JP7120017B2 - 封止用の樹脂組成物および封止用シート - Google Patents

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Description

本発明は封止用の樹脂組成物および封止用シートに関し、特に有機EL(Electroluminescence)素子等の発光素子や太陽電池等の受光素子等の光電変換素子等の封止に好適な封止用の樹脂組成物および封止用シートに関する。
有機EL素子は発光材料に有機物質を使用した発光素子であり、低電圧で高輝度の発光を得ることができるため近年脚光を浴びている。しかしながら、有機EL素子は水分に極めて弱く、発光材料(発光層)が水分によって変質して、輝度が低下したり、発光しなくなったり、電極と発光層との界面が水分の影響で剥離したり、金属が酸化して高抵抗化してしまったりする問題がある。このため、素子内部を外気中の水分から遮断するために、例えば、基板上に形成された発光層の全面を覆うように樹脂組成物によって封止層を形成して有機EL素子を封止することが行われる。このような有機EL素子の封止層には高い水分遮断性が求められる。更に、ディスプレイやタッチパネル、照明等の用途で、封止面から光を取り出す構造や透過型の構造の場合、封止層にも高い透明性も求められる。このように、高い水分遮断性と透明性を両立する封止層を形成し得る樹脂組成物が求められている。
特許文献1では、吸湿性金属酸化物を樹脂組成物に含有させることにより水分遮断性を向上させることが記載されている。また、特許文献2では、焼成ハイドロタルサイトを含有する封止用樹脂組成物が記載されている。
特開2011-84667号公報 国際公開2015/068786号パンフレット
本発明は、水分遮断性および透明性の両方に優れる封止層を形成し得る封止用の樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究をした結果、熱硬化性樹脂を含む封止用の樹脂組成物に半焼成ハイドロタルサイトを配合し、その樹脂組成物の硬化物の屈折率が特定の数値範囲を満たすように設定することにより、その樹脂組成物の硬化物が高い透明性を示し、かつ水分遮断性が長時間にわたって維持され、封止された素子の水分による劣化を抑制し得ることを見出した。このような知見に基づく本発明は、以下の通りである。
[1] (A)熱硬化性樹脂、(B)半焼成ハイドロタルサイト、および(C)硬化剤を含む樹脂組成物であって、樹脂組成物の硬化物の屈折率が1.48~1.54である封止用の樹脂組成物。
[2] (A)熱硬化性樹脂が、屈折率が1.48~1.54である熱硬化性樹脂を含む前記[1]に記載の樹脂組成物。
[3] (A)熱硬化性樹脂が、芳香環含有エポキシ樹脂を含む前記[1]または[2]に記載の樹脂組成物。
[4] (A)熱硬化性樹脂が、屈折率が1.48~1.54であるエポキシ樹脂(a1)、および芳香環含有エポキシ樹脂(a2)を含む前記[1]に記載の樹脂組成物。
[5] 屈折率が1.48~1.54であるエポキシ樹脂(a1)が、水素添加エポキシ樹脂、フッ素含有エポキシ樹脂、鎖状脂肪族型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂およびアルキルフェノール型エポキシ樹脂から選ばれる1種以上である前記[4]に記載の樹脂組成物。
[6] 芳香環含有エポキシ樹脂(a2)が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂およびフッ素含有芳香族型エポキシ樹脂から選ばれる1種以上である前記[4]または[5]に記載の樹脂組成物。
[7] (A)熱硬化性樹脂の量が、樹脂組成物の不揮発分全体あたり10~95質量%である前記[1]~[6]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[8] (B)半焼成ハイドロタルサイトの量が、樹脂組成物の不揮発分全体あたり5~60質量%である前記[1]~[7]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[9] (C)硬化剤が、イオン液体、酸無水物化合物、イミダゾール化合物、3級アミン系化合物、およびジメチルウレア化合物から選ばれる1種以上である前記[1]~[8]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[10] (C)硬化剤の量が、樹脂組成物の不揮発分全体あたり0.1~40質量%である前記[1]~[9]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[11] さらに(D)硬化促進剤を含む前記[1]~[10]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[12] (D)硬化促進剤が、イミダゾール化合物、3級アミン系化合物、ジメチルウレア化合物、およびアミンアダクト化合物から選ばれる1種以上である前記[11]に記載の樹脂組成物。
[13] (D)硬化促進剤の量が、樹脂組成物の不揮発分全体あたり0.05~10質量%である前記[11]または[12]に記載の樹脂組成物。
[14] さらに(E)熱可塑性樹脂を含む前記[1]~[13]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[15] (E)熱可塑性樹脂が、フェノキシ樹脂である前記[14]に記載の樹脂組成物。
[16] (E)熱可塑性樹脂の量が、樹脂組成物の不揮発分全体あたり0.1~60質量%である前記[14]または[15]に記載の樹脂組成物。
[17] 有機EL素子の封止用である前記[1]~[16]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[18] 厚さが20μmである樹脂組成物の硬化物層のD65光での平行線透過率が80~100%である前記[1]~[17]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[19] 前記[1]~[18]のいずれか一つに記載の樹脂組成物の層が支持体上に形成されている封止用シート。
[20] 有機EL素子の封止用である前記[19]に記載の封止用シート。
[21] 前記[1]~[18]のいずれか一つに記載の樹脂組成物の硬化物で有機EL素子が封止された有機ELデバイス。
本発明の封止用の樹脂組成物によれば、水分遮断性および透明性の両方に優れる封止層を形成することができる。
<樹脂組成物>
本発明の封止用の樹脂組成物は、(A)熱硬化性樹脂、(B)半焼成ハイドロタルサイトおよび(C)硬化剤を含む樹脂組成物であって、樹脂組成物の硬化物の屈折率が1.48~1.54であることを特徴とする。硬化物の屈折率は、1.49~1.54が好ましく、1.50~1.54がより好ましく、半焼成ハイドロタルサイトの屈折率と同程度である1.50~1.53がさらに好ましい。
<(A)熱硬化性樹脂>
本発明では、樹脂組成物の硬化物の屈折率が1.48~1.54となるような熱硬化性樹脂を使用する。前記屈折率が1.49~1.54となるような熱硬化性樹脂が好ましく、前記屈折率が1.50~1.54となるような熱硬化性樹脂がより好ましく、前記屈折率が半焼成ハイドロタルサイトの屈折率と同程度である1.50~1.53となるような熱硬化性樹脂がさらに好ましい。
樹脂組成物の硬化物の屈折率は、熱硬化性樹脂または他の成分(例えば、熱可塑性樹脂等)によって調整することができる。硬化物の屈折率の調整を容易にするため、(A)熱硬化性樹脂は、好ましくは、屈折率が1.48~1.54である熱硬化性樹脂を含む。前記熱硬化性樹脂の屈折率は、より好ましくは1.49~1.54、さらに好ましくは1.50~1.54である。
屈折率が1.48~1.54である熱硬化性樹脂の含有量は、樹脂組成物の硬化物の屈折率が1.48~1.54となる範囲であれば特に限定されないが、(A)熱硬化性樹脂全体あたり、好ましくは50~100質量%、より好ましくは60~100質量%、さらに好ましくは70~100質量%である。
本発明で使用する(A)熱硬化性樹脂全体の屈折率は、好ましくは1.48~1.54、より好ましくは1.49~1.54、さらに好ましくは1.50~1.54である。複数の熱硬化性樹脂を用いる場合には、それらの混合物全体の屈折率が上記範囲内であることが好ましい。
熱硬化性樹脂としては、樹脂組成物の硬化物の屈折率が1.48~1.54となるような熱硬化性樹脂であれば特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミド-トリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ビニルベンジル樹脂等が挙げられ、なかでも低温硬化性等の観点からエポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂は、樹脂組成物の硬化物の屈折率が1.48~1.54となるようなエポキシ樹脂であれば特に限定されない。そのようなエポキシ樹脂としては、平均して1分子当り2個以上のエポキシ基を有し、かつ、透過率の高いものが使用できる。例えば、水素添加エポキシ樹脂(水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂等)、フッ素含有エポキシ樹脂、鎖状脂肪族型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、芳香族グリシジルアミン型エポキシ樹脂(例えば、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジル-p-アミノフェノール、ジグリシジルトルイジン、ジグリシジルアニリン等)、脂環式エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノール型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールのジグリシジルエーテル化物、ナフタレンジオールのジグリシジルエーテル化物、フェノール類のジグリシジルエーテル化物、およびアルコール類のジグリシジルエーテル化物、並びにこれらのエポキシ樹脂のアルキル置換体等が挙げられる。
エポキシ樹脂は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。エポキシ樹脂のエポキシ当量は、反応性等の観点から、好ましくは50~5,000、より好ましくは50~3,000、さらに好ましくは80~2,000、特に好ましくは100~1,500である。なお、「エポキシ当量」とは、1グラム当量のエポキシ基を含む樹脂のグラム数(g/eq)であり、JIS K 7236に規定された方法に従って測定される。エポキシ樹脂の重量平均分子量は、好ましくは5,000以下である。
エポキシ樹脂は、液状または固形のいずれでもよく、液状エポキシ樹脂と固形エポキシ樹脂とを併用してもよい。ここで、「液状」および「固形」とは、常温(25℃)および常圧(1atm)でのエポキシ樹脂の状態である。塗工性、加工性、接着性の観点から、使用するエポキシ樹脂全体の10質量%以上が液状エポキシ樹脂であるのが好ましい。ハイドロタルサイトとの混練性およびワニス粘度の観点から、液状エポキシ樹脂と固形エポキシ樹脂とを併用することが特に好ましい。液状エポキシ樹脂と固形エポキシ樹脂の質量比(液状エポキシ樹脂:固形エポキシ樹脂)は、1:2~1:0が好ましく、1:1.5~1:0がより好ましい。
本発明の一態様において、(A)熱硬化性樹脂は、その屈折率を1.48~1.54とする上で、好ましくは水素添加エポキシ樹脂、フッ素含有エポキシ樹脂、鎖状脂肪族型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂およびアルキルフェノール型エポキシ樹脂から選ばれる1種以上であり、より好ましくは水素添加エポキシ樹脂、フッ素含有エポキシ樹脂、鎖状脂肪族型エポキシ樹脂および環状脂肪族型エポキシ樹脂から選ばれる1種以上である。前記樹脂を使用することによって、透明性の高い硬化物を得ることができる。
「水素添加エポキシ樹脂」とは、芳香環含有エポキシ樹脂を水素添加して得られるエポキシ樹脂を意味する。水素添加エポキシ樹脂の水添化率は、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上である。「鎖状脂肪族型エポキシ樹脂」とは、直鎖状または分岐状のアルキル鎖、またはアルキルエーテル鎖を持つエポキシ樹脂を意味し、「環状脂肪族型エポキシ樹脂」とは、分子内に環状脂肪族骨格、例えばシクロアルカン骨格を持つエポキシ樹脂を意味する。「アルキルフェノール型エポキシ樹脂」とは、置換基として1以上のアルキル基および1以上のヒドロキシ基を有するベンゼン環骨格を持ち、前記ヒドロキシ基がグリシジルエーテル基に変換されているエポキシ樹脂を意味する。
水素添加エポキシ樹脂としては、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましい。なお、樹脂組成物の硬化物の屈折率が上記特定の数値範囲を満たすか、熱硬化性樹脂全体としての屈折率が上記特定の数値範囲を満たす限りにおいては、上記好適なエポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂が熱硬化性樹脂中に含まれていてもよい。
水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、例えば、液状水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(例えば、「YX8000」(三菱化学社製、エポキシ当量:約205)、「デナコールEX-252」(ナガセケムテックス社製、エポキシ当量:約213))、固形水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(例えば、「YX8040」(三菱化学社製、エポキシ当量:約1000))が挙げられる。
フッ素含有エポキシ樹脂は、例えば、WO2011/089947に記載のフッ素含有エポキシ樹脂を用いることができる。
鎖状脂肪族型エポキシ樹脂としては、例えば、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(例えば、「デナコールEX-512」、「デナコールEX-521」、ナガセケムテックス社製)、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル(例えば、「デナコールEX-411」、ナガセケムテックス社製)、ジグリセロールポリグリシジルエーテル(例えば、「デナコールEX-421」、ナガセケムテックス社製)、グリセロールポリグリシジルエーテル(例えば、「デナコールEX-313」、「デナコールEX-314」、ナガセケムテックス社製)、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(例えば、「デナコールEX-321」、ナガセケムテックス社製)、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(例えば、「デナコールEX-211」、ナガセケムテックス社製)、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(例えば、「デナコールEX-212」、ナガセケムテックス社製)、エチレングリコールジグリシジルエーテル(例えば、「デナコールEX-810」、「デナコールEX-811」、ナガセケムテックス社製)、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル(例えば、「デナコールEX-850」、「デナコールEX-851」、ナガセケムテックス社製)、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(例えば、「デナコールEX-821」、「デナコールEX-830」、「デナコールEX-832」、「デナコールEX-841」、「デナコールEX-861」、ナガセケムテックス社製)、プロピレングリコールジグリシジルエーテル(例えば、「デナコールEX-911」、ナガセケムテックス社製)、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(例えば、「デナコールEX-941」、「デナコールルEX-920」、「デナコールEX-931」、ナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
環状脂肪族型エポキシ樹脂としては、例えば、ダイセル化学工業社製「EHPE-3150」等が挙げられる。
アルキルフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、DIC社製「HP-820」;新日鉄住金化学工業社製「YDC-1312」;ナガセケムテックス社製「EX-146」等が挙げられる。
本発明の一態様において、(A)熱硬化性樹脂は、屈折率が1.48~1.54であり、かつ分子内に芳香環を含有するエポキシ樹脂(芳香環含有エポキシ樹脂)を含むのが好ましい。分子内に芳香環構造を含むエポキシ樹脂を用いると、樹脂組成物の反応性、硬化物のガラス転移温度、密着性のいずれかまたは全てが向上する傾向となるため好ましい。このような熱硬化性樹脂としては、例えば、アルキルフェノール型エポキシ樹脂、フッ素含有芳香族型エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、本発明の別の一態様では、(A)熱硬化性樹脂は、好ましくは、屈折率が1.48~1.54であるエポキシ樹脂(a1)(以下「樹脂(a1)」と略称することがある)、および芳香環含有エポキシ樹脂(a2)(以下「樹脂(a2)」と略称することがある)を含む。樹脂(a1)は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。同様に、樹脂(a2)は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。
芳香環含有エポキシ樹脂を使用することによって、樹脂組成物の反応性、並びに硬化物のガラス転移温度および密着性のいずれかまたは全てが向上する傾向となる。しかし、エポキシ樹脂が芳香環を含む場合、屈折率が高くなる傾向がある。そのため、一般に、1.48~1.54の屈折率を満たす芳香環含有エポキシ樹脂は少ない。従って、樹脂(a1)と樹脂(a2)を組み合わせて用いることで、望ましい屈折率と、樹脂組成物の反応性並びに硬化物のガラス転移温度および密着性の向上とを、両立することができる。
樹脂(a1)および樹脂(a2)の合計の含有量は、上記効果が達成される範囲であれば特に限定されないが、(A)熱硬化性樹脂全体あたり、好ましくは60~100質量%、より好ましくは70~100質量%、さらに好ましくは80~100質量%、特に好ましくは90~100質量%、最も好ましく100質量%である。
樹脂(a1)としては、屈折率が1.48~1.54であるエポキシ樹脂であれば特に限定されない。上記屈折率を有するエポキシ樹脂は、一般に、芳香環構造を含まないものが多い。樹脂(a1)は、好ましくは水素添加エポキシ樹脂、フッ素含有エポキシ樹脂、鎖状脂肪族型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂およびアルキルフェノール型エポキシ樹脂から選ばれる1種以上である。
樹脂(a2)としては、芳香環を含むエポキシ樹脂であれば特に限定されない。樹脂組成物の反応性、硬化物のガラス転移温度およびまたは密着性の向上の観点から、樹脂(a2)は、好ましくは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂およびフッ素含有芳香族型エポキシ樹脂から選ばれる1種以上である。芳香環含有エポキシ樹脂の屈折率は、一般に1.48~1.54ではないが、屈折率が1.48~1.54である芳香環含有エポキシ樹脂も、樹脂(a2)として用いることができる。
ここで、「ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂」とは、ノボラック構造および2価のビフェニル構造が結合した主鎖を持つエポキシ樹脂を意味する。「フルオレン型エポキシ樹脂」とは、フルオレン骨格を持つエポキシ樹脂を意味する。「フッ素含有芳香族型エポキシ樹脂」とは、芳香環を有するフッ素含有エポキシ樹脂を意味する。例えば、WO2011/089947に記載のフッ素含有芳香族型エポキシ樹脂を用いることができる。
樹脂(a1)および樹脂(a2)を併用する態様において、樹脂(a1)は、より好ましくは水素添加エポキシ樹脂、フッ素含有エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂およびアルキルフェノール型エポキシ樹脂であり、さらに好ましくは水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂およびフッ素含有エポキシ樹脂から選ばれる1種以上であり、特に好ましくは水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂および水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂から選ばれる1種以上であり、最も好ましくは水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂である。また、前記態様において、樹脂(a2)は、より好ましくはビスフェノール型エポキシ樹脂およびフッ素含有芳香族型エポキシ樹脂から選ばれる1種以上であり、さらに好ましくはビスフェノール型エポキシ樹脂であり、さらに好ましくはビスフェノールA型エポキシ樹脂およびビスフェノールF型エポキシ樹脂から選ばれる1種以上である。
樹脂(a1)および樹脂(a2)を併用する態様において、樹脂(a2)の量は、樹脂(a1)および樹脂(a2)の合計あたり、0.5~40質量%が好ましく、1~35質量%がより好ましく、2~30質量%がさらに好ましい。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、例えば、三菱ケミカル社製「828EL」、「1001」および「1004AF」;DIC社製「840」および「850-S」;新日鉄住金化学工業社製「YD-128」等が挙げられる。また、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂および液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合物としては、例えば、新日鐵化学工業社製「ZX-1059」(エポキシ当量:約165)が挙げられる。
ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、例えば、三菱ケミカル社製「807」;DIC社製「830」;新日鉄住金化学工業社製「YDF-170」等が挙げられる。
フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、例えば、DIC社製「N-730A」、「N-740」、「N-770」および「N-775」;三菱ケミカル社製「152」および「154」等が挙げられる。
ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂としては、例えば、日本化薬社製「NC-3000」、「NC-3000L」および「NC-3100」等が挙げられる。
フルオレン型エポキシ樹としては、例えば、大阪ガスケミカル社製「OGSOL PG-100」、「CG-500EG-200」および「EG-280」等が挙げられる。
熱硬化性樹脂の量は、樹脂組成物の不揮発分全体あたり、10~95質量%が好ましく、20~90質量%がより好ましく、30~85質量%がさらに好ましい。
エポキシ樹脂の量は、樹脂組成物の不揮発分全体あたり、10~95質量%が好ましく、20~90質量%がより好ましく、30~85質量%がさらに好ましい。
<(B)半焼成ハイドロタルサイト>
ハイドロタルサイトは、未焼成ハイドロタルサイト、半焼成ハイドロタルサイト、および焼成ハイドロタルサイトに分類することができる。
未焼成ハイドロタルサイトは、例えば、天然ハイドロタルサイト(MgAl(OH)16CO・4HO)に代表されるような層状の結晶構造を有する金属水酸化物であり、例えば、基本骨格となる層[Mg1-XAl(OH)X+と中間層[(COX/2・mHO]X-からなる。本発明における未焼成ハイドロタルサイトは、合成ハイドロタルサイト等のハイドロタルサイト様化合物を含む概念である。ハイドロタルサイト様化合物としては、例えば、下記式(I)および下記式(II)で表されるものが挙げられる。
[M2+ 1-x3+ (OH)x+・[(An-x/n・mHO]x- (I)
(式中、M2+はMg2+、Zn2+などの2価の金属イオンを表し、M3+はAl3+、Fe3+などの3価の金属イオンを表し、An-はCO 2-、Cl、NO などのn価のアニオンを表し、0<x<1であり、0≦m<1であり、nは正の数である。)
式(I)中、M2+は、好ましくはMg2+であり、M3+は、好ましくはAl3+であり、An-は、好ましくはCO 2-である。
2+ Al(OH)2x+6-nz(An-・mHO (II)
(式中、M2+はMg2+、Zn2+などの2価の金属イオンを表し、An-はCO 2-、Cl、NO3-などのn価のアニオンを表し、xは2以上の正の数であり、zは2以下の正の数であり、mは正の数であり、nは正の数である。)
式(II)中、M2+は、好ましくはMg2+であり、An-は、好ましくはCO 2-である。
半焼成ハイドロタルサイトは、未焼成ハイドロタルサイトを焼成して得られる、層間水の量が減少または消失した層状の結晶構造を有する金属水酸化物をいう。「層間水」とは、組成式を用いて説明すれば、上述した未焼成の天然ハイドロタルサイトおよびハイドロタルサイト様化合物の組成式に記載の「HO」を指す。本発明は、この半焼成ハイドロタルサイトを使用することを特徴の一つとする。
一方、焼成ハイドロタルサイトは、未焼成ハイドロタルサイトまたは半焼成ハイドロタルサイトを焼成して得られ、層間水だけでなく、水酸基も縮合脱水によって消失した、アモルファス構造を有する金属酸化物をいう。
未焼成ハイドロタルサイト、半焼成ハイドロタルサイトおよび焼成ハイドロタルサイトは、飽和吸水率により区別することができる。半焼成ハイドロタルサイトの飽和吸水率は、1質量%以上20質量%未満である。一方、未焼成ハイドロタルサイトの飽和吸水率は、1質量%未満であり、焼成ハイドロタルサイトの飽和吸水率は、20質量%以上である。
本発明における「飽和吸水率」とは、未焼成ハイドロタルサイト、半焼成ハイドロタルサイトまたは焼成ハイドロタルサイトを天秤にて1.5g量り取り、初期質量を測定した後、大気圧下、60℃、90%RH(相対湿度)に設定した小型環境試験器(エスペック社製SH-222)に200時間静置した場合の、初期質量に対する質量増加率を言い、下記式(i):
飽和吸水率(質量%)
=100×(吸湿後の質量-初期質量)/初期質量 (i)
で求めることができる。
半焼成ハイドロタルサイトの飽和吸水率は、好ましくは3質量%以上20質量%未満、より好ましくは5質量%以上20質量%未満である。
また、未焼成ハイドロタルサイト、半焼成ハイドロタルサイトおよび焼成ハイドロタルサイトは、熱重量分析で測定される熱重量減少率により区別することができる。半焼成ハイドロタルサイトの280℃における熱重量減少率は15質量%未満であり、かつその380℃における熱重量減少率は12質量%以上である。一方、未焼成ハイドロタルサイトの280℃における熱重量減少率は、15質量%以上であり、焼成ハイドロタルサイトの380℃における熱重量減少率は、12質量%未満である。
熱重量分析は、日立ハイテクサイエンス社製TG/DTA EXSTAR6300を用いて、アルミニウム製のサンプルパンにハイドロタルサイトを5mg秤量し、蓋をせずオープンの状態で、窒素流量200mL/分の雰囲気下、30℃から550℃まで昇温速度10℃/分の条件で行うことができる。熱重量減少率は、下記式(ii):
熱重量減少率(質量%)
=100×(加熱前の質量-所定温度に達した時の質量)/加熱前の質量 (ii)
で求めることができる。
また、未焼成ハイドロタルサイト、半焼成ハイドロタルサイトおよび焼成ハイドロタルサイトは、粉末X線回折で測定されるピークおよび相対強度比により区別することができる。半焼成ハイドロタルサイトは、粉末X線回折により2θが8~18°付近に二つにスプリットしたピーク、または二つのピークの合成によりショルダーを有するピークを示し、低角側に現れるピークまたはショルダーの回折強度(=低角側回折強度)と、高角側に現れるピークまたはショルダーの回折強度(=高角側回折強度)の相対強度比(低角側回折強度/高角側回折強度)は、0.001~1,000である。一方、未焼成ハイドロタルサイトは8~18°付近で一つのピークしか有しないか、または低角側に現れるピークまたはショルダーと高角側に現れるピークまたはショルダーの回折強度の相対強度比が前述の範囲外となる。焼成ハイドロタルサイトは8°~18°の領域に特徴的ピークを有さず、43°に特徴的なピークを有する。粉末X線回折測定は、粉末X線回折装置(PANalytical社製、Empyrean)により、対陰極CuKα(1.5405Å)、電圧:45V、電流:40mA、サンプリング幅:0.0260°、走査速度:0.0657°/s、測定回折角範囲(2θ):5.0131~79.9711°の条件で行った。ピークサーチは、回折装置付属のソフトウエアのピークサーチ機能を利用し、「最小有意度:0.50、最小ピークチップ:0.01°、最大ピークチップ:1.00°、ピークベース幅:2.00°、方法:2次微分の最小値」の条件で行うことができる。
半焼成ハイドロタルサイトのBET比表面積は、1~250m/gが好ましく、5~200m/gがより好ましい。半焼成ハイドロタルサイトのBET比表面積は、BET法に従って、比表面積測定装置(Macsorb HM Model 1210、マウンテック社製)を用いて試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて算出することができる。
半焼成ハイドロタルサイトの平均粒子径は、1~1,000nmが好ましく、10~800nmがより好ましい。半焼成ハイドロタルサイトの平均粒子径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定(JIS Z 8825)により粒度分布を体積基準で作成したときの該粒度分布のメディアン径である。
半焼成ハイドロタルサイトは、表面処理剤で表面処理したものを用いることができる。表面処理に使用する表面処理剤としては、例えば、高級脂肪酸、アルキルシラン類、シランカップリング剤等を使用することができ、なかでも、高級脂肪酸、アルキルシラン類が好適である。表面処理剤は、1種または2種以上を使用できる。
高級脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸、モンタン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸などの炭素数18以上の高級脂肪酸が挙げられ、中でも、ステアリン酸が好ましい。これらは、1種または2種以上を使用できる。
アルキルシラン類としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、n-オクタデシルジメチル(3-(トリメトキシシリル)プロピル)アンモニウムクロライド等が挙げられる。これら、1種または2種以上を使用できる。
シランカップリング剤としては、例えば、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピル(ジメトキシ)メチルシランおよび2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ系シランカップリング剤;3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシランおよび11-メルカプトウンデシルトリメトキシシランなどのメルカプト系シランカップリング剤;3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランおよびN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルジメトキシメチルシランなどのアミノ系シランカップリング剤;3-ウレイドプロピルトリエトキシシランなどのウレイド系シランカップリング剤、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランおよびビニルメチルジエトキシシランなどのビニル系シランカップリング剤;p-スチリルトリメトキシシランなどのスチリル系シランカップリング剤;3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシランおよび3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランなどのアクリレート系シランカップリング剤;3-イソシアネートプロピルトリメトキシシランなどのイソシアネート系シランカップリング剤、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドなどのスルフィド系シランカップリング剤;フェニルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、イミダゾールシラン、トリアジンシラン等を挙げることができる。これらは、1種または2種以上を使用できる。
半焼成ハイドロタルサイトの表面処理は、例えば、未処理の半焼成ハイドロタルサイトを混合機で常温にて攪拌分散させながら、表面処理剤を添加噴霧して5~60分間攪拌することによって行なうことができる。混合機としては、公知の混合機を使用することができ、例えば、Vブレンダー、リボンブレンダー、バブルコーンブレンダー等のブレンダー、ヘンシェルミキサーおよびコンクリートミキサー等のミキサー、ボールミル、カッターミル等が挙げられる。又、ボールミルなどで半焼成ハイドロタルサイトを粉砕する際に、前記の高級脂肪酸、アルキルシラン類またはシランカップリング剤を添加し、表面処理を行うこともできる。表面処理剤の使用量は、半焼成ハイドロタルサイトの種類または表面処理剤の種類等によっても異なるが、表面処理されていない半焼成ハイドロタルサイト100質量部に対して1~10質量部が好ましい。本発明においては、表面処理された半焼成ハイドロタルサイトも、本発明における「半焼成ハイドロタルサイト」に包含される。
本発明の樹脂組成物における半焼成ハイドロタルサイトの量は、本発明の効果が発揮されれば特に限定されるものではないが、樹脂組成物の不揮発分全体あたり5~60質量%が好ましく、10~55質量%がより好ましい。半焼成ハイドロタルサイトは吸湿性能に優れるため、その量が増えれば、得られる硬化物の水分遮断性は向上する。しかし、その量が60質量%を超えると、樹脂組成物の粘度が上昇する、濡れ性の低下により封止対象である基板等と樹脂組成物との密着性が低下する、硬化物の強度が低下して脆くなる等の問題が生じる傾向となる。また、半焼成ハイドロタルサイトの層間水により、封止層(即ち、硬化物)中の水分量が多くなるため、例えば、有機ELデバイスの製造において、封止層中の水分による発光材料(発光層)や電極層への悪影響が顕在化し、初期段階のダークスポット発生が多くなるといった懸念がある。
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果が発揮される範囲であれば、焼成ハイドロタルサイトを含むことができる。その量は、樹脂組成物の不揮発分全体あたり、0~20質量%が好ましく、0~15質量%がより好ましく、0~10質量%がさらに好ましく、0が最も好ましい。即ち、本発明の樹脂組成物が、焼成ハイドロタルサイトを含まないことが最も好ましい。焼成ハイドロタルサイトの量が増えると、樹脂組成物の硬化物の屈折率が上昇し、透過率が低下する傾向となる。半焼成ハイドロタルサイト:焼成ハイドロタルサイトの質量比は、好ましくは50:50~100:0、より好ましくは55:45~100:0、さらに好ましくは60:40~100:0である。
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果が発揮される範囲であれば、未焼成ハイドロタルサイトを含むことができる。その量は、樹脂組成物の不揮発分全体あたり、0~20質量%が好ましく、0~10質量%がより好ましく、0~5質量%がさらに好ましく、0が最も好ましい。即ち、本発明の樹脂組成物が、未焼成ハイドロタルサイトを含まないことが最も好ましい。未焼成ハイドロタルサイトは、樹脂組成物の硬化物の透過率に影響を及ぼさないが、水分含有量が大きいため、増量することにより水分遮蔽性の低下がみられ、例えば、その量が20質量%を超えると、半焼成ハイドロタルサイトと同様に初期段階のダークスポット発生が多くなるといった懸念がある。半焼成ハイドロタルサイト:未焼成ハイドロタルサイトの質量比は、好ましくは50:50~100:0、より好ましくは55:45~100:0、より一層好ましくは60:40~100:0、さらに好ましくは65:35~100:0、特に好ましくは70:30~100:0である。
半焼成ハイドロタルサイトとしては、例えば「DHT-4C」(協和化学工業社製、平均粒子径:400nm)、「DHT-4A-2」(協和化学工業社製、平均粒子径:400nm)等が挙げられる。一方、焼成ハイドロタルサイトとしては、例えば「KW-2200」(協和化学工業社製、平均粒子径:400nm)等が挙げられ、未焼成ハイドロタルサイトとしては、例えば「DHT-4A」(協和化学工業社製、平均粒子径:400nm)等が挙げられる。
<(C)硬化剤および(D)硬化促進剤>
本発明の樹脂組成物は、硬化剤を含有する。すなわち、封止層は、樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物である。硬化剤は、熱硬化性樹脂を硬化する機能を有するものであれば特に限定されない。樹脂組成物の硬化処理時における有機EL素子等の発光素子の熱劣化を抑制する観点から、硬化剤として、140℃以下(好ましくは120℃以下)の温度下で、熱硬化性樹脂を硬化し得るものが好ましい。硬化剤は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
硬化剤としては、熱硬化性樹脂として特に好ましいエポキシ樹脂の硬化剤につき、例示する。例えば、イオン液体、酸無水物化合物、イミダゾール化合物、3級アミン系化合物、ジメチルウレア化合物、アミンアダクト化合物、有機酸ジヒドラジド化合物、有機ホスフィン化合物、ジシアンジアミド化合物、1級・2級アミン系化合物等が挙げられる。
硬化剤は、好ましくはイオン液体、酸無水物化合物、イミダゾール化合物、3級アミン系化合物、ジメチルウレア化合物およびアミンアダクト化合物から選ばれる1種以上であり、より好ましくはイオン液体、酸無水物化合物、イミダゾール化合物、3級アミン系化合物、およびジメチルウレア化合物から選ばれる1種以上である。
特に、本発明における硬化剤としては、140℃以下(好ましくは120℃以下)の温度下で熱硬化性樹脂(特にエポキシ樹脂)を硬化し得るイオン液体、すなわち、140℃以下(好ましくは120℃以下)の温度領域で融解しうる塩であって、熱硬化性樹脂(特に、エポキシ樹脂)の硬化作用を有する塩が好ましい。イオン液体は、熱硬化性樹脂(特にエポキシ樹脂)に均一に溶解している状態で使用されるのが望ましく、また、イオン液体は、樹脂組成物の硬化物の水分遮断性の向上に有利に作用する。
本発明の樹脂組成物は、硬化剤に加え、硬化時間を調整する等の目的で硬化促進剤を含有してもよい。硬化促進剤は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。硬化促進剤としては、熱硬化性樹脂として特に好ましいエポキシ樹脂の硬化促進剤につき、例示する。例えば、イミダゾール化合物、3級アミン系化合物、ジメチルウレア化合物、およびアミンアダクト化合物等が挙げられる。硬化促進剤は、好ましくはイミダゾール化合物、3級アミン系化合物、およびジメチルウレア化合物から選ばれる1種以上である。
本発明における硬化剤としてのイオン液体を構成するカチオンとしては、イミダゾリウムイオン、ピペリジニウムイオン、ピロリジニウムイオン、ピラゾニウムイオン、グアニジニウムイオン、ピリジニウムイオン等のアンモニウム系カチオン;テトラアルキルホスホニウムカチオン(例えば、テトラブチルホスホニウムイオン、トリブチルヘキシルホスホニウムイオン等)等のホスホニウム系カチオン;トリエチルスルホニウムイオン等のスルホニウム系カチオン等が挙げられる。
本発明における硬化剤としてのイオン液体を構成するアニオンとしては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲン化物系アニオン;メタンスルホン酸イオン等のアルキル硫酸系アニオン;トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ヘキサフルオロホスホン酸イオン、トリフルオロトリス(ペンタフルオロエチル)ホスホン酸イオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン、トリフルオロ酢酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン等の含フッ素化合物系アニオン;フェノールイオン、2-メトキシフェノールイオン、2,6-ジ-tert-ブチルフェノールイオン等のフェノール系アニオン;アスパラギン酸イオン、グルタミン酸イオン等の酸性アミノ酸イオン;グリシンイオン、アラニンイオン、フェニルアラニンイオン等の中性アミノ酸イオン;N-ベンゾイルアラニンイオン、N-アセチルフェニルアラニンイオン、N-アセチルグリシンイオン等の下記一般式(1)で示されるN-アシルアミノ酸イオン;ギ酸イオン、酢酸イオン、デカン酸イオン、2-ピロリドン-5-カルボン酸イオン、α-リポ酸イオン、乳酸イオン、酒石酸イオン、馬尿酸イオン、N-メチル馬尿酸イオン、安息香酸イオン等のカルボン酸系アニオンが挙げられる。
Figure 0007120017000001
(但し、Rは炭素数1~5の直鎖または分岐鎖のアルキル基、或いは置換または無置換のフェニル基であり、Xはアミノ酸の側鎖を表す。)
該式(1)におけるアミノ酸としては、例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、アラニン、フェニルアラニン等が挙げられ、中でも、グリシンが好ましい。
上述の中でも、カチオンはアンモニウム系カチオン、ホスホニウム系カチオンが好ましく、イミダゾリウムイオン、ホスホニウムイオンがより好ましい。イミダゾリウムイオンは、より詳細には、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウムイオン等である。
また、アニオンはフェノール系アニオン、一般式(1)で示されるN-アシルアミノ酸イオンまたはカルボン酸系アニオンが好ましく、N-アシルアミノ酸イオンまたはカルボン酸系アニオンがより好ましい。
フェノール系アニオンの具体例としては、2,6-ジ-tert-ブチルフェノールイオンが挙げられる。また、カルボン酸系アニオンの具体例としては、酢酸イオン、デカン酸イオン、2-ピロリドン-5-カルボン酸イオン、ギ酸イオン、α-リポ酸イオン、乳酸イオン、酒石酸イオン、馬尿酸イオン、N-メチル馬尿酸イオン等が挙げられ、中でも、酢酸イオン、2-ピロリドン-5-カルボン酸イオン、ギ酸イオン、乳酸イオン、酒石酸イオン、馬尿酸イオン、N-メチル馬尿酸イオンが好ましく、酢酸イオン、デカン酸イオン、N-メチル馬尿酸イオン、ギ酸イオンが殊更好ましい。また、一般式(1)で示されるN-アシルアミノ酸イオンの具体例としては、N-ベンゾイルアラニンイオン、N-アセチルフェニルアラニンイオン、アスパラギン酸イオン、グリシンイオン、N-アセチルグリシンイオン等が挙げられ、中でも、N-ベンゾイルアラニンイオン、N-アセチルフェニルアラニンイオン、N-アセチルグリシンイオンが好ましく、N-アセチルグリシンイオンが殊更好ましい。
具体的なイオン液体としては、例えば、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムラクテート、テトラブチルホスホニウム-2-ピロリドン-5-カルボキシレート、テトラブチルホスホニウムアセテート、テトラブチルホスホニウムデカノエート、テトラブチルホスホニウムトリフルオロアセテート、テトラブチルホスホニウムα-リポエート、ギ酸テトラブチルホスホニウム塩、テトラブチルホスホニウムラクテート、酒石酸ビス(テトラブチルホスホニウム)塩、馬尿酸テトラブチルホスホニウム塩、N-メチル馬尿酸テトラブチルホスホニウム塩、ベンゾイル-DL-アラニンテトラブチルホスホニウム塩、N-アセチルフェニルアラニンテトラブチルホスホニウム塩、2,6-ジ-tert-ブチルフェノールテトラブチルホスホニウム塩、L-アスパラギン酸モノテトラブチルホスホニウム塩、グリシンテトラブチルホスホニウム塩、N-アセチルグリシンテトラブチルホスホニウム塩、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムラクテート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート、ギ酸1-エチル-3-メチルイミダゾリウム塩、馬尿酸1-エチル-3-メチルイミダゾリウム塩、N-メチル馬尿酸1-エチル-3-メチルイミダゾリウム塩、酒石酸ビス(1-エチル-3-メチルイミダゾリウム)塩、N-アセチルグリシン1-エチル-3-メチルイミダゾリウム塩が好ましく、テトラブチルホスホニウムデカノエート、N-アセチルグリシンテトラブチルホスホニウム塩、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート、ギ酸1-エチル-3-メチルイミダゾリウム塩、馬尿酸1-エチル-3-メチルイミダゾリウム塩、N-メチル馬尿酸1-エチル-3-メチルイミダゾリウム塩が殊更好ましい。
上記イオン液体の合成法としては、アルキルイミダゾリウム、アルキルピリジニウム、アルキルアンモニウムおよびアルキルスルホニウムイオン等のカチオン部位と、ハロゲンを含むアニオン部位から構成される前駆体に、NaBF、NaPF、CFSONaやLiN(SOCF等を反応させるアニオン交換法、アミン系物質と酸エステルとを反応させてアルキル基を導入しつつ、有機酸残基が対アニオンになるような酸エステル法、およびアミン類を有機酸で中和して塩を得る中和法等があるが、これらに限定されない。アニオンとカチオンと溶媒による中和法では、アニオンとカチオンとを等量使用し、得られた反応液中の溶媒を留去して、そのまま用いることも可能であるし、さらに有機溶媒(メタノール、トルエン、酢酸エチル、アセトン等)を差し液濃縮しても構わない。
本発明における硬化剤としての酸無水物化合物としては、例えば、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルナジック酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物等が挙げられる。酸無水物化合物の具体例としては、リカシッドTH、TH-1A、HH、MH、MH-700、MH-700G(いずれも新日本理化社製)等が挙げられる。
本発明における硬化剤および硬化促進剤としてのイミダゾール化合物としては、例えば、1H-イミダゾール、2-メチル-イミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチル-イミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-(2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’))-エチル-s-トリアジン、2-フェニル-4,5-ビス(ヒドロキシメチル)-イミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-イミダゾール、2-ドデシル-イミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチル-イミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,4-ジアミノ-6-(2’-メチルイミダゾリル-(1’)-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-(2’-メチルイミダゾリル-(1’))-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物等が挙げられる。イミダゾール化合物の具体例としては、キュアゾール2MZ、2P4MZ、2E4MZ、2E4MZ-CN、C11Z、C11Z-CN、C11Z-CNS、C11Z-A、2PHZ、1B2MZ、1B2PZ、2PZ、C17Z、1.2DMZ、2P4MHZ-PW、2MZ-A、2MA-OK(いずれも四国化成工業社製)等が挙げられる。
本発明における硬化剤および硬化促進剤としての3級アミン系化合物の具体例としては、DBN(1,5-diazabicyclo[4.3.0]non-5-ene)、DBU(1,8-diazabicyclo[5.4.0]undec-7-ene)、DBUの2-エチルヘキサン酸塩、DBUのフェノール塩、DBUのp-トルエンスルホン酸塩、U-CAT SA 102(サンアプロ社製:DBUのオクチル酸塩)、DBUのギ酸塩等のDBU-有機酸塩、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(TAP)などが挙げられる。
本発明における硬化剤および硬化促進剤としてのジメチルウレア化合物の具体例としては、DCMU(3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチルウレア)、U-CAT3512T(サンアプロ社製)等の芳香族ジメチルウレア、U-CAT3503N(サンアプロ社製)等の脂肪族ジメチルウレア等が挙げられる。中でも硬化性の点から、芳香族ジメチルウレアが好ましく用いられる。
本発明における硬化剤および硬化促進剤としてのアミンアダクト化合物としては、例えば、エポキシ樹脂への3級アミンの付加反応を途中で止めることによって得られるエポキシアダクト化合物等が挙げられる。アミンアダクト系化合物の具体例としては、アミキュアPN-23、アミキュアMY-24、アミキュアPN-D、アミキュアMY-D、アミキュアPN-H、アミキュアMY-H、アミキュアPN-31、アミキュアPN-40、アミキュアPN-40J(いずれも味の素ファインテクノ社製)等が挙げられる。
本発明における硬化剤としての有機酸ジヒドラジド化合物の具体例としては、アミキュアVDH-J、アミキュアUDH、アミキュアLDH(いずれも味の素ファインテクノ社製)等が挙げられる。
本発明における硬化剤および硬化促進剤としての有機ホスフィン化合物としては、例えば、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラ-p-トリルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、(4-メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート、トリフェニルホスフィントリフェニルボラン等が挙げられる。有機ホスフィン化合物の具体例としては、TPP、TPP-MK、TPP-K、TTBuP-K、TPP-SCN、TPP-S(北興化学工業社製)等が挙げられる。
本発明における硬化剤としてのジシアンジアミド化合物としては、例えば、ジシアンジアミドが挙げられる。ジシアンジアミド化合物の具体例としては、ジシアンジアミド微粉砕品であるDICY7、DICY15(いずれも三菱化学社製)等が挙げられる。
本発明における硬化剤としての1級・2級アミン系化合物としては、例えば、脂肪族アミンであるジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、2-メチルペンタメチレンジアミン、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、ジプロプレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ノルボルネンジアミン、1,2-ジアミノシクロヘキサン等、脂環式アミンであるN-アミノエチルピベラジン、1,4-ビス(3-アミノプロピル)ピペラジン等、芳香族アミンである、ジアミノジフェニルメタン、m-フェニレンジアミン、m-キシレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジエチルトルエンジアミン等が挙げられる。1級・2級アミン系化合物の具体例としては、カヤハードA-A(日本化薬社製:4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルジフェニルメタン)等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物において、硬化剤の量は、樹脂組成物の不揮発分全体あたり、0.1~40質量%が好ましく、0.5~38質量部がより好ましく、1~35質量部がさらに好ましい。この量が0.1質量%よりも少ないと、十分な硬化性が得られないおそれがあり、この量が40質量%より多いと、樹脂組成物の保存安定性が損なわれることがある。なお、硬化剤としてイオン液体を使用する場合、樹脂組成物の硬化物の水分遮断性等の点からは、イオン液体の量は、樹脂組成物不揮発分全体あたり、0.1~20質量%が好ましく、0.5~18質量%がより好ましく、1~15質量%がさらに好ましい。
本発明の樹脂組成物が硬化促進剤を含む場合には、その量は、樹脂組成物の不揮発分全体あたり、0.05~10質量%が好ましく、0.1~8質量%がより好ましく、0.5~5質量%がさらに好ましい。この量が0.05質量%未満であると、硬化が遅くなり熱硬化時間が長くなる傾向にあり、10質量%を超えると樹脂組成物の保存安定性が低下する傾向となる。
本発明における熱硬化性樹脂組成物は、硬化剤と硬化促進剤を組み合わせて使用するのが好ましい。硬化剤および硬化促進剤の組み合わせとして、イオン液体、酸無水物化合物、イミダゾール化合物、3級アミン系化合物、ジメチルウレア化合物、およびアミンアダクト化合物から選ばれる2種以上が好ましい。
<(E)熱可塑性樹脂>
封止層(即ち、樹脂組成物の硬化物)への可撓性の付与、封止用シートを調製する際の樹脂組成物ワニスの塗工性(はじき防止)等の観点から、本発明の樹脂組成物に熱可塑性樹脂を含有させてもよい。熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル系ポリマー等を挙げることができる。これらの熱可塑性樹脂は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂組成物を硬化して得られる封止層への可撓性の付与、封止用シートを調製する際の樹脂組成物ワニスの塗工性(はじき防止)等の点から、熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、15,000以上であるのが好ましく、20,000以上がより好ましい。しかし、この重量平均分子量が大きすぎると、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂(特に、エポキシ樹脂)との相溶性が低下する等の傾向がある。そのため、この重量平均分子量は、1,000,000以下であるのが好ましく、800,000以下がより好ましい。
本発明における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法(ポリスチレン換算)で測定される。GPC法による重量平均分子量は、具体的には、測定装置として島津製作所製LC-9A/RID-6Aを、カラムとして昭和電工社製Shodex K-800P/K-804L/K-804Lを、移動相としてクロロホルム等を用いて、カラム温度40℃にて測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出することができる。
熱可塑性樹脂は、樹脂組成物の硬化物の屈折率が1.48~1.54となるような熱可塑性樹脂であれば特に限定されない。熱硬化性樹脂の屈折率が低い場合には、上記樹脂組成物の硬化物の屈折率よりも高い樹脂組成物の硬化物の屈折率の熱可塑性樹脂でもよい。熱可塑性樹脂の屈折率は、好ましくは1.40~1.70、より好ましくは1.40~1.65である。複数の熱可塑性樹脂を用いる場合には、熱可塑性樹脂の混合物全体の屈折率が上記範囲内であることが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、熱硬化性樹脂(特にエポキシ樹脂)との相溶性がよく、樹脂組成物の硬化物の水分遮断性の向上に有利に作用し得る、フェノキシ樹脂が好ましい。
フェノキシ樹脂も、エポキシ樹脂と同様に、エポキシ基を有し得る。フェノキシ樹脂の重量平均分子量は、好ましくは10,000~500,000であり、より好ましくは20,000~300,000である。
好適なフェノキシ樹脂としては、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、およびノルボルネン骨格から選択される1種以上の骨格を有するものが挙げられる。フェノキシ樹脂は1種または2種以上を使用できる。
フェノキシ樹脂の市販品としては、例えば、YX7200B35(三菱化学社製:ビフェニル骨格含有フェノキシ樹脂)、1256(三菱化学社製:ビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂)、YX6954BH35(三菱化学社製:ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂)等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物が熱可塑性樹脂を含有する場合、その量は、樹脂組成物不揮発分全体あたり、0.1~60質量%であり、3~60質量%が好ましく、5~50質量%がより好ましい。
<カップリング剤>
本発明の樹脂組成物はカップリング剤を含有していてもよい。カップリング剤としては、シランカップリング剤、アルミネートカップリング剤、チタネートカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、例えば、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピル(ジメトキシ)メチルシランおよび2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ系シランカップリング剤;3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシランおよび11-メルカプトウンデシルトリメトキシシランなどのメルカプト系シランカップリング剤;3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランおよびN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルジメトキシメチルシランなどのアミノ系シランカップリング剤;3-ウレイドプロピルトリエトキシシランなどのウレイド系シランカップリング剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランおよびビニルメチルジエトキシシランなどのビニル系シランカップリング剤;p-スチリルトリメトキシシランなどのスチリル系シランカップリング剤;3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシランおよび3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランなどのアクリレート系シランカップリング剤;3-イソシアネートプロピルトリメトキシシランなどのイソシアネート系シランカップリング剤;ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドなどのスルフィド系シランカップリング剤;フェニルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、イミダゾールシラン、トリアジンシラン等を挙げることができる。これらの中でも、ビニル系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤が好ましく、エポキシ系シランカップリング剤が特に好ましい。アルミネートカップリング剤としては、例えば、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート(例えば、「プレンアクトAL-M」味の素ファインテクノ社製)が挙げられる。チタネート系カップリング剤の具体例としては、プレンアクトTTS、プレンアクト46B、プレンアクト55、プレンアクト41B、プレンアクト38S、プレンアクト138S、プレンアクト238S、プレンアクト338X、プレンアクト44、プレンアクト9SA(いずれも味の素ファインテクノ社製)等が挙げられる。カップリング剤は1種または2種以上を使用することができる。
本発明の樹脂組成物におけるカップリング剤の量は、樹脂組成物の不揮発分全体あたり、0~15質量%が好ましく、0.5~10質量%がより好ましい。
<無機充填材>
本発明の樹脂組成物には、樹脂組成物の硬化物の水分遮断性、封止用シートを調製する際の樹脂組成物ワニスの塗工性(はじき防止)等の観点から、本発明の効果が発揮される範囲で、半焼成ハイドロタルサイト以外の無機充填材をさらに含有させることができる。そのような無機充填材としては、上述した未焼成ハイドロタルサイトおよび焼成ハイドロタルサイトの他に、例えば、タルク、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム、クレー、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、窒化ホウ素、ホウ酸アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、ケイ酸塩等が挙げられる。無機充填材は1種または2種以上を使用できる。なお、無機充填材の一次粒子の粒経は、5μm以下が好ましく、さらには3μm以下が好ましい。例えば、一次粒子の粒経が0.001~3μmのもの、より好ましくは0.005~2μmのものを用いることができる。
無機充填材の粒子形態は特に限定されず、略球状、直方体状、板状、繊維のような直線形状、分岐形状のものを用いることができる。無機充填材は、タルク、シリカ、ゼオライト、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、ケイ酸塩、マイカ、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等が好ましく、タルク、シリカがより好ましく、タルクが特に好ましい。シリカとしては、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカ(水分散型、有機溶剤分散型、気相シリカ等)が好ましく、沈殿、沈降しにくく、樹脂との複合化がしやすいという観点から、有機溶剤分散型コロイダルシリカ(オルガノシリカゾル)が特に好ましい。
無機充填材は、市販品を使用できる。タルクの例として、日本タルク社製「FG-15」(平均粒径1.4μm)、「D-1000」(平均粒径1.0μm)、「D-600」(平均粒径0.6μm)等が挙げられる。市販されている球状溶融シリカの例として、アドマテックス社製の真球シリカ「アドマファインシリーズ」(「SO-C2;平均粒径0.5μm」、「SC2500-SQ;平均粒子径0.5μm、シランカップリング処理」など)等が挙げられる。フュームドシリカの例として、日本アエロジル(株)製の「アエロジルシリーズ」(「A-200:一次粒子径5~40nm」など)等が挙げられる。有機溶剤分散型コロイダルシリカの例として、日産化学工業社製「MEK-EC-2130Y」(アモルファスシリカ粒径10~15nm、不揮発分30質量%、MEK溶剤)、日産化学工業社製「PGM-AC-2140Y」(シリカ粒径10~15nm、不揮発分40質量%、PGM(プロピレングリコールモノメチルエーテル)溶剤)、日産化学工業社製「MIBK-ST」(シリカ粒径10~15nm、不揮発分30質量%、MIBK(メチルイソブチルケトン)溶剤)、扶桑化学工業社製コロイド状シリカゾル「PL-2L-MEK」(シリカ粒径15~20nm、不揮発分20質量%、MEK(メチルエチルケトン)溶剤)等が挙げられる。
半焼成ハイドロタルサイト以外の無機充填材の量は、樹脂組成物の硬化物の水分遮蔽性等の観点から、樹脂組成物の不揮発分全体あたり、0~30質量%が好ましく、0~25質量%が更に好ましい。
樹脂組成物の硬化物の水分遮蔽性および透過率向上等のため、本発明の樹脂組成物にシリカを配合してもよい。シリカを配合する場合、その量は、樹脂組成物の不揮発分全体あたり0.1~10質量%が好ましい。シリカの量が多すぎると、密着性が低下する傾向となる。
樹脂組成物の硬化物の耐湿性および密着性の向上等のため、本発明の樹脂組成物にタルクを配合してもよい。タルクを配合する場合、その量は、樹脂組成物の不揮発分全体あたり、0.01~30質量%が好ましく、0.1~20質量%がより好ましく、0.5~10質量%がさらに好ましい。タルクの量が少なすぎると、タルクによる耐湿性および密着性向上の効果が発揮されにくい傾向となり、タルクの量が多すぎると、透明性が悪化する傾向となる。
<その他の添加剤>
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果が発揮される範囲であれば、上述の成分とは異なるその他の添加剤をさらに含有していてもよい。このような添加剤としては、例えば、ゴム粒子、シリコーンパウダー、ナイロンパウダー、フッ素樹脂パウダー等の有機充填材;オルベン、ベントン等の増粘剤;シリコーン系、フッ素系、高分子系の消泡剤またはレベリング剤;トリアゾール化合物、チアゾール化合物、トリアジン化合物、ポルフィリン化合物等の密着性付与剤;等を挙げることができる。
<屈折率>
本発明において、固形樹脂(例えば、固形エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂等)の屈折率および樹脂組成物の硬化物の屈折率は、いずれも、25℃での波長594nmの光の屈折率であり、プリズムカプラ法に基づく測定値である。詳しくは、プリズムカプラ法により、屈折率が分かっているプリズムと、それに接触した試料との界面における臨界角を測定することで、試料の屈折率を測定することができる。プリズムカプラ法の測定装置としては、例えば、メトリコン社製プリズムカプラー(モデル2010/M)を使用することができる。溶剤を含む溶液状の固形樹脂やフェノキシ樹脂等の屈折率を測定する場合は、ガラス支持体の上に均一な膜厚で塗工し、熱循環式オーブン等にて十分溶剤分を揮発させたものを測定に用いる。液状樹脂(例えば、液状エポキシ樹脂等)の屈折率は、25℃での多波長アッベ屈折率計を使用した測定法に基づく測定値である。多波長アッベ屈折率計としては、例えば、アタゴ社製DR-M2を使用することができる。
<硬化物層の平行線透過率>
本発明において、厚さが20μmである樹脂組成物の硬化物層のD65光での平行線透過率は80~100%であることが好ましい。このような硬化物層は、目視において透明であると認識できる。
本発明の樹脂組成物は、上記の好ましい条件を適宜採用することにより、容易に、平行線透過率に優れる樹脂組成物の硬化物(封止層)を形成することができる。厚さが20μmである樹脂組成物の硬化物層(封止層)のD65光での平行線透過率は、80~100%であるのが好ましく、85~100%であるのがより好ましい。硬化物のD65光での平行線透過率は、後述する実施例に記載するようにして、ガラス板の間に樹脂組成物の硬化物が挟まれた積層体を形成し、空気をリファレンスとすることによって算出される。なお、上述したD65光での平行線透過率の値は、厚さが20μmである樹脂組成物の硬化物層の測定値であるが、硬化物層の厚さは、一般には3~200μmである。
<樹脂組成物の製造方法>
硬化物の屈折率が1.48~1.54である本発明の樹脂組成物は、前記屈折率と同程度である屈折率を有する成分を使用すること、または、より低屈折率の樹脂と高屈折率の樹脂を配合して樹脂全体の屈折率を上記範囲に調整することによって製造することができる。そのような成分、および必要により有機溶剤等を、混練ローラーや回転ミキサーなどを用いて混合することで、本発明の樹脂組成物を製造することができる。
<用途>
本発明の樹脂組成物および後述する封止用シートは、例えば、半導体、太陽電池、高輝度LED、LCD、EL素子等の電子部品、好ましくは有機EL素子、太陽電池等の光学半導体の封止に使用される。本発明の樹脂組成物および封止用シートは、特に有機EL素子の封止に好適に使用される。具体的には、有機EL素子の発光部の上部および/または周囲(側部)に適用して有機EL素子の発光部を外部から保護するために、本発明の樹脂組成物および封止用シートを用いることができる。
本発明の樹脂組成物を、封止対象物に直接塗布し、その塗膜を硬化することで封止層を形成することができる。また、支持体上に本発明の樹脂組成物の層を形成した封止用シートを作製し、封止用シートを封止対象物の必要箇所にラミネートして樹脂組成物層を被覆対象物に転写し、硬化することで封止層を形成するようにしてもよい。
<封止用シート>
本発明の樹脂組成物の層が支持体上に形成されている封止用シートは、当業者に公知の方法、例えば、樹脂組成物が有機溶剤に溶解した樹脂組成物ワニスを調製し、該ワニスを支持体上に塗布し、さらに加熱、あるいは熱風吹きつけ等によって塗布された該ワニスを乾燥させて樹脂組成物層を形成させることによって製造することができる。
封止用シートに使用する支持体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン、シクロオレフィンポリマー、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミドなどのプラスチックフィルムが挙げられる。プラスチックフィルムとしては、特にPETが好ましい。また支持体はアルミ箔、ステンレス箔、銅箔等の金属箔であってもよい。支持体はマット処理、コロナ処理の他、離型処理を施してあってもよい。離型処理としては、例えば、シリコーン樹脂系離型剤、アルキッド樹脂系離型剤、フッ素樹脂系離型剤等の離型剤による離型処理が挙げられる。
封止用シートの防湿性を向上させるために、バリア層を有するプラスチックフィルムを支持体として用いてもよい。このバリア層としては、例えば、窒化ケイ素等の窒化物、酸化アルミニウム等の酸化物、ステンレス箔、アルミ箔の金属箔等が挙げられる。プラスチックフィルムとしては、上述のプラスチックフィルムが挙げられる。バリア層を有するプラスチックフィルムは市販品を使用してもよい。また、金属箔とプラスチックフィルムを複合ラミネートしたフィルムであってもよい。例えば、アルミ箔付きポリエチレンテレフタレートフィルムの市販品としては、東海東洋アルミ販売社製「PETツキAL1N30」、福田金属社製「PETツキAL3025」、パナック社製「アルペット」等が挙げられる。
支持体には、シリコーン樹脂系離型剤、アルキッド樹脂系離型剤、フッ素樹脂系離型剤等による離型処理、マット処理、コロナ処理等が施されていてもよい。本発明において支持体が離型層を有する場合、該離型層も支持体の一部とみなす。支持体の厚さは、特に限定されないが、取扱い性等の観点から、好ましくは20~200μm、より好ましくは20~125μmである。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(以下、「MEK」とも略称する)、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等を挙げることができる。有機溶剤はいずれか1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
乾燥条件は特に制限はないが、通常50~100℃程度で3~15分程度が好適である。
乾燥後の樹脂組成物層の厚さは、通常3μm~200μm、好ましくは5μm~100μm、さらに好ましくは5μm~50μmの範囲である。
樹脂組成物層は、保護フィルムで保護されていてもよい。保護フィルムで保護することにより、樹脂組成物層表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。保護フィルムは、支持体と同様のプラスチックフィルムを用いるのが好ましい。また、保護フィルムもマット処理、コロナ処理の他、離型処理を施してあってもよい。保護フィルムの厚さは特に制限されないが、通常1~150μm、好ましくは10~100μmの範囲である。
封止用シートは、支持体に、防湿性を有し、かつ、透過率の高い支持体を使用すれば、封止用シートを封止対象物の必要箇所にラミネートし、そのまま、樹脂組成物層を硬化して封止層を形成することで、高い耐湿性を備えた封止構造を形成することができる。このような、防湿性を有し、かつ、透過率の高い支持体としては、表面に酸化ケイ素(シリカ)、窒化ケイ素、SiCN、アモルファスシリコン等の無機物を蒸着させたプラスチックフィルム等が挙げられる。プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド等が挙げられる。プラスチックフィルムとしては、特にPETが好ましい。市販されている防湿性を有するプラスチックフィルムの例としては、テックバリアHX、AX、LX、Lシリーズ(三菱樹脂社製)やさらに防湿効果を高めたX-BARRIER(三菱樹脂社製)等が挙げられる。支持体として、2層以上の複層構造を有するものを使用しても良い。
<有機ELデバイス>
本発明の樹脂組成物の硬化物で有機EL素子が封止された有機ELデバイス等を製造する場合は、上記封止用シートを用いて封止を行うのが好適である。すなわち、封止用シートは、樹脂組成物層が保護フィルムで保護されている場合はこれを剥離した後、封止用シートをその樹脂組成物層が封止対象物(例えば、有機EL素子形成基板上の有機EL素子等)に直接接するようにラミネートする。ラミネートの方法はバッチ式であってもロールでの連続式であってもよい。ラミネート後、支持体を剥離し、後述の樹脂組成物層の熱硬化作業を行なう。封止用シートの支持体が防湿性を有する支持体である場合、封止用シートをラミネートした後、支持体を剥離せず、そのまま後述の樹脂組成物層の熱硬化作業を行なう。
樹脂組成物層の硬化は通常熱硬化によって行われる。その手段としては、例えば、熱風循環式オーブン、赤外線ヒーター、ヒートガン、高周波誘導加熱装置、ヒートツールの圧着による加熱等が挙げられる。硬化した樹脂組成物層(封止層)を封止対象物に十分に満足できる接着強度で接着させる観点から、硬化温度は、50℃以上が好ましく、55℃以上がより好ましく、硬化時間は、10分以上が好ましく、20分以上がより好ましい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の記載において、特に断りがない限り、透過率以外の濃度、吸水率等の単位である「%」、および配合量の単位である「部」は、それぞれ「質量%」および「質量部」を意味する。なお、ハイドロタルサイトとしては、全て市販されているハイドロタルサイトを使用した。
<合成例1>イオン液体硬化剤の合成
イオン液体硬化剤であるN-アセチルグリシンテトラブチルホスホニウム塩を以下の手順にて合成した。41.4%のテトラブチルホスホニウムハイドロキサイド水溶液(北興化学工業社製)20.0gに対し、0℃にてN-アセチルグリシン(東京化成工業社製)3.54gを加え、10分間攪拌した。撹拌後に、エバポレーターを用いて40~50mmHgの圧力で、60~80℃にて2時間、90℃にて5時間、反応溶液を濃縮した。得られた濃縮物を、室温にて酢酸エチル(純正化学社製)14.2mlに溶解して溶液を調製し、得られた溶液を、エバポレーターを用いて40~50mmHgの圧力で、70~90℃にて3時間濃縮して、N-アセチルグリシンテトラブチルホスホニウム塩11.7g(純度:96.9%)をオイル状化合物として得た。
<実施例1>
液状水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製「YX8000」、エポキシ当量:約205)60部と、市販のハイドロタルサイトA(半焼成ハイドロタルサイト、BET比表面積:13m/g、平均粒子径:400nm)40部とを混練後、3本ロールミルにて分散を行い、混合物を得た。硬化促進剤(サンアプロ社製「U-CAT3512T」)1.5部を、フェノキシ樹脂溶液(三菱化学社製「YX7200B35」、溶媒:MEK、不揮発分:35%)114.3部(樹脂40部)に溶解させた混合物に、先に調製した混合物と、イオン液体硬化剤(N-アセチルグリシンテトラブチルホスホニウム塩)3部とを配合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂組成物ワニスを得た。
次いで、樹脂組成物ワニスを、支持体(シリコーン系離型剤で処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ38μm、以下「離型PETフィルム」と略す)上に、乾燥後の樹脂組成物層の厚さが20μmとなるようにダイコーターにて均一に塗布し、80℃で5分間乾燥した後、樹脂組成物層の表面に、保護フィルムとして離型PETフィルムを載せ、封止用シートを得た。
<実施例2>
ハイドロタルサイトAの代わりに市販のハイドロタルサイトB(半焼成ハイドロタルサイト、BET比表面積:15m/g、平均粒子径:400nm)を使用したこと以外は実施例1と同様にして樹脂組成物ワニスを製造し、封止用シートを得た。
<実施例3>
フェノキシ樹脂溶液(114.3部)の代わりに固形水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製「YX8040」、エポキシ当量:約1000)の溶液(溶媒:MEK、不揮発分:40%)100部(樹脂40部)を使用したこと以外は実施例2と同様にして樹脂組成物ワニスを製造し、実施例1と同様にして封止用シートを得た。
<実施例4>
硬化促進剤(サンアプロ社製「U-CAT3512T」)1.5部の代わりにイミダゾール硬化剤(四国化成社製「1B2MZ」)2部を使用したこと以外は実施例2と同様にして樹脂組成物ワニスを製造し、実施例1と同様にして封止用シートを得た。
<実施例5>
液状水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製「YX8000」、エポキシ当量:約205)30部と、酸無水物硬化剤(新日本理化社製「MH-700」)30部、市販のハイドロタルサイトB(BET比表面積:13m/g、平均粒子径:400nm)40部とを混練後、3本ロールミルにて分散を行い、混合物を得た。固形水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製「YX8040」、エポキシ当量:約1000)の溶液(溶媒:MEK、不揮発分:40%)100部(樹脂40部)中に、先に調製した3本ロールミルにより分散した混合物と、DBU-オクチル酸塩硬化促進剤(サンアプロ社製「U-CAT SA102」)2部とを高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂組成物ワニスを得た。
得られた樹脂組成物ワニスを使用したこと以外は実施例1と同様にして、封止用シートを得た。
<実施例6>
フェノキシ樹脂溶液(三菱化学社製「YX7200B35」、溶媒:MEK、不揮発分:35%)の使用量を57.2部(樹脂20部)とし、さらに固形水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製「YX8040」)の溶液(溶媒:MEK、不揮発分:40%)50部(樹脂20部)を使用したこと以外は実施例2と同様にして樹脂組成物ワニスを製造し、実施例1と同様にして封止用シートを得た。
<実施例7>
フェノキシ樹脂溶液(三菱化学社製「YX7200B35」、溶媒:MEK、不揮発分:35%)の使用量を85.7部(樹脂30部)とし、さらに液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂および液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合物(新日鐵化学工業社製「ZX-1059」、エポキシ当量:約165)10部を使用したこと以外は実施例2と同様にして樹脂組成物ワニスを製造し、実施例1と同様にして封止用シートを得た。
<比較例1>
液状水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂の代わりに液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂および液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合物(新日鐵化学工業社製「ZX-1059」)60部を使用したこと以外は実施例2と同様にして樹脂組成物ワニスを製造し、実施例1と同様にして封止用シートを得た。
<比較例2>
ハイドロタルサイトAの代わりに市販のハイドロタルサイトC(焼成ハイドロタルサイト、平均粒子径:400nm)40部を使用したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物ワニスを製造し、封止用シートを得た。
<比較例3>
ハイドロタルサイトAの代わりに市販のハイドロタルサイトD(未焼成ハイドロタルサイト、平均粒子径:400nm)40部を使用したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物ワニスを製造し、封止用シートを得た。
<ハイドロタルサイトの吸水率>
各ハイドロタルサイトを天秤にて1.5g量りとり、初期質量を測定した。大気圧下、60℃、90%RH(相対湿度)に設定した小型環境試験器(エスペック社製 SH-222)に200時間静置して、吸湿後の質量を測定し、上記式(i)を用いて飽和吸水率を求めた。結果を表1に示す。
<ハイドロタルサイトの熱重量減少率>
日立ハイテクサイエンス社製TG/DTA EXSTAR6300を用いて、各ハイドロタルサイトの熱重量分析を行った。アルミニウム製のサンプルパンにハイドロタルサイトを10mg秤量し、蓋をせずオープンの状態で、窒素流量200mL/分の雰囲気下で、30℃から550℃まで10℃/分で昇温した。上記式(ii)を用いて、280℃および380℃における熱重量減少率を求めた。結果を表1に表す。
<粉末X線回折>
粉末X線回折の測定は、粉末X線回折装置(PANalytical社製,Empyrean)により、対陰極CuKα(1.5405Å)、電圧:45V、電流:40mA、サンプリング幅:0.0260°、走査速度:0.0657°/s、測定回折角範囲(2θ):5.0131~79.9711°の条件で行った。ピークサーチは、回折装置付属のソフトウエアのピークサーチ機能を利用し、「最小有意度:0.50、最小ピークチップ:0.01°、最大ピークチップ:1.00°、ピークベース幅:2.00°、方法:2次微分の最小値」の条件で行った。2θが8~18°の範囲内で現れたスプリットした二つのピーク、または二つのピークの合成によりショルダーを有するピークを検出し、低角側に現れたピークまたはショルダーの回折強度(=低角側回折強度)と、高角側に現れるピークまたはショルダーの回折強度(=高角側回折強度)を測定し、相対強度比(=低角側回折強度/高角側回折強度)を算出した。結果を表1に表す。
Figure 0007120017000002
飽和吸水率、熱重量減少率および粉末X線回折の結果より、ハイドロタルサイトA、ハイドロタルサイトB、ハイドロタルサイトEおよびハイドロタルサイトFは「半焼成ハイドロタルサイト」であり、ハイドロタルサイトCは「焼成ハイドロタルサイト」であり、ハイドロタルサイトDは「未焼成ハイドロタルサイト」である。
<樹脂組成物の硬化物の屈折率>
実施例および比較例で作製した封止用シートを長さ70mmおよび幅25mmにカットし、カットした封止用シートから保護フィルム(離型PETフィルム)を剥離し、該封止用シートをガラス板(長さ76mm、幅26mmおよび厚さ1.2mmのマイクロスライドガラス、松浪ガラス工業社製白スライドグラスS1112 縁磨No.2)にバッチ式真空ラミネーター(ニチゴー・モートン社製、V-160)を用いてラミネートした。ラミネート条件は、温度80℃、減圧時間30秒の後、圧力0.3MPaにて30秒加圧であった。その後、封止用シートの支持体(離型PETフィルム)を剥離し、熱循環式オーブンで130℃60分間熱硬化し、樹脂組成物の硬化物層とガラスとの積層体である評価用サンプルを得た。
メトリコン社製プリズムカプラー(モデル2010/M)を用いて、波長594nmのレーザー光を用いて、屈折率測定を行った。空気圧作動式カップリングヘッドにより装置内のプリズムに、前記評価用サンプルの硬化物層の表面を接触させて、評価用サンプルを設置した。レーザーを照射しながらプリズムとサンプルの角度を変化させ、全反射して光検出器に導入されていたレーザー光が、モード角度と呼ばれる値にて、空気相からサンプル内部へ伝搬し、検出器に到達するレーザー光の光強度が最初に急激に低下して光伝搬モードに入る位置(dip)を確認し、これにより屈折率を決定した。結果を表2に示す。
<樹脂組成物の硬化物の平行線透過率>
実施例および比較例で作製した封止用シートを長さ70mmおよび幅25mmにカットし、カットした封止用シートから保護フィルム(離型PETフィルム)を剥離し、該封止用シートをガラス板(長さ76mm、幅26mmおよび厚さ1.2mmのマイクロスライドガラス、松浪ガラス工業社製白スライドグラスS1112 縁磨No.2)にバッチ式真空ラミネーター(ニチゴー・モートン社製、V-160)を用いてラミネートした。ラミネート条件は、温度80℃、減圧時間30秒の後、圧力0.3MPaにて30秒加圧であった。その後、封止用シートの支持体(PETフィルム)を剥離し、露出した樹脂組成物層上にさらに上記と同じガラス板をラミネートして、積層体を作製した。得られた積層体を熱循環式オーブンで130℃60分間加熱し、ガラス板の間に樹脂組成物の硬化物を有する積層体(評価用サンプル、硬化物の厚さ:20μm)を得た。
スガ試験機社製ヘーズメーター HZ-V3(ハロゲンランプ)を用いて、空気をリファレンスとして、D65光にて、評価用サンプルの平行線透過率Tp(%)を測定し、以下の基準で評価した。結果を表2に示す。
(平行線透過率の基準)
良好(○):85%以上
可(△):85%未満、80%以上
不良(×):80%未満
<発光面積減少開始時間>
支持体としてアルミ箔/PET複合フィルム「PETツキAL1N30」(アルミ箔:30μm、PET:25μm、:東海東洋アルミ販売社製)を用いたこと以外は各実施例および比較例と同様にして、各実施例および比較例と同じ樹脂組成物層を有する封止用シート得た。
無アルカリガラス50mm×50mm角を、煮沸したイソプロピールアルコールで5分間洗浄し、150℃において30分以上乾燥した。当該ガラスを用い、端部からの距離を3mmとしたマスクを使用し、カルシウム膜(純度99.8%)を蒸着した(厚さ300nm)。グローブボックス内で、カルシウム膜を蒸着した無アルカリガラスと、各実施例および比較例と同じ樹脂組成物層を有する封止用シートとを熱ラミネーター(フジプラ社製 ラミパッカーDAiSY A4(LPD2325))で貼りあわせて、積層体を調製した。得られた積層体を温度130℃で60分間加熱し、樹脂組成物層を硬化して、評価用サンプルを得た。
カルシウムが水と接触して酸化カルシウムになると、透明になる。そのため、評価用サンプルへの水分侵入は、評価用サンプルの端部からカルシウム膜までの距離(mm)を測定することによって評価できる。そのため、カルシウム膜を含む評価用サンプルを、有機EL素子を含む有機ELデバイスのモデルとして使用した。
まず、評価用サンプルの端部からカルシウム膜までの距離をミツトヨ社製 Measuring Microscope MF-Uにより測定し、この値をX2とした。
次いで、温度85℃および湿度85%RHに設定した恒温恒湿槽に評価用サンプルを投入した。恒温恒湿槽への投入後の評価用サンプルの端部からカルシウム膜までの封止距離X1(mm)が、恒温恒湿槽への投入前の評価用サンプルの端部からカルシウム膜までの封止距離X2(mm)よりも0.1mm増加した時間で評価用サンプルを恒温恒湿槽から取り出し、その時間を減少開始時間t(時間)とした。
以下のフィックの拡散式:
X1=K√t
(式中、X1は、恒温恒湿槽への投入後の評価用サンプルの端部からカルシウム膜までの封止距離(mm)であり、tは、X1=X2+0.1となる減少開始時間(時間)であり、X2は恒温恒湿槽への投入前の評価用サンプルの端部からカルシウム膜までの封止距離(mm)である。)
に基づき、定数Kを算出した。
得られたKを用いて、X1が5mmの値となる時間を、発光面積減少開始時間として算出し、下記基準で評価した。水分遮断性が高いほど水分の侵入速度を遅らせることができ、この発光面積減少開始時間は長くなる。結果を表2に示す。なお、表2に記載する単位の「h」は「時間」を意味する。
(発光面積減少開始時間の基準)
良好(○):300時間以上
可(△):300時間未満、200時間以上
不良(×):200時間未満
表2に、実施例および比較例で得られた硬化物の屈折率等の結果に加えて、使用した成分の種類および量を記載する。
Figure 0007120017000003
本発明の封止用の樹脂組成物によれば、水分遮断性および透明性の両方に優れる封止層を形成することができる。そのため、本発明の封止用の樹脂組成物および封止用シートは、有機EL素子等の水分に弱い素子の封止に好適に用いることができる。
本願は、日本で出願された特願2016-196395号を基礎としており、その内容は本願明細書に全て包含される。

Claims (22)

  1. (A)熱硬化性樹脂、(B)半焼成ハイドロタルサイト、および(C)硬化剤を含む樹脂組成物であって、さらに焼成ハイドロタルサイトを含んでいてもよく、半焼成ハイドロタルサイト:焼成ハイドロタルサイトの質量比が55:45~100:0であり、樹脂組成物の硬化物の屈折率が1.48~1.54である封止用の樹脂組成物。
  2. 焼成ハイドロタルサイトを含まない請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. (A)熱硬化性樹脂が、屈折率が1.48~1.54である熱硬化性樹脂を含む請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. (A)熱硬化性樹脂が、芳香環含有エポキシ樹脂を含む請求項1~のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  5. (A)熱硬化性樹脂が、屈折率が1.48~1.54であるエポキシ樹脂(a1)、および芳香環含有エポキシ樹脂(a2)を含む請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  6. 屈折率が1.48~1.54であるエポキシ樹脂(a1)が、水素添加エポキシ樹脂、フッ素含有エポキシ樹脂、鎖状脂肪族型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂およびアルキルフェノール型エポキシ樹脂から選ばれる1種以上である請求項に記載の樹脂組成物。
  7. 芳香環含有エポキシ樹脂(a2)が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂およびフッ素含有芳香族型エポキシ樹脂から選ばれる1種以上である請求項またはに記載の樹脂組成物。
  8. (A)熱硬化性樹脂の量が、樹脂組成物の不揮発分全体あたり10~95質量%である請求項1~のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  9. (B)半焼成ハイドロタルサイトの量が、樹脂組成物の不揮発分全体あたり5~60質量%である請求項1~のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  10. (C)硬化剤が、イオン液体、酸無水物化合物、イミダゾール化合物、3級アミン系化合物、およびジメチルウレア化合物から選ばれる1種以上である請求項1~のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  11. (C)硬化剤の量が、樹脂組成物の不揮発分全体あたり0.1~40質量%である請求項1~10のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  12. さらに(D)硬化促進剤を含む請求項1~11のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  13. (D)硬化促進剤が、イミダゾール化合物、3級アミン系化合物、ジメチルウレア化合物、およびアミンアダクト化合物から選ばれる1種以上である請求項12に記載の樹脂組成物。
  14. (D)硬化促進剤の量が、樹脂組成物の不揮発分全体あたり0.05~10質量%である請求項12または13に記載の樹脂組成物。
  15. さらに(E)熱可塑性樹脂を含む請求項1~14のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  16. (E)熱可塑性樹脂が、フェノキシ樹脂である請求項15に記載の樹脂組成物。
  17. (E)熱可塑性樹脂の量が、樹脂組成物の不揮発分全体あたり0.1~60質量%である請求項15または16に記載の樹脂組成物。
  18. 有機EL素子の封止用である請求項1~17のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  19. 厚さが20μmである樹脂組成物の硬化物層のD65光での平行線透過率が80~100%である請求項1~18のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  20. 請求項1~19のいずれか一項に記載の樹脂組成物の層が支持体上に形成されている封止用シート。
  21. 有機EL素子の封止用である請求項20に記載の封止用シート。
  22. 請求項1~19のいずれか一項に記載の樹脂組成物の硬化物で有機EL素子が封止された有機ELデバイス。
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