JP7207079B2 - 支持体付き樹脂シート - Google Patents

支持体付き樹脂シート Download PDF

Info

Publication number
JP7207079B2
JP7207079B2 JP2019063025A JP2019063025A JP7207079B2 JP 7207079 B2 JP7207079 B2 JP 7207079B2 JP 2019063025 A JP2019063025 A JP 2019063025A JP 2019063025 A JP2019063025 A JP 2019063025A JP 7207079 B2 JP7207079 B2 JP 7207079B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
support
hygroscopic
resin sheet
moisture
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019063025A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020157744A (ja
Inventor
真奈美 奥野
賢 大橋
有希 久保
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ajinomoto Co Inc
Original Assignee
Ajinomoto Co Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ajinomoto Co Inc filed Critical Ajinomoto Co Inc
Priority to JP2019063025A priority Critical patent/JP7207079B2/ja
Priority to KR1020217035084A priority patent/KR20210148236A/ko
Priority to PCT/JP2020/013977 priority patent/WO2020196825A1/ja
Priority to CN202080025043.9A priority patent/CN113646170B/zh
Publication of JP2020157744A publication Critical patent/JP2020157744A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7207079B2 publication Critical patent/JP7207079B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B27/00Layered products comprising a layer of synthetic resin
    • B32B27/18Layered products comprising a layer of synthetic resin characterised by the use of special additives
    • B32B27/20Layered products comprising a layer of synthetic resin characterised by the use of special additives using fillers, pigments, thixotroping agents
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K50/00Organic light-emitting devices
    • H10K50/80Constructional details
    • H10K50/84Passivation; Containers; Encapsulations
    • H10K50/842Containers
    • H10K50/8426Peripheral sealing arrangements, e.g. adhesives, sealants

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Electroluminescent Light Sources (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Description

本発明は支持体付き樹脂シートに関し、電子素子、特に有機EL(Electroluminescence)素子等の発光素子、光半導体、太陽電池等の受光素子等の封止に好適な封止用の支持体付き樹脂シートに関する。
有機EL素子は発光材料に有機物質を使用した発光素子であり、低電圧で高輝度の発光を得ることができるため近年脚光を浴びている。しかしながら、有機EL素子は水分に極めて弱く、発光材料(発光層)が水分によって変質して、輝度が低下したり、発光しなくなったり、電極と発光層との界面が水分の影響で剥離したり、金属が酸化して高抵抗化してしまったりする問題がある。このため、素子内部を外気中の水分から遮断するために、例えば、基板上に形成された発光層の全面を覆うように樹脂組成物によって封止層を形成して有機EL素子を封止することが行われる。
このような有機EL素子の封止用に適した樹脂組成物としては、樹脂組成物中に吸湿フィラーを含有させたものが知られている。例えば、特許文献1には、吸湿性の金属水酸化物を含む封止用樹脂組成物および支持体と当該封止用樹脂組成物により形成される樹脂組成物層とから構成される封止用シートが開示されている。また特許文献2には、樹脂組成物層として、吸湿フィラーを含む吸湿樹脂組成物層と吸湿フィラーを含まないかもしくは吸湿フィラー添加量の少ない保護樹脂組成物層とを含む有機EL素子の封止用に適したフィルムが開示されている。
国際公開第2017/057708号 国際公開第2011/016408号
これらの樹脂シートは吸湿性フィラーを含む吸湿性層により、外気中の水分を吸収し有機EL素子を水分から保護するものであるが、吸湿フィラーが捕捉した水分が、時間経過とともに有機EL素子に到達し、劣化を引き起こすという課題が新たに見いだされたため、有機EL素子等の高い水分遮蔽性を必要とする部位の封止用としては、必ずしも十分なものとは言えなかった。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、吸湿性層を有する支持体付き樹脂シートであって、より高い水分遮蔽性を発揮し得る支持体付き樹脂シートを提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究をした結果、吸湿性層を有する支持体付き樹脂シートを構成する樹脂シートにおいて、低透湿性層を、封止した際に有機EL素子等への水分を遮蔽すべき部位側(すなわち、吸湿性層に対し支持体とは反対側)に設けることにより、前記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の特徴を有するものを含む。
[1]支持体と、支持体上に設けられた樹脂シートと、を備える支持体付き樹脂シートであって、樹脂シートは、吸湿性樹脂組成物により形成される少なくとも一つの吸湿性層と低透湿性樹脂組成物により形成される少なくとも一つの低透湿性層とを有し、少なくとも一つの低透湿性層が吸湿性層に対し支持体とは反対側に設けられており、吸湿性樹脂組成物は吸湿性フィラーを含み、低透湿性樹脂組成物は板状フィラーを含む、支持体付き樹脂シート。
[2]吸湿性樹脂組成物における吸湿性フィラーの含有量が、吸湿性樹脂組成物の不揮発分を100質量%としたとき、10質量%以上80質量%以下である、[1]に記載の支持体付き樹脂シート。
[3]低透湿性樹脂組成物における板状フィラーの含有量が、低透湿性樹脂組成物の不揮発分を100質量%としたとき、10質量%以上80質量%以下である、[1]または[2]に記載の支持体付き樹脂シート。
[4]吸湿性フィラーが、半焼成ハイドロタルサイトである、[1]~[3]のいずれかに記載の支持体付き樹脂シート。
[5]板状フィラーが、板状ガラス、未焼成ハイドロタルサイト、スメクタイトおよび 合成フッ素金雲母から選ばれる少なくとも1種である、[1]~[4]のいずれかに記載の支持体付き樹脂シート。
[6]板状フィラーの平均アスペクト比が2以上である、[1]~[5]のいずれかに記載の支持体付き樹脂シート。
[7]樹脂シートの厚さが5μm以上100μm以下である、[1]~[6]のいずれかに記載の支持体付き樹脂シート。
[8]吸湿性層の厚さが低透湿性層の厚さ以上である、[1]~[7]のいずれかに記載の支持体付き樹脂シート。
[9]低透湿性層の厚さに対する吸湿性層の厚さの比が1.0~20である、[1]~[8]のいずれかに記載の支持体付き樹脂シート。
[10]少なくとも一つの低透湿性層が全ての吸湿性層に対し支持体とは反対側に設けられている、[1]~[9]のいずれかに記載の支持体付き樹脂シート。
[11]樹脂シートの水蒸気透過率が10g/(m・24時間)以下である[1]~[10]のいずれかに記載の支持体付き樹脂シート。
[12]吸湿性樹脂組成物および低透湿性樹脂組成物が熱硬化性樹脂を含む、[1]~[11]のいずれかに記載の支持体付き樹脂シート。
[13]吸湿性樹脂組成物および低透湿性樹脂組成物がエポキシ樹脂を含む、[1]~[12]のいずれかに記載の支持体付き樹脂シート。
[14]吸湿性樹脂組成物および低透湿性樹脂組成物が熱可塑性樹脂を含む、[1]~[13]のいずれかに記載の支持体付き樹脂シート。
[15]電子デバイスの封止用である、[1]~[14]のいずれかに記載の支持体付き樹脂シート。
[16]有機ELデバイスの封止用である、[1]~[15]のいずれかに記載の支持体付き樹脂シート。
[17][1]~[16]のいずれかに記載の支持体付き樹脂シートで封止されている、電子デバイス。
本発明によれば、吸湿性フィラーを含む吸湿性樹脂組成物により形成される吸湿性層を有する支持体付き樹脂シートにおいて、より高い水分遮蔽性を発揮し得る支持体付き樹脂シートを提供することができる。
本発明の支持体付き樹脂シートにおける樹脂シートの一例を示す模式図である。
本発明の支持体付き樹脂シートは、支持体と該支持体上に設けられた樹脂シートとを備え、該樹脂シートは、吸湿性樹脂組成物により形成される吸湿性層と、低透湿性樹脂組成物により形成される少なくとも一つの低透湿性層と、を有し、該少なくとも一つの低透湿性層は該吸湿性層に対し該支持体とは反対側に設けられている。本発明の典型的な態様において、該吸湿性樹脂組成物は吸湿性フィラーを含み、該低透湿性樹脂組成物は板状フィラーを含む。
<吸湿性層>
本発明の支持体付き樹脂シートにおける吸湿性層は、吸湿性樹脂組成物により形成される。本発明の典型的な態様において、該吸湿性樹脂組成物は吸湿性フィラーを含む。
吸湿性フィラーとしては、吸湿性を有するフィラーであれば特に限定されるものではなく、例えば、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、焼成ハイドロタルサイト等の金属酸化物、半焼成ハイドロタルサイト等の層状金属水酸化物などが挙げられる。吸湿性フィラーとしては、焼成ハイドロタルサイト、半焼成ハイドロタルサイト、酸化カルシウムが好ましく、特に半焼成ハイドロタルサイトが好ましい。半焼成ハイドロタルサイトは吸湿性能に優れるものの、捕捉水分による有機EL素子の劣化の問題も顕著であるが、本発明においては、低透湿性層により捕捉水分の有機EL素子への到達が抑制されるため、半焼成ハイドロタルサイトの吸湿性能が十分生かされることにより、水分遮蔽性の観点から特に好ましい支持体付き樹脂シートを得ることができる。これらの吸湿性フィラーは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。本発明における吸湿性フィラーは、後掲で定義される飽和吸水率が、1質量%以上のフィラーである。
未焼成ハイドロタルサイトは、例えば、天然ハイドロタルサイト(MgAl(OH)16CO・4HO)に代表されるような層状の結晶構造を有する金属水酸化物であり、例えば、基本骨格となる層[Mg1-XAl(OH)X+と中間層[(COX/2・mHO]X-からなる。本発明における未焼成ハイドロタルサイトは、合成ハイドロタルサイト等のハイドロタルサイト様化合物を含む概念である。ハイドロタルサイト様化合物としては、例えば、下記式(I)および下記式(II)で表されるものが挙げられる。
[M2+ 1-x3+x(OH)x+・[(An-x/n・mHO]x- (I)
(式中、M2+はMg2+、Zn2+などの2価の金属イオンを表し、M3+はAl3+、Fe3+などの3価の金属イオンを表し、An-はCO 2-、Cl、NO などのn価のアニオンを表し、0<x<1であり、0≦m<1であり、nは正の数である。)
式(I)中、M2+は、好ましくはMg2+であり、M3+は、好ましくはAl3+であり、An-は、好ましくはCO 2-である。
2+ Al(OH)2x+6-nz(An-・mHO (II)
(式中、M2+はMg2+、Zn2+などの2価の金属イオンを表し、An-はCO 2-、Cl、NO3-などのn価のアニオンを表し、xは2以上の正の数であり、zは2以下の正の数であり、mは正の数であり、nは正の数である。)
式(II)中、M2+は、好ましくはMg2+であり、An-は、好ましくはCO 2-である。
半焼成ハイドロタルサイトは、未焼成ハイドロタルサイトを焼成して得られる、層間水の量が減少または消失した層状の結晶構造を有する金属水酸化物をいう。「層間水」とは、組成式を用いて説明すれば、上述した未焼成の天然ハイドロタルサイトおよびハイドロタルサイト様化合物の組成式に記載の「HO」を指す。
一方、焼成ハイドロタルサイトは、未焼成ハイドロタルサイトまたは半焼成ハイドロタルサイトを焼成して得られ、層間水だけでなく、水酸基も縮合脱水によって消失した、アモルファス構造を有する金属酸化物をいう。
未焼成ハイドロタルサイト、半焼成ハイドロタルサイトおよび焼成ハイドロタルサイトは、飽和吸水率により区別することができる。半焼成ハイドロタルサイトの飽和吸水率は、1質量%以上20質量%未満である。一方、未焼成ハイドロタルサイトの飽和吸水率は、1質量%未満であり、焼成ハイドロタルサイトの飽和吸水率は、20質量%以上である。
本発明における「飽和吸水率」とは、未焼成ハイドロタルサイト、半焼成ハイドロタルサイトまたは焼成ハイドロタルサイトを天秤にて1.5g量り取り、初期質量を測定した後、大気圧下、温度60℃、相対湿度90%に設定した小型環境試験器(エスペック社製SH-222)に200時間静置した場合の、初期質量に対する質量増加率を言い、下記式(i):
飽和吸水率(質量%)
=100×(吸湿後の質量-初期質量)/初期質量 (i)
で求めることができる。
半焼成ハイドロタルサイトの飽和吸水率は、好ましくは3質量%以上20質量%未満、より好ましくは5質量%以上20質量%未満である。
また、未焼成ハイドロタルサイト、半焼成ハイドロタルサイトおよび焼成ハイドロタルサイトは、熱重量分析で測定される熱重量減少率により区別することができる。半焼成ハイドロタルサイトの280℃における熱重量減少率は15質量%未満であり、かつその380℃における熱重量減少率は12質量%以上である。一方、未焼成ハイドロタルサイトの280℃における熱重量減少率は、15質量%以上であり、焼成ハイドロタルサイトの380℃における熱重量減少率は、12質量%未満である。
熱重量分析は、日立ハイテクサイエンス社製TG/DTA EXSTAR6300を用いて、アルミニウム製のサンプルパンにハイドロタルサイトを5mg秤量し、蓋をせずオープンの状態で、窒素流量200mL/分の雰囲気下、30℃から550℃まで昇温速度10℃/分の条件で行うことができる。熱重量減少率は、下記式(ii):
熱重量減少率(質量%)
=100×(加熱前の質量-所定温度に達した時の質量)/加熱前の質量 (ii)で求めることができる。
また、未焼成ハイドロタルサイト、半焼成ハイドロタルサイトおよび焼成ハイドロタルサイトは、粉末X線回折で測定されるピークおよび相対強度比により区別することができる。半焼成ハイドロタルサイトは、粉末X線回折により2θが8~18°付近に二つにスプリットしたピーク、または二つのピークの合成によりショルダーを有するピークを示し、低角側に現れるピークまたはショルダーの回折強度(=低角側回折強度)と、高角側に現れるピークまたはショルダーの回折強度(=高角側回折強度)の相対強度比(低角側回折強度/高角側回折強度)は、0.001~1,000である。一方、未焼成ハイドロタルサイトは8~18°付近で一つのピークしか有しないか、または低角側に現れるピークまたはショルダーと高角側に現れるピークまたはショルダーの回折強度の相対強度比が前述の範囲外となる。焼成ハイドロタルサイトは8°~18°の領域に特徴的ピークを有さず、43°に特徴的なピークを有する。粉末X線回折測定は、粉末X線回折装置(PANalytical社製、Empyrean)により、対陰極CuKα(1.5405Å)、電圧:45V、電流:40mA、サンプリング幅:0.0260°、走査速度:0.0657°/s、測定回折角範囲(2θ):5.0131~79.9711°の条件で行った。ピークサーチは、回折装置付属のソフトウエアのピークサーチ機能を利用し、「最小有意度:0.50、最小ピークチップ:0.01°、最大ピークチップ:1.00°、ピークベース幅:2.00°、方法:2次微分の最小値」の条件で行うことができる。
ハイドロタルサイトのBET比表面積は、1~250m/gが好ましく、5~200m/gがより好ましい。ハイドロタルサイトのBET比表面積は、BET法に従って、比表面積測定装置(Macsorb HM Model 1210 マウンテック社製)を用いて試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて算出することができる。
ハイドロタルサイトの平均粒子径は、1~1,000nmが好ましく、10~800nmがより好ましい。ハイドロタルサイトの平均粒子径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定(JIS Z 8825)により粒度分布を体積基準で作成したときの該粒度分布のメディアン径である。
ハイドロタルサイトは、表面処理剤で表面処理したものを用いることができる。表面処理に使用する表面処理剤としては、例えば、高級脂肪酸、アルキルシラン類、シランカップリング剤等を使用することができ、なかでも、高級脂肪酸、アルキルシラン類が好適である。表面処理剤は、1種または2種以上を使用できる。
高級脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸、モンタン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸などの炭素数18以上の高級脂肪酸が挙げられ、中でも、ステアリン酸が好ましい。これらは、1種または2種以上を使用できる。
アルキルシラン類としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、n-オクタデシルジメチル(3-(トリメトキシシリル)プロピル)アンモニウムクロライド等が挙げられる。これらは、1種または2種以上を使用できる。
シランカップリング剤としては、例えば、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピル(ジメトキシ)メチルシランおよび2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ系シランカップリング剤;3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシランおよび11-メルカプトウンデシルトリメトキシシランなどのメルカプト系シランカップリング剤;3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランおよびN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルジメトキシメチルシランなどのアミノ系シランカップリング剤;3-ウレイドプロピルトリエトキシシランなどのウレイド系シランカップリング剤、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランおよびビニルメチルジエトキシシランなどのビニル系シランカップリング剤;p-スチリルトリメトキシシランなどのスチリル系シランカップリング剤;3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシランおよび3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランなどのアクリレート系シランカップリング剤;3-イソシアネートプロピルトリメトキシシランなどのイソシアネート系シランカップリング剤、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドなどのスルフィド系シランカップリング剤;フェニルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、イミダゾールシラン、トリアジンシラン等を挙げることができる。これらは、1種または2種以上を使用できる。
ハイドロタルサイトの表面処理は、例えば、未処理のハイドロタルサイトを混合機で常温にて攪拌分散させながら、表面処理剤を添加噴霧して5~60分間攪拌することによって行なうことができる。混合機としては、公知の混合機を使用することができ、例えば、Vブレンダー、リボンブレンダー、バブルコーンブレンダー等のブレンダー、ヘンシェルミキサーおよびコンクリートミキサー等のミキサー、ボールミル、カッターミル等が挙げられる。又、ボールミルなどでハイドロタルサイトを粉砕する際に、前記の高級脂肪酸、アルキルシラン類またはシランカップリング剤を添加し、表面処理を行うこともできる。表面処理剤の使用量は、ハイドロタルサイトの種類または表面処理剤の種類等によっても異なるが、表面処理されていないハイドロタルサイト100質量部に対して1~10質量部が好ましい。本発明においては、表面処理されたハイドロタルサイトも、本発明における「ハイドロタルサイト」に包含される。
吸湿性樹脂組成物における吸湿性フィラーの含有量は、本発明の効果が発揮されれば特に限定されるものではないが、吸湿性樹脂組成物の不揮発分を100質量%としたとき、好ましくは10質量%以上80質量%以下であり、より好ましくは15質量%以上78質量%以下であり、さらにより好ましくは20質量%以上75質量%以下である。吸湿性フィラーの含有量が10質量%以上であると、吸湿性能をより効果的に発揮させることができる。また、吸湿性フィラーの含有量を80質量%以下とすることで、フィルム化時の製膜性や、樹脂組成物の接着性能、表面平滑性などをより向上させることができる。
本発明における吸湿性樹脂組成物は、本発明の効果が損なわれない範囲で、上記吸湿性フィラー以外のフィラーを含んでいてもよい。吸湿性フィラー以外のフィラーとしては、例えば、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、窒化ホウ素、ホウ酸アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、ケイ酸塩等の無機フィラー、ゴム粒子、シリコーンパウダー、ナイロンパウダー、フッ素樹脂パウダー等の有機フィラーが挙げられる。吸湿性フィラー以外のフィラーの含有量は、吸湿性フィラーを100質量%としたとき、好ましくは50質量%以下であり、より好ましく30質量%以下であり、さらに好ましくは20質量%以下であり、さらに一層好ましくは10質量%以下である。
本発明における吸湿性樹脂組成物を構成する樹脂は、本発明の効果が発揮されれば特に限定されるものではなく、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、ゴム系樹脂などが挙げられる。
熱硬化性樹脂
熱硬化性樹脂としては、特に限定されず、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよいが、エポキシ樹脂が好ましく用いられる。
エポキシ樹脂は、平均して1分子当り2個以上のエポキシ基を有するものであれば制限なく使用できる。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、芳香族グリシジルアミン型エポキシ樹脂(例えば、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジル-p-アミノフェノール、ジグリシジルトルイジン、ジグリシジルアニリン等)、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールのジグリシジルエーテル化物、ナフタレンジオールのジグリシジルエーテル化物、フェノール類のジグリシジルエーテル化物、およびアルコール類のジグリシジルエーテル化物、並びにこれらのエポキシ樹脂のアルキル置換体、ハロゲン化物および水素添加物等が挙げられる。かかるエポキシ樹脂は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、反応性等の観点から、好ましくは50~5,000、より好ましくは50~3,000、より一層好ましくは80~2,000、さらに好ましくは100~1,500である。なお、「エポキシ当量」とは1グラム当量のエポキシ基を含む樹脂のグラム数(g/eq)であり、JIS K 7236に規定された方法に従って測定される。また、エポキシ樹脂の重量平均分子量は、好ましくは5,000以下である。
好適なエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂等を挙げることができる。
エポキシ樹脂は、液状または固形のいずれでもよく、液状エポキシ樹脂と固形エポキシ樹脂とを併用してもよい。ここで、「液状」および「固形」とは、常温(25℃)でのエポキシ樹脂の状態である。塗工性、加工性、接着性の観点から、使用するエポキシ樹脂全体の少なくとも10質量%以上が液状エポキシ樹脂であるのが好ましい。ハイドロタルサイトとの混練性およびワニス粘度の観点から、液状エポキシ樹脂と固形エポキシ樹脂とを併用することが特に好ましい。液状エポキシ樹脂と固形エポキシ樹脂の質量比(液状エポキシ樹脂:固形エポキシ樹脂)は、1:2~1:0が好ましく、1:1.5~1:0.1がより好ましい。
吸湿性樹脂組成物中の熱硬化性樹脂の含有量は、吸湿性樹脂組成物の不揮発分を100質量%としたとき、10~79.9質量%が好ましく、20~70質量%がより好ましく、30~65質量%がさらに好ましい。
吸湿性樹脂組成物中のエポキシ樹脂の含有量は、吸湿性樹脂組成物の不揮発分を100質量%としたとき、10~79.9質量%が好ましく、20~70質量%がより好ましく、30~65質量%がさらに好ましい。
吸湿性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂を含有する場合、通常硬化剤を含有する。硬化剤は、吸湿性樹脂組成物を硬化する機能を有するものであれば特に限定されないが、吸湿性樹脂組成物の硬化処理時における有機EL素子等の発光素子の熱劣化を抑制する観点から、140℃以下(好ましくは120℃以下)の温度下で、吸湿性樹脂組成物を硬化し得るものが好ましい。硬化剤は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
硬化剤としては、熱硬化性樹脂として特に好ましいエポキシ樹脂の硬化剤につき、例示する。硬化剤としては、例えば、一級アミン、二級アミン、三級アミン系硬化剤、ポリアミノアミド系硬化剤、ジシアンジアミド、有機酸ジヒドラジド等が挙げられる。これらの中でも、速硬化性の点から、アミンアダクト系化合物(アミキュアPN-23、アミキュアMY-24、アミキュアPN-D、アミキュアMY-D、アミキュアPN-H、アミキュアMY-H、アミキュアPN-31、アミキュアPN-40、アミキュアPN-40J等(いずれも味の素ファインテクノ社製))、有機酸ジヒドラジド(アミキュアVDH-J、アミキュアUDH、アミキュアLDH等(いずれも味の素ファインテクノ社製))等が好ましい。
また、本発明における硬化剤として、140℃以下(好ましくは120℃以下)の温度下でエポキシ樹脂を硬化し得るイオン液体(すなわち、140℃以下(好ましくは120℃以下)の温度領域で融解しうる塩であって、エポキシ樹脂の硬化作用を有する塩)も特に好適に使用することができる。イオン液体は、熱硬化性樹脂(特にエポキシ樹脂)に均一に溶解している状態で使用されるのが望ましい。イオン液体は、吸湿性樹脂組成物の硬化物の水分遮断性の向上に有利に作用する。
かかるイオン液体を構成するカチオンとしては、イミダゾリウムイオン、ピペリジニウムイオン、ピロリジニウムイオン、ピラゾニウムイオン、グアニジニウムイオン、ピリジニウムイオン等のアンモニウム系カチオン;テトラアルキルホスホニウムカチオン(例えば、テトラブチルホスホニウムイオン、トリブチルヘキシルホスホニウムイオン等)等のホスホニウム系カチオン;トリエチルスルホニウムイオン等のスルホニウム系カチオン等が挙げられる。
また、かかるイオン液体を構成するアニオンとしては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲン化物系アニオン;メタンスルホン酸イオン等のアルキル硫酸系アニオン;トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ヘキサフルオロホスホン酸イオン、トリフルオロトリス(ペンタフルオロエチル)ホスホン酸イオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン、トリフルオロ酢酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン等の含フッ素化合物系アニオン;フェノールイオン、2-メトキシフェノールイオン、2,6-ジ-tert-ブチルフェノールイオン等のフェノール系アニオン;アスパラギン酸イオン、グルタミン酸イオン等の酸性アミノ酸イオン;グリシンイオン、アラニンイオン、フェニルアラニンイオン等の中性アミノ酸イオン;N-ベンゾイルアラニンイオン、N-アセチルフェニルアラニンイオン、N-アセチルグリシンイオン等の下記一般式(1)で示されるN-アシルアミノ酸イオン;ギ酸イオン、酢酸イオン、デカン酸イオン、2-ピロリドン-5-カルボン酸イオン、α-リポ酸イオン、乳酸イオン、酒石酸イオン、馬尿酸イオン、N-メチル馬尿酸イオン、安息香酸イオン等のカルボン酸系アニオンが挙げられる。
Figure 0007207079000001
(但し、Rは炭素数1~5の直鎖または分岐鎖のアルキル基、或いは、置換または無置換のフェニル基であり、Xはアミノ酸の側鎖を表す。)
該式(1)におけるアミノ酸としては、例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、アラニン、フェニルアラニンなどが挙げられ、中でも、グリシンが好ましい。
上述の中でも、カチオンはアンモニウム系カチオン、ホスホニウム系カチオンが好ましく、イミダゾリウムイオン、ホスホニウムイオンがより好ましい。イミダゾリウムイオンは、より詳細には、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウムイオン等である。
また、アニオンは、フェノール系アニオン、一般式(1)で示されるN-アシルアミノ酸イオンまたはカルボン酸系アニオンが好ましく、N-アシルアミノ酸イオンまたはカルボン酸系アニオンがより好ましい。
フェノール系アニオンの具体例としては、2,6-ジ-tert-ブチルフェノールイオンが挙げられる。また、カルボン酸系アニオンの具体例としては、酢酸イオン、デカン酸イオン、2-ピロリドン-5-カルボン酸イオン、ギ酸イオン、α-リポ酸イオン、乳酸イオン、酒石酸イオン、馬尿酸イオン、N-メチル馬尿酸イオン等が挙げられ、中でも、酢酸イオン、2-ピロリドン-5-カルボン酸イオン、ギ酸イオン、乳酸イオン、酒石酸イオン、馬尿酸イオン、N-メチル馬尿酸イオンが好ましく、酢酸イオン、N-メチル馬尿酸イオン、ギ酸イオンが殊更好ましい。また、一般式(1)で示されるN-アシルアミノ酸イオンの具体例としては、N-ベンゾイルアラニンイオン、N-アセチルフェニルアラニンイオン、アスパラギン酸イオン、グリシンイオン、N-アセチルグリシンイオン等が挙げられ、中でも、N-ベンゾイルアラニンイオン、N-アセチルフェニルアラニンイオン、N-アセチルグリシンイオンが好ましく、N-アセチルグリシンイオンが殊更好ましい。
具体的なイオン液体としては、例えば、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムラクテート、テトラブチルホスホニウム-2-ピロリドン-5-カルボキシレート、テトラブチルホスホニウムアセテート、テトラブチルホスホニウムデカノエート、テトラブチルホスホニウムトリフルオロアセテート、テトラブチルホスホニウムα-リポエート、ギ酸テトラブチルホスホニウム塩、テトラブチルホスホニウムラクテート、酒石酸ビス(テトラブチルホスホニウム)塩、馬尿酸テトラブチルホスホニウム塩、N-メチル馬尿酸テトラブチルホスホニウム塩、ベンゾイル-DL-アラニンテトラブチルホスホニウム塩、N-アセチルフェニルアラニンテトラブチルホスホニウム塩、2,6-ジ-tert-ブチルフェノールテトラブチルホスホニウム塩、L-アスパラギン酸モノテトラブチルホスホニウム塩、グリシンテトラブチルホスホニウム塩、N-アセチルグリシンテトラブチルホスホニウム塩、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムラクテート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート、ギ酸1-エチル-3-メチルイミダゾリウム塩、馬尿酸1-エチル-3-メチルイミダゾリウム塩、N-メチル馬尿酸1-エチル-3-メチルイミダゾリウム塩、酒石酸ビス(1-エチル-3-メチルイミダゾリウム)塩、N-アセチルグリシン1-エチル-3-メチルイミダゾリウム塩が好ましく、N-アセチルグリシンテトラブチルホスホニウム塩、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート、ギ酸1-エチル-3-メチルイミダゾリウム塩、馬尿酸1-エチル-3-メチルイミダゾリウム塩、N-メチル馬尿酸1-エチル-3-メチルイミダゾリウム塩が殊更好ましい。
上記イオン液体の合成法としては、アルキルイミダゾリウム、アルキルピリジニウム、アルキルアンモニウムおよびアルキルスルホニウムイオン等のカチオン部位と、ハロゲンを含むアニオン部位から構成される前駆体に、NaBF、NaPF、CFSONaやLiN(SOCF等を反応させるアニオン交換法、アミン系物質と酸エステルとを反応させてアルキル基を導入しつつ、有機酸残基が対アニオンになるような酸エステル法、およびアミン類を有機酸で中和して塩を得る中和法等があるが、これらに限定されない。アニオンとカチオンと溶媒による中和法では、アニオンとカチオンとを等量使用し、得られた反応液中の溶媒を留去して、そのまま用いることも可能であるし、さらに有機溶媒(メタノール、トルエン、酢酸エチル、アセトン等)を差し液濃縮しても構わない。
吸湿性樹脂組成物中の硬化剤の含有量は、吸湿性樹脂組成物の不揮発分を100質量%としたとき、好ましくは0.1~50質量%、より好ましくは0.5~40質量%、さらに好ましくは1~30質量%である。この含有量が0.1質量%よりも少ないと、十分な硬化性が得られない場合があり、逆にこの含有量が50質量%より多いと、吸湿性樹脂組成物の保存安定性が損なわれる場合がある。なお、エポキシ樹脂の硬化剤としてイオン液体を使用する場合、吸湿性樹脂組成物の硬化物の水分遮断性等の点からは、イオン液体の含有量は、エポキシ樹脂(不揮発分)100質量部に対して、好ましくは0.1~20質量部、より好ましくは1~15質量部である。
吸湿性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂を含有する場合、硬化時間を調整する等の目的で硬化促進剤を含有してもよい。硬化促進剤としては、例えば、有機ホスフィン化合物、イミダゾール化合物、アミンアダクト化合物(例えば、エポキシ樹脂への3級アミンの付加反応を、途中で止めることによって得られるエポキシアダクト化合物等)、3級アミン化合物などが挙げられる。有機ホスフィン化合物の具体例としては、TPP、TPP-K、TPP-S、TPTP-S(北興化学工業社製)などが挙げられる。イミダゾール化合物の具体例としては、キュアゾール2MZ、2E4MZ、C11Z、C11Z-CN、C11Z-CNS、C11Z-A、2MZOK、2MA-OK、2PHZ(四国化成工業社製)などが挙げられる。アミンアダクト化合物の具体例としては、フジキュア(富士化成工業社製)などが挙げられる。3級アミン化合物の具体例としては、DBU(1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン)、DBUの2-エチルヘキサン酸塩、オクチル酸塩などのDBU-有機酸塩、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(TAP)、U-3512T(サンアプロ社製)等の芳香族ジメチルウレア、U-3503N(サンアプロ社製)等の脂肪族ジメチルウレアなどが挙げられる。中でも耐湿性の点からウレア化合物が好ましく、芳香族ジメチルウレアが特に好ましく用いられる。硬化促進剤を使用する場合、その含有量は、吸湿性樹脂組成物の不揮発分を100質量%としたとき、好ましくは0.05~5質量%、より好ましくは0.1~5質量%である。この含有量が0.05質量%以上であると、熱硬化時間が短縮される傾向にあり、5質量%以下であると、吸湿性樹脂組成物の保存安定性が向上する傾向となる。
熱可塑性樹脂またはゴム系樹脂
熱可塑性樹脂またはゴム系樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリブテン樹脂、シクロオレフィン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、(メタ)アクリル系ポリマー等を挙げることができる。これらの中でも、接着性、接着湿熱耐性の点で、ポリオレフィン樹脂が好ましい。これらの熱可塑性樹脂またはゴム系樹脂は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
吸湿性樹脂組成物中の熱可塑性樹脂またはゴム系樹脂の含有量は、吸湿性樹脂組成物の不揮発分を100質量%としたとき、15~85質量%が好ましく、16~79質量%がより好ましく、17~72質量%がさらに好ましい。
粘着付与剤
本発明における吸湿性樹脂組成物は、接着性をより高める目的等のために、粘着付与剤を含んでいてもよい。粘着付与剤はタッキファイヤーとも呼ばれ、例えば、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、脂環族系炭化水素樹脂、脂肪族系炭化水素樹脂、脂肪族/芳香族共重合系炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、クマロン・インデン樹脂等が挙げられる。粘着付与剤は2種以上を組み合わせて用いてもよい。より好ましい粘着付与剤としては、脂肪族/芳香族共重合系炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、クマロン・インデン樹脂等が挙げられる。
本発明における吸湿性樹脂組成物中の粘着付与剤の含有量は、吸湿性樹脂組成物の不揮発分を100質量%としたとき、5~75質量%が好ましく、6~69質量%がより好ましく、8~63質量%がさらに好ましい。
市販されている粘着付与剤としては、例えば、荒川化学工業社製のアルコンP-90、アルコンP100、アルコンP115、アルコンP125、パインクリスタルME-G、パインクリスタルME-H、パインクリスタルME-G、JXTGエネルギー社製のT-REZ RB093、T-REZ RC115、ネオポリマーL90、ネオポリマー120、ネオポリマー140、T-REZ HA-105、東ソー社製のペトコール120、ペトロタック90HS、ペトロタック100V、ノバレス・ルトガース社製のノバレスC9、ノバレスL、日塗化学社製のニットレジンL-5、ニットレジンV-120S、ニットレジンG-90等が挙げられる。
希釈剤
本発明における吸湿性樹脂組成物は、液状吸湿性樹脂組成物として適当な粘度を達成する上で希釈剤を含有していてもよい。E型粘度計で25℃の温度条件下で測定した希釈剤の粘度は、好ましくは0.1~5000mPa・s、より好ましくは0.1~2500mPa・s、さらに好ましくは0.1~1000mPa・sである。
希釈剤としては、反応性希釈剤が好ましい。反応性希釈剤としては、1分子中に1個のエチレン性不飽和基を有する化合物(以下「単官能エチレン性不飽和化合物」と略称する場合がある)が好ましい。エチレン性不飽和基としては(メタ)アクリロイル基が好ましく、反応性希釈剤は特に1分子中に1個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートがより好ましい(以下「単官能(メタ)アクリレート」と略称する場合がある)。
希釈剤として使用する単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ダイセル・オルネクス社製、「ODA-N」(オクチル/デシルアクリレート、即ち、長鎖アルキル基を有する単官能アクリレート)、「EBECRYL 110」、「EBECRYL 1114」(エトキシ化フェニルアクリレート)、共栄社化学社製「ライトエステルE」(エチルメタクリレート)、「ライトエステルNB」(n-ブチルメタクリレート)、「ライトエステルIB」(イソブチルメタクリレート)、「ライトエステルTB」(t-ブチルメタクリレート)、「ライトエステルEH」(2-エチルヘキシルメタクリレート)、「ライトエステルID」(イソデシルメタクリレート)、「ライトエステルL」(n-ラウリルメタクリレート)、「ライトエステルS」(n-ステアリルメタクリレート)、「ライトエステルCH」(シクロヘキシルメタクリレート)、「ライトエステルTHF(1000)」(テトラヒドロフルフリルメタクリレート)、「ライトエステルBZ」(ベンジルメタクリレート)、「ライトエステルPO」(ベンジルフェノキシエチルメタクリレート)、「ライトエステルIB-X」(イソボルニルメタクリレート)、「ライトエステルHO-250」(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、「ライトエステルHOA」(2-ヒドロキシエチルアクリレート)、「ライトエステルG」(グリシジルメタクリレート)、「ライトアクリレートIAA」(イソアミルアクリレート、即ち、分岐アルキル基を有する単官能アクリレート)、「ライトアクリレートS-A」(ステアリルアクリレート)、「ライトアクリレートEC-A」(エトキシ-ジエチレングリコールアクリレート)、「ライトアクリレートEHDG-AT」(2-エチルヘキシル-ジグリコールアクリレート)、「ライトアクリレートDPM-A」(メトキシジプロピレングリコールアクリレート)、「ライトアクリレートIB-XA」(イソボルニルメタクリレート、即ち、脂環式基を有する単官能メタクリレート)、「ライトアクリレートPO-A」(フェノキシエチルアクリレート、即ち、芳香環を有する単官能アクリレート)、「ライトアクリレートP2H-A」(フェノキシジエチレングリコールアクリレート)、「ライトアクリレートP-200A」(フェノキシ-ポリエチレングリコールアクリレート)、「ライトアクリレートPOB-A」(m-フェノキシベンジルアクリレート)、「ライトアクリレートTFH-A」(テトラヒドロフルフリルアクリレート)、「ライトエステルHOP-A(N)」(2-ヒドロキシプロピルアクリレート)、「HOA-MS(N)」(2-アクリロイロキシエチル-コハク酸)、「エポキシエステルM-600A」(2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート)、大阪有機化学工業社製「IDAA」(イソデシルアクリレート)、「ビスコート#155」(シクロヘキシルアクリレート)、「ビスコート#160」(ベンジルアクリレート)、「ビスコート#150」(テトラヒドロフルフリルアクリレート)、「ビスコート#190」(エチルカルビトールアクリレート)、「OXE-10」(3-エチル-3-オキセタニルメチルアクリレート、即ち、オキセタン環を有するアクリレート)、「MEDOL-10」(2-メチル-2-エチル-1、3-ジオキソラン-4-イル)メチルアクリレート、即ち、ジオキソラン環を有するアクリレート)、東亞合成社製「アロニックスM-101A」(フェノールEO変性アクリレート)、新中村化学工業社製「NKエステルA-LEN-10」(エトキシ化o-フェニルフェノールアクリレート)、「NKエステルEH-4E」(エトキシ化エチルヘキシルポリエチレングリコールメタクリレート)、日立化成社製「FA-511AS」(ジシクロペンテニルアクリレート)、「FA-512AS」(ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート)、「FA-513AS」(ジシクロペンタニルアクリレート)、アルケマ社製「SR217NS」(4-Tert-ブチルシクロヘキサノールアクリレート)、「SR420NS」(3,3,5-トリメチルシクロヘキサノールアクリレート)、「SR531」(環状トリメチロールプロパンフォルマルアクリレート)、「CD421」(3,3,5-トリメチルシクロヘキサノールメタクリレート)、「CD535」(ジシクロペンタジエニルメタクリレート)、日本触媒社製「VEEA」(アクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル)、「VEEM」(メタクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル)等が挙げられる。なお、「オクチル/デシルアクリレート」とは、オクチルアクリレートおよびデシルアクリレートの混合物を意味する。
希釈剤として使用する単官能(メタ)アクリレートとしては、特に脂環式構造を有する単官能メタクリレートが好ましい。脂環式構造は前述したのと同義である。市販の脂環式構造を有する単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ボルナン環構造を有する共栄社化学社製「ライトエステルIB-X」(イソボルニルメタクリレート)、「ライトアクリレートIB-XA」(イソボルニルメタクリレート)、シクロヘキシル構造を有する共栄社化学社製「ライトエステルCH」(シクロヘキシルメタクリレート)、大阪有機化学工業社製「ビスコート#155」(シクロヘキシルアクリレート)、アルケマ社製「SR217NS」(4-Tert-ブチルシクロヘキサノールアクリレート)、「SR420NS」(3,3,5-トリメチルシクロヘキサノールアクリレート)、「CD421」(3,3,5-トリメチルシクロヘキサノールメタクリレート)、「CD535」(ジシクロペンタジエニルメタクリレート)、ジシクロ環構造を有する日立化成社製「FA-511AS」(ジシクロペンテニルアクリレート)、「FA-512AS」(ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート)、「FA-513AS」(ジシクロペンタニルアクリレート)、アルケマ社製「CD535」(ジシクロペンタジエニルメタクリレート)、日本触媒社製「VEEA」(アクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル)、「VEEM」(メタクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル)等が挙げられる。
希釈剤を使用する場合、その含有量は、吸湿性樹脂組成物の不揮発分を100質量%としたとき、好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、好ましくは60質量%以下、より好ましくは55質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。
シランカップリング剤
シランカップリング剤としては、例えば、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピル(ジメトキシ)メチルシランおよび2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ系シランカップリング剤;3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシランおよび11-メルカプトウンデシルトリメトキシシランなどのメルカプト系シランカップリング剤;3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランおよびN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルジメトキシメチルシランなどのアミノ系シランカップリング剤;3-ウレイドプロピルトリエトキシシランなどのウレイド系シランカップリング剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランおよびビニルメチルジエトキシシランなどのビニル系シランカップリング剤;p-スチリルトリメトキシシランなどのスチリル系シランカップリング剤;3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシランおよび3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランなどのアクリレート系シランカップリング剤;3-イソシアネートプロピルトリメトキシシランなどのイソシアネート系シランカップリング剤;ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドなどのスルフィド系シランカップリング剤;フェニルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、イミダゾールシラン、トリアジンシラン等を挙げることができる。これらの中で、アクリレート系シランカップリング剤が好ましい。これらのシランカップリング剤は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
シランカップリング剤の市販品としては、例えば、信越化学社製「KBM-502」、「KBM-503」、「KBE-502」、「KBE-503」、「KBM-5103」、「KBM-5803」等が挙げられる。
シランカップリング剤を使用する場合、その含有量は、吸湿性樹脂組成物の不揮発分を100質量%としたとき、好ましくは0.10~5.00質量%、より好ましくは0.25~3.00質量%、さらに好ましくは0.30~2.00質量%である。
他の成分
本発明における吸湿性樹脂組成物は、その効果を損なわない範囲で、上述の成分とは異なる他の成分を含有してもよい。例えば、オルベン、ベントン等の増粘剤;シリコーン系、フッ素系、高分子系の消泡剤又はレベリング剤;トリアゾール化合物、チアゾール化合物、トリアジン化合物、ポルフィリン化合物等の密着性付与剤;等を挙げることができる。
また、本発明の支持体付き樹脂シートにおける吸湿性層は、構成が異なる(例えば、吸湿性フィラーの種類が異なる、吸湿性フィラーの含有量が異なる等)複数の吸湿性層からなる多層構造であってもよい。
<低透湿性層>
本発明の支持体付き樹脂シートにおける低透湿性層は、低透湿性樹脂組成物により形成される。本発明の典型的な態様において該低透湿性樹脂組成物は板状フィラーを含む。
板状フィラーとしては、板状であり、本発明の効果が発揮されれば特に限定されるものではないが、本発明における板状フィラーには、吸湿性フィラーは含まれない。すなわち、本発明における板状フィラーは、飽和吸水率が1質量%未満の板状のフィラーである。板状フィラーとしては、例えば、板状ガラス(Aガラス、Cガラス、Eガラス等)、未焼成ハイドロタルサイト、層状ケイ酸塩鉱物などが挙げられる。層状ケイ酸塩鉱物としては、例えば、カオリナイト、ハロイサイト、タルク、スメクタイト、マイカなどが挙げられる。マイカの中では、透明性を優れるものにするという観点から、合成フッ素金雲母が好ましい。板状フィラーは、アスペクト比が高く低透湿性能を発揮し、かつ透明性に優れる点で、板状ガラス、未焼成ハイドロタルサイト、スメクタイトおよび合成フッ素金雲母が好ましい。これらの板状フィラーは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
低透湿性樹脂組成物における板状フィラーの含有量は、本発明の効果が発揮されれば特に限定されるものではないが、低透湿性樹脂組成物の不揮発分を100質量%としたとき、好ましくは10質量%以上80質量%以下であり、より好ましくは質量30%以上70質量%以下である。板状フィラーの含有量を10質量%以上とすることで、低透湿性の効果をより効果的に発揮させることができる。また、板状フィラーの含有量を80質量%以下とすることで、フィルム化時の製膜性や、樹脂組成物の接着性能、表面平滑性などをより向上させることができる。
板状フィラーは、その平均アスペクト比(平均粒子径/平均厚さ)が、好ましくは2以上であり、より好ましくは5以上である。平均アスペクト比を2以上とすることで、低透湿性能をより効果的に発揮させることができる。
板状フィラーの平均厚さは、好ましくは0.01~20μm、より好ましくは0.05~10μmである。
板状フィラーの平均厚さは、以下の方法で測定される。
走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、100個の粒子につき、それぞれの厚さを測定し、それら測定値を平均することにより求める。この場合、個々の粒子を走査型電子顕微鏡で観察して測定しても良いし、フィラー(粒子群)を樹脂に充填して成形し、その成形体を破断し、その破断面を観察して測定しても良い。いずれの測定方法においても、粒子の断面(厚さ面)が走査型電子顕微鏡の照射電子線軸に垂直になるように、走査型電子顕微鏡の試料台を試料台微動装置により調整する。
板状フィラーの平均粒子径は、0.05μm以上が好ましく、0.1μm以上がより好ましく、2μm以上がさらに好ましい。また、透明性の観点から200μm以下が好ましく、150μm以下がより好ましく、100μm以下がさらに好ましい。
板状フィラーの平均粒子径は、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的には、レーザー回折式粒度分布測定装置により、フィラーの粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒子径とすることで測定することができる。測定サンプルは、フィラーを超音波により水中に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折散乱式粒度分布測定装置としては、堀場製作所社製LA-500等を使用することができる。
本発明における低透湿性樹脂組成物は、本発明の効果が損なわれない範囲で、上記板状フィラー以外のフィラーを含んでいてもよい。板状フィラー以外のフィラーの含有量は、板状フィラーを100質量%としたとき、好ましくは50質量%以下であり、より好ましく30質量%以下であり、さらに好ましくは20質量%以下であり、さらに一層好ましくは10質量%以下である。
本発明における低透湿性樹脂組成物を構成する樹脂は、本発明の効果が発揮されれば特に限定されるものではなく、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、ゴム系樹脂などが挙げられる。なお、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂およびゴム系樹脂は、上記の吸湿性層について説明した通りである。また、本発明における低透湿性樹脂組成物は、上記の吸湿性層について説明した各成分を含有していてもよい。
また、本発明の支持体付き樹脂シートにおける低透湿性層は、構成が異なる(例えば、板状フィラーの種類が異なる、板状フィラーの含有量が異なる、板状フィラーの平均アスペクト比が異なる等)複数の低透湿性層からなる多層構造であってもよい。
<樹脂シート>
本発明の支持体付き樹脂シートにおける樹脂シートは、上記で説明した少なくとも一つの吸湿性層と少なくとも一つの低透湿性層とを有する。樹脂シートは、少なくとも一つの低透湿性層を吸湿性層に対し支持体とは反対側に有する。樹脂シートがこのような構造を有することにより、吸湿性層に捕捉された水分の移動が、低透湿性層により妨げられ、結果として、より高い水分遮蔽性を発揮し得る支持体付き樹脂シートが得られるものと推測される。
樹脂シートの厚さは、本発明の効果が発揮されれば特に限定されるものではないが、好ましくは5μm以上100μm以下であり、より好ましくは10μm以上80μm以下である。樹脂シートの厚さが5μm以上であると、フィルムの製膜性、樹脂組成物の接着性能などをより向上させることができる。また100μm以下であると、樹脂シート側面の外気との接触面積も低下し、水分の侵入をより効率的に抑制することができる。
吸湿性層の厚さは、本発明の効果が発揮されれば特に限定されるものではないが、好ましくは2.5μm以上95μm以下であり、より好ましくは5μm以上50μm以下である。
低透湿性層の厚さは、本発明の効果が発揮されれば特に限定されるものではないが、好ましくは0.25μm以上50μm以下であり、より好ましくは2.5μm以上50μm以下である。
また、樹脂シートにおいて、好ましくは、吸湿性層の厚さは低透湿性層の厚さ以上であり、例えば、低透湿性層の厚さに対する吸湿性層の厚さの比は、好ましくは1.0~20であり、より好ましくは1.5~15である。上記比を1.0以上とすることで(すなわち、吸湿性層を低透湿性層よりも厚くすることで)、吸湿性能をより効果的に発揮させることができ、また20以下とすることで低透湿性層による低透湿性能をより効果的に発揮させることができる。
本発明の支持体付き樹脂シートにおける樹脂シートの水蒸気透過率は、10g/(m・24時間)以下であるのが好ましい。水蒸気透過率は、より好ましくは5g/(m・24時間)以下である。樹脂シートの水蒸気透過率は、温度40℃、相対湿度90%の雰囲気下で、JIS K7129Bに準じた赤外線センサ法により求めることができる。JIS K7129Bに準じた赤外線センサ法による水蒸気透過率測定装置としては、モコン(MOCON)社製の水蒸気透過率測定装置(PERMATRAN-W 3/34)等が挙げられる。
本発明の支持体付き樹脂シートにおける樹脂シートは、少なくとも一つの吸湿性層と少なくとも一つの低透湿性層とを有する。少なくとも一つの低透湿性層は、吸湿性層に対し支持体とは反対側に設けられる。より高い水分遮蔽性を発揮し得る観点から、少なくとも一つの低透湿性層が全ての吸湿性層に対し支持体とは反対側に設けられているのが好ましい。また本発明における樹脂シートは、本発明の効果が発揮される範囲で、吸湿性層と低透湿性層以外の任意の層(例えば、任意の樹脂組成物層)を一つ以上、任意の位置に有していてもよい。また本発明の支持体付き樹脂シートは、樹脂シートの支持体側とは反対側の面にカバーフィルムを有していてもよい。本発明の支持体付き樹脂シートにおける層構成は、例えば、以下のような態様が挙げられる。
(1)支持体+吸湿性層+低透湿性層+カバーフィルム
(2)支持体+低透湿性層+吸湿性層+低透湿性層+カバーフィルム
(3)支持体+吸湿性層+低透湿性層+吸湿性層+低透湿性層+カバーフィルム
(4)支持体+吸湿性層+低透湿性層+吸湿性層+カバーフィルム
有機EL素子等の高い水分遮蔽性を必要とする部位の封止用等に用いる際には、上記カバーフィルムは剥離され、封止部位等に適用される。上記層構成(4)においては、支持体側の吸湿性層に捕捉された水分は低透湿性層により水分遮蔽性を必要とする部位への水分の移動が抑制されるが、カバーフィルム側の吸湿性層に捕捉された水分は抑制されることなく移動が可能となるため、層構造(1)~(3)のように、少なくとも一つの低透湿性層が全ての吸湿性層に対し支持体とは反対側に設けられている層構造とするのが好ましい。
<支持体付き樹脂シート>
本発明の支持体付き樹脂シートは、支持体と、該支持体上に設けられた、上記で説明した樹脂シートとを備える。
支持体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリ塩化ビニル等のプラスチックフィルムが挙げられる。プラスチックフィルムは1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。支持体は、好ましくは、PETフィルム、PENフィルムまたはCOPフィルムであり、より好ましくはPETフィルムである。
樹脂シートの防湿性を向上させるために、バリア層を有するプラスチックフィルムを支持体として用いてもよい。バリア層と樹脂シートの吸湿性層とは接触していてもよく、バリア層と樹脂シートの吸湿性層とは接触していなくてもよい(即ち、例えば、樹脂シートの吸湿性層と接触する支持体の面の反対側の支持体の面に、バリア層が形成されていてもよい)。バリア層としては、例えば、窒化ケイ素等の窒化物、酸化アルミニウム等の酸化物、ステンレス箔、アルミ箔等の金属箔等が挙げられる。バリア層は2層以上の複層構造であってもよい。バリア層を有するプラスチックフィルムのプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー等のフィルムが挙げられる。プラスチックフィルムは2層以上の複層構造であってもよい。バリア層を有するプラスチックフィルムは市販品を使用してもよい。アルミ箔付きポリエチレンテレフタレートフィルムの市販品としては、例えば、東海東洋アルミ販売社製「PET付Al(1N30)」、福田金属社製「PET付AL3025」等が挙げられる。
例えば、本発明の支持体付き樹脂シートをディスプレイ用途に使用する場合には、偏光板等を支持体として使用してもよい。また、支持体は、バリア層を有するプラスチックフィルムおよび偏光板などの異なる機能を有する複数の層から構成されていてもよい。例えば、バリア層を有するプラスチックフィルムと偏光板とを光学粘着シート(OCA)等の接着剤で貼り合わせたものを、支持体として用いてもよい。この場合、支持体付き樹脂シートは、バリア層を有するプラスチックフィルムが樹脂シートと接触する構成となる。
支持体には、シリコーン樹脂系離型剤、アルキッド樹脂系離型剤、フッ素樹脂系離型剤等による離型処理、マット処理、コロナ処理等が施されていてもよい。支持体の厚さは、特に限定されない。取扱い性等の観点から、支持体の厚さの下限は、好ましくは10μm、より好ましくは20μmであり、その上限は、好ましくは200μm、より好ましくは125μmである。支持体の厚さの好ましい範囲(即ち、好ましい上下限の組合せ)は、(i)10~200μm、(ii)20~200μm、(iii)10~125μm、および(iv)20~125μmである。
本発明の支持体付き樹脂シートは、樹脂シートの支持体側とは反対側にカバーフィルムを有していてもよい。このようなカバーフィルムとしては、支持体のプラスチックフィルムと同様のものが挙げられる。カバーフィルムは、好ましくはPETフィルム、PENフィルム、PPフィルムまたはCOPフィルムであり、より好ましくはPETフィルム、PENフィルムまたはCOPフィルムであり、さらに好ましくはPETフィルムである。カバーフィルムには、シリコーン樹脂系離型剤、アルキッド樹脂系離型剤、フッ素樹脂系離型剤等による離型処理、マット処理、コロナ処理等が施されていてもよい。カバーフィルムは2層以上の複層構造であってもよい。カバーフィルムの厚さは、特に限定されない。取り扱い性および樹脂シートの乾燥等の観点から、カバーフィルムの厚さの下限は、好ましくは10μm、より好ましくは20μmであり、その上限は、好ましくは200μm、より好ましくは125μmである。カバーフィルムの厚さの好ましい範囲(即ち、好ましい上下限の組合せ)は、(i)10~200μm、(ii)20~200μm、(iii)10~125μm、および(iv)20~125μmである。
<電子デバイス>
本発明の支持体付き樹脂シートで電子素子が封止された電子デバイスは、例えば、基板上の電子素子上に本発明の支持体付き樹脂シートを積層することによって製造することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、上記・下記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
なお、以下に記載の量における「%」は、特段の記載が無い限り、「質量%」を意味する。
<製造例1>
下記表1に示す配合比のワニスを以下の手順で調製した。シクロヘキサン環含有飽和炭化水素樹脂(粘着付与剤;アルコンP125)を固形分60%となるようにスワゾールに溶解させたものに、無水マレイン酸変性液状ポリブテン(HV-300M、日石三菱社製)、ポリブテン(HV-1900、日石三菱社製)および半焼成ハイドロタルサイト(吸湿性フィラー;DHT-4C、協和化学社製)を3本ロールで分散させて、混合物を得た。得られた混合物に、グリシジルメタクリレート変性ポリプロピレン-ポリブテン共重合体(T-YP341(星光PMC社製)、スワゾール溶液、固形分20%)、アニオン重合型硬化剤(TAP、化薬アクゾ社製)およびトルエンを配合し、得られた混合物を高速回転ミキサーで均一に分散して、吸湿性樹脂組成物のワニスを得た。
<製造例2>
下記表1に示す配合比のワニスを以下の手順で調製した。シクロヘキサン環含有飽和炭化水素樹脂(粘着付与剤;アルコンP125)を固形分60%となるようにスワゾールに溶解させたものに、無水マレイン酸変性液状ポリブテン(HV-300M、日石三菱社製)、ポリブテン(HV-1900、日石三菱社製)および合成フッ素金雲母(板状フィラー;PDM-5B、トピー工業社製)を3本ロールで分散させて、混合物を得た。得られた混合物に、グリシジルメタクリレート変性ポリプロピレン-ポリブテン共重合体(T-YP341(星光PMC社製)、スワゾール溶液、固形分20%)、アニオン重合型硬化剤(TAP、化薬アクゾ社製)およびトルエンを配合し、得られた混合物を高速回転ミキサーで均一に分散して、低透湿性樹脂組成物のワニスを得た。
<製造例3>
下記表1に示す配合比のワニスを以下の手順で調製した。シクロヘキサン環含有飽和炭化水素樹脂(粘着付与剤;アルコンP125)を固形分60%となるようにスワゾールに溶解させたものに、無水マレイン酸変性液状ポリブテン(HV-300M、星光PMC社製)、ポリブテン(HV-1900、星光PMC社製)および板状ガラスフィラー(FTD010-F01、日本板硝子社製)を3本ロールで分散させて、混合物を得た。得られた混合物に、グリシジルメタクリレート変性ポリプロピレン-ポリブテン共重合体(T-YP341(星光PMC社製)、スワゾール溶液、固形分20%)、アニオン重合型硬化剤(TAP、化薬アクゾ社製)およびトルエンを配合し、得られた混合物を高速回転ミキサーで均一に分散して、低透湿性樹脂組成物のワニスを得た。
<製造例4>
下記表1に示す配合比のワニスを以下の手順で調製した。シクロヘキサン環含有飽和炭化水素樹脂(粘着付与剤;アルコンP125)を固形分60%となるようにスワゾールに溶解させたものに、無水マレイン酸変性液状ポリブテン(HV-300M、星光PMC社製)、ポリブテン(HV-1900、星光PMC社製)およびスメクタイト(板状フィラー;スメクトンSAN、クニミネ工業社製)を3本ロールで分散させて、混合物を得た。得られた混合物に、グリシジルメタクリレート変性ポリプロピレン-ポリブテン共重合体(T-YP341(星光PMC社製)、スワゾール溶液、固形分20%)、アニオン重合型硬化剤(TAP、化薬アクゾ社製)およびトルエンを配合し、得られた混合物を高速回転ミキサーで均一に分散して、低透湿性樹脂組成物のワニスを得た。
<製造例5>
下記表1に示す配合比のワニスを以下の手順で調製した。シクロヘキサン環含有飽和炭化水素樹脂(粘着付与剤;アルコンP125)を固形分60%となるようにスワゾールに溶解させたものに、無水マレイン酸変性液状ポリブテン(HV-300M、星光PMC社製)、ポリブテン(HV-1900、星光PMC社製)、グリシジルメタクリレート変性ポリプロピレン-ポリブテン共重合体(T-YP341(星光PMC社製)、スワゾール溶液、固形分20%)、アニオン重合型硬化剤(TAP、化薬アクゾ社製)およびトルエンを配合し、得られた混合物を高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂組成物のワニスを得た。
Figure 0007207079000002
<実施例1>
製造例1で得られたワニスを、シリコーン系離型剤で処理されたPETフィルム「SP3000」(PET:35μm:東洋クロス社製商品名)の離型処理面上に、ダイコーターにて均一に塗布し、130℃で60分間加熱することにより、厚さ25μmの吸湿性層を設けた。
製造例2で得られたワニスを、シリコーン系離型剤で処理されたPETフィルム「SP4020」(PET:50μm:東洋クロス社製商品名)の離型処理面上に、ダイコーターにて均一に塗布し、130℃で60分間加熱することにより、厚さ15μmの低透湿性層を設けた。
吸湿性層と低透湿性層とをバッチ式真空ラミネーター(ニチゴー・モートン社製、V-160)を用いてラミネートし、支持体付き樹脂シートを得た。ラミネート条件は、温度80℃、減圧時間30秒の後、圧力0.3MPaにて30秒加圧であった。
<実施例2>
実施例1において、低透湿性層の厚さを25μmとしたこと以外は同様にして支持体付き樹脂シートを得た。
<実施例3>
実施例1において、吸湿性層の厚さを35μmおよび低透湿性層の厚さを25μmとしたこと以外は同様にして支持体付き樹脂シートを得た。
<実施例4>
実施例1において、製造例2で得られたワニスの代わりに製造例3で得られたワニスを用いて低透湿性層を得たこと以外は同様にして支持体付き樹脂シートを得た。
<実施例5>
実施例1において、製造例2で得られたワニスの代わりに製造例4で得られたワニスを用いて低透湿性層を得たこと以外は同様にして支持体付き樹脂シートを得た。
<比較例1>
製造例1で得られたワニスを、シリコーン系離型剤で処理されたPETフィルム「SP3000」(PET:35μm:東洋クロス社製商品名)の離型処理面上に、ダイコーターにて均一に塗布し、130℃で60分間加熱することにより、厚さ25μmの吸湿性層のみを有する支持体付き樹脂シートを得た。
<比較例2>
製造例2で得られたワニスを、シリコーン系離型剤で処理されたPETフィルム「SP4020」(PET:50μm:東洋クロス社製商品名)の離型処理面上に、ダイコーターにて均一に塗布し、130℃で60分間加熱することにより、厚さ25μmの低透湿性層のみを有する支持体付き樹脂シートを得た。
<比較例3>
実施例1において、製造例2で得られたワニスの代わりに製造例5で得られたワニスを用いて低透湿性層を得たこと以外は同様にして支持体付き樹脂シートを得た。
<デバイス信頼性試験(発光面積減少率)>
有機EL素子を用いて、額縁からの水分侵入に対する樹脂シートの封止性(バリア性)を評価した。詳しくは、まず酸化インジウムスズ(ITO)付ガラス基板(ジオマテック社製)に発光面積が4mmとなるように有機EL素子(有機膜の厚さ:110nm、Al陰極の厚さ:100nm)を形成した。
次いで、実施例および比較例で作製した支持体付き樹脂シート(長さ:25mm、幅:15mm)の吸湿性層側のPETフィルムを剥離し、この吸湿性層上にバッチ式真空ラミネーター(ニチゴー・モートン社製、V-160)を用いて支持体としてアルミ箔/PET複合フィルム「PET付AL1N30」(アルミ箔:30μm、PET:25μm:東海東洋アルミ販売社製商品名)をラミネートし、別の支持体付き樹脂シートを得た。ラミネート条件は、温度80℃、減圧時間30秒の後、圧力0.3MPaにて30秒加圧であった。支持体付き樹脂シートの低透湿性層側のPETフィルムを剥離し、有機EL素子(発光面積約4mmφ)を有する基板(横:25mm、縦:25mm)に、低透湿性層を有機EL素子側にして、窒素雰囲気下、ロールラミネーター(フジプラ社製、LPD2325、ロールの材質:ゴム)で、ロール温度:90℃、ロール速度:360mm/分、ロール圧:0.2MPaの条件で支持体付き樹脂シートをラミネートし、有機EL素子が支持体付き樹脂シートで封止された有機ELデバイスを得た。
封止された有機EL素子に電圧を印加し、恒湿恒温槽中で保管する前の初期発光面積を測定した。次いで、有機ELデバイスを温度85℃および相対湿度85%に設定した恒湿恒温槽中で保管した。保管してから100時間後に有機ELデバイスを恒湿恒温槽から取り出し、有機EL素子に電圧を印加し、保管後の発光面積を測定した。
封止性(バリア性)を比較する指標として、残存発光面積率を下記式:
発光面積減少率(%)=100×(ダークスポット面積)/(初期発光面積)
から算出し、以下の基準で評価した。結果を表2に示す。
(発光面積減少率の基準)
発光面積減少率が10%以下のものを○
発光面積減少率が10%以上30%未満のものを△
発光面積減少率が30%以上のものを×
<Ca封止性能測定>
カルシウムを用いて、額縁および垂直方向からの水分侵入に対する樹脂シートの封止性(バリア性)を評価した。無アルカリガラス50mm×50mm角を煮沸したイソプロピールアルコールで5分間洗浄し、150℃において30分以上乾燥した。洗浄後に、UVオゾン洗浄を実施した。当該ガラスを用い、端部からの距離を2mmとしたマスクを使用し、カルシウム(純度99.8%)を蒸着した(厚さ200nm)。実施例および比較例で作製した支持体付き樹脂シートの吸湿性層側のPETフィルムを剥離し、この吸湿性層をPETフィルム「ルミラー38 R80」(PET:35μm:東レ販売社製商品名)に貼合して、別の支持体付き樹脂シートを得た。得られた支持体付き樹脂シートの低透湿性層側のPETフィルムを剥離し、この低透湿性層をグローブボックス内で、熱ラミネーター(フジプラ社製、ラミパッカーDAiSY A4(LPD2325))を用いてカルシウムを蒸着した無アルカリガラスと貼り合わせ、評価用サンプルを得た。評価用サンプルを25℃、相対湿度40%の環境下に保管し、24時間後にカルシウムの状態を目視で観察した。
カルシウムが目視で確認できるものを○、カルシウムが水分を吸着して水酸化カルシウムとなって透明になり、目視で確認できないものを×として評価した。結果を表2に示す。
<水蒸気透過率試験法>
実施例および比較例で作製した支持体付き樹脂シートの吸湿性層側のPETフィルムを剥離し、この吸湿性層上にバッチ式真空ラミネーター(ニチゴー・モートン社製、V-160)を用いて、支持体としてPETフィルム「ルミラー38 R80」(PET:35μm:東レ販売社製商品名)をラミネートし、別の支持体付き樹脂シートを得た。ラミネート条件は、温度80℃、減圧時間30秒の後、圧力0.3MPaにて30秒加圧であった。
得られた支持体付き樹脂シートについて、樹脂シート部分の水蒸気透過率を、JIS K7129Bに準じた赤外線センサ法により求めた。水蒸気透過率(g/m・24時間)は、水蒸気透過率測定装置(モコン(MOCON)社製、PERMATRAN-W 3/34)を使用して、温度40℃、相対湿度90%の雰囲気下で測定した。
樹脂シートの水蒸気透過率を下記式
1/P=1/P1+1/P2
から算出した。
P:支持体付き樹脂シートの水蒸気透過率
P1:樹脂シートの水蒸気透過率
P2:35μmPETフィルム(支持体)の水蒸気透過率(15g/m・24時間として計算)
膜厚が異なる実施例および比較例で作製した支持体付き樹脂シートの樹脂シート部分に関して、下記式にて膜厚を50μmに換算し、比較を行った。
P3=P1*X1/50
P3:樹脂シート単体の水蒸気透過率
X1:樹脂シート単体の膜厚
Figure 0007207079000003
表2の結果から、実施例1~5の支持体付き樹脂シートは、Ca封止性能測定において良好な結果を示し、より高い水分遮蔽性を発揮したことが分かる。さらに実施例1~5の支持体付き樹脂シートを用いて封止した有機EL素子は、高い水分遮蔽性が発揮されることにより、100時間後の発光面積減少率が低く、デバイス信頼性が向上していることが分かる。
本発明によれば、より高い水分遮蔽性を発揮し、有機EL素子デバイスの信頼性を向上し得る、封止用の支持体付き樹脂シートを提供することができる。
1 吸湿性層
2 低透湿性層

Claims (15)

  1. 支持体と、支持体上に設けられた樹脂シートと、を備える支持体付き樹脂シートであって、樹脂シートは、吸湿性樹脂組成物により形成される少なくとも一つの吸湿性層と低透湿性樹脂組成物により形成される少なくとも一つの低透湿性層とを有し、少なくとも一つの低透湿性層が吸湿性層に対し支持体とは反対側に設けられており、吸湿性樹脂組成物は半焼成ハイドロタルサイトである吸湿性フィラーを含み、低透湿性樹脂組成物は板状ガラス、スメクタイトまたは合成フッ素金雲母である板状フィラーを含む、支持体付き樹脂シート。
  2. 吸湿性樹脂組成物における吸湿性フィラーの含有量が、吸湿性樹脂組成物の不揮発分を100質量%としたとき、10質量%以上80質量%以下である、請求項1に記載の支持体付き樹脂シート。
  3. 低透湿性樹脂組成物における板状フィラーの含有量が、低透湿性樹脂組成物の不揮発分を100質量%としたとき、10質量%以上80質量%以下である、請求項1または2に記載の支持体付き樹脂シート。
  4. 板状フィラーの平均アスペクト比が2以上である、請求項1~のいずれか1項に記載の支持体付き樹脂シート。
  5. 樹脂シートの厚さが5μm以上100μm以下である、請求項1~のいずれか1項に記載の支持体付き樹脂シート。
  6. 吸湿性層の厚さが低透湿性層の厚さ以上である、請求項1~のいずれか1項に記載の支持体付き樹脂シート。
  7. 低透湿性層の厚さに対する吸湿性層の厚さの比が1.0~20である、請求項1~のいずれか1項に記載の支持体付き樹脂シート。
  8. 少なくとも一つの低透湿性層が全ての吸湿性層に対し支持体とは反対側に設けられている、請求項1~のいずれか1項に記載の支持体付き樹脂シート。
  9. 樹脂シートの水蒸気透過率が10g/(m・24時間)以下である請求項1~のいずれか1項に記載の支持体付き樹脂シート。
  10. 吸湿性樹脂組成物および低透湿性樹脂組成物が熱硬化性樹脂を含む、請求項1~のいずれか1項に記載の支持体付き樹脂シート。
  11. 吸湿性樹脂組成物および低透湿性樹脂組成物がエポキシ樹脂を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の支持体付き樹脂シート。
  12. 吸湿性樹脂組成物および低透湿性樹脂組成物が熱可塑性樹脂を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の支持体付き樹脂シート。
  13. 電子デバイスの封止用である、請求項1~12のいずれか1項に記載の支持体付き樹脂シート。
  14. 有機ELデバイスの封止用である、請求項1~13のいずれか1項に記載の支持体付き樹脂シート。
  15. 請求項1~14のいずれか1項に記載の支持体付き樹脂シートで封止されている、電子デバイス。
JP2019063025A 2019-03-28 2019-03-28 支持体付き樹脂シート Active JP7207079B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019063025A JP7207079B2 (ja) 2019-03-28 2019-03-28 支持体付き樹脂シート
KR1020217035084A KR20210148236A (ko) 2019-03-28 2020-03-27 지지체 부착 수지 시트
PCT/JP2020/013977 WO2020196825A1 (ja) 2019-03-28 2020-03-27 支持体付き樹脂シート
CN202080025043.9A CN113646170B (zh) 2019-03-28 2020-03-27 带有支承体的树脂片材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019063025A JP7207079B2 (ja) 2019-03-28 2019-03-28 支持体付き樹脂シート

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020157744A JP2020157744A (ja) 2020-10-01
JP7207079B2 true JP7207079B2 (ja) 2023-01-18

Family

ID=72609454

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019063025A Active JP7207079B2 (ja) 2019-03-28 2019-03-28 支持体付き樹脂シート

Country Status (4)

Country Link
JP (1) JP7207079B2 (ja)
KR (1) KR20210148236A (ja)
CN (1) CN113646170B (ja)
WO (1) WO2020196825A1 (ja)

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003062949A (ja) 2001-08-27 2003-03-05 Toppan Printing Co Ltd 吸放湿性材料及びその製造方法
JP2006326838A (ja) 2005-05-23 2006-12-07 Nihon Micro Coating Co Ltd 吸湿シート
JP2009226914A (ja) 2007-08-24 2009-10-08 Dainippon Printing Co Ltd ガスバリア性シート、ガスバリア性シートの製造方法
JP2010221716A (ja) 2010-05-28 2010-10-07 Fujifilm Corp 水蒸気バリアフィルム
JP2012224342A (ja) 2011-04-15 2012-11-15 Chuo Kagaku Co Ltd 包装用容器
WO2015068787A1 (ja) 2013-11-08 2015-05-14 味の素株式会社 ハイドロタルサイトを含有する封止用樹脂組成物及び封止用シート
JP2017035829A (ja) 2015-08-10 2017-02-16 東洋製罐グループホールディングス株式会社 水分バリア性積層体

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6357230A (ja) * 1986-08-29 1988-03-11 大日本印刷株式会社 Elパネル用外装材
CN101588924B (zh) * 2007-01-24 2014-04-16 小松精练株式会社 透湿性防水片材及其制造方法
JP5970814B2 (ja) 2009-08-05 2016-08-17 味の素株式会社 フィルム
CN203141961U (zh) * 2012-11-29 2013-08-21 中国乐凯集团有限公司 一种多层结构的气体阻隔膜
JP6287288B2 (ja) * 2013-02-07 2018-03-07 東洋製罐グループホールディングス株式会社 水分バリア性に優れたガスバリア性積層体
EP3067392B1 (en) * 2013-11-08 2018-03-07 Ajinomoto Co., Inc. Sealing resin composition and sealing sheet
WO2016158760A1 (ja) * 2015-03-31 2016-10-06 東レ株式会社 電子部品用樹脂シート、保護フィルム付電子部品用樹脂シートならびに半導体装置およびその製造方法
WO2017057708A1 (ja) 2015-09-30 2017-04-06 味の素株式会社 封止用樹脂組成物

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003062949A (ja) 2001-08-27 2003-03-05 Toppan Printing Co Ltd 吸放湿性材料及びその製造方法
JP2006326838A (ja) 2005-05-23 2006-12-07 Nihon Micro Coating Co Ltd 吸湿シート
JP2009226914A (ja) 2007-08-24 2009-10-08 Dainippon Printing Co Ltd ガスバリア性シート、ガスバリア性シートの製造方法
JP2010221716A (ja) 2010-05-28 2010-10-07 Fujifilm Corp 水蒸気バリアフィルム
JP2012224342A (ja) 2011-04-15 2012-11-15 Chuo Kagaku Co Ltd 包装用容器
WO2015068787A1 (ja) 2013-11-08 2015-05-14 味の素株式会社 ハイドロタルサイトを含有する封止用樹脂組成物及び封止用シート
JP2017035829A (ja) 2015-08-10 2017-02-16 東洋製罐グループホールディングス株式会社 水分バリア性積層体

Also Published As

Publication number Publication date
CN113646170B (zh) 2023-05-30
JP2020157744A (ja) 2020-10-01
WO2020196825A1 (ja) 2020-10-01
KR20210148236A (ko) 2021-12-07
CN113646170A (zh) 2021-11-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6376180B2 (ja) フィルム
JP7120017B2 (ja) 封止用の樹脂組成物および封止用シート
WO2015068786A1 (ja) 封止用樹脂組成物及び封止用シート
WO2015068787A1 (ja) ハイドロタルサイトを含有する封止用樹脂組成物及び封止用シート
JP7283381B2 (ja) 封止用シート
JP6801680B2 (ja) 封止用の熱硬化性樹脂組成物および封止用シート
WO2010084938A1 (ja) 樹脂組成物
WO2021111855A1 (ja) 封止剤、封止シート、電子デバイスおよびペロブスカイト型太陽電池
JP6572887B2 (ja) 封止体の製造方法
JP7207079B2 (ja) 支持体付き樹脂シート
JP6741001B2 (ja) 封止用樹脂組成物および封止用シート
JP2016180036A (ja) 封止用樹脂組成物及び封止用シート
JP7318462B2 (ja) 封止用樹脂組成物
JP7268596B2 (ja) 封止体の製造方法
JPWO2020105707A1 (ja) 接着剤組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211013

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220809

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221004

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20221206

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20221219

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7207079

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150