≪液状組成物≫
液状組成物は、量子ドット(A)と、イオン液体(B)と、溶剤(S)とを含む。
液状組成物が、上記のイオン液体(B)と、上記の所定の要件を満たす溶剤(S1)を含む溶剤(S)と、を組み合わせて含むことにより、液状組成物中に量子ドット(A)が良好に分散される。その結果、液状組成物を蛍光効率が良好な光学フィルムの製造に好適に用いることができる。
液状組成物は、後述する基材成分(S)を含まない組成物であるのも好ましく、基材成分(S)を含む組成物であるのも好ましい。前者の組成物は、量子ドット(A)の分散液として量子ドット(A)を含む種々の組成物の調製に用いることが可能であり、後者の組成物は、典型的には、量子ドット含有膜の形成に好ましく用いられる。
以下、液状組成物に含まれる、必須、又は任意の成分について説明する。
<量子ドット(A)>
液状組成物は、量子ドット(A)を含む。
量子ドット(A)が量子ドットとしての機能を奏する微粒子である限りにおいて、その構造やその構成成分は特に限定されない。量子ドット(A)は、量子力学に従う独特の光学特性(後述の量子閉じ込め効果)を有するナノスケールの材料であり、一般的に半導体ナノ粒子のことである。本明細書において、量子ドット(A)は、半導体ナノ粒子表面にさらに発光量子収率を向上させるために被覆されている量子ドット(後述のシェル構造を有する量子ドット)や、安定化のために表面修飾されている量子ドットも含む。
量子ドット(A)は、バンドギャップ(価電子帯及び伝導帯のエネルギー差)よりも大きなエネルギーの光子を吸収し、その粒子径に応じた波長の光を放出する半導体ナノ粒子とされている。量子ドット(A)の材料に含まれる元素としては、例えば、II族元素(2A族、2B族)、III族元素(特に3A族)、IV族元素(特に4A族)、V族元素(特に5A族)、及びVI族元素(特に6A族)からなる群から選択される1種以上が挙げられる。量子ドット(A)の材料として好ましい化合物又は元素としては、例えば、II-VI族化合物、III-V族化合物、IV-VI族化合物、IV族元素、IV族化合物及びこれらの組み合わせが挙げられる。
II-VI族化合物としては、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTe、MgSe、MgS及びこれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物;CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTe、MgZnSe、MgZnS及びこれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物;及びHgZnTeS、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTe及びこれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物;が挙げられる。
III-V族化合物としては、GaN、GaP、GaAs、GaSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、InN、InP、InAs、InSb及びこれらの混合物から選ばれる少なくとも1種の化合物;GaNP、GaNAs、GaNSb、GaPAs、GaPSb、AlNP、AlNAs、AlNSb、AlPAs、AlPSb、InNP、InNAs、InNSb、InPAs、InPSb、GaAlNP及びこれらの混合物から選ばれる少なくとも1種の化合物;及びGaAlNAs、GaAlNSb、GaAlPAs、GaAlPSb、GaInNP、GaInNAs、GaInNSb、GaInPAs、GaInPSb、InAlNP、InAlNAs、InAlNSb、InAlPAs、InAlPSb及びこれらの混合物から選ばれる少なくとも1種の化合物;が挙げられる。
IV-VI族化合物としては、SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTe及びこれらの混合物から選ばれる少なくとも1種の化合物;SnSeS、SnSeTe、SnSTe、PbSeS、PbSeTe、PbSTe、SnPbS、SnPbSe、SnPbTe及びこれらの混合物から選ばれる少なくとも1種の化合物;及びSnPbSSe、SnPbSeTe、SnPbSTe及びこれらの混合物から選ばれる少なくとも1種の化合物;が挙げられる。
IV族元素としては、Si、Ge及びこれらの混合物から選ばれる少なくとも1種の化合物;が挙げられる。IV族化合物としては、SiC、SiGe及びこれらの混合物から選ばれる少なくとも1種の化合物;が挙げられる。
量子ドット(A)の構造は、1種の化合物からなる均質構造であってもよく、2種以上の化合物からなる複合構造であってもよい。上記化合物の発光量子収率を向上させるために、量子ドット(A)の構造は、コアが、1層以上のシェル層で被覆されたコア-シェル構造であることが好ましく、コアの材質となる化合物の粒子表面を半導体材料でエピタキシャルに被覆した構造であることがより好ましい。例えば、コアの材質としてII-VI族のCdSeを用いた場合、その被覆層(シェル)としてZnS、ZnSSe等が用いられる。シェルはコアの材質と同じ格子定数であることが好ましく、コア-シェルの格子定数の差の小さい材料の組み合わせが適宜選択される。
蛍光効率の点からは、量子ドット(A)が、Cd又はInを含む化合物を構成成分として含むのが好ましく、安全性を加味するとInを含む化合物を構成成分として含むのがより好ましい。
シェル層を持たない均質構造型の量子ドット(A)の好適な具体例としては、AgInS2、及びZnがドープされたAgInS2が挙げられる。
コア-シェル型の量子ドット(A)としては、InP/ZnS、InP/ZnSSe、CuInS2/ZnS、及び(ZnS/AgInS2)固溶体/ZnSが挙げられる。
なお、上記において、コア-シェル型の量子ドット(A)の材質は、(コアの材質)/(シェル層の材質)として記載されている。
また、安全性と発光量子収率の向上の点で、コア―シェル構造のシェルを多層構造にすることが好ましく、2層にすることがより好ましい。
コア-多層シェル構造の場合、コアの材質が、InP、ZnS、ZnSeからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましく、コアの材質がInPを含むことがより好ましい。コアの総質量のうち、InPの含有割合は、50質量%以上100質量%以下が好ましく、60質量%以上99質量%以下がより好ましく、82質量%以上95質量%以下がさらに好ましい。また、コアの総質量のうち、ZnS及び/又はZnSeの含有割合は、0質量%以上50質量%以下が好ましく、1質量%以上40質量%以下がより好ましく、5質量%以上18質量%以下がさらに好ましい。
多層シェル構造における第1のシェルの材質は、ZnS、ZnSe、及びZnSSeから選択される1種以上であることが好ましい。ZnS、ZnSe、及びZnSSeから選択される1種以上の含有割合としては、第1のシェルの全質量を基準にして、例えば50質量%以上100質量%以下であり、75質量%以上98質量%以下が好ましく、80質量%以上97質量%以下がより好ましい。第1のシェルの材質がZnS及びZnSeの混合物である場合、混合比(質量比)は特に限定されず、1/99以上99/1以下であり、好ましくは10/90以上90/10以下である。
多層シェル構造において、第2のシェルを、第1のシェルの表面上に成長させる。第2のシェルの材質は、第1のシェルの材質と同等であることが好ましい(ただし、各材質において、コアに対する格子定数の差が異なる。つまり、各材質において99%以上同質の場合を除く)。ZnS、ZnSe、及びZnSSeから選択される1種以上の含有割合としては、第2のシェルの全質量を基準にして、例えば50質量%以上100質量%以下であり、75質量%以上98質量%以下が好ましく、80質量%以上97質量%以下がより好ましい。第2のシェルの材質がZnS、ZnSe、及びZnSSeから選択される2種の混合物である場合、混合比(質量比)は特に限定されず、1/99以上99/1以下であり、10/90以上90/10以下である。
多層シェル構造における第1のシェルと第2のシェルとは、格子定数に差を有する。
例えば、コアと第1のシェルとの間の格子定数差は2%以上8%以下であり、2%以上6%以下が好ましく、3%以上5%以下がより好ましい。
また、コアと第2のシェルとの間の格子定数差は5%以上13%以下であり、5%以上12%以下が好ましく、7%以上10%以下がより好ましく、8%以上10%以下がさらに好ましい。
また。第1のシェルと第2のシェルの格子定数の差は、例えば、3%以上9%以下であり、3%以上7%以下が好ましく、4%以上6%以下がより好ましい。
これらのコア-多層シェル構造による量子ドット(A)は、400nm以上800nm以下の範囲(さらには470nm以上650nm以下の範囲、特に540nm以上580nm以下の範囲)の発光波長(emission wavelength)を有することができる。
これらのコア-多層シェル構造による量子ドット(A)としては、例えば、InP/ZnS/ZnSe、及びInP/ZnSe/ZnSが挙げられる。
また量子ドット(A)は表面修飾されていてもよい。例えば、ホスフィン、ホスフィン酸化物、トリアルキルホスフィン類等のリン化合物;ピリジン、アミノアルカン類、第3級アミン類等の有機窒素化合物;メルカプトアルコール、チオール、ジアルキルスルフィド類、ジアルキルスルホキシド類等の有機硫黄化合物;高級脂肪酸;アルコール類等の表面修飾剤(有機リガンド)が挙げられる。
上記の量子ドット(A)は、2種以上を組み合わせて用いてもよい。コア-(多層)シェル型の量子ドット(A)と、均質構造型の量子ドット(A)とを組み合わせて用いてもよい。
量子ドット(A)の平均粒子径は、量子ドットとして機能し得る範囲内であれば特に限定されない。量子ドット(A)の平均粒子径は、0.5nm以上20nm以下が好ましく、1.0nm以上15nm以下がより好ましく、2nm以上7nm以下がさらに好ましい。
コア-(多層)シェル型の量子ドット(A)の場合、コアのサイズは、例えば0.5nm以上10nm以下であり、2nm以上5nm以下が好ましい。シェルの平均厚さは、0.4nm以上2nm以下が好ましく、0.4nm以上1.4nm以下がより好ましい。シェルが、第1のシェルと第2のシェルとからなる場合、第1のシェルの平均厚さは、例えば0.2nm以上1nm以下であり、0.2nm以上0.7nm以下が好ましい。第2のシェルの平均厚さは、第1のシェルの平均厚さによらず、例えば0.2nm以上1nm以下であり、0.2nm以上0.7nm以下が好ましい。
かかる範囲内の平均粒子径を有する量子ドット(A)は、量子閉じ込め効果を発揮し量子ドットとして良好に機能するとともに、調製が容易であり、安定な蛍光特性を有する。
なお、量子ドット(A)の平均粒子径は、例えば、量子ドット(A)の分散液を、基板上に塗布・乾燥させ、揮発成分を除いた後に、その表面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することによって定義することができる。典型的には、TEM画像の画像解析により得られる各粒子の円相当径の数平均径として、この平均粒子径を定義することができる。
量子ドット(A)の形状は特に限定されない。量子ドット(A)の形状の例としては、球状、楕円球状、円柱状、多角柱状、円盤状、及び多面体状等が挙げられる。
これらの中でも、取扱いの容易さ、入手容易性の観点から球状であることが好ましい。
光学フィルムとしての特性や波長変換特性が良好である点から、量子ドット(A)は、500nm以上600nm以下の波長域に蛍光極大を有する化合物(A1)、及び600nm以上700nm以下の波長域に蛍光極大を有する化合物(A2)からなる群より選択される1種以上を含むのが好ましく、化合物(A1)及び化合物(A2)からなる群より選択される1種以上からなるのがより好ましい。
量子ドット(A)の製造方法は特に限定されない。周知の種々の方法で製造された量子ドットを、量子ドット(A)として用いることができる。量子ドット(A)の製造方法としては、例えば、配位性の有機溶媒中で有機金属化合物を熱分解する方法を採用ができる。
また、コア-シェル構造型の量子ドット(A)は、反応により均質なコアを形成した後に、分散されたコアの存在下にシェル層の前駆体を反応させてシェル層を形成する方法により製造できる。また例えば、上記コア-多層シェル構造を有する量子ドット(A)は、WO2013/127662号公報に記載の方法により製造することができる。
なお、市販されている種々の量子ドット(A)を用いることもできる。
量子ドット(A)の含有量は、液状組成物中に量子ドット(A)を良好に分散させることができる限り特に限定されない。
液状組成物が後述する基材成分(C)を含まない場合、量子ドット(A)の含有量は、液状組成物100質量中、0.1質量部以上99質量部以下が好ましく、1質量部以上90質量部以下がより好ましく、2質量部以上80質量部以下がさらに好ましい。液状組成物が後述する基材成分(C)を含まない場合で、且つイオン液体(B)を含む場合、量子ドット(A)の含有量は、イオン液体(B)との質量比で、(A):(B)=90:10~10:90が好ましく、60:40~15:85がより好ましく、50:50~25:75がさらに好ましい。
液状組成物が後述する基材成分(C)を含む場合、量子ドット(A)の含有量は、イオン液体(B)の質量及び溶剤(S)の質量を除いた液状組成物の質量100質量部に対して、0.1質量部以上99質量部以下が好ましく、1質量部以上90質量部以下がより好ましく、2質量部以上80質量部以下がさらに好ましい。また、(A):(C)=99:1~1:99であることが好ましく、90:10~10:90がより好ましい。
液状組成物が後述する基材成分(C)を含む場合、量子ドット(A)の含有量は、イオン液体(B)の質量との比で、(A):(B)=90:10~10:90が好ましく、60:40~15:85がより好ましく、50:50~25:75がさらに好ましい。
<イオン液体(B)>
イオン液体(B)としては、有機合成分野や、電池用の電解質等に使用されれているイオン液体を特に制限なく用いることができる。イオン液体(B)は、典型的には、140℃以下の温度領域で融解しうる塩であり、140℃以下で液体である安定な塩であることが好ましい。
イオン液体(B)の融点は、本発明の効果をより確実に達成する観点、及び、イオン性液体(B)や液状組成物の取り扱い性の観点等から、120℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましく、80℃以下がさらに好ましい。
イオン液体(B)は、有機カチオンと、アニオンとから構成されることが好ましい。
イオン液体(B)は、窒素含有有機カチオン、リン含有有機カチオン、又は硫黄含有有機カチオンと、対アニオンとからなるのが好ましく、窒素含有有機カチオン、又はリン含有有機カチオンと、対アニオンとからなるのがより好ましい。
イオン液体(B)を構成する有機カチオンとしては、後述する溶剤(S)との親和性が良好であること等から、アルキル鎖四級アンモニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピリミジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、グアニジニウムカチオン、モルホリニウムカチオン、ホスホニウムカチオン及びスルホニウムカチオンからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、アルキル鎖四級アンモニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、モルホリニウムカチオン、又はホスホニウムカチオンがより好ましく、本発明の効果を特に得やすい点で、ピロリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、又はホスホニウムカチオンがさらに好ましい。
上記アルキル鎖四級アンモニウムカチオンの具体例としては下記式(L1)で表される四級アンモニウムカチオンが挙げられる。具体的には、例えば、テトラメチルアンモニウムカチオン、エチルトリメチルアンモニウムカチオン、ジエチルジメチルアンモニウムカチオン、トリエチルメチルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、メチルトリブチルアンモニウムカチオン、オクチルトリメチルアンモニウムカチオン、ヘキシルトリメチルアンモニウムカチオン、メチルトリオクチルアンモニウムカチオン等が挙げられる。
上記ピペリジニウムカチオンの具体例としては下記式(L2)で表されるピペリジニウムカチオンが挙げられる。具体的には、例えば、1-プロピルピペリジニウムカチオン、1-ペンチルピペリジニウムカチオン、1,1-ジメチルピペリジニウムカチオン、1-メチル-1-エチルピペリジニウムカチオン、1-メチル-1-プロピルピペリジニウムカチオン、1-メチル-1-ブチルピペリジニウムカチオン、1-メチル-1-ペンチルピペリジニウムカチオン、1-メチル-1-ヘキシルピペリジニウムカチオン、1-メチル-1-ヘプチルピペリジニウムカチオン、1-エチル-1-プロピルピペリジニウムカチオン、1-エチル-1-ブチルピペリジニウムカチオン、1-エチル-1-ペンチルピペリジニウムカチオン、1-エチル-1-ヘキシルピペリジニウムカチオン、1-エチル-1-ヘプチルピペリジニウムカチオン、1,1-ジプロピルピペリジニウムカチオン、1-プロピル-1-ブチルピペリジニウムカチオン、1,1-ジブチルピペリジニウムカチオン等が挙げられる。
上記ピリミジニウムカチオンの具体例としては、例えば、1,3-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3-トリメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4-テトラメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,5-テトラメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,3-ジメチル-1,4-ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,3-ジメチル-1,6-ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3-トリメチル-1,4-ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3-トリメチル-1,6-ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4-テトラメチル-1,4-ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4-テトラメチル-1,6-ジヒドロピリミジニウムカチオン等が挙げられる。
上記ピロリジニウムカチオンの具体例としては下記式(L3)で表されるピロリジニウムカチオンが挙げられ、より具体的には、例えば、1,1-ジメチルピロリジニウムカチオン、1-エチル-1-メチルピロリジニウムカチオン、1-メチル-1-プロピルピロリジニウムカチオン、1-メチル-1-ブチルピロリジニウムカチオン、1-メチル-1-ペンチルピロリジニウムカチオン、1-メチル-1-ヘキシルピロリジニウムカチオン、1-メチル-1-ヘプチルピロリジニウムカチオン、1-エチル-1-プロピルピロリジニウムカチオン、1-エチル-1-ブチルピロリジニウムカチオン、1-エチル-1-ペンチルピロリジニウムカチオン、1-エチル-1-ヘキシルピロリジニウムカチオン、1-エチル-1-ヘプチルピロリジニウムカチオン、1,1-ジプロピルピロリジニウムカチオン、1-プロピル-1-ブチルピロリジニウムカチオン、1,1-ジブチルピロリジニウムカチオン等が挙げられる。
上記イミダゾリウムカチオンの具体例としては下記式(L5)で表されるイミダゾリウムカチオンが挙げられ、より具体的には、例えば、1,3-ジメチルイミダゾリウムカチオン、1,3-ジエチルイミダゾリウムカチオン、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-デシル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-ドデシル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-テトラデシル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1,2-ジメチル-3-プロピルイミダゾリウムカチオン、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムカチオン、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムカチオン、1-ヘキシル-2,3-ジメチルイミダゾリウムカチオン等が挙げられる。
上記ピリジニウムカチオンの具体例としては下記式(L6)で表されるピリジニウムカチオンが挙げられ、より具体的には、例えば、1-エチルピリジニウムカチオン、1-ブチルピリジニウムカチオン、1-ヘキシルピリジニウムカチオン、1-ブチル-3-メチルピリジニウムカチオン、1-ブチル-4-メチルピリジニウムカチオン、1-ヘキシル-3-メチルピリジニウムカチオン、1-ブチル-3,4-ジメチルピリジニウムカチオン等が挙げられる。
上記ピラゾニウムカチオンの具体例としては、例えば、1,3-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3-トリメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4-テトラメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,5-テトラメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,3-ジメチル-1,4-ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,3-ジメチル-1,6-ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3-トリメチル-1,4-ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3-トリメチル-1,6-ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4-テトラメチル-1,4-ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4-テトラメチル-1,6-ジヒドロピリミジニウムカチオン等が挙げられる。
上記ホスホニウムカチオンの具体例としては下記式(L4)で表されるホスホニウムカチオンが挙げられる。具体的には、テトラブチルホスホニウムカチオン、トリブチルメチルホスホニウムカチオン、トリブチルヘキシルホスホニウムカチオン等のテトラアルキルホスホニウムカチオンや、トリエチル(メトキシメチル)ホスホニウムカチオン等が挙げられる。
上記スルホニウムカチオンの具体例としては、トリエチルスルホニウムカチオン、ジメチルエチルスルホニウムカチオン、トリエチルスルホニウムカチオン、エチルメチルプロピルスルホニウムカチオン、ブチルジメチルスルホニウムカチオン、1‐メチルテトラヒドロチオフェニウムオン、1‐エチルテトラヒドロチオフェニウムカチオン、1-プロピルテトラヒドロチオフェニウムカチオン、1-ブチルテトラヒドロチオフェニウムカチオン、又は1-メチル-[1,4]‐チオキソニウムカチオン等が挙げられる。中でも、上記スルホニウムカチオンとしては、テトラヒドロチオフェニウム系又はヘキサヒドロチオピリリウム系の5員環又は6員環等の環状構造を有しているスルホニウムカチオンが好ましく、環状構造中に酸素原子等のヘテロ原子を有していてもよい。
式(L1)~(L4)中、RL1~RL4は、それぞれ独立に、炭素原子数が1以上20以下のアルキル基、又はRL7-O-(CH2)Ln-で表わされるアルコキシアルキル基である。RL7は、メチル基、又はエチル基を示す。Lnは1以上4以下の整数を表す。
式(L5)中、RL1~RL4は、各々独立に、炭素原子数が1以上20以下のアルキル基、RL7-O-(CH2)Ln-で表わされるアルコキシアルキル基、又は水素原子である。RL7は、メチル基、又はエチル基を示す。Lnは1以上4以下の整数を表す。
式(L6)中、RL1~RL6は、各々独立に、炭素原子数が1~20のアルキル基、RL7-O-(CH2)Ln-で表わされるアルコキシアルキル基、又は水素原子である。RL7は、メチル基、又はエチル基を示す。Lnは1以上4以下の整数を表す。
イオン液体(B)を構成するアニオンとしては、有機アニオンであっても、無機アニオンであってもよい。イオン液体(B)の後述する溶剤(S)との親和性又は量子ドット(A)の表面修飾剤との親和性が良好であることから、有機アニオンが好ましい。
有機アニオンとして、カルボン酸系アニオン、N-アシルアミノ酸イオン、酸性アミノ酸アニオン、中性アミノ酸アニオン、アルキル硫酸系アニオン、含フッ素化合物系アニオン及びフェノール系アニオンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、カルボン酸系アニオン、含フッ素化合物系アニオン又はN-アシルアミノ酸イオンであることがより好ましく、含フッ素化合物系アニオンがさらに好ましい。
上記カルボン酸系アニオンの具体例としては、酢酸イオン、デカン酸イオン、2-ピロリドン-5-カルボン酸イオン、ギ酸イオン、α-リポ酸イオン、乳酸イオン、酒石酸イオン、馬尿酸イオン、N-メチル馬尿酸イオン等が挙げられる。これらの中でも、酢酸イオン、2-ピロリドン-5-カルボン酸イオン、ギ酸イオン、乳酸イオン、酒石酸イオン、馬尿酸イオン、N-メチル馬尿酸イオンが好ましく、酢酸イオン、N-メチル馬尿酸イオン、ギ酸イオンがより好ましい。
上記N-アシルアミノ酸イオンの具体例としては、N-ベンゾイルアラニンイオン、N-アセチルフェニルアラニンイオン、アスパラギン酸イオン、グリシンイオン、N-アセチルグリシンイオン等が挙げられ、中でも、N-ベンゾイルアラニンイオン、N-アセチルフェニルアラニンイオン、N-アセチルグリシンイオンが好ましく、N-アセチルグリシンイオンがより好ましい。
上記酸性アミノ酸アニオンの具体例としては、アスパラギン酸イオン、グルタミン酸イオン等が挙げられ、上記中性アミノ酸アニオンの具体例としては、グリシンイオン、アラニンイオン、フェニルアラニンイオン等が挙げられる。
上記アルキル硫酸系アニオンの具体例としては、メタンスルホン酸イオン等が挙げられる。上記含フッ素化合物系アニオンの具体例としては、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ヘキサフルオロホスホン酸イオン、トリフルオロトリス(ペンタフルオロエチル)ホスホン酸イオン、ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドイオン(例えば、炭素原子数1以上5以下のビス(パーフルオロアルキルスルホニル)イミドイオンであり、好ましくはビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン)、トリフルオロ酢酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン等が挙げられる。上記フェノール系アニオンの具体例としては、フェノールイオン、2-メトキシフェノールイオン、2,6-ジ-tert-ブチルフェノールイオン等が挙げられる。
上記無機アニオンとして、本発明の効果をより確実に達成する観点から、F-、Cl-、Br-、I-、BF4
-、PF6
-及びN(SO2F)2
-からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、BF4
-、PF6
-又はN(SO2F)2
-であることがより好ましく、BF4
-又はPF6
-であることがさらに好ましい。
イオン液体(B)は、例えば、国際公開第2014/178254号の段落0045に開示された手法等によって製造することができる。
イオン液体(B)は単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
イオン液体(B)の含有量としては、本発明の効果を達成し得る限り特に制限はない。
イオン液体(B)の含有量は、液状組成物において量子ドット(A)を分散させる効果が良好であることから、量子ドット(A)100質量部に対して、10質量部以上500質量部以下が好ましく、90質量部以上400質量部以下がより好ましく、100質量部以上300質量部以下がさらに好ましい。
<基材成分(C)>
液状組成物は、成形性や成膜性の観点から、基材成分(C)を含むのが好ましい。基材成分(C)としては、典型的には高分子化合物からなる樹脂材料や、加熱又は露光により架橋して高分子化合物を生じる反応性の低分子化合物が用いられる。また、基材成分(C)として使用される樹脂材料は、加熱又は露光により架橋する官能基を有してもよい。つまり、熱硬化性又は光硬化性の樹脂も基材成分(C)として使用できる。
さらに、基材成分(C)として使用される樹脂材料は、焼成により硬化する樹脂材料であってもよい。
上記の基材成分(C)としては、硬度や引張伸度等の物理的特性に優れる成形体を形成しやすいことから、熱硬化性又は光硬化性の基材成分が好ましい。
以下、基材成分(C)の具体例について、順に説明する。
〔樹脂材料〕
基材成分(C)として使用される非硬化性の樹脂材料について説明する。非硬化性の樹脂材料は、液状組成物に成膜性等の賦形性を与える非硬化性の樹脂材料であれば特に限定されない。かかる樹脂材料の具体例としては、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂(ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート等)、FR-AS樹脂、FR-ABS樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、フッ素系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミドビスマレイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリベンゾチアゾール樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、シリコーン樹脂、BT樹脂、ポリメチルペンテン、超高分子量ポリエチレン、FR-ポリプロピレン、(メタ)アクリル樹脂(ポリメチルメタクリレート等)、及びポリスチレン等が挙げられる。
これらの樹脂材料は、2種以上を組み合わせて使用されてもよい。
上記の樹脂材料は、液状組成物中に溶解しているのが好ましい。上記の樹脂材料は、本発明の目的を阻害しない範囲で、例えば、ラテックスのような懸濁液であってもよい。
溶液状の液状組成物を調製する際に、樹脂材料が溶剤(S1)に溶解しにくい場合、液状組成物は、溶剤(S1)とともに、樹脂材料に対する良溶剤を含むのが好ましい。
〔熱硬化性の低分子化合物〕
基材成分(C)のうち、加熱により架橋して高分子化合物を生じる、熱硬化性の低分子化合物としては、エポキシ化合物、又はオキセタン化合物が挙げられる。エポキシ化合物やオキセタン化合物を基材成分(C)として含む組成物が所定の温度以上に加熱されると、エポキシ化合物やオキセタン化合物が有するエポキシ基やオキセタニル基同士が架橋され、耐熱性や機械的特性に優れる硬化膜が得られる。
なお、エポキシ化合物やオキセタン化合物は基本的に熱硬化性の基材成分(C)として使用される。エポキシ化合物やオキセタン化合物を、後述するオニウム塩(D2)とともに用いる場合、光硬化が可能である。
(エポキシ化合物)
エポキシ化合物は、単独での加熱や、感熱性の硬化剤又は感光性の硬化剤の作用により硬化可能なエポキシ化合物であれば特に限定されない。エポキシ化合物は、2以上のエポキシ基を有するのが好ましい。また、エポキシ化合物は、オキシラン環以外の環式構造を含むの好ましい。
このような構造のエポキシ化合物を用いることにより、良好に分散された状態で量子ドット(A)を含有する、蛍光効率が良好な量子ドット含有膜を形成しやすい。
エポキシ化合物が環式構造を有する場合、エポキシ化合物に含まれる環式構造は、特に限定されない。環式構造は、炭化水素環構造や複素環構造のような、環構成元素として炭素を含有する環式構造であってもよく、環状シロキサン構造のような、環構成元素として炭素を含有しない環式構造であってもよい。
複素環構造に含まれ得るヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、ケイ素原子等が挙げられる。
環式構造は、単環式構造であっても、多環式構造であってもよい。
環構成元素として炭素を含有する環式構造については、芳香族環構造であっても、脂肪族環構造であってもよく、芳香族環と脂肪族環とが縮合した多環構造であってもよい。
芳香族環構造、又は芳香族環を含む環構造を与える環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、テトラリン環、アセナフテン環、及びフルオレン環等が挙げられる。
脂肪族環構造を与える環としては、モノシクロアルカン環、ビシクロアルカン環、トリシクロアルカン環、テトラシクロアルカン環等が挙げられる。
具体的には、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン等のモノシクロアルカン環や、アダマンタン環、ノルボルナン環、イソボルナン環、トリシクロデカン環、テトラシクロドデカン環が挙げられる。
好適に使用できる汎用されるエポキシ化合物の例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、及びビフェニル型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂;9,9-ビス[4-(グリシジルオキシ)フェニル]-9H-フルオレン、9,9-ビス[4-[2-(グリシジルオキシ)エトキシ]フェニル]-9H-フルオレン、9,9-ビス[4-[2-(グリシジルオキシ)エチル]フェニル]-9H-フルオレン、9,9-ビス[4-(グリシジルオキシ)-3-メチルフェニル]-9H-フルオレン、9,9-ビス[4-(グリシジルオキシ)-3,5-ジメチルフェニル]-9H-フルオレン、及び9,9-ビス(6‐グリシジルオキシナフタレン-2-イル)-9H-フルオレン等のエポキシ基含有フルオレン化合物;テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、トリグリシジル-p-アミノフェノール、テトラグリシジルメタキシリレンジアミン、及びテトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサン等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;フロログリシノールトリグリシジルエーテル、トリヒドロキシビフェニルトリグリシジルエーテル、トリヒドロキシフェニルメタントリグリシジルエーテル、2-[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]-2-[4-[1,1-ビス[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]エチル]フェニル]プロパン、及び1,3-ビス[4-[1-[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]-1-[4-[1-[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]-1-メチルエチル]フェニル]エチル]フェノキシ]-2-プロパノール等の3官能型エポキシ樹脂;テトラヒドロキシフェニルエタンテトラグリシジルエーテル、テトラグリシジルベンゾフェノン、ビスレゾルシノールテトラグリシジルエーテル、及びテトラグリシドキシビフェニル等の4官能型エポキシ樹脂2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物が挙げられる。2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物は、EHPE-3150(ダイセル社製)として市販される。
また、オリゴマー又はポリマー型の多官能エポキシ化合物も、好ましく用いることができる。
典型的な例としては、フェノールノボラック型エポキシ化合物、臭素化フェノールノボラック型エポキシ化合物、オルソクレゾールノボラック型エポキシ化合物、キシレノールノボラック型エポキシ化合物、ナフトールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールADノボラック型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂のエポキシ化物、ナフタレン型フェノール樹脂のエポキシ化物等が挙げられる。
また、下記式(C1)で表される化合物も、オリゴマー又はポリマー型の多官能エポキシ化合物の好ましい例として挙げられる。
(式(C1)中、OGlyは、グリシジルオキシ基であり、R
C1は、ハロゲン原子、又は炭素原子数1以上8以下の1価の基である。naは0以上4以下の整数である。nbは括弧内のユニットの繰り返し数である。naが2以上の整数である場合、ベンゼン環上で隣接する2つのR
C1は、互いに結合して環を形成してもよい。R
C2は、2価の脂肪族環式基、又は下記式(C1-1):
で表される基である。式(C1-1)中、OGlyは、グリシジルオキシ基である。R
C3は、芳香族炭化水素基である。R
C4は、ハロゲン原子、又は炭素原子数1以上4以下のアルキル基である。ncは0又は1である。ndは0以上8以下の整数である。R
C5は、水素原子、又は下記式(C1-2):
で表される基である。式(C1-2)中、OGlyは、グリシジルオキシ基である。R
C6は、ハロゲン原子、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、又はフェニル基である。neは0以上4以下の整数である。)
上記式(C1)で表されるエポキシ化合物は、平均分子量が800以上であるのが好ましい。式(C1)で表されるエポキシ化合物として、かかる平均分子量を有する化合物を用いることにより、耐水性や強度に優れる硬化物を形成しやすい。
式(C1)で表されるエポキシ化合物の平均分子量は、1000以上が好ましく、1200以上がより好ましく、1500以上が特に好ましい。また、式(C1)で表されるエポキシ化合物の平均分子量は、50000以下が好ましく、20000以下がより好ましい。
式(C1)中、RC1は、ハロゲン原子、又は炭素原子数1以上8以下の1価の基である。炭素原子数1以上8以下の1価の基の具体例としては、アルキル基、アルコキシ基、フェノキシ基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、ベンゾイル基、ベンジル基、フェネチル基、及び不飽和脂肪族炭化水素基が挙げられる。
アルキル基、アルコキシ基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、及び不飽和脂肪族炭化水素基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。
RC1としてのハロゲン原子の好適な例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。RC1としてのアルキル基の好適な例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、及びtert-ブチル基が好ましく、メチル基、及びエチル基がより好ましい。
RC1が炭素原子数1以上8以下の1価の基である場合、当該1価の基としてはアルキル基、及びアルコキシ基が好ましい。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、及び2-エチルヘキシル基が挙げられる。
アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、及び2-エチルヘキシルオキシ基が挙げられる。
また、naが2以上4以下の整数である場合に、複数のRC1のうちベンゼン環上で隣接する2のRC1は、互いに結合して環を形成してもよい。2のRC1が結合して形成される環は、芳香族環であっても脂肪族環であってもよく、炭化水素環であっても複素環であってもよい。
2のRC1が結合して形成される環が複素環である場合、当該環に含まれるヘテロ原子としては、N、O、S、及びSe等が挙げられる。
2のRC1が結合することにより、ベンゼン環とともに形成される基の好適な例としては、ナフタレン環、及びテトラリン環が挙げられる。
式(C1)中、RC2としての2価の脂肪族環式基としては、特に限定されず、単環式基の2環以上の他環式基でもよい。なお、2価の脂肪族環式基は、通常その構造中にエポキシ基を含まず、エポキシ基を含まないのが好ましい。
2価の脂肪族環式基として、具体的には、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基等を例示できる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基等が挙げられる。
2価の脂肪族環式基の炭素原子数は、3以上50以下が好ましく、3以上30以下がより好ましく、3以上20以下が特に好ましい。3以上15以下が最も好ましい。
R
C2としての2価の脂肪族環式基の具体例としては、以下に示す基が挙げられる。
RC3は、芳香族炭化水素基である。RC3としての芳香族炭化水素基の価数は、2+nc+ndである。芳香族炭化水素基としては特に限定されない。芳香族炭化水素基を構成する芳香族炭化水素環は、典型的には、6員芳香族炭化水素環(ベンゼン環)か、2以上のベンゼン環が、互いに縮合するか単結合を介して結合した環である。
芳香族炭化水素基を構成する芳香族炭化水素環の好適な具体例としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ビフェニル、及びターフェニルである。これらの芳香族炭化水素環から2+nc+nd個の水素原子を除いた基が、RC3としての芳香族炭化水素基として好適である。
式(C1-1)で表される基において、ncは0又は1である。つまり、芳香族炭化水素基であるRC3には、グリシジルオキシ基が結合していなくてもよく、1つのグリシジルオキシ基が結合していてもよい。
式(C1-1)で表される基において、RC4は、ハロゲン原子、又は炭素原子数1以上4以下のアルキル基であり、dは0以上8以下の整数である。つまり、RC4は、芳香族炭化水素基であるRC3上の、グリシジルオキシ基以外の置換基であって、RC3上の置換基数0以上8以下である。ndは、0以上4以下の整数が好ましく、0以上2以下の整数がより好ましく、0又は1が特に好ましい。
RC4としてのハロゲン原子の好適な例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。RC4としてのアルキル基の好適な例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、及びtert-ブチル基が好ましく、メチル基、及びエチル基がより好ましい。
式(C1-1)で表される基において、RC5は、水素原子、又は前述の式(C1-2)で表される基である。
式(C1-2)中のRC6は、ハロゲン原子、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、又はフェニル基である。ハロゲン原子、及び炭素原子数1以上4以下のアルキル基の具体例については、RC4と同様である。
以上説明した式(C1)で表されるエポキシ化合物について、RC2が、2価の脂肪族環式基であるか、又は前述の式(C1-1)で表される2価の基であって、ncが0であり、且つRC5が水素原子である基であるのが好ましい。
この場合、式(C1)で表されるエポキシ化合物に含まれる複数のエポキシ基の間に、適度な距離が存在することにより、より耐水性が良好な硬化物を形成しやすい。
式(C1)で表されるエポキシ化合物は、市販品として入手可能である。市販品の具体例は、日本化薬株式会社製のNC-シリーズ、XD-シリーズ等が挙げられる。また、DIC株式会社、昭和電工株式会社からも特定の構造を有する同等品を入手することができる。
式(C1)で表されるエポキシ化合物の好適な具体例の化学構造を以下に記す。下記式中、OGlyは、グリシジルオキシ基を表し、p0は括弧内の単位の繰り返し数を表す。
好適なエポキシ化合物の他の例として、脂環式エポキシ基を有する多官能の脂環式エポキシ化合物が挙げられる。かかる脂環式エポキシ化合物の具体例としては、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル-5,5-スピロ-3,4-エポキシ)シクロヘキサン-メタ-ジオキサン、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシル-3’,4’-エポキシ-6’-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ε-カプロラクトン変性3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、トリメチルカプロラクトン変性3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、β-メチル-δ-バレロラクトン変性3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサン)、エチレングリコールのジ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、及びトリシクロデセンオキサイド基を有する多官能エポキシ化合物や、下記式(c1-1)~(c1-5)で表される化合物が挙げられる。
これらの脂環式エポキシ化合物は単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
(式(c1-1)中、Zは単結合又は連結基(1以上の原子を有する二価の基)を示す。R
c1~R
c18は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、及び有機基からなる群より選択される基である。)
連結基Zとしては、例えば、2価の炭化水素基、-O-、-O-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-CBr2-、-C(CBr3)2-、-C(CF3)2-、及び-Rc19-O-CO-からなる群より選択される2価の基、並びにこれらが複数個結合した基等を挙げることができる。
連結基Zである2価の炭化水素基としては、例えば、炭素原子数が1以上18以下の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、2価の脂環式炭化水素基等を挙げることができる。炭素原子数が1以上18以下の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、ジメチレン基、トリメチレン基等を挙げることができる。上記2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,2-シクロペンチレン基、1,3-シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2-シクロヘキシレン基、1,3-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキシレン基、シクロヘキシリデン基等のシクロアルキレン基(シクロアルキリデン基を含む)等を挙げることができる。
Rc19は、炭素原子数1以上8以下のアルキレン基であり、メチレン基又はエチレン基であるのが好ましい。
(式(c1-2)中、Rc1~Rc18は、水素原子、ハロゲン原子、及び有機基からなる群より選択される基である。Rc2及びRc10は互いに結合して環を形成してもよい。Rc13及びRc16は互いに結合して環を形成してもよい。mc1は、0又は1である。)
(式(c1-3)中、R
c1~R
c10は、水素原子、ハロゲン原子、及び有機基からなる群より選択される基である。R
c2及びR
c8は、互いに結合して環を形成してもよい。)
(式(c1-4)中、R
c1~R
c12は、水素原子、ハロゲン原子、及び有機基からなる群より選択される基である。R
c2及びR
c10は、互いに結合して環を形成してもよい。)
(式(c1-5)中、R
c1~R
c12は、水素原子、ハロゲン原子、及び有機基からなる群より選択される基である。)
式(c1-1)~(c1-5)中、Rc1~Rc18が有機基である場合、有機基は本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、炭化水素基であっても、炭素原子とハロゲン原子とからなる基であっても、炭素原子及び水素原子とともにハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ケイ素原子のようなヘテロ原子を含むような基であってもよい。ハロゲン原子の例としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、及びフッ素原子等が挙げられる。
有機基としては、炭化水素基と、炭素原子、水素原子、及び酸素原子からなる基と、ハロゲン化炭化水素基と、炭素原子、酸素原子、及びハロゲン原子からなる基と、炭素原子、水素原子、酸素原子、及びハロゲン原子からなる基とが好ましい。有機基が炭化水素基である場合、炭化水素基は、芳香族炭化水素基でも、脂肪族炭化水素基でも、芳香族骨格と脂肪族骨格とを含む基でもよい。有機基の炭素原子数は1以上20以下が好ましく、1以上10以下がより好ましく、1以上5以下が特に好ましい。
炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、及びn-イコシル基等の鎖状アルキル基;ビニル基、1-プロペニル基、2-n-プロペニル基(アリル基)、1-n-ブテニル基、2-n-ブテニル基、及び3-n-ブテニル基等の鎖状アルケニル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロヘプチル基等のシクロアルキル基;フェニル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、α-ナフチル基、β-ナフチル基、ビフェニル-4-イル基、ビフェニル-3-イル基、ビフェニル-2-イル基、アントリル基、及びフェナントリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、α-ナフチルメチル基、β-ナフチルメチル基、α-ナフチルエチル基、及びβ-ナフチルエチル基等のアラルキル基が挙げられる。
ハロゲン化炭化水素基の具体例は、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、及びパーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロヘプチル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロノニル基、及びパーフルオロデシル基等のハロゲン化鎖状アルキル基;2-クロロシクロヘキシル基、3-クロロシクロヘキシル基、4-クロロシクロヘキシル基、2,4-ジクロロシクロヘキシル基、2-ブロモシクロヘキシル基、3-ブロモシクロヘキシル基、及び4-ブロモシクロヘキシル基等のハロゲン化シクロアルキル基;2-クロロフェニル基、3-クロロフェニル基、4-クロロフェニル基、2,3-ジクロロフェニル基、2,4-ジクロロフェニル基、2,5-ジクロロフェニル基、2,6-ジクロロフェニル基、3,4-ジクロロフェニル基、3,5-ジクロロフェニル基、2-ブロモフェニル基、3-ブロモフェニル基、4-ブロモフェニル基、2-フルオロフェニル基、3-フルオロフェニル基、4-フルオロフェニル基等のハロゲン化アリール基;2-クロロフェニルメチル基、3-クロロフェニルメチル基、4-クロロフェニルメチル基、2-ブロモフェニルメチル基、3-ブロモフェニルメチル基、4-ブロモフェニルメチル基、2-フルオロフェニルメチル基、3-フルオロフェニルメチル基、4-フルオロフェニルメチル基等のハロゲン化アラルキル基である。
炭素原子、水素原子、及び酸素原子からなる基の具体例は、ヒドロキシメチル基、2-ヒドロキシエチル基、3-ヒドロキシ-n-プロピル基、及び4-ヒドロキシ-n-ブチル基等のヒドロキシ鎖状アルキル基;2-ヒドロキシシクロヘキシル基、3-ヒドロキシシクロヘキシル基、及び4-ヒドロキシシクロヘキシル基等のハロゲン化シクロアルキル基;2-ヒドロキシフェニル基、3-ヒドロキシフェニル基、4-ヒドロキシフェニル基、2,3-ジヒドロキシフェニル基、2,4-ジヒドロキシフェニル基、2,5-ジヒドロキシフェニル基、2,6-ジヒドロキシフェニル基、3,4-ジヒドロキシフェニル基、及び3,5-ジヒドロキシフェニル基等のヒドロキシアリール基;2-ヒドロキシフェニルメチル基、3-ヒドロキシフェニルメチル基、及び4-ヒドロキシフェニルメチル基等のヒドロキシアラルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、n-ノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、n-ウンデシルオキシ基、n-トリデシルオキシ基、n-テトラデシルオキシ基、n-ペンタデシルオキシ基、n-ヘキサデシルオキシ基、n-ヘプタデシルオキシ基、n-オクタデシルオキシ基、n-ノナデシルオキシ基、及びn-イコシルオキシ基等の鎖状アルコキシ基;ビニルオキシ基、1-プロペニルオキシ基、2-n-プロペニルオキシ基(アリルオキシ基)、1-n-ブテニルオキシ基、2-n-ブテニルオキシ基、及び3-n-ブテニルオキシ基等の鎖状アルケニルオキシ基;フェノキシ基、o-トリルオキシ基、m-トリルオキシ基、p-トリルオキシ基、α-ナフチルオキシ基、β-ナフチルオキシ基、ビフェニル-4-イルオキシ基、ビフェニル-3-イルオキシ基、ビフェニル-2-イルオキシ基、アントリルオキシ基、及びフェナントリルオキシ基等のアリールオキシ基;ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基、α-ナフチルメチルオキシ基、β-ナフチルメチルオキシ基、α-ナフチルエチルオキシ基、及びβ-ナフチルエチルオキシ基等のアラルキルオキシ基;メトキシメチル基、エトキシメチル基、n-プロポキシメチル基、2-メトキシエチル基、2-エトキシエチル基、2-n-プロポキシエチル基、3-メトキシ-n-プロピル基、3-エトキシ-n-プロピル基、3-n-プロポキシ-n-プロピル基、4-メトキシ-n-ブチル基、4-エトキシ-n-ブチル基、及び4-n-プロポキシ-n-ブチル基等のアルコキシアルキル基;メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、n-プロポキシメトキシ基、2-メトキシエトキシ基、2-エトキシエトキシ基、2-n-プロポキシエトキシ基、3-メトキシ-n-プロポキシ基、3-エトキシ-n-プロポキシ基、3-n-プロポキシ-n-プロポキシ基、4-メトキシ-n-ブチルオキシ基、4-エトキシ-n-ブチルオキシ基、及び4-n-プロポキシ-n-ブチルオキシ基等のアルコキシアルコキシ基;2-メトキシフェニル基、3-メトキシフェニル基、及び4-メトキシフェニル基等のアルコキシアリール基;2-メトキシフェノキシ基、3-メトキシフェノキシ基、及び4-メトキシフェノキシ基等のアルコキシアリールオキシ基;ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、及びデカノイル基等の脂肪族アシル基;ベンゾイル基、α-ナフトイル基、及びβ-ナフトイル基等の芳香族アシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロポキシカルボニル基、n-ブチルオキシカルボニル基、n-ペンチルオキシカルボニル基、n-ヘキシルカルボニル基、n-ヘプチルオキシカルボニル基、n-オクチルオキシカルボニル基、n-ノニルオキシカルボニル基、及びn-デシルオキシカルボニル基等の鎖状アルキルオキシカルボニル基;フェノキシカルボニル基、α-ナフトキシカルボニル基、及びβ-ナフトキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基;ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブタノイルオキシ基、ペンタノイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ヘプタノイルオキシ基、オクタノイルオキシ基、ノナノイルオキシ基、及びデカノイルオキシ基等の脂肪族アシルオキシ基;ベンゾイルオキシ基、α-ナフトイルオキシ基、及びβ-ナフトイルオキシ基等の芳香族アシルオキシ基である。
Rc1~Rc18は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、及び炭素原子数1以上5以下のアルコキシ基からなる群より選択される基が好ましく、特に機械的特性に優れる硬化膜を形成しやすいことから、Rc1~Rc18が全て水素原子であるのがより好ましい。
式(c1-2)~(c1-5)中、Rc1~Rc18は、式(c1-1)におけるRc1~Rc18と同様である。式(c1-2)及び式(c1-4)において、Rc2及びRc10が、互いに結合する場合、式(c1-2)において、Rc13及びRc16が、互いに結合する場合、及び式(c1-3)において、Rc2及びRc8が、互いに結合する場合、2つの基が結合して形成される2価の基としては、例えば、-CH2-、-C(CH3)2-が挙げられる。
式(c1-1)で表される脂環式エポキシ化合物のうち、好適な化合物の具体例としては、下記式(c1-1a)、式(c1-1b)、及び式(c1-1c)で表される脂環式エポキシ化合物や、2,2-ビス(3,4-エポキシシクロヘキサン-1-イル)プロパン[=2,2-ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロパン]等を挙げることができる。
式(c1-2)で表される脂環式エポキシ化合物のうち、好適な化合物の具体例としては、下記式(c1-2a)で表されるビシクロノナジエンジエポキシド、又はジシクロノナジエンジエポキシド等が挙げられる。
式(c1-3)で表される脂環式エポキシ化合物のうち、好適な化合物の具体例としては、Sスピロ[3-オキサトリシクロ[3.2.1.02,4]オクタン-6,2’-オキシラン]等が挙げられる。
式(c1-4)で表される脂環式エポキシ化合物のうち、好適な化合物の具体例としては、4-ビニルシクロヘキセンジオキシド、ジペンテンジオキシド、リモネンジオキシド、1-メチル-4-(3-メチルオキシラン-2-イル)-7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン等が挙げられる。
式(c1-5)で表される脂環式エポキシ化合物のうち、好適な化合物の具体例としては、1,2,5,6-ジエポキシシクロオクタン等が挙げられる。
さらに、下記式(c1)で表される化合物をエポキシ化合物として好適に使用し得る。
(式(c1)中、X
c1、X
c2、及びX
c3は、それぞれ独立に、水素原子、又はエポキシ基を含んでいてもよい有機基であり、X
c1、X
c2、及びX
c3が有するエポキシ基の総数が2以上である。)
上記式(c1)で表される化合物としては、下記式(c1-6)で表される化合物が好ましい。
(式(c1-6)中、R
c20~R
c22は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキレン基、アリーレン基、-O-、-C(=O)-、-NH-及びこれらの組み合わせからなる基であり、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。E
1~E
3は、エポキシ基、オキセタニル基、エチレン性不飽和基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、チオール基、カルボキシ基、水酸基及びコハク酸無水物基からなる群より選択される少なくとも1種の置換基又は水素原子である。ただし、E
1~E
3のうち少なくとも2つは、エポキシ基及びオキセタニル基からなる群より選択される少なくとも1種である。)
式(c1-6)中、Rc20とE1、Rc21とE2、及びRc22とE3で示される基は、例えば、少なくとも2つが、それぞれ、下記式(c1-6a)で表される基であることが好ましく、いずれもが、それぞれ、下記式(c1-6a)で表される基であることがより好ましい。1つの化合物に結合する複数の式(c1-6a)で表される基は、同じ基であることが好ましい。
-L-Cc (c1-6a)
(式(c1-6a)中、Lは直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキレン基、アリーレン基、-O-、-C(=O)-、-NH-及びこれらの組み合わせからなる基であり、Ccはエポキシ基である。式(c1-6a)中、LとCcとが結合して環状構造を形成していてもよい。)
式(c1-6a)中、Lとしての直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキレン基としては、炭素原子数1以上10以下のアルキレン基が好ましく、また、Lとしてのアリーレン基としては、炭素原子数5以上10以下のアリーレン基が好ましい。式(c1-6a)中、Lは、直鎖状の炭素原子数1以上3以下のアルキレン基、フェニレン基、-O-、-C(=O)-、-NH-及びこれらの組み合わせからなる基であることが好ましく、メチレン基等の直鎖状の炭素原子数1以上3以下のアルキレン基及びフェニレン基の少なくとも1種、又は、これらと、-O-、-C(=O)-及びNH-の少なくとも1種との組み合わせからなる基が好ましい。
式(c1-6a)中、LとC
cとが結合して環状構造を形成している場合としては、例えば、分岐鎖状のアルキレン基とエポキシ基とが結合して環状構造(脂環構造のエポキシ基を有する構造)を形成している場合、下記式(c1-6b)又は(c1-6c)で表される有機基が挙げられる。
(式(c1-6b)中、R
c23は、水素原子又はメチル基である。)
以下、式(c1-6)で表される化合物の例としてオキシラニル基、又は脂環式エポキシ基を有するエポキシ化合物の例を示すが、これらに限定されない。
また、エポキシ化合物として好適に使用し得る化合物としては、分子内に2以上のエポキシ基を有するシロキサン化合物(以下、単に「シロキサン化合物」とも記す。)を挙げることができる。
シロキサン化合物は、シロキサン結合(Si-O-Si)により構成されたシロキサン骨格と、2以上のグリシジル基とを分子内に有する化合物である。
シロキサン化合物におけるシロキサン骨格としては、例えば、環状シロキサン骨格やかご型やラダー型のポリシルセスキオキサン骨格を挙げることができる。
シロキサン化合物としては、なかでも、下記式(c1-7)で表される環状シロキサン骨格を有する化合物(以下、「環状シロキサン」という場合がある)が好ましい。
式(c1-7)中、Rc24、及びRc25は、エポキシ基を含有する1価の基又はアルキル基を示す。ただし、式(c1-7)で表される化合物におけるx1個のRc24及びx1個のRc25のうち、少なくとも2個はエポキシ基を含有する1価の基である。また、式(c1-7)中のx1は3以上の整数を示す。なお、式(c1-7)で表される化合物におけるRc24、Rc25は同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、複数のRc24は同一であってもよいし、異なっていてもよい。複数のRc25も同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記エポキシ基を含有する1価の基としては、-D-O-Rc26で表されるグリシジルエーテル基が好ましい。Dはアルキレン基を示す。Rc26はグリシジル基を示す。上記D(アルキレン基)としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、ジメチレン基、トリメチレン基等の炭素原子数が1以上18以下の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基等を挙げることができる。
また、-D-Rc27で表される脂環式エポキシ基含有基も好ましい。Rc27は、エポキシシクロアルキル基である。Dは前述の通り、アルキレン基である。Dとしてのアルキレン基の好ましい例も、前述の通りである。Rc27としてのエポキシシクロアルキル基としては、2,3-エポキシシクロペンチル基、3,4-エポキシシクロヘキシル基、及び2,3-エポキシシクロヘキシル基が好ましい。-D-Rc27で表される基としては、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル基が好ましい。
Rc24、及びRc25としてのアルキル基の好ましい例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の炭素原子数1以上18以下の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を挙げることができる。アルキル基の炭素原子数は、より好ましくは1以上6以下、特に好ましくは1以上3以下である。
式(c1-7)中のx1は3以上の整数を示し、なかでも、硬化膜を形成する際の架橋反応性に優れる点で3以上6以下の整数が好ましい。
シロキサン化合物が分子内に有するエポキシ基の数は2個以上であり、硬化膜を形成する際の架橋反応性に優れる点から2個以上6個以下が好ましく、特に好ましくは2個以上4個以下である。
液状組成物は、式(c1-7)で表されるシロキサン化合物以外にも、脂環式エポキシ基含有環状シロキサン、特開2008-248169号公報に記載の脂環式エポキシ基含有シリコーン樹脂、及び特開2008-19422号公報に記載の1分子中に少なくとも2個のエポキシ官能性基を有するオルガノポリシルセスキオキサン樹脂等のシロキサン骨格を有する化合物を含有していてもよい。
シロキサン化合物としては、より具体的には、下記式で表される、分子内に2以上のエポキシ基を有する環状シロキサン等を挙げることができる。また、シロキサン化合物としては、例えば、商品名「X-40-2670」、「X-40-2701」、「X-40-2728」、「X-40-2738」、「X-40-2740」(以上、信越化学工業社製)等の市販品を用いることができる。
(オキセタン化合物)
オキセタン化合物の好適な例としては、例えば、3,3’-(オキシビスメチレン)ビス(3-エチルオキセタン)、4,4‐ビス[(3‐エチル-3-オキセタニル)メチル]ビフェニル、3,7-ビス(3-オキセタニル)-5-オキサノナン、3,3’-〔1,3-(2-メチレニル)プロパンジイルビス(オキシメチレン)〕ビス(3-エチルオキセタン)、1,4-ビス〔(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル〕ベンゼン、1,2-ビス〔(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル〕エタン、1,3-ビス〔(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル〕プロパン、エチレングリコールビス〔(3-エチル-3-オキセタニル)メチル〕エーテル、ジシクロペンテニルビス〔(3-エチル-3-オキセタニル)メチル〕エーテル、トリエチレングリコールビス〔(3-エチル-3-オキセタニル)メチル〕エーテル、テトラエチレングリコールビス〔(3-エチル-3-オキセタニル)メチル〕エーテル、トリシクロデカンジイルジメチレンビス〔(3-エチル-3-オキセタニル)メチル〕エーテル、トリメチロールプロパントリス〔(3-エチル-3-オキセタニル)メチル〕エーテル、1,4-ビス〔(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ〕ブタン、1,6-ビス〔(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ〕ヘキサン、ペンタエリスリトールトリス〔(3-エチル-3-オキセタニル)メチル〕エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス〔(3-エチル-3-オキセタニル)メチル〕エーテル、ポリエチレングリコールビス〔(3-エチル-3-オキセタニル)メチル〕エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサキス〔(3-エチル-3-オキセタニル)メチル〕エーテル、ジペンタエリスリトールペンタキス〔(3-エチル-3-オキセタニル)メチル〕エーテル、ジペンタエリスリトールテトラキス〔(3-エチル-3-オキセタニル)メチル〕エーテル等が挙げられる。
ジペンタエリスリトールヘキサキス〔(3-エチル-3-オキセタニル)メチル〕エーテルとカプロラクトンとの反応生成物、ジペンタエリスリトールペンタキス〔(3-エチル-3-オキセタニル)メチル〕エーテルとカプロラクトンとの反応生成物、ジトリメチロールプロパンテトラキス〔(3-エチル-3-オキセタニル)メチル〕エーテル、ビスフェノールAビス〔(3-エチル-3-オキセタニル)メチル〕エーテルとエチレンオキサイドとの反応生成物、ビスフェノールAビス〔(3-エチル-3-オキセタニル)メチル〕エーテルとプロピレンオキサイドとの反応生成物、水添ビスフェノールAビス〔(3-エチル-3-オキセタニル)メチル〕エーテルとエチレンオキサイドとの反応生成物、水添ビスフェノールAビス〔(3-エチル-3-オキセタニル)メチル〕エーテルとプロピレンオキサイドとの反応生成物、ビスフェノールFビス〔(3-エチル-3-オキセタニル)メチル〕エーテルとエチレンオキサイドとの反応生成物等も、オキセタン化合物として使用できる。
〔熱硬化性の高分子化合物〕
基材成分(C)として使用できる熱硬化性の高分子化合物としては、加熱により、分子内での芳香環形成反応、及び/又は分子間での架橋反応を生じさせる樹脂や、焼成により硬化膜を生成させる樹脂が挙げられる。
液状組成物が加熱により、分子内での芳香環形成反応、及び/又は分子間での架橋反応を生じさせる樹脂を含む場合、加熱による、分子内での芳香環形成反応及び/又は分子間での架橋反応を促進させる点から、液状組成物が、特開2016-145308号公報に記載される熱イミダゾール発生剤や、特開2017-025226号公報に記載のイミダゾール化合物を含むの好ましい。
特開2016-145308号公報に記載される熱イミダゾール発生剤については、ケイ素含有樹脂用硬化剤(D4)として後述する。
液状組成物が焼成により硬化膜を生成させる樹脂を含む場合に、液状組成物が含みうる硬化剤については詳細に後述する。
分子内での芳香環形成反応によれば、樹脂を構成する分子鎖の構造が剛直化し、組成物を用いて耐熱性及び機械的特性に優れる硬化膜を得やすい。分子内での芳香環形成反応のうち、好ましい反応としては、例えば、下式(I)~(VI)で示される反応が挙げられる。なお、下式中の反応は芳香環形成反応の一例にすぎず、基材成分(C)として使用される、加熱により分子内での芳香環形成反応を生じさせる樹脂の構造は、下式中に示される前駆体ポリマーの構造に限定されない。
分子間での架橋反応によれば、樹脂を構成する分子鎖が相互に架橋され、三次元架橋構造が形成される。このため、加熱により架橋反応を生じさせる樹脂を基材成分(C)として含む液状組成物を用いると、耐熱性及び機械的特性に優れる硬化膜を得やすい。
加熱により分子間の架橋反応を生じさせる樹脂としては、分子中に、水酸基、カルボン酸無水物基、カルボキシ基、及びエポキシ基から選択される基を有する樹脂が好ましい。このような樹脂を用いる場合、例えば、前述の熱イミダゾール発生剤やイミダゾール化合物の作用によって、以下に記すような架橋が生じる。水酸基を有する樹脂を用いる場合、樹脂に含まれる分子間に水酸基間の脱水縮合による架橋が生じる。カルボン酸無水物基を有する樹脂を用いる場合、酸無水物基の加水分解により生じるカルボキシ基同士が脱水縮合して架橋する。カルボキシ基を有する樹脂を用いる場合、樹脂に含まれる分子間にカルボキシ基間の脱水縮合による架橋が生じる。エポキシ基を有する樹脂を用いる場合、樹脂に含まれる分子間にエポキシ基間の重付加反応による架橋が生じる。
このような加熱により分子内での芳香環形成反応や、分子間での架橋反応を生じさせる化合物の中では、耐熱性に優れる成形体を形成しやすいことから、ポリアミック酸、ポリベンゾオキサゾール前駆体、ポリベンゾチアゾール前駆体、ポリベンゾイミダゾール前駆体、スチレン-マレイン酸共重合体、及びエポキシ基含有樹脂が好ましい。
以下、熱硬化性の高分子化合物の好適な具体例について説明する。
(水酸基含有樹脂)
分子中に水酸基を有する樹脂としては、例えばノボラック樹脂が挙げられる。ノボラック樹脂としては、特に限定されないが、フェノール類1モルに対して、ホルムアルデヒドやパラホルムアルデヒド等の縮合剤を0.5モル以上1.0モル以下の割合で、酸性触媒下で縮合反応させることにより得られる樹脂が好ましい。
フェノール類としては、例えば、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール等のクレゾール類;2,3-キシレノール、2,4-キシレノール、2,5-キシレノール、2,6-キシレノール、3,4-キシレノール、3,5-キシレノール等のキシレノール類;o-エチルフェノール、m-エチルフェノール、p-エチルフェノール等のエチルフェノール類、2-イソプロピルフェノール、3-イソプロピルフェノール、4-イソプロピルフェノール、o-ブチルフェノール、m-ブチルフェノール、p-ブチルフェノール、p-tert-ブチルフェノール等のアルキルフェノール類;2,3,5-トリメチルフェノール、3,4,5-トリメチルフェノール等のトリアルキルフェノール類;レゾルシノール、カテコール、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、フロログリシノール等の多価フェノール類;アルキルレゾルシン、アルキルカテコール、アルキルハイドロキノン等のアルキル多価フェノール類(前記いずれのアルキル基も炭素原子数1以上4以下である)、α-ナフトール、β-ナフトール、ヒドロキシジフェニル、ビスフェノールA等が挙げられる。これらのフェノール類は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
フェノール類の中でも、m-クレゾール及びp-クレゾールが好ましく、m-クレゾールとp-クレゾールとを併用することがより好ましい。両者の配合比率を調整することによって、ホトレジストとしての感度、耐熱性等の諸特性を調節することができる。m-クレゾールとp-クレゾールの配合比率は特に限定されないが、m-クレゾール/p-クレゾール=3/7~8/2(質量比)が好ましい。m-クレゾールの比率が上記下限値未満になると感度が低下する場合があり、上記上限値を超えると耐熱性が低下する場合がある。
ノボラック樹脂の製造に使用される酸性触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、亜リン酸等の無機酸類、蟻酸、シュウ酸、酢酸、ジエチル硫酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸類、酢酸亜鉛等の金属塩類等が挙げられる。これらの酸性触媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン換算によるノボラック樹脂の質量平均分子量は、1,000以上50,000以下が好ましい。
(カルボン酸無水物基含有樹脂)
分子中にカルボン酸無水物基を有する樹脂としては、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、及びイタコン酸無水物から選択される1種以上の単量体を含む、不飽和二重結合を有する単量体の混合物を重合させて得られる共重合体が好ましい。このような重合体としては、スチレン-マレイン酸共重合体が好ましい。
分子中にカルボキシ基を有する樹脂としては、前述の分子中にカルボン酸無水物基を有する樹脂中の酸無水物基を加水分解して得られる樹脂や、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、及びイタコン酸から選択される1種以上の単量体を含む、不飽和二重結合を有する単量体の混合物を重合させて得られる共重合体が好ましい。
(ポリアミック酸)
ポリアミック酸は、ポリイミド樹脂の前駆体となる基材成分である。ポリアミック酸を含む液状組成物からなる塗布膜を適切な温度に加熱すると、ポリアミック酸からポリイミド樹脂が生成する閉環反応が生じ、耐熱性に優れるポリイミド樹脂をマトリックスとして含有する硬化膜が形成される。
ポリアミック酸の分子量は、質量平均分子量として、5,000以上30,000以下であるのが好ましく、10,000以上20,000以下であるのがより好ましい。かかる範囲内の質量平均分子量のポリアミック酸を用いる場合、耐熱性に優れる成形体を形成しやすい。
好適なポリアミック酸としては、例えば、下式(c-I)で表される構成単位からなるポリアミック酸が挙げられる。
(式(c-I)中、R
c30は4価の有機基であり、R
c31は2価の有機基であり、a1は、式(c-I)で表される構成単位の繰り返し数である。)
式(c-I)中、Rc30及びRc31の炭素原子数は2以上50以下が好ましく、2以上30以下がより好ましい。Rc30及びRc31は、それぞれ、脂肪族基であっても、芳香族基であっても、これらの構造を組み合わせた基であってもよい。Rc30及びRc31は、炭素原子、及び水素原子の他に、ハロゲン原子、酸素原子、及び硫黄原子を含んでいてもよい。Rc30及びRc31が酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子を含む場合、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子は、含窒素複素環基、-CONH-、-NH-、-N=N-、-CH=N-、-COO-、-O-、-CO-、-SO-、-SO2-、-S-、及び-S-S-から選択される基として、Rc30及びRc31に含まれてもよく、-O-、-CO-、-SO-、-SO2-、-S-、及び-S-S-から選択される基として、Rc30及びRc31に含まれるのがより好ましい。
ポリアミック酸は、通常、テトラカルボン酸二無水物成分と、ジアミン成分とを反応させることにより調製される。以下、ポリアミック酸の調製に用いられる、テトラカルボン酸二無水物成分、ジアミン成分、及びポリアミック酸の製造方法について説明する。
・テトラカルボン酸二無水物成分
ポリアミック酸の合成原料となるテトラカルボン酸二無水物成分は、ジアミン成分と反応することによりポリアミック酸を形成可能な化合物であれば特に限定されない。テトラカルボン酸二無水物成分は、従来からポリアミック酸の合成原料として使用されているテトラカルボン酸二無水物から適宜選択することができる。テトラカルボン酸二無水物成分は、芳香族テトラカルボン酸二無水物であっても、脂肪族テトラカルボン酸二無水物であってもよく、芳香族テトラカルボン酸二無水物が好ましい。テトラカルボン酸二無水物成分は、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
芳香族テトラカルボン酸二無水物の好適な具体例としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸無水物、及び3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらの中では、価格、入手容易性等から、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、及びピロメリット酸二無水物が好ましい。
・ジアミン成分
ポリアミック酸の合成原料となるジアミン成分は、テトラカルボン酸二無水物成分と反応することによりポリアミック酸を形成可能な化合物であれば特に限定されない。ジアミン成分は、従来からポリアミック酸の合成原料として使用されているジアミンから適宜選択することができる。ジアミン成分は、芳香族ジアミンであっても、脂肪族ジアミンであってもよいが、芳香族ジアミンが好ましい。ジアミン成分は、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
芳香族ジアミンの好適な具体例としては、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、2,4-ジアミノトルエン、4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノ-2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、3,3’-ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’-ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)-9H-フルオレン、9,9-ビス(4-アミノ-3-メチルフェニル)-9H-フルオレン、4,4’-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエタン-1,1-ジイル)]ジアニリン等が挙げられる。これらの中では、価格、入手容易性等から、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、2,4-ジアミノトルエン、及び4,4’-ジアミノジフェニルエーテルが好ましい。
・ポリアミック酸の製造方法
以上説明した、テトラカルボン酸二無水物成分と、ジアミン成分とを、両者を溶解させることができる溶媒中で反応させることにより、ポリアミック酸が得られる。ポリアミック酸を合成する際の、テトラカルボン酸二無水物成分及びジアミン成分の使用量は特に限定されない。テトラカルボン酸二無水物成分1モルに対して、ジアミン成分を0.50モル以上1.50モル以下用いるのが好ましく、0.60モル以上1.30モル以下用いるのがより好ましく、0.70モル以上1.20モル以下用いるのが特に好ましい。
ポリアミック酸の合成に用いることができる溶媒としては、例えば、N,N,N’,N’-テトラメチルウレア、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、及びγ-ブチロラクトン等の非プロトン性極性有機溶媒や、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、及びプロピレングリコールモノアルキルエーテルプロピオネート等のグリコールエーテル類が挙げられる。これらの溶媒は、2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中では、N,N,N’,N’-テトラメチルウレアを用いるのが好ましい。
ポリアミック酸を合成する際の溶媒の使用量は、所望の分子量のポリアミック酸を合成できれば特に限定されない。典型的には、溶媒の使用量は、テトラカルボン酸二無水物成分の量とジアミン成分の量との合計100質量部に対して、100質量部以上4000質量部以下が好ましく、150質量部以上2000質量部以下がより好ましい。
テトラカルボン酸二無水物成分と、ジアミン成分とを反応させる際の温度は、反応が良好に進行する限り特に限定されない。典型的には、テトラカルボン酸二無水物成分と、ジアミン成分との反応温度は、-5℃以上150℃以下が好ましく、0℃以上120℃以下がより好ましく、0℃以上70℃以下が特に好ましい。また、テトラカルボン酸二無水物成分と、ジアミン成分とを反応させる時間は、反応温度によっても異なるが、典型的には、1時間以上50時間以下が好ましく、2時間以上40時間以下がより好ましく、5時間以上30時間以下が特に好ましい。
以上の方法によれば、ポリアミック酸の溶液又はペーストが得られる。かかる溶液又はペーストをそのまま液状組成物の調製に用いてもよい。また、ポリアミック酸の溶液又はペーストから溶媒除去して得られる固体状のポリアミック酸を液状組成物の調製に用いてもよい。
(ポリベンゾオキサゾール前駆体)
ポリベンゾオキサゾール前駆体は、典型的には、芳香族ジアミンジオールと、特定の構造のジカルボニル化合物とを反応させて製造される。以下、芳香族ジアミンジオールと、ジカルボニル化合物と、ポリベンゾオキサゾール前駆体の合成に用いられる溶剤と、ポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法とについて説明する。
・芳香族ジアミンジオール
芳香族ジアミンジオールとしては、従来よりポリベンゾオキサゾールの合成に使用されている芳香族ジアミンジオールを特に制限なく使用することができる。芳香族ジアミンジオールとしては、下式(C-II)で表される化合物を用いるのが好ましい。芳香族ジアミンジオールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(式(c-II)中、R
c32は1以上の芳香環を含む4価の有機基である。式(c-II)で表される芳香族ジアミンジオールに含まれる2組のアミノ基と水酸基との組み合わせに関して、それぞれの組み合わせでは、アミノ基と水酸基とは、R
c32に含まれる芳香環上の隣接する2つの炭素原子に結合している。)
式(c-II)中、Rc32は、1以上の芳香環を含む4価の有機基である。4価の有機基の炭素原子数は6以上50以下が好ましく、6以上30以下がより好ましい。Rc32は、芳香族基であってもよく、2以上の芳香族基が、脂肪族炭化水素基及びハロゲン化脂肪族炭化水素基や、酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子等のヘテロ原子を含む結合を介して結合された基であってもよい。Rc32に含まれる、酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子等のヘテロ原子を含む結合としては、-CONH-、-NH-、-N=N-、-CH=N-、-COO-、-O-、-CO-、-SO-、-SO2-、-S-、及び-S-S-等が挙げられ、-O-、-CO-、-SO-、-SO2-、-S-、及び-S-S-が好ましい。
Rc32に含まれる芳香環は、芳香族複素環であってもよい。Rc32中のアミノ基及び水酸基と結合する芳香環はベンゼン環であるのが好ましい。Rc32中のアミノ基及び水酸基と結合する環が2以上の環を含む縮合環である場合、当該縮合環中のアミノ基及び水酸基と結合する環はベンゼン環であるのが好ましい。
R
c32の好適な例としては、下記式(c-II-1)~(c-II-9)で表される基が挙げられる。
(式(c-II-1)中、X
1は、炭素原子数1以上10以下のアルキレン基、炭素原子数1以上10以下のフッ素化アルキレン基、-O-、-S-、-SO-、-SO
2-、-CO-、-COO-、-CONH-、及び単結合からなる群より選択される1種である。式(c-II-2)~(c-II-5)中、Y
1は、それぞれ、同一でも異なっていてもよく、-CH
2-、-O-、-S-、-SO-、-SO
2-、-CO-、及び単結合からなる群より選択される1種である。)
上記式(c-II-1)~(c-II-9)で表される基は、芳香環上に1又は複数の置換基を有していてもよい。置換基の好適な例としては、フッ素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数1以上6以下のフッ素化アルキル基、炭素原子数1以上6以下のフッ素化アルコキシ基が好ましい。置換基がフッ素化アルキル基又はフッ素化アルコキシ基である場合、パーフルオロアルキル基又はパーフルオロアルコキシ基であるのが好ましい。
上記式(c-II)で表される化合物の具体例としては、2,4-ジアミノ-1,5-ベンゼンジオール、2,5-ジアミノ-1,4-ベンゼンジオール、2,5-ジアミノ-3-フルオロ-1,4-ベンゼンジオール、2,5-ジアミノ-3,6-ジフルオロ-1,4-ベンゼンジオール、2,6-ジアミノ-1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,5-ジアミノ-2,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジアミノ-3,7-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジアミノ-2,5-ジヒドロキシナフタレン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジヒドロキシビフェニル、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジヒドロキシビフェニル、2,3’-ジアミノ-3,2’-ジヒドロキシビフェニル、3,4’-ジアミノ-4,3’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジヒドロキシ-6,6’-ジトリフルオロメチルビフェニル、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジヒドロキシ-6,6’-ジトリフルオロメチルビフェニル、2,3’-ジアミノ-3,2’-ジヒドロキシ-6,6’-ジトリフルオロメチルビフェニル、3,4’-ジアミノ-4,3’-ジヒドロキシ-6,6’-ジトリフルオロメチルビフェニル、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジヒドロキシ-5,5’-ジトリフルオロメチルビフェニル、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジヒドロキシ-5,5’-ジトリフルオロメチルビフェニル、2,3’-ジアミノ-3,2’-ジヒドロキシ-5,5’-ジトリフルオロメチルビフェニル、3,4’-ジアミノ-4,3’-ジヒドロキシ-5,5’-ジトリフルオロメチルビフェニル、ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)メタン、3,4’-ジアミノ-4,3’-ジヒドロキシジフェニルメタン、ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシ-6-トリフルオロメチル)メタン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシ-6-トリフルオロメチル)メタン、3,4’-ジアミノ-4,3’-ジヒドロキシ-6,6’-ジトリフルオロメチルジフェニルメタン、ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)ジフルオロメタン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ジフルオロメタン、3,4’-ジアミノ-4,3’-ジヒドロキシジフェニルジフルオロメタン、ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシ-6-トリフルオロメチルフェニル)ジフルオロメタン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシ-6-トリフルオロメチルフェニル)ジフルオロメタン、3,4’-ジアミノ-4,3’-ジヒドロキシ-6,6’-ジトリフルオロメチルジフェニルジフルオロメタン、ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)エーテル、3,4’-ジアミノ-4,3’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシ-6-トリフルオロメチルフェニル)エーテル、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシ-6-トリフルオロメチルフェニル)エーテル、3,4’-ジアミノ-4,3’-ジヒドロキシ-6,6’-ジトリフルオロメチルジフェニルエーテル、ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ケトン、3,4’-ジアミノ-4,3’-ジヒドロキシジフェニルケトン、ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシ-6-トリフルオロメチル)ケトン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシ-6-トリフルオロメチル)ケトン、3,4’-ジアミノ-4,3’-ジヒドロキシ-6,6’-ジトリフルオロメチルジフェニルケトン、2,2-ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2-(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)-2-(4’-アミノ-3’-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシ-6-トリフルオロメチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシ-6-トリフルオロメチルフェニル)プロパン、2-(3-アミノ-4-ヒドロキシ-6-トリフルオロメチルフェニル)-2-(4’-アミノ-3’-ヒドロキシ-6’-トリフルオロメチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシ-5-トリフルオロメチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2-(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)-2-(4’-アミノ-3’-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシ-6-トリフルオロメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシ-6-トリフルオロメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2-(3-アミノ-4-ヒドロキシ-6-トリフルオロメチルフェニル)-2-(4’-アミノ-3’-ヒドロキシ-6’-トリフルオロメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシ-5-トリフルオロメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、3,4’-ジアミノ-4,3’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシ-6-トリフルオロメチル)スルホン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシ-6-トリフルオロメチル)スルホン、3,4’-ジアミノ-4,3’-ジヒドロキシ-6,6’-ジトリフルオロメチルジフェニルスルホン、ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、3,4’-ジアミノ-4,3’-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシ-6-トリフルオロメチル)スルフィド、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシ-6-トリフルオロメチル)スルフィド、3,4’-ジアミノ-4,3’-ジヒドロキシ-6,6’-ジトリフルオロメチルジフェニルスルフィド、(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)4-アミノ-3-ヒドロキシフェニルベンゾエート、(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)3-アミノ4-ヒドロキシフェニルベンゾエート、(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)4-アミノ-3-ヒドロキシフェニルベンゾエート、(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)3-アミノ-4-ヒドロキシフェニルベンゾエート、N-(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)4-アミノ-3-ヒドロキシベンズアミド、N-(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)3-アミノ4-ヒドロキシフェニルベンズアミド、N-(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)4-アミノ-3-ヒドロキシフェニルベンズアミド、N-(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)3-アミノ-4-ヒドロキシフェニルベンズアミド、2,4’-ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェノキシ)ビフェニル、2,4’-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェノキシ)ビフェニル、ジ[4-(4-アミノ-3-ヒドロキシフェノキシ)フェニル]エーテル、ジ[4-(3-アミノ-4-ヒドロキシフェノキシ)フェニル]エーテル、2,4’-ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェノキシ)ベンゾフェノン、2,4’-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェノキシ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェノキシ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェノキシ)ベンゾフェノン、2,4’-ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、2,4’-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、4,4’-ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、4,4’-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、2,4’-ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェノキシ)オクタフルオロベンゾフェノン、2,4’-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェノキシ)オクタフルオロベンゾフェノン、4,4’-ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェノキシ)オクタフルオロベンゾフェノン、4,4’-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェノキシ)オクタフルオロベンゾフェノン、2,2-ビス[4-(4-アミノ-3-ヒドロキシフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(3-アミノ-4-ヒドロキシフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノ-3-ヒドロキシフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス[4-(3-アミノ-4-ヒドロキシフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,8-ジアミノ-3,7-ジヒドロキシジベンゾフラン、2,8-ジアミノ-3,7-ジヒドロキシフルオレン、2,6-ジアミノ-3,7-ジヒドロキシキサンテン、9,9-ビス-(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)フルオレン、及び9,9-ビス-(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)フルオレンが挙げられる。
これらの中では、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジヒドロキシビフェニル、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンが好ましい。
・ジカルボニル化合物
ポリベンゾオキサゾール前駆体の合成原料としては、以上説明した芳香族ジアミンジオールとともに、下式(c-III)で表されるジカルボニル化合物を用いる。前述の芳香族ジアミンジオールと、下式(c-III)で表されるジカルボニル化合物とを縮合させることにより、ポリベンゾオキサゾール前駆体が得られる。
(式(c-III)中、R
c33は2価の有機基である。Aは水素原子又はハロゲン原子を表す。)
式(c-III)中のRc33は、芳香族基であってもよく、脂肪族基であってもよく、芳香族基と脂肪族基とを組み合わせた基であってもよい。得られるポリベンゾオキサゾール樹脂の耐熱性、機械的特性、耐薬品性等が良好である点から、Rc33は、芳香族基及び/又は脂環式基を含む基であるのが好ましい。Rc33に含まれる芳香族基は、芳香族炭化水素基であってもよく、芳香族複素環基であってもよい。
Rc33は、炭素原子、及び水素原子の他に、ハロゲン原子、酸素原子、及び硫黄原子を含んでいてもよい。Rc33が酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子を含む場合、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子は、含窒素複素環基、-CONH-、-NH-、-N=N-、-CH=N-、-COO-、-O-、-CO-、-SO-、-SO2-、-S-、及び-S-S-から選択される基として、Rc33に含まれてもよく、-O-、-CO-、-SO-、-SO2-、-S-、及び-S-S-から選択される基として、Rc33に含まれるのがより好ましい。
式(c-III)中、2つのAの一方が水素原子であり、他方がハロゲン原子であってもよい。2つのAがともに水素原子であるか、2つのAがともにハロゲン原子であるのが好ましい。Aがハロゲン原子である場合、Aとして塩素、臭素、及びヨウ素が好ましく、塩素がより好ましい。
式(c-III)で表されるジカルボニル化合物として、2つのAがともに水素原子であるジアルデヒド化合物を用いる場合、下式(c-II-a)で表されるポリベンゾオキサゾール前駆体が製造される。
(式(c-II-a)中、R
c32及びR
c33は、式(c-II)及び式(c-III)と同様である。a1は式(c-II-a)で表される単位の繰り返し数である。)
式(c-III)で表されるジカルボニル化合物として、2つのAがともにハロゲン原子であるジカルボン酸ジハライドを用いる場合、下式(c-II-b)で表されるポリベンゾオキサゾール前駆体が製造される。
(式(c-II-b)中、R
c32及びR
c33は、式(c-II)及び式(c-III)と同様である。a1は式(c-II-b)で表される単位の繰り返し数である。)
以下、ジカルボニル化合物として好適な化合物である、ジアルデヒド化合物と、ジカルボン酸ジハライドとについて説明する。
・ジアルデヒド化合物
ポリベンゾオキサゾール前駆体の原料として用いるジアルデヒド化合物は、下式(c-III-1)で表される化合物である。ジアルデヒド化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(式(c-III-1)中、R
c33は、式(c-III)と同様である。)
式(c-III-1)中のR
c33として好適な芳香族基又は芳香環含有基としては、以下の基が挙げられる。
(上記式中、X
2は、炭素原子数1以上10以下のアルキレン基、炭素原子数1以上10以下のフッ素化アルキレン基、-O-、-S-、-SO-、-SO
2-、-CO-、-COO-、-CONH-、及び単結合からなる群より選択される1種である。X
2が複数である場合、複数のX
2は同一でも異なっていてもよい。Y
2は、それぞれ、同一でも異なっていてもよく、-CH
2-、-O-、-S-、-SO-、-SO
2-、-CO-、及び単結合からなる群より選択される1種である。p及びqは、それぞれ0以上3以下の整数である。)
式(c-III-1)中のR
c33として好適な脂環式基又は脂環含有基としては、以下の基が挙げられる。
(上記式中、X
2は、炭素原子数1以上10以下のアルキレン基、炭素原子数1以上10以下のフッ素化アルキレン基、-O-、-S-、-SO-、-SO
2-、-CO-、-COO-、-CONH-、及び単結合からなる群より選択される1種である。X
2が複数である場合、複数のX
2は同一でも異なっていてもよい。Y
2は、それぞれ、同一でも異なっていてもよく、-CH
2-、-O-、-S-、-SO-、-SO
2-、-CO-、及び単結合からなる群より選択される1種である。Zは、-CH
2-、-CH
2CH
2-、及び-CH=CH-からなる群より選択される1種である。p1は、それぞれ0以上3以下の整数である。)
上記のRc33として好適な基に含まれる芳香環又は脂環は、その環上に1又は複数の置換基を有していてもよい。置換基の好適な例としては、フッ素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数1以上6以下のフッ素化アルキル基、炭素原子数1以上6以下のフッ素化アルコキシ基が好ましい。置換基がフッ素化アルキル基又はフッ素化アルコキシ基である場合、パーフルオロアルキル基又はパーフルオロアルコキシ基であるのが好ましい。
式(c-III-1)で表されるジアルデヒド化合物が芳香族ジアルデヒドである場合、その好適な例としては、ベンゼンジアルデヒド類、ピリジンジアルデヒド類、ピラジンジアルデヒド類、ピリミジンジアルデヒド類、ナフタレンジアルデヒド類、ビフェニルジアルデヒド類、ジフェニルエーテルジアルデヒド類、ジフェニルスルホンジアルデヒド類、ジフェニルスルフィドジアルデヒド類、ビス(ホルミルフェノキシ)ベンゼン類、[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスベンズアルデヒド類、2,2-ビス[4-(ホルミルフェノキシ)フェニル]プロパン類、ビス[4-(ホルミルフェノキシ)フェニル]スルフィド類、ビス[4-(ホルミルフェノキシ)フェニル]スルホン類、及び含フルオレンジアルデヒドが挙げられる。
ベンゼンジアルデヒド類の具体例としては、フタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、3-フルオロフタルアルデヒド、4-フルオロフタルアルデヒド、2-フルオロイソフタルアルデヒド、4-フルオロイソフタルアルデヒド、5-フルオロイソフタルアルデヒド、2-フルオロテレフタルアルデヒド、3-トリフルオロメチルフタルアルデヒド、4-トリフルオロメチルフタルアルデヒド、2-トリフルオロメチルイソフタルアルデヒド、4-トリフルオロメチルイソフタルアルデヒド、5-トリフルオロメチルイソフタルアルデヒド、2-トリフルオロメチルテレフタルアルデヒド、3,4,5,6-テトラフルオロフタルアルデヒド、2,4,5,6-テトラフルオロイソフタルアルデヒド、及び2,3,5,6-テトラフルオロテレフタルアルデヒド等が挙げられる。
ピリジンジアルデヒド類の具体例としては、ピリジン-2,3-ジアルデヒド、ピリジン-3,4-ジアルデヒド、及びピリジン-3,5-ジアルデヒド等が挙げられる。
ピラジンジアルデヒド類の具体例としては、ピラジン-2,3-ジアルデヒド、ピラジン-2,5-ジアルデヒド、及びピラジン-2,6-ジアルデヒド等が挙げられる。
ピリミジンジアルデヒド類の具体例としては、ピリミジン-2,4-ジアルデヒド、ピリミジン-4,5-ジアルデヒド、及びピリミジン-4,6-ジアルデヒド等が挙げられる。
ナフタレンジアルデヒド類の具体例としては、ナフタレン-1,5-ジアルデヒド、ナフタレン-1,6-ジアルデヒド、ナフタレン-2,6-ジアルデヒド、ナフタレン-3,7-ジアルデヒド、2,3,4,6,7,8-ヘキサフルオロナフタレン-1,5-ジアルデヒド、2,3,4,5,6,8-ヘキサフルオロナフタレン-1,6-ジアルデヒド、1,3,4,5,7,8-ヘキサフルオロナフタレン-2,6-ジアルデヒド、1-トリフルオロメチルナフタレン-2,6-ジアルデヒド、1,5-ビス(トリフルオロメチル)ナフタレン-2,6-ジアルデヒド、1-トリフルオロメチルナフタレン-3,7-ジアルデヒド、1,5-ビス(トリフルオロメチル)ナフタレン-3,7-ジアルデヒド、1-トリフルオロメチル-2,4,5,6,8-ペンタフルオロナフタレン-3,7-ジアルデヒド、1-ビス(トリフルオロメチル)メトキシ-2,4,5,6,8-ペンタフルオロナフタレン-3,7-ジアルデヒド、1,5-ビス(トリフルオロメチル)-2,4,6,8-テトラフルオロナフタレン-3,7-ジアルデヒド、及び1,5-ビス[ビス(トリフルオロメチル)メトキシ]-2,4,6,8-テトラフルオロナフタレン-3,7-ジアルデヒド等が挙げられる。
ビフェニルジアルデヒド類の具体例としては、ビフェニル-2,2’-ジアルデヒド、ビフェニル-2,4’-ジアルデヒド、ビフェニル-3,3’-ジアルデヒド、ビフェニル-4,4’-ジアルデヒド、6,6’-ジフルオロビフェニル-3,4’-ジアルデヒド、6,6’-ジフルオロビフェニル-2,4’-ジアルデヒド、6,6’-ジフルオロビフェニル-3,3’-ジアルデヒド、6,6’-ジフルオロビフェニル-3,4’-ジアルデヒド、6,6’-ジフルオロビフェニル-4,4’-ジアルデヒド、6,6’-ジトリフルオロメチルビフェニル-2,2’-ジアルデヒド、6,6’-ジトリフルオロメチルビフェニル-2,4’-ジアルデヒド、6,6’-ジトリフルオロメチルビフェニル-3,3’-ジアルデヒド、6,6’-ジトリフルオロメチルビフェニル-3,4’-ジアルデヒド、及び6,6’-ジトリフルオロメチルビフェニル-4,4’-ジアルデヒド等が挙げられる。
ジフェニルエーテルジアルデヒド類の具体例としては、ジフェニルエーテル-2,4’-ジアルデヒド、ジフェニルエーテル-3,3’-ジアルデヒド、ジフェニルエーテル-3,4’-ジアルデヒド、及びジフェニルエーテル-4,4’-ジアルデヒド等が挙げられる。
ジフェニルスルホンジアルデヒド類の具体例としては、ジフェニルスルホン-3,3’-ジアルデヒド、ジフェニルスルホン-3,4’-ジアルデヒド、及びジフェニルスルホン-4,4’-ジアルデヒド等が挙げられる。
ジフェニルスルフィドジアルデヒド類の具体例としては、ジフェニルスルフィド-3,3’-ジアルデヒド、ジフェニルスルフィド-3,4’-ジアルデヒド、及びジフェニルスルフィド-4,4’-ジアルデヒド等が挙げられる。
ジフェニルケトンジアルデヒド類の具体例としては、ジフェニルケトン-3,3’-ジアルデヒド、ジフェニルケトン-3,4’-ジアルデヒド、及びジフェニルケトン-4,4’-ジアルデヒド等が挙げられる。
ビス(ホルミルフェノキシ)ベンゼン類の具体例としては、ベンゼン1,3-ビス(3-ホルミルフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(3-ホルミルフェノキシ)ベンゼン、及び1,4-ビス(4-ホルミルフェノキシ)ベンゼン等が挙げられる。
[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスベンズアルデヒド類の具体例としては、3,3’-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスベンズアルデヒド、3,4’-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスベンズアルデヒド、及び4,4’-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスベンズアルデヒド等が挙げられる。
2,2-ビス[4-(ホルミルフェノキシ)フェニル]プロパン類の具体例としては、2,2-ビス[4-(2-ホルミルフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(3-ホルミルフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-ホルミルフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(3-ホルミルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、及び2,2-ビス[4-(4-ホルミルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。
ビス[4-(ホルミルフェノキシ)フェニル]スルフィド類の具体例としては、ビス[4-(3-ホルミルフェノキシ)フェニル]スルフィド、及びビス[4-(4-ホルミルフェノキシ)フェニル]スルフィド等が挙げられる。
ビス[4-(ホルミルフェノキシ)フェニル]スルホン類の具体例としては、ビス[4-(3-ホルミルフェノキシ)フェニル]スルホン、及びビス[4-(4-ホルミルフェノキシ)フェニル]スルホン等が挙げられる。
含フルオレンジアルデヒドの具体例としては、フルオレン-2,6-ジアルデヒド、フルオレン-2,7-ジアルデヒド、ジベンゾフラン-3,7-ジアルデヒド、9,9-ビス(4-ホルミルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(3-ホルミルフェニル)フルオレン、及び9-(3-ホルミルフェニル)-9-(4’-ホルミルフェニル)フルオレン等が挙げられる。
また、下式で表される、ジフェニルアルカンジアルデヒド又はジフェニルフルオロアルカンジアルデヒドも、芳香族ジアルデヒド化合物として好適に使用できる。
さらに、下記式で表されるイミド結合を有する化合物も、芳香族ジアルデヒド化合物として好適に使用することができる。
式(c-III-1)で表されるジカルボニル化合物が脂環式基を含む脂環式ジアルデヒドである場合、その好適な例としては、シクロヘキサン-1,4-ジアルデヒド、シクロヘキサン-1,3-ジアルデヒド、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,5-ジアルデヒド、ビシクロ[2.2.2]オクタン-2,5-ジアルデヒド、ビシクロ[2.2.2]オクタ-7-エン-2,5-ジアルデヒド、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジアルデヒド、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2,3-ジアルデヒド、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-3,4-ジアルデヒド、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ-4-エン-8,9-ジアルデヒド、ペルヒドロナフタレン-2,3-ジアルデヒド、ペルヒドロナフタレン-1,4-ジアルデヒド、ペルヒドロナフタレン-1,6-ジアルデヒド、ペルヒドロ-1,4-メタノナフタレン-2,3-ジアルデヒド、ペルヒドロ-1,4-メタノナフタレン-2,7-ジアルデヒド、ペルヒドロ-1,4-メタノナフタレン-7,8-ジアルデヒド、ペルヒドロ-1,4:5,8-ジメタノナフタレン-2,3-ジアルデヒド、ペルヒドロ-1,4:5,8-ジメタノナフタレン-2,7-ジアルデヒド、ペルヒドロ-1,4:5,8:9,10-トリメタノアントラセン-2,3-ジアルデヒド、ビシクロヘキシル-4,4’-ジアルデヒド、ジシクロヘキシルエーテル-3,4’-ジアルデヒド、ジシクロヘキシルメタン-3,3’-ジアルデヒド、ジシクロヘキシルメタン-3,4’-ジアルデヒド、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジアルデヒド、ジシクロヘキシルジフルオロメタン-3,3’-ジアルデヒド、ジシクロヘキシルジフルオロメタン-3,4’-ジアルデヒド、ジシクロヘキシルジフルオロメタン-4,4’-ジアルデヒド、ジシクロヘキシルスルホン-3,3’-ジアルデヒド、ジシクロヘキシルスルホン-3,4’-ジアルデヒド、ジシクロヘキシルスルホン-4,4’-ジアルデヒド、ジシクロヘキシルスルフィド-3,3’-ジアルデヒド、ジシクロヘキシルスルフィド-3,4’-ジアルデヒド、ジシクロヘキシルスルフィド-4,4’-ジアルデヒド、ジシクロヘキシルケトン-3,3’-ジアルデヒド、ジシクロヘキシルケトン-3,4’-ジアルデヒド、ジシクロヘキシルケトン-4,4’-ジアルデヒド、2,2-ビス(3-ホルミルシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス(4-ホルミルシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス(3-ホルミルシクロヘキシル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-ホルミルシクロヘキシル)ヘキサフルオロプロパン、1,3-ビス(3-ホルミルシクロヘキシル)ベンゼン、1,4-ビス(3-ホルミルシクロヘキシル)ベンゼン、1,4-ビス(4-ホルミルシクロヘキシル)ベンゼン、3,3’-[1,4-シクロヘキシレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスシクロヘキサンカルバルデヒド、3,4’-[1,4-シクロヘキシレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスシクロヘキサンカルバルデヒド、4,4’-[1,4-シクロヘキシレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスシクロヘキサンカルバルデヒド、2,2-ビス[4-(3-ホルミルシクロヘキシル)シクロヘキシル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-ホルミルシクロヘキシル)シクロヘキシル]プロパン、2,2-ビス[4-(3-ホルミルシクロヘキシル)シクロヘキシル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス[4-(4-ホルミルフェノキシ)シクロヘキシル]ヘキサフルオロプロパン、ビス[4-(3-ホルミルシクロヘキシルオキシ)シクロヘキシル]スルフィド、ビス[4-(4-ホルミルシクロヘキシルオキシ)シクロヘキシル]スルフィド、ビス[4-(3-ホルミルシクロヘキシルオキシ)シクロヘキシル]スルホン、ビス[4-(4-ホルミルシクロヘキシルオキシ)シクロヘキシル]スルホン、2,2’-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5,6’-ジアルデヒド、2,2’-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-6,6’-ジアルデヒド、及び1,3-ジホルミルアダマンタン等が挙げられる。
以上説明したジアルデヒド化合物の中では、合成や入手が容易であることや、耐熱性及び機械的性質に優れるポリベンゾオキサゾール樹脂を与えるポリベンゾオキサゾール前駆体を得やすいことから、イソフタルアルデヒドが好ましい。
・ジカルボン酸ジハライド
ポリベンゾオキサゾール前駆体の原料として用いるジカルボン酸ジハライドは、下式(c-III-2)で表される化合物である。ジカルボン酸ジハライドは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(式(c-III-2)中、R
c33は、式(c-III)と同様である。Halはハロゲン原子である。)
式(c-III-2)中、Halとしては、塩素、臭素、及びヨウ素が好ましく、塩素がより好ましい。
式(c-III-2)で表される化合物として好適な化合物としては、ジアルデヒド化合物の好適な例として前述した化合物が有する2つのアルデヒド基を、ハロカルボニル基、好ましくはクロロカルボニル基に置換した化合物が挙げられる。
以上説明したジカルボン酸ジハライドの中では、合成や入手が容易であることや、耐熱性及び機械的性質に優れるポリベンゾオキサゾール樹脂を与えるポリベンゾオキサゾール前駆体を得やすいことから、テレフタル酸二クロライドが好ましい。
・ポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法
ポリベンゾオキサゾール前駆体は、前述の芳香族ジアミンジオールと、ジカルボニル化合物とを、溶剤中で、周知の方法に従って反応させることによって製造される。以下ポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法の代表的な例として、ジカルボニル化合物がジアルデヒド化合物である場合の製造方法と、ジカルボニル化合物がジカルボン酸ハライドである場合の製造方法とについて説明する。
芳香族ジアミンジオールとジアルデヒド化合物との反応はシッフ塩基の形成反応であり、周知の方法に従って行うことができる。反応温度は特に限定されないが、通常、20℃以上200℃以下が好ましく、20℃以上160℃以下がより好ましく、100℃以上160℃以下が特に好ましい。
芳香族ジアミンジオールとジアルデヒド化合物との反応は、溶剤にエントレーナーを添加し、還流脱水しながら行われてもよい。エントレーナーとしては、特に限定されず、水と共沸混合物を形成し、室温にて水と二相系を形成する有機溶剤から適宜選択される。エントレーナーの好適な例としては、酢酸イソブチル、酢酸アリル、プロピオン酸-n-プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸-n-ブチル、及びプロピオン酸イソブチル等のエステル;ジクロロメチルエーテル、及びエチルイソアミルエーテル等のエーテル類;エチルプロピルケトン等のケトン類;トルエン等の芳香族炭化水素が挙げられる。
芳香族ジアミンジオールとジアルデヒド化合物との反応時間は特に限定されないが、典型的には2時間以上72時間以下程度が好ましい。
ポリベンゾオキサゾール前駆体を製造する際の、ジアルデヒド化合物の使用量は、芳香族ジアミンジオール1モルに対して、0.5モル以上1.5モル以下が好ましく、0.7モル以上1.3モル以下がより好ましい。
溶剤の使用量は、芳香族ジアミンジオールとジアルデヒド化合物との反応が良好に進行する限り特に限定されない。典型的には、芳香族ジアミンジオールの質量と、ジアルデヒド化合物の質量との合計に対して、1倍以上40倍以下、好ましくは1.5倍以上20倍以下の質量の溶剤が使用される。
芳香族ジアミンジオールとジアルデヒド化合物との反応は、生成するポリベンゾオキサゾール前駆体の数平均分子量が、1,000以上20,000以下、好ましくは1,200以上5,000以下となるまで行われるのが好ましい。
芳香族ジアミンジオールとジカルボン酸ジハライドとを反応させる反応温度は特に限定されないが、通常、-20℃以上150℃以下が好ましく、-10℃以上150℃以下がより好ましく、-5℃以上70℃以下が特に好ましい。芳香族ジアミンジオールとジカルボン酸ジハライドとの反応ではハロゲン化水素が副生する。かかるハロゲン化水素を中和するために、トリエチルアミン、ピリジン、及びN,N-ジメチル-4-アミノピリジン等の有機塩基や、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物を、反応液中に少量加えてもよい。
芳香族ジアミンジオールとジカルボン酸ジハライドとの反応時間は特に限定されないが、典型的には2時間以上72時間以下程度が好ましい。
ポリベンゾオキサゾール前駆体を製造する際の、ジカルボン酸ジハライドの使用量は、芳香族ジアミンジオール1モルに対して、0.5モル以上1.5モル以下が好ましく、0.7モル以上1.3モル以下がより好ましい。
溶剤の使用量は、芳香族ジアミンジオールとジカルボン酸ジハライドとの反応が良好に進行する限り特に限定されない。典型的には、芳香族ジアミンジオールの質量と、ジカルボン酸ジハライドの質量との合計に対して、1倍以上40倍以下、好ましくは1.5倍以上20倍以下の質量の溶剤が使用される。
芳香族ジアミンジオールとジカルボン酸ジハライドとの反応は、生成するポリベンゾオキサゾール前駆体の数平均分子量が、1,000以上20,000以下、好ましくは1,200以上5,000以下となるまで行われるのが好ましい。
以上説明した方法により、ポリベンゾオキサゾール前駆体の溶液が得られる。液状組成物にポリベンゾオキサゾール前駆体を配合する際には、ポリベンゾオキサゾール前駆体の溶液をそのまま用いてもよい。また、減圧下に、ポリベンゾオキサゾール前駆体のポリベンゾオキサゾール樹脂への変換が生じない程度の低温で、ポリベンゾオキサゾール前駆体の溶液から溶剤の少なくとも一部を除去して得られる、ポリベンゾオキサゾール前駆体のペースト又は固体を、液状組成物の調製に用いることもできる。
(ポリベンゾチアゾール前駆体)
ポリベンゾチアゾール前駆体は、典型的には、芳香族ジアミンジチオールと、特定の構造のジカルボニル化合物とを反応させて製造される。芳香族ジアミンジチオールとしては、ポリベンゾオキサゾール前駆体の合成に使用される芳香族ジアミンジオールの水酸基がメルカプト基に置換された化合物を用いることができる。ジカルボニル化合物としては、ポリベンゾオキサゾール前駆体の合成に使用されるジカルボニル化合物と同様のジカルボニル化合物を使用することができる。
芳香族ジアミンジチオールとジカルボニル化合物とを反応させてポリベンゾチアゾール前駆体を合成する際の、反応方法、反応条件等は、芳香族ジアミンジオールとジカルボニル化合物とを反応させてポリベンゾオキサゾール前駆体を合成する場合と同様である。
(ポリベンゾイミダゾール前駆体)
ポリベンゾイミダゾール前駆体は、典型的には、芳香族テトラアミンと、ジカルボン酸ジハライドとを反応させて製造される。芳香族テトラアミンとしては、ポリベンゾオキサゾール前駆体の合成に使用される芳香族ジアミンジオールの水酸基がアミノ基に置換された化合物を用いることができる。ジカルボン酸ジハライドとしては、ポリベンゾオキサゾール前駆体の合成に使用されるジカルボン酸ジハライドと同様のジカルボン酸ジハライドを使用することができる。
芳香族テトラアミンとジカルボン酸ジハライドとを反応させてポリベンゾイミダゾール前駆体を合成する際の、反応方法、反応条件等は、芳香族ジアミンジオールとジカルボン酸ジハライドとを反応させてポリベンゾオキサゾール前駆体を合成する場合と同様である。
(スチレン-マレイン酸共重合体)
スチレン-マレイン酸共重合体の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。スチレン-マレイン酸共重合体における、スチレン/マレイン酸の共重合比率(質量比)は、1/9~9/1が好ましく、2/8~8/1がより好ましく、1/1~8/1が特に好ましい。スチレン-マレイン酸共重合体の分子量は特に限定されないが、ポリスチレン換算の質量平均分子量として、1,000以上10,0000以下が好ましく、5,000以上12,000以下がより好ましい。
(エポキシ基含有樹脂)
エポキシ基含有樹脂は、エポキシ基を有する単量体又はエポキシ基を有する単量体を含む単量体混合物を重合させて得られる重合体であってもよい。エポキシ基含有樹脂は、水酸基、カルボキシ基、アミノ基等の反応性を有する官能基を有する重合体に対して、例えばエピクロルヒドリンのようなエポキシ基を有する化合物を用いてエポキシ基を導入した重合体であってもよい。入手、調製、重合体中のエポキシ基の量の調整等が容易であることから、エポキシ基を有する重合体としては、エポキシ基を有する単量体又はエポキシ基を有する単量体を含む単量体混合物を重合させて得られる重合体が好ましい。
エポキシ基含有樹脂の好ましい一例としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、及びビスフェノールADノボラック型エポキシ樹脂等のノボラックエポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂のエポキシ化物等の環式脂肪族エポキシ樹脂;ナフタレン型フェノール樹脂のエポキシ化物等の芳香族エポキシ樹脂が挙げられる。
また、エポキシ基含有樹脂の中では、調製が容易であること等から、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体か、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルと他の単量体との共重合体が好ましい。
エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、鎖状脂肪族エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルであっても、後述するような、脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルであってもよい。また、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、芳香族基を含んでいてもよい。エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルの中では、鎖状脂肪族エポキシ基を有する脂肪族(メタ)アクリル酸エステルや、脂環式エポキシ基を有する脂肪族(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、脂環式エポキシ基を有する脂肪族(メタ)アクリル酸エステルがより好ましい。
芳香族基を含み、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルの例としては、4-グリシジルオキシフェニル(メタ)アクリレート、3-グリシジルオキシフェニル(メタ)アクリレート、2-グリシジルオキシフェニル(メタ)アクリレート、4-グリシジルオキシフェニルメチル(メタ)アクリレート、3-グリシジルオキシフェニルメチル(メタ)アクリレート、及び2-グリシジルオキシフェニルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
鎖状脂肪族エポキシ基を有する脂肪族(メタ)アクリル酸エステルの例としては、エポキシアルキル(メタ)アクリレート、及びエポキシアルキルオキシアルキル(メタ)アクリレート等のような、エステル基(-O-CO-)中のオキシ基(-O-)に鎖状脂肪族エポキシ基が結合する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。このような(メタ)アクリル酸エステルが有する鎖状脂肪族エポキシ基は、鎖中に1又は複数のオキシ基(-O-)を含んでいてもよい。鎖状脂肪族エポキシ基の炭素原子数は、特に限定されないが、3以上20以下が好ましく、3以上15以下がより好ましく、3以上10以下が特に好ましい。
鎖状脂肪族エポキシ基を有する脂肪族(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、2-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、6,7-エポキシヘプチル(メタ)アクリレート等のエポキシアルキル(メタ)アクリレート;2-グリシジルオキシエチル(メタ)アクリレート、3-グリシジルオキシ-n-プロピル(メタ)アクリレート、4-グリシジルオキシ-n-ブチル(メタ)アクリレート、5-グリシジルオキシ-n-ヘキシル(メタ)アクリレート、6-グリシジルオキシ-n-ヘキシル(メタ)アクリレート等のエポキシアルキルオキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
脂環式エポキシ基を有する脂肪族(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、例えば下記式(c5-1)~(c5-15)で表される化合物が挙げられる。これらの中でも、下記式(c5-1)~(c5-5)で表される化合物が好ましく、下記式(c5-1)~(c5-3)で表される化合物がより好ましい。
上記式中、Rc40は水素原子又はメチル基を示す。Rc41は炭素原子数1以上6以下の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示す。Rc42は炭素原子数1以上10以下の2価の炭化水素基を示す。tは0以上10以下の整数を示す。Rc41としては、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。Rc42としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、フェニレン基、シクロヘキシレン基が好ましい。
エポキシ基を有する重合体としては、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体、及びエポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルと他の単量体との共重合体のいずれも用いることができる。エポキシ基を有する重合体中の、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位の含有量は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が特に好ましく、100質量%であるのが最も好ましい。
エポキシ基を有する重合体が、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルと他の単量体との共重合体である場合、他の単量体としては、不飽和カルボン酸、エポキシ基を持たない(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類等が挙げられる。これらの化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。液状組成物の保存安定性や、液状組成物を用いて形成される硬化膜のアルカリ等に対する耐薬品性の点からは、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルと他の単量体との共重合体は、不飽和カルボン酸に由来する単位を含まないのが好ましい。
不飽和カルボン酸の例としては、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸アミド;クロトン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、これらジカルボン酸の無水物が挙げられる。
エポキシ基を持たない(メタ)アクリル酸エステルの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、t-オクチル(メタ)アクリレート等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル(メタ)アクリレート;クロロエチル(メタ)アクリレート、2,2-ジメチルヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート;脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。エポキシ基を持たない(メタ)アクリル酸エステルの中では、脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルにおいて、脂環式骨格を構成する脂環式基は、単環であっても多環であってもよい。単環の脂環式基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、多環の脂環式基としては、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられる。
脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば下記式(c6-1)~(c6-8)で表される化合物が挙げられる。これらの中では、下記式(c6-3)~(c6-8)で表される化合物が好ましく、下記式(c6-3)又は(c6-4)で表される化合物がより好ましい。
上記式中、Rc43は水素原子又はメチル基を示す。Rc44は単結合又は炭素原子数1以上6以下の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示す。Rc45は水素原子又は炭素原子数1以上5以下のアルキル基を示す。Rc44としては、単結合、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。Rc45としては、メチル基、エチル基が好ましい。
(メタ)アクリルアミド類の例としては、(メタ)アクリルアミド、N-アルキル(メタ)アクリルアミド、N-アリール(メタ)アクリルアミド、N,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-アリール(メタ)アクリルアミド、N-メチル-N-フェニル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル-N-メチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
アリル化合物の例としては、酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリル等のアリルエステル類;アリルオキシエタノール;等が挙げられる。
ビニルエーテル類の例としては、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテル、1-メチル-2,2-ジメチルプロピルビニルエーテル、2-エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル等の脂肪族ビニルエーテル;ビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロロフェニルエーテル、ビニル-2,4-ジクロロフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、ビニルアントラニルエーテル等のビニルアリールエーテル;等が挙げられる。
ビニルエステル類の例としては、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレレート、ビニルカプロエート、ビニルクロロアセテート、ビニルジクロロアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフェニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル-β-フェニルブチレート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロロ安息香酸ビニル、テトラクロロ安息香酸ビニル、ナフトエ酸ビニル等が挙げられる。
スチレン類の例としては、スチレン;メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロヘキシルスチレン、デシルスチレン、ベンジルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン等のアルキルスチレン;メトキシスチレン、4-メトキシ-3-メチルスチレン、ジメトキシスチレン等のアルコキシスチレン;クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレン、テトラクロロスチレン、ペンタクロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、トリフルオロスチレン、2-ブロモ-4-トリフルオロメチルスチレン、4-フルオロ-3-トリフルオロメチルスチレン等のハロスチレン;等が挙げられる。
エポキシ基含有樹脂の分子量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されないが、ポリスチレン換算の質量平均分子量として、3,000以上30,000以下が好ましく、5,000以上15,000以下がより好ましい。
〔光硬化性の低分子化合物〕
液状組成物は、基材成分(C)として光重合性の低分子化合物(光重合性モノマー)を含んでいてもよい。多官能の光重合性の低分子化合物を含む場合は、液状組成物が後述の光重合開始剤等を含むことが好ましい。光重合性の低分子化合物には、単官能モノマーと多官能モノマーとがある。以下、単官能モノマー、及び多官能モノマーについて順に説明する。
単官能モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、クロトン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、tert-ブチルアクリルアミドスルホン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチル-2-アミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能モノマーは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート(すなわち、トリレンジイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネートと2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応物、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドメチレンエーテル、多価アルコールとN-メチロール(メタ)アクリルアミドとの縮合物等の多官能モノマーや、トリアクリルホルマール等が挙げられる。これらの多官能モノマーは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
〔光重合性の高分子化合物〕
液状組成物は、基材成分(C)として光重合性の高分子化合物を含んでいてもよい。光重合性の高分子化合物としては、エチレン性不飽和基を含む樹脂が好適に使用される。
エチレン性不飽和基を含む樹脂としては、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、カルドエポキシジアクリレート等が重合したオリゴマー類;多価アルコール類と一塩基酸又は多塩基酸とを縮合して得られるポリエステルプレポリマーに(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレート;ポリオールと2個のイソシアネート基を持つ化合物とを反応させた後、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリウレタン(メタ)アクリレート;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノール又はクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、レゾール型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸ポリグリシジルエステル、ポリオールポリグリシジルエステル、脂肪族又は脂環式エポキシ樹脂、アミンエポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。さらに、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂に多塩基酸無水物を反応させた樹脂を好適に用いることができる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」は、「アクリル又はメタクリル」を意味する。
また、エチレン性不飽和基を含む樹脂としては、エポキシ化合物と不飽和基含有カルボン酸化合物との反応物を、さらに多塩基酸無水物と反応させることにより得られる樹脂や、不飽和カルボン酸に由来する単位を含む重合体に含まれるカルボキシ基の少なくとも一部と、脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル及び/又は(メタ)アクリル酸エポキシアルキルエステルとを反応させることにより得られる樹脂(以下、まとめて「エチレン性不飽和基を有する構成単位を含む樹脂」という)を好適に用いることができる。エチレン性不飽和基を有する構成単位におけるエチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイルオキシ基が好ましい。
その中でも、エチレン性不飽和基を有する構成単位を含む樹脂又は下記式(c7)で表される化合物が好ましい。この式(c7)で表される化合物は、それ自体が、光硬化性が高い点で好ましい。
上記式(c7)中、X
cは、下記一般式(c8)で表される基を表す。
上記式(c8)中、R
c50は、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1以上6以下の炭化水素基、又はハロゲン原子を表す。R
c51は、それぞれ独立に水素原子、又はメチル基を表す。Wは、単結合、又は下記構造式(c9)で表される基を表す。なお、式(c8)、及び式(c9)において「*」は、2価の基の結合手の末端を意味する。
上記式(c7)中、Ycはジカルボン酸無水物から酸無水物基(-CO-O-CO-)を除いた残基を表す。ジカルボン酸無水物の例としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸等が挙げられる。
また、上記式(c7)中、Zcは、テトラカルボン酸二無水物から2個の酸無水物基を除いた残基を表す。テトラカルボン酸二無水物の例としては、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。さらに、上記式(c7)中、ncは、0以上20以下の整数を表す。
エチレン性不飽和基を含む樹脂の酸価は、樹脂固形分で、10mgKOH/g以上150mgKOH/g以下が好ましく、70mgKOH/g以上110mgKOH/g以下がより好ましい。酸価を10mgKOH/g以上とすることにより、液状組成物にフォトリソ特性を付与する場合に、現像液に対する十分な溶解性を有する液状組成物を得やすいため好ましい。また、酸価を150mgKOH/g以下とすることにより、十分な硬化性を得ることができ、表面性を良好にすることができるので好ましい。
また、エチレン性不飽和基を含む樹脂の質量平均分子量は、1,000以上40,000以下が好ましく、2,000以上30,000以下がより好ましい。質量平均分子量を1,000以上とすることにより、良好な耐熱性と、膜強度とを有する硬化膜を形成しやすいので好ましい。また、質量平均分子量を40,000以下とすることにより、良好な現像性を得ることができるので好ましい。
〔焼成により硬化膜を生成させる樹脂〕
焼成により硬化膜を生成させる樹脂としては、例えば、ケイ素含有樹脂が挙げられる。ケイ素含有樹脂の好ましい例としては、シロキサン樹脂、及びポリシランから選択される1種以上が挙げられる。これらのケイ素含有樹脂を含む液状組成物を塗布することでケイ素含有樹脂を含む量子ドット含有膜が得られ、当該量子ドット含有膜が焼成されることでシリカ系の量子ドット含有膜が得られる。以下、シロキサン樹脂、及びポリシランとについて説明する。
(シロキサン樹脂)
シロキサン樹脂について、後述する構造のシクロアルキルアセテートを含有する溶剤(S)に可溶である樹脂であれば、特に制限はない。
シロキサン樹脂としては、例えば下式(C-a)で表されるシラン化合物から選択される少なくとも1種を加水分解縮合して得られるシロキサン樹脂が好適に使用される。
R4-nSi(OR’)n・・・(C-a)
式(C-a)において、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表し、R’はアルキル基又はフェニル基を表し、nは2以上4以下の整数を表す。Siに複数のRが結合している場合、該複数のRは同じであっても異なっていてもよい。またSiに結合している複数の(OR’)基は同じであっても異なっていてもよい。
また、Rとしてのアルキル基は、好ましくは炭素原子数1以上20以下の直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、より好ましくは炭素原子数1以上4以下の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。
Rがアリール基、又はアラルキル基である場合、これらの基に含まれるアリール基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。アリール基の好適な例としては、下記の基が挙げられる。
上記式中、Ra1は、水素原子;水酸基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基;メチル基、エチル基、ブチル基、プロピル基等の炭化水素基である。上記式中Ra2は、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基である。
Rがアリール基又はアラルキル基である場合の好適な具体例としては、ベンジル基、フェネチル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ビフェニリル基、フルオレニル基、ピレニル基等が挙げられる。
アリール基又はアラルキル基に含まれるベンゼン環の数は1個以上3個以下が好ましい。ベンゼン環の数が1個以上3個以下であると、シロキサン樹脂の製造性が良好であり、シロキサン樹脂の重合度の上昇により焼成時の揮発が抑制され、シリカフィルムの形成が容易である。アリール基又はアラルキル基は、置換基として水酸基を有していてもよい。
また、R’としてのアルキル基は好ましくは炭素原子数1以上5以下の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。R’としてのアルキル基の炭素原子数は、特に加水分解速度の点から1又は2が好ましい。
式(A1)におけるnが4の場合のシラン化合物(i)は下式(C-b)で表される。
Si(OR1)a1(OR2)b1(OR3)c1(OR4)d1・・・(C-b)
式(C-b)中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に上記R’と同じアルキル基又はフェニル基を表す。
a1、b1、c1及びd1は、0≦a1≦4、0≦b1≦4、0≦c1≦4、0≦d1≦4であって、且つa1+b1+c1+d1=4の条件を満たす整数である。
式(c-a)におけるnが3の場合のシラン化合物(ii)は下記式(C-c)で表される。
R5Si(OR6)e1(OR7)f1(OR8)g1・・・(C-c)
式(C-c)中、R5は水素原子、上記Rと同じアルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表す。R6、R7、及びR8は、それぞれ独立に上記R’と同じアルキル基又はフェニル基を表す。
e1、f1、及びg1は、0≦e1≦3、0≦f1≦3、0≦g1≦3であって、且つe1+f1+g1=3の条件を満たす整数である。
式(c-a)におけるnが2の場合のシラン化合物(iii)は下記式(C-d)で表される。
R9R10Si(OR11)h1(OR12)i1・・・(C-d)
式(C-d)中、R9及びR10は水素原子、上記Rと同じアルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表す。R11、及びR12は、それぞれ独立に上記R’と同じアルキル基又はフェニル基を表す。
h1及びi1は、0≦h1≦2、0≦i1≦2であって、且つh1+i1=2の条件を満たす整数である。
シラン化合物(i)の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラペンチルオキシシラン、テトラフェニルオキシシラン、トリメトキシモノエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、トリエトキシモノメトキシシラン、トリメトキシモノプロポキシシラン、モノメトキシトリブトキシシラン、モノメトキシトリペンチルオキシシラン、モノメトキシトリフェニルオキシシラン、ジメトキシジプロポキシシラン、トリプロポキシモノメトキシシラン、トリメトキシモノブトキシシラン、ジメトキシジブトキシシラン、トリエトキシモノプロポキシシラン、ジエトキシジプロポキシシラン、トリブトキシモノプロポキシシラン、ジメトキシモノエトキシモノブトキシシラン、ジエトキシモノメトキシモノブトキシシラン、ジエトキシモノプロポキシモノブトキシシラン、ジプロポキシモノメトキシモノエトキシシラン、ジプロポキシモノメトキシモノブトキシシラン、ジプロポキシモノエトキシモノブトキシシラン、ジブトキシモノメトキシモノエトキシシラン、ジブトキシモノエトキシモノプロポキシシラン、モノメトキシモノエトキシモノプロポキシモノブトキシシラン等のテトラアルコキシシランが挙げられ、中でもテトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが好ましい。
シラン化合物(ii)の具体例としては、
トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、トリペンチルオキシシラン、トリフェニルオキシシラン、ジメトキシモノエトキシシラン、ジエトキシモノメトキシシラン、ジプロポキシモノメトキシシラン、ジプロポキシモノエトキシシラン、ジペンチルオキシモノメトキシシラン、ジペンチルオキシモノエトキシシラン、ジペンチルオキシモノプロポキシシラン、ジフェニルオキシモノメトキシシラン、ジフェニルオキシモノエトキシシラン、ジフェニルオキシモノプロポキシシラン、メトキシエトキシプロポキシシラン、モノプロポキシジメトキシシラン、モノプロポキシジエトキシシラン、モノブトキシジメトキシシラン、モノペンチルオキシジエトキシシラン、及びモノフェニルオキシジエトキシシラン等のヒドロシラン化合物;
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリペンチルオキシシラン、メチルトリフェニルオキシシラン、メチルモノメトキシジエトキシシラン、メチルモノメトキシジプロポキシシラン、メチルモノメトキシジペンチルオキシシラン、メチルモノメトキシジフェニルオキシシラン、メチルメトキシエトキシプロポキシシラン、及びメチルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン等のメチルシラン化合物;
エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリペンチルオキシシラン、エチルトリフェニルオキシシラン、エチルモノメトキシジエトキシシラン、エチルモノメトキシジプロポキシシラン、エチルモノメトキシジペンチルオキシシラン、エチルモノメトキシジフェニルオキシシラン、エチルメトキシエトキシプロポキシシラン、及びエチルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン等のエチルシラン化合物;
プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、プロピルトリペンチルオキシシラン、及びプロピルトリフェニルオキシシラン、プロピルモノメトキシジエトキシシラン、プロピルモノメトキシジプロポキシシラン、プロピルモノメトキシジペンチルオキシシラン、プロピルモノメトキシジフェニルオキシシラン、プロピルメトキシエトキシプロポキシシラン、及びプロピルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン、等のプロピルシラン化合物;
ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリプロポキシシラン、ブチルトリペンチルオキシシラン、ブチルトリフェニルオキシシラン、ブチルモノメトキシジエトキシシラン、ブチルモノメトキシジブロポキシシラン、ブチルモノメトキシジペンチルオキシシラン、ブチルモノメトキシジフェニルオキシシラン、ブチルメトキシエトキシプロポキシシラン、及びブチルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン等のブチルシラン化合物;
フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、フェニルトリペンチルオキシシラン、フェニルトリフェニルオキシシラン、フェニルモノメトキシジエトキシシラン、フェニルモノメトキシジプロポキシシラン、フェニルモノメトキシジペンチルオキシシラン、フェニルモノメトキシジフェニルオキシシラン、フェニルメトキシエトキシプロポキシシラン、及びフェニルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン等のフェニルシラン化合物;
ヒドロキシフェニルトリメトキシシラン、ヒドロキシフェニルトリエトキシシラン、ヒドロキシフェニルトリプロポキシシラン、ヒドロキシフェニルトリペンチルオキシシラン、ヒドロキシフェニルトリフェニルオキシシラン、ヒドロキシフェニルモノメトキシジエトキシシラン、ヒドロキシフェニルモノメトキシジプロポキシシラン、ヒドロキシフェニルモノメトキシジペンチルオキシシラン、ヒドロキシフェニルモノメトキシジフェニルオキシシラン、ヒドロキシフェニルメトキシエトキシプロポキシシラン、及びヒドロキシフェニルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン等のヒドロキシフェニルシラン化合物;
ナフチルトリメトキシシラン、ナフチルトリエトキシシラン、ナフチルトリプロポキシシラン、ナフチルトリペンチルオキシシラン、ナフチルトリフェニルオキシシラン、ナフチルモノメトキシジエトキシシラン、ナフチルモノメトキシジプロポキシシラン、ナフチルモノメトキシジペンチルオキシシラン、ナフチルモノメトキシジフェニルオキシシラン、ナフチルメトキシエトキシプロポキシシラン、及びナフチルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン等のナフチルシラン化合物;
ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、ベンジルトリプロポキシシラン、ベンジルトリペンチルオキシシラン、ベンジルトリフェニルオキシシラン、ベンジルモノメトキシジエトキシシラン、ベンジルモノメトキシジプロポキシシラン、ベンジルモノメトキシジペンチルオキシシラン、ベンジルモノメトキシジフェニルオキシシラン、ベンジルメトキシエトキシプロポキシシラン、及びベンジルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン等のベンジルシラン化合物;
ヒドロキシベンジルトリメトキシシラン、ヒドロキシベンジルトリエトキシシラン、ヒドロキシベンジルトリプロポキシシラン、ヒドロキシベンジルトリペンチルオキシシラン、ヒドロキシベンジルトリフェニルオキシシラン、ヒドロキシベンジルモノメトキシジエトキシシラン、ヒドロキシベンジルモノメトキシジプロポキシシラン、ヒドロキシベンジルモノメトキシジペンチルオキシシラン、ヒドロキシベンジルモノメトキシジフェニルオキシシラン、ヒドロキシベンジルメトキシエトキシプロポキシシラン、及びヒドロキシベンジルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン等のヒドロキシベンジルシラン化合物;
が挙げられる。
シラン化合物(iii)の具体例としては、
ジメトキシシラン、ジエトキシシラン、ジプロポキシシラン、ジペンチルオキシシラン、ジフェニルオキシシラン、メトキシエトキシシラン、メトキシプロポキシシラン、メトキシペンチルオキシシラン、メトキシフェニルオキシシラン、エトキシプロポキシシラン、エトキシペンチルオキシシラン、及びエトキシフェニルオキシシラン等のヒドロシラン化合物;
メチルジメトキシシラン、メチルメトキシエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルメトキシプロポキシシラン、メチルメトキシペンチルオキシシラン、メチルエトキシプロポキシシラン、メチルジプロポキシシラン、メチルジペンチルオキシシラン、メチルジフェニルオキシシラン、メチルメトキシフェニルオキシシラン等のメチルヒドロシラン化合物;
エチルジメトキシシラン、エチルメトキシエトキシシラン、エチルジエトキシシラン、エチルメトキシプロポキシシラン、エチルメトキシペンチルオキシシラン、エチルエトキシプロポキシシラン、エチルジプロポキシシラン、エチルジペンチルオキシシラン、エチルジフェニルオキシシラン、エチルメトキシフェニルオキシシラン等のエチルヒドロシラン化合物;
プロピルジメトキシシラン、プロピルメトキシエトキシシラン、プロピルジエトキシシラン、プロピルメトキシプロポキシシラン、プロピルメトキシペンチルオキシシラン、プロピルエトキシプロポキシシラン、プロピルジプロポキシシラン、プロピルジペンチルオキシシラン、プロピルジフェニルオキシシラン、プロピルメトキシフェニルオキシシラン等のプロピルヒドロシラン化合物;
ブチルジメトキシシラン、ブチルメトキシエトキシシラン、ブチルジエトキシシラン、ブチルメトキシプロポキシシラン、ブチルメトキシペンチルオキシシラン、ブチルエトキシプロポキシシラン、ブチルジプロポキシシラン、ブチルジペンチルオキシシラン、ブチルジフェニルオキシシラン、ブチルメトキシフェニルオキシシラン等のブチルヒドロシラン化合物;
フェニルジメトキシシラン、フェニルメトキシエトキシシラン、フェニルジエトキシシラン、フェニルメトキシプロポキシシラン、フェニルメトキシペンチルオキシシラン、フェニルエトキシプロポキシシラン、フェニルジプロポキシシラン、フェニルジペンチルオキシシラン、フェニルジフェニルオキシシラン、フェニルメトキシフェニルオキシシラン等のフェニルヒドロシラン化合物;
ヒドロキシフェニルジメトキシシラン、ヒドロキシフェニルメトキシエトキシシラン、ヒドロキシフェニルジエトキシシラン、ヒドロキシフェニルメトキシプロポキシシラン、ヒドロキシフェニルメトキシペンチルオキシシラン、ヒドロキシフェニルエトキシプロポキシシラン、ヒドロキシフェニルジプロポキシシラン、ヒドロキシフェニルジペンチルオキシシラン、ヒドロキシフェニルジフェニルオキシシラン、ヒドロキシフェニルメトキシフェニルオキシシラン等のヒドロキシフェニルヒドロシラン化合物;
ナフチルジメトキシシラン、ナフチルメトキシエトキシシラン、ナフチルジエトキシシラン、ナフチルメトキシプロポキシシラン、ナフチルメトキシペンチルオキシシラン、ナフチルエトキシプロポキシシラン、ナフチルジプロポキシシラン、ナフチルジペンチルオキシシラン、ナフチルジフェニルオキシシラン、ナフチルメトキシフェニルオキシシラン等のナフチルヒドロシラン化合物;
ベンジルジメトキシシラン、ベンジルメトキシエトキシシラン、ベンジルジエトキシシラン、ベンジルメトキシプロポキシシラン、ベンジルメトキシペンチルオキシシラン、ベンジルエトキシプロポキシシラン、ベンジルジプロポキシシラン、ベンジルジペンチルオキシシラン、ベンジルジフェニルオキシシラン、ベンジルメトキシフェニルオキシシラン等のベンジルヒドロシラン化合物;
ヒドロキシベンジルジメトキシシラン、ヒドロキシベンジルメトキシエトキシシラン、ヒドロキシベンジルジエトキシシラン、ヒドロキシベンジルメトキシプロポキシシラン、ヒドロキシベンジルメトキシペンチルオキシシラン、ヒドロキシベンジルエトキシプロポキシシラン、ヒドロキシベンジルジプロポキシシラン、ヒドロキシベンジルジペンチルオキシシラン、ヒドロキシベンジルジフェニルオキシシラン、ヒドロキシベンジルメトキシフェニルオキシシラン等のヒドロキシベンジルヒドロシラン化合物;
ジメチルジメトキシシラン、ジメチルメトキシエトキシシラン、ジメチルメトキシプロポキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジペンチルオキシシラン、ジメチルジフェニルオキシシラン、ジメチルエトキシプロポキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン等のジメチルシラン化合物;
ジエチルジメトキシシラン、ジエチルメトキシエトキシシラン、ジエチルメトキシプロポキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジペンチルオキシシラン、ジエチルジフェニルオキシシラン、ジエチルエトキシプロポキシシラン、ジエチルジプロポキシシラン等のジエチルシラン化合物;
ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルメトキシエトキシシラン、ジプロピルメトキシプロポキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジプロピルジペンチルオキシシラン、ジプロピルジフェニルオキシシラン、ジプロピルエトキシプロポキシシラン、ジプロピルジプロポキシシラン等のジプロポキシシラン化合物;
ジブチルジメトキシシラン、ジブチルメトキシエトキシシラン、ジブチルメトキシプロポキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジブチルジペンチルオキシシラン、ジブチルジフェニルオキシシラン、ジブチルエトキシプロポキシシラン、ジブチルジプロポキシシラン等のジブチルシラン化合物;
ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルメトキシエトキシシラン、ジフェニルメトキシプロポキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジペンチルオキシシラン、ジフェニルジフェニルオキシシラン、ジフェニルエトキシプロポキシシラン、ジフェニルジプロポキシシラン等のジフェニルシラン化合物;
ジ(ヒドロキシフェニル)ジメトキシシラン、ジ(ヒドロキシフェニル)メトキシエトキシシラン、ジ(ヒドロキシフェニル)メトキシプロポキシシラン、ジ(ヒドロキシフェニル)ジエトキシシラン、ジ(ヒドロキシフェニル)ジペンチルオキシシラン、ジ(ヒドロキシフェニル)ジフェニルオキシシラン、ジ(ヒドロキシフェニル)エトキシプロポキシシラン、ジ(ヒドロキシフェニル)ジプロポキシシラン等のジ(ヒドロキシフェニル)シラン化合物;
ジナフチルジメトキシシラン、ジナフチルメトキシエトキシシラン、ジナフチルメトキシプロポキシシラン、ジナフチルジエトキシシラン、ジナフチルジペンチルオキシシラン、ジナフチルジフェニルオキシシラン、ジナフチルエトキシプロポキシシラン、ジナフチルジプロポキシシラン等のジナフチルシラン化合物;
ジベンジルジメトキシシラン、ジベンジルメトキシエトキシシラン、ジベンジルメトキシプロポキシシラン、ジベンジルジエトキシシラン、ジベンジルジペンチルオキシシラン、ジベンジルジフェニルオキシシラン、ジベンジルエトキシプロポキシシラン、ジベンジルジプロポキシシラン等のジベンジルシラン化合物;
ジ(ヒドロキシベンジル)ジメトキシシラン、ジ(ヒドロキシベンジル)メトキシエトキシシラン、ジ(ヒドロキシベンジル)メトキシプロポキシシラン、ジ(ヒドロキシベンジル)ジエトキシシラン、ジ(ヒドロキシベンジル)ジペンチルオキシシラン、ジ(ヒドロキシベンジル)ジフェニルオキシシラン、ジ(ヒドロキシベンジル)エトキシプロポキシシラン、ジ(ヒドロキシベンジル)ジプロポキシシラン等のジ(ヒドロキシベンジル)シラン化合物;
メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルメトキシエトキシシラン、メチルエチルメトキシプロポキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、メチルエチルジペンチルオキシシラン、メチルエチルジフェニルオキシシラン、メチルエチルエトキシプロポキシシラン、メチルエチルジプロポキシシラン等のメチルエチルシラン化合物;
メチルプロピルジメトキシシラン、メチルプロピルメトキシエトキシシラン、メチルプロピルメトキシプロポキシシラン、メチルプロピルジエトキシシラン、メチルプロピルジペンチルオキシシラン、メチルプロピルジフェニルオキシシラン、メチルプロピルエトキシプロポキシシラン、メチルプロピルジプロポキシシラン等のメチルプロピルシラン化合物;
メチルブチルジメトキシシラン、メチルブチルメトキシエトキシシラン、メチルブチルメトキシプロポキシシラン、メチルブチルジエトキシシラン、メチルブチルジペンチルオキシシラン、メチルブチルジフェニルオキシシラン、メチルブチルエトキシプロポキシシラン、メチルブチルジプロポキシシラン等のメチルブチルシラン化合物;
メチル(フェニル)ジメトキシシラン、メチル(フェニル)メトキシエトキシシラン、メチル(フェニル)メトキシプロポキシシラン、メチル(フェニル)ジエトキシシラン、メチル(フェニル)ジペンチルオキシシラン、メチル(フェニル)ジフェニルオキシシラン、メチル(フェニル)エトキシプロポキシシラン、メチル(フェニル)ジプロポキシシラン等のメチル(フェニル)シラン化合物;
メチル(ヒドロキシフェニル)ジメトキシシラン、メチル(ヒドロキシフェニル)メトキシエトキシシラン、メチル(ヒドロキシフェニル)メトキシプロポキシシラン、メチル(ヒドロキシフェニル)ジエトキシシラン、メチル(ヒドロキシフェニル)ジペンチルオキシシラン、メチル(ヒドロキシフェニル)ジフェニルオキシシラン、メチル(ヒドロキシフェニル)エトキシプロポキシシラン、メチル(ヒドロキシフェニル)ジプロポキシシラン等のメチル(ヒドロキシフェニル)シラン化合物;
メチル(ナフチル)ジメトキシシラン、メチル(ナフチル)メトキシエトキシシラン、メチル(ナフチル)メトキシプロポキシシラン、メチル(ナフチル)ジエトキシシラン、メチル(ナフチル)ジペンチルオキシシラン、メチル(ナフチル)ジフェニルオキシシラン、メチル(ナフチル)エトキシプロポキシシラン、メチル(ナフチル)ジプロポキシシラン等のメチル(ナフチル)シラン化合物;
メチル(ベンジル)ジメトキシシラン、メチル(ベンジル)メトキシエトキシシラン、メチル(ベンジル)メトキシプロポキシシラン、メチル(ベンジル)ジエトキシシラン、メチル(ベンジル)ジペンチルオキシシラン、メチル(ベンジル)ジフェニルオキシシラン、メチル(ベンジル)エトキシプロポキシシラン、メチル(ベンジル)ジプロポキシシラン等のメチル(ベンジル)シラン化合物;
メチル(ヒドロキシベンジル)ジメトキシシラン、メチル(ヒドロキシベンジル)メトキシエトキシシラン、メチル(ヒドロキシベンジル)メトキシプロポキシシラン、メチル(ヒドロキシベンジル)ジエトキシシラン、メチル(ヒドロキシベンジル)ジペンチルオキシシラン、メチル(ヒドロキシベンジル)ジフェニルオキシシラン、メチル(ヒドロキシベンジル)エトキシプロポキシシラン、メチル(ヒドロキシベンジル)ジプロポキシシラン等のメチル(ヒドロキシベンジル)シラン化合物;
エチルプロピルジメトキシシラン、エチルプロピルメトキシエトキシシラン、エチルプロピルメトキシプロポキシシラン、エチルプロピルジエトキシシラン、エチルプロピルジペンチルオキシシラン、エチルプロピルジフェニルオキシシラン、エチルプロピルエトキシプロポキシシラン、エチルプロピルジプロポキシシラン等のエチルプロピルシラン化合物;
エチルブチルジメトキシシラン、エチルブチルメトキシエトキシシラン、エチルブチルメトキシプロポキシシラン、エチルブチルジエトキシシラン、エチルブチルジペンチルオキシシラン、エチルブチルジフェニルオキシシラン、エチルブチルエトキシプロポキシシラン、エチルブチルジプロポキシシラン等のエチルブチルシラン化合物;
エチル(フェニル)ジメトキシシラン、エチル(フェニル)メトキシエトキシシラン、エチル(フェニル)メトキシプロポキシシラン、エチル(フェニル)ジエトキシシラン、エチル(フェニル)ジペンチルオキシシラン、エチル(フェニル)ジフェニルオキシシラン、エチル(フェニル)エトキシプロポキシシラン、エチル(フェニル)ジプロポキシシラン等のエチル(フェニル)シラン化合物;
エチル(ヒドロキシフェニル)ジメトキシシラン、エチル(ヒドロキシフェニル)メトキシエトキシシラン、エチル(ヒドロキシフェニル)メトキシプロポキシシラン、エチル(ヒドロキシフェニル)ジエトキシシラン、エチル(ヒドロキシフェニル)ジペンチルオキシシラン、エチル(ヒドロキシフェニル)ジフェニルオキシシラン、エチル(ヒドロキシフェニル)エトキシプロポキシシラン、エチル(ヒドロキシフェニル)ジプロポキシシラン等のエチル(ヒドロキシフェニル)シラン化合物;
エチル(ナフチル)ジメトキシシラン、エチル(ナフチル)メトキシエトキシシラン、エチル(ナフチル)メトキシプロポキシシラン、エチル(ナフチル)ジエトキシシラン、エチル(ナフチル)ジペンチルオキシシラン、エチル(ナフチル)ジフェニルオキシシラン、エチル(ナフチル)エトキシプロポキシシラン、エチル(ナフチル)ジプロポキシシラン等のエチル(ナフチル)シラン化合物;
エチル(ベンジル)ジメトキシシラン、エチル(ベンジル)メトキシエトキシシラン、エチル(ベンジル)メトキシプロポキシシラン、エチル(ベンジル)ジエトキシシラン、エチル(ベンジル)ジペンチルオキシシラン、エチル(ベンジル)ジフェニルオキシシラン、エチル(ベンジル)エトキシプロポキシシラン、エチル(ベンジル)ジプロポキシシラン等のエチル(ベンジル)シラン化合物;
エチル(ヒドロキシベンジル)ジメトキシシラン、エチル(ヒドロキシベンジル)メトキシエトキシシラン、エチル(ヒドロキシベンジル)メトキシプロポキシシラン、エチル(ヒドロキシベンジル)ジエトキシシラン、エチル(ヒドロキシベンジル)ジペンチルオキシシラン、エチル(ヒドロキシベンジル)ジフェニルオキシシラン、エチル(ヒドロキシベンジル)エトキシプロポキシシラン、エチル(ヒドロキシベンジル)ジプロポキシシラン等のエチル(ヒドロキシベンジル)シラン化合物;
プロピルブチルジメトキシシラン、プロピルブチルメトキシエトキシシラン、プロピルブチルメトキシプロポキシシラン、プロピルブチルジエトキシシラン、プロピルブチルジペンチルオキシシラン、プロピルブチルジフェニルオキシシラン、プロピルブチルエトキシプロポキシシラン、プロピルブチルジプロポキシシラン等のプロピルブチルシラン化合物;
プロピル(フェニル)ジメトキシシラン、プロピル(フェニル)メトキシエトキシシラン、プロピル(フェニル)メトキシプロポキシシラン、プロピル(フェニル)ジエトキシシラン、プロピル(フェニル)ジペンチルオキシシラン、プロピル(フェニル)ジフェニルオキシシラン、プロピル(フェニル)エトキシプロポキシシラン、プロピル(フェニル)ジプロポキシシラン等のプロピル(フェニル)シラン化合物;
プロピル(ヒドロキシフェニル)ジメトキシシラン、プロピル(ヒドロキシフェニル)メトキシエトキシシラン、プロピル(ヒドロキシフェニル)メトキシプロポキシシラン、プロピル(ヒドロキシフェニル)ジエトキシシラン、プロピル(ヒドロキシフェニル)ジペンチルオキシシラン、プロピル(ヒドロキシフェニル)ジフェニルオキシシラン、プロピル(ヒドロキシフェニル)エトキシプロポキシシラン、プロピル(ヒドロキシフェニル)ジプロポキシシラン等のプロピル(ヒドロキシフェニル)シラン化合物;
プロピル(ナフチル)ジメトキシシラン、プロピル(ナフチル)メトキシエトキシシラン、プロピル(ナフチル)メトキシプロポキシシラン、プロピル(ナフチル)ジエトキシシラン、プロピル(ナフチル)ジペンチルオキシシラン、プロピル(ナフチル)ジフェニルオキシシラン、プロピル(ナフチル)エトキシプロポキシシラン、プロピル(ナフチル)ジプロポキシシラン等のプロピル(ナフチル)シラン化合物;
プロピル(ベンジル)ジメトキシシラン、プロピル(ベンジル)メトキシエトキシシラン、プロピル(ベンジル)メトキシプロポキシシラン、プロピル(ベンジル)ジエトキシシラン、プロピル(ベンジル)ジペンチルオキシシラン、プロピル(ベンジル)ジフェニルオキシシラン、プロピル(ベンジル)エトキシプロポキシシラン、プロピル(ベンジル)ジプロポキシシラン等のプロピル(ベンジル)シラン化合物;
プロピル(ヒドロキシベンジル)ジメトキシシラン、プロピル(ヒドロキシベンジル)メトキシエトキシシラン、プロピル(ヒドロキシベンジル)メトキシプロポキシシラン、プロピル(ヒドロキシベンジル)ジエトキシシラン、プロピル(ヒドロキシベンジル)ジペンチルオキシシラン、プロピル(ヒドロキシベンジル)ジフェニルオキシシラン、プロピル(ヒドロキシベンジル)エトキシプロポキシシラン、プロピル(ヒドロキシベンジル)ジプロポキシシラン等のプロピル(ヒドロキシベンジル)シラン化合物;
が挙げられる。
以上説明したシラン化合物を、常法に従って加水分解縮合することによりシロキサン樹脂が得られる。
シロキサン樹脂の質量平均分子量は、300以上30,000以下が好ましく、500以上10,000以下がより好ましい。異なる質量平均分子量のシロキサン樹脂を2種以上混合してもよい。シロキサン樹脂の質量平均分子量がかかる範囲内である場合、製膜性に優れ、平坦な量子ドット含有膜を形成できる液状組成物を得やすい。
以上説明したシラン化合物を加水分解縮合させて得られるシロキサン樹脂の好適な例としては、下記式(C-1-1)で示される構造単位を有するシロキサン樹脂が挙げられる。当該シロキサン樹脂において、ケイ素原子1個に対する炭素原子の数は2個以上である。
(式(C-1-a)中、R
1はアルキル基、アリール基、又はアラルキル基であり、R
2は水素又はアルキル基、アリール基、又はアラルキル基である。mは0又は1である。)
R1及びR2におけるアルキル基、アリール基、又はアラルキル基は、前述の式(C-a)におけるアルキル基、アリール基、又はアラルキル基と同様である。
上記のように、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を有するシロキサン樹脂を用いることにより、耐久性に優れるシリカ系の量子ドット含有膜を形成でき、微小な空間への充填が容易な液状組成物を得やすい。
アルキル基としては、炭素原子数1以上5以下のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基等が挙げられる。このように炭素原子数1以上5以下のアルキル基を有することにより、耐熱性が良好なシリカフィルムを形成しやすい。
アリール基及びアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ビフェニル基、フルオレニル基、及びピレニル基等が挙げられる。
アリール基及びアラルキル基としては、具体的には下記の構造の基が好ましく挙げられる。
上記式中、R3は、水素原子;水酸基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基;メチル基、エチル基、ブチル基、プロピル基等の炭化水素基であり、R4は、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基である。なお、上記芳香族炭化水素基は、該芳香族炭化水素基における少なくとも1つの芳香環に、上記R3を有していればよく、複数有していてもよい。複数のR3を有する場合には、これらのR3は同一でもよく、異なっていてもよい。
特に好ましいR
1としては、下記の構造(R
1-a)、又は構造(R
1-b)を有する基が好ましく、特に(R
1-b)が好ましい。
式(C-1-a)において、mは0であることが好ましい。mが0であるの場合にはシロキサン樹脂は、シルセスキオキサン骨格を有する。さらに、シロキサン樹脂は、ラダー型のシルセスキオキサンであることがより好ましい。
さらに、式(C-1-a)で示される構造単位(単位骨格)において、ケイ素原子1個に対して、炭素原子が2個以上15個以下となる原子数比を有していることが好ましい。
シロキサン樹脂は、式(C-1-a)で示される構造単位を2種類以上有していてもよい。また、シロキサン樹脂は、異なる構造単位からなる複数のシロキサン樹脂の混合物であってもよい。
式(C-1-a)で示される構造単位を2種類以上有するシロキサン樹脂としては、具体的には下記の構造式(C-1-1)~(C-1-3)で表されるシロキサン樹脂が挙げられる。
シロキサン樹脂としては、例えば、下式(C-1-4)で示される構成単位を含有する樹脂であってもよい。
式(C-1-4)中、R
13は、その構造中に(メタ)アクリル基、ビニル基及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を有する有機基である。(メタ)アクリル基、ビニル基及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基は、Si原子に直接結合していてもよく、連結基を介してSi原子に結合していてもよい。連結基は、例えば、炭素原子数1以上10以下の直鎖でも分岐鎖であってもよいアルキレン基若しくはアリーレン基、又はこれらを組み合わせた2価の基である。連結基は、エーテル結合、アミノ結合、又はアミド結合を有していてもよい。
式(C-1-4)で表される構成単位は、例えば以下の単位が挙げられるが、これらに限定されない。
また、R13がエポキシ基を有する場合、R13として2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル基、及び2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピル基が好適な例として挙げられる。
シロキサン樹脂としては、例えば、下式(C-1-5)で示される構成単位を含有する樹脂であってもよい。
式(C-1-5)中、R
14は、その構造中にカルボキシ基を少なくとも1つ有する有機基である。カルボキシ基は連結基を介してSi原子に結合していることが好ましく、連結基は、例えば、炭素原子数1以上10以下の直鎖でも分岐鎖であってもよいアルキレン基、シクロアルキレン基、若しくはアリーレン基、又はこれらを組み合わせた2価の基である。
連結基は、エーテル結合、アミノ結合、アミド結合、又はビニル結合を有していてもよく、アミド結合を有していることが好ましい。R
14としては、例えば以下の基が挙げられるが、これらに限定されない。なお、下式中*は、式(C-1-5)中のSiと結合する、R
14の結合手の末端を意味する。
ケイ素含有樹脂を基材成分(C)として含む液状組成物は後述する硬化剤(D)を含み得る。硬化剤(D)を含む液状組成物において、
(i)硬化剤(D)が光又は熱により塩基成分を発生する硬化剤を含む場合、
(ii)液状組成物が後述の光重合開始剤や塩基発生剤等を含む場合、又は、
(iii)後述する量子ドット含有膜の製造方法において露光工程を有する場合、
シロキサン樹脂は式(C-1-4)で示される構成単位を含有することが好ましい。
同様にまた、(iv)後述のその他の成分である光重合開始剤、酸発生剤、若しくは塩基発生剤からなる群の少なくとも1つ(硬化剤(D)に該当する成分を除く)を含む場合、シロキサン樹脂は式(C-1-4)で示される構成単位を含有することが好ましい。シロキサン樹脂中の式(C-1-4)で示される構成単位の含有割合は、例えば、10モル%以上80モル%以下である。他の構成単位として、さらに式(C-1-a)で示される構造単位及び/又は(C-1-5)で示される構成単位を含んでいてもよい。また、各式に該当する構成単位を2種以上含んでいてもよい。
後述する量子ドット含有膜の製造方法が現像工程を有する場合、シロキサン樹脂は式(C-1-5)で示される構成単位、式(R1-a)で表される構造を有する構成単位、及び式(R1-b)で表される構造を有する構成単位からなる群より選択される1種以上の構成単位を含有することが好ましい。シロキサン樹脂中の式(C-1-5)で示される構成単位、式(R1-a)で表される構造を有する構成単位、及び式(R1-b)で表される構造を有する構成単位からなる群より選択される構成単位の含有割合は、例えば、20モル%以上90モル%以下である。この場合、他の構成単位として、さらに式(C-1-a)で示される構造単位及び/又は式(C-1-4)で示される構成単位を含んでいてもよく、(C-1-4)で示される構成単位及び(C-1-5)で示される構成単位を含むシロキサン樹脂であることが好ましい。また、各式に該当する構成単位を2種以上含んでいてもよい。
(ポリシラン)
ポリシランの構造は特に限定されない。ポリシランは直鎖状であっても、分岐鎖状であっても、網目状であっても、環状であってもよいが、直鎖状又は分岐鎖状の鎖状構造が好ましい。
ポリシランは、シラノール基及び/又はアルコキシ基を含有していてもよい。
好適なポリシランとしては、例えば、下式(A5)及び(A6)で表される単位の少なくとも1つを必須に含み、下式(A7)、(A8)及び(A9)で表される単位から選択される少なくとも1つの単位を任意に含有するポリシランが挙げられる。かかるポリシランは、シラノール基、又はケイ素原子に結合するアルコキシ基を含有していてもよい。
(式(A5)、(A7)、及び(A8)中、R
a3及びR
a4は、水素原子、有機基又はシリル基を表す。R
a5は、水素原子又はアルキル基を表す。R
a5がアルキル基である場合、炭素原子数1以上4以下のアルキル基が好ましく、メチル基及びエチル基がより好ましい。)
Ra3及びRa4について、有機基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アラルキル基等の炭化水素基や、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、シクロアルコキシ基、シクロアルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基等が挙げられる。
これらの基の中では、アルキル基、アリール基、及びアラルキル基が好ましい。アルキル基、アリール基、及びアラルキル基の好適な例は、前述の式(A1)中のRがアルキル基、アリール基、又はアラルキル基である場合の例と同様である。
R
a3及びR
a4がシリル基である場合、シリル基としては、シリル基、ジシラニル基、トリシラニル基等のSi
1-10シラニル基(Si
1-6シラニル基等)が挙げられる。
ポリシランは、下記(A10)から(A13)のユニットを含むのが好ましい。
(A10)から(A13)中、R
a3及びR
a4は、式(A5)、(A7)、及び(A8)中におけるR
a3及びR
a4と同様である。a、b、及びcは、それぞれ、2以上1,000以下の整数である。
a、b、及びcは、それぞれ、10以上500以下が好ましく、10以上100以下がより好ましい。各ユニット中の構成単位は、ユニット中に、ランダムに含まれていても、ブロック化された状態で含まれていてもよい。
以上説明したポリシランの中では、それぞれケイ素原子に結合している、アルキル基と、アリール基又はアラルキル基とを組み合わせて含むポリシラン又はアルキル基のみケイ素原子に結合しているポリシランが好ましい。より具体的には、それぞれケイ素原子に結合している、メチル基と、ベンジル基とを組み合わせて含むポリシランや、それぞれケイ素原子に結合している、メチル基と、フェニル基とを組み合わせて含むポリシラン、又はメチル基のみケイ素原子に結合しているポリシランが好ましく使用される。
ポリシランの質量平均分子量は、300以上100,000以下が好ましく、500以上70,000以下がより好ましく、800以上30,000以下がさらに好ましい。異なる質量平均分子量のポリシランを2種以上混合してもよい。
液状組成物中の、ケイ素含有樹脂(A)の含有量は特に限定されず、所望の膜厚に応じて設定すればよい。製膜性の点からは、液状組成物中のケイ素含有樹脂の含有量は、1質量%以上50質量%以下が好ましく、5質量%以上40質量%以下がより好ましく、10質量%以上35質量%以下が特に好ましい。
液状組成物における基材成分(C)の含有量は、液状組成物に所望する量の量子ドット(A)が含まれる限り特に限定されず、質量比で(A):(C)=99:1~1:99であることが好ましく、90:10~10:90がより好ましい。
<硬化剤(D)>
液状組成物が、基材成分(C)として、エポキシ化合物やオキセタン化合物等の成分や、光硬化性の成分や、ケイ素含有樹脂を含む場合、液状組成物は、基材成分(C)を硬化させるための成分として、硬化剤(D)を含むのが好ましい。
ここで、本願明細書において、硬化剤(D)は、基材成分(C)を硬化させ得る成分であれば特に限定されない。例えば、所謂光重合開始剤等についても、本願明細書において硬化剤(D)に含まれる。
なお、液状組成物に含まれる基材成分(C)が、カルボキシ基、カルボン酸無水物基や、アミノ基のようなエポキシ基やオキセタニル基との反応性を有する官能基を有するエポキシ化合物又はオキセタン化合物である場合、液状組成物は、必ずしも、硬化剤を含有する必要はない。
〔光重合開始剤(D1)〕
光重合開始剤(D1)は、不飽和二重結合を有する光硬化性の基材成分(C)とともに使用され、露光により、光硬化性の基材成分(C)を硬化させる。光重合開始剤(D1)としては、特に限定されず、従来公知の光重合開始剤を用いることができる。
光重合開始剤(D1)として、具体的には、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-(4-ドデシルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ケトン、2-メチル-1-〔4-(メチルチオ)フェニル〕-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、O-アセチル-1-[6-(2-メチルベンゾイル)-9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル]エタノンオキシム、(9-エチル-6-ニトロ-9H-カルバゾール-3-イル)[4-(2-メトキシ-1-メチルエトキシ)-2-メチルフェニル]メタノンO-アセチルオキシム、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4-ベンゾイル-4’-メチルジメチルスルフィド、4-ジメチルアミノ安息香酸、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4-ジメチルアミノ-2-エチルヘキシル安息香酸、4-ジメチルアミノ-2-イソアミル安息香酸、ベンジル-β-メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)オキシム、o-ベンゾイル安息香酸メチル、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2-クロロチオキサンテン、2,4-ジエチルチオキサンテン、2-メチルチオキサンテン、2-イソプロピルチオキサンテン、2-エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン、2,3-ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンヒドロペルオキシド、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(m-メトキシフェニル)-イミダゾリル二量体、ベンゾフェノン、2-クロロベンゾフェノン、p,p’-ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン-n-ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、p-ジメチルアセトフェノン、p-ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p-tert-ブチルアセトフェノン、p-ジメチルアミノアセトフェノン、p-tert-ブチルトリクロロアセトフェノン、p-tert-ブチルジクロロアセトフェノン、α,α-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル-4-ジメチルアミノベンゾエート、9-フェニルアクリジン、1,7-ビス-(9-アクリジニル)ヘプタン、1,5-ビス-(9-アクリジニル)ペンタン、1,3-ビス-(9-アクリジニル)プロパン、p-メトキシトリアジン、2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-メチル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(フラン-2-イル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-n-ブトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(3-ブロモ-4-メトキシ)フェニル-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(2-ブロモ-4-メトキシ)フェニル-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(3-ブロモ-4-メトキシ)スチリルフェニル-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(2-ブロモ-4-メトキシ)スチリルフェニル-s-トリアジン等が挙げられる。これらの光重合開始剤(D1)は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、オキシム系の光重合開始剤が、感度の面で特に好ましい。特に好ましいオキシム系の光重合開始剤としては、O-アセチル-1-[6-(2-メチルベンゾイル)-9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル]エタノンオキシム、O-アセチル-1-[6-(2-メチルベンゾイル)-9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル]エタノンオキシム、及び1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]が挙げられる。
また、ケイ素含有樹脂用の硬化剤として後述するオキシムエステル化合物も、光重合開始剤として好ましく使用される。
光重合開始剤(D1)の含有量は、液状組成物の固形分100質量部に対して0.5質量部以上30質量部以下が好ましく、1質量部以上20質量部以下がより好ましい。
また、この光重合開始剤(D1)に、光開始助剤を組み合わせてもよい。光開始助剤としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、安息香酸2-ジメチルアミノエチル、N,N-ジメチルパラトルイジン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、9,10-ジメトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジメトキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジエトキシアントラセン、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプト-5-メトキシベンゾチアゾール、3-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトプロピオン酸メチル、ペンタエリストールテトラメルカプトアセテート、3-メルカプトプロピオネート等のチオール化合物等が挙げられる。これらの光開始助剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
〔オニウム塩(D2)〕
オニウム塩(D2)は、エポキシ基含有樹脂、エポキシ化合物、又はオキセタン化合物等とともに使用することができ、光又は熱の作用により、エポキシ基含有樹脂、エポキシ化合物、又はオキセタン化合物等の硬化を促進させる。
オニウム塩としては、例えば、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、オキソニウム塩等が挙げられる。これらの中では、入手の容易性や、良好な硬化の点から、スルホニウム塩、及びヨードニウム塩が好ましい。
以下、オニウム塩(D2)の好ましい例について説明する。
オニウム塩(D2)の好ましい一例としては、下記式(D-I)で表されるスルホニウム塩(以下、「スルホニウム塩(Q)」とも記す。)が挙げられる。
(式(D-I)中、R
D1及びR
D2は独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基又は下記式(D-II)で表される基を示す。R
D1及びR
D2は相互に結合して式中の硫黄原子とともに環を形成してもよい。R
D3は下記式(D-III)で表される基又は下記式(D-IV)で表される基を示す。A
D1はS、O、又はSeを示す。X
-は1価のアニオンを示す。但し、R
D1及びR
D2は、同時に、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基ではない。)
(式(D-II)中、環Z
D1は芳香族炭化水素環を示す。R
D4はハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アシロキシ基、アルキルチオ基、チエニル基、チエニルカルボニル基、フラニル基、フラニルカルボニル基、セレノフェニル基、セレノフェニルカルボニル基、複素環式脂肪族炭化水素基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、ヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基、置換されていてよいアミノ基、シアノ基、ニトロ基、又はハロゲン原子を示す。m1は0以上の整数を示す。)
(式(D-III)中、R
D5はヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールチオカルボニル基、アシロキシ基、アリールチオ基、アルキルチオ基、アリール基、複素環式炭化水素基、アリールオキシ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基、置換されていてよいアミノ基、シアノ基、ニトロ基、若しくはハロゲン原子で置換されていてもよいアルキレン基又は下記式(D-V)で表される基を示す。R
D6はヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールチオカルボニル基、アシロキシ基、アリールチオ基、アルキルチオ基、アリール基、複素環式炭化水素基、アリールオキシ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基、置換されていてよいアミノ基、シアノ基、ニトロ基、若しくはハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基又は下記式(D-VI)で表される基を示す。A
D2は単結合、S、O、スルフィニル基、又はカルボニル基を示す。n1は0又は1を示す。)
(式(D-IV)中、R
D7及びR
D8は独立に、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールチオカルボニル基、アシロキシ基、アリールチオ基、アルキルチオ基、アリール基、複素環式炭化水素基、アリールオキシ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基、置換されていてよいアミノ基、シアノ基、ニトロ基、若しくはハロゲン原子で置換されていてもよいアルキレン基又は下記式(D-V)で表される基を示す。R
D9及びR
D10は独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基又は上記式(D-II)で表される基を示す。R
D9及びR
D10は相互に結合して式中の硫黄原子とともに環を形成してもよい。A
D3は単結合、S、O、スルフィニル基、又はカルボニル基を示す。X
-は前記の通りである。n2は0又は1を示す。但し、R
D9及びR
D10は、同時に、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基ではない。)
(式(D-V)中、環Z
D2は芳香族炭化水素環を示す。R
D11はハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールチオカルボニル基、アシロキシ基、アリールチオ基、アルキルチオ基、アリール基、複素環式炭化水素基、アリールオキシ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基、置換されていてよいアミノ基、シアノ基、ニトロ基、又はハロゲン原子を示す。m2は0以上の整数を示す。)
(式(D-VI)中、環Z
D3は芳香族炭化水素環を示す。R
D12はハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールチオカルボニル基、アシロキシ基、アリールチオ基、アルキルチオ基、チエニルカルボニル基、フラニルカルボニル基、セレノフェニルカルボニル基、アリール基、複素環式炭化水素基、アリールオキシ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基、置換されていてよいアミノ基、シアノ基、ニトロ基、又はハロゲン原子を示す。m3は0以上の整数を示す。)
(スルホニウム塩(Q))
以下、スルホニウム塩(Q)について説明する。スルホニウム塩(Q)は、上記式(D-I)中のベンゼン環において、AD1が結合する炭素原子に対してオルト位の炭素原子にメチル基が結合していることを特徴とする。スルホニウム塩(Q)は、上記の位置にメチル基を有するため、従来のスルホニウム塩と比較して、紫外線等の活性エネルギー線に対する感度が高い。
上記式(D-I)において、RD1及びRD2のいずれもが上記式(D-II)で表される基であることが好ましい。RD1及びRD2は互いに同一でも異なっていてもよい。
上記式(D-I)において、RD1及びRD2が相互に結合して式中の硫黄原子とともに環を形成する場合、形成される環を構成する原子数は、硫黄原子を含めて3以上10以下が好ましく、5以上7以下がより好ましい。形成される環は多環でもよく、環構成原子数が5以上7以下である単環が縮合した多環が好ましい。
上記式(D-I)において、RD1及びRD2が、ともにフェニル基であるのが好ましい。
上記式(D-I)において、RD3は上記式(D-III)で表される基であることが好ましい。
上記式(D-I)において、AD1は、S又はOであることが好ましく、Sであることがより好ましい。
上記式(D-II)において、RD4は、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ヒドロキシ基、アルキルカルボニル基、チエニルカルボニル基、フラニルカルボニル基、セレノフェニルカルボニル基、置換されていてよいアミノ基、又はニトロ基であることが好ましく、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、アルキルカルボニル基、又はチエニルカルボニル基であることがより好ましい。
上記式(D-II)において、m1は、環ZD1の種類に応じて選択できる。m1は、例えば、0以上4以下の整数、好ましくは0以上3以下の整数、より好ましくは0以上2以下の整数であってもよい。
上記式(D-III)において、RD5は、アルキレン基;ヒドロキシ基、置換されていてよいアミノ基、若しくはニトロ基で置換されたアルキレン基;又は上記式(D-V)で表される基であることが好ましく、上記式(D-V)で表される基であることがより好ましい。
上記式(D-III)において、RD6は、アルキル基;ヒドロキシ基、置換されていてよいアミノ基、若しくはニトロ基で置換されたアルキル基;又は上記式(D-VI)で表される基であることが好ましく、上記式(D-VI)で表される基であることがより好ましい。
上記式(D-III)において、AD2はS又はOであることが好ましく、Sであることがより好ましい。
上記式(D-III)において、n1は0であることが好ましい。
上記式(D-IV)において、RD7及びRD8は独立に、アルキレン基;ヒドロキシ基、置換されていてよいアミノ基、若しくはニトロ基で置換されたアルキレン基;又は上記式(D-V)で表される基であることが好ましく、上記式(D-V)で表される基であることより好ましい。RD7及びRD8は互いに同一でも異なっていてもよい。
上記式(D-IV)において、RD9及びRD10のいずれもが上記式(D-II)で表される基であることが好ましい。RD9及びRD10は互いに同一でも異なっていてもよい。
上記式(D-IV)において、RD9及びRD10が相互に結合して式中の硫黄原子とともに環を形成する場合、形成される環を構成する原子数は、硫黄原子を含めて3以上10以下が好ましく、5以上7以下がより好ましい。形成される環は多環でもよく、環構成原子数が5以上7以下である単環が縮合した多環が好ましい。
上記式(D-IV)において、AD3は、S又はOであることが好ましく、Sであることがより好ましい。
上記式(D-IV)において、n2は0であることが好ましい。
上記式(D-V)において、RD11は、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ヒドロキシ基、置換されていてよいアミノ基、又はニトロ基であることが好ましく、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基であることがより好ましい。
上記式(D-V)において、m2は、環ZD2の種類に応じて選択できる。m2は、例えば、0以上4以下の整数、好ましくは0以上3以下の整数、より好ましくは0以上2以下の整数であってもよい。
上記式(D-VI)において、RD12は、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ヒドロキシ基、アルキルカルボニル基、チエニルカルボニル基、フラニルカルボニル基、セレノフェニルカルボニル基、置換されていてよいアミノ基、又はニトロ基であることが好ましく、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、アルキルカルボニル基、又はチエニルカルボニル基であることがより好ましい。
上記式(D-VI)において、m3は、環ZD3の種類に応じて選択できる。m3は、例えば、0以上4以下の整数、好ましくは0以上3以下の整数、より好ましくは0以上2以下の整数であってもよい。
上記式(D-I)において、X-は1価のアニオンである。X-としては、1価の多原子アニオンが好適に挙げられ、MYa
-、(Rf)bPF6-b
-、Rx1
cBY4-c
-、Rx1
cGaY4-c
-、Rx2SO3
-、(Rx2SO2)3C-、又は(Rx2SO2)2N-で表されるアニオンがより好ましい。また、X-は、ハロゲンアニオンでもよく、例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等が挙げられる。
Mは、リン原子、ホウ素原子、又はアンチモン原子を表す。
Yはハロゲン原子(フッ素原子が好ましい。)を表す。
Rfは、水素原子の80モル%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基(炭素原子数1以上8以下のアルキル基が好ましい。)を表す。フッ素置換によりRfとするアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びオクチル等の直鎖アルキル基、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル及びtert-ブチル等の分岐鎖アルキル基、並びにシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシル等のシクロアルキル基等が挙げられる。Rfにおいてこれらのアルキル基の水素原子がフッ素原子に置換されている割合は、もとのアルキル基が有していた水素原子のモル数に基づいて、80モル%以上が好ましく、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは100%である。フッ素原子による置換割合がこれら好ましい範囲にあると、スルホニウム塩(Q)の光感応性がさらに良好となる。特に好ましいRfとしては、CF3-、CF3CF2
-、(CF3)2CF-、CF3CF2CF2
-、CF3CF2CF2CF2
-、(CF3)2CFCF2
-、CF3CF2(CF3)CF-及び(CF3)3C-が挙げられる。b個のRfは、相互に独立であり、従って、互いに同一でも異なっていてもよい。
Pはリン原子、Fはフッ素原子を表す。
Rx1は、水素原子の一部が少なくとも1個の元素又は電子求引基で置換されたフェニル基を表す。そのような1個の元素の例としては、ハロゲン原子が含まれ、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子等が挙げられる。電子求引基としては、トリフルオロメチル基、ニトロ基及びシアノ基等が挙げられる。これらのうち、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子又はトリフルオロメチル基で置換されたフェニル基が好ましい。c個のRx1は相互に独立であり、従って、互いに同一でも異なっていてもよい。
Bはホウ素原子、Gaはガリウム原子を表す。
Rx2は、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数1以上20以下のフルオロアルキル基又は炭素原子数6以上20以下のアリール基を表し、アルキル基及びフルオロアルキル基は直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよく、アルキル基、フルオロアルキル基、又はアリール基は無置換であっても、置換基を有していてもよい。上記置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、置換されていてよいアミノ基、ニトロ基等が挙げられる。置換されていてよいアミノ基としては、例えば、上記式(D-II)~(D-VI)に関する後述の説明中で例示する基が挙げられる。
また、Rx2で表されるアルキル基、フルオロアルキル基又はアリール基における炭素鎖は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有していてもよい。特に、Rx2で表されるアルキル基又はフルオロアルキル基における炭素鎖は、例えば、エーテル結合、カルボニル結合、エステル結合、アミノ結合、アミド結合、イミド結合、スルホニル結合、スルホニルアミド結合、スルホニルイミド結合、及びウレタン結合等の2価の官能基を有していてもよい。
Rx2で表されるアルキル基、フルオロアルキル基又はアリール基が上記置換基、ヘテロ原子、又は官能基を有する場合、上記置換基、ヘテロ原子、又は官能基の個数は、1個であっても2個以上であってもよい。
Sは硫黄原子、Oは酸素原子、Cは炭素原子、Nは窒素原子を表す。
aは4以上6以下の整数を表す。
bは、1以上5以下の整数が好ましく、さらに好ましくは2以上4以下の整数、特に好ましくは2又は3である。
cは、1以上4以下の整数が好ましく、さらに好ましくは4である。
MYa
-で表されるアニオンとしては、SbF6
-、PF6
-又はBF4
-で表されるアニオン等が挙げられる。
(Rf)bPF6-b
-で表されるアニオンとしては、(CF3CF2)2PF4
-、(CF3CF2)3PF3
-、((CF3)2CF)2PF4
-、((CF3)2CF)3PF3
-、(CF3CF2CF2)2PF4
-、(CF3CF2CF2)3PF3
-、((CF3)2CFCF2)2PF4
-、((CF3)2CFCF2)3PF3
-、(CF3CF2CF2CF2)2PF4
-又は(CF3CF2CF2CF2)3PF3
-で表されるアニオン等が挙げられる。これらのうち、(CF3CF2)3PF3
-、(CF3CF2CF2)3PF3
-、((CF3)2CF)3PF3
-、((CF3)2CF)2PF4
-、((CF3)2CFCF2)3PF3
-又は((CF3)2CFCF2)2PF4
-で表されるアニオンが好ましい。
Rx1
cBY4-c
-で表されるアニオンとしては、好ましくは
Rx1
cBY4-c
-
(式中、Rx1は水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子又は電子求引基で置換されたフェニル基を示し、Yはハロゲン原子を示し、cは1以上4以下の整数を示す。)
であり、例えば、(C6F5)4B-、((CF3)2C6H3)4B-、(CF3C6H4)4B-、(C6F5)2BF2
-、C6F5BF3
-又は(C6H3F2)4B-で表されるアニオン等が挙げられる。これらのうち、(C6F5)4B-又は((CF3)2C6H3)4B-で表されるアニオンが好ましい。
Rx1
cGaY4-c
-で表されるアニオンとしては、(C6F5)4Ga-、((CF3)2C6H3)4Ga-、(CF3C6H4)4Ga-、(C6F5)2GaF2
-、C6F5GaF3
-又は(C6H3F2)4Ga-で表されるアニオン等が挙げられる。これらのうち、(C6F5)4Ga-又は((CF3)2C6H3)4Ga-で表されるアニオンが好ましい。
Rx2SO3
-で表されるアニオンとしては、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ペンタフルオロエタンスルホン酸アニオン、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸アニオン、ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン、ペンタフルオロフェニルスルホン酸アニオン、p-トルエンスルホン酸アニオン、ベンゼンスルホン酸アニオン、カンファースルホン酸アニオン、メタンスルホン酸アニオン、エタンスルホン酸アニオン、プロパンスルホン酸アニオン及びブタンスルホン酸アニオン等が挙げられる。これらのうち、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン、メタンスルホン酸アニオン、ブタンスルホン酸アニオン、カンファースルホン酸アニオン、ベンゼンスルホン酸アニオン又はp-トルエンスルホン酸アニオンが好ましい。
(Rx2SO2)3C-で表されるアニオンとしては、(CF3SO2)3C-、(C2F5SO2)3C-、(C3F7SO2)3C-又は(C4F9SO2)3C-で表されるアニオン等が挙げられる。
(Rx2SO2)2N-で表されるアニオンとしては、(CF3SO2)2N-、(C2F5SO2)2N-、(C3F7SO2)2N-又は(C4F9SO2)2N-で表されるアニオン等が挙げられる。
1価の多原子アニオンとしては、MYa
-、(Rf)bPF6-b
-、Rx1
cBY4-c
-、Rx1
cGaY4-c
-、Rx2SO3
-、(Rx2SO2)3C-又は(Rx2SO2)2N-で表されるアニオン以外に、過ハロゲン酸イオン(ClO4
-、BrO4
-等)、ハロゲン化スルホン酸イオン(FSO3
-、ClSO3
-等)、硫酸イオン(CH3SO4
-、CF3SO4
-、HSO4
-等)、炭酸イオン(HCO3
-、CH3CO3
-等)、アルミン酸イオン(AlCl4
-、AlF4
-等)、ヘキサフルオロビスマス酸イオン(BiF6
-)、カルボン酸イオン(CH3COO-、CF3COO-、C6H5COO-、CH3C6H4COO-、C6F5COO-、CF3C6H4COO-等)、アリールホウ酸イオン(B(C6H5)4
-、CH3CH2CH2CH2B(C6H5)3
-等)、チオシアン酸イオン(SCN-)及び硝酸イオン(NO3
-)等が使用できる。
これらのX-のうち、カチオン重合性能の点では、MYa
-、(Rf)bPF6-b
-、Rx1
cBY4-c
-、Rx1
cGaY4-c
-及び(Rx2SO2)3C-で表されるアニオンが好ましく、SbF6
-、PF6
-、(CF3CF2)3PF3
-、(C6F5)4B-、((CF3)2C6H3)4B-、(C6F5)4Ga-、((CF3)2C6H3)4Ga-及び(CF3SO2)3C-がより好ましく、Rx1
cBY4-c
-がさらに好ましい。
上記式(D-II)、(D-V)、及び(D-VI)において、芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、縮合多環式芳香族炭化水素環等が挙げられる。縮合多環式芳香族炭化水素環としては、例えば、縮合2環式炭化水素環、縮合3環式芳香族炭化水素環等の縮合2~4環式の縮合多環式芳香族炭化水素環が好ましい。縮合2環式炭化水素環としては、ナフタレン環等のC8-20縮合2環式炭化水素環が好ましく、C10-16縮合2環式炭化水素環がより好ましい。縮合3環式芳香族炭化水素環としては、例えば、アントラセン環、フェナントレン環等が挙げられる。芳香族炭化水素環は、ベンゼン環又はナフタレン環であることが好ましく、ベンゼン環であることがより好ましい。
上記式(D-I)~(D-VI)において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子等が挙げられる。
上記式(D-I)~(D-VI)において、アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-オクチル基、n-デシル基、n-ドデシル基、n-テトラデシル基、n-ヘキサデシル基、及びn-オクタデシル基等の炭素原子数1以上18以下の直鎖アルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、イソヘキシル基、及びイソオクタデシル基等の炭素原子数3以上18以下の分岐鎖アルキル基、並びにシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及び4-デシルシクロヘキシル基等の炭素原子数3以上18以下のシクロアルキル基等が挙げられる。特に、上記式(D-I)、(D-II)、及び(D-IV)~(D-VI)において、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基とは、アルキル基及びハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子で置換されたアルキル基としては、上記の直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、又はシクロアルキル基における少なくとも1個の水素原子をハロゲン原子で置換した基等が挙げられる。ハロゲン原子で置換されたアルキル基の好適な具体例としては、モノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、及びトリフルオロメチル基等が上げられる。ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基のうち、RD1、RD2、RD9、又はRD10については、トリフルオロメチル基が特に好ましく、RD4、RD6、RD11、又はRD12については、メチル基が特に好ましい。
上記式(D-II)~(D-VI)において、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、及びオクタデシルオキシ基等の炭素原子数1以上18以下の直鎖又は分岐鎖アルコキシ基等が挙げられる。
上記式(D-II)~(D-VI)において、アルキルカルボニル基におけるアルキル基としては、上述の炭素原子数1以上18以下の直鎖アルキル基、炭素原子数3以上18以下の分岐鎖アルキル基又は炭素原子数3以上18以下のシクロアルキル基が挙げられ、アルキルカルボニル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、2-メチルプロピオニル基、ヘプタノイル基、2-メチルブタノイル基、3-メチルブタノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、シクロペンタノイル基、及びシクロヘキサノイル基等の炭素原子数2以上18以下の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキルカルボニル基等が挙げられる。
上記式(D-III)~(D-VI)において、アリールカルボニル基としては、ベンゾイル基及びナフトイル基等の炭素原子数7以上11以下のアリールカルボニル基等が挙げられる。
上記式(D-II)~(D-VI)において、アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec-ブトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、テトラデシルオキシカルボニル基、及びオクタデシルオキシカルボニル基等の炭素原子数2以上19以下の直鎖又は分岐鎖アルコキシカルボニル基等が挙げられる。
上記式(D-III)~(D-VI)において、アリールオキシカルボニル基としては、フェノキシカルボニル基及びナフトキシカルボニル基等の炭素原子数7以上11以下のアリールオキシカルボニル基等が挙げられる。
上記式(D-III)~(D-VI)において、アリールチオカルボニル基としては、フェニルチオカルボニル基及びナフトキシチオカルボニル基等の炭素原子数7以上11以下のアリールチオカルボニル基等が挙げられる。
上記式(D-II)~(D-VI)において、アシロキシ基としては、アセトキシ基、エチルカルボニルオキシ基、プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、イソブチルカルボニルオキシ基、sec-ブチルカルボニルオキシ基、tert-ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、テトラデシルカルボニルオキシ基、及びオクタデシルカルボニルオキシ基等の炭素原子数2以上19以下の直鎖又は分岐鎖アシロキシ基等が挙げられる。
上記式(D-III)~(D-VI)において、アリールチオ基としては、フェニルチオ基、2-メチルフェニルチオ基、3-メチルフェニルチオ基、4-メチルフェニルチオ基、2-クロロフェニルチオ基、3-クロロフェニルチオ基、4-クロロフェニルチオ基、2-ブロモフェニルチオ基、3-ブロモフェニルチオ基、4-ブロモフェニルチオ基、2-フルオロフェニルチオ基、3-フルオロフェニルチオ基、4-フルオロフェニルチオ基、2-ヒドロキシフェニルチオ基、4-ヒドロキシフェニルチオ基、2-メトキシフェニルチオ基、4-メトキシフェニルチオ基、1-ナフチルチオ基、2-ナフチルチオ基、4-[4-(フェニルチオ)ベンゾイル]フェニルチオ基、4-[4-(フェニルチオ)フェノキシ]フェニルチオ基、4-[4-(フェニルチオ)フェニル]フェニルチオ基、4-(フェニルチオ)フェニルチオ基、4-ベンゾイルフェニルチオ基、4-ベンゾイル-2-クロロフェニルチオ基、4-ベンゾイル-3-クロロフェニルチオ基、4-ベンゾイル-3-メチルチオフェニルチオ基、4-ベンゾイル-2-メチルチオフェニルチオ基、4-(4-メチルチオベンゾイル)フェニルチオ基、4-(2-メチルチオベンゾイル)フェニルチオ基、4-(p-メチルベンゾイル)フェニルチオ基、4-(p-エチルベンゾイル)フェニルチオ基、4-(p-イソプロピルベンゾイル)フェニルチオ基、及び4-(p-tert-ブチルベンゾイル)フェニルチオ基等の炭素原子数6以上20以下のアリールチオ基等が挙げられる。
上記式(D-II)~(D-VI)において、アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、sec-ブチルチオ基、tert-ブチルチオ基、ペンチルチオ基、イソペンチルチオ基、ネオペンチルチオ基、tert-ペンチルチオ基、オクチルチオ基、デシルチオ基、ドデシルチオ基、及びイソオクタデシルチオ基等の炭素原子数1以上18以下の直鎖又は分岐鎖アルキルチオ基等が挙げられる。
上記式(D-III)~(D-VI)において、アリール基としては、フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、及びナフチル基等の炭素原子数6以上10以下のアリール基等が挙げられる。
上記式(D-II)において、複素環式脂肪族炭化水素基としては、ピロリジニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチエニル基、ピペリジニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、及びモルホリニル基等の炭素原子数2以上20以下の複素環式炭化水素基等が挙げられる。複素環式炭化水素基の炭素原子数は4以上20以下が好ましい。
上記式(D-III)~(D-VI)において、複素環式炭化水素基としては、チエニル基、フラニル基、セレノフェニル基、ピラニル基、ピロリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジニル基、インドリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、フェノチアジニル基、フェナジニル基、キサンテニル基、チアントレニル基、フェノキサジニル基、フェノキサチイニル基、クロマニル基、イソクロマニル基、ジベンゾチエニル基、キサントニル基、チオキサントニル基、及びジベンゾフラニル基等の炭素原子数4以上20以下の複素環式炭化水素基等が挙げられる。
上記式(D-III)~(D-VI)において、アリールオキシ基としては、フェノキシ基及びナフチルオキシ基等の炭素原子数6以上10以下のアリールオキシ基等が挙げられる。
上記式(D-II)~(D-VI)において、アルキルスルフィニル基としては、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、プロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、イソブチルスルフィニル基、sec-ブチルスルフィニル基、tert-ブチルスルフィニル基、ペンチルスルフィニル基、イソペンチルスルフィニル基、ネオペンチルスルフィニル基、tert-ペンチルスルフィニル基、オクチルスルフィニル基、及びイソオクタデシルスルフィニル基等の炭素原子数1以上18以下の直鎖又は分岐鎖スルフィニル基等が挙げられる。
上記式(D-III)~(D-VI)において、アリールスルフィニル基としては、フェニルスルフィニル基、トリルスルフィニル基、及びナフチルスルフィニル基等の炭素原子数6以上10以下のアリールスルフィニル基等が挙げられる。
上記式(D-II)~(D-VI)において、アルキルスルホニル基としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、sec-ブチルスルホニル基、tert-ブチルスルホニル基、ペンチルスルホニル基、イソペンチルスルホニル基、ネオペンチルスルホニル基、tert-ペンチルスルホニル基、オクチルスルホニル基、及びオクタデシルスルホニル基等の炭素原子数1以上18以下の直鎖又は分岐鎖アルキルスルホニル基等が挙げられる。
上記式(D-III)~(D-VI)において、アリールスルホニル基としては、フェニルスルホニル基、トリルスルホニル基(トシル基)、及びナフチルスルホニル基等の炭素原子数6以上10以下のアリールスルホニル基等が挙げられる。
上記式(D-II)~(D-VI)において、ヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基としては、HO(AO)q-で表されるヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基等が挙げられる。式中、AOは独立にエチレンオキシ基及び/又はプロピレンオキシ基を表す。qは1以上5以下の整数を表す。
上記式(D-II)~(D-VI)において、置換されていてよいアミノ基としては、アミノ基(-NH2)、並びにメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n-プロピルアミノ基、メチル-n-プロピルアミノ基、エチル-n-プロピルアミノ基、n-プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、イソプロピルメチルアミノ基、イソプロピルエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、メチルフェニルアミノ基、エチルフェニルアミノ基、n-プロピルフェニルアミノ基、及びイソプロピルフェニルアミノ基等の炭素原子数1以上15以下の置換アミノ基等が挙げられる。
上記式(D-III)及び(D-IV)において、アルキレン基としては、メチレン基、1,2-エチレン基、1,1-エチレン基、プロパン-1,3-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-1,1-ジイル基、プロパン-2,2-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、ブタン-1,2-ジイル基、ブタン-1,1-ジイル基、ブタン-2,2-ジイル基、ブタン-2,3-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ペンタン-1,4-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、2-エチルヘキサン-1,6-ジイル基、ノナン-1,9-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基、ウンデカン-1,11-ジイル基、ドデカン-1,12-ジイル基、トリデカン-1,13-ジイル基、テトラデカン-1,14-ジイル基、ペンタデカン-1,15-ジイル基、及びヘキサデカン-1,16-ジイル基等の炭素原子数1以上18以下の直鎖又は分岐鎖アルキレン基等が挙げられる。
スルホニウム塩(Q)は、例えば、下記スキームに従って合成することができる。具体的には、下記式(D-1)で表される1-フルオロ-2-メチル-4-ニトロベンゼンに、水酸化カリウム等の塩基の存在下で、下記式(D-2)で表される化合物を反応させて、下記式(D-3)で表されるニトロ化合物を得る。次いで、還元鉄の存在下で還元を行って、下記式(D-4)で表されるアミン化合物を得る。このアミン化合物とMaNO2(式中、Maは金属原子、例えば、ナトリウム原子等のアルカリ金属原子を示す。)で表される亜硝酸塩(例えば、亜硝酸ナトリウム)とを反応させてジアゾ化合物を得る。次いで、このジアゾ化合物と、CuX’(式中、X’は臭素原子等のハロゲン原子を示す。以下、同じ)で表されるハロゲン化第一銅と、HX’で表されるハロゲン化水素とを混合し、反応を進行させて、下記式(D-5)で表されるハロゲン化物を得る。このハロゲン化物及びマグネシウムからグリニャール試薬を調製する。次いで、クロロトリメチルシランの存在下で、このグリニャール試薬と下記式(D-6)で表されるスルホキシド化合物とを反応させて、下記式(D-7)で表されるスルホニウム塩を得ることができる。さらに、このスルホニウム塩をMb+X”-(式中、Mb+は金属カチオン、例えば、カリウムイオン等のアルカリ金属カチオンを示し、X”-はX-で表される1価のアニオン(但し、ハロゲンアニオンを除く。)を示す。)で表される塩と反応させて塩交換を行うことにより、下記式(D-8)で表されるスルホニウム塩を得ることができる。なお、下記式(D-2)~(D-8)において、RD1~RD3及びAD1は、上記式(D-I)と同様である。
上記式(D-I)で表されるスルホニウム塩(Q)のカチオン部の具体例としては、以下のカチオン部が挙げられる。上記式(D-I)で表されるスルホニウム塩(Q)のアニオン部の具体例としては、上記X-の説明で挙げたアニオン部等、従来公知のアニオン部を挙げることができる。上記式(D-I)で表されるスルホニウム塩(Q)は上記スキームに従って合成することができ、必要に応じさらに塩交換することにより、カチオン部を所望のアニオン部と組み合わせることができ、特に、Rx1
cBY4-c
-で表されるアニオンとの組み合わせが好ましい。Rx1は水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子又は電子求引基で置換されたフェニル基を示す。Yはハロゲン原子を示す。cは1以上4以下の整数を示す。
上記の好ましいカチオン部の群の中では、下記式で表されるカチオン部がより好ましい。
液状組成物におけるオニウム塩(D2)の含有量は、液状組成物の硬化が良好に進行する限り特に限定されない。液状組成物を良好に硬化させやすい点から、液状組成物におけるオニウム塩(D2)の含有量は、典型的には、エポキシ基含有樹脂、エポキシ化合物、又はオキセタン化合物等のオニウム塩(D2)により硬化する材料100質量部に対して、0.01質量部以上50質量部以上であり、0.01質量部以上30質量部以下が好ましく、0.01質量部以上20質量部以下がより好ましく、0.05質量部以上15質量部以下がさらに好ましく、1質量部以上10質量部以下が特に好ましい。
〔エポキシ基含有樹脂、エポキシ化合物又はオキセタン化合物用硬化剤(D3)〕
エポキシ基含有樹脂、エポキシ化合物又はオキセタン化合物用硬化剤(D3)(以下、硬化剤(D3)とも記す。)は、上記のオニウム塩(D2)以外の硬化剤であって、従来公知の硬化剤から適宜選択することができる。硬化剤(D3)は、エポキシ基含有樹脂、エポキシ化合物又はオキセタン化合物とともに使用してもよく、加熱による硬化に寄与する。
硬化剤(D3)としては、例えば、フェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤、多価アミン系硬化剤、触媒型硬化剤が挙げられる。
フェノール系硬化剤、及び酸無水物系硬化剤の使用量は、液状組成物中の基材成分(C)の量100質量部に対して、1質量部以上200質量部以下が好ましく、50質量部以上150質量部以下がより好ましく、80質量部以上120質量部以下が特に好ましい。フェノール系硬化剤、及び酸無水物系硬化剤は、それぞれ単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
多価アミン系硬化剤の使用量は、液状組成物中の基材成分(C)の量100質量部に対して、0.1質量部以上50質量部以下が好ましく、0.5質量部以上30質量部以下がより好ましく、1質量部15質量部が特に好ましい。これらの多価アミン系硬化剤は、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
触媒型硬化剤の使用量は、液状組成物中の基材成分(C)の量100質量部に対して、1質量部以上100質量部以下が好ましく、1質量部以上80質量部以下がより好ましく、1質量部以上50質量部以下が特に好ましい。これらの触媒型硬化剤は、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
なお、基材成分(C)の量は、特に、エポキシ化合物の量、及びオキセタニル化合物の量の合計である。エポキシ化合物の量、及びオキセタニル化合物の量は、エポキシ基及び/又はオキセタニル基を含有する樹脂の量を含む。
〔ケイ素含有樹脂用硬化剤(D4)〕
ケイ素含有樹脂を基材成分(C)として含む液状組成物は、ケイ素含有樹脂用硬化剤(D4)(以下、硬化剤(D4)とも記す。)を含んでいてもよい。ケイ素含有樹脂を含む液状組成物が硬化剤(D4)を含む場合、N-メチル-2-ピロリドン等の有機溶剤により、溶解、膨潤、変形したりしにくい、有機溶剤耐性に優れる量子ドット含有膜を形成しやすい。
硬化剤(D4)の好適な例としては、塩酸、硫酸、硝酸、ベンゼンスルホン酸、及びp-トルエンスルホン酸等のブレンステッド酸;2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール類;2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルメチルアミン、DBU(1,8-ジアザビシクロ〔5.4.0〕-7-ウンデセン)、DCMU(3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素)等の有機アミン類;三塩化リン、三臭化リン、亜リン酸、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリプロピル等のPX3(式中、Xはハロゲン原子、水酸基、又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基である。)で表されるリン化合物;オキシ三塩化リン、オキシ三臭化リン、リン酸、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル等のPOX3(式中、Xはハロゲン原子、水酸基、又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基である。)で表されるリン化合物;五酸化二リン;ポリリン酸やポリリン酸エステル等の、H(HPO3)xOH(式中、xは1以上の整数である。)で表されるリン化合物;メチルジクロロホスフィン、エチルジクロロホスフィン、メトキシジクロロホスフィン等のRD0PX2(式中、RD0は水素原子又は炭素原子数1以上30以下の有機基であり、該有機基中の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよい。Xはハロゲン原子、水酸基、又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基である。)で表されるリン化合物;亜リン酸ジメチル、亜リン酸ジエチル、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジクロリド、フェニルホスホン酸、フェニルホスホン酸ジクロリド、ベンジルホスホン酸ジエチル等のRD0POX2(式中、RD0は水素原子又は炭素原子数1以上30以下の有機基であり、該有機基中の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよい。Xはハロゲン原子、水酸基、又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基である。)で表されるリン化合物;トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(p-トリル)ホスフィン、トリス(m-トリル)ホスフィン、トリス(o-トリル)ホスフィン、ジフェニルシクロヘキシルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリス(ジメトキシフェニル)ホスフィン、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、1,4-ビスジフェニルホスフィノブタン等の有機リン化合物;三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリプロピル、ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリアミル、ホウ酸トリヘキシル、ホウ酸トリシクロペンチル、ホウ酸トリシクロヘキシル、ホウ酸トリアリル、ホウ酸トリフェニル、ホウ酸エチルジメチル等のBX3(式中、Xはハロゲン原子、水酸基、又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基である。)で表されるホウ素化合物;酸化ホウ素(B2O3);フェニルボロン酸、ジイソプロポキシ(メチル)ボラン、メチルボロン酸、シクロヘキシルボロン酸等のRD0BX2(式中、RD0は水素原子又は炭素原子数1以上30以下の有機基であり、該有機基中の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよい。Xはハロゲン原子、水酸基、又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基である。)で表されるホウ素化合物;トリフェニルホスフィントリフェニルボラン、テトラフェニルホスホニウムテトラ-p-トリルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムジシアナミド、n-ブチルトリフェニルホスホニウムジシアナミド等の有機リン化合物の複合体;三フッ化ホウ素等のルイス酸の有機アミン錯体(有機アミンとしては例えばピペリジン);アザビシクロウンデセン、ジアザビシクロウンデセントルエンスルホン酸塩、又はジアザビシクロウンデセンオクチル酸塩等のアミジン類;が挙げられる。
また、基材成分(C)として上記ポリシランを用いる場合、上記硬化剤(D4)に加えて又は単独で、光又は熱により塩基成分を発生する硬化剤を用いることが好ましい。
(熱により塩基成分を発生する硬化剤)
熱により塩基成分を発生する硬化剤としては、従来から熱塩基発生剤として使用されている化合物を特に限定なく用いることができる。
例えば、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オンを、熱により塩基成分を発生する効果剤として用いることができる。なお、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オンは光の作用によっても塩基を発生させる。
また、加熱により下式(d1)で表されるイミダゾール化合物を発生させる化合物(以下、熱イミダゾール発生剤とも記す)も、硬化剤として好ましく使用される。
(式(d1)中、R
d1、R
d2、及びR
d3は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、ホスフィノ基、スルホナト基、ホスフィニル基、ホスホナト基、又は有機基を示す。)
Rd1、Rd2、及びRd3における有機基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。この有機基は、該有機基中にヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでいてもよい。また、この有機基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。この有機基は、通常は1価であるが、環状構造を形成する場合等には、2価以上の有機基となり得る。
Rd1及びRd2は、それらが結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子の結合をさらに含んでいてもよい。環状構造としては、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基等が挙げられ、縮合環であってもよい。
Rd1、Rd2、及びRd3の有機基に含まれる結合は、本発明の効果が損なわれない限り特に限定されず、有機基は、酸素原子、窒素原子、珪素原子等のヘテロ原子を含む結合を含んでいてもよい。ヘテロ原子を含む結合の具体例としては、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、イミノ結合(-N=C(-Rd0)-、-C(=NRd0)-:Rd0は水素原子又は有機基を示す)、カーボネート結合、スルホニル結合、スルフィニル結合、アゾ結合等が挙げられる。
Rd1、Rd2、及びRd3の有機基が有してもよいヘテロ原子を含む結合としては、イミダゾール化合物の耐熱性の観点から、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、イミノ結合(-N=C(-Rd0)-、-C(=NRd0)-:Rd0は水素原子又は有機基を示す)、カーボネート結合、スルホニル結合、スルフィニル結合が好ましい。
Rd1、Rd2、及びRd3の有機基が炭化水素基以外の置換基である場合、Rd1、Rd2、及びRd3は本発明の効果が損なわれない限り特に限定されない。Rd1、Rd2、及びRd3の具体例としては、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボキシラート基、アシル基、アシルオキシ基、スルフィノ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホナト基、アルキルエーテル基、アルケニルエーテル基、アルキルチオエーテル基、アルケニルチオエーテル基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基等が挙げられる。上記置換基に含まれる水素原子は、炭化水素基によって置換されていてもよい。また、上記置換基に含まれる炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、及び環状のいずれでもよい。
Rd1、Rd2、及びRd3としては、水素原子、炭素原子数1以上12以下のアルキル基、炭素原子数6以上12以下のアリール基、炭素原子数1以上12以下のアルコキシ基、及びハロゲン原子が好ましく、水素原子がより好ましい。
熱イミダゾール発生剤は、加熱により上記式(d1)で表されるイミダゾール化合物を発生させることができる化合物であれば特に限定されない。従来から種々の組成物に配合されている、熱の作用によりアミンを発生する化合物(熱塩基発生剤)について、加熱時に発生するアミンに由来する骨格を、上記式(d1)で表されるイミダゾール化合物に由来する骨格に置換することにより、熱イミダゾール発生剤として使用される化合物が得られる。
好適な熱イミダゾール発生剤としては、下記式(d2):
(式(d2)中、R
d1、R
d2、及びR
d3は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホナト基、又は有機基を示す。R
d4及びR
d5は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、又は有機基を示す。R
d6、R
d7、R
d8、R
d9、及びR
d10は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基、又は有機基を示す。R
d6、R
d7、R
d8、R
d9、及びR
d10は、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子の結合を含んでいてもよい。)
で表される化合物が挙げられる。
式(d2)において、Rd1、Rd2、及びRd3は、式(d1)におけるRd1、Rd2、及びRd3と同様である。
式(d2)において、Rd4及びRd5は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、又は有機基を示す。
Rd4及びRd5における有機基としては、Rd1、Rd2、及びRd3について例示した有機基が挙げられる。この有機基は、Rd1、Rd2、及びRd3の場合と同様に、該有機基中にヘテロ原子を含んでいてもよい。また、この有機基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。
以上の中でも、Rd4及びRd5としては、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1以上10以下のアルキル基、炭素原子数4以上13以下のシクロアルキル基、炭素原子数4以上13以下のシクロアルケニル基、炭素原子数7以上16以下のアリールオキシアルキル基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、シアノ基を有する炭素原子数2以上11以下のアルキル基、水酸基を有する炭素原子数1以上10以下のアルキル基、炭素原子数1以上10以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上11以下のアミド基、炭素原子数1以上10以下のアルキルチオ基、炭素原子数1以上10以下のアシル基、炭素原子数2以上11以下のエステル基(-COORd、-OCORd:Rdは炭化水素基を示す)、炭素原子数6以上20以下のアリール基、電子供与性基及び/又は電子吸引性基が置換した炭素原子数6以上20以下のアリール基、電子供与性基及び/又は電子吸引性基が置換したベンジル基、シアノ基、メチルチオ基であることが好ましい。より好ましくは、Rd4及びRd5の両方が水素原子であるか、又はRd4がメチル基であり、Rd5が水素原子である。
式(d2)において、Rd6、Rd7、Rd8、Rd9、及びRd10は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基、又は有機基を示す。
Rd6、Rd7、Rd8、Rd9、及びRd10における有機基としては、Rd1、Rd2、及びRd3において例示した有機基が挙げられる。この有機基は、Rd1及びRd2の場合と同様に、該有機基中にヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでいてもよい。また、この有機基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。
Rd6、Rd7、Rd8、Rd9、及びRd10は、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子の結合を含んでいてもよい。環状構造としては、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基等が挙げられ、縮合環であってもよい。例えば、Rd6、Rd7、Rd8、Rd9、及びRd10は、それらの2つ以上が結合して、Rd6、Rd7、Rd8、Rd9、及びRd10が結合しているベンゼン環の原子を共有してナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インデン等の縮合環を形成してもよい。
以上の中でも、Rd6、Rd7、Rd8、Rd9、及びRd10としては、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1以上10以下のアルキル基、炭素原子数4以上13以下のシクロアルキル基、炭素原子数4以上13以下のシクロアルケニル基、炭素原子数7以上16以下のアリールオキシアルキル基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、シアノ基を有する炭素原子数2以上11以下のアルキル基、水酸基を有する炭素原子数1以上10以下のアルキル基、炭素原子数1以上10以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上11以下のアミド基、炭素原子数1以上10以下のアルキルチオ基、炭素原子数1以上10以下のアシル基、炭素原子数2以上11以下のエステル基、炭素原子数6以上20以下のアリール基、電子供与性基及び/又は電子吸引性基が置換した炭素原子数6以上20以下のアリール基、電子供与性基及び/又は電子吸引性基が置換したベンジル基、シアノ基、メチルチオ基、ニトロ基であることが好ましい。
また、Rd6、Rd7、Rd8、Rd9、及びRd10としては、それらの2つ以上が結合して、Rd6、Rd7、Rd8、Rd9、及びRd10が結合しているベンゼン環の原子を共有してナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インデン等の縮合環を形成している場合も好ましい。
上記式(d2)で表される化合物の中では、下記式(d3):
(式(d3)中、R
d1、R
d2、及びR
d3は、式(d1)及び(d2)と同義である。R
d4~R
d9は式(d2)と同義である。R
d11は、水素原子又は有機基を示す。R
d6及びR
d7が水酸基となることはない。R
d6、R
d7、R
d8、及びR
d9は、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子の結合を含んでいてもよい。)
で表される化合物が好ましい。
式(d3)で表される化合物は、置換基-O-Rd11を有するため、有機溶媒に対する溶解性に優れる。
式(d3)において、Rd11は、水素原子又は有機基である。Rd11が有機基である場合、有機基としては、Rd1、Rd2、及びRd3において例示した有機基が挙げられる。この有機基は、該有機基中にヘテロ原子を含んでいてもよい。また、この有機基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。Rd11としては、水素原子、炭素原子数1以上12以下のアルキル基若しくはアルコキシアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基がより好ましい。
熱イミダゾール発生剤として特に好適な化合物の具体例を以下に示す。
(オキシムエステル化合物)
オキシムエステル化合物は、光の作用により分解して塩基を発生する。好適なオキシムエステル化合物としては、下記式(d4)で表される化合物が挙げられる。
上記式(d4)中、Rd12は、炭素原子数1以上10以下のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいカルバゾリル基を示す。t1は、0又は1である。Rd13は、置換基を有してもよい炭素原子数1以上10以下のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいカルバゾリル基を示す。Rd14は、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を示す。
Rd12が炭素原子数1以上10以下のアルキル基である場合、アルキル基は直鎖であっても分岐鎖であってもよい。この場合、アルキル基の炭素原子数は、1以上8以下が好ましく、1以上5以下がより好ましい。
Rd12が、置換基を有してもよいフェニル基である場合、置換基の種類は本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。フェニル基が有していてもよい置換基の好適な例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、アミノ基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン-1-イル基、及びピペラジン-1-イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。Rd12が、置換基を有してもよいフェニル基であり、フェニル基が複数の置換基を有する場合、複数の置換基は同一であっても異なっていてもよい。
フェニル基が有する置換基がアルキル基である場合、その炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上10以下がより好ましく、1以上6以下がさらに好ましく、1以上3以下が特に好ましく、1が最も好ましい。また、アルキル基は、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。フェニル基が有する置換基がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(-O-)を含んでいてもよい。この場合、フェニル基が有する置換基としては、例えば、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシアルキル基が挙げられる。フェニル基が有する置換基がアルコキシアルキル基である場合、-Rd15-O-Rd16で表される基が好ましい。Rd15は、炭素原子数1以上10以下の直鎖でも分岐鎖であってもよいアルキレン基である。Rd16は、炭素原子数1以上10以下の直鎖でも分岐鎖であってもよいアルキル基である。Rd15の炭素原子数は、1以上8以下が好ましく、1以上5以下がより好ましく、1以上3以下が特に好ましい。Rd16の炭素原子数は、1以上8以下が好ましく、1以上5以下がより好ましく、1以上3以下が特に好ましく、1が最も好ましい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
フェニル基が有する置換基がアルコキシ基である場合、その炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。また、アルコキシ基は、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。フェニル基が有する置換基がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec-ペンチルオキシ基、tert-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec-オクチルオキシ基、tert-オクチルオキシ基、n-ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(-O-)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、2-メトキシ-1-メチルエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
フェニル基が有する置換基がシクロアルキル基、又はシクロアルコキシ基である場合、その炭素原子数は、3以上10以下が好ましく、3以上6以下がより好ましい。フェニル基が有する置換基がシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。フェニル基が有する置換基がシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
フェニル基が有する置換基が飽和脂肪族アシル基、又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、その炭素原子数は、2以上20以下が好ましく、2以上7以下がより好ましい。フェニル基が有する置換基が飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n-ブタノイル基、2-メチルプロパノイル基、n-ペンタノイル基、2,2-ジメチルプロパノイル基、n-ヘキサノイル基、n-ヘプタノイル基、n-オクタノイル基、n-ノナノイル基、n-デカノイル基、n-ウンデカノイル基、n-ドデカノイル基、n-トリデカノイル基、n-テトラデカノイル基、n-ペンタデカノイル基、及びn-ヘキサデカノイル基等が挙げられる。フェニル基が有する置換基が飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n-ブタノイルオキシ基、2-メチルプロパノイルオキシ基、n-ペンタノイルオキシ基、2,2-ジメチルプロパノイルオキシ基、n-ヘキサノイルオキシ基、n-ヘプタノイルオキシ基、n-オクタノイルオキシ基、n-ノナノイルオキシ基、n-デカノイルオキシ基、n-ウンデカノイルオキシ基、n-ドデカノイルオキシ基、n-トリデカノイルオキシ基、n-テトラデカノイルオキシ基、n-ペンタデカノイルオキシ基、及びn-ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
フェニル基が有する置換基がアルコキシカルボニル基である場合、その炭素原子数は、2以上20以下が好ましく、2以上7以下がより好ましい。フェニル基が有する置換基がアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n-ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec-ブチルオキシカルボニル基、tert-ブチルオキシカルボニル基、n-ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec-ペンチルオキシカルボニル基、tert-ペンチルオキシカルボニル基、n-ヘキシルオキシカルボニル基、n-ヘプチルオキシカルボニル基、n-オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec-オクチルオキシカルボニル基、tert-オクチルオキシカルボニル基、n-ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n-デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
フェニル基が有する置換基がフェニルアルキル基である場合、その炭素原子数は、7以上20以下が好ましく、7以上10以下がより好ましい。またフェニル基が有する置換基がナフチルアルキル基である場合、その炭素原子数は、11以上20以下が好ましく、11以上14以下がより好ましい。フェニル基が有する置換基がフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2-フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基、及び4-フェニルブチル基が挙げられる。フェニル基が有する置換基がナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α-ナフチルメチル基、β-ナフチルメチル基、2-(α-ナフチル)エチル基、及び2-(β-ナフチル)エチル基が挙げられる。フェニル基が有する置換基がフェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、置換基は、フェニル基又はナフチル基上にさらに置換基を有していてもよい。
フェニル基が有する置換基がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、縮合環を構成する単環の数を3までとする。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、及びキノキサリン等が挙げられる。フェニル基が有する置換基がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基はさらに置換基を有していてもよい。
フェニル基が有する置換基が1又は2の有機基で置換されたアミノ基である場合、有機基の好適な例は、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数2以上20以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上20以下の飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素原子数11以上20以下のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。これらの好適な有機基の具体例としては、フェニル基が有する置換基について上記した基と同様の基が挙げられる。1、又は2の有機基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n-プロピルアミノ基、ジ-n-プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n-ブチルアミノ基、ジ-n-ブチルアミノ基、n-ペンチルアミノ基、n-ヘキシルアミノ基、n-ヘプチルアミノ基、n-オクチルアミノ基、n-ノニルアミノ基、n-デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n-ブタノイルアミノ基、n-ペンタノイルアミノ基、n-ヘキサノイルアミノ基、n-ヘプタノイルアミノ基、n-オクタノイルアミノ基、n-デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、α-ナフトイルアミノ基、β-ナフトイルアミノ基、及びN-アセチル-N-アセチルオキシアミノ基等が挙げられる。
フェニル基が有する置換基に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン-1-イル基、ピペラジン-1-イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。フェニル基が有する置換基に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1以上4以下が好ましい。フェニル基が有する置換基に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
以上、Rd12が置換基を有してもよいフェニル基である場合の置換基について説明したが、これらの置換基の中では、アルキル基又はアルコキシアルキル基が好ましい。
Rd12が置換基を有してもよいフェニル基である場合、置換基の数と、置換基の結合位置とは、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。Rd12が、置換基を有してもよいフェニル基である場合、塩基の発生効率に優れる点で、置換基を有してもよいフェニル基は、置換基を有していてもよいo-トリル基であるのが好ましい。
Rd12が置換基を有してもよいカルバゾリル基である場合、置換基の種類は本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。カルバゾリル基が炭素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数1以上20以下のアルコキシ基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルコキシ基、炭素原子数2以上20以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上20以下のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2以上20以下の飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいフェニルチオ基、置換基を有してもよいフェニルカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフチルカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数11以上20以下のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、アミノ基、1又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン-1-イル基、及びピペラジン-1-イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。
Rd12が置換基を有してもよいカルバゾリル基である場合、カルバゾリル基が窒素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数2以上20以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上20以下のアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数11以上20以下のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基等が挙げられる。これらの置換基の中では、炭素原子数1以上20以下のアルキル基が好ましく、炭素原子数1以上6以下のアルキル基がより好ましく、エチル基が特に好ましい。
カルバゾリル基が有してもよい置換基の具体例について、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び1又は2の有機基で置換されたアミノ基に関しては、Rd12が置換基を有してもよいフェニル基である場合の、フェニル基が有する置換基の例と同様である。
Rd12において、カルバゾリル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基の例としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基;炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基;炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基;炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基;炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシルオキシ基;フェニル基;ナフチル基;ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基、モルホリン-1-イル基、ピペラジン-1-イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するジアルキルアミノ基;モルホリン-1-イル基;ピペラジン-1-イル基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基が挙げられる。カルバゾリル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1以上4以下が好ましい。フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
Rd13は、置換基を有してもよい炭素原子数1以上10以下のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいカルバゾリル基である。
Rd13が置換基を有してもよい炭素原子数1以上10以下のアルキル基である場合、アルキル基は直鎖であっても分岐鎖であってもよい。この場合、アルキル基の炭素原子数は、1以上8以下が好ましく、1以上5以下がより好ましい。
Rd13において、アルキル基、フェニル基、又はカルバゾリル基が有する置換基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。
アルキル基が炭素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、炭素原子数1以上20以下のアルコキシ基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルコキシ基、炭素原子数2以上20以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上20以下のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2以上20以下の飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいフェニルチオ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数11以上20以下のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、アミノ基、1又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン-1-イル基、及びピペラジン-1-イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。
フェニル基、及びカルバゾリル基が炭素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、アルキル基が炭素原子上に有してもよい好適な置換基として上記で例示した基に加えて、炭素原子数1以上20以下のアルキル基が挙げられる。
アルキル基、フェニル基、又はカルバゾリル基が有してもよい置換基の具体例について、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び1又は2の有機基で置換されたアミノ基に関しては、Rd12が置換基を有してもよいフェニル基である場合の、フェニル基が有する置換基の例と同様である。
Rd13において、アルキル基、フェニル基、又はカルバゾリル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基の例としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基;炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基;炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基;炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基;炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシルオキシ基;フェニル基;ナフチル基;ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基、モルホリン-1-イル基、ピペラジン-1-イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するジアルキルアミノ基;モルホリン-1-イル基;ピペラジン-1-イル基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基が挙げられる。アルキル基又はフェニル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1以上4以下が好ましい。フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
式(d4)で表される化合物の塩基発生効率の点から、R
d13としては、下記式(d5):
で表される基、及び下記式(d6):
で表される基が好ましい。
式(d5)中、Rd17及びRd18は、それぞれ1価の有機基である。t2は0又は1である。式(d6)中、Rd19は、1価の有機基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される基である。AdはS又はOである。t3は0以上4以下の整数である。
式(d5)におけるRd17は、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。Rd17の好適な例としては、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数2以上20以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上20以下のアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数11以上20以下のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基等が挙げられる。
Rd17の中では、炭素原子数1以上20以下のアルキル基が好ましく、炭素原子数1以上6以下のアルキル基がより好ましく、エチル基が特に好ましい。
式(d5)におけるRd18は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から選択できる。Rd18として好適な基の具体例としては、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリル基が挙げられる。Rd18として、これらの基の中では置換基を有してもよいフェニル基、及び置換基を有してもよいナフチル基がより好ましく、2-メチルフェニル基及びナフチル基が特に好ましい。
Rd17又はRd18に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン-1-イル基、ピペラジン-1-イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。Rd17又はRd18に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1以上4以下が好ましい。Rd17又はRd18に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
式(d6)におけるRd19が有機基である場合、Rd19は、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。式(d6)においてRd19が有機基である場合の好適な例としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基;炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基;炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基;炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基;炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシルオキシ基;フェニル基;ナフチル基;ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基、モルホリン-1-イル基、ピペラジン-1-イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するジアルキルアミノ基;モルホリン-1-イル基;ピペラジン-1-イル基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基;2-メチルフェニルカルボニル基;4-(ピペラジン-1-イル)フェニルカルボニル基;4-(フェニル)フェニルカルボニル基が挙げられる。
Rd19の中では、ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基、モルホリン-1-イル基、ピペラジン-1-イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;ニトロ基が好ましく、ベンゾイル基;ナフトイル基;2-メチルフェニルカルボニル基;4-(ピペラジン-1-イル)フェニルカルボニル基;4-(フェニル)フェニルカルボニル基がより好ましい。
また、式(d6)において、t3、0以上3以下の整数が好ましく、0以上2以下の整数がより好ましく、0又は1であるのが特に好ましい。t3が1である場合、Rd19の結合する位置は、Rd19が結合するフェニル基が硫黄原子と結合する結合手に対して、パラ位であるのが好ましい。
Rd14は、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基である。置換基を有していてもよいフェニル基である場合、フェニル基が有していてもよい置換基は、Rd12が置換基を有していてもよいフェニル基である場合と同様である。Rd14としては、メチル基、エチル基、又はフェニル基が好ましく、メチル基又はフェニル基がより好ましい。
上記式(d4)で表される化合物としては、下記式(d7)で表される化合物が挙げられる。
上記式(d7)中、t1及びRd13は上記の通りである。Rd20は、1価の有機基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される基である。t4は0以上4以下の整数である。Rd21は、水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基である。
上記式(d7)中、Rd20は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、有機基である場合、種々の有機基から適宜選択される。Rd20の好適な例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、アミノ基、1又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン-1-イル基、ピペラジン-1-イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。t4が2以上4以下の整数である場合、Rd20は同一であっても異なっていてもよい。また、置換基の炭素原子数には、置換基がさらに有する置換基の炭素原子数を含まない。
Rd20がアルキル基である場合、炭素原子数1以上20以下が好ましく、炭素原子数1以上6以下がより好ましい。また、Rd20がアルキル基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rd20がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、Rd20がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(-O-)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
Rd20がアルコキシ基である場合、炭素原子数1以上20以下が好ましく、炭素原子数1以上6以下がより好ましい。また、Rd20がアルコキシ基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rd20がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec-ペンチルオキシ基、tert-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec-オクチルオキシ基、tert-オクチルオキシ基、n-ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、Rd20がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(-O-)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
Rd20がシクロアルキル基又はシクロアルコキシ基である場合、炭素原子数3以上10以下が好ましく、炭素原子数3以上6以下がより好ましい。Rd20がシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。Rd20がシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
Rd20が飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、炭素原子数2以上20以下が好ましく、炭素原子数2以上7以下がより好ましい。Rd20が飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n-ブタノイル基、2-メチルプロパノイル基、n-ペンタノイル基、2,2-ジメチルプロパノイル基、n-ヘキサノイル基、n-ヘプタノイル基、n-オクタノイル基、n-ノナノイル基、n-デカノイル基、n-ウンデカノイル基、n-ドデカノイル基、n-トリデカノイル基、n-テトラデカノイル基、n-ペンタデカノイル基、及びn-ヘキサデカノイル基等が挙げられる。Rd20が飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n-ブタノイルオキシ基、2-メチルプロパノイルオキシ基、n-ペンタノイルオキシ基、2,2-ジメチルプロパノイルオキシ基、n-ヘキサノイルオキシ基、n-ヘプタノイルオキシ基、n-オクタノイルオキシ基、n-ノナノイルオキシ基、n-デカノイルオキシ基、n-ウンデカノイルオキシ基、n-ドデカノイルオキシ基、n-トリデカノイルオキシ基、n-テトラデカノイルオキシ基、n-ペンタデカノイルオキシ基、及びn-ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
Rd20がアルコキシカルボニル基である場合、炭素原子数2以上20以下が好ましく、炭素原子数2以上7以下がより好ましい。Rd20がアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n-ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec-ブチルオキシカルボニル基、tert-ブチルオキシカルボニル基、n-ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec-ペンチルオキシカルボニル基、tert-ペンチルオキシカルボニル基、n-ヘキシルオキシカルボニル基、n-ヘプチルオキシカルボニル基、n-オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec-オクチルオキシカルボニル基、tert-オクチルオキシカルボニル基、n-ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n-デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
Rd20がフェニルアルキル基である場合、炭素原子数7以上20以下が好ましく、炭素原子数7以上10以下がより好ましい。またRd20がナフチルアルキル基である場合、炭素原子数11以上20以下が好ましく、炭素原子数11以上14以下がより好ましい。Rd20がフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2-フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基、及び4-フェニルブチル基が挙げられる。Rd20がナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α-ナフチルメチル基、β-ナフチルメチル基、2-(α-ナフチル)エチル基、及び2-(β-ナフチル)エチル基が挙げられる。Rd20が、フェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、Rd20は、フェニル基、又はナフチル基上にさらに置換基を有していてもよい。
Rd20がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、縮合環を構成する単環の数を3までとする。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、及びキノキサリン等が挙げられる。Rd20がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基はさらに置換基を有していてもよい。
Rd20が1又は2の有機基で置換されたアミノ基である場合、有機基の好適な例は、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数2以上20以下の飽和脂肪族アシル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素原子数11以上20以下のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。これらの好適な有機基の具体例は、Rd20と同様である。1又は2の有機基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n-プロピルアミノ基、ジ-n-プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n-ブチルアミノ基、ジ-n-ブチルアミノ基、n-ペンチルアミノ基、n-ヘキシルアミノ基、n-ヘプチルアミノ基、n-オクチルアミノ基、n-ノニルアミノ基、n-デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n-ブタノイルアミノ基、n-ペンタノイルアミノ基、n-ヘキサノイルアミノ基、n-ヘプタノイルアミノ基、n-オクタノイルアミノ基、n-デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、α-ナフトイルアミノ基、及びβ-ナフトイルアミノ基等が挙げられる。
Rd20に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン-1-イル基、ピペラジン-1-イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。Rd20に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1以上4以下が好ましい。Rd20に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
Rd20の中では、化学的に安定であることや、立体的な障害が少なく、オキシムエステル化合物の合成が容易であること等から、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、及び炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基からなる群より選択される基が好ましく、炭素原子数1以上6以下のアルキルがより好ましく、メチル基が特に好ましい。
Rd20がフェニル基に結合する位置は、Rd20が結合するフェニル基について、フェニル基とオキシムエステル化合物の主骨格との結合手の位置を1位とし、メチル基の位置を2位とする場合に、4位、又は5位が好ましく、5位がより好ましい。また、t4は、0以上3以下の整数が好ましく、0以上2以下の整数がより好ましく、0又は1が特に好ましい。
上記式(d7)におけるRd21は、水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基である。Rd21としては、メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
式(d4)で表されるオキシムエステル化合物として特に好適な化合物の具体例を以下に示す。
下式(d8)で表される化合物も、オキシムエステル化合物として好適に使用される。
(R
d22は水素原子、ニトロ基又は1価の有機基であり、R
d23及びR
d24は、それぞれ、置換基を有してもよい鎖状アルキル基、置換基を有してもよい環状有機基、又は水素原子である。R
d23及びR
d24とは相互に結合して環を形成してもよい。R
d25は1価の有機基である。R
d26は、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上11以下のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基である。t6は0以上4以下の整数である。t5は0又は1である。)
式(d8)中、Rd22は、水素原子、ニトロ基又は1価の有機基である。Rd22は、式(d8)中のフルオレン環上で、-(CO)t5-で表される基に結合する6員芳香環とは、異なる6員芳香環に結合する。式(d8)中、Rd22のフルオレン環に対する結合位置は特に限定されない。式(d8)で表される化合物が1以上のRd22を有する場合、式(d8)で表される化合物の合成が容易であること等から、1以上のRd22のうちの1つがフルオレン環中の2位に結合するのが好ましい。Rd22が複数である場合、複数のRd22は同一であっても異なっていてもよい。
Rd22が有機基である場合、Rd22は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から適宜選択される。Rd22が有機基である場合の好適な例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン-1-イル基、及びピペラジン-1-イル基等が挙げられる。
Rd22がアルキル基である場合、アルキル基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。また、Rd22がアルキル基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rd22がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、Rd22がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(-O-)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
Rd22がアルコキシ基である場合、アルコキシ基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。また、Rd22がアルコキシ基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rd22がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec-ペンチルオキシ基、tert-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec-オクチルオキシ基、tert-オクチルオキシ基、n-ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、Rd22がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(-O-)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
Rd22がシクロアルキル基又はシクロアルコキシ基である場合、シクロアルキル基又はシクロアルコキシ基の炭素原子数は、3以上10以下が好ましく、3以上6以下がより好ましい。Rd22がシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。Rd22がシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
Rd22が飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、2以上21以下が好ましく、2以上7以下がより好ましい。Rd22が飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n-ブタノイル基、2-メチルプロパノイル基、n-ペンタノイル基、2,2-ジメチルプロパノイル基、n-ヘキサノイル基、n-ヘプタノイル基、n-オクタノイル基、n-ノナノイル基、n-デカノイル基、n-ウンデカノイル基、n-ドデカノイル基、n-トリデカノイル基、n-テトラデカノイル基、n-ペンタデカノイル基、及びn-ヘキサデカノイル基等が挙げられる。Rd22が飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n-ブタノイルオキシ基、2-メチルプロパノイルオキシ基、n-ペンタノイルオキシ基、2,2-ジメチルプロパノイルオキシ基、n-ヘキサノイルオキシ基、n-ヘプタノイルオキシ基、n-オクタノイルオキシ基、n-ノナノイルオキシ基、n-デカノイルオキシ基、n-ウンデカノイルオキシ基、n-ドデカノイルオキシ基、n-トリデカノイルオキシ基、n-テトラデカノイルオキシ基、n-ペンタデカノイルオキシ基、及びn-ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
Rd22がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2以上20以下が好ましく、2以上7以下がより好ましい。Rd22がアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n-ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec-ブチルオキシカルボニル基、tert-ブチルオキシカルボニル基、n-ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec-ペンチルオキシカルボニル基、tert-ペンチルオキシカルボニル基、n-ヘキシルオキシカルボニル基、n-ヘプチルオキシカルボニル基、n-オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec-オクチルオキシカルボニル基、tert-オクチルオキシカルボニル基、n-ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n-デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
Rd22がフェニルアルキル基である場合、フェニルアルキル基の炭素原子数は、7以上20以下が好ましく、7以上10以下がより好ましい。また、Rd22がナフチルアルキル基である場合、ナフチルアルキル基の炭素原子数は、11以上20以下が好ましく、11以上14以下がより好ましい。Rd22がフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2-フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基、及び4-フェニルブチル基が挙げられる。Rd22がナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α-ナフチルメチル基、β-ナフチルメチル基、2-(α-ナフチル)エチル基、及び2-(β-ナフチル)エチル基が挙げられる。Rd22が、フェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、Rd22は、フェニル基、又はナフチル基上にさらに置換基を有していてもよい。
Rd22がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、縮合環を構成する単環の数を3までとする。ヘテロシクリル基は、芳香族基(ヘテロアリール基)であっても、非芳香族基であってもよい。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、キノキサリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。Rd22がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基はさらに置換基を有していてもよい。
Rd22がヘテロシクリルカルボニル基である場合、ヘテロシクリルカルボニル基に含まれるヘテロシクリル基は、Rd22がヘテロシクリル基である場合と同様である。
Rd22が1又は2の有機基で置換されたアミノ基である場合、有機基の好適な例は、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数2以上21以下の飽和脂肪族アシル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素原子数11以上20以下のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。これらの好適な有機基の具体例は、Rd22と同様である。1、又は2の有機基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n-プロピルアミノ基、ジ-n-プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n-ブチルアミノ基、ジ-n-ブチルアミノ基、n-ペンチルアミノ基、n-ヘキシルアミノ基、n-ヘプチルアミノ基、n-オクチルアミノ基、n-ノニルアミノ基、n-デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n-ブタノイルアミノ基、n-ペンタノイルアミノ基、n-ヘキサノイルアミノ基、n-ヘプタノイルアミノ基、n-オクタノイルアミノ基、n-デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、α-ナフトイルアミノ基、及びβ-ナフトイルアミノ基等が挙げられる。
Rd22に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン-1-イル基、ピペラジン-1-イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。Rd22に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1以上4以下が好ましい。Rd22に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
以上説明した基の中でも、Rd22としては、ニトロ基、又はRd27-CO-で表される基であると、感度が向上する傾向があり好ましい。Rd27は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から選択できる。Rd27として好適な基の例としては、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリル基が挙げられる。Rd27として、これらの基の中では、2-メチルフェニル基、チオフェン-2-イル基、及びα-ナフチル基が特に好ましい。
また、Rd22が水素原子であるのも好ましい。Rd22が水素原子である場合、Rd25が後述の式(d10)で表される基であるのが好ましい。
式(d8)中、Rd23及びRd24は、それぞれ、置換基を有してもよい鎖状アルキル基、置換基を有してもよい環状有機基、又は水素原子である。Rd23及びRd24とは相互に結合して環を形成してもよい。これらの基の中では、Rd23及びRd24として、置換基を有してもよい鎖状アルキル基が好ましい。Rd23及びRd24が置換基を有してもよい鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基は直鎖アルキル基でも分岐鎖アルキル基でもよい。
Rd23及びRd24が置換基を持たない鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上10以下がより好ましく、1以上6以下が特に好ましい。Rd23及びRd24が鎖状アルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、Rd23及びRd24がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(-O-)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
Rd23及びRd24が置換基を有する鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上10以下がより好ましく、1以上6以下が特に好ましい。この場合、置換基の炭素原子数は、鎖状アルキル基の炭素原子数に含まれない。置換基を有する鎖状アルキル基は、直鎖状であるのが好ましい。
アルキル基が有してもよい置換基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。置換基の好適な例としては、シアノ基、ハロゲン原子、環状有機基、及びアルコキシカルボニル基が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。これらの中では、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。環状有機基としては、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基、ヘテロシクリル基が挙げられる。シクロアルキル基の具体例としては、Rd22がシクロアルキル基である場合の好適な例と同様である。芳香族炭化水素基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、及びフェナントリル基等が挙げられる。ヘテロシクリル基の具体例としては、Rd22がヘテロシクリル基である場合の好適な例と同様である。Rd22がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基に含まれるアルコキシ基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。アルコキシカルボニル基に含まれるアルコキシ基の炭素原子数は、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。
鎖状アルキル基が置換基を有する場合、置換基の数は特に限定されない。好ましい置換基の数は鎖状アルキル基の炭素原子数に応じて変わる。置換基の数は、典型的には、1以上20以下であり、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。
Rd23及びRd24が環状有機基である場合、環状有機基は、脂環式基であっても、芳香族基であってもよい。環状有機基としては、脂肪族環状炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヘテロシクリル基が挙げられる。Rd23及びRd24が環状有機基である場合に、環状有機基が有してもよい置換基は、Rd23及びRd24が鎖状アルキル基である場合と同様である。
Rd23及びRd24が芳香族炭化水素基である場合、芳香族炭化水素基は、フェニル基であるか、複数のベンゼン環が炭素-炭素結合を介して結合して形成される基であるか、複数のベンゼン環が縮合して形成される基であるのが好ましい。芳香族炭化水素基が、フェニル基であるか、複数のベンゼン環が結合又は縮合して形成される基である場合、芳香族炭化水素基に含まれるベンゼン環の環数は特に限定されず、3以下が好ましく、2以下がより好ましく、1が特に好ましい。芳香族炭化水素基の好ましい具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、及びフェナントリル基等が挙げられる。
Rd23及びRd24が脂肪族環状炭化水素基である場合、脂肪族環状炭化水素基は、単環式であっても多環式であってもよい。脂肪族環状炭化水素基の炭素原子数は特に限定されないが、3以上20以下が好ましく、3以上10以下がより好ましい。単環式の環状炭化水素基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基、及びアダマンチル基等が挙げられる。
Rd23及びRd24がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、縮合環を構成する単環の数を3までとする。ヘテロシクリル基は、芳香族基(ヘテロアリール基)であっても、非芳香族基であってもよい。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、キノキサリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。
Rd23及びRd24とは相互に結合して環を形成してもよい。Rd23及びRd24とが形成する環からなる基は、シクロアルキリデン基であるのが好ましい。Rd23及びRd24とが結合してシクロアルキリデン基を形成する場合、シクロアルキリデン基を構成する環は、5員環~6員環であるのが好ましく、5員環であるのがより好ましい。
Rd23及びRd24とが結合して形成する基がシクロアルキリデン基である場合、シクロアルキリデン基は、1以上の他の環と縮合していてもよい。シクロアルキリデン基と縮合していてもよい環の例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピリジン環、ピラジン環、及びピリミジン環等が挙げられる。
以上説明したRd23及びRd24の中でも好適な基の例としては、式-Ad1-Ad2で表される基が挙げられる。式中、Ad1は直鎖アルキレン基であり、Ad2は、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、環状有機基、又はアルコキシカルボニル基である。
Ad1の直鎖アルキレン基の炭素原子数は、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。Ad2がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。アルコキシ基の炭素原子数は、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。Ad2がハロゲン原子である場合、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子がより好ましい。Ad2がハロゲン化アルキル基である場合、ハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子がより好ましい。ハロゲン化アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。Ad2が環状有機基である場合、環状有機基の例は、Rd23及びRd24が置換基として有する環状有機基と同様である。Ad2がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基の例は、Rd23及びRd24が置換基として有するアルコキシカルボニル基と同様である。
Rd23及びRd24の好適な具体例としては、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、及びn-オクチル基等のアルキル基;2-メトキシエチル基、3-メトキシ-n-プロピル基、4-メトキシ-n-ブチル基、5-メトキシ-n-ペンチル基、6-メトキシ-n-ヘキシル基、7-メトキシ-n-ヘプチル基、8-メトキシ-n-オクチル基、2-エトキシエチル基、3-エトキシ-n-プロピル基、4-エトキシ-n-ブチル基、5-エトキシ-n-ペンチル基、6-エトキシ-n-ヘキシル基、7-エトキシ-n-ヘプチル基、及び8-エトキシ-n-オクチル基等のアルコキシアルキル基;2-シアノエチル基、3-シアノ-n-プロピル基、4-シアノ-n-ブチル基、5-シアノ-n-ペンチル基、6-シアノ-n-ヘキシル基、7-シアノ-n-ヘプチル基、及び8-シアノ-n-オクチル基等のシアノアルキル基;2-フェニルエチル基、3-フェニル-n-プロピル基、4-フェニル-n-ブチル基、5-フェニル-n-ペンチル基、6-フェニル-n-ヘキシル基、7-フェニル-n-ヘプチル基、及び8-フェニル-n-オクチル基等のフェニルアルキル基;2-シクロヘキシルエチル基、3-シクロヘキシル-n-プロピル基、4-シクロヘキシル-n-ブチル基、5-シクロヘキシル-n-ペンチル基、6-シクロヘキシル-n-ヘキシル基、7-シクロヘキシル-n-ヘプチル基、8-シクロヘキシル-n-オクチル基、2-シクロペンチルエチル基、3-シクロペンチル-n-プロピル基、4-シクロペンチル-n-ブチル基、5-シクロペンチル-n-ペンチル基、6-シクロペンチル-n-ヘキシル基、7-シクロペンチル-n-ヘプチル基、及び8-シクロペンチル-n-オクチル基等のシクロアルキルアルキル基;2-メトキシカルボニルエチル基、3-メトキシカルボニル-n-プロピル基、4-メトキシカルボニル-n-ブチル基、5-メトキシカルボニル-n-ペンチル基、6-メトキシカルボニル-n-ヘキシル基、7-メトキシカルボニル-n-ヘプチル基、8-メトキシカルボニル-n-オクチル基、2-エトキシカルボニルエチル基、3-エトキシカルボニル-n-プロピル基、4-エトキシカルボニル-n-ブチル基、5-エトキシカルボニル-n-ペンチル基、6-エトキシカルボニル-n-ヘキシル基、7-エトキシカルボニル-n-ヘプチル基、及び8-エトキシカルボニル-n-オクチル基等のアルコキシカルボニルアルキル基;2-クロルエチル基、3-クロル-n-プロピル基、4-クロル-n-ブチル基、5-クロル-n-ペンチル基、6-クロル-n-ヘキシル基、7-クロル-n-ヘプチル基、8-クロル-n-オクチル基、2-ブロモエチル基、3-ブロモ-n-プロピル基、4-ブロモ-n-ブチル基、5-ブロモ-n-ペンチル基、6-ブロモ-n-ヘキシル基、7-ブロモ-n-ヘプチル基、8-ブロモ-n-オクチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、及び3,3,4,4,5,5,5-ヘプタフルオロ-n-ペンチル基等のハロゲン化アルキル基が挙げられる。
Rd23及びRd24として、上記の中でも好適な基は、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、2-メトキシエチル基、2-シアノエチル基、2-フェニルエチル基、2-シクロヘキシルエチル基、2-メトキシカルボニルエチル基、2-クロロエチル基、2-ブロモエチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、及び3,3,4,4,5,5,5-ヘプタフルオロ-n-ペンチル基である。
Rd25の好適な有機基の例としては、Rd22と同様に、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン-1-イル基、及びピペラジン-1-イル基等が挙げられる。これらの基の具体例は、Rd22について説明した具体例と同様である。また、Rd25としてはシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェノキシアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基、も好ましい。フェノキシアルキル基、及びフェニルチオアルキル基が有していてもよい置換基は、Rd22に含まれるフェニル基が有していてもよい置換基と同様である。
有機基の中でも、Rd25としては、アルキル基、シクロアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、又はシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基が好ましい。アルキル基としては、炭素原子数1以上20以下のアルキル基が好ましく、炭素原子数1以上8以下のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1以上4以下のアルキル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。置換基を有していてもよいフェニル基の中では、メチルフェニル基が好ましく、2-メチルフェニル基がより好ましい。シクロアルキルアルキル基に含まれるシクロアルキル基の炭素原子数は、5以上10以下が好ましく、5以上8以下がより好ましく、5又は6が特に好ましい。シクロアルキルアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1以上8以下が好ましく、1以上4以下がより好ましく、2が特に好ましい。シクロアルキルアルキル基の中では、シクロペンチルエチル基が好ましい。芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1以上8以下が好ましく、1以上4以下がより好ましく、2が特に好ましい。芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基の中では、2-(4-クロロフェニルチオ)エチル基が好ましい。
また、Rd25としては、-Ad3-CO-O-Ad4で表される基も好ましい。Ad3は、2価の有機基であり、2価の炭化水素基であるのが好ましく、アルキレン基であるのが好ましい。Ad4は、1価の有機基であり、1価の炭化水素基であるのが好ましい。
Ad3がアルキレン基である場合、アルキレン基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。Ad3がアルキレン基である場合、アルキレン基の炭素原子数は1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましく、1以上4以下が特に好ましい。
Ad4の好適な例としては、炭素原子数1以上10以下のアルキル基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、及び炭素原子数6以上20以下の芳香族炭化水素基が挙げられる。Ad4の好適な具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、α-ナフチルメチル基、及びβ-ナフチルメチル基等が挙げられる。
-Ad3-CO-O-Ad4で表される基の好適な具体例としては、2-メトキシカルボニルエチル基、2-エトキシカルボニルエチル基、2-n-プロピルオキシカルボニルエチル基、2-n-ブチルオキシカルボニルエチル基、2-n-ペンチルオキシカルボニルエチル基、2-n-ヘキシルオキシカルボニルエチル基、2-ベンジルオキシカルボニルエチル基、2-フェノキシカルボニルエチル基、3-メトキシカルボニル-n-プロピル基、3-エトキシカルボニル-n-プロピル基、3-n-プロピルオキシカルボニル-n-プロピル基、3-n-ブチルオキシカルボニル-n-プロピル基、3-n-ペンチルオキシカルボニル-n-プロピル基、3-n-ヘキシルオキシカルボニル-n-プロピル基、3-ベンジルオキシカルボニル-n-プロピル基、及び3-フェノキシカルボニル-n-プロピル基等が挙げられる。
以上、R
d25について説明したが、R
d25としては、下記式(d9)又は(d10)で表される基が好ましい。
(式(d9)及び(d10)中、R
d28及びR
d29はそれぞれ有機基である。t7は0以上4以下の整数である。R
d28及びR
d29がベンゼン環上の隣接する位置に存在する場合、R
d28とR
d29とが互いに結合して環を形成してもよい。t8は1以上8以下の整数である。t9は1以上5以下の整数である。t10は0以上(t9+3)以下の整数である。R
d30は有機基である。)
式(d9)中のRd28及びRd29についての有機基の例は、Rd22と同様である。Rd28としては、アルキル基又はフェニル基が好ましい。Rd28がアルキル基である場合、その炭素原子数は、1以上10以下が好ましく、1以上5以下がより好ましく、1以上3以下が特に好ましく、1が最も好ましい。つまり、Rd28はメチル基であるのが最も好ましい。Rd28とRd29とが結合して環を形成する場合、当該環は、芳香族環でもよく、脂肪族環でもよい。式(d9)で表される基であって、Rd28とRd29とが環を形成している基の好適な例としては、ナフタレン-1-イル基や、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-5-イル基等が挙げられる。上記式(d9)中、t7は0以上4以下の整数であり、0又は1であるのが好ましく、0であるのがより好ましい。
上記式(d10)中、Rd30は有機基である。有機基としては、Rd22について説明した有機基と同様の基が挙げられる。有機基の中では、アルキル基が好ましい。アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。アルキル基の炭素原子数は1以上10以下が好ましく、1以上5以下がより好ましく、1以上3以下が特に好ましい。Rd30としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基であることがより好ましい。
上記式(d10)中、t9は1以上5以下の整数であり、1以上3以下の整数が好ましく、1又は2がより好ましい。上記式(d10)中、t10は0以上(t9+3)以下であり、0以上3以下の整数が好ましく、0以上2以下の整数がより好ましく、0が特に好ましい。上記式(d10)中、t8は1以上8以下の整数であり、1以上5以下の整数が好ましく、1以上3以下の整数がより好ましく、1又は2が特に好ましい。
式(d8)中、Rd26は、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上11以下のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基である。vがアルキル基である場合に有してもよい置換基としては、フェニル基、ナフチル基等が好ましく例示される。また、Rd22がアリール基である場合に有してもよい置換基としては、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が好ましく例示される。
式(d8)中、Rd26としては、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、フェニル基、ベンジル基、メチルフェニル基、ナフチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基又はフェニル基がより好ましい。
式(d8)で表される化合物の製造方法は特に限定されず、公知の方法で得ることができる。
式(d8)で表される化合物の好適な具体例としては、以下の化合物1~化合物41が挙げられる。
液状組成物中の硬化剤(D4)は、異なる分類又は種類の硬化剤を2種以上含んでいてもよい。
液状組成物中の、硬化剤(D4)の含有量は、典型的には、液状組成物の固形分の質量に対して、0.01質量%以上40質量%以下が好ましく、0.1質量%以上20質量%以下がより好ましく、1質量%以上10質量%以下が特に好ましい。
<溶剤(S)>
液状組成物は、イオン液体(B)とともに、溶剤(S)を含む。溶剤(S)は、環式骨格を有し、且つ水素原子及び炭素原子以外のヘテロ原子を含む化合物である溶剤(S1)を含む。つまり、溶剤(S1)は、非炭化水素溶媒である。溶剤(S1)が含んでいてもよいヘテロ原子としては、N、O、S、及びP等が挙げられる。
イオン液体(B)と、溶剤(S1)とを併用することによって、量子ドット(A)の分散促進や分散安定化の効果が得られる理由は定かではない。
例えば、溶剤(S1)が有する環式骨格が、量子ドット(A)に対する凝集阻害の効果を奏し、イオン液体(B)が、この凝集阻害の効果を増強させていると推測される。
また、溶剤(S1)が、ヘテロ原子を含むことにより、イオン液体(B)と、溶剤(S1)との親和性が良好である。
これらの理由から、イオン液体(B)と溶剤(S1)とを併用することによって、量子ドット(A)の分散性向上についての所望する効果が得られると考えられる。
量子ドット含有膜を形成するためのプロセスにおける分散促進や分散安定化の点では、溶剤(S1)の大気圧下での沸点が、150℃以上であることが好ましく、165℃以上240℃がより好ましく、170℃以上230℃がさらに好ましい。
分散促進や分散安定化の点では、溶剤(S1)が有する環式骨格として、脂環式骨格が好ましい。ここで、芳香族性を示さない環式骨格を脂環式骨格とする。また、溶剤(S1)が、テトラリン環のように芳香族環骨格と脂環式骨格との双方を有する場合、溶剤(S1)が脂環式骨格を有するとする。
理由は定かではないが、平面的な立体構造を有する芳香族環骨格よりも、脂環式骨格がある程度かさ高いことが、量子ドット(A)の分散促進や分散安定化に良好に寄与すると推測される。
量子収率(QY)向上の点では、溶剤(S1)が有する環式骨格として、芳香環を含む骨格が好ましく、芳香環のみから構成される骨格がより好ましい。芳香環としては、ベンゼン環又はナフタレン環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。
溶剤(S1)は、エステル結合(-CO-O-)、アミド結合(-CO-NH-)、カーボネート結合(-O-CO-O-)、ウレイド結合(-NH-CO-NH-)、及びウレタン結合(-O-CO-NH-)からなる群より選択される1種以上の結合を有するのが好ましい。
本願明細書において、単にエステル結合、及びアミド結合と記載する場合、それぞれ「カルボン酸エステル結合」、及び「カルボン酸アミド結合」を意味する。
アミド結合、ウレイド結合、及びウレタン結合において、窒素原子には有機基が結合していてもよい。有機基の種類は特に限定されない。有機基としては、アルキル基が好ましく、炭素原子数1以上6以下のアルキル基がより好ましく、メチル基及びエチル基がさらに好ましい。
溶剤(S1)が、エステル結合、アミド結合、カーボネート結合、ウレイド結合、及びウレタン結合を含む場合、イオン液体(B)と、溶剤(S1)との親和性が特に良好であり、イオン液体(B)と溶剤(S1)とを併用することにより所望する効果を得やすい。
また、溶剤(S1)がこれらの結合を含む場合、液状組成物が基材成分(C)を含む場合に、基材成分(C)を液状組成物中に良好に溶解させやすい。
溶剤(S1)の好ましい例としては、安息香酸エチル、安息香酸メチル、アニソール、フェネトール、プロピルフェニルエーテル、ブチルフェニルエーテル、クレジルメチルエーテル、エチルベンジルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、アセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、及びピリダジン等の芳香族溶媒;シクロペンタノール、シクロヘキサノール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、及び1,3-シクロヘキサンジメタノール等の脂環式アルコール;シクロヘキシルメチルエーテル、シクロヘキシルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、及びジオキサン等の脂環式エーテル類;シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、2-メチルシクロヘキサノン、1,4-シクロペンタンジオン、及び1,3-シクロペンタンジオン等の脂環式ケトン類;β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、β-メチル-γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン、ε-バレロラクトン、ε-カプロラクトン、α-メチル-ε-カプロラクトン、及びε-メチル-ε-カプロラクトン等のラクトン類;N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、及びN,N-ジメチルプロピレン尿素等の環状アミド類又は環状尿素類;炭酸エチレン、及び炭酸プロピレン等の環状カーボネート類等が挙げられる。
また、溶剤(S1)としては、カルボン酸のシクロアルキルエステルが好ましい。カルボン酸のシクロアルキルエステルとしては、下式(s1):
(式(s1)中、R
s1は、炭素原子数1以上3以下のアルキル基である。R
s2は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基である。pは1以上6以下の整数である。qは0以上(p+1)以下の整数である。)
で表される、カルボン酸のシクロアルキルエステルが好ましい。
式(s1)中のRs1としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、及びイソプロピル基が挙げられ、メチル基が好ましい。
式(s1)中のRs2としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、及びn-ヘキシル基が挙げられる。Rs2としてのアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、及びイソブチル基が好ましく、メチル基、及びエチル基がより好ましい。
式(s1)で表されるカルボン酸シクロアルキルエステルの好適な例としては、シクロプロピルアセテート、シクロブチルアセテート、シクロペンチルアセテート、シクロヘキシルアセテート、シクロヘプチルアセテート、シクロオクチルアセテート、1R-(-)-メンチルアセテート、シクロプロピルプロピオネート、シクロブチルプロピオネート、シクロペンチルプロピオネート、シクロヘキシルプロピオネート、シクロヘプチルプロピオネート、シクロオクチルプロピオネート、シクロプロピルブチレート、シクロブチルブチレート、シクロペンチルブチレート、シクロヘキシルブチレート、シクロヘプチルブチレート、シクロオクチルブチレート、1R-(-)-メンチルブチレート、シクロプロピルバレレート、シクロブチルバレレート、シクロペンチルバレレート、シクロヘキシルバレレート、シクロヘプチルバレレート、シクロオクチルバレレート、1R-(-)-メンチルバレレート、シクロプロピルイソバレレート、シクロブチルイソバレレート、シクロペンチルイソバレレート、シクロヘキシルイソバレレート、シクロヘプチルイソバレレート、シクロオクチルイソバレレート、及び1R-(-)-メンチルイソバレレートが挙げられる。これらの中では、入手が容易であり、好ましい沸点を有することから、シクロペンチルアセテート、及びシクロヘキシルアセテートが好ましい。
以上説明した溶剤(S1)の中では、式(s1)で表されるカルボン酸シクロアルキルエステルが好ましく、シクロペンチルアセテート、及びシクロヘキシルアセテートが特に好ましい。
溶剤(S)は、溶剤(S1)以外の他の溶剤(S2)を含んでいてもよい。かかる他の溶剤(S2)の例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、n-ブタノール等のアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチル-n-アミルケトン、メチルイソアミルケトン、2-ヘプタノン等のケトン類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、又はジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物;前記多価アルコール類又は前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル、又はモノフェニルエーテル等のエーテル誘導体;乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル等のエステル類;エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、アミルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤;N,N,N’,N’-テトラメチルウレア、N,N,2-トリメチルプロピオンアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、N-エチルピロリドン等の窒素含有有機溶媒;が挙げられる。これらの溶剤は、2種以上組み合わせて使用してもよい。
他の溶剤(S2)としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、N,N,N’,N’-テトラメチルウレア、及びブタノールが好ましい。
溶剤(S)は、溶剤(S1)のみを含むのが好ましい。溶剤(S)が、溶剤(S1)と、他の溶剤(S2)とを含む場合、溶剤(S)の質量に対する他の溶剤(S2)の質量の割合は、例えば、70質量%以下で適宜設定すればよく、0.01質量%以上55質量%以下が好ましく、1質量%以上50質量%以下がより好ましい。
。
液状組成物が基材成分(C)としてポリシランを含む場合、量子ドット含有膜のクラックを抑制する点で、液状組成物の水分量は、1.0質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.3質量%以下がさらに好ましく、0.3質量%未満が特に好ましい。なお、液状組成物の水分量はカールフィッシャー測定法により、測定することができる。
液状組成物の水分は、溶剤(S)に由来する場合が多い。このため、液状組成物の水分量が上記の量となるように、溶剤(S)が脱水されているのが好ましい。
溶剤(S)の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。製膜性の点から、溶剤(S)は、液状組成物の固形分濃度が、好ましくは1質量%以上50質量%以下、より好ましくは10質量%以上40質量%以下であるように用いられる。
<その他の成分>
液状組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で、量子ドットの分散液や、量子ドット含有膜の形成に用いられる液状組成物に従来から添加されている種々の添加剤を含んでいてもよい。
かかる添加剤の例としては、塩基発生剤、触媒、増感剤、シランカップリング剤、密着増強剤、分散剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、消泡剤、粘度調整剤、樹脂、ゴム粒子、及び着色剤等が挙げられる。
なお、液状組成物が樹脂としてアルカリ可溶性樹脂を含む場合、液状組成物にアルカリ現像性が付与される。
また、液状組成物がゴム粒子を含む場合、形成される量子ドット含有膜に弾性が付与され、量子ドット含有膜の脆さを解消しやすい。
また、液状組成物が、基材成分(C)として、ケイ素含有樹脂を含む場合、液状組成物が、ニトロキシドラジカルとして安定に存在し得る化合物であるニトロキシ化合物を含むのが好ましい。
液状組成物がニトロキシ化合物を含むと、シリカ系の量子ドット含有膜を形成する際の焼成温度が、例えば250℃以下(例えば200℃以上250℃以下の範囲)の低い温度であっても、量子ドット含有膜の残渣(焼成により生成するシリカ由来の不純物)を低減できるので好ましい。量子ドット含有膜中の残渣が少ないと、量子ドット含有膜が高温雰囲気や減圧雰囲気におかれる場合でも、量子ドット含有膜からの、残渣そのものや残渣の分解物に由来するガス発生が抑制される。
ニトロキシ化合物の好適な具体例としては、例えば、ジ-tert-ブチルニトロキシド、ジ-1,1-ジメチルプロピルニトロキシド、ジ-1,2-ジメチルプロピルニトロキシド、ジ-2,2-ジメチルプロピルニトロキシド、及び下記式の化合物が挙げられる。
下記式においてR01は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭素原子数1以上20以下のアルキル基、置換基を有してもよい芳香族基、又は置換基を有してもよい脂環式基を表す。
さらに好ましいニトロキシ化合物としては、低い温度での焼成でも特に残渣を低減しやすいことから、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル フリーラジカル、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル フリーラジカル、4-アミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル フリーラジカル、4-カルボキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル フリーラジカル、4-シアノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル フリーラジカル、4-メタクリル酸-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル フリーラジカル、4-アクリル酸-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル フリーラジカル、4-オキソ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル フリーラジカル、3-カルボキシ-2,2,5,5-テトラメチルピロリジン1-オキシル フリーラジカル、4-アセトアミド-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル フリーラジカル、4-(2-クロロアセトアミド)-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル フリーラジカル、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシルベンゾアート フリーラジカル、4-イソチオシアナト-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル フリーラジカル、4-(2-ヨードアセトアミド)-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル フリーラジカル、及び4-メトキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル フリーラジカルが挙げられる。
ニトロキシ化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ケイ素含有樹脂を含む液状組成物におけるニトロキシ化合物の含有量は微量であってよい。ケイ素含有樹脂を含む液状組成物中のニトロキシ化合物の含有量は、低い温度での焼成でも残渣を低減しやすいことから、液状組成物の溶剤(S)以外の成分の質量の合計に対して、0.005質量%以上が好ましく、0.009質量%以上がより好ましい。
また、ケイ素含有樹脂を含む液状組成物中のニトロキシ化合物の含有量は、液状組成物の溶剤(S)以外の成分の質量の合計に対して、2質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。
液状組成物が、基材成分(C)としてケイ素含有樹脂を含む場合、液状組成物が酸化防止剤を含むのが好ましい。基材成分(C)としてケイ素含有樹脂を含む液状組成物が酸化防止剤を含むと、量子ドット含有膜の発光特性の低下を抑制しやすい。
酸化防止剤は、リン系、硫黄系及びフェノール系酸化防止剤からなる群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。
リン系酸化防止剤の種類は、特別に限定されず、具体的には、3,9-ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチル-1-フェニルオキシ)(2-エチルヘキシルオキシ)ホスホラス、6-[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-t-ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト、オクタデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド、10-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド、10-デシルオキシ-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)[1,1-ビフェニル]-4,4’-ジイルビスホスホナイト、ビス[2,4-ビス(1,1-ジメチルエチル)-6-メチルフェニル]エチルエステル及びホスホン酸等を挙げることができる。
リン系酸化防止剤のうち、耐熱性及び耐熱変色防止の側面で、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチル-1-フェニルオキシ)(2-エチルヘキシルオキシ)ホスホラス、3,9-ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、及び6-[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-t-ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン等が好ましい。
リン系酸化防止剤の市販品としては、Irgafos 168(BASF社製)、Sumilizer GP(住友化学社製)等を挙げることができる。
硫黄系酸化防止剤の種類は、特別に限定されず、具体的には、2,2-ビス({[3-(ドデシルチオ)プロピオニル]オキシ}メチル)-1,3-プロパンジイル-ビス[3-(ドデシルチオ)プロピオネート]、2-メルカプトベンゾイミダゾール、ジラウリル-3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチル-3,3’-チオジプロピオネート、ジステアリル-3,3’-チオジプロピオネート、ペンタエリスリチル-テトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)、2-メルカプトベンゾイミダゾール等を挙げることができる。
硫黄系酸化防止剤のうち、耐熱性及び耐熱変色防止の側面で、2,2-ビス({3-(ドデシルチオ)プロピオニル}オキシ)メチル)1,3-プロパンジイル-ビス[3-(ドデシルチオ)プロピオネート]、2-メルカプトベンゾイミダゾール等が好ましい。
硫黄系酸化防止剤の市販品としては、Irganox 1035(BASF社製)等を挙げることができる。
フェノール系酸化防止剤の種類は、特別に限定されず、具体的には、3,9-ビス[2-〔3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕-1,1-ジメチルエトキシ]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、ペンタエリスリチル・テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3’,5’-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4’-チオビス(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)、トリス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-イソシアヌレート、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-イソシアヌレート、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2-チオ-ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナムアミド)、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,4-ビス[(オクチルチオ)メチル]-O-クレゾール、1,6-ヘキサンジオール-ビス-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリス(4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン及びテトラキス[メチレン-3-(3,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニルプロピオネート)]メタン等を挙げることができる。
フェノール系酸化防止剤のうち、耐熱性及び耐熱変色防止の側面で、3,9-ビス[2-〔3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕-1,1-ジメチルエトキシ]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3’,5’-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ペンタエリスリチル・テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4’-チオビス(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)、トリス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-イソシアヌレート、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-イソシアヌレート、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2-チオ-ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナムアミド)、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン及び2,4-ビス[(オクチルチオ)メチル]-O-クレゾール等が好ましい。
フェノール系酸化防止剤の市販品としては、Irganox 1010(BASF社製)、ADK STAB AO-80(ADEKA社製)等を挙げることができる。
酸化防止剤の含有量は、液状組成物の固形分総質量中、例えば0.01質量%以上30質量%以下であり、好ましくは、0.1質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは、0.5質量%以上8質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以上5質量%以下である。上記範囲内とすることで発光特性の低下を抑制することができ、ベーク(ハードベーク)工程における消光現象を抑制できる。また、ケイ素含有樹脂を含む液状組成物を用いて印刷法等によりパターニングする場合に、形成されたパターンの剥離を抑制しやすい。
≪液状組成物の製造方法≫
以上説明した液状組成物の製造方法は特に限定されない。液状組成物は、典型的には、
(a)量子ドット(A)を、イオン液体(B)及び/又は前記溶剤(S)と混合すること、を含み、
(b1)(a)により得られる量子ドット(A)を含む液(L)が、溶剤(S)を含まない場合には、液(L)と、溶剤(S)とを混合することをさらに含み、
(b2)(a)により得られる量子ドット(A)を含む液(L)が、イオン液体(B)を含まない場合には、液(L)と、前記イオン液体(B)とを混合することをさらに含む方法により製造される。
上記(a)における、量子ドット(A)と、イオン液体(B)及び/又は溶剤(S)との混合は、量子ドット(A)の分散液を、イオン液体(B)及び/又は溶剤(S)を含む液と混合することにより行われるのが好ましい。
量子ドット(A)の分散液に含まれる分散媒は特に限定されない。分散媒としては、溶剤(S)として使用可能な溶剤を用いることができる。
以上説明した各成分を所定の比率で均一に混合することにより、液状組成物を製造することができる。液状組成物の製造に用いることができる混合装置としては、特に限定されない。混合装置としては、例えば、ビーズミル、二本ロール、三本ロール等が挙げられる。液状組成物の粘度が十分に低い場合、必要に応じて、不溶性の異物を除去するために、所望のサイズの開口を有するフィルターを用いて液状組成物をろ過してもよい。
上記方法により製造される液状組成物の好ましい一例としては、量子ドット(A)、イオン液体(B)、及び溶剤(S)を含み、基材成分(C)及び硬化剤(D)を含まない液状組成物が挙げられる。
また、量子ドット(A)、イオン液体(B)、溶剤(S)、基材成分(C)としてのエポキシ化合物、及びエポキシ化合物を硬化させうる硬化剤(D)を含む液状組成物も、耐熱性や機械的特性に優れる量子ドット含有膜を容易に形成しやすい点で好ましい。
エポキシ化合物を硬化させ得る硬化剤(D)としては、例えば、前述のオニウム塩(d2)や、硬化剤(D3)を用いることができる。
さらに、量子ドット(A)、イオン液体(B)、溶剤(S)、基材成分(C)としてのケイ素含有樹脂、及び前述の硬化剤(D4)を含む液状組成物も、光学特性、耐光性、耐溶剤性、耐化学薬品性等に優れる量子ドット含有膜を形成しやすい点で好ましい。
液状組成物は、従来知られる種々のネガ型又はポジ型の感光性組成物において、溶剤を、上記のイオン性液体(B)及び溶剤(S)に置換したうえで、量子ドット(A)を加えた組成物であってもよい。
かかる液状組成物に対して、周知のフォトリソグラフィー法を適用することによって、パターニングされた量子ドット含有膜を形成することができる。
≪量子ドット含有膜≫
以上説明した液状組成物からなる塗布膜を、乾燥及び/又は硬化させることにより量子ドット含有膜が形成される。
液状組成物を硬化させる場合、硬化方法は、特に限定されず、加熱であっても、露光であってもよく、加熱と露光とを組み合わせて行ってもよい。
量子ドット含有膜は、発光表示素子用の光学フィルムとして好適に使用される。
量子ドット含有膜の製造方法の典型例を以下説明する。
量子ドット含有膜は、積層体や、発光表示素子パネル等において種々の機能層上に直接形成されてもよく、金属基板やガラス基板等の任意の材質の基板上に形成した後、基板から剥離させて使用されてもよい。
また、量子ドット含有膜は、発光表示素子パネル等において画素を画定する遮光性の隔壁に囲まれた領域内に形成されてもよい。
まず、任意の基板や機能層等の上に、液状組成物を塗布して塗布膜を形成する。塗布方法としては、ロールコータ、リバースコーター、バーコーター等の接触転写型塗布装置や、スピンナー(回転式塗布装置)、スリットコーター、カーテンフローコーター等の非接触型塗布装置を用いる方法が挙げられる。
また、液状組成物の粘度を適切な範囲に調整したうえで、インクジェット法、スクリーン印刷法等の印刷法によって液状組成物の塗布を行って、所望の形状にパターニングされた塗布膜を形成してもよい。
次いで、必要に応じて、溶剤(S)等の揮発成分を除去して塗布膜を乾燥させる。乾燥方法は特に限定されないが、例えば、真空乾燥装置(VCD)を用いて室温にて減圧乾燥し、その後、ホットプレートにて60℃以上120℃以下、好ましくは70℃以上100℃以下の温度にて60秒以上180秒以下の間乾燥する方法が挙げられる。
このようにして塗布膜を形成した後、塗布膜に対して露光及び/又は加熱を施す。
露光は、エキシマレーザー光等の活性エネルギー線を照射して行う。照射するエネルギー線量は、液状組成物の組成によっても異なるが、例えば30mJ/cm2以上2000mJ/cm2以下が好ましく、50mJ/cm2以上500mJ/cm2以下がより好ましい。
加熱を行う際の温度は特に限定されず、180℃以上280℃以下が好ましく、200℃以上260℃以下がより好ましく、220℃以上250℃以下が特に好ましい。加熱時間は、典型的には、1分以上60分以下が好ましく、10分以上50分以下がより好ましく、20分以上40分以下が特に好ましい。
なお、液状組成物が基材成分(C)としてケイ素含有樹脂を含む場合、量子ドット含有膜を製造するために、液状組成物の塗布膜が焼成される。
この場合、基板の材質は、焼成に耐えられる材質であれば特に限定されない。基板の材質の好適な例としては、金属、シリコン、ガラス等の無機材料や、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルスルフォン、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等の耐熱性の材料が挙げられる。基板の厚さは特に限定されず、基板は、フィルムやシートであってもよい。
塗布膜を備える基板は、次いで焼成される。焼成方法は特に限定されないが、典型的には電気炉等を用いて焼成が行われる。焼成温度は、典型的には300℃以上が好ましく、350℃以上がより好ましい。上限は特に限定されないが、例えば、1000℃以下である。液状組成物が前述の硬化剤(D4)及び/又はニトロキシ化合物を含む場合、焼成温度の下限値を200℃に下げてもシリカフィルムである量子ドット含有膜中の残渣(シリカフィルム由来の不純物)を低減できる。焼成雰囲気は特に限定されず、窒素雰囲気又はアルゴン雰囲気等の不活性ガス雰囲下、真空下、又は減圧下であってもよい。大気下であってもよいし、酸素濃度を適宜コントロールしてもよい。
量子ドット含有膜の膜厚は特に限定されない。量子ドット含有膜の膜厚は、典型的には、0.1μm以上10μm以下であり、0.2μm以上5μm以下が好ましく、0.5μm以上3μm以下がより好ましい。
以上説明した方法により形成される量子ドット(A)を含む量子ドット含有膜は、蛍光効率に優れ発光表示素子用の光学フィルムとして好適に使用でき、また、発光表示素子において好適に用いられる積層体の製造に好適に使用できる。
≪積層体≫
積層体は、液状組成物を用いて形成される量子ドット含有膜を含む積層体である。かかる積層体は、量子ドット(A)を含有する量子ドット含有膜のみからなる積層体であってもよく、量子ドット含有膜と、他の機能層とからなる積層体であってもよい。
<量子ドット含有膜の積層体>
積層体としては、例えば、種々のマトリックス材中に分散された量子ドット(A)を含む量子ドット含有膜が2層以上積層されており、前述の液状組成物を用いて形成された量子ドット含有膜を含む積層体が挙げられる。
かかる積層体は、前述の液状組成物を用いて形成された量子ドット含有膜だけが積層された積層体であってもよく、前述の液状組成物を用いて形成された量子ドット含有膜と、前述の液状組成物を用いて形成された量子ドット含有膜以外の、量子ドット(A)を含む他の膜とが積層された積層体であってもよい。
量子ドット(A)を含有する膜は、光源からの入射光を波長変換して赤色光を生ずる量子ドットと、光源からの入射光を波長変換して緑色光を生ずる量子ドットを含むのが好ましい。
また、赤色光を生ずる量子ドットを含む膜と、緑色光を生ずる量子ドットを含む膜とを交互に積層するのも好ましい。
このような構成の積層体を発光表示素子パネルに適用することにより、波長変換によって色純度の高い緑色光と赤色光を取り出すことができるため、発光表示素子パネルを備える発光表示装置の色相の再現範囲を拡大することができる。
なお、光源としては、典型的には、青色光や白色光を利用することができる。かかる光源と、上記の積層体とを組み合わせて用いることにより、色純度の高い、赤色光、緑色光、及び青色光を取り出すことができ、良好な色相の鮮明な画像を表示することができる。
発光表示装置としては、光源の発光を用いて画像を表示する装置であれば特に限定されず、液晶表示装置や、有機EL表示装置等が挙げられる。
<量子ドット(A)を含有する膜と、他の機能層とを含む積層体>
量子ドット(A)を含有する膜である、前述の液状組成物を用いて形成された量子ドット含有膜は、他の機能層と積層されるのも好ましい。
量子ドット含有膜は、光源からの入射光を波長変換して赤色光を生ずる量子ドットと、光源からの入射光を波長変換して緑色光を生ずる量子ドットを含むのが好ましい。
また、光源としては、典型的には、青色光や白色光を利用することができる。
他の機能層としては、光線を拡散させる拡散層、量子ドット含有膜よりも低い屈折率を有する低屈折率層、光源から入射する光の一部を反射させる反射層、光源の発する光を積層体に入射させる導光板等が挙げられる。
また、必要に応じて、積層体内に空隙が設けられてもよい。空隙は、例えば、空気の層や、窒素等の不活性ガスの層であってよい。
拡散層としては、従来、種々の表示装置や光学装置に用いられている種々の拡散層を、特に制限なく用いることができる。典型的な例としては、表面にプリズム等の微細構造が設けられたフィルム、表面にビーズが散布又は埋没されたフィルム、及び微粒子や、光線を散乱させるように構造化された界面又は空隙等を内部に含むフィルムが挙げられる。
低屈折率層は、前述の量子ドット含有膜よりも低い屈折率を有するフィルムであれば特に限定されず、種々の材質からなるフィルムを用いることができる。
反射層としては、反射性の偏光フィルム、入射光のうちの一部を反射できるように、表面にプリズム等の微細構造が設けられたフィルム、金属箔、多層光学フィルム等が挙げられる。反射層は、入射光の30%以上を反射させるのが好ましく、40%以上を反射させるのがより好ましく、50%以上を反射させるのが特に好ましい。
反射層は、量子ドット含有膜を通過した光を反射して、反射光を再度、量子ドット含有膜に入射させるように設けられるのが好ましい。反射層から量子ドット含有膜に入射した光を、拡散層等により、反射層の方向へ再度反射させることにより、反射層を用いない場合よりも、量子ドット含有膜から発せられる緑色光、及び赤色光の色純度を高めることができる。
導光板としては、従来、種々の表示装置や光学装置に用いられている種々の導光板を、特に制限なく用いることができる。
量子ドット含有膜と、他の機能層とを含む積層体の好ましい層構成の典型例としては、以下の1)~8)の層構成が挙げられる。なお1)~8)の構成の積層体では、最も左に記載された層に光源が発する光線を入射させ、最も右に記載された層から量子ドット含有膜により波長変換された光線を取り出す。
通常、積層体から取り出された光線を入射させるようにディスプレイパネルが設けられ、色準との高い赤色光、緑色光、及び青色光を利用して画像の表示が行われる。
1)拡散層/量子ドット含有膜/低屈折率層/反射層
2)導光板/拡散層/量子ドット含有膜/低屈折率層/反射層
3)低屈折率層/量子ドット含有膜/空隙/反射層
4)導光板/低屈折率層/量子ドット含有膜/空隙/反射層
5)低屈折率層/量子ドット含有膜/低屈折率層/反射層
6)導光板/低屈折率層/量子ドット含有膜/低屈折率層/反射層
7)反射層/低屈折率層/量子ドット含有膜/低屈折率層/反射層
8)導光板/反射層/低屈折率層/量子ドット含有膜/低屈折率層/反射層
なお、以上説明した積層体において、前述の液状組成物を用いて形成された量子ドット含有膜は、前述の方法に従って製造されるのが好ましい。
≪発光表示素子パネル、及び発光表示装置≫
前述の液状組成物を用いて形成された量子ドット含有膜や、前述の積層体は、種々の発光表示素子パネルに組み込まれ、光源が発する光線から色純度の高い赤色光、緑色光、及び青色光を取り出す目的で好ましく使用される。
ここでは、前述の液状組成物を用いて形成された量子ドット含有膜や、前述の積層体の総称について「量子ドットシート」と記載する。
発光表示素子パネルは、典型的には、光源であるバックライトと、量子ドットシートと、ディスプレイパネルとを組み合わせて含む。
量子ドットシートが導光板を備える場合、典型的には、導光板の側面に光線を入射させるように光源が設けられる。導光板の側面から入射した光線は、量子ドットシート内を通過し、ディスプレイパネルに入射する。
量子ドットシートが導光板を備えない場合、面光源から量子ドットシートの主面に光線を入射させ、量子ドットシート内を通過した光線をディスプレイパネルに入射させる。
ディスプレイパネルの種類は、量子ドットシートを通過した光線を用いて画像形成可能であれば特に限定されないが、典型的には液晶ディスプレイパネルである。
光源が発する光線から特に色純度の高い赤色光、緑色光、及び青色光を取り出しやすいことから、量子ドットシートは、前述の積層体であるのが好ましい。
量子ドットシートが積層体である場合の、発光表示素子パネルが備える構成の好ましい組み合わせとしては、以下a)~h)の組み合わせが挙げられる。
下記a)~h)に記載の組み合わせについて、最も左に記載の構成から、記載されている順に積み上げられ、発光表示素子パネルが形成される。
a)面光源/拡散層/量子ドットシート/低屈折率層/反射層/ディスプレイパネル
b)光源付導光板/拡散層/量子ドットシート/低屈折率層/反射層/ディスプレイパネル
c)面光源/低屈折率層/量子ドットシート/空隙/反射層/ディスプレイパネル
d)光源付導光板/低屈折率層/量子ドットシート/空隙/反射層/ディスプレイパネル
e)面光源/低屈折率層/量子ドットシート/低屈折率層/反射層/ディスプレイパネル
f)光源付導光板/低屈折率層/量子ドットシート/低屈折率層/反射層/ディスプレイパネル
g)面光源/反射層/低屈折率層/量子ドットシート/低屈折率層/反射層/ディスプレイパネル
h)光源付導光板/反射層/低屈折率層/量子ドットシート/低屈折率層/反射層/ディスプレイパネル
以上説明した発光表示素子パネルを用いることで、色相の再現範囲が広く、良好な色相であり鮮明な画像を表示可能な発光表示装置を製造することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
〔実施例1、比較例1~5、及び参考例〕
ヘキサン中の量子ドット分散液(なお量子ドット(A)は、InPからなるコアが、ZnSからなるシェル層で被覆された粒子に、リガンドが配位した量子ドット(発光極大550nm)である)から、ロータリーエバポレーター用いてヘキサンを除去して固形の量子ドットを得た。
得られた固形の量子ドット0.1質量部を、表1に記載の種類の溶剤9.9質量部中に再分散させて、実施例1及び比較例1~5の分散液を得た。なお、実施例1、比較例2、及び比較例4では、トリブチルメチルホスホニウムカチオンと、対アニオンであるビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドイオンとからなるイオン液体0.13質量部をさらに加えた。
また、固形の量子ドットの調製に用いた分散液を、参考例の分散液とした。
得られた、各実施例、比較例の分散液を、ガラス基板上に100rpm、5秒の条件でスピンコート法により塗布した。塗布膜を備えるガラス基板を、100℃10分の条件、又は230℃10分の条件で加熱処理した。
加熱処理後のガラス基板上に形成された、量子ドットからなる薄膜を、ガラス基板上にヘキサン5~7ccを滴下することにより流し取り、得られた量子ドットを含む液を、量子収率測定用の試料として用い、Quantaurus-QY C11347(浜松フォトニクス社製)を用いて量子収率の測定を行った。
また、参考例の分散液についても、同様に量子収率の測定を行った。
参考例の分散液を用いて測定した量子収率を100%とする場合の、各実施例、比較例の分散液からなる塗布膜を加熱処理した後の量子ドットの量子収率の相対値を、表1に記す。
表1によれば、環式骨格を有し、且つヘテロ原子を有する溶剤(S1)であるシクロヘキシルアセテートと、イオン液体(B)とを組み合わせて含む実施例1の分散液を用いて形成された塗布膜を加熱する場合、加熱後の量子ドットが、参考例の分散中の量子ドットに近い高い量子収率を示したことが分かる。
他方、イオン液体(B)を含まないか、所定の要件を満たす溶剤(S1)を含まない比較例の分散液を用いて形成された塗布膜を加熱する場合、加熱後の量子ドットが、参考例の分散中の量子ドットの量子収率よりも著しく低い量子収率を示した。
プロピレングリコールジメチルエーテルを用いた比較例2及び3の分散液についての量子収率の測定結果が極めて劣るのは、プロピレングリコールジメチルエーテル自体が量子ドットを劣化させたためと推測される。
なお、上記実施例及び比較例で用いたイオン液体は、ヘテロ原子を含むシクロヘキシルアセテート、及びプロピレングリコールジメチルエーテルと均一に混和した一方で、ヘキサンとは明瞭に分離した。
〔実施例2~実施例9、比較例6、及び比較例7〕
実施例2~実施例9、比較例6、及び比較例7において、基材成分(C)として下記式で表されるエポキシ化合物を用いた。
実施例2~実施例9、比較例6、及び比較例7において、量子ドット(A)として、InPからなるコアが、ZnSからなるシェル層で被覆された粒子に、リガンドが配位した量子ドット(発光極大550nm)の分散液を用いた。分散媒はシクロヘキシルアセテートであり(ただし、比較例7はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを使用)、量子ドットの濃度は約25質量%である。
実施例2及び実施例7~9において、イオン液体(B)として、1-メチル-1-ブチルピロリジニウムカチオンと、対アニオンであるビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドイオンとからなるイオン液体B-1を用いた。
実施例3及び比較例7において、トリエチル(メトキシメチル)ホスホニウムカチオンと、対アニオンであるビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドイオンとからなるイオン液体B-2を用いた。
実施例4において、メチルトリブチルアンモニウムカチオンと、対アニオンであるビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドイオンとからなるイオン液体B-3を用いた。
実施例5において、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムカチオンと、対アニオンであるビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドイオンとからなるイオン液体B-4を用いた。
実施例6において、トリエチルスルホニウムカチオンと、対アニオンであるビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドイオンとからなるイオン液体B-5を用いた。
比較例6ではイオン液体(B)を用いなかった。
実施例2~実施例6、及び比較例6において、溶剤(S)として、溶剤(S1)に該当するシクロヘキシルアセテート(S-1)を用いた。
実施例7において、溶剤(S1)に該当するシクロヘキシルイソバレレート(S-3)を用いた。
実施例8において、溶剤(S1)に該当する1R-(-)-メンチルアセテート(S-4)を用いた。
実施例9において、溶剤(S1)に該当する安息香酸エチル(S-5)を用いた。
比較例7において、溶剤(S)として、溶剤(S1)に該当しない、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、S-2)を用いた。
実施例2~実施例9、比較例6、及び比較例7において、エポキシ化合物を硬化されるための硬化剤(D)であるオニウム塩(D2)として下記化合物を用いた。
エポキシ化合物100質量部と、量子ドット(A)13.5質量部(量子ドット固形分換算)と、表2に記載の種類のイオン液体(B)13.5質量部と、表2に記載の種類の溶剤(S)100質量部と、硬化剤(D)5質量部とを均一に混合して、実施例2~実施例9、比較例6、及び比較例7の液状組成物を得た。
実施例2~実施例9、比較例6、及び比較例7の液状組成物を、それぞれガラス基板上にスピンコート法により塗布した後、100℃1分の条件でプリベークを行った。次いで、プリベークされた塗布膜に対して、露光量50mJ/cm2の条件で露光を行い、塗布膜を硬化させた。硬化した塗布膜を、150℃20分、又は200℃20分の条件でポストベークした。
ポストベークされた硬化膜を試料として用い、Quantaurus-QY C11347(浜松フォトニクス社製)を用いて量子収率を測定した。比較例6の液状組成物を用いた場合の量子収率を100%とする場合の、実施例2~実施例9、及び比較例7の液状組成物を用いた場合の量子収率の相対値を、表2に記す。
表2によれば、環式骨格を有し、且つヘテロ原子を有する溶剤(S1)と、イオン液体(B)とを組み合わせて含む実施例2~実施例9の液状組成物を用いて形成された硬化膜を加熱する場合、加熱後の量子ドットが、イオン液体(B)を含まないか、溶剤(S1)に該当しない溶剤であるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(S-2)を含む比較例6、及び比較例7の液状組成物を用いて形成された硬化膜を加熱する場合と比較して、優位に高いことが分かる。
これは、実施例2及び実施例3の液状組成物では、液状組成物中、塗布膜中、又は硬化膜中での量子ドット(A)の凝集が抑制されて、量子ドット(A)が良好に分散されているためと推測される。