JP7120770B2 - 型枠離型剤 - Google Patents
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Description
表面気泡の低減に対し、水溶性剥離剤が一般に使用され、ある程度の効果は認められているが、まだ充分ではない。即ち、水溶性剥離剤を使用した場合、型枠からのコンクリートの脱型性が悪く、型枠にコンクリートが付着して、コンクリート表面の平滑性が損なわれ、コンクリート内部の気泡や空隙が表面に現れ、逆に美観性が低下する場合が多い。
工程2:工程1で得られた水硬性組成物を、本発明の前記型枠離型剤を塗布した型枠に充填する工程。
工程3:工程2で得られた型枠に充填された水硬性組成物を硬化させる工程。
工程4:工程3で得られた硬化体を型枠から脱型する工程。
本発明の型枠離型剤を用いることにより、硬化体脱型時の離型性に優れ、また硬化体の表面から気泡痕を十分に取り除く事により表面美観を向上することできる機構は不明であるが、以下の様に推定される。
本発明の型枠離型剤を型枠に塗布して、水硬性組成物を充填した際、(a)成分はセメントペーストのような高イオン濃度の水硬性組成物と接触すると、徐々に凝集・もしくは水硬性組成物表面に吸着する。この効果により、凝集・もしくは吸着した水硬性組成物表面の表面自由エネルギーを低下させることで水硬性組成物の濡れ性が向上し、相対的に気泡が界面に出にくくなることで、硬化体表面の美観が向上したものと考えられる。また、離型性に関しては、凝集物による脆弱層の形成により、剥離が容易となるものと考えられる。
また前記脂肪酸ジエタノールアミドは、特開2003-183232号公報に記載の方法により得ることができる。
(b)成分として、スピン油を用いる場合、スピン油としては、コスモピュアスピンE、コスモピュアスピンESP(いずれもコスモ石油ルブリカンツ(株)製)が挙げられ、コスモピュアスピンESPが好ましい。
(b)成分として、マシン油を用いる場合、マシン油としてはコスモピュアセイフティー10、コスモピュアセイフティー22、コスモピュアセイフティー32、コスモピュアセイフティー46、コスモピュアセイフティー68(いずれもコスモ石油ルブリカンツ(株)製)が挙げられる。
(c)成分は、本発明の型枠離型剤において、(a)成分のうち低温での結晶性の高い化合物のパッキング性を低下させることで、型枠離型剤の低温安定性を改善するものと考えられるため好ましい。
ここで、HLB値は、下記に示すグリフィンの式で定義される。
HLB値=20×Mw/M
(式中、Mはノニオン界面活性剤の分子量であり、Mwは該ノニオン界面活性剤の親水性部分の分子量である。)
(c)成分が、(c4)成分である場合、(c4)成分は、炭素数が、好ましくは8以上、より好ましくは10以上、そして、好ましくは22以下、より好ましくは20以下の、直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基、好ましくは直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基を有する化合物が好ましい。
(c4)成分としては、ソルビタンモノラウレート(HLB8.6)、ソルビタンモノオレエート(HLB4.3)、ソルビタンモノパルミテート(HLB6.7)、ソルビタンモノステアレート(HLB4.7)から選ばれる1種以上が挙げられる。
(c2)成分としては、ポリオキシアルキレンラウリルエーテル、ポリオキシアルキレンオレイルエーテル、ポリオキシアルキレンパルミチルエーテル、ポリオキシアルキレンステアリルエーテルから選ばれる1種以上が挙げられる。但し、これらはHLBが10以下である。
(c5)成分としては、ラウリン酸モノグリセライド(HLB5.3)、オレイン酸モノグリセライド(HLB4.0)、パルミチン酸モノグリセライド(HLB4.4)、ステアリン酸モノグリセライド(HLB3.4)から選ばれる1種以上が挙げられる。
これらの中でも、(c)成分のノニオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンラウリルエーテル、ポリオキシアルキレンオレイルエーテル、ソルビタンモノラウレート及びソルビタンモノオレエートから選ばれる1種以上が好ましく、ポリオキシアルキレンラウリルエーテル、ソルビタンモノラウレート及びソルビタンモノオレエートから選ばれる1種以上がより好ましく、ソルビタンモノラウレート及びソルビタンモノオレエートから選ばれる1種以上が更に好ましい。
アルコールとしては、具体的には、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、リノールアルコール及びステアリルアルコールから選ばれる1種以上が挙げられ、低温安定性の観点から、好ましくはオレイルアルコール、リノールアルコール及びラウリルアルコールから選ばれる1種以上であり、より好ましくはオレイルアルコール及びリノールアルコールから選ばれる1種以上である。
脂肪酸としては、具体的には、オレイン酸、リノール酸、ラウリン酸及びステアリン酸から選ばれる1種以上が挙げられ、低温安定性の観点から、好ましくはオレイン酸、リノール酸及びラウリン酸から選ばれる1種以上であり、より好ましくはオレイン酸及びリノール酸から選ばれる1種以上である。
すなわち、本発明の型枠離型剤において、(a)成分の含有量と(c)成分の含有量の質量比(a)/(c)は、低温安定性の観点から、好ましくは0.25以上、より好ましくは0.28以上、更に好ましくは0.31以上、より更に好ましくは0.42以上、そして、好ましくは4以下、より好ましくは3.6以下、更に好ましくは3.2以下、より更に好ましくは2.4以下である。
本発明の型枠離型剤の型枠への塗布量は、離型性および表面美観の観点から、好ましくは0.5g/m2以上、より好ましくは1g/m2以上、更に好ましくは1.5g/m2以上、そして、好ましくは40g/m2以下、より好ましくは38g/m2以下、更に好ましくは36g/m2以下である。
セメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント、エコセメント(例えばJIS R5214等)が挙げられる。これらの中でも、普通ポルトランドセメント、耐硫酸性ポルトランドセメント及び白色ポルトランドセメントから選ばれるセメントが好ましく、普通ポルトランドセメントがより好ましい。
水硬性組成物は、セルフレベリング用、耐火物用、プラスター用、軽量又は重量コンクリート用、AE用、補修用、プレパックド用、トレーミー用、地盤改良用、グラウト用、寒中用等の種々の分野を対象としたものが用いられる。
R31-O-[(EO)n・(PO)m’]-H (III-1)
[式中、R31は炭素数4以上15以下の炭化水素基、EOはエチレンオキシ基、POはプロピレンオキシ基、nはEOの平均付加モル数で1以上5以下の数、m’はPOの平均付加モル数で0以上5以下の数であり、EOとPOはブロック又はランダムに結合してもよい。〕
ポリカルボン酸系分散剤としては、下記一般式(II-1)で示される単量体(II-1)と下記一般式(II-2)で示される単量体(II-2)とを構成単量体として含む共重合体がより好ましい。
R21、R22:同一でも異なっていても良く、水素原子又はメチル基
R23:水素原子又は-COO(AO)n1X1
X1:水素原子又は炭素数1以上4以下のアルキル基
AO:エチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基から選ばれる基
n1:AOの平均付加モル数であり、1以上300以下の数
q:0以上2以下の数
p:0又は1の数
を示す。〕
R24、R25、R26:同一でも異なっていても良く、水素原子、メチル基又は(CH2)rCOOM2であり、(CH2)rCOOM2は、COOM1又は他の(CH2)rCOOM2と無水物を形成していてもよく、その場合、それらの基のM1、M2は存在しない。
M1、M2:同一でも異なっていても良く、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基、置換アルキルアンモニウム基、アルキル基、ヒドロアルキル基又はアルケニル基
r:0以上2以下の数
を示す。〕
一般式(II-1)中、R22は、流動保持性の観点から、メチル基が好ましい。
一般式(II-1)中、R23は、流動保持性の観点から、水素原子が好ましい。
一般式(II-1)中、X1は、流動保持性の観点から、水素原子又はメチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
一般式(II-1)中、AOは、流動保持性の観点から、エチレンオキシ基が好ましい。AOはエチレンオキシ基を含むことが好ましい。
一般式(II-1)中、n1は、AOの平均付加モル数であり、流動保持性の観点から、好ましくは5以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは15以上、より更に好ましくは20以上、そして、好ましくは300以下、より好ましくは200以下、更に好ましくは150以下、より更に好ましくは130以下である。
一般式(II-1)中、流動保持性の観点から、pは、1が好ましい。
一般式(II-2)中、流動保持性の観点から、R25は、メチル基が好ましい。
一般式(II-2)中、流動保持性の観点から、R26は、水素原子が好ましい。
(CH2)rCOOM2については、COOM1又は他の(CH2)rCOOM2と無水物を形成していてもよく、その場合、それらの基のM1、M2は存在しない。
M1とM2は同一でも異なっていても良く、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基、置換アルキルアンモニウム基、アルキル基、ヒドロアルキル基又はアルケニル基である。
M1、M2のアルキル基、ヒドロアルキル基、及びアルケニル基は、それぞれ、炭素数1以上4以下が好ましい。
M1とM2は、同一でも異なっていても良く、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム基、又はアルキルアンモニウム基が好ましく、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、又はアンモニウム基がより好ましく、水素原子、アルカリ金属、又はアルカリ土類金属(1/2原子)が更に好ましく、水素原子、又はアルカリ金属がより更に好ましい。
流動保持性の観点から、一般式(II-2)中の(CH2)rCOOM2のrは、1が好ましい。
単量体(II-1)と単量体(II-2)とを構成単量体として含む共重合体は、流動保持性の観点から、構成単量体中の単量体(II-1)と単量体(II-2)の合計量が、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、そして、好ましくは100質量%以下である。この合計量は、100質量%であってもよい。
*GPC条件
装置:GPC(HLC-8320GPC)東ソー株式会社製
カラム:G4000PWXL+G2500PWXL(東ソー株式会社製)
溶離液:0.2Mリン酸バッファー/CH3CN=9/1
流量:1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出:RI
サンプルサイズ:0.2mg/mL
標準物質:ポリエチレングリコール換算(分子量既知の単分散ポリエチレングリコール、分子量87,500、250,000、145,000、46,000、24,000)
一般式(III-1)中、R31が芳香環を含まない炭化水素基である場合、R31は、(I)成分と(II)成分とを一液化する観点と水硬性組成物の表面美観を向上させる観点から、炭素数4以上、そして、15以下、好ましくは10以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは6以下のアルキル基又はアルケニル基が好ましい。またR31が芳香環を含む炭化水素基である場合、(I)成分と(II)成分とを一液化する観点と表面美観を向上させる観点から、R31の炭素数は、6以上、そして、15以下、好ましくは12以下、より好ましくは7以下であり、また6であってもよい。
炭化水素基の炭素数は、表面美観改善効果の観点から、12以上、好ましくは14以上、より好ましくは16以上、更に好ましくは18以上、そして、22以下、好ましくは20以下である。
本発明の型枠離型剤の製造方法は、前記型枠離型剤を製造する方法である。即ち、本発明の型枠離型剤の製造方法は、(a)成分、並びに任意成分である(b)成分及び(c)成分を混合して、型枠離型剤を製造する方法である。
本発明の型枠離型剤の製造方法は、本発明の型枠離型剤で述べた事項を、適宜適用することができる。
本発明の水硬性組成物の硬化体の製造方法は、次の工程1~工程4を含む水硬性組成物の硬化体の製造方法である。
工程1:水と水硬性粉体とを混練して水硬性組成物を得る工程。
工程2:工程1で得られた水硬性組成物を、本発明の上記型枠離型剤を塗布した型枠に充填する工程。
工程3:工程2で得られた型枠に充填された水硬性組成物を硬化させる工程。
工程4:工程3で得られた硬化体を型枠から脱型する工程。
本発明の水硬性組成物の硬化体の製造方法には、本発明の型枠離型剤、及び型枠離型剤の製造方法で述べた事項を、適宜適用することができる。
また本発明の型枠剥離剤の型枠への塗布量は、離型性および表面美観の観点から、好ましくは0.5g/m2以上、より好ましくは1g/m2以上、更に好ましくは1.5g/m2以上、そして、好ましくは40g/m2以下、より好ましくは38g/m2以下、更に好ましく36g/m2以下である。
また型枠への充填方法としては、ミキサーから直接投入する方法、水硬性組成物をポンプで圧送して型枠に導入する方法等が挙げられる。
工程3では、例えば、養生条件として水硬性組成物が養生温度50℃以上に保持される時間を好ましくは1時間以上、そして、好ましくは24時間以下、より好ましくは20時間以下とする。なお、型枠に充填された水硬性組成物を50℃以上に保持して養生を行う場合、オートクレーブ養生、蒸気等の加熱養生により行うことができる。
また工程3では、蒸気養生をせずに、水硬性組成物を硬化させてもよい。蒸気養生をしないでモルタル又はコンクリート製品を製造する場合の水硬性組成物の調製でセメントに水を接触させてから脱型するまでの時間は、生産性および強度の観点から、4時間以上48時間以下が好ましい。この場合、温度は0℃以上、更に5℃以上が好ましく、そして、45℃以下、更に40℃以下が好ましい。この温度範囲での加熱及び/又は冷却は適宜行うことができる。
本発明では、水硬性組成物の調製を開始してから脱型するまでの時間、すなわち、セメントに水を接触させてから脱型を開始するまでの時間は、生産性および強度の観点から、4時間以上、更に5時間以上が好ましく、そして、48時間以下、更に40時間以下が好ましい。
[型枠離型剤の調製]
下記配合成分を用いて、表1に示す型枠離型剤を調製し、下記の低温安定性の評価を行った。結果を表1に示す。表1の型枠離型剤は、常法により調製した。即ち、ビーカーに(a)成分~(c)成分を投入し、水浴(60℃)で加温してから、マグネチックスターラーで30分間撹拌し、20℃まで放冷することで型枠離型剤を調製した。なお、表1の各成分の含有量は、有効分に基づく質量%である。
・(a-1):オレイン酸ジエタノールアミド42質量%、リノール酸ジエタノールアミド33質量%、パルミチン酸ジエタノールアミド23質量%、ステアリン酸ジエタノールアミド2質量%の混合物(川研ファインケミカル(株)製)
・(a-2):ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(川研ファインケミカル(株)製、オレイン酸ジエタノールアミドの含有量8質量%)
・(a-3):ラウリン酸ジエタノールアミドとミリスチン酸ジエタノールアミドとの混合物(川研ファインケミカル(株)製)
・(a-4):オレイン酸ジエタノールアミド(和光純薬工業(株)製)
・(a-5):ラウリン酸ジエタノールアミド(和光純薬工業(株)製)
・(a-6):パーム核油脂肪酸ジエタノールアミド(花王(株)製、オレイン酸ジエタノールアミドの含有量15質量%)
・(b-1):スピン油(コスモピュアスピンESP、コスモ石油ルブリカンツ(株)製)、動粘度4.8mm2/s
・(b-2):マシン油(コスモピュアセイフティー10、コスモ石油ルブリカンツ(株)製)、動粘度10mm2/s
・(b-3):マシン油(コスモピュアセイフティー22、コスモ石油ルブリカンツ(株)製)、動粘度22mm2/s
・(b-4):マシン油(コスモピュアセイフティー32、コスモ石油ルブリカンツ(株)製)、動粘度32mm2/s
・(b-5):マシン油(コスモピュアセイフティー46、コスモ石油ルブリカンツ(株)製)、動粘度48mm2/s
・(b-6):マシン油(コスモピュアセイフティー68、コスモ石油ルブリカンツ(株)製)、動粘度68mm2/s
(b)成分の動粘度は、JIS K 2283に記載の方法で測定した。
・(c-1):ソルビタンモノラウレート(花王(株)製)、HLB8.6
・(c-2):ソルビタンモノオレエート(花王(株)製)、HLB4.3
・(c-3):オレイン酸(花王(株)製)
・(c-4):オレイルアルコール(東京化成工業(株)製)
表1に示す型枠離型剤100gをマルエム スクリュー管ビンNo.8に移した後、密封し、0℃の温度に誤差範囲を±1℃に設定した恒温室に静置した。そして、静置後1週間、1ヵ月、3ヵ月間保存したサンプルビンにものさしを当て、全サンプル中の高さに対して、析出物が占める高さの割合(%)で評価した。評価の基準は下記の通りである。その結果を表1に示す。
◎:サンプルに析出物が見られない。
○:サンプルに析出物が1%未満見られる。
△:サンプルに析出物が1%以上10%未満見られる。
低温安定性の評価基準において、△は離型剤として使えるレベルであり、◎や○であるとより好ましい。
[モルタルの調製と離型評価]
モルタル配合を表2に示した。モルタルは、セメントと砂を混合したものに、水、分散剤、消泡剤を混合した水溶液を加えて、JIS R 5201に規定されるモルタルミキサーを使用してモルタルを60rpmで60秒混練した後に120rpmで60秒混錬して調製した。分散剤の添加量は、JISR 5201に記載のフローコーン(上径70mm×下径100mm×高さ60mm)を使用してモルタルフローが200±10mmとなるように分散剤の添加量を調整した。また消泡剤の添加量は、ステンレス製の容器(内径7.5cm、内高8.0cm、重さ1.0kg)にモルタルを充填し、巻き込み空気を抜いて重量法により測定した空気量が2.0%±1.0%となるように消泡剤の添加量を調整した。
・セメント:太平洋セメント(株)製普通ポルトランドセメントと住友大阪セメント(株)製普通ポルトランドセメントの1:1混合物、比重3.16
・砂:京都府城陽産 表乾比重2.50g/cm3
・水:水道水(表2中、水の含有量は、分散剤と消泡剤の添加量を含む)
・分散剤:花王(株)製、マイテイ21 LV-S
・消泡剤:花王(株)製、消泡剤No.21
・比較離型剤2:パラット(山宗化学(株)製)
・比較離型剤3:ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル(エマルゲン102KG、花王(株)製)5.0質量%と(b-5)95.0質量%の混合物
・比較離型剤4:ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテル(エマルゲン109P:花王(株)製)5.0質量%と(b-5)95.0質量%の混合物
モルタル硬化体表面を、デジタルカメラで撮影縮尺を記録した上で撮影し、撮影した画像を、画像処理オープンソースソフトウェアのImageJを用いて画像解析を行った。撮影した画像の表面気泡径を、撮影縮尺を参考に実寸に換算し、表面積5000mm2当たりの硬化体表面粗大気泡数(直径1mm以上の表面気泡の数)および、硬化体表面気泡総表面積を算出し、表面美観の指標として表3に示した。表3中の値は、2つのモルタル硬化体ごとに各表面を撮影して、測定した値を平均したものである。硬化体表面粗大気泡数、及び硬化体表面気泡総表面積の各値が小さいほど表面美観に優れていると言えるため好ましい。
モルタル硬化体の脱型後、鋼製型枠表面を、デジタルカメラで撮影縮尺を記録した上で撮影し、撮影した画像を、画像処理オープンソースソフトウェアのImageJを用いて画像解析を行った。撮影した画像のはがれ残り部分を、撮影縮尺を参考に実寸に換算し、表面積5000mm2当たりのはがれ残り面積をもとにはがれ残りの割合を算出した。2つのモルタル硬化体ごとにはがれ残りを確認し、各はがれ残りの割合を平均した値をもとに、下記評価基準で判断した。結果を表3に示す。
◎:はがれ残りが鋼製型枠の全面積に対して0.1%未満
○:はがれ残りが鋼製型枠の全面積に対して0.1%以上1%未満
△:はがれ残りが鋼製型枠の全面積に対して1%以上
本発明の(a)成分を、離型剤として用いず、モルタルに配合した比較例2-3は、表面美観の結果が悪く、離型性と表面美観の向上を両立できないことが分かる。
[コンクリートの調製と離型評価]
・コンクリート1、2の調製
コンクリート配合1を表4に示した。コンクリート1、2は、コンクリート配合1の分量で、強制2軸型ミキサー(株式会社IHI製)に、砂利、約半量の砂、セメント、残部の砂の順に投入し、空練りを15秒間行い、次いで、下記の分散剤及び消泡剤を含む練り混ぜ水を添加し、120秒間練り混ぜた。得られたコンクリートについて、JISA 1101に基づいてコンクリート流動性を測定し、分散剤1を、コンクリートのスランプ値が8±1cmとなるように添加したものをコンクリート1、コンクリートのスランプ値が21±1cmとなるように添加したものをコンクリート2とした。また、得られたコンクリート1、2の空気量をJISA 1128に基づいて測定し、これが1.5±1.5%となることを確認した。
コンクリート配合2を表4に示した。コンクリート3~5は、コンクリート配合2の分量で、強制2軸型ミキサー(株式会社IHI製)に、砂利、約半量の砂、セメント、フライアッシュ、残部の砂の順に投入し、空練りを15秒間行い、次いで、下記の分散剤及び消泡剤を含む練り混ぜ水を添加し、120秒間練り混ぜた。得られたコンクリートについて、JISA 1150に基づいてコンクリート流動性を測定し、分散剤2を、コンクリートのスランプフローが600±10mmとなるように添加したものをコンクリート3、コンクリートのスランプフローが650±10mmとなるように添加したものをコンクリート4、コンクリートのスランプフローが700±10mmとなるように添加したものをコンクリート5とした。また、得られたコンクリート3~5の空気量をJISA 1128に基づいて測定し、これが1.5±1.5%となることを確認した。
・セメント:太平洋セメント(株)製、普通ポルトランドセメント、比重3.16
・フライアッシュ:中部電力(株)製、II種フライアッシュ
・砂:兵庫県西島産砕砂 密度2.58g/cm3
・砂利:兵庫県西島産砕石 密度2.63g/cm3
・水:水道水(表4、5中、水の含有量は、分散剤と消泡剤の添加量を含む)
・分散剤1:花王(株)製、マイテイ21 LV-S
・分散剤2:花王(株)製、マイテイ21HF
・消泡剤:花王(株)製、消泡剤No.21
また離型性の評価については、鋼製型枠表面を、デジタルカメラで撮影縮尺を記録した上で撮影し、撮影した画像を、画像処理オープンソースソフトウェアのImageJを用いて画像解析を行い、撮影した画像のはがれ残り部分を、撮影縮尺を参考に実寸に換算し、表面積1000cm2当たりのはがれ残り面積をもとにはがれ残りの割合を算出した。2つのモルタル硬化体ごとにはがれ残りを確認し、各はがれ残りの割合を平均した値をもとに、実施例2及び比較例2のモルタル硬化体の離型性評価基準と同じ基準で判断した。結果を表6、7に示す。
また養生条件において、「気中養生」は、コンクリートを型枠に充填後、24時間、20℃で気中養生をしたことを意味する。また「蒸気養生」は、コンクリートを型枠に充填後、20℃での前置き養生1時間、60℃での蒸気養生6時間、後置き養生1時間の計8時間の蒸気養生をしたことを意味する。
コンクリート配合は以下の通りであった。
セメント:12.0kg(太平洋セメント株式会社製普通ポルトランドセメント、比重3.16)
炭酸カルシウム微粉末:3.6kg(ネオフロー、清水工業株式会社製、比重2.7)
練り混ぜ水:5.25kg(セメント混和剤を含む)
砂:22.4kg 兵庫県西島産砕砂 密度2.58g/cm3
砂利:26.9kg 兵庫県西島産砕石 密度2.63g/cm3
(i):脂肪酸ジエタノールアミド(脂肪酸部分の炭素数が10~16のアルキル基である化合物)、アミノーンPK-02S、花王(株)製
(ii):ポリカルボン酸系分散剤、マイテイ21VS、花王(株)製
(iii):フェノキシエタノール、ダウケミカル社製
(iv):アルキル硫酸エステル塩(炭素数18のアルキル基であり、エチレンオキシ基の平均付加モル数が23モルであるアルキル硫酸エステルアンモニウム塩)、花王(株)製
コンクリート硬化体の表面をデジタルカメラで撮影し、撮影した画像から、画像処理ソフトImageJを用いて、表面気泡占有率(%)を算出し、表面美観の指標とした。表面気泡占有率は、表面気泡総表面積(cm2)×100/コンクリート硬化体表面積(cm2)で求めた。結果を表8に示した。
Claims (6)
- 更に(c)成分として、HLBが10以下のノニオン界面活性剤(但し、(a)成分を除く)、炭素数が8以上22以下の直鎖若しくは分岐鎖の炭化水素基を有するアルコール及び炭素数が7以上21以下の直鎖若しくは分岐鎖の炭化水素基を有する脂肪酸から選ばれる1種以上を含む、請求項1に記載の型枠離型剤。
- 型枠離型剤中、(c)成分を1質量%以上30質量%以下含有する、請求項2に記載の型枠離型剤。
- 型枠離型剤中、(a)成分の含有量と(c)成分の含有量の質量比(a)/(c)が、0.25以上4以下である、請求項2又は3に記載の型枠離型剤。
- 次の工程1~工程4を含む水硬性組成物の硬化体の製造方法。
工程1:水と水硬性粉体とを混練して水硬性組成物を得る工程。
工程2:工程1で得られた水硬性組成物を、請求項1~4の何れか1項に記載の型枠離型剤を塗布した型枠に充填する工程。
工程3:工程2で得られた型枠に充填された水硬性組成物を硬化させる工程。
工程4:工程3で得られた硬化体を型枠から脱型する工程。 - 工程1が、(I)脂肪酸部分の炭素数が10以上24以下である、脂肪酸アルカノールアミドと、(II)ポリカルボン酸系分散剤と、(III)下記一般式(III-1)及び下記一般式(III-2)で表される化合物から選ばれる1種以上の溶剤と、水硬性粉体と、水とを混合して水硬性組成物を調製する工程である、請求項5に記載の水硬性組成物の硬化体の製造方法。
R31-O-[(EO)n・(PO)m’]-H (III-1)
[式中、R31は炭素数4以上15以下の炭化水素基、EOはエチレンオキシ基、POはプロピレンオキシ基、nはEOの平均付加モル数で1以上5以下の数、m’はPOの平均付加モル数で0以上5以下の数であり、EOとPOはブロック又はランダムに結合してもよい。〕
[式中、R32は炭素数6以上12以下の炭化水素基、R33とR34はそれぞれ独立に炭素数1以上4以下の炭化水素基である。]
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