JP4861953B2 - 窒化物単結晶の製造方法 - Google Patents

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本発明は、窒化物単結晶の製造方法に関するものである。
窒化ガリウム系III-V 窒化物は、優れた青色発光素子として注目を集めており、発光ダイオードや半導体レーザーダイオード用材料として実用化されている。フラックスを用いたIII 族窒化物単結晶の育成方法が、各機関より報告されている。
特許文献1では、III属窒化物結晶の表面をフラックス中でメルトバックさせることによって、結晶表面をエッチングし、表面に残留する加工歪みや加工欠陥を除去する。次いで、III属窒化物単結晶をフラックス法によって育成する。
特開2005−72572
特許文献2では、育成温度よりも低い温度でフラックスの温度を保持する前処理工程を設け、次いでIII属窒化物単結晶を育成する。育成温度よりも低温の前処理工程を設けることによって、種結晶膜の表面のメルトバックを抑制する。
特開2006−131454
非特許文献1に、フラックス法における、いわゆる温度サイクル法が開示されている。この温度サイクル法を提案し、説明した文献が非特許文献2である。温度サイクル法は第158頁に詳述されている。これによると、種結晶を用いないフラックス法では、フラックスを準安定温度領域で徐冷することによって、多数の核を自発核発生させるが、微結晶ないし雑晶が多数生成しやすいという問題がある。これを防止するために、まず液相温度Tを超える温度で完全に窒素を溶解させ、次いでTより下の温度まで徐冷することで、核をフラックス中にメルトバックさせて数を減らす。これを繰り返すことによって、適当な個数の核を残し、次いで各核上で成長を開始させる。ただし、結晶が核上で成長する段階で温度を上下させると(温度サイクル)、結晶品質が著しく低下するので、温度サイクルは、自発核発生段階で核の個数をコントロールする段階だけで使用するべきであると明記されている。
「結晶成長ハンドブック」 出版社「共立出版株式会社」発行 1995 年 第286頁 ‘’Journal of Crystal Growth’’ 12 (1972)pages 153 to 161, ‘’STABLE GROWTH RATES AND TEMPERATURE PROGRAMMING IN FLUXGROWTH’’
特許文献3に、Naフラックス法における、いわゆる温度サイクル法が開示されている。ここでも、種結晶を用いず、核発生制御するために昇温と降温を行うことが記載されている。
特開2002−201100
例えばGaN単結晶を高い生産性で育成することが求められる。特許文献1、2記載の方法は、単に種結晶膜のフラックス中へのメルトバックを防止したり、あるいは促進したりすることを開示しており、育成する単結晶の品質向上を目的としている。従って、GaNなどの単結晶の品質を保持しながら育成速度を向上させることはできない。
非特許文献1、2記載の方法は、種結晶膜上にフラックス法で窒化物単結晶を育成する方法ではなく、フラックス中に自発核発生させ、その核の個数を減らすために温度サイクル法を利用する方法である。しかし、核上に単結晶を育成する育成する育成段階では、温度サイクルを利用すると結晶品質が劣化するので、温度サイクル法は使用するべきではないと記載されている。特許文献3記載の方法も、種結晶膜上にフラックス法で窒化物単結晶を育成する方法ではなく、フラックス中に自発核発生させ、その核の個数を減らすために温度サイクル法を利用する方法である。
特許文献4においては、例えばGaN単結晶を種結晶基板表面にフラックス法で育成するのに際して、室温から昇温するときに、最初に920℃で保持して窒素をフラックス中に充分に溶解させ、次いで890℃で保持することでGaN単結晶を成長させる(図3(b)参照)。この方法は、初期における窒素溶解を促進することによって、GaNの結晶成長の開始時刻を早めるものである。しかし、この方法でも、GaNの育成が開始されてから後の育成速度を早くすることは記載されていない。
特願2007−79010
本発明の課題は、種結晶基板上に窒化物単結晶を育成する時に、窒化物単結晶の単位時間当たりの生産性を向上させることである。
本発明は、育成容器内でフラックスおよびIII属原料を含む融液に種結晶基板を浸漬し、この種結晶基板の育成面上に窒化物単結晶を育成する方法であって、
融液を加熱して未飽和状態に保持することによって、前記融液中に窒素を溶解させる窒素溶解工程;
次いで融液を冷却して前記種結晶基板上に窒化物単結晶を成長させる冷却工程;
次いで融液の温度を上昇させて未飽和状態に保持する再加熱工程;および
次いで融液を再冷却して前記種結晶基板上に前記窒化物単結晶を成長させる再冷却工程
を備えていることを特徴とする。
図1を参照しつつ,本発明の作用効果を説明する。本発明によれば、最初に窒素溶解度の高い高温TS1まで昇温し、ここで窒素含有雰囲気にて、窒素分圧P-NS1にて加圧保持する(A1:窒素溶解工程)。この段階で、融液に、より多くの窒素を溶け込ませる。温度TS1・圧力P-NS1は未飽和となる温度・圧力条件とする。ただし、種基板がメルトバックして溶解してなくなってしまわないように、保持時間を管理する。
すなわち、ある一定の温度および圧力では、ある一定の濃度の窒素が融液中に溶解する。この濃度は、融液組成や、添加物によって増減することが可能である。また、高温ほど溶解度が高くなるため、融液中に溶解可能な窒素の飽和濃度が高くなる。一般に、加熱直後の融液は、まだ窒素が十分に溶け込んでいないため、未飽和状態である。しかし、時間の経過と共に融液中に窒素が溶け込み、窒素溶解量が増加していく。この結果、やがて窒素濃度は飽和濃度に達し、融液は窒素過飽和状態となり、雑晶の析出が始まる。従って、窒素溶解工程時には、融液が過飽和状態とならないように、保持時間を管理する。
次いで、過飽和領域温度TK1に温度を下げる(B1:冷却工程)。TK1における窒素の飽和溶解度は、TS1における窒素の飽和溶解度よりも小さいので、徐冷工程(B1)中は過飽和度が高くなる。
次いで、高温(TS2)に再び加熱する(再加熱工程A2)。TS2にまで昇温した直後の状態においては、昇温速度が速い場合は、窒素溶解度が高くなるのに対して窒素の溶解速度が追いつかないため、融液が未飽和となる。その場合は、成長した単結晶の結晶欠陥部分が優先的に融液中にメルトバックする。ここで、TS2がTK1よりも充分に高い場合には、昇温速度が遅くとも、未飽和となるため、場合によってはメルトバック量をコントロールするために窒素圧力を制御する必要がある。一方、TS2とTK1との温度差が充分に大きくない場合には、TS2における圧力を下げることによって、TS2において未飽和となるようにする。これによって、成長した単結晶の結晶欠陥部分が優先的に融液中にメルトバックする。
融液に窒素が溶け込むまでのある一定の時間、高温で保持した後、過飽和領域温度TK2へと温度を下げる(B2:再冷却工程)。TK2における窒素溶解度は、TS2における窒素溶解度よりも小さいので、徐冷工程(B2)中は過飽和度が高くなる。そして、この段階で単結晶成長が進行する。
このように、結晶成長を始めた(工程B1)後に、再加熱によって温度を未飽和温度TS2へと上昇させると(A2)、その次の過飽和段階(B2)で単結晶の育成が著しく進むことを発見した。このような、再加熱と再冷却による種結晶上での単結晶成長速度の向上は知られていない。
また、以上は、結晶欠陥を低減するために、結晶欠陥部分をメルトバックさせるように、昇温過程で未飽和となるように昇温速度や圧力を制御した。しかし、昇温過程においては、昇温速度や圧力を制御し、未飽和状態とならないようにして、メルトバックさせずに成長を継続させることも出来る。
特許文献1の方法では、III属窒化物結晶の表面をフラックス中でメルトバックさせているが、その後の温度スケジュールは記載されていない。特許文献2記載の方法では、育成温度よりも低い温度でフラックスの温度を保持する前処理工程を設け、次いでIII属窒化物単結晶を育成している。しかし、未飽和温度で窒素を融液に溶解させた後、温度を下げて育成することは記載されていない。
非特許文献1、2では、温度を上下させているが、これは種結晶を用いないフラックス法であることを前提として、フラックスを準安定温度領域で徐冷することによって、多数の核を自発核発生させる方法である。そして、温度を上下させることで、適当な個数の核を残すための自発核発生のプロセスである。しかし、種結晶を使用しないフラックス法において、結晶が核上で成長する段階で温度を上下させると、結晶品質が著しく低下すると明記されている。従って、種結晶を用いるフラックス法において単結晶成長段階で温度サイクルを適用することは、非特許文献1、2から想到することはできなかった。
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明をさらに詳細に説明する。
最初に窒素溶解度の高い高温TS1まで昇温し、ここで保持する(A1:窒素溶解工程)。この段階で、フラックスおよびIII属原料を含む融液に、より多くの窒素を溶け込ませる。温度TS1、圧力P-NS1は、窒素未飽和となるように設定する。
窒素溶解工程での保持時間は、5時間以上、60時間以下が好ましい。この保持時間が短すぎると、融液への窒素溶け込み量が少なく、単結晶の生産性を向上させることが難しくなる。一方、この上限は特にない。しかし、窒素溶解工程なしでも、育成工程の開始から60時間で単結晶成長が始まる結晶育成が開始する傾向がある。
TS1の具体的数値は、フラックスおよび単結晶の組成比率によって変化するので、適宜選択する。例えば、 Naフラックスを用い、GaN単結晶を育成する場合は850−1000℃が好ましい。Sn−Mgフラックスを用い、AlN単結晶を育成する場合は1200−1500℃が好ましい。また、P-NS1の具体的数値は、温度やフラックスおよび単結晶の組成比率、添加物などによって変化するので、適宜選択する。例えば、GaNを育成する場合、Ga/Na比が約20モル%のGa−Na混合融液を用いる場合、TS1=920℃、P-NS1=4MPaとすることができる。
次いで、過飽和温度TK1に温度を下げる(B1:冷却工程)。TK1における窒素溶解度は、TS1における窒素溶解度よりも小さいので、徐冷工程(B1)中は過飽和度が高くなる。
TS1とTK1との差は限定されないが、窒化物単結晶の析出を促進するという観点からは、10℃以上であることが好ましく、30℃以上であることがさらに好ましい。また、この差が大きすぎると、結晶品質が低下する傾向があるので、この観点からは、100℃以下が好ましい。
冷却工程Bにおける冷却速度は限定されないが、冷却速度を高くすることによって、単結晶成長を促進できる。この観点からは、冷却速度は1℃/時間以上とすることが好ましく、2℃/時間以上とすることがさらに好ましい。また、この冷却速度が高すぎると、結晶品質が低下する傾向があるので、この観点からは、10℃/時間以下とすることが好ましく、6℃/時間以下とすることがさらに好ましい。
次いで、高温(TS2、TS3)に再び加熱する(再加熱工程A3)。この再加熱工程は、例えば図1に示すように、再冷却工程(A2)後にさらに繰り返してもよい。また、再加熱工程は、3回以上繰り返すこともできる。昇温速度は、速い方が工程が短縮できて良く、育成装置にもよるが、例えば10℃/分とすることができる。
温度TS2、TS3においては、フラックスおよびIII属原料を含む融液が未飽和となるようにする。ここで、TS2、TS3がTK1、TK2よりも充分に高い場合には、圧力は下げる必要はない。一方、TS2、TS3とTK1、TK2との温度差が充分に大きくない場合には、TS2、TS3における圧力を下げることによって、TS2、TS3において未飽和となるようにすることも可能である(工程A2、A3)。これによって、成長した単結晶の欠陥部分が優先的にフラックスおよびIII属原料を含む融液中にメルトバックする。
ここで、工程A2、A3において、単結晶のメルトバックを効率的に行い、次の再冷却工程における結晶成長を促進するという観点からは、(TS2−TK1)、(TS3−TK2)は、10℃以上とすることが好ましく、30℃以上とすることが好ましい。しかし、(TS2−TK1)、(TS3−TK2)が大きすぎると、結晶品質が低下する傾向があるので、この観点からは、この差は100℃以下が好ましく、50℃以下がさらに好ましい。
冷却工程B1、B2における圧力に対して、昇温工程C1、C2における圧力を下げることによって、昇温工程においては未飽和状態を保持することが好ましい。
再加熱工程A2、A3における保持時間は特に限定されないが、単結晶のメルトバックを効率的に行い、次の再冷却工程における結晶成長を促進するという観点からは、6時間以上が好ましく、12時間以上がさらに好ましい。しかし、この保持時間が長すぎても、結晶育成に係る合計時間は長くなってしまうので、この観点からは、24時間以下が好ましい。
再冷却工程B2における冷却速度は限定されないが、冷却速度を速くすることによって、単結晶成長を促進できる。この観点からは、冷却速度は1℃/時間以上とすることが好ましく、2℃/時間以上とすることがさらに好ましい。また、この冷却速度が速すぎると、結晶品質が低下する傾向があるので、この観点からは、10℃/時間以下とすることが好ましく、6℃/時間以下とすることがさらに好ましい。
TS1、TS2、TS3、TK1、TK2は、育成されるべき窒化物単結晶の種類によって決定するべきものであり、雑晶が発生しにくく、単結晶の成長速度の早い育成温度および圧力を選定すればよい。
本発明の単結晶育成装置において、原料混合物を加熱して融液を生成させるための装置は特に限定されない。この装置は熱間等方圧プレス装置が好ましいが、それ以外の雰囲気加圧型加熱炉であってもよい。
融液を生成するためのフラックスは特に限定されないが、アルカリ金属およびアルカリ土類金属からなる群より選ばれた一種以上の金属またはその合金が好ましい。この金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムが例示でき、リチウム、ナトリウム、カルシウムが特に好ましく、ナトリウムが最も好ましい。
反応を行なうための育成容器の材質は特に限定されず、目的とする加熱および加圧条件において耐久性のある材料であればよい。こうした材料としては、金属タンタル、タングステン、モリブデンなどの高融点金属、アルミナ、サファイア、イットリアなどの酸化物、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化ホウ素などの窒化物セラミックス、タングステンカーバイド、タンタルカーバイドなどの高融点金属の炭化物、p−BN(パイロリティックBN)、p−Gr(パイロリティックグラファイト)などの熱分解生成体が挙げられる。
発熱体の材質は特に限定されないが、鉄- クロム- アルミ系、ニッケル- クロム系などの合金発熱体、白金、モリブデン、タンタル、タングステンなどの高融点金属発熱体、炭化珪素、モリブデンシリサイト、カーボンなどの非金属発熱体を例示できる。
本発明を利用し、少なくともナトリウム金属を含むフラックスを使用して窒化ガリウム単結晶を育成できる。このフラックスには、ガリウム原料物質を溶解させる。ガリウム原料物質としては、ガリウム単体金属、ガリウム合金、ガリウム化合物を適用できるが、ガリウム単体金属が取扱いの上からも好適である。
このフラックスには、ナトリウム以外の金属、例えばリチウムを含有させることができる。ガリウム原料物質とナトリウムなどのフラックス原料物質との使用割合は、適宜であってよいが、一般的には、ナトリウム過剰量を用いることが考慮される。もちろん、このことは限定的ではない。
雰囲気中の窒素以外のガスは限定されないが、不活性ガスが好ましく、アルゴン、ヘリウム、ネオンが特に好ましい。
窒化ガリウム結晶をエピタキシャル成長させるための育成用基板の材質は限定されないが、サファイア、AlNテンプレート、GaNテンプレート、シリコン単結晶、iC単結晶、MgO単結晶、スピネル(MgAl)、LiAlO2、LiGaO2、LaAlO,LaGaO,NdGaO等のペロブスカイト型複合酸化物を例示できる。また組成式〔A1−y(Sr1−xBa〕〔(Al1−zGa1−u・D〕O(Aは、希土類元素である;Dは、ニオブおよびタンタルからなる群より選ばれた一種以上の元素である;y=0.3〜0.98;x=0〜1;z=0〜1;u=0.15〜0.49;x+z=0.1〜2)の立方晶系のペロブスカイト構造複合酸化物も使用できる。また、SCAM(ScAlMgO)も使用できる。
(実施例1)
図2(a)に示す温度スケジュールに従い、GaN単結晶を育成した。
具体的には、金属Na5 g、金属Ga3 g、添加物として、炭素10mgを真空グローブボックス内で秤量し、図4に示すように、内径17mmのアルミナるつぼ7に入れた。種結晶として、縦13mm×横18mmのGaN テンプレート基板9を用い、ルツボ7内に斜めに立てかけた。5は、秤量した原料である。
図5に示すように、ルツボ7を矢印Dのように圧力容器1内に収容した。次いで、図6に模式的に示すように、発熱体2を上下方向に設置し、発熱量を上下方向で独立して多ゾーン制御を行なう。発熱体2を発熱させ、気体タンク8、圧力制御装置4、配管10を通して、雰囲気制御用容器3内の圧力容器1へと窒素含有雰囲気を流し、加熱および加圧する。これによって、ルツボ7内で混合原料5が溶解し、融液を生成する。
具体的には、窒素ガスにて4MPaに加圧し、920 ℃まで40分で昇温し、920℃で24時間保持して窒素をフラックス中に溶け込ませた(工程A1)。この間はまだ成長は開始していなかった。種結晶の表面は少しメルトバックし、表面に凹凸が生じていた。その後、24時間かけて、850 ℃まで徐冷した(工程B1)。この間にGaN 単結晶は成長した。次に、1時間かけて920℃まで加熱した(工程C1)。この間は未飽和となるように圧力を3MPaまで下げた。次に4MPaに昇圧して24時間保持し(工程A2)、再び窒素を溶解させた。再び850 ℃まで24時間かけて徐冷した(工程B2)。この一連の操作をさらにもう一回行った後(工程C2、A3)、室温まで冷却した。
その後、エタノールにてNaを処理し、育成した結晶を取り出した。自然核発生により発生した多結晶はごく僅かであった。厚さ2mm の高品質なGaN 単結晶が種基板上に成長した。成長速度を見積もろうとすると、厳密には最初の24時間で結晶成長が始まっていなかったこと、昇温中の未飽和にした時間などを考慮しなければならないので複雑となる。そこで単純に育成プロセス時間の122 時間で成長厚さ2mm を割ることにより、平均成長速度を求めた。この結果、約16μm/時間であった。
(実施例2)
実施例1と同様にしてGaN単結晶を育成した。ただし、温度スケジュールは図2(b)に示すようにし、また圧力スケジュールも変更した。具体的には、窒素ガスにて4MPaに加圧し、920℃まで40分で昇温し、12時間保持して窒素をフラックス中に溶け込ませた(A1)。この間は、結晶成長はまだ開始していなかった。その後、12時間かけて、850℃まで徐冷した(B1)。この間に、GaN 単結晶は成長した。次に、1時間かけて920℃まで加熱した(C1)。この間は未飽和となるように、圧力を3MPaまで下げた。工程C1が終わった時点で、圧力を4MPaに昇圧して、12時間保持し、再び窒素を溶解させた(A2)。再び850℃まで12時間かけて徐冷した(B2)。これらの操作を、合計3 回繰り返した。
室温まで冷却後、エタノールにてNaを処理し、育成した結晶を取り出した。自然核発生により発生した多結晶はごくわずかであった。厚さ2mm の高品質なGaN 単結晶が種基板上に成長した。実施例1よりも短時間で同じ厚さの結晶が得られた。同様に平均成長速度を計算すると約23μm/時間となる。
(実施例3)
実施例1と同様にしてGaN単結晶を育成した。ただし、温度スケジュールは図2(c)に示すようにし、また圧力スケジュールも変更した。具体的には、窒素ガスにて4MPaに加圧し、880℃まで40分で昇温し、12時間保持して窒素をフラックス中に溶け込ませた(A1)。この間は、結晶成長はまだ開始していなかった。その後、12時間かけて、850℃まで徐冷した(B1)。この間に、GaN 単結晶は成長した。次に、1時間かけて880℃まで加熱した(C1)。この間はなるべく速く窒素が溶解するように、圧力を4MPaで変化させなかった。880℃・4MPaでは、50時間保持すれば、GaN結晶が成長する条件であるが、1時間で昇温した直後は窒素の溶解が追いつかないため、若干ではあるが、未飽和となっている。工程C1の後、12時間保持し、再び窒素を溶解させた(A2)。再び850℃まで12時間かけて徐冷した(B2)。これらの操作を、合計3 回繰り返した。
室温まで冷却後、エタノールにてNaを処理し、育成した結晶を取り出した。自然核発生により発生した多結晶はごくわずかであった。厚さ1.8mm の高品質なGaN 単結晶が種基板上に成長した。実施例1よりも短時間で同じ厚さの結晶が得られた。同様に平均成長速度を計算すると約21μm/時間となる。
(比較例)
実施例1と同様にしてGaN単結晶を育成した。ただし、温度スケジュールは、図3(a)に示すようにした。具体的には、温度・圧力を850 ℃・4MPaで一定とし、120時間保持した。これ以外は実施例1と同様に実験を行った。
この結果、融液の気液界面に、直径2mm 程度の大きさの多結晶集合体が数個生成していた。種基板上に成長したGaN 結晶の厚さは、約1.5mm であった。同様に、平均成長速度を計算すると、約13μm/時間となる。
本発明方法の温度スケジュールの一例を示すグラフである。 (a)は、実施例1における温度スケジュールを示すグラフであり,(b)は、実施例2における温度スケジュールを示すグラフであり、(c)は、実施例3における温度スケジュールを示すグラフである。 (a)は,比較例1における温度スケジュールを示すグラフであり、(b)は、最初に窒素溶解工程を設けた温度スケジュールを示すグラフである。 ルツボ7内に種結晶基板9および融液原料5を収容した状態を示す模式図である。 ルツボ7を圧力容器1内に収容する段階を示す模式図である。 本発明方法を実施するのに適した装置を示す模式図である。
符号の説明
1 圧力容器 4 圧力制御装置 5 フラックスおよびIII属原料を含む融液 7 ルツボ 8 気体タンク 9 種結晶 10 配管 A1 窒素溶解工程 A2、A3 再加熱工程 B1 冷却工程 B2 再冷却工程 C1、C2 昇温工程 TK1、TK2 冷却温度 TS1 窒素溶解のための保持温度 TS2、TS3 メルトバックのための保持温度

Claims (6)

  1. 育成容器内でフラックスおよびIII属原料を含む融液に種結晶基板を浸漬し、窒素含有雰囲気下で、この種結晶基板上に窒化物単結晶を育成する方法であって、
    前記融液を加熱して未飽和状態で保持することによって、前記融液中に窒素を溶解させる窒素溶解工程;
    次いで前記融液を冷却して過飽和状態とし、前記種結晶基板上に窒化物単結晶を成長させる冷却工程;
    次いで前記融液の温度を上昇させて未飽和状態に保持する再加熱工程;および
    次いで前記融液を冷却して過飽和状態とし、前記種結晶基板上に窒化物単結晶を成長させる再冷却工程
    を備えていることを特徴とする、窒化物単結晶の育成方法。
  2. 前記再冷却工程および前記再加熱工程を複数回実施することを特徴とする、請求項1記載の方法。
  3. 前記冷却工程および再冷却工程における冷却速度が1℃/時間以上、10℃/時間以下であることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
  4. 前記再加熱工程における昇温速度が10℃/時間以上、200℃/時間以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つの請求項に記載の方法。
  5. 前記窒化物単結晶がGaN単結晶であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つの請求項に記載の方法。
  6. 前記窒化物単結晶がAlN単結晶であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つの請求項に記載の方法。
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