JP6797398B2 - 窒化アルミニウム結晶の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、窒化アルミニウム結晶の製造方法に関する。
紫外発光素子は、殺菌光源や蛍光体と組み合わせた高輝度白色光源、高密度情報記録光源、樹脂硬化光源など、幅広い用途での使用が期待される次世代光源である。この紫外発光素子は、AlGaN系窒化物半導体から成っている。
このAlGaN系窒化物半導体の基板材料の候補として、AlGaNとの格子整合性の高さから、SiC、GaN、およびAlNが挙げられる。しかし、SiCやGaNは、それぞれ380 nm、365 nmよりエネルギーの高い光を吸収するため、取り出せる波長領域が制限されてしまう。一方、AlNは、SiCやGaNのような波長領域の制限がないため、基板材料として最も優れていると考えられるが、高温において高い解離圧を示すため、常圧下では融液状態にはならない。このため、シリコン単結晶のように、自身の融液からAlN単結晶を作製することは、極めて困難である。
そこで、従来、AlN単結晶を作製するために、ハイドライド気相成長法や液相成長法、昇華法などの製造方法が試みられている。例えば、高圧下でIII族元素とアルカリ金属を含む融液に基板を接触させることにより、III族窒化物結晶を成長させる手法(例えば、特許文献1参照)や、III族金属元素の融液に、窒素原子を含有するアンモニアガスを注入して、III族元素の融液内でIII族窒化物微結晶を製造する手法(例えば、特許文献2参照)が提案されている。しかし、これらのAlN結晶の製造方法では、高圧や高温が必要となり、サイズ、品質およびコストに対して、実用化に耐えうる結晶を製造することはできないという問題があった。
この問題を解決するために、本発明者等は、Ga−Al合金融液をフラックスとした液相成長法を開発した。すなわち、この方法は、Ga−Al合金融液にN原子を含有するガスを導入し、Ga−Al合金融液中に配置された種結晶基板上に、窒化アルミニウム結晶をエピタキシャル成長させるものである(例えば、特許文献3参照)。
なお、本発明者等により、サファイア基板(α−アルミナ単結晶基板)の表面に、結晶性が高く、欠陥密度が低い窒化アルミニウム単結晶薄膜を形成した窒化サファイア基板が開発されている(例えば、特許文献4参照)。
特開2004−224600号公報 特開平11−189498号公報 国際公開WO2012/008545号 特開2007−039292号公報
特許文献3に記載の窒化アルミニウム結晶の製造方法によれば、低温・常圧下で、安価かつ良質な窒化アルミニウム結晶を得ることができる。しかし、窒化アルミニウム結晶の成長速度は、毎時0.2μm程度であり、実用化のためには、さらに速い成長速度が必要であるという課題があった。また、速い成長速度を実現するためには、Ga−Al合金融液にN原子を含有するガスを導入する際、Nを融液中に溶解させるために融液の温度を高くする必要があるが、それによりAlとNとの反応が促進されて、ガスを導入するための供給口付近にもAlN結晶が付着してしまい、ガスの供給口が塞がれてAlNの製造が中断されることがあるという課題があった。
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、中断されることなく連続的に、かつ比較的早い成長速度で窒化アルミニウム結晶を製造することができる窒化アルミニウム結晶の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明者等は、特許文献3に記載の窒化アルミニウム結晶の製造方法よりも速い成長速度を実現するために鋭意検討を行なった結果、Ga−Al合金融液中のみではなく、合金融液付近の気相においてもAlNが成長することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る窒化アルミニウム結晶の製造方法は、Ga−Al合金融液に、窒素を含むガスを吹き込んでAlを含む蒸気を発生させ、前記Ga−Al合金融液の外部に配置したテンプレート基板に、前記蒸気をあてることにより、前記テンプレート基板の表面に窒化アルミニウム結晶を成長させることを特徴とする。
本発明に係る窒化アルミニウム結晶の製造方法では、Ga−Al合金融液に、窒素(N)を含むガスを吹き込むことにより、Alを含む蒸気を発生させるとともに、Ga−Al合金融液に吹き込んだ窒素も融液の内部に留まらず、融液から出てくる。このため、テンプレート基板にAlを含む蒸気をあてることにより、テンプレート基板の表面で蒸気中のAlと融液から出てきた窒素とを反応させることができ、テンプレート基板の表面に窒化アルミニウム(AlN)結晶を成長させることができる。
本発明に係る窒化アルミニウム結晶の製造方法では、AlとNとを、Ga−Al合金融液中ではなく、融液の外部の気相中で反応させるため、融液の温度を高くしておく必要がなく、Nを融液中に吹き込むための吹込口にAlN結晶が付着して、その吹込口を塞ぐことがない。このため、反応が中断されることなく連続的に、融液の外部に配置したテンプレート基板の表面に、窒化アルミニウム結晶を製造することができる。また、本発明に係る窒化アルミニウム結晶の製造方法は、融液中でAlN結晶を成長させる特許文献3に記載の方法と比べて、早い成長速度で窒化アルミニウム結晶を製造することができる。
本発明に係る窒化アルミニウム結晶の製造方法で、Ga−Al合金融液は、Alを含んでいればよく、特に、GaとAlとのモル比が99:1〜1:99の範囲であることが好ましい。また、Ga−Al合金融液に吹き込む窒素を含むガスは、Nのみから成るガスであっても、他の物質を含む混合ガスであっても、窒素を含む化合物から成るガスであってもよい。Ga−Al合金融液に吹き込む窒素を含むガスは、Alを含む蒸気を発生させるためのキャリアガスとしての役割だけでなく、AlN結晶を成長させるための窒素源としての役割も果たすことができる。
本発明に係る窒化アルミニウム結晶の製造方法は、融液を攪拌してAlを含む蒸気の発生を促進するために、前記窒素を含むガスを、前記Ga−Al合金融液中でバブリングすることが好ましい。
本発明に係る窒化アルミニウム結晶の製造方法は、前記テンプレート基板の表面を、前記Ga−Al合金融液の温度より高い温度にしておくことが好ましい。特に、Ga−Al合金融液の温度を、融液中でAlNが結晶化しにくい温度にし、テンプレート基板の表面の温度を、AlN結晶が成長する温度にすることが好ましく、例えば、前記Ga−Al合金融液の温度は、1200℃〜1550℃であり、前記テンプレート基板の表面の温度は、1400℃〜1650℃であることが好ましい。また、Ga−Al合金融液の温度は、蒸気圧を高くしてAlを含む蒸気を発生しやすくするために、融液中でAlNが結晶化しにくい範囲で、できるだけ高い温度であることが好ましい。
本発明に係る窒化アルミニウム結晶の製造方法で、前記テンプレート基板は、窒素を含む雰囲気中に配置されていることが好ましい。この場合、Alが窒素以外の物質と反応するのを防ぐことができる。雰囲気用のガスとしては、例えば、Nガス、NHガスなどを用いることができる。また、雰囲気の全圧は、0.008MPa以上1MPa以下であることが好ましい。
本発明に係る窒化アルミニウム結晶の製造方法で、前記テンプレート基板は、表面にAlN薄膜を有する窒化サファイア基板またはSiC基板から成ることが好ましい。この場合、テンプレート基板とAlN結晶との格子整合性が高くなるため、AlN結晶を付着させやすく、AlN結晶の成長を促進することができる。特に、テンプレート基板として窒化サファイア基板を用いると、窒化サファイア薄膜の高い結晶配向性を引き継いだAlN結晶をホモエピタキシャル成長させることができる。
本発明に係る窒化アルミニウム結晶の製造方法は、前記テンプレート基板の表面に膜状、錐状またはウィスカー状の窒化アルミニウム結晶を成長させることが好ましい。
本発明によれば、中断されることなく連続的に、かつ比較的早い成長速度で窒化アルミニウム結晶を製造することができる窒化アルミニウム結晶の製造方法を提供することができる。
本発明の実施の形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法を実施するための窒化アルミニウム結晶の製造装置を示す縦断面図である。 本発明の実施の形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法により得られた、実施例1の窒化アルミニウム結晶を示すテンプレート基板の断面SEM(走査型電子顕微鏡)写真である。 図2に示すテンプレート基板の鳥瞰SEM写真である。 本発明の実施の形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法により得られた、実施例2の窒化アルミニウム結晶を示すテンプレート基板の断面SEM写真である。 図4に示すテンプレート基板の鳥瞰SEM写真である。 本発明の実施の形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法に関し、比較例1のテンプレート基板の断面SEM写真である。 本発明の実施の形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法により得られた、実施例3の窒化アルミニウム結晶を示すテンプレート基板の断面SEM写真である。 本発明の実施の形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法により得られた、実施例4の窒化アルミニウム結晶を示すテンプレート基板の断面SEM写真である。 本発明の実施の形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法により得られた、実施例5の膜状の窒化アルミニウム結晶を示すテンプレート基板の断面SEM写真である。 本発明の実施の形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法により得られた、実施例5の六角錐状の窒化アルミニウム結晶を示すテンプレート基板の断面SEM写真である。
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図10は、本発明の実施の形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法を示している。
<本発明の実施の形態の概要>
本発明の実施の形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法は、Ga−Al合金融液に、窒素を含むガスを吹き込んでAlを含む蒸気を発生させ、Ga−Al合金融液の外部の気相中に配置したテンプレート基板に、その蒸気をあてることにより、テンプレート基板の表面に窒化アルミニウム結晶を成長させる。
Ga−Al合金融液を用いず、単体のAl融液を用いて、同様のAlN成長を試みた場合、1200℃を超えるAl融液に窒素ガスを吹き込むと、融液中および融液表面に多量のAlNが生成し、窒素ガスの吹込ノズルを閉塞させるため、連続的な吹き込みができなくなり、Al蒸気の発生を阻害してしまう。
一方、GaNは、847℃以上の窒素雰囲気下では解離することが報告されている(K.T.Jacob, Jounrnal of Crystal Growth, 311(2009)3806)。すなわち、847℃以上の温度ではGaは窒化物を形成しない。
本発明の実施の形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法は、GaとAlとの合金を原料に用いることにより、Ga−Al合金融液中のAlの活量を制御することができる。このため、たとえ合金融液中でAlN微結晶が生成されたとしても、融液の流動性を確保することができ、窒素ガスの吹込ノズルを閉塞することなく、長時間連続的にテンプレート基板へAlを含む蒸気を供給することができる。
さらに、本発明の実施の形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法は、Ga−Al合金融液と結晶成長を行うテンプレート基板の表面との間に温度差をつけ、融液の温度を低く保つことにより、融液中での微結晶の生成を抑制しながら、結晶成長部を高温に保ち、蒸気中のAlと窒素ガスとの反応を促進することができる。
<本発明の実施の形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法>
本発明の実施の形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法は、図1に示すような窒化アルミニウム結晶の製造装置により好適に実施される。図1に示すように、窒化アルミニウム結晶の製造装置は、テンプレート基板1と、坩堝2と、坩堝2の内部のGa−Al合金融液3と、バブリング用ガス導入管4と、雰囲気用ガス導入管5と、ガス排出管6と、基板用ヒーター7と、融液用ヒーター8と、基板用熱電対9と、融液用熱電対10と、反応室11とを有している。
テンプレート基板1は、特許文献4に記載の方法により製造された窒化サファイア基板から成っている。テンプレート基板1は、AlN結晶との格子整合性が高いため、AlN結晶を付着させやすく、AlN結晶の成長を促進可能である。また、テンプレート基板1は、表面に形成された窒化サファイア薄膜の高い結晶配向性を引き継いだAlN結晶を、ホモエピタキシャル成長可能である。
坩堝2は、例えばアルミナ、ジルコニアなどのセラミック製で、耐高温性のものから成っている。坩堝2は、反応室11の内部に設置されている。Ga−Al合金融液3は、GaとAlとのモル比が99:1〜1:99の範囲のものから成っており、坩堝2の内部に収納されている。なお、Ga−Al合金は、26.6℃以下で固体、26.6℃以上では組成に応じて660℃まで固液共存状態をとる。テンプレート基板1は、坩堝2の内側で、Ga−Al合金融液3の上方に配置されている。
バブリング用ガス導入管4は、反応室11の上方から反応室11の内部の坩堝2の内側まで伸びるよう配置されている。バブリング用ガス導入管4は、上下方向に可動するよう設けられ、Ga−Al合金が完全に融解した後、その先端をGa−Al合金融液3に浸漬させるよう構成されている。また、バブリング用ガス導入管4は、先端から窒素を含むガスとしてNガスを噴出するよう構成されている。これにより、バブリング用ガス導入管4は、先端をGa−Al合金融液3に浸漬して、Ga−Al合金融液3にNガスを吹き込み可能になっている。なお、バブリング用のガスとしてNHガスを用いることもできるが、NHガスは高温の融液に接することで解離するため、NとHとの混合ガスを使用することと変わりがない。
雰囲気用ガス導入管5は、反応室11の内部に雰囲気用のガスを供給可能に、反応室11の上部に設けられている。雰囲気用ガス導入管5は、先端から雰囲気用のガスとしてNガスを噴出可能になっている。これにより、雰囲気用ガス導入管5は、反応室11の内部をNガス雰囲気にするようになっている。なお、雰囲気用ガス導入管5は、反応室11の雰囲気の全圧が、0.008MPa以上1MPa以下となるように、Nガスを噴出可能になっている。
ガス排出管6は、反応室11の内部のガスを排出可能に、反応室11の下部に設けられている。ガス排出管6は、例えば、反応室11の内部のガスを入れ換える際や、反応室11の雰囲気の全圧を調整する際に使用される。
結晶成長用ヒーター7は、反応室11の内部に配置されたテンプレート基板1を加熱可能に、テンプレート基板1の設置高さに合わせて、反応室11の外側面に沿って配置されている。融液用ヒーター8は、坩堝2の内部のGa−Al合金融液3を加熱可能に、Ga−Al合金融液3の配置高さに合わせて、反応室11の外側面に沿って配置されている。融液用ヒーター8は、基板用ヒーター7より下方に配置されている。
基板用熱電対9は、テンプレート基板1の表面の温度を測定可能に、反応室11の外部から反応室11の内部のテンプレート基板1の近傍まで伸びるよう設けられている。融液用熱電対10は、Ga−Al合金融液3の温度を測定可能に、反応室11の外部から反応室11の内部のGa−Al合金融液3の近傍まで伸びるよう設けられている。
本発明の実施の形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法は、まず、坩堝2の内部にGa−Al合金を入れ、雰囲気用ガス導入管5からNガスを噴出して、反応室11を窒素ガス雰囲気にする。その窒素ガス雰囲気中で、融液用ヒーター8により坩堝2の内部のGa−Al合金を加熱して溶解させ、Ga−Al合金融液3とする。融液用ヒーター8で、Ga−Al合金融液3を1000℃以上1550℃以下に保ち、基板用ヒーター7で、テンプレート基板1の温度をGa−Al合金融液3よりも高い温度に保つ。このとき、Ga−Al合金融液3の温度を、AlNが結晶化しにくい範囲で、できるだけ高い温度にしておくことが好ましい。この状態で、Ga−Al合金融液3の中に、バブリング用ガス導入管4の先端を浸漬させ、Nガスを吹き込んでバブリングを行う。このとき、雰囲気用ガス導入管5からもNガスを噴出する。
Ga−Al合金融液3にNガスを吹き込んでバブリングすることにより、Alを含む蒸気を発生させるとともに、Ga−Al合金融液3に吹き込んだNガスも、Ga−Al合金融液3から放出させる。このAlを含む蒸気とNガスとを、Ga−Al合金融液3の上方に配置したテンプレート基板1にあてることにより、テンプレート基板1の表面で蒸気中のAlと窒素とを反応させることができ、テンプレート基板1の表面に窒化アルミニウム結晶を成長させることができる。
Ga−Al合金融液3の中へのNガスの吹き込み開始から所定時間が経過した後、徐冷を行うことにより、窒化アルミニウム結晶の製造を終了することができる。なお、徐冷中も、Ga−Al合金融液3が液相線温度に低下するまでNガスの吹き込みを続けて、AlN結晶を成長させてもよい。
本発明の実施の形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法では、AlとNとを、Ga−Al合金融液3の中ではなく、Ga−Al合金融液3の外部の気相中で反応させるため、Ga−Al合金融液3の温度を高くしておく必要がない。このため、Ga−Al合金融液3の温度を、AlNが結晶化しにくい温度にし、テンプレート基板1の表面の温度を、それよりも高い、AlN結晶が成長する温度にしておくことにより、Ga−Al合金融液3の中でのAlN発生を抑制しながら,テンプレート基板1の表面にAlN結晶を生成させることができる。これにより、NをGa−Al合金融液3の中に吹き込むための吹込口にAlN結晶が付着して、その吹込口を塞ぐのを防ぐことができ、反応が中断されることなく、連続的に安定してAlN結晶を製造することができる。
また、本発明の実施の形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法は、NガスをGa−Al合金融液3の中でバブリングすることにより、Ga−Al合金融液3を攪拌してAlを含む蒸気の発生を促進することができる。また、Ga−Al合金融液3の中でAlN結晶を成長させる方法と比べて、早い成長速度で窒化アルミニウム結晶を製造することができる。Ga−Al合金融液3に吹き込むNガスは、Alを含む蒸気を発生させるためのキャリアガスとしての役割だけでなく、AlN結晶を成長させるための窒素源としての役割も果たすことができる。
また、本発明の実施の形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法では、MOVPE(Metal Organic Vapor Phase Epitaxy)法やHVPE(Hydride Vapor Phase Epitaxy)法で用いる有機金属ガスや塩素ガス・塩化水素ガスを用いる必要がないため、排ガス処理が容易であり、安全である。また、昇華法などの高温環境を必要とする従来の手法と比べ、製造コストを低減させることもできる。
<実施例>
以下、実施例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
まず、c面サファイア(Sapphire)基板を、グラファイト炉内において、窒素分圧0.9atm、CO分圧0.1atmで1時間保持した後、窒素分圧1.0atmで5時間保持し、テンプレート基板1として窒化サファイア基板を得た。
次に、GaとAlとのモル比率が60:40のGa−Al合金を、アルミナ製の坩堝2に入れ、全圧が0.1MPaの窒素雰囲気下で昇温した。Ga−Al合金融液3の温度が1300℃に到達した後、窒化サファイア基板の表面を1500℃にし、その表面が鉛直となるように設置し、Ga−Al合金融液3に窒素ガスを60sccmの流量で吹き込んでバブリングさせた。その状態で5時間保持してAlN結晶を成長させた後、バブリングを停止して、Ga−Al合金融液3および窒化サファイア基板を徐冷した。
図2に、AlN結晶成長後のテンプレート基板1の断面SEM像を示す。図2に示すように、テンプレート基板1の表面に、高さ2.5〜3μmの六角錐状の良質なAlN結晶が成長していることが確認された。また、図3に、同じテンプレート基板1の鳥瞰SEM像を示す。図3に示すように、六角錐状のAlN結晶が合体しており、膜状になっていることが確認された。
Ga−Al合金融液3に吹き込んだ窒素ガスの流量を20sccmとし、それ以外は実施例1と同様にして、AlN結晶を成長させた。図4に、AlN結晶成長後のテンプレート基板1の断面SEM像を示す。図4に示すように、テンプレート基板1の表面に、高さ3μmの六角錐状の良質なAlN結晶が成長していることが確認された。また、図5に、同じテンプレート基板1の鳥瞰SEM像を示す。図5では、実施例1で見られたAlN結晶の合体は認められなかった。
[比較例1]
Ga−Al合金融液3に吹き込んだ窒素ガスの流量を0sccm(窒素ガスの吹き込み無し)、またテンプレート基板1の表面温度を1400℃とし、それ以外は実施例1と同様にして、AlN結晶の成長を試みた。図6に、実験後のテンプレート基板1の鳥瞰SEM像を示す。図6に示すように、テンプレート基板1の表面には荒れが生じており、AlN結晶の成長は確認できなかった。
Ga−Al合金融液3に吹き込んだ窒素ガスの流量を20sccmとし、それ以外は比較例1と同様にして、AlN結晶を成長させた。図7に、AlN結晶成長後のテンプレート基板1の断面SEM像を示す。図7に示すように、テンプレート基板1の表面に、長さ数十から百数十μm、太さ5μm程度のウィスカー状のAlN結晶が生成していることが確認された。
Ga−Al合金融液3に吹き込んだ窒素ガスの流量を20sccm、Ga−Al合金融液3の温度を1500℃、窒化サファイア基板の表面を1500℃とし、窒化サファイア基板の表面が水平下向きになるように設置し、それ以外は実施例1と同様にして、AlNを成長させた。図8に、AlN結晶成長後のテンプレート基板1の断面SEM像を示す。図8に示すように、テンプレート基板1の表面に、長さ数十μm、太さ2μm程度のウィスカー状のAlN結晶が生成していることが確認された。
実施例1と同じGa−Al合金、アルミナの製の坩堝2および窒化サファイア基板を用い、真空ポンプを用いてガス排出管6から排気を続けることで、全圧が0.01MPaに保たれた窒素雰囲気下で、坩堝2に入れたGa−Al合金および窒化サファイア基板を昇温した。Ga−Al合金融液3の温度を1500℃、窒化サファイア基板の表面を1600℃、Ga−Al合金融液3に吹き込んだ窒素ガスの流量を20sccmとし、窒化サファイア基板の表面が水平下向きとなるように設置して、実施例1と同様の手順でAlNを成長させた。
図9および図10に、AlN結晶成長後のテンプレート基板1の断面SEM像を示す。図9に示すように、テンプレート基板1の表面に、厚さ4.1μmの膜状のAlN結晶が生成していることが確認された。また、図10に示すように、テンプレート基板1の一部に、高さ10nmの六角錐状のAlN結晶が生成していることも確認された。
これらの実施例から、Ga−Al合金融液3を原料とし、バブリングにより発生した蒸気を気相中で反応させることにより、低温でのAlNの結晶成長が可能であり、テンプレート基板1の表面にAlN結晶が得られることが確認された。特に、全圧が0.1MPaの窒素雰囲気下では、バブリングガスの流量を60sccm以上とし、Ga−Al合金融液3の温度を1300℃、テンプレート基板1の温度を1500℃とし、テンプレート基板1を表面が鉛直となるように設置することにより、六角錐上のAlNが合体し、膜状のAlN厚膜が得られることが確認された。また、全圧が0.01MPaの窒素雰囲気下では、バブリングガスの流量を20sccm以上とし、Ga−Al合金融液3の温度を1500℃、テンプレート基板1の温度を1600℃とし、テンプレート基板1を表面が水平下向きとなるように設置することにより、厚さ4.1μmの膜状のAlN結晶が得られることが確認された。
また、実施例1、実施例2および実施例5でのAlN結晶の成長速度は、0.5〜0.8μm/hrであった。これに対し、融液中でAlN結晶を成長させる特許文献3に記載の従来の方法では、AlN結晶の成長速度は、0.2〜0.25μm/hrである。このことから、本発明の実施の形態の窒化アルミニウム結晶の製造方法によれば、融液中でAlN結晶を成長させる従来の方法と比べて、2倍以上の速度でAlN結晶を成長させることができることが確認された。
1 テンプレート基板
2 坩堝
3 Ga−Al合金融液
4 バブリング用ガス導入管
5 雰囲気用ガス導入管
6 ガス排出管
7 基板用ヒーター
8 融液用ヒーター
9 基板用熱電対
10 融液部用熱電対
11 反応室

Claims (8)

  1. Ga−Al合金融液に、窒素を含むガスを吹き込んでAlを含む蒸気を発生させ、前記Ga−Al合金融液の外部に配置したテンプレート基板に、前記蒸気をあてることにより、前記テンプレート基板の表面に窒化アルミニウム結晶を成長させることを特徴とする窒化アルミニウム結晶の製造方法。
  2. 前記窒素を含むガスを、前記Ga−Al合金融液中でバブリングすることを特徴とする請求項1記載の窒化アルミニウム結晶の製造方法。
  3. 前記テンプレート基板の表面を、前記Ga−Al合金融液の温度より高い温度にしておくことを特徴とする請求項1または2記載の窒化アルミニウム結晶の製造方法。
  4. 前記Ga−Al合金融液の温度は、1200℃〜1550℃であり、
    前記テンプレート基板の表面の温度は、1400℃〜1650℃であることを
    特徴とする請求項3記載の窒化アルミニウム結晶の製造方法。
  5. 前記テンプレート基板は、窒素を含む雰囲気中に配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の窒化アルミニウム結晶の製造方法。
  6. 前記テンプレート基板は、全圧が0.008MPa以上1MPa以下の雰囲気中に配置されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の窒化アルミニウム結晶の製造方法。
  7. 前記テンプレート基板は、表面にAlN薄膜を有する窒化サファイア基板、SiC基板またはGaN基板から成ることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の窒化アルミニウム結晶の製造方法。
  8. 前記テンプレート基板の表面に膜状、錐状またはウィスカー状の窒化アルミニウム結晶を成長させることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の窒化アルミニウム結晶の製造方法。
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