JP4747350B2 - エピタキシャル層の気相成長装置 - Google Patents

エピタキシャル層の気相成長装置 Download PDF

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Description

本発明は、紫外レーザ、LED及び高周波・高出力電子デバイス等に用いられるAlNをエピタキシャル成長する方法及び装置に関する。
バルク結晶を製造する通常の方法としては、HB(Horizontal Bridgiman)法やLEC(Liquid Encapsulated Czochralski)法が知られている。ところが、これらの方法では、AlN単結晶育成が困難であることがよく知られている。
このため、近年高温高圧下での融液成長や昇華法などによりバルク結晶の成長が試みられている。しかしながら、このような方法によっても、大型の基板結晶に用いることができるようなAlNの結晶は得られていない。
現在、AlNの単結晶基板の作製方法として、本発明者らが最も有望な方法と考えるのは、HVPE(Hydride Vapor Phase Epitaxy)法によって、サファイア基板上にAlNをヘテロエピタキシャル成長させる方法である。
この方法においては、混合部でAl原料ガスとNH原料ガスを混合し、混合したガスを成長部(基板が位置するので基板部とも呼ぶ)に送り込む。そして、この成長部に収容されているサファイア基板上にAlNを成長させる。
石英反応管ホットウォール方式であるHVPE法の利点は、特に成長速度が大きいことである。このため、従来より厚膜が必要な高感度光センサー、厚膜で高品質な結晶が要求されるパワーデバイス(特に、GaAsを用いた電源系のデバイス)作製に用いられ、さらに前記のような基板、特にGaN基板の製造法として利用されている。これは、例えば下記特許文献1「窒化ガリウム系化合物半導体の結晶成長方法(豊田合成株式会社他)」や、下記特許文献2「エピタキシャルウェハ及びその製造方法(住友電工株式会社)」などに記載されている。
そこで、AlNに関しても、このHVPE法をそのまま適用できれば望ましいが、Alのハロゲン化物が反応容器である石英とはげしく反応するため、そのままでは適用することは困難である。
そのため、本願出願人は、Alを含むIII−V族化合物の基板を、HVPE(法)で製造する技術を開発し、別途他の特許出願(特願2002−106102号)を行っている(特許文献3)。
ところが、この特許文献3のHVPE法では、Al原料ガスとNH原料ガスを混合する混合部での温度が750℃以上と高く保つ必要がある。このため、混合部からサファイア基板が置かれる成長部(基板部)(温度:900℃から1200℃)に至る反応管内部にAlN結晶の析出が生じてしまう。そのため、サファイア基板上の結晶部分へ輸送される原料成分の減少が起こり、成長速度の減少という結果をもたらすおそれがある。 さらに、このHVPE法ではいわゆるHot Wall加熱が用いられているために、反応管の材質である石英管の耐熱温度(約1200℃)によって、成長部の温度が制限されてしまう(耐熱温度以下に制限されてしまう)という問題もある。
特開平10−215000号公報 特開平10−316498号公報 特開2003−303774号公報
上で述べたような問題を解決し、良質のAlN結晶を成長させることができる手法が広く望まれている。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、サファイア基板上又はSi基板上に良質のAlN結晶を成長させることができるAlNのエピタキシャル成長方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、混合部から基板部の範囲の反応管内にAlNが析出することをなるべく防止し、原料をガスのまま基板部に輸送することができる仕組みを手段として採用することを特徴の一つとする。
さらに、本発明は、できるだけ基板部に置かれた基板結晶のみを加熱し、この加熱された基板結晶上へ原料を供給する仕組みを手段として採用したことも特徴の一つである。
さらに、本発明は、できるだけ石英の耐熱温度に制限されることなく、基板結晶温度を制御することができる仕組みを手段として採用したことも特徴の一つである。
本発明の特徴的手段を述べれば以下の通りである。
まず、本発明では、AlCl原料ガスとNH原料ガスを80℃以上750℃以下の範囲で混合し、80℃以上750℃以下の温度に保ったまま基板結晶部に輸送することを含むことを特徴とする。
さらに、高品質AlN成長に必要な900℃から1700℃の温度に基板結晶のみを保つことにより、成長速度の向上したAlNの成長を行うことを特徴とする。この結果、高品質なAlNの成長を行うことができる。本発明では、主に基板結晶を加熱しているので、一般的な容器である石英反応管は耐熱温度の範囲である80℃以上750℃以下の温度に保たれる。
本発明のAlNエピタキシャル層の成長において、混合部での温度を80℃以上750℃以下の範囲内に制御することにより、AlCl原料とNH原料との反応速度が低下する。したがって、混合部及び混合部から基板部に渡る全範囲内において、AlNの析出をほとんど防止することが可能である。
この手段を採用することによって、混合部又は混合部から基板部の範囲内におけるAlN析出にともなう気相中の原料濃度の低下により成長時間とともに成長速度が減少する従来法の課題を克服することができる。
尚、混合部における析出をより一層防止するためには、80℃以上250℃以下にすることがより望ましい。さらに、成長速度より混合部での途中析出の防止を重要視する場合には、80℃以上150℃以下の温度範囲に設定することも好ましい。
また、本発明のAlNエピタキシャル層の成長は900℃以上、望ましくは980℃以上で行うことが好ましい。このような温度に設定することにより、良質なAlNエピタキシャル層の成長を行うことができる。
具体的には、本発明は、以下のような手段を採用する。
A.AlNエピタキシャル層の成長方法の発明
(1)本発明は、上記課題を解決するために、アルミニウムの原料と、窒素の原料と、を混合したガス中に基板結晶を配置し、前記基板結晶上にAlNを結晶成長させる方法において、前記基板結晶の温度を、前記ガスの温度より高くすることを特徴とするAlNエピタキシャル層の成長方法である。
このような構成によって、AlN結晶の基板結晶以外の部分における析出量を減少させることができる。
(2)また、本発明は、上記AlNエピタキシャル層の成長方法において、前記アルミニウムの原料は、AlClであり、前記窒素の原料はNHであることを特徴とするAlNエピタキシャル層の成長方法である。
(3)また、本発明は、上記(2)のAlNエピタキシャル層の成長方法において、前記混合したガスの温度は、80℃以上750℃以下の範囲に設定することを特徴とするAlNエピタキシャル層の成長方法である。
このような温度設定にすることによって、基板結晶以外の場所でAlNが析出してしまうのを抑制することができる。
(4)また、本発明は、上記(2)において、温度範囲を80℃以上250℃以下の範囲に設定することを特徴とするAlNエピタキシャル層の成長方法である。
このような温度設定にすることによって、基板結晶以外の場所でAlNが析出してしまうのをより一層抑制することができる。
(5)また、本発明は、上記(2)〜(4)のいずれかに記載のAlNエピタキシャル層の成長方法において、前記基板結晶の温度は、900℃以上の範囲内に設定することを特徴とするAlNエピタキシャル層の成長方法である。
このような温度設定にすることによって、上記材料の下で基板結晶上にAlNの結晶の成長を行わせることができる。
(6)また、本発明は、上記AlNエピタキシャル層の成長方法において、前記基板結晶の温度は、900℃以上1700℃以下の範囲内に設定することを特徴とするAlNエピタキシャル層の成長方法である。
基板結晶の温度は900℃以上でできるだけ高い方が望ましいが、実質的には1700℃程度までとすることによって、実用上十分な結晶品質が得られる。この温度範囲より高い場合には、温度の上昇のために特別な手段を用いなければならない場合も生じ、本方法の実施が煩雑となる場合もある。
(7)また、本発明は、上記AlNエピタキシャル層の成長方法において、前記アルミニウムの原料として、同一反応容器又は別の反応容器内で温度750℃以下の温度で金属アルミニウムとHClを反応させることにより生成させたAlClを用いることを特徴とするAlNエピタキシャル層の成長方法である。
(8)また、本発明は、上記AlNエピタキシャル層の成長方法において、固体AlClを所定温度に加熱することによって、気体AlClを発生させ、発生した気体AlClを、前記アルミニウムの原料として用いることを特徴とするAlNエピタキシャル層の成長方法である。
このような(7)(8)の構成によって、原料ガスであるAlClの供給を効率的に行うことが可能である。
(9)また、本発明は、(8)記載のAlNエピタキシャル層の成長方法において、
前記固体AlClを80℃以上250℃以下の温度範囲で加熱することを特徴とするAlNエピタキシャル層の成長方法である。
このように(8)の手法を用いる場合は、その温度は、それほど高い必要はなく、80℃以上250℃以下が好ましい。また、この温度範囲は80℃以上150℃以下がより一層好ましい。
(10)また、本発明は、上記(8)のAlNエピタキシャル層の成長方法において、前記発生した気体AlClをその蒸気圧を利用して、前記窒素の原料と混合する場所に輸送することを特徴とするAlNエピタキシャル層の成長方法である。
このような手法によれば、効率的に原料を輸送することができる。
(11)また、本発明は、上記(1)のAlNエピタキシャル層の成長方法において、前記基板結晶を、抵抗加熱、高周波加熱、光加熱のいずれかの方法で加熱することを特徴とするAlNエピタキシャル層の成長方法である。
このような構成によって、主に基板結晶を集中的に加熱することができる。
サファイア単結晶の利用
(12)また、本発明は、上記(1)〜(11)のいずれかに記載のAlNエピタキシャル層の成長方法において、前記基板結晶がサファイア単結晶基板であることを特徴とするAlNエピタキシャル層の成長方法である。
(13)また、本発明は、サファイア単結晶基板と、前記サファイア単結晶基板上に積層されたAlNエピタキシャル層と、を含むウェハであって、前記AlNエピタキシャル層は、前記サファイア単結晶基板を前記基板結晶として用いた前記(12)記載のAlNエピタキシャル層の成長方法を使用して、前記サファイア基板上で成長させたことを特徴とするウェハである。
(14)また、本発明は、上記(13)記載のウェハから、前記サファイア単結晶基板を除去することによって得られる単結晶AlN基板である。
このような手法により、効率よく単結晶AlN基板が得られる。
Si単結晶基板の利用
(15)また、本発明は、上記(1)〜(11)のいずれかに記載のAlNエピタキシャル層の成長方法において、前記基板結晶がSi単結晶基板であることを特徴とするAlNエピタキシャル層の成長方法である。
ここで、Siとは、シリコンを意味する。
(16)また、本発明は、Si単結晶基板と、前記Si単結晶基板上に積層されたAlNエピタキシャル層と、を含むウェハであって、前記AlNエピタキシャル層は、前記Si単結晶基板を前記基板結晶として用いた前記(15)記載のAlNエピタキシャル層の成長方法を使用して、前記Si基板上で成長させたことを特徴とするウェハである。
(17)また、本発明は、上記(16)記載のウェハから、前記Si単結晶基板を除去することによって得られる単結晶AlN基板である。
このような手法により、効率よく単結晶AlN基板が得られる。
サファイア単結晶基板とMOCVD法の利用
(18)また、本発明は、上記(1)〜(11)のいずれかに記載のAlNエピタキシャル層の成長方法において、前記基板結晶が、サファイア単結晶基板と、前記サファイア単結晶基板上に、MOCVD法を用いて結晶成長されたAlNエピタキシャル層テンプレートと、から成ることを特徴とするAlNエピタキシャル層の成長方法である。
(19)また、本発明は、サファイア単結晶基板と、前記サファイア単結晶基板上にMOCVD法を用いて結晶成長されたAlNエピタキシャル層テンプレートと、前記AlNエピタキシャル層テンプレート上に積層されたAlNエピタキシャル層と、を含むウェハであって、前記サファイア単結晶基板及びその表面に積層された前記AlNエピタキシャル層テンプレートを基板結晶として用いた前記請求項18記載のAlNエピタキシャル層の成長方法を使用して、前記AlNエピタキシャル層が成長させられたことを特徴とするウェハである。
(20)また、本発明は、上記(19)記載のウェハから、前記サファイア単結晶基板を除去することによって得られる単結晶AlN基板である。
このような手法により、効率よく単結晶AlN基板が得られる。
シリコン単結晶基板とMOCVD法の利用
(21)また、本発明は、(1)〜(11)のいずれかに記載のAlNエピタキシャル層の成長方法において、前記基板結晶が、Si単結晶基板と、前記Si単結晶基板上に、MOCVD法を用いて結晶成長されたAlNエピタキシャル層テンプレートと、から成ることを特徴とするAlNエピタキシャル層の成長方法である。
(22)また、本発明は、Si単結晶基板と、前記Si単結晶基板上にMOCVD法を用いて結晶成長されたAlNエピタキシャル層テンプレートと、前記AlNエピタキシャル層テンプレート上に積層されたAlNエピタキシャル層と、を含むウェハであって、前記Si単結晶基板及びその表面に積層された前記AlNエピタキシャル層テンプレートを基板結晶として用いた前記請求項21記載のAlNエピタキシャル層の成長方法を使用して、前記AlNエピタキシャル層が成長させられたことを特徴とするウェハである。
(23)また、本発明は、上記(22)記載のウェハから、前記Si単結晶基板を除去することによって得られる単結晶AlN基板である。
このような手法により、効率よくAlN基板が得られる。
B.気相成長装置の発明
以下、上記A.中で述べたAlNエピタキシャル層の成長方法を実行する装置の発明を示す。その作用・原理は、上記AlNエピタキシャル層の成長方法と共通する部分が多々ある。
(24)本発明は、上記課題を解決するために、アルミニウムの原料と、窒素の原料と、を混合した混合ガスの中に基板結晶を配置し、前記基板結晶上にAlNを結晶成長させる装置において、前記基板結晶の温度を、前記混合ガスの温度より高くなるように加熱する第1の加熱手段、を含むことを特徴とする気相成長装置である。
このような構成によって、AlN結晶の基板結晶以外の部分における析出量を減少させることができる。
(25)また、本発明は、上記(24)記載の気相成長装置において、前記混合ガスの温度を、80℃以上750℃以下の範囲となるように加熱する第2の加熱手段、を含むことを特徴とする気相成長装置である。
(26)また、本発明は、上記(24)記載の気相成長装置において、前記混合ガスの温度を、80℃以上250℃以下の範囲となるように加熱する第2の加熱手段、を含むことを特徴とする気相成長装置である。
混合ガスの温度は80℃以上であれば結晶の成長する部位まで原料を輸送することが可能であることが発明者らの研究により確認することができた。
(27)また、本発明は、上記(24)〜(26)のいずれかに記載の気相成長装置において、前記第1の加熱手段は、前記基板結晶の温度が、900℃以上1700℃以下の範囲内となるように加熱することを特徴とする気相成長装置である。
(28)また、本発明は、上記(24)〜(26)のいずれかに記載の気相成長装置において、前記第1の加熱手段は、前記基板結晶を、900℃以上の温度となるように加熱することを特徴とする気相成長装置である。
基板結晶の温度は一般に高いほうが、成長する結晶の品質が向上する。実際には1700℃程度であれば実用上十分に高温であり、かつ、一般的な加熱手段で達成できる温度である。
(29)また、本発明は、上記(24)〜(28)のいずれかに記載の気相成長装置において、前記第1の加熱手段は、抵抗加熱によって前記基板結晶を加熱する手段、又は、高周波加熱によって前記基板結晶を加熱する手段、又は、光によって前記基板結晶を加熱する手段、のいずれかを含むことを特徴とする気相成長装置である。
このような構成によって、主に基板結晶を集中的に加熱することができる。
(30)また、本発明は、上記(24)記載の気相成長装置において、温度750℃以下の温度で金属アルミニウムとHClを反応させることによってAlClを生成する原料反応手段、を含み、前記原料反応手段が生成したAlClを、前記アルミニウムの原料として用いることを特徴とする気相成長装置である。
(31)また、本発明は、上記(24)記載の気相成長装置において、固体AlClを所定温度に加熱することによって、気体AlClを発生させるAlCl発生手段、を含み、発生した気体AlClを、前記アルミニウムの原料として用いることを特徴とする気相成長装置である。
これらの構成によって、原料ガスであるAlClの供給を効率的に行うことが可能である。
(32)また、本発明は、上記(31)記載の気相成長装置において、前記AlCl発生手段は、固体AlClを80℃以上750℃以下の温度範囲で加熱する加熱手段、を含むことを特徴とする気相成長装置である。
(33)また、本発明は、上記(31)記載の気相成長装置において、前記AlCl発生手段は、固体AlClを80℃以上250℃以下の温度範囲で加熱する加熱手段、を含むことを特徴とする気相成長装置である。
以上述べたように、本発明によれば、原料効率が向上するため、より成長速度の速いAlNエピタキシャル成長方法を実現することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明に係るAlNエピタキシャル層の成長方法の好適な実施形態について詳細に説明する。
実施の形態1
気相成長装置の構成
図1には、本実施の形態1で利用する気相成長装置10の断面模式図が示されている。この図1を参照して、本実施の形態1で使用するHVPE(Hydride Vapor Phase Epitaxy)法用の気相成長装置10を説明する。図1に示すように、気相成長装置10は、第一ガス導入ポート12、第2ガス導入ポート14及び排気ポート16を有する石英反応チャンバー18を備えている。
また、図1に示されているように、第一ガス導入ポート12は石英反応チャンバー18中に伸展しており、その先端部は拡張され、ガスの導入口に比較して太く形成されている。この先端の径が太く形成されている部分を、「原料反応部」と呼ぶ。この反応部内には、図1に示すように、Al原料(Alメタル)を収容したアルミナボート20が配置される。また、気相成長装置10は、この石英反応チャンバー18内の上記「原料反応部」を過熱するための抵抗加熱炉22を、石英反応チャンバー18の周囲に備えている。
尚、原料反応部は、図1中では、「A領域」と呼ばれる。また、この「A領域」から後述する基板部に至る空間の領域は、Alの原料ガスとNの原料ガスが混合する部分であるので、「混合部」と呼ぶ。この「混合部」は図1中では、「B領域」と呼ばれる。
そして、抵抗加熱炉22は、この「原料反応部」(A領域)と、「混合部」(B領域)とを個別に加熱することが可能なように、A領域を加熱する抵抗線と、B領域と加熱する抵抗線と、を別個に有しているのである。
本実施の形態1では、個別に抵抗線を有する例について説明するが、これらの抵抗線は一部が共通していてもかまわない。
また、気相成長装置10は、石英反応チャンバー18内の混合部の下部に、基板結晶24を支持するカーボンサセプタ28が備えられている。尚、この基板結晶24は、サファイア基板が使用されており、このサファイア基板上にAlNが結晶成長するのである。
そこで、このカーボンサセプタ28、結晶基板24が位置する部位であって、混合部の下部の領域を「基板部」と呼ぶ。この「基板部」は図1中では「C領域」と記されている。
このように気相成長装置10の石英反応チャンバー18内部には、
(1)アルミニウムの原料ガスを生成する「原料反応部」(A領域)
(2)AlClと、NHを混合する「混合部」(B領域)
(3)基板結晶24が配置され、AlNの結晶成長が行われる「基板部」(C領域)
の3種類の領域が存在する。
また、気相成長装置10は、基板部(結晶部)に位置するカーボンサセプタ28上に載置された基板結晶24を加熱するための高周波加熱コイル26を、石英反応チャンバー18の周囲に有している。この高周波加熱コイル26は、高周波加熱炉を形成している。
このような構成によって、基板結晶24上でAlNの結晶成長が行われるのである。尚、図1においては、気相成長装置10に隣接して、石英反応チャンバー18の長さ方向の位置と温度の関係を表すグラフが示されている。このグラフにおいて、縦軸は、石英反応チャンバー18の長さ方向の位置を表し、その位置は、隣接する気相成長装置10の石英反応チャンバー18と、図面上一致している。また、このグラフにおいて横軸は温度を表す。尚、横軸のグラフ上の原点は0℃ではない。
結晶成長の反応
次に、AlNの結晶成長の様子を詳しく説明する。
抵抗加熱炉による加熱
まず、抵抗加熱炉22を用いて、図1の左部に示すグラフで表される温度分布となるように加熱し、原料反応部(A領域)及び混合部(B領域)を所定の温度に保つ。
具体的には、原料反応部(A領域)はAl金属とHClの反応によりAlClが他の物質より優先的に生成する温度範囲(750℃以下)に保つ。本実施の形態1では、550℃の温度に保っている。
ここで、「優先的」の意味を説明する。Al金属をHCl+Hの原料ガス雰囲気中に置いた場合に生成される各種物質の分圧比のグラフが図2に示されている。このグラフにおいて、縦軸は、ガス中の各種物質の平衡分圧であり、横軸は反応温度を表す。このグラフから明らかなように、750℃以下であれば、AlClがAlClより多く発生する。したがって、A領域を750℃以下に保つことによって、AlClをAlClより多く生成することができる。すなわち、AlClがAlClより優先的に生成されるのである。この際、AlClが多く発生してしまうと、石英チャンバーを腐食してしまうおそれがある。そのため、AlClよりAlClを多く発生させるべきである。
また、混合部(B領域)は原料反応部(A領域)で生成されたAlClの石英反応チャンバー18内での析出が起きない温度で、かつ、混合部でのAlNの析出が起きない温度範囲に保つ。具体的には、80℃以上750℃以下の温度範囲に保つ。尚、この温度範囲は、160℃以上750℃以下の範囲とすればより好ましい。
HCl+H の導入
第一ガス導入ポート12からは、HCl分圧を1x10−4atmから1x10−2atmの分圧範囲に設定したガスを、Al原料を収容したアルミナボート20に向けて導入する。このアルミナボート20はAlを収容しているため、しばしばAlソースボートと呼ばれる場合もある。尚、HClを運ぶキャリアガスとしてはHを用いている。HCl+Hの全圧は、ほぼ1atmである。
第一ガス導入ポート12からこのようなガスを導入することによって、AlとHClが反応し、AlClが生成され、混合部に輸送される。
NH +H の導入
一方、第二ガス導入ポート14から、NHの分圧を、5x10−4atmから5x10−1atmの分圧範囲に設定したガスを導入し、混合部で当該NHとAlClとを混合させる。混合したガスは基板部に輸送され、そこで反応してAlNが生成される。尚、NHを運ぶキャリアガスとしてはHを用いている。
本実施の形態1では、第一ガス導入ポート12及び第二ガス導入ポート14から導入されるガスのキャリアガスとしてHを用いたが、NやHe又はArガスをキャリアガスとして用いることも好ましい。
基板結晶24は、図1において説明したように、高周波加熱によって加熱されている。その温度は、900℃から1700℃の温度範囲中の所定の温度に設定され、維持される。
このような条件の下で、1時間から10時間の間、AlNを成長させることにより、基板結晶24(サファイア基板)上に100から1500ミクロンの厚さのAlNエピタキシャル成長を実際に行った。
本実施の形態1において特徴的なことは、高周波加熱及びカーボンサセプタ28を用いることによって、基板結晶24を集中的に加熱し、基板部(結晶部)におけるガスの温度自体は、低く抑えたことである。このような構成によって、基板結晶24にたどり着く前にAlNが析出してしまうことを効果的に防止できるのである。その結果、AlNが途中で析出してしまう現象を防止することができ、効率的に基板結晶24上で結晶を成長させることができる。つまり、本実施の形態1によれば、より成長速度の大きなAlNエピタキシャル成長が実現できたのである。
尚、基板結晶の加熱には高周波加熱に加えて、抵抗加熱や光による加熱も好ましい。抵抗加熱の場合には、抵抗線を基板結晶24の十分に近傍に設けることによって、主に基板結晶24を加熱しつつ周囲のガスをあまり加熱しないことが実現可能である。また、光による加熱の場合は、石英反応チャンバー18の外部から光を基板結晶24の表面に照射する構成を採用することも好ましい。このような構成によれば、光を通す石英や、周囲のガスの温度をほとんど上昇させずに、主に基板結晶24の温度を上昇させることが可能である。尚、光照射による炉は従来から知られており、ハロゲンランプやキセノンランプ等を光源とした炉が実用されている。
加熱用の光が透過してしまうサファイア基板の場合、例えば、カーボンの薄い板の上にサファイア基板を設置してこのカーボン側から光を照射して加熱することが好ましい。この様子を示す概念図が図3に示されている。
この図に示すように、サファイア基板の裏面にカーボンの薄い板を設置し、このカーボン側から光を照射することによって、カーボン薄板を通じてサファイア基板を加熱することが可能である。この結果、周囲のガスや石英反応チャンバー18の温度をほとんど上昇させずに容易にサファイア基板の温度のみを上昇させることが可能である。
基板結晶24としては、サファイア基板、Si結晶の他、さらにはそれらサファイア基板、Si結晶上に、トリメチルアルミニウム(TMA)をAl原料としNH3をN原料とし、キャリアガスをH2としたMOCVD法にてあらかじめ厚み0.5nm〜10μm程度のAlNエピタキシャル層を形成しておき、それをテンプレートとしたものも利用できる。
このMOCVDテンプレート層結晶成長においては、キャリアガスとしてH2を用いる以外に、N2やHe又はArガスを用いてもよく、さらにはそれらの混合ガスを用いてもよい。
このようにして、サファイア、又はSi基板上に本手法を用いて成長されたAlNエピタキシャル層、さらにはサファイア、又はSi基板上にMOCVD法にてAlNエピタキシャル層テンプレートを形成後、本手法を用いて成長されたAlNエピタキシャル層に対して、初期基板として用いたサファイア、又はSi基板を除去することにより、単結晶のAlN基板を得ることができる。
サファイア、又はSi基板上に直接、AlNエピタキシャル層を成長(直接成長と呼ぶ)させるのではなく、MOCVD法にてAlN膜すなわちテンプレートを作成してから、前記の成長を行わせる方法(テンプレート成長と呼ぶ)は、前記直接成長と比較して、次のメリットを有する。前記初期基板上に形成された0.5nm〜10μm程度の比較的薄い膜厚範囲での比較では、MOCVD法によるAlN膜の成長表面は前記初期基板上に本発明手法で直接成長されたAlN膜の成長表面より平坦性に優れ、かつ結晶性に優れたものとなる。
このようにして、MOCVD−AlNエピタキシャル層をサファイア、又はSi結晶の初期基板上に0.5nm〜10μm程度積層させテンプレートを作成する。その後、HVPEを用いてAlN膜を高速成長させることが好ましい。この場合、HVPEを用いて高速に結晶成長がなされたAlN膜は、テンプレートたるMOCVD−AlN膜の成長表面の平坦性、結晶性を引き継いだものとなる。尚、MOCVD−AlN膜とは、従来の手法であるMOCVD法を用いて成膜したAlN膜を言う。
比較・検討
ところで、従来の手法であるMOCVD法のデメリットとしては、次のものが挙げられる。
まず、従来の手法であるMOCVD法は成長速度が本発明手法のように高速ではなく、また原料であるTMAの価格が本手法の原料の価格より大幅に高価である。このように、MOCVD法は、高速成長が困難であることから、前記の初期基板であるサファイア、又はSi基板を除去し単結晶AlN基板として利用しようとする場合、十分な膜厚を得るには、非常に長い時間の結晶成長が必要であった。そのため、単結晶AlN基板を大量に生産することは困難な場合も想定された。
これに対して、本実施の形態で述べた手法によれば、結晶成長の速度が従来の手法より早くなっているので、単結晶AlN基板を大量生産するのに適した方法である。
測定結果
図4には、混合部の温度を変化させた場合のAlNの結晶成長速度の変化を表すグラフが示されている。このグラフにおいて、縦軸は、結晶成長速度(μm/時)を表し、横軸は、混合部の温度(℃)を表す。
このグラフに示されているように、750℃以下の温度では、混合部及び混合部から基板結晶部までの領域へのAlNの析出が非常に少なく、基板結晶上の成長速度がほぼ一定の値をとるとともに、その値が比較的大きなものとなっている。
混合部及び混合部から基板結晶部までの領域におけるAlNの析出が基板結晶部に至るまでに生じてしまうとガス流内の原料濃度が減少してしまうが、本実施の形態1ではこの原料濃度の減少がほとんど生じないために図4のグラフのような結果が得られたのである。
図5には、混合部の温度を変化させた場合のAlNの結晶成長速度と、経過した結晶成長時間の関係を表すグラフが示されている。このグラフにおいて、縦軸は、結晶成長速度(μm/時)を表し、横軸は、結晶を成長させた経過時間(hr)を表す。すなわち、このグラフには、混合部を750℃以下にした場合と、混合部を750℃以上とした場合、のそれぞれの場合における成長速度の時間依存性が示されているのである。
このグラフに示されているように、混合部が750℃以上の場合(グラフ上では混合温度=950℃で示されている)は、AlNの析出が混合部及び混合部から基板部の範囲で生じてしまい、かつ、時間の経過とともにAlNの析出量が増えてしまうと考えられる。つまり、時間の経過と共にいわゆる結晶核が増加し、ますます析出量が増えてしまうのである。その結果、結晶の成長速度が時間の経過とともに減少するのである。
これに対して、混合部の温度が750℃以下の場合(グラフ上では混合温度=400℃で示されている)は、AlNの析出が混合部及び混合部から基板部の範囲でほとんど生じないため、時間の経過とともにAlNの結晶成長速度はほとんど変化しない。
本実施の形態1の成長法の特徴の一つは、石英の耐熱温度以上の成長温度で成長することが可能なことである。具体的に言えば、石英反応管を用いるHVPE法ではホットウォール加熱が従来用いられるために、1200℃以上の温度にすることは困難であるが、これに対して本実施の形態1による方法・装置によれば1700℃までの加熱が可能であることが本発明者らの実験により確認された。
界面における転位について
AlNの成長において、低温領域の成長ではC軸方向(垂直方向)の成長が起こりやすく、初期基板(基板結晶24)とAlNエピタキシャル層との界面で発生する転位はそのままエピタキシャル成長に引き継がれ、成長膜厚による転位の低減を望むことができない。
このことは、初期基板(基板結晶24)上にMOCVD法によって成長させたAlNエピタキシャル層テンプレートを作製する場合でも同様である。すなわち、このようなテンプレートを作製する場合は、前記テンプレート上にHVPEを用いて結晶成長させたAlNエピタキシャル層と前記テンプレートとの界面で発生する転位も同様にそのままエピタキシャル成長に引き継がれる。また、前記テンプレートから伝搬してきた転位も同様にそのままエピタキシャル成長に引き継がれる。
一方、1200℃以上の高温成長、望ましくは1300℃以上の高温成長では成長モードが変化して、横方向成長性が強くなる。このために、1200℃以上の温度で成長させた場合には、界面に発生、もしくは界面で伝播した貫通転位がエピタキシャル成長中に横方向に曲がり、結果的に転位の低減が生じる。
図7には、基板結晶24上の様子を示す平面写真を表す図が示されている。図7(1)は、成長温度が1400℃の場合の写真であり、図7(2)は成長温度が1250℃の場合の写真である。また、図7(3)は、成長温度が1150℃の場合の写真である。尚、この図7はノマルスキー顕微鏡を用いて撮影した写真を表す図である。
この図7に示すように、成長温度が低い1150℃の場合は、結晶の成長方向が「縦」すなわち、基板結晶24の平面と垂直な方向に向かう傾向があるため、基板結晶24の表面には縦方向へのびようとする結晶の凹凸が観察される。一方、成長温度が1250℃では凹凸の程度が低減し、高い成長温度の1400℃では、ほとんど凹凸は観察されなくなる。これは、成長温度がおよそ1200℃以上の高温になると、結晶の成長が「横」方向(基板結晶24の平面と平行な方向)に強くなるため、基板結晶24上で成長する結晶の表面の凹凸がならされるためであると考えられる。
図8(a)には、サファイア基板上にHVPE法を利用した手法によってAlNエピタキシャル層を直接成長させた場合のAlNエピタキシャル層の成長表面モフォロジーが示されている。また、図8(b)には、サファイア基板上にMOCVD法により0.7μm厚のAlNエピタキシャル層をまずテンプレートとして成長させ、その後にHVPE法を利用した手法によって結晶成長させたAlNエピタキシャル層の成長表面モフォロジーが示されている。尚、この図8は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影した写真を示す図である。
この図8(a)(b)に示すように、MOCVDを用いてAlNエピタキシャル層をテンプレートとしてあらかじめ形成しておいた場合の方が、膜表面が平坦であることが理解されよう。
尚、図6にはAlN成長表面での貫通転位密度と成長温度の関係を表すグラフが示されている。尚、この場合のエピタキシャル膜厚は500ミクロン一定とした。このグラフにおいて、横軸は、成長温度(℃)であり、縦軸は貫通転位密度(/cm)である。このグラフから明らかなように、1200℃以上の成長温度では貫通転位が急激に減少し、1300℃以上の成長条件では10オーダの転位密度となり、デバイスとして十分使用可能な高品質なAlNとなる。
実施の形態2
上記実施の形態1では、金属とHClを反応させて、AlClを生成した。しかし、固体のAlClを所定温度下に置くことによって、AlClの蒸気を発生させ、発生した気体のAlClを原料として用いることも好ましい。本実施の形態2では、固体のAlClを所定温度下に置くことによって、AlClの蒸気を発生させる手法を採用した例を説明する。
本実施の形態2における気相成長装置110の断面模式図が図9に示されている。この図に示すように、気相成長装置110は、上記図1の気相成長装置10と同様に、石英反応チャンバー118を備えている。この石英反応チャンバー118には、NH+Hガスを導入する第2ガス導入ポート114や、排気ポート116を備えている。これらのポートの動作は図1の装置と同様である。また、図9に示す石英反応チャンバー118には、第1ガス導入ポート112が備えられている。この第1ガス導入ポート112は、図1の装置と同様に石英反応チャンバー118中に突出しているが、図1と異なり、Al原料を載置したアルミナボート20等は配置されない。
この第1ガス導入ポート112は、図1の第1ガス導入ポート12と異なり、外部から直接AlClを導入する。このような動作をするために、第1ガス導入ポート112は、AlCl発生装置120に接続している(図9参照)。
このAlCl発生装置120は、所定の容器122と、それを加熱する加熱手段124とを備えている。上記第1ガス導入ポート112は、反応容器に接続されている(図9参照)。この反応容器122には固体・粉末のAlClが封入されており、反応容器122の周囲に設けられている加熱手段124がこの反応容器122及びその内部のAlClを所定の温度に加熱する。この加熱によって、固体・粉末のAlClが蒸発してAlCl蒸気(気体)が得られる。さらに、反応容器122には、キャリアガス導入ポート126が接続されている。このキャリアガス導入ポート126から、キャリアガスであるN又は(N+H)が導入される。このような構成によって、反応容器122中で発生した気体のAlClはキャリアガスの流れにのり、第1ガス導入ポート112を通じて石英反応チャンバー118中に輸送される。
本実施の形態2において特徴的なことは、加熱手段124が固体・粉末のAlClを加熱してAlClを得ていることであり、非常に簡単に気体のAlClを得ることができる。また、本実施の形態2において特徴的なことは、加熱手段124がが固体・粉末のAlClを加熱する温度が、80℃以上250℃以下の範囲であることである。
この温度は、低すぎるとAlClが蒸発せず、気体のAlClを得ることができない。一方、この温度が高すぎたのでは、混合部(すなわちB領域:図9参照)において、AlNが析出してしまう割合が多くなり、効率的なAlの結晶成長が困難となる場合がある。そこで、本願発明者らが鋭意研究の結果、上記の温度範囲で一般的に好ましい結果が得られることを見いだしたのである。
図9に示す装置は、AlClをAlCl発生装置120で発生させたことに特徴がある。単に加熱するだけで原料であるAlClの気体を得ることができるので、不純物が少ない高品質の粉末のAlClを容易に入手できる場合には、好適な装置の形態である。
特に、本実施の形態2の気相成長装置110は、原料のAlClの加熱温度を80℃〜250℃に設定したので、輸送中のAlCl(気体)の温度も比較的低く抑えることができるので、混合部(B領域:図9参照)の温度を低くすることが容易となる。この結果、
反応速度が遅くなり、原料が結晶部(C領域:図9参照)に到達する前にAlNが析出することを効果的に防止することができる。したがって、結晶部(C領域)に効率よく原料を輸送することができ、生産効率の向上を図ることができる。
尚、加熱する温度範囲としては、80℃以上150度以下の温度範囲とすることがより望ましい。より低い温度にすれば、途中で析出してしまう量を低減することができ、効率的にAlNの成長を行うことができる。
変形例
(1)上記実施の形態1では、金属とHClを反応させて、AlClを生成した。そして、実施の形態2では、固体のAlClを所定温度下に置くことによって、AlClの蒸気を発生させ、発生した気体のAlClを原料として用いた。
しかし、AlCl+Hのガスそのものを最初から第1ガス導入ポートから直接導入することも好ましい。
(2)上記実施の形態1では、一本の円筒状の石英反応チャンバー18を用いたが、原料反応部と、混合部と、基板部とは、必ずしも一体の容器中に位置する必要はない。形状として別体の他の容器中に存在していてもかまわない。
また、上記実施の形態2では、AlClを発生する装置を本体とは別体に設けたが、実施の形態1のように、一体構造とすることももちろん好ましい。
本実施の形態の気相成長装置の断面模式図である。 Al金属をHCl+Hの原料ガス雰囲気中に置いた場合に生成される各種物質の気相分圧のグラフである。 カーボンの薄い板の上にサファイア基板を設置し、カーボン側から光を照射する様子を示す概念図である。 本実施の形態の混合部の温度と成長速度の関係を示すグラフである。 本実施の形態の混合部の温度の違いによる、成長経過時間と成長速度との関係を示すグラフである。 AlN成長表面での貫通転位密度と成長温度の関係を表すグラフである。 基板結晶上の様子を示す平面写真である。 表面モフォロジーを表す平面写真である。 実施の形態2に係る気相成長装置の断面模式図である。
10 気相成長装置
12 第一ガス導入ポート
14 第二ガス導入ポート
16 排気ポート
18 石英反応チャンバー
20 アルミナボート
22 抵抗加熱炉
24 基板結晶
26 高周波加熱コイル
28 カーボンサセプタ
112 第1ガス導入ポート
114 第2ガス導入ポート
116 排気ポート
118 石英反応チャンバー
120 AlCl発生装置
122 容器
124 加熱手段
126 キャリアガス導入ポート

Claims (3)

  1. HVPE法によりエピタキシャル層を成長させる気相成長装置において、
    第1の原料ガスを生成させる原料反応部を含む反応容器と、
    前記反応容器にて生成された前記第1の原料ガスと第2の原料ガスとを混合させる混合部と、前記混合部で混合された原料ガスにより前記基板結晶上に結晶成長させる結晶成長部と、を含む石英反応管と、
    前記反応容器にて生成された前記第1の原料ガスを前記石英反応管に供給するためのガス導入経路と、を備え、
    前記反応容器は、前記第1の原料ガスを生成させるための第1の加熱手段を有し、
    前記結晶成長部は、前記基板結晶を加熱するための第2の加熱手段を有し、
    前記第2の加熱手段は、前記基板結晶を1350℃以上に局所的に加熱し、
    前記石英反応管の内部雰囲気温度を750℃以下に保持し、
    前記第1の原料ガスは、アルミニウムの原料ガスであり、
    前記第2の原料ガスは、窒素の原料ガスであり、
    前記アルミニウムの原料ガスは、AlCl であり、
    前記窒素の原料ガスは、NH であることを特徴とする気相成長装置。
  2. 請求項1記載の気相成長装置において、
    前記第1の加熱手段は、前記反応容器を加熱することにより、前記石英反応管の内部雰囲気温度を80℃以上250℃以下に保持することを特徴とする気相成長装置。
  3. 請求項1または請求項2記載の気相成長装置において、
    前記第2の加熱手段は、抵抗加熱によって前記基板結晶を加熱する手段、高周波加熱によって前記基板結晶を加熱する手段、又は、光によって前記基板結晶を加熱する手段、のいずれかを含むことを特徴とする気相成長装置。
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