラスライニング製精製釜に、純度90%のレゾルシノールの粗体300gをイソプロパノール変性エタノール1000gに仕込み、続いて釜内部の空気を減圧除去して窒素ガスを導入して、攪拌しながら60℃まで加熱溶解して溶液を得た。当該工程において、精製釜内の酸素濃度は1体積%未満であった。
次いで、前記精製釜に、イオン交換水1000gを仕込み、結晶を析出させ、さらにイオン交換水1500gを仕込み、10℃以下まで冷却し、2時間撹拌した。
その後、遠心分離でろ過後、イオン交換水500gでリンスし、真空乾燥を行い、純度98%のレゾルシノールを270g(収率90%)で得た。
5000mL容量のガラスライニング製精製釜に、純度98%の9,10-ジヒドロキシアントラセンの粗体300gをメチルエチルケトン1000gに仕込み、続いて釜内部の空気を減圧除去して窒素ガスを導入して、攪拌しながら60℃まで加熱溶解して溶液を得た。当該工程において、精製釜内の酸素濃度は1体積%未満であった。
次いで、前記精製釜に、イオン交換水1000gを仕込み、結晶を析出させ、さらにイオン交換水1500gを仕込み、10℃以下まで冷却し、2時間撹拌した。
その後、遠心分離でろ過後、イオン交換水500gでリンスし、真空乾燥を行い、純度99%の9,10-ジヒドロキシアントラセンを255g(収率85%)で得た。
5000mL容量のガラスライニング製精製釜に、純度98%の1-ヒドロキシピレンの粗体300gをイソプロパノール変性エタノール1000gに仕込み、続いて釜内部の空気を減圧除去して窒素ガスを導入して、攪拌しながら80℃まで加熱溶解して溶液を得た。当該工程において、精製釜内の酸素濃度は1体積%未満であった。
次いで、前記精製釜に、イオン交換水1000gを仕込み、結晶を析出させ、さらにイオン交換水1500gを仕込み、10℃以下まで冷却し、2時間撹拌した。
その後、遠心分離でろ過後、イオン交換水500gでリンスし、真空乾燥を行い、純度99%の1-ヒドロキシピレンを280g(収率95%)で得た。
本プロセスは、工業的に有利に製造することができると考えられる。
釜内部の空気を減圧除去して窒素ガスを導入しなかった以外は、実施例1と同様に行った。当該工程において、精製釜内の酸素濃度は20.8体積%であった。その結果、純度95%の2,6-DHNを90kg(収率90%)で得た。
2,6-DHNの純度が不十分であったため、更に高純度化を狙って、再度、本比較例と同様の操作を実施したところ、純度98%の2,6-DHNを80kg(収率89%)得られた。100kgの粗体から80kgの精製品であり、トータルでの収率は80%と低かった。
本プロセスは、工業的に不利に製造されることと考えられる。
釜内部の空気を減圧除去して窒素ガスを導入しなかった以外は、実施例2と同様に行った。当該工程において、精製釜内の酸素濃度は20.8体積%であった。その結果、純度95%の2,6-DHNを450g(収率90%)で得た。
2,6-DHNの純度が不十分であったため、更に高純度化を狙って、再度、本比較例と同様の操作を実施したところ、純度98%の2,6-DHNを400g(収率89%)得られた。500gの粗体から400gの精製品であり、トータルでの収率は80%と低かった。
本プロセスは、工業的に不利に製造されることと考えられる。
1000mL容量の四つ口フラスコ(底抜き型)に、2,6-ジヒドロキシナフタレン(以下「2,6-DHN」とも記す。)を酢酸エチルに溶解させた溶液(2.5質量%)を150g仕込み、続いてフラスコ内部の空気を減圧除去して窒素ガスを導入して、攪拌しながら25℃まで加熱して溶液を得た。当該工程において、フラスコ内の酸素濃度は1体積%未満であった。次いで、得られた溶液に、蓚酸水溶液(pH1.3)37.5gを加え、5分間攪拌後、30分静置した。これにより油相と水相とに分離したので、水相を除去した。この操作を1回繰り返した後、得られた油相に、超純水37.5gを仕込み、5分間攪拌後、30分静置し、水相を除去した。この操作を3回繰り返すことにより、金属含有量の低減された2,6-DHNの酢酸エチル溶液を得た。
釜内部の空気を減圧除去して窒素ガスを導入したところを省略したこと以外は実施例1-1と同様に処理して2,6-DHNの酢酸エチル溶液を得た。当該工程において、フラスコ内の酸素濃度は20.8体積%であった。
1000mL容量の四つ口フラスコ(底抜き型)に、4,4’-ビフェノールの粗体を酢酸エチルに溶解させた溶液(5.0質量%)を300g仕込み、
続いてフラスコ内部の空気を減圧除去して窒素ガスを導入して、攪拌しながら40℃まで加熱して溶液を得た。当該工程において、フラスコ内の酸素濃度は1体積%未満であった。次いで、得られた溶液に、蓚酸水溶液(pH1.3)75gを加え、5分間攪拌後、30分静置した。これにより油相と水相とに分離したので、水相を除去した。この操作を1回繰り返した後、得られた油相に、超純水75gを仕込み、5分間攪拌後、30分静置し、水相を除去した。この操作を3回繰り返すことにより、金属含有量の低減された4,4’-ビフェノールの酢酸エチル溶液を得た。
1000mL容量の四つ口フラスコ(底抜き型)に、レゾルシノールの粗体を酢酸エチルに溶解させた溶液(5.0質量%)を300g仕込み、続いてフラスコ内部の空気を減圧除去して窒素ガスを導入して、攪拌しながら40℃まで加熱して溶液を得た。当該工程において、フラスコ内の酸素濃度は1体積%未満であった。次いで、得られた溶液に、蓚酸水溶液(pH1.3)75gを加え、5分間攪拌後、30分静置した。これにより油相と水相とに分離したので、水相を除去した。この操作を1回繰り返した後、得られた油相に、超純水75gを仕込み、5分間攪拌後、30分静置し、水相を除去した。この操作を3回繰り返すことにより、金属含有量の低減されたレゾルシノールの酢酸エチル溶液を得た。
1000mL容量の四つ口フラスコ(底抜き型)に、9,10-ジヒドロキシアントラセンの粗体を酢酸エチルに溶解させた溶液(2.5質量%)を300g仕込み、続いてフラスコ内部の空気を減圧除去して窒素ガスを導入して、攪拌しながら40℃まで加熱して溶液を得た。当該工程において、フラスコ内の酸素濃度は1体積%未満であった。次いで、得られた溶液に、蓚酸水溶液(pH1.3)75gを加え、5分間攪拌後、30分静置した。これにより油相と水相とに分離したので、水相を除去した。この操作を1回繰り返した後、得られた油相に、超純水75gを仕込み、5分間攪拌後、30分静置し、水相を除去した。この操作を3回繰り返すことにより、金属含有量の低減された9,10-ジヒドロキシアントラセンの酢酸エチル溶液を得た。
1000mL容量の四つ口フラスコ(底抜き型)に、1-ヒドロキシピレンの粗体を酢酸エチルに溶解させた溶液(2.0質量%)を300g仕込み、続いてフラスコ内部の空気を減圧除去して窒素ガスを導入して、攪拌しながら40℃まで加熱して溶液を得た。当該工程において、フラスコ内の酸素濃度は1体積%未満であった。次いで、得られた溶液に、蓚酸水溶液(pH1.3)75gを加え、5分間攪拌後、30分静置した。これにより油相と水相とに分離したので、水相を除去した。この操作を1回繰り返した後、得られた油相に、超純水75gを仕込み、5分間攪拌後、30分静置し、水相を除去した。この操作を3回繰り返すことにより、金属含有量の低減された1-ヒドロキシピレンの酢酸エチル溶液を得た。
また、本発明によれば、金属含有量の低減されたヒドロキシ置換芳香族化合物、例えば、式(1)で表される化合物を工業的に有利に製造することができる。
Claims (5)
- 水と任意に混和しない有機溶媒及びヒドロキシ置換芳香族化合物を含む溶液(α)と、酸性の水溶液とを接触させヒドロキシ置換芳香族化合物中の金属分を抽出する工程を含み、
前記ヒドロキシ置換芳香族化合物が、下記式(A-1)で表される化合物、下記式(A-2)で表される化合物、下記式(A-3)で表される化合物、及び下記式(A-4)で表される化合物からなる群より選ばれる1種以上、及び/又は、下記式(B-1)で表される化合物であり、
酸素濃度が20体積%未満の雰囲気で行われ、
前記酸性の水溶液のpHが0~3であり、
前記水と任意に混和しない有機溶媒が、トルエン、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及び酢酸エチルからなる群より選ばれる1種以上である、
ヒドロキシ置換芳香族化合物の製造方法。
- 前記抽出する工程後、さらに水によるヒドロキシ置換芳香族化合物中の金属分の抽出処理を行う工程を含む、請求項1又は2に記載の製造方法。
- 前記酸性の水溶液が、塩酸、硫酸、硝酸及びリン酸からなる群より選ばれる1種以上の鉱酸水溶液である、又は、酢酸、プロピオン酸、蓚酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、フェノールスルホン酸、p-トルエンスルホン酸及びトリフルオロ酢酸からなる群より選ばれる1種以上の有機酸水溶液である、請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記ヒドロキシ置換芳香族化合物が、2,6-ジヒドロキシナフタレン及び2,7-ジヒドロキシナフタレンからなる群より選ばれる1種以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法。
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