JP7051094B2 - 窒化アルミニウム結晶の製造方法 - Google Patents

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特許法第30条第2項適用 ・発行者名 :公益社団法人応用物理学会 刊行物名 :2018年 第65回応用物理学会春季学術講演会 講演予稿集 発行年月日:2018年(平成30年)3月5日 ・集 会 名:第65回応用物理学会春季学術講演会 開 催 日:2018年(平成30年)3月17日~20日
本発明は、窒化アルミニウム結晶の製造方法に関する。
紫外発光素子は、殺菌光源や蛍光体と組み合わせた高輝度白色光源、高密度情報記録光源、樹脂硬化光源など、幅広い用途での使用が期待される次世代光源である。この紫外発光素子は、AlGaN系窒化物半導体から成っている。
このAlGaN系窒化物半導体の基板材料の候補として、AlGaNとの格子整合性の高さから、SiC、GaN、およびAlNが挙げられる。しかし、SiCやGaNは、それぞれ380nm、365nmよりエネルギーの高い光を吸収するため、取り出せる波長領域が制限されてしまう。一方、AlNは、SiCやGaNのような波長領域の制限がないため、基板材料として最も優れていると考えられるが、高温において高い解離圧を示すため、常圧下では融液状態にはならない。このため、シリコン単結晶のように、自身の融液からAlN単結晶を作製することは、極めて困難である。
そこで、従来、AlN単結晶を作製するために、ハイドライド気相成長法や液相成長法、昇華法などの製造方法が試みられている。例えば、高圧下でIII族元素とアルカリ金属を含む融液に基板を接触させることにより、III族窒化物結晶を成長させる手法(例えば、特許文献1参照)や、III族金属元素の融液に、窒素原子を含有するアンモニアガスを注入して、III族元素の融液内でIII族窒化物微結晶を製造する手法(例えば、特許文献2参照)が提案されている。しかし、これらのAlN結晶の製造方法では、高圧や高温が必要となり、サイズ、品質およびコストに対して、実用化に耐えうる結晶を製造することはできないという問題があった。
この問題を解決するために、本発明者等は、Ga-Al合金融液をフラックスとした液相成長法として、Ga-Al合金融液にN原子を含有するガスを導入し、Ga-Al合金融液中に配置された種結晶基板上に、窒化アルミニウム結晶をエピタキシャル成長させる方法(例えば、特許文献3または非特許文献1参照)や、Ga-Al合金融液に、窒素を含むガスを吹き込んでAlを含む蒸気を発生させ、Ga-Al合金融液の外部に配置したテンプレート基板に、その蒸気をあてることにより、テンプレート基板の表面に窒化アルミニウム結晶を成長させる方法(例えば、特許文献4参照)を開発している。
なお、本発明者等により、サファイア基板(α-アルミナ単結晶基板)の表面に、結晶性が高く、欠陥密度が低い窒化アルミニウム単結晶薄膜を形成した窒化サファイア基板が開発されている(例えば、特許文献5参照)。
特開2004-224600号公報 特開平11-189498号公報 国際公開WO2012/008545号 特開2017-160106号公報 特開2007-039292号公報
Masayoshi Adachi, et. al., "High-Quality AlN Layer Homoepitaxially Grown on Nitrided a-Plane Sapphire Using a Ga-Al Flux", Applied Physics Express, 2013, vol.6, p.091001
特許文献3、4および非特許文献1に記載の窒化アルミニウム結晶の製造方法によれば、低温・常圧下で、安価かつ良質な窒化アルミニウム(AlN)結晶を得ることができる。しかし、テンプレート基板の表面に窒化アルミニウム結晶を成長させるため、テンプレート基板とAlN結晶との格子不整合により、AlN結晶内に貫通転位やミスフィット転位、歪みが発生してしまうという課題があった。例えば、図11に示すように、非特許文献1では、テンプレート基板としてサファイア基板を用いたときに、サファイア基板との界面で、AlN結晶内にミスフィット転位が発生するのが確認されている。
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、結晶中に貫通転位やミスフィット転位、歪みが発生するのを防ぐことができる窒化アルミニウム結晶の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る窒化アルミニウム結晶の製造方法は、Alを含む合金の融液の表面に、窒素原子を含む気体を接触させることにより、前記融液の表面に窒化アルミニウム結晶を成長させることを特徴とし、前記窒化アルミニウム結晶の成長中、前記融液を前記合金の液相線温度以上で、前記窒化アルミニウムの解離温度または融点より低い温度に保つことを特徴とする
または、本発明に係る窒化アルミニウム結晶の製造方法は、Alを含む合金の融液の表面に、窒素原子を含む気体を接触させることにより、前記融液の表面に窒化アルミニウム結晶を成長させることを特徴とし、(1)式で表される前記窒化アルミニウム(AlN)結晶形成の反応が平衡しているときのAlNの活量をa eq. AlN 、前記融液中のAlの活量をa eq. Al 、窒素の分圧をp eq. N2 とし、前記気体中の窒素の分圧をp N2 、前記(1)式の平衡定数をKとすると、前記窒化アルミニウム結晶の成長中、前記融液を、前記合金の液相線温度以上、(3)式で表される前記窒化アルミニウム結晶の成長の駆動力Δμの値が正となる温度以下に保つことを特徴とする。

2Al(l)+N (g)→2AlN(s) (1)
Figure 0007051094000001
Figure 0007051094000002
本発明に係る窒化アルミニウム結晶の製造方法は、以下のようにして、窒化アルミニウム(AlN)結晶を成長させることができる。すなわち、窒素原子(N)を含む気体を、Alを含む合金の融液の表面に接触させると、その気体が融液中に溶解していく。溶解したNが飽和すると、融液中のAlとNとが反応し、融液の表面にAlN結晶が晶出して成長していく。このように、本発明に係る窒化アルミニウム結晶の製造方法は、合金の融液の表面にAlN結晶を成長させるため、基板の表面にAlN結晶を成長させたときに基板とAlN結晶との間で発生していた格子不整合が発生しない。このため、製造されたAlN結晶中に、格子不整合による貫通転位やミスフィット転位、歪みが発生するのを防ぐことができる。
本発明に係る窒化アルミニウム結晶の製造方法は、融液の表面に窒素原子を含む気体を接触させるために、窒素原子を含む気体の環境中に、Alを含む合金の融液を配置して接触させてもよく、前記融液の表面に、前記気体を吹き付けて接触させてもよい。窒素原子を含む気体は、窒素原子を含んでいればいかなるものであってもよく、例えば、窒素ガスやアンモニアガスである。
本発明に係る窒化アルミニウム結晶の製造方法は、前記窒化アルミニウム結晶の成長中、前記融液を前記合金の液相線温度以上で前記窒化アルミニウムの解離温度または融点より低い温度に保つ場合、合金の融液表面に、AlN結晶を効果的に成長させることができる。
発明に係る窒化アルミニウム結晶の製造方法は、前記窒化アルミニウム結晶の成長中、前記融液を、前記合金の液相線温度以上、(3)式で表される前記窒化アルミニウム結晶の成長の駆動力Δμの値が正となる温度以下に保つ場合、(1)式で表されるAlN結晶形成の反応が進むため、効率的にAlN結晶を成長させることができる。
また、この場合、前記駆動力Δμの値がゼロになる温度をTとすると、前記窒化アルミニウム結晶の成長中、前記融液をTより低く、T-350K以上の温度に保つことが好ましく、T-300K以上の温度に保つことがより好ましく、T-220K以上の温度に保つことがさらに好ましい。この場合、融液の温度がTに近い方が、駆動力Δμの値が小さくなり、表面がより平滑で良質なAlN結晶を得ることができる。
本発明に係る窒化アルミニウム結晶の製造方法で、前記合金は、前記Alと、前記Alよりも窒化物を形成しにくく、融点が窒化アルミニウムの解離温度または融点より低い元素とを、主成分として含んでいることが好ましい。前記合金は、例えば、前記Alと、Ni、Cu、Fe、Coのうちの少なくとも1つの元素とを、主成分として含んでいてもよい。これらの場合、効率良くAlN結晶を製造することができる。
本発明に係る窒化アルミニウム結晶の製造方法は、前記窒化アルミニウム結晶の成長中、前記融液の表面の一部を局所的に加熱して、前記窒化アルミニウム結晶の解離温度または融点以上の温度に保ってもよい。この場合、局所的に加熱している範囲には、AlN結晶が形成されないため、少なくともその範囲では窒素原子を含む気体を融液に接触させ続けることができ、継続的にAlN結晶を成長させることができる。
本発明によれば、結晶中に貫通転位やミスフィット転位、歪みが発生するのを防ぐことができる窒化アルミニウム結晶の製造方法を提供することができる。
本発明の実施の形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法に関し、様々な組成のNi-Al合金の、1barの窒素ガス雰囲気下における、窒化アルミニウム(AlN)結晶の成長の駆動力Δμと温度との関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法で使用する反応装置の全体構成を示す正面図である。 本発明の実施の形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法により、Ni-50mol%Al合金を用いて、雰囲気圧力を(a)1bar、(b)0.5barとし、1960Kで製造されたAlN結晶を示す、結晶表面の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。 本発明の実施の形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法により、Ni-40mol%Al合金を用いて、雰囲気圧力を(a)1bar、(b)0.5barとし、1960Kで製造されたAlN結晶を示す、結晶表面の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。 本発明の実施の形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法により、Ni-40mol%Al合金を用いて、雰囲気圧力を0.5barとし、(a)1875K、(b)2000Kで製造されたAlN結晶を示す、結晶表面の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。 本発明の実施の形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法により、Ni-40mol%Al合金を用いて、雰囲気圧力を0.5barとし、2030Kで、1時間の窒素ガスの吹き付け、および合金の局所加熱を行ったときの、(a)AlN結晶成長中の合金表面の高速度カメラによる写真、(b)AlN結晶の成長モデルを示す断面図である。 図6に示す窒化アルミニウム結晶の製造方法により製造されたAlN結晶を示す、(a)結晶表面の走査型電子顕微鏡(SEM)像、(b)結晶の断面の透過型電子顕微鏡(TEM)像である。 図7に示すAlN結晶のX線回折スペクトルである。 図7に示すAlN結晶の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。 図9中のND、TD、RDの各方向での電子線後方散乱回折(EBSD)による逆極点図結晶方位マップである。 従来の窒化アルミニウム結晶の製造方法により、サファイア基板上に成長したAlN結晶の断面の透過型電子顕微鏡(TEM)像である(非特許文献1より引用)。
以下、実施例等に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の実施の形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法は、Alを含む合金の融液の表面に、窒素原子を含む気体を接触させることにより、その融液の表面に窒化アルミニウム結晶を成長させる。
本発明の実施の形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法では、以下のようにして、AlN結晶を成長させることができる。すなわち、窒素原子を含む気体を、Alを含む合金の融液の表面に接触させると、その気体が融液中に溶解していく。溶解したNが飽和すると、融液中のAlとNとが反応し、融液の表面にAlN結晶が晶出して成長していく。このように、本発明の実施の形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法は、合金の融液の表面にAlN結晶を成長させるため、基板の表面にAlN結晶を成長させたときに基板とAlN結晶との間で発生していた格子不整合が発生しない。このため、製造されたAlN結晶中に、格子不整合による貫通転位やミスフィット転位、歪みが発生するのを防ぐことができる。
本発明の実施の形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法で、Alを含む合金の融液に窒素原子を含む気体を供給したときのAlN結晶形成の反応式は、(1)式で表される。
2Al(l)+N(g)→2AlN(s) (1)
このとき、(1)式の反応が平衡しているときのAlNの活量をaeq. AlN、融液中のAlの活量をaeq. Al、窒素の分圧をpeq. N2とすると、(1)式の平衡定数Kは、(2)式で表される。
Figure 0007051094000003
ここで、AlNは固体であるため、AlNの活量aeq. AlNは1となる。また、AlN結晶の成長の駆動力Δμは、気体中の窒素の分圧をpN2とすると、気体中の窒素の化学ポテンシャルと、(1)式が平衡しているときのNの化学ポテンシャルとの差により与えられ、(3)式で表される。
Figure 0007051094000004
(3)式より、AlN結晶の成長の駆動力Δμは、気体中の窒素の分圧pN2、平衡定数Kおよび融液中のAlの活量aeq. Alで表されることがわかる。このことから、気体中の窒素の分圧、温度、および融液の合金組成により、AlN結晶の成長の駆動力Δμを制御可能であることがわかる。
図1に、NiとAlとの合金を用いたときの、様々な組成での、1barの窒素ガス雰囲気下における、AlN結晶の成長の駆動力Δμと温度との関係を示す。それぞれの組成での低温側の端点は、その合金組成における液相線の温度を示している。図1に示すように、例えば、Ni-20mol%Alの組成の合金では1833K、Ni-30mol%Alの組成の合金では1998K、Ni-40mol%Alの組成の合金では2151K、Ni-50mol%Alの組成の合金では2323Kより低い温度でAlN結晶の成長の駆動力Δμが正となり、AlN結晶が生成することがわかる。
このことから、本発明の実施の形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法は、AlN結晶の成長中、合金の融液を、合金の液相線温度以上、AlNの解離温度または融点より低い温度に保つことが好ましく、特に、(3)式で表されるAlN結晶の成長の駆動力Δμの値が正となる温度以下に保つことが好ましい。この場合、(1)式で表されるAlN結晶形成の反応が進むため、効率的にAlN結晶を成長させることができる。
また、本発明の実施の形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法は、融液の表面にNを含む気体を接触させるために、窒素原子を含む気体の環境中に、Alを含む合金の融液を配置して接触させてもよく、融液の表面に、窒素原子を含む気体を吹き付けて接触させてもよい。
また、本発明の実施の形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法で、Alを含む合金は、Alと、Alよりも窒化物を形成しにくく、融点が窒化アルミニウムの解離温度または融点より低い元素、例えば、Alと、Ni、Cu、Fe、Coのうちの少なくとも1つの元素とを、主成分として含んでいることが好ましい。
また、本発明の実施の形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法は、窒化アルミニウム結晶の成長中、融液の表面の一部を局所的に加熱して、窒化アルミニウム結晶の解離温度または融点以上の温度に保ってもよい。この場合、局所的に加熱している範囲には、AlN結晶が形成されないため、少なくともその範囲では窒素原子を含む気体を融液に接触させ続けることができ、継続的にAlN結晶を成長させることができる。
以下では、本発明の実施の形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法を使用して、AlN結晶を製造した。
[反応装置]
図2に示す反応装置10を用いて、AlN結晶の製造を行った。図2に示すように、反応装置10は、反応容器11と1対の高周波コイル12と超伝導磁石13と加熱用レーザー14とハーフミラー15と高速度カメラ16と窒素ガス導入管17とガス排気管18と雰囲気ガス導入管19と放射温度計20とを有している。反応容器11は、上部と下部に、内部を視認可能に設けられた強化ガラスから成る窓11a,11bを有している。
各高周波コイル12は、それぞれ逆方向に高周波電流を流すよう設けられ、反応容器11の内部に上下に並んで配置されている。各高周波コイル12は、高周波電流を流すことにより、それぞれ反対向きの交流磁界を発生させるよう構成されている。超伝導磁石13は、上下方向の静磁場を印加可能に、反応容器11の周囲に配置されている。反応容器11は、各高周波コイル12の間にAlを含む合金1を配置し、各高周波コイル12で発生する交流磁界、および、超伝導磁石13で発生する静磁場による静磁場印加電磁浮遊法を利用して、その合金1を浮遊可能になっている。反応装置10は、静磁場印加電磁浮遊法を利用することにより、反応容器11の内壁からの汚染を防ぐことができる、不均一核の生成を抑制することができる、合金の融液の対流を抑制することができる、という利点を有している。
加熱用レーザー14は、レーザー光を照射可能に、反応容器11の外部に配置されている。ハーフミラー15は、反応容器11の上部の窓11aの上方に配置され、加熱用レーザー14からのレーザー光を反射して、反応容器11の内部に配置された合金1に当てるよう設けられている。これにより、加熱用レーザー14は、合金1の一部を局所的に加熱可能になっている。高速度カメラ16は、ハーフミラー15の上方に配置され、ハーフミラー15および反応容器11の上部の窓11aを通して、反応容器11の内部に配置された合金1を撮影可能に設けられている。
窒素ガス導入管17は、窒素原子を含む気体を、反応容器11の内部に配置された合金1に当てるよう、反応容器11の上部に設けられている。ガス排気管18は、反応容器11の内部の気体を排出可能に、反応容器11の下部に設けられている。雰囲気ガス導入管19は、反応容器11の内部に雰囲気ガスを供給可能に、反応容器11の上部に設けられている。放射温度計20は、反応容器11の下部の窓11bの下方に配置され、反応容器11の下部の窓11bを通して、反応容器11の内部に配置された合金1の温度を測定可能に設けられている。
AlN結晶を製造する際には、まず、反応容器11の内部に、雰囲気ガス導入管19から雰囲気ガスを供給し、反応容器11の内部を雰囲気ガスで満たしておく。次に、超伝導磁石13で静磁場を印加し、各高周波コイル12に高周波電流を流して、各高周波コイル12の間に配置されたAlを含む合金1を浮遊させる。その合金1を、誘導電流および加熱用レーザー14により加熱して融解する。このとき、放射温度計20により合金1またはその融液の温度を測定し、合金1の温度を制御する。融解後、その合金1の融液を所定の温度に保持した状態で、窒素ガス導入管17から窒素原子を含む気体を合金1の融液に吹き付ける。こうして、合金1の融液の表面に、AlN結晶を成長させることができる。
以下の実施例では、合金1の融液の表面に製造されたAlN結晶を、高速度カメラ16により撮影している。また、雰囲気ガスはArガス、Alを含む合金1はNi-Al合金、窒素原子を含む気体は窒素ガスとした。Ni-Al合金は、真空アーク溶解炉で製造した。なお、AlN結晶製造時に、各高周波コイル12の間に浮遊する合金1の融液の直径は、4~10mmである。
合金1として、Ni-50mol%Alを用いて、1960KでAlN結晶の製造を行った。反応容器11の内部の雰囲気圧力を1barにしたとき、および、0.5barにしたときの、AlN結晶の表面の走査型電子顕微鏡(SEM)像を、それぞれ図3(a)および(b)に示す。図3(a)および(b)に示すように、雰囲気圧力が1barおよび0.5barのいずれのときも、AlN結晶の表面が樹枝状を成し、やや荒れていることが確認された。
合金1として、Ni-40mol%Alを用いて、1960KでAlN結晶の製造を行った。反応容器11の内部の雰囲気圧力を1barにしたとき、および、0.5barにしたときの、AlN結晶の表面の走査型電子顕微鏡(SEM)像を、それぞれ図4(a)および(b)に示す。図4(a)および(b)に示すように、雰囲気圧力が1barおよび0.5barのいずれのときも、AlN結晶の表面には平坦面が広がっており、樹枝状にはなっていないことが確認された。
図3と図4とを比べると、同じ1960Kであっても、図4のNi-40mol%Alを用いた場合の方が、図3のNi-50mol%Alを用いた場合よりも、AlN結晶の表面がより平坦になっていることが確認された。図1を参照すると、図3および図4共に、AlN結晶の成長の駆動力Δμは正であるが、図4の方が、駆動力Δμが小さくなっている。このことから、駆動力Δμが小さい方が、AlN結晶がゆっくりと成長し、AlN結晶の表面がより平坦になるものと考えられる。
合金1として、Ni-40mol%Alを用い、反応容器11の内部の雰囲気圧力を0.5barにしてAlN結晶の製造を行った。合金1の温度を1875Kにしたとき、および、2000Kにしたときの、AlN結晶の表面の走査型電子顕微鏡(SEM)像を、それぞれ図5(a)および(b)に示す。図5(a)および(b)と、同じ配合および圧力条件の図4(b)とを比較すると、図5(a)は、図4(b)よりもAlN結晶の表面が荒れており、図5(b)は、図4(b)よりもAlN結晶の表面がより平坦になっていることが確認された。
このように、製造時の合金1の温度が高い方が、AlN結晶の表面がより平坦になっており、図1を参照すると、AlN結晶の成長の駆動力Δμが小さくなっている。このことから、駆動力Δμが小さい方が、AlN結晶がゆっくりと成長し、AlN結晶の表面がより平坦になるものと考えられる。
合金1として、Ni-40mol%Alを用い、反応容器11の内部の雰囲気圧力を0.5barにして、2030KでAlN結晶の製造を行った。合金1の融液に対して、窒素ガス導入管17から窒素ガスを1時間吹き付け続け、その間、加熱用レーザー14により合金1の一部を局所的に加熱して、その部分をAlN結晶の融点以上の温度に保った。これにより、局所的に加熱している範囲にはAlN結晶が形成されず、その範囲で窒素ガスを合金1の融液に接触させ続けることができるため、継続的にAlN結晶を成長させることができる。
このときのAlN結晶が成長中の、合金1の表面の様子を図6(a)に、AlN結晶の成長モデルを図6(b)に示す。図6(b)に示すように、Ni-Al合金に吹付けられた窒素ガスは、合金1の融液中に溶解していく。溶解した窒素()は、飽和溶解度に達するまで、合金1の融液内部に溶解し続け、飽和溶解度に達した時点で、合金1の表面にAlNとして晶出する。そのAlN結晶は、合金1の融液表面を覆うように成長し、レーザー照射部とその周辺以外がAlN結晶の膜で覆われる。さらに、融液の液相が表面に現れているレーザー照射部とその周辺からのみ、窒素ガスが融液に溶解する。溶解した窒素()は、AlN結晶の膜とNi-Al合金の融液との界面で、合金1の融液中のAlと反応し、AlN結晶が融液の内側に向かって成長する。
こうして製造されたAlN結晶の表面の走査型電子顕微鏡(SEM)像、および、AlN結晶の断面の透過型電子顕微鏡(TEM)像を、それぞれ図7(a)および(b)に示す。図1を参照すると、本実施例は、AlN結晶の成長の駆動力Δμが非常に小さい条件であり、図7(a)に示すように、AlN結晶の表面には平坦面が広がっていることが確認された。また、図7(b)に示すように、AlN結晶中には、少なくとも図11で認められるようなミスフィット転位の発生は確認されなかった。
製造されたAlN結晶についてX線回折(XRD)測定を行い、そのX線回折スペクトルを、図8に示す。図8に示すように、AlNの(0002)面および(0004)面に対応するピークのみが認められることから、製造されたAlN結晶は、C面配向していることが確認された。
製造されたAlN結晶の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)像を、図9に示す。また、図9中のND、TD、RDの各方向での電子線後方散乱回折(EBSD)による逆極点図結晶方位マップを、図10に示す。図9に示すように、1時間のAlN結晶成長により、厚さ3.8μmのAlN膜が成長していることが確認された。また、図10に示すように、ND、TD、RDのいずれの方向の逆極点図結晶方位マップも、単色で一様であり、少なくとも測定範囲では、AlN結晶が単結晶であることが確認された。
1 (Alを含む)合金
10 反応装置
11 反応容器
11a,11b 窓
12 高周波コイル
13 超伝導磁石
14 加熱用レーザー
15 ハーフミラー
16 高速度カメラ
17 窒素ガス導入管
18 ガス排気管
19 雰囲気ガス導入管
20 放射温度計

Claims (7)

  1. Alを含む合金の融液の表面に、窒素原子を含む気体を接触させることにより、前記融液の表面に窒化アルミニウム結晶を成長させることを特徴とし、
    前記窒化アルミニウム結晶の成長中、前記融液を前記合金の液相線温度以上で、前記窒化アルミニウムの解離温度または融点より低い温度に保つことを
    特徴とする窒化アルミニウム結晶の製造方法。
  2. Alを含む合金の融液の表面に、窒素原子を含む気体を接触させることにより、前記融液の表面に窒化アルミニウム結晶を成長させることを特徴とし、
    (1)式で表される前記窒化アルミニウム(AlN)結晶形成の反応が平衡しているときのAlNの活量をa eq. AlN 、前記融液中のAlの活量をa eq. Al 、窒素の分圧をp eq. N2 とし、前記気体中の窒素の分圧をp N2 、前記(1)式の平衡定数をKとすると、
    前記窒化アルミニウム結晶の成長中、前記融液を、前記合金の液相線温度以上、(3)式で表される前記窒化アルミニウム結晶の成長の駆動力Δμの値が正となる温度以下に保つことを
    特徴とする窒化アルミニウム結晶の製造方法。

    2Al(l)+N (g)→2AlN(s) (1)
    Figure 0007051094000005
    Figure 0007051094000006
  3. 前記駆動力Δμの値がゼロになる温度をTとすると、前記窒化アルミニウム結晶の成長中、前記融液をTより低く、T-350K以上の温度に保つことを特徴とする請求項記載の窒化アルミニウム結晶の製造方法。
  4. 前記融液の表面に、前記気体を吹き付けて接触させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の窒化アルミニウム結晶の製造方法。
  5. 前記合金は、前記Alと、前記Alよりも窒化物を形成しにくく、融点が窒化アルミニウムの解離温度または融点より低い元素とを、主成分として含んでいることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の窒化アルミニウム結晶の製造方法。
  6. 前記合金は、前記Alと、Ni、Cu、Fe、Coのうちの少なくとも1つの元素とを、主成分として含んでいることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の窒化アルミニウム結晶の製造方法。
  7. 前記窒化アルミニウム結晶の成長中、前記融液の表面の一部を局所的に加熱して、前記窒化アルミニウム結晶の解離温度または融点以上の温度に保つことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の窒化アルミニウム結晶の製造方法。
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