JP7106108B2 - 窒化アルミニウム結晶の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、窒化アルミニウム結晶の製造方法に関する。
紫外発光素子は、殺菌光源や蛍光体と組み合わせた高輝度白色光源、高密度情報記録光源、樹脂硬化光源など、幅広い用途での使用が期待される次世代光源である。この紫外発光素子は、AlGaN系窒化物半導体から成っている。
このAlGaN系窒化物半導体の基板材料の候補として、AlGaNとの格子整合性の高さから、SiC、GaN、およびAlNが挙げられる。しかし、SiCやGaNは、それぞれ380nm、365nmよりエネルギーの高い光を吸収してしまう。一方、AlNは、210nmよりエネルギーが低い光に対して透明であるため、365nmよりも広い波長領域のデバイスの基板材料として最も優れていると考えられるが、高温において高い解離圧を示すため、常圧下では融液状態にはならない。このため、シリコン単結晶のように、自身の融液からAlN単結晶を作製することは、極めて困難である。
そこで、従来、AlN単結晶を作製するために、ハイドライド気相成長法や液相成長法、昇華法などの製造方法が試みられている。例えば、高圧下でIII族元素とアルカリ金属を含む融液に基板を接触させることにより、III族窒化物結晶を成長させる手法(例えば、特許文献1参照)や、III族金属元素の融液に、窒素原子を含有するアンモニアガスを注入して、III族元素の融液内でIII族窒化物微結晶を製造する手法(例えば、特許文献2参照)が提案されている。しかし、これらのAlN結晶の製造方法では、高圧や高温が必要となり、サイズ、品質およびコストに対して、実用化に耐えうる結晶を製造することはできないという問題があった。
この問題を解決するために、本発明者等は、Ga-Al合金融液をフラックスとした液相成長法として、Ga-Al合金融液にN原子を含有するガスを導入し、Ga-Al合金融液中に配置された種結晶基板上に、窒化アルミニウム結晶をエピタキシャル成長させる方法(例えば、特許文献3または非特許文献1参照)や、Ga-Al合金融液に、窒素を含むガスを吹き込んでAlを含む蒸気を発生させ、Ga-Al合金融液の外部に配置したテンプレート基板に、その蒸気をあてることにより、テンプレート基板の表面に窒化アルミニウム結晶を成長させる方法(例えば、特許文献4参照)を開発している。
特開2004-224600号公報 特開平11-189498号公報 国際公開WO2012/008545号 特開2017-160106号公報
Masayoshi Adachi, et. al., "High-Quality AlN Layer Homoepitaxially Grown on Nitrided a-Plane Sapphire Using a Ga-Al Flux", Applied Physics Express, 2013, vol.6, p.091001
特許文献3、4および非特許文献1に記載の窒化アルミニウム結晶の製造方法によれば、低温・常圧下で、安価かつ良質な窒化アルミニウム(AlN)結晶を得ることができる。しかし、特許文献3および非特許文献1に記載の方法では、均一で大きい窒化アルミニウム結晶を製造するためには、Ga-Al合金融液に導入するN原子を含有するガスの流れや、融液の流れを精密に制御する必要があり、その制御が非常に難しいという課題があった。また、特許文献4に記載の方法でも、均一で大きい窒化アルミニウム結晶を製造するためには、Ga-Al合金融液に吹き込む窒素を含むガスの流れや、反応炉内でのAlを含む蒸気の流れを精密に制御する必要があり、その制御が非常に難しいという課題があった。
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、均一で大きい窒化アルミニウム結晶を、比較的容易に製造することができる窒化アルミニウム結晶の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る窒化アルミニウム結晶の製造方法は、GaN結晶とAlの融液または前記Alを含む合金の融液とを接触させ、前記GaN結晶中のGaと前記Alとの置換反応により窒化アルミニウム結晶を生成することを特徴とする。
本発明に係る窒化アルミニウム結晶の製造方法は、以下の原理により、窒化アルミニウム(AlN)結晶を製造することができる。すなわち、図1に示すように、少なくとも500K~1750Kの温度範囲では、AlNの標準生成自由エネルギーの方がGaNの標準生成自由エネルギーよりも小さく、AlNのほうがGaNよりも安定である。また、GaNとAlNは、同じウルツ鉱構造を有している。このため、GaN結晶とAlとを接触させたとき、(1)式に示す置換反応が進み、GaN結晶のGaサイトにAlが入り、ウルツ鉱構造を保ちながらAlNが生成される。
GaN(s)+Al(l)→AlN(s)+Ga(l) (1)
このように、本発明に係る窒化アルミニウム結晶の製造方法は、GaN結晶とAlとを接触させることにより、AlN結晶を製造することができ、原料ガス等の流れの制御が不要である。このため、原料ガス等を使用する方法と比べ、均一で大きい窒化アルミニウム結晶を容易に製造することができる。なお、製造されるAlN結晶は、ウルツ鉱構造を有する単結晶であると考えられる。
本発明に係る窒化アルミニウム結晶の製造方法は、所定の温度で前記GaN結晶と前記Alとを接触させることにより、前記置換反応を起こさせて前記窒化アルミニウム結晶を生成することが好ましい。この場合、(1)式に示す置換反応を促進することができ、効率良くAlN結晶を製造することができる。所定の温度は、1073K乃至1773Kであることが好ましい。1073Kより低い温度では、置換反応の反応速度が小さく、1773Kより高い温度では、GaN結晶が分解してしまう。また、熱処理時間が長いほど置換領域が広がるため、AlN結晶に置換したい範囲に合わせて、熱処理時間を調整することが好ましい。
本発明に係る窒化アルミニウム結晶の製造方法は、いかなる方法でGaN結晶とAlとを接触させて置換反応を起こさせてもよく、例えば、前記GaN結晶を、前記Alの融液または前記Alを含む合金の融液に浸漬させ、前記置換反応により窒化アルミニウム結晶を生成してもよい。この場合でも、均一で大きいAlN結晶を製造することができる。GaN結晶は、GaN単結晶基板であることが好ましい。また、より製造効率を高めるために、1073K乃至1773Kの温度の前記融液に浸漬させることが好ましい。
また、本発明に係る窒化アルミニウム結晶の製造方法は、前記GaN結晶と固体の前記Alとを接触させた状態で熱処理を行うことにより、前記置換反応を起こさせて前記窒化アルミニウム結晶を生成してもよい。特に、前記GaN結晶の表面に前記Alの膜を形成した後、前記熱処理を行い、前記置換反応により窒化アルミニウム結晶を生成することが好ましい。これらの場合にも、均一で大きいAlN結晶を製造することができる。GaN結晶の表面にAlの膜を形成する方法は、例えば、スパッタリングなどの物理気相成長法(PVD)や化学気相成長法(CVD)など、いかなる方法であってもよい。また、より製造効率を高めるために、前記熱処理は、1373K乃至1773Kの温度に加熱することが好ましい。
本発明によれば、均一で大きい窒化アルミニウム結晶を、比較的容易に製造することができる窒化アルミニウム結晶の製造方法を提供することができる。
本発明に係る窒化アルミニウム結晶の製造方法に関し、GaNおよびAlNの標準生成自由エネルギーの温度依存性を示すグラフである。 本発明の実施の形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法の、GaN結晶を、Alを含む合金融液に浸漬させる方法で使用する反応装置の全体構成を示す縦断面図である。 本発明の実施の形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法の、図2に示す反応装置を使用して、窒素ガス雰囲気中で、1173Kの合金融液中に1時間浸漬した後の試料基板のX線回折パターンである。 本発明の実施の形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法の、図2に示す反応装置を使用して、窒素ガス雰囲気中で、1473Kの合金融液中に1時間浸漬した後の試料基板のX線回折パターンである。 本発明の実施の形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法の、図2に示す反応装置を使用して、アルゴンガス雰囲気中で、1473Kの合金融液中に1時間浸漬した後の試料基板のX線回折パターンである。 図5に示す試料基板の断面の(a)走査型電子顕微鏡(SEM)写真、(b)エネルギー分散型X線分析(EDX)によるGaの元素マップ、(c)Alの元素マップである。 本発明の実施の形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法の、Ga極性((+c)-polar GaN)のGaN基板の表面にAl膜を形成した後、(a)823K、1073K、1473K、1573K、および、1673Kで0時間の熱処理、(b)1473Kで0時間、1時間、および、3時間の熱処理を行ったときの、GaN基板のX線回折パターンである。 本発明の実施の形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法の、Ga極性((+c)-polar GaN)のGaN基板の表面にAl膜を形成した後、823K、1073K、1473K、1573K、および、1673Kで、0時間、1時間、または、3時間の熱処理を行ったときの、GaN基板の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 本発明の実施の形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法の、Ga極性((+c)-polar GaN)およびN極性((-c)-polar GaN)のGaN基板の表面にAl膜を形成した後、1673Kで0時間の熱処理を行ったときの、GaN基板のX線回折パターンである。 本発明の実施の形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法の、GaN基板の表面にAl膜を形成した後、1673Kで0時間の熱処理を行ったときの、(a)Ga極性((+c)-polar GaN)のGaN基板のAlN(0002)反射、(b)AlN(10-12)反射、(c)N極性((-c)-polar GaN)のGaN基板のAlN(0002)反射、(d)AlN(10-12)反射のロッキングカーブである。 本発明の実施の形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法の、GaN基板の表面にAl膜を形成した後、1673Kで0時間の熱処理を行ったときの、(a)Ga極性((+c)-polar GaN)のGaN基板の熱処理前、(b)熱処理後、(c)N極性((-c)-polar GaN)のGaN基板の熱処理前、(d)熱処理後の、断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
以下、図面および実施例等に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の実施の形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法は、所定の温度でGaN結晶とAlとを接触させることにより、(1)式に示す、GaN結晶中のGaとAlとの置換反応を起こさせて窒化アルミニウム結晶を生成する。
(1)式の置換反応を起こさせる方法としては、例えば、GaN結晶を、Alの融液またはAlを含む合金の融液に浸漬させる方法や、GaN結晶の表面にAlの膜を形成した後、GaN結晶とAl膜とを接触させた状態で熱処理を行う方法などである。GaN結晶の表面にAlの膜を形成する方法は、例えば、スパッタリングなどの物理気相成長法(PVD)や化学気相成長法(CVD)などである。
本発明の実施の形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法は、GaN結晶とAlとを接触させることにより、AlN結晶を製造することができ、原料ガス等の流れの制御が不要である。このため、原料ガス等を使用する方法と比べ、均一で大きい窒化アルミニウム結晶を容易に製造することができる。
以下では、実施例として、本発明の実施の形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法のうち、GaN結晶を、Alを含む合金融液に浸漬させる方法(第1の方法)、および、GaN結晶の表面にAl膜を形成した後、熱処理を行う方法(第2の方法)を用いて、AlN結晶の製造を行った。
[GaN結晶を、Alを含む合金融液に浸漬させる方法(第1の方法)]
AlNを製造するために、図2に示す反応装置10を用いた。図2に示すように、反応装置10は、反応容器11とヒーター12と雰囲気ガス導入管13とガス排気管14とるつぼ15と基板ホルダー16とを有している。
反応容器11は、密閉可能な容器から成っている。ヒーター12は、反応容器11の外部側方に配置され、反応容器11の内部を加熱可能になっている。雰囲気ガス導入管13は、反応容器11の内部に雰囲気ガスを導入可能に、反応容器11の上部を貫通して設けられている。ガス排気管14は、反応容器11の内部のガスを排出可能に、反応容器11の下部を貫通して設けられている。また、ガス排気管14は、真空ポンプ(図示せず)にも接続されており、反応容器11の内部を真空引き可能になっている。
るつぼ15は、反応容器11の内部に配置され、内部にAlまたはAlを含む合金の融液17を収納可能になっている。るつぼ15は、耐熱性であり、例えば、酸化アルミニウム製、窒化アルミニウム製、窒化ホウ素製である。また、るつぼ15は、内部に温度計(図示せず)が配置されており、るつぼ15の内部に収納された融液17の温度を測定可能になっている。なお、ヒーター12は、るつぼ15の内部に配置された温度計の測定値に基づいて、るつぼ15の内部に収納された融液17の温度を制御可能になっている。
基板ホルダー16は、直線導入機構を有し、試料基板1を先端に保持した状態で、反応容器11の上部から下降させ、るつぼ15の内部の融液17に浸漬可能、かつ、試料基板1を上昇させて、融液17から反応後の試料基板1を取り出し可能になっている。
図2に示す反応装置10を用いて、以下のようにしてAlN結晶の製造を行った。るつぼ15の内部に収納する融液17として、Ga-40mol%Alの合金融液を用い、試料基板1として、GaN単結晶基板を用いた。GaN単結晶基板は、縦10.0mm×横10.5mm、厚み350μmで、m軸に対して0.35°の角度で切り出したものである。まず、ガス排気管14により反応容器11の内部を真空引きした後、反応容器11の内部に雰囲気ガス導入管13から雰囲気ガスを供給し、反応容器11の内部を雰囲気ガスで満たしておく。次に、るつぼ15の内部にAlを含む合金を入れ、ヒーター12により加熱して融解し、融液17にした後、基板ホルダー16によりGaN結晶から成る試料基板1を、Alを含む融液17の中に浸漬させる。ヒーター12により融液17を所定の温度に保持した状態で、所定の時間浸漬させ、(1)式の置換反応を起こさせる。その後、基板ホルダー16により融液17から反応後の試料基板1を取り出す。
まず、反応容器11の内部の雰囲気を1bar(10Pa)の窒素ガスとし、試料基板1を、1173Kに保持した融液17の中に1時間浸漬した。浸漬後の試料基板1に対して、X線回折法により結晶構造の解析を行った。X線回折法によるX線回折パターンを、図3に示す。図3に示すように、34.6°および72.9°に、それぞれGaN単結晶基板の(0002)および(0004)のピークが認められ、さらに、36.0°にAlN(0002)のピークが認められた。このことから、c軸に配向したAlN単結晶が得られていることが確認された。なお、64.4°のピークは、X線回折装置の試料保持台の原料であるAlのピークであり、試料基板由来のピークではない。
次に、反応容器11の内部の雰囲気を1bar(10Pa)の窒素ガスとし、試料基板1を、1473Kに保持した融液17の中に1時間浸漬した。浸漬後の試料基板1に対して、X線回折法により結晶構造の解析を行った。X線回折法によるX線回折パターンを、図4に示す。図4に示すように、34.6°および72.9°に、それぞれGaN単結晶基板の(0002)および(0004)のピークが認められ、さらに、35.9°にAlN(0002)、76.4°にAlN(0004)のピークが認められた。このことから、c軸に配向したAlN単結晶が得られていることが確認された。また、図3に示すX線回折パターンと比べて、AlNのピーク強度が大きくなっており、図3に示す場合よりも効率よくAlNが生成していることが確認された。
次に、反応容器11の内部の雰囲気を1bar(10Pa)のアルゴンガスとし、試料基板1を、1473Kに保持した融液17の中に1時間浸漬した。浸漬後の試料基板1に対して、X線回折法により結晶構造の解析、および、エネルギー分散型X線分析(EDX)による元素分析を行った。X線回折法によるX線回折パターンを、図5に示す。また、試料基板1の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図6(a)に、図6(a)と同じ視野におけるエネルギー分散型X線分析(EDX)による元素分析結果(元素マップ)を図6(b)および(c)に示す。
図5に示すように、34.6°および72.9°に、それぞれGaN基板の(0002)および(0004)のピークが認められ、さらに、35.9°にAlN(0002)、76.3°にAlN(0004)のピークが認められた。このことから、c軸に配向したAlN単結晶が得られていることが確認された。また、AlNのピークが、図4に示すX線回折パターンとほぼ同じ強度であり、図4に示す場合と同程度の効率でAlNが生成していることが確認された。
また、図6(a)乃至(c)に示すように、試料基板1の表面から深さ0.4μmの領域にAlが認められ、それより深い試料基板1の範囲でGaが多く認められた。このことから、試料基板1の表面に、厚みが約0.4μmのAlN膜が製造されていることが確認された。
[GaN結晶の表面にAl膜を形成した後、熱処理を行う方法(第2の方法)]
AlNを製造するために、Ga極性((+c)-polar GaN)およびN極性((-c)-polar GaN)のGaN基板の表面に、アルゴンガス雰囲気(アルゴンの流量;10 mL/min at 20℃)中で、マグネトロンスパッタ装置(島津エミット株式会社製「HSR-552」)を用いて、スパッタリング(直流電源、600W、27分間)によりAl膜を成膜した。GaN基板は、縦10.0mm×横10.5mm、厚み350μmで、m軸に対して0.35°の角度で切り出したものである。また、Alターゲットとして、Al濃度が99.999 mass%で、直径が101.6 mmのものを用いた。Al膜の成膜後、Al膜を下にして設置し、所定温度で所定時間の熱処理(Heat treatment)を行った。
まず、Ga極性((+c)-polar GaN)のGaN基板を用い、0.6Pa、294Kのアルゴンガス雰囲気中でスパッタリングを行ってAl膜(厚み;7.6μm)を成膜し、それぞれ次の熱処理温度および熱処理時間の熱処理を、アルゴンガス雰囲気(アルゴンの流量;30 mL/min at 20℃)中で行った。なお、所定の熱処理温度に達した時点で熱処理を終了し、温度保持をしないものを、熱処理時間 0時間とした。
熱処理温度:1673K 熱処理時間:0時間、1時間、3時間
熱処理温度:1573K 熱処理時間:0時間、1時間
熱処理温度:1473K 熱処理時間:0時間、1時間、3時間
熱処理温度:1073K 熱処理時間:0時間
熱処理温度: 823K 熱処理時間:0時間
各温度で0時間の熱処理後、および、1473Kで各時間の熱処理後のGa極性のGaN基板に対して、X線回折法により結晶構造の解析を行った。X線回折法によるX線回折パターンを、図7(a)および(b)に示す。なお、比較のため、GaN基板(Bare;Al膜なし、熱処理なし)、および、Al成膜後のGaN基板(sputtered Al;熱処理なし)のX線回折パターンも、図7中に示す。また、各温度、各時間で熱処理後のGa極性のGaN基板の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を、図8に示す。
0時間の熱処理では、図7(a)に示すように、1673Kのときだけ、AlN(0002)、AlN(0004)のピークが認められ、AlN単結晶が得られていることが確認された。また、図8に示すように、0時間の熱処理では、図7(a)と同様に、1673Kのときだけ、GaNの表面にAlNが認められた。
1473Kの熱処理では、図7(b)に示すように、3時間のときだけ、AlN(0002)のピークが認められ、AlN単結晶が得られていることが確認された。また、図8に示すように、1473Kの熱処理では、0時間のときには、GaNの表面にAlNは認められず、また、図7(b)とは異なり、3時間のときにも、GaNの表面にAlNを認めるのは困難であった。
図8に示すように、GaNの表面にAlNが認められるのは、それぞれ、1673Kで0時間(AlNの厚みは、0.67μm)、1673Kで1時間(AlNの厚みは、1.09μm)、および、1573Kで1時間(AlNの厚みは、1.08μm)のときであった。
次に、Ga極性((+c)-polar GaN)およびN極性((-c)-polar GaN)のGaN基板を用い、6.5 kPa、294Kのアルゴンガス雰囲気(アルゴンの流量;10 mL/min at 20℃)中でスパッタリングを行ってAl膜を成膜し、1673Kで0時間の熱処理を、アルゴンガス雰囲気(アルゴンの流量;30 mL/min at 20℃)中で行った。なお、Ga極性およびN極性のGaN基板に成膜したAl膜の厚みは、Ga極性のGaN基板で7.3μm、N極性のGaN基板で7.8μmである。
熱処理後の各GaN基板に対して、X線回折法による結晶構造の解析、および、X線ロッキングカーブ法による結晶性評価を行った。X線回折法によるX線回折パターンを図9に、X線ロッキングカーブ法によるAlN(0002)反射およびAlN(10-12)反射のロッキングカーブを図10に、熱処理前後の各極性のGaN基板の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図11に示す。なお、比較のため、GaN基板(Bare;Al膜なし、熱処理なし)、および、Al成膜後の各極性のGaN基板(sputtered Al;熱処理なし)のX線回折パターンも、図9中に示す。
図9に示すように、Ga極性およびN極性のGaN基板ともに、熱処理後に、AlN(0002)、AlN(0004)のピークが認められ、AlN単結晶が得られていることが確認された。また、図10に示すように、Ga極性およびN極性のGaN基板は、ロッキングカーブがほぼ同じ形状をしており、得られたAlNの結晶品質には、ほとんど違いがないことが確認された。また、図11に示すように、Ga極性およびN極性のGaN基板ともに、熱処理前にはAlNは認められず、熱処理によってAlNが得られることが確認された。熱処理後のAlNの厚みは、Ga極性GaN基板で0.7μm、N極性のGaN基板で1.4μmであった。
1 試料基板
10 反応装置
11 反応容器
12 ヒーター
13 雰囲気ガス導入管
14 ガス排気管
15 るつぼ
16 基板ホルダー
17 融液

Claims (8)

  1. GaN結晶とAlの融液または前記Alを含む合金の融液とを接触させ、前記GaN結晶中のGaと前記Alとの置換反応により窒化アルミニウム結晶を生成することを特徴とする窒化アルミニウム結晶の製造方法。
  2. 所定の温度で前記GaN結晶と前記Alとを接触させることにより、前記置換反応を起こさせて前記窒化アルミニウム結晶を生成することを特徴とする請求項1記載の窒化アルミニウム結晶の製造方法。
  3. 前記GaN結晶を、前記Alの融液または前記Alを含む合金の融液に浸漬させ、前記置換反応により窒化アルミニウム結晶を生成することを特徴とする請求項1または2記載の窒化アルミニウム結晶の製造方法。
  4. 1073K乃至1573Kの温度の前記融液に浸漬させることを特徴とする請求項3記載の窒化アルミニウム結晶の製造方法。
  5. 前記GaN結晶と固体の前記Alとを接触させた状態で熱処理を行うことにより、前記置換反応を起こさせて前記窒化アルミニウム結晶を生成することを特徴とする請求項1または2記載の窒化アルミニウム結晶の製造方法。
  6. 前記GaN結晶の表面に前記Alの膜を形成した後、前記熱処理を行い、前記置換反応により窒化アルミニウム結晶を生成することを特徴とする請求項5記載の窒化アルミニウム結晶の製造方法。
  7. 前記熱処理は、1373K乃至1773Kの温度に加熱することを特徴とする請求項5または6記載の窒化アルミニウム結晶の製造方法。
  8. 1073K乃至1773Kの温度で前記置換反応を起こさせることを特徴とする請求項1、2、3、5または6記載の窒化アルミニウム結晶の製造方法。
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