JP7123598B2 - 氷菓用製剤、氷菓、および氷菓の製造方法 - Google Patents
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表1に示す配合処方(重量%)で、下記の方法により、氷菓を作製した。各配合処方は以下の通りである。スクシノグリカン、ラムダカラギナンとしては、市販品を、イオタカラギナンとしては、商品名「オルピンJ」(オルガノフードテック株式会社製)を用いた。
比較例1(ブランク):増粘多糖類無添加
比較例2:スクシノグリカン単品
比較例3:ラムダカラギナン単品
比較例4:イオタカラギナン単品
比較例5:ラムダカラギナン+イオタカラギナン
参考例15:スクシノグリカン+ラムダカラギナン
参考例16:スクシノグリカン+イオタカラギナン
実施例1:スクシノグリカン+ラムダカラギナン+イオタカラギナン
水飴と水とを1Lのビーカーに量りとり、粉体(緑茶粉末、増粘多糖類、デキストリン、砂糖)を加え、10分間撹拌した。湯煎で85℃達温まで加熱後、流水で30℃になるまで冷却し、その後、氷水で10℃以下になるまで冷却し、ミックスを得た。得られたミックスをホモジナイザー(TK ROBOMICS)により、8000rpmで1分間ホモジネート処理後、アイスクリーマーに入れて15分間撹拌した。さらに冷やしたステファンカッター(中村産業社製)で30秒撹拌し、均質化した。ゼリーカップ(内径6.4cm、高さ4cm)に70~80gずつ充填し、フタをして-60℃の冷凍庫で30分間急速冷凍した。その後、-20℃の冷凍庫で一晩以上冷凍した。
目開き(1.25mm×4mm)のネットをロート(φ80mm)の上に載せてビニールタイで結んだ後、室温(26±1℃)環境下で、上記の通り作製した氷菓を冷凍庫(-20℃)から取り出してネットの上に載せた。氷菓は、ゼリーカップから形状を維持したまま取り出した。ロートを比色管(100mL)にセットし、2時間解凍後に溶け落ちた氷菓の量を測定し、下の式により、溶け落ちた氷菓の割合を計算した。3回試験を行った平均値を結果として表1に示す。
{[(比色管の重量+溶け落ちた氷菓の重量)-比色管の重量]/ロートに載せた氷菓の重量}×100
官能試験では、上記の通り作製した、ゼリーカップに充填した氷菓を使用し、26±1℃で10分間解凍した状態のものと26±1℃で2時間解凍した状態のものとで5段階評価で比較した。6人の健康な成人により、スプーンを用いて得られた氷菓をすくい取り、物性の評価を行った。氷菓として楽しむために必要な指標として、10分間解凍後の評価項目は、(A)ゲル状・ぬめり、(B)氷状・粗さ、(C)スプーン通りの3点について行い、2時間解凍後の評価項目は、(A)ゲル状・ぬめり、(B)氷状・粗さの2点について行った。5段階の評価基準は以下の通りである。結果を表1に示す。
1:ゲル状
2:ややゲル状
3:ぬめる
4:ややぬめる
5:ぬめらない
(B)氷状・粗さ
1:氷結晶が大きく、その大きさが不均一
2:氷結晶がやや大きく、その大きさが不均一
3:氷結晶がやや大きいが、その大きさが均一
4:氷の結晶がやや小さくて組織がなめらか
5:氷結晶が小さくて組織が非常になめらか
(C)スプーン通り
1:スプーン通りが非常に悪く、スプーンが通らない
2:スプーン通りが悪く、なんとか通るが硬い
3:スプーン通りがやや悪く、力が必要
4:スプーン通りが良く、少し力を入れると通る
5:スプーン通りが非常に良く、軽い力で通る
比較例2のスクシノグリカン単品では、(C)スプーン通りが1.3と悪い結果となった。比較例3のラムダカラギナン単品では(B)氷状・粗さの項目において、冷凍庫から取り出して10分後が2.7と2時間解凍後が2.5と、どちらもざらつきが感じられ、また(C)スプーン通りにおいても1.3となり、悪い結果となった。比較例4のイオタカラギナン単品では、溶け落ちた割合が32.4%と溶け出しにくい氷菓を作製することができた。しかし、(A)ゲル状・ぬめりの項目の、解凍後10分後から2時間後の変化をみてみると、その差は1.8と大きく、食感が変わり、ぬめりを感じる食感となってしまったことがわかる。
また、カラギナンにスクシノグリカンを加えると溶け出しにくい氷菓が得られることから、カラギナン以外の増粘多糖類についてもスクシノグリカンとの組み合わせにより、氷菓がどのような傾向になるのか検討した。検討した増粘多糖類は、タマリンドシードガム(参考例1,8)、ペクチン(参考例2,9)、脱アシルジェランガム+乳酸カルシウム5水和物(参考例3,10)、グアーガム(参考例4,11)、グルコマンナン(参考例5,12)、サイリウムシードガム(参考例6,13)、ローカストビーンガム(参考例7,14)である。表2,3に示す処方で、実施例1と同様にして氷菓を作製し、評価を行った。結果を表2,3に示す。
その結果、ペクチン、脱アシルジェランガム+乳酸カルシウム5水和物、グアーガム、グルコマンナン、サイリウムシードガムでは、スクシノグリカンとの併用により、溶け出しやすい氷菓となった。スクシノグリカンとの併用により溶け出しにくくなった増粘多糖類は、タマリンドシードガムとローカストビーンガムの2つであった。しかし、タマリンドシードガムを使用した氷菓では、2時間解凍後に(A)ゲル状・ぬめりの項目が低い結果となった。タマリンドシードガムにスクシノグリカンを併用した氷菓で1.7、スクシノグリカン併用なしで1.5と、どちらもゲル状食感を感じることがわかる。また、ローカストビーンガムではスクシノグリカンとの併用により、冷凍庫から出して10分後でも(A)ゲル状・ぬめりの項目で3.7とぬめりを感じ、2時間解凍後には2.3となり、ゲル状食感となってしまった。
スクシノグリカン単品、ラムダカラギナン単品では氷菓の溶け出しを抑制することはできなかった。イオタカラギナン単品では氷菓の溶け出しを抑制することができたが、食感に変化が生じてしまった。ラムダカラギナンとイオタカラギナンとの組み合わせでは、氷菓の溶け出しを抑制することはできず、スプーン通りも悪かった。スクシノグリカンと、イオタカラギナンおよびラムダカラギナンのうち少なくとも1つとの組み合わせで、溶け出しにくく、比較的食感の良い氷菓が得られた。スクシノグリカンとラムダカラギナンとイオタカラギナンとの組み合わせで、溶け出しにくく、スプーン通りが良い、また2時間放置しても食感が変わらないバランスの良いものが得られた。カラギナン以外にスクシノグリカンと組み合わせる増粘多糖類を検討したが、スクシノグリカンを併用すると、溶け出しやすくなったり、溶け出しにくいがゲル状になったり、ぬめりを感じたりと、氷菓として好ましいものではなかった。
Claims (4)
- スクシノグリカンとラムダカラギナンとイオタカラギナンとを含むことを特徴とする氷菓用製剤。
- スクシノグリカンとラムダカラギナンとイオタカラギナンとを含むことを特徴とする氷菓。
- 請求項2に記載の氷菓であって、
前記スクシノグリカンの含有量は、0.02~0.15重量%であり、前記ラムダカラギナンの含有量は、0.02~0.15重量%であり、前記イオタカラギナンの含有量は、0.02~0.15重量%であることを特徴とする氷菓。 - 請求項1に記載の氷菓用製剤を用いて氷菓を製造することを特徴とする氷菓の製造方法。
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