本発明の第1態様によれば、調理容器に収容された調理物を撹拌する撹拌ユニットを備える撹拌機能付き加熱調理器であって、前記撹拌ユニットは、前記調理容器の底面の中心部付近に取り付け、回転動作する回転撹拌体と固定動作する固定撹拌体を上下に構成し、前記固定撹拌体は、回転軸中心に設けた固定ハウジング部を設け、前記固定ハウジング部より前記調理容器の内周面に向かって撹拌回転半径方向に延設した固定ブレードを少なくとも1枚設け、前記固定ブレードは、撹拌回転方向に向かって凸状に湾曲し、前記固定撹拌体の前記固定ブレードは、前記固定ハウジング部から撹拌回転半径方向に延設するアームと、前記アームより下方に向かって延設する撹拌固定部とで構成し、前記撹拌ユニットを前記調理容器にセットした状態において、前記固定撹拌体が最下端に位置した時、前記
撹拌固定部の下方先端部分が前記回転撹拌体の撹拌ブレードの撹拌面と接触するように、前記撹拌固定部の下方への突出量を設定した加熱調理器を提供する。
これにより、調理物には固定撹拌体によって回転撹拌体を乗り越える作用が働くと同時に、反転方向の外力が作用するため、調理物をムラなく加熱することができるようになる。また、調理容器の内周面側に寄せられた調理物が、再び回転撹拌体に押圧を受けて固定撹拌体の固定ブレードまで移動し、さらに回転撹拌体の撹拌ブレードが固定撹拌体の固定ブレードに近接すると、調理物は固定ブレードから調理容器の中心方向に外力が作用して調理容器の中心付近に移動させることができるようになる。さらに、固定ブレードに調理物の付着残りを抑えることができ、調理物の加熱ムラを抑えることができるものである。加えて、調理物全体に固定ブレードからの作用が確実に働くようになるものである。
本発明の第2態様によれば、調理容器に収容された調理物を撹拌する撹拌ユニットを備える撹拌機能付き加熱調理器であって、前記撹拌ユニットは、前記調理容器の底面の中心部付近に取り付け、回転動作する回転撹拌体と固定動作する固定撹拌体を上下に構成し、前記固定撹拌体の固定ハウジング部には、前記回転撹拌体の回転ハウジング部上面より回転軸上に上方に延設した支持軸と係合する軸受部を設け、前記固定撹拌体が上下方向に摺動自在に動作するように構成し、前記固定撹拌体の固定ブレードは、前記固定ハウジング部から撹拌回転半径方向に延設するアームと、前記アームより下方に向かって延設する撹拌固定部とで構成し、前記撹拌ユニットを前記調理容器にセットした状態において、前記固定撹拌体が最下端に位置した時、前記撹拌固定部の下方先端部分が前記回転撹拌体の撹拌ブレードの撹拌面と接触するように、前記撹拌固定部の下方への突出量を設定した加熱調理器を提供する。
これにより、調理物には固定撹拌体によって回転撹拌体を乗り越える作用が働くと同時に、反転方向の外力が作用するため、調理物をムラなく加熱することができるようになる。また、撹拌動作中でも容易に固定撹拌体を着脱することができるようになるものである。さらに、固定ブレードに調理物の付着残りを抑えることができ、調理物の加熱ムラを抑えることができるものである。加えて、調理物全体に固定ブレードからの作用が確実に働くようになるものである。
本発明の第3態様によれば、調理容器に収容された調理物を撹拌する撹拌ユニットを備える撹拌機能付き加熱調理器であって、前記撹拌ユニットは、前記調理容器の底面の中心部付近に取り付け、回転動作する回転撹拌体と固定動作する固定撹拌体を上下に構成し、前記固定撹拌体の固定ブレードの湾曲率は、前記回転撹拌体の撹拌ブレードの湾曲率よりも大きい組み合わせとした加熱調理器を提供する。
これにより、調理物には固定撹拌体によって回転撹拌体を乗り越える作用が働くと同時に、反転方向の外力が作用するため、調理物をムラなく加熱することができるようになる。また、固定ブレードには調理物を調理容器の中心付近に向かって寄せる作用が確実に働くようになるものである。
本発明の第4態様によれば、固定撹拌体の撹拌固定部は、調理容器の内周面近傍から回転半径の中間付近までの範囲に設けた、第1または2のいずれか1つの態様に記載の加熱調理器を提供する。
これにより、調理容器の内周面側に寄せられた調理物も、確実に調理容器の中心付近に向かって寄せることができるというものである。
本発明の第5態様によれば、固定撹拌体には、調理容器の内周面、もしくは、前記内周面より突出する突出部に接触する係止部を設けた、第1の態様に記載の加熱調理器を提供する。
これにより、固定撹拌体は確実に固定することができるものである。
本発明の第6態様によれば、回転撹拌体は、調理容器の底側に配置し、回転軸中心に回転軸受け等を構成する回転ハウジング部を設け、前記回転ハウジング部の側面より前記調理容器の内周面に向かって撹拌回転半径方向に延設した前記撹拌ブレードを少なくとも1枚設け、前記撹拌ブレードは撹拌回転方向に向かって凸状に湾曲した、第3の態様に記載の加熱調理器を提供する。
これにより、調理物は、回転撹拌体の回転動作に伴い、調理容器の内周面に向かって押し出す作用が働き、調理容器の底面全体に調理物を散らすことができるようになる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、これから説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
本開示の実施の形態に係る加熱調理器は、調理容器内に収容された調理物を撹拌する撹拌ユニットを備える撹拌機能付き加熱調理器である。図1は、本実施の形態に係る加熱調理器の斜視図である。図2は、本実施の形態に係る加熱調理器の断面図である。
図1に示すように、本実施の形態に係る加熱調理器は、略有底筒状の機器本体1と、機器本体1の上部開口部を開閉するように覆う蓋体2とを備えている。蓋体2は、図2に示すように、ヒンジ部1Aに回動するように取り付けられている。ヒンジ部1Aは、機器本体1の上方後部(図2の右上側)に設けられる。ヒンジ部1Aは、加熱調理器の水平方向に対して平行な軸を含む。
機器本体1の前部には、調理メニューの選択等の各種操作を行う操作部3が設けられて
いる。操作部3は、操作キー群3Aと、表示部3Bとを備えている。操作キー群3Aには、例えば、スタートキー、取り消しキー、及び調理メニューなどを選択する選択キーが含まれる。表示部3Bは、例えば、液晶表示パネルによって構成され、操作キー群3Aによって設定された情報などの各種情報を表示する。
機器本体1の内部には、図2に示すように、収納部4が設けられている。収納部4は、調理容器5を着脱自在に収納する。収納部4の形状は、有底筒状である。収納部4の底部の中心部には、モータ保持部6の一部が、当該底部の中心部を貫通するように設けられている。モータ保持部6の形状は、略筒状である。モータ保持部6の内部には、円環状の駆動側磁石7と、駆動側磁石7を保持する磁石保持部8が設けられている。磁石保持部8の中心部には、回転駆動力を発生させるモータ9の駆動軸10が挿入されている。駆動軸10は、加熱調理器の鉛直方向に対して平行である。モータ9は、収納部4の外側に設けられ、モータ保持部6によって保持されている。モータ9が駆動されることで、駆動軸10が軸回りに回転し、当該回転に伴って磁石保持部8及び駆動側磁石7が回転する。
収納部4の内側下方で、且つモータ保持部6の外側には、ヒータ11が設けられている。ヒータ11は、調理容器5を加熱する。本実施の形態において、ヒータ11は、シーズヒータである。ヒータ11は、調理容器5の底壁に接触して、熱を伝達する。ヒータ11の形状は、略環状であり、調理容器5の底壁の外周部に対向する位置に設けられている。
モータ9及びヒータ11の駆動は、制御部12により制御される。制御部12は、機器本体1の内部で、且つ収納部4の外側に配置されている。制御部12は、操作部3によって設定された各種情報と、機器本体1内に設けられる温度センサ(図示せず)等の検知結果とに基づいて、モータ9及びヒータ11を含む各部、各装置の駆動を制御する。制御部12は、マイクロコントローラ、CPU(Central Processing Unit)、又はMPU(Micro Processing Unit)などで構成される。制御部12は、ソフトウェアで実現されてもよく、回路又はハードウエアで実現されてもよい。
調理容器5は、複数の調理物を収容可能な容器である。複数の調理物には、フライドポテトのような比較的大きな調理物、及びみじん切りした玉ネギのような比較的小さな調理物などの少なくとも一方が含まれる。調理容器5の内面は、底面と、内周面5aとを含み、内周面5aは、底面の周縁部に配置される。本実施の形態の調理容器5では、内周面5aは、加熱調理器の鉛直方向に平行な、筒状の面である。
調理容器5の内部には、調理容器5に収納された調理物を撹拌する撹拌ユニット13が設けられている。撹拌ユニット13は、下方に配置した回転動作を行う回転撹拌体14と、回転撹拌体14の上方に配置した固定動作する固定撹拌体15とから構成したもので、調理容器5の底面の中心部に回転自在に取り付けられている。撹拌ユニット13の下方に構成した回転撹拌体14は、調理容器5の底面中心部に回転自在に取り付けられる回転ハウジング部16と、回転ハウジング部16の外周面から調理容器5の内周面5aに向けて撹拌回転半径方向に延在する撹拌ブレード17とを備えている。回転ハウジング部16には、軸体18と従動側磁石19とが設けられている。軸体18は、回転ハウジング部16の回転軸であり、加熱調理器の鉛直方向に平行である。従動側磁石19は、軸体18の周囲に配置されており、従動側磁石19の形状は、円環状である。従動側磁石19は、上述の駆動側磁石7とで磁気カップリングを構成し、撹拌ユニット13は、当該磁気カップリングを介して、着脱自在に調理容器5の底面の中心部に取り付けられ、モータ9が駆動されることにより、軸体18を中心に回転する。また、回転ハウジング部16の上面には、調理容器5の上方開口部に向かって回転軸上に延設した略円筒状の支持軸20を備えている。
一方、撹拌ユニット13の上方に構成した固定撹拌体15は、回転撹拌体14の回転ハウジング部16上方の支持軸20に挿入される軸受部21を備えた固定ハウジング部22と、固定ハウジング部22の外周面から調理容器5の内周面5aに向けて撹拌回転半径方向に延在する固定ブレード23とを備えている。この軸受部21は固定ハウジング部22の上方端面から下方端面までを貫通する略円筒状の穴である。回転撹拌体14の支持軸20の外周面と、固定撹拌体15の軸受部21の内周面とは嵌合状態が形成される。固定ブレード23の先端には、調理容器5の内周面5aに設けた邪魔部5Aと接触する係止部24を設けている。邪魔部5Aは、調理容器5の中心部側に突出する突出部である。邪魔部5Aは、調理容器5の内周面5aの上下方向に延在するように設けており、固定ブレード23の係止部24は、この邪魔部5Aの突出高さで係合するように構成している。
回転撹拌体14と固定撹拌体15とを上下に組み合わせて構成された撹拌ユニット13を、調理容器5の底面に固定撹拌体15の係止部24が邪魔部5Aに引っ掛からない位置で取り付け、本体内のモーター9を駆動させると、回転撹拌体14が回転駆動する。そして、回転撹拌体14の支持軸20と固定撹拌体15の軸受部21とが嵌合されているため、支持軸20と軸受部21との間の摩擦により、もしくは、調理物を挟んで撹拌ブレード17が固定ブレード23を押すようにして、固定撹拌体15は、回転撹拌体14と一体になって回転する。その後、固定撹拌体15の係止部24が調理容器5の邪魔部5Aに係合すると、固定撹拌体15は回転動作から固定動作となって静止した状態となり、回転撹拌体14のみが回転するようになる。換言すれば、固定撹拌体15は、回転動作状態と、固定動作状態を有するものである。
次に、回転撹拌体14、及び、固定撹拌体15の構成について、より詳細に説明する。図3は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器の蓋体2を取り外した状態を示す平面図である。
図3に示すように、回転撹拌体14の撹拌ブレード17の先端を、先端部分25とする。先端部分25は、撹拌ブレード17の、回転ハウジング部16に接続される端部と反対側の端部である。
撹拌ブレード17は、平面視において回転ハウジング部16の回転方向X1の下流側である撹拌回転方向に向けて凸状に湾曲するように形成されている。撹拌ブレード17は、前方縁26と、後方縁27と、を有する。前方縁26は、後方縁27よりも、回転方向X1の下流側に位置する。後方縁27は、前方縁26よりも回転方向X1の上流側に位置する。なお、下流側とは、基準となる地点から回転方向X1に離れた側を意味する。また、上流側とは、基準となる地点から回転方向X1と逆回転方向に離れた側を意味する。
撹拌ブレード17の先端部分25は、平面視において調理容器5の内周面5aに沿って湾曲するように形成されている。なお、撹拌ブレード17の先端部分25の曲率は、調理容器5の内周面5aの曲率と全く同じ曲率に限定されず、調理容器5の内周面5aの曲率と概ね同じ曲率であればよい。
また、調理容器5の内周面5aには、上述したように調理容器5の中心部側に突出するとともに、上下方向(つまり、加熱調理器の鉛直方向)に延びる邪魔部5Aが設けられている。撹拌ブレード17の先端部分25は、軸体18の軸回りに回転する際、邪魔部5Aに接触しないように、調理容器5の内周面5aに対して所定の隙間を空けて配置されている。
撹拌ブレード17の、回転ハウジング部16の近傍部分では、前方縁26と調理容器5
の底面との間の隙間が、約1mm~3mmで一様となるように設定されている。回転ハウジング部16の近傍部分とは、後述する押出部の作用領域(E1)を指す。また、撹拌ブレード17の先端部分25では、前方縁26と邪魔部5Aとの間の隙間が、約1mm~3mmとなるように一様に設定されている。
図4は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器の回転撹拌体14の斜視図であり、図5は同回転撹拌体14の側面図である。図6は、同回転撹拌体14の平面図である。図7は、同回転撹拌体14の要部断面図であり、図7(A)は図6の7A-7A断面図であり、図7(B)は図6の7B-7B断面図であり、図7(C)は図6の7C-7C断面図である。図7は、同回転撹拌体14の要部断面図であり、図8(A)は図6の7D-7D断面図であり、図8(B)は図6の7E-7E断面図であり、図8(C)は図6の7F-7F断面図である。
図7(A)~図7(B)に示すように、回転ハウジング部16の近傍において、撹拌ブレード17の前方縁26は後方縁27よりも下方に位置している。すなわち、回転ハウジング部16の近傍において、撹拌ブレード17は、回転方向X1の上流側に向かうに従い、上方へ傾斜するように形成されている。また、回転ハウジング部16の近傍において、撹拌ブレード17は、回転ハウジング部16の外周面から離れて調理容器5の内周面5aへ近づくに従い、後方縁27の高さ位置が低くなるように形成されている。さらに、回転ハウジング部16の近傍において、撹拌ブレード17は、調理容器5の底面に対する後方縁27の高さ位置が変動するのに対し、前方縁26の高さ位置は実質的に一様(底面との隙間が一様)となるように形成されている。
すなわち、撹拌ブレード17は、回転ハウジング部16の近傍において、後方縁27が前方縁26よりも上方に位置する傾斜面を有する。この傾斜面は、回転ハウジング部16の外周面から離れて調理容器5の内周面5aへ近づくに従って略水平面に近づくように、傾斜角が変化している。
上述した撹拌ブレード17の捩れた傾斜面は、図5に示すように、加熱調理器を側面から見た場合に、内周面5a側へ向いた面S2を有する。したがって、傾斜面は、撹拌ブレード17の回転に伴って、撹拌ブレード17の回転ハウジング部16近傍部分の調理物を、調理容器5の内周面5aに向けて押し出すように作用する。本実施の形態において、この撹拌ブレード17の押し出し作用が機能する作用領域(E1)を「押出部」と呼ぶ。作用領域(E1)は、回転ハウジング部16の外周面から、図7(C)に示す前方縁26と後方縁27との高さ位置が同じ、または、略同じ高さとなるまでの範囲である。この押出部の作用領域(E1)の終端を、領域(E1a)とする。終端の領域(E1a)を、略水平部と呼ぶ。略水平部では、前方縁26と後方縁27との高さが同じ、または、略同じ高さとなる。略水平部(つまり領域(E1a))は、図3に示すように、調理容器5の内周面5aの近傍に位置している。
なお、回転ハウジング部16の近傍において、撹拌ブレード17の、前方縁26と後方縁27とを繋ぐ傾斜面の、図7(A)に示す回転方向X1に平行な面S1に対する傾斜角度をθ1とする。傾斜角度θ1は、20°~40°であることが好ましく、30°~40°であることがより好ましい。その理由を、以下に説明する。
傾斜角度θ1が50°以上の場合、表面に水分を有する小さな調理物が撹拌ブレード17の押出部の作用領域(E1)に付着したときに、調理物が上方へ押し出されにくい。つまり、作用領域(E1)により、調理物の、調理容器5の内周面5aへの押し出し作用が低下する。一方、傾斜角度θ1が10°以下であると、大きな調理物が撹拌ブレード17の押出部、つまり作用領域(E1)を乗り越え易くなり、結果として、調理容器5の内周
面5aへの押し出し作用が低下する。このため、傾斜角度θ1は、上述のとおり、20°~40°であることが好ましく、30°~40°であることがより好ましい。
さらに、撹拌ブレード17の、作用領域(E1)の終端である領域(E1a)より先の先端部分25は、回転方向X1にほぼ平行な領域(E2a)と、作用領域(E2)とを含む。領域(E2a)を、略水平部と呼ぶ。略水平部(つまり、領域(E2a))では、前方縁26と後方縁27との高さ位置が同じ、または、略同じ高さである。
作用領域(E2)は、領域(E2a)よりも撹拌ブレード17の終端側に配置されている。終端とは、撹拌ブレード17が回転ハウジング部16と接続される端部と反対側の端部であり、先端と同義である。作用領域(E2)は、図4及び図5に示すように、回転方向X1の上流側に向かうに従い、つまり先端部分25の終端に向かうに従い、前方縁26の高さ位置が上方に位置するように、傾斜している。さらに、作用領域(E2)において、図8(A)~図8(C)に示すように、略水平部(E2a)の終端から、撹拌ブレード17の終端に至るに従い、後方縁27が前方縁26よりも下方に位置する。また作用領域(E2)において、略水平部(E2a)の終端から撹拌ブレード17の終端に至るに従い、前方縁26と後方縁27とを繋ぐ方向は、ほぼ水平方向から、ほぼ鉛直方向となるように変化する。すなわち、撹拌ブレード17の先端部分25は、回転方向X1に平行な面S1に対する傾斜角度が、ほぼ0°からほぼ垂直となるまで変化している。
この撹拌ブレード17の先端部分25では、調理物が略水平部(E2a)の前方縁26と、内周面5a、もしくは、邪魔部5Aとから押圧を受けて、前方縁26の上を伝って撹拌ブレード17の終端に向かって持ち上げられる。そして、先端部分25では、撹拌ブレード17の終端で、もしくは、その途中で、調理物を回転方向X1の上流側へと落下させる作用が機能する。本実施の形態において、この調理物を高い位置まで持ち上げて回転方向の上流側へと落下させる作用が機能する作用領域(E2)を、「持ち上げ部」と呼ぶ。
なお、図5に示すように、撹拌ブレード17の先端部分25の前方縁26と、回転方向X1に平行な面S1との間の角度θ2は、30°~50°であることが好ましく、30°~40°であることがより好ましい。その理由を、以下に説明する。
角度θ2が20°以下であると、撹拌ブレード17の先端部分25の前方縁26の上を伝って撹拌ブレード17の終端まで移動した調理物は、調理容器5の内周面5a付近に落下しやすい。したがって、撹拌した調理物が、内周面5a付近に偏ってしまう。一方、角度θ2が60°以上であると、特に、小さな調理物においては、撹拌ブレード17の先端部分25の前方縁26が堰となって、調理物が撹拌ブレード17と一緒に回転してしまう。その結果、調理物は同じ部分が加熱され続けることになり、加熱ムラが生じることになる。このため、角度θ2は、30°~50°であることが好ましく、30°~40°であることがより好ましい。
また、図5に示すように、撹拌ブレード17の先端部分25の上端P1は、撹拌ブレード17と回転ハウジング部16との接続部の上端P2よりも上方に位置する。これにより、調理物が撹拌ブレード17の先端部分25の前方縁26の上を撹拌ブレード17終端まで移動すると、調理物の位置エネルギーはより大きくなる。したがって、上流側へと落下した調理物は、位置エネルギーから運動エネルギーへと変換し、調理容器5の底面で転がり、広い範囲に分散する。
また、図8(B)、図8(C)に示すように、撹拌ブレード17の先端部分25において、前方縁26と後方縁27の間に形成される面の、回転方向X1に平行な面S1に対する傾斜角度θ3は、60°~90°であることが好ましく、80°~90°であることが
より好ましい。その理由を、以下に説明する。
傾斜角度θ3が50°以下であると、調理物は、撹拌ブレード17の先端部分25の前方縁26と後方縁27との間で形成される面に乗り上げ、その面上を伝って撹拌ブレード17の先端に向かって移動するようになる。その場合、調理物は、撹拌ブレード17の面から受ける抵抗が大きくなるため、撹拌ブレード17の先端部分25に調理物が長く留まった状態で回転撹拌体14を回転させることになる。したがって、撹拌ブレード17の回転トルクが増大してしまう。特に、本実施の形態における磁気カップリングによる回転伝達構成では、回転トルクが増大すると、磁気カップリングに脱調が生じ、撹拌不能となってしまう。また、撹拌ブレード17の面上に調理物が留まると、さらにその上に次の調理物が乗り上がってくる。そうなると、調理容器5の内周面5aに調理物が付着し易くなる。また、付着した調理物は、掻き落とされずに付着したままとなってしまう。そのため、撹拌ブレード17の持ち上げ部(E2)である前方縁26と、当該前方縁26と背中合わせの位置関係にある後方縁27との間に形成される傾斜面の、回転方向X1に平行な面S1に対する傾斜角度θ3は、60°~90°であることが好ましく、80°~90°であることがより好ましい。傾斜角度θ3が80°~90°であることがより好ましい理由は、みじん切りした玉ネギのような、小さな調理物の場合、充分に加熱されて柔らかくなると、傾斜面に乗り上げた際の調理物の接触面積が増加する。すなわち、接触面積が増加することにより、調理物を押し上げるためには、さらに大きな押圧が必要となるため、結果、調理物が押し上げられずに、傾斜面上に留まってしまうことになるためである。
本実施の形態では、撹拌ブレード17の先端部分25では、調理物は、前方縁26の上を移動するため、前方縁26と後方縁27との間の傾斜面上を移動する場合と比べて、調理物が受ける抵抗が小さい。したがって、撹拌ブレード17の先端部分25に調理物が留まりにくい。その結果、回転撹拌体14の回転トルクが増大しにくい。また、撹拌ブレード17の先端部分25に調理物が留まりにくいため、調理容器5の内周面5aへの調理物の付着も減少する。
次に、固定撹拌体15において、図3に示すように、固定撹拌体15の固定ブレード23の先端を、先端部分28とする。先端部分28は、固定ブレード23の固定ハウジング部22に接続される端部と反対側の端部である。固定ブレード23は、平面視において回転撹拌体14の回転方向X1の下流側である撹拌回転方向に向けて凸状に湾曲するように形成しており、回転撹拌体14の撹拌ブレード17の湾曲率よりも大きい湾曲率としており、撹拌ユニット13の撹拌ブレード17と固定ブレード23とは、同じ方向に凸状の湾曲形状ではあるが、湾曲率は異なる組み合わせにしている。
ここで、図9は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器の撹拌ユニット13の斜視図であり、図10は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器の撹拌ユニット13の平面図である。また、図11は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器の撹拌ユニット13の固定撹拌体15が最下点に位置した状態での部分断面図であり、図10のG-G断面図である。
図9に示すように、固定撹拌体15の固定ブレード23は、一端を固定ハウジング部22に接続し、他端を調理容器5の内周面5a付近まで伸びる棒状のアーム29と、アーム29に接続し、調理容器5の底面に向かって伸びる板状の面を形成する撹拌固定部30とで構成している。固定ブレード23の先端部分28には、調理容器5の内周面5aと一様の隙間を維持して調理容器5の周方向に伸びる係止部24を設けている。この係止部24は、先述したように、邪魔部5Aの凸高さに係合すると、固定撹拌体15は回転動作から固定動作となって静止状態を維持するように作用する。本実施の形態では、係止部24は、内周面5aとの隙間を1mmと設定している。また、アーム29、及び、係止部24は、樹脂、もしくは、金属の硬質素材で形成し、固定撹拌部は、シリコン等の柔軟性を有す
る素材で形成した。
撹拌固定部30は、図9ないし図11に示すように、回転半径の約1/2の距離までの範囲に一様な面を有する板状の部材で形成したものである。撹拌固定部30の内周面側の端面は、撹拌ブレード17の持ち上げ部としての作用領域(E2)における後方縁27に沿って、回転半径方向に1mm~3mmの隙間となるように形成している。撹拌固定部30は、アーム29の回転方向の上流側に接続し、かつ、上端縁31は、アーム29の上方最端部と同じ位置、もしくは、幾らか上方に突出する位置にある。撹拌固定部30の下端縁32は、固定撹拌体15が撹拌ユニット13の最下端に位置する状態で、回転撹拌体14の撹拌ブレード17の撹拌面に接触する高さ位置となるように設定している。本実施の形態では、下端縁32の高さ位置は、調理容器5の底面から1mm~6mmの一様な隙間となるように設定している。
図12は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器の固定動作状態にある固定撹拌体15の下方を、回転撹拌体14が横切るように回転するときの動作を示した斜視図であり、図13はその状態における平面図であり、図14は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器の撹拌ユニット13の要部断面図であり、図13のH-H断面図である。
図12ないし図14に示すように、固定撹拌体15の下方を回転撹拌体14が横切る際、撹拌固定部30の下端縁32が、撹拌ブレード17の撹拌面(ここでは、押出部の作用領域(E1))に接触し、撹拌ブレード17の押出部(E1)の傾斜(ここでは、前方縁26から後方縁27に向かう傾斜)に誘導されて、固定撹拌体15自体を上方へと持ち上げる作用が働く。それにより、回転撹拌体14の回転動作が固定撹拌体15によって阻害されることはない。
ここで、固定撹拌体15には、固定ハウジング部22の上端に把手部35を設けている。把手部35は、使用者が把手可能とする構成である。これは、調理中、もしくは、調理後に使用者が把手部35を把手することにより、固定撹拌体15のみを取り出す際に、取り外し易くするためである。
次に、撹拌ユニット13による調理物の撹拌動作について説明する。
図15~図18は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器において、調理開始時、撹拌ユニット13の回転撹拌体14が調理物を撹拌する様子を示す平面図である。この時点では、固定撹拌体15の係止部24が調理容器5の邪魔部5Aに係合しない位置にある状態である。
図27~図30は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器において、調理開始時、撹拌ユニット13の回転撹拌体14が調理物を撹拌する様子を示す断面図である。詳細には、図27は図15の15A-15A断面図であり、図28は図16の15B-15B断面図であり、図29は図17の15C-15C断面図であり、図30は図18の15D-15D断面図である。
以下、みじん切りした玉ねぎのような比較的小さな調理物を加熱調理する場合を例に、撹拌ユニット13の回転開始直後からの撹拌動作を説明する。
まず、図2のモーター9が駆動され、モーター9の回転力が駆動側磁石7と従動側磁石19とで構成される磁気カップリングを介して回転撹拌体14に伝達されると、撹拌ユニット13は回転方向X1に回転する。これにより、図15、及び、図27に示すように、回転撹拌体14の撹拌ブレード17が調理物に接触する。このとき、固定撹拌体15は、係止部24が調理容器5の邪魔部5Aに係合していないため、回転撹拌体14の支持軸20と固定撹拌体15の軸受部21との間の摩擦力により、固定撹拌体15は回転撹拌体1
4と一体となって回転する。
その後、更に撹拌ユニット13が回転方向X1に回転されると、図16、及び、図28に示すように、回転ハウジング部16側の調理物33(図15~図25、図27~図32において、斜線のハッチングが付与されている調理物)は、押出部(つまり作用領域(E1))によって、調理容器5の内周面5a側に押し出される。
このとき、図16に示すように撹拌ブレード17の前方縁26に沿った矢印M2方向に移動する調理物と、押出部としての押出領域(E1)の上に乗り上げるように、矢印M1方向に移動する調理物とがある。また、このとき、調理容器5の内周面5a付近にある調理物34(図15~図25、図27~図32において、梨地状のハッチングが付与されている調理物)は、矢印M2方向に移動した調理物によって、内周面5aに向かって押される。さらに、内周面5a付近にある調理物34は、内周面5aで回転ハウジング部16から離れる方向への移動を規制すように押圧を受け、略水平部(E1a、E2a)にすくい上げられるように矢印M3の方向に移動する。なお、この略水平部(E1a、E2a)は調理容器5の底面からの高さ位置が低いため、大きい調理物、及び、小さい調理物の両方を容易にすくい上げられる。
回転ハウジング部16の近傍において、撹拌ブレード17の前方縁26と調理容器5の底面との隙間は1mm~3mmであり、一様に設定されている。したがって、みじん切りの玉ねぎ等の小さな調理物も、撹拌ブレード17と調理容器5の底面とで挟まれにくく、小さな調理物は、前方縁26の厚み部分に押されながら前方縁26に沿って調理容器5の底面を滑り、調理容器5の内周面5aへと移動することができる。その後、更に撹拌ユニット13が回転方向X1に回転すると、図17、及び、図29に示すように、押出部である作用領域(E1)によって回転ハウジング部16の近傍から内周面5a方向に押し出された調理物を含み、内周面5a近傍にある調理物33,34は、略水平部(E2a)の前方縁26と、内周面5a、もしくは邪魔部5Aとの間で挟まれて押圧を受ける。これにより、調理物33,34は、作用領域(E2)である前方縁26上に乗り上がり、矢印M5の方向に上がって移動する。そして、略水平部(E1a、E2a)にすくい上げられた調理物は、図中の矢印M4の方向に撹拌ブレード17を乗り越えて、回転方向X1の上流側に落下する。また、作用領域(E1)上に乗り上げていた調理物33の一部は、回転ハウジング部16付近の調理物33が続いて作用領域上(E1)上に乗り上がることで押圧を受け、作用領域(E1)の傾斜面の傾斜角が水平に近づく辺りで回転方向X1の上流側に落下する。また、作用領域(E1)上に乗り上げていた残りの調理物33は、略水平部(E1a、E2a)上を矢印M6方向に移動して回転方向X1の上流側に落下する。
その後、更に撹拌ユニット13が回転方向X1に回転すると、図18、及び、図30に示すように、持ち上げ部としての作用領域(E2)である前方縁26上を、調理物33、34が移動する。そして、作用領域(E2)の終端付近まで持ち上げられた調理物33、34は、回転方向X1の上流側である矢印M7の方向に落下する。
ここで、作用領域(E2)である前方縁26と調理容器5の内周面5aとの間の隙間は、ほぼ一定に形成されている。その間隔は、邪魔部5Aの突出量(6mm)に、回転のためのクリアランス1~3mmを加えた値で設定されている。本実施の形態では、作用領域(E2)である前方縁26と調理容器5の内周面5aとの隙間が8mmに設定されている。この隙間の設定により、作用領域(E2)では、調理物33、34が内周面5aに支えられ、前方縁26の上を移動しながら持ち上がる作用が生じる。そのため、この隙間が上記の間隔よりも広く設定されてしまうと、特に、比較的小さい調理物33、34は、作用領域(E2)で持ち上げられる手前で、内周面5aと作用領域(E2)との間に落下してしまう。
調理物33、34が作用領域(E2)である前方縁26の上を持ち上がるのは、その次に続く調理物33、34からの押圧を受けることで移動するためである。調理物33、34は、作用領域(E2)の終端付近からM7方向に落下する。この際、調理物33、34は、大きな位置エネルギーが加わった状態で落下することになり、落下により位置エネルギーが運動エネルギーに変わる。つまり、落下した調理物33、34は、調理容器5の底面を転がる運動エネルギーを持つ。この運動エネルギーにより、作用領域(E2)から落下した調理物33、34は、調理容器5の内周面5a側に偏らず、広い範囲に散らばることになる。
以上の動作により、撹拌ユニット13が回転する前の回転ハウジング部16付近の調理物33と、調理容器5の内周面5a付近の調理物34とは、図18に示すように混ざり合い、撹拌される。
さらに、撹拌ユニット13が回転方向X1に回転し、固定撹拌体15の係止部24が調理容器5の邪魔部5Aに係合すると、固定撹拌体15の回転が停止し、回転撹拌体14のみが回転するようになる。すなわち、固定撹拌体15は固定動作となって静止状態が維持される。
その後の固定撹拌体15が静止した状態からの撹拌動作について説明する。
図19~図26は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器において、固定撹拌体15が固定動作となって静止した状態で回転撹拌体14が調理物を撹拌する様子を示す平面図である。
図31と図32は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器において、固定撹拌体15が固定動作となって静止した状態で回転撹拌体14が調理物を撹拌する様子を示す断面図である。詳細には、図31は図21の15G-15G断面図であり、図32は図22の15H-15H断面図である。
図19、図20に示すように、回転撹拌体14を乗り越えて、回転方向X1の上流側に落下した調理物33,34は、調理容器5の底面に留まった状態のままとなり、回転方向X1の下流側、すなわち、回転撹拌体14の撹拌ブレード17の押出部(E1)に押圧を受ける調理物33、34は、回転撹拌体14と一緒に回転方向X1に回転する。
そして、図21、及び、図31に示すように、撹拌固定部30の下端縁32に撹拌ブレード17の前方縁26が近づく位置まで回転撹拌体14が回転すると、回転撹拌体14の前方縁26に押されて調理容器5の底面を回転撹拌体14と一緒に回転していた内周面5a近傍の調理物は、撹拌固定部30から押圧を受けて、調理物の一部は、略水平部(E1a、E2a)にすくい上げられるように矢印M8の方向に移動する。そして、調理物の一部は、作用領域(E2)である前方縁26上に乗り上がり、矢印M9の方向に上がって移動する。残りの調理物は、撹拌固定部30の面に誘導されて撹拌ブレード17の押出部(E1)の傾斜面上を回転ハウジング部16側に向かうように矢印M10の方向に移動する。
そして、図22、及び、図32に示すように、回転撹拌体14の撹拌ブレード17が回転し、撹拌ブレード17の後方縁27が撹拌固定部30の下端部32まで回転すると、矢印M9、M10の方向に移動して撹拌ブレード17を乗り越えた調理物は調理容器5の底面に落下し、図に示すように転がって散らばる。
その後、図23に示すように、固定撹拌体15を形成する撹拌固定部30の回転方向X1の上流側に落下した調理物はそのまま留まり、撹拌固定部30の回転方向X1の下流側にあった調理物は、撹拌ブレード17に押されて回転撹拌体14と一緒に回転する。
さらに回転撹拌体14が回転して、図24に示すように固定撹拌体15に近づくと、撹拌固定部30の回転方向X1の上流側に留まっていた調理物と、撹拌ブレード17に押されてきた調理物とが混ざる。この時、撹拌固定部30の範囲に係る図中の梨地で示した調理物36と、回転ハウジング部16近傍の撹拌固定部30に係らない斜線でしめした調理物37は、回転撹拌体14がさらに回転して撹拌ブレード17が撹拌固定部30の回転方向X1下流側まで至ると、図25で示したように、撹拌固定部30に係らない調理物37は、撹拌固定部30に当たらずに図に示すように撹拌固定部30を横切って、回転方向X1の下流側に移動する。一方、撹拌固定部30に係る調理物36は、先述したように図21、図22上のM8、M9、M10の移動から調理容器5の底面に散らばるように拡散する。
固定撹拌体15を横切った調理物37は、図26に示すように、撹拌ブレード17に押されながら回転撹拌体14と一緒に回転するが、回転しながら前方縁26に沿って調理容器5の内周面5a側に移動する。
以降、このような撹拌動作が繰り返され、回転ハウジング部16付近の調理物を調理容器5の内周面5a近傍へと寄せ、調理容器5の内周面5a付近にある調理物を回転ハウジング部16付近へと移動させるように、調理物の位置を交互に入れ替えるように調理容器5の底面全体に撹拌させることができる。それにより、調理物をより均一に加熱させることができるようになる。また、固定撹拌体15の固定ブレード23の湾曲率を、回転撹拌体14の撹拌ブレード17の湾曲率よりも大きく設定したことで、矢印M10の方向に押し出す作用がより誘発されるようになる。
ここまで、みじん切りした玉ねぎのような比較的小さな調理物の撹拌動作を例に説明したが、これは、フライドポテトのような比較的大きな調理物においても、同様の撹拌動作が作用する。その他、カットされた青菜類の炒めでも効果を示す。通常、カットされた青菜類を回転撹拌体14のみで撹拌すると、カットされた青菜類は調理容器5の底面や、内周面5a、及び、邪魔部5Aからの押圧を受けづらいため、回転撹拌体14を乗り越えずに一緒に回転してしまい、散らす、返すといった撹拌動作が作用しない。しかし、本実施の形態の場合、カットされた青菜類は固定撹拌体15から押圧を受けるため、回転撹拌体14による撹拌作用が働き、効果的に炒めの返しを作用させることができるものである。
さらに、固定撹拌体15の固定ハウジング部22の内部には浮き部38を設けているため、図33に示すように、煮込み調理での撹拌においては、固定撹拌体15が液面付近まで浮き、液中の調理物を効果的に撹拌することができりものである。
なお、本開示は本実施の形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。例えば、本実施の形態では、撹拌固定部30の下端部32を、撹拌ブレード17の前方縁26よりも上方に位置する設定としたが、撹拌固定部30の素材がシリコン等の柔軟素材で構成しているため、撹拌固定部30の下端部32を調理容器5の底面に接するように設定しても、同様の撹拌作用は得られ、固定撹拌体15を回転撹拌体14が横切る際、撹拌固定部30が柔軟に変形して撹拌ブレード17の撹拌面に乗り上がり、固定撹拌体15自体が上昇して撹拌ブレード17を乗り越えるため、回転撹拌体14はスムーズに回転する。
また、本実施の形態では、撹拌ブレード17は、一枚の板材をねじるようにして構成されるものとしたが、本開示はこれに限定されない。例えば、撹拌ブレード17は、樹脂の射出成形により立体的に構成されてもよい。
なお、様々な実施の形態のうちの任意の実施の形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。