JP7135470B2 - ステアリング装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車などの車両の操舵輪に舵角を付与するためのステアリング装置に関する。
図23は、自動車用のステアリング装置の1例を示している。ステアリングホイール1の回転は、ステアリングギヤユニット2の入力シャフト3に伝達され、入力シャフト3の回転に伴って左右1対のタイロッド4が押し引きされて、前車輪に舵角が付与される。ステアリングホイール1は、ステアリングシャフト5の後端部に支持固定されており、ステアリングシャフト5は、ステアリングコラム6の内側を軸方向に挿通し、かつ、ステアリングコラム6に回転自在に支持されている。ステアリングシャフト5の前端部は、第1の自在継手7を介して中間シャフト8の後端部に接続され、中間シャフト8の前端部は、第2の自在継手9を介して、入力シャフト3に接続されている。
上述のようなステアリング装置を備えた自動車が、悪路を走行するなどに伴って、車輪に振動が入力され、この振動が、ステアリング装置を介して、ステアリングホイール1に伝達されると、このステアリングホイール1を操作する運転者に違和感を与える可能性がある。
特開昭61-218474号公報には、ステアリングホイールの振動を振動計により検出し、振動計からの検出信号に基づいて、アクチュエータによりステアリングホイールに制振力を付与することで、ステアリングホイールの振動を低減する、ステアリング装置が記載されている。
特開昭61-218474号公報
特開昭61-218474号公報に記載のステアリング装置は、ステアリングホイールの振動を、より効果的に抑える面からは改良の余地がある。車輪からステアリング装置を介してステアリングホイールに加わる振動の周波数が、ステアリング装置のうち、ステアリングホイールやステアリングシャフトなどを含む上側部分の共振周波数に近いと、当該部分が共振して、ステアリングホイールの振動が大きくなる。このような共振が発生した場合には、アクチュエータによりステアリングホイールに制振力を付与するだけでは、ステアリングホイールの振動を十分に抑えることができない可能性がある。
また、特開昭61-218474号公報に記載のステアリング装置は、電動式のアクチュエータにより、ステアリングホイールに制振力を付与しているため、省エネルギ化を図る面からも改良の余地がある。
本発明は、上述のような事情に鑑みて、ステアリングホイールの振動を効果的に抑えることができ、かつ、省エネルギ化を図ることができる、ステアリング装置の構造を実現することを目的としている。
本発明のステアリング装置は、ステアリングシャフトと、中間シャフトと、ステアリングギヤユニットとを備える。
前記ステアリングシャフトは、後端部にステアリングホイールを固定する。
前記中間シャフトは、前記ステアリングシャフトの前端部に、後端部をトルクの伝達を自在に接続している。
前記ステアリングギヤユニットは、前記中間シャフトの前端部に、後端部をトルクの伝達を自在に接続した入力シャフトと、該入力シャフトの回転に伴って軸方向に変位する直動シャフトとを有する。
前記ステアリングシャフトと前記中間シャフトと前記入力シャフトとのうちのいずれか1本のシャフトは、後側のアッパシャフトと、前側のロアシャフトと、前記アッパシャフトと前記ロアシャフトとの間に設置された逆入力遮断クラッチとを備える。
前記逆入力遮断クラッチは、前記アッパシャフトに回転トルクが入力された場合には、前記アッパシャフトに入力された回転トルクを前記ロアシャフトに伝達し、かつ、前記ロアシャフトに回転トルクが逆入力された場合には、前記ロアシャフトに逆入力された回転トルクの一部を前記アッパシャフトに伝達し残部を遮断する。
前記逆入力遮断クラッチは、入力部と、出力部と、被押圧部材と、係合子とを備えることができる。
前記入力部は、前記アッパシャフトと一体的に回転する。
前記出力部は、前記入力部と同軸に配置され、かつ、前記ロアシャフトと一体的に回転する。
前記被押圧部材は、被押圧面を有する。
前記係合子は、前記入力部に回転トルクが入力された場合には、前記入力部との係合に基づき前記被押圧面から離れる方向に移動し、前記出力部と係合することにより、前記入力部に入力された回転トルクを前記出力部に伝達し、かつ、前記出力部に回転トルクが逆入力された場合には、前記出力部との係合に基づき前記被押圧面に近づく方向に移動し、前記被押圧面に対して押し付けられることにより、前記出力部に逆入力された回転トルクの一部を前記入力部に伝達し残部を遮断する。
前記入力部を、該入力部の回転中心から径方向に外れた部分に入力係合凸部を有するものとし、前記出力部を、出力係合カム部を有するものとし、前記係合子を、入力係合孔を有するものとし、かつ、前記被押圧面と前記出力係合カム部との間に配置し、前記入力係合凸部を、前記入力係合孔の内側に、前記被押圧面に対する遠近移動を可能に係合することができる。
前記被押圧面を、円筒凹面状とし、前記係合子を、前記被押圧面に対して押し付けられる、円筒凸面状の押圧面を有するものとすることができる。
前記出力部を、出力係合カム部を有するものとし、前記係合子を、前記出力係合カム部を、前記逆入力遮断クラッチの径方向外側から挟むように1対設置することができる。
前記ステアリングギヤユニットを、ピニオン歯を有する前記入力シャフトと、前記直動シャフトであって、前記ピニオン歯と噛合するラック歯を有するラック軸とを備える、ラックアンドピニオン式ステアリングギヤユニットとすることができる。
あるいは、前記ステアリングギヤユニットを、前記入力シャフトと、該入力シャフトの回転に伴って回転し、内周面に外径側ボールねじ溝を有するボールナットと、前記直動シャフトであって、外周面に内径側ボールねじ溝を有するボールねじ軸と、前記外径側ボールねじ溝と前記内径側ボールねじ溝との間に転動自在に配置された複数個のボールとを備える、ボールねじ式ステアリングギヤユニットとすることができる。
あるいは、前記ステアリングギヤユニットを、前記入力シャフトと、該入力シャフトの回転に伴って回転し、内周面に雌ねじ溝を有するナットと、前記直動シャフトであって、外周面に雄ねじ溝を有するねじ軸と、前記ナットの内周面と前記ねじ軸の外周面との間に、該ねじ軸の中心軸を中心とする公転および該ねじ軸の中心軸と平行な自身の中心軸を中心とする回転を可能に支持され、かつ、外周面に形成されたローラねじ溝を、前記雌ねじ溝および前記雄ねじ溝に係合させた複数個の遊星ローラとを備える、遊星ローラねじ式ステアリングギヤユニットとすることができる。
前記ステアリングシャフトと前記中間シャフトと前記入力シャフトとのうちで前記逆入力遮断クラッチが設置された部分よりもステアリングホイール側に配置されたシャフトに、電動モータの補助動力を付与する、電動アシスト機構をさらに備えることができる。
本発明のステアリング装置によれば、ステアリングホイールの振動を効果的に抑えることができ、かつ、省エネルギ化を図ることができる。
図1は、本発明の実施の形態の第1例に係るステアリング装置の模式図である。 図2は、逆入力遮断クラッチの設置部分の示す断面図である。 図3は、逆入力遮断クラッチを取り出して示す断面図である。 図4は、逆入力遮断クラッチを取り出して示す斜視図である。 図5は、逆入力遮断クラッチの入力部を取り出して示す斜視図である。 図6は、逆入力遮断クラッチの出力部を取り出して示す斜視図である。 図7は、入力部に回転トルクが入力された逆入力遮断クラッチを示す、断面図である。 図8は、出力部に回転トルクが逆入力された逆入力遮断クラッチを示す、断面図である。 図9は、出力部に回転トルクが逆入力された際に、出力部から係合子に作用する力の関係を示す、図8の部分拡大図である。 図10は、出力部に回転トルクが逆入力された際に、出力部がロックまたは半ロックする条件を説明するための逆入力遮断クラッチの断面図である。 図11は、本発明の実施の形態の第2例に係るステアリング装置の模式図である。 図12は、本発明の実施の形態の第3例に係るステアリング装置の模式図である。 図13は、本発明の実施の形態の第4例に係るステアリング装置の模式図である。 図14は、本発明の実施の形態の第5例に係るステアリング装置の模式図である。 図15は、本発明の実施の形態の第6例に係るステアリング装置の模式図である。 図16は、本発明の実施の形態の第7例に係るステアリング装置の模式図である。 図17は、本発明の実施の形態の第8例に係るステアリング装置の模式図である。 図18は、本発明の実施の形態の第9例に係るステアリング装置の模式図である。 図19は、本発明の実施の形態の第10例に係るステアリング装置の模式図である。 図20は、本発明の実施の形態の第11例について、逆入力遮断クラッチを取り出して示す断面図である。 図21は、本発明の実施の形態の第11例について、逆入力遮断クラッチの設置部分を示す、断面図である。 図22は、本発明の実施の形態の第12例について、逆入力遮断クラッチを取り出して示す断面図である。 図23は、ステアリング装置の従来構造の1例を示す、部分切断側面図である。
[実施の形態の第1例]
図1~図10は、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例のステアリング装置は、ステアリングシャフト5aと、中間シャフト8aと、ステアリングギヤユニット2aとを備える。
ステアリングシャフト5aは、後端部にステアリングホイール1aを支持固定する。ステアリングシャフト5aは、筒状のステアリングコラム6aの内側を挿通し、かつ、ステアリングコラム6aに回転自在に支持される。ステアリングコラム6aを、支持ブラケットを介して車体に支持固定することにより、ステアリングシャフト5aは、車体に対し回転自在に支持される。
中間シャフト8aは、後端部を、ステアリングシャフト5aの前端部に、第1の自在継手7aを介して、トルクの伝達を自在に接続する。
ステアリングギヤユニット2aは、中間シャフト8aの回転運動を車体の幅方向の直線運動に変換するものである。本例では、ステアリングギヤユニット2aは、入力シャフト3aと、直動シャフトであるラック軸10とを備える、ラックアンドピニオン式ステアリングギヤユニットである。
入力シャフト3aは、後端部を、中間シャフト8aの前端部に、第2の自在継手9aを介して、トルクの伝達を自在に接続する。入力シャフト3aは、前端部外周面にピニオン歯11を有する。
ラック軸10は、軸方向を車体の幅方向に一致させ、かつ、軸方向の変位を可能に車体に対し支持される。ラック軸10は、少なくとも軸方向中間部の前側面に、入力シャフト3aのピニオン歯11と噛合するラック歯12を有する。ラック軸10の軸方向両端部には、タイロッド4aの基端部が接続され、タイロッド4aの先端部には、ナックルアーム13の基端部が支持される。ナックルアーム13の先端部には、ハブユニット軸受を介して、操舵輪14が回転自在に支持される。なお、操舵輪14は、自動車では、通常、前輪である。ただし、フォークリフトなどの特殊車両では、操舵輪を後輪とすることもできる。
本例では、ステアリングシャフト5aは、後側のアッパシャフト15と、前側のロアシャフト16と、アッパシャフト15とロアシャフト16との間に設置された逆入力遮断クラッチ17とを備える。なお、ステアリングシャフトが、インナシャフトとアウタチューブとを組み合わせてなるテレスコピック構造を備える場合には、インナシャフトとアウタチューブとのうちのいずれか一方を、後側のアッパシャフト15と、前側のロアシャフト16と、アッパシャフト15とロアシャフト16との間に設置された逆入力遮断クラッチ17とを備えるものとする。
すなわち、アッパシャフト15は、後端部に、ステアリングホイール1aを支持固定する。ロアシャフト16は、後端部を、アッパシャフト15の前端部に、逆入力遮断クラッチ17を介して接続し、かつ、前端部を、第1の自在継手7aを介して、中間シャフト8aの後端部にトルクの伝達を自在に接続する。
逆入力遮断クラッチ17は、アッパシャフト15に回転トルクが入力された場合には、アッパシャフト15に入力された回転トルクをロアシャフト16に伝達し、かつ、ロアシャフト16に回転トルクが逆入力された場合には、ロアシャフト16に逆入力された回転トルクをアッパシャフト15に伝達しないか、または、ロアシャフト16に逆入力された回転トルクの一部をアッパシャフト15に伝達し残部を遮断する。
本例では、逆入力遮断クラッチ17は、入力部18と、出力部19と、被押圧部材20と、1対の係合子21とを備える。
入力部18は、アッパシャフト15と一体的に回転する。入力部18は、入力軸部22と、1対の入力係合凸部23とを有する。
入力軸部22は、アッパシャフト15の中心軸と同軸の中心軸を有する。1対の入力係合凸部23はそれぞれ、略楕円柱形状を有し、かつ、入力軸部22の前端面の径方向反対側2箇所位置から軸方向に伸長している。1対の入力係合凸部23は、入力部18の径方向に互いに離隔している。要するに、1対の入力係合凸部23は、入力軸部22の前端面のうち、入力軸部22の中心軸から径方向外方に外れた部分から軸方向に伸長するように形成されている。入力係合凸部23のそれぞれは、入力軸部22の前端部外周面を構成する円筒面の輪郭形状と同じ輪郭形状を有する径方向外側面と、円周方向中央部が径方向内方に突出した部分凸円筒面状の径方向内側面とを含む。
例えば、入力部18は、アッパシャフト15の前端部に固設する、すなわち、アッパシャフト15と一体的に形成することができる。あるいは、入力部18をアッパシャフト15とは別体に形成し、入力部18の入力軸部22の後端部をアッパシャフト15の前端部に、入力軸部22の中心軸とアッパシャフト15の中心軸とが一致し、かつ、入力部18とアッパシャフト15とが一体的に回転するように結合固定することができる。
出力部19は、入力部18と同軸に配置され、かつ、ロアシャフト16と一体的に回転する。出力部19は、出力軸部24と、出力係合カム25とを有する。出力軸部24と出力係合カム25とは、互いに同軸上に直列に配置されている。
出力軸部24は、ロアシャフト16の中心軸と同軸の中心軸を有し、かつ、円柱形状を有する。出力係合カム25は、略長円柱形状を有し、かつ、出力軸部24の後端面の中央部から軸方向に伸長している。出力係合カム25は、互いに平行な1対の平坦面と、1対の部分凸円筒面とからなる外周側面を有する。具体的には、出力係合カム25の外周側面には、短軸方向両側に1対の平坦面が設けられており、長軸方向両側に1対の部分凸円筒面が設けられている。このため、出力係合カム25の中心軸から外周側面までの距離は、円周方向に関して変化する。出力係合カム25は、1対の入力係合凸部23の間部分に配置される。
被押圧部材20は、円筒形状を有し、かつ、内周面に、円筒凹面状の被押圧面26を有する。被押圧部材20は、入力部18および出力部19よりも径方向外側に、入力部18および出力部19と同軸に配置され、かつ、回転が阻止されている。具体的には、被押圧部材20の径方向内側に、1対の入力係合凸部23および出力係合カム25が配置される。また、被押圧部材20は、外周面を、ステアリングコラム6aの中間部内周面に形成された小径部27に圧入することにより、ステアリングコラム6aに固定され、回転が阻止される。なお、被押圧部材20の外周面にセレーションを形成したり、被押圧部材20とステアリングコラム6aの小径部27とをキー係合させたりするなどして、被押圧部材20の回転阻止力を確保することもできる。また、被押圧部材をステアリングコラムとし、ステアリングコラムの内周面に被押圧面を直接形成するように構成することもできる。
1対の係合子21は、入力部18に回転トルクが入力された場合には、入力部18との係合に基づき被押圧面26から離れる方向に移動し、出力部19と係合することにより、入力部18に入力された回転トルクを出力部19に伝達するのに対し、出力部19に回転トルクが逆入力された場合には、出力部19との係合に基づき被押圧面26に近づく方向に移動し、被押圧面26に対して押し付けられることにより、出力部19に逆入力された回転トルクを入力部18に伝達しないか、または、出力部19に逆入力された回転トルクの一部を入力部18に伝達し残部を遮断する。
本例では、1対の係合子21のそれぞれは、略半円形板形状、換言すれば弓形板形状を有し、かつ、被押圧部材20の径方向内側に配置されている。具体的には、1対の係合子21は、被押圧面26と出力係合カム25との間に、出力係合カム25をこの出力係合カム25の短軸方向に相当する径方向両側(図2および図3の上下両側)から挟むように配設されている。1対の係合子21は、互いに同形および同大の同一部品である。
1対の係合子21のそれぞれは、被押圧面26に対向する径方向外側面に、円筒凸面状の押圧面28を有し、かつ、出力係合カム25に対向する径方向内側面に、出力係合カム25と係合可能な底面29を有する。このため、1対の係合子21は、押圧面28を互いに反対側に向け、かつ、底面29を互いに対向させるようにして、被押圧部材20の径方向内側に配設されている。1対の係合子21を、被押圧部材20の径方向内側に配置した状態では、被押圧面26と押圧面28との間部分と、出力係合カム25と底面29との間部分との少なくとも一方の間部分に隙間が存在するように、被押圧部材20の内径寸法および1対の係合子21の径方向寸法を規制している。
1対の係合子21のそれぞれは、径方向中間部に、係合子21を軸方向に貫通した入力係合孔30を有する。入力係合孔30は、係合子21の幅方向に伸長する略矩形の開口形状を有する貫通孔であり、入力係合凸部23を緩く挿入できる大きさを有する。
なお、係合子21の幅方向とは、係合子21の弦に相当する底面29の伸長方向をいい、出力係合カム25の長軸方向と略平行である。係合子21の幅方向は、図3においては左右方向であるが、係合子21が回転することに伴ってその向きが変化する。また、1対の係合子21の配設方向、すなわち係合子21のそれぞれの底面29に直交する方向を、1対の係合子21の遠近方向という。1対の係合子21の遠近方向は、径方向のうちの一方向であり、図3においては上下方向であるが、係合子21が回転することに伴ってその向きが変化する。本例では、遠近方向に直交する方向が幅方向となる。
入力係合孔30の内側に入力係合凸部23を挿入した状態では、入力係合凸部23と入力係合孔30との間には、係合子21の幅方向および該幅方向に直交する方向、すなわち係合子21の配設方向にそれぞれ隙間が存在する。このため、入力係合凸部23は、入力係合孔30に対し、入力部18の回転方向に関する相対移動が可能であり、入力係合孔30は、入力係合凸部23に対し、係合子21の幅方向に直交する方向の相対移動が可能である。
押圧面28は、係合子21のその他の部分に比べて摩擦係数の大きい表面性状を有し、かつ、被押圧面26の曲率半径と同じ曲率半径、または、被押圧面26の曲率半径よりも僅かに小さい曲率半径を有する。押圧面28は、係合子21の表面によって直接構成しても良いし、係合子21に貼着や接着などにより固定した摩擦材の径方向外側面によって構成しても良い。押圧面28の摩擦係数は、出力部19に逆入力された回転トルクをどの程度遮断するかに応じて決定することができる。
1対の係合子21の底面29は、平坦面であって、幅方向中央部に、出力係合カム25と係合する略矩形状の凹部である出力係合凹部31を有する。出力係合凹部31は、内側に、出力係合カム25の短軸方向の先半部をがたつきなく配置できるだけの大きさおよび形状を有する。具体的には、出力係合凹部31は、出力係合カム25の長軸方向に関する寸法とほぼ同じ開口幅を有し、かつ、出力係合カム25の短軸方向に関する寸法の1/2よりも少しだけ小さい径方向深さを有する。出力係合凹部31の底部は、底面29と平行な平坦面である。
逆入力遮断クラッチ17は、後側に配置した入力部18の1対の入力係合凸部23を、1対の係合子21のそれぞれの入力係合孔30に軸方向に挿入し、かつ、前側に配置した出力部19の出力係合カム25を、1対の出力係合凹部31同士の間に軸方向に挿入している。
本例のステアリング装置では、運転者がステアリングホイール1aを操作すると、ステアリングシャフト5aのアッパシャフト15に回転トルクが入力され、逆入力遮断クラッチ17の入力部18に回転トルクが入力される。
本例の逆入力遮断クラッチ17では、入力部18に回転トルクが入力されると、入力部18の回転方向に関係なく、1対の係合子21は、被押圧面26から離れる方向にそれぞれ移動する。そして、入力部18に入力された回転トルクは、1対の係合子21を介して、出力部19に伝達される。
具体的には、入力部18に回転トルクが入力されると、図7に示すように、入力部18の回転方向に関係なく、1対の係合子21は、被押圧面26から離れる方向にそれぞれ移動する。つまり、1対の係合子21は、入力係合孔30と入力係合凸部23との係合に基づき、遠近方向に関して互いに近づくように径方向内側にそれぞれ移動する(図7の上側に位置する係合子21は下側に移動し、かつ、図7の下側に位置する係合子21は上側に移動する)。これにより、1対の係合子21の底面29が互いに近づく方向に移動し、1対の出力係合凹部31が出力係合カム25を径方向両側から挟持する。すなわち、出力部19を、出力係合カム25の長軸方向が出力係合凹部31の底部と平行になるように回転させつつ、出力係合カム25と1対の出力係合凹部31とをがたつきなく係合させる。したがって、入力部18に入力された回転トルクは、1対の係合子21を介して、出力部19に伝達され、さらに、出力部19からステアリングシャフト5aのロアシャフト16に伝達される。
ロアシャフト16に伝達された回転トルクは、第1の自在継手7aを介して中間シャフト8aに伝達され、さらに、中間シャフト8aの回転トルクは、第2の自在継手9aを介してステアリングギヤユニット2aの入力シャフト3aに伝達される。入力シャフト3aが回転すると、入力シャフト3aのピニオン歯11とラック軸10のラック歯12との噛合に基づいて、ラック軸10が、入力シャフト3aの回転量に対応する分だけ車体の幅方向に変位する。これにより、1対のタイロッド4aが押し引きされ、左右1対の操舵輪14に舵角が付与される。
これに対し、本例のステアリング装置を備えた自動車が、悪路を走行するなどに伴って、操舵輪14に振動が入力され、この振動に伴ってステアリングギヤユニット2aのラック軸10が車体の幅方向に変位する可能性がある。ラック軸10が車体の幅方向に変位すると、ラック軸10のラック歯12と入力シャフト3aのピニオン歯11との噛合に基づいて、入力シャフト3aに回転トルクが逆入力される。入力シャフト3aに逆入力された回転トルクは、第2の自在継手9aを介して中間シャフト8aに伝達され、さらに、中間シャフト8aの回転トルクは、第1の自在継手7aを介してステアリングシャフト5aのロアシャフト16に伝達される。
ロアシャフト16に回転トルクが逆入力され、逆入力遮断クラッチ17の出力部19に回転トルクが逆入力されると、図8に示すように、出力部19の回転方向に限らず、1対の係合子21は、被押圧面26に近づく方向に移動し、それぞれの押圧面28を被押圧面26に押し付ける。すなわち、出力係合カム25が、1対の出力係合凹部31同士の内側で回転することに伴って、出力係合カム25の角部により出力係合凹部31の底部が径方向外方に向けて押圧され、1対の係合子21が、被押圧面26に近づく方向に移動する。換言すれば、1対の係合子21は、出力係合凹部31と出力係合カム25との係合に基づき、互いに離れるように径方向外側にそれぞれ移動する(図8の上側の係合子21は上側に移動し、図8の下側の係合子21は下側に移動する)。これにより、1対の係合子21の押圧面28が、被押圧面26に対して押し付けられる。要するに、押圧面28と被押圧面26とが、押圧面28の円周方向に関する全範囲、または、一部、例えば中央部で接触する。
逆入力遮断クラッチ17は、押圧面28と被押圧面26との当接に基づき、出力部19に逆入力された回転トルクが入力部18に伝達されないようにするか、または、出力部19に逆入力された回転トルクの一部のみが伝達され残部が遮断されるように機能する。
出力部19に逆入力された回転トルクが入力部18に伝達されないようにする場合には、押圧面28が被押圧面26に対して摺動しないように、すなわち1対の係合子21が被押圧部材20に対し相対回転しないように、1対の係合子21を出力係合カム25と被押圧部材20との間で突っ張らせ、出力部19をロックする。これに対し、出力部19に逆入力された回転トルクのうちの一部のみが入力部18に伝達され残部が遮断されるようにする場合には、押圧面28が被押圧面26に対して摺動するように、1対の係合子21を出力係合カム25と被押圧部材20との間で突っ張らせ、出力部19を半ロックする。
上述のように出力部19に回転トルクが逆入力された場合に、出力部19がロックまたは半ロックする原理および条件について、図9および図10により説明する。
出力部19に回転トルクが逆入力されることで、出力係合カム25の角部が出力係合凹部31の底部に当接すると、図9に示すように、出力係合カム25の角部と出力係合凹部31の底部との当接部Xには、出力係合凹部31の底部に対し垂直方向に法線力Fcが作用する。したがって、出力係合カム25と出力係合凹部31の底部との間の摩擦係数をμとすると、当接部Xには、出力係合凹部31の底部と平行な方向に摩擦力μFcが作用する。ここで、当接部Xに作用する接線力Ftの作用線の方向と出力係合凹部31の底部との間のくさび角をθとすると、接線力Ftは、次の式(1)により表される。
Ft=Fc・sinθ+μFc・cosθ ・・・(1)
このため、法線力Fcは、接線力Ftを用いて、次の(2)式により表される。
Fc=Ft/(sinθ+μ・cosθ) ・・・(2)
出力係合カム25の角部が出力係合凹部31の底部に当接した際に、出力部19から係合子21に伝達されるトルクTの大きさは、出力部19の中心軸Oから当接部Xまでの距離をrとすると、次の(3)式で表される。
T=r・Ft ・・・(3)
上述したように、当接部Xには法線力Fcが作用するため、図10に示すように、係合子21の押圧面28は、被押圧部材20の被押圧面26に対して法線力Fcの力で押し付けられる。このため、押圧面28と被押圧面26との間の摩擦係数をμ´とし、出力部19の中心軸Oから押圧面28と被押圧面26との当接部Yまでの距離をRとすると、係合子21に作用するブレーキトルクT´の大きさは、次の(4)式で表される。
T´=μ´RFc ・・・(4)
したがって、より大きなブレーキ力を得るには、摩擦係数μ´、距離R、法線力Fcを大きくすれば良いことが分かる。
出力部19がロックして、出力部19に逆入力された回転トルクが入力部18に伝達されないようにするためには、伝達トルクTとブレーキトルクT´とが、次の(5)式の関係を満たす必要がある。
T<T´ ・・・(5)
上記(5)式に上記(1)式~(4)式を代入すると次の(6)式が得られる。
μ´R/(sinθ+μ・cosθ)>r ・・・(6)
上記(6)式からは、押圧面28と被押圧面26との間の摩擦係数μ´を大きくすれば、距離Rを小さくしても、出力部19をロックさせられることが分かる。
なお、摩擦係数μ及び摩擦係数μ´がそれぞれ0.1であると仮定すると、上記(6)式から次の(7)式が得られる。
R>10r(sinθ+0.1cosθ) ・・・(7)
上記(7)式からは、出力部19の中心軸Oから当接部Xまでの距離rと、出力部19の中心軸Oから当接部Yまでの距離Rと、接線力Ftの作用線の方向と出力係合凹部31の底面との間のくさび角θとを適切に設定することで、出力部19をロックさせられることが分かる。
これに対し、出力部19が半ロックして、出力部19に逆入力された回転トルクの一部のみが入力部18に伝達され残部が遮断されるようにするためには、伝達トルクTとブレーキトルクT´とが、次の(8)式の関係を満たす必要がある。
T>T´ ・・・(8)
上記(6)式からも明らかな通り、出力係合カム25と出力係合凹部31の底部との間の摩擦係数μ、押圧面28と被押圧面26との間の摩擦係数μ´、中心軸Oから当接部Xまでの距離r、中心軸Oから当接部Yまでの距離R、接線力Ftの作用線の方向と出力係合凹部31の底部との間のくさび角θをそれぞれ適切に設定することで、出力部19を半ロックさせることができる。
上述のような本例のステアリング装置では、ステアリングシャフト5aのアッパシャフト15とロアシャフト16との間に、逆入力遮断クラッチ17を設置している。このため、自動車が悪路を走行するなどに伴って、操舵輪14に振動が入力されることに基づき、入力シャフト3aに回転トルクが逆入力された場合でも、この回転トルクがステアリングホイール1aに伝達されないようするか、または、ステアリングホイール1aに伝達される回転トルクを低減することができる。
ここで、ロアシャフト16に回転トルクが逆入力された場合に、逆入力遮断クラッチ17の出力部19をロックすることにより、ロアシャフト16の回転トルクをアッパシャフト15に伝達しないようにして、入力シャフト3aに逆入力された回転トルクをステアリングホイール1aに伝達されないようにすれば、操舵輪14に振動が入力されることに基づく、ステアリングホイール1aの振動を防止することができる。この結果、ステアリングホイール1aを操作する運転者の違和感を解消することができる。
これに対し、ロアシャフト16に回転トルクが逆入力された場合に、逆入力遮断クラッチ17の出力部19を半ロックすることにより、ロアシャフト16の回転トルクの一部をアッパシャフト15に伝達し残部を遮断するようにして、入力シャフト3aに逆入力された回転トルクのうちでステアリングホイール1aに伝達される回転トルクを低減すれば、操舵輪14に振動が入力されることに基づく、ステアリングホイール1aの振動を低減することができる。この結果、ステアリングホイール1aを操作する運転者の違和感を低減することができ、かつ、運転者が路面の状態をステアリングホイール1aを通じて知ることを可能にできる。
ロアシャフト16に回転トルクが逆入力された場合に、逆入力遮断クラッチ17の出力部19を半ロックすると、ロアシャフト16の回転トルクの一部がアッパシャフト15に伝達され残部が遮断される。このため、自動車を曲線走行から直線走行に戻す際のステアリングホイール1aの操作を容易に行うことができる。すなわち、自動車を曲線走行させるために、ステアリングホイール1aを操作して操舵輪14に舵角を付与すると、操舵輪14には、路面から舵角を0に戻す方向の反力、すなわち復元力が作用する。したがって、ロアシャフト16に回転トルクが入力された場合に、ロアシャフト16の回転トルクの一部がアッパシャフト15に伝達されるようにすれば、自動車を曲線走行から直線走行に戻す際のステアリングホイール1aの操作を、前記復元力により補助することができる。
ロアシャフト16に回転トルクが逆入力された場合に、逆入力遮断クラッチ17の出力部19を半ロックするように設定する場合には、出力部19に逆入力された回転トルクの遮断量を、20%以上80%以下とする。前記遮断量を20%未満とすると、自動車が悪路を走行するなどに伴って、操舵輪14に振動が入力されることに基づき、入力シャフト3aに回転トルクが逆入力された場合に、ステアリングホイール1aに伝達される回転トルクを十分に低減することができなくなる可能性がある。これに対し、前記遮断量を80%よりも大きくすると、自動車を曲線走行から直線走行に戻す際に、前記復元力に基づくステアリングホイール1aの操作を補助する力を十分に得られない可能性がある。前記遮断量は、次の(9)式により求めることができる。
(出力部19に逆入力された回転トルクの遮断量)={(出力部19に逆入力された回転トルク)-(入力部18に伝達された回転トルク)}/(出力部19に逆入力された回転トルク) ・・・(9)
なお、前記遮断量は、理論的には、出力部19に逆入力される回転トルクの大きさにかかわらず、一定である。ただし、実際には、出力部19に逆入力される回転トルクの大きさが所定値以下の場合、押圧面28と被押圧面26との当接部の摩擦損失の影響などにより、出力部19に逆入力された回転トルクが、入力部18に伝達されない。このことは、操舵輪14の微細な振動を、ステアリングホイール1に伝達しないようにする面から有利である。
本例では、逆入力遮断クラッチ17の係合子21に、入力部18に入力された回転トルクを出力部19に伝達する機能と、出力部19に逆入力された回転トルクを入力部18に伝達しないようにする、または、出力部19に逆入力された回転トルクの一部を入力部18に伝達し残部を遮断する機能との両方の機能を持たせている。このため、両方の機能をそれぞれ別の部材に持たせる場合に比べて、逆入力遮断クラッチ17の部品点数を抑えることができ、かつ、動作を安定させることができる。例えば、回転トルクを伝達する機能と回転トルクを遮断する機能とを別の部材に持たせる場合、出力部に逆入力される回転トルクの遮断を解除するタイミングと、入力部から出力部に回転トルクの伝達を開始するタイミングとがずれる可能性がある。この場合、回転トルクの遮断を解除してから出力部への回転トルクの伝達を開始するまでの間に出力部に回転トルクが逆入力されると、出力部が再びロックまたは半ロックされてしまう。本例では、係合子21に、入力部18に入力された回転トルクを出力部19に伝達する機能と、出力部19に逆入力された回転トルクを入力部18に伝達しないようにする、または、出力部19に逆入力された回転トルクの一部を入力部18に伝達し残部を遮断する機能との両方の機能を持たせているため、このような不都合が生じることを防止できる。
また、入力部18から係合子21に作用する力の向きと、出力部19から係合子21に作用する力の向きとを逆向きにしているため、両方の力の大小関係を規制することで、係合子21の移動方向を制御できる。このため、出力部19のロック状態とロック解除状態との切り替え動作、または、半ロック状態と半ロック解除状態との切り替え動作を安定して確実に行うことができる。
逆入力遮断クラッチ17の入力部18、出力部19、被押圧部材20および係合子21のそれぞれを構成する材料は、特に限定されず、アッパシャフト15から入力部18に入力される回転トルク、および、ロアシャフト16から出力部19に逆入力される回転トルクの大きさに応じて適宜選択される。具体的には、例えば、炭素鋼や焼結金属などの硬質金属、もしくは、アルミニウム合金やマグネシウム合金などの軽合金などの金属材料、または、合成樹脂などにより造ることができる。
また、入力部18、出力部19、被押圧部材20および係合子21のそれぞれは、硬さや摩擦係数を調整するための熱処理や表面処理などを施すことができる。具体的には、例えば、被押圧部材20および係合子21は、表面硬度を容易に高めるための熱処理や表面処理を施すことが好ましい。これにより、係合子21の押圧面28に摩耗が生じにくくすることができ、係合子21の耐久性を確保できて、逆入力遮断クラッチ17の耐久性を確保することができる。
[実施の形態の第2例]
図11は、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例のステアリング装置は、逆入力遮断クラッチ17の設置位置が、実施の形態の第1例のステアリング装置と異なる。具体的には、実施の形態の第1例では、逆入力遮断クラッチ17をステアリングシャフト5aに設置しているのに対し、本例では、逆入力遮断クラッチ17を中間シャフト8bに設置している。
本例のステアリング装置は、ステアリングシャフト5bと、中間シャフト8bと、ステアリングギヤユニット2aとを備える。ステアリングシャフト5bは、後端部にステアリングホイール1aを支持固定する。中間シャフト8bは、後端部を、ステアリングシャフト5bの前端部に、第1の自在継手7aを介して、トルクの伝達を自在に接続し、かつ、前端部を、ステアリングギヤユニット2aの入力シャフト3aの後端部に、第2の自在継手9aを介して、トルクの伝達を自在に接続する。
中間シャフト8bは、後側のアッパシャフト15aと、前側のロアシャフト16aと、アッパシャフト15aとロアシャフト16aとの間に設置された逆入力遮断クラッチ17とを備える。なお、中間シャフトが、インナシャフトとアウタチューブとを組み合わせてなるテレスコピック構造を備える場合には、インナシャフトとアウタチューブとのうちのいずれか一方を、後側のアッパシャフト15aと、前側のロアシャフト16aと、アッパシャフト15aとロアシャフト16aとの間に設置された逆入力遮断クラッチ17とを備えるものとする。
アッパシャフト15aは、後端部を、第1の自在継手7aを介して、ステアリングシャフト5bの前端部に、トルクの伝達を自在に接続する。ロアシャフト16aは、後端部を、アッパシャフト15aの前端部に、逆入力遮断クラッチ17を介して接続し、かつ、前端部を、第2の自在継手9aを介して、入力シャフト3aの後端部にトルクの伝達を自在に接続する。
本例では、逆入力遮断クラッチ17の入力部18は、アッパシャフト15aと一体的に回転し、かつ、出力部19は、ロアシャフト16aと一体的に回転する。逆入力遮断クラッチ17は、アッパシャフト15aに回転トルクが入力された場合には、アッパシャフト15aの回転トルクをロアシャフト16aに伝達し、かつ、ロアシャフト16aに回転トルクが入力された場合には、ロアシャフト16aの回転トルクをアッパシャフト15aに伝達しないか、または、ロアシャフト16aの回転トルクの一部をアッパシャフト15aに伝達し残部を遮断する。
本例では、逆入力遮断クラッチ17を中間シャフト8bに設置しているため、路面から操舵輪14に振動が入力されることに伴って、ステアリング装置に逆入力される回転トルクの全部または一部を、実施の形態の第1例のステアリング装置よりも路面に近い部分で遮断することができる。このため、ステアリングホイール1aの振動を、実施の形態の第1例のステアリング装置と比較して、より効果的に防止または低減することができる。その他の部分の構成および作用効果は、実施の形態の第1例と同様である。
[実施の形態の第3例]
図12は、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例のステアリング装置では、ステアリングギヤユニット2bの入力シャフト3bに、逆入力遮断クラッチ17を設置している。
本例のステアリング装置は、ステアリングシャフト5bと、中間シャフト8aと、ステアリングギヤユニット2bとを備える。ステアリングシャフト5bは、後端部にステアリングホイール1aを支持固定する。中間シャフト8aは、後端部を、ステアリングシャフト5bの前端部に、第1の自在継手7aを介して、トルクの伝達を自在に接続し、かつ、前端部を、ステアリングギヤユニット2bの入力シャフト3bの後端部に、第2の自在継手9aを介して、トルクの伝達を自在に接続する。
入力シャフト3bは、後側のアッパシャフト15bと、前側のロアシャフト16bと、アッパシャフト15bとロアシャフト16bとの間に設置された逆入力遮断クラッチ17とを備える。アッパシャフト15bは、後端部を、第2の自在継手9aを介して、中間シャフト8aの前端部にトルクの伝達を自在に接続する。ロアシャフト16bは、後端部を、アッパシャフト15bの前端部に、逆入力遮断クラッチ17を介して接続し、かつ、前端部外周面に、ラック軸10のラック歯12と噛合するピニオン歯11を有する。
逆入力遮断クラッチ17の入力部18は、アッパシャフト15bと一体的に回転し、かつ、出力部19は、ロアシャフト16bと一体的に回転する。
本例では、逆入力遮断クラッチ17をステアリングギヤユニット2bの入力シャフト3bに設置しているため、路面から操舵輪14に振動が入力されることに伴って、ステアリング装置に逆入力される回転トルクを、実施の形態の第1例および第2例のステアリング装置よりも路面に近い部分で全部または一部を遮断することができる。このため、ステアリングホイール1aの振動を、実施の形態の第1例および第2例のステアリング装置と比較して、より効果的に防止または低減することができる。その他の部分の構成および作用効果は、実施の形態の第1例および第2例と同様である。
[実施の形態の第4例]
図13は、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例のステアリング装置は、ステアリングギヤユニット2cの構造が、実施の形態の第3例のステアリング装置と異なる。具体的には、実施の形態の第3例では、ステアリングギヤユニット2bを、ラックアンドピニオン式ステアリングギヤユニットとしているのに対し、本例では、ステアリングギヤユニット2cを、ボールねじ式ステアリングギヤユニットとしている。
ステアリングギヤユニット2cは、入力シャフト3cと、ボールナット32と、直動シャフトであるボールねじ軸33と、複数個のボール34とを備える。
入力シャフト3cは、後側のアッパシャフト15cと、前側のロアシャフト16cと、アッパシャフト15cとロアシャフト16cとの間に設置された逆入力遮断クラッチ17とを備える。アッパシャフト15cは、後端部を、第2の自在継手9aを介して、中間シャフト8aの前端部にトルクの伝達を自在に接続する。
ロアシャフト16cは、後端部を、アッパシャフト15cの前端部に、逆入力遮断クラッチ17を介して接続し、かつ、前端部外周面に、ねじ状のウォーム歯35を有する。
ボールナット32は、外周面に、ウォーム歯35と噛合するホイール歯36を有し、かつ、内周面に、らせん状の外径側ボールねじ溝37を有する。例えば、ホイール歯36は、径方向外方に突出するように固設したフランジ部の外周面に形成することができる。あるいは、外周面にホイール歯36を有する歯車を、内周面に外径側ボールねじ溝37を有するナット本体と別体に形成し、かつ、前記歯車を前記ナット本体に一体的に回転するように外嵌固定することにより、ボールナット32を構成することもできる。
ボールねじ軸33は、軸方向を車体の幅方向に一致させ、かつ、軸方向の変位を可能に、車体に対し支持される。ボールねじ軸33は、少なくとも軸方向中間部の外周面に、内径側ボールねじ溝38を有する。
ボール34のそれぞれは、ボールナット32の外径側ボールねじ溝37とボールねじ軸33の内径側ボールねじ溝38との間にらせん状に配置されている。なお、ボールナット32は、外径側ボールねじ溝37と内径側ボールねじ溝38との間を移動するボール34を循環させるための図示しない循環機構を有する。
運転者がステアリングホイール1aを操作することに伴い、入力シャフト3cのロアシャフト16cが回転すると、ウォーム歯35とホイール歯36との噛合に基づいて、ボールナット32が、ボールねじ軸33の周囲で回転する。ボールナット32の回転に伴い、ボール34のそれぞれが外径側ボールねじ溝37と内径側ボールねじ溝38との間を移動すると、ボールねじ軸33が車体の幅方向に変位する。これにより、1対のタイロッド4aが押し引きされ、左右1対の操舵輪14に舵角が付与される。
本例のステアリング装置では、ステアリングギヤユニット2cをボールねじ式ステアリングギヤユニットしているため、実施の形態の第1例~第3例のように、ステアリングギヤユニット2、2a、2bをラックアンドピニオン式ステアリングギヤユニットとした構造と比較して静粛性を向上させやすい。すなわち、ラックアンドピニオン式ステアリングギヤユニットでは、ピニオン歯とラック歯との噛合部で、バックラッシュに基づく異音が発生する可能性がある。本例では、ステアリングギヤユニット2cをボールねじ式ステアリングギヤユニットしているため、ラックアンドピニオン式ステアリングギヤユニットと比較してバックラッシュを小さく抑えやすく、静粛性を向上させやすい。
また、ステアリングギヤユニット2cをボールねじ式ステアリングギヤユニットとしているため、入力シャフト3cの回転量に対するボールねじ軸33の変位量は、ラックアンドピニオン式ステアリングギヤユニットの入力シャフトの回転量に対するラック軸の変位量と比較して小さい。換言すれば、ボールねじ軸33により1対のタイロッド4を押し引きする力を、ラック軸により1対のタイロッド4を押し引きする力よりも大きくすることができ、ステアリングホイール1aを操作するのに要する力を低減することができる。
なお、本例では、ロアシャフト16cとボールナット32との間でトルクを伝達するために、ロアシャフト16cのウォーム歯35とボールナット32のホイール歯36とを噛合させている。ただし、これに限らず、かさ歯車同士を噛合させることにより、ロアシャフト16cとボールナット32との間でトルクを伝達するようにしても良い。
また、ステアリングギヤユニットを、内周面に雌ねじ溝を有するナットと、外周面に、雌ねじ溝と螺合する雄ねじ溝を有するねじ軸とを備える、滑りねじ式ステアリングギヤユニットとすることもできる。また、逆入力遮断クラッチ17を、ステアリングシャフトまたは中間シャフトに設置することもできる。その他の部分の構造および作用効果は、実施の形態の第3例と同様である。
[実施の形態の第5例]
図14は、本発明の実施の形態の第5例を示している。本例のステアリング装置では、ステアリングギヤユニット2dを、遊星ローラねじ式ステアリングギヤユニットとしている。
ステアリングギヤユニット2dは、入力シャフト3cと、ナット39と、ねじ軸40と、複数個の遊星ローラ41とを備える。
ナット39は、外周面に、入力シャフト3cのロアシャフト16cのウォーム歯35と噛合するホイール歯36を有し、かつ、内周面に、らせん状の雌ねじ溝42を有する。
ねじ軸40は、軸方向を車体の幅方向に一致させ、かつ、軸方向の変位を可能に、車体に対し支持される。ねじ軸40は、少なくとも軸方向中間部の外周面に、雄ねじ溝43を有する。
遊星ローラ41のそれぞれは、外周面にローラねじ溝44を有する。遊星ローラ41のそれぞれは、ローラねじ溝44を、雌ねじ溝42と雄ねじ溝43とに係合させて、ナット39の内周面とねじ軸40の外周面との間の円筒状空間の複数箇所に、ねじ軸40の中心軸を中心とする公転、および、ねじ軸40の中心軸と平行な自身の中心軸を中心とする自転を可能に支持されている。
運転者がステアリングホイール1aを操作することに伴い、入力シャフト3cのロアシャフト16cが回転すると、ウォーム歯35とホイール歯36との噛合に基づいて、ナット39が、ねじ軸40の周囲で回転する。ナット39がねじ軸40の周囲で回転すると、雌ねじ溝42とローラねじ溝44との係合に基づいて、遊星ローラ41のそれぞれがねじ軸40の周囲で公転しつつ自転する。遊星ローラ41のそれぞれがねじ軸40の周囲で公転しつつ自転すると、ローラねじ溝44と雄ねじ溝43との係合に基づいて、ねじ軸40が車体の幅方向に変位する。これにより、1対のタイロッド4aが押し引きされ、左右1対の操舵輪14に舵角が付与される。
本例では、ステアリングギヤユニット2dとして、遊星ローラ式ステアリングギヤユニットを使用し、入力シャフト3cのロアシャフト16cの回転に伴って回転するナット39の回転トルクを、複数個の遊星ローラ41により、ねじ軸40に伝達するようにしている。要するに、ナット39からねじ軸40への回転トルクの伝達経路を複数に分散させることができるため、ステアリングギヤユニット2dの耐久性を確保しやすくできる。その他の部分の構成および作用効果については、実施の形態の第3例および第4例と同様である。
[実施の形態の第6例]
図15は、本発明の実施の形態の第6例を示している。本例のステアリング装置は、実施の形態の第1例のステアリング装置において、運転者がステアリングホイール1aを操作する力の低減するため、補助動力源である電動モータ45の出力トルクをステアリングシャフト5aに付与する、コラムアシスト式の電動アシスト機構46をさらに備える。具体的には、逆入力遮断クラッチ17が設置された部分よりもステアリングホイール1a側に配置された、ステアリングシャフト5aのアッパシャフト15に、電動モータ45の補助動力を減速機構47を介して付与するようにしている。換言すれば、逆入力遮断クラッチ17を、ステアリング装置のうちで電動モータ45の補助動力が付与される部分よりも、操舵輪14側に位置する部分に設置している。
電動アシスト機構46は、トルク測定装置48により、運転者がステアリングホイール1aを操作することに伴ってステアリングシャフト5aのアッパシャフト15に入力された回転トルクを測定し、その測定値を、制御器(ECU)49に送信する。制御器49は、前記測定値に基づいて、アッパシャフト15に付与する補助力を算出し、算出値に基づいて、駆動回路50を介して電動モータ45を回転駆動する。電動モータ45は、出力トルクを、減速機構47を介してアッパシャフト15に付与する。これにより、運転者がステアリングホイール1aを操作する力の低減を図ることができる。
なお、本例では、減速機構47を、電動モータ45の出力軸に支持固定された平歯車と、アッパシャフト15の軸方向中間部に支持固定された平歯車とを噛合する平行軸歯車減速機としている。ただし、減速機構47は、平行軸歯車減速機に限られない。具体的には、例えば、減速機構47として、遊星歯車減速機、ベベルギヤ減速機、ウォーム減速機、波動歯車減速機、サイクロイド減速機もしくはウェッジローラトラクション減速機としたり、または、プーリ同士の間にベルトをかけ渡してなる減速機、もしくは、歯車同士の間にチェーンをかけ渡してなる減速機を採用することができる。
本例では、逆入力遮断クラッチ17を、ステアリング装置のうちで電動モータ45の補助動力が付与される部分よりも、操舵輪14側に位置する部分に設置している。このため、路面から操舵輪14に振動が入力されることに伴って、ステアリング装置に逆入力される回転トルクを電動モータ45に伝達しないか、あるいは、ステアリング装置に逆入力される回転トルクの一部を遮断して電動モータ45に逆入力される回転トルクを低減することができる。その他の部分の構成および作用効果は、実施の形態の第1例と同様である。
[実施の形態の第7例]
図16は、本発明の実施の形態の第7例を示している。本例のステアリング装置は、実施の形態の第2例のステアリング装置において、コラムアシスト式の電動アシスト機構46をさらに備える。すなわち、本例のステアリング装置では、逆入力遮断クラッチ17を中間シャフト8bに設置し、かつ、電動アシスト機構46の電動モータ45の出力トルクを、ステアリングシャフト5bに付与するように構成している。その他の部分の構成および作用効果は、実施の形態の第2例および第6例と同様である。
[実施の形態の第8例]
図17は、本発明の実施の形態の第8例を示している。本例のステアリング装置は、実施の形態の第3例のステアリング装置において、コラムアシスト式の電動アシスト機構46をさらに備える。すなわち、本例のステアリング装置では、逆入力遮断クラッチ17をステアリングギヤユニット2bの入力シャフト3bに設置し、かつ、電動アシスト機構46の電動モータ45の出力トルクを、ステアリングシャフト5bに付与するように構成している。その他の部分の構成および作用効果は、実施の形態の第3例および第6例と同様である。
[実施の形態の第9例]
図18は、本発明の実施の形態の第9例を示している。本例のステアリング装置は、逆入力遮断クラッチ17をステアリングギヤユニット2bの入力シャフト3bに設置し、かつ、電動アシスト機構46aの電動モータ45aの出力トルクを、入力シャフト3bのアッパシャフト15bに付与するように構成している。すなわち、電動アシスト機構46aを、ピニオンアシスト式としている。
具体的には、電動アシスト機構46aを、トルク測定装置48により、ステアリングシャフト5bに入力された回転トルクを測定し、かつ、電動モータ45aの出力トルクを、平行歯車式減速機である減速機構47aを介して、入力シャフト3bのアッパシャフト15bに付与するように構成している。その他の部分の構成および作用効果は、実施の形態の第3例および第6例と同様である。
[実施の形態の第10例]
図19は、本発明の実施の形態の第10例を示している。本例のステアリング装置は、実施の形態の第4例の構造と、実施の形態の第9例の構造とを組み合わせたような構造を有する。すなわち、本例のステアリング装置は、逆入力遮断クラッチ17を、ボールねじ式のステアリングギヤユニット2cの入力シャフト3cに設置し、かつ、電動アシスト機構46aの電動モータ45aの出力トルクを、入力シャフト3cのアッパシャフト15cに付与するように構成している。その他の部分の構成および作用効果は、実施の形態の第4例および第9例と同様である。
[実施の形態の第11例]
図20および図21は、本発明の実施の形態の第11例を示している。本例のステアリング装置は、逆入力遮断クラッチ17aの構造を、実施の形態の第1例の逆入力遮断クラッチ17の構造から変更している。
本例では、1対の係合子21aは、それぞれの遠近方向外側面のうちで円周方向に離隔した2箇所位置にそれぞれ、被押圧面26に対して押し付けられる押圧面28aを有し、かつ、それぞれの遠近方向外側面のうちで1対の押圧面28a同士の間に挟まれた円周方向中間部に、被押圧面26に対して押し付けられない平坦面を有する。押圧面28aのそれぞれは、被押圧面26の曲率半径よりも小さな曲率半径を有する部分凸円筒面である。
本例の逆入力遮断クラッチ17aでは、出力部19aに回転トルクが逆入力され、出力係合カム25aにより係合子21aが被押圧面26に押し付けられる際に、くさび効果が発生して、被押圧面26と押圧面28aとの摩擦係合力を大きくすることができる。このため、係合子21aに作用するブレーキトルクT´を大きくすることができる。したがって、必要なブレーキトルクT´を得るための逆入力遮断クラッチ17aの径寸法を、実施の形態の第1例の逆入力遮断クラッチ17と比較して小さくすることができる。
本例では、1対の係合子21aは、それぞれの底面29aの幅方向中央部に、出力係合カム25aを遠近方向両側から挟み込むための、遠近方向外方に凹んだ出力係合凹部31(図3参照)を有していない。1対の係合子21aは、底面29aの幅方向中央部に、その幅方向両側に隣接する部分と同一の仮想平面内に存在する平坦面である出力係合面51を有する。
1対の係合子21aのそれぞれは、底面29aの幅方向中央部と入力係合孔30の内面とに開口する、遠近方向に形成されたガイド孔52を有する。出力部19aの出力係合カム25aは、出力係合カム25aの中心を通り、かつ、出力係合カム25aを短軸方向に貫通する挿通孔53を有する。ガイド部材であるガイド軸54は、軸方向両端部を、1対の係合子21aのそれぞれのガイド孔52に、径方向のがたつきなく、かつ、軸方向移動を可能に挿入し、軸方向中間部を、出力係合カム25aの挿通孔53に緩く挿通している。
本例では、1対の係合子21aのそれぞれのガイド孔52とガイド軸54とからなるガイド機構により、1対の係合子21aが互いに幅方向に相対移動すること、および、1対の出力係合面51が非平行になるように1対の係合子21aが互いに傾くことを防止して、1対の係合子21aが遠近方向に相対移動することのみを許容する。
1対の係合子21aのそれぞれは、底面29aの幅方向両側部に、底面29aに対して垂直方向に凹入した有底円筒状のガイド凹部55を有する。1対の係合子21aのそれぞれの底面29aを互いに対向させた状態で、同一直線上に存在する1対のガイド凹部55の内側に、弾性部材であるコイルばね56をかけ渡すように配置している。1対のコイルばね56の弾力により、1対の係合子21aを、被押圧面26に向けて付勢している。したがって、1対の係合子21aのそれぞれの姿勢を同期させつつ安定させることができ、1対の係合子21aの遠近方向移動を正確に行わせることができる。
本例の逆入力遮断クラッチ17aでは、被押圧部材20は、ステアリングコラム6aの小径部27に電子ビーム溶接により固定され、回転が阻止されている。ただし、被押圧部材をステアリングコラムに圧入することで固定することもできるし、被押圧部材をステアリングコラムとし、ステアリングコラムの内周面に被押圧面を直接形成することもできる。その他の部分の構成および作用効果は、実施の形態の第1例と同様である。
[実施の形態の第12例]
図22は、本発明の実施の形態の第12例を示している。本例の逆入力遮断クラッチ17bは、実施の形態の第11例における逆入力遮断クラッチ17aが有するコイルばね56に加え、出力係合カム25aの挿通孔53の内周面と、ガイド軸54の軸方向中間部の外周面との間に、1対の係合子21bを被押圧面26に向けて付勢するためのコイルばね56aをさらに備える。1対の係合子21bはそれぞれ、実施の形態の第1例における係合子21と同様に、遠近方向外側面に、部分凸円筒面である押圧面28を有し、底面29の幅方向中央部に、出力係合凹部31を有する。その他の部分の構成および作用効果は、実施の形態の第1例および第11例と同様である。
上述した実施の形態の第1例~第12例の構造は、矛盾を生じない限り、適宜組み合わせて実施することができる。例えば、実施の形態の第5例のように遊星ローラねじ式のステアリングギヤユニット2cを備えた構造において、実施の形態の第8例のようにコラムアシスト方式の電動アシスト機構46を備えたり、実施の形態の第9例のようにピニオンアシスト方式の電動アシスト機構46aを備えたりすることもできる。また、実施の形態の第2例~第10例のステアリング装置における逆入力遮断クラッチ17を、実施の形態の第11例の逆入力遮断クラッチ17aまたは実施の形態の第12例の逆入力遮断クラッチ17bに変更することができる。
また、本発明のステアリング装置を備えた自動車の前輪と後輪のうち、操舵輪14でない方の車輪について、ステアリングホイール1aの操作を電気信号により送信し、ステアリングホイール1aの操作量に応じた舵角を付与する、ステアバイワイヤ方式を採用することもできる。
1、1a ステアリングホイール
2、2a、2b、2c、2d ステアリングギヤユニット
3、3a、3b、3c 入力シャフト
4、4a タイロッド
5、5a、5b ステアリングシャフト
6、6a ステアリングコラム
7、7a 第1の自在継手
8、8a、8b 中間シャフト
9、9a 第2の自在継手
10 ラック軸
11 ピニオン歯
12 ラック歯
13 ナックルアーム
14 操舵輪
15、15a、15b、15c アッパシャフト
16、16a、16b、16c ロアシャフト
17、17a、17b 逆入力遮断クラッチ
18 入力部
19、19a 出力部
20 被押圧部材
21、21a、21b 係合子
22 入力軸部
23 入力係合凸部
24 出力軸部
25、25a 出力係合カム
26 被押圧面
27 小径部
28、28a 押圧面
29、29a 底面
30 入力係合孔
31 出力係合凹部
32 ボールナット
33 ボールねじ軸
34 ボール
35 ウォーム歯
36 ホイール歯
37 外径側ボールねじ溝
38 内径側ボールねじ溝
39 ナット
40 ねじ軸
41 遊星ローラ
42 雌ねじ溝
43 雄ねじ溝
44 ローラねじ溝
45 電動モータ
46 電動アシスト機構
47 減速機構
48 トルク測定装置
49 制御器
50 駆動回路
51 出力係合面
52 ガイド孔
53 挿通孔
54 ガイド軸
55 ガイド凹部
56、56a コイルばね

Claims (9)

  1. 後端部にステアリングホイールを固定するステアリングシャフトと、
    前記ステアリングシャフトの前端部に、後端部をトルクの伝達を自在に接続した中間シャフトと、
    前記中間シャフトの前端部に、後端部をトルクの伝達を自在に接続した入力シャフトと、該入力シャフトの回転に伴って軸方向に変位する直動シャフトとを有するステアリングギヤユニットと、
    を備え、
    前記ステアリングシャフトと前記中間シャフトと前記入力シャフトとのうちのいずれか1本のシャフトは、後側のアッパシャフトと、前側のロアシャフトと、前記アッパシャフトと前記ロアシャフトとの間に設置された逆入力遮断クラッチとを備え、
    前記逆入力遮断クラッチは、前記アッパシャフトに回転トルクが入力された場合には、前記アッパシャフトに入力された回転トルクを前記ロアシャフトに伝達し、かつ、前記ロアシャフトに回転トルクが逆入力された場合には、前記ロアシャフトに逆入力された回転トルクの一部を前記アッパシャフトに伝達し残部を遮断する、ステアリング装置。
  2. 前記逆入力遮断クラッチは、
    前記アッパシャフトと一体的に回転する入力部と、
    前記入力部と同軸に配置され、かつ、前記ロアシャフトと一体的に回転する出力部と、
    被押圧面を有する被押圧部材と、
    前記入力部に回転トルクが入力された場合には、前記入力部との係合に基づき前記被押圧面から離れる方向に移動し、前記出力部と係合することにより、前記入力部に入力された回転トルクを前記出力部に伝達し、かつ、前記出力部に回転トルクが逆入力された場合には、前記出力部との係合に基づき前記被押圧面に近づく方向に移動し、前記被押圧面に対して押し付けられることにより、前記出力部に逆入力された回転トルクの一部を前記入力部に伝達し残部を遮断する、係合子と、
    を備える、請求項1に記載のステアリング装置。
  3. 前記入力部は、該入力部の回転中心から径方向に外れた部分に入力係合凸部を有し、
    前記出力部は、出力係合カム部を有し、
    前記係合子は、入力係合孔を有し、かつ、前記被押圧面と前記出力係合カム部との間に配置されており、
    前記入力係合凸部を、前記入力係合孔の内側に、前記被押圧面に対する遠近移動を可能に係合している、請求項2に記載のステアリング装置。
  4. 前記被押圧面が、円筒凹面状であり、
    前記係合子が、前記被押圧面に対して押し付けられる、円筒凸面状の押圧面を有する、請求項2または3に記載のステアリング装置。
  5. 前記出力部が、出力係合カム部を有し、
    前記係合子が、前記出力係合カム部を、前記逆入力遮断クラッチの径方向外側から挟むように1対設置されている、請求項2~4のうちのいずれか1項に記載のステアリング装置。
  6. 前記ステアリングギヤユニットが、ピニオン歯を有する前記入力シャフトと、前記直動シャフトであって、前記ピニオン歯と噛合するラック歯を有するラック軸とを備える、請求項1~5のうちのいずれか1項に記載のステアリング装置。
  7. 前記ステアリングギヤユニットが、前記入力シャフトと、該入力シャフトの回転に伴って回転し、内周面に外径側ボールねじ溝を有するボールナットと、前記直動シャフトであって、外周面に内径側ボールねじ溝を有するボールねじ軸と、前記外径側ボールねじ溝と前記内径側ボールねじ溝との間に転動自在に配置された複数個のボールとを備える、請求項1~5のうちのいずれか1項に記載のステアリング装置。
  8. 前記ステアリングギヤユニットが、前記入力シャフトと、該入力シャフトの回転に伴って回転し、内周面に雌ねじ溝を有するナットと、前記直動シャフトであって、外周面に雄ねじ溝を有するねじ軸と、前記ナットの内周面と前記ねじ軸の外周面との間に、該ねじ軸の中心軸を中心とする公転および該ねじ軸の中心軸と平行な自身の中心軸を中心とする自転を可能に支持され、かつ、外周面に形成されたローラねじ溝を、前記雌ねじ溝および前記雄ねじ溝に係合させた複数個の遊星ローラとを備える、請求項1~5のうちのいずれか1項に記載のステアリング装置。
  9. 前記ステアリングシャフトと前記中間シャフトと前記入力シャフトとのうちで前記逆入力遮断クラッチが設置された部分よりもステアリングホイール側に配置されたシャフトに、電動モータの補助動力を付与する、電動アシスト機構をさらに備える、請求項1~8のうちのいずれか1項に記載のステアリング装置。
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