JP4747350B2 - エピタキシャル層の気相成長装置 - Google Patents
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このため、近年高温高圧下での融液成長や昇華法などによりバルク結晶の成長が試みられている。しかしながら、このような方法によっても、大型の基板結晶に用いることができるようなAlNの結晶は得られていない。
この方法においては、混合部でAl原料ガスとNH3原料ガスを混合し、混合したガスを成長部(基板が位置するので基板部とも呼ぶ)に送り込む。そして、この成長部に収容されているサファイア基板上にAlNを成長させる。
そのため、本願出願人は、Alを含むIII−V族化合物の基板を、HVPE(法)で製造する技術を開発し、別途他の特許出願(特願2002−106102号)を行っている(特許文献3)。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、サファイア基板上又はSi基板上に良質のAlN結晶を成長させることができるAlNのエピタキシャル成長方法を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、できるだけ基板部に置かれた基板結晶のみを加熱し、この加熱された基板結晶上へ原料を供給する仕組みを手段として採用したことも特徴の一つである。
さらに、本発明は、できるだけ石英の耐熱温度に制限されることなく、基板結晶温度を制御することができる仕組みを手段として採用したことも特徴の一つである。
まず、本発明では、AlCl3原料ガスとNH3原料ガスを80℃以上750℃以下の範囲で混合し、80℃以上750℃以下の温度に保ったまま基板結晶部に輸送することを含むことを特徴とする。
さらに、高品質AlN成長に必要な900℃から1700℃の温度に基板結晶のみを保つことにより、成長速度の向上したAlNの成長を行うことを特徴とする。この結果、高品質なAlNの成長を行うことができる。本発明では、主に基板結晶を加熱しているので、一般的な容器である石英反応管は耐熱温度の範囲である80℃以上750℃以下の温度に保たれる。
この手段を採用することによって、混合部又は混合部から基板部の範囲内におけるAlN析出にともなう気相中の原料濃度の低下により成長時間とともに成長速度が減少する従来法の課題を克服することができる。
尚、混合部における析出をより一層防止するためには、80℃以上250℃以下にすることがより望ましい。さらに、成長速度より混合部での途中析出の防止を重要視する場合には、80℃以上150℃以下の温度範囲に設定することも好ましい。
(1)本発明は、上記課題を解決するために、アルミニウムの原料と、窒素の原料と、を混合したガス中に基板結晶を配置し、前記基板結晶上にAlNを結晶成長させる方法において、前記基板結晶の温度を、前記ガスの温度より高くすることを特徴とするAlNエピタキシャル層の成長方法である。
このような構成によって、AlN結晶の基板結晶以外の部分における析出量を減少させることができる。
このような温度設定にすることによって、基板結晶以外の場所でAlNが析出してしまうのを抑制することができる。
このような温度設定にすることによって、基板結晶以外の場所でAlNが析出してしまうのをより一層抑制することができる。
このような温度設定にすることによって、上記材料の下で基板結晶上にAlNの結晶の成長を行わせることができる。
前記固体AlCl3を80℃以上250℃以下の温度範囲で加熱することを特徴とするAlNエピタキシャル層の成長方法である。
このような手法によれば、効率的に原料を輸送することができる。
このような構成によって、主に基板結晶を集中的に加熱することができる。
(12)また、本発明は、上記(1)〜(11)のいずれかに記載のAlNエピタキシャル層の成長方法において、前記基板結晶がサファイア単結晶基板であることを特徴とするAlNエピタキシャル層の成長方法である。
このような手法により、効率よく単結晶AlN基板が得られる。
(15)また、本発明は、上記(1)〜(11)のいずれかに記載のAlNエピタキシャル層の成長方法において、前記基板結晶がSi単結晶基板であることを特徴とするAlNエピタキシャル層の成長方法である。
ここで、Siとは、シリコンを意味する。
このような手法により、効率よく単結晶AlN基板が得られる。
(18)また、本発明は、上記(1)〜(11)のいずれかに記載のAlNエピタキシャル層の成長方法において、前記基板結晶が、サファイア単結晶基板と、前記サファイア単結晶基板上に、MOCVD法を用いて結晶成長されたAlNエピタキシャル層テンプレートと、から成ることを特徴とするAlNエピタキシャル層の成長方法である。
このような手法により、効率よく単結晶AlN基板が得られる。
(21)また、本発明は、(1)〜(11)のいずれかに記載のAlNエピタキシャル層の成長方法において、前記基板結晶が、Si単結晶基板と、前記Si単結晶基板上に、MOCVD法を用いて結晶成長されたAlNエピタキシャル層テンプレートと、から成ることを特徴とするAlNエピタキシャル層の成長方法である。
以下、上記A.中で述べたAlNエピタキシャル層の成長方法を実行する装置の発明を示す。その作用・原理は、上記AlNエピタキシャル層の成長方法と共通する部分が多々ある。
このような構成によって、AlN結晶の基板結晶以外の部分における析出量を減少させることができる。
混合ガスの温度は80℃以上であれば結晶の成長する部位まで原料を輸送することが可能であることが発明者らの研究により確認することができた。
(28)また、本発明は、上記(24)〜(26)のいずれかに記載の気相成長装置において、前記第1の加熱手段は、前記基板結晶を、900℃以上の温度となるように加熱することを特徴とする気相成長装置である。
このような構成によって、主に基板結晶を集中的に加熱することができる。
(31)また、本発明は、上記(24)記載の気相成長装置において、固体AlCl3を所定温度に加熱することによって、気体AlCl3を発生させるAlCl3発生手段、を含み、発生した気体AlCl3を、前記アルミニウムの原料として用いることを特徴とする気相成長装置である。
これらの構成によって、原料ガスであるAlCl3の供給を効率的に行うことが可能である。
実施の形態1
気相成長装置の構成
図1には、本実施の形態1で利用する気相成長装置10の断面模式図が示されている。この図1を参照して、本実施の形態1で使用するHVPE(Hydride Vapor Phase Epitaxy)法用の気相成長装置10を説明する。図1に示すように、気相成長装置10は、第一ガス導入ポート12、第2ガス導入ポート14及び排気ポート16を有する石英反応チャンバー18を備えている。
そして、抵抗加熱炉22は、この「原料反応部」(A領域)と、「混合部」(B領域)とを個別に加熱することが可能なように、A領域を加熱する抵抗線と、B領域と加熱する抵抗線と、を別個に有しているのである。
また、気相成長装置10は、石英反応チャンバー18内の混合部の下部に、基板結晶24を支持するカーボンサセプタ28が備えられている。尚、この基板結晶24は、サファイア基板が使用されており、このサファイア基板上にAlNが結晶成長するのである。
(1)アルミニウムの原料ガスを生成する「原料反応部」(A領域)
(2)AlCl3と、NH3を混合する「混合部」(B領域)
(3)基板結晶24が配置され、AlNの結晶成長が行われる「基板部」(C領域)
の3種類の領域が存在する。
このような構成によって、基板結晶24上でAlNの結晶成長が行われるのである。尚、図1においては、気相成長装置10に隣接して、石英反応チャンバー18の長さ方向の位置と温度の関係を表すグラフが示されている。このグラフにおいて、縦軸は、石英反応チャンバー18の長さ方向の位置を表し、その位置は、隣接する気相成長装置10の石英反応チャンバー18と、図面上一致している。また、このグラフにおいて横軸は温度を表す。尚、横軸のグラフ上の原点は0℃ではない。
次に、AlNの結晶成長の様子を詳しく説明する。
抵抗加熱炉による加熱
まず、抵抗加熱炉22を用いて、図1の左部に示すグラフで表される温度分布となるように加熱し、原料反応部(A領域)及び混合部(B領域)を所定の温度に保つ。
第一ガス導入ポート12からは、HCl分圧を1x10−4atmから1x10−2atmの分圧範囲に設定したガスを、Al原料を収容したアルミナボート20に向けて導入する。このアルミナボート20はAlを収容しているため、しばしばAlソースボートと呼ばれる場合もある。尚、HClを運ぶキャリアガスとしてはH2を用いている。HCl+H2の全圧は、ほぼ1atmである。
第一ガス導入ポート12からこのようなガスを導入することによって、AlとHClが反応し、AlCl3が生成され、混合部に輸送される。
一方、第二ガス導入ポート14から、NH3の分圧を、5x10−4atmから5x10−1atmの分圧範囲に設定したガスを導入し、混合部で当該NH3とAlCl3とを混合させる。混合したガスは基板部に輸送され、そこで反応してAlNが生成される。尚、NH3を運ぶキャリアガスとしてはH2を用いている。
基板結晶24は、図1において説明したように、高周波加熱によって加熱されている。その温度は、900℃から1700℃の温度範囲中の所定の温度に設定され、維持される。
本実施の形態1において特徴的なことは、高周波加熱及びカーボンサセプタ28を用いることによって、基板結晶24を集中的に加熱し、基板部(結晶部)におけるガスの温度自体は、低く抑えたことである。このような構成によって、基板結晶24にたどり着く前にAlNが析出してしまうことを効果的に防止できるのである。その結果、AlNが途中で析出してしまう現象を防止することができ、効率的に基板結晶24上で結晶を成長させることができる。つまり、本実施の形態1によれば、より成長速度の大きなAlNエピタキシャル成長が実現できたのである。
ところで、従来の手法であるMOCVD法のデメリットとしては、次のものが挙げられる。
図4には、混合部の温度を変化させた場合のAlNの結晶成長速度の変化を表すグラフが示されている。このグラフにおいて、縦軸は、結晶成長速度(μm/時)を表し、横軸は、混合部の温度(℃)を表す。
AlNの成長において、低温領域の成長ではC軸方向(垂直方向)の成長が起こりやすく、初期基板(基板結晶24)とAlNエピタキシャル層との界面で発生する転位はそのままエピタキシャル成長に引き継がれ、成長膜厚による転位の低減を望むことができない。
上記実施の形態1では、金属とHClを反応させて、AlCl3を生成した。しかし、固体のAlCl3を所定温度下に置くことによって、AlCl3の蒸気を発生させ、発生した気体のAlCl3を原料として用いることも好ましい。本実施の形態2では、固体のAlCl3を所定温度下に置くことによって、AlCl3の蒸気を発生させる手法を採用した例を説明する。
反応速度が遅くなり、原料が結晶部(C領域:図9参照)に到達する前にAlNが析出することを効果的に防止することができる。したがって、結晶部(C領域)に効率よく原料を輸送することができ、生産効率の向上を図ることができる。
(1)上記実施の形態1では、金属とHClを反応させて、AlCl3を生成した。そして、実施の形態2では、固体のAlCl3を所定温度下に置くことによって、AlCl3の蒸気を発生させ、発生した気体のAlCl3を原料として用いた。
(2)上記実施の形態1では、一本の円筒状の石英反応チャンバー18を用いたが、原料反応部と、混合部と、基板部とは、必ずしも一体の容器中に位置する必要はない。形状として別体の他の容器中に存在していてもかまわない。
また、上記実施の形態2では、AlCl3を発生する装置を本体とは別体に設けたが、実施の形態1のように、一体構造とすることももちろん好ましい。
12 第一ガス導入ポート
14 第二ガス導入ポート
16 排気ポート
18 石英反応チャンバー
20 アルミナボート
22 抵抗加熱炉
24 基板結晶
26 高周波加熱コイル
28 カーボンサセプタ
112 第1ガス導入ポート
114 第2ガス導入ポート
116 排気ポート
118 石英反応チャンバー
120 AlCl3発生装置
122 容器
124 加熱手段
126 キャリアガス導入ポート
Claims (3)
- HVPE法によりエピタキシャル層を成長させる気相成長装置において、
第1の原料ガスを生成させる原料反応部を含む反応容器と、
前記反応容器にて生成された前記第1の原料ガスと第2の原料ガスとを混合させる混合部と、前記混合部で混合された原料ガスにより前記基板結晶上に結晶成長させる結晶成長部と、を含む石英反応管と、
前記反応容器にて生成された前記第1の原料ガスを前記石英反応管に供給するためのガス導入経路と、を備え、
前記反応容器は、前記第1の原料ガスを生成させるための第1の加熱手段を有し、
前記結晶成長部は、前記基板結晶を加熱するための第2の加熱手段を有し、
前記第2の加熱手段は、前記基板結晶を1350℃以上に局所的に加熱し、
前記石英反応管の内部雰囲気温度を750℃以下に保持し、
前記第1の原料ガスは、アルミニウムの原料ガスであり、
前記第2の原料ガスは、窒素の原料ガスであり、
前記アルミニウムの原料ガスは、AlCl 3 であり、
前記窒素の原料ガスは、NH 3 であることを特徴とする気相成長装置。 - 請求項1記載の気相成長装置において、
前記第1の加熱手段は、前記反応容器を加熱することにより、前記石英反応管の内部雰囲気温度を80℃以上250℃以下に保持することを特徴とする気相成長装置。 - 請求項1または請求項2記載の気相成長装置において、
前記第2の加熱手段は、抵抗加熱によって前記基板結晶を加熱する手段、高周波加熱によって前記基板結晶を加熱する手段、又は、光によって前記基板結晶を加熱する手段、のいずれかを含むことを特徴とする気相成長装置。
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