以下に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、下記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。以下の図においては、説明の便宜上、一部の構成を省略することがある。また、以下の説明において、特に明示しない限り、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」は、各図において矢印で示した方向を基準として用いる。但し、以下の各実施の形態での各構成の向きは、一例にすぎず、任意の向きに変更することができる。
図1は、実施の形態に係る搬送装置の概略平面図、図2は、実施の形態に係る搬送装置の概略側面図である。図1及び図2に示すように、搬送装置1は、第1の容器としての製品番重T1に収容されたおにぎり(物品)Wを第2の容器としての出荷番重T2に搬送するよう構成される。搬送装置1は、製品番重T1が載置される載置領域2aを備えた基台2と、基台2の前方に配設されて出荷番重T2が載置される送り装置3とを有している。
送り装置3は、出荷番重T2を左右方向に移送するための複数のローラ3aと、複数のローラ3aを所定高さ位置で支持する支持フレーム3bとを備えている。送り装置3は、製品番重T1の前方にて、製品番重T1に対し左右位置が揃うように出荷番重T2を一時的にあらかじめ位置決めする位置決め手段(不図示)を備えている。また、送り装置3は、ローラ3a上にて出荷番重T2を製品番重T1と概ね同じ高さ位置に支持している。なお、送り装置3は、複数の出荷番重T2を順次搬送し、上述した位置に位置決めできる限りにおいてベルトコンベア等の構成に代替してもよい。
ここで、本実施の形態の搬送対象となるおにぎりWは、左右方向から見て三角形状のおにぎりを包装したものであり、上部の頂点からシート部Wa(図3参照)が突出するよう形成される。製品番重T1にて、おにぎりWは、前後及び左右の直交する二方向に沿ってマトリクス状に整列した状態で収容され、本実施の形態では左右に8個、前後に5個並んで配置されている。言い換えると、製品番重T1には、n(nは自然数)個(本実施の形態では8個)のおにぎりWがその厚み方向に列をなして複数列(本実施の形態では5列)収容されている。このように複数列収容された各おにぎりWの厚さ方向は左右方向に向くようになり、以下の説明において、これら厚さ方向及び左右方向を「列方向」と称して説明する。各おにぎりWは、三角形の頂点を上向きとした起立状態とされる。また、前後及び列方向に並ぶおにぎりWは、その並び方向に隣り合うおにぎりW或いは製品番重T1の内壁に対し、接触或いは若干の隙間をあけた状態とされる。従って、製品番重T1に収容された各おにぎりWは、三角形の側面が鉛直方向に向けられており、かかる側面が水平になるような倒れが生じることを防止している。
本実施の形態の搬送装置1にあっては、製品番重T1に収容されたおにぎりWが一時的に載置される一時載置部4と、製品番重T1から一時載置部4へおにぎりWを移送可能な第1の移送部5と、一時載置部4から出荷番重T4へおにぎりWを移送可能な第2の移送部6と、を備えている。一時載置部4は、基台2の載置領域2aに載置された製品番重T1の前後両端及び右端に沿う位置に配設されており、具体的な構成については後述する。
第1の移送部5は、左右方向に並んだ複数のおにぎりWを保持する第1の保持装置5Aと、第1の保持装置5Aを移動可能な第1の駆動部5Bを備えている。第2の移送部6は、左右方向に並んだ複数のおにぎりWを保持する第2の保持装置6Aと、第2の保持装置6Aを移動可能な第2の駆動部6Bを備えている。第1の保持装置5A及び第2の保持装置6Aの具体的な構成については後述する。
第1の駆動部5Bは、第1の保持装置5Aを側方から支持して前後方向に移動させる。具体的には、第1の駆動部5Bは、上面視で基台2の載置領域2aの後方に位置する一時載置部4上から載置領域2aの前方に位置する一時載置部4上まで第1の保持装置5Aを移動させる。従って、第1の駆動部5Bは、前後に第1の保持装置5Aを移動させ、製品番重T1の全領域の上方位置と製品番重T1の前後に位置する一時載置部4の上方位置とに第1の保持装置5Aを移動させる。これにより、第1の移送部5では、上面視でおにぎりWの厚み方向となる左右方向に直交する方向つまり前後方向に第1の保持装置5A及びこれに保持されるおにぎりWを移動させ、製品番重T1から一時載置部4へのおにぎりWの移送が実施可能となる。
第2の駆動部6Bは、第2の保持装置6Aを側方から支持して前後方向に移動させる。具体的には、第2の駆動部6Bは、上面視で基台2の載置領域2aの前方に位置する一時載置部4上から送り装置3の前方(出荷番重T2の前方)まで第2の保持装置6Aを移動させる。これにより、第2の移送部6では、上面視でおにぎりWの厚み方向となる左右方向に直交する方向つまり前後方向に第2の保持装置6A及びこれに保持されるおにぎりWを移動させ、一時載置部4から出荷番重T2へのおにぎりWの移送が実施可能となる。
ここで、第1の駆動部5B及び第2の駆動部6Bとしては、リニアモータや送りねじ構造等の直線的な移動を行うための送り機構を採用することが例示できる。第1の駆動部5B及び第2の駆動部6Bは、前後方向に延出するレール部材5Ba、6Baを備え、レール部材5Ba、6Baは不図示のフレーム等を介して支持される。
第1の駆動部5Bのレール部材5Baは、前後両端が基台2上の一時載置部4の前後両端より所定量前後方向にはみ出した位置とされる。第2の駆動部6Bのレール部材6Baは、前端が送り装置3に載置された出荷番重T2の前端より所定量前方にはみ出した位置とされ、後端が載置領域2aの前方に位置する一時載置部4の後端より所定量後方にはみ出した位置とされる。また、各レール部材5Ba、6Baは、各番重T1、T2を結ぶ軌道の延在方向となる前後方向に延在して、相互に平行に配置され、且つ、左右方向に離れて異なる軸上に配置されている。
続いて、一時載置部4の具体的な構成について、図3ないし図10を参照して説明する。図3は、一時載置部の全体を示す概略斜視図である。図3に示すように、一時載置部4は、製品番重T1の後端側に沿って位置する受取部101と、製品番重T1の前端側に沿って位置する受渡部(整列部)102と、製品番重T1の右端側に沿って位置する第3の移送部103とを備えている。受渡部102は、製品番重T1と出荷番重T2との間に配置され、受取部101は、製品番重T1を挟んで受渡部102と反対側に配置され(図1参照)、これにより、製品番重T1の前後のスペースの有効利用を図っている。
受取部101及び受渡部102は、それらの左右両端側が製品番重T1に対してはみ出るように配設されている。従って、受取部101、受渡部102及び製品番重T1は、上面視でおにぎりWの厚み方向と直交する方向つまり前後方向で重なる領域を備えて配置され、搬送装置1全体の左右幅が大きくなることが抑制される。
受取部101は、製品番重T1に収容されたおにぎりWの厚み方向と平行に延在、つまり、左右方向に延在している。また、受取部101は、複数のおにぎりWを載置可能に設けられ、載置されたおにぎりWは、製品番重T1内で左右方向に列をなすおにぎりWと同様の方向及び間隔に並ぶように設けられる。本実施の形態では、製品番重T1及び出荷番重T2に左右方向に並ぶおにぎりWの個数(8個)より多いおにぎりWを左右に並べて載置可能となっている。
図4は、受取部の概略斜視図である。図4に示すように、受取部101は、前後に所定間隔を隔てて配置された2本の無端ループ状のベルト部材105を備えている。2本のベルト部材105の外周面には、複数の仕切片106が連なって設けられている。仕切片106は、ベルト部材105の外周面から直交する方向に突出して形成されている。また、仕切片106は、ベルト部材105の延出方向に等間隔を隔てて設けられ、該間隔は、製品番重T1内部の仕切部材T1a(図3参照)における左右方向の間隔と概略同一に設定されている。これにより、2つの仕切片106の間におにぎりWが載置されることで、ベルト部材105に載置されたおにぎりWの間隔を製品番重T1に収容されたおにぎりWの間隔に維持でき、且つ、おにぎりWの左右方向への倒れを規制することができる。
受取部101は、2本のベルト部材105を前後から挟むように一対の側板107を備えている。各側板107の離間幅は、おにぎりW(図3参照)の前後幅より若干大きく形成され、おにぎりWの左右方向の移動を案内する。各側板107の上端位置は、仕切片106の上端位置より高い位置に設定されている。また、各側板107の上端側は、上方に向かうに従って拡がるように傾斜して形成されている。
図5は、受取部の正面断面図である。図5に示すように、受取部101は、ベルト部材105に掛け回されて相対的に右側に位置する駆動プーリ109と、左側に位置する従動プーリ110とを備えている。言い換えると、ベルト部材105は、駆動プーリ109及び従動プーリ110でそれぞれ反転されて長円状をなし、水平且つ左右方向に延びる2本の領域が上下に重なって配設される。駆動プーリ109は、駆動手段(不図示)の出力軸111を介して回転可能に設けられ、駆動プーリ109の回転によってベルト部材105の上半部が左から右方向に移動するよう回動する。ここで、駆動手段は、ステッピングモータ等を含んで構成され、駆動プーリ109を一定の回転角度毎に間欠駆動し、左右に隣り合う仕切片106の間隔毎にベルト部材105を間欠駆動する。従って、ベルト部材105の間欠駆動の停止時において、各仕切片106の位置が一定に保たれる。
受取部101は、ベルト部材105の下半部における左右方向中央部の内周面に接する張力調整ローラ113を備えている。受取部101では、張力調整ローラ113を上下動してベルト部材105に対する接触圧力を調整することで、ベルト部材105の張力を調整可能に設けられる。また、受取部101は、ベルト部材105の上半部の水平部分内周面に接触可能な押さえ部材114を備えている。押さえ部材114は、板状に形成されて上面でベルト部材105が摺動され、ベルト部材105を下方から支持している。これにより、ベルト部材105上におにぎりWが載置されても、おにぎりWの上下位置を一定に保つことができる。なお、押さえ部材114の上面には、ベルト部材105との摩擦を軽減する表面処理が施されるとよい。
図3に戻り、受渡部102は、受取部101と平行に延在、つまり、左右方向に延在している。また、受渡部102においても、製品番重T1内で左右方向に列をなして並んだ状態のおにぎりWと同様の方向及び間隔にて、複数のおにぎりWを並んだ状態で載置可能に設けられている。受渡部102は、前後一対の側板117を備え、側板117の上端側は、外方に屈曲して形成されている。側板117は、その離間幅がおにぎりW(図3参照)の前後幅より若干大きく形成され、おにぎりWの左右方向の移動を案内する。各側板117の上端位置は、仕切片116の上端位置より高い位置に設定されている(図20参照)。
図6は、受渡部の側板を省略した概略斜視図である。図7は、受渡部におにぎりを載置した状態の図6と同様の斜視図である。図6及び図7に示すように、受渡部102は、1本の無端ループ状のベルト部材(回動部材)115を備えている。ベルト部材115の外周面には、受取部101のベルト部材105と同様に、複数の仕切片(仕切部)116が連なって設けられている。仕切片116は、ベルト部材115の外周面から直交する方向に突出して形成されている。仕切片116は、ベルト部材115の延出方向に等間隔を隔てて設けられている。かかる間隔においても、受取部101の仕切片106の間隔と同様に、製品番重T1の内部に設けられた仕切部材T1a(図3参照)の左右方向の間隔と概略同一に設定されている。
受渡部102は、左右方向に横長となる長方形状を呈するようにベルト部材115を掛け回している。受渡部102では、ベルト部材115の上辺となる水平部分の上面に、厚み方向(左右方向)に列をなして並ぶ複数個のおにぎりW(図6では図示省略)が載置可能となっている。そして、ベルト部材115に載置されたおにぎりWの厚み方向両側には仕切片116がそれぞれ位置し、おにぎりWの厚み方向への倒れを規制している(図20参照)。また、ベルト部材115に載置されたおにぎりWは、仕切片116の間に配置されることで、製品番重T1内で左右方向に列をなすおにぎりWと同様の方向及び間隔に並ぶようになっている。本実施の形態では、ベルト部材115に載置されるおにぎりWの個数は、製品番重T1及び出荷番重T2に左右方向に並ぶおにぎりWの個数(8個)より多くし、最大で12個のおにぎりWを左右に並べて載置可能となっている。
受渡部102は、長方形状を呈するベルト部材115の右下コーナー部に掛け回される駆動プーリ119と、それ以外の3箇所のコーナー部に掛け回される従動プーリ120とを備えている。駆動プーリ119は、図3に示す駆動手段121を介して回転可能に設けられている。
駆動手段121は、モータ等を含む駆動源123と、駆動源123の駆動によって回転する出力プーリ124と、駆動プーリ119(図6参照)の回転軸に連結される中間プーリ(図示省略)と、中間プーリと出力プーリ124とに掛け回されるベルト125を備えている。
駆動源123は、制御部(図示省略)からの指令に応じて出力プーリ124の回転量及び回転方向を調整可能とされる。駆動手段121では、駆動源123の駆動力が出力プーリ124、ベルト125、中間プーリ及び駆動プーリ119を介してベルト部材115(図6参照)に伝達される。これにより、駆動手段121によってベルト部材115を回動可能となり、図6及び図7に示すように、駆動プーリ119の回転によってベルト部材115の上辺となる水平部分が左右の両方向に移動するよう回動する。そして、この回動によって、ベルト部材115上に載置されたおにぎりW及び仕切片116も左右方向に移動し、かかる移動時のおにぎりWの倒れを仕切片116によって規制可能となる。
受渡部102は、ベルト部材115の左辺部における上下方向中央部の内周面に接する張力調整ローラ126を備えている。受渡部102では、張力調整ローラ126を左右に移動してベルト部材115に対する接触圧力を調整することで、ベルト部材115の張力を調整可能に設けられる。
受渡部102は、載置されたおにぎりWを昇降移動させる複数の昇降部127を備えている。本実施の形態では、製品番重T1に収容されるおにぎりWが厚み方向に列をなす個数(8個)に応じ、8台の昇降部127を備えている。複数の昇降部127は、ベルト部材115に載置された複数のおにぎりW個々に対応して独立に昇降駆動可能となっている。各昇降部127は、ベルト部材115の上辺となる水平部分の下方に配設されている。各昇降部127は、側板117(図3参照)間に水平に支持されるベース板128上に設置され、左右方向に並んで配置されている。各昇降部127の左右方向の間隔は、仕切片116や仕切部材T1a(図3参照)の左右方向の間隔と概略同一であり、製品番重T1内のおにぎりWの左右間隔と概略同一に設定される。
図8Aは、上昇位置の昇降部の概略斜視図、図8Bは、下降位置の昇降部の概略斜視図である。図8A及び図8Bに示すように、昇降部127は、2本のロッド130a(図8Bでは不図示)を上下方向に進退させるシリンダ130と、ロッド130aの上端側に設けられた連結部131と、連結部131の上端側に設けられた収容部132とを備えている。
シリンダ130は、ロッド130aを上下に駆動することで、連結部131及び収容部132を上下に移動(昇降)させる。図6に示すように、シリンダ130は、収容部132を上限位置まで移動したときに、ベルト部材115の上側から上方に突出する仕切片116より上方に収容部132が位置し(図6参照)、かかる位置を「上昇位置」とする。上昇位置の収容部132は、仕切片116が左右方向に移動しても、仕切片116と収容部132内のおにぎりWとを非接触にすることができる(図25参照)。また、シリンダ130は、収容部132を下限位置まで移動したときに、ベルト部材115の上辺となる水平部分の下面より下方に収容部132が位置し(図6参照)、かかる位置を「下降位置」とする。この下降位置では、ベルト部材115上のおにぎりWと、その下方の収容部132とが非接触となる(図7参照)。
連結部131は、概略U字状に屈曲形成された板状部材によって形成されている。連結部131は、ロッド130aの上端側に連結される下部131aと、下部131aの前後両端側から起立する起立部131bとを備えている。前方の起立部131bは、ベルト部材115の前端より前方に、後方の起立部131bは、ベルト部材115の後端より後方に離れて設けられている。従って、上面視で、前後の起立部131bの間にベルト部材115が位置し、シリンダ130を駆動してもベルト部材115に連結部131(各起立部131b)が接触しないようになっている。
収容部132は、上方を開放する有底容器状に形成されるとともに、前後方向中央にベルト部材115の通過を許容する空間132aを備えて形成されている。図8A及び図8Bに戻り、収容部132は、底壁132bと、底壁132bの前後両端から立ち上がる前壁132c及び後壁132dと、底壁132bの左右両端から立ち上がる右壁132e及び左壁132fとを備えている。
底壁132b、右壁132e及び左壁132fは、空間132aによって前後に二分割されている。前壁132c及び後壁132dは、その離間幅がおにぎりW(図7参照)の前後幅より若干大きく形成され、前壁132c及び後壁132dの上端側は、外方に屈曲して形成されている。底壁132bにおにぎりWが載置されたときに、右壁132e及び左壁132fは、おにぎりWの厚み方向両側に位置する領域となっておにぎりWの左右方向の倒れを規制する。
前壁132c及び後壁132dの下部には、穴132gがそれぞれ形成されている。穴132gは、後述する検出手段における発光部からの光線を通過させるために設けられる。
図3に戻り、側板117には、受渡部102(ベルト部材115上)に載置されたおにぎりWの有無を検出する検出手段134が設けられている。検出手段134は光学センサ等のセンサとされ、一方の側板117に発光部、他方の側板117に受光部が対向配置されて構成される。検出手段134は、発光部から発生される光線を受光部が受け、受光部の受光量変化に基づいて、それらの間のおにぎりWの有無を検知する。受渡部102は、検出手段134の検出結果に応じてベルト部材115の回動動作を制御し、後述するようにベルト部材115上にておにぎりWが無いと検出された位置におにぎりWを補充するよう移送する。
発光部及び受光部は、ベルト部材115に載置される各おにぎりWの位置にて組をなしてそれぞれ設けられ、本実施の形態ではおにぎりWの最大載置数である12個に応じて12組の発光部及び受光部が設けられる。従って、受渡部102にてベルト部材115の停止状態で左右方向に列をなすおにぎりWの各位置を予め決めておくことで、該位置でのおにぎりW個々の有無を検出手段134によって検出することができる。発光部及び受光部の高さ位置は、発光部から発生される光線が上昇位置の収容部132の穴132gを通過するように設定され、収容部132内のおにぎりWの有無を検出する。また、この高さ位置に設定することで、ベルト部材115に載置されるおにぎりWの有無も検出可能となる。
第3の移送部103は、上面視で左右方向に延在する受取部101及び受渡部102それぞれと直交する前後方向に延在している。なお、それらは直交せずに交差するように延在するようにしてもよく、その角度は直角に対して傾いていてもよい。第3の移送部103は、その後端側で受取部101からおにぎりWが移送され、延在方向となる後から前方向におにぎりWを載置しつつ移送し、前端側で受渡部102におにぎりWを移送する。つまり、第3の移送部103は、受取部101から受渡部102へおにぎりWを移送可能となっている。
図9は、第3の移送部の概略斜視図である。図9に示すように、第3の移送部103は、1本の無端ループ状のベルト部材135と、ベルト部材135を左右から挟むように設けられた一対の側板137とを備えている。側板137は、所定高さの支持台138上に設置されている。
図10は、第3の移送部の側面断面図である。図10に示すように、第3の移送部103は、ベルト部材135に掛け回されて相対的に後方に位置する駆動プーリ139と、前方に位置する従動プーリ140とを備えている。言い換えると、ベルト部材135は、駆動プーリ139及び従動プーリ140でそれぞれ反転されて長円状をなし、水平且つ前後方向に延びる2本の領域が上下に重なって配設される。駆動プーリ139は、駆動手段(不図示)の出力軸141を介して回転可能に設けられ、駆動プーリ139の回転によってベルト部材135の上半部が後から前へ移動するよう回動する。ここで、駆動手段は、制御部(図示省略)からの指令に応じて駆動プーリ139の回転量及び回転方向を調整し、ベルト部材135の回動を制御する。駆動プーリ139の回転によってベルト部材135の上辺となる水平部分を前方に移動するよう回動することで、ベルト部材135上に載置されたおにぎりWを前方に向かって移送可能となる。
第3の移送部103は、ベルト部材135の下半部における左右方向中央部の内周面に接する張力調整ローラ143を備えている。第3の移送部103では、張力調整ローラ143を上下動してベルト部材135に対する接触圧力を調整することで、ベルト部材135の張力を調整可能に設けられる。また、第3の移送部103は、ベルト部材135の上半部の水平部分内周面に接触可能な押さえ部材144を備えている。押さえ部材144は、板状に形成されて上面でベルト部材135が摺動され、ベルト部材135を下方から支持している。これにより、ベルト部材135上におにぎりWが載置されても、おにぎりWの上下位置を一定に保つことができる。なお、押さえ部材144の上面には、ベルト部材135との摩擦を軽減する表面処理が施されるとよい。
図3及び図9に示すように、各側板137には、前後方向に並んで複数のガイドローラ145が設けられ、ベルト部材135上のおにぎりWにおける前方への移動をスムースに案内している。右側の側板137の前端側には、おにぎりWの前方への移動を規制するストッパ147と、シリンダ等により構成される押込部148とが設けられる。第3の移送部103では、ベルト部材135の回動によって前方に移送されたおにぎりWがストッパ147に当接して停止する。ストッパ147には図示省略したセンサが設けられ、このセンサが停止したおにぎりWを検出すると、押込部148が駆動されてストッパ147で停止されたおにぎりWを左方向に押し込む。この押し込みによって、おにぎりWが受渡部102の右端側に移送される。
なお、図9に示すように、左側の側板137においては、前端側と後端側とにおにぎりWを通過させるために開放した形状に形成され、かかる開放位置に受取部101及び受渡部102が接続される。
続いて、第1の保持装置5A及び第2の保持装置6Aの具体的な構成について、図11ないし図15を参照して説明する。ここで、第1の保持装置5A及び第2の保持装置6Aは同一構造を採用でき、図11ないし図15による以下の説明においては、第2の保持装置6Aについて説明し、第1の保持装置5Aの説明は、省略する。また、第2の保持装置6Aの説明においては、各図において矢印で示したX方向、Y方向、Z方向を基準に説明し、上述した前後方向がX方向、列方向(左右方向)がY方向、上下方向がZ方向となる。
図11は、実施の形態に係る第2の保持装置の概略斜視図である。図12は、実施の形態に係る第2の保持装置の一部をZX面で切断した断面図である。図11及び図12に示すように、第2の保持装置6Aは、8体の保持機構9と、Z方向(上下方向)に所定間隔を隔てて配置された上部固定板7a、中間固定板7b及び下部固定板7cとを備えている。8体の保持機構9は、概略同一の構成を備えてY方向に等間隔で並んで設けられている。8体の保持機構9は、第1の把持部10と、第2の把持部20と、これら把持部10、20を支持するための支持体30と、駆動機構(駆動部)40とを備えている。支持体30は、本実施の形態では、上下方向(Z方向)に軸線が向けられた四角柱状に形成されている。また、8体の保持機構9は、Z方向に延びる昇降シリンダ60と、中間固定板7b及び下部固定板7cに支持される振れ止め機構70とを有している。
各保持機構9の昇降シリンダ60は、上端側で上部固定板7aを介して相互に連結され、下端側で中間固定板7bを介して相互に連結されている。従って、上部固定板7a及び中間固定板7bを介してY方向に並ぶ8体の保持機構9が一体化されている。昇降シリンダ60は、Z方向に進退動作する出力軸を備え、この出力軸が支持体30に連結されて支持体30とこれに支持される把持部10、20がZ方向に進退移動可能に設けられる。中間固定板7b及び下部固定板7cは、平面視長方形状に形成され、それぞれの四隅においてZ方向に延びる連結棒7dを介して連結されている。
第1の把持部10は、X方向に並ぶ一対の第1の把持体11a、11bを備えている。一対の第1の把持体11a、11bは、支持体30の下端側に揺動可能に支持されている。これにより、第1の把持体11a、11bの下端部が相互に接近及び離反する方向(概略X方向)に変位して開閉可能となり、おにぎりW(図11では不図示)の把持及びその解除を行えるようになっている。図11及び図12では、第1の把持体11a、11bが開いた状態を図示しており、図14は、第1の把持体11a、11bが閉じた状態を図示している。
第2の把持部20は、Y方向に並ぶ一対の第2の把持体21a、21b(図12では一方の第2の把持体21bを不図示)を備えている。第2の把持体21a、21bにおいても、支持体30の下端側に揺動可能に支持され、第2の把持体21a、21bの下端部が相互に接近及び離反する方向(概略Y方向)に変位して開閉可能となる。第1の把持部10の把持位置と、第2の把持部20の把持位置とはZ方向の位置(高さ位置)が異なっている。なお、第2の把持部20は、搬送対象物をY方向から挟んで把持できるものであるが、本実施の形態では、第1の把持部10で把持、搬送する場合について説明し、第2の把持部20にて搬送対象物を把持、搬送する場合についての説明を簡略化又は省略する。
駆動機構40は、支持体30が挿入される筒状の移動体41と、移動体41に装着された駆動源42とを備えている。駆動機構40は、駆動源42の作動によって移動体41をZ方向に移動させることで、第1の把持部10及び第2の把持部20を開閉動作(把持駆動)させる。
振れ止め機構70は、図12に示すように、第1の把持部10を挟むX方向両側でX方向に並ぶ一対の押さえ部材71を備え、各押さえ部材71をZ方向(上下方向)に相対移動可能に支持するガイド部材76も備えている。ここで、図12にて右側に位置する押さえ部材71及びガイド部材76と、左側に位置する押さえ部材71及びガイド部材76とは、同一となる構造が採用される。
押さえ部材71は、Z方向(上下方向)に延びる円柱(丸棒)状に形成された軸状部72と、軸状部72の下端に取り付けられておにぎりWに接触する部分を形成する接触体74とを備えている。接触体74においては、おにぎりWにおける上部頂点から山状に傾斜する傾斜上面に接触するときに、先端の半球状となる部分が概略点状に接触するようになる。
図13A及び図13Bは、振れ止め機構のYZ面を切断面とした断面図であり、動作要領の説明図である。図13Aに示すように、軸状部72の上端には、ねじ75が設けられている。ねじ75の頭部は、軸状部72の外径より大きい直径寸法に形成されている。従って、ねじ75の頭部は、軸状部72からフランジ状に突出しており、ガイド部材76での抜け止めとして機能する。なお、軸状部72は、下部固定板7cに形成された孔を貫通している。
ガイド部材76は、内部に軸状部72が挿通され、且つ、下部固定板7cに固定されている。ガイド部材76では、軸状部72との上下方向の直線的な相対移動が案内され、これにより、押さえ部材71の上下方向の相対移動がガイドされる。ガイド部材76の上面には、軸状部72が挿通される孔が形成されており、この孔の内径は、ねじ75の頭部の外径より小さく設定される。従って、押さえ部材71に外力が加わらずに自重で下降することで、ねじ75の頭部がガイド部材76の上面に載置され、ねじ75を含む押さえ部材71の下方移動が規制される。
次いで、保持機構9がおにぎりWを把持及び把持を解除する際の動作について説明する。ここでは、先ず、第2の保持装置6Aにおける1体の保持機構9における動作について説明する。
おにぎりWを把持する前は、図12に示すように、押さえ部材71が下降限となる位置に配置され、接触体74が各把持部10、20より下方に配置される。この状態にて、受渡部102(図2参照)からおにぎりWを搬出する場合、上述した第2の駆動部6Bを介して第2の保持装置6Aにおける保持機構9をおにぎりWより上方に所定距離隔てた位置に移動する。
次いで、昇降シリンダ60の出力軸を進出し、第1の把持体11a、11bの間におにぎりWのシート部Waが位置するところまで第1の把持部10が下降する。そして、図14に示すように、シート部Waを第1の把持部10で挟み込んで把持してから、昇降シリンダ60の出力軸を退行し、第1の把持部10で把持されたおにぎりWを上昇動作する。すると、上昇の中途段階で押さえ部材71の接触体74がおにぎりWの上面に当接して載置される。この接触後に更に上昇を進行することで、おにぎりWを介して押さえ部材71が上昇し、押さえ部材71の自重がおにぎりWに作用しておにぎりWを下方に押さえ付ける。
図14に示す状態から保持機構9によるおにぎりWの把持を解除する場合、昇降シリンダ60の出力軸を進出し、第1の把持部10で把持したおにぎりWを下降して出荷番重T2に載置する。その後、第1の把持体11a、11bを開いた状態に揺動してシート部Waの挟み込みを解除することで把持が解除される。
図15は、保持装置が物品を把持した状態の一例を示す説明用側面図である。第2の保持装置6Aにおいては、複数(本実施の形態では8体)の保持機構9がおにぎりWを1個(1体)ずつ独立して保持し得る。例えば、図15に示すように、Y方向にて一方の側の4体の保持機構9でおにぎりWを上述した要領にて把持することができる。かかる4体の保持機構9で把持を行う際、それ以外の4体の保持機構9では、昇降シリンダ60が駆動されず、その第1の把持部10が上下に移動せずに待機した状態となる。このようにして第2の保持装置6Aでは、8体の保持機構9のうち、任意の位置及び数の保持機構9にておにぎりWを保持でき、また、おにぎりWを非保持状態にすることができる。
図1に戻り、同図にて模式的に表した第1の保持装置5A及び第2の保持装置6Aは、左右に並ぶおにぎりWを8個同時に把持できる向きに設けられている。従って、前後左右に整列されて製品番重T1に収容されたおにぎりWのうち、列方向(左右方向)に並ぶ同一列8個のおにぎりW全てを保持できるようになっている。また、第2の保持装置6Aは、上述のように任意の位置及び数の保持機構9にておにぎりWを保持できるので、同一列8個のおにぎりWの個々に対応して独立に保持することが可能となる。ここで、第1の保持装置5Aにおいては、第2の保持装置6Aにおける昇降シリンダ60(図2参照)を省略した構成としてもよい。第1の保持装置5Aでは、後述するように8体全ての保持機構9で同時におにぎりWを把持及び把持の解除を行うので、昇降シリンダ60を省略し1体の昇降機構によって全ての保持機構9を昇降させる構成としてもよい。
続いて、搬送装置1による製品番重T1から出荷番重T2へのおにぎりWの搬送方法について、図16ないし図19を参照して説明する。図16ないし図19の各図は、上記搬送装置による搬送方法の流れを模式的に示す説明図である。ここでは、図16Aに示すように、製品番重T1には、おにぎりWが起立し、厚さ方向が左右方向に向けられた状態で左右及び前後に複数列並んで収容されているものとする。更に、図16Aの矢印で示すように、受取部101で右方向、第3の移送部103で前方向、受渡部102で左方向におにぎりWを移送する場合について説明する。
先ず、上面視コ字状となる一時載置部4に外周が沿うように製品番重T1が配置される。製品番重T1の配置方法については後述する。次いで、第1の移送部5によって製品番重T1から受取部101におにぎりWが移送される。この移送は、製品番重T1の最後列で左右に並ぶおにぎりW上に第1の保持装置5Aが移動され、左右方向に並んだ状態の8個のおにぎりWが第1の保持装置5Aで保持される。そして、図16Bに示すように、第1の保持装置5Aが受取部101の上方位置まで移動され、第1の保持装置5Aで保持したおにぎりWが受取部101に載置される。図16Cに示すように、受取部101に載置されたおにぎりWは、ベルト部材105(図5参照)の回動によって受取部101の延在方向となる左から右方向に移送される。ベルト部材105で移送されるおにぎりWは、仕切片106(図5参照)に挟まれることによって左右に倒れることが規制され、起立した状態を維持することができる。
なお、おにぎりWを受取部101に載置した後の第1の保持装置5Aは、その時点で製品番重T1の最後列に並ぶおにぎりWを保持して待機状態とされる。図16Cでは、該最後列にて第1の保持装置5Aを待機させた状態を示しているが、受取部101の上方位置まで第1の保持装置5Aを移動して待機させてもよい。
受取部101でのおにぎりWの右方向への移送が継続されることで、図16Dに示すように、受取部101の右端側から第3の移送部103の後端側におにぎりWが移送される。図17Aに示すように、第3の移送部103に載置されたおにぎりWは、ベルト部材135(図10参照)の回動によって前方に移送される。言い換えると、第3の移送部103では、前後方向に列をなしておにぎりWを載置しつつ前方におにぎりWを移送可能となる。受取部101に載置されたおにぎりWが第3の移送部103に全て移送されると、待機していた第1の保持装置5Aで上述と同様におにぎりWが受取部101に移送される。そして、図17Bに示すように、第1の保持装置5Aは、その時点で製品番重T1の最後列に並ぶおにぎりWを保持して再度待機状態とされる。
第3の移送部103の前端側まで移送されたおにぎりWは、ストッパ147によって前方への移動が停止されてから押込部148(何れも図9参照)によって左側に押し込まれる。この押し込みによって、第3の移送部103の前端側のおにぎりWが受渡部102の右端側に1個ずつ移送される。また、第3の移送部103の後端側では、上述と同様にしておにぎりWが受取部101から移送される。
図17Cに示すように、受渡部102では、ベルト部材115(図6参照)の回動によって受渡部102の延在方向となる右から左方向に移送される。ベルト部材115で移送されるおにぎりWは、仕切片116(図6参照)に挟まれて配置されることによって左右に倒れることが規制され、起立した状態を維持することができる。第3の移送部103からおにぎりWが受渡部102に順次移送されるのと並行して、受取部101から第3の移送部103へおにぎりWが順次移送される。そして、受取部101のおにぎりWが所定数なくなると、図17Dに示すように、待機していた第1の保持装置5Aで上述と同様におにぎりWが受取部101に移送される。
受渡部102では、左右に隣り合うおにぎりWの間に仕切片116が位置するので、おにぎりWが左右方向に等間隔で整列して載置された状態となる。受渡部102の左端側に達するまでおにぎりWを移送した後、受取部101、第3の移送部103及び受渡部102でのおにぎりWの移送が一旦停止される。このとき、受渡部102では、載置し得る許容上限数のおにぎりWが載置され、後述のように第2の移送部6により出荷番重T2に移送されるおにぎりWが載置される。
この状態で、図18Aに示すように、第2の移送部6の第2の保持装置6Aを受渡部102上に移動し、第2の保持装置6Aにて受渡部102上で左右方向に並んだおにぎりWが所定位置で所定数(本実施の形態では左端側から8個)保持される。そして、図18Aの二点鎖線で示すように、おにぎりWを保持した第2の保持装置6Aを出荷番重T2の上方位置まで移動してから、保持したおにぎりWを出荷番重T2に載置して移送する。その後、図18Bに示すように、受取部101、第3の移送部103及び受渡部102でのおにぎりWの移送が再開され、先に出荷番重T2に移送したおにぎりWを補充するよう受渡部102におにぎりWが追加して載置される。そして、図18Cに示すように、製品番重T1のおにぎりW全てがなくなっても、一時載置部4の受取部101、第3の移送部103及び受渡部102には複数のおにぎりWが載置されてストックされた状態となる。
この状態で、図19Aに示すように、製品番重T1が載置された載置領域2aを形成するリフタLが下降され、空になった製品番重T1が基台2の内部に配置される。そして、図19B及び図19Cに示すように、空になった製品番重T1が基台2内で前方に移動され、送り装置3におけるローラ3aの下方に設けられた搬出機構3cに移送される。搬出機構3cでは、図19Cの紙面直交方向に製品番重T1が移送されて装置の外部へ搬出される。
ここで、図19Aに戻り、リフタLによって下降した空の製品番重T1の後方位置にはおにぎりWを収容した新たな製品番重T1が待機している。よって、空になった製品番重T1を前方に移動すると同時に、新たな製品番重T1を前方に移動してリフタL上に載置させる(図19B参照)。そして、図19Cに示すように、リフタL上に載置された新たな製品番重T1はリフタLによって上昇され、空の製品番重T1からおにぎりWを収容した新たな製品番重T1への交換が完了する。従って、新たな製品番重T1から、上述のように一時載置部4や各移送部5、6を介しておにぎりWを移送可能となる。
上記のように製品番重T1を交換する前、一時載置部4には図18Cに示すようにおにぎりWが載置されている。従って、製品番重T1を交換している間に、図18Cに示すおにぎりWを出荷番重T2に移送することができる。具体的には、受取部101、第3の移送部103及び受渡部102に載置されたおにぎりWを、それらのベルト部材105、115、135を介して順次移送を行いつつ、第2の移送部6で受渡部102から出荷番重T2に所定数量を複数回に亘って移送することができる。その結果、製品番重T1の交換によって出荷番重T2へのおにぎりWの搬送が中断する時間を短縮あるいはなくすことができ、製品番重T1を交換する時間に起因しておにぎりWの搬送時間が長くなることを回避することができる。
次いで、受渡部102によるおにぎりWの移送及び整列方法について、図20ないし図23を参照して説明する。図20ないし図23は、受渡部によるおにぎりの整列方法の一例を示す説明図である。ここでは、上述のように一時載置部4でのおにぎりWの移送を実施し、図20に示すように、受渡部102に対して最大載置数である12個のおにぎりWが載置され、第2の移送部6(図18A参照)による移送を待機した状態とする。
図20に示す状態では、受渡部102のベルト部材115に複数(図20では12個)のおにぎりWが載置され、左右に隣り合うおにぎりWの間には仕切片116が配置される。また、受渡部102において、左側から8個のおにぎりWが載置される位置の下方には昇降部127がそれぞれ設置され、全ての昇降部127の収容部132が下降位置とされる。このとき、収容部132の上端位置が、おにぎりWが載置されるベルト部材115の下面より低い位置とされ、おにぎりW及びベルト部材115が収容部132とは非接触となる。更に、おにぎりWが載置の中央部に図示した点は、検出手段134(図3参照)で用いる光線を示し、該光線とおにぎりWとが重なることでおにぎりWが有りと検出される。
この状態から、受渡部102の左側から4個のおにぎりWを第2の移送部6(図18A参照)で移送する場合、図21に示すように、全ての昇降部127のシリンダ130が駆動され、収容部132が上昇位置に配置される。これにより、ベルト部材115に載置されたおにぎりWが収容部132内に収容されて上昇される。この場合においても、検出手段134の光線が穴132gを通じておにぎりWと重なることでおにぎりWが有りと検出される。
この状態から、左側から4体の収容部132に収容されたおにぎりWを第2の保持装置6A(図18A参照)で取り出すことで、図22に示すように、該4体の収容部132が空になる。その後、全ての昇降部127のシリンダ130が駆動され、図23に示すように、収容部132が下降位置に配置される。すると、右側から4体の収容部132に収容されたおにぎりWがベルト部材115上に再度載置される。図22及び図23において、左側から4個のおにぎりWが取り出されたことで、検出手段134の光線がおにぎりWと重ならなくなり、その位置にておにぎりWが無いと検出される。
図23に示す状態からベルト部材115を回動させることで、ベルト部材115上のおにぎりWが左方向に移送され、おにぎりWが取り出された箇所に別のおにぎりWを補充するようにして受渡部102でおにぎりWが整列される。また、受渡部102の右側から第3の移送部103によっておにぎりWが順次移送されることで、最大載置数のおにぎりWが載置される元の状態(図20参照)に整列され、第2の移送部6での移送の待機状態とすることができる。
図24ないし図26は、受渡部によるおにぎりの整列方法の他の一例を示す説明図である。上述のように左側から4体の収容部132に収容されたおにぎりWを移送することに代えて、図24に示すように、左側から3番目と4番目の収容部132に収容されたおにぎりWを移送した場合について以下に説明する。
図24のように移送した後は、図25に示すように、左側から1番目と2番目の収容部132は上昇位置が維持され、それ以外の収容部132が下降位置に移動される。その後、ベルト部材115を回動させ、2個分のおにぎりWの間隔分、ベルト部材115上のおにぎりWが左方向に移送される。これにより、図26に示すように、左側から3番目と4番目の収容部132の上方におにぎりWが移送され、この状態で左側から1番目と2番目の収容部132が下降位置に移動されることで、最大載置数のおにぎりWが載置される元の状態(図20参照)に整列される。図25に示す状態から図26に示す状態への移送時において、上昇位置の2体の収容部132に収容されたおにぎりWは、左方向に移動する仕切片116と非接触になる。
受渡部102によるおにぎりWの整列にあっては、ベルト部材115を回動しておにぎりWを移送するときに、全ての収容部132を下降位置とする場合と、一部の収容部132を下降位置としつつ、それ以外の収容部132を上昇位置とする場合とがある。
前者の場合としては、図20ないし図23に示した場合を例示でき、おにぎりWを補充すべき箇所よりベルト部材115の移動方向下流側におにぎりWがない場合となる。
後者の場合としては、図24ないし図26に示した場合を例示でき、おにぎりWを補充すべき箇所よりベルト部材115の移動方向下流側におにぎりWが存在する場合となる。この場合、該下流側のおにぎりWの左右位置を維持しつつ、ベルト部材115を移動して補充すべき箇所におにぎりWを移送する必要がある。このため、本実施の形態では、補充すべき箇所よりベルト部材115の移動方向下流側の収容部132を上昇位置に維持し(図25参照)、該収容部132に収容されたおにぎりWと仕切片116とが非接触となるようベルト部材115を回動可能としている。そして、それ以外の収容部132は下降位置としてベルト部材115でおにぎりWを左方向に移送可能とし、補充すべき箇所におにぎりWを移送することができる。
本実施の形態では、補充又は移送すべき箇所の移動方向下流側のおにぎりWを上昇位置とすることで、仕切片116の移動に対して左右位置を維持したいおにぎりWが邪魔にならずに退避でき、移動方向上流側からおにぎりWを移送してくることができる。これにより、仕切片116によっておにぎりWの倒れを規制したりおにぎりWの間隔を均一化したりしても、一部のおにぎりWの左右位置を移動させずにおにぎりWの整列を実施することができる。
なお、かかる受渡部102でのおにぎりWの整列にあっては、ベルト部材115の回動方向を上述と逆方向にすることでおにぎりWを左方向だけでなく右方向にも移送することができる。従って、ベルト部材115を回動しておにぎりWを移送する際、既に載置されたおにぎりWの位置に応じて収容部132の上昇位置及び下降位置を切り換えることで、任意の左右位置にておにぎりWの存在の有無を選択することができる。おにぎりWの上昇位置及び下降位置の切り換えは、複数のおにぎりWそれぞれに対応して昇降部127のシリンダ130を独立して駆動することで実施される。上記のようにおにぎりWを右方向に移送する場合、受渡部102から第3の移送部103へのおにぎりWの移送を規制すべく、受渡部102の右端側から所定個数のおにぎりW分、おにぎりWが存在していないことが条件となる。これは、本実施の形態では、受渡部102の右側から4個のおにぎりWが載置される位置の下方には昇降部127が非設置となり、おにぎりWを上昇位置とした左右位置の維持を実施できないからである。従って、おにぎりWを右方向に移送する前に、受渡部102の右側から4個のおにぎりWの有無を検出手段134で検出し、その検出結果に応じて右方向の移送の可否が受渡部102にて判定される。
ところで、従来の搬送方法においては、上記実施の形態のような一時載置部4を用いず、図27A及び図27Bに示すように、製品番重T1に収容されたおにぎりWを保持装置200にて保持して前方の出荷番重T2に搬送する方法が採用される。保持装置200は、左右方向に並んだ複数のおにぎりWを同時に保持可能に設けられる。かかる従来の搬送方法にて、製品番重T1にて最も右寄りの位置に収容されたおにぎりWを出荷番重T2の最も左寄りの位置に移送する場合について考察する。
この場合、図27Aでは、製品番重T1の左右位置に対し保持装置200が概ね揃った位置から右側に移動され、保持装置200の左端側でおにぎりWが保持される。そして、出荷番重T2の左右位置に対し保持装置200が概ね揃った位置に移動され、保持されたおにぎりWが出荷番重T2に収容される。
また、図27Bでは、製品番重T1の左右位置に対し保持装置200が概ね揃った位置でおにぎりWが保持される。そして、出荷番重T2の左右位置に対し保持装置200が概ね揃った位置から左側に移動され、保持されたおにぎりWが出荷番重T2に収容される。
このように、図27A及び図27Bに示す搬送方法では、保持装置200を各番重T1、T2の左右方向何れか一方に大きくはみ出すように移動させることが必要となる。このため、保持装置200を左右方向に移動させるロボット等の装置が必要となって装置構成が複雑化する、という問題がある。また、かかる左右方向の移動を実現するためには、各番重T1、T2の左右幅より広いスペースが必要となり、搬送装置全体が大型化する、という問題がある。
この点、上記実施の形態では、受渡部102にてベルト部材115を回動させることでおにぎりWを左右の何れの位置にも配置できるので、第1の保持装置5A及び第2の保持装置6Aを左右に移動させる構成を省略することができる。これにより、搬送装置1において、第1の保持装置5A及び第2の保持装置6Aを左右に移動させるためのスペースが不要となり、そのスペース分の装置の小型化を図ることができる。また、第1の保持装置5A及び第2の保持装置6Aを左右に大きく移動させる大型の装置の不要となり、搬送装置1の設置作業やメンテナンスの容易化を図ることができる。
このような実施の形態によれば、第2の移送部6で受渡部102上のおにぎりWを搬送する前に、図23や図26に示す状態を経てから図20に示すように受渡部102上に空きスペースが生じることなくおにぎりWを左右方向に並べて整列することができる。これにより、第2の移送部6で受渡部102上のおにぎりWを保持して移送するときに、第2の移送部6の全ての保持機構9でおにぎりWを保持できるよう、受渡部102上のおにぎりWの配置を一定にすることもできる。この結果、第2の移送部6の全ての保持機構9でおにぎりWを保持するか否かを選択可能となり、かかる選択に伴う第2の移送部6の駆動制御等の簡略化を図ることができる。
また、受取部101が左右方向に延在するので、第1の移送部5によって、製品番重T1で左右方向に並ぶおにぎりWが列をなした状態のまま受取部101に移送でき、受取部101にておにぎりWを並び替える等の工程を行うことなく整列した状態に維持することができる。
また、上面視にて、おにぎりWの厚み方向となる左右方向に対して直交する前後方向に各保持装置5A、6Aで保持されたおにぎりWを移送している。これにより、移送時に、おにぎりWが左右方向に揺れるような外力が作用することを抑制でき、各保持装置5A、6AによるおにぎりWの保持の安定化を図ることができる。
更に、一時載置部4を製品番重T1の外周に沿うように上面視コ字状に設置しているので、一時載置部4の設置スペースが広くなることを抑制している。言い換えると、製品番重T1がセットされる位置に対し、右側と前後両側に僅かなスペースを確保することで受取部101、受渡部102及び第3の移送部103を含む一時載置部4を設置でき、搬送装置1全体としての省スペース化を図ることが可能となる。
また、本発明の実施の形態は上記の各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、本発明の技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、本発明の技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
上記各実施の形態では、把持する物品をおにぎりWとしたが、保持機構9によって保持できる物品であれば何ら限定されるものでない。例えば、三角形状以外の袋等で包装されたおにぎりとする他、サンドイッチやパン、弁当等の他の食品としたり、箱やトレイによって梱包されたものとしてもよい。
また、第1の容器及び第2の容器として番重T1、T2を用いた場合を説明したが、これに限られるものでなく、収容する物品等に応じて種々の容器を用いることができる。更に、直交二方向に整列する物品(おにぎり)の個数は、二方向それぞれに複数並んでいれば、任意とすることができる。
また、各移送部5、6における保持機構9としては、上記のようにおにぎりWを挟持する構成の他、おにぎりWの外周面を吸着して保持する吸着パッドとしてもよい。吸着パッドは負圧発生装置に連通して負圧を生じさせ、おにぎりWの外面を真空吸着することで物品を保持可能となる。
また、第3の移送部103では、ベルト部材135を回動しておにぎりWを搬送したが、おにぎりWを受取部101から受渡部102へ移送できる限りにおいて、ローラ等を用いた構成にする等変更してもよい。
また、一時載置部4を配置する領域は、図示構成例に限られず、種々の変更が可能である。例えば、受取部101、受渡部102及び第3の移送部103全てを製品番重T1の前方に配置したり、後方に配置したりしてもよい。この場合には、一時載置部4を複数設置したり、上記実施の形態に対して増設したりしてもよい。
また、第1の移送部5は、製品番重T1にて保持したおにぎりWを前方の受渡部102に直接移送してもよい。例えば、図16Cや図16Dに示すように受渡部102が空の状態から、第1の移送部5により製品番重T1から受渡部102におにぎりWを移送してもよい。この場合、受取部101及び第3の移送部103を経て受渡部102におにぎりWを移送する場合より短時間で受渡部102まで移送できる。これにより、出荷番重T2への移送の初期時において、おにぎりWの移送開始を迅速に行えるようになる。
また、第1の移送部5と第2の移送部6とを別々の装置とした場合を説明したが、単一の装置に各移送部5、6の機能を持たせてもよい。例えば、レール部材5Ba、6Baの何れか一方を延長し、何れかの保持装置5A、6Aにて、それら両方の上述した移送を行えるようにしてもよい。
また、仕切部を仕切片106、116としたが、上記実施形態と同様の機能を有する限りにおいて、枠状や格子状にする等、種々の変更が可能である。更に、回動部材をベルト部材105、115としたが、複数の紐部材等に変更してもよい。
また、第1の移送部5及び第2の移送部6によるおにぎりWの移動方向は、前後方向となる直線方向に限定されるものでなく変更してもよい。例えば、第2の移送部6で移動させる軌道が上面視で円弧に沿う方向としてもよく、この場合、各番重T1、T2を同じ向きで前後に並べずに、例えば、図1で示した位置に対し、出荷番重T2の位置を左右にずらしたり向きを変更したりしてもよい。