JP7114878B2 - 固体酸化物形燃料電池用カソードおよび固体酸化物形燃料電池単セル - Google Patents

固体酸化物形燃料電池用カソードおよび固体酸化物形燃料電池単セル Download PDF

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Description

本発明は、固体酸化物形燃料電池用カソードおよび固体酸化物形燃料電池単セルに関する。
固体酸化物形燃料電池において、カソードは、アノードや固体電解質層と比較して、材料の熱膨張係数が異なる。そのため、カソードは、熱膨張差に起因して固体電解質層から剥離しやすい。このようなカソードの剥離を防止するため、従来、カソードの膜厚方向に予めクラックを導入し、熱膨張係数差による応力を緩和する技術が知られている。
例えば、特許文献1には、固体電解質層に一方の面を接続した第1層と、第1層の他方の面に接続した第2層とを有し、第2層の表面から第1層へ延びるクラックを形成してなるカソード、これを用いた固体酸化物形燃料電池が開示されている。同文献では、第2層のクラックは、第2層構成材料の粒度を調整することによって形成される。
特開2005-166510号公報
従来技術には、次の課題がある。カソードの膜厚方向に導入されたクラックは、カソードの面内方向の電気抵抗を増大させる。そのため、カソードの集電効率が低下する。一方、集電効率を向上させるために、カソードと集電体との接触面積を増大させると、カソードへの酸化剤ガスの流入が妨げられる。そのため、発電性能が低下する。このように、従来技術では、カソードの剥離抑制と、カソードへのクラック導入による発電性能の低下抑制とを両立させることが困難であった。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、カソードの剥離抑制と、カソードへのクラック導入による発電性能の低下抑制とを両立させることができる固体酸化物形燃料電池用カソード、また、これを用いた固体酸化物形燃料電池単セルを提供しようとするものである。
本発明の一態様は、外部から酸化剤ガス(A)が供給される膜状のカソード本体部(10)と、上記カソード本体部の膜面上に形成されており、集電体(6)を接触させるための複数の集電体接触部(11)と、を有しており、
上記集電体接触部は、銀、銀合金、ランタン-ストロンチウム-コバルト系酸化物、ランタン-ストロンチウム-コバルト-鉄系酸化物、ランタン-ニッケル-鉄系酸化物、ランタン-ストロンチウム-マンガン系酸化物、および、サマリウム-ストロンチウム-コバルト系酸化物からなる群より選択される少なくとも1種の導電材を含み、
上記集電体接触部は、ドット状またはライン状であり、
上記カソード本体部は、膜厚方向に導入されたクラック(101)により囲まれた複数のドメイン領域(102)を有しており、
上記ドメイン領域の50%累積平均径をD、上記集電体接触部間の平均距離をLとしたとき、Dは1~50mm、Lは1~20mmであって、L≦Dの関係を満たす、
固体酸化物形燃料電池用カソード(1)にある。
本発明の他の態様は、上記固体酸化物形燃料電池用カソードを有する、固体酸化物形燃料電池単セル(5)にある。
上記固体酸化物形燃料電池用カソードは、上記構成を有している。そのため、上記固体酸化物形燃料電池用カソードは、膜厚方向に導入されたクラックにより、アノードや固体電解質層等と比較して材料の熱膨張係数が異なっていても、熱膨張係数差による応力を緩和することができる。それ故、上記固体酸化物形燃料電池用カソードによれば、カソードの剥離を抑制することができる。また、上記固体酸化物形燃料電池用カソードでは、L≦Dの関係を満たすことで、発電性能に主に寄与する50%累積平均径D以上のドメイン領域が、カソード本体部の膜面上で集電体接触部を介して集電体と導通する。そのため、上記固体酸化物形燃料電池用カソードによれば、高い集電性を確保することができ、カソードへのクラック導入による発電性能の低下を抑制することができる。
上記固体酸化物形燃料電池単セルは、上記固体酸化物形燃料電池用カソードを有しているので、カソードの剥離抑制と、カソードへのクラック導入による発電性能の低下抑制とを両立させることができる。
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
実施形態1の固体酸化物形燃料電池用カソードの外観を模式的に示した説明図である。 ドメイン領域の50%累積平均径Dの算出方法を説明するための説明図である。 実施形態1において、集電体接触部間の平均距離Lの算出方法を説明するための説明図である。 実施形態1において、集電体接触部11の平均幅wの算出方法を説明するための説明図である。 実施形態1の固体酸化物形燃料電池用カソードの使用時における発電による電子の流れを模式的に示した説明図である。 実施形態1の固体酸化物形燃料電池用単セルの断面を模式的に示した説明図である。 実施形態2の固体酸化物形燃料電池用カソードの外観を模式的に示した説明図である。 実施形態2において、集電体接触部間の平均距離Lの算出方法を説明するための説明図である。 実施形態3の固体酸化物形燃料電池用カソードの外観を模式的に示した説明図である。 実施形態4の固体酸化物形燃料電池用カソードの外観を模式的に示した説明図である。
各実施形態の固体酸化物形燃料電池用カソード(以下、単に「カソード」と称することがある。)、および、固体酸化物形燃料電池単セル(以下、単に「単セル」と称することがある。)について、図面を用いて説明する。
(実施形態1)
先ず、実施形態1のカソードについて説明する。図1~図6に例示されるように、本実施形態のカソード1は、固体酸化物形燃料電池(SOFC)に用いられる。固体酸化物形燃料電池は、固体電解質層を構成する固体電解質として、酸素イオン導電性を示す固体酸化物セラミックスを用いる燃料電池である。なお、図1では、カソード1を、後述する単セル5に適用した場合に、下側が固体電解質層3側、上側が集電体6側となるようにカソード1が描かれている。
カソード1は、カソード本体部10と、複数の集電体接触部11とを有している。
カソード本体部10は、膜状に形成されている。カソード本体部10には、外部から酸化剤ガスAが供給される。外部から供給された酸化剤ガスAは、主に、カソード本体部10の一方膜面から内部へ流入する。
複数の集電体接触部11は、集電体6を接触させるためのものである。つまり、カソード1の使用時には、図5に例示されるように、インターコネクタ7に電気的に接続された集電体6が複数の集電体接触部11に接触することにより、発電による電子e-が、集電体接触部11を介してカソード本体部10に分配される。複数の集電体接触部11は、カソード本体部10の膜面上、具体的には、カソード本体部10における集電体6側の膜面上に形成されている。本実施形態では、集電体接触部11は、図1に例示されるように、ドット状に形成されている。この構成によれば、カソード本体部10表面が酸化剤ガスAに触れる面積を大きくしやすくなるため、酸化剤ガスAがカソード本体部10に拡散しやすくなり、酸化剤ガスAの利用効率を高めることができる利点がある。また、本実施形態では、各集電体接触部11は、酸化剤ガスAの流れ方向に沿って配置されている。この構成によれば、カソード本体部10への酸化剤ガスAの流入を集電体接触部11が妨げることなく、カソード1と集電体6との接触面積を高めることができる。そのため、この構成によれば、カソード1の剥離抑制と、カソード1へのクラック101導入による発電性能の低下抑制とを両立させやすくなる。なお、本実施形態では、酸化剤ガスAは、カソード1の膜面に沿って一方向に供給される。また、上記においてドット状には、円形状のみならず、楕円形状、トラック形状、角形状なども含まれる。
カソード本体部10は、膜厚方向に導入されたクラック101により囲まれた複数のドメイン領域102を有している。つまり、カソード本体部10は、クラック101によって複数のドメイン領域102に分割されているといえる。なお、クラック101は、膜厚方向に沿って延びている。
カソード1は、ドメイン領域102の50%累積平均径をD、集電体接触部11間の平均距離をLとしたとき、L≦Dの関係を満たしている。以下、L、Dの算出方法について説明する。
先ず、Dの算出方法について説明する。図2に例示されるように、カソード1における集電体接触部11の形成側の表面を、走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、一視野に少なくとも10個のクラック101によって分割されたカソード本体部10の表面領域が確認されるSEM像9を取得する。次いで、得られたSEM像9の水平方向にほぼ等間隔で5本の横線HLを引き、それぞれの横線HLがクラック101を横切るまでの距離dを測定する。この時に、横線HLが集電体接触部11と重なる距離が横線HLの全長の半分以下となるように、横線HLを引く位置を調整する。上記の操作を、10視野分実施する。上記のようにして得られた距離dを小さい順に並べたものを、d,d,d,・・・dとする。但し、nは、測定された全てのdの個数である。nが奇数のとき、Dは、d(n+1)/2で定義される。また、nが偶数のとき、Dは、(dn/2+d(n/2)+1)/2で定義される。例えば、n=501のとき、Dは、d(501+1)/2=d251となる。また、例えば、n=500のとき、Dは、(d500/2+d(500/2)+1)/2=(d250+d251)/2となる。つまり、Dは、測定された全てのdの中央値である。
次に、Lの算出方法について説明する。図3(a)に例示されるように、カソード1における集電体接触部11の形成側の表面を、SEMにて観察し、一視野に少なくとも5箇所の集電体接触部11が存在するSEM像9を取得する。次いで、SEM像9に確認される任意の2つの集電体接触部11に注目し、それらを最短距離でつなぐ線を引き、その距離をlとする。次いで、この操作を全ての集電体接触部11の組み合わせに対して行う。この際、図3(b)に例示されるように、最短距離でつなぐ線がすでに引かれた他の線と交わる場合、距離の短い方の線Cは、カウントし、距離の長い方の線NCは、カウントしない。上記の操作を、10視野分実施し、得られたlの平均値がLとされる。
カソード1は、好ましくは、L<Dの関係を満たしているとよい。この構成によれば、50%累積平均径D以上のドメイン領域102が、カソード本体部10の膜面上で集電体接触部11を介して集電体6と導通するのを確実なものとすることができる。
具体的には、Dは、熱膨張係数差によるカソード1と中間層4(または固体電解質層3)との界面剥離を抑制するとともに、カソード1と中間層4(または固体電解質層3)との界面での接触面積を確保し、実用上十分な界面密着強度を確保するなどの観点から、1~50mmとされる。Dは、好ましくは、1.5~10mm、より好ましくは、2~5mmとすることができる。また、Lは、酸化剤ガスAの流路抵抗を最小としつつ、ドメイン領域102の内部の面内抵抗による集電ロスが生じないようにするなどの観点から、1~20mmとされる。Lは、好ましくは、1.5~10mm、より好ましくは、2~5mmとすることができる。
カソード1は、上記構成を有している。そのため、カソード1は、膜厚方向に導入されたクラック101により、後述するアノード2、固体電解質層3、中間層4等と比較して材料の熱膨張係数が異なっていても、熱膨張係数差による応力を緩和することができる。それ故、カソード1によれば、カソード1の剥離を抑制することができる。また、カソード1では、L≦Dの関係を満たすことで、発電性能に主に寄与する50%累積平均径D以上のドメイン領域102が、カソード本体部10の膜面上で集電体接触部11を介して集電体6と導通する。そのため、カソード1によれば、高い集電性を確保することができ、カソード1へのクラック101導入による発電性能の低下を抑制することができる。
カソード1において、カソード本体部10の材料としては、例えば、導電性酸化物、導電性酸化物と固体電解質とを含む混合物などを例示することができる。導電性酸化物としては、具体的には、ランタン-ストロンチウム-コバルト系酸化物、ランタン-ストロンチウム-コバルト-鉄系酸化物、ランタン-ニッケル-鉄系酸化物、ランタン-ストロンチウム-マンガン系酸化物、サマリウム-ストロンチウム-コバルト系酸化物などを例示することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。ランタン-ストロンチウム-コバルト系酸化物としては、具体的には、LaSr1-xCoO(0<x<1、好ましくは、0.2≦x≦0.8)、ランタン-ストロンチウム-コバルト-鉄系酸化物としては、具体的には、LaSr1-xCoFe1-y(0<x<1、0<y<1、好ましくは、0.2≦x≦0.8、0.7≦y<1)、ランタン-ニッケル-鉄系酸化物としては、LaNi1-xFrO(0<x<1、好ましくは、0.2≦x≦0.8)、ランタン-ストロンチウム-マンガン系酸化物としては、具体的には、LaSr1-xMnO(0<x<1、好ましくは、0.2≦x≦0.8)、サマリウム-ストロンチウム-コバルト系酸化物としては、具体的には、、SmSr1-xCoO(0<x<1、好ましくは、0.2≦x≦0.8)などを例示することができる。固体電解質としては、具体的には、酸化ジルコニウム系酸化物、酸化セリウム系酸化物などを例示することができる。酸化ジルコニウム系酸化物としては、具体的には、イットリア安定化ジルコニア、スカンジア安定化ジルコニアなどを例示することができる。酸化セリウム系酸化物としては、具体的には、CeOにGd、Sm、Y、La、Nd、Yb、Ca、および、Hoから選択される1種または2種以上の元素等がドープされたセリア系固溶体、CeOなどを例示することができる。
カソード1において、集電体接触部11は、導電材を含む。導電材は、具体的には、銀、銀合金、ランタン-ストロンチウム-コバルト系酸化物、ランタン-ストロンチウム-コバルト-鉄系酸化物、ランタン-ニッケル-鉄系酸化物、ランタン-ストロンチウム-マンガン系酸化物、および、サマリウム-ストロンチウム-コバルト系酸化物からなる群より選択される少なくとも1種である。なお、導電材を構成しうる酸化物の詳細については、カソード本体部10の材料として例示した導電性酸化物の記載を参照することができる。集電体接触部11が導電材を含む構成によれば、集電体接触部11の電気抵抗値を低く抑えやすくなるので、発電性能の向上に有利なカソード1が得られる。
カソード1では、上述した導電材の少なくとも一部が、クラック101の開口部分に存在している構成とすることができる。この構成によれば、カソード本体部10の膜厚方向にクラック101が導入されていても、カソード本体部10の面内方向の電気抵抗値を低減させやすくなる。そのため、この構成によれば、発電性能の向上に有利なカソード1が得られる。
なお、カソード1において、クラック101は、例えば、カソード本体部10の形成に用いる原料の解砕状態を制御し、原料のBET比表面積を変化させることにより、カソード1の焼成時にクラック導入間隔を制御しつつカソード本体部10へ導入することができる。具体的には、例えば、原料に用いる導電性酸化物粉末のBET比表面積を小さくする、すなわち、原料となる導電性酸化物粉末中に微粉末がふくまれないように調整することにより、ドメイン領域の50%累積平均径Dを小さくすることができる。また、クラック101の開口部分に導電材を存在させる手法としては、例えば、集電体接触部11を形成するための材料を、クラックに含浸させる方法などを例示することができる。
カソード1は、カソード本体部10の平均膜厚をt、集電体接触部11の平均幅をwとしたとき、t/w≧0.01の関係を満たす構成とすることができる。この構成によれば、集電体接触部11の下方に位置するカソード本体部10の部分への酸化剤ガスAの供給が良好に保たれやすくなる。そのため、この構成によれば、発電性能の向上に有利なカソード1が得られる。これは、以下の理由によるものと考えられる。集電体接触部11の下方に位置するカソード本体部10の部分は、集電体接触部11内のガス拡散性が乏しいために、酸化剤ガスAの供給が制限されやすい。しかし、t/w≧0.01の関係を満たす場合には、集電体接触部11が形成されていないカソード本体部10の膜面からのガス拡散により、集電体接触部11の下方に位置するカソード本体部10の部分、特に、集電体接触部11の下方かつカソード本体部10の固体電解質層3側の膜面周辺にも十分な酸化剤ガスAを供給することが可能となる。一方、t/w<0.01の関係を満たす場合には、集電体接触部11が形成されていないカソード本体部10の膜面からの酸化剤ガスAは、集電体接触部11の下方かつカソード本体部10の固体電解質層3側の膜面周辺まで拡散する前に、上部に集電体接触部11が形成されていない、カソード本体部10の固体電解質層3側の膜面周辺にて発電反応のために消費されてしまう。そのため、この場合には、t/w≧0.01の関係を満たす場合に比べ、集電体接触部11の下方かつカソード本体部10の固体電解質層3側の膜面周辺に酸化剤ガスAが供給され難くなる。
カソード1は、発電性能の向上を確実なものとするなどの観点から、好ましくは、t/w≧0.015、より好ましくは、t/w≧0.02の関係を満たす構成とすることができる。
なお、t/w値を算出するに当たり、カソード本体部10の平均膜厚tには、以下で定義される値が用いられる。カソード本体部10の膜面に垂直な断面を、SEMにて観察し、SEM像を取得する。次いで、得られたSEM像の垂直方向に等間隔で15本の縦線を引き、それぞれの縦線が、カソード本体部10の一方膜面と交わる点と他方膜面と交わる点との間の間隔tを測定する。上記のようにして得られた間隔tの平均値が、カソード本体部10の平均膜厚tとされる。
また、t/w値を算出するに当たり、集電体接触部11の平均幅wには、以下で定義される値が用いられる。図4に例示されるように、カソード1における集電体接触部11の形成側の表面を、SEMにて観察し、一視野に少なくとも5箇所の集電体接触部11が存在するSEM像を取得する。次いで、SEM像9に確認される全ての集電体接触部11に関し、各々の集電体接触部11の重心(図心)を通る最小の集電体接触部11の長さwを測定する。なお、図4中、黒点、点線は、重心を求める際の補助線の例である。この操作を、SEM像9内に観察される全ての集電体接触部11に対して行い、その平均値が、集電体接触部11の平均幅wとされる。
カソード1は、カソード本体部10の膜面の面積をS、ドメイン領域102のうち、集電体接触部11に接触するドメイン領域102の総面積をScとしたとき、0.7≦Sc/S≦1を満たす構成とすることができる。なお、カソード本体部10の膜面の面積Sは、カソード本体部10における集電体接触部11の形成側の膜面の面積である。この構成によれば、応力緩和のためにクラック101が形成されている場合であっても、集電性能を良好に保つことが可能なカソード1が得られる。
なお、S、Scは、一視野に少なくとも5箇所の集電体接触部11が存在する、カソード1の表面SEM像を取得し、集電体接触部11が上部に存在しないドメイン領域の面積Sを計上する。SEM像全体の面積をSとするとき、Scは、Sc=S-Sにて定義される。Sc/Sは、ドメイン領域102の内部の面内抵抗による集電ロスを抑制し、発電効率を高めるなどの観点から、好ましくは、0.75以上、より好ましくは、0.8以上とすることができる。
次に、実施形態1の単セルについて説明する。図6に例示されるように、本実施形態の単セル5は、本実施形態のカソード1を有している。
本実施形態では、単セル5は、具体的には、アノード2と固体電解質層3とカソード1とを有している。単セル5は、図6に例示されるように、固体電解質層3とカソード1との間に中間層4をさらに備えることができる。中間層4は、主に、固体電解質層材料とカソード材料との反応を抑制するための層である。本実施形態では、単セル5は、具体的には、アノード2、固体電解質層3、中間層4、および、カソード1がこの順に積層され、互いに接合されている。単セル5は、平板形、円筒形のいずれの電池構造であってもよい。本実施形態では、図6に例示されるように、単セル5が、平板形の電池構造を有する例が示されている。より具体的には、単セル5は、電極であるアノード2を支持体として機能させるアノード支持型とされている。平板形の電池構造を有する単セル5は、発電性能が高い等の利点がある。
単セル5において、酸化剤ガスAは、外部からカソード面内方向に沿って供給される。一方、燃料ガスFは、外部からアノード面内方向に沿って供給される。酸化剤ガスAとしては、例えば、空気や酸素等を例示することができる。燃料ガスFとしては、例えば、水素ガス等を例示することができる。
本実施形態では、カソード1の外形は、図6に例示されるように、固体電解質層3や中間層4等の外形よりも小さく形成されている。そのため、カソード1の外周囲には、中間層4の層面が露出している。そして、カソード1における固体電解質層3側のカソード面が、中間層4の層面に接している。なお、中間層4を有さない構成とする場合には、カソード1における固体電解質層3側のカソード面が、固体電解質層3の層面に接するように構成することができる。
固体電解質層3の材料としては、強度、熱的安定性に優れる等の観点から、イットリア安定化ジルコニア、スカンジア安定化ジルコニア等の酸化ジルコニウム系酸化物を好適に用いることができる。固体電解質層3の材料としては、酸素イオン伝導性、機械的安定性、他の材料との両立、酸化雰囲気から還元雰囲気まで化学的に安定である等の観点から、イットリア安定化ジルコニアが好適である。
固体電解質層3の厚みは、オーミック抵抗の低減などの観点から、好ましくは、3~20μm、より好ましくは、4~15μm、さらに好ましくは、5~10μmとすることができる。
アノード2は、単層から構成されていてもよいし、複数層から構成されていてもよい。図6では、アノード2が単層から構成されている例が示されている。アノード2は、複数層から構成されていてもよい。この場合、アノード2は、具体的には、例えば、固体電解質層3側に配置される活性層と、固体電解質層3側とは反対側に配置される拡散層とを備える構成などとすることができる。なお、活性層は、主に、アノード2側における電気化学的反応を高めるための層である。また、拡散層は、供給される燃料ガスFを層面内に拡散させることが可能な層である。
アノード2の材料としては、例えば、Ni、NiO等の触媒と、上述した酸化ジルコニウム系酸化物等の固体電解質との混合物などを例示することができる。なお、NiOは、発電時の還元雰囲気でNiとなる。本実施形態では、アノード2の材料として、NiまたはNiOとイットリア安定化ジルコニアとの混合物などを用いることができる。
活性層の厚みは、反応持続性、取り扱い性、加工性等の観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上とすることができる。活性層の厚みは、電極反応抵抗の低減等の観点から、好ましくは30μm以下、より好ましくは25μm以下とすることができる。また、拡散層の厚みは、支持体としての強度確保等の観点から、好ましくは100μm以上、より好ましくは200μm以上、より好ましくは300μm以上とすることができる。拡散層の厚みは、ガス拡散性の向上等の観点から、好ましくは800μm以下、より好ましくは700μm以下とすることができる。
中間層4の材料としては、例えば、CeO、または、CeOにGd、Sm、Y、La、Nd、Yb、Ca、および、Hoから選択される1種または2種以上の元素等がドープされたセリア系固溶体等の酸化セリウム系酸化物などを例示することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。
また、中間層4の厚みは、オーミック抵抗の低減、カソード1からの元素拡散の抑制等の観点から、好ましくは1~20μm、より好ましくは2~5μmとすることができる。
本実施形態の単セル5は、カソード1を有しているので、カソード1の剥離抑制と、カソード1へのクラック101導入による発電性能の低下抑制とを両立させることができる。
(実施形態2)
実施形態2のカソードおよび単セルについて、図7、図8を用いて説明する。なお、実施形態2以降において用いられる符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
図7、図8に例示されるように、本実施形態のカソード1において、各集電体接触部11は、実施形態1のカソード1と同様に、酸化剤ガスAの流れ方向に沿って配置されている。但し、本実施形態のカソード1では、集電体接触部11は、図7に例示されるように、ライン状に形成されている。
この構成によれば、カソード本体部10への酸化剤ガスAの流入を集電体接触部11が妨げることなく、カソード1と集電体6との接触面積を高めやすい。そのため、この構成によれば、カソード1の剥離抑制と、カソード1へのクラック101導入による発電性能の低下抑制とをより一層両立させやすくなる。さらに、この構成によれば、実施形態1のカソード1に比べて集電面積を大きくとりやすいため、実施形態1のカソード1では捨てられていたドメイン領域102による発電分も取り出すことが可能となる。そのため、この構成によれば、実施形態1のカソードに比べ、発電性能を向上させやすくなる。
なお、上記において、ライン状とは、線の幅が一定であるものだけでなく、線の幅が線方向で変化する場合等、全体としてみれば線とみなすことができるものをも含む。図7では、各集電体接触部11の幅が一定である場合が例示されている。なお、図7では、カソード本体部10における酸化剤ガスAの入口側端部から酸化剤ガスAの出口側端部に向かって、集電体接触部11の幅が同等とされている例が示されている。
各集電体接触部11がライン状である場合について、図8を用いて、Lの算出方法を説明する。図8では、上から2つ目のライン状の集電体接触部11の幅が、残りのライン状の集電体接触部11の幅と異なっている例が示されている。このような場合、隣り合うライン状の集電体接触部11を最短距離でつなぐ線を引き、その距離をlとすると、図8に示す通りとなる。以降は、実施形態1と同様にして、取得された全てのSEM像9に対してlを求め、得られたlの平均値がLとされる。
なお、本実施形態におけるt/w値の算出は、実施形態1に上述した図4を用いて、実施形態1にて説明した通りに算出することができる。なお、実施形態1は、集電体接触部11がドット状の例であり、本実施形態は、集電体接触部11がライン状の例である。上述した図4は、実施形態1のみならず、本実施形態についても説明を兼ねることができるように描かれている。その他の構成および作用効果は、実施形態1と同様である。
また、実施形態2の単セル5は、本実施形態2のカソード1を有している。そのため、実施形態2の単セル5は、実施形態1の単セル5に比べ、カソード1の剥離抑制と、カソード1へのクラック101導入による発電性能の低下抑制とをより一層両立させやすい。その他の構成および作用効果は、実施形態1と同様である。
(実施形態3)
実施形態3のカソードおよび単セルについて、図9を用いて説明する。
図9に例示されるように、本実施形態のカソード1において、集電体接触部11は、実施形態2のカソード1と同様に、ライン状に形成されている。但し、本実施形態のカソード1では、カソード本体部10における酸化剤ガスAの入口側端部から酸化剤ガスAの出口側端部に向かって、集電体接触部11の幅がくなるように構成されている。
この構成によれば、カソード1を単セル5に適用した場合において、単セル5への酸化剤ガスAおよび燃料ガスFの供給方式がコフロー方式またはクロスフロー方式のときに、単セルのセル面内温度を均一化することが可能となる。すなわち、コフロー方式、クロスフロー方式では、カソード本体部10における酸化剤ガスAの入口側端部に近いほど、セル面内の発電時の温度分布が高くなりやすく、また、カソード本体部10における酸化剤ガスAの出口側端部に近いほど、セル面内の発電時の温度分布が低くなりやすい。これは、発電に伴う水素消費、水蒸気生成によってセル面内にガス組成分布ができることで、酸化剤ガスAの入口側端部の発電密度が、酸化剤ガスAの出口側端部よりも高まることによる。上記構成を採用することで、酸化剤ガスAの入口側端部での集電抵抗を高く、酸化剤ガスAの出口側端部の集電抵抗を低くすることが可能となり、入口側端部と出口側端部との発電密度差が縮小され、単セルのセル面内温度を均一化することが可能となる。それ故、この構成によれば、局所的な熱応力の集中によるカソード1の剥離進展を抑制しやすくなり、単セルの耐久性向上に有利となる。
集電体接触部11の幅は、連続的にくなるように構成されていてもよいし、段階的にくなるように構成されていてもよい。図9では、前者の例が示されている。前者の構成によれば、単セルのセル面内温度を均一化しやすいため、上述した効果を高めることができる。その他の構成および作用効果は、実施形態2と同様である。
また、実施形態3の単セル5は、本実施形態3のカソード1を有している。そのため、実施形態3の単セル5は、コフロー方式またはクロスフロー方式が採用されたときに、実施形態1、2の単セル5に比べ、セル面内温度を均一化することができ、局所的な熱応力の集中によるカソード1の剥離進展を抑制しやすい。その他の構成および作用効果は、実施形態2と同様である。
(実施形態4)
実施形態4のカソードおよび単セルについて、図10を用いて説明する。
図10に例示されるように、本実施形態のカソード1において、集電体接触部11は、実施形態2のカソード1と同様に、ライン状に形成されている。但し、本実施形態のカソード1では、酸化剤ガスAの入口側端部および酸化剤ガスAの出口側端部からカソード1の中央部に向かって、集電体接触部11の幅が狭くなるように構成されている。なお、上記にいうカソード1の中央部とは、酸化剤ガスAの入口側端部と酸化剤ガスAの出口側端部とを二分する位置をいう。
この構成によれば、カソード1を単セル5に適用した場合において、単セル5への酸化剤ガスAおよび燃料ガスFの供給方式がカウンターフロー方式のときに、単セルのセル面内温度を均一化することが可能となる。すなわち、カウンターフロー方式では、カソード本体部10における酸化剤ガスAの入口側端部および出口側端部に近いほど、セル面内の発電時の温度分布が高くなりやすく、また、カソード本体部10における酸化剤ガスAの入口側端部および出口側端部から遠いほど、セル面内の発電時の温度分布が低くなりやすい。そのため、上記構成を採用することで、酸化剤ガスAの入口側端部での集電抵抗を高く、酸化剤ガスAの出口側端部の集電抵抗を低くすることが可能となり、入口側端部と出口側端部との発電密度差が縮小され、単セルのセル面内温度を均一化することが可能となる。それ故、この構成によれば、局所的な熱応力の集中によるカソード1の剥離進展を抑制しやすくなり、単セルの耐久性向上に有利となる。
集電体接触部11の幅は、連続的に狭くなるように構成されていてもよいし、段階的に狭くなるように構成されていてもよい。図10では、前者の例が示されている。前者の構成によれば、単セルのセル面内温度を均一化しやすいため、上述した効果を高めることができる。その他の構成および作用効果は、実施形態2と同様である。
また、実施形態4の単セル5は、本実施形態4のカソード1を有している。そのため、実施形態4の単セル5は、カウンターフロー方式が採用されたときに、実施形態1、2の単セル5に比べ、セル面内温度を均一化することができ、局所的な熱応力の集中によるカソード1の剥離進展を抑制しやすい。その他の構成および作用効果は、実施形態2と同様である。
(実験例1)
<材料準備>
NiO粉末(平均粒子径:1.0μm)と、8mol%のYを含むイットリア安定化ジルコニア(以下、8YSZ)粉末(平均粒子径:0.8μm)と、カーボン(造孔剤)と、ポリビニルブチラール(有機材料)と、酢酸イソアミル、2-ブタノールおよびエタノール(混合溶媒)とをボールミルにて混合することによりスラリーを調製した。NiO粉末と8YSZ粉末との質量比は、60:40とした。上記スラリーを、ドクターブレード法を用いて、樹脂シート上に層状に塗工し、乾燥させた後、樹脂シートを剥離することにより、アノードの拡散層形成用シートを準備した。なお、上記平均粒子径は、レーザー回折・散乱法により測定した体積基準の累積度数分布が50%を示すときの粒子径(直径)d50である(以下、同様)。
NiO粉末(平均粒子径:1.0μm)と、8YSZ粉末(平均粒子径:0.8μm)と、カーボンと、ポリビニルブチラールと、酢酸イソアミルおよび1-ブタノールとをボールミルにて混合することによりスラリーを調製した。NiO粉末と8YSZ粉末の質量比は、60:40である。上記スラリーを、ドクターブレード法を用いて、樹脂シート上に層状に塗工し、乾燥させた後、樹脂シートを剥離することにより、アノードの活性層形成用シートを準備した。なお、上記拡散層形成用シートにおけるカーボン(造孔剤)量は、上記活性層形成用シートにおけるカーボン量と比較して多量とされている。
8YSZ粉末(平均粒子径:0.8μm)と、ポリビニルブチラールと、酢酸イソアミル、2-ブタノールおよびエタノールとをボールミルにて混合することによりスラリーを調製した。以降は、拡散層形成用シートの作製と同様にして、固体電解質層形成用シートを準備した。
10mol%のGdがドープされたCeO(以下、10GDC)粉末(平均粒子径:0.8μm)と、ポリビニルブチラールと、酢酸イソアミル、2-ブタノールおよびエタノールとをボールミルにて混合することによりスラリーを調製した。以降は、拡散層形成用シートの作製と同様にして、中間層形成用シートを準備した。
La0.6Sr0.4CoO(以下、LSC)粉末(平均粒子径:0.6μm)と、カーボンと、エチルセルロースと、テルピネオールとをボールミルにて混合することにより、カソード本体部形成用ペーストを準備した。この際、カソード本体部にクラックを導入するため、LSC粉末の粒度分布が狭小となるように制御した。具体的には、LSC粉末の平均粒子径d50を1.5~2.5μmとし、かつ、BET比表面積が2~3m/gの範囲となるようにLSC粉末の解砕条件を調節した。なお、粒度分布が狭小、すなわち、d50以下の粒径を有する微細LSC粉末を減らすことにより、ドメイン領域の50%累積平均径Dが小さいカソード本体部を形成することができる。
導電材としてのLa(Ni0.6Fe0.4)O(以下、LNF)粉末(平均粒子径:1.2μm)と、エチルセルロースと、テルピネオールとをボールミルにて混合することにより、集電体接触部形成用ペーストを準備した。
<カソード、単セルの作製>
複数枚の拡散層形成用シート、活性層形成用シート、固体電解質層形成用シート、および、中間層形成用シートをこの順に積層し、静水圧プレス(WIP)成形法を用いて圧着することにより、圧着体を得た。圧着体は、圧着後に脱脂した。なお、WIP成形条件は、温度80℃、加圧力50MPa、加圧時間10分という条件とした。
次いで、圧着体を1350℃で2時間焼成した。これにより、拡散層(500μm)および活性層(50μm)より構成されるアノード、固体電解質層(10μm)、および、中間層(10μm)がこの順に積層された焼結体を得た。
次いで、焼結体における中間層の表面に、カソード本体部形成用ペーストをスクリーン印刷法により均一に塗布し、1000℃で2時間焼付けすることによって膜状のカソード本体部を形成した。なお、カソード本体部は、中間層の外形よりも小さく形成した。
次いで、カソード本体部の膜面上に、スクリーン印刷法により、集電体接触部形成用ペーストをパターニングして塗布した。本例では、パターニングは、図7に例示されるように、複数のライン状の集電体接触部が得られるように実施した。以上により、本例のカソード、および、単セルを得た。なお、塗布された集電体接触部形成用ペースト中の有機成分は、作動温度(例えば、700℃)まで昇温する過程で焼成され、焼失する。
得られたカソードをSEM観察した結果、カソード本体部に、膜厚方向に沿って延びる多数のクラックと、クラックにより囲まれた複数のドメイン領域とが形成されていることが確認された。また、上述した方法により求めたドメイン領域の50%累積平均径D、集電体接触部間の平均距離Lは、L<Dの関係を満たしていることが確認された。具体的には、ドメイン領域の50%累積平均径D=3.55mm、集電体接触部間の平均距離L=3.08mm、集電体接触部の平均幅w=1.98mm、カソード本体部の平均膜厚t=0.080mmであった。
なお、上記のようにして得られた単セルを、例えば、集電体を有するセパレータを介して複数積層してスタック化することにより、カソードにおけるカソード本体部が集電体接触部を介して集電体、セパレータと導通する固体酸化物形燃料電池セルスタックを得ることができる。
(実験例2)
実験例1と同様にして、カソードのドメイン領域の50%累積平均径D、集電体接触部間の平均距離Lが異なる複数の単セルを作製し、発電出力の測定を行った。この際、原料に用いるLSC粉末の解砕状態を制御し、原料のBET比表面積を変化させることにより、カソードを焼成した際のクラック導入間隔を制御した。具体的には、LSC粉末原料中に含まれる微粉末を少なくすることで、原料のBET比表面積を小さくし、ドメイン領域の50%累積平均径Dを相対的に小さくした。反対に、LSC粉末原料中に含まれる微粉末を多くすることで、BET比表面積を大きくし、ドメイン領域の50%累積平均径Dを相対的に大きくした。また、集電体接触部のパターンは、直径φ=2mmの円形がそれぞれピッチ=3、5、7mmで均等に配列してなる3つのドットパターンとした。
そして、各単セルのカソードにおけるドメイン領域の50%累積平均径D、集電体接触部間の平均距離Lを、上述した方法により求めた。
なお、各単セルにおいて、カソード本体部の平均膜厚tは、0.08mm、集電体接触部の平均幅wは、2.04mmとした。また、カソード本体部にクラック、ドメイン領域のない単セルも準備した。
準備した各単セルを、それぞれ、酸化剤ガス流路、燃料ガス流路が形成された集電体付きセパレータにて挟み込み、スタック化した。これにより、カソードにおけるカソード本体部が集電体接触部を介して集電体、セパレータと導通するセルスタックを作製した。得られたセルスタックを800℃で還元処理した後、700℃に降温し、アノードに水素0.5NL/min、カソードに空気1.0NL/minを流入させた際の発電出力を測定した。発電出力は、セル電圧が0.8Vとなる点での電流値から、電圧×電流の式により算出した。
また、上記準備した各単セルのカソードについて、JIS K5600 「塗料一般試験方法」4-6の方法に準拠し、カソードの剥離試験を行った。上記の結果をまとめて表1に示す。
Figure 0007114878000001
表1によれば、以下のことがわかる。試料1は、カソード本体部にクラック、ドメイン領域が形成されておらず、カソード面内方向の電気抵抗成分が小さいため、理想的な発電出力が得られていると考えられる。但し、試料1は、カソード本体部にクラック、ドメイン領域が形成されていないためにカソードの剥離が生じた。これに対し、試料2~7は、L≦Dの関係を満たしているため、カソードの剥離が生じず、かつ、試料1と遜色のない発電性能を確保することができていた。これは、L≦Dの関係を満たすことにより、カソード本体部におけるドメイン領域のうち、発電に主に寄与する中央値以上の直径を持つドメイン領域の上に、集電のための集電体接触部が形成される構造となっているために、カソード側の集電抵抗の増大を抑制することができたためであると考えられる。また、表1によれば、0.7≦Sc/S≦1の関係が満たされる場合には、試料1と遜色ない発電性能を確保できることがわかる。
(実験例3)
実験例1と同様にして、集電体接触部の平均幅wと、カソード本体部の平均膜厚tとを変化させた複数の単セルを作製した。この際、カソード形成時のスクリーン印刷の回数を変化させることにより、カソードの膜厚を異ならせた。また、集電体接触部のパターンは、直径φ=2mm、φ=4mm、φ=15mmの円形が、それぞれピッチ=5、7、18mmで均等に配列してなる3つのドットパターンとした。また、各単セルのカソードにおけるドメイン領域の50%累積平均径D、集電体接触部間の平均距離L、集電体接触部の平均幅w、カソード本体部の平均膜厚tを、上述した方法により求めた。
そして、実験例2と同様にして、各単セルを用いた各セルスタックについて、発電出力の測定を行った。また、各単セルのカソードについて、カソードの剥離試験を行った。上記の結果をまとめて表2に示す。
Figure 0007114878000002
表2によれば、以下のことがわかる。試料8~試料12を比較すると、t/w≧0.01の関係を満たしている場合には、発電出力を良好に保つことができていることがわかる。これは、以下の理由による。膜面に集電体接触部が形成されているカソード本体部は、集電体接触部がガス拡散性に乏しいために、空気の供給が制限される。しかし、t/w≧0.01の関係を満たしている場合には、集電体接触部が形成されていないカソード本体部の膜面からのガス拡散により、主に発電反応が生じるカソード本体部/中間層界面部に十分なガス供給がなされるため、発電性能が良好に保たれる。一方、t/w<0.01の関係を満たしている場合には、集電体接触部が形成されていないカソード本体部の膜面からのガスは、集電体接触部下方のカソード本体部/中間層界面部にて発電反応のために消費されてしまう。そのため、この場合には、集電体接触部下方のカソード本体部/中間層界面部に十分なガスが供給されず、t/w≧0.01の関係を満たしている場合に比べると、発電性能が低くなる。
(実験例4)
実験例1と同様にして、LNF粉末と、エチルセルロースと、テルピネオールとをボールミルにて混合することにより、集電体接触部形成用ペーストを準備した。但し、本例で準備した集電体接触部形成用ペーストでは、LNF粉末を微粉化させ、平均粒子径を0.5μmとした。また、本例で準備した集電体接触部形成用ペーストは、実験例1で用いた集電体接触部形成用ペーストに比べ、集電体接触部形成時にカソード本体部のクラックにペーストが含浸されるようにペースト粘度を低下せた。これら以外は実験例1と同様にして、本例のカソード、および、単セルを得た(試料13)。また、実験例1のカソード、および、単セルも併せて準備した(試料14)。
各単セルについて、カソード本体部の膜面に垂直な断面が確認できるように断面研磨処理を行い、SEM-EDXにてクラックの開口部分を調査した。その結果、試料13では、クラックの開口部分に、集電体接触部を構成するLNF粒子の一部が存在することが確認された。一方、試料14では、クラックの開口部分にLNF粒子の存在は確認されなかった。
そして、実験例2と同様にして、各単セルを用いた各セルスタックについて、発電出力の測定を行った。また、各単セルのカソードについて、カソードの剥離試験を行った。上記の結果をまとめて表3に示す。
Figure 0007114878000003
表3によれば、以下のことがわかる。試料13および試料14の比較から、L≦Dの関係を満たすカソードにおいて、クラックの開口部分に導電材であるLNFが存在する試料13の方が、クラックの開口部分に導電材であるLNFが存在しない試料14に比べて、発電性能が高くなることが確認された。これは、以下の理由による。カソードがL≦Dの関係を満たす場合、50%累積平均径D以上の平均径を持つドメイン領域については良好に集電されるが、50%累積平均径D未満の平均径を持つドメイン領域については集電が保障されない。ここで、クラックの開口部分に、LNF等のような良好な導電性を有する導電材が存在すると、導電材を介したドメイン領域間(クラックを横断する方向)の電気導電パスが形成されるため、ドメイン領域間の電気抵抗が低減される。その結果、導電材なしでは良好な集電がなされていなかった50%累積平均径D未満の平均径を持つドメイン領域が発電に寄与することができるようになる。それ故、試料13は、試料14に比べ、発電性能が向上したものである。
本発明は、上記各実施形態、各実験例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
1 カソード
10 カソード本体部
101 クラック
102 ドメイン領域
11 集電体接触部
5 単セル
6 集電体
A 酸化剤ガス

Claims (8)

  1. 外部から酸化剤ガス(A)が供給される膜状のカソード本体部(10)と、上記カソード本体部の膜面上に形成されており、集電体(6)を接触させるための複数の集電体接触部(11)と、を有しており、
    上記集電体接触部は、銀、銀合金、ランタン-ストロンチウム-コバルト系酸化物、ランタン-ストロンチウム-コバルト-鉄系酸化物、ランタン-ニッケル-鉄系酸化物、ランタン-ストロンチウム-マンガン系酸化物、および、サマリウム-ストロンチウム-コバルト系酸化物からなる群より選択される少なくとも1種の導電材を含み、
    上記集電体接触部は、ドット状またはライン状であり、
    上記カソード本体部は、膜厚方向に導入されたクラック(101)により囲まれた複数のドメイン領域(102)を有しており、
    上記ドメイン領域の50%累積平均径をD、上記集電体接触部間の平均距離をLとしたとき、Dは1~50mm、Lは1~20mmであって、L≦Dの関係を満たす、
    固体酸化物形燃料電池用カソード(1)。
  2. 上記集電体接触部は、上記酸化剤ガスの流れ方向に沿って配置されている、請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池用カソード。
  3. 上記クラックの開口部分に上記導電材の少なくとも一部が存在している、請求項1または2に記載の固体酸化物形燃料電池用カソード。
  4. 上記カソード本体部の平均膜厚をt、上記集電体接触部の平均幅をwとしたとき、t/w≧0.01の関係を満たす、請求項1~のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池用カソード。
  5. 上記カソード本体部における上記酸化剤ガスの入口側端部から上記酸化剤ガスの出口側端部に向かって、上記集電体接触部の幅が広くなる、請求項1~のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池用カソード。
  6. 上記カソード本体部における上記酸化剤ガスの入口側端部および上記酸化剤ガスの出口側端部から上記カソードの中央部に向かって、上記集電体接触部の幅が狭くなる、請求項1~のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池用カソード。
  7. 上記カソード本体部の膜面の面積をS、上記ドメイン領域のうち、上記集電体接触部に接触する上記ドメイン領域の総面積をScとしたとき、0.7≦Sc/S≦1を満たす、請求項1~のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池用カソード。
  8. 請求項1~のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池用カソードを有する、固体酸化物形燃料電池単セル(5)。
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